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特許7161995消毒プロセスの有効性を判定する物品及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】消毒プロセスの有効性を判定する物品及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/08 20200101AFI20221020BHJP
   C12Q 1/18 20060101ALI20221020BHJP
   A61L 2/28 20060101ALI20221020BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20221020BHJP
   D06M 14/10 20060101ALI20221020BHJP
   D06M 15/267 20060101ALI20221020BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221020BHJP
   A01N 35/04 20060101ALN20221020BHJP
   A61L 101/36 20060101ALN20221020BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20221020BHJP
   A61L 101/34 20060101ALN20221020BHJP
   A61L 101/32 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
C12N11/08
C12Q1/18
A61L2/28
A61L2/18
A61L2/18 102
D06M14/10
D06M15/267
A61B1/00 550
A61B1/00 650
A01N35/04
A61L101:36
A61L101:22
A61L101:34
A61L101:32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019535254
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 US2017068176
(87)【国際公開番号】W WO2018125798
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】62/439,557
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/474,108
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/592,547
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ベンナールス-エイデン,アスンプタ エー.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ボニーラ,トーニャ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コネル,ジョディ エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイル,アンドリュー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】スゴラストラ,フェデリカ
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-007575(JP,A)
【文献】特表平08-510646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0099413(US,A1)
【文献】米国特許第06352837(US,B1)
【文献】特開2006-280933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
D06M
A61B
C12N
C12Q
C12M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフト化されたコポリマーを有する不織布基材であって、前記コポリマーが、共重合した下記のモノマー単位:
第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、
アミドモノマー、及び
オキシモノマー、
を含む、不織布基材と、
前記基材に接着された乾燥コーティングであって、
溶性又は水分散性ポリマー結合剤と、
芽胞を含む、複数の試験微生物と、を含む、乾燥コーティングと、
を含み、複数の試験微生物の少なくとも一部分が、ポリマー結合剤中に分散されている消毒または滅菌プロセスの有効性を検証するための物品。
【請求項2】
前記グラフト化されたコポリマーが、
a.10~50重量部の前記カチオン性窒素含有配位子モノマーと、
b.10~80重量部の前記アミドモノマーと、
c.10~40重量部の前記オキシモノマーと
含み、
a)~)の合計は、100重量部である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
第1の開口部と前記第1の開口部から間隔があいている第2の開口部とを有する中空チャネルを有する本体と、
前記中空チャネル内に固定的に配置された、請求項1又は2に記載の物品と、を備える、工程試験用具。
【請求項4】
前記物品が、前記第1の開口部から前記第2の開口部まで前記中空チャネルを通過する流体が前記物品と接触するように、前記中空チャネル内に構成および配置されている、請求項3に記載の工程試験用具。
【請求項5】
請求項3に記載の工程試験用具の前記中空チャネルを通して消毒剤を流すことであって、前記中空チャネルを通して前記消毒剤を流すことが、前記物品を前記消毒剤と3分から90分の最小接触時間で接触させることを含む、流すことと、
前記中空チャネルを通して前記消毒剤を流している間、及び/又は前記中空チャネルを通して前記消毒剤を流した後に、前記物品を前記中空チャネル内の前記消毒剤と既定の温度にて少なくとも前記最小接触時間で接触させることと、
前記物品を前記消毒剤と少なくとも前記最小接触時間で接触させた後に、前記物品を前記消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、
前記物品を検出培地と一定期間接触させることと、
前記物品を前記検出培地と一定期間接触させた後に、前記検出培地を分析して、前記試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の物品をフローストリーム中の消毒剤と少なくとも3分から90分の最小接触時間で接触させることと、
前記物品を前記消毒剤と少なくとも前記最小接触時間で接触させた後に、前記物品を前記消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、
前記物品を検出培地と一定期間接触させることと、
前記物品を前記検出培地と一定期間接触させた後に、前記検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
内視鏡検査法は、疾病の予防、診断及び治療に有益な役割を果たす。内視鏡検査法は、複雑で再利用可能な可撓性機器を用いて実施され、この可撓性機器は、中空の体内に挿入されると、患者の生体材料、及び潜在的な病原体を含む微生物によって激しく汚染された状態になる可能性がある。患者間における可撓性内視鏡の注意深い再処理は、相互汚染、及び病原体の起こり得る伝染のリスクを低減するために極めて重要である。
【0002】
可撓性内視鏡は、医療デバイス用のスポルディングの分類によればセミクリティカルとみなされ、したがって、こうしたデバイスを高水準消毒によって汚染除去することが必要である。したがって、内視鏡と再利用可能な付属品はどちらも、使用前、使用中及び使用後、並びに洗浄後及び高水準消毒前を含めた、それらの使用及び再生処理の過程で頻繁に目視検査することが推奨されている。しかしながら、目視に基づく検証方法を可撓性内視鏡に適用するときには厳しい制限があり、それは、こうしたデバイス内の複雑で狭い管腔を直接的に目視検査することができないためである。
【0003】
可撓性内視鏡を、病原性微生物、及び内視鏡処置を受ける患者間での疾病の伝染を軽減する水準まで洗浄及び消毒するために、自動内視鏡洗浄装置(AER)(automated endoscope reprocessor)が用いられる。通常、使用者にとって入手可能な情報は、主に時間及び温度の情報からなる、AER装置自体によって提供されるパラメータ情報のみである。AERは、消毒サイクルの有効性を確かめることが可能な化学的パラメータを監視しない。液体消毒剤を使用する消毒プロセスの有効性を監視するための改善された生物学的インジケータが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、概ね、消毒プロセスの有効性を検証する物品及び用具に関する。具体的には、本開示は、消毒する品目を液体消毒剤と接触させる、消毒プロセスの有効性を検証するための方法及び用具に関する。
【0005】
一態様では、本開示は物品を提供する。物品は、不織布基材と、基材に接着された乾燥コーティングと、を含むことができる。不織布基材は、それにグラフト化されたコポリマーを有することができる。コポリマーは、共重合した下記のモノマー単位:第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、アミドモノマー、及びオキシモノマー、を含むことができる。乾燥コーティングは、複数の試験微生物を含むことができる。
【0006】
上記実施形態のいずれかにおいて、グラフト化されたコポリマーは、a)10~50重量部のカチオン性窒素含有配位子モノマーと、b)10~80重量部のアミドモノマーと、c)10~40重量部のオキシモノマーと、0~30重量部のポリ(アルキレンオキシド)モノマーと、を含むことができ、a)~d)の合計は、100重量部である。物品の上記実施形態のいずれかにおいて、乾燥コーティングは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤を更に含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、不織布基材は、疎水性熱可塑性ポリオレフィンのメルトブローマイクロファイバーを含むことができる。上記の実施形態のいずれかにおいて、物品はコポリマー対不織布基材の重量比を有することができ、その重量比が、1部の不織布基材に対して約0.5~3部のコポリマーであることができる。
【0007】
上記の実施形態のいずれかにおいて、試験微生物は、芽胞を含む。上記の実施形態のいずれかにおいて、芽胞は、糸状菌の種の芽胞を含むことができる。上記実施形態のいずれかにおいて、芽胞は、アスペルギルス・ブラジリエンシス、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、又はアスペルギルス・ニデュランスの芽胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、試験微生物は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス及びバチルス・アトロフェウス(以前から、バチルス・ズブチルスとして既知)を含むことができる。
【0008】
上記の実施形態のいずれかにおいて、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーは、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含み得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーは、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含み得、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、グリシジルメタクリレートを含み得、コポリマーを製造するのに使用されるアミドモノマーは、N-ビニルピロリドンを含み得る。
【0009】
別の態様では、本開示は、工程試験用具を提供する。工程試験用具は、第1の開口部と第1の開口部から間隔があいている第2の開口部とを有する中空チャネルを有する本体と、中空チャネル内に固定的に配置された物品と、を備えることができる。物品は、不織布基材と、基材に接着された乾燥コーティングと、を含むことができる。不織布基材は、それにグラフト化されたコポリマーを有することができる。コポリマーは、共重合した下記のモノマー単位:第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、アミドモノマー、及びオキシモノマー、を含むことができる。乾燥コーティングは、複数の試験微生物と、任意選択的な水溶性又は水分散性ポリマー結合剤と、を含むことができる。
【0010】
上記の実施形態のいずれかにおいて、工程試験用具は、検出培地を収容するリザーバを更に備え得る。リザーバは、物品と選択的に流体連通するように配置することができる。いくつかの実施形態では、検出培地は、試験微生物の発芽及び/又は増殖を促進する有効量の栄養素、試験微生物代謝活性の検出を促進する指示薬化合物、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物、並びに前述の試薬のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される試薬を含むことができる。
【0011】
上記の実施形態のいずれかにおいて、工程試験用具の本体は、中空チャネルを形成する壁を含み、壁の一部分は、試験微生物又は試験微生物の代謝活性物の生成の光学的評価を可能にする。
【0012】
更に別の態様では、本開示は、第1の方法を提供する。本方法は、工程試験用具の上記実施形態のいずれかの中空チャネルを通して消毒剤を流すことを含むことができ、工程試験用具は、検出培地を収容するリザーバを備え、検出培地は、有効量の栄養素及び指示薬化合物を含み、中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、物品を消毒剤と接触させることを含む。第1の方法は、中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることと、物品を消毒剤と少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させることと、物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させた後に、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定することと、を更に含むことができる。
【0013】
更に別の態様では、本開示は、第2の方法を提供する。本方法は、物品をフローストリーム中の消毒剤と少なくとも既定の最小接触時間で接触させることを含むことができる。物品は、不織布基材と、基材に接着された乾燥コーティングと、を含むことができる。不織布基材は、それにグラフト化されたコポリマーを有することができる。コポリマーは、共重合した下記のモノマー単位:第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、アミドモノマー、及びオキシモノマー、を含むことができる。乾燥コーティングは、複数の試験微生物と、任意選択的な水溶性又は水分散性ポリマー結合剤と、を含むことができる。第2の方法は、物品を消毒剤と少なくとも最小接触時間で接触させた後に、物品を消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、物品を検出培地と一定期間接触させることと、物品を検出培地と一定期間接触させた後に、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を更に含むことができる。
【0014】
第1の方法又は第2の方法の上記実施形態のいずれかにおいて、最小接触期間は、約3分~約90分であり得る。第1の方法又は第2の方法の上記実施形態のいずれかにおいて、物品を検出培地と一定期間接触させることは、物品を検出培地と約5分~約48時間接触させることを含む。
【0015】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、ある特定の状況下である特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを含意するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から排除することを意図するものでもない。
【0016】
本明細書で用いる場合、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び「1つ以上の(one or more)」は、互換的に用いられる。したがって、例えば、「1つの」不織布基材は、「1つ以上の」不織布基材を意味するように、解釈され得る。
【0017】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0018】
本明細書で用いる場合、「ヒドロカルビル」は、アリール及びアルキルを含む。
【0019】
本明細書で用いる場合、「(ヘテロ)ヒドロカルビル」は、ヒドロカルビルアルキル及びアリール基、並びにヘテロヒドロカルビルヘテロアルキル及びヘテロアリール基を含み、後者は、エーテル又はアミノ基などの1つ以上の懸垂型(鎖中)ヘテロ原子を含む。ヘテロヒドロカルビルは、任意選択的に、エステル官能基、アミド官能基、尿素官能基、ウレタン官能基、及びカーボネート官能基などの、1つ以上のカテナリー(鎖中)官能基を含有し得る。特に指示がない限り、非ポリマー(ヘテロ)ヒドロカルビル基は、典型的には、1~60個の炭素原子を含有する。本明細書で用いられるようなヘテロヒドロカルビルのいくつかの例としては、これらに限定されるものではないが、上記の「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」について記載されたものに加え、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、4-ジフェニルアミノブチル、2-(2’-フェノキシエトキシ)エチル、3,6-ジオキサヘプチル、3,6-ジオキサヘキシル-6-フェニルが挙げられる。
【0020】
本明細書で用いる場合、「(ヘテロ)アリーレン」は、アリーレン及びヘテロアリーレンを含む。
【0021】
本明細書で用いる場合、「成長」は、例えば、芽胞の発芽によって形成される栄養細胞を含む栄養細胞の増殖及び/又は繁殖の生物学的プロセスを指す。
【0022】
また、本明細書において、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0023】
本発明の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで理解される。本発明のこれら並びに他の特徴及び利点は、本発明の様々な例証となる実施形態との関連で後述され得る。
【0024】
上記の本発明の概要は、本発明について開示される各実施形態又は全ての実施の記載を意図したものではない。以下の図面及び発明を実施するための形態は、実例となる実施形態をより具体的に例示するものである。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、かつ特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示による物品の一実施形態の平面図である。
【0026】
図2図1の物品の側面図である。
【0027】
図3】本開示による工程試験用具の一実施形態の斜視図である。
【0028】
図4図3の工程試験用具の分解図である。
【0029】
図5】本開示による工程試験用具の代替実施形態の平面図である。
【0030】
図6】本開示による方法の一実施形態のブロック図である。
【0031】
図7】本開示による別の方法の一実施形態のブロック図である。
【0032】
