(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】映像表示装置及び映像表示システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20221020BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221020BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20221020BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20221020BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221020BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20221020BHJP
G02B 5/04 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/64 511A
G09F9/00 359
G02B27/01
G02B5/04 B
(21)【出願番号】P 2018240321
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501009849
【氏名又は名称】株式会社日立エルジーデータストレージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 竜志
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】久野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】大内 敏
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0160577(US,A1)
【文献】国際公開第2018/154576(WO,A1)
【文献】特開2018-116261(JP,A)
【文献】特開2017-049290(JP,A)
【文献】国際公開第2018/065975(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173035(WO,A1)
【文献】特開2008-058776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する映像表示装置において、
映像光を投影する映像投影部と、
少なくとも一部の光を反射する互いに略平行な2以上の部分反射面を有し、入射した映像光を複製して2以上の映像光を出力する映像光複製部と、
前記映像光複製部から出力された映像光が入力される入射面と、前記入射面から入射した光を全反射し、互いに平行に配置される第1の内面反射面及び第2の内面反射面と、少なくとも一部の光を反射し、少なくとも一部の光を透過し、互いに略並行に設けられ、反射した一部の光を前記第2の内面反射面の方向に出射するビームスプリッタ面とを有し、前記第1の内面反射面及び前記第2の内面反射面による全反射によって映像光が内部を伝達する導光板を含む導光部とを備え、
前記映像光複製部は、前記映像投影部が出射した前記映像光を前記導光部に伝達し、
前記導光部は、入射した前記映像光を前記導光板の内部を伝達させて出力し、
前記導光板において、前記入射面と前記第1の内面反射面がなす角は、前記ビームスプリッタ面と前記第1の内面反射面がなす角の2倍となるように構成され、
前記映像光複製部は、前記導光部から出力される映像光の輝度分布が均一になるように前記映像光複製部に入射した前記映像光を複製することを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、
隣接する前記部分反射面の間の距離の少なくとも一つは、前記映像光が前記映像投影部から出射する直前に反射、透過又は屈折する最終光学素子の外形サイズより小さいか又は等しいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置において、
前記映像投影部は、前記最終光学素子を含む投射レンズを有することを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置において、
隣接する前記部分反射面の間の距離の少なくとも一つは、前記投射レンズの射出瞳直径より小さいか又は等しいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の映像表示装置において、
Nを2以上の整数として、前記部分反射面の数をN個とし、
前記映像光が最後に反射又は透過する前記部分反射面を第Nの部分反射面とし、
前記第Nの部分反射面との間の距離が離れている前記部分反射面から順に、第1から第N-1の部分反射面とし、
前記映像光は、第1の部分反射面から第N-1の部分反射面の少なくとも一つで最初に反射する位置に入射し、第2の部分反射面から第Nの部分反射面の少なくとも二つの位置から出射するように前記部分反射面を配置することを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の映像表示装置において、
前記映像光は、前記第2の部分反射面で反射又は透過する前に、前記第1の部分反射面で反射又は透過するように前記部分反射面を配置することを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の映像表示装置において、
前記映像光の少なくとも一部は、前記第1の部分反射面で反射及び透過することなく、前記第2の部分反射面で反射又は透過するように前記部分反射面を配置することを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項5に記載の映像表示装置において、
kが2以上N未満の整数である場合に、少なくとも一つの第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離は、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離より小さいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の映像表示装置において、
全ての第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離は、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離より小さいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項10】
請求項2に記載の映像表示装置において、
Nを2以上の整数として、前記部分反射面の数をN個とし、
前記映像光が最後に反射又は透過する前記部分反射面である第Nの部分反射面とし、
前記第Nの部分反射面との間の距離が離れている前記部分反射面から順に、第1から第N-1の部分反射面とし、
mが2以上N未満の整数である場合に、少なくとも一つの第mの部分反射面の反射率は、第m+1の部分反射面の反射率より小さいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の映像表示装置において、
全ての第mの部分反射面の反射率は、第m+1の部分反射面の反射率より小さいことを特徴とする映像表示装置。
【請求項12】
請求項3に記載の映像表示装置において、
前記最終光学素子から前記投射レンズの射出瞳までの間の距離は、前記最終光学素子から前記映像光が前記映像光複製部に入射する面までの距離より長いことを特徴とする映像表示装置。
【請求項13】
請求項2に記載の映像表示装置において、
前記導光部の光出力部は、前記映像光が全反射する前記導光板の表面のいずれかに設けられることを特徴とする映像表示装置。
【請求項14】
映像表示システムであって、
請求項1から13のいずれか一つに記載の映像表示装置と、
前記映像投影部が映像光を投影するための投影映像信号を生成する画像信号処理部とを備えることを特徴とする映像表示システム。
【請求項15】
請求項14に記載の映像表示システムにおいて、
前記画像信号処理部は、前記映像光複製部又は前記導光部の少なくとも一つの光学特性を補償するように変換された画像を出力することを特徴とする映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像表示装置及び映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像生成装置が生成した映像を利用者に提示するヘッドマウントディスプレイなどの映像表示システムが知られている。例えば、特許文献1には、光を透過させる基板、内部反射全体によって前記基板へ光を連結させる光学手段、及び前記基板に所有される複数の部分反射面を含み、前記部分反射面は、互いに平行であり、前記基板の任意の縁に対して平行ではないことを特徴とする光学デバイスが開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2003/0165017号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光学デバイスは、特許文献1のFig.17のように光線を分割するビームスプリッターを備えることで、基板から出射する光の光束の幅を大きくでき、利用者の目が移動しても映像を見られる領域であるアイボックスを拡大できる。しかしながら、ビームスプリッタで分割された光束の間隔と、分割前の光束径の関係は考慮されておらず、利用者の目に届く映像の一部が暗くなり、表示映像に輝度ムラが発生することがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、アイボックスが広く、輝度が均一な映像が表示可能な導光板方式の映像表示装置及び映像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、映像を表示する映像表示装置において、映像光を投影する映像投影部と、少なくとも一部の光を反射する互いに略平行な2以上の部分反射面を有し、入射した映像光を複製して2以上の映像光を出力する映像光複製部と、入射面と、前記入射面から入射した光を全反射し、互いに平行に配置される第1の内面反射面及び第2の内面反射面と、入射光の一部を前記第2の内面反射面の方向に出射するビームスプリッタ面とを有し、前記第1の内面反射面及び前記第2の内面反射面による全反射によって映像光が内部を伝達する導光板を含む導光部とを備え、前記映像光複製部は、前記映像投影部が出射した前記映像光を前記導光部に伝達し、前記導光部は、入射した前記映像光をその内部を伝達させて出力し、前記導光部において、前記入射面と前記第1の内面反射面がなす角は、前記ビームスプリッタ面と前記第1の内面反射面がなす角の2倍となるように構成され、前記映像光複製部は、前記導光部から出力される映像光の輝度分布が均一になるように前記映像光複製部に入射した前記映像光を複製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、アイボックスが広く、輝度が略均一な映像を表示可能な導光板方式の映像表示装置及び映像表示システムを提供できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1の映像表示システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図2】実施例1の映像表示装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】実施例1の映像投影部の構成例を示す図である。
