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特許7162014電界紡糸繊維に基づく2層生成物の製作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電界紡糸繊維に基づく2層生成物の製作方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/02 20060101AFI20221020BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20221020BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20221020BHJP
   D01D 5/04 20060101ALI20221020BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B32B5/02 C
B32B5/26
D04H1/728
D01D5/04
A61K9/70
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019560456
(86)(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 DK2018050009
(87)【国際公開番号】W WO2018133909
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】PA201770042
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】519264003
【氏名又は名称】アフリックス セラピューティクス アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン, イェンス
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-216310(JP,A)
【文献】特表2013-521105(JP,A)
【文献】特表2012-519559(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0094320(US,A1)
【文献】特開2012-057018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D01D 1/00-13/02
D04H 1/00-18/04
D06N 1/00- 7/06
A61K 9/00- 9/72
47/00-47/69
B29C39/00-39/24
39/38-39/44
43/00-43/34
43/44-43/48
43/52-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料および第2の材料を含む層状生成物を作製するための方法であって、
第1の表面および第2の表面を提供するステップであって、ここで、前記第2の表面の温度は、前記第1の表面の温度より高い、ステップと、
前記第1の表面および前記第2の表面の間に、前記第1の材料および前記第2の材料を含む層状組み合わせを配列するステップであって、それによって、前記第1の材料は前記第1の表面と接触し、前記第2の材料は前記第2の表面と接触する、ステップ
前記第1の表面および前記第2の表面の間前記層状組み合わせに対して、前記第1の材料および前記第2の材料を前記層状生成物へと接合する圧力を印加するステップ
を含
ここで、前記第1の材料は、親水性の電界紡糸層である、
方法。
【請求項2】
前記第2の表面の温度は、前記第1および第2の材料の融点を下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の表面と前記第1の表面との間の温度差は、少なくとも20℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の表面と前記第1の表面との間の温度差は、最大で100℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の表面と前記第1の表面との間の温度差は、約30~約60℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の表面の温度は、室温(すなわち、約20~25℃)であり、前記第2の表面は、加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の表面の温度は、前記第2の材料の融点であるかまたはそれを上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の表面の温度は、前記第2の材料の融点を最大約10℃上回り、前記第2の材料は、約3分未満で前記第2の表面に接合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