図8】本開示による更に別の方法の一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示のいずれかの実施形態の詳細な説明に先立ち、本発明はその適用において、以下の説明に記載又は以下の図面に例示の構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなしてはならないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びこれらの変化形の使用は、その後に列記される項目及びこれらの同等物、並びに追加的な項目を包含することを意味する。別途特定又は限定されない限り、「接続される(connected)」及び「連結される(coupled)」という用語、並びにそれらの変化形は、広い意味で使用されるものであり、直接的及び間接的な接続及び連結の両方を包含する。更に、「接続される」及び「連結される」は、物理的又は機械的な接続又は連結に制限されない。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用すること、及び構造的又は論理的な変更を行うことが可能であることを理解されたい。更に、「前」、「後」、「上」、「下」などの用語は、各要素の互いに対する関係を説明するためにのみ使用されるものであり、装置の特定の向きを示すこと、装置の必要若しくは必須な向きを指示若しくは示唆すること、又は本明細書に記載される発明が使用時にどのように使用、装着、表示、若しくは配置されるかを指定することを目的とするものでは決してない。
【0034】
本開示は、概ね、消毒又は滅菌プロセスの有効性を検証するために使用され得る物品、用具、及び方法に関する。具体的には、本開示は、その上にコーティングされたポリマーマトリックス中に配置された微生物の組成物を有する不織布キャリアを含む物品に関する。有利には、物品は、物品から微生物を実質的に放出することなく、液体(例えば、物品によって、及び/又は物品を通って流れる流動性水性液体)に一定期間浸漬することができる。したがって、消毒剤の液体フローストリームを使用する消毒プロセス(例えば、内視鏡を洗浄及び消毒するためのプロセス)を確証するために、物品を使用することができる。
【0035】
一態様では、本開示は物品を提供する。図1及び図2は、本開示による物品100の一実施形態の様々な図を示す。物品100は、基材10と、基材に接着された乾燥コーティング20と、を含む。任意の実施形態では、基材10は、シート状材料であり得る。基材10に好適なシート状材料の例は、例えば、メルトブロー繊維(例えば、疎水性熱可塑性オレフィンのメルトブロー繊維)を含む不織布などの不織布である。
【0036】
基材が不織布基材である任意の実施形態では、不織布基材は、不織布基材1平方メートル当たり約15~50mの表面積を有する。基材が不織布基材である任意の実施形態では、不織布基材は、20%未満のソリディティを有する。
【0037】
基材がメルトブローマイクロファイバーを含む不織布基材である任意の実施形態では、基材は、それにグラフト化されたコポリマー(図示せず)を有することができる。コポリマーは、共重合した下記のモノマー単位:第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、アミドモノマー、及びオキシモノマー、を含むことができる。グラフト化されたコポリマーを有する好適な不織布ポリマーは、「Nonwoven Article Gafter with Copolymer」と題された国際公開第2013/162695号に記載されており、これは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。本開示の物品を製造するのに使用されるグラフト化されたコポリマーを製造するための好適なモノマー単位も、国際公開第2013/162695号に記載されている。
【0038】
任意の実施形態では、グラフト化されたコポリマーは、約10~50重量部のカチオン性窒素含有配位子モノマーと、約10~80重量部のアミドモノマーと、約10~40重量部のオキシモノマーと、を含むことができる。任意選択的に、グラフト化されたコポリマーは、約0~30重量部のポリ(アルキレンオキシド)モノマーを含むことができる。上記モノマーの各々の部分の合計は、100重量部である。任意の実施形態では、グラフト化ポリマーの重量は、不織布基材の重量の0.5~5倍であり得る。ポリマーがポリ(アルキレンオキシド)を含む任意の実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)は、20,000ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0039】
ポリマーグラフト化された物品は、不織布基材と、グラフト化されたコポリマーと、を含み、コポリマーが、共重合した下記のモノマー単位:a)カチオン性窒素含有配位子モノマー、b)アミドモノマー、及びc)「オキシ」モノマーを含む。カチオン性窒素含有配位子モノマーは、第四級アンモニウム含有配位子モノマー及びグアニジニル含有配位子モノマーを含む。「オキシ」モノマーは、エポキシモノマー及びC~C10、好ましくはC~Cのモノエーテル含有モノマーを含む。より具体的には、グラフト化されたコポリマーは、共重合した下記のモノマー単位:
a.10~50重量部のカチオン性窒素含有配位子モノマーと、
b.10~80重量部のアミドモノマーと、
c.10~40重量部のオキシモノマーと、を含み、
a~cの合計は、100重量部である。
【0040】
カチオン性窒素含有配位子モノマーは、一般式:
【化1】
[式中、Xは-O-又は-NR-であり、RはH又はC~Cアルキル-であり、Rは(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはヒドロカルビル基、より好ましくはC~Cアルキレンであり、RLigは第四級アンモニウム配位子基又はグアニジニル含有配位子基である]のものである。
【0041】
任意の実施形態では、カチオン性窒素含有配位子モノマーは、第四級アンモニウムモノマーであり、一般式:
【化2】
[式中、Xは-O-又は-NR-であり、各RはH又はC~Cアルキル、好ましくはH又はメチルであり、Rはアルキレン(例えば、1~10個の炭素原子、1~6個、又は1~4個の炭素原子を有するアルキレン)であり、各Rは独立して、水素、アルキル、又はアリールである。)であり、ヒドロキシル基によって置換されてもよい]のものである。第四級アンモニウム塩の対イオンは、多くの場合、ハライド、サルフェート、ホスフェート、ナイトレートなどである。第四級アンモニウム基を有するこのようなモノマーを、好ましくは、(明細書に記載される追加コモノマーの存在下において)不織布基材の表面に直接グラフトしてもよく、又は、あまり好ましくないが、第一級、第二級又は第三級アミン基を有するアミノアルキル(メタ)アクリロイルモノマーをグラフトした後、アルキル化によって式IIの第四級アンモニウム基に変換してもよい。
【0042】
有用なアミノアルキル(メタ)アクリレート(すなわち、式II中では、オキシ)としては、トリアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、例えば、トリメチルアミノエチルメタクリレート、トリメチルアミノエチルアクリレート、トリエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミノエチルアクリレート、トリメチルアミノプロピルメタクリレート、トリメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルブチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルブチルアミノプロピルアクリレートなどが挙げられる。
【0043】
例示的なアミノ(メタ)アクリルアミド(すなわち、式II中のXは-NR-)としては、例えば、3-(トリメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、3-(トリエチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、3-(エチルジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミドが挙げられる。
【0044】
式Iのアミノアルキル(メタ)アクリロイルモノマーの好適な第四級塩としては、これらに限定されるものではないが、(メタ)アクリルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、3-メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及び3-アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクリイド)及び(メタ)アクリルオキシアルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、2-アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、及び2-アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート)が挙げられる。
【0045】
グラフト化されたコポリマーは、100重量部の全グラフトモノマーに対して、10~50重量部、好ましくは20~40重量部のこのような第四級アミンモノマー単位を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、グラフト化されたコポリマーは、式IIIa又はbのカチオン性グアニジニル含有配位子モノマーを含む。このような化合物は、アグマチン含有配位子、グアニジン及びビグアニド含有配位子を含んでもよい。
【化3】
【化4】
[式中、
は(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくは1~10個の炭素原子を有する二価アルキレンであり、
各Rは独立して、H又はヒドロカルビル、好ましくはC~Cアルキルであり、
14はH、C~Cアルキル又は-N(Rであり、
15はH又はヒドロカルビル、好ましくはC~Cアルキル又はアリールであり、
は-O-又は-NR-であり、
oは0又は1であり、かつ
nは1又は2である]。
【0047】
このような配位子モノマーは、アルケニル化合物又はアルケノイル化合物、典型的には(メタ)アクリロイルハライド、(メタ)アクリロイルイソシアネート、又はアルケニルアズラクトンと、式IVa又はIVb:
【化5】
【化6】
[式中、X、及びR、R、R14、R15、及びnは、上に定義したとおりである]の化合物との縮合により調製することができる。
【0048】
他の配位子モノマーは、カルボニル含有モノマー、例えば、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ジアセトンアクリルアミド又はアセトアセトキシエチルメタクリレートと、式IVa又はIVbの化合物との縮合により調製することができる。
【0049】
グラフト化されたコポリマーは、100重量部の全グラフトモノマーに対して、10~50重量部、好ましくは20~40重量部のこのようなカチオン性グアニジニル含有配位子モノマー単位を含んでもよい。カチオン性窒素含有配位子モノマーは、式IIの第四級アミンモノマー単位、式IIIa又はbのグアニジニル含有モノマー単位、又はそのようなモノマー単位の両方の混合物を含んでもよい。
【0050】
グラフト化されたコポリマーは、エポキシ官能性モノマー単位及びアルキルエーテル官能性モノマー単位を含む「オキシモノマー」単位を更に含む。望ましくは、オキシモノマーは、15~25g/Lの水溶性を有する。このような「オキシモノマー」としては、エポキシ官能性及びモノエーテル官能性の、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドが挙げられ、並びに一般式:
【化7】
[式中、
は-H又はC~Cアルキルであり、
は-NR-又はOであり、
はエポキシ官能性又はエーテル官能性(ヘテロ)ヒドロカルビル基である]のものが挙げられる。より詳細には、エーテル官能基は、低級アルキレンオキシアルキル基である。好ましくは、R基は、オキシラン(エポキシ)基を有する2~30個の炭素原子の直鎖、分枝鎖、環状又は多環式炭化水素に基づいている。より好ましくは、R基は、グリシジルメタクリレート(GMA)のように、3~10個の炭素を含む。
【0051】
いくつかの好ましいエポキシモノマーは、式:
【化8】
[式中、
は(ヘテロ)ヒドロカルビル基、好ましくはヒドロカルビル基、より好ましくはC~Cアルキレンであり、
は-H又はC~Cアルキルであり、
は-NR-又は-O-である]のものである。
【0052】
代表的なエポキシモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、チオグリシジル(メタ)アクリレート、3-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル(メタ)アクリレート、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-(4-(メタ)アクリロイルオキシ-フェニル)プロパン、4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0053】
有用な一実施形態では、エポキシ官能性モノマーは、スキーム1:
【化9】
[式中、RはC~Cアルキレンである]に示されるビニルジメチルアズラクトンとヒドロキシアルキルエポキシ化合物との反応から誘導される。
【0054】
グラフト化されたコポリマー中のこれらのモノマーのエポキシ基は、加水分解的に開環して、コポリマー上に末端ペンダントジオール基を提供すると考えられる。したがって、元のグラフト化疎水性エポキシ基は、加水分解して、グラフト化されたコポリマーに親水性ジオール基を提供する。
【0055】
あるいは、「オキシモノマー」は、低級アルキルエーテル官能性モノマーから選択されてもよい。このようなエーテル官能性モノマーは、以下の式:
【化10】
[式中、
は-H又はC~Cアルキルであり、
は-NR-又は-O-であり、
12は直鎖又は分枝鎖C~Cアルキレンであり、
13は直鎖又は分枝鎖C~Cアルキルである]の低級モノマーエーテルモノマーを含む。好ましくは、R12基及びR13基の炭素原子の合計は、3~10個、好ましくは3~6個である。
【0056】
グラフト化されたコポリマーは、100重量部の全グラフトモノマーに対して、10~40重量部、好ましくは15~35重量部のこのようなオキシモノマー単位を含んでもよい。
【0057】
グラフト化されたポリマーは、任意選択的に、他のエチレン性不飽和親水性アミドモノマー単位を含有する。本明細書で用いる場合、これらの「親水性モノマー」は、曇点に到達することなく、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%の水混和性(モノマー中の水)を有する重合性アミドモノマーである。親水性アミドモノマー単位は、一般式:
【化11】
[式中、
は-H又はC~Cアルキルであり、
各RはH、アルキル又はアリール基であり、
及びR10はアルキル基であるか、又は一緒になって5若しくは6員環を形成し得る]の(メタ)アクリルアミド及びN-ビニルアミドを含む。
【0058】
好適な親水性モノマーの例としては、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド、モノ-又はジ-N-アルキル置換アクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい極性モノマーとしては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルアセトアミド、メチルアクリルアミド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
グラフト化されたコポリマーは、100重量部の全グラフトモノマーに対して、10~80重量部、好ましくは30~60重量部のこのようなアミドモノマー単位を含んでもよい。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態では、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーは、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、グリシジルメタクリレートを含む。いくつかの好ましい実施形態では、コポリマーを製造するのに使用されるアミドモノマーは、N-ビニルピロリドンを含む。好ましい実施形態では、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーは、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含み、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、グリシジルメタクリレートを含み、コポリマーを製造するのに使用されるアミドモノマーは、N-ビニルピロリドンを含む。
【0061】
任意の実施形態では、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマー及びオキシモノマーはそれぞれ、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリルアミドモノマー、及びメタクリルアミドモノマーからなる群から選択されるモノマーを含む。これらの実施形態のいずれにおいても、アミドモノマーは、アクリルアミドモノマー、メタクリルアミドモノマー、及びN-ビニルアミドモノマーからなる群から選択される。
【0062】
任意の実施形態では、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、エポキシ置換基を有する、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリルアミドモノマー、及びメタクリルアミドモノマーからなる群から選択されるモノマーを含む。
【0063】
上記グラフトモノマーに関して、不織布基材の表面にグラフト化されるモノマーは、通常、電子ビームによるグラフト化のためにアクリレート又は他の非アクリレート重合性官能基のいずれかを有する。メタクリロイル基は、電子ビーム照射に暴露された不織布に対するこのようなメタクリロイルモノマーのより遅い、より均一な反応性及び耐久性のため、不織布基材表面へのモノマーのグラフト化に好ましい(本明細書に記載のプロセスを使用する)。
【0064】
任意の実施形態では、カチオン性窒素含有配位子モノマーは、無機酸塩又は有機酸塩、例えば、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ヘミサルフェート塩、硝酸塩、酢酸塩、メシレート塩、トシレート塩、酒石酸塩、ヘミ酒石酸塩、又はベンゾエート塩などであり得る。
【0065】
乾燥コーティング20は、複数の試験微生物(例えば、細菌、芽胞)を含む。試験微生物(例えば、細菌、芽胞)は、検出可能な生物活性(例えば、酵素活性)を含み、及び/又は産生可能である。任意の実施形態では、検出可能な生物活性、又は試験微生物が検出可能な生物活性を産生する能力は、微生物を死滅させるのに有効な消毒プロセスに試験微生物を暴露する(例えば、接触させる)ことにより、消滅させることができる。試験微生物が芽胞である任意の実施形態では、乾燥コーティング20内の芽胞は、生存芽胞であり得る(すなわち、発芽及び/又は二分裂(発芽後)などの生物活性が可能である)。
【0066】
任意選択的に、基材10に接着された乾燥コーティング20は、(微生物用)結合剤として作用することができる水溶性又は水分散性ポリマーを更に含む。ポリマー結合剤は、消毒プロセス中の物品からの微生物の除去を最小限に抑える働きをする。好ましくは、ポリマー結合剤は、乾燥されると、水性緩衝液又は水性消毒溶液中で再溶解するのが遅い。溶解速度は、多数の要因によって制御することができる。例えば、ポリマー結合剤の分子量を増加させると、溶解速度が低下する。溶解速度を制御する好ましい方法は、ヒドロゲルを形成することができる親水性ポリマー結合剤を使用することである。ヒドロゲルは、例えば、温度変化によって、又は乾燥後に、ポリマー溶液から形成することができる。ヒドロゲルは、例えば、水素結合の形成の結果として、又は結晶化によって、又は他のポリマー-ポリマー相互作用によって生成される。
