(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】フィブリル化補強材を含む繊維
(51)【国際特許分類】
D01F 6/92 20060101AFI20221020BHJP
D03D 15/20 20210101ALI20221020BHJP
D04H 3/14 20120101ALI20221020BHJP
【FI】
D01F6/92 307Z
D01F6/92 307F
D03D15/20
D03D15/20 100
D04H3/14
(21)【出願番号】P 2019555718
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2017083975
(87)【国際公開番号】W WO2018122081
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン,ベイッドヤーナス
(72)【発明者】
【氏名】ジョフォア,ブルーク
(72)【発明者】
【氏名】グーセンス,ヨハネス ゲラルドゥス ペトリュス
(72)【発明者】
【氏名】グーセンス,ヨハネス マルティネス ディーナ
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-026919(JP,A)
【文献】特表2004-515268(JP,A)
【文献】国際公開第2015/134316(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
D01D1/00-13/02
D01F1/00-9/04
D03D1/00-27/18
D04H1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱可塑性マトリックスポリマーと、
(b)前記熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域と
を含む繊維であって、前記熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度は、フィブリル化補強材の溶融温度より低く、前記溶融温度は、ISO 11357-3(2011)、第1の加熱試験に準拠してピーク溶融温度として測定され、
前記フィブリル化補強材は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選択される熱可塑性材料を含み、該熱可塑性材料は、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度を20℃未満上回る溶融温度および/またはガラス転移温度を有するさらなる熱可塑性材料で封入され、
前記熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートであり、前記さらなる熱可塑性材料は、スチレン-アクリロニトリルコポリマーである、
繊維。
【請求項2】
約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記フィブリル化補強材の前記溶融温度は、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度を30℃超上回る、請求項1または2に記載の繊維。
【請求項4】
前記さらなる熱可塑性材料の溶融温度
および/またはガラス転移温度は、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度を10℃未満上回る、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項5】
前記フィブリル化補強材は、10~90重量%の前記熱可塑性材料および10~90重量%の前記さらなる熱可塑性材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項6】
前記繊維の総重量に対して測定された際に0.01重量%~15.0重量%の前記フィブリル化補強材を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項7】
前記ポリブチレンテレフタレートは、ASTM D2857-95(2007)に準拠して測定された際に0.50dl/g以上かつ2.00dl/g以下の固有粘度を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項8】
ISO 527-1(2012)に準拠して測定される、約0.5~約6GPaの範囲の弾性率を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の繊維。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の複数の繊維を含む物品であって、織物物品、不織物物品またはそれらの組合せである物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー繊維の分野およびフィブリル化補強材の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な樹脂から紡糸されたポリマー繊維は、低い弾性率、疲労および摩耗特性など、所与の応用分野のために不十分な機械的特性を有することが多い。このため、ポリマー繊維から形成される物品、例えばカーペットは、最適でない特性を示し得る。したがって、当該技術分野において、改善された繊維材料に対する長年にわたる切実な必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、繊維紡糸用途のための熱可塑性マトリックスを補強するための、補強材(例えば、PTFE、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)などのフィブリル化フルオロポリマー)の使用に対応する。補強は、マトリックス内の添加剤をフィブリル化するのみで達成される。フィブリル化は、流動誘起配向によって達成される。これらの複合繊維は、高い弾性率、改善された疲労、摩耗および摩擦性能などの向上した特性を示す。一例として、樹脂マトリックス中のフルオロポリマーの形成は、高い弾性率、優れた疲労および摩耗/摩擦性能ならびに寸法精度などの向上した特性を有する繊維をもたらすため、フィブリル化フルオロポリマー強化樹脂は、繊維用途のために紡糸され得る。
【0004】
一態様において、本開示は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックス材料の溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満である、複合繊維を提供する。熱可塑性マトリックスポリマーは、本発明に関して熱可塑性マトリックス材料と同義的にも称される。
【0005】
本開示に係る複数の複合繊維を含む物品であって、織物物品、不織物物品またはそれらの任意の組合せとして特徴付けられる物品も提供される。
【0006】
物品の少なくとも一部の付加製造において、本開示に係る複合繊維を使用することを含む方法がさらに提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。好ましい方法および材料が以下に記載されるが、本明細書に記載されるものと同様のまたは均等な方法および材料が実施または試験に使用され得る。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、全体が参照により援用される。本明細書に開示される材料、方法および例は、例示的なものに過ぎず、限定的であることを意図されない。
【0008】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および特許請求の範囲において使用される際、「含む」という用語は、実施形態「からなる」および「から本質的になる」を含み得る。本明細書において使用される際、「含む」、「包含する」、「有している」、「有する」、「できる」、「含有する」という用語およびそれらの変化形は、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容するオープンエンドの移行句、用語または語であることが意図される。しかしながら、このような説明は、列挙される成分/工程「からなる」およびそれ「から本質的になる」組成物またはプロセスも説明するものと解釈されるべきであり、これは、指定される成分/工程のみの存在を、それから生じ得る何らかの不純物とともに許容し、他の成分/工程を除外する。本明細書において使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定的であることを意図されないことが理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲において使用される際、「含む」という用語は、実施形態「からなる」および「から本質的になる」を含み得る。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および後続の特許請求の範囲において、本明細書において定義されるべき多くの用語が言及される。
【0009】
本出願の明細書および特許請求の範囲中の数値は、特に、それらがポリマーまたはポリマー組成物に関する際、異なる特性の個々のポリマーを含有し得る組成物についての平均値を反映する。さらに、矛盾する記載がない限り、数値は、有効数字の同じ数に減少されたときに同じである数値、および値を決定するために本出願に記載されるタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載される値と異なる数値を含むことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書に開示される全ての範囲は、記載される末端値を含み、独立して組合せ可能である(例えば、「2グラム(g)~10グラム」の範囲は、末端値、2グラムおよび10グラムおよび全ての中間値を含む)。本明細書に開示される範囲の末端値およびいずれの値も正確な範囲または値に限定されず、それらは、これらの範囲および/または値に近似する値を含むように十分に不明確である。
【0011】
本明細書において使用される際、近似を示す用語は、関連する基本的な機能を変化させずに変動し得る何らかの定量的表現を修飾するのに適用され得る。したがって、「約」および「実質的に」などの1つまたは複数の用語によって修飾される値は、場合により、規定される正確な値に限定されないことがある。少なくとも一部の例では、近似を示す用語は、値を測定する機器の精度に対応し得る。「約」という修飾語句はまた、2つの末端値の絶対値によって規定される範囲を開示するものと見なされるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、範囲「2~4」も開示する。「約」という用語は、示される数の+または-10%を指し得る。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し得、「約1」は、0.9~1.1を意味し得る。「約」の他の意味は、四捨五入などの文脈から明らかになり得、したがって、例えば、「約1」は、0.5~1.4も意味し得る。
【0012】
本明細書において使用される際、「Tm」は、ポリマーがその秩序立った配置を完全に失う融点を指す。本明細書において使用される際、「Tc」は、ポリマーが熱を放出して結晶配置を形成する結晶化温度を指す。「ガラス転移温度」または「Tg」という用語は、例えば、示差走査熱量測定方法を用いて測定され得、℃で表される。
【0013】
