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特許7161982計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20221020BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20221020BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019178249
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056690
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小見山 裕太
(72)【発明者】
【氏名】福田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】袴田 靖文
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-348461(JP,A)
【文献】特開2005-215962(JP,A)
【文献】特開2007-328550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母管から分岐される配管に設置される元弁と、前記母管の状態量を計測する計器を収納する計器収納盤と、を接続し、前記元弁に接続され、前記母管の熱伸びを吸収する第一計測配管と前記計器収納盤に接続される第二計測配管とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援装置であって、
前記第一計測配管の形状パターンを格納するデータベースと、前記元弁の位置、前記計器収納盤の位置、前記母管の移動量、前記元弁に接続される前記第一計測配管の方向に基づいて、前記データベースに格納される前記第一計測配管の形状パターンを抽出する演算装置と、を有することを特徴とする計測配管の経路設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載する計測配管の経路設計支援装置であって、
前記母管の移動量は、前記母管の合成移動量であることを特徴とする計測配管の経路設計支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載する計測配管の経路設計支援装置であって、
前記データベースに格納される前記第一計測配管の形状パターンは、前記母管の合成移動量毎に格納されることを特徴とする計測配管の経路設計支援装置。
【請求項4】
母管から分岐される配管に設置される元弁と、前記母管の状態量を計測する計器を収納する計器収納盤と、を接続し、前記元弁に接続され、前記母管の熱伸びを吸収する第一計測配管と前記計器収納盤に接続される第二計測配管とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援方法であって、
演算装置にて、前記元弁の位置、前記計器収納盤の位置、前記母管の移動量、前記元弁に接続される前記第一計測配管の方向に基づいて、データベースに格納される前記第一計測配管の形状パターンを抽出することを特徴とする計測配管の経路設計支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載する計測配管の経路設計支援方法であって、
前記母管の移動量は、前記母管の合成移動量であり、前記データベースに格納される前記第一計測配管の形状パターンは、前記母管の合成移動量毎に格納され、前記母管の合成移動量に基づいて、前記データベースに格納される前記第一計測配管の形状パターンが抽出されることを特徴とする計測配管の経路設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母管と母管を流通する流体の状態量(以下、母管の状態量)を計測する計器が収納される計器収納盤とを接続する計測配管の径路設計を支援する計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
母管の状態量を計測する場合には、元弁を介して、母管と計測配管とを接続し、計測配管に接続される計器収納盤に収納される計器を使用し、この計器に計測結果を表示する。
【0003】
計測配管は、母管の熱伸びを吸収するため、母管と計器収納盤とを接続する計測配管に、配管ループ構造を有する。配管ループ構造は、母管の熱伸びを吸収するように、元弁の位置情報などに基づいて、個別に設計される。
【0004】
配管ループ構造の計器収納盤側には、配管ループ構造を固定する第一サポート点を設置する。そして、第一サポート点の前側(上流側)の計測配管(配管ループ構造)で、母管の熱伸びを吸収する。また、母管と計器収納盤とを接続する計測配管は勾配を有し、この勾配が計測配管を流通する流体の逆流を防止する。