【0067】
ポリマー結合剤に潜在的になり得るものの適性は、本明細書に示されるように、ポリマー結合剤の存在下で微生物の洗い流しを、ポリマー結合剤の非存在下での試験微生物の洗い流しと比較して測定することによって、容易に試験される。
【0068】
結合剤として有用なポリマーの好適な例としては、天然及び合成、イオン性及びノニオン性のポリマー及びコポリマーが挙げられる。典型的なポリマーとしては、例えば、とりわけ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースをはじめとして、変性セルロース系ポリマーなどの医薬成分の調整放出又は制御放出のためのコーティング又は結合剤として使用されるものが挙げられる。他には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、及びポリプロピレンオキシドが挙げられる。ヒドロゲルを形成することが知られている典型的なポリマーとしては、とりわけ、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸、ゼラチン、グアー、ポリビニルアルコール、及び中和又は部分的に中和されたポリアクリル酸が挙げられる。ヒアルロン酸、ポリアクリル酸及びコポリマー、ポリAMPS、並びに硫酸デキストランなどのポリマーを含むアニオン性ポリマーは、グラフト化基材とのイオン相互作用ももたらし、これにより再溶解速度を低下させるため、有用な結合剤である。
【0069】
本開示による物品を製造するとき、任意選択的な親水性ポリマーは、水性溶媒(例えば、水、水性緩衝液)で水和され得、試験微生物は、得られるヒドロゲル中に懸濁され得る(例えば、均一に懸濁され得る)。あるいは、試験微生物は、好適な懸濁液(例えば、水、緩衝水溶液)中に懸濁させることができる。懸濁液又はヒドロゲル中の試験微生物の濃度は、所定の体積のヒドロゲルを基材に適用することにより、所定の数の試験微生物を基材上に送達するように調整することができる。物品上の所定の数の生存試験微生物は、約10個の試験微生物、約100個の試験微生物、約10個の試験微生物、約10個の試験微生物、約10個の試験微生物、約10個の試験微生物、約10個の試験微生物、又は約10個の試験微生物であり得る。
【0070】
懸濁液又はヒドロゲル中に試験微生物(例えば、芽胞)を懸濁させた後、所定量の懸濁液又はヒドロゲルを(例えば、ピペットで)基材上に堆積させることができ、液体コーティングを乾燥させて、本質的に水を含まない乾燥コーティングを製造することができる。乾燥する工程の前及び乾燥する工程中に、コーティングは、基材の表面内の空隙内に移動することができる。
【0071】
液体コーティングは、室温条件下で、又は場合によっては穏やかな加熱を使用することによって乾燥させることができる。
【0072】
有利には、乾燥したポリマー結合剤中に試験微生物を分散させることは、存在する場合、物品が液体消毒剤(例えば、水性消毒剤)内に配置されたときに試験微生物が捕捉されるマトリックスを提供する。したがって、液体消毒剤が流れる用具内に物品が固定的に配置されている場合、ポリマー結合剤マトリックスは、用具から消毒剤のバルク液体フローストリーム中への試験微生物の移動を最小化又は防止する。
【0073】
試験微生物は、消毒プロセスの有効性を試験するための任意の好適な試験微生物であり得る。好適な試験微生物としては、当該技術分野において既知の細菌(例えば、マイコバクテリア属の種)、細菌芽胞及び真菌芽胞が挙げられる。試験微生物が芽胞である任意の実施形態では、コーティング20に使用される芽胞は、糸状菌の種の芽胞又は細菌性細菌芽胞を含むことができる。任意の実施形態では、糸状菌の芽胞は、アスペルギルス種の芽胞を含むことができる。任意の実施形態では、アスペルギルス種の芽胞は、例えば、アスペルギルス・ブラジリエンシス、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、又はアスペルギルス・ニデュランスの芽胞を含むことができる。任意の実施形態では、細菌性細菌芽胞は、ゲオバチルス種の芽胞を含むことができる。任意の実施形態では、ゲオバチルス種の芽胞は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスの芽胞を含むことができる。
【0074】
プロセス及び/又は装置が試験される。任意の実施形態では、基材10は、例えば、消毒プロセス中に消毒剤が方向付けられる流路(例えば、内視鏡などの例えば中空管(図示せず))内に配置されるように寸法決めすることができる。あるいは、基材10は、流路内に配置されるか、又は流路に接続される工程試験用具内に配置されるように寸法決めすることができる。基材10は、本明細書で説明されるように、シート状材料を含み得る。任意の実施形態では、基材10は、約4mm~約1600mmの表面積を有することができる。任意の実施形態では、基材10は、例えば、円、楕円形、又は多角形(例えば、正方形、矩形、菱形、五角形、六角形、八角形)の形態に成形することができる。使用中、基材10は、工程試験用具内に基材を配置する前に、及び/又は消毒剤のフローストリーム中に配置する前に、巻く又は折り畳むことができる。
【0075】
別の態様では、本開示は、工程試験用具を提供する。図3及び図4は、本開示による工程試験用具200の一実施形態の様々な図を示す。工程試験用具200の図示された実施形態は、SWINNEX(登録商標)フィルタホルダに似せており、上記の物品100は、その中に収容されている。工程試験用具200は、第1の開口部31と第1の開口部から間隔があいている第2の開口部33とを有する本体30と、本体を通って第1の開口部から第2の開口部に延びる中空チャネル32と、を備える。工程試験用具200は、本体の中空チャネル32内に固定的に配置された物品100を更に備える。物品100は、基材と、ポリマー結合剤及び本開示による複数の試験微生物を含む乾燥コーティングと、を含む、物品の任意の実施形態である。
【0076】
本明細書で用いる場合、「固定的に配置された」とは、物品(例えば、物品100)が、中空チャネル(例えば、中空チャネル32)内に取り付け手段(例えば、クランプ、接着剤)を介して、及び/又は例えば、中空チャネル内に物品を閉じ込めることによって保持されている状態を指す。物品は、中空チャネルを通過する流体(例えば、消毒剤)が中空チャネルから物品を排出することなく物品に接触及び/又はそれを通過するように、保持される。「固定的に配置された」とは、物品が中空チャネル内に恒久的に配置されていることを必ずしも意味しない。いくつかの実施形態では、中空チャネル内で物品が「固定」される手段により、流体(例えば、消毒剤)が物品と接触した後に中空チャネルから物品を取り外す。
【0077】
図3及び図4の図示された用具200では、本体30は、本体30を形成するために、ねじ付き連結部などの相補的部分によって一緒に接合される2つの部分(それぞれ、30a及び30b)を備える。他の接合手段(例えば、接着剤、クランプ、摩擦嵌合)を使用して、本体の部分を一緒に接合して工程試験用具を形成することができることに、考えが及ぶ。組み立てられたとき、本体30の2つの部分は、本体30の中空チャネル32内に第1のコンパートメント(図示せず)を形成する。第1のコンパートメントは、物品100を本体30内に受容及び保持するように寸法決めされる。任意選択的に、用具200は、中空チャネル32内の物品100を支持及び/又は拘束するための多孔質基部35を備える。多孔質基部35は、用具200の中空チャネル32を通る液体の流れを可能にするように構成されている。任意選択的に、用具200は、物品100を中空チャネルの第1のコンパートメント内に固定するためのOリング37を更に備える。
【0078】
本体30は、当該技術分野において既知のプロセス(例えば、射出成形)を使用して様々な好適な材料で形成されてもよく、それにはポリマー材料(例えば、熱可塑性ポリマー)、金属、ガラス、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。透明及び/又は半透明の材料(例えば、ガラス、プラスチック)を使用して製造された用具は、消毒プロセス中及び/又は物品が消毒プロセスに暴露された後に分析されている間に、物品100のin situ検査をすることができる。
【0079】
物品100は、中空チャネル32内に固定されている。任意の実施形態では、物品100は、中空チャネル32内に取り外し可能に固定され得る。物品は、接着剤(例えば、感圧性接着剤若しくはホットメルト接着剤(図示せず))の使用、クランプ(図示せず)の使用を含む様々な手法を使用して、並びに/又は物品が第1のコンパートメントに嵌合するが、例えば、中空チャネルを通過して本体30の外に出るには大きすぎるように、物品100、中空チャネル32、及び第1のコンパートメント38を寸法決めすることにより、中空チャネル32内に固定され得る。物品100は、例えば、2つの部分を分離するためにねじをゆるめて外すことにより本体30の2つの部分(それぞれ、30a及び30b)を分離することによって、中空チャネル32から取り外すことができ、ひいては、第1のコンパートメント38内で物品へのアクセスを提供し、ピンセットを使用して物品を取り外すことができる。
【0080】
有利には、中空チャネル32内に物品100を固定することにより、液体(例えば、液体消毒剤が中空チャネルを通って流れたときに、物品及びそれに接着された試験微生物が用具200から移動するのを防止する。有利には、中空チャネル32内に物品100を取り外し可能に固定することにより、それに接着された生存試験微生物(例えば、芽胞)の存在について物品を分析するためにオペレータによって物品を取り外すことを可能にする。
【0081】
任意の実施形態では、本開示の工程試験用具は、用具を液体フローシステムに連結することを容易にする任意選択的な特徴点を含んでもよい。例えば、図2の図示された実施形態の用具200は、中空チャネル32の第1の開口部31において、ルアタイプコネクタ40(例えば、メス型ルアコネクタ又はオス型ルアコネクタ)を備える。用具200は、任意選択的なルアタイプコネクタ(例えば、メス型ルアコネクタ又はオス型ルアコネクタ(図示せず))を中空チャネル32の第2の開口部33に更に備えることができる。任意の実施形態では、ルアタイプコネクタは、ルアスリップコネクタ、ルアロックコネクタ、又はルアスリップコネクタとルアロックコネクタとの組み合わせであってもよい。これらのコネクタ及び/又は当該技術分野において既知の他のコネクタを使用して、用具200を、(例えば、管(図示せず)を介して)(例えば、自動内視鏡洗浄装置(AER)(図示せず)内の)液体フローシステムに取り付けることができる。
【0082】
図5は、本開示による工程試験用具300の別の実施形態を示す。用具300は、実質的に平面であり、AERに適合するように寸法決めされていてもよい。同様の平面工程試験用具は、国際公開第2016/164329(A1)号に記載されており、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。工程試験用具300は、本体を通って第1の開口部31から、第1の開口部から間隔があいている第2の開口部33まで延びる中空チャネル32を備える、本体30を備える。中空チャネル32は、物品100が固定的に配置された第1のコンパートメント38を備える。物品100は、基材と、ポリマー結合剤及び本開示による複数の試験微生物を含む乾燥コーティングと、を含む、物品の任意の実施形態であり得る。物品100は、本明細書に記載される実施形態のいずれかによって、中空チャネル32内に固定することができる。
【0083】
任意の実施形態では、第1のコンパートメント38は、コンパートメントの内容物(例えば、本明細書に記載されるような物品100及び/又は検出培地若しくは指示薬化合物)の光学的評価を可能にする壁39を備えることができる。壁39は、電磁放射線の可視波長を実質的に透過可能であってもよく、任意選択的に、電磁放射線の紫外線及び/又は赤外線波長を実質的に透過可能であってもよい。したがって、例えば、試験微生物(例えば、芽胞)の代謝活性に起因する第1のコンパートメント38の内容物の色変化は、視覚的に、又は光学検出機器(例えば、分光計又は照度計)を使用することのいずれかによって第1のコンパートメント内で検出することができる。任意選択的に、第1のコンパートメントから離れた中空チャネル32を形成する壁の一部分は、同様に光学的に透明又は半透明であってもよく、それによって、第1のコンパートメントから間隔をあけた位置において、中空チャネル内の検出培地又は指示薬化合物の光学的評価を可能にする。
【0084】
中空チャネル32は、第1の開口部31と第1の開口部から間隔があいている第2の開口部33と、を備える。使用中、第1の開口部から第2の開口部まで中空チャネルを通過する消毒剤(例えば、液体消毒剤)は、中空チャネル32内に配置された物品100と接触する(例えば、よけて通り過ぎる、及び/又は通過する)。第1の開口部31と第2の開口部33とは、用具300を、自動内視鏡洗浄装置(AER(図示せず))などの液体フローシステムに取り付けるための接続ポートとして機能することができる。例えば、第1の開口部31は、(例えば、好適なアダプタ又は管を介して)AERに接続されて、AERから用具300内への液体フローの一部分を方向付けることができ、第2の開口部33は、(例えば、2016年10月13日に出願された、「工程監視システムで使用するための微生物インジケータ用具(MICROBIAL INDICATOR DEVICE FOR USE WITH PROCESS MONITORING SYSTEMS)」と題された米国特許出願第62/407,749号(これは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているアダプタなどの好適なアダプタを介して)AERに接続されて、その部分をAERに戻すように方向付けることができる。
【0085】
任意の実施形態では、中空チャネル32は、蛇行(例えば、非直線状)液体流路を形成する。図5の図示された実施形態では、中空チャネル32によって形成される液体流路は、例えば、可撓性内視鏡などの管腔医療デバイス内の屈曲部をシミュレートすることができる、複数の弓状屈曲部を備える。
【0086】
任意選択的に、用具300は、検出培地42を収容するリザーバ40を更に備える。任意の実施形態では、検出培地42は、物品100と選択的に流体連通して配置される。選択的な流体連通は、例えば、弁(図示せず)の使用によってなされ得る。あるいは、図5に図示された実施形態に示されるように、検出培地42は、中空チャネル32と流体連通する(例えば、導管48を通じて)リザーバ40内に配置された脆弱容器44内に収容されている。脆弱容器44は、例えば、ガラス、金属フィルム(例えば、ブリスターパック)、又はプラスチックから作製されてもよい。弁は、存在する場合、外部圧力(例えば、手動圧力)が第2のコンパートメントに適用されるときに破裂するプラスチックフィルムを含んでもよく、それによって、第2のコンパートメントからの検出培地の流れを可能にする。
【0087】
使用中、検出培地42は、リザーバ40から物品100まで中空チャネル32を通って通過する。検出培地42は、例えば、リザーバ40にて本体30に加えられる正圧によって、毛管作用によって、中空チャネルを通して液体及び/若しくは気体を流すことによって生成されるベンチュリ力によって、又は(例えば、真空源からの)陰圧を開口部(例えば、図5に示された第2の開口部33)に適用することによって、を含む様々な力によって、中空チャネル32を通って物品100に押しやられ得、第1のコンパートメント38は、リザーバと開口部との間の中空チャネル32内に配置される。
【0088】
検出培地42は、1つ以上の試薬を含む。任意の実施形態では、試薬は、水性媒体(例えば、水、水性緩衝液)中に溶解又は懸濁され得る。任意の実施形態では、試薬は、試験微生物(例えば芽胞)の発芽及び/又は増殖を促進する有効量の栄養素であってもよい。好適な栄養素の非限定的な例としては、セリン、プロリン、アルギニン、グルタメート、アスパラギン、アスパルテート、トレオニン、脂質、脂肪酸、バレイショ浸出液、酵母抽出物、麦芽抽出物、ペプトン、デキストロース、及び前述の栄養素のうちの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、又はそれに加えて、試薬は、試験微生物(例えば、芽胞)の代謝活性の検出を促進する指示薬化合物であってもよい。任意の実施形態では、代謝活性は、酵素活性であり得る。指示薬化合物の非限定的な例としては、発色性酵素基質、蛍光性酵素基質、pH指示薬、レドックス指示薬、化学発光酵素基質、染料、及び前述の指示薬化合物のうちの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。あるいは、又はそれに加えて、試薬は、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物であってもよい。好適な中和剤化合物の非限定的な例としては、グリシン、レシチン、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ウマ血清、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、カタラーゼ、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、及びチオ硫酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、試薬は、芽胞の発芽及び/又は増殖を促進する栄養素、試験微生物(芽胞)の代謝活性の検出を促進する指示薬化合物、並びに消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物からなる群から選択される任意の2つ以上の試薬の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、中和剤化合物には、レシチン、システイン、ヒスチジン、及びTween 80からなる群から選択される添加剤を添加することができる。
【0089】
任意選択的に、用具300は、中空チャネル32と選択的に流体連通する(例えば、バルブを(図示せず)介して)第2のコンパートメント50を備えることができる。第2のコンパートメント50は、本明細書に記載の有効量の中和剤化合物52を含んでもよい。任意の実施形態では、中和剤化合物52は、検出培地について記載したように、脆弱容器(図示せず)内に配置されてもよい。使用中、消毒剤が中空チャネル32を通って流れ、物品100が消毒剤と少なくとも最小接触時間(以下に記載される)と接触させられた後、中和剤化合物は、第2のコンパートメントから放出されて、用具内のあらゆる残留消毒剤を不活性化することができる。
【0090】
任意の実施形態では、用具は、中空チャネルと流体連通して配置された化学的インジケータ(図示せず)を更に備える。化学的インジケータは、特定の消毒剤が中空チャネルを通過し、それによって化学的インジケータに接触したという情報を提供する。好適な化学的インジケータとしては、2016年5月5日に出願された、「医療デバイスの消毒方法(METHOD OF DISINFECTING A MEDICAL DEVICE)」と題された米国特許仮出願第62/332,243号に記載されているものが挙げられ、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。化学的インジケータは、中空チャネル(図示せず)又は中空チャネルと流体連通して配置された第3のコンパートメント(図示せず)内に保持されてもよい。
【0091】
別の態様では、本開示は、第1の方法を提供する。第1の方法を使用して、消毒プロセス(例えば、液体消毒剤を使用する消毒プロセス)の有効性を検証することができる。図6は、本開示による第1の方法600の一実施形態のブロック図である。第1の方法600は、本開示による工程試験用具の任意の実施形態の中空チャネルを通して消毒剤を流す工程602を含み、工程試験用具は、検出培地を収容するリザーバを備え、検出培地は、有効量の栄養素及び指示薬化合物を含み、用具は、中空チャネルを形成する壁を備え、壁の一部分は、芽胞又は芽胞の代謝活性物の生成の光学的評価を可能にする。中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、物品を消毒剤と接触させることを含む。任意の実施形態では、中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、オルトフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酢酸、及び過酸化水素からなる群から選択される消毒剤を流すことを含む。
