(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】DC端子の同軸配列を有するハーフブリッジモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221020BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221020BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221020BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2019560217
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2018061027
(87)【国際公開番号】W WO2018202620
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-01-14
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】トラウブ,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】シュダーラー,ユルゲン
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286158(JP,A)
【文献】特開2016-226131(JP,A)
【文献】国際公開第2016/131693(WO,A1)
【文献】米国特許第06525950(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第106486468(CN,A)
【文献】特開2005-216876(JP,A)
【文献】特開2005-252305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフブリッジモジュール(10)であって、
第1のDC導電領域(16)、第2のDC導電領域(20)およびAC導電領域(18)に分けられるベースメタライゼーション層(14)を有する基板(12)と、
前記第1のDC導電領域(16)に接合されて前記AC導電領域(18)に電気的に相互接続される少なくとも1つの第1のパワー半導体スイッチチップ(22)と、
前記AC導電領域(18)に接合されて前記第2のDC導電領域(20)に電気的に相互接続される少なくとも1つの第2のパワー半導体スイッチチップ(22)と、
少なくとも1つの内側DC端子(38)、少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)を備える同軸端子配列(35)とを備え、
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は、前記少なくとも1つの内側DC端子(38)が前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)と前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)との間に同軸配列されるように、前記モジュール(10)から突出して一列に配列され、
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)は前記第2のDC導電領域(20)に電気的に接続され、
前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は前記第1のDC導電領域(16)に電気的に接続され、
前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は導電ブリッジ要素(52,70)に電気的に相互接続され、前記導電ブリッジ要素は、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)と前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)との間に負荷電流の少なくとも半分を分配するように適合され、
高められたメタライゼーション層(56,70
)が前記ベースメタライゼーション層(14)に取付けられ、
前記ブリッジ要素は
、前記高められたメタライゼーション層(56)の下方の前記第1のDC導電領域(16)のブリッジ要素(52)によって設けられる、ハーフブリッジモジュール。
【請求項2】
前記ブリッジ要素は、前記第1のDC導電領域(16)のうち、前記高められたメタライゼーション層(56)の下方において、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)の接合領域と前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)の接合領域との間をつなぐ領域を含む、請求項1に記載のハーフブリッジモジュール。
【請求項3】
前記ブリッジ要素(52,70)は、前記基板(12)および前記
少なくとも1つの第1のおよび/または第2のパワー半導体スイッチチップ(22)が収容される前記モジュール(10)のハウジング(80)の内部に配置され、
前記ハウジングは成形封入物である、
請求項1または2に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1のおよび/または第2のパワー半導体スイッチチップ(22)はSiチップであり、
フリーホイールダイオードを提供する複数のパワー半導体チップ(24)が前記第1のDC導電領域(16)および前記AC導電領域(18)に接合される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は前記ブリッジ
要素(52)に接合される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)は前記高められたメタライゼーション層(56)に接合される、
請求項5に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項7】
ハーフブリッジモジュール(10)であって、
第1のDC導電領域(16)、第2のDC導電領域(20)およびAC導電領域(18)に分けられるベースメタライゼーション層(14)を有する基板(12)と、
前記第1のDC導電領域(16)に接合されて前記AC導電領域(18)に電気的に相互接続される少なくとも1つの第1のパワー半導体スイッチチップ(22)と、
