(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】伝熱フィン
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20221020BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20221020BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20221020BHJP
【FI】
F28F1/32 U
F28F1/32 F
F28F1/32 W
F28F1/32 S
F28D7/16 B
F24H9/00 A
(21)【出願番号】P 2018236249
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2018194605
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 遇
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-096622(JP,A)
【文献】特開平09-203532(JP,A)
【文献】特開平09-049641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0264038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F28D 7/16
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスが流通する熱交換器内に配設される平板状の伝熱フィンであって、
単一段で並設された複数の伝熱管挿通孔と、
隣接する前記伝熱管挿通孔間の前記燃焼排ガスのガス流路の下流側に設けられ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の上流側に向かって凹むように形成された下流側切込部と、
前記伝熱フィンの一面側に向かって突出するように前記下流側切込部の周縁に形成された下流側フランジと、
前記伝熱フィンの両面側に交互に突出するように前記伝熱管挿通孔と前記下流側フランジとの間に形成された複数の第1突出片と、を備え
、
前記複数の第1突出片はそれぞれ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の下流側のみに向かって突出するように、前記伝熱フィンの一部を前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側から上流側に向かって切り起こして形成された第1切り起こしフィンからなり、
前記各第1切り起こしフィンの前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側にのみ、前記燃焼排ガスが流通する第1スリットが開口している伝熱フィン。
【請求項2】
請求項1に記載の伝熱フィンは、さらに、
前記伝熱フィンの前記両面側に交互に突出するように隣接する前記伝熱間挿通孔間に形成された複数の第2突出片を備え
、
前記複数の第2突出片はそれぞれ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側のみに向かって突出するように、前記伝熱フィンの一部を前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側から前記上流側に向かって切り起こして形成された第2切り起こしフィンからなり、
前記各第2切り起こしフィンの前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側にのみ、前記燃焼排ガスが通過する第2スリットが開口している伝熱フィン。
【請求項3】
請求項2に記載の伝熱フィンにおいて、
前記第1
切り起こしフィンは、前記伝熱管挿通孔と前記下流側フランジとの間を前記上流側から前記下流側に向かって通過する前記燃焼排ガスの前記ガス流路に略直交
するように切り起こされており、
前記第2
切り起こしフィンは、隣接する前記伝熱管挿通孔間を前記上流側から前記下流側に向かって通過する前記燃焼排ガスの前記ガス流路に略直交
するように切り起こされている伝熱フィン。
【請求項4】
請求項2または3に記載の伝熱フィンにおいて
、
前記下流側フランジは、前記
複数の第1切り起こしフィン及び前記
複数の第2切り起こしフィンよりも高い前記伝熱フィンの前記一面側の突出高さを有する伝熱フィン。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の伝熱フィンは、さらに、
前記伝熱フィンの前記一面側に突出するように前記伝熱管挿通孔と前記伝熱フィンの上流側端縁との間に形成された上流側突起を有する伝熱フィン。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の伝熱フィンは、さらに、
