(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】データストリーミング方法、データストリーミング装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/437 20110101AFI20221020BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20221020BHJP
H04L 67/00 20220101ALI20221020BHJP
【FI】
H04N21/437
H04N21/442
H04L67/00
(21)【出願番号】P 2019566067
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2017084662
(87)【国際公開番号】W WO2018219487
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-11-16
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドネル チャーダシュ
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-259067(JP,A)
【文献】特開2012-222530(JP,A)
【文献】特表2013-505680(JP,A)
【文献】特表2013-524603(JP,A)
【文献】特開2016-208072(JP,A)
【文献】特表2016-502804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0005368(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/10
H04N 7/14 - 7/173
H04N 7/20 - 7/56
H04N 21/00 -21/858
H04L 51/00 -51/58
H04L 67/00 -67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データストリーミング方法であって、
音声及び/又は映像
に係るコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して受信し、
前記データセグメントをバッファに記憶し、
前記バッファ内の前記データセグメントが
、音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むことを判定し、
前記バッファ内の前記データセグメントが前記音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むとの判定に応じて、前記データセグメントの再生前に、前記ネットワークが前記データセグメント内の前記コンテンツを、前記バッファに現在記憶されるものより高品質で提供する能力を有することを判定し、
現在前記バッファ内に保存されている前記データセグメントにおいて、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントをリクエストする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
ユーザが前記バッファ内に記憶された前記データセグメントの再生を一時停止していることを判定する工程を備え、
前記ネットワークが能力を有することの判定工程及びより高品質バージョンのデータセグメントをリクエストする工程は、さらに、前記ユーザが前記バッファ内に記憶された前記データセグメントの再生を一時停止しているとの判定に応じて実行されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記バッファ内の第1データセグメントに含まれるコンテンツの高品質バージョンをリクエストし、
前記第1データセグメントのコンテンツの再生が、前記第1データセグメントのコンテンツの高品質バーションが完全に受信される前の再生時間に行われることを判定し、
前記第1データセグメントのコンテンツの低品質バージョンを前記再生時間に再生させることを特徴とする方法。
【請求項4】
データストリーミング装置であって、
音声及び/又は映像
に係るコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介してリクエストし、
前記データセグメントをバッファに記憶し、
前記バッファ内の前記データセグメントが、音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むことを判定し、
前記バッファ内の前記データセグメントが前記音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むとの判定に応じて、前記データセグメントの再生前に、前記ネットワークが前記データセグメント内の前記コンテンツを、前記バッファに現在記憶されるものより高品質で提供する能力を有することを判定し、
現在前記バッファ内に保存されている前記データセグメントにおいて、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有する前記バッファ内のより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントをリクエストするよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
ユーザによる前記データセグメントの再生を一時停止する旨の指示を受信するのに応じて、前記ネットワークが前記能力を有することの判定を実施するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の装置であって、
より早い相対再生時間の高品質バージョンのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有するデータセグメントについて、より高品質バージョンの一つ以上のデータセグメントをリクエストすべきであることを示すユーザ入力を受信し、
前記ユーザ入力を記憶するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の装置であって、
前記バッファ内の第1データセグメントに含まれるコンテンツの高品質バージョンをリクエストし、
前記第1データセグメント
のコンテンツの再生が、前記第1データセグメントのコンテンツの高品質バージョンが完全に受信される前の再生時間に行われることを判定し、
前記第1データセグメントのコンテンツの低品質バージョンを前記再生時間に再生させるよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
データストリーミング方法であって、
音声及び/又は映像
に係るコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して
クライアント装置に送信し、
前記データセグメント
が音声及び/又は映像ストリームの終わりを含む場合に前記クライアント装置から送信されるリクエストであって、現在前記クライアント装置