前記AC導電領域(18)に接合されて前記第2のDC導電領域(20)に電気的に相互接続される少なくとも1つの第2のパワー半導体スイッチチップ(22)と、
少なくとも1つの内側DC端子(38)、少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)を備える同軸端子配列(35)とを備え、
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は、前記少なくとも1つの内側DC端子(38)が前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)と前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)との間に同軸配列されるように、前記モジュール(10)から突出して一列に配列され、
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)は前記第2のDC導電領域(20)に電気的に接続され、
前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)は前記第1のDC導電領域(16)に電気的に接続され、
前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は、前記第1のDC導電領域(16)から隔てられた前記ベースメタライゼーション層(14)の補助導電領域(66)に接合され、
前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)および前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)は導電ブリッジ要素(52,70)に電気的に相互接続され、前記導電ブリッジ要素は、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)と前記少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)との間に負荷電流の少なくとも半分を分配するように適合され、
高められたメタライゼーション層(56,70)を有する絶縁基板(54,68)が前記ベースメタライゼーション層(14)に取付けられ、
前記ブリッジ要素は、前記高められたメタライゼーション層(70)によって、または前記高められたメタライゼーション層(56)の下方の前記第1のDC導電領域(16)のブリッジ要素(52)によって設けられる、ハーフブリッジモジュール。
【請求項8】
前記高められたメタライゼーション層(70)は前記第2のDC導電領域(20)の上方に取付けられ、
前記高められたメタライゼーション層(70)は前記第1のDC導電領域(16)および前記補助導電領域(66)に電気的に相互接続される、
請求項7に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの内側DC端子(38)は、前記ブリッジ要素(70)の下方に導かれる前記第2のDC導電領域(20)の部分(50)に接合される、
請求項7または8に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項10】
前記モジュール(10)は少なくとも2つの内側DC端子(38)を備え、
前記モジュール(10)は少なくとも2つの第1の外側DC端子(36)および少なくとも2つの第2の外側DC端子(40)を備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項11】
前記DC端子(36,38,40)は金属片からなり、
前記DC端子(36,38,40)は同じ断面を有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【請求項12】
前記モジュール(10)は、前記AC導電領域(18)に電気的に相互接続される少なくとも1つのAC端子(42)を備え、
前記少なくとも1つのAC端子(42)は前記AC導電領域(18)に直接接合され、
前記少なくとも1つのAC端子(42)は前記同軸端子配列(35)に関して前記モジュール(10)の反対側に配列され、
前記少なくとも1つのAC端子(42)は前記モジュール(10)から、前記少なくとも1つの第1の外側DC端子(36)、少なくとも1つの内側DC端子(38)および少なくとも1つの第2の外側DC端子(40)の突出方向(V)とは反対側に突出し、
前記モジュール(10)は少なくとも2つのAC端子(42)を備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載のハーフブリッジモジュール(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はハーフブリッジモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
IGBTまたはMOSFETなどの、ソリッドステート半導体スイッチを含むパワー半導体モジュールは、電流を切替えるまたは整流するためにさまざまなパワーエレクトロニクス用途に用いられている。重要な急成長している用途は、電気車両またはハイブリッド電気車両用のコンバータシステムである。そのような用途についての典型的なモジュールの定格電圧は最大で1200Vであり、定格電流は数百アンペアであり得る。
【0003】
いくつかの半導体スイッチを1つのパワー半導体モジュール内に配置してハーフブリッジを形成し、そのようにしてハーフブリッジモジュールを形成することができる。そのようなハーフブリッジモジュールには通常、DC+用、DC-用およびAC用の端子が搭載されている。これらの端子はハーフブリッジモジュールのハウジングから突出し得、モジュールをバスバー、DCコンデンサ等のその他の電気装置に相互接続するために用いられ得る。
【0004】
モジュール内の転流ループ、およびモジュールへの相互接続は低い浮遊インダクタンスを有することが望ましい。これによって、たとえば電流立上がり時間が短くなり、より高いスイッチング周波数を達成する可能性がもたらされる。
【0005】
US 6 212 087 B1は、浮遊インダクタンスが低いハーフブリッジモジュールを示している。
【0006】
US 2009/0085219 A1はパワー半導体モジュールへの、かつパワー半導体モジュール内の誘導結合が低いパワー半導体構成を示しており、低い誘導結合は平行な導体プレートに基づいている。
【0007】