【0092】
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、第1の方法600は、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させる工程604を含む。消毒プロセスは、消毒される材料上及び/又は材料内に存在する微生物の不活性化を促進するために、既定の温度にて最小接触時間での消毒剤と消毒される材料(例えば、物品)との間の接触を必要とする。当業者であれば、最小接触時間は、消毒剤の組成及び/又は接触が生じる温度に依存し得ることを理解するであろう。一般に、より高温での材料と消毒剤との間の接触は、より低い温度での微生物の不活性化を達成するために、より短い接触時間を必要とする。
【0093】
消毒剤と消毒される材料とを接触させるための既定の温度は、微生物の不活性化を促進するために消毒プロセスにおいて意図的に使用される温度である。典型的には、既定の温度は、(例えば、適切な温度制御装置を使用して)プロセス全体にわたって概ね一定の温度に維持される。液体消毒剤を用いるプロセスに好適な既定の温度は、約20℃~約60℃の範囲内である。最小接触時間は、例えば、約3分~約90分であり得る。
【0094】
物品を消毒剤と中空チャネル内において既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、第1の方法600は、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させる工程606を含む。消毒プロセスで使用される消毒剤の不活性化(「中和」)は、消毒プロセスの完了後、消毒剤が引き続き試験微生物を不活性化することを防止する。プロセスの最小接触時間の後に、物品上又は物品内に残る残留消毒剤は、中空チャネル内の物品を、第1の方法600で使用された特定の消毒剤を中和するために当該技術分野において既知である適切な化学化合物と接触させることによって不活性化することができる。好適な中和剤化合物(消毒剤を不活性化するため)としては、例えば、レシチン(lethicin)、グリシン、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ウマ血清、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、カタラーゼ、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、又は酵素(例えば、カタラーゼ)が挙げられる。
【0095】
中和剤化合物は、いくつかの手段によって物品に提供され得る。いくつかの実施形態では、中和剤は、工程試験用具内の第2のリザーバに収容される。第2のリザーバは、本明細書に記載の第1のリザーバのように、物品と選択的に流体連通して配置される。したがって、物品を消毒剤と少なくとも最小接触時間で接触させた後に、有効量の中和剤化合物は、(例えば、第1のリザーバの内容物について本明細書に記載されるように)第2のリザーバから放出されて、中空チャネル内の内容物(例えば、物品)と接触し、ここで、中和化合物は、中空チャネル及び/又は物品内の残留消毒剤を不活性化する。これらの実施形態では、中和剤化合物は、消毒剤を不活性化するのに十分な期間、中空チャネル及び/又は物品内の残留消毒剤と反応することを可能にすることができる。続いて、あらゆる生存している試験微生物を検出するために、検出培地を物品と接触させることができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、有効量の中和剤化合物が検出培地内に提供され、これにより、検出培地が物品に接触すると、有効量の中和剤化合物も物品に接触し、消毒剤を不活性化する。
【0097】
物品を有効量の中和剤化合物と接触させた後に、第1の方法600は、物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させる工程608を含む。検出培地は、本明細書に開示される検出培地の任意の実施形態を含み得る。物品を検出培地と接触させることは、複数の試験微生物(例えば、芽胞)のいずれかが消毒剤との接触によって不活性化されなかったかどうかを検出する手段をオペレータに提供する。消毒剤との接触によって不活性化されなかった試験微生物の検出は、例えば、芽胞発芽の検出、微生物増殖の検出、微生物繁殖の検出、微生物代謝活性の検出(例えば、酵素活性、栄養素の発酵、酸化/還元反応)、及び前述の検出技術のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、当該技術分野において既知の様々な微生物検出技術のいずれかを使用して実施することができる。任意の実施形態では、物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させることは、試験微生物の代謝活性を促進する温度で、物品を検出培地と接触させることを含むことができる(例えば、用具は、試験微生物の増殖及び/又は酵素活性に好適な温度でインキュベートすることができる)。
【0098】
したがって、物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させた後に、第1の方法600は、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定する工程609を含む。検出培地は、in situで分析することができる(すなわち、中空チャネル内に配置されている間に分析することができる)か、又は検出培地の少なくとも一部分を中空チャネルから(例えば、第2の開口部の第1の開口部を通して)取り出し、中空チャネルの外で分析することができる。
【0099】
検出培地を分析することは、第1の状態から第2の状態への可視的な変化について検出培地を目視観察することを含むことができる。あるいは、又はそれに加えて、検出培地を分析することは、(例えば、工程試験用具内の)検出培地を機器内に配置して、第1の状態から第2の状態への変化について検出培地を分析することを含むことができる。任意の実施形態では、検出培地を分析することは、消毒プロセスに供された工程試験用具の検出培地と標準(例えば、色比較チャート)とを比較すること、及び/又は消毒プロセスに供された工程試験用具の検出培地と「対照」(例えば、消毒プロセスに供されなかった第2の工程試験用具)とを比較することを含むことができる。
【0100】
少なくとも1つの試験微生物が消毒剤との接触に耐え生存している場合、生存している試験微生物の代謝活性は、検出培地を第1の状態から第2の状態に変化させる。例えば、検出培地は、実質的に透明な第1の状態から曇り(混濁)又は実質的に不透明な第2の状態に変化し得る。検出培地中の濁りの表出は、消毒剤との接触後の試験微生物の発芽及び/又は増殖を明示することができ、複数の試験微生物のうちの少なくとも1つの生存を示し、恐らく消毒プロセスが有効ではなかったことを示す。あるいは、又はそれに加えて、検出培地は、(例えば、pH指示薬、レドックス指示薬、又は消毒プロセスに耐え生存していた試験微生物の代謝活性から生じる酵素基質の変換に起因して)第1の着色状態から第2の着色状態に変化し得る。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、相対的に着色されていない(又は無色)場合があり、第2の着色状態は、より着色されている場合がある。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、相対的により着色されている場合があり、第2の着色状態は、相対的に着色されていない(又は無色)場合がある。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、第1の色を有することができ、第2の着色状態は、第1の色とは異なる第2の色を有することができる。
【0101】
別の態様では、本開示は、第2の方法を提供する。第2の方法を使用して、消毒プロセス(例えば、液体消毒剤を使用する消毒プロセス)の有効性を検証することができる。図7は、本開示による第2の方法700の一実施形態のブロック図である。第2の方法700は、本開示による工程試験用具の任意の実施形態の中空チャネルを通して消毒剤を流す工程702を含む。中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、物品を消毒剤と接触させることを含む。任意の実施形態では、中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、オルトフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酢酸、及び過酸化水素からなる群から選択される消毒剤を流すことを含む。
【0102】
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、第2の方法700は、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させる工程704を含む。消毒プロセスは、消毒される材料上及び/又は材料内に存在する微生物の不活性化を促進するために、既定の温度にて最小接触時間での消毒剤と消毒される材料(例えば、物品)との間の接触を必要とする。当業者であれば、最小接触時間は、消毒剤の組成及び/又は接触が生じる温度に依存し得ることを理解するであろう。一般に、より高温での材料と消毒剤との間の接触は、より低い温度での微生物の不活性化を達成するために、より短い接触時間を必要とする。
【0103】
消毒剤と消毒される材料とを接触させるための既定の温度は、微生物の不活性化を促進するために消毒プロセスにおいて意図的に使用される温度である。典型的には、既定の温度は、(例えば、適切な温度制御装置を使用して)プロセス全体にわたって概ね一定の温度に維持される。液体消毒剤を用いるプロセスに好適な既定の温度は、約20℃~約60℃の範囲内である。
【0104】
物品を消毒剤と中空チャネル内において既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、第2の方法700は、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させる工程706を含む。消毒プロセスで使用される消毒剤の不活性化(「中和」)は、消毒プロセスの完了後、消毒剤が引き続き試験微生物を不活性化することを防止する。プロセスの最小接触時間の後に、物品上又は物品内に残る残留消毒剤は、物品を、第2の方法700で使用された特定の消毒剤を中和するために当該技術分野において既知である適切な化学化合物と接触させることによって不活性化することができる。好適な中和剤化合物(消毒剤を不活性化するため)としては、例えば、レシチン、グリシン、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ウマ血清、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、カタラーゼ、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、及び酵素(例えば、カタラーゼ)が挙げられる。
【0105】
中和剤化合物は、いくつかの手段によって物品に提供され得る。例えば、中和剤化合物は、物品が配置される中空チャネルに流入することができ、又は中和剤化合物を、物品が配置される反応管に添加することができる(例えばピペットによって)ことができる。これらの実施形態では、中和剤化合物は、消毒剤を不活性化するのに十分な期間、中空チャネル及び/又は物品内の残留消毒剤と反応することを可能にすることができる。続いて、生存している試験微生物を検出するために、検出培地を物品と接触させることができる。
【0106】
第2の方法700のいくつかの実施形態では、有効量の中和剤化合物が検出培地に提供され、これにより、検出培地が物品に接触すると、有効量の中和剤化合物も物品に接触し、消毒剤を不活性化する。
【0107】
物品を中和剤化合物と接触させた後に、方法700は、物品を検出培地と接触させる工程708を含む。検出培地は、本明細書に開示される検出培地の任意の実施形態を含み得る。物品を検出培地と接触させることは、複数の試験微生物(例えば、芽胞)のいずれかが消毒剤との接触によって不活性化されなかったかどうかを検出する手段をオペレータに提供する。消毒剤との接触によって不活性化されなかった試験微生物の検出は、例えば、芽胞発芽の検出、微生物増殖の検出、微生物繁殖の検出、微生物代謝活性の検出(例えば、酵素活性、栄養素の発酵、酸化/還元反応)、及び前述の検出技術のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、当該技術分野において既知の様々な微生物検出技術のいずれかを使用して実施することができる。任意の実施形態では、本明細書に記載されるように、物品を、工程試験用具の中空チャネル内で検出培地と接触させることを含む。任意の実施形態では、物品を検出培地と一定期間接触させることは、試験微生物の代謝活性を促進する温度で、物品を検出培地と接触させることを含むことができる(例えば、用具は、試験微生物の増殖及び/又は酵素活性に好適な温度でインキュベートすることができる)。
【0108】
したがって、物品を検出培地と一定期間接触させた後に、第2の方法700は、検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定する工程709を含む。検出培地は、in situで分析することができる(すなわち、中空チャネル内に配置されている間に分析することができる)か、又は検出培地の少なくとも一部分を中空チャネルから(例えば、第2の開口部の第1の開口部を通して)取り出し、中空チャネルの外で分析することができる。検出培地を分析することは、本明細書に記載される分析技術又はアプローチのいずれかによって実行することができる。
【0109】
少なくとも1つの試験微生物が消毒剤との接触に耐え生存している場合、生存している試験微生物の代謝活性は、検出培地を第1の状態から第2の状態に変化させる。第1の状態から第2の状態への変化は、上記の可能な変化のいずれかであり得る。生存している試験微生物の代謝活性に起因して生じる第1の状態から第2の状態への検出培地の変化は、消毒プロセスが有効性のあるものではなかったことを示し得る。
【0110】
第2の方法の任意の実施形態では、物品を検出培地と一定期間接触させる前に、第2の方法は、工程試験用具(図7には図示せず)から物品を取り外す工程を更に含んでもよい。物品は、例えば、物品へのアクセスを提供するために開かれるように適合された工程試験用具を使用することによって取り外すことができる。これらの実施形態では、工程試験用具を開くことができ、滅菌ピンセットを使用して物品を取り外すことができる。
【0111】
別の態様では、本開示は、第3の方法を提供する。第3の方法を使用して、消毒プロセス(例えば、液体消毒剤を使用する消毒プロセス)の有効性を検証することができる。図8は、本開示による第3の方法800の一実施形態のブロック図である。第3の方法800は、本開示による物品の任意の実施形態を、フローストリーム中の消毒剤と少なくとも既定の最小接触時間で接触させる工程801を含む。任意の実施形態では、消毒剤中に物品を浸漬することは、オルトフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酢酸、及び過酸化水素からなる群から選択される消毒剤中に物品を浸漬することを含む。フローストリームは、例えば、AER内の消毒剤のフローストリームであってもよい。物品は、任意の好適な保持手段(例えば、クランプ、ハーネス、クリップ、ハンガー、マニホールド)を使用して、フローストリーム中の特定の位置で保持されてもよい。
【0112】
物品を消毒剤と接触させることは、物品を消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることを含む。消毒プロセスは、消毒される材料上及び/又は材料内に存在する微生物の不活性化を促進するために、最小接触時間で既定の温度にての消毒剤と消毒される材料(例えば、物品)との間の接触を必要とする。当業者であれば、最小接触時間は、消毒剤の組成及び/又は接触が生じる温度に依存し得ることを理解するであろう。一般に、より高温での材料と消毒剤との間の接触は、より低い温度での微生物の不活性化を達成するために、より短い接触時間を必要とする。
【0113】
消毒剤と消毒される材料とを接触させるための既定の温度は、微生物の不活性化を促進するために消毒プロセスにおいて意図的に使用される温度である。典型的には、既定の温度は、(例えば、適切な温度制御装置を使用して)プロセス全体にわたって概ね一定の温度に維持される。液体消毒剤を用いるプロセスに好適な既定の温度は、約20℃~約60℃の範囲内である。
【0114】
物品を消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、第3の方法800は、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させる工程803を含む。消毒プロセスで使用される消毒剤の不活性化(「中和」)は、消毒プロセスの完了後、消毒剤が引き続き試験微生物を不活性化することを防止する。プロセスの最小接触時間の後に、物品上又は物品内に残る残留消毒剤は、物品を、第3の方法800で使用された特定の消毒剤を中和するために当該技術分野において既知である適切な化学化合物と接触させることによって不活性化することができる。好適な中和剤化合物(消毒剤を不活性化するため)としては、例えば、レシチン、グリシン、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ウマ血清、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、カタラーゼ、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、及び酵素(例えば、カタラーゼ)が挙げられる。
【0115】
中和剤化合物は、いくつかの手段によって物品に提供され得る。例えば、中和剤化合物は、物品が配置される中空チャネル内に流入することができ、又は中和剤化合物を、物品が配置される反応管内に添加する(例えばピペットによって)ことができる。これらの実施形態では、中和剤化合物を、消毒剤を不活性化するのに十分な期間、中空チャネル及び/又は物品内の残留消毒剤と反応することを可能にすることができる。続いて、生存している試験微生物を検出するために、検出培地を物品と接触させることができる。
【0116】
第3の方法800のいくつかの実施形態では、有効量の中和剤化合物が検出培地に提供され、これにより、検出培地が物品に接触すると、有効量の中和剤化合物も物品に接触し、消毒剤を不活性化する。
【0117】
本方法の上記の実施形態のいずれにおいても、物品を有効量の中和剤化合物と接触させることの代替として、本方法は、試験微生物に近接する消毒剤の量(及び/又は濃度)を低減するために、物品をすすぎ溶媒ですすぐ工程を含むことができる。例えば、本開示の物品を収容する中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品は、流れが中断された後であっても、有効量の消毒剤を保持することができる。保持された有効量の消毒剤は、有効量が本明細書に記載される中和剤化合物によって不活性化されるまで、及び/又は消毒剤が試験微生物を不活性化するのにもはや有効ではない濃度に(例えば、すすぎによって)希釈されるまで、試験微生物を不活性化(例えば、非生存化)し続けてもよい。
【0118】