【
図4】実施例1の映像投影部の別の構成例を示す図である。
【
図8】実施例1の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図9】実施例1の瞳拡大プリズムの構成例を示す図である。
【
図10】実施例1の投射光学部の構成例を示す図である。
【
図11】実施例1の投射光学部と映像光複製部との位置関係の一例を示す図である。
【
図12】実施例1の投射光学部と映像光複製部との位置関係の一例を示す図である。
【
図13】実施例1の瞳拡大プリズムの構成例を示す図である。
【
図14】実施例2の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図15】実施例2の瞳拡大プリズムの構成例を示す図である。
【
図16】実施例3の瞳拡大プリズムの構成例を示す図である。
【
図17】実施例3の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図18】実施例4の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図19】実施例4の瞳拡大プリズムの別の一例を示す図である。
【
図20】実施例5の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図21】実施例5の瞳拡大プリズムの構成例を示す図である。
【
図22】実施例6の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図23】実施例1の映像表示装置を有する映像表示システムを示す図である。
【
図24】実施例7の映像表示装置の構成例を示す図である。
【
図25】実施例1の特性補償のための画像変換の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素又は全要素をこれと同等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0010】
[実施例1]
図1は、本実施例の映像表示システム100の機能ブロックの一例を示す図である。
【0011】
映像表示システム100は、例えばヘッドマウントディスプレイやヘッドアップディスプレイ等、映像を表示する機能を有するシステムである。映像表示システム100は、映像表示装置101と、コントローラー102と、画像信号処理部104と、電力供給部105と、記憶媒体106と、センシング部107と、センサ入出力部108と、通信部109と、通信入出力部110と、音声処理部111と、音声入出力部112とを有する。
【0012】
映像表示装置101は、映像を生成して映像表示システム100の利用者に映像を表示する装置であり、詳細は後述する。
【0013】
コントローラー102は、映像表示システム100全体を統括的に制御する。コントローラー102は、CPU(Central Processing Unit)等の中央演算装置がその機能を実現する。画像信号処理部104は、映像表示システム100が表示する映像の画像信号を生成する。電力供給部105は、映像表示システム100に対して電力を供給する電源装置又はバッテリである。
【0014】
記憶媒体106は、映像表示システム100や映像表示装置101の有する処理部の処理に必要な情報や、生成された情報を記憶する。記憶媒体106は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。記憶媒体106は、HDD(Hard Disk Drive)や、CD-R(Compact Disc- Recordable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disc-Random Access Memory)、及びSSD(solid state drive)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディア及び記憶メディア駆動装置等を含んでもよい。なお、コントローラー102は、記憶媒体106上に読み出されたプログラムに従って動作するCPUにより処理を行う。なお、一部又は全部の処理を他の演算装置(例えば、FPGA(Field ProgrammableGate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア)で実行してもよい。
【0015】
センシング部107は、センサを用いて周囲の状況を検知する。センシング部107は、例えば周囲の明るさを検出する照度センサ、ユーザの体勢、向き、動き等を検出する傾斜センサや加速度センサ、ユーザの身体状況を検出する視線センサや温度センサ、ユーザの位置情報を検出するGNSS(Global Navigation Satellite System)センサ、感圧センサ、静電容量センサ、バーコードリーダー等のセンサからセンサ入出力部108に入力された信号を用いて状況を検知する。
【0016】
通信部109は、通信入出力部110を介して図示しないネットワークと接続する。通信部109は、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、UHF(Ultra High Frequency)、又はVHF(Very High Frequency)等の近距離や遠距離の無線通信又は有線通信により、図示しない情報処理端末と通信する。音声処理部111は、マイクやイヤホン等の音声入出力部112を用いて、音声の入力を受け付け、又は音声を出力する。
【0017】
なお、本実施例の映像表示システム100は映像を表示する機能を有せばよく、センシング部107、通信部109及び音声処理部111は必ずしも有さなくてもよい。
【0018】
図2は、本実施例の映像表示装置101の機能ブロックの一例を示す図である。
【0019】
映像表示装置101は、映像投影部200と、映像光複製部210と、導光部230とを有する。映像投影部200は、映像生成装置を有しており、映像表示装置101が表示する映像となる映像光を生成し、映像光複製部210に出力する。映像光複製部210は、映像投影部200から出力された映像光を導光部230に伝達する。導光部230は導光板220を有している。導光板220は、入射した映像光を内表面の全反射により内部を伝達させ、出力する。映像光複製部210は、入射した映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)を略維持しながら、導光板220が出力する映像光の出力分布を均一化するように映像光の光線を複製し、少なくとも二つ以上の映像光を出力する。
【0020】
図23(a)は、本実施例の映像表示装置101を有する映像表示システム100を示す図である。
図23(a)に示す映像表示システム100は、利用者700が自身の頭部に装着して利用可能なヘッドマウントディスプレイ(スマートグラスとも称する)である。
【0021】
図23(b)は、映像表示システム100の概略の構成を示す図である。
図23(b)に示す映像表示システム100は、保持部710と、右目用の映像表示装置101Rと、左目用の映像表示装置101Lとを
有する。右目用の映像表示装置101Rは、右目用の映像投影部200Rと、右目用の映像光複製部210Rと、右目用の導光部230Rとを有し、左目用の映像表示装置
101Lは、左目用の映像投影部200Lと、左目用の映像光複製部210Lと、左目用の導光部
230Lとを有する。保持部710は、右目用及び左目用の映像表示装置101の構成部品の全て又は一部を保持するための筐体である。利用者700は、保持部710を頭部に装着して、右目用及び左目用の映像表示装置101R及び101Lが表示する映像を、利用者の目120R(右目)及び120L(左目)の少なくとも一つにより知覚することで、映像表示装置101が表示する映像を視認できる。
【0022】
図3(a)は、映像投影部200の一例を示す図である。映像投影部200は、光源部201と、照明光学部202と、パネル部203と、投射光学部204とを有する。
【0023】
光源部201は、映像表示装置101が映像を出力するための光を放出する。光源部201が出射した光は、照明光学部202を経て、パネル部203に入射する。照明光学部202は光源部201からの光でパネル部203を照明するための光学系である。パネル部203は、映像信号に基づいて、光源部201から入射した光を変調し、映像を生成する。パネル部203が出射した光は、投射光学部204に入射する。投射光学部204は、パネル部203から入射した光を投影する。映像投影部200は、投射光学部204が投影した光を映像光として出力する。
【0024】
光源部201は、例えば、緑色の光を出力する光源205Gと、赤色の光と青色の光を出力する光源205RBと、集光レンズ206G、206RBと、ダイクロイックミラー207とを有する。光源205G、205RBが出射した光は、それぞれ集光レンズ206G、206RBにより略平行光となり、ダイクロイックミラー207により合波される。ダイクロイックミラー207は、出射する赤色と緑色と青色の光の光軸が略平行となるように構成されている。
【0025】
図3(b)は光源部201の別の構成例を示す図である。
図3(b)に示す光源部201は、赤色の光を出力する光源205Rと、緑色の光を出力する光源205Gと、青色の光を出力する光源205Bと、集光レンズ206R、206G、206Bと、クロスプリズム209とを有する。各光源205R、205G、205Bが出射した光は、それぞれ集光レンズ206R、206G、206Bにより略平行光となり、クロスプリズム209により合波される。
【0026】
別の光源部201として、赤色の光と緑色の光と青色の光を出力する光源を利用してもよい。この場合、例えばライトトンネルや又はインテグレータによって赤色と緑色と青色の光を合成可能である。
【0027】
照明光学部202は、例えばマイクロレンズアレイ208Aとレンズ208Bとを有する。照明光学部202に入射した光は、マイクロレンズアレイ208A及びレンズ208Bを透過する。マイクロレンズアレイ208Aの各入射セルは、パネル部203を構成するパネル上で出射光が結像するように構成されている。これによりパネルを略均一な照度分布で照明できる。
【0028】
パネル部203を構成するパネルとしては、例えば透過型又は反射型の液晶パネルや、ミラー付きのMEMS(Micro-Electro Mechanical Systems)がアレイ上に並んだ素子を利用できる。
【0029】
投射光学部204は、例えば、1枚、又は複数枚のレンズ又は曲面ミラーからなる投射レンズを有する。