【0005】
こうした本技術分野の背景技術には、特開平6-309418号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、プラントを構成する複数の機器の接続関係を記載する二次元論理接続情報(二次元系統設計情報)を、プラントを構成する機器が設置される設置スペ-ス情報に基づき、三次元空間に展開し、立体構造物設置情報(三次元設置設計情報)を取得する三次元空間展開手段を有するプラント機器設計生産支援システムが記載される。そして、三次元空間展開手段は、複数の機器の接続関係を保持した状態で、これら複数の機器が設置される設置スペ-スの所定面に重ねて表示する手段と、これら複数の機器の接続関係を保持した状態で、設置スペ-スにこれらの複数の機器を移動する手段と、を有する(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-309418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、立体構造物設置情報を取得する三次元空間展開手段を有するプラント機器設計生産支援システムが記載される。つまり、特許文献1には、プラント機器の二次元系統設計情報から三次元設置設計情報を取得するプラント機器設計生産支援システムが記載される。
【0008】
しかし、特許文献1には、母管の熱伸びを考慮した計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法については、記載されていない。
【0009】
そこで、本発明は、母管の熱伸びを考慮し、計測配管の標準設計により設計コストを低減し、配管ループ構造の標準化により製造コストを低減する計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の計測配管の経路設計支援装置は、母管から分岐される配管に設置される元弁と、母管の状態量を計測する計器を収納する計器収納盤と、を接続し、元弁に接続され、母管の熱伸びを吸収する第一計測配管と計器収納盤に接続される第二計測配管とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援装置であって、第一計測配管の形状パターンを格納するデータベースと、元弁の位置、計器収納盤の位置、母管の移動量、元弁に接続される第一計測配管の方向に基づいて、データベースに格納される第一計測配管の形状パターンを抽出する演算装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の計測配管の経路設計支援方法は、母管から分岐される配管に設置される元弁と、母管の状態量を計測する計器を収納する計器収納盤と、を接続し、元弁に接続され、母管の熱伸びを吸収する第一計測配管と計器収納盤に接続される第二計測配管とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援方法であって、演算装置にて、元弁の位置、計器収納盤の位置、母管の移動量、元弁に接続される第一計測配管の方向に基づいて、データベースに格納される第一計測配管の形状パターンを抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、母管の熱伸びを考慮し、計測配管の標準設計により設計コストを低減し、配管ループ構造の標準化により製造コストを低減する計測配管の経路設計支援装置及び計測配管の径路設計支援方法を提供することができる。
【0013】
なお、上記した以外の課題、構成及び効果については、下記する実施例の説明により、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例に記載する母管11と計器110が収納される計器収納盤111とを接続する計測配管の径路を説明する説明図である。
図2】本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置を説明する説明図である。
図3】本実施例に記載する母管11の合成移動量31(0mm)を考慮した第一計測配管13の形状パターンを説明する説明図である。
図4】本実施例に記載する母管11の合成移動量41(20mm)を考慮した第一計測配管13の形状パターンを説明する説明図である。
図5】本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を、図面を使用して説明する。なお、実質的に同一又は類似の構成には、同一の符号を付し、説明が重複する場合には、その説明を省略する場合がある。
【実施例
【0016】
まず、本実施例に記載する母管11と計器110が収納される計器収納盤111とを接続する計測配管の径路を説明する。
【0017】