親水性の電界紡糸層は、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記親水性の電界紡糸層は、1つまたはそれを上回る繊維形成親水性ポリマーを含む、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたはそれを上回る繊維形成親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレート、アクリルコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたはそれを上回る繊維形成親水性ポリマーは、PVP、アンモニオメタクリレートコポリマータイプB、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記親水性の電界紡糸層は、薬物物質をさらに含む、請求項~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記親水性の電界紡糸層は、生体接着剤物質をさらに含む、請求項~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記生体接着剤物質は、デキストラン、酸化ポリエチレン、アルギン酸、トラガント、カラギーナン、ペクチン、ゼラチン、グアー、キサンタン、ジェラン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースおよびそのアルカリ塩、アクリル酸のポリマー(PAA誘導体)、キトサン、レクチン、チオール化ポリマー、ポリオックスWSRA、PAA-co-PEG(PEGは、ポリエチレングリコールである)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記生体接着剤物質は、酸化ポリエチレン、デキストラン、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の材料は、疎水性層である、請求項1~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性層は、1つまたはそれを上回る疎水性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたはそれを上回る疎水性ポリマーは、ポリエチレン-co-酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリ(カプロラクトン)、カーボタン、およびポリソフタンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記疎水性層は、可塑剤をさらに含む、請求項119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記可塑剤は、クエン酸エステル、ひまし油、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ソルビトール、グリセロールまたはグリセロール誘導体、セルロース誘導体、およびグリコールからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の表面および前記第2の表面は、プレスの表面である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記プレスは、ローラプレスである、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ローラプレスは、カレンダロールである、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記プレスは、ローラプレス(6)であり、前記第1の表面は第1のローラ(10)であり、前記第2の表面は第2のローラ(20)であり、前記第1のローラおよび前記第2のローラは間隙(4)を画定する距離だけ分離されており、前記層状組み合わせは前記間隙を通して供給され、前記間隙は、前記第1の材料(1)および第2の材料(2)を前記層状生成物へと接合するために必要とされる圧力を促進するサイズである、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記プレスは、前記第1の表面および前記第2の表面を備えるプレートプレス(5)であり、前記第1の表面(100)および前記第2の表面(200)は実質的に平坦かつ相互に平行であり、前記層状組み合わせは、前記平面間に配列される、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記プレス(7)は、ローラ(30)と平坦表面(44)の組み合わせであり、前記ローラ(30)は、その上に前記層状組み合わせが配列される、前記平坦表面(44)を横断して回転し、前記ローラ(30)は、前記第1の(1)および第2の材料(2)が前記2層生成物(3)に接合することを確実にする圧力を供給する、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~2のいずれか一項に記載のプロセスに従って調製された層状生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電界紡糸繊維を含む、2層生成物の製作のための方法に関する。該2層生成物は、疎水性材料および親水性材料から生成され、生成物は、薬物物質を含有し得る。通常、親水性材料が、薬物物質を含有し得る。2層生成物は、接合プロセスにおいて作製され、圧力および熱が、2つの前述の材料に印加される。したがって、本方法は、親水性および疎水性材料をともに層状組成物において固定するために、糊の存在を要求しない。
【0002】
本明細書に開示される方法によって作製される2層生成物は、2層生成物を構成する個々の材料の製作の複雑性を低減させるため、望ましい。本明細書に開示される方法は、該材料への圧力および熱の印加によって、上記に説明される2つの材料を接合することのみに依拠するため、産業実装のために適用可能なスケーラブルかつ高速技法である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
第PCT/EP2015/062842号は、皮膚、唇、または粘膜上に適用し、具体的量の1つまたはそれを上回る薬物物質を皮膚または粘膜に送達するために、親水性ポリマーと、生体接着剤物質と、随意に、薬物物質とを使用した、電界紡糸繊維の製作を開示する。
【0004】