本明細書において使用される際、「熱可塑性マトリックス材料」とも呼ばれる「マトリックスポリマー成分」は、フィブリル化されない1つまたは複数のポリマーを指す。好適なマトリックスポリマーの例としては、限定はされないが、非晶質、結晶性および半結晶性熱可塑性材料、例えばポリオレフィン(例えば、直鎖状または環状ポリオレフィン、例えばポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなど);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートなど);アリーレートエステル;ポリアミド;ポリスルホン(水素化ポリスルホンなどを含む);ABS樹脂;ポリスチレン(例えば、水素化ポリスチレンおよびアタクチックポリスチレン、水素化ポリスチレン、例えばポリシクロヘキシルエチレン、スチレン-コ-アクリロニトリル、スチレン-コ-無水マレイン酸など);ポリブタジエン;ポリ(メタ)アクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、メチルメタクリレート-ポリイミドコポリマーなど);ポリアクリロニトリル;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンエーテル(例えば、2,6-ジメチルフェノールおよび2,3,6-トリメチルフェノールとのコポリマーに由来するものなど);エチレン-酢酸ビニルコポリマー;ポリ酢酸ビニル;液晶ポリマー;フルオロポリマー、例えばエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニルおよびポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(ただし、フルオロポリマーは、後述されるフルオロポリマー成分より低い軟化温度を有する);ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;および上記のポリマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。マトリックスポリマーは、一般に、粉末、プレート、ペレット、フレーク、チップ、ウィスカなどを含むが、これらに限定されない任意の形態で提供され得る。マトリックス材料は、好適には、補強材の溶融温度より低い溶融温度を有するものである。
【0014】
様々な補強材は、開示される繊維に使用され得る。いくつかの例示的な補強材としては、液晶ポリマー、ポリオレフィン(例えば、UHMW-PE)、炭素繊維、カーボンナノチューブ、セルロース、充填剤、(上記のいずれかの)ブレンド、フルオロポリマーおよびそれらの組合せが挙げられる。PTFEは、補強材として使用するのに特に好適なフルオロポリマーである。同様に、UHMW-PEも好適な補強材であり、開示される繊維内でフィブリルになり得る。UHMW-PEは、約100万~約1000万g/モルの範囲の分子量を有し得る。
【0015】
本開示の補強材またはフィブリル化成分として使用するのに好適なフルオロポリマーおよび他の材料は、マトリックスポリマー、充填剤または同時に両方との混合中にフィブリル化されることが可能である(「フィブリル化可能である」)。「フィブリル化」は、例えば、「ノードおよびフィブリル」、網目構造またはかご状構造を生成するような補強材(例えば、フルオロポリマー)の処理を指す専門用語である。
【0016】
一実施形態において、補強材(例えば、フルオロポリマー、UHMW-PE)は、5ナノメートル(nm)~2マイクロメートル(μm)または約5nm~約2μmの平均直径を有するフィブリルを含む。フィブリルは、30ナノメートル~750ナノメートル、より具体的には5ナノメートル~500ナノメートルの平均フィブリル直径も有し得る。さらなる例において、補強材は、約30ナノメートル~約750ナノメートル、より具体的には約5ナノメートル~約500ナノメートルの平均フィブリル直径も有し得る。電界放射型走査電子顕微鏡法、TEM、SEM、AFMおよびSTEMは、フィブリル化組成物中のマトリックスポリマー全体にわたる補強材のフィブリル化の程度を観察するための全ての例示的な技術である。
【0017】
好適なフルオロポリマーは、例えば、米国特許第7,557,154号明細書に記載されており、これらとしては、限定はされないが、1つまたは複数のフッ素化α-オレフィンモノマー、すなわち水素原子の代わりに少なくとも1個のフッ素原子を含むα-オレフィンモノマーに由来する構造単位を含むホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。一実施形態において、フルオロポリマーは、2つ以上のフッ素化α-オレフィン、例えばテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレンなどに由来する構造単位を含む。別の実施形態において、フルオロポリマーは、1つまたは複数のフッ素化α-オレフィンモノマーおよびフッ素化モノマーと共重合可能な1つまたは複数の非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマー、例えばα-モノエチレン性不飽和共重合性モノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、アクリレートモノマー(例えば、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレート)、ビニルエーテル、(例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、ビニルエステル)などに由来する構造単位を含む。フルオロポリマーの具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン-プロピレン、ポリフッ化ビニルおよびエチレンクロロトリフルオロエチレンが挙げられる。上記のフルオロポリマーの少なくとも1つを含む組合せも使用され得る。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好適であると考えられる。
【0018】
公知であるように、フルオロポリマーは、粉末、エマルション、分散体、凝集体などを含む様々な形態で入手可能である。「分散体」(「エマルション」と呼ばれる)フルオロポリマーは、一般に、分散体またはエマルションによって製造され、界面活性剤で安定化された、水中25~60重量パーセント(重量%)または約25重量%~60重量%のフルオロポリマーを含み得、ここで、フルオロポリマー粒子は、直径0.1~0.3マイクロメートル(ミクロン、μm)または約0.1μm~約0.3μmである。「微粉末」(または「凝固分散体」)フルオロポリマーは、分散体で製造されたフルオロポリマーの凝固および乾燥によって作製され得る。微粉末フルオロポリマーは、一般に、400~500μmまたは約400μm~約500μmの粒径を有するように製造される。「粒状」フルオロポリマーは、懸濁方法によって作製され得、一般に、30~40μmまたは約30μm~約40μmの中央粒径を含む2つの異なる粒径範囲で製造され、高いかさ密度の生成物は、400~500μmまたは約400μm~約500μmの中央粒径を示す。フルオロポリマーのペレットが得られることもあり、所望の粒径を示すように低温で粉砕され得る。
【0019】
フルオロポリマーは、マトリックスポリマー(以後、「封入されたポリマー」と呼ばれる)と同じかまたは異なり得る封入ポリマーによって少なくとも部分的に封入され得る。理論によって制約されるものではないが、封入は、マトリックス内のフルオロポリマーの分配を促進し、かつ/またはフルオロポリマーをマトリックスと適合させ得るものと考えられる。
【0020】
したがって、好適な封入ポリマーとしては、限定はされないが、ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリ(アルケニル芳香族)ポリマー、ポリブタジエン、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンおよび上記のポリマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0021】
封入ポリマーは、当該技術分野において公知の方法、例えば縮合、付加重合などによるモノマーまたはモノマーの混合物の重合によって得られる。乳化重合、特にラジカル重合が効果的に使用され得る。一実施形態において、封入ポリマーは、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなど、縮合された芳香環構造を含有するモノビニル芳香族モノマーから形成される。好適なモノビニル芳香族モノマーの例としては、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ-クロロスチレンなど、および上記の化合物の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。スチレンおよび/またはα-メチルスチレンが特に挙げられ得る。封入ポリマーの形成のための他の有用なモノマーとしては、モノビニルモノマー、例えばイタコン酸、アクリルアミド、N-置換アクリルアミドまたはメタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキル-、アリール-またはハロアリール-置換マレイミドおよびグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。他のモノマーとしては、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、β-クロロアクリロニトリル、α-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど、および上記のモノマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0022】
上記のモノビニル芳香族モノマーおよびモノビニルモノマーの混合物、例えばスチレンおよびアクリロニトリルの混合物(SAN)も使用され得る。硬質グラフト相中のモノビニル芳香族およびモノビニルモノマーの相対比率は、フルオロポリマーのタイプ、モノビニル芳香族およびモノビニルモノマーのタイプおよび封入剤の所望の特性に応じて広く変化し得る。封入剤は、一般に、100重量%以下または約100重量%以下のモノビニル芳香族モノマー、特に30~100重量%、より具体的には50~90重量%のモノビニル芳香族モノマーから形成され得、残りは、コモノマーである。さらなる例において、封入剤は、一般に、約100重量%以下のモノビニル芳香族モノマー、特に約30~約100重量%、より具体的には約50~約90重量%のモノビニル芳香族モノマーから形成され得、残りは、コモノマーである。
【0023】
エラストマーも封入ポリマーならびにエラストマー変性グラフトコポリマーとして使用され得る。好適なエラストマーとしては、例えば、共役ジエンゴム;共役ジエンと、50重量%未満または約50重量%未満の共重合性モノマーとのコポリマー;オレフィンゴム、例えばエチレンプロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-酢酸ビニルゴム;シリコーンゴム;エラストマーC1~8アルキル(メタ)アクリレート;C1~8アルキル(メタ)アクリレートと、ブタジエンおよび/またはスチレンとのエラストマーコポリマー;または上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0024】
使用され得る共役ジエンモノマーの例は、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン;1,3-および2,4-ヘキサジエンなど、ならびに上記の共役ジエンモノマーの少なくとも1つを含む混合物である。特定の共役ジエンホモポリマーとしては、ポリブタジエンおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0025】
共役ジエンゴムのコポリマー、例えば共役ジエンと、10重量%以下または約10重量%以下の、それと共重合可能な1つまたは複数のモノマーとの水性ラジカル乳化重合によって生成されるものも使用され得る。
【0026】