【0030】
映像投影部200は、光源部201と、パネル部203とを同期して駆動することで、映像光を生成できる。例えば、表示する映像の画像データは赤色用のデータ及び緑色用のデータ及び青色用のデータで構成されており、パネルが赤色用のデータを表示している期間中は赤色の光源のみを点灯させ、パネルが緑色用のデータを表示している期間中は緑色の光源のみを点灯させ、パネルが青色用のデータを表示している期間中は青色の光源のみを点灯させることにより、フィールドシーケンシャル方式によりフルカラーの映像を表示する。また、パネルで赤色用のデータを表示している期間中に緑色又は青色の光源の少なくとも一つを点灯させたり、パネルで緑色用のデータを表示している期間中に赤色又は青色の光源の少なくとも一つを点灯させたり、パネルで青色用のデータを表示している期間中に赤色又は緑色の光源の少なくとも一つを点灯させたりすることにより、映像表示装置101が表示する映像の明るさを高くできる。
【0031】
また、センサ入出力部108に入力された照度センサが検出した周囲の明るさに応じて、映像表示装置101が表示する映像の明るさを変更してもよい。
【0032】
前述した光源部201は、赤色と緑色と青色の光源を有するが、本実施例はこれに限られない。光源は赤色と緑色と青色以外の色の光を放出するものでもよい。これにより、映像投影部200が表示可能な色再現範囲を増大できる。また、光源は、表示可能な色再現範囲を限定して、2種類の色の光を放出したり、1種類の色の光を放出するものでもよい。これにより、映像投影部200を小型かつ安価にできる。
【0033】
図4(a)は、映像投影部200の別の一例であるファイバ走査型プロジェクターの構成例を示す図である。ファイバ走査型プロジェクターは、光源部900と、光ファイバ901と、ファイバ走査素子902と、コリメートレンズ903とを有する。光源部900は、例えばレーザー光を出力する。光源部900が出力した光は光ファイバ901の内部を伝達し、光ファイバ901の端面904から出射する。光ファイバ901が出射した光は、コリメートレンズ903によりコリメートされ、指向性を有する光となる。光ファイバ901にはファイバ走査素子902が取り付けられており、ファイバ走査素子902は端面904を動かして、光ファイバ901からの出射光を走査する。光源部900が出力する光の強度と、ファイバ走査素子902による端面904の動きとを、映像信号に同期することによって、ファイバ走査型プロジェクターが映像を投影できる。
【0034】
図4(b)は、映像投影部200の別の一例である走査ミラーによる光走査型プロジェクターの構成例を示す図である。走査ミラーによる光走査型プロジェクターは、光源部900と、走査素子911とを有する。また、走査素子911はミラーを有する。光源部900から出力された指向性がある光は走査素子911のミラーに入射し、反射する。走査素子911はミラーを動かして反射光を走査する。光源部900が出力する光の強度と、走査素子911の動きとを、映像信号に同期することによって、光走査型プロジェクターが映像を投影できる。
【0035】
【0036】
導光板220は、光入力部221と光出力部222とを有する。映像光複製部210が出射した映像光は、導光板220の光入力部221から導光板220の内部に入射し、導光板220の内面反射面223及び224における全反射により、導光板220の内部を伝達する。導光板220は光入力部221より範囲が広い光出力部222から光を出射する機能、すなわち瞳を拡大する機能を有しており、光入力部221から導光板220に入射した映像光を複数に複製して、光出力部222から出力する。導光板220の光出力部222から出力された映像光の一部は、利用者の目120に入射する。利用者は目120に入射した光を知覚することで、映像表示装置101が表示する映像を視認できる。
【0037】
図6(a)は導光板220の一例である導光板801を示す図である。また、
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)は、それぞれ
図6(a)に示す導光板801の正面図、平面図及び側面図である。導光板801は六面体で構成されており、入射面11と、終端面12と、第1の内面反射面13と、第2の内面反射面14と、上面15と、下面16とを有する。第1の内面反射面13と第2の内面反射面14とは、互いに略平行である。
【0038】
図6(a)に示す導光板801は、内部にN枚のビームスプリッタ面17を有する。ここで、Nは1以上の整数である。N枚のビームスプリッタ面17は、互いに略平行である。
【0039】
入射面11は、光が導光板801に入射する面であり、光入力部221として機能する。第1の内面反射面13及び第2の内面反射面14は、入射面11から導光板801に入射した光を全反射によって導光板801の内部を導光する。
【0040】
第1の内面反射面13及び第2の内面反射面14で全反射して導光板1の内部を伝搬した光は、N枚のビームスプリッタ面17に入射する。ビームスプリッタ面17は、入射した光の一部を反射して、第2の内面反射面14を垂直に透過することによって導光板801の外部に光を出射し、その他の光を透過する。第2の内面反射面14は光出力部222として機能する。
【0041】
N枚のビームスプリッタ面17と終端面12とは、互いに略平行となるように導光板801を構成してもよい。これにより、導光板801の製造工程を低減でき、コストを低減できる。
【0042】
また、入射面11と第1の内面反射面13がなす角は、N枚のビームスプリッタ面17と第1の内面反射面13がなす角の略2倍となるように構成するとよい。これにより、第2の内面反射面14から出射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)を、入射面11から導光板801に入射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)と略同一にできる。
【0043】
図6(b)は導光板220の別の構成例を示す図である。
図6(b)に示す導光板811は、複数の回折領域812、813を有する。回折領域812はz軸に略平行な方向の回折構造を有する。回折領域813は、xz平面において、x軸から反時計回りに略+60度と、略-60度の二つの方向の回折構造を有する。回折領域812の回折構造のピッチと、回折領域813の二つの方向の回折構造のピッチとは、互いに全て略等しい。
【0044】
光入力部221である回折領域812に入射した映像光は回折して、導光板811の内部に取り込まれ、導光板811の内部を全反射しながら導光し、光出力部222に対応する回折領域813に到達する。回折領域813は二つの方向の回折構造を有するが、導光板811の内部で全反射導光する過程で、回折領域813が有する二つの方向の回折構造の其々で1回ずつ回折して、導光板811から映像光が出射する。
【0045】
図6(c)は導光板220の別の一例を示す図である。
図6(c)に示す導光板821は、複数の回折領域822、823、824を有する。回折領域822はx軸に略平行な方向の回折構造を有する。回折領域823は、xz平面内でz=-xの直線と略平行な方向の回折構造を有する。回折領域824は、z軸に略平行な方向の回折構造を有する。回折領域822の回折構造のピッチと回折領域824の回折構造のピッチとは互いに略等しく、回折領域823の回折構造のピッチは、回折領域822の回折構造のピッチを2の平方根で除した値に略等しい。
【0046】
光入力部221である回折領域822に入射した映像光は回折して、導光板821の内部に取り込まれ、導光板821の内部を全反射導光する。全反射導光する過程で映像光は回折領域823に到達するごとに一部の光が回折し、進行方向を変え、導光板821の内部を全反射導光する。さらに光出力部222に対応する回折領域824に到達するごとに一部の光が回折し、光線が複製され、導光板821から出射する。
【0047】
図8は、実施例1の映像表示装置101の一例を示す図であり、上側に導光板801の正面側から見た図を、下側に導光板801の上側から見た図を示す。映像光複製部210は、瞳拡大プリズム300を有し、導光板220として
図6(a)に示す導光板801を有する。
【0048】
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、それぞれ瞳拡大プリズム300の正面図、平面図及び側面図である。瞳拡大プリズム300の外形は、正面図である
図9(a)において長方形であり、平面図である
図9(b)において平行四辺形であり、側面図である
図9(c)において長方形である。つまり瞳拡大プリズム300の外形は、向かい合う二つの面が平行四辺形で、他の四つの面が長方形である平行六面体の形状を有する。なお、長方形のうち、四つの辺の長さが全て等しい図形を特に正方形と呼ぶが、本発明において正方形は長方形の一形態として説明をする。
【0049】
平行六面体の形状を有する瞳拡大プリズム300は、入射面310と、出射面311と、側面312、313と、反射側面314、315の6つの面を有する。入射面310と出射面311とは互いに略平行であり、側面312と側面313とは互いに略平行であり、反射側面314と反射側面315とが互いに略平行である。
【0050】
瞳拡大プリズム300は、N枚の部分反射面320を有する。ここでNは2以上の整数である。N枚の部分反射面320は、互いに略平行である。また、N枚の部分反射面320のうち2枚は、反射側面314及び315である。例えば、
図9に示すように、1枚以上(図では3枚)の中間の部分反射面320を設けて、第1の部分反射面(反射側面)314と第Nの部分反射面(反射側面)315と合わせて3枚以上の部分反射面を設けるとよい。なお、
図9(f)に示すように、中間の部分反射面320を設けずに、第1の部分反射面(反射側面)314の反射率を100%未満にして、第1の部分反射面(反射側面)314と第Nの部分反射面(反射側面)315とで2枚の部分反射面で構成してもよい。
【0051】
映像投影部200が出射した映像光は、瞳拡大プリズム300に入射面310から入射する。瞳拡大プリズム300は透明度が高い媒質で構成されており、入射面310から入射した光は、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する。瞳拡大プリズム300の材質は、例えばガラスでも樹脂でもよい。また、映像が多重に表示されることを防ぐため、瞳拡大プリズム300の材質は複屈折性を有さないか少ないとよい。
【0052】
瞳拡大プリズム300に入射した映像光は、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する。映像投影部200が出射した映像光の主光線は、瞳拡大プリズム300の6つの面のうち互いに略平行な二つの面の間で全反射せずに導光するように構成するとよい。映像光の主光線が互いに略平行な二つの面の間で全反射して導光すると、映像が反転したり、面の平面度の不完全性により映像の解像度が低下する場合があり、本構成によって映像の解像度低下を防ぐことができる。
【0053】