US 2005/0024805 A1はパワー半導体モジュール用の低インダクタンス回路構成に関するものであり、端子ストリップ線路およびリボン接合を用いる低誘導パワーモジュールアセンブリが記載されている。
【0008】
DE 10 2014 102 018 B3は、特別な構成のワイヤボンドによって浮遊インダクタンスが低いパワーモジュールに関する。
【0009】
パワー半導体モジュールに関するUS 5,705,848は、フローティングプレートを用いて基板同士を相互接続する低誘導の空間効率的な方法を記載している。
【0010】
DE 10 2015 216 083 A1はハーフブリッジを有するパワーモジュールを示しており、金属層はAC、2つのDC-および1つのDC+領域に分けられる。DC-およびDC+領域に取付けられた電力端子同士は互いに挟まれている。DC-電力端子は金属片に電気的に接続される。
【0011】
JP 2005 216 876 Aは基板上に2つの別個のDC導電領域を有するハーフブリッジ構成を示している。導電領域は銅パターンであり、配線材料を用いて互いに電気的に相互接続され得る。
【0012】
発明の説明
本発明の目的は、ハーフブリッジモジュールへの相互接続における浮遊インダクタンスを低下させることである。本発明のさらなる目的は、低インダクタンス端子配列を有するハーフブリッジモジュールを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は独立請求項の主題によって達成される。さらなる例示的な実施形態は従属請求項および以下の説明から明白である。
【0014】
本発明の第1の局面はパワー半導体ハーフブリッジモジュールに関する。半導体モジュールは、1つ以上の半導体チップと、それらの電気的および機械的な相互接続と、これら構成要素用のハウジングとで構成されるいずれの装置であってもよい。ここにおけるおよび以下における「パワー」という用語は、100Vよりも大きいおよび/または10Aよりも大きい電流を処理するように適合されたモジュールおよび/または半導体チップを指し得る。たとえば、パワー半導体モジュールは、電気車両、ハイブリッド車両、バイク、バス、トラック、オフロード建設車両および充電ステーションなど、自動車用途に用いられ得る。
【0015】
ハーフブリッジモジュールは、ハーフブリッジを収容するモジュール、すなわち、2つの半導体スイッチが直列接続されて直列接続の両端に2つのDC出力を提供し、これらDC出力同士の間にAC出力を提供するように電気的に相互接続される半導体チップであり得る。
【0016】
本発明の実施形態によると、ハーフブリッジモジュールは、第1のDC導電領域、第2のDC導電領域およびAC導電領域に分けられるベースメタライゼーション層を有する基板と、第1のDC導電領域に接合されてAC導電領域に電気的に相互接続される少なくとも1つの第1のパワー半導体スイッチチップと、AC導電領域に接合されて第2のDC導電領域に電気的に相互接続される少なくとも1つの第2のパワー半導体スイッチチップとを含む。
【0017】
基板は、片側または両側がベースメタライゼーション層で覆われた、プラスチックまたはセラミックスなどの電気絶縁材料製のプレートであってもよい。また、基板は単に1つ以上のメタライゼーション層によって設けられてもよい。たとえば、基板はリードフレームであってもよいし、リードフレームを含んでもよい。メタライゼーション層は、半導体チップが接続される導電体を提供するように構造化されてもよい。たとえば、第1のDC導電領域はDC+導電領域であってもよく、第2のDC導電領域はDC-導電領域であってもよい。
【0018】
パワー半導体チップはそれぞれの導電領域に接合される。接合とは、半田付け、焼結、および接着を指し得る。さらに、パワー半導体チップはボンドワイヤを介して他の導電領域に接続されてもよい。スイッチを有するパワー半導体チップ毎に、ダイオードを有するパワー半導体チップも存在してもよく、これもたとえばボンドワイヤによってそれぞれの導電領域に接合されてパワー半導体スイッチチップに逆並列に電気的に相互接続される。
【0019】
1つ以上の第1のパワー半導体チップは、ハーフブリッジ用の1つ以上のハイサイドスイッチを提供し得る。第1の半導体チップが2つ以上ある場合は、これらのチップは第1の列に配列されてもよい。1つ以上の第2のパワー半導体チップは、ハーフブリッジ用の1つ以上のローサイドスイッチを提供し得る。第2の半導体チップが2つ以上ある場合は、これらのチップは第2の列に配列されてもよい。両方の列は互いに実質的に平行に延在してもよい。
【0020】
一列のパワー半導体チップのみ、および/またはパワー半導体スイッチチップとパワー半導体ダイオードチップとの対が、ハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチにそれぞれ用いられてもよい。
【0021】
本発明の実施形態によると、ハーフブリッジモジュールは、少なくとも1つの内側DC端子、少なくとも1つの第1の外側DC端子および少なくとも1つの第2の外側DC端子を含む同軸端子配列をさらに含み、少なくとも1つの内側DC端子、少なくとも第1の外側DC端子および少なくとも1つの第2の外側DC端子は、少なくとも1つの内側DC端子が少なくとも1つの第1の外側DC端子と少なくとも1つの第2の外側DC端子との間に同軸配列されるように、モジュールから突出して一列に配列される。少なくとも1つの内側DC端子は第2のDC導電領域に電気的に接続される。少なくとも1つの第1の外側DC端子および少なくとも1つの第2の外側DC端子は第1のDC導電領域に電気的に接続される。
【0022】
つまり、1つ以上の内側DC端子の両側に配列される1つ以上の外側DC端子があってもよく、これによってDC+、DC-、DC+、またはその逆のDC-、DC+、DC-のパターンがもたらされ得る。外側DC端子はハーフブリッジのDC+出力に、またはハーフブリッジのDC-出力に接続されてもよい。それとは逆に、1つ以上の内側DC端子がハーフブリッジのDC-出力に、またはハーフブリッジのDC+出力に接続されてもよい。
【0023】
この文脈における同軸という用語は、DC端子がDC+/DC-/DC+またはDC-/DC+/DC-構成に配列されることを指し得る。同軸配列によって、同じように配列され得るDC端子内およびバスバー内に設けられる電流経路の転流ループ浮遊インダクタンスを低下させることが可能になり得る。
【0024】