エラストマー封入モノマーとして使用するのに好適な(メタ)アクリレートモノマーとしては、C4~8アルキル(メタ)アクリレート、特にC4~6アルキルアクリレート、例えばn-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなど、および上記のモノマーの少なくとも1つを含む組合せの架橋された粒子状エマルションホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。例示的なコモノマーとしては、限定はされないが、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート、N-シクロヘキシルアクリルアミド、ビニルメチルエーテルまたはアクリロニトリルおよび上記のコモノマーの少なくとも1つを含む混合物が挙げられる。任意選択的に、5重量%以下の多官能性架橋コモノマー、例えばジビニルベンゼン、アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート、例えばグリコールビスアクリレート、アルキレントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスアクリルアミド、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、アリル(メタ)アクリレート、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸のトリアリルエステル、リン酸のトリアリルエステルなど、ならびに上記の架橋剤の少なくとも1つを含む組合せが存在し得る。
【0027】
好適なエラストマー変性グラフトコポリマーは、まずエラストマーポリマーを得て(例えば、上述されるように)、次にフルオロポリマーおよびエラストマーの存在下で硬質相の構成成分モノマーを重合してグラフトコポリマーを得ることによって調製され得る。エラストマー相は、全グラフトコポリマーの5~95重量%、より具体的には20~90重量%、さらにより具体的には40~85重量%のエラストマー変性グラフトコポリマーを提供することができ、残りは、硬質グラフト相である。さらなる例において、エラストマー相は、全グラフトコポリマーの約5~約95重量%、より具体的には約20~約90重量%、さらにより具体的には約40~約85重量%のエラストマー変性グラフトコポリマーを提供することができ、残りは、硬質グラフト相である。存在するエラストマー変性ポリマーの量に応じて、非グラフト化硬質ポリマーまたはコポリマーの別のマトリックスまたは連続相は、エラストマー変性グラフトコポリマーと同時に得ることができる。
【0028】
特定の封入ポリマーとしては、ポリスチレン;ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(α-エチルスチレン)、ポリ(α-プロピルスチレン)、ポリ(α-ブチルスチレン)、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)およびポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)のコポリマー;ポリブタジエン、ポリブタジエンとプロピレンとのコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ビニルアルコール)、アクリロニトリル-ブタジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ(C4~8アルキルアクリレート)ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、EPDMゴム、ケイ素ゴムおよび上記の封入ポリマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。好ましいフルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンである。
【0029】
好ましくは、封入ポリマーは、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、α-アルキル-スチレン-アクリロニトリルコポリマー、α-メチルスチレン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、メチルメタクリレートコポリマーまたはそれらの組合せを含む。別の実施形態において、封入ポリマーは、SAN、ABSコポリマー、α-(C1~3)アルキル-スチレン-アクリロニトリルコポリマー、α-メチルスチレン-アクリロニトリル(AMSAN)コポリマー、SBRおよび上記のものの少なくとも1つを含む組合せを含む。さらに別の実施形態において、封入ポリマーは、SANまたはAMSANである。封入ポリマーによって封入される好ましいフルオロポリマーは、スチレンアクリロニトリルで封入されたポリテトラフルオロエチレンである。
【0030】
封入ポリマーの好適な量は、本明細書に示される指針を用いて、過度の実験を行わずに当業者によって決定され得る。一実施形態において、封入されたフルオロポリマーは、封入されたフルオロポリマーの総重量を基準にして10~90重量パーセント(重量%)または約10~約90重量%のフルオロポリマーと、90~10重量%または約90重量%~約10重量%の封入ポリマーとを含む。あるいは、封入されたフルオロポリマーは、封入されたポリマーの総重量を基準にして20~80重量%または約20~約80重量%、より具体的には40重量%~60重量%または約40~約60重量%のフルオロポリマーと、80重量%~20重量%または約80~約20重量%、特に60重量%、または40重量%、または約60~約40重量%の封入ポリマーとを含む。
【0031】
添加剤
開示される組成物は、必要に応じて、本明細書に記載される組成物中に存在し得る1つまたは複数の他の添加剤を含み得る。例示的な添加剤としては、1つまたは複数のポリマー、抗紫外線剤(ultraviolet agent)、紫外線安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、放射線安定剤、顔料、染料、充填剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、潤滑剤およびそれらの組合せが挙げられる。
【0032】
本明細書に記載される組成物と混合され得る例示的なポリマーとしては、エラストマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーおよび耐衝撃性添加剤(impact additive)が挙げられる。本明細書に記載される組成物は、他のポリマー、例えばポリエステル、ポリエステルカーボネート、ビスフェノール-Aホモポリカーボネート、ポリカーボネートコポリマー、テトラブロモ-ビスフェノールAポリカーボネートコポリマー、ポリシロキサン-コ-ビスフェノール-Aポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリエーテル、ポリエポキシド、ポリラクチド、ポリ乳酸(PLA)、アクリルポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリル-スチレン-アクリロニトリル(ASA)樹脂、ポリ(アルケニル芳香族)ポリマー、ポリブタジエン、ポリアセタール、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレンまたはそれらの任意の組合せと混合され得る。
【0033】
さらなるポリマーは、必要に応じて、耐衝撃性改良剤であり得る。好適な耐衝撃性改良剤は、オレフィン、モノビニル芳香族モノマー、アクリル酸およびメタクリル酸およびそれらのエステル誘導体ならびに完全または部分的に水素化された共役ジエンに由来する高分子量エラストマー材料であり得る。エラストマー材料は、ランダム、ブロック、放射状ブロック(radial block)、グラフトおよびコア-シェルコポリマーを含むホモポリマーまたはコポリマーの形態であり得る。
【0034】
特定のタイプの耐衝撃性改良剤は、(i)10℃未満もしくは約10℃未満、0℃未満もしくは約0℃未満、-10℃未満もしくは約-10℃未満、または-40℃~-80℃もしくは約-40℃~-80℃のTgを有するエラストマー(すなわちゴム状)ポリマー基材、および(ii)エラストマーポリマー基材にグラフトされた硬質ポリマーを含むエラストマー変性グラフトコポリマーであり得る。エラストマー相として使用するのに好適な材料としては、例えば、共役ジエンゴム、例えばポリブタジエンおよびポリイソプレン;共役ジエンと、約50重量%未満の共重合性モノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、n-ブチルアクリレートまたはエチルアクリレートなどのモノビニル化合物とのコポリマー;オレフィンゴム、例えばエチレンプロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-酢酸ビニルゴム;シリコーンゴム;エラストマーC1~C8アルキル(メタ)アクリレート;C1~C8アルキル(メタ)アクリレートと、ブタジエンおよび/またはスチレンとのエラストマーコポリマー;または上記のエラストマーの少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。硬質相として使用するのに好適な材料としては、例えば、モノビニル芳香族モノマー、例えばスチレンおよびα-メチルスチレンおよびモノビニルモノマー、例えばアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸ならびにアクリル酸およびメタクリル酸のCrC6エステル、特にメチルメタクリレートが挙げられる。
【0035】
特定の耐衝撃性改良剤としては、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン(AES)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)およびスチレン-アクリロニトリル(SAN)が挙げられる。例示的なエラストマー変性グラフトコポリマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン(AES)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)およびスチレン-アクリロニトリル(SAN)から形成されるものが挙げられる。
【0036】
本明細書に記載される組成物は、紫外線エネルギーを分散させるための紫外線(UV)安定剤を含み得る。紫外線安定剤は、本明細書に記載される組成物の様々な成分の架橋を実質的に妨害も防止もしない。紫外線安定剤は、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;シアノアクリレート;シュウ酸アニリド;またはヒドロキシフェニルトリアジンであり得る。特定の紫外線安定剤としては、ポリ[(6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル)[2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン(Uvinul(商標)3008);6-tert-ブチル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェニル(Uvinul(商標)3026);2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-フェノール(Uvinul(商標)3027);2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(Uvinul(商標)3028);2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール(Uvinul(商標)3029);1,3-ビス[(2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス-{[(2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル}-プロパン(Uvinul(商標)3030);2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェノール(Uvinul(商標)3033);2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(Uvinul(商標)3034);エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(Uvinul(商標)3035);(2-エチルヘキシル)-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(Uvinul(商標)3039);N,N’-ビスホルミル-N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ヘキサメチレンジアミン(Uvinul(商標)4050H);ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート(Uvinul(商標)4077H);ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-セバケート+メチル-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-セバケート(Uvinul(商標)4092H);またはそれらの組合せが挙げられる。他の紫外線安定剤としては、Cyasorb 5411、Cyasorb UV-3638、Uvinul 3030および/またはTinuvin 234が挙げられる。
