(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】自動食器洗浄配合物用分散剤系
(51)【国際特許分類】
C11D 1/722 20060101AFI20221020BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20221020BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
C11D1/722
C11D3/37
C11D3/33
C11D3/10
C11D3/20
C11D3/395
C11D3/386
C11D3/40
C11D3/48
C11D3/36
(21)【出願番号】P 2019548457
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 US2018023089
(87)【国際公開番号】W WO2018183010
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリュー、セヴラン
(72)【発明者】
【氏名】ワッサーマン、エリック ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー、マリアンヌ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ドーグス、エドワード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クレモ、サラ ビー
(72)【発明者】
【氏名】メルカンド、ポール
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/013158(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/153668(WO,A1)
【文献】特表2012-516372(JP,A)
【文献】特開2005-154716(JP,A)
【文献】特表2016-534208(JP,A)
【文献】国際公開第2001/072941(WO,A1)
【文献】特開平11-021586(JP,A)
【文献】特開2010-144087(JP,A)
【文献】特表2017-504711(JP,A)
【文献】米国特許第06365785(US,B1)
【文献】特表2001-512160(JP,A)
【文献】特表2003-523412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A47L 15/00-21/06
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄組成物であって、
前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて2.5~7.5重量%の分散剤ポリマーブレンドであって、
アクリル酸ホモポリマーと、
アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーと、を含み、
前記分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて1.5:1~1:1.5の前記アクリル酸ホモポリマー対前記コポリマーのブレンド比を有する、分散剤ポリマーブレンドと、
アミノカルボン酸塩キレート剤と、
前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて2.5~7.5重量%の界面活性剤と、
炭酸塩及びクエン酸塩の混合物を含む、前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて10~60重量%のビルダーと、
前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて1~25重量%の漂白剤と、
漂白活性化剤、漂白触媒、酵素、ホスホン酸塩、充填剤、染料、消泡剤、抗菌剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて0~75重量%の添加
剤と、を含み、
前記界面活性剤は、式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコールであり、
【化1】
式中、R
1が直鎖飽和C
10-14アルキル基であり、R
2
が分岐状飽和C
6-10
アルキル基であり、mが10~50の平均値を有し、nが1より大きく2までの平均値を有する、自動食器洗浄組成物。
【請求項2】
前記アクリル酸ホモポリマーが2,000~4,000ダルトンの重量平均分子量を有し、前記アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーが12,500~17,500ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の自動食器洗浄組成物。
【請求項3】
前記アミノカルボン酸塩キレート剤の量が、前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて15重量%である、請求項1または2に記載の自動食器洗浄組成物。
【請求項4】
前記自動食器洗浄組成物中のリン酸塩の量が、前記自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて0~0.5重量%未満(元素リンとして測定)である、請求項1に記載の自動食器洗浄組成物。
【請求項5】
R
1が、直鎖飽和C
10-12アルキル基である、請求項1に記載の自動食器洗浄組成物。
【請求項6】
自動食器洗浄機で物品を清浄する方法であって、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の自動食器洗浄組成物を前記物品に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄配合物に使用するための分散剤系に関する。具体的には、本発明は、食器上の斑点形成および/または膜形成を低減するかかる分散剤系を組み込んだ自動食器洗浄組成物に関する。
【0002】
自動食器洗浄組成物は概して、布洗浄または水処理に使用されるものとは異なる洗剤組成物の分類として認識されている。清浄サイクルの完了後、自動食器洗浄組成物が、洗浄された物品上に斑点および膜がない外観を生じさせることを、使用者は期待している。
【0003】
低泡性界面活性剤としてのヒドロキシポリエーテルのファミリーを、リン酸塩を含む機械食器洗浄洗剤配合物中のすすぎ助剤として使用することが、Welchらによって米国特許第5,294,365号に開示されている。Welchらは、式
【化1】
の化合物について開示しており、式中、R
1およびR
2が、同じでも異なっていてもよく、直鎖または分岐状C