すべてのDC端子はモジュールから共通の突出方向に突出してもよく、突出方向はパワー半導体チップの列の延在方向に実質的に平行であってもよいことに注意すべきである。さらに、1つ以上の第1の外側DC端子は第1の列のパワー半導体チップの隣に配列されてもよく、および/または1つ以上の第2の外側DC端子は第2の列のパワー半導体チップの隣に配列されてもよい。
【0025】
本発明の実施形態によると、第1の外側DC端子および第2の外側DC端子は導電ブリッジ要素に電気的に相互接続され、導電ブリッジ要素は、第1の外側DC端子および第2の外側DC端子に電気的に接続され、第1の外側DC端子と第2の外側DC端子との間に負荷電流の少なくとも半分を分配するように適合される。
【0026】
第1のDC導電領域および1つ以上の第1の外側DC端子は、モジュールの第1の側に配列されてもよい。第2のDC導電領域および1つ以上の第2の外側DC端子は、モジュールの第2の側に配列されてもよい。第2のDC導電領域から1つ以上の内側DC端子までの導電経路は、内側DC端子が配列される外側DC端子同士の間のブリッジ要素の下方または上方に導かれてもよい。
【0027】
同軸DC端子配列は、同軸DC端子電流が非同軸基板構成に導かれ得るようにDC導電領域に電気的に相互接続されてもよい。
【0028】
ブリッジ要素において、第1のDC導電領域内への負荷電流は第2のDC導電領域からの負荷電流を横切る。負荷電流の2段または2層ルーティングによって、同軸DC端子配列は非同軸基板レイアウトでも使用可能である。
【0029】
1つ以上の第1の外側DC端子しか第1のDC導電領域に直接接続され得ないため、ブリッジ要素は負荷電流の実質的に半分を1つ以上の外側DC端子に流すことが可能でなければならないことに注意すべきである。1つ以上の第2の外側DC端子は第1のDC導電領域に間接的に接続されるのみであってもよい。つまり、ブリッジ要素の導電率は第2の外側DC端子と実質的に同じであってもよい。
【0030】
上述のような2段ルーティングを提供するために、DC電流経路を交差できるようにするいくつかの解決策が可能である。一般に、2段電流ルーティングは、1つ以上の内側DC端子の高められたセクション、付加的な金属クリップ、および/またはワイヤボンドを有する付加的な基板によって提供され得る。
【0031】
特に、ハーフブリッジモジュールは、高められたメタライゼーション層を有する絶縁基板をさらに含み、絶縁基板はベースメタライゼーション層に取付けられる。ブリッジ要素は基板上の高められたメタライゼーション層によって設けられるか、またはブリッジ要素は高められたメタライゼーション層の下方の第1のDC導電領域のブリッジ部分である。
【0032】
「高められた(elevated)」という用語は、高められたメタライゼーション層がベースメタライゼーション層よりも高さが高いことを意味し得る。絶縁基板はセラミックスまたはプラスチック製であってもよい。絶縁基板は両側にメタライゼーション層を有してもよく、および/またはベースメタライゼーション層に接合もしくは接着されてもよい。
【0033】
本発明の実施形態によると、ブリッジ要素は、基板および半導体チップが収容されるモジュールのハウジングの内部に配置される。ブリッジ要素はモジュールに取付けられてもよく、および/またはハウジングの内部で外側DC端子に電気的に接続されてもよい。たとえば、ブリッジ要素はベースメタライゼーション層および/またはハウジング内に封入されたさらなる基板のメタライゼーション層の部分であってもよい。また、金属片などのさらなる導体がモジュールに接合されてからハウジング内に封入されてもよい。
【0034】
本発明の実施形態によると、ハウジングは成形封入物である。成形封入物は、たとえば熱可塑性材料を用いるまたは化学硬化材料を用いるトランスファー成形によって生成されてもよい。成形材料はエポキシ樹脂であってもよい。成形封入物は、基板、ベースメタライゼーション層、パワー半導体チップおよび/またはブリッジ要素を完全に密閉してもよい。DCおよびAC端子はハウジングから突出してもよく、DCおよびAC端子のモジュールに接合された部分も成形封入物によって封入されてもよい。
【0035】
本発明の実施形態によると、パワー半導体スイッチチップはSiチップである。特に、通常はSiCチップよりも大きいSiチップが、上述のように2列のチップに配列されてもよく、同軸端子配列に接続されてもよい。一般に、パワー半導体チップはSiもしくはSiCに基づき得、および/または1つ以上の半導体スイッチ要素を提供し得る。そのようなスイッチ要素はトランジスタ、サイリスタ、IGBTおよび/またはMOSFETであってもよい。特に、半導体チップはSi IGBTまたはSiC MOSFETであってもよい。
【0036】
本発明の実施形態によると、フリーホイールダイオードを提供するパワー半導体チップが第1のDC導電領域およびAC導電領域に接合される。IGBTの場合は、Siに基づくフリーホイールダイオードも設けられてもよい。
【0037】
本発明の実施形態によると、ブリッジ要素は第1のDC導電領域のブリッジ部分であり、少なくとも1つの第1の外側DC端子および少なくとも1つの第2の外側DC端子はブリッジ部分に接合される。第1のDC導電領域は第1の部分を有してもよく、第1の部分は半導体チップの列の方向に、および/またはDC端子の突出方向に向けられる。第1のDC導電領域の第2の部分は、この突出方向に直交する方向に延びてもよい。この第2の部分またはブリッジ部分に、外側DC端子がモジュールの異なる側で接合されてもよい。
【0038】
この場合、内側DC端子用の電流経路はブリッジ部分の上方に導かれる必要があり得る。これは、さらなる基板を用いてまたは曲げたDC端子を用いて行なわれてもよい。
【0039】
本発明の実施形態によると、高められたメタライゼーション層はブリッジ部分に取付けられ、および/または第2の導電領域に電気的に相互接続される。
【0040】
たとえば、第2の導電領域と高められたメタライゼーション層とは、CuまたはAlからなり得るワイヤボンドおよび/またはリボンを用いて電気的に相互接続されてもよい。
【0041】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つの内側DC端子は高められたメタライゼーション層に接合される。たとえば、内側DC端子および外側DC端子はリードフレームによって設けられてもよく、および/またはすべてのDC端子が1つの工程でベースおよび高められたメタライゼーション層に接合されてもよい。
【0042】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つの第1の外側DC端子は第1のDC導電領域に接合される。たとえば、1つ以上の第1の外側DC端子はベース基板の角部で第1のDC導電領域の部分に接合されてもよい。