隣接する前記伝熱管挿通孔間の前記燃焼排ガスの前記ガス流路の上流側に設けられ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の下流側に向かって凹むように形成された上流側切込部を備える伝熱フィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用の伝熱フィンに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器や暖房用熱源機などの燃焼装置に用いられるフィンチューブ型の熱交換器は、バーナによって生成される燃焼排ガスが流通する熱交換器胴体と、熱交換器胴体の二つの側壁間に縦向きで並設された複数の平板状の伝熱フィンと、水などの熱媒が流れる複数の伝熱管とを備える。
【0003】
従来、上記熱交換器に用いられる伝熱フィンには、燃焼排ガスのガス流路の方向に複数の伝熱管が2段以上の複数段で千鳥状に貫挿されている(例えば、特許文献1)。この複数の伝熱管が千鳥状に複数段で配設された熱交換器によれば、下段の隣接する伝熱管の間を通過する燃焼排ガスが上段の伝熱管に向かって流れるため、燃焼排ガス中の熱が効率的に伝熱管内を流れる熱媒に熱伝達される。
【0004】
また、上記熱交換器では、熱交換器内に単一の熱交換管路が形成されるように、複数の伝熱管は、各段で隣接する伝熱管における下流側の伝熱管の管端と上流側の伝熱管の管端とを連通させるとともに、伝熱フィンの側端部側で、下段の伝熱管の下流側の管端と上段の伝熱管の上流側の管端とを連通させることにより、直列的に接続されている。そのため、複数の伝熱管が複数段で伝熱フィンに貫挿されている場合、伝熱フィンの一方の側端部側における下段の伝熱管の上流端から流入した熱媒は、伝熱フィンの他方の側端部側における下段の伝熱管の下流端に向かって流れた後、伝熱フィンの他方の側端部側における上段の伝熱管の上流端に流れる。そして、熱媒は、伝熱フィンの他方の側端部側で熱媒の流れる方向が折り返され、伝熱フィンの一方の側端部側における上段の伝熱管の下流端に向かって流れる。これにより、燃焼排ガスと伝熱管との接触時間を増加させている。
【0005】
ところで、燃焼量の調整可能範囲を広げるために、複数のバーナが複数の燃焼領域に区分されたバーナユニットを有する燃焼装置が提案されている。この燃焼装置によれば、要求燃焼量の増減に従って、燃焼するバーナ数が複数段階で切り替えられる。そのため、要求燃焼量が少ない場合、複数の燃焼領域のうち一部の燃焼領域のバーナのみが燃焼される。
【0006】
上記のような部分燃焼が行われると、バーナが燃焼している燃焼領域に対応する燃焼排ガスのガス流路の下流側に位置する伝熱管のみが主として加熱される。例えば、伝熱フィンの一方の側端部側の上流側に位置する燃焼領域におけるバーナのみが燃焼している場合、高温の燃焼排ガスはその燃焼領域と同じ一方の側端部側に位置する伝熱管に向かって主として流れる。一方、バーナユニットに供給される燃焼用空気は、伝熱フィンの他方の側端部側の上流側に位置する非燃焼中のバーナにも流れる。そのため、非燃焼中のバーナを通過する低温の燃焼用空気は、非燃焼中のバーナの燃焼領域と同じ伝熱フィンの他方の側端部側に位置する伝熱管に向かって主として流れる。それゆえ、伝熱フィンの一方の側端部近傍の伝熱管は燃焼排ガスによって加熱されるが、伝熱フィンの他方の側端部近傍の伝熱管は燃焼用空気によって冷却される。従って、各段において、高温領域と低温領域とが形成される。その結果、複数の伝熱管が複数段で配設されている場合、各段で燃焼排ガスによって加熱された熱媒が燃焼に用いられない燃焼用空気で冷却されることにより、熱交換管路内で熱媒の温度の上昇・低下が繰り返され、非効率的に熱媒が加熱されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、燃焼排ガス中の熱を伝熱管内を流れる熱媒に効率よく熱伝達させることができる熱交換器用の伝熱フィンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
燃焼排ガスが流通する熱交換器内に配設される平板状の伝熱フィンであって、
単一段で並設された複数の伝熱管挿通孔と、
隣接する前記伝熱管挿通孔間の前記燃焼排ガスのガス流路の下流側に設けられ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の上流側に向かって凹むように形成された下流側切込部と、
前記伝熱フィンの一面側に向かって突出するように前記下流側切込部の周縁に形成された下流側フランジと、
前記伝熱フィンの両面側に交互に突出するように前記伝熱管挿通孔と前記下流側フランジとの間に形成された複数の第1突出片と、を備え、
前記複数の第1突出片はそれぞれ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側のみに向かって突出するように、前記伝熱フィンの一部を前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側から上流側に向かって切り起こして形成された第1切り起こしフィンからなり、