1-18アルキルラジカルであり、nが、15~45の数であり、mが、0~3の数である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それにもかかわらず、リン酸塩を含まない組成物がますます望まれている。カルシウムおよびマグネシウムを硬水から隔離し、それらが、乾燥後、食器上に不溶性の目に見える堆積物として残ることを阻止するために、リン酸塩を含まない組成物は、クエン酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、二ケイ酸塩、重炭酸塩、アミノカルボン酸塩、および他などの非リン酸塩ビルダーに依存している。しかしながら、リン酸塩を含まない組成物は、ガラス食器および他の表面上に斑点を残す傾向がより強い。
【0005】
自動食器洗浄において改善された特性を呈し、かつリン酸塩を含まない組成物が、本業界において進歩的であるであろう。したがって、斑点形成防止特性を有する新しい界面活性剤が依然として必要とされている。具体的には、リン酸塩を含まずかつ斑点形成を防止する自動食器洗浄配合物を助ける、斑点形成防止特性を有する新しい界面活性剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動食器洗浄組成物であって、0.5~15重量%の分散剤ポリマーブレンドであって、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとを含み、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて3:1~1:3のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する、分散剤ポリマーブレンドと、0.5~15重量%の界面活性剤と、1~75重量%のビルダーと、0~75重量%の添加剤とを含む、自動食器洗浄組成物を提供する。
【0007】
本発明は、自動食器洗浄組成物であって、0.5~15重量%の分散剤ポリマーブレンドであって、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとを含み、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて3:1~1:3のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する、分散剤ポリマーブレンドと、0.5~15重量%の界面活性剤と、1~75重量%のビルダーと、0~75重量%の添加剤とを含み、自動食器洗浄組成物が、0.1重量%未満のリン酸塩を含有し、自動食器洗浄組成物が、0.1重量%未満のアミノカルボン酸塩キレート剤を含有し、界面活性剤が、式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコールであり、
【化2】
式中、R
1が直鎖飽和C
8-24アルキル基であり、R
2が直鎖または分岐状飽和C
6-20アルキル基であり、mが10~50の平均値を有し、nが>1~2の平均値を有する、自動食器洗浄組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、自動食器洗浄機で物品を清浄する方法であって、本発明の自動食器洗浄組成物を物品に適用することを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の分散剤配合物は、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとのブレンドを含み(好ましくは、自動食器洗浄組成物が、ある特定のグリシジルエーテルとエトキシル化アルコールの基との反応に基づく本発明の界面活性剤をさらに含む)、自動食器洗浄組成物(特にリン酸塩を含まない自動食器洗浄組成物)に組み込むと、自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の斑点形成および/またはスケール(膜形成)防止性能を劇的に改善する。
【0010】
別途示されない限り、比、百分率、部などは、重量による。組成物中の重量百分率(または、重量%)は、乾燥重量、すなわち、組成物中に存在し得る一切の水を排除した百分率である。ポリマー中のモノマー単位の百分率は、固形重量、すなわち、ポリマー乳剤中に存在する一切の水を排除した百分率である。
【0011】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「分子量」および「Mw」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)およびポリエチレングリコール標準物質などの従来の標準物質を用いる従来の様式で測定された場合の重量平均分子量を指すために互換的に使用される。GPC技術は、Modem Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-lnterscience,1979、およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,81~84頁に詳細に考察されている。分子量は、本明細書ではダルトンの単位で報告される。
【0012】
用語「エチレン性不飽和」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分子または部分について説明するために使用され、これは分子または部分を重合可能にする。用語「エチレン性不飽和」には、モノエチレン性不飽和(1つの炭素-炭素二重結合を有する)、および多エチレン性不飽和(2つ以上の炭素-炭素二重結合を有する)が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを指す。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「エチレンオキシ」および「EO」は、-CH2-CH2-O-を指す。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「リン酸塩を含まない」とは、≦1重量%(好ましくは≦0.5重量%、より好ましくは≦0.2重量%、さらにより好ましくは≦0.1重量%、なおさらにより好ましくは≦0.01重量%、最も好ましくは検出限界未満)のリン酸塩(元素リンとして測定)を含有する組成物を意味する。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「構造単位」は、示されるモノマーの残部を指し、したがって、アクリル酸の構造単位は、
【化3】
で示され、点線が、ポリマー骨格への結合点を表す。
【0016】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとを含む、分散剤ポリマーブレンドであって、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて3:1~1:3(好ましくは2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは1.5:1~1:1.5)のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーブレンドと、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の界面活性剤(好ましくは、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である)と、1~75重量%のビルダーと、0~75重量%の添加剤とを含む。