【0043】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つの第2の外側DC端子は、第1のDC導電領域から隔てられたベースメタライゼーション層の補助導電領域に接合される。補助導電領域は、DC端子が突出する基板の側で基板の他方の角部に設けられてもよい。補助導電領域が基板の縁部にない場合は、補助導電領域は第2のDC導電領域に囲まれてもよい。
【0044】
補助導電領域は、ベースメタライゼーション層の高さのベースメタライゼーション層の他の導電領域から電気的に切断されてもよい。しかし、補助導電領域は高められた構造を介して第1のDC導電領域に電気的に接続されてもよい。たとえば、この高められた構造は、絶縁基板上のさらなるメタライゼーション層によって、および/または高められた部分を有する金属クリップによって設けられてもよい。
【0045】
本発明の実施形態によると、絶縁基板上の高められたメタライゼーション層は第2のDC導電領域の上方に取付けられ、高められたメタライゼーション層は第1のDC導電領域および補助導電領域に電気的に相互接続される。たとえば、第2の導電領域と高められたメタライゼーション層とは、CuまたはAlからなり得るワイヤボンドおよび/またはリボンを用いて電気的に相互接続されてもよい。
【0046】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つの内側DC端子は、ブリッジ要素の下方に導かれる第2のDC導電領域の部分に接合される。第2のDC導電領域は、第1のDC導電領域が設けられているモジュールの側と反対側のモジュールの側に配列される第1の部分を有してもよい。この第1の部分に、少なくとも1つの第2の半導体チップがたとえばボンドワイヤを介して直接接続されてもよい。第2のDC導電領域の第2の部分は、補助導電領域と、第1の外側DC端子が接合される第1のDC導電領域の部分との間に導かれてもよい。この第2の部分におよび/またはこの第2の部分の上方に、絶縁基板が取付けられてもよい。
【0047】
本発明の実施形態によると、モジュールは少なくとも2つの内側DC端子を含む。さらに、モジュールは少なくとも2つの第1の外側DC端子および少なくとも2つの第2の外側DC端子を含んでもよい。すべてのDC端子は、たとえば実質的に矩形の断面を有する金属片として、等しく設計されてもよいことに注意すべきである。すべてのDC端子は同じ方向におよび/または同じ高さでモジュールから突出してもよい。
【0048】
本発明の実施形態によると、DC端子は金属片からなる。DC端子はモジュールに接合されるリードフレームからなってもよい。
【0049】
本発明の実施形態によると、DC端子同士は同じ断面を有する。たとえば、DC端子はすべて実質的に矩形の断面を有してもよい。
【0050】
本発明の実施形態によると、モジュールは、AC導電領域に電気的に相互接続される少なくとも1つのAC端子を含む。また、AC導電領域は1つ以上のAC端子に接続されてもよく、AC端子は、たとえば実質的に矩形の断面を有する金属片として、DC端子と等しく設計されてもよい。
【0051】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つのAC端子はAC導電領域に直接接合される。1つ以上のAC端子の接合部分はモジュールのハウジングに密閉されてもよい。
【0052】
本発明の実施形態によると、少なくとも1つのAC端子は同軸端子配列に関してモジュールの反対側に配列される。たとえば、少なくとも1つのAC端子はモジュールからDC端子の突出方向とは反対側に突出する。
【0053】
本発明の実施形態によると、モジュールは少なくとも2つのAC端子を含む。DC端子と同様に、2つ以上のAC端子が同じ高さで配列されてもよい。
【0054】
本発明のこれらおよびその他の局面は以下に記載する実施形態を参照すると明白かつ明らかになるであろう。
【0055】
さらに、以下に記載するように、ハーフブリッジモジュール用のブリッジ要素を提供するその他の可能性もある。
【0056】
実施形態によると、少なくとも1つの内側DC端子は、DC端子の接続端、すなわち、バスバーなどの外部導体に接続する端部が、第1の外側DC端子および第2の外側DC端子の接続端と同じ高さになるように曲げられる。接続端とは逆に成形封入物の内部にあり得る内側DC端子の接合端は、接続端よりも高さが高くてもよい。
【0057】
実施形態によると、少なくとも1つの内側DC端子はブリッジ部分の上に導かれて第2の導電領域に接合される。この場合、付加的な基板は不要である。内側DC端子はより高さが高いブリッジ部分を横切ってもよい。少なくとも1つの内側DC端子は外側DC端子よりも長くてもよい。
【0058】
一般に、1つ以上の内側DC端子は、第1のDC導電領域、すなわち下方のブリッジ部分の上方に延びる曲げ構造を有し得る。これには、付加的な基板およびワイヤボンデイングが不要であるという利点があり得る。さらに、成形封入物材料によって良好な電気的絶縁が既に提供されている場合がある。
【0059】
たとえば、少なくとも1つのDC端子は、少なくとも1つの内側DC端子の接続端が外側DC端子の接続端と同じ高さになり、少なくとも1つの第1のDC端子の中央セクションがブリッジ部分の上方のより高い高さになり、接合端が接続端と同じ高さになるように曲げられる。
【0060】
実施形態によると、ブリッジ要素は、少なくとも1つのAC端子の上方に導かれて少なくとも1つの第1の外側DC端子と少なくとも1つの第2のDC端子とを電気的に相互接続するブリッジ金属片である。ブリッジ金属片は、CuなどのDC端子と同じ材料からなってもよく、および/または同じ厚みを有してもよい。ブリッジ金属片は、高められた中央セクションがその接合端よりも高さが高くなるように曲げられてもよい。中央セクションは内側DC端子を交差してもよく、および/または横切ってもよい。
【0061】
実施形態によると、ブリッジ金属片は第1の導電領域に接合され、および/またはブリッジ金属片は補助導電領域に接合される。DC+導電経路およびDC-導電経路を交差することは、高められた中央セクションが第1の導電領域および補助導電領域に接合された金属片によって達成され得る。金属片の接合は、超音波溶接、レーザ溶接または半田付けなど、DC端子の接合と同じ接合プロセスを用いて行なわれてもよいが、別のプロセスで行なわれてもよい。
【0062】