一般に、個々の層の全てが、親水性または疎水性のいずれかである場合、層状生成物を提供することが可能である。しかしながら、本発明者らは、親水性および疎水性層の両方の層状生成物を提供することは、電界紡糸によってでは困難であることを見出した。例えば、層状生成物の使用と併せて、そのような生成物を提供する必要があり、表面のうちの1つは、第PCT/EP2015/062842号に説明される生成物のように、水に対して疎水性かつ不浸透性でなければならない。本発明は、電界紡糸親水性および疎水性材料が相互に付着される方法を提供することによって、本必要性に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の説明
本発明は、例えば、第PCT/EP2015/062842号に開示されるような材料と疎水性層を組み合わせるための方法である。本発明は、親水性層および疎水性層の両方が、電界紡糸繊維として提供され、それらが、本方法を用いて、すなわち、2つの層に提供される圧力および温度差を用いて、相互に付着される、2層生成物を提供する。原理上、本発明の方法は、例えば、2つの層を付着するための糊または他の化学手段の使用が、望ましくないまたは不十分であるとき、2層生成物の調製において使用されることができる。
【0006】
本方法の利点は、相互に独立して、電界紡糸層を提供することが可能である、すなわち、親水性電界紡糸材料が、1つの電界紡糸プロセスによって、疎水性電界紡糸材料が、別の電界紡糸プロセスにおいて提供され得、これらの異なる(または類似)プロセスによって提供される層が、本方法によって合体されることである。本発明者らは、例えば、糊を用いて、そのような2つの材料を組み合わせることが、望ましくない様式において、最終生成物の性質を変化させ得ることを観察した。したがって、親水性層が、薬物物質を含有し、それが特定の放出パターンにおいてそこから放出されるべき場合、2つの層を組み合わせるための糊の使用は、放出に悪影響を及ぼし得る。したがって、特に、薬物物質の含有量を伴う組成物を設計する際、原料からの悪影響を排除することが重要であって、したがって、そのような原料の含有量を伴わない、層状生成物を取得する必要性がある。
【0007】
本方法は、本問題に対処し、化学的に相溶性がない層間および具体的接着剤物質を含有しない層間においてさえ、自己接着剤層を提供し、これは、不均一な加熱と圧力の組み合わせによって助長される。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、材料の融点を通常下回る温度における臨界熱および圧力の印加は、電界紡糸繊維の一意の体積に対する高い表面比率に起因して、強度の接着を助長する。疎水性材料において使用される疎水性繊維形成ポリマーの融点の近傍またはさらにそれを上回る温度は、加熱された表面と疎水性材料との間の接触時間が、比較的に短く、加熱された表面への接着をもたらす材料の全体的溶融または部分的溶融を回避することを前提として、採用されてもよいことが言及されるべきである。したがって、本発明者らは、疎水性繊維形成ポリマーの融点を最大約10℃上回る温度の使用が、接触時間が約1~3分未満である限り、可能であることを観察した。
【0008】
本文脈では、用語「2層生成物」は、生成物が、少なくとも2つの層を含有する層状生成物であって、そのうちの一つが、親水性であって、その他が、疎水性であることを示すために使用される。本定義内にはまた、相互に接触する層のうちの2つが、親水性および疎水性層であることを前提として、多層生成物、すなわち、3つ、4つ、5つ、またはそれを上回る層を含有する生成物も入る。したがって、例えば、以下の別個の層を有する、生成物は、本定義内に入る。
i) 疎水性層
ii) 親水性層
iii) 1つまたはそれを上回るさらなる親水性および/または疎水性層ならびに全ての層が、ともに狭着される。
【0009】
本発明の範囲は、上記に開示されるような成分を伴う電界紡糸繊維から作製される材料を2層生成物に接合するための方法を提供する。
【0010】
本発明者らは、圧力および熱を含む、方法が、電界紡糸繊維から作製される、疎水性の第2の材料に接続される、電界紡糸繊維から作製される、親水性の第1の材料を含む、2層生成物を製作するために好適であって、該第1の材料は、薬物を含有し得、
-該方法は、第1の表面と、第2の表面とを備える、プレスを使用するステップを含み、該第2の表面は、該第1の表面の温度より高い温度を有し、
-該第1および第2の材料は、プレスの第1の表面と第2の表面との間に層状組み合わせにおいて配列され、圧力が、該層状組み合わせに向かって該プレスの該第1および第2の表面から提供され、それによって、該第1の材料は、該プレスの該第1の表面と接触し、
-第1の表面と第2の表面との間の圧力と該第2の材料の温度の組み合わせは、該第1および第2の材料を該2層生成物に接続する、
ことを特徴とすることを見出した。
【0011】
層状組み合わせとは、その一次平面が、平行である、すなわち、該材料が、スタックまたはサンドイッチ同様に相互の上に配列されるように、第1の材料および第2の材料が配列されることを意味する。
【0012】
第1の材料と第2の材料との間の接続とは、該材料が偶発的に分離されないことを確実にする、物理的および/または化学的の任意の種類の接続を意味する。物理的接続は、電界紡糸繊維間の交絡であってもよい一方、化学的接続は、化学結合として現れてもよい。接続は、分子レベルにおける物理的接続または弱相互作用(イオン間相互作用、ファンデルワールス力)によって確立されることも企図される。
【0013】
第2の表面による疎水性の第2の材料の加熱は、親水性の第1の材料と疎水性の第2の材料との間の接合の強度を増加させる。より具体的には、疎水性の第2の材料のポリマーを、ポリマーの融点を下回る温度まで、または代替として、その融点までまたは上回るが、ポリマーの全体的溶融および第2の表面へのポリマーの接着を回避するために比較的に短時間にわたって加熱することによって行われる。加熱の終了を通した2層生成物の後続冷却によって、親水性および疎水性電界紡糸層は、その新しい位置に係止される。