同様に、(例えば、物品を消毒剤液中に浸漬することによって)本開示の物品を消毒剤と接触させた後に、物品は、物品が消毒剤から取り出された後であっても、有効量の消毒剤を保持することができる。保持された有効量の消毒剤は、有効量が本明細書に記載される中和剤化合物によって不活性化されるまで、及び/又は消毒剤が試験微生物を不活性化するのにもはや有効ではない濃度に(例えば、すすぎによって)希釈されるまで、試験微生物を不活性化(例えば、非生存化)し続けてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では(すなわち、物品が本明細書に開示されるような用具の中空チャネル内に配置される実施形態)、物品は、中空チャネルを通してすすぎ溶媒を流すことによってすすがれ、それによって、一般的に中空チャネル内に存在する消毒剤の量(及び/又は濃度)、並びに特に物品内の消毒剤の量を(例えば、希釈により)低減する。
【0120】
いくつかの実施形態では、物品を、すすぎ溶媒を保持する容器内に物品を浸漬又は配置することによって、すすぎ溶媒と接触させる。物品を、試験微生物に近接する消毒剤の量(及び/又は濃度)を低減するのに十分な期間、すすぎ溶媒に接触させることができる。
【0121】
すすぎ溶媒は、本開示の物品に接触することができる任意の溶媒であってもよく、物品は、任意選択的に、物品上のコーティング中に配置された生存試験微生物の数を実質的に減少させることなく、用具の中空チャネル内に配置される。任意の実施形態では、すすぎ溶媒は、水性液体を含んでもよい。任意選択的に、すすぎ溶媒は、試験微生物の生存を支持するために好適な浸透圧及び/又はpHを維持するための溶質(例えば、無機塩、有機又は無機緩衝試薬、炭水化物)を含んでもよい。任意選択的に、すすぎ溶媒は、試験微生物の生存を実質的に低下させない界面活性剤(例えば、TWEEN 80界面活性剤溶液)を含んでもよい。任意の実施形態では、すすぎ溶媒は、消毒剤が可溶性である液体を含み得る。好ましくは、すすぎ溶媒は、生存細菌、糸状菌、又はこれらの芽胞を実質的に含まない。より好ましくは、すすぎ溶媒は無菌である。
【0122】
好適なすすぎ溶媒の非限定的な例としては、水、リン酸緩衝生理食塩水、及び0.05%のTWEEN 80界面活性剤を含む水溶液が挙げられる。
【0123】
物品を中和剤化合物と接触させた後に、第3の方法800は、物品を検出培地と接触させる工程805を含む。検出培地は、本明細書に開示される検出培地の任意の実施形態を含み得る。物品は、任意の好適な容器(例えば、滅菌反応管)内で検出培地と接触させることができる。物品は、例えば、滅菌ピンセットを使用して検出培地内に移され得る。物品を検出培地と接触させることは、複数の試験微生物(例えば、芽胞)のいずれかが消毒剤との接触によって不活性化されなかったかどうかを検出する手段をオペレータに提供する。消毒剤との接触によって不活性化されなかった試験微生物の検出は、例えば、芽胞発芽の検出、微生物増殖の検出、微生物繁殖の検出、微生物代謝活性の検出(例えば、酵素活性、栄養素の発酵、酸化/還元反応)、及び前述の検出技術のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含む、当該技術分野において既知の様々な微生物検出技術のいずれかを使用して実施することができる。任意の実施形態では、物品を検出培地と接触させることは、試験微生物の代謝活性を促進する温度で、物品を検出培地と接触させることを含むことができる(例えば、用具は、試験微生物の増殖及び/又は酵素活性に好適な温度でインキュベートすることができる)。
【0124】
したがって、物品を検出培地と一定期間接触させた後に、第3の方法800は、検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定する工程807を含む。検出培地は、in situで分析することができる(すなわち、物品を収容している容器内に配置されている間に分析することができる)か、又は検出培地の少なくとも一部分を容器から取り出し、容器の外で分析することができる。検出培地を分析することは、本明細書に記載される分析技術又はアプローチのいずれかによって実行することができる。
【0125】
少なくとも1つの試験微生物が消毒剤との接触に耐え生存している場合、生存している試験微生物の代謝活性は、検出培地を第1の状態から第2の状態に変化させる。例えば、検出培地は、実質的に透明な第1の状態から曇り(混濁)又は実質的に不透明な第2の状態に変化し得る。検出培地中の濁りの表出は、消毒剤との接触後の試験微生物の発芽及び/又は増殖を明示することができ、複数の試験微生物のうちの少なくとも1つの生存を示し、恐らく消毒プロセスが有効ではなかったことを示す。あるいは、又はそれに加えて、検出培地は、(例えば、pH指示薬、レドックス指示薬、又は消毒プロセスに耐え生存していた試験微生物の代謝活性から生じる酵素基質の変換に起因して)第1の着色状態から第2の着色状態に変化し得る。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、相対的に着色されていない(又は無色)場合があり、第2の着色状態は、より着色されている場合がある。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、相対的により着色されている場合があり、第2の着色状態は、相対的に着色されていない(又は無色)場合がある。いくつかの実施形態では、第1の着色状態は、第1の色を有することができ、第2の着色状態は、第1の色とは異なる第2の色を有することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、物品を検出培地と接触させる前に、第2の方法及び第3の方法は、任意選択的に、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させる工程を含む。本明細書に記載されるように、中和剤化合物は、物品が配置される工程試験用具の中空チャネル内に流入することができ、又は中和剤化合物を、物品を含む反応管に配置することができる。あるいは、又はそれに加えて、中和剤化合物は、検出培地内に提供され得、それにより、検出培地が物品に接触すると、中和剤化合物も物品に接触する。
【0127】
いくつかの実施形態では、物品を検出培地と接触させる前に、本方法は、任意選択的に、物品を有効量の滅菌剤と接触させる工程を含む。好適な滅菌剤としては、ガスプラズマ、気化過酸化水素、オゾン、二酸化塩素、過酢酸、エチレンオキシド、又はこれらに由来するイオンが挙げられるが、これらに限定されない。滅菌は、概ね、ウイルス及び芽胞などの構造を含む微生物などの生物活性の全ての生存供給源を完全に破壊するプロセスとして定義される。
【0128】
当業者は、物体(例えば、本開示の物品)の汚染除去又は滅菌のために、プロセスの有効性が、滅菌剤の量(例えば、滅菌剤の濃度)、物体が滅菌剤に暴露される時間の長さに依存するものであることと、例えば、付与材料の温度、相対湿度、並びに滅菌に使用された材料の量及び/又は種類(例えば、滅菌剤に対する吸収性)などの他の要因に依存し得ることとを認識する。以下の実施例は、典型的なプロセスの一般的な指針を提供するが、当業者に公知であるように、パラメータは、所望の結果によって変化させることができる。
【0129】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、最小接触時間は、約3分~約90分であり得る。本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、物品を検出培地と一定期間接触させることは、物品を検出培地と約5分~約48時間接触させることを含む。
【0130】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、試験微生物は、芽胞を含み、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することは、芽胞の発芽及び/又は成長に由来する栄養細胞を検出することを含む。
【0131】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、試験微生物は、芽胞を含み、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することは、芽胞の酵素活性、並びに/又は芽胞の発芽及び/若しくは成長に由来する栄養細胞の酵素活性を検出することを含む。任意の実施形態では、酵素活性を検出することは、ホスファターゼ(例えば、酸ホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ)活性、ベータ-グルコシダーゼ活性、アルファ-グルコシダーゼ活性、セルラーゼ活性、キシラナーゼ活性、ベータ-グルクロニダーゼ活性、アルファ-グルクロニダーゼ活性、アルファ-ガラクトシダーゼ活性、ベータ-ガラクトシダーゼ活性、ラッカーゼ活性、プロテアーゼ活性、ペプチダーゼ活性、アミラーゼ活性、グルコースオキシダーゼ活性、リアーゼ活性、エステラーゼ活性、リパーゼ活性、オキシドレダクターゼ活性、及び前述の酵素活性のいずれか2つ以上の組み合わせからなるリストから選択される酵素活性を検出することを含む。
【0132】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、物品を検出培地と一定期間接触させることは、物品を検出培地と既定の温度で接触させることを含む。既定の温度は、試験微生物によって変更し得る。好適な既定の温度は、例えば、約20℃~約65℃の範囲の温度を含み得る。
【0133】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、消毒剤中の物品を少なくとも所定の期間接触させた後に、試験微生物(例えば、芽胞)の5%未満を物品から洗い流した。
【0134】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、消毒剤中の物品を少なくとも所定の期間接触させた後に、試験微生物(例えば、芽胞)の2.5%未満を物品から洗い流した。
【0135】
本開示の方法のいずれかの任意の実施形態では、消毒剤中の物品を少なくとも所定の期間接触させた後に、試験微生物(例えば、芽胞)の2%未満を物品から洗い流した。
【0136】
本開示の方法のいずれかの好ましい実施形態では、消毒剤中の物品を少なくとも所定の期間接触させた後に、試験微生物(例えば、芽胞)の1%未満を物品から洗い流した。
【0137】
本開示の方法のいずれかのより好ましい実施形態では、消毒剤中の物品を少なくとも所定の期間接触させた後に、試験微生物(例えば、芽胞)の0.5%未満を物品から洗い流した。
【0138】
物品を消毒剤と接触させるための所定の期間は、少なくとも1分、又は少なくとも3分、又は少なくとも5分、又は少なくとも15分、又は少なくとも30分、又は場合によっては少なくとも60分であり得る。
【0139】
例示的実施形態
実施形態Aは、
グラフト化されたコポリマーを有する不織布基材であって、このコポリマーが、共重合した下記のモノマー単位:
第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択されるカチオン性窒素含有配位子モノマー、
アミドモノマー、及び
オキシモノマー、を含む、不織布基材と、
基材に接着された乾燥コーティングであって、複数の試験微生物を含む、乾燥コーティングと、
を含む、物品である。
【0140】
実施形態Bは、グラフト化されたコポリマーが、
a)10~50重量部のカチオン性窒素含有配位子モノマーと、
b)10~80重量部のアミドモノマーと、
c)10~40重量部のオキシモノマーと、
d)0~30重量部のポリ(アルキレンオキシド)モノマーと、を含み、
a)~d)の合計は、100重量部である、実施形態Aに記載の物品である。
【0141】
実施形態Cは、乾燥コーティングが、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤を更に含む、実施形態A又は実施形態Bに記載の物品である。
【0142】
実施形態Dは、複数の試験微生物の少なくとも一部分が、ポリマー結合剤中に分散されている、実施形態Cに記載の物品である。
【0143】
実施形態Eは、不織布基材が、疎水性熱可塑性ポリオレフィンのメルトブローマイクロファイバーを含む、実施形態A~Dのいずれか1つに記載の物品である。
【0144】
実施形態Fは、不織布基材が、不織布基材1平方メートル当たり15~50mの表面積を有する、実施形態A~Eのいずれか1つに記載の物品である。
【0145】
実施形態Gは、不織布基材が、20%未満のソリディティを有する、実施形態A~Fのいずれか1つに記載の物品である。
【0146】
実施形態Hは、物品がコポリマー対不織布基材の重量比を有することができ、その重量比が、1部の不織布基材に対して約0.5~3部のコポリマーである、実施形態A~Gのいずれか1つに記載の物品である。
【0147】
実施形態Iは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、アガロース、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルキレンオキシド)、及び前述のポリマー結合剤のうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品である。
【0148】
実施形態Jは、複数の試験微生物が、細菌を含む、実施形態A~Iのいずれか1つに記載の物品である。
【0149】
実施形態Kは、細菌が、マイコバクテリア種の細菌を含む、実施形態Jに記載の物品である。
【0150】
実施形態Lは、複数の試験微生物が、芽胞を含む、実施形態A~Jのいずれか1つに記載の物品である。
【0151】
実施形態Mは、実施形態Lに記載の物品であり、芽胞が、糸状菌種の芽胞を含む。
【0152】
実施形態Nは、芽胞が、アスペルギルス種の芽胞を含む、実施形態Mに記載の物品である。
【0153】
実施形態Oは、芽胞が、アスペルギルス・ブラジリエンシス、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニガー、又はアスペルギルス・ニデュランスの芽胞を含む、実施形態Nに記載の物品である。
【0154】
実施形態Pは、複数の生存試験微生物が、約10個の試験微生物~約10個の試験微生物からなる、実施形態A~Oのいずれか1つに記載の物品である。
【0155】
実施形態Qは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、ポリ(アルキレンオキシド)を含み、ポリ(アルキレンオキシド)は、400ダルトン、4,000ダルトン、又は20,000ダルトンの重量平均分子量を有する、実施形態A~Pのいずれか1つに記載の物品である。
【0156】
実施形態Rは、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーが、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含む、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品である。
【0157】
実施形態Sは、コポリマーを製造するのに使用される第四級アンモニウム含有モノマーが、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含み、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、グリシジルメタクリレートを含み、コポリマーを製造するのに使用されるアミドモノマーは、N-ビニルピロリドンを含む、実施形態A~Rのいずれか1つに記載の物品である。
【0158】
実施形態Tは、
第1の開口部と第1の開口部から間隔があいている第2の開口部とを有する中空チャネルを有する本体と、
中空チャネル内に固定的に配置された、実施形態A~Sのいずれか1つに記載の物品と、を備える、工程試験用具である。
【0159】
実施形態Uは、検出培地を収容するリザーバを更に備え、リザーバが、物品と選択的に流体連通して配置されている、実施形態Tに記載の工程試験用具である。
【0160】
実施形態Vは、検出培地が、試験微生物の発芽及び/又は増殖を促進する栄養素、試験微生物代謝活性の検出を促進する指示薬化合物、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物、並びに前述の試薬のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される試薬を含む、実施形態Uに記載の工程試験用具である。
【0161】
実施形態Wは、栄養素が、セリン、プロリン、アルギニン、グルタメート、アスパラギン、アスパルテート、トレオニン、脂質、脂肪酸、バレイショ浸出液、酵母抽出物、麦芽抽出物、ペプトン、デキストロース、及び前述の栄養素のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態Vに記載の工程試験用具である。
【0162】
実施形態Xは、指示薬化合物が、発色性酵素基質、蛍光性酵素基質、pH指示薬、レドックス指示薬、化学発光酵素基質、染料、及び前述の指示薬化合物のうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態U~Wのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0163】
実施形態Yは、中和剤化合物が、グリシン、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ウマ血清、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、カタラーゼ、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、及びチオ硫酸ナトリウムからなる群から選択される、実施形態U~Xのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0164】
実施形態Zは、物品が、第1の開口部から第2の開口部まで中空チャネルを通過する流体が物品と接触するように、中空チャネル内に配置されている、実施形態U~Yのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0165】
実施形態AAは、本体が、中空チャネルを形成する壁を含み、壁の一部分は、試験微生物又は試験微生物の代謝活性物の生成の光学的評価を可能にする、実施形態U~Zのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0166】
実施形態ABは、
実施形態AAに記載の工程試験用具の中空チャネルを通して有効量の消毒剤を流すことであって、工程試験用具が、検出培地を収容するリザーバを備え、検出培地は、有効量の栄養素及び指示薬化合物を含み、中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、物品を消毒剤と接触させることを含む、流すことと、
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と中空チャネル内において既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、物品を消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、
物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させることと、
物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させた後に、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定することと、を含む、方法である。
【0167】
実施形態ACは、工程試験用具の中空チャネルを通して消毒剤を流すことが、オルトフタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、過酢酸、過酢酸及び過酸化水素を含む消毒用組成物、12%(重量/重量)の2-プロパノール、2%(重量/重量)のグルタルアルデヒド及び12%(重量/重量)の2-プロパノールを含む消毒用組成物、並びに過酸化水素からなる群から選択される消毒剤を流すことを含む、実施形態ABに記載の方法である。
【0168】