前記各第1切り起こしフィンの前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側にのみ、前記燃焼排ガスが流通する第1スリットが開口している伝熱フィンが提供される。
【0010】
上記伝熱フィンによれば、複数の伝熱管が単一段で並設されるから、バーナユニットで部分燃焼が行われる場合でも、熱交換管路内での熱媒の温度の上昇・低下の繰り返しを低減することができる。
【0011】
一方、上記のように複数の伝熱管が単一段で並設される場合、燃焼排ガスのガス流路の下流側に伝熱管が存在しない。そのため、燃焼排ガスが隣接する伝熱管間から下流側に短絡して流れ、燃焼排ガスと伝熱管との接触時間が低下する。また、隣接する伝熱フィン間で燃焼排ガスと伝熱管との接触機会が低下するため、燃焼排ガスの乱流化が促進されず、伝熱フィンの両面上に燃焼排ガスの温度境界層が形成されやすい。
【0012】
しかしながら、上記伝熱フィンによれば、隣接する伝熱管挿通孔間の燃焼排ガスのガス流路の下流側に、燃焼排ガスのガス流路の上流側に向かって凹む下流側切込部が形成され、さらに下流側切込部の周縁に伝熱フィンの一面側に向かって突出する下流側フランジが形成されているため、隣接する伝熱管挿通孔間を通過した燃焼排ガスは下流側フランジに衝突する。そして、下流側フランジによって、燃焼排ガスは伝熱管挿通孔と下流側フランジとの間を通過するように燃焼排ガスのガス流路の方向が偏向される。これにより、伝熱フィンの下流領域で、伝熱管の周囲を回り込む燃焼排ガスのガス流路が形成されるから、隣接する伝熱管間から下流側に短絡して流れる燃焼排ガスを低減することができ、燃焼排ガスの伝熱管への接触時間を長くすることができる。
【0013】
また、上記伝熱フィンによれば、伝熱管挿通孔と下流側フランジとの間に、伝熱フィンの両面側に交互に突出するように複数の第1突出片が設けられているから、燃焼排ガスが第1突出片に衝突する。これにより、第1突出片に、直接、燃焼排ガスの熱を熱伝達させることができる。また、第1突出片に衝突した燃焼排ガスが第1突出片の先端部を通過するとき、渦流が形成され、燃焼排ガスの乱流化が促進される。これにより、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。
また、上記伝熱フィンによれば、複数の第1突出片はそれぞれ、燃焼排ガスのガス流路の下流側のみに向かって突出するように、伝熱フィンの一部を燃焼排ガスのガス流路の下流側から上流側に向かって切り起こして形成された第1切り起こしフィンから形成されているから、燃焼排ガスの一部は、これらの第1切り起こしフィンによって形成される第1スリットを介して、伝熱フィンの両面側を蛇行しながら上流側から下流側に向かって流れる。これにより、隣接する伝熱フィン間の間隙を流れる燃焼排ガスの混合・分離が繰り返されるため、伝熱フィンの下流領域における燃焼排ガスの乱流化が促進される。また、燃焼排ガスが第1スリットを通過するとき、第1スリットの開口縁に燃焼排ガスが衝突する。これにより、さらに一層、燃焼排ガスの乱流化が促進される。従って、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層をさらに分断させることができる。
【0014】
好ましくは、上記伝熱フィンは、さらに、
前記伝熱フィンの前記両面側に交互に突出するように隣接する前記伝熱管挿通孔間に形成された複数の第2突出片を備え、
前記複数の第2突出片はそれぞれ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側のみに向かって突出するように、前記伝熱フィンの一部を前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側から前記上流側に向かって切り起こして形成された第2切り起こしフィンからなり、
前記各第2切り起こしフィンの前記燃焼排ガスの前記ガス流路の前記下流側にのみ、前記燃焼排ガスが通過する第2スリットが開口する。
【0015】
上記伝熱フィンによれば、隣接する伝熱管挿通孔間に、伝熱フィンの両面側に交互に突出するように複数の第2突出片が設けられているから、燃焼排ガスが第2突出片に衝突する。これにより、第2突出片に、直接、燃焼排ガスの熱を熱伝達させることができる。また、第2突出片に衝突した燃焼排ガスが第2突出片の先端部を通過するとき、渦流が形成され、燃焼排ガスの乱流化が促進される。これにより、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。
また、上記伝熱フィンによれば、複数の第2突出片はそれぞれ、燃焼排ガスのガス流路の下流側のみに向かって突出するように、伝熱フィンの一部を燃焼排ガスのガス流路の下流側から上流側に向かって切り起こして形成された第2切り起こしフィンから形成されているから、燃焼排ガスの一部は、これらの第2切り起こしフィンによって形成される第2スリットを介して、伝熱フィンの両面側を蛇行しながら上流側から下流側に向かって流れる。これにより、隣接する伝熱フィン間の間隙を流れる燃焼排ガスの混合・分離が繰り返されるため、伝熱フィンの中間領域における燃焼排ガスの乱流化が促進される。また、燃焼排ガスが第2スリットを通過するとき、第2スリットの開口縁に燃焼排ガスが衝突する。これにより、さらに一層、燃焼排ガスの乱流化が促進される。従って、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層をさらに分断させることができる。