入射面310から瞳拡大プリズム300に入射した光は、まず反射側面314に入射する。前述したように、反射側面314はN枚の部分反射面320の一つであり、以下では第1の部分反射面314と称する。また、第1の部分反射面314以外の部分反射面320のうち、第1の部分反射面314に近いものから順番に、第2から第Nの部分反射面315と称する。なお、第Nの部分反射面315は反射側面315である。
【0054】
部分反射面320は、少なくとも一部の光を反射するように構成されている。特に、第2から第Nの部分反射面315は、少なくとも一部の光を反射し、少なくとも一部の光を透過する。また好適には、第1の部分反射面314及び第Nの部分反射面315は反射率が略100%であるとよい。これにより、光利用効率を高めることができる。
【0055】
第1の部分反射面314に入射した光の少なくとも一部は、第1の部分反射面314で反射し、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する。第1の部分反射面314で反射した光は第2の部分反射面320に入射する。kを2以上N未満の整数として、第kの部分反射面に入射した光の一部は第kの部分反射面を透過して、第k+1の部分反射面に入射する。また、第kの部分反射面に入射した光の一部は第kの部分反射面で反射して、出射面311から出射する。つまり、kを1以上N未満の整数として、第k+1の部分反射面に入射する映像光は、第k+1の部分反射面に入射する前に、第kの部分反射面で反射又は透過している。特に、正面図である
図9(a)において、瞳拡大プリズム300に入射する入射光316は、第1の部分反射面314と入射面310の交線である交線B11と第2の部分反射面と入射面310の交線である交線B12との間に入射する。映像光複製部210では、瞳拡大プリズム300が入射光316を少なくとも二つ以上に複製し、複製された映像光は出射面311から複数映像光として出力される。
【0056】
瞳拡大プリズム300の平面図である
図9(b)において、kを1以上N以下の整数とした場合に、第kの部分反射面320と入射面310との交点を点A1kとする。また、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面の間の距離(すなわち、点A1kと点A1(k+1)との間の距離)をL1kと定義する。また、映像投影部200が有する光学素子の中で、映像光が映像投影部200を出射する直前に反射、透過又は屈折する光学素子を最終光学素子と称する。
【0057】
このとき、部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、最終光学素子の外形サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。好適には、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、全てのL1kが最終光学素子の外形サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成するとよい。このように構成することによって、映像光複製部210が出射した複数映像光の光束は、映像光複製部210に入射した映像光の光束より大きくなる。また、各部分反射面320で反射し、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なる。
【0058】
少なくとも一部が重なり、光束が大きくなった複数映像光は導光板220に入射し、導光板220の内部を全反射によって導光した後、導光板220の光出力部222から出射する。利用者は導光板220が出射した光の一部を利用者の目120に取り込み、映像光を知覚することで映像を視認する。このとき、映像光複製部210から出射する映像光の間に隙間があると、導光板220の光出力部222から出射する映像光の間にも隙間があるようになり、該隙間の付近から利用者が映像を見ると、該隙間に起因して映像の少なくとも一部が見えなくなり、利用者は映像の一部が顕著に暗い映像を視認することになる。しかしながら、本実施例によれば、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者が視認する映像の一部が顕著に暗くならず、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。均一とは、例えば利用者が視認する映像の輝度分布において、隣接する極大値と極小値の比率は、1/2以上であることであり、この範囲であれば利用者は画像の輝度を違和感なく均一であると認識できる。
【0059】
また、映像光複製部210が映像光を複製することによって、利用者の目が映像を視認可能な範囲であるアイボックスを拡大できる。さらに、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者の目がアイボックス内で移動した場合でも、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。
【0060】
瞳拡大プリズム300の出射光の
図8におけるy軸方向の強度分布において、隣接する極大値と極小値の比率は、1/2以上であることがよい。これにより、利用者が視認する映像の輝度を略均一にできる。
【0061】
図10(a)は、本実施例の投射光学部204の一例を示す図である。
図10(a)では、投射光学部330は3枚のレンズ331A、331B、331Cを有している例を示す。
図10に記載された投射光学部330において、レンズ331Cが最終光学素子である最終レンズ332である。つまり、部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、最終光学素子である最終レンズ332の外形直径333より小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。
【0062】
図10(b)は、本実施例の投射光学部204の別の一例を示す図である。
図10(b)に示す投射光学部330は、レンズ331Dと凹面ミラー338とを有しており、凹面ミラー338が最終光学素子である。部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、最終光学素子である凹面ミラー338の外形サイズ333(凹面ミラー338を入射面310に射影した長さ)より小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。
【0063】
図10では、最終光学素子がレンズ又は凹面ミラーである形態を示したが、本発明ではこれに限らず様々な光学素子を使用できる。例えば、曲率を備えず、光を折り曲げて進行方向を変える、ミラー又はプリズムでもよい。
【0064】
本発明の別の観点では、部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、最終光学素子(レンズ331C)が有する面のうち、映像光が最後に反射、透過又は屈折する面の光学有効サイズより小さいか又は略等しくなるように、映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。より好適には、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、全ての距離L1kが、最終光学素子が有する面のうち、映像光が最後に反射、透過又は屈折する面の光学有効サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成するとよい。
【0065】
例えば、
図10に示す投射光学部330において、最終光学素子が有する面のうち、映像光が最後に反射、透過又は屈折する面は最終レンズ332の出射面334である。つまり、部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、最終レンズ332の出射面334の光学有効直径335より小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。このような構成によっても、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なり、利用者は映像の一部が顕著に暗くない映像を視認できる。
【0066】
本発明のさらに別の観点では、部分反射面320の間の距離L1kの少なくとも一つは、投射光学部204が有する投射光学系の射出瞳直径337より小さいか又は略等しくなるように、映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。好適には、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、全ての距離L1kが、投射光学部204が有する投射光学系の射出瞳直径337より小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成するとよい。例えば、
図10に示す例において、投射光学部330が出射した映像光が最も細くなる箇所が射出瞳336であり、その直径が射出瞳直径337である。このような構成によっても、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なり、利用者は映像の一部が顕著に暗くない映像を視認できる。
【0067】
kを2以上N未満の少なくとも一つの整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離L1kは、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離L1(k-1)より小さいとよい。好適には、kを2以上N未満の全ての整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離L1kは、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離L1(k-1)より小さいとよい。瞳拡大プリズム300に入射した映像光は、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する間に、複数の部分反射面320で反射又は透過するごとに強度が減衰する。部分反射面の間隔を次第に狭くすることによって、映像光複製部210が出力する複数映像光の強度密度を略一定にできる。これにより、利用者が視認する映像の輝度ムラを低減できる。
【0068】
図9(d)は、本発明の別の観点の瞳拡大プリズム300の平面図である。kを1以上N-1以下の整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面の間の距離をL2kと定義する。このとき、2以上N-1以下の互いに異なる少なくとも1組の整数m及びnについて、L2mとL2nとは略等しくしてもよい。また、2以上N-1以下の全てのkに対して、L2kは略等しくしてもよい。さらに、kを2以上N-1以下の少なくとも一つの整数として、L21及びL2kは略等しくてもよい。これにより、瞳拡大プリズム製造時に利用する光学基材の厚さの種類を低減でき、コストを低減できる。
【0069】