図1は、本実施例に記載する母管11と計器110が収納される計器収納盤111とを接続する計測配管の径路を説明する説明図である。
【0018】
母管11の状態量(母管11を流通する気体や液体(以下、流体)の流量や圧力など)を計測する場合には、母管11と計器収納盤111とを計測配管で接続する。計器収納盤111は、母管11の状態量を計測する計器110を収納する。そして、母管11と計測配管とは、元弁12を介して、接続される。なお、元弁12は、母管11から分岐される配管に設置される。
【0019】
計器収納盤111は、計測配管と接続する継手16、継手16と接続する配管17、配管17に設置されるドレン弁18、ドレン弁18の前側(上流側)で配管17から分岐し、計器110と接続する配管19、とを有する。
【0020】
なお、計器収納盤111には、計器110、継手16、配管17、ドレン弁18及び配管19のセットが、計測される母管11の状態量に応じて、設置される。つまり、複数の母管11の状態量を計測する場合には、複数のセットが設置される。
【0021】
これにより、母管11を流通する流体は、計測配管、配管17、配管19を流通し、計器110に供給される。そして、母管11の状態量、つまり、母管11を流通する流体の状態量が、計器110で計測される。
【0022】
また、計測配管は、第一計測配管(配管ループ構造)13と第二計測配管15とを有する。
【0023】
第一計測配管13には、第一計測配管13の計器収納盤111側の端部を固定する第一サポート点14が設置される。第一計測配管13は、第一サポート点14で固定される。つまり、第一計測配管13と第二計測配管15との間に、第一サポート点14が設置される。なお、第一計測配管13は、元弁12と第一サポート点14とを固定端とする。
【0024】
そして、第一計測配管13は、母管11の熱伸びを吸収する。第一計測配管13は、元弁12と第一サポート点14との間に、設置される。
【0025】
なお、第一計測配管13は、元弁12の位置(情報)、計器収納盤111の位置(情報)、母管11の移動量(情報)、元弁12に接続される第一計測配管13の方向(情報)に基づいて、母管11の熱伸びを吸収するように、設計される。つまり、第一計測配管13は、これら情報に基づいて、第一サポート点14の前側(上流側)の第一計測配管13で、母管11の熱伸びを吸収するように、設計される。
【0026】
第二計測配管15は、第一サポート点14の後側(下流側)に設置され、第一サポート点14と計器収納盤111に設置される継手16との間に、設置される。第二計測配管15は、計器収納盤111に設置される継手16に、接続する。
【0027】
そして、第一計測配管13及び第二計測配管15は、第一計測配管13及び第二計測配管15を流通する流体の逆流を防止するため、勾配20を有する。つまり、元弁12の位置と計器収納盤111の位置との間では、勾配20を有する。
【0028】
次に、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置を説明する。
【0029】
図2は、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置を説明する説明図である。
【0030】
本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置は、第一計測配管13の経路を決定する演算装置23と第一計測配管13の形状パターンを格納するデータベース22とを有する。入力装置21から演算装置22に情報が入力され、演算装置22にて演算された結果(第一計測配管13の形状パターン)が出力装置24に出力される。
【0031】
つまり、計測配管の経路設計支援装置は、特に、第一計測配管13の形状パターンを決定する。
【0032】
入力装置21から、任意の設計指示値(元弁12の位置、計器収納盤111の位置、母管11の移動量、元弁12に接続される第一計測配管13の方向)が入力される。なお、任意の設計指示値として、第二計測配管15に接続される第一計測配管13の方向や第1サポート点14の位置も、入力される場合がある。
【0033】
元弁12の位置とは、XYZ座標上に示される元弁12の位置を示すものである。
【0034】
計器収納盤111の位置とは、先のXYZ座標と同一のXYZ座標上に示される計器収納盤111の位置を示すものであり、例えば、継手16の位置を示すものである。つまり、計器収納盤111が設置される位置(継手16が設置される位置)を示すものである。
【0035】
そして、元弁12の位置と計器収納盤111の位置(継手16の位置)との間では、所定の勾配20を有する。
【0036】
母管11の移動量とは、母管11の熱伸びによる母管11の移動量であり、この母管11の移動量に基づいて、母管11の合成移動量が演算される。母管11の合成移動量とは、母管11の熱伸びによる母管11の移動量に基づいて演算されるものであり、先のXYZ座標におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれの方向への移動量に基づいて演算されるものである。