【0016】
好ましくは、上記伝熱フィンにおいて、
前記第1切り起こしフィンは、前記伝熱管挿通孔と前記下流側フランジとの間を前記上流側から前記下流側に向かって通過する前記燃焼排ガスの前記ガス流路に略直交するように切り起こされ、
前記第2切り起こしフィンは、隣接する前記伝熱管挿通孔間を前記上流側から前記下流側に向かって通過する前記燃焼排ガスの前記ガス流路に略直交するように切り起こされる。
【0017】
上記伝熱フィンによれば、燃焼排ガスの熱をより効率的に第1切り起こしフィン及び第2切り起こしフィンに熱伝達させることができる。また、燃焼排ガスの乱流化をより促進することができる。
【0018】
好ましくは、上記伝熱フィンにおいて、
前記下流側フランジは、前記複数の第1切り起こしフィン及び前記複数の第2切り起こしフィンよりも高い前記伝熱フィンの前記一面側の突出高さを有する。
【0020】
上記伝熱フィンによれば、第1切り起こしフィン及び第2切り起こしフィンは、下流側フランジよりも低い突出高さを有するから、これらの切り起こしフィンによって、隣接する伝熱フィン間の間隙が閉塞されない。これにより、燃焼排ガスの過度の通過抵抗の増加を防止することができる。
【0021】
好ましくは、上記伝熱フィンは、さらに、
前記伝熱フィンの前記一面側に突出するように前記伝熱管挿通孔と前記伝熱フィンの上流側端縁との間に設けられた上流側突起を有する。
【0022】
上記伝熱フィンによれば、伝熱管挿通孔と伝熱フィンの上流側端縁との間に、伝熱フィンの一面側に突出する上流側突起が形成されているから、高温の燃焼排ガスが接触する伝熱フィンの上流領域の表面積を増大させることができる。これにより、燃焼排ガスの伝熱フィンへの接触時間を長くすることができる。また、上流側突起は伝熱フィンの一面側に突出しているから、上流側から流れてきた燃焼排ガスを分流させることができる。これにより、伝熱管に均一に燃焼排ガスを接触させることができる。さらに、伝熱フィンの上流領域において、上流側突起により燃焼排ガスの乱流化が促進される。これにより、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。
【0023】
好ましくは、上記伝熱フィンは、さらに、
隣接する前記伝熱管挿通孔間の前記燃焼排ガスの前記ガス流路の上流側に設けられ、前記燃焼排ガスの前記ガス流路の下流側に向かって凹むように形成された上流側切込部を備える。
【0024】
上記伝熱フィンによれば、隣接する伝熱管挿通孔間の燃焼排ガスのガス流路の上流側に、焼排ガスのガス流路の下流側に向かって凹む上流側切込部が形成されているため、伝熱フィンの上流領域において、伝熱管挿通孔と伝熱フィンの上流側端縁との間の距離が略均等に形成される。従って、伝熱フィンの上流領域で燃焼排ガスの熱が均一に伝熱フィンに熱伝達される。これにより、伝熱フィンの上流側端縁の温度を低下させることができ、伝熱フィンの一部が高温にならず、伝熱フィンの耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、単一段で複数の伝熱管挿通孔が並設されている伝熱フィンが用いられる場合でも、燃焼排ガスの伝熱管への接触時間を長くすることができるとともに、伝熱フィン上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができるから、燃焼排ガスの熱が伝熱フィン及び伝熱管に良好に熱伝達される。従って、本発明によれば、燃焼排ガスにより伝熱管内を流れる熱媒が効率的に熱交換加熱される燃焼装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を示す概略縦断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る伝熱フィンの一例を示す概略正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る伝熱フィンの一例を示す概略要部拡大正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る伝熱フィンの一例を示す概略要部斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る伝熱フィンの一例を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る伝熱フィンの他の一例を示す概略要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る伝熱フィン及び燃焼装置を、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