本発明の別の観点では、kを2以上N未満の少なくとも一つの整数とした場合に、第kの部分反射面の反射率は、第k+1の部分反射面の反射率より小さいか又は略等しいとよい。好適には、kを2以上N未満の全ての整数とした場合に、第kの部分反射面の反射率は、第k+1の部分反射面の反射率より小さいか又は略等しいとよい。瞳拡大プリズム300に入射した映像光は、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する間に、複数の部分反射面320で反射又は透過するごとに強度が減衰する。部分反射面320の反射率を次第に大きくすることによって、映像光複製部210が出力する複数映像光の強度密度を略一定にでき、利用者が視認する映像の輝度ムラを低減できる。
【0070】
図11(a)は、投射光学部204と映像光複製部210との位置関係の一例を示す図である。投射光学部204が出射した映像光は実際には
図11(b)のように映像光複製部210に入射して、映像光複製部210が有する部分反射面320で反射又は透過するが、
図11(a)では、仮に投射光学部204が出射した映像光が映像光複製部210に入射せず、真っ直ぐ伝搬したものとして仮想光線341を記載した。本実施例において、投射光学部204が有する最終光学素子から、投射光学部204の射出瞳336までの距離342は、最終光学素子から入射面310までの距離343よりも長いとよい。映像光は射出瞳通過後に広がっていく。瞳拡大プリズム300から出射する映像光410は、画角(画像中の画素の位置)に応じてx軸となす角度が異なる向きに進行する。そのため、瞳拡大プリズム300の内部において射出瞳通過後の映像光の伝搬距離が長くなると、映像光410の少なくとも一部は、+z軸方向又は-z軸方向に変位し、導光板801の入射面11に入射しなくなる。投射光学部204の射出瞳336を繰り出すことによって、映像光複製部210を出射した映像光の導光板220へのカップリング効率を高め、光利用効率を高めることができる。さらに、全ての画角(画像中の画素の位置)の映像光が到達するアイボックス領域を拡大でき、利用者の目が導光板220に対して大きく移動した場合でも、利用者が映像を視認できるようになる。
【0071】
投射光学部204を出射した映像光は、映像光複製部210によって複製されて複数映像光となった後、導光板220に入射する。投射光学部204の射出瞳336の位置は、映像光複製部210によって複製され導光板220に入射する複数映像光のいずれか一つにおいて、導光板220の入射面11の位置と略等しいとよい。好適には、投射光学部204の射出瞳336の位置は、入射面11に入射する複数映像光の略中央に位置している。これにより映像光複製部210を出射した映像光の導光板220へのカップリング効率を高め、光利用効率を高めることができる。
【0072】
本発明の別の観点では、投射光学部204の射出瞳336の位置は、映像光複製部210の内部に位置するとよい。また、投射光学部204の射出瞳336の位置は、映像光複製部210が有する第1の部分反射面314と第Nの部分反射面315の間に位置するとよい。好適には、投射光学部204の射出瞳336の位置は、映像光複製部210が有する第1の部分反射面314と第Nの部分反射面315の略中央に位置するとよい。投射光学部204から出射する映像光は、射出瞳336の位置で光学有効直径335が最も小さくなるため、投射光学部204の射出瞳336が、映像光複製部210の内部に位置するように構成することで、映像光複製部210を小型化できる。
【0073】
図12(a)は、投射光学部204から出射して瞳拡大プリズム300に入射し、瞳拡大プリズム300の内部を伝搬する映像光の光線の一例を示す図である。映像表示装置101が表示する映像を構成する映像光のうち、光線351及び光線352は、
図12(a)において投射光学部204から出射する光線の方向が最も下向き及び上向きとなる光線である。瞳拡大プリズム300において、第1の部分反射面314と出射面311とは、光線352が第1の部分反射面314以外の部分反射面320で反射する前に出射面311に入射しないような位置に構成するとよい。例えば、
図12(b)に示すように、光線352が第1の部分反射面314以外の部分反射面320で反射する前に出射面311に入射すると、出射面311で反射した光線353が発生し、利用者は映像が反転した迷光を視認することになる。光線352が第1の部分反射面314以外の部分反射面320で反射する前に、出射面311に入射しないように構成することで、利用者が迷光を視認することを防止できる。
【0074】
図12(c)に示すように、光線352の瞳拡大プリズム300への入射角をθ11、瞳拡大プリズム300の材質の屈折率をn、第1の部分反射面314と出射面311とがなす角をφとすると、屈折角θ12はθ12=asin(sin(θ11)÷n)であり、第1の部分反射面314で反射した光線352と出射面311とがなす角θ13はθ13=90°-2φ-θ11となる。従って光線352が第1の部分反射面314以外の部分反射面320で反射する前に、出射面311に入射しないためには、θ13が略0に等しいか、0以上であればよいから、φは略(90-θ11)÷2か、(90-θ11)÷2以下であることが好ましい。特にθ11≧0であるから、φは略45度か45度以下であることが好ましい。
【0075】
なお、
図12(d)に示すように、光線351が瞳拡大プリズム300に入射し、第1の部分反射面314で反射した後、第2から第Nのいずれかの部分反射面320で反射する前に、入射面310で全反射するように投射光学部204及び瞳拡大プリズム300を構成してもよい。入射面310で全反射した光線354が、第2から第Nのいずれかの部分反射面320、315で反射して瞳拡大プリズム300から出射される場合に、瞳拡大プリズム300からの光線354の出射角は大きくなり、アイボックスまで到達しないため、利用者は光線354に起因する反転画像の迷光を視認しない。これにより、瞳拡大プリズム300の厚さ360を低減し、瞳拡大プリズム300を小型化できる。
【0076】
本発明の別の観点では、投射光学部204を出射した映像光が第Nの部分反射面315まで到達した際の第Nの部分反射面315における映像光の光学有効直径334より、瞳拡大プリズム300の厚さ360が大きくなるように投射光学部204及び瞳拡大プリズム300を構成してもよい。これにより、光線352が第1の部分反射面314以外の部分反射面320で反射する前に、出射面311に入射しないように構成でき、利用者が迷光を視認することを防止できる。
【0077】
瞳拡大プリズム300の材質は、瞳拡大プリズム300の内部を伝達し第1及び第Nのいずれか又は両方の部分反射面314、315に入射した映像光が、第1及び第Nのいずれか又は両方の部分反射面314、315で全反射する高屈折率の材質であることが好ましい。これにより、第1及び第Nのいずれか又は両方の部分反射面314、315で反射コートが不要となり、瞳拡大プリズム300のコストを低減できる。
【0078】
瞳拡大プリズム300の側面312、313は砂すり及び黒塗りのいずれか又は両方の処理が施されていることが好ましい。これにより側面312、313に入射した光に起因する反転画像の迷光の発生を防止できる。
【0079】
導光板801のビームスプリッタ面17において所定の反射率を得るために、ビームスプリッタ面17はアルミニウムや銀による金属膜コートを有してもよい。また、瞳拡大プリズム300の部分反射面320において所定の反射率を得るために、部分反射面320はアルミニウムや銀による金属膜コートを有してもよい。金属膜は反射率や透過率の偏光依存性が少ないため、映像表示装置101は映像投影部200が出力する映像光の偏光によらず、均一な強度の映像を表示できる。
【0080】
本発明の別の観点では、導光板801のビームスプリッタ面17及び瞳拡大プリズム300の部分反射面320において所定の反射率を得るために、部分反射面320は誘電体多層膜のコートを有してもよい。誘電体多層膜コートの反射率及び透過率特性は、入射する偏光に依存し、S偏光の反射率がP偏光の反射率より高くなる。しかしながら本実施例において、瞳拡大プリズム300が有する部分反射面320の法線ベクトルはxy平面内に位置し、導光板801が有するビームスプリッタ面17の法線ベクトルはxz平面内に位置するように、瞳拡大プリズム300及び導光板801を配置する構成としているから、瞳拡大プリズム300の部分反射面320に対してS偏光として入射した映像光は、導光板801のビームスプリッタ面17に対して略P偏光として入射し、瞳拡大プリズム300の部分反射面320に対してP偏光として入射した映像光は、導光板801のビームスプリッタ面17に対して略S偏光として入射する。
【0081】
このため、本実施例の映像光複製部210及び導光板801は以下のように構成してもよい。映像光複製部210は、偏光板及び波長板の一方又は両方と、瞳拡大プリズム300とを有する。導光板801のビームスプリッタ面17及び瞳拡大プリズム300の部分反射面320において所定の反射率を得るために、ビームスプリッタ面17及び部分反射面320は誘電体多層膜のコートを有する。映像投影部200が出射した映像光は偏光板及び波長板のいずれか又は両方を通過し、瞳拡大プリズム300に入射する。瞳拡大プリズム300に入射する光の偏光は、部分反射面320に対してS偏光及びP偏光以外の偏光(例えば、+45度偏光、-45度偏光、右回り偏光、左回り偏光など)である。また、kを2以上N以下の整数として、第kの部分反射面で反射して瞳拡大プリズム300から出射する光束を光束Ak、さらに光束Akが導光板801を経て導光板801から出射される際の光束を光束Bkとする。kを2以上N-1以下の整数として、Bkの光束量が互いに略等しくなるような反射特性を導光板801のビームスプリッタ面17及び瞳拡大プリズム300の部分反射面320が有するとよい。
【0082】
具体的には、kを2以上N-1以下の整数として、光束Akのビームスプリッタ面17に対してS偏光となる光の光束量をAkS、光束Akのビームスプリッタ面17に対してP偏光となる光の光束量をAkP、ビームスプリッタ面17のS偏光の反射率をR17S、ビームスプリッタ面17のP偏光の反射率をR17Pとした場合に、AkP×R17P+AkS+R17Sがkに依らず互いに略等しくなる反射特性を部分反射面320が有するとよい。例えば、N=5であり、瞳拡大プリズム300に入射する光の偏光は円偏光であり、S偏光及びP偏光の反射率をRS及びRPとした場合に、第1の部分反射面においてRS=RP=100%であり、第2の部分反射面においてRS=45%及びRP=15%であり、第3の部分反射面においてRS=65%及びRP=25%であり、第4の部分反射面においてRS=80%及びRP=45%であり、第5の部分反射面においてRS=RP=100%である。これにより、異なる部分反射面320で反射して導光板801から出射する映像光の光束量が互いに略等しくなり、利用者が視認する映像の輝度を略均一にできる。
【0083】
映像表示システム100の画像信号処理部104は、映像表示装置101の特性を補償する画像変換を行い、映像表示装置101に表示画像を送信してもよい。例えば、導光板801のビームスプリッタ面17又は瞳拡大プリズム300の部分反射面320の反射特性に起因して、画角(画像中の画素の位置)によって光伝達効率が異なる場合に、画像信号処理部104は、該特性を補償するための画像を変換してもよい。より具体的には、例えば