実施形態ADは、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定することが、指示薬化合物を視覚的に分析することを含む、実施形態AB又は実施形態ACに記載の方法である。
【0169】
実施形態AEは、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定することが、自動検出器を使用して指示薬化合物を分析することを含む、実施形態AB又は実施形態ACに記載の方法である。
【0170】
実施形態AFは、有効量の消毒剤が、全ての試験微生物を非生存化するのに十分な量の消毒剤である、実施形態AB~AEのいずれか1つに記載の方法である。
【0171】
実施形態AGは、
実施形態AAに記載の工程試験用具の中空チャネルを通して有効量の消毒剤を流すことであって、工程試験用具が、検出培地を収容するリザーバを備え、検出培地は、有効量の栄養素及び指示薬化合物を含み、中空チャネルを通して消毒剤を流すことは、物品を消毒剤と接触させることを含む、流すことと、
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と中空チャネル内において既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させた後に、中空チャネルから多量の消毒剤を排除するために、中空チャネルを通してすすぎ溶媒を流すことと、
物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させることと、
物品を中空チャネル内の検出培地と一定期間接触させた後に、中空チャネル内の検出培地を分析して、指示薬化合物が第1の状態から第2の状態に変化したかどうかを判定することと、を含む、方法である。
【0172】
実施形態AHは、有効量の消毒剤が、全ての試験微生物を非生存化するのに十分な量の消毒剤である、実施形態AGに記載の方法である。
【0173】
実施形態AIは、
実施形態U~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具の中空チャネルを通して有効量の消毒剤を流すことであって、中空チャネルを通して消毒剤を流すことが、物品を消毒剤と接触させることを含む、流すことと、
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と少なくとも最小接触時間で接触させた後に、物品を消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させた後に、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法である。
【0174】
実施形態AJは、物品を消毒剤と接触させた後、及び物品を検出培地と接触させる前に、工程試験用具から物品を取り外すことを更に含む、実施形態AIに記載の方法である。
【0175】
実施形態AKは、有効量の消毒剤が、全ての試験微生物を非生存化するのに十分な量の消毒剤である、実施形態AI又は実施形態AJに記載の方法である。
【0176】
実施形態ALは、
実施形態U~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具の中空チャネルを通して有効量の消毒剤を流すことであって、中空チャネルを通して消毒剤を流すことが、物品を消毒剤と接触させることを含む、流すことと、
中空チャネルを通して消毒剤を流している間、及び/又は中空チャネルを通して消毒剤を流した後に、物品を中空チャネル内の消毒剤と既定の温度にて少なくとも所定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と少なくとも最小接触時間で接触させた後に、中空チャネルから多量の消毒剤を排除するために、中空チャネルを通してすすぎ溶媒を流すことと、
物品を検出培地と一定期間接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させた後に、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法である。
【0177】
実施形態AMは、有効量の消毒剤が、全ての試験微生物を非生存化するのに十分な量の消毒剤である、実施形態ALに記載の方法である。
【0178】
実施形態ANは、
実施形態T~AAのいずれか1つに記載の物品をフローストリーム中の消毒剤と少なくとも既定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と最小接触時間で接触させた後に、物品を、消毒剤の抗菌活性を阻害する有効量の中和剤化合物と接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させた後に、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法である。
【0179】
実施形態AOは、
実施形態T~AAのいずれか1つに記載の物品をフローストリーム中の消毒剤と少なくとも既定の最小接触時間で接触させることと、
物品を消毒剤と最小接触時間で接触させた後に、物品を、消毒剤を含まないすすぎ溶媒と接触させることと、
物品をすすぎ溶媒と接触させた後に、物品を検出培地と一定期間接触させることと、
物品を検出培地と一定期間接触させた後に、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することと、を含む、方法である。
【0180】
実施形態APは、有効量の消毒剤が、全ての試験微生物を非生存化するのに十分な量の消毒剤である、実施形態AN又は実施形態AOに記載の方法である。
【0181】
実施形態AQは、最小接触時間が、約3分~約90分である、実施形態AB~APのいずれか1つに記載の方法である。
【0182】
実施形態ARは、物品を検出培地と一定期間接触させることが、物品を検出培地と約5分~約48時間接触させることを含む、実施形態AB~AQのいずれか1つに記載の方法である。
【0183】
実施形態ASは、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することが、芽胞の発芽に由来する栄養細胞を検出することを含む、実施形態AB~ARのいずれか1つに記載の方法である。
【0184】
実施形態ATは、検出培地を分析して、試験微生物の生物活性を検出することが、孔の酵素活性、並びに/又は芽胞の発芽に由来する栄養細胞の酵素活性を検出することを含む、実施形態AB~ASのいずれか1つに記載の方法である。
【0185】
実施形態AUは、酵素活性を検出することが、ホスファターゼ(例えば、酸ホスファターゼ又はアルカリホスファターゼ)活性、ベータ-グルコシダーゼ活性、アルファ-グルコシダーゼ活性、セルラーゼ活性、キシラナーゼ活性、ベータ-グルクロニダーゼ活性、アルファ-グルクロニダーゼ活性、アルファ-ガラクトシダーゼ活性、ベータ-ガラクトシダーゼ活性、ラッカーゼ活性、プロテアーゼ活性、ペプチダーゼ活性、アミラーゼ活性、グルコースオキシダーゼ活性、リアーゼ活性、エステラーゼ活性、リパーゼ活性オキシドレダクターゼ活性、及び前述の酵素活性のいずれか2つ以上の組み合わせからなるリストから選択される酵素活性を検出することを含む、実施形態ATに記載の方法である。
【0186】
実施形態AVは、物品を検出培地と一定期間接触させることが、物品を検出培地と既定の温度で接触させることを含む、実施形態AB~AUのいずれか1つに記載の方法である。
【0187】
実施形態AWは、物品を有効量の中和剤化合物と接触させることが、物品を検出培地と接触させる前に、物品を有効量の中和剤化合物と接触させることを含む、実施形態AB~AF、実施形態AI~AK、及び実施形態ANのいずれか1つに記載の方法である。
【0188】
実施形態AXは、物品を有効量の中和剤化合物と接触させることが、物品を、有効量の中和剤化合物を含む検出培地と接触させることを含む、実施形態AB~AF、実施形態AI~AK、及び実施形態ANのいずれか1つに記載の方法である。
【0189】
実施形態AYは、カチオン性窒素含有配位子モノマーが、式Iのものである、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0190】
実施形態AZは、カチオン性窒素含有配位子モノマーが、式II又は式IIaのものである、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0191】
実施形態BAは、コポリマーを製造するのに使用されるグアニジニル含有配位子モノマーが、2-(4-グアニジノブチルカルバモイルアミノ)エチル-2-メチルプロパ-2-エノエートを含む、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0192】
実施形態BBは、コポリマーを製造するのに使用されるグアニジニル含有配位子モノマーが、2-(4-グアニジノブチルカルバモイルアミノ)エチル-2-メチルプロパ-2-エノエートヘミサルフェートを含む、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0193】
実施形態BCは、コポリマーを製造するのに使用されるグアニジニル含有配位子モノマーが、2-(4-グアニジノブチルカルバモイルアミノ)エチル-2-メチルプロパ-2-エノエートヘミサルフェートを含み、コポリマーを製造するのに使用されるオキシモノマーは、グリシジルメタクリレートを含み、コポリマーを製造するのに使用されるアミドモノマーは、N-ビニルピロリドンを含む、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品である。
【0194】
実施形態BDは、第四級アンモニウム含有配位子モノマーが、式Iのものである、実施形態A~Qのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0195】
実施形態BEは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、アガロース、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(メタクリル酸)及び前述のポリマー結合剤のうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0196】
実施形態BFは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、ポリビニルピロリドン又はポリビニルアルコールを含む、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0197】
実施形態BGは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、ポリビニルアルコールである、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0198】
実施形態BHは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、カルボン酸基又はスルホン酸基で置換されたアクリレートポリマー又はメタクリレートポリマーから選択される、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0199】
実施形態BIは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、多糖類である、実施形態A~Hのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0200】
実施形態BJは、細菌が、ゲオバチルス種の細菌を含む、実施形態Jに記載の物品である。
【0201】
実施形態BKは、細菌が、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスを含む、実施形態Jに記載の物品である。
【0202】
実施形態BLは、細菌が、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞を含む、実施形態Jに記載の物品である。
【0203】
実施形態BMは、複数の生存試験微生物が、約1000個の試験微生物~約2×10個の試験微生物からなる、実施形態A~Sのいずれか1つに記載の物品又は実施形態T~AAのいずれか1つに記載の工程試験用具である。
【0204】
実施形態BNは、実施形態A~AAのいずれか1つに記載の物品を滅菌剤と少なくとも規定の最小接触時間で接触させることを更に含む、実施形態AB~AXのいずれか1つに記載の方法である。
【0205】
実施形態BOは、a)不織布基材を準備することと、b)基材に電離放射線を照射して基材の表面上にフリーラジカルを提供することと、c)照射された基材を、カチオン性窒素含有配位子モノマー、アミドモノマー、及びオキシモノマーを含む水性モノマー混合物に含浸し、グラフト化基材を形成することと、d)任意選択的に、グラフト化基材を洗浄し、次いで、乾燥させることと、e)グラフト化基材に複数の試験微生物を含む水性コーティングを適用して、コーティングされたグラフト化基材を形成することと、f)コーティングを乾燥させることと、を含む、物品を調製する方法である。
【0206】
実施形態BPは、不織布基材が、疎水性熱可塑性ポリオレフィンのメルトブローマイクロファイバーを含む、実施形態BOに記載の方法である。
【0207】
実施形態BQは、不織布基材が、電子ビーム照射を照射される、実施形態BO又はBPに記載の方法である。
【0208】
実施形態BRは、カチオン性含有配位子モノマーが、式Iのものである、実施形態BO~BQのいずれか1つに記載の方法である。
【0209】
実施形態BSは、カチオン性含有配位子モノマーが、式IIのものである、実施形態BO~BQのいずれか1つに記載の方法である。
【0210】
実施形態BTは、カチオン性含有配位子モノマーが、式IIIa又は式IIIbのものである、実施形態BO~BQのいずれか1つに記載の方法である。
【0211】
実施形態BUは、カチオン性含有配位子モノマーが、第四級アンモニウム含有配位子モノマー及び/又はグアニジニル含有配位子モノマーから選択される、実施形態BO~BQのいずれか1つに記載の方法である。
【0212】
実施形態BVは、乾燥コーティングが、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤を更に含む、実施形態BO~BUのいずれか1つに記載の方法である。
【0213】
実施形態BWは、水溶性又は水分散性ポリマー結合剤が、アガロース、ポリビニルピロリドン、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(メタクリル酸)及び前述のポリマー結合剤のうちのいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、実施形態BVに記載の方法である。
【0214】
実施形態BXは、複数の試験微生物が、細菌を含む、実施形態BO~BWのいずれか1つに記載の方法である。
【0215】
実施形態BYは、複数の試験微生物が、芽胞を含む、実施形態BO~BWのいずれか1つに記載の方法である。
【0216】
実施形態BZは、実施形態BO~BYのいずれか1つに記載の方法によって調製された、物品である。
【0217】
実施形態CAは、滅菌剤が、ガスプラズマ、気化過酸化水素、オゾン、二酸化塩素、過酢酸、エチレンオキシド、又はこれらに由来するイオンを含む、実施形態AB~AX及びBNのいずれか1つに記載の方法である。
【0218】
本開示の利点及び実施形態は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例に記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈されるべきではない。別途記載されるか又は明らかでない限り、全ての材料は、市販されているか又は当業者に既知である。特に指示がない限り、部は全て重量部である。
【実施例
【0219】
材料
【0220】
[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、レザズリンナトリウム塩、L-セリン、及び麦芽抽出ブロスは、Sigma-Aldrich Corporation(St.Louis,MO)から入手した。
【0221】
2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMA)は、Sigma-Aldrichから入手した。
【0222】
N-ビニルピロリドン(NVP)は、TCI Americas(Portland,OR)から入手した。
【0223】
グリシジルメタクリレート(GMA)は、Pfaltz and Bauer(Waterbury,CT)から入手した。
【0224】
グリシン(USP)は、EMD Chemicals Incorporated(Gibbstown,NJ)から入手した。
【0225】
4-[2-(メタクリロイルオキシ)エチルアミノカルボニルアミノ]ブチルグアニジニウムヘミサルフェート(IEMAGM)は、米国特許第9272246号の実施例101に記載の手順によって調製した。
【0226】
アスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液の調製。
【0227】
脱水されたポテトデキストロースアガー(PDA)は、Becton,Dickinson And Company(Franklin Lakes,NJ)から入手した。PDAを調製し、製造業者の説明書によって滅菌し、酒石酸でpH3.5まで酸性化した。複数のPDAプレートに、芽胞の懸濁液(アスペルギルス・ブラジリエンシスATCC#16404)を接種した。接種したプレートを30℃で14日間インキュベートした。インキュベーション後、10%(体積/体積)グリセロール/0.05%TWEEN-20洗剤の溶液でプレートを浸し、滅菌スクレーパを使用して芽胞をアガーから溶液中にこそげ取った。各々のプレートからの懸濁液を単一の芽胞懸濁液にした。たくわえた懸濁液の部分標本(1mL)を滅菌チューブ内にピペットで移し、これを使用するまで-80℃で保管した。各部分標本は、約4×10個の芽胞を含んでいた。
【0228】
コポリマーグラフト化不織布基材の調製
【0229】
コポリマーグラフト化不織布基材は、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー(PP)不織布基材(4.3マイクロメートルの有効繊維直径、1平方メートル当たり105グラムの坪量、及び10%のソリディティを特徴とする)から、米国特許公開第2015/0099413号(その全容が参照により本明細書に組み込まれる)の実施例1に報告されている一般的な手順によって調製した。具体的には、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の、12.7cm×12.7cmの試料をグローブボックス内にて窒素雰囲気下でパージし、プラスチック袋に挿入し、密封した。次いで、密封した袋をグローブボックスから取り出し、ウェブ速度約5.5メートル/分及び加速電圧300kVでEnergy Sciences,Inc.の「Electrocurtain」CB-300電子ビーム中をワンパス操作で通過させることにより、線量レベル40kGyで照射した。密封された袋を窒素雰囲気制御グローブボックスに戻し、ここで不織布材料を窒素パージした含浸溶液23グラムに含浸し、ほとんどの窒素を排出した後に袋を再密閉した。この工程中、グローブボックス内の酸素レベルは、概して50百万分率(ppm)未満に維持した。試料を袋内で平坦に維持し、少なくとも12時間均一に飽和させた。含浸溶液を、脱イオン水中に26.6重量%の総混合モノマーNVP/GMA/MAPTACにより調製した。個々のモノマー濃度は、12.5%のNVP、4.1%のGMA、及び10%のMAPTACであった。
【0230】
得られたコポリマーグラフト化不織布基材を袋から取り出し、脱イオン水中で1時間煮沸した。基材を水浴から取り出し、室温で24時間風乾した。基材材料を手順の前後に秤量して、基材にグラフト化されたコポリマー材料の量を求めた。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約280%であった。この基材(厚さ約1mmのシート)を使用して、実施例に記載の物品(以下、「ディスク」)を調製した。
【0231】
実施例1:物品の調製.