【0017】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとを含む、分散剤ポリマーブレンドであって、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて3:1~1:3(好ましくは2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは1.5:1~1:1.5)のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーブレンドと、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の界面活性剤(好ましくは、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である)と、1~75重量%のビルダーと、0~75重量%の添加剤とを含み、ビルダーが、炭酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとを含む、分散剤ポリマーブレンドであって、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて3:1~1:3(好ましくは2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは1.5:1~1:1.5)のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の分散剤ポリマーブレンドと、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の界面活性剤(好ましくは、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である)と、1~75重量%のビルダーと、0~75重量%の添加剤とを含み、界面活性剤が、式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコールであり、
【化4】
式中、R
1が、直鎖飽和C
8-24アルキル基(好ましくは、直鎖飽和C
10-14アルキル基、より好ましくは、直鎖飽和C
10-12アルキル基、より好ましくは直鎖飽和C
10アルキル基または直鎖飽和C
12アルキル基)であり、R
2が、直鎖飽和または分岐状飽和C
6-20アルキル基(好ましくは、分岐状飽和C
6-10アルキル基、より好ましくは2-エチルヘキシル基)であり、mが、10~50(好ましくは10~30、より好ましくは15~30、さらにより好ましくは18~22、なおさらにより好ましくは19~21、最も好ましくは20)の平均値を有し、nが、>1~2(好ましくは1.1~2、より好ましくは1.2~1.6)の平均値を有し、自動食器洗浄組成物が、0.1重量%未満(好ましくは<0.05重量%、より好ましくは<0.01重量%、さらにより好ましくは<検出限界、最も好ましくは含まない)のアミノカルボン酸塩キレート剤(例えばMGDA)を含有する。式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコール界面活性剤は、炭素数が異なるが上述の範囲に準ずる平均炭素数を有する、ある範囲のアルキル基をR
1およびR
2に含有する化合物の混合物を含み得る。
【0019】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、0.5~15重量%の分散剤ポリマーブレンドを含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、0.5~10重量%の分散剤ポリマーブレンドを含む。さらにより好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、1~8重量%の分散剤ポリマーブレンドを含む。最も好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、2.5~7.5重量%の分散剤ポリマーブレンドを含む。
【0020】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、≧1重量%(より好ましくは≧2重量%、より好ましくは≧3重量%、より好ましくは≧5重量%)の分散剤ポリマーブレンドを含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、≦10重量%(より好ましくは≦8重量%、より好ましくは≦6重量%、より好ましくは≦4重量%)の分散剤ポリマーブレンドを含む。
【0021】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に含まれる分散剤ポリマーブレンドは、アクリル酸ホモポリマーと、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーとのブレンドを含み、分散剤ポリマーブレンドが、重量に基づいて、3:1~1:3(好ましくは2.5:1~1:2.5、より好ましくは2:1~1:2、最も好ましくは1.5:1~1:1.5)のアクリル酸ホモポリマー対コポリマーのブレンド比を有する。
【0022】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸ホモポリマーは、1,000~40,000(好ましくは1,000~20,000、より好ましくは1,000~10,000、さらにより好ましくは1,000~5,000、最も好ましくは2,000~4,000)ダルトンの重量平均分子量MWを有する。
【0023】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、2,000~100,000(好ましくは5,000~60,000、より好ましくは8,000~25,000、さらにより好ましくは10,000~20,000、最も好ましくは12,500~17,500)ダルトンの重量平均分子量MWを有する。
【0024】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、少なくとも1つのスルホン化モノマーの構造単位を含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、4-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-アリルオキシスルホン酸、2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(HAPS)、2-スルホエチル(メタ)アクリル酸、2-スルホプロピル(メタ)アクリル酸、3-スルホプロピル(メタ)アクリル酸、4-スルホブチル(メタ)アクリル酸、およびそれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つのスルホン化モノマーの構造単位を含む。
【0025】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、5~65重量%(より好ましくは15~40重量%、最も好ましくは20~35重量%)のアクリル酸構造単位を含む。