【0037】
元弁12に接続される第一計測配管13の方向とは、先のXYZ座標における元弁12と第一計測配管13とが接続する方向である。
【0038】
なお、第二計測配管15に接続される第一計測配管13の方向とは、先のXYZ座標における第二計測配管15と第一計測配管13とが接続する方向である。また、第1サポート点14の位置とは、先のXYZ座標と同一のXYZ座標上に示される第1サポート点14の位置(第一計測配管13と第二計測配管15との接続点)を示すものである。
【0039】
データベース22には、母管11の合成移動量毎に、第一計測配管13の形状パターンが格納される。そして、第一計測配管13の形状パターンとして、形状(平面図、アイソメ図(鏡対象図))、全長(第一計測配管13の長さ)、必要高さ(勾配20)が格納される。
【0040】
演算装置23は、入力される任意の設計指示値に基づいて、データベース22から最適な第一計測配管13の形状パターンを抽出する。つまり、第一計測配管13の経路を決定する。
【0041】
出力装置24は、抽出された最適な第一計測配管13の形状パターンを出力する。
【0042】
次に、本実施例に記載する母管11の合成移動量を考慮した第一計測配管13の形状パターンを説明する
図3は、本実施例に記載する母管11の合成移動量31(0mm)を考慮した第一計測配管13の形状パターンを説明する説明図であり、図4は、本実施例に記載する母管11の合成移動量41(20mm)を考慮した第一計測配管13の形状パターンを説明する説明図である。
【0043】
第一計測配管13の形状パターンは、データベース22に、母管11の合成移動量毎に格納される。母管11の合成移動量に基づいて、第一計測配管13の形状をパターン化し、母管11の合成移動量毎に、複数の形状パターンが格納される。図3では5つの形状パターンが、図4では7つの形状パターンが格納される。
【0044】
なお、図3及び図4に示す母管11の合成移動量は、許容値であり、図3では合成移動量31が0mm、図4では合成移動量41が0mmより大きく20mm以下を示す。なお、データベース22には、合成移動量が20mmより大きく40mm以下を示すもの(図示なし)なども格納される。
【0045】
図3は、母管11の合成移動量31が0mmの場合である。形状32として、平面図、アイソメ図(鏡対象図)が格納される。全長L33として、第一計測配管13の長さが格納される。必要な高さH34として、例えば、1/50(50mmで1mm降下)又は1/10(10mmで1mm降下)が格納される。
【0046】
なお、形状32として、二次元図面である平面図や三次元図面である立体視された形状を示すアイソメ図(鏡対象図)も格納される。これら平面図やアイソメ図(鏡対象図)に示される配管端(ToやFrom)は、第一計測配管13が、それぞれ元弁12や第二計測配管15と接続する端部である。
【0047】
また、全長L33は、第一計測配管13が、直線のパイプやチューブを加工して、形成されるために、格納される。つまり、全長L33は、第一計測配管13の長さであり、元弁12から第一サポ-ト点14(第二計測配管15)までの長さである。
【0048】
また、第一計測配管13及び第二計測配管15は、第一計測配管13及び第二計測配管15を流通する流体の逆流を防止するため、勾配20を有する。このため、必要高さH34を格納する。つまり、勾配20を考慮した、第一計測配管13の鉛直方向に必要な高さの制限値を格納する。
【0049】
なお、図3に記載される形状32は、2箇所の屈曲部を有する。
【0050】
図4は、母管11の合成移動量41が20mmの場合である。形状42として、平面図、アイソメ図、(鏡対象図)が格納される。全長L43として、第一計測配管13の長さが格納される。必要な高さH44として、例えば、1/50(50mmで1mm降下)又は1/10(10mmで1mm降下)が格納される。
【0051】
なお、形状42として、二次元図面である平面図や三次元図面である立体視された形状を示すアイソメ図(鏡対象図)も格納される。これら平面図やアイソメ図(鏡対象図)に示される配管端(ToやFrom)は、第一計測配管13が、それぞれ元弁12や第二計測配管15と接続する端部である。
【0052】
また、全長L43は、第一計測配管13が、直線のパイプやチューブを加工して、形成されるために、格納される。つまり、全長L43は、第一計測配管13の長さであり、元弁12から第一サポ-ト点14までの長さである。
【0053】
また、第一計測配管13及び第二計測配管15は、第一計測配管13及び第二計測配管15を流通する流体の逆流を防止するため、勾配20を有する。このため、必要高さH44を格納する。つまり、勾配20を考慮した、第一計測配管13の鉛直方向に必要な高さの制限値を格納する。