【0014】
親水性の第1の材料は、本発明によると、薬物物質を含有してもよく、該親水性の第1の材料の温度上昇は、該薬物の性質を改変し得る。したがって、該第1の親水性材料の加熱を回避することが望ましい。しかしながら、これは、使用される薬物に依存し得る。
【0015】
加熱手段は、プレスの表面を所定の温度まで加熱することが可能な任意の手段であってもよい。加熱は、電気抵抗、熱を表面に伝達する高温流体、または開示されるようなプレスの中に組み込まれることが可能な任意の他の加熱手段から生じてもよい。
【0016】
接合されるべき材料と接触する、プレスの表面の材料は、電界紡糸繊維の化学組成物を損傷させない、任意の材料であってもよい。さらに、熱を伝達するための優れた熱容量を伴う材料および高圧に耐えることが可能な材料が、所望される。したがって、金属は、好ましい材料であるが、セラミックも同様に、本発明の範囲内と見なされる。
【0017】
ある実施形態では、プレスは、カレンダロールとも称される、2つの反回転ローラを伴う、ローラプレスである。ローラは、そのようなプレスの分野において一般に使用される、任意の機械類によって駆動されてもよい。2つのローラは、相互に平行であって、第1および第2の材料を2層生成物に接合するために必要とされる圧力を促進するサイズの間隙を有するように整合される。ローラのうちの1つの表面は、他のローラの表面の温度より高い温度まで加熱される。ローラが相互に反対方向に回転することに起因して、入力は、2つのローラの表面が間隙に収束する場所に生成される一方、出力は、2つのローラの表面が間隙から発散する場所に生成される。2層生成物を達成するために、疎水性材料および親水性材料は、層状組み合わせにおいて配列され、疎水性材料が加熱された表面を有するローラと接触するように、入力の中に給送される。ローラの回転、十分な圧力を確実にする間隙のサイズ、およびローラの表面の温度に起因して、2つの材料は、2層生成物に接合され、ローラの出力を通して排出される。
【0018】
ある実施形態では、プレスは、実施的に平坦であって、相互に平行である、第1および第2の表面を備える、プレートプレスである。該2つの相互に平行表面は、後退し、かつ相互に対してより近密になることが可能である。該表面のうちの一方は、他方の表面の温度より高い温度まで加熱される。接合に先立って、接合されるべき第1の親水性材料および第2の疎水性材料は、疎水性材料が加熱された表面と接触した状態で、層状組み合わせにおいて、2つの表面間に配列される。第1および第2の表面を相互により近密になることによって、圧力が、層状組み合わせ上に印加され、表面の温度と組み合わせて、接合が、生じる。続いて、平行表面は、後退され、接合から形成された2層生成物は、プレスから除去される。プレスは、油圧によって駆動されてもよいが、他の機械プレスも、本発明の範囲内と見なされる。
【0019】
プレスは、平坦表面と、該表面を横断して回転するように配列されるローラの組み合わせであってもよい。ローラの表面または平坦表面のいずれかが、反対表面の温度より高い温度まで加熱される。親水性の第1の材料および疎水性の第2の材料は、第2の疎水性材料が加熱された表面と接触した状態で、平坦表面上に、層状組み合わせにおいて配列される。ローラは、ロール該層状組み合わせを横断して回転し、第1および第2の材料を2層生成物に接合するために十分な圧力を印加するように設定される。圧力は、平坦表面の上方の所定の距離に設定されるローラを通して印加され得るか、またはさらに油圧等の外部力学の使用によって、層状組み合わせ上に押進され得るかのいずれかである。
【0020】
ある実施形態では、疎水性材料および親水性材料は、接合プロセスに先立って、シートまたは層に成形され、該シートの厚さは、シートの任意の他の寸法より有意に小さい。
【0021】
親水性および疎水性材料の厚さは、同一である必要はない。疎水性層が厚いほど、あまり可撓性ではなくなる。したがって、可撓性層を達成するために、疎水性層は、親水性層と同一またはより小さい厚さを伴って適用される。疎水性層の機能が、水または体液が疎水性層を介して親水性層に進入しないように保つことである、それらの場合では、層は、水または体液の影響に耐えるために、十分に厚く、かつ堅牢でなければならない。通常、疎水性層は、10~50g/mの量で存在する。通常、100μm未満の厚さが、取得される。
【0022】
また、疎水性材料が、疎水性材料がまた親水性材料の縁も被覆するように、親水性材料より大きい延在部を有する状況が、存在し得る。
【0023】
ある実施形態では、プレスの第1および第2の表面は両方とも、所定の温度まで加熱される、または両表面は、加熱される能力を有してもよい。表面の温度は、温度差を保有する。
(親水性電界紡糸層)
【0024】
親水性ポリマーは、親水性材料における基本原料であって、繊維材料を形成する能力を有する、原料である。電界紡糸繊維またはその組成物のいずれか内に存在する他の原料との任意の混乱を回避するために、用語「繊維形成親水性ポリマー」が、使用される。繊維形成親水性ポリマーは、好適には、メタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロパノール等のC-Cアルカノール、とりわけ、エタノール、プロパノール、またはイソプロパノール、もしくは水含有量が、最大で20%w/w、好ましくは、最大で5~10%w/wまたは3~5%w/w等、はるかに少ない、それらの水混合物中で可溶性である、またはその中でゲルを形成する、ポリマーである。紡糸プロセスは、繊維の主要構成要素であるか、ポリマーが、溶解された形態であって、溶解されたポリマーの定常流が、紡糸プロセスの間、ジェット状方式で針から接地された収集プレートに流動することを可能にすることを要求する。
【0025】