【0026】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、50~95重量%(好ましくは70~93重量%)のアクリル酸の構造単位、および5~50重量%(好ましくは7~30重量%)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の構造単位を含む。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるアクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマーは、50~95重量%(好ましくは70~93重量%)のアクリル酸の構造単位、および5~50重量%(好ましくは7~30重量%)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩の構造単位を含み、コポリマーが、2,000~100,000(より好ましくは10,000~20,000、最も好ましくは12,500~17,500)ダルトンの重量平均分子量Mwを有する。
【0027】
本発明の自動食器洗浄組成物に使用される分散剤ポリマーブレンドに含まれるポリマーは、様々な供給元から市販されており、かつ/またはそれらを文献の技法を使用して調製してもよい。例えば、分散剤ポリマーブレンドに含まれる低分子量ポリマーは、フリーラジカル重合によって調製してもよい。これらのポリマーを調製するための好ましい方法は、溶媒中での均質重合による。溶媒は、水、または2-プロパノールもしくは1,2-プロパンジオールなどのアルコール溶媒であってもよい。フリーラジカル重合は、アルカリ過硫酸塩、または有機過酸および過エステルなどの前駆体化合物の分解により開始される。前駆体の活性化は、高反応温度のみの作用(熱活性化)による、または硫酸鉄(II)とアスコルビン酸との組み合わせなどの酸還元作用剤の混和物(酸還元活性化)による場合もある。これらの場合、典型的には、連鎖移動剤を使用してポリマー分子量を調節する。溶液重合において用いられる好ましい連鎖移動剤のうちの1つの分類は、アルカリ重亜硫酸塩またはアンモニウム重亜硫酸塩である。具体的には、メタ-重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0028】
本発明の自動食器洗浄組成物に使用される分散剤ポリマーブレンドに含まれるポリマーは、水溶性溶液ポリマー、スラリー、乾燥粉末の形態、または顆粒もしくは他の固形形態であり得る。
【0029】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、0.5~15重量%(好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~8重量%、最も好ましくは2.5~7.5重量%)の界面活性剤を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用される界面活性剤は、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-ブチレンオキシドジ-もしくはトリ-ブロックコポリマー、アルコキシル化脂肪アルコール、アミンオキシド、アルキルエーテル硫酸塩、またはアルキルポリグリコシドからなる群から選択される非イオン性界面活性剤である。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用される界面活性剤は、45℃未満の曇点を有する非イオン性界面活性剤である。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用される界面活性剤は、ポリオキシアルキレンポリエーテル誘導体に基づく非イオン性界面活性剤である。
【0030】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用される界面活性剤は、式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコールであり、
【化5】
式中、R
1が、直鎖飽和C
8-24アルキル基(好ましくは、直鎖飽和C
10-14アルキル基、より好ましくは、直鎖飽和C
10-12アルキル基、より好ましくは直鎖飽和C
10アルキル基または直鎖飽和C
12アルキル基)であり、R
2が、直鎖飽和または分岐状飽和C
6-20アルキル基(好ましくは、分岐状飽和C
6-10アルキル基、より好ましくは2-エチルヘキシル基)であり、mが、10~50(好ましくは10~30、より好ましくは15~30、さらに好ましくは18~22、なおさらにより好ましくは19~21、最も好ましくは20)の平均値を有し、nが、>1~2(好ましくは1.1~2、より好ましくは1.2~1.6)の平均値を有する。式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコール界面活性剤は、炭素数が異なるが上述の範囲に準ずる平均炭素数を有する、ある範囲のアルキル基をR
1およびR
2に含有する化合物の混合物を含み得る。
【0031】
式Iのグリシジルエーテルでキャップされたエトキシル化アルコール界面活性剤は、既知の合成手順を使用して容易に調製することができる。例えば、本化合物を調製するための典型的な手順は、以下のとおりである。式R1OH(式中、R1が、直鎖飽和C8-24アルキル基である)に準ずるアルコールを反応器に添加し、塩基(例えば、ナトリウムメトキシドまたは水酸化カリウム)の存在下で加熱する。混合物は、比較的水を含まないはずである。次いで、この混合物に、加圧下で所望の量のエチレンオキシド(EO)を添加する。(反応器圧力の実質的な低下によって示されるように)EOが消費された後、得られたエトキシル化アルコールを単離し、塩基性条件下で1:1.1~1:2の範囲のアルコール:グリシジルエーテルのモル比でアルキルグリシジルエーテル(アルキル基が6~20個の炭素原子を含有する)との反応を施してもよい。あるいは、エトキシル化アルコールを、元の反応器中に残し、アルキルグリシジルエーテルの添加によるさらなる反応を施してもよい。触媒対アルコールのモル比は、0.01:1~1:1であり得るが、好ましくは、0.02:1~0.5:1である。あるいは、ルイス酸触媒(例えば、三フッ化ホウ素エーテラート)を、アルコールに対するモル比0.01:1~0.25:1で用いてもよい。EOとの反応およびアルキルグリシジルエーテルとの反応は、概して、溶媒の不在下で、25~200℃、好ましくは80~160℃の温度で行われる。
【0032】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーは、1つ以上の炭酸塩、クエン酸塩、およびケイ酸塩を含む。
【0033】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、1~75重量%のビルダーを含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、≧1重量%(より好ましくは≧10重量%、より好ましくは≧20重量%、より好ましくは≧25重量%)のビルダーを含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、≦75重量%(より好ましくは≦60重量%、より好ましくは≦50重量%、最も好ましくは≦40重量%)のビルダーを含む。炭酸塩、クエン酸塩、およびケイ酸塩の重量百分率は、金属イオンを含む塩の実際の重量に基づく。