実施形態によると、ブリッジ金属片は少なくとも1つの第1の外側DC端子に接合され、および/またはブリッジ金属片は少なくとも1つの第2の外側DC端子に接合される。DC+電流経路およびDC-電流経路を交差することは、高められた中央セクションが第1の外側DC端子の少なくとも1つの端子および第2の外側DC端子の少なくとも1つの端子に接合された金属片によって達成され得る。
【0063】
そのようなブリッジ金属片の取付けは、成形封入物から突き出ているDC端子の部分に成形封入物を設けた後に行なわれてもよい。あるいは、ブリッジ金属片は、成形プロセスの前に、成形封入物の内部の位置でDC端子に接合されてもよい。
【0064】
また、ブリッジ金属片の一端がDC端子に接合され、他端が導電領域に接合される場合もあり得る。
【0065】
添付の図面に示される例示的な実施形態を参照して、本発明の主題を以下の本文により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1A】本発明の実施形態に係るハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図1B】
図1Aのハーフブリッジモジュールの一部の概略斜視図である。
【
図2A】さらなる実施形態に係るハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図2B】
図2Aのハーフブリッジモジュールの一部の概略斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係るハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図3B】
図3Aのハーフブリッジモジュールの一部の概略斜視図である。
【
図4A】さらなる実施形態に係るハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図4B】
図4Aのハーフブリッジモジュールの一部の概略斜視図である。
【
図5A】さらなる実施形態に係るハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図5B】
図5Aのハーフブリッジモジュールの一部の概略斜視図である。
【
図5C】成形封入物を有する
図5Aのハーフブリッジモジュールの概略斜視図である。
【
図6】ハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図7】ハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図8】ハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図9】ハーフブリッジモジュールの概略上面図である。
【
図10】ハーフブリッジモジュールをバスバーに相互接続するためのブリッジ配列の概略斜視図である。
【
図11】ハーフブリッジモジュールをバスバーに相互接続するためのブリッジ配列の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
例示的な実施形態の詳細な説明
図面で使用する参照符号およびそれらの意味は、参照符号のリストでまとめて列挙している。原則として、図中同一の部分には同一の参照符号を付している。
【0068】
図1は、たとえば銅層であるベースメタライゼーション層14を有する基板12を含むハーフブリッジモジュール10を示す。基板12は、たとえばセラミックス製の電気絶縁層13を含んでもよい。
【0069】
メタライゼーション層14は、第1のDC導電領域16、AC導電領域18および第2のDC導電領域20に分離される。スイッチを提供するパワー半導体チップ22、およびIGBTなどのダイオードを提供するパワー半導体チップ24は、その底部側で第1のDC導電領域16およびAC導電領域18に接合される。第2のDC導電領域20の上にはチップは設けられていない。一方の領域16,18上のチップ22,24は、その上側でボンドワイヤ26を介して互いにかつ近隣領域18,20に接続される。
【0070】
半導体ダイオードチップ24およびそれらのダイオードは、スイッチを有するそれぞれの半導体チップ22に電気的に逆並列接続される。全体的に、チップ22,24は電気的に接続されてハーフブリッジになっており、DC+側はDC+導電領域16と考えることができる第1のDC導電領域16によって提供され、DC-側はDC-導電領域20と考えることができる第2のDC導電領域20によって提供される。
【0071】
DC+導電領域16上の半導体スイッチチップ22および半導体ダイオードチップ24は、ハイサイド半導体スイッチチップ22の列28およびハイサイド半導体ダイオードチップ24の列30に配列される。AC導電領域18上の半導体スイッチチップ22および半導体ダイオードチップ24は、ローサイド半導体スイッチチップ22の列32およびローサイド半導体ダイオードチップ24の列34に配列される。
【0072】
モジュール10は、DC端子36,38,40がモジュール10から方向Vに突出している同軸DC端子配列35をさらに含む。AC端子42のDC端子配列41がモジュール10の側から方向Vに突出している。また、列28,30,32,34は方向Vに並んでいる。DC端子36,38,40およびAC端子42はすべて、たとえばリードフレームを用いて金属片からなってもよい。すべてが同じ厚み、同じ幅、および/または同じ断面を有してもよい。以下では、端子36,38,40,42に常に複数形を用いることに注意すべきである。しかし、DC端子36,38,40が1つしか存在しない、および/またはAC端子が1つしか存在しない場合も可能である。
【0073】
基板は、DC接合および/または電流分配セクション44、チップボンディングおよび/または中央セクション46、ならびにAC接合セクション48に分けられ得る。セクション44には、DC導電領域16,20のみが、および任意にこれらの領域16,18に電気的に接続される領域が存在してもよい。中央セクション48にはすべての3つの領域16,18,20が存在してもよく、セクション48にはAC導電領域18のみが存在してもよい。さらに、ゲート信号および/またはセンサ信号を分配するための導電領域などの付加的な導電領域がセクション44,46,48の一部またはすべてに存在してもよい。
【0074】
DC端子36,38,40は方向Vに直交する方向Hに沿って一列に配列され、および/またはDC接合セクション44の側に設けられる。同様に、AC端子42は方向Hに沿って一列に配列され、および/またはAC接合セクション48の側に設けられる。
【0075】