図1は、給湯器に適用された燃焼装置の概略縦断面図であり、
図2は、その概略側面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る伝熱フィン1を備えた熱交換器300は、燃焼装置700に組み込まれる。熱交換器300は、給水管101から伝熱管9へ供給される水(熱媒)を、ガスバーナ201から放出された燃焼排ガスにより熱交換加熱した後、出湯管102を通じて図示しない温水利用先へ供給するように構成される。
【0029】
熱交換器300の外郭を構成する胴体(熱交換器胴体)301は、上下にそれぞれ上部開口351及び下部開口352を有する略矩形箱状に形成されている。下部開口352には、ガスバーナ201を収容するバーナユニット200が連結される。一方、上部開口351には、ガスバーナ201から胴体301内に送り込まれた燃焼排ガスを燃焼装置700の外部へ導く排気室筐体400が連結される。
【0030】
なお、本明細書では、伝熱フィン1の一つの主面を正面側(
図1の手前側及び
図2の右側)から見たとき、伝熱フィン1の厚さ方向を前後方向、伝熱フィン1の幅方向を左右方向、伝熱フィン1の高さ方向を上下方向という。なお、伝熱フィン1の正面側が一面側に、裏面側が他面側に対応する。また、燃焼排ガスのガス流路に従って、下方側を上流側、上方側を下流側という。
【0031】
バーナユニット200は、複数の燃焼領域(ここでは、3個)に区分されている。各燃焼領域には、1または複数の扁平状のガスバーナ201が左右方向に縦向きで並設されている。各ガスバーナ201は、燃焼領域に対応して区分されたガスマニホールド202と連通している。各ガスマニホールド202には、ガス管210から分岐した分岐ガス管が接続されている。従って、部分燃焼では、一部の燃焼領域のガスバーナ201のみに燃料ガス及び燃焼用空気が供給され、他の燃焼領域のガスバーナ201には燃焼用空気のみが供給される。
【0032】
バーナユニット200の下部には、ファンユニット500が接続されている。ファンユニット500内のファン501を回転させることにより、ガスバーナ201の燃焼用空気としての燃焼装置700外部の空気がバーナユニット200内へ送り込まれる。バーナユニット200内へ送り込まれた空気は、ガスバーナ201から放出された燃焼排ガスとともに下部開口352から熱交換器300の胴体301内へ導入された後、上部開口351から排気室筐体400を通じて燃焼装置700の外部へ排出される。
【0033】
胴体301は、対向する前側壁303と後側壁304とを備える。前側壁303と後側壁304との間には、銅系金属で形成された複数の平板状の伝熱フィン1が前後方向に所定の間隙を存して、略平行に並設されている。また、胴体301内の対向する前側壁303と後側壁304との間には、銅系金属で形成された複数の直管状の伝熱管9(ここでは、9本)が延設されている。
【0034】
伝熱管9は、前側壁303と後側壁304との間で、ガスバーナ201と同様に、左右方向に所定の間隔で並設されている。各伝熱管9は、断面略円形状を有する。図示しないが、伝熱管9の両管端はそれぞれ、前側壁303及び後側壁304に設けられた管導出口から外方に突出している。前側壁303に隣接する伝熱管9の上流側の管端及び後側壁304に隣接する伝熱管9の下流側の管端を除いて、隣接する2本の伝熱管9の管端相互は、前側壁303及び後側壁304の外側で連結ヘッダ121,122により直列的に接続されており、それによって一つの熱交換管路330が構成されている。
【0035】
給水管101は、熱交換管路330の前側壁303に設けられた入口側の連結ヘッダ121に接続され、出湯管102は、熱交換管路330の後側壁304に設けられた出口側の連結ヘッダ122に接続されている。従って、給水管101を通じて上記入口側の連結ヘッダ121に供給された水は、前側壁303及び後側壁304に設けられた連結ヘッダ121,122を介して、前後方向に蛇行しながら流れた後、出口側の連結ヘッダ122から出湯管102へ流れる。
【0036】
図3~
図5に示すように、各伝熱フィン1には、バーリング加工によって、伝熱管9を挿通させるための複数の伝熱管挿通孔10(ここでは、9個)が所定の間隔で開設されている。従って、複数の伝熱管挿通孔10は、伝熱フィン1の左右方向に単一段で形成されている。
【0037】
各伝熱管挿通孔10は、伝熱管9の外形と略同一形状の略円形状を有する。また、バーリング加工によって、伝熱管挿通孔10の内周縁の略全周から前方へ向かって、支持フランジ11が突出形成されている。支持フランジ11は、所定の突出高さHf(例えば、1.2mm)を有する。伝熱管9は、伝熱フィン1に対して直交する向きで伝熱管挿通孔10に貫挿される。伝熱管9は、伝熱管9の外周面と支持フランジ11の内周面とをロウ付けすることにより、伝熱フィン1に固定される。各伝熱管挿通孔10の上方周縁には、ロウ材保持部15が開設されている。
【0038】
支持フランジ11の周方向には、支持フランジ11から前方に延出され、前方端が径方向外方に屈曲された複数のスペーサ部17(ここでは、3個)が所定の間隔で形成されている。従って、スペーサ部17の突出高さHsは、支持フランジ11の突出高さHfよりも高く設定されている(