図25(a)に示すように、導光板801のビームスプリッタ面17又は瞳拡大プリズム300の部分反射面320は、映像の右側の光伝達効率が他の画角より小さくなる特性を有している場合に、利用者が視認する映像の右側が暗くなることを防ぐため、画像信号処理部104は映像の右側の明るさが高くなるように画像を変換する。例えば、映像の右側以外の明るさを低下するように画像を変換する。これにより、映像投影部200から出力される投影映像信号では、
図25(b)に示すように、映像の画角の右側で映像光の出力が大きくなる。その結果、導光板801の出力は
図25(c)に示すように略一定となり、映像表示装置101は輝度がより均一な映像を表示可能となる。
【0084】
別の一例として、導光板801のビームスプリッタ面17又は瞳拡大プリズム300の部分反射面320の反射特性の波長依存性に起因して、映像の特定の画角の光伝達効率が波長依存性を有している場合に、画像信号処理部104は、該波長依存性を補償するように画像を変換してもよい。より具体的には、例えば映像の右側の画角の光伝達効率において、長波長側の伝達効率が高い場合、映像の右側が赤色になることを防ぐため、画像信号処理部104は映像の右側の赤色を抑制するように画像を変換する。これにより、映像表示装置101は色がより均一な映像を表示できる。
【0085】
図23に示す映像表示システム100が、左目用の映像表示装置101Lで右側の画角(すなわち画面の右側の画素)の光伝達効率が低くなる光学特性を有しており、右目用の映像表示装置101Rでは左側の画角(すなわち画面の左側の画素)の光伝達効率が低くなる光学特性を有している場合に、右目用の映像投影部200Rと左目用の映像投影部200Lと出力する映像光の明るさ分布は逆になる。
【0086】
別の一例として、
図23に示す映像表示システム100が、左目用の映像表示装置101Lで下側の画角(すなわち画面の下側の画素)の光伝達効率が低くなる光学特性を有しており、右目用の映像表示装置101Rでも下側の画角(すなわち画面の下側の画素)の光伝達効率が低くなる光学特性を有している場合に、右目用の映像投影部200Rと左目用の映像投影部200Lと出力する映像光の明るさ分布は同じになる。
【0087】
別の一例として、
図23に示す映像表示システム100において、映像投影部200、映像光複製部210又は導光部230が有する光学素子の少なくとも一つが所定の光学特性と異なる光学特性を有していたり、所定の位置からずれた位置に配置されていたりする場合に、右目用の映像表示装置101Rと左目用の映像表示装置101Lの夫々が表示する映像のサイズが異なったり、位置がずれたりする場合がある。その場合、画像信号処理部104は、右目用又は左目用の映像表示装置101R、101Lの少なくとも一つが表示する画像の少なくとも一部をトリミング、スケーリング又は表示位置をずらすように変換された表示画像を映像表示装置101に送信してもよい。画像信号処理部104が画像の少なくとも一部をトリミング又はスケーリングしている場合に、右目用又は左目用の映像表示装置101R、101Lの少なくとも一つのパネル部203のパネルが有する画素の一部分が利用され、他の部分は利用されない。また、画像信号処理部104が画像の表示位置をずらすように画像を変換している場合に、右目用及び左目用の映像表示装置101R、101Lのパネル部203のパネルが有する画素の一部分が利用され、他の部分が利用されておらず、右目用のパネルと左目用のパネルとで利用されていない部分が異なっている。
【0088】
以上に説明した瞳拡大プリズム300では、第1及び第Nの部分反射面320は反射側面314、315であるが、本発明はこれに限られない。例えば、
図13(a)、
図13(b)及び
図13(c)に示すように、瞳拡大プリズム300は、第1又は第Nの部分反射面320のいずれか一方又は両方を内部に有する構成としてもよい。
図13(a)又は
図13(c)に示すように、瞳拡大プリズム300の内部に設けられる第1の部分反射面320の反射率は略100%としてもよいし、0%より大きく100%未満の反射率として、第1の部分反射面320に入射した光の少なくとも一部が第1の部分反射面320を透過して瞳拡大プリズム300から出射するように構成してもよい。
【0089】
また、以上に説明した瞳拡大プリズム300では、側面312及び側面313は互いに平行であるが、本発明はこれに限られない。例えば、
図9(e)に示すように、側面312Aと313Aは平行でなくてもよい。これにより、デザインの自由度を向上したり、瞳拡大プリズム300の体積及び質量を低減できる。
【0090】
また、以上に説明した実施例では、瞳拡大プリズム300と導光板801は接触していないが、本発明はこれに限られない。例えば、瞳拡大プリズム300と導光板801が接触するように映像表示装置101を構成してもよいし、瞳拡大プリズム300と導光板801を透明な接着剤又はオプティカルコンタクトで接合してもよい。
【0091】
以上に説明したように、本実施例によれば、映像光複製部210が映像光を互いに重なる複数の映像光に複製でき、導光板220に入射する映像光の光束を大きくできるため、アイボックスが広く、均一な輝度の映像が表示可能な導光板方式の映像表示装置101及び映像表示システム100を提供できる。
【0092】
[実施例2]
実施例2では、導光部230は、導光板802及び画角補正部(三角プリズム400)を有する構成とした。なお、実施例2において、前述した実施例との相違点を主に説明し、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0093】
図14は、実施例2の映像表示装置101の構成例を示す図であり、上側に導光板802の正面側から見た図を、下側に導光板802の上側から見た図を示す。導光部230は、導光板802と、画角補正部とを有する。また、画角補正部は、三角プリズム400を有する。
図15(a)、
図15(b)及び
図15(c)は、それぞれ導光板802の正面図及び平面図及び側面図である。
【0094】
図14では、瞳拡大プリズム300と三角プリズム400と導光板802は互いに接触していないが、本発明はこれに限られない。例えば、瞳拡大プリズム300と三角プリズム400、又は三角プリズム400と導光板802、又は瞳拡大プリズム300と三角プリズム400と導光板802の三つを、接触、透明な接着剤で接着又はオプティカルコンタクトで接合してもよい。
【0095】
三角プリズム400は、入射面401及び出射面402の少なくとも2面を有する。また、三角プリズム400の屈折率は、導光板802の屈折率と略等しいとよい。
【0096】
映像光複製部210を出射した映像光は、三角プリズム400の入射面401から三角プリズム400に入射し、三角プリズム400の内部を伝搬し、出射面402から出射される。三角プリズム400を出射した映像光は、入射面11Aから導光板802内に入射する。
【0097】
三角プリズム400の出射面402と導光板802の入射面11Aとは互いに略平行であり、三角プリズム400の入射面401と導光板802の第1の内面反射面13とがなす角は、N枚のビームスプリッタ面17と第1の内面反射面13がなす角の略2倍となるように構成する。これにより、第2の内面反射面14から出射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)を、入射面401から三角プリズム400に入射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)と略同一にできる。好適には、三角プリズム400の入射面401と出射面402がなす角は、N枚のビームスプリッタ面17と第1の内面反射面13がなす角と略等しく、導光板802の入射面11Aと導光板802の第1の内面反射面13がなす角は、N枚のビームスプリッタ面17と第1の内面反射面13がなす角と略等しくなるように構成するとよい。なお、入射面11Aの角度以外の導光板802の構成は、前述した導光板801と同じである。
【0098】
本実施例によれば、導光板802の入射面11AとN枚のビームスプリッタ面17を全て互いに略平行にでき、導光板802の製造工程を減少し、コストを低減できる。
【0099】
[実施例3]
実施例3では、映像光複製部210は、瞳拡大プリズム300に替えて、瞳拡大プリズム301を有する。実施例3の瞳拡大プリズム301は、入射した映像光の少なくとも一部が、第1の部分反射面に入射することなく、第2の部分反射面に入射する構成とした。なお、実施例3において、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0100】
図16(a)、
図16(b)及び
図16(c)は、それぞれ瞳拡大プリズム301の正面図、平面図及び側面図である。瞳拡大プリズム301は、第1の部分反射面を内部に有する。また、第1の部分反射面は、少なくとも一部の光を反射し、少なくとも一部の光を透過する。
【0101】
映像投影部200が出射した映像光は、瞳拡大プリズム301の入射面310から瞳拡大プリズム301に入射する。瞳拡大プリズム301に入射した光の少なくとも一部は第1の部分反射面に入射する。第1の部分反射面に入射した光の少なくとも一部は第1の部分反射面を透過して、出射面311から出射する。第1の部分反射面に入射した光の少なくとも一部は第1の部分反射面で反射して、第2の部分反射面に入射する。
【0102】
また、瞳拡大プリズム301に入射した光の少なくとも一部は、第1の部分反射面で反射又は透過することなく、第2の部分反射面に入射する。第2の部分反射面に入射した光の少なくとも一部は第2の部分反射面で反射し、第2の部分反射面に入射した光の少なくとも一部は第2の部分反射面を透過する。
【0103】
正面図である
図16(a)において、瞳拡大プリズム301に入射する入射光316は、第1の部分反射面と入射面310の交線である交線B21と第3の部分反射面と入射面310の交線である交線B23との間に位置する。
【0104】
図17は、実施例3の映像表示装置101の一例を示す図であり、上側に導光板801の正面側から見た図を、下側に導光板801の上側から見た図を示す。映像光複製部210は瞳拡大プリズム301を有する。映像投影部200が出射した映像光の一部は瞳拡大プリズム301の第1又は第2の部分反射面で反射して、y軸方向に伝搬し、第2から第Nの部分反射面の何れかで反射してx軸方向に伝搬し、瞳拡大プリズム301から出射する。瞳拡大プリズム300から出射する映像光410は、画角(画像中の画素の位置)に応じてx軸となす角度が異なる向きに進行する。そのため、瞳拡大プリズム301の内部における映像光の伝搬距離が長くなると、映像光410の少なくとも一部は、+z軸方向又は-z軸方向に変位し、導光板801の入射面11に入射しなくなる。本実施例によれば、瞳拡大プリズム301に入射した映像光の少なくとも一部は、第1の部分反射面に入射することなく、第2の部分反射面に入射するから、瞳拡大プリズム301に入射してから第Nの部分反射面に入射するまでの距離を短くでき、映像光410の+z軸方向又は-z軸方向の変位を低減できる。これにより、映像光の光利用効率を高くできる。また、映像の四隅又は四辺の画角(画像中の画素の位置)に対応する映像光410の光利用効率を特に高くできるので、利用者が視認する映像の輝度を略均一にできる。