【0034】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「炭酸塩(複数可)」は、炭酸塩、重炭酸塩、過炭酸塩、および/またはセスキ炭酸塩のアルカリ金属またはアンモニウム塩を指す。好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用される炭酸塩(もしあれば)は、ナトリウム、カリウム、およびリチウムの炭酸塩(より好ましくはナトリウムまたはカリウムの塩、最も好ましくはナトリウムの塩)からなる群から選択される。より好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用される炭酸塩(もしあれば)は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしては、炭酸塩が挙げられる。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしては、炭酸塩の混合物が挙げられる。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとして炭酸塩が挙げられるとき、自動食器洗浄組成物は、好ましくは10~75重量%(好ましくは15~70重量%、より好ましくは25~60重量%、最も好ましくは30~50重量%)の炭酸塩(複数可)を含む。
【0036】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「クエン酸塩(複数可)」は、アルカリ金属クエン酸塩を指す。好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用されるクエン酸塩(もしあれば)は、ナトリウム、カリウム、およびリチウムのクエン塩(より好ましくはナトリウムまたはカリウムの塩、最も好ましくはナトリウムの塩)からなる群から選択される。より好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用されるクエン酸塩(もしあれば)は、クエン酸ナトリウムである。
【0037】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしては、クエン塩が挙げられる。より好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしては、炭酸塩の混合物が挙げられる。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとして炭酸塩が挙げられるとき、自動食器洗浄組成物は、好ましくは0~40重量%(好ましくは21~40重量%、より好ましくは25~35重量%、最も好ましくは27.5~32.5重量%)のクエン塩(複数可)を含む。
【0038】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「ケイ酸塩(複数可)」は、アルカリ金属ケイ酸塩を指す。好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用されるケイ酸塩(もしあれば)は、ナトリウム、カリウム、およびリチウムのケイ酸塩(より好ましくはナトリウムまたはカリウムの塩、最も好ましくはナトリウムの塩)からなる群から選択される。より好ましくは、自動食器洗浄組成物に使用されるケイ酸塩(もしあれば)は、二ケイ酸ナトリウムである。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしては、ケイ酸塩が挙げられる。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物に使用されるビルダーとしてケイ酸塩が挙げられるとき、自動食器洗浄組成物は、好ましくは0~10重量%(好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.5~3重量%、最も好ましくは1.5~2.5重量%)のケイ酸塩(複数可)を含む。
【0039】
本発明の自動食器洗浄組成物は、任意選択的に添加剤をさらに含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、任意選択的に、アルカリ源、漂白剤(例えば、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム)、および任意選択的に漂白活性化剤(例えば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED))、および/または漂白触媒(例えば、酢酸マンガン(II)、塩化コバルト(II)、ビス(TACN)マグネシウムトリオキシド二酢酸)、酵素(例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、またはセルラーゼ)、アミノカルボン酸塩キレート剤(例えば、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、イミノ二コハク酸(IDSA)、1,2-エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、またはそれらの混合物もしくは塩)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-二ホスホン酸(HEDP)などのホスホン酸塩、消泡剤、着色剤、芳香剤、ケイ酸塩、ポリ(エチレングリコール)、追加のビルダー、抗菌剤、および/または充填剤からなる群から選択される添加剤をさらに含む。錠剤または粉末中の充填剤は、不活性な水溶性物質、典型的にはナトリウムまたはカリウム塩、例えば硫酸ナトリウムもしくはカリウムおよび/または塩化ナトリウムもしくはカリウムであり、典型的には0重量%~75重量%の範囲の量で存在する。ゲル配合物中の充填剤としては、上記のもの、また水および他の溶媒(例えばグリセリン)も挙げることができる。芳香剤、染料、消泡剤、酵素、および抗菌剤は、通常、合計で組成物の10重量%以下、あるいは5重量%以下である。
【0040】
本発明の自動食器洗浄組成物は、任意選択的にアルカリ源をさらに含む。好適なアルカリ源としては、限定されないが、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムもしくは水酸化カリウム、または前述のものの混合物などのアルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水酸化物が挙げられる。炭酸ナトリウムが好ましい。本発明の自動食器洗浄組成物中のアルカリ源の量は、存在するとき、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、例えば、少なくとも1重量パーセント(好ましくは少なくとも20重量パーセント)~最大80重量パーセント(好ましくは最大60重量パーセント)の範囲であり得る。
【0041】