図6参照)。複数の伝熱フィン1が前後方向に並設されたとき、スペーサ部17が隣接する伝熱フィン1の裏面に当接することにより、隣接する伝熱フィン1間の間隙が保持される。
【0039】
伝熱フィン1の上流側端部であるフィン下端部であって、隣接する伝熱管挿通孔10間の上流側には、複数の上流側切込部2(ここでは、8個)が伝熱管挿通孔10と同一ピッチで形成されている。各上流側切込部2は、下流側に向かって凹む略逆V字状に形成されている。また、後述する下流側切込部3と異なり、上流側切込部2の周縁には、前方に突出するフランジが形成されていない。そのため、上流側から流れてくる燃焼排ガスは、円滑に隣接する伝熱フィン1間の間隙に流入する。
【0040】
各上流側切込部2は、フィン下端部から伝熱管挿通孔10の下端と略同一の高さまで切り欠かれている。従って、下部開口352から胴体301内へ導入された燃焼排ガスの一部は、上流側切込部2を通って隣接する伝熱管挿通孔10間の隙間に到達する。このように、上流側切込部2を形成することにより、伝熱フィン1の上流領域において、伝熱管挿通孔10と伝熱フィン1の上流側端縁との間の距離が略均等に形成される。従って、伝熱フィン1の上流領域で燃焼排ガスの熱が均一に伝熱フィン1に熱伝達される。これにより、伝熱フィン1の上流側端縁の温度を低下させることができ、伝熱フィン1の一部が高温にならず、伝熱フィン1の耐久性を向上させることができる。
【0041】
伝熱フィン1の下流側端部であるフィン上端部であって、隣接する伝熱管挿通孔10間の下流側には、複数の下流側切込部3(ここでは、8個)が伝熱管挿通孔10と同一ピッチで形成されている。各下流側切込部3は、上流側に向かって凹む略円弧状に形成されている。各下流側切込部3は、フィン上端部から伝熱管挿通孔10の上端よりも上方の高さまで切り欠かれている。なお、下流側切込部3は、略V字状に形成されてもよい。
【0042】
各下流側切込部3の周縁から前方へ向かって、下流側フランジ13が突出形成されている。下流側フランジ13は、所定の突出高さHk(例えば、1.9mm)を有する。下流側フランジ13の突出高さHkは、隣接する伝熱フィン1間の間隙の幅より若干低く設定されている。また、下流側切込部3の左右方向の幅は、隣接する伝熱管挿通孔10間の最短距離と略同一に設定されている。従って、下流側フランジ13は、隣接する伝熱フィン1間の間隙の上方開口部を部分的に略閉塞するように、前方に突出している。これにより、上流側から流れてくる燃焼排ガスは、略円弧状の下流側フランジ13に沿って左右に広がりながら下流側に流れる。好ましくは、下流側フランジ13の突出高さHkは、下流側フランジ13の前方端と隣接する伝熱フィン1の裏面との間の隙間がより狭くなるように設定される。
【0043】
伝熱管挿通孔10には伝熱管9が挿入されているため、左右に分流された燃焼排ガスは、伝熱管挿通孔10と下流側フランジ13との間を通って下流側に流れる。そのため、図中の破線矢印に示すように、伝熱フィン1の下流領域において、伝熱管9の周囲を回り込む燃焼排ガスのガス流路が形成される。これにより、隣接する伝熱管9間から下流側に短絡して流れる燃焼排ガスを低減することができるだけでなく、燃焼排ガスの伝熱管9への接触時間を長くすることができる。
【0044】
伝熱フィン1の左右方向の両側端部にはそれぞれ、伝熱フィン1の前方側に向かって折り曲げられた側壁部19が形成されている。従って、側壁部19は、隣接する伝熱フィン1間の間隙の左右開口部を略閉塞するように、前方に突出している。これにより、隣接する伝熱フィン1間の間隙を流れる燃焼排ガスの両側端部からの漏洩が低減される。
【0045】
伝熱管挿通孔10と下流側フランジ13との間には、第1突出片として、伝熱フィン1の一部を切り起こすことによって形成された複数の第1切り起こしフィン4a,4b,4c(ここでは、3個)が所定の間隔で並設されている。各第1切り起こしフィン4a,4b,4cは、短辺が燃焼排ガスのガス流路の方向に沿って延びるように、略長方形状に形成されている。また、各第1切り起こしフィン4a,4b,4cは、下流側から上流側に向かって突出するように切り起こされている。従って、各第1切り起こしフィン4a,4b,4cの下流側には、略長方形状の第1スリット5a,5b,5cが形成されている。
【0046】
第1切り起こしフィン4a,4b,4cは、伝熱管挿通孔10と下流側フランジ13との間で、伝熱管挿通孔側の端部が上流側に位置するように左右方向に一定角度(ここでは、約45度)、傾斜している。そのため、第1切り起こしフィン4a,4b,4cは、第1切り起こしフィン4a,4b,4cの長手方向が伝熱管挿通孔10と下流側フランジ13との間を流れる燃焼排ガスのガス流路と略直交するように切り起こされている。これにより、伝熱フィン1の下流領域において、第1切り起こしフィン4a,4b,4cに、直接、燃焼排ガスの熱を熱伝達させることができる。また、第1切り起こしフィン4a,4b,4cに燃焼排ガスが衝突することにより、燃焼排ガスの乱流化が促進される。さらに、第1切り起こしフィン4a,4b,4cに衝突した燃焼排ガスが第1切り起こしフィン4a,4b,4cの下流端を通過するときに渦流が形成されることにより、燃焼排ガスの乱流化が促進される。これにより、伝熱フィン1の下流領域において、伝熱フィン1上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。従って、燃焼排ガスの熱を効率的に伝熱フィン1に熱伝達させることができる。