【0037】
本明細書に記載される組成物は、熱安定剤を含み得る。例示的な熱安定剤添加剤としては、例えば、有機ホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、トリス-(2,6-ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス-(混合モノ-およびジ-ノニルフェニル)ホスファイトなど;ホスホネート、例えばジメチルベンゼンホスホネートなど;ホスフェート、例えばリン酸トリメチルなど;またはそれらの組合せが挙げられる。
【0038】
本明細書に記載される組成物は、帯電防止剤を含み得る。モノマー帯電防止剤の例としては、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エトキシ化アミン、第一級、第二級および第三級アミン、エトキシ化アルコール、アルキルスルフェート、アルキルアリールスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンスルフェート、アルキルスルホン酸塩、例えばステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタインなど、または上記のモノマー帯電防止剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0039】
例示的なポリマー帯電防止剤としては、特定のポリエステルアミドポリエーテル-ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリエーテルエステルまたはポリウレタンが挙げられ、それぞれポリアルキレングリコール部分ポリアルキレンオキシド単位、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを含有する。このようなポリマー帯電防止剤は、市販されており、例えばPELESTAT(商標)6321(Sanyo)またはPEBAX(商標)MH1657(Atofina)、IRGASTAT(商標)P18およびP22(Ciba-Geigy)である。帯電防止剤として使用され得る他のポリマー材料は、本質的に導電性のポリマー、例えばポリアニリン(PanipolからPANIPOL(商標)EBとして市販されている)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayerから市販されている)であり、これらは、高温で溶融加工後にそれらの真性導電率のいくらかを保持する。炭素繊維、炭素ナノ繊維、カーボンナノチューブ、カーボンブラックまたは上記のものの少なくとも1つを含む組合せは、本明細書に記載される組成物を静電気消散性にするために含まれ得る。
【0040】
本明細書に記載される組成物は、γ線安定剤などの放射線安定剤を含み得る。例示的なγ線安定剤としては、アルキレンポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、メソ-2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,4-ヘキサンジオールなど;シクロアルキレンポリオール、例えば1,2-シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオールなど;分枝鎖状アルキレンポリオール、例えば2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール(ピナコール)など、ならびにアルコキシ置換環式または非環式アルカンが挙げられる。不飽和アルケノールも有用であり、それらの例としては、4-メチル-4-ペンテン-2-オール、3-メチル-ペンテン-3-オール、2-メチル-4-ペンテン-2-オール、2,4-ジメチル-4-ペンテン-2-オールおよび9-デセン-1-オールならびに少なくとも1つのヒドロキシで置換された第三級炭素を有する第三級アルコール、例えば2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、2-フェニル-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノン、2-フェニル-2-ブタノールなど、および環式第三級アルコール、例えば1-ヒドロキシ-1-メチル-シクロヘキサンが挙げられる。芳香環中の不飽和炭素に結合された飽和炭素上にヒドロキシ置換を有する特定のヒドロキシメチル芳香族化合物も使用され得る。ヒドロキシ置換飽和炭素は、メチロール基(-CH2OH)であり得るか、またはそれは、-CR24HOHまたは-CR24
2OH(ここで、R24は、複雑なまたは単純な炭化水素である)など、より複雑な炭化水素基のメンバーであり得る。特定のヒドロキシメチル芳香族化合物としては、ベンズヒドロール、1,3-ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4-ベンジルオキシベンジルアルコールおよびベンジルアルコールが挙げられる。2-メチル-2,4-ペンタンジオール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールがγ線安定化に使用されることが多い。
【0041】
「顔料」という用語は、本明細書に記載される得られる組成物に不溶性である着色された粒子を意味する。例示的な顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、金属粒子、シリカ、金属酸化物、金属硫化物または任意の他の無機顔料;フタロシアニン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、アゾ顔料または任意の他の有機顔料、天然顔料(マダー、インディゴ、クリムゾン、コチニールなど)および顔料の混合物が挙げられる。顔料は、全組成物の重量に対して0.05重量%~15重量%または約0.05重量%~約15重量%に相当し得る。顔料の選択は、所与の用途に使用される具体的な繊維の組成に応じて決まり得る。
【0042】
「染料」という用語は、本明細書に記載される組成物に可溶性であり、可視線の一部を吸収する能力を有する分子を指す。
【0043】
放射線を吸収することが可能な顔料、染料または繊維は、レーザーなどの放射線源を用いて、またはジュール効果により、誘導によりもしくはマイクロ波により加熱されるとき、本明細書に記載される組成物をベースとする物品の加熱を確実にするのに使用され得る。このような加熱は、本明細書に記載される組成物で作製された物品を製造、変換または再利用するためのプロセスの使用を可能にし得る。
【0044】
本明細書に記載される組成物に好適な充填剤としては、シリカ、粘土、炭酸カルシウム、カーボンブラック、カオリンおよびウィスカが挙げられる。他の可能な充填剤としては、例えば、シリケートおよびシリカ粉末、例えばケイ酸アルミニウム(ムライト)、合成ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、石英ガラス、結晶性のグラファイトシリカ、天然ケイ砂など;ホウ素粉末、例えば窒化ホウ素粉末、ケイ酸ホウ素粉末など;酸化物、例えばTiO2、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど;硫酸カルシウム(その無水物、二水和物または三水和物として);炭酸カルシウム、例えばチョーク、石灰石、大理石、合成沈降炭酸カルシウムなど;繊維状、モジュラー(modular)、針状、薄板状タルクなどを含むタルク;珪灰石;表面処理された珪灰石;ガラス球、例えば中空および中実ガラス球、シリケート球、セノスフェア、アルミノシリケート(アルモスフェア(armosphere))など;ポリマーマトリクスなどとの適合を容易にするための、硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリン、当該技術分野において公知の様々なコーティングを含むカオリンを含むカオリン;単結晶繊維または「ウィスカ」、例えば炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケル、銅など;繊維(長繊維および短繊維を含む)、例えばアスベスト、炭素繊維、ガラス繊維、例えばE、A、C、ECR、R、S、DまたはNEガラスなど;硫化物、例えば硫化モリブデン、硫化亜鉛など;バリウム化合物、例えばチタン酸バリウム、バリウムフェライト、硫酸バリウム、重晶石など;金属および金属酸化物、例えば粒子状または繊維状アルミニウム、青銅、亜鉛、銅およびニッケルなど;フレーク状充填剤、例えばガラスフレーク、フレーク状炭化ケイ素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレーク、鋼フレークなど;繊維状充填剤、例えば無機短繊維、例えばケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび硫酸カルシウム半水化物などの少なくとも1つを含むブレンドに由来するもの;天然充填剤および補強材、例えば木材を粉砕することによって得られる木粉、繊維製品、例えばセルロース、綿、サイザル麻、ジュート、でんぷん、コルクの粉、リグニン、挽いたナッツの殻、トウモロコシ、米粒の殻など;有機充填剤、例えばポリテトラフルオロエチレン;繊維を形成することが可能な有機ポリマーから形成される補強用有機繊維状充填剤、例えばポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(硫化フェニレン)、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリ(ビニルアルコール)など;ならびにさらなる充填剤および強化剤、例えば雲母、粘土、長石、煙塵、フィライト(fillite)、石英、珪岩、パーライト、トリポリ石、珪藻土、カーボンブラックなど、または上記の充填剤もしくは強化剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。充填剤の選択は、繊維の材料によって影響され得、全ての充填剤が全ての用途に最適であるわけではない。
【0045】
可塑剤、潤滑剤および離型剤が含まれ得る。離型剤(MRA)は、材料が迅速および効果的に除去されることを可能にする。離型剤は、サイクル時間、欠陥および完成品の褐色化を減少させることができる。これらのタイプの材料間にはかなりの重複があり、これらとしては、例えば、フタル酸エステル、例えばジオクチル-4,5-エポキシ-ヘキサヒドロフタレート;トリス-(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;二官能性または多官能性芳香族ホスフェート、例えばレソルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノール-Aのビス(ジフェニル)ホスフェート;ポリ-α-オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含むシリコーン;エステル、例えば脂肪酸エステル、例えばアルキルステアリルエステル、例えばステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリトリトールテトラステアレート(PETS)など;ステアリン酸メチルと、ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマー、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)コポリマーまたは上記のグリコールポリマーの少なくとも1つを含む組合せを含む親水性および疎水性非イオン性界面活性剤との組合せ、すなわち好適な溶媒中のステアリン酸メチルおよびポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマー;ワックス、例えば蜜ろう、モンタンワックス、パラフィンろうなどが挙げられる。