【0232】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の4%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(上述)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、2%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0233】
実施例2.
【0234】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(上述)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)の直径7mmの円形ディスク又は15.2cm×15.2cmのシートのいずれかの上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。スポットされたシートの場合、滅菌ハサミを使用して、ディスクの中心に位置決めした乾燥した芽胞コーティング部分を有する1cm×1cmの正方形のディスクを切り取った。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0235】
実施例2a.
【0236】
ディスクは、実施例2の手順に従って調製したが、但し、アガロースは、基材を芽胞でスポットするために使用された溶液に含まれなかった。具体的には、実施例2aでは、実施例1のコポリマーグラフト化不織布基材を、グリセロール(5%体積/体積)及びTween20洗剤(0.025体積/体積)を含有する10マイクロリットルの水性懸濁液、並びに2×10個/mLの濃度の芽胞をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。滅菌ハサミを使用して、ディスクの中心に位置決めした乾燥した芽胞コーティング部分を有する1cm×1cmの正方形のディスクを切り取った。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0237】
実施例3.
【0238】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の1%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(上述)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、0.5%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0239】
実施例4.
【0240】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の0.5%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(上述)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、0.25%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0241】
実施例5.
【0242】
滅菌脱イオン水中のPEG 20K(平均MW20,000のポリエチレングリコール、カタログ番号81300、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の4%溶液を、等量の上述のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PEG 20K含有量は、2%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0243】
実施例6.
【0244】
滅菌脱イオン水中のPEG 20K(平均MW20,000のポリエチレングリコール、カタログ番号81300、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を、等量の上述のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PEG 20K含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0245】
実施例7.
【0246】
滅菌脱イオン水中のPEG 20K(平均MW20,000のポリエチレングリコール、カタログ番号81300、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の1%溶液を、等量の上述のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PEG 20K含有量は、0.5%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0247】
実施例8.
【0248】
滅菌脱イオン水中のPEG 20K(平均MW20,000のポリエチレングリコール、カタログ番号81300、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の0.5%溶液を、等量の上述のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PEG 20K含有量は、0.25%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、コポリマーグラフト化不織布基材(上述)から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0249】
実施例9.
実施例1からのディスクを、水浴中にて25℃でインキュベートしたポリスチレン48ウェル培養プレートのウェルに個々に配置した。ディスクを20マイクロリットルの滅菌脱イオン水で予備湿潤させた。400マイクロリットルのオルトフタルアルデヒド(OPA)溶液(Rapicide OPA28高レベル消毒剤、Medivators Company(Minneapolis,MN)から入手可能)を、最低有効濃度で(滅菌脱イオン水を使用して0.35%OPAに希釈)、各ディスク上にピペットで移した。プレートを25℃で5分間維持した後、600マイクロリットルのグリシン(滅菌脱イオン水中6g/L)を各ウェルに添加した。プレートを室温で更に15分間インキュベートした。インキュベーション期間後、滅菌ピンセットを使用して、第2のポリスチレン48ウェル培養プレート内の新しいウェルに各ディスクを移した。第2のプレートの各ウェルに、L-セリン(1mM)及びレザズリンナトリウム塩(0.03mg/mL)を添加した麦芽抽出ブロス(600マイクロリットル、pH7.5)を収容した。プレートをPARAFILM(登録商標)Mプラスチックパラフィンフィルムで密封し、37℃で21日間インキュベートした。
【0250】
レザズリン指示薬の色変化及び溶液の濁りについてウェルを目視検査することによって、2、5、7、14及び21日目の成長についてウェルを確認した。濁りを有する透明又はピンク色の溶液は、成長について陽性であった。濁りを有さない紫色の溶液は、成長について陰性であった。OPA溶液に暴露されていなかったディスクを使用して陽性対照ウェルを準備した。ウェルにディスクを添加しないことにより、陰性対照ウェルを準備した。結果を表1に報告する。
【0251】
実施例10.
【0252】
実施例1のディスクの代わりに実施例2のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表1に報告する。
【0253】
実施例11.
【0254】
実施例1のディスクの代わりに実施例3のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表1に報告する。
【0255】
実施例12.
【0256】
実施例1のディスクの代わりに実施例4のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表1に報告する。
【0257】
実施例13.
【0258】
実施例1のディスクの代わりに実施例5のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表2に報告する。
【0259】
実施例14.
【0260】
実施例1のディスクの代わりに実施例6のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表2に報告する。
【0261】
実施例15.
【0262】
実施例1のディスクの代わりに実施例7のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表2に報告する。
【0263】
実施例16.
【0264】
実施例1のディスクの代わりに実施例8のディスクを使用して、実施例9について報告したものと同一の手順に従った。合計10枚のディスクを評価し、結果を表2に報告する。
【0265】
【表1】
【0266】
【表2】
【0267】
実施例17
【0268】
実施例2からの個々のディスクを、450mLの最小有効濃度(すなわち、0.35%)のオルトフタルアルデヒド(OPA)溶液(Rapicide OPA28高レベル消毒剤、Medivators Company(Minneapolis,MN)から入手可能)を収容するビーカーに、25℃で可変暴露時間(2秒、30秒、1分、2分、3分、4分、又は5分間のいずれか)で浸漬した。各暴露時間について、合計10枚のディスクを評価した。暴露時間の直後に、ディスクをOPA溶液から取り出し、穏やかに振盪することによってディスクから余分な液体を除去し、ディスクを250mLの中和溶液(滅菌脱イオン水中6%のグリシン)を収容するビーカーに移した。このディスクを中和溶液中に5分間維持した。次いで、各ディスクを、滅菌ピンセットを使用して、いずれもpH7.5の3mLの麦芽抽出ブロス中にレザズリン(0.03mg/mL)を加えた溶液を収容した15mLのスクリューキャップコニカルチューブに移した。各チューブを37℃で14日間インキュベートした。レザズリン指示薬の色変化及び溶液の濁りについてチューブを目視検査することによって、2、5、7及び14日目の成長についてチューブを確認した。濁りを有する透明又はピンク色の溶液は、成長について陽性であった。濁りを有さない紫色の溶液は、成長について陰性であった。OPA溶液に暴露されていなかったディスクを使用して陽性対照チューブを準備した。チューブにディスクを添加しないことにより、陰性対照チューブを準備した。結果を表3に報告する。1日目に、OPA溶液に最大30秒間暴露された全てのディスクについて成長が観察されたが、その一方で、OPAに2分以上暴露されたディスクについては観察されなかった。1日目に観察された結果は、1分間の暴露時間を除いて、全ての暴露時間にわたって14日目まで一定のままであった。
【0269】
【表3】
【0270】
実施例18.
【0271】
実施例17で報告したものと同一の手順に従ったが、但し、2回の暴露時間(2秒及び5分)後にのみディスクを評価し、各時点で評価したディスクの数を10ディスクから60ディスクまで増加させた。OPA溶液に2秒間暴露された60ディスクの全ては、全ての試験日の成長に対して陽性であった。OPA溶液に5分間暴露された60ディスクの全ては、全ての試験日の芽胞増殖に対して陰性であった。
【0272】
実施例19.
【0273】
実施例2からのディスクを、1mLのバターフィールド緩衝液(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)を収容している第1のエッペンチューブ(1.5mL)に添加した。以下の3工程手順を用いて、ディスクを緩衝液で洗浄し、各洗浄工程から洗浄緩衝液を回収した。第1のチューブを、Vortex-Genie 2ミキサー(Scientific Industries(Bohemia,NY)から入手可能)を用いて高速設定で1分間攪拌した。滅菌ピンセットを使用して、ディスクを第1のチューブの緩衝溶液から取り出し、新しいバターフィールド緩衝液を収容した第2のエッペンチューブ(1.5mL)に移した。第2のチューブを高速設定で1分間攪拌した。次いで、滅菌ピンセットを使用して、ディスクを第2のチューブの緩衝溶液から取り出し、新しいバターフィールド緩衝液を収容した第3のエッペンチューブ(1.5mL)に移した。第3のチューブを高速設定で1分間攪拌した後、滅菌ピンセットを使用してディスクを取り出した。第1、第2、及び第3のエッペンチューブから回収した緩衝溶液を、バターフィールド緩衝液で各々連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Rapid Yeast and Mold Count Plates(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)で別々に平板培養した。プレートを30℃で48時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。
【0274】
実施例2aのディスクを用いて手順を繰り返した。各ディスクタイプを、2回測定した。結果を表4に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。データは、コロニー数に基づいて、バターフィールド緩衝溶液を洗浄溶液として使用した場合に、実施例2aのディスクよりも実施例2のディスクから、有意に少ない数の芽胞(約100分の1倍の芽胞)が洗浄されたことを示している。実施例2の洗浄ディスクからの芽胞の平均損失割合は0.018%のみであったが、実施例2aの洗浄ディスクからの芽胞の平均損失割合は1.4%であった。
【0275】
【表4】
【0276】
実施例20.
【0277】
最終グリシン濃度が88mMとなるように、滅菌脱イオン水中のグリシンを、十分な強度のOPA溶液(0.575%のOPA、Rapicide OPA28高レベル消毒剤(Medivators Company)として入手可能)に添加することにより、中和されたOPA溶液を調製した。中和されたOPA溶液を、洗浄溶液として供給した。
【0278】
実施例2からのディスクを、1mLの洗浄溶液を収容している第1のエッペンチューブ(1.5mL)に添加した。以下の3工程手順を用いて、ディスクを中和されたOPA溶液で洗浄し、各洗浄工程から洗浄溶液を回収した。第1のチューブを、Vortex-Genie 2ミキサーを用いて高速設定で1分間攪拌した。滅菌ピンセットを使用して、ディスクを第1のチューブの洗浄溶液から取り出し、新しい洗浄溶液を収容した第2のエッペンチューブ(1.5mL)に移した。第2のチューブを高速設定で1分間攪拌した。次いで、滅菌ピンセットを使用して、ディスクを第2のチューブの洗浄溶液から取り出し、新しい洗浄溶液を収容した第3のエッペンチューブ(1.5mL)に移した。第3のチューブを高速設定で1分間攪拌した後、滅菌ピンセットを使用してディスクを取り出した。第1、第2、及び第3のエッペンチューブから回収した洗浄溶液を、バターフィールド緩衝液を使用して各々連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Rapid Yeast and Mold Count Platesで別々に平板培養した。プレートを30℃で48時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。
【0279】
実施例2aのディスクを用いて手順を繰り返した。各ディスクタイプを、2回測定した。結果を表5に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。データは、コロニー数に基づいて、中和されたOPA溶液を洗浄溶液として使用した場合に、実施例2aのディスクよりも実施例2のディスクから、有意に少ない数の芽胞(約100分の1倍の芽胞)が洗浄されたことを示している。実施例2の洗浄ディスクからの芽胞の平均損失割合は0.03%のみであったが、実施例2aの洗浄ディスクからの芽胞の平均損失割合は2.7%であった。
【0280】
【表5】
【0281】
実施例21.
【0282】
図5の用具300と同様の工程試験用具(但し、リザーバ、脆弱容器、導管、又は第2のコンパートメントを含まない)を構築した。各用具は、長さ約6.0cm、幅5.1cm、厚さ1.5mmの外形寸法を有する、概ね矩形に成形された成形半透明ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)プラスチックカードであった。マイクロ流体チャネルの全長は、約12.7cmであり、チャネル断面は、約1.0mm×約1.5mmであった。
【0283】
実施例2からの直径7mmのコーティングされたディスクを、チャネルの液体流路内に位置する円形空洞部内に配置した(少量の接着剤で固定した)。透明なPETフィルム(厚さ10mm)を用具に接着積層して、チャネル上のトップカバーを封止した。
【0284】
工程試験用具は、Medivators DSD-201 Automatic Endoscope Reprocessor(AER)(Medivators Company(Minneapolis,MN)から入手可能)の液体出口ポートを工程試験用具の入口ポートに接続し、及び工程試験用具の出口ポートをAERに取り付けられた内視鏡に接続する、マニホールドアセンブリに係合された。これにより、消毒サイクルの流体は、ディスクを含むマイクロ流体チャネルの全長を通じて循環することができた。消毒サイクルは、25℃で、水で30秒間の予備のすすぎ、5分間のOPA溶液の洗い流し及び液浸、2回の水すすぎサイクル、最後にパルス化イソプロピルアルコール/水の洗い流しである4つの順番の工程で構成された。
【0285】
消毒サイクルの完了時に、工程試験用具をAER機器から分離し、工程試験用具の入口ポートを介して320マイクロリットルの滅菌検出培地を送達し、それが芽胞コーティングディスクに接触するようにした。検出培地は、グリシン(15g/L)、L-セリン(0.1g/L)、及びレザズリンナトリウム塩(0.03g/L)を添加した麦芽抽出ブロス(15g/L、pH7.5)であった。次いで、この用具を37℃で7日間インキュベートした。インキュベーション期間後、レザズリン指示薬の色変化及び濁りについて検出培地を目視検査することによって、成長について用具を確認した。濁りを有する透明又はピンク色の溶液は、成長について陽性であった。濁りを有さない紫色の溶液は、成長について陰性であった。消毒サイクルに暴露されていなかった新しい用具を使用することにより、陽性対照用具を準備した。合計4つの用具を消毒処置し、4つの用具の全ては、成長について陰性と試験された。
【0286】
実施例22.