【0047】
また、
図5に示すように、3つの第1切り起こしフィン4a,4b,4cのうち、最下流及び最上流の第1切り起こしフィン4a,4cは伝熱フィン1の前方に切り起こされ、中央の第1切り起こしフィン4bは後方に切り起こされている。すなわち、複数の第1切り起こしフィン4a,4b,4cは、伝熱フィン1の両面側に交互に突出するように形成されている。従って、伝熱管挿通孔10と下流側フランジ13との間に流入する燃焼排ガスの一部は、第1切り起こしフィン4a,4b,4cの下流側の第1スリット5a,5b,5cを介して、伝熱フィン1の両面側を蛇行しながら上流側から下流側に向かって流れる。それゆえ、隣接する伝熱フィン1間の間隙を流れる燃焼排ガスの混合・分離が繰り返され、燃焼排ガスの乱流化が促進される。また、燃焼排ガスが第1スリット5a,5b,5cを通過するとき、第1スリット5a,5b,5cの開口縁に燃焼排ガスが衝突するため、さらに燃焼排ガスの乱流化が促進される。これにより、伝熱フィン1の下流領域において、伝熱フィン1上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。
【0048】
隣接する伝熱管挿通孔10間には、第2突出片として、伝熱フィン1の一部を切り起こすことによって形成された複数の第2切り起こしフィン6a,6b,6c(ここでは、3個)が所定の間隔で並設されている。第2切り起こしフィン6a,6b,6cは、上下に略水平に形成されている以外は、第1切り起こしフィン4a,4b,4cと同様の突出形状を有する。従って、第2切り起こしフィン6a,6b,6cは、第2切り起こしフィン6a,6b,6cの長手方向が隣接する伝熱管挿通孔10間を流れる燃焼排ガスのガス流路に略直交するように切り起こされている。これにより、伝熱フィン1の中間領域おいて、第2切り起こしフィン6a,6b,6cに、直接、燃焼排ガスの熱を熱伝達させることができる。また、伝熱フィン1の中間領域おいて、第2切り起こしフィン6a,6b,6c及び第2スリット7a,7b,7cによる燃焼排ガスの乱流化が促進され、伝熱フィン1上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができる。従って、燃焼排ガスの熱を効率的に伝熱フィン1に熱伝達させることができる。
【0049】
3つの第2切り起こしフィン6a,6b,6cのうち、最上流の第2切り起こしフィン6aは、伝熱管挿通孔10の下端よりも上方に位置し、最下流の第2切り起こしフィン6cは、伝熱管挿通孔10の上端よりも下方に位置する。また、複数の第2切り起こしフィン6a,6b,6cは、伝熱管挿通孔10との距離が略同一となるように、隣接する伝熱管挿通孔10の中心を繋いだ中心線から燃焼排ガスのガス流路の方向に離れるに従って、広幅に形成されている。これにより、第2切り起こしフィン6a,6b,6cと伝熱管挿通孔10との間に、略同一距離の隙間が形成される。
【0050】
図6に示すように、第1切り起こしフィン4a,4b,4cの突出高さH1及び第2切り起こしフィン6a,6b,6cの突出高さH2はいずれも、下流側フランジ13の突出高さHfよりも低くなるように設定されている。これにより、燃焼排ガスが隣接する伝熱フィン1間の間隙を通過するときの過度の通過抵抗の増加を抑えることができる。
【0051】
伝熱管挿通孔10と伝熱フィン1の下縁(上流側端縁)との間には、前方に向かって突出する複数の上流側突起16(ここでは、3個)が左右方向に所定の間隔で形成されている。各上流側突起16は、非貫通の略円錐台形状を有する。従って、上流側から流れてくる高温の燃焼排ガスが隣接する伝熱フィン1間の間隙に流入するとき、上流側突起16に衝突する。これにより、伝熱フィン1の上流領域において、燃焼排ガスが分流されるとともに、燃焼排ガスの乱流化が促進される。また、上流側突起16によって、伝熱フィン1の表面積が増加されるため、伝熱フィン1の上流領域において、燃焼排ガスの伝熱フィン1への接触時間を長くすることができる。なお、上流側突起16の数や形状は、伝熱管挿通孔10の形状や大きさに応じて適宜設定することができる。例えば、上流側突起16は、左右方向に細長い形状を有してもよい。
【0052】
上流側突起16の前方への突出高さHpは、支持フランジ11の突出高さHfよりも低くなるように設定されている。このため、上流側突起16よりも下流側に位置する支持フランジ11や伝熱管9への燃焼排ガスの接触が妨げられることもない。
【0053】