本発明の自動食器洗浄組成物は、任意選択的に漂白剤をさらに含む。好ましい漂白剤は、過炭酸ナトリウムである。本発明の自動食器洗浄組成物中の漂白剤の量は、存在するとき、自動食器洗浄組成物の乾燥重量に基づいて、好ましくは1~25重量%(より好ましくは1~10重量%の濃度である。
【0042】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、少なくとも9(好ましくは、≧10)のpH(水中の1重量%における)を有する。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、13以下のpH(水中の1重量%における)を有する。
【0043】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、任意の典型的な形態、例えば、錠剤、粉末、塊、一回量、小袋、ペースト、液体、またはゲルで配合することができる。本発明の自動食器洗浄組成物は、食事道具および調理道具、皿などの用品を自動食器洗浄機で清浄するのに有用である。
【0044】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、典型的な操作条件下で使用することができる。例えば、自動食器洗浄機で使用されるとき、洗浄プロセス中の典型的な水温は、好ましくは20℃~85℃、好ましくは30℃~70℃である。自動食器洗浄組成物の典型的な濃度は、食器洗浄機内の合計液体の百分率として、好ましくは0.1~1重量%、好ましくは0.2~0.7重量%である。適切な製品形態および添加時間の選択により、本発明の自動食器洗浄組成物は、予備洗浄、主洗浄、最後から2番目のすすぎ、最後のすすぎ、またはこれらのサイクルの任意の組み合わせ時に存在してもよい。
【0045】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、≦1重量%(好ましくは≦0.5重量%、より好ましくは≦0.2重量%、さらにより好ましくは≦0.1重量%、なおさらにより好ましくは≦0.01重量%、最も好ましくは、<検出限界)のリン酸塩(元素リンとして測定)を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、リン酸塩を含まない。
【0046】
好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、<0.1重量%(好ましくは<0.05重量%、より好ましくは<0.01重量%、最も好ましくは<検出限界)のアミノカルボン酸塩キレート剤(例えばMGDA)を含む。好ましくは、本発明の自動食器洗浄組成物は、アミノカルボン酸塩キレート剤(例えばMGDA)を含まない。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を、これより以下の実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0048】
界面活性剤の調製
材料:1,2-エポキシオクタン、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1-デカノール、1-ドデカノール、2-ブチル-1-オクタノール、ナトリウムメトキシド溶液をSigma-Aldrichから入手し、さらに精製することなく使用した。最初に5当量のプロピレンオキシドと、続いて15当量のエチレンオキシドと反応させた2-エチルヘキサノールを、Dow Chemicalから90%水溶液として得、これを以下「2EH-PO5-EO15」と称する。
【0049】
分析方法
NMR:定量的13Cスペクトルは、概して6144スキャン、実験zgig30、パルス長13.25μs、繰り返し時間5.000秒、2Hz線幅拡大を実行するBruker 500MHz機器で得た。
【0050】
ポリマー分子量。重量平均分子量は、既知の方法論を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。GPC分析は、Agilent 1100シリーズGPCで、0.010gの試料を10mLのTHFに溶解し、この溶液の50μLアリコートを一連の2つのPolymer Labs PLgel 5μm MIXED-Eカラム(300×7.5mm)に注入し、示差屈折率検出(35℃)を使用して、35℃、1.0mL/分の流速でTHF(純粋または5%の水を含有する)を用いて溶出することによって、行った。狭いポリエチレングリコール標準物質を使用して従来の較正曲線を作成した。
【0051】
1/4hpの磁気駆動攪拌機、1500ワット(115V)のCalrodの電気加熱器、1/4インチの水が充填された冷却コイル、サンプリング用の1/16インチの浸漬管、内部サーモウェル、1024psigに設定された1/4インチの破裂板、900psigに設定された1/4インチの放出弁、液体レベルより下に沈められた酸化物添加ライン、および2インチの直径ピッチの翼攪拌機を備えた、2Lの316ステンレス鋼の円錐形状底部(最小攪拌容量20mL)のParr反応器(モデル4530)内でアルコキシル化反応を実行した。初期の非常に小さい容量での攪拌を可能にするために、攪拌機シャフトの底部は、反応器の輪郭の形状に合わせて作製されたステンレス鋼パドルを有した。酸化物添加システムは、1リットルのステンレス鋼添加シリンダーからなり、これを酸化物投入ラインに装填し、秤量し、取り付けた。反応器システムをSiemens SIMATIC PCS7プロセス制御システムによって制御した。Type Kの熱電対を用いて反応温度を測定し、Ashcroftの圧力変換装置を用いて圧力を測定し、ボール弁をSwagelokの空圧式弁駆動装置を用いて操作し、ASCOの電気弁を用いて冷却水流を制御し、Brooks Quantim(登録商標)Coriolis質量流量制御装置(モデル、QMBC3L1B2A1A1A1DH1C7A1DA)、および質量流量制御装置全体に100psigの圧力差を維持して、安定した流量を提供するTESCOM逆圧調節装置(モデル、44-1163-24-109A)からなる質量流量制御システムによって酸化物添加速度を制御した。
【0052】
試薬比は、場合によって「X当量」と略記され、添加された試薬が、元の反応物に対してX:1のモル比を有するものとみなす。
【0053】
実施例1:デカノールエトキシレートの合成
2LのParr反応器に121.3gの1-デカノールおよび0.50gの粉末85%水酸化カリウムを充填し、圧力チェックおよび一連の窒素パージの後、670.2gのエチレンオキシド(およそ20当量)を1~2g/分の添加速度で添加するために混合物を130℃に温めた。添加が完了し圧力が安定した後、反応生成物を冷却し取り出して785.6gを得た。GPC結果:MW=1220、MN=1140。DMSOでの13C NMR-d6(δ、ppm):72.4、70.3、69.7、69.8、69.6、60.2、31.4、29.3、29.1、29.1、29.0、28.8、25.7、22.1、13.8。
【0054】
実施例2:ドデカノールエトキシレートの合成