2種類のDC端子、すなわち外側DC端子36,40および内側DC端子38があり、これらは互いに同軸配列される。第2のDC導電領域20に接続される内側DC端子38をDC-端子38と考えることもできる。第1のDC導電領域16に接続される外側DC端子36,40をDC+端子36,40と考えることもできる。
【0076】
DC端子の列において、内側DC端子38は外側DC端子36と40との間に配列される。第1の外側DC端子36はモジュール10の第1の縁部において第1のDC導電領域16に接合され、および/または方向Vに関して第1のDC導電領域16の隣に配列される。第2の外側DC端子40は第2の縁部においてメタライゼーション層14に接合され、および/または方向Vに関して第2の導電領域20の隣に配列される。後述および前述のように、第2の縁部において、メタライゼーション層14は第1のDC導電領域16の部分であってもよいし、第1のDC導電領域16に電気的に相互接続される補助導電領域を提供してもよい。
【0077】
第1の縁部と第2の縁部との間で、内側DC端子38は第2のDC導電領域20に接合されるか、またはメタライゼーション層14の上方に設けられ得る、第2のDC導電領域に電気的に相互接続されるさらなる導体に接合される。
【0078】
一般に、モジュール10のセクション44では、外側DC端子36,40からの電流を第1のDC導電領域16に導く必要があり、内側DC端子38からの電流を第2のDC導電領域20に導く必要がある。第1のDC導電端子36は第1のDC導電領域16に直接接合される。第2のDC導電領域20は電流分配セクション44に部分50を有しており、部分50はモジュール10の中央(方向Hに関して見られる)までAC導電領域18の隣に延びる。内側DC端子38はそこで部分50に電気的に接続される。
【0079】
さらに、第2の外側DC端子40を第1のDC導電領域16に電気的に接続する必要があり、したがって、内側DC端子38から部分50までの電流経路の上方または下方に電流経路を設ける必要がある。
【0080】
図1Aおよび
図1Bに示されるように、第1のDC導電領域16はモジュール10のセクション44に部分52を有してもよく、部分52は基板12の第1の縁部と第2の縁部との間に設けられ、および/または第1の外側DC端子36の接合領域から第2の外側DC端子40の接合領域まで方向Hに沿って延びる。この部分52は、第2の外側DC端子40を第1のDC導電領域16に電気的に相互接続し、および/または負荷電流のおよそ半分を外側DC端子36,
40に流すように適合される必要がある。
【0081】
部分50の上に、部分50から電気的に絶縁された高められたメタライゼーション層56を有する絶縁基板54が取付けられ、これに内側DC端子38が接合される。メタライゼーション層56はワイヤボンド58を介して第2のDC導電領域20の部分50に接続される。そのようにして、DC+およびDC-電流経路を交差することが達成される。
【0082】
内側DC端子38は、その接続端60が外側DC端子36,40の接続端60と同じ高さになるように曲げられる。内側DC端子の接合端62は外側DC端子の接合端62よりも高さが高くてもよい。
【0083】
以下の図面はすべて、
図1および
図2のモジュール10と同様に設計され得るがDC+およびDC-電流経路を交差する実現方法が異なるモジュール10を示す。
【0084】
図2Aおよび
図2Bの実施形態では、方向Hに沿って延びて外側DC端子36,
40を直接相互接続する部分52も存在している。しかし、
図2Aおよび
図2Bでは、内側DC端子38はそれらの端62が第2のDC導電セクション20の部分50に直接接合される。この場合、内側DC端子38は外側DC端子36,40よりも長い。
【0085】
さらに、内側DC端子38は、部分52の上方の中央セクション64が内側DC端子38の端60,62よりも高さが高くなるように曲げられる。
【0086】
図3Aおよび
図3B(ならびに以下の図面)では、第1のDC導電領域16の部分52は存在しない。第2の外側DC端子40の接合領域は領域16,20から隔てられており、補助導電領域66である。メタライゼーション層14は、第2のDC導電領域20の部分50が基板12の境界にまで設けられるように設計されている。部分50は補助導電領域66を含む。
【0087】
この場合、DC端子と同様にメタライゼーション層14に接合される内側DC端子38は外側DC端子36,40と同じ長さおよび/または形態を有してもよい。
【0088】
補助導電領域66が第1のDC導電領域16にどのように電気的に接続され得るかについては、さまざまな可能性がある。
【0089】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、絶縁基板68がセクション44において基板12に、たとえば部分50の上に取付けられてもよい。絶縁基板68は高められたメタライゼーション層70を有し、高められたメタライゼーション層70はワイヤボンド72を介して補助導電領域66に、かつ第1のDC導電領域16によって設けられる第1の外側DC端子36の接合領域に接続される。メタライゼーション層70およびワイヤボンド72は、負荷電流のおよそ半分を外側DC端子36,40に流すように適合される必要がある。
【0090】
図4Aから
図5Cに示されるように、金属クリップ74が外側DC端子36,40を電気的に相互接続してもよい。金属クリップは方向Vに沿って並んでもよい。金属クリップ74は端子36,38,40,42と同じ材料、たとえば同じリードフレーム材料からなってもよい。それは同じ厚み、幅および/または断面を有してもよい。金属クリップ74は、その接合端76が中央セクション78よりも高さが低くなるように曲げられる。中央セクション78は、ベースメタライゼーション層14および/または内側DC端子38の端62の上方に、かつ任意に外側DC端子36,40の少なくとも一部の上方に延びてもよい。
【0091】
図4Aおよび
図4Bに示されるように、金属クリップ74は一端76が第1の外側DC端子36の接合領域および/または第1の導電領域16に接合される。金属クリップ74は他端76が補助導電領域66に接合される。金属クリップは、その高められた中央セクション78がDC端子36,38,40のすべての端62の上方を延びる。
【0092】
図5A、
図5Bおよび
図5Cに示されるように、金属クリップ74はまた、一端76が第1の外側DC端子36の1つに、他端76が第2の外側DC端子40の1つに接合されてもよい。この場合、金属クリップ74は最も内側の外側DC端子36,40に接合されてもよい。さらに、示されるように、金属クリップ74は基板12の外部で外側DC端子36,40に接合されてもよい。しかし、この接合は基板12の上方で行なわれる場合もある。