上記実施の形態の燃焼装置では、複数の伝熱管9はそれぞれ、各伝熱フィン1に略直交する方向で、各伝熱フィン1の複数の伝熱管挿通孔10に貫挿され、且つ複数の伝熱管9は、熱交換器300内で単一の熱交換管路330が形成されるように接続されている。また、バーナユニット200は、複数の燃焼領域に区分され、複数の扁平状のガスバーナ201は、複数の伝熱管9の並設方向と同一方向に並設されている。従って、部分燃焼が行われると、熱交換器300内の一部の伝熱管9のみが高温に加熱される。しかしながら、上記本実施の形態の伝熱フィン1を有する熱交換器300によれば、伝熱管9が単一段で熱交換器300内に配設されているため、左右方向で熱交換管路330の折り返しが形成されない。それゆえ、複数の燃焼領域を有するバーナユニット200で、一部の燃焼領域のガスバーナ201のみを燃焼させる場合でも、出口側の伝熱管9の燃焼排ガスのガス流路の上流側に位置する燃焼領域におけるガスバーナ201を燃焼させることにより、熱交換管路330内を流れる熱媒の温度の上昇・低下の繰り返しを回避することができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、単一段で複数の伝熱管挿通孔10が並設されている伝熱フィン1が用いられる場合でも、燃焼排ガスの伝熱管9への接触時間を長くすることができるとともに、伝熱フィン1上を流れる燃焼排ガスの温度境界層を分断させることができるから、燃焼排ガスの熱を伝熱管挿通孔10に貫挿される伝熱管9や伝熱フィン1に良好に熱伝達させることができる。従って、燃焼排ガスにより伝熱管9内を流れる熱媒が効率的に熱交換加熱される燃焼装置を提供することができる。
【0055】
図7は、伝熱フィンの他の一例を示す概略正面図である。この伝熱フィン1aは、隣接する伝熱管挿通孔10間に第2切り起こしフィン6a,6b,6cが形成されておらず、上流側切込部2aがフィン下端部から下流側に深く切り込まれている以外は、伝熱フィン1と同一の構成を有する。このため、伝熱フィン1と同一の構成については、同一の引用番号を付して説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、上流側切込部2aは、上流側切込部2aの下流端が、伝熱管挿通孔10の上流端よりも下流側で、且つ最上流の第1切り起こしフィン4aの上流端よりも上流側に位置するように形成されている。
【0057】
このように、上流側切込部2aを形成することにより、伝熱フィン1aの上流領域及び中流領域において、伝熱管挿通孔10と伝熱フィン1の上流側端縁との間の距離が略均等に形成される。従って、伝熱フィン1aの上流領域及び中流領域で燃焼排ガスの熱が均一に伝熱フィン1aに熱伝達される。これにより、伝熱フィン1の上流側端縁の温度を低下させることができ、伝熱フィン1の一部が高温にならず、伝熱フィン1aの耐久性を向上させることができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、燃焼装置として給湯器が用いられている。しかしながら、燃焼装置として暖房用熱源機や貯湯式給湯システムの熱源機が用いられてもよい。
(2)上記実施の形態では、下方から上方に向かって燃焼排ガスが流れるように、熱交換器の下方にバーナユニット及びファンユニットが設けられている。しかしながら、上方から下方に向かって燃焼排ガスが流れるように、熱交換器の上方にバーナユニット及びファンユニットが設けられてもよい。この場合、上下反転させた伝熱フィンが熱交換器内に配設される。
(3)上記実施の形態では、第1及び第2突出片はいずれも、略長方形状に形成されている。しかしながら、これらの突出片は略台形状などの他の形状を有してもよい。また、第1及び第2突出片はいずれも、上方及び左右に開放するように形成されている。しかしながら、これらの突出片は、左右が塞がった所謂ルーバ形状を有してもよい。
(4)上記実施の形態では、隣接する2本の伝熱管の管端を連通させて、熱交換管路が形成されている。しかしながら、隣接する3本以上の伝熱管の管端を連通させて、熱交換管路が形成されてもよい。
(5)上記実施の形態では、第1及び第2突出片はそれぞれ、下流側に向かって突出するように形成されている。しかしながら、第1及び第2突出片はそれぞれ、上流側に向かって突出するように形成されてもよい。ただし、これらの突出片が下流側に向かって突出するように形成されていれば、燃焼排ガスがこれらの突出片の下流端から離れるときに渦流が形成されやすい。そのため、より燃焼排ガスの乱流化を促進することができる。
(6)上記実施の形態では、複数の伝熱フィンは、複数の伝熱管の並設方向が複数のガスバーナのそれと一致するように並設されている。しかしながら、複数の伝熱フィンは、複数の伝熱管の並設方向が複数のガスバーナのそれと略直交するように、水平方向に90度回転させた状態で並設されてもよい。このような位置関係で伝熱管とガスバーナとが配設されている熱交換器でも、複数の伝熱管が複数段で配設されている熱交換器に比べて、熱媒の温度の上昇・低下の繰り返しを低減することができる。
【符号の説明】
【0059】
1,1a 伝熱フィン
2,2a 上流側切込部
3 下流側切込部
4a,4b,4c 第1切り起こしフィン
6a,6b,6c 第2切り起こしフィン
10 伝熱管挿通孔
13 下流側フランジ
16 上流側突起
300 熱交換器