【0046】
様々なタイプの難燃剤が添加剤として用いられ得る。一実施形態において、難燃剤添加剤としては、例えば、難燃剤塩、例えば過フッ素化C1~C16アルキルスルホネートのアルカリ金属塩、例えばカリウムパーフルオロブタンスルホネート(Rimar塩)、カリウムパーフルオロオクタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムパーフルオロヘキサンスルホネート、カリウムジフェニルスルホンスルホネート(KSS)など、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム(NATS)など;および例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウム塩)および無機酸錯塩、例えばオキソアニオン、例えば炭酸のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばNa2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3およびBaCO3またはフルオロアニオン錯体、例えばLi3AlF6、BaSiF6、KBF4、K3AlF6、KAlF4、K2SiF6および/またはNa3AlF6などを反応させることによって形成される塩が挙げられる。Rimar塩およびKSSおよびNATSは、単独でまたは他の難燃剤と組み合わせて、本明細書に開示される組成物において特に有用である。特定の実施形態において、難燃剤は、臭素または塩素を含有しない。
【0047】
難燃剤添加剤は、リン、臭素および/または塩素を含む有機化合物を含み得る。特定の実施形態において、難燃剤は、臭素または塩素含有組成物でない。非臭素化および非塩素化リン含有難燃剤は、例えば、有機ホスフェートおよびリン-窒素結合を含有する有機化合物を含み得る。例示的な二官能性または多官能性芳香族リン含有化合物としては、レソルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノール-Aのビス(ジフェニル)ホスフェートのそれぞれ、それらのオリゴマーおよびポリマー均等物などが挙げられる。他の例示的なリン含有難燃剤添加剤としては、塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、トリス(アジリジニル)ホスフィンオキシド、ポリオルガノホスファゼンおよびポリオルガノホスフェートが挙げられる。
【0048】
いくつかの好適なポリマーまたはオリゴマー難燃剤としては、2,2-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-プロパン;ビス-(2-クロロフェニル)-メタン;ビス(2,6-ジブロモフェニル)-メタン;1,1-ビス-(4-ヨードフェニル)-エタン;1,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-ヨードフェニル)エタン;1,1-ビス-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-エタン;1,1-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-エタン;2,2-ビス-(3-フェニル-4-ブロモフェニル)-エタン;2,6-ビス-(4,6-ジクロロナフチル)-プロパン;2,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-ペンタン;2,2-ビス-(3,5-ジブロモフェニル)-ヘキサン;ビス-(4-クロロフェニル)-フェニル-メタン;ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-シクロヘキシルメタン;ビス-(3-ニトロ-4-ブロモフェニル)-メタン;ビス-(4-ヒドロキシ-2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-メタン;2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン;および2,2-ビス-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンが挙げられる。他の難燃剤としては、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゼンおよびビフェニル、例えば2,2’-ジクロロビフェニル、ポリ臭素化1,4-ジフェノキシベンゼン、2,4’-ジブロモビフェニルおよび2,4’-ジクロロビフェニルならびにデカブロモジフェニルオキシドなどが挙げられる。
【0049】
難燃剤は、任意選択的に、例えばモノマーまたはポリマー芳香族スルホネートまたはそれらの混合物の非ハロゲン系金属塩である。金属塩は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩または混合金属塩である。これらの族の金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、フランシウムおよびバリウムが挙げられる。難燃剤の例としては、ベンゼンスルホン酸セシウムおよびp-トルエンスルホン酸セシウムが挙げられる。例えば、米国特許第3,933,734号明細書、欧州特許第2103654号明細書および米国特許出願公開第2010/0069543A1号明細書(その開示内容は、全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0050】
別の有用な種類の難燃剤は、一般式[(R)2SiO]y(ここで、Rは、1~18個の炭素原子を有する一価炭化水素またはフッ素化炭化水素であり、yは、3~12の数である)で表される環状シロキサンの種類である。フッ素化炭化水素の例としては、限定はされないが、3-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニルおよびトリフルオロトリルが挙げられる。好適な環状シロキサンの例としては、限定はされないが、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-テトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、オクタプロピルシクロテトラシロキサン、オクタブチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、エイコサメチルシクロデカシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンなどが挙げられる。特に有用な環状シロキサンは、オクタフェニルシクロテトラシロキサンである。
【0051】
例示的な酸化防止剤添加剤としては、有機ホスファイト、例えばトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(「IRGAFOS 168」または「I-168」)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイトなど;アルキル化モノフェノールまたはポリフェノール;ポリフェノールとジエンとのアルキル化反応生成物、例えばテトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイヒ酸)]メタンなど;パラ-クレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ハイドロキノン;水酸化チオジフェニルエーテル;アルキリデン-ビスフェノール;ベンジル化合物;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステル;β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステル;チオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル、例えばジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピロネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど;β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸のアミドなど、または上記の酸化防止剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0052】
記載されるように、開示される組成物は、液滴防止特性を有するPTFEを含み得る。開示される組成物は、使用者のニーズに応じてさらなる液滴防止剤を含み得る。
【0053】
さらなる態様
以下の態様は、例示的なものに過ぎず、本開示の範囲を限定する役割を果たすものではない。
【0054】
態様1.熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックス材料の溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満である、複合繊維。
【0055】
熱可塑性マトリックスポリマー、複数のフィブリル化補強材領域またはその両方は、ある実施形態において配向され得る。「配向される」とは、ある要素が別の要素と整列を共有する(または整列をほぼ共有する)ことを意味する。一例として、ある要素(例えば、フィブリル)は、例えば、別のフィブリルの対応する主軸に対して平行の約20度以内である主軸を有し得る。別の例として、ある領域は、複数の配向されたフィブリルを含み得、これらのフィブリルの全ては、空間内の特定の線の約20度以内に整列された主軸を有する。ある実施形態において、フィブリルは、互いに対して配向されず、ある実施形態において本質的にランダムに配向され得ることが理解されるべきである。
【0056】
繊維は、約2マイクロメートル~約4mm、例えば約2マイクロメートル~約200マイクロメートル、約0.1mm~約4mmの範囲内および全ての中間値の直径を有し得る。本開示に係る繊維の長さは、使用者のニーズに応じて決まり得る。繊維は、例えば、1~100mmおよび全ての中間値の長さを有し得る。繊維は、使用者のニーズに応じて約2~約200マイクロメートルの範囲の直径を有し得る。
【0057】
繊維は、断面が円形であり得るが、長方形、卵形、多角形または他の形状でもあり得ることが理解されるべきである。長方形の繊維は、ある実施形態において「テープ」と呼ばれる。本開示に係るテープは、約1~約100、例えば約~約90、約3~約80、約5~約75、約10~約65、約20~約50、約30~約40の範囲またはさらに約35の断面アスペクト比を有し得る。1、2、3、4、5、6、7、8、9および10のアスペクト比は、全て好適であると考えられる。
【0058】
態様2.熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリ(アミド)、ポリオレフィンまたはそれらの任意の組合せを含む、態様1に記載の複合繊維。
【0059】
態様3.ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートを含む、態様2に記載の複合繊維。
【0060】
態様4.複数のフィブリル化補強材領域は、例えば、繊維の約0.01~約15重量%(例えば、約0.25重量%~約5重量%)、または約1~約14重量%、または約2~約13重量%、または約3~約12重量%、または約4~約11重量%、または約5~約10重量%、または約6~約9重量%、または約7~約8重量%で存在する、態様1~3のいずれかに記載の複合繊維。補強材は、フィブリル形態で存在し得るが、他の形態、例えばストランド、集合体、凝集体などでも存在し得る。
【0061】
態様5.複数のフィブリル化補強材領域は、複合繊維の重量に対して測定された際に約0.25重量%~約5重量%で存在する、態様4に記載の複合繊維。
【0062】
態様6.補強材は、ポリオレフィン、フルオロポリマーまたはそれらの任意の組合せを含む、態様1~5のいずれかに記載の複合繊維。
【0063】