【0054】
なお、図4に記載される形状42は、3箇所の屈曲部を有する。
【0055】
図4に示すシートは、図3に示すシートに比較して、母管11の熱伸びによる母管11の移動量が大きい(母管11の合成移動量が大きい)。つまり、図4に示す場合は、図3に示す場合に比較して、第一計測配管13に対する熱伸びの影響も大きくなり、図4に示す第一計測配管13の熱伸びは、図3に示す第一計測配管13の熱伸びに比較して、大きくなる。
【0056】
これにより、第一計測配管13の形状パターンは、データベース22に、母管11の合成移動量毎に格納され、図4に記載される形状42は、図3に記載される形状32に比較して、より大きく、第一計測配管13の熱伸びを吸収することができる。
【0057】
このように本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置の演算装置23は、以下の演算や抽出(検索)などを実行する。
【0058】
入力装置21から入力される母管11の移動量に基づいて、許容値である母管11の合成移動量を、演算する。つまり、母管11のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれの方向への母管11の移動量に基づいて、これらを合成した母管11の合成移動量を演算する。
【0059】
演算された母管11の合成移動量に基づいて、データベース22に格納される複数の第一計測配管13の形状パターンから、演算された母管11の合成移動量に対応する第一計測配管13の形状パターン(シート)を抽出する。つまり、例えば、合成移動量が0mmの場合は図3のシートを抽出し、合成移動量が0mmより大きく20mm以下の場合は図4のシートを抽出する。
【0060】
次に、入力装置21から入力される元弁12の位置(XYZ座標データ)、計器収納盤111の位置(XYZ座標データ)に基づいて、元弁12と計器収納盤111との位置関係が演算される。つまり、元弁12と計器収納盤111との空間上の方向(元弁12から見て、計器収納盤111がどの方向に位置するか)が演算される。この空間上の方向は、元弁12の位置と計器収納盤111の位置とを直線で接続した場合における、この直線の方向である。これにより、元弁12の位置と計器収納盤111の位置との間の距離と共に、元弁12の位置と計器収納盤111の位置との間の上下方向の距離も演算される。
【0061】
次に、元弁12に接続される第一計測配管13の方向に基づいて、抽出された第一計測配管13の形状パターン(シート)から、第一計測配管13の形状パターンを抽出する。
【0062】
図1において、母管11が設置される方向をX軸、X軸に水平な方向をY軸、X軸及びY軸に垂直な方向(上下方向)をZ軸とする場合、例えば、合成移動量が0mmの場合(図3のシートが抽出される場合)であって、図1に示すように、元弁12に接続される第一計測配管13の方向がZ軸(下方向)の場合には、形状パターン(No.4)が抽出される。そして、この場合は、例えば、第一計測配管13は、X軸方向に、第二計測配管15と接続される。
【0063】
また、例えば、合成移動量が0mmの場合(図3のシートが抽出される場合)であって、元弁12に接続される第一計測配管13の方向がY軸(水平方向)の場合(図示なし)には、形状パターン(No.5)が抽出される。そして、この場合は、例えば、第一計測配管13は、Y軸方向に、第二計測配管15と接続される。
【0064】
また、抽出された形状パターンに対して、必要な高さH44(例えば、1/50又は1/10)が選択される。つまり、元弁12の位置と計器収納盤111の位置との間の距離に基づいて、設定可能な必要な高さH44が選択される。
【0065】
なお、例えば、形状パターン(No.4)のように、形状パターンにZ軸の配管が存在する場合には、このZ軸の配管の長さは、元弁12の位置と計器収納盤111の位置との間の上下方向の距離に基づいて、勾配20が設定可能な長さに設定される。
【0066】
そして、演算装置23は、抽出された最適な第一計測配管13の形状パターンを、出力装置24に出力する。
【0067】
なお、第一計測配管13の形状パターンが抽出された後、他の配管や機器との干渉を考慮し、第一計測配管13と第二計測配管15との接続方向を考慮し、第二計測配管15を設計する。
【0068】
本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置は、母管11から分岐される配管に設置される元弁12と、母管11の状態量を計測する計器110を収納する計器収納盤111と、を接続し、元弁12に接続され母管11の熱伸びを吸収する第一計測配管13と計器収納盤111に接続される第二計測配管15とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援装置である。