好適な繊維形成親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレート、およびアクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標))、ならびにそれらの混合物である。例えば、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはそれらの混合物のような他のポリマーもまた、使用されてもよい。エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはそれらの混合物は、特に、アクリルコポリマー(例えば、Eudragit(登録商標))を含む、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはアクリレートと組み合わせて、使用されてもよい。実施例では、特に、PVPおよびアクリルコポリマーが、使用されている。他の親水性ポリマーは、ポリビニルアルコールおよびカルボキシメチルセルロース(そのアルカリ塩を含む)、ならびにそれらの混合物であってもよい。
ポリビニルピロリドンは、近似分子量2,500Da~3,000,000Daを有するグレードにおいて使用されることができる(例えば、12~120のK値を伴うポビドン)。PVPは、Kollidon(登録商標)として購入されることができる。
【表A】
【0026】
低MW範囲では、好適なグレードは、MW約25,000~約120,000Da、とりわけ、約70,000~約100,000Daを有することが企図される。本明細書における実施例では、Kolllidon(登録商標)90Fが、主に、使用されており、故に、好ましいPVPは、M約900,000~約3,000,000、とりわけ、約1,000~約1,500,000を有する。
【0027】
エチルセルロースは、商標名ETHOCELTM(Dow Chemical Company)下で販売されており、多くの異なるグレードで利用可能である。Dow Chemical Companyは、2つのエトキシルタイプ(標準および中程度として示される)においてエチルセルロースを生産している。そのエトキシル含有量に応じて、エチルセルロースは、異なる軟化点および融点温度を有し得る。エチルセルロースはまた、いくつかの異なる粘度で生産される。下記の表は、利用可能なエチルセルロースの一覧を与える。
ETHOCELポリマー
【表B】
【0028】
可塑化形態では、優れた熱可塑性を有し、成形、押出成形、またはラミネートによって作製される組成物に有用である。エチルセルロースはまた、優れたフィルム形成体であって、例えば、錠剤のコーティングにおいて使用される。上記に述べられたエチルセルロース品質は、少なくとも45.0%のエトキシル含有量を有し、故に、それらは、エタノール中に可溶性であって、事実上、水中に不溶性である。
【0029】
アクリレートおよびアクリル酸誘導体は、ポリメタクリレート、メタクリレートコポリマー、アクリルコポリマー、およびメタクリレートポリマーを含む。好ましいアクリレートは、商標名EUDRAGIT(登録商標)下で販売されているものであって、これは、エタノールまたはアクリレート/オクタアクリルアミドコポリマー(DERMACRYL79という名の下で販売されている)中で可溶性である。これらは、EUDRAGIT(登録商標)E12,5(アミノメタクリレートコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標)E100(アミノメタクリレートコポリマー;塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標)E PO((アミノメタクリレートコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標)L100-55、EUDRAGIT(登録商標)L100(メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー1:1)、EUDRAGIT(登録商標)S100(メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー1:2)、EUDRAGIT(登録商標)RL100、EUDRAGIT(登録商標)RL100(アンモニオメタクリレートコポリマータイプA)、EUDRAGIT(登録商標)RLPO、EUDRAGIT(登録商標)RS100(アンモニオメタクリレートコポリマータイプB)、EUDRAGIT(登録商標)RS POを含む。EUDRAGITEは、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよび他の中性メタクリル酸エステルに基づく、カチオン性ポリマーであって、EUDRAGIT(登録商標)LおよびSは、メタクリル酸コポリマーであって、メタクリル酸およびメチルメタクリレートのカチオン性共重合生成物である。EUDRAGIT(登録商標)RLまたはRSは、アクリル酸およびメタクリル酸から合成されるアンモニオメタクリレートコポリマーである。
【0030】
EUDRAGIT(登録商標)E100は、最大pH5.5まで可溶性であって、E12.5は、pH5を上回って可溶性である。
【0031】
EUDRAGIT(登録商標)L30 D-55、L-100-55(メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー1:1)、L100、L12,5は、通常、腸溶性製剤において使用されるが、本発明の繊維からの薬物物質の放出を遅延させるために使用されてもよい。EUDRAGIT(登録商標)L30 D-55およびL-100-55は、pH約5.5で溶解し、グレードL100およびL12,5は、pH6またはそれを上回って溶解する。
【0032】