【0093】
図5Cに示されるように、モジュール10のすべての構成要素が成形封入物80内に成形されてもよい。金属片74は成形封入物80の外部で外側DC端子36,40に接合されてもよい。しかし、金属片74は成形封入物80の内部に設けられてもよい。
【0094】
そのような成形封入物80は
図1Aから
図4Cに示される実施形態についても設けられてもよい。これらの実施形態については、端子の端60のみが成形封入物80から突出してもよく、および/またはブリッジ要素52,70が成形封入物80に入れられてもよい。
【0095】
上記の図は、基板12に相互接続される同軸端子配列35を用いる実施形態を示しており、ベースメタライゼーション層14は上述のように領域16,18,20に分離される。領域16,18,20と同軸端子配列35との相互接続はブリッジ要素52を用いて達成される。
【0096】
以下に、基板12上のメタライゼーション領域をバスバーに相互接続するその他の可能性を提供するパワーモジュール10′の実施形態を説明する。
【0097】
図6は、先の図面のパワーモジュール10と同様に、基板12を含むパワーモジュール10′を示す。しかし、DC端子領域16,20は同一平面の端子配列82に接続される。同一平面の端子配列82は実質的に平面の2つの端子プレート84,86を含み、当該端子プレートは一方側がDC導電領域16,18に接合され、他方側が同軸に配列される外側DC端子36,40および内側DC端子38を提供する。
【0098】
図7は、SiC半導体スイッチに特に好適であり得る基板12′を含むパワーモジュール10′を示す。プライム付きの基板も、同軸配列される導電領域88に分離される。
図7のパワーモジュール10′は同一平面の端子配列82も有する。しかし、端子配列82は同軸DC端子36,38,40を有するだけでなく、導電領域88にも同軸に接続される。
【0099】
一般に、外部のバスバー設計も同一平面のバスバーに変更してもよく、これによって、リードフレーム端子ならびに標準的な基板設計および同軸の基板設計の双方を用いて非常に単純かつ低コストかつ自然なパワーモジュールへの接続が可能となり得る。たとえば、
図6および
図8の同一平面の端子配列82はコンデンサバンクへのバスバー接続であってもよい。
図6では、パワーモジュール10′にSiスイッチが搭載されてもよい。
図7では、パワーモジュール10′にSiCスイッチが搭載されてもよい。
【0100】
図8および
図9は、
図6および
図7と同様に基板12または12′を有するパワーモジュール10′を示す。パワーモジュール10′は同一平面の端子配列82も有しており、端子配列82は基板12,12′の側では
図6および
図7と同様に設計されている。しかし、他方側では、端子プレート84,86は交互配置されたDC端子90を有している。外部のコンデンサバスバーへの交互配置されたDC+およびDC-端子90、すなわち交互のDC+およびDC-接続を有する構成は、浮遊インダクタンスをさらに低下させ得るため、魅力的であり得る。
【0101】
図10および
図11は、
図6から
図9に示される同一平面の端子配列82の代わりに基板12,12′をバスバーに接続し得る端子配列92を示す。
図10では、異なる電位上の2対のDC端子94,96がある。たとえば、DC端子94はDC+端子でありDC端子96はDC-端子であってもよいし、その逆であってもよい。DC端子94は基板12の側でDC端子96の隣に配列される。他方側では、DC端子94は、DC端子94,96が互いの上に直接配列されるようにDC端子96の下方に導かれる。
【0102】
図11では、DC端子94および96は基板12′の側で同軸配列される。
図10と同様に、DC端子94はDC端子96の下方に導かれる。
【0103】
本発明を図面および上記の説明において詳細に図示および説明したが、そのような図示および説明は例示的または典型的なものであり限定的なものではないと見なされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。図面、開示内容、および添付の特許請求の範囲を検討することによって特許請求の範囲に記載の発明を実践する当業者によって、開示された実施形態のその他の変形例が理解されて実行され得る。特許請求の範囲において、「備える」という語はその他の要素または工程を排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものではない。単一のプロセッサまたはコントローラまたはその他のユニットが特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を達成してもよい。ある測定値が互いに異なる従属請求項に単に記載されているとしても、それらの測定値の組合せを有利に用いることができないことを意味するものではない。特許請求の範囲におけるいずれの参照符号も範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0104】
参照符号のリスト
10,10′ ハーフブリッジモジュール
12,12′ 基板
14 ベースメタライゼーション層
16 第1のDC導電領域
18 AC導電領域
20 第2のDC導電領域
22 パワー半導体スイッチチップ
24 パワー半導体ダイオードチップ
26 ボンドワイヤ
28 ハイサイド半導体スイッチチップの列
30 ハイサイド半導体ダイオードチップの列
32 ローサイド半導体スイッチチップの列
34 ローサイド半導体ダイオードチップの列
35 同軸DC端子配列
36 第1の外側DC端子
38 内側DC端子
40 第2の外側DC端子
41 AC端子配列
42 AC端子
44 DC接合/電流分配セクション
46 チップボンディング/中央セクション
48 AC接合セクション
H 端子の突出方向
V 方向
50 第2のDC導電領域の部分
52 第1のDC導電領域の部分、ブリッジ要素
54 絶縁基板
56 高められたメタライゼーション層
58 ワイヤボンド
60 接続端
62 接合端
64 中央セクション
66 補助導電領域
68 絶縁基板
70 高められたメタライゼーション層、ブリッジ要素
72 ワイヤボンド
74 金属クリップ
76 接合端
78 中央セクション
80 成形封入物
10′ パワーモジュール
82 同一平面の端子配列
84 平面の端子プレート
86 平面の端子プレート
88 導電領域
90 交互配置されたDC端子
92 端子配列
94 DC端子
96 DC端子