【0105】
瞳拡大プリズム301の平面図である
図16(b)において、kを1以上N以下の整数とした場合に、第kの部分反射面320と入射面310との交点を点A3kとする。また、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面の間の距離を点A3kと点A3(k+1)との間の距離であるL3kと定義する。本実施例の瞳拡大プリズム301において、L31からL3(N-1)の少なくとも一つは、最終光学素子の外形サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。前述した以外の瞳拡大プリズム301の構成は、前述した瞳拡大プリズム300と同じである。
【0106】
これにより、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者が視認する映像の一部が顕著に暗くならず、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。また、映像光複製部210が映像光を複製することによって、利用者の目が映像を視認可能な範囲であるアイボックスを拡大できる。
【0107】
本実施例によれば、瞳拡大プリズム301に入射してから第Nの部分反射面に入射するまでの距離を短くでき、瞳拡大プリズム301を小型化できる。また、映像光の光利用効率を高め、利用者が視認する映像の輝度の均一度を高くできる。
【0108】
[実施例4]
実施例4では、瞳拡大プリズム302は、入射面と出射面とが略直交するように構成した。なお、実施例4において、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0109】
図18は、実施例4の映像表示装置101の一例を示す図であり、上側に導光板801の正面側から見た図を、下側に導光板801の上側から見た図を示す。実施例4の映像光複製部210は、瞳拡大プリズム300に替えて、瞳拡大プリズム302を有する。瞳拡大プリズム300の入射面310Aと出射面311とは、略直交している。映像投影部200を出射した映像光は入射面310Aから瞳拡大プリズム302に入射する。
【0110】
kを2以上N未満の少なくとも一つの整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離L4kは、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離L4(k-1)より小さいか略等しいことが好ましい。また好適には、kを2以上N未満の全ての整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面との間の距離L1kは、第k-1の部分反射面と第kの部分反射面との間の距離L1(k-1)より小さいか略等しい。
【0111】
図19は、実施例4の瞳拡大プリズム302の別の一例を示す図である。
図19において、導光板801の入射面11がy軸と平行になるように座標系を採用する。瞳拡大プリズム302の入射面310Aとx軸とがなす角をθ21、部分反射面320とx軸とがなす角をθ22、出射面311とy軸がなす角をθ23、映像投影部200が出力する映像光のうちy軸となす角が最も大きい角度をθ24、y軸となす角度がθ24である映像投影部200の出力光が瞳拡大プリズム302に入射した時にy軸となす角度をθ25とする。なお、θ21~θ25は、
図19において右回りが正の角度となるようする。このとき、90-2×θ22+θ21+θ23が略0となるように瞳拡大プリズム302を構成するとよい。これにより、瞳拡大プリズム302に垂直に入射した光は瞳拡大プリズム302から垂直に出射するため、瞳拡大プリズム302から出射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)を、瞳拡大プリズム302に入射する映像光の画角(角度で表した映像の大きさ)と略同一にできる。また、θ23+θ25は略0か0未満となるように瞳拡大プリズム302を構成するとよい。換言すれば、θ25は略-θ23か-θ23未満である。これにより瞳拡大プリズム302に入射した光が出射面311で全反射して反転迷光が発生することを防止できる。
【0112】
前述した以外の瞳拡大プリズム302の構成は、前述した瞳拡大プリズム300と同じである。
【0113】
これにより、映像光複製部210が出力する複数映像光の強度密度を略一定にすることができ、利用者が視認する映像の輝度ムラを低減できる。
【0114】
本発明の別の観点では、kを1以上N未満の少なくとも一つの整数とした場合に、第kの部分反射面の反射率は、第k+1の部分反射面の反射率より小さいか略等しいとよい。好適には、kを1以上N未満の全ての整数とした場合に、第kの部分反射面の反射率は、第k+1の部分反射面の反射率より小さいか略等しいとよい。これにより、映像光複製部210が出力する複数映像光の強度密度を略一定にすることができ、利用者が視認する映像の輝度ムラを低減できる。
【0115】
本実施例によれば、映像投影部200の配置が前述した実施例と異なるので、映像表示装置101のデザインの自由度を高くできる。
【0116】
[実施例5]
実施例5では、瞳拡大プリズム303は、互いに並行で向きが異なる二つの方向に光線を複製する構成とした。なお、実施例5において、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0117】
図20は、実施例5の映像表示装置101の一例を示す図であり、上側に導光板801の正面側から見た図を、下側に導光板801の上側から見た図を示す。実施例5の映像光複製部210は、瞳拡大プリズム300に替えて、瞳拡大プリズム303を有する。
【0118】
図21(a)、
図21(b)及び
図21(c)は、それぞれ瞳拡大プリズム303の正面図、平面図及び側面図である。瞳拡大プリズム303は、少なくとも2以上の略平行な部分反射面320Aと、少なくとも2以上の略平行な部分反射面320Bとを有する。部分反射面320Aと部分反射面320Bとは並行ではない。部分反射面320Aと部分反射面320Bがなす角は、略90度でもよいし、90度以外でもよい。N及びMを2以上の整数とし、N枚の部分反射面320AとM枚の部分反射面320Bとを有する場合に、N枚の部分反射面320Aの中のうち部分反射面320Bに最も近いものを第1の部分反射面314Aとし、他の部分反射面320Aを、第1の部分反射面314Aに近いものから順に、第2から第Nの部分反射面315Aとする。また、M枚の部分反射面320Bのうち部分反射面320Aに最も近いものを第1の部分反射面314Bとし、他の部分反射面320Bを、第1の部分反射面314Bに近いものから順に、第2から第Mの部分反射面320Bとする。第1の部分反射面314Aと第1の部分反射面314Bとは、交差しており、交線を有する。
【0119】
第1から第Nの部分反射面320Aと、第1から第Mの部分反射面320Bの各々は、少なくとも一部の光を反射するように構成されている。特に、第1から第N-1の部分反射面320Aと、第1から第M-1の部分反射面320Bとは、それぞれ少なくとも一部の光を反射し、少なくとも一部の光を透過する。
【0120】
映像投影部200が出射した映像光は、瞳拡大プリズム303の入射面310から入射する。瞳拡大プリズム303に入射した光の少なくとも一部は第1の部分反射面314A又は第1の部分反射面314Bに入射する。
【0121】
瞳拡大プリズム303の平面図である
図21(b)において、kを1以上N以下の整数とした場合に、第kの部分反射面320Aと入射面310との交点を点AAkとする。また、kを1以上N-1以下の整数とした場合に、第kの部分反射面と第k+1の部分反射面の間の距離を点AAkと点AA(k+1)との間の距離であるLAkと定義する。sを1以上M以下の整数とした場合に、第sの部分反射面320Bと入射面310との交点を点ABsとする。また、sを1以上M-1以下の整数とした場合に、第sの部分反射面と第s+1の部分反射面の間の距離を点ABsと点AB(s+1)との間の距離であるLBsと定義する。また、映像投影部200が有する光学素子の中で、映像光が映像投影部200を出射する直前に反射、透過又は屈折する光学素子を最終光学素子と称する。このとき、部分反射面320の間の距離LAk及びLBsの少なくとも一つは、最終光学素子の外形サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。前述した以外の瞳拡大プリズム303の構成は、前述した瞳拡大プリズム300と同じである。
【0122】
これにより、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者が視認する映像の一部が顕著に暗くならず、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。また、映像光複製部210が映像光を複製することによって、利用者の目が映像を視認可能な範囲であるアイボックスを拡大できる。
【0123】
前述したように、瞳拡大プリズム303の内部における映像光の伝搬距離が長くなると、映像光410の少なくとも一部は、+z軸方向又は-z軸方向に変位し、導光板801の入射面11に入射しなくなる。本実施例によれば、第1の部分反射面314Aから第Nの部分反射面315Aまでの距離、及び第1の部分反射面314Bから第Mの部分反射面320Bまでの距離の一方又は両方を短くできるため、映像光410の+z軸方向又は-z軸方向の変位を低減できる。これにより、映像光の光利用効率を高くできる。また、映像の四隅又は四辺の画角(画像中の画素の位置)に対応する映像光410の光利用効率を特に高くできるので、利用者が視認する映像の輝度をより均一にできる。
【0124】
[実施例6]
実施例6では、映像光複製部210は瞳拡大ビームスプリッタ321を有する構成とした。なお、実施例6において、前述した実施例と同じ構成には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
【0125】
図22は、実施例6の映像表示装置101の一例を示す図である。実施例6の映像光複製部210は、瞳拡大ビームスプリッタ321を有する。瞳拡大ビームスプリッタ321は、入射面322と出射面323とを有する。また、瞳拡大ビームスプリッタ321の出射面323と導光板801の入射面11とがなす角は0度より大きい。
【0126】
映像投影部200が生成した映像光は、入射面322から瞳拡大ビームスプリッタ321に入射する。瞳拡大ビームスプリッタ321は透明なガラス又は樹脂で構成されており、瞳拡大ビームスプリッタ321に入射した映像光の少なくとも一部は瞳拡大ビームスプリッタ321の内部を伝搬する。瞳拡大ビームスプリッタ321の内部を伝搬した映像光は、出射面323に到達する。出射面323は少なくとも一部の光を透過し、少なくとも一部の光を反射するように構成されている。出射面323を透過した光は瞳拡大ビームスプリッタ321から出射する。出射面323で反射した光は、瞳拡大ビームスプリッタ321の内部を伝達して入射面322に到達し、入射面322で反射し、再度出射面323に到達する。入射面322から入射した光が出射面323に到達するごとに、映像光の一部が出射面323から出射する。