唾液中のpHは、通常、約5~6であるため、これらのポリマーは、経口使用のための繊維として着目されている。徐放性または長期放出が、所望される場合、より低いまたはより高いpHにおいて可溶性のポリマーが、使用のためにより好適であり得る。
【0033】
EUDRAGIT製品もまた、徐放性製剤のために利用可能であって、そのようなグレードは、単独で、または別の親水性ポリマーとともにのいずれかにおいて、本発明の繊維内に組み込むために着目され得る。関連グレードは、RL100、RL PO、RL30D、およびRL12,5、RS100、RSPO、RS30D、およびRS12,5、NE30DおよびNE40D、ならびにNM30D等のRL、RS、NE、およびNMシリーズに属する。
【0034】
ヒドロキシプロピルセルロースは、非イオン性水溶性セルロースエーテルである。これは、有機溶媒可溶性、熱可塑性、および表面活性と、その厚化および安定化性質を組み合わせる。繊維は、可撓性であって、高湿度で非粘着性である。ヒドロキシプロピルセルロースは、商標名KLUCELTM下で販売されている。
【0035】
カルボキシメチルセルロースは、広範な選択肢のグレードにおいて利用可能である。粘度は、10~100,000mPasに及ぶ。また、広範囲の代用レベルを伴って、そのナトリウム塩としてもよい利用可能である。Dow Chemical Companyは、商標名WALOCELTM下でカルボキシメチルセルロースナトリウムを販売している。
【0036】
ポリビニルアルコールは、近似分子量20,000Da~200,000Daを有するグレードにおいて使用されることができる。
【0037】
好ましい繊維形成親水性ポリマーは、PVP、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アクリレート、およびアクリル酸誘導体、ならびにそれらの混合物から選択される。
(疎水性電界紡糸層)
【0038】
親水性材料は、電界紡糸繊維層の形態であって、また、1つまたはそれを上回る薬物物質と、1つまたはそれを上回る生体接着剤物質と、1つまたはそれを上回る薬学上または審美上容認可能な賦形剤とを含有してもよい。そのような賦形剤は、pH調節剤、保存料、矯味剤、酸化防止剤、安定剤、浸透増進剤等を含む。さらに、意図される使用に応じて、可塑剤、界面活性剤等の他の賦形剤が、存在してもよい。
【0039】
本発明による親水性材料内の繊維形成親水性ポリマーの濃度は、通常、最大100%w/wである。他の原料が含まれるとき、繊維形成親水性ポリマーの最小濃度は、概して、約25%w/wであって、繊維が全ての原料を含有するように形成されることを確実にする。とりわけ、濃度は、約40%~約92%w/w、とりわけ、約50~約85%w/wまたは約60%~75%w/wである。
【0040】
組成物が粘膜表面上での使用のために設計される、それらの場合では、生体接着剤物質を含み、粘膜への接着力を助長することが着目され得る。
【0041】
強度の生体接着力が、所望される場合、電界紡糸繊維内の生体接着剤物質の濃度は、20%w/wまたはそれを上回る、とりわけ、40%w/wまたはそれを上回る等の比較的に高濃度でなければならない。そのような高含有量の生体接着剤物質を伴う繊維を取得するために、電界紡糸プロセスにおいて使用される溶媒中で低溶解度を有する、生体接着剤物質を選択する必要があり、それらが可溶性である場合、それらは、膨張し、電界紡糸を不可能または少なくとも非常に困難にする。
【0042】
軽度の生体接着力が、所望される場合、電界紡糸繊維内の生体接着剤物質の濃度は、最大で20%w/wまたはそれ未満、とりわけ、10%w/wまたはそれ未満の濃度でなければならない。
【0043】
本発明の繊維はまた、生体接着剤物質を含有する。繊維の容易な製造を確実にし、粘膜への適用後、所望の生体接着剤性質を原位置で取得するために、生体接着剤自体は、繊維形成親水性ポリマーを含有する溶液の粘度に有意に寄与しないことが重要である。
【0044】
本文脈では、用語「生体接着剤」または「生体接着力」は、皮膚、唇、または粘膜表面の表面等の規定された生物学的場所への付着を示す。生体接着剤物質は、生体接着性を本発明の薬物含有繊維に付与するか、またはある場合には、例えば、適用後、皮膚または粘膜に面した内側層、すなわち、皮膚または粘膜と接触する層となる、別個の層として、本発明の組成物内に含まれてもよい。
【0045】
本文脈において使用するための生体接着剤物質は、デキストラン、酸化ポリエチレン、アルギン酸、トラガント、カラギーナン、ペクチン、ゼラチン、グアー、キサンタン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースおよびそのアルカリ塩、アクリル酸のポリマー(PAA誘導体)、キトサン、レクチン、チオール化ポリマー、ポリオックスWSRA、PAA-co-PEG(PEGは、ポリエチレングリコールである)、ならびにそれらの混合物から選択されることができる。
【0046】
一般に、ポリマーの接着剤効果は、分子量の増加に伴って増加されることが予期される。したがって、一般に、比較的に高分子量を有する接着剤ポリマーが、好ましい。
【0047】
酸化ポリエチレンは、近似分子量100,000~4,000,000を有するグレードにおいて使用されることができる。酸化ポリエチレンは、100,000~7,000,000Daに及ぶ分子量を伴って、商標名POLYOXTM(Dow Cheical Company)下で販売されている。ある場合には、100,000~400,000の範囲内の分子量を伴うPEO等のより低い範囲内の分子量を伴うPEOが、好ましい。
【0048】
デキストランは、近似分子量400,000Da~約2,000,000Daを有するグレードにおいて使用されることができる。
【0049】
セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含む。
【0050】