のバッファ内に保存されている前記データセグメントにおいて、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメントの送信に優先して、最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するリクエストを受信し、
最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信することを特徴とする方法。
【請求項9】
データストリーミング装置であって、
音声及び/又は映像
に係るコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して
クライアント装置に送信し、
前記データセグメント
が音声及び/又は映像ストリームの終わりを含む場合に前記クライアント装置から送信されるリクエストであって、現在前記クライアント装置
のバッファ内に保存されている前記データセグメントにおいて、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメンツの送信に優先して、最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するリクエストを受信し、
最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するよう構成されることを特徴とする装置。
【請求項10】
コンピュータによって実行された際、前記コンピュータに請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法工程を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
コンピュータによって実行された際、前記コンピュータに請求項8に記載方法工程を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、データストリーミング方法、装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置は、例えばストリーミングにより、ネットワークを介して音声及び/又は映像データとしてのメディアコンテンツを受信可能である。このストリーミングという用語は、通常、ネットワークを介してサーバによって(移動または携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレット、ゲーム機等の任意の種類のユーザコンピュータ装置であってよい)クライアント通信装置にメディアコンテンツが提供されて、略リアルタイムに再生されることを示すのに用いられる。これは、ファイル全体がダウンロードされて、例えば後で使用可能となるようにする「ダウンローディング」と対比することができる。受信された音声及び/又は映像データは、ユーザに再生されて音声及び/又は映像データの内容を鑑賞可能となる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示される第1の側面によれば、データストリーミング方法であって、音声及び/又は映像コンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して受信し、前記データセグメントをバッファに記憶し、前記データセグメントの再生前に、前記ネットワークが前記データセグメント内の前記コンテンツを、前記バッファに現在記憶されるものより高品質で提供する能力を有することを判定し、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有する前記バッファ内のより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントをリクエストする方法が提供される。
【0004】
この方法は、コンピュータによって実行される方法であってもよい。
【0005】
この方法は、ユーザが前記バッファ内に記憶された前記データセグメントの再生を一時停止していることを判定する工程を備え、前記ネットワークが能力を有することの判定工程及びより高品質のデータセグメントをリクエストする工程は、前記ユーザが前記バッファ内に記憶された前記データセグメントの再生を一時停止しているとの判定に応じて実行されてもよい。
【0006】
この方法は、前記バッファ内の前記データセグメントが音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むことを判定する工程を備え、前記ネットワークが能力を有することの判定工程及びより高品質のデータセグメントをリクエストする工程は、前記バッファ内の前記データセグメントが音声及び/又は映像ストリームの終わりを含むとの判定に応じて実行されてもよい。
【0007】
この方法は、前記バッファ内のデータセグメントを最大サイズのグループにまとめて複数のグループを形成し、グループ内の各データセグメントが、グループ内の少なくとも一つの他のデータセグメントの再生時間に直接隣接する再生時間を有するようにする工程を含み、前記リクエストする工程は、最も遅い相対再生時間を有するデータセグメントのより高品質バージョンのグループをリクエストする工程を含んでもよい。
【0008】
この方法は、前記バッファ内の前記コンテンツの一部のより高品質バージョンを受信し、前記コンテンツの前記一部の再生が、完全に受信される前記コンテンツの前記一部の前記より高品質バージョンに先行する再生時間に行われることを判定し、前記コンテンツの低品質バージョンを前記再生時間に再生させる工程を含んでもよい。
【0009】
コンピュータによって実行された際、前記コンピュータに上述の方法を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0010】
第2の側面によれば、データストリーミング装置であって、音声及び/又は映像コンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して受信することをリクエストし、前記データセグメントをバッファに記憶し、前記データセグメントの再生前に、前記ネットワークが前記データセグメント内の前記コンテンツを、前記バッファに現在記憶されるものより高品質で提供する能力を有するか否かを判定し、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有する前記バッファ内のより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントをリクエストするよう構成される装置が提供される。
【0011】
この装置は、ユーザが前記データセグメントの再生を一時停止しているとの表示を受信するのに応じて、前記ネットワークが能力を有すると判定するよう構成されてもよい。
【0012】
この装置は、より早い相対再生時間の高品質バージョンのデータセグメントをリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有するデータセグメントについて、より高品質バージョンの一つ以上のデータセグメントをリクエストすべきであることを示すユーザ入力を受信し、前記ユーザ入力を記憶するよう構成されてもよい。
【0013】
この装置は、前記バッファ内の第1データセグメントに含まれるコンテンツのより高品質バージョンをリクエストし、前記第1データセグメントの前記コンテンツの再生が、完全に受信される前記より高品質バージョンに先行する再生時間に行われることを判定し、前記コンテンツの低品質バージョンを前記再生時間に再生させるよう構成されてもよい。