【0127】
瞳拡大ビームスプリッタ321の入射面322と出射面323とは、互いに略平行となるように瞳拡大ビームスプリッタ321を構成する。これにより、瞳拡大ビームスプリッタ321は、瞳拡大ビームスプリッタ321に入射する映像光と略同一の画角(角度で表した映像の大きさ)を持つ複数(二つ以上)の映像光を出力できる。
【0128】
入射面322のうち、映像投影部200が生成した映像光が入射するエリアの透過率は略1であることが好ましい。これにより光利用効率を高くできる。また、入射面322のうち、出射面323で反射した映像光が到達する領域の反射率は略1であることが好ましい。これにより光利用効率を高くできる。
【0129】
入射面322から入射した映像光が到達する出射面内の領域を第1到達領域、kを1以上の整数として、第k到達領域で反射して、入射面322で反射した映像光が、再度出射面に到達する出射面内の領域を第k+1到達領域と順に定義する。また、Nを2以上の整数として、出射面323は第1到達領域から第N到達領域を有し、瞳拡大ビームスプリッタ321はN個の映像光を出力する。
【0130】
kを1以上N-1以下の整数とした場合に、第k到達領域と第k+1到達領域の間の距離を、第k到達領域と第k+1到達領域の夫々の中心のy軸方向の変位量LCkと定義する。なお、領域の中心は、例えば領域の重心である。本発明の別の観点では、領域の中心は、映像投影部200が出力する映像光線のうち映像中央の画角(画像中の画素の位置)の主光線が到達する点である。また、映像投影部200が有する光学素子の中で、映像光が映像投影部200を出射する直前に反射、透過又は屈折する光学素子を最終光学素子と称する。このとき、隣接する二つの到達領域の間の距離LCkの少なくとも一つは、最終光学素子の外形サイズより小さいか又は略等しくなるように映像投影部200及び映像光複製部210を構成する。
【0131】
これにより、映像光複製部210が出射した複数映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者が視認する映像の一部が顕著に暗くならず、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。また、映像光複製部210が映像光を複製することによって、利用者の目が映像を視認可能な範囲であるアイボックスを拡大できる。
【0132】
第k到達領域の反射率は、第k+1到達領域の反射率より大きくするとよい。好適には、第k到達領域の反射率は(N-k)÷Nとするとよい。これにより、瞳拡大ビームスプリッタ321が出力する複数の映像光の強度が互いに略等しくなるため、利用者が視認する映像の輝度をより均一にできる。
【0133】
本発明の別の観点では、入射面322及び出射面323の一方又は両方は、各面の全面が略均一の反射率となるように構成してもよい。これにより瞳拡大ビームスプリッタ321のコストを低減できる。
【0134】
本実施例によれば、映像光複製部210の構成を簡素化でき、コストを低減できる。
【0135】
[実施例7]
実施例7では、映像光複製部210は複数の瞳拡大プリズム300A、300Bを有する構成とした。
【0136】
図24は、実施例7の映像表示装置101の一例を示す図である。実施例7の映像光複製部210は、第1の瞳拡大プリズム300A及び第2の瞳拡大プリズム300Bを有する。
【0137】
第1の瞳拡大プリズム300Aが光線を複製する方向と、第2の瞳拡大プリズム300Bが光線を複製する方向は、異なっているとよい。例えば、
図24に示すように、映像表示装置101において、第1の瞳拡大プリズム300Aは光線をz軸方向に複製し、第2の瞳拡大プリズム300Bは光線をy軸方向に複製する。
【0138】
本実施例によれば、映像投影部200が出力した映像光の光束を二次元方向に複製するため、利用者が視認する映像の輝度ムラをより低減できる。
【0139】
以上に説明したように、本発明の実施例の映像表示装置は、映像光を投影する映像投影部220と、映像光を複製する映像光複製部210と、内部において映像光を伝達する導光部230とを備え、映像光複製部210は、映像投影部220が出射した映像光を導光部230に伝達し、導光部230は、入射した映像光をその内部を伝達させて出力し、映像光複製部210は、導光部230から出力される映像光の輝度分布が均一(例えば、利用者が視認する映像の輝度分布において、隣接する極大値と極小値の比率が1/2以上)になるように映像光複製部210に入射した映像光を複製するので、アイボックスが広く、輝度が均一な映像を表示できる。
【0140】
また、映像光複製部210は、少なくとも一部の光を反射する互いに略平行な2以上の部分反射面320を有し、入射した映像光を複製して2以上の映像光を出力し、隣接する部分反射面320の間の距離の少なくとも一つは、映像光が映像投影部200から出射する直前に反射、透過又は屈折する最終光学素子(投射光学部330の最終レンズ332)の外形サイズより小さいか又は等しくしたので、各部分反射面から出力される映像光の少なくとも一部が重なるため、利用者が視認する映像の一部が顕著に暗くならず、利用者は略均一の輝度の映像を視認できる。
【0141】
また、映像光は、第1の部分反射面314から第N-1の部分反射面320の少なくとも一つで最初に反射する位置に入射し、第2の部分反射面320から第Nの部分反射面315の少なくとも二つの位置から出射するように部分反射面320を配置するので、入射面310及び出射面311の反射率を各々制御して、より均一な輝度の映像を出力できる。
【0142】
また、映像光は、第2の部分反射面320で反射又は透過する前に、第1の部分反射面314で反射又は透過するように部分反射面320を配置するので、映像光複製部210の瞳拡大プリズム300が作りやすくなり、コストを低減できる。
【0143】
また、映像光の少なくとも一部は、前記第1の部分反射面314で反射及び透過することなく、第2の部分反射面320で反射又は透過するように部分反射面320を配置するので、映像光複製部210の瞳拡大プリズム301を小型化できる。
【0144】
また、少なくとも一つの第kの部分反射面320と第k+1の部分反射面320との間の距離は、第k-1の部分反射面320と第kの部分反射面320との間の距離より小さくしたので、部分反射面320間の距離が同じ箇所があってもよく、映像光複製部210の瞳拡大プリズム300を安価に製造できる。
【0145】
また、全ての第kの部分反射面320と第k+1の部分反射面320との間の距離は、第k-1の部分反射面320と第kの部分反射面320との間の距離より小さくしたので、部分反射面320間の距離が徐々に狭くなり、映像光複製部210の瞳拡大プリズム300の性能が向上し、より均一な輝度の映像を出力できる。
【0146】
また、少なくとも一つの第mの部分反射面320の反射率は、第m+1の部分反射面の反射率より小さくしたので、部分反射面320間の反射率が同じ箇所があってもよく、映像光複製部210の瞳拡大プリズム300を安価に製造できる。
【0147】
また、全ての第mの部分反射面320の反射率は、第m+1の部分反射面320の反射率より小さくしたので、部分反射面320間の反射率が徐々に大きくなり、映像光複製部210の瞳拡大プリズム300の性能が向上し、より均一な輝度の映像を出力できる。
【0148】
また、最終光学素子(最終レンズ332)から投射レンズ(投射光学部330)の射出瞳までの間の距離は、最終光学素子(最終レンズ332)から映像光が映像光複製部210に入射する入射面までの距離より長くしたので、人間の目に光を入れやすくなり、より均一な輝度の映像を出力できる。
【0149】
また、導光部230(導光板220)は、映像光複製部から出力された映像光が入力される光入力部221と、少なくとも一部の光を反射し、少なくとも一部の光を透過し、互いに略並行に設けられる複数のビームスプリッタ面17と、内部を伝達した映像光が出力される光出力部222とを有し、光出力部222は、映像光が全反射する導光部230(導光板220)の表面223、224のいずれかに設けたので、導光部230に回折格子を用いる場合と比較して、色むらが少ない画像を表示できる。
【0150】
また、本発明の実施例の映像表示システム100は、前述した映像表示装置101と、映像投影部200が映像光を投影するための投影映像信号を生成する画像信号処理部104とを備えるので、アイボックスが広く、輝度及び/又は色が均一な映像を表示できる。
【0151】
また、画像信号処理部104は、映像光複製部210又は導光部230の少なくとも一つの光学特性を補償するように変換された画像を出力するので、輝度及び/又はは色が均一な画像を表示できる。
【0152】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0153】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0154】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0155】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0156】
11:入射面、12:終端面、13:第1の内面反射面、14:第2の内面反射面、15:上面、16:下面、17:ビームスプリッタ面、100:映像表示システム、101:映像表示装置、102:コントローラー、104:画像信号処理部、105:電力供給部、106:記憶媒体、107:センシング部、108:センサ入出力部、109:通信部、110:通信入出力部、111:音声処理部、112:音声入出力部、120:利用者の目、200:映像投影部、201:光源部、202:照明光学部、203:パネル部、204:投射光学部、205:光源、206:集光レンズ、207:ダイクロイックミラー、208A:マイクロレンズアレイ、208B:レンズ、209:クロスプリズム、210:映像光複製部、220:導光板、221:光入力部、222:光出力部、223:内面反射面、224:内面反射面、230:導光部、300~303:瞳拡大プリズム、310:入射面、311:出射面、312~313:側面、314~315:反射側面、316:入射光、320:部分反射面、321:瞳拡大ビームスプリッタ、322:入射面、323:出射面、330:投射光学部、331:レンズ、332:最終レンズ、333:外形直径、334:最終レンズの出射面、335:光学有効直径、336:射出瞳、337:射出瞳直径、338:凹面ミラー、341:仮想光線、342~343:距離、351~354:光線、360:厚さ、400:三角プリズム、401:入射面、402:出射面、410:映像光、700:利用者、710:保持部、801~802:導光板、811:導光板、812~813:回折領域、821:導光板、822~824:回折領域、900:光源部、901:ファイバ、902:ファイバ走査素子、903:コリメートレンズ、904:端面、911:走査素子