2LのParr反応器に100.2gの1-デカノールおよび0.56gの粉末85%水酸化カリウムを充填し、圧力チェックおよび一連の窒素パージの後、473.0gのエチレンオキシド(およそ20当量)を2g/分の添加速度で添加するために混合物を130℃に温めた。添加が完了し圧力が安定した後、反応生成物を冷却し取り出して564.77gを得た。GPC結果:MW=1110、MN=1045。DMSOでの13C NMR-d6(δ、ppm):72.4、70.4、59.9、69.6、60.1、31.4、29.3、29.1、29.1、29.0、28.8、25.7、22.1、13.8。
【0055】
実施例3:デカノールエトキシレート/2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素掃引、および加熱マントルを備えた丸底ガラスフラスコに、実施例1からのデカノールエトキシレートを50g添加した。デカノールエトキシレートが溶融するまで加熱し、次いで撹拌を開始し、2.6gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、エトキシレートに基づいて25モル%)をゆっくり添加した。反応器を140℃に加熱し、この温度に達したら、13.5gの2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(およそ1.7当量)の添加を開始し1時間続けた。添加後、反応物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで一晩冷却した。翌日、反応混合物を50℃に加熱し、0.43gの酢酸でクエンチし、次いでバイアルに注いだ。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):73.3、72.8、72.4、70.3、70.2、69.9、69.6、68.5、60.2、31.4、30.1、29.3、29.1、29.0、28.6、25.7、23.4、22.6、22.2、13.8、10.7。
【0056】
実施例4:ドデカノールエトキシレート/2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素掃引、および加熱マントルを備えた丸底ガラスフラスコに、実施例2からのドデカノールエトキシレートを51.5g添加した。デカノールエトキシレートが溶融するまで加熱し、次いで撹拌を開始し、2.6gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、エトキシレートに基づいて25モル%)をゆっくり添加した。反応器を140℃に加熱し、この温度に達したら、13.5gの2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(およそ1.3当量)の添加を開始し1時間続けた。添加後、反応物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで一晩冷却した。翌日、反応混合物を50℃に加熱し、0.43gの酢酸でクエンチし、次いでバイアルに注いだ。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):73.3、72.9、72.5、70.4、70.1、69.9、69.6、68.4、60.1、31.4、30.1、29.2、28.8、28.6、25.7、23.4、22.6、22.1、13.8、10.7。
【0057】
実施例5:2-ブチルオクタノールエトキシレートの合成
2LのParr反応器に85.90gの2-ブチル-1-オクタノールおよび0.48gの粉末85%水酸化カリウムを充填し、圧力チェックおよび一連の窒素パージの後、406.4gのエチレンオキシド(およそ20当量)を2g/分の添加速度で添加するために混合物を130℃に温めた。添加が完了し圧力が安定した後、反応生成物を冷却し取り出して493.2gを得た。GPC結果:MW=1390、MN=1190。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):73.4、72.4、70.2、69.9、60.2、58.0、31.3、30.9、39.6、29.2、28.5、26.2、22.6、22.1、13.8。
【0058】
比較例C1:デカノールエトキシレート/1,2-エポキシオクタン
オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素掃引、および加熱マントルを備えた丸底ガラスフラスコに、実施例1からのデカノールエトキシレートを50g添加した。デカノールエトキシレートが溶融するまで加熱し、次いで撹拌を開始し、2.6gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、エトキシレートに基づいて25モル%)をゆっくり添加した。反応器を90℃に加熱し、この温度に達したら、9.3gの1,2-エポキシオクタン(およそ1.7当量)の添加を開始し1時間続けた。添加後、反応物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで一晩冷却した。翌日、反応混合物を90℃に加熱し、さらに6時間加熱し、次いで50℃に冷却し、0.43gの酢酸でクエンチし、次いでバイアルに注いだ。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):75.6、72.4、70.4、70.0、69.9、69.6、68.8、68.6、60.2、33.7、31.4、29.3、29.1、29.1、29.0、28.9、25.7、25.0、22.1、13.8、13.8。
【0059】
比較例C2:2-ブチルオクタノールエトキシレート/2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素掃引、および加熱マントルを備えた丸底ガラスフラスコに、実施例5からの2-ブチルオクタノールエトキシレートを51.5g添加した。デカノールエトキシレートが溶融するまで加熱し、次いで撹拌を開始し、2.6gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、エトキシレートに基づいて25モル%)をゆっくり添加した。反応器を140℃に加熱し、この温度に達したら、13.5gの2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(およそ1.3当量)の添加を開始し1時間続けた。添加後、反応物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで一晩冷却した。翌日、反応混合物を50℃に加熱し、0.43gの酢酸でクエンチし、次いでバイアルに注いだ。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):73.5、73.3、72.7、72.4、70.5、70.1、69.9、68.5、60.2、58.3、37.6、31.3、30.9、30.6、30.1、29.2、28.5、26.2、23.4、22.6、22.1、13.8、10.8。
【0060】
比較例C3:2-エチルヘキサノールアルコキシレート/2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
オーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素掃引、および加熱マントルを備えた丸底ガラスフラスコに、57.8gの2EH-PO5-EO15(90%)を添加した。3時間の間撹拌および活性窒素脱気をしながら、ケトルを140℃に加熱して、水を除去した。一晩冷却した後、温度を70℃に上げ、次いで2.6gのナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25%、エトキシレートに基づいて25モル%)をゆっくり添加した。反応器を140℃に加熱し、この温度に達したら、13.5gの2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(およそ1.3当量)の添加を開始し1時間続けた。添加後、反応物を140℃でさらに6時間撹拌し、次いで一晩冷却した。翌日、反応混合物を50℃に加熱し、0.43gの酢酸でクエンチし、次いでバイアルに注いだ。DMSOでの13C NMR-d6(δ,ppm):74.6、74.6、74.4、74.3、74.2、73.3、73.2、72.9、72.5、72.4、72.2、70.6、70.1、69.8、68.4、67.9、30.1、28.5、23.4、22.5、17.2、13.9、10.9。
【0061】
自動食器洗浄試験
上記の実施例3~4および比較例C1~C3に記載の界面活性剤を、自動食器洗浄中のそれらの斑点形成防止性能について試験する。使用する食器洗浄配合物を、表1に示す。
【表1】
【0062】
自動食器洗浄試験に使用する食品汚れを、表2に示す。
【表2】
【0063】
食品汚れを調製するための手順
水を70℃に加熱し、ジャガイモデンプン、クォーク粉末、安息香酸、およびマーガリンを添加する。マーガリンがよく溶解するまで攪拌する。次いで牛乳を添加し、よく撹拌する。混合物を冷却させる。温度が45℃未満のとき、卵黄、ケチャップ、およびマスタードを添加する。よく混合する。
【0064】
食器洗浄試験条件
機械:Miele SS-ADW、モデルG1222SC Labor。プログラム:V4、加熱洗浄、ファジィ論理解除、加熱乾燥を伴う50℃での洗浄サイクル。水:375ppmの硬度(EDTA滴定によってCaCO3として確認)、Ca:Mg=3:1、250ppmの炭酸ナトリウム。食品汚れ:50g(t=0で導入、カップで冷凍)。
【0065】
斑点形成試験
外気で乾燥後、訓練を受けた評価者が、制御された下方からの照明を有するライトボックス内でガラスタンブラーを観察すること、および1(斑点無し)~5(ひどい斑点)の評点によって、斑点形成についての評点を決定した。結果を表3および4に示す。
【表3】
【表4】
【0066】
実施例6:界面活性剤混合物の調製および試験
界面活性剤を、ドデカノール/テトラデカノールのワンポットエトキシル化およびキャッピングを介して調製する。2LのParr反応器に、68~78%のドデカノールおよび20~30%のテトラデカノール(Procter&GambleからCO-1270として入手可能)を含有する79.03gの混合物および2.85gの粉末85%水酸化カリウムを充填し、圧力チェックおよび一連の窒素パージの後、混合物を125℃に温めた。浸漬管を通して反応器の通気口からゆっくりと窒素でパージして、8.5gの凝縮液を取り出した。圧力を解放し、1~3g/分の添加速度で394.0gのエチレンオキシド(およそ22当量)を添加するために通気弁を閉じた。合計添加時間は3時間であった。添加完了後約10分で、圧力は安定した。混合物をさらに50分間その温度に保持し、次いで100℃に冷却し一晩保持した。反応器を通気し、浸漬管を通して窒素でゆっくりパージしながら反応生成物を50℃に冷却した。システムを開き、2.6gの生成物の試料を分析用に取り出した。Parr反応器内で50℃に保持した残りの物質に、106gの2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(およそ1.4モル当量)を充填し、密封、圧力チェック、および一連の窒素パージの後、混合物を1℃/分の速度で140℃に温め、6時間その温度に保ち、次いで1℃/分の速度で60℃に冷却した。分析用に開封しサンプリングして反応の完了を確認した後、反応生成物を取り出して548.3gを得た。GPC結果:MW=1300、MN=1230。
【0067】
自動食器洗浄における試験
上述の条件を使用して、すすぎ性能試験を実施した。5サイクル後、この実施例6の界面活性剤1g(洗剤の5%)を含む条件でのグラスについて、それらの斑点形成および膜形成評点を比較した。実施例6の斑点形成および膜形成評点は、それぞれ1.5および2.1であり、比較するとBASF社の製品である1,2-エポキシデカンでキャップされたエトキシル化アルコール界面活性剤DEHYPON E-127ではそれぞれ2.9および1.9であった。
【0068】
比較例C4~C5および実施例7
自動食器洗浄スケール試験
比較例C4~C5、および表5に示す配合を有する実施例7の各々の自動食器洗浄組成物を調製した。
【表5】
【0069】
比較例C4で使用された分散剤は、約3,600ダルトンの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ホモポリマー(Acusol(商標)420N分散剤、The Dow Chemical Companyから入手可能)であった。比較例C5で使用された分散剤は、約15,000ダルトンの重量平均分子量を有する、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー(Acusol(商標)588分散剤、The Dow Chemical Companyから入手可能)であった。実施例7で使用された分散剤は、約3,600ダルトンの重量平均分子量を有するポリアクリル酸ホモポリマー(Acusol(商標)420N分散剤、The Dow Chemical Companyから入手可能)と、約15,000ダルトンの重量平均分子量を有する、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー(Acusol(商標)588分散剤、The Dow Chemical Companyから入手可能)との、1:1重量ブレンドの分散剤ブレンドであった。
【0070】
自動食器洗浄試験に使用する食品汚れを、表6に示す。
【表6】
【0071】
食品汚れを調製するための手順
水を80°Cに加熱し、ジャガイモデンプン、クォーク粉末、安息香酸、およびマーガリンを添加する。マーガリンがよく溶解するまで攪拌する。次いで牛乳を添加し、よく撹拌する。混合物を冷却させる。温度が45℃未満のとき、卵黄、ケチャップ、およびマスタードを添加する。よく混合する。
【0072】
食器洗浄試験条件
機械:Miele SS-ADW、モデルG1222SC Labor。プログラム:65℃で30分間洗浄。水:合計硬度37°fH、Ca:Mg=3:1、仮硬度25°fH。食品汚れ:50g(t=0で導入、カップで冷凍)。サイクル数:30。
【0073】
スケール試験
外気で乾燥後、訓練を受けた評価者が、制御された下方からの照明を有するライトボックス内でガラスタンブラーを観察すること、および1(膜無し)~5(高レベルの膜形成)の評点によって、スケール評点を決定した。結果を表7に示す。
【表7】