態様7.フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む、態様6に記載の複合繊維。
【0064】
態様8.複数のフィブリル化補強材領域は、互いに約20度以内に配向される主軸を有するフィブリル化補強材領域の第1の群と、互いに約20度以内に配向される主軸を有するフィブリル化補強材領域の第2の群とを含む、態様1~7のいずれかに記載の複合繊維。
【0065】
態様9.主軸を有するフィブリル化補強材領域の第1の群は、第1の平均主軸を画定し、主軸を有するフィブリル化補強材領域の第2の群は、第2の平均主軸を画定し、第1および第2の平均主軸は、互いに少なくとも約10度だけ異なる、態様8に記載の複合繊維。
【0066】
態様10.約2~約200マイクロメートルの範囲の直径を有する、態様1~9のいずれかに記載の複合繊維。
【0067】
態様11.約0.3~約4mmの範囲の直径を有する、態様1~9のいずれかに記載の複合繊維。
【0068】
態様12.約0.5~約6GPaの範囲の弾性率を有する、態様1~13のいずれかに記載の複合繊維。本開示に係る繊維は、少なくとも約0.5GPa、例えば約0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8またはさらに約1.9、2、2.5、3、3.5もしくは約4GPaの範囲の弾性率を有し得る。弾性率は、ASTM D3822に準拠して測定され得る。
【0069】
態様13.約1~約4GPaの範囲の弾性率を有する、態様12に記載の複合繊維。
【0070】
態様14.態様1~13のいずれかに記載の複数の複合繊維を含む物品であって、織物物品、不織物物品またはそれらの任意の組合せとして特徴付けられる物品。
【0071】
態様15.カーペットを含む、態様14に記載の物品。
【0072】
態様16.物品の少なくとも一部の付加製造において、態様1~13のいずれかに記載の複合繊維を使用することを含む方法。
【0073】
態様17.付加製造は、融合フィラメント製造を含む、態様19に記載の方法。
【0074】
この方法は、構築材料として繊維またはフィラメントを使用する実質的にあらゆる付加製造プロセス、例えばFFFを含む。これらの技術では、単一のフィラメントまたは熱可塑性フィラメントの糸を巻かれたスプール(threaded spool)が加熱チャンバに導入される。熱可塑性樹脂は、溶融され、次にノズル(そのサイズおよび形状は、使用者のニーズおよび用途に応じて変化する)を通して基材上に出され、ここで、出された熱可塑性樹脂が固化する。ノズルは、x、yおよびz軸の1つまたは複数において移動可能であり得、回転可能でもあり得る。同様に、基材(「構築表面」またはプラットフォームと呼ばれることもある)も移動可能および/または回転可能であり得る。ノズルおよび基材の相対運動(ならびに熱可塑性樹脂の堆積)は、ソフトウェアによって好適に制御される。これらの技術のさらなる背景は、参照により本明細書に援用される米国特許第5,121,329号明細書に見られる。
【0075】
付加製造技術は、当業者に公知であるが、本開示は、便宜上、このような技術についてのいくらかのさらなる背景を提供するであろう。
【0076】
好適な付加製造プロセスは、フィラメント、ペレットなどを使用する他のプロセスを含み、好適なプロセスは、当業者に公知であり、開示される組成物は、フィラメントまたはさらにペレット構築材料を使用する実質的にあらゆる付加製造プロセスにおいて使用され得る。
【0077】
例示的な付加製造技術では、複数の層は、付加製造プロセスによって予め設定されたパターンで形成される。付加製造に関して使用される際の「複数」は、2つ以上の層を含む。層の最大数は、大きく変動し得、例えば製造される物品のサイズ、使用される技術、使用される装置の能力および最終的な物品において必要とされる詳細さのレベルなどの考慮事項によって決定され得る。例えば、20~100,000層が形成され得るか、または50~50,000層が形成され得る。
【0078】
本明細書において使用される際、「層」は、少なくとも所定の厚さを有する規則的なまたは不規則な任意の形状を含む便宜上の用語である。ある実施形態において、二次元のサイズおよび構成は、予め決定されており、ある実施形態において、層の全ての三次元のサイズおよび形状は、予め決定されている。各層の厚さは、付加製造方法に応じて広く変動し得る。ある実施形態において、形成される各層の厚さは、前のまたは後続の層と異なる。ある実施形態において、各層の厚さは、同じである。ある実施形態において、形成される各層の厚さは、0.5ミリメートル(mm)~5mmである。他の実施形態において、物品は、モノフィラメント付加製造プロセスから作製される。例えば、モノフィラメントは、0.1~5.0mmの直径を有する熱可塑性ポリマーを含み得る。
【0079】
予め設定されたパターンは、当該技術分野において公知であり、以下にさらに詳細に記載されるように所望の物品の三次元デジタル表現から決定され得る。
【0080】
プロセスが次の隣接する層に可溶である熱可塑性材料の少なくとも1つの層の形成を可能にすることを条件として、いずれの付加製造プロセスも使用され得る。所定のパターンの複数の層が融合して、物品が得られる。付加製造中に複数の層を融合するのに効果的ないずれの方法も使用され得る。ある実施形態において、融合は、層のそれぞれの形成中に起こる。ある実施形態において、融合は、後続の層が形成される間または全ての層が形成された後に起こる。
【0081】
ある実施形態において、材料押出として一般に知られている付加製造技術が使用され得る。材料押出では、物品は、材料(流動可能となり得る「構築材料」)を層ごとに分注し、層を融合することによって形成され得る。本明細書において使用される際の「融合」は、個々の層の化学的または物理的な連結を含み、「構築構造」を提供する。流動性構築材料は、材料を溶媒中に溶解または懸濁させることによって流動可能にされ得る。他の実施形態において、流動性材料は、溶融によって流動可能にされ得る。他の実施形態において、架橋または他に反応されて固体を形成し得る流動性プレポリマー組成物が使用され得る。融合は、溶媒の除去、溶融された材料の冷却またはプレポリマー組成物の反応によって行われ得る。
【0082】
特に、物品は、x-y平面において基材上の1つまたは複数の道として流動性材料を堆積して層を形成することによって物品の三次元デジタル表現から形成され得る。次に、基材に対するディスペンサ(例えば、ノズル)の位置がz軸(x-y平面に垂直)に沿って上昇され、次にこのプロセスが繰り返されてデジタル表現から物品が形成される。ここで、分注される材料は、「構築材料」に加えて「モデリング材料」とも呼ばれる。ある実施形態において、当該技術分野において公知の支持材料が任意選択的に支持構造を形成するのに使用され得る。これらの実施形態において、構築材料および支持材料は、物品の製造中に選択的に分注されて、物品および支持構造が得られる。支持材料は、支持構造、例えば層形成プロセスが所望の程度まで完了したときに機械的に除去され得るかまたは洗い流され得る足場の形態で存在し得る。ディスペンサは、一次元、二次元または三次元で移動可能であり得、また回転可能であり得る。同様に、基材も、一次元、二次元または三次元で移動可能であり得、また回転可能であり得る。
【0083】
材料押出用のシステムが公知である。1つの例示的な材料押出付加製造システムは、構築チャンバおよび熱可塑性材料の供給源を含む。構築チャンバは、構築プラットフォーム、構台および熱可塑性材料を分注するためのディスペンサ、例えば押出ヘッドを含み得る。
【0084】
構築プラットフォームは、物品が構築され、望ましくはコンピュータ操作されたコントローラから与えられた信号に基づいて垂直z軸に沿って移動するプラットフォームである。構台は、構築チャンバ内の水平なx-y平面においてディスペンサを、例えばコントローラから与えられた信号に基づいて移動させるように構成され得るガイドレールシステムである。水平なx-y平面は、x軸、y軸およびz軸が互いに直交している場合、x軸およびy軸によって画定される平面である。
【0085】
あるいは、プラットフォームは、水平なx-y平面において移動するように構成され得、押出ヘッドは、z軸に沿って移動するように構成され得る。プラットフォームおよび押出ヘッドの一方または両方が互いに対して移動可能であるように他の同様の配置も使用され得る。構築プラットフォームは、分離され得るか、または大気条件に曝され得る。プラットフォームとヘッドとの距離は、互いに対するヘッドおよびプラットフォームの配向と同様に調整可能である。プラットフォームは、使用者のニーズに応じて加熱されるか、冷却されるか、または周囲温度に維持され得ることが理解されるべきである。
【0086】
ある実施形態において、形成された物品の構築構造および支持構造の両方は、融合された拡張可能な層を含み得る。他の実施形態において、構築構造は、融合された拡張可能な層を含み、支持材料は、拡張可能な層を含まない。さらに他の実施形態において、構築構造は、拡張可能な層を含まず、支持構造は、融合された拡張可能な層を含む。支持構造が拡張可能な層を含む実施形態において、拡張された層のより低い密度は、支持材料が容易にまたは拡張されていない層より容易に壊れるか、再利用されるか、または廃棄されることを可能にする。
【0087】
ある実施形態において、支持構造は、意図的に壊れやすくされて、必要に応じて破壊を容易にすることができる。例えば、支持材料は、構築材料より本質的に低い引張または衝撃強度を有し得る。他の実施形態において、支持構造の形状は、構築構造と比べて支持構造の破壊しやすさを高めるように設計され得る。
【0088】
例えば、ある実施形態において、構築材料は、円形プリントノズルまたは円形押出ヘッドから作製され得る。本明細書において使用される際の円形は、1つまたは複数の曲線によって囲まれる任意の断面形状を意味する。円形は、円、長円形、楕円形など、ならびに不規則な断面形状を有する形状を含む。構築材料の円形の層から形成された三次元物品は、強い構造強度を有し得る。他の実施形態において、物品のための支持材料は、非円形プリントノズルまたは非円形押出ヘッドから作製され得る。非円形は、任意選択的に1つまたは複数の曲線とともに、少なくとも1つの直線によって囲まれる任意の断面形状を意味する。非円形は、四角形、長方形、リボン、馬蹄形、星形、Tヘッド形状、X形状、山形などを含み得る。これらの非円形は、支持材料を弱くし、脆くし、円形の構築材料より低い強度を有するようにする。
【0089】
上記の材料押出技術としては、融合堆積モデリングおよび融合フィラメント製造などの技術ならびにASTM F2792-12aに記載される他のものが挙げられる。融合材料押出技術では、物品は、堆積されて層を形成し得る流動可能な状態に熱可塑性材料を加熱することによって製造され得る。層は、x-y軸における所定の形状およびz軸における所定の厚さを有し得る。流動性材料は、上述される道として、または金型を通して堆積されて特定の形状を提供し得る。層は、堆積されるにつれて冷却し、固化する。溶融された熱可塑性材料の後続の層は、予め堆積された層に融合し、温度の低下により固化する。複数の後続の層の押出は、所望の形状を構築する。ある実施形態において、物品の少なくとも1つの層が溶融堆積によって形成され、他の実施形態において、物品の10超、または20超、または50超の層が溶融堆積によって形成され、物品の層の最大で全て(全てを含む)が溶融堆積によって形成される。
【0090】
ある実施形態において、熱可塑性ポリマーは、溶融された形態でディスペンサに供給される。ディスペンサは、押出ヘッドとして構成され得る。押出ヘッドは、熱可塑性組成物を押出材料ストランドとして堆積させて物品を構築し得る。押出材料ストランドの平均直径の例は、1.27ミリメートル(0.050インチ)~3.0ミリメートル(0.120インチ)であり得る。
【0091】
いわゆる大判付加製造(LFAM)システムも、このようなシステムが本開示に係るポリマー材料のペレットを用いて部品を形成し得るため、本開示の範囲内である。
【0092】
LFAMシステムでは、比較的大きい押出機が、後に台上で堆積される溶融された形態に供給材料を転化する。LFAMシステムは、x、yおよび/またはz方向に可動であるプリントヘッドを含むフレームまたは構台を含み得る。あるいは、プリントヘッドは、固定であり得、部品(または部品支持材)は、x、yおよび/またはz軸において可動である。
【0093】