【0014】
第3の側面によれば、データストリーミング方法であって、音声及び/又は映像データを含むデータセグメントをネットワークを介して送信し、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメンツの送信に優先して、送信済みコンテンツの最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するリクエストを受信し、最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信する方法が提供される。
【0015】
この方法は、コンピュータによって実行される方法であってもよい。
【0016】
コンピュータによって実行された際、前記コンピュータに上述の方法を実行させるコンピュータコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0017】
第4の側面によれば、データをストリーミング配信する装置であって、音声及び/又は映像データコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して送信し、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツのデータセグメンツの送信に優先して、送信済みコンテンツの最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するリクエストを受信し、最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するよう構成される装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本願開示の理解を促進し、どのように実施形態が効果を奏するのかを示すため、例示として添付の図面が参照される。
【0019】
【
図3】音声及び/又は映像データコンテンツのストリーミングのデータセグメントを受信する装置により可能な動作を示すフローチャートである。
【
図4】音声及び/又は映像コンテンツのストリーミングのデータセグメントを送信する装置により可能な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
メディアコンテンツを構成する音声及び/又は映像(A/V)データは、クライアント/サーバモデルにより、ネットワークを介して通信装置に提供されてもよい。
【0021】
このようなモデルでは、(実際には複数の物理的サーバであってもよい)サーバは、クライアント装置として動作する通信装置から特定のメディアコンテンツのリクエストを受信し、このリクエストを認めるか否かを判定する。
【0022】
A/Vコンテンツは、データセグメントを用いるアダプティブストリーミングによりサーバによって提供されてもよい。アダプティブストリーミングは、任意の時点の受信データの品質を最大化するため、ストリーミング装置(すなわち、クライアント通信装置)が利用しているネットワーク波長を調整して、A/Vコンテンツを取得することを目的とする。サーバは同じA/Vコンテンツについて、各々他のストリームとは異なる品質を有する複数のストリームを提供するように構成される。特定のストリームに対応する品質は、メディアコンテンツの解像度及びメディアコンテンツのエンコード品質等の数多くの要因に依拠してもよい。したがって、異なるストリームは、異なるビットレートによる同じメディアコンテンツの複数のバージョンを提供しているものとみなすことができる。
【0023】
クライアントは、A/Vコンテンツの好ましい品質(結果としてストリーム)を、例えばクライアントがA/Vコンテンツを受信するのに経由している通信リンクの品質と、通信装置における現在の処理能力とに応じて決定してもよい。好ましいストリームが、ネットワークを介して通信装置によってリクエストされてもよい。受信したA/Vコンテンツは、ストリームの受信中にユーザに対して再生されてもよい。
【0024】
公知の構成では、ユーザがA/Vコンテンツの再生を一時停止したとき、このA/Vコンテンツを含むデータセグメントは、通信装置によって引き続き受信され、バッファに記憶されてもよい。A/Vコンテンツの受信が終了したら(例えば、所定の再生長さを受信した、及び/又はリクエストされたコンテンツの終点を受信した場合)、より良い品質のストリームをネットワークからリクエストし、通信装置は、より高品質(例えば、より高いエンコーディング/ビットレート)のA/Vコンテンツを提供するデータセグメントを用いてこのA/Vコンテンツを再バッファしてもよい。
【0025】
ユーザがA/Vコンテンツの再生を再開したとき、バッファされたA/Vコンテンツのより高品質のバージョンのすべてが受信されていない可能性がある。これにより、A/Vコンテンツの鑑賞中に、ユーザの視聴体験を中断させるジッターが生じる。
【0026】
この問題に対応するため、以下にA/Vコンテンツのバッファされたデータセグメントを、より高品質のコンテンツを有するデータセグメントと置き換える構成が記載される。特に、バッファ内のA/Vデータセグメントは、ストリーム中で最後に再生されるもの(すなわち、ストリーミングされたコンテンツの最後に向けて、又は少なくとも受信済みのストリーミングされたコンテンツの一部)と指定されたバッファ内のA/Vデータセグメントが最初にアップグレードされ、最後から2番目に再生されるデータセグメントと指定されたA/Vデータセグメントが2番目にアップグレードされる、等となるように置き換えられる。A/Vコンテンツの品質は、したがって「逆向き」の形でアップグレードされ、一時停止された時点により近い再生時間の(すなわちストリーミングされたコンテンツ中でより早い時間に起こる)データセグメントは、最後にアップグレードされることになる。
【0027】
このようにA/Vデータセグメントの品質アップグレードを逆向きに行うことにより、ユーザは、間欠的なストリーミングアップグレードプロセスによって影響される可能性がより少なくなる。
【0028】
例示的なクライアント通信装置が
図1を参照して説明される。
【0029】
図1は、受信手段102と、少なくとも一つのプロセッサ103と、コンピュータコード105を含むメモリ104と、バッファ106と、送信手段107とを備える通信装置101を示す。送信手段107と受信手段102とは、それぞれの動作を実行するのに少なくともいくつかの同じ部品を利用してもよく、あるいはそれぞれの動作を実行するのに異なる部品を利用してもよい。コンピュータコード105は、音声及び/または映像コンテンツなどのコンテンツをストリーミングし再生するためのコードを含んでもよい。
【0030】
動作時、通信装置101は、送信手段107を用いて、サーバ(図示略)からA/Vコンテンツを受信するリクエストを含むリクエストをサーバに送信するよう構成される。
【0031】
このリクエストに応じて、通信装置101は、A/Vデータセグメント(すなわち、A/Vコンテンツを含むデータセグメント)を、ネットワークから通信リンク(図示略)を介して受信手段102で受信する。この通信リンクは有線でも無線でもよく、例えばインターネットプロトコルなどのA/Vデータセグメント送信用の任意の適切なプロトコルにしたがって、例えば、データセグメントを通信装置101にストリーミングするためのRTSP(Real Time Streaming Protocol)を用いて動