メチルセルロースは、商標名METHOCELTM(Dow Cheical Company)下で販売されており、広範囲の粘度グレード(3未満~100,000mPAs超)において利用可能である。
【0051】
HPMCは、粘度に応じて、種々の品質で販売される。HPMCは、商標名Metocel(登録商標)およびKlucel(登録商標)下で販売されている。好適なHPMCは、平均分子量約80,000~約140,000を有する。
【0052】
好ましい生体接着剤物質は、酸化ポリエチレン、デキストラン、またはそれらの組み合わせである。
【0053】
本発明による2層生成物の製作において使用される、親水性材料は、薬物物質を含有してもよい。原理上、薬物物質は、疾患または病状の処置のために、粘膜または皮膚への適用に好適な任意の薬物物質であってもよい。特に着目すべきものは、皮膚、唇、または粘膜の疾患の処置のために適応性がある、薬物物質から選択された薬物物質である、または繊維が本明細書に説明されるように内部表面上への適用のために組成物内に含まれる場合、薬物物質は、具体的処置のために適応性がある、任意の薬物物質であってもよい。本文脈では、薬物物質は、口腔内の疾患の局所処置のために適応性がある薬物物質等、口腔内の疾患の処置のために適応性がある薬物物質から選択されてもよい。薬物物質は、使用される親水性ポリマーおよび生体接着剤物質中の薬物溶解度に応じて、溶解、非溶解、または部分溶解形態で存在してもよい。
【0054】
疎水性材料は、疎水性電界紡糸層である。とりわけ、水不浸透性であって、例えば、体液等の流体に対して閉塞効果および/または保護効果をもたらす。後者は、2層生成物が、特に、親水性材料内の薬物物質が流体の中に溶解されないように保護することが望ましい、湿潤環境において使用するためのものである場合に関連する。水不浸透性コーティングを提供するための好適な材料は、ポリエチレン-co-酢酸ビニル、エチルセルロース、ポリ(カプロラクトン)、カーボタン、またはポリソフタンを含む。
【0055】
親水性材料に関連して述べられたように、材料は、1つまたはそれを上回る容認可能賦形剤を含有してもよい。親水性材料に関して述べられた賦形剤がまた、疎水性材料において使用されてもよく、その逆も同様である。
【0056】
上記で本明細書に述べられた賦形剤に加え、疎水性および/または親水性繊維は、可塑剤を含有してもよい。可塑剤は、ある可塑性を繊維に付与し、製造プロセスを促進し、および/またはポリマーの可撓性および加工性を改良し得る。好適な可塑剤の実施例は、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、またはクエン酸トリエチルのようなクエン酸エステル、ひまし油、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、ソルビトール、トリアセチンまたはトリブチリンのようなグリセロールまたはグリセロール誘導体、硝酸セルロースのようなセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、とりわけ、分子量約100~約1500を伴うポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールのようなグリコール、またはそれらの混合物である。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
電界紡糸繊維から作製される、疎水性の第2の材料(2)に接続される、電界紡糸繊維から作製される、親水性の第1の材料(1)を含む、2層生成物(3)を作製するための方法であって、前記第1の材料(1)は、薬物物質を含有し、
-前記方法は、第1の表面(100)と、第2の表面(200)とを備える、プレス(5)を使用するステップを含み、前記第2の表面(200)は、前記第1の表面(100)より高い温度を有し、
-前記第1の材料(1)および第2の材料(2)は、プレス(5)の第1の表面(100)と第2の表面(200)との間で層状組み合わせにおいて配列され、圧力が、前記プレス(5)の前記第1の表面(100)および第2の表面(200)から層状組み合わせに向かって提供され、それによって、前記第1の材料(1)は、前記プレス(5)の前記第1の表面(100)と接触し、
-第1の表面(100)と第2の表面(200)との間の圧力と前記第2の材料(2)の温度の組み合わせは、前記第1の材料(1)および第2の材料(2)を前記2層生成物(3)に接続する、
ことを特徴とする、方法。
(項目2)
前記プレスは、反回転ローラのセットを構成する、第1のローラ(10)と、第2のローラ(20)とを備える、ローラプレス(6)であって、前記ローラ(10、20)のセットは、前記層状組み合わせが給送される、間隙(4)を画定する距離によって分離され、前記間隙(4)は、前記第1の材料(1)および第2の材料(2)を前記2層生成物(3)に接合するために必要とされる圧力を促進するサイズである、項目1に記載の2層生成物(3)を作製するための方法。
(項目3)
前記ローラプレスは、カレンダロールである、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記プレスは、実質的に平坦かつ相互に平行である、第1の表面(100)と、第2の表面(200)とを備える、プレートプレス(5)であって、前記層状組み合わせは、前記平面間に配列される、項目1に記載の2層生成物(3)を作製するための方法。
(項目5)
前記プレス(7)は、ローラ(30)と平坦表面(44)の組み合わせであって、前記ローラ(30)は、その上に前記層状組み合わせが配列される、前記平坦表面(44)を横断して回転し、前記ローラ(30)は、前記第1の(1)および第2の材料(2)が前記2層生成物(3)に接合することを確実にする圧力を供給する、項目1に記載の2層生成物(3)を作製するための方法。