プリントヘッドは、ペレットおよび/またはフィラメントの形態の供給材料および堆積ノズルを有し得る。供給材料は、プリントヘッドに隣接するホッパー(ペレット用)または他の好適な貯蔵容器に貯蔵され得るか、またはフィラメントスプールから供給され得る。
【0094】
LFAM装置は、材料を押し出するためのノズルを含み得る。ポリマー材料は、ノズルを介して加熱され、押し出され、構築する表面上に直接堆積され、この表面は、可動(または固定)プラットフォームであり得、または予め堆積された材料であり得る。熱源は、ノズル上に位置するか、またはノズルと接続されて、材料を所望の温度および/または流量になるまで加熱し得る。床は、加熱されるかまたは室温であり得る。
【0095】
非限定的な一実施形態において、ノズルは、ノズルを介してプリント床へ約1~約50kg/時で(溶融されたペレットから)溶融されたポリマー材料を押し出すように構成され得る。プリント床のサイズは、使用者のニーズに応じて変化し得、部屋のサイズであり得る。一例として、プリント床は、約400×200×86インチのサイズであり得る。LFAM装置は、1つ、2つまたはそれを超える加熱された領域を有し得る。
【0096】
1つの例示的なLFAM方法は、大面積付加製造(BAAM、例えばCincinnati Incorporated、http://www.e-ci.com/baam/)として公知である。LFAMシステムは、フィラメント、ペレットまたはその両方を供給材料として用いられ得る。BAAMプロセスの例示的な説明は、例えば、米国特許出願公開第2015/0183159号明細書、米国特許出願公開第2015/0183138号明細書、米国特許出願公開第2015/0183164号明細書および米国特許第8,951,303号明細書(これらの全ては、全体が参照により本明細書に援用される)に見られる。開示される組成物は、液滴ベースの付加製造システム、例えばArburg製のFreeformer(商標)システム(https://www.arburg.com/us/us/products-and-services/additive-manufacturing/)にも好適である。
【0097】
付加製造システムは、構築材料としてフィラメント形態の材料を使用し得る。このようなシステムは、記載されるように、フィラメント(および/または溶融されたポリカーボネート)と基材との間の相対運動を行い得る。位置の予め設定された計画に従って溶融された材料を適用することにより、システムは、当業者に周知であるように物品を層ごとに構築し得る。本明細書の他の箇所に記載されるように、構築材料は、ペレット形態でもあり得る。
【0098】
開示される技術は、三次元物体を形成する方法を含み得る。これらの方法は、熱可塑性材料(例えば、開示される組成物に係る材料)の層を、ノズルを介してプラットフォーム上に堆積して、堆積された層を形成することを含み得る。次に、使用者は、後続の層を、最初に堆積された層に堆積し、前の工程を繰り返して三次元物体を形成し得る。このような三次元物体を形成するための関連する装置は、三次元物体を支持するように構成されたプラットフォームと、プラットフォームに対して配置され、予め設定されたパターンで熱可塑性材料を堆積して、三次元物体の層を形成するように構成された押出ヘッドと、プラットフォームに対して押出ヘッドおよびエネルギー源の位置を制御するように構成されたコントローラとを含み得る。プラットフォームと押出ヘッドとの垂直距離は、調整可能であり、押出ヘッドは、一次元、二次元または三次元で移動可能であり得、また回転可能であり得る。上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を必ずしも限定するものではない。
【0099】
特定の実施形態において、熱可塑性マトリックスポリマーは、熱可塑性マトリックスポリマーの総重量に対して90.0重量%超のポリアルキレンテレフタレートを含む。好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、95.0重量%超、より好ましくは98.0重量%超のポリアルキレンテレフタレートを含む。特に好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、唯一の熱可塑性材料としてポリアルキレンテレフタレートを含む。例えば、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレートおよび任意選択的な添加剤からなり得る。
【0100】
ポリアルキレンテレフタレートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルメチレンテレフタレートから選択されるポリアルキレンテレフタレートであり得る。好ましくは、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートである。
【0101】
好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、熱可塑性マトリックスポリマーの総重量に対して90.0重量%超のポリアルキレンテレフタレートを含み、ここで、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートである。好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、95.0重量%超、より好ましくは98.0重量%超のポリアルキレンテレフタレートを含み、ここで、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートである。特に好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、唯一の熱可塑性材料としてポリアルキレンテレフタレートを含み、ここで、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートである。例えば、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレートおよび任意選択的な添加剤からなり得、ここで、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートである。
【0102】
特に、ポリ(ブチレンテレフタレート)は、1,4-ブタンジオールおよびテレフタル酸またはそのジエステル、例えばジメチルテレフタレートに由来するポリマー単位を含むホモポリマーであり得る。
【0103】
1,4-ブタンジオールおよびテレフタル酸またはそのジエステル、例えばジメチルテレフタレートに由来するポリマー単位は、例えば、式:
【化1】
によるポリマー単位であり得る。
【0104】
あるいは、ポリ(ブチレンテレフタレート)は、ポリ(ブチレンテレフタレート)の総重量に対して90重量%以上の、1,4-ブタンジオールおよびテレフタル酸またはそのジエステル、例えばジメチルテレフタレートに由来するポリマー単位を含むコポリマーであり得る。
【0105】
ポリ(ブチレンテレフタレート)がコポリマーである場合、それは、例えば、10.0重量%以下の、さらなるモノマーに由来するポリマー単位を含み得る。好適なさらなるモノマーは、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、エタンジオール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノールまたはそれらの組合せから選択され得る。
【0106】
例えば、ポリ(ブチレンテレフタレート)は、ポリ(ブチレンテレフタレート)の総重量に対して10.0重量%以下の、さらなるモノマーに由来するポリマー単位、好ましくは5.0重量%以下、例えば0.5重量%以上かつ5.0重量%以下を含み得る。
【0107】
特定の実施形態において、ポリ(ブチレンテレフタレート)は、1,4-ブタンジオールおよびテレフタル酸またはジメチルテレフタレートに由来するポリマー単位およびさらに0.5重量%以上かつ5.0重量%以下の、イソフタル酸に由来するポリマー単位を含む。
【0108】
ポリ(ブチレンテレフタレート)は、ASTM D2857-95(2007)に準拠して測定された際に0.50dl/g以上かつ2.00dl/g以下、例えば0.70dl/g以上かつ1.30dl/g以下の固有粘度を有することが好ましい。
【0109】
本発明は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満であり、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートである、複合繊維にもさらに関する。
【0110】
さらに、本発明は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満であり、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートであり、フィブリル化補強材は、ポリテトラフルオロエチレンである、複合繊維にも関する。本発明に関して、Tgは、ISO 11357-2(2013)に準拠して測定されるものと理解され得る。特に、本発明は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートであり、フィブリル化補強材は、ポリテトラフルオロエチレンである、複合繊維にも関する。
【0111】
特に、本発明は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満であり、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートであり、フィブリル化補強材は、ポリテトラフルオロエチレンであり、複合繊維は、複合繊維の総重量に対して測定された際に0.01重量%~15.0重量%、好ましくは0.25重量%~5.0重量%、より好ましくは0.50重量%~2.50重量%のフィブリル化補強材を含む、複合繊維に関する一実施形態も包含する。
【0112】
さらにより特定的に、本発明は、熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、かつ熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含み、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満であり、熱可塑性マトリックスポリマーは、ASTM D2857-95(2007)に準拠して測定された際に0.50dl/g以上かつ2.00dl/g以下、例えば0.70dl/g以上かつ1.30dl/g以下の固有粘度を有するポリブチレンテレフタレートであり、フィブリル化補強材は、ポリテトラフルオロエチレンであり、複合繊維は、複合繊維の総重量に対して測定された際に0.01重量%~15.0重量%、好ましくは0.25重量%~5.0重量%、より好ましくは0.50重量%~2.50重量%のフィブリル化補強材を含む、複合繊維に関する一実施形態も包含する。
【0113】
本発明に関して、ポリテトラフルオロエチレンは、PTFEとも呼ばれる。
【0114】
フィブリル化補強材は、さらなる熱可塑性材料で封入されるフィブリル化補強材の形態で本発明の複合繊維中に存在し得る。例えば、フィブリル化補強材は、スチレン-アクリロニトリルコポリマーで封入されるポリテトラフルオロエチレンであり得る。スチレン-アクリロニトリルコポリマーで封入されるこのようなポリテトラフルオロエチレンは、TSANとも呼ばれる。例えば、フィブリル化補強材は、TSANであり得、ここで、TSANは、TSANの総重量に対して10~90重量%のポリテトラフルオロエチレンおよび10~90重量%のスチレン-アクリロニトリルコポリマー、好ましくは20~80重量%のポリテトラフルオロエチレンおよび20~80重量%のスチレン-アクリロニトリルコポリマー、より好ましくは30~70重量%のポリテトラフルオロエチレンおよび30~70重量%のスチレン-アクリロニトリルコポリマー、さらにより好ましくは40~60重量%のポリテトラフルオロエチレンおよび40~60重量%のスチレン-アクリロニトリルコポリマーを含む。
【0115】
このようなフィブリル化補強材は、熱可塑性マトリックスポリマー中のフィブリル化材料の領域の分散度に寄与し、それにより、複合繊維を形成する材料の機械的特性および溶融加工特性の改善に寄与することが理解される。
【0116】