【0069】
そして、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援装置は、第一計測配管13の形状パターンを格納するデータベース22と、元弁12の位置、計器収納盤111の位置、母管11の移動量、元弁12に接続される第一計測配管13の方向に基づいて、データベース22に格納される第一計測配管13の形状パターンを抽出する演算装置22と、を有する。
【0070】
本実施例によれば、母管11の熱伸びを考慮し、第一計測配管13の空間上の計測配管ルートを設計することができ、第一計測配管13の標準設計により設計コストを低減し、配管ループ構造(第一計測配管13)の標準化により製造コストを低減することができる。
【0071】
次に、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法を説明する。
【0072】
図5は、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法を説明する説明図である。
【0073】
本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法は、以下の演算や抽出(検索)などを有する。
【0074】
最初に、母管11の熱伸びによる母管11の移動量を取得する。そして、母管11の熱伸びによる母管11の合成移動量を演算する(S101)。
【0075】
次に、データベース22より、母管11の合成移動量に対応する第一計測配管13の形状パターン(シート)を抽出する(S102)。
【0076】
次に、元弁12の位置、計器収納盤111の位置を取得する(S103)。
【0077】
最後に、敷設可能な第一計測配管13の形状パターンを出力する(S104)。
【0078】
なお、計器収納盤111には、複数の母管11の状態量を計測するため、複数の計器110が設置される場合がある。このように、計器収納盤111に複数の計器110が設置される場合には、S101~S104を繰り返す。
【0079】
そして、計器収納盤111に複数の計器110を設置する場合には、第一計測配管13の形状パターンの抽出を繰り返し、複数の第一計測配管13の形状パターン同士が干渉しないことを確認し、複数の第一計測配管13の形状パターンを決定する。
【0080】
このように、元弁12の位置、計器収納盤111の位置、元弁12に接続される第一計測配管13の方向に基づいて、第一計測配管13の形状パターンを抽出する。
【0081】
本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法は、母管11から分岐される配管に設置される元弁12と、母管11の状態量を計測する計器110を収納する計器収納盤111と、を接続し、元弁12に接続され母管11の熱伸びを吸収する第一計測配管13と計器収納盤111に接続される第二計測配管15とを有する計測配管の経路設計を支援する経路設計支援方法である。
【0082】
そして、本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法は、演算装置22にて、元弁12の位置、計器収納盤111の位置、母管11の移動量、元弁12に接続される第一計測配管13の方向に基づいて、データベース22に格納される第一計測配管13の形状パターンを抽出する。
【0083】
そして、母管11の移動量は、母管11の合成移動量であり、データベース22に格納される第一計測配管13の形状パターンは、母管11の合成移動量毎に格納され、母管11の合成移動量に基づいて、データベース22に格納される第一計測配管13の形状パターン(シート)が抽出される。
【0084】
なお、抽出された第一計測配管13の形状パターンは、施工が許容されるか否かが、必要高さHなどから判断される。
【0085】
本実施例に記載する計測配管の経路設計支援方法によれば、母管11の熱伸びを考慮し、第一計測配管13の空間上の計測配管ルートを設計することができ、第一計測配管13の標準設計により設計コストを低減し、配管ループ構造(第一計測配管13)の標準化により製造コストを低減することができる。
【0086】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を有するものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
11…母管、12…元弁、13…第一計測配管、14…第一サポート点、15…第二計測配管、16…継手、17…配管、18…ドレン弁、19…配管、110…計器、111…計器収納盤、21…入力装置、22…データベース、23…演算装置、24…出力装置、31…合成移動量、32…形状、33…全長、34…必要高さ、41…合成移動量、42…形状、43…全長、44…必要高さ。
図1
図2
図3
図4
図5