【0287】
厚さ約1mmのメルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の、10.2cm×10.2cmの試料(4.2マイクロメートルの有効繊維直径及び1平方メートル当たり105グラムの坪量を特徴とする)をグローブボックス内にて10分間窒素雰囲気下でパージし、プラスチック袋に挿入し、密封した。次いで、密封した袋をグローブボックスから取り出し、ウェブ速度約5.5メートル/分及び加速電圧300kVでEnergy Sciences,Inc.の「Electrocurtain」CB-300電子ビーム中をワンパス操作で通過させ、線量レベル70kGyで照射した。密封された袋を窒素雰囲気制御グローブボックスに戻し、ここで不織布材料を窒素パージした含浸溶液13グラムに含浸し、ほとんどの窒素を排出した後に袋を再密封した。ローラーを使用して、含浸溶液を基材に均一に分配した。試料を袋内で平坦に維持し、24時間均一に飽和させた。含浸溶液は、脱イオン水中に21.5重量%の総混合モノマーNVP/GMA/IEMAGMにより調製した。個々のモノマー濃度は、12.5%のNVP、4%のGMA、及び5%のIEMAGMであった。
【0288】
得られたコポリマーグラフト化不織布基材を袋から取り出し、800mLの生理食塩水溶液中で20分間撹拌しながら洗浄した。生理食塩水洗浄工程に続いて、温かい蒸留水を用いて基材を3回洗浄した。各洗浄工程において、新しい水を使用した。最終洗浄は、温水を用いて20分間実施した。洗浄した基材を一晩風乾した。基材材料を手順の前後に秤量して、基材にグラフト化されたコポリマー材料の量を求めた。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約289%であった。
【0289】
実施例23.
【0290】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例22に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、個々のモノマー濃度が12.5%のNVP、4%のGMA、及び2.5%のIEMAGMであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約288%であった。
【0291】
実施例24.
【0292】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例22に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、含浸溶液は、脱イオン水中に21.5重量%の総混合モノマーNVP/GMA/2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(DEAEMA)により調製した。個々のモノマー濃度は、12.5%のNVP、4%のGMA、及び5%のDEAEMAであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約316%であった。
【0293】
実施例25.
【0294】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例24に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、個々のモノマー濃度が12.5%のNVP、4%GMA、及び2.5%のDEAEMAであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約275%であった。
【0295】
実施例26.
【0296】
滅菌脱イオン水中のポリビニルピロリドン(PVP)(平均MW96,000、Alfa Aesar Company(Haverhill,MA)から入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVP含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例22のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0297】
実施例27.
【0298】
実施例26に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例23のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0299】
実施例28.
【0300】
実施例26に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例24のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0301】
実施例29.
【0302】
実施例26に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例25のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0303】
実施例30.
【0304】
滅菌脱イオン水中のポリビニルアルコール(PVA)(平均MW96,000、Alfa Aesar Companyから入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVA含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例22のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径5mm又は7mmのいずれかの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0305】
実施例31.
【0306】
実施例30に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例23のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0307】
実施例32.
【0308】
実施例30に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例24のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0309】
実施例33.
【0310】
実施例30に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例25のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0311】
実施例34.
【0312】
実施例22のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた5mm又は7mmのいずれかの円形ディスク上に、アスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞(5×10個/mL)の10マイクロリットルの懸濁液を直接スポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0313】
実施例35.
【0314】
実施例34に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例23のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0315】
実施例36.
【0316】
実施例34に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例24のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0317】
実施例37.
【0318】
実施例34に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例25のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0319】
実施例38.
【0320】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例22に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、含浸溶液は、脱イオン水中に21.5重量%の総混合モノマーNVP/GMA/MAPTACにより調製した。個々のモノマー濃度は、12.5%のNVP、4%のGMA、及び5%のMAPTACであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約309%であった。
【0321】
実施例39.
【0322】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例22に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、個々のモノマー濃度が12.5%のNVP、4%のGMA、及び2.5%のMAPTACであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約302%であった。
【0323】
実施例40.
【0324】
滅菌脱イオン水中のポリビニルピロリドン(PVP)(平均MW96,000、Alfa Aesar Companyから入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVP含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0325】
実施例41.
実施例40に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例39のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0326】
実施例42.
滅菌脱イオン水中のポリビニルアルコール(PVA)(平均MW96,000、Alfa Aesar Companyから入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVA含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径5mm又は7mmのいずれかの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0327】
実施例43.
【0328】
実施例42に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例39のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0329】
実施例44.
【0330】
実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた5mm又は7mmのいずれかの円形ディスク上に、アスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞(5×10個/mL)の10マイクロリットルの懸濁液を直接スポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0331】
実施例45.
【0332】
実施例44に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、実施例39のコポリマーグラフト化不織布基材からディスクを打ち抜いた。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0333】
【0334】
実施例46.
【0335】
実施例26~37及び40~45の手順を使用して調製したディスクを、9mLのバターフィールド緩衝液を収容した別個のチューブに個々に配置した。各チューブを高速設定で1分間攪拌した。ディスクを取り出し、回収した緩衝溶液をバターフィールド緩衝液で連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Rapid Yeast and Mold Count Plates(3M Company(St.Paul,MN)から入手可能)で平板培養した。プレートを37℃で48時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。各タイプの合計3枚のディスクを分析した。計数されたコロニー数に基づいて、各ディスクから洗浄された芽胞の割合を計算した。平均結果を表6に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。
【0336】
【表6】
【0337】
実施例47.
【0338】
滅菌脱イオン水中のポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)(PAMPS)(平均MW9,500、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVP含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0339】
実施例48.
【0340】
滅菌脱イオン水中のポリ(メタクリル酸、ナトリウム塩)(PMMA)(平均MW2,000,000、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を、等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVP含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0341】
実施例49.
【0342】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のアスペルギルス・ブラジリエンシス芽胞懸濁液(1×10個/mL)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約5×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約5×10個の芽胞を付与した。
【0343】
実施例50.
【0344】
実施例40、42、44、及び47~49の手順を使用して調製したディスクを、9mLのバターフィールド緩衝液を収容した別個のチューブに個々に配置した。各チューブを高速設定で1分間攪拌した。ディスクを取り出し、回収した緩衝溶液をバターフィールド緩衝液で連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Rapid Yeast and Mold Count Platesで平板培養した。プレートを37℃で44時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。各タイプの合計3枚のディスクを分析した。計数されたコロニー数に基づいて、各ディスクから洗浄された芽胞の割合を計算した。平均結果を表7に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。
【0345】
【表7】
【0346】
実施例51.
【0347】
実施例30~37、42~43、及び44~45からのディスクを、ポリスチレン48ウェル培養プレートのウェルに個々に配置した(5mmの円形ディスク5枚を各実施例から評価した)。20マイクロリットルの滅菌脱イオン水を各ウェルに添加することによってディスクを予備湿潤し、次いでプレートを水浴中にて25℃で10分間インキュベートした。0.55%のOPA濃度の400マイクロリットルのオルトフタルアルデヒド(OPA)溶液(Rapicide OPA28高レベル消毒剤、Medivators Company(Minneapolis,MN)から入手可能)を、各ディスク上にピペットで移した。プレートを25℃で5分間維持した後、600マイクロリットルのグリシン(滅菌脱イオン水中88mM)を各ウェルに添加した。プレートを室温で更に5分間インキュベートした。インキュベーション期間後、滅菌ピンセットを使用して、第2の組のポリスチレン48ウェル培養プレート内の新しいウェルに各ディスクを移した。第2のプレート内の各ウェルは、0.03mg/mLのレザズリンナトリウム塩を添加した800マイクロリットルの麦芽抽出ブロス(pH7.5、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能、カタログ番号M6409)を収容した。プレートをPARAFILM(登録商標)Mプラスチックパラフィンフィルムで密封し、37℃で7日間インキュベートした。
【0348】
レザズリン指示薬の色変化及び溶液の濁りについてウェルを目視検査することによって、1、5及び7日目の成長についてウェルを確認した。濁りを有する透明又はピンク色の溶液は、成長について陽性であった。濁りを有さない紫色の溶液は、成長について陰性であった。OPA溶液に暴露されていなかったディスクを使用して陽性対照ウェルを準備した。ウェルにディスクを添加しないことにより、陰性対照ウェルを準備した。全ての陽性対照ウェルは、1、5及び7日目に成長を示した。陰性対照ウェルのいずれも、1、5及び7日目に成長を示さなかった。結果を表8に報告する。
【0349】
【表8】
【0350】
実施例52.
【0351】
ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスの懸濁原液をバターフィールド緩衝液で希釈して、4×10個/mLの芽胞濃度を得た。滅菌脱イオン水中のポリビニルアルコール(PVA)(平均MW96,000、Alfa Aesar Companyから入手可能)の2%溶液を、等量のゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞懸濁液に添加した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終PVA含有量は、1%であり、芽胞濃度は、約2×10個/mLであった。次いで、実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径5mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0352】
実施例53.
【0353】
実施例38のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた5mmの円形ディスク上に、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞(2×10個/mL)の10マイクロリットルの懸濁液を直接スポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2×10個の芽胞を付与した。
【0354】
実施例54.
【0355】
実施例52及び53からの個々のディスクを、500mLの過酢酸(PAA)滅菌溶液を収容するビーカーに50℃で6分間浸漬した。滅菌溶液は、PAA濃度が1830ppmであり、Steris S40 Sterilant Concentrate(Steris Corporation,Mentor,OH)を使用して調製した。各実施例から、合計10枚のディスクを評価した。暴露時間の直後に、ディスクを滅菌溶液から取り出し、穏やかに振盪することによってディスクから余分な液体を除去し、ディスクを200mLの中和溶液(滅菌脱イオン水中5重量%のチオ硫酸ナトリウム)を収容するビーカーに移した。このディスクを中和溶液中に5分間維持した。次いで、各ディスクを、滅菌ピンセットを使用して、3mLの滅菌増殖培地を収容した15mLのスクリューキャップコニカルチューブに移した。増殖培地は、水中にL-アラニン、ペプトン、及びブロモクレゾールパープルを含有していた。各チューブを58℃で7日間インキュベートした。色変化(紫色から黄色)及び溶液の濁りについてチューブを目視検査することによって、1、2及び7日目の成長についてチューブを確認した。濁りを有する黄色の溶液は、成長について陽性であった。濁りを有さない紫色の溶液は、成長について陰性であった。滅菌溶液に暴露されていなかったディスクを使用して陽性対照チューブを準備した。チューブにディスクを添加しないことにより、陰性対照チューブを準備した。結果を表9に報告する。全ての陽性対照については、1日目に成長が観察された。成長は、7日間の陰性対照のいずれでも観察されなかった。
【0356】
【表9】
【0357】
実施例55.
【0358】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例39に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の有効繊維直径は9.9マイクロメートルであり、坪量は1平方メートル当たり102グラムであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約220%であった。
【0359】
実施例56.
【0360】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例39に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の有効繊維直径は8.0マイクロメートルであり、坪量は1平方メートル当たり102グラムであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約266%であった。
【0361】
実施例57.
【0362】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例39に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の有効繊維直径は6.1マイクロメートルであり、坪量は1平方メートル当たり99グラムであった)。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約263%であった。
【0363】
実施例58.
【0364】
コポリマーグラフト化不織布基材を調製するための実施例39に記載したものと同一の手順に従ったが、但し、メルトブローポリプロピレンマイクロファイバー不織布基材の有効繊維直径は3.9マイクロメートルであり、坪量は1平方メートル当たり100グラムであった。グラフト後の基材の重量増加は、基材の元の重量の約272%であった。
【0365】
実施例59.
【0366】
アガロースを滅菌脱イオン水に添加し、溶解するまでマイクロ波で加熱することにより、アガロース(65℃未満の融解温度、カタログ番号A2790、Sigma-Aldrich Corporationから入手可能)の2%溶液を調製した。次いで、アガロース溶液を約40℃まで冷却し、ピペットで等量のゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞懸濁液(5.4×10個/mL)を添加することによって希釈した。希釈工程の後、得られたコーティング懸濁液の最終アガロース含有量は、10%であり、芽胞濃度は、約2.7×10個/mLであった。次いで、実施例55~58のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液の個々の部分標本(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2.7×10個の芽胞を付与した。
【0367】
各ディスクを、9mLのバターフィールドを収容したチューブに入れ、チューブを高速設定で1分間攪拌した。ディスクを取り出し、回収した緩衝溶液をバターフィールド緩衝液で連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Aerobic Count Platesで平板培養した。プレートを56℃で24時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。各タイプの合計3枚のディスクを分析した。計数されたコロニー数に基づいて、各ディスクから洗浄された芽胞の割合を計算した。平均結果を表10に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。
【0368】
実施例60.
【0369】
ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞(2.7×10個/mL)の10マイクロリットルの懸濁液を調製した。次いで、実施例55~58のコポリマーグラフト化不織布基材から打ち抜かれた直径7mmの円形ディスク上にピペットを使用して、コーティング懸濁液の個々の部分標本(10マイクロリットル)をスポットした。スポットされた基材を室温で一晩風乾した。各ディスクに約2.7×10個の芽胞を付与した。
【0370】
各ディスクを、9mLのバターフィールド緩衝液を収容したチューブに入れ、チューブを高速設定で1分間攪拌した。ディスクを取り出し、回収した緩衝溶液をバターフィールド緩衝液で連続希釈し、PETRIFILM(登録商標)Aerobic Count Platesで平板培養した。プレートを56℃で24時間インキュベートし、コロニーを目視検査により計数した。各タイプの合計3枚のディスクを分析した。計数されたコロニー数に基づいて、各ディスクから洗浄された芽胞の割合を計算した。平均結果を表10に示し、値は、必要とされる希釈数に基づいて調整された。
【0371】
【表10】
【0372】
本明細書で言及した全ての特許、特許出願、及び公報、並びに電子的に入手可能な資料の全開示内容が、参照により組み込まれる。本出願の開示内容と参照により本明細書に組み込まれたいずれかの文書の開示内容との間に何らかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例は、理解しやすいように示したものにすぎない。これによって不必要な限定がなされるものではない。本発明は図示及び記載された細部そのものに限定されず、当業者に明白な変形形態は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
【0373】
全ての見出しは読者の便宜のためのものであり、明記しない限り、見出しに続く文言の意味を限定するために用いられるものではない。
【0374】
本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8