本発明は、特定の実施形態において、2.0μm~4.0mmの範囲の直径を有する複合繊維であって、熱可塑性マトリックスポリマーと、熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域とを含み、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度は、フィブリル化補強材の溶融温度より低い、複合繊維に関する。
【0117】
例えば、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート、好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、好ましくはポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリオレフィンまたはそれらの組合せから選択される。好ましくは、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート、好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、好ましくはポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミドまたはポリオレフィンから選択される。
【0118】
特に、熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。さらに特定的に、フィブリル化補強材は、熱可塑性材料、好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。フィブリル化補強材は、さらなる熱可塑性材料中に封入される熱可塑性材料であることが特に好ましい。さらなる熱可塑性材料の溶融温度は、熱可塑性材料の溶融温度より低いことが好ましい。
【0119】
特に、さらなる熱可塑性材料の溶融温度は、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度を20℃未満、より好ましくは10℃未満上回ることが好ましい。さらにより特定的に、さらなる熱可塑性材料の溶融温度は、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度を20℃未満、より好ましくは10℃未満上回り、フィブリル化補強材の溶融温度は、熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度を30℃超、好ましくは50℃超、さらにより好ましくは70℃超上回ることが好ましい。
【0120】
本発明に関して、UHMWPEは、ISO 11542-1(2001)に準拠して測定された際に1000kg/mol超、好ましくは1000kg/mol超かつ10000kg/mol未満の重量平均分子量(Mw)を有するポリエチレンであることが理解されるべきである。
【0121】
本発明に関して、溶融温度は、ISO 11357-3(2011)、第1の加熱試験に準拠して測定された際のピーク溶融温度Tp,mであるものと理解され得る。
【0122】
ここで、本発明は、以下の非限定的な例によって説明される。
【実施例】
【0123】
以下の材料を本発明に係る実験に使用した。
【0124】
【0125】
PFTEは、326℃の溶融温度を有する。SANは、230℃の溶融温度を有する。PBT1およびPBT2の両方は、223℃の溶融温度を有する。
【0126】
上記の材料の配合物を以下の表に従って配合した。
【0127】
【0128】
25mm二軸押出機を用いて、上記の表の配合の乾燥ブレンドを押し出すことによって配合を行った。押出の温度は、250℃(溶融温度)であり、スクリューrpmは、200であった。押出前に混合物を120℃で4時間乾燥させた。配合した後、得られた材料を冷却し、ペレットに成形した。
【0129】
例1~9に従って配合された配合物のうち、いくつかのパラメータを以下の表に示されるように試験した。
【0130】
【0131】
例1~9のそれぞれの材料のうち、15mmの直径のチャネルを有する毛管レオメータ(Gottfert、RG50)中にペレットを供給することによって繊維を紡糸した。次に、100秒-1のずり速度および250℃の温度で直径0.3~2mm(必要とされる繊維の最終的な直径に応じて)および長さ10~30mmの金型から材料を押し出した。次に、金型から出る溶融物を、10mm/秒~2000mm/秒の速度で引取ユニット(Gottfert)を用いて紡糸した。紡糸する前に混合物を120℃で4時間乾燥させた。
【0132】
さらに、例1~9のそれぞれの材料を、15mmの直径のチャネルを有する毛管レオメータ(Gottfert、RG50)中にペレットを供給することによってテープに転化した。次に、材料を、長方形断面(0.5*1mm)を有する金型から250℃において100秒-1のずり速度で押し出した。金型から出る溶融物は、金型の断面と類似の断面を有していた。押出前に混合物を120℃で4時間乾燥させた。
【0133】
いくつかの材料特性を、上記のように調製されるテープおよび繊維を用いてさらに測定した。その結果が以下の表に示される。
【0134】
【0135】
摩擦クランプの下降運動中、繊維の全伸びの10~90%の範囲で引張力F
pを試験デバイスに加える校正された予備引張り重りを変位するのに必要な力Fが測定される。摩擦係数は、オイラー-アイテルワインの式:
【数1】
を用いて計算され、式中、αは、摩擦デバイスにおける繊維の巻付き角である。
【0136】
上に示される実施例は、本発明に係る繊維が、改善された繊維加工特性および改善された機械的特性を有するため、繊維の高い耐久性および繊維生産段階における良好なプロセス経済学が重要な要件である用途に使用するのに好適であることを実証している。
他の実施形態
1. (a)熱可塑性マトリックスポリマーと、
(b)前記熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域と
を含む複合繊維であって、前記熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度は、フィブリル化補強材の溶融温度より低く、前記溶融温度は、ISO 11357-3(2011)、第1の加熱試験に準拠してピーク溶融温度として測定される、複合繊維。
2. 約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有する、実施形態1に記載の複合繊維。
3. 前記フィブリル化補強材の前記溶融温度は、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度を30℃超、好ましくは50℃超、さらにより好ましくは70℃超上回る、実施形態1または2に記載の複合繊維。
4. 前記フィブリル化補強材は、熱可塑性材料を含む、実施形態1~3のいずれかに記載の複合繊維。
5. 前記熱可塑性材料は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から選択される、実施形態1~4のいずれかに記載の複合繊維。
6. 前記熱可塑性材料は、さらなる熱可塑性材料で封入される、実施形態4または5に記載の複合繊維。
7. 前記さらなる熱可塑性材料の溶融温度は、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度を20℃未満、好ましくは10℃未満上回る、実施形態6に記載の複合繊維。
8. 前記さらなる熱可塑性材料は、スチレン-アクリロニトリルコポリマーである、実施形態6または7に記載の複合繊維。
9. 前記フィブリル化補強材は、10~90重量%の前記熱可塑性材料および10~90重量%の前記さらなる熱可塑性材料を含む、実施形態6~8のいずれかに記載の複合繊維。
10. 前記複合繊維の総重量に対して測定された際に0.01重量%~15.0重量%、好ましくは0.25重量%~5.0重量%、より好ましくは0.50重量%~2.50重量%の前記フィブリル化補強材を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の複合繊維。
11. 前記熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート、好ましくはポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、好ましくはポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリオレフィンまたはそれらの組合せから選択される、実施形態1~10のいずれかに記載の複合繊維。
12. 前記熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリブチレンテレフタレートである、実施形態1~11のいずれかに記載の複合繊維。
13. 前記ポリブチレンテレフタレートは、ASTM D2857-95(2007)に準拠して測定された際に0.50dl/g以上かつ2.00dl/g以下、例えば0.70dl/g以上かつ1.30dl/g以下の固有粘度を有する、実施形態12に記載の複合繊維。
14. ISO 527-1(2012)に準拠して測定される、約0.5~約6GPa、好ましくは約1~約4GPaの範囲の弾性率を有する、実施形態1~13のいずれかに記載の複合繊維。
15. 実施形態1~14のいずれかに記載の複数の複合繊維を含む物品であって、織物物品、不織物物品またはそれらの組合せであり、好ましくはカーペットである物品。
16. 熱可塑性マトリックスポリマーを含む複合繊維であって、
約2マイクロメートル~約4ミリメートルの範囲の直径を有し、
前記熱可塑性マトリックスポリマー内に配置される複数のフィブリル化補強材領域を含む、複合繊維。
17. 前記熱可塑性マトリックスポリマーの溶融温度またはTgの高い方は、フィブリル化補強材の溶融温度またはTgの低い方未満であり、好ましくは、前記熱可塑性マトリックスポリマーの前記溶融温度は、前記フィブリル化補強材の前記溶融温度未満である、実施形態16に記載の複合繊維。
18. 前記熱可塑性マトリックスポリマーは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリ(アミド)、ポリオレフィンまたはそれらの任意の組合せを含む、実施形態16または17に記載の複合繊維。
19. 前記ポリアルキレンテレフタレートは、ポリブチレンテレフタレートを含む、実施形態18に記載の複合繊維。
20. 前記複数のフィブリル化補強材領域は、前記複合繊維の重量に対して測定された際に約0.01重量%~約15重量%、好ましくは約0.25重量%~約5重量%で前記複合繊維中に存在する、実施形態16~19のいずれかに記載の複合繊維。
21. 前記補強材は、ポリオレフィン、フルオロポリマーまたはそれらの任意の組合せを含む、実施形態16~20のいずれかに記載の複合繊維。
22. 前記フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンを含む、実施形態21に記載の複合繊維。
23. 前記複数のフィブリル化補強材領域は、互いに約20度以内に配向される主軸を有するフィブリル化補強材領域の第1の群と、互いに約20度以内に配向される主軸を有するフィブリル化補強材領域の第2の群とを含む、実施形態16~22のいずれかに記載の複合繊維。
24. 主軸を有するフィブリル化補強材領域の前記第1の群は、第1の平均主軸を画定し、主軸を有するフィブリル化補強材領域の前記第2の群は、第2の平均主軸を画定し、前記第1および第2の平均主軸は、互いに少なくとも約10度だけ異なる、実施形態23に記載の複合繊維。
25. 約2~約200マイクロメートルの範囲の直径を有する、実施形態16~24のいずれかに記載の複合繊維。
26. 約0.3~約4mmの範囲の直径を有する、実施形態16~24のいずれかに記載の複合繊維。
27. 約0.5~約6GPaの範囲の弾性率を有する、実施形態16~26のいずれかに記載の複合繊維。
28. 実施形態16~27のいずれかに記載の複数の複合繊維を含む物品であって、織物物品、不織物物品またはそれらの任意の組合せとして特徴付けられる物品。
29. カーペットを含む、実施形態28に記載の物品。
30. 物品の少なくとも一部の付加製造において、実施形態16~28のいずれかに記載の複合繊維を使用することを含む方法であって、好ましくは、前記付加製造は、融合フィラメント製造を含む、方法。