(項目6)
前記第2の表面の温度は、親水性および疎水性材料のいずれかの融点を下回る、前記項目のいずれかに記載の2層生成物(3)を作製するための方法。
(項目7)
前記第2の表面(200)と前記第1の表面(100)との間の温度差は、少なくとも20℃である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記第2の表面(200)と前記第1の表面(100)との間の温度差は、最大で100℃である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記第2の表面(200)と前記第1の表面(100)との間の温度差は、約30~約60℃の範囲内である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記第1の表面の温度は、室温(すなわち、約20~25℃)であって、前記第2の表面は、加熱される、前記項目のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1は、2層生成物を作製するための第1のかつ一般的方法の側面図を示す。
【0058】
図2図2は、2層生成物を作製するための第2のかつ好ましい方法の斜視図を示す。
【0059】
図3図3は、図2における方法の側面図を示す。
【0060】
図4図4は、2層生成物を作製するための第3の方法の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図面の説明
図1は、プレス5を使用して2層生成物3を作製するための一般的方法の側面図を示す。該プレス5は、第1の表面100と、第2の表面200とを備え、該第2の表面200は、第1の表面100の温度より高い温度まで加熱される。加熱手段は、示されない。親水性材料1および疎水性材料2が、プレス5内に配列される。圧力が、2つの表面100および200によって、矢印AおよびBによって示される方向において、2つの材料1および2上に印加される。圧力を付与する力のうちの一方は、表面(100または200)のうちの一方が静止していると仮定して、垂直力であってもよい。
【0062】
図2は、本発明による、2層生成物3を作製するための好ましい方法を示す。プレス6は、相互に平行である、ローラ(10、20)のセットを備える。ローラ(10、20)のセットは、第1の表面11を有する、第1のローラ10と、第2の表面22を有する、第2のローラ20とを備え、間隙4をローラ(10、20)間に画定する。ローラ(10、20)は、入力Iが2つの回転ローラ(10、20)の表面(11、22)が集まる場所に生成される一方、出力Oが2つの回転ローラ(10、20)の表面(11、22)が離れる場所に生成されるように、破線矢印によって示される反対方向に回転する。第2の表面22は、第1の表面11の温度より高い温度まで加熱される。加熱手段は、示されない。疎水性材料2のシートおよび親水性材料1のシートは、疎水性材料2が加熱された第2の表面22と親水性材料1との間に配列されるように、入力Iの中に給送される。入力Iの中への挿入に応じて、ローラ(10、20)の回転は、2つの材料(1、2)を間隙4を通して誘導し、間隙4の幅は、2つの材料(1、2)間の接合を確実にし、2層生成物3を出力Oに生成するために十分な圧力をローラ(10、20)の表面(11、22)から材料(1、2)上に提供するようなサイズである。
【0063】
図3は、図2に説明されるような本発明による2層生成物3を作製するための好ましい方法の側面図を示す。この側面図は、2つの相互に平行なローラ10および20のセット間に形成される間隙4に焦点を当てる。間隙4のサイズは、第1の親水性材料1および第2の疎水性材料2を2層生成物3に接合するために十分な圧力を確実にするようなサイズに設定される。さらなる機構および数字は、図2に説明される通りである。
【0064】
図4は、ローラ30と平坦表面44とを備える、別のプレス7を示す。親水性材料1および疎水性材料2は、示されるように、層状組み合わせに配列され、親水性材料1は、平坦表面44と接触する。ローラ30は、矢印の方向に従って回転するように設定される。ローラ30の表面33は、平坦表面44の温度より高い温度まで加熱される。加熱手段は、示されない。ローラ30の回転に応じて、層状組み合わせに向かって圧力が、提供される。圧力は、平坦表面44およびローラ30の表面33の温度と組み合わせて、2つの材料(1、2)間の接合を確実にするために十分であるように設定される。2層生成物3は、それによって、ローラ30がシート(1、2)を通過すると、連続的に生成される。加熱される表面は、平坦表面44がローラ30の表面33の温度より高い温度まで加熱されるように入れ替えられてもよい。親水性材料1および疎水性材料2の層状組み合わせも、次いで、同様に入れ替えられる。
【実施例
【0065】
(実施例1)
圧縮高温プレスを使用した2層繊維パッチの調製。
【0066】
【表1】
【0067】
親水性と疎水性層との間の良好な接着力が、2つの層の温度差を制御することで見出された。試験3に説明される条件は、2つの層間の接着力を向上および最適化させることが見出された。
(実施例2)
産業用カレンダロールの使用
【0068】
層間接着力が連続して行われることを可能にし、カレンダロールを使用して産業用プロセスまで拡張される、実験1において実施された学習研究に基づく層間接着力に関する最適化されたパラメータが、表2に示される。カレンダロールでは、主要作業パラメータは、フィルムがロールを通して通過される速度およびPCL接触側のロールの温度である。親水性層と疎水性層との間の良好な接着力は、PCL側の70℃における設定によって得られた。
【0069】
【表2】
【0070】
当業者は、上記の実施例に与えられる指針に照らして、具体的カレンダロールの設定を判定する方法を把握する。
図1
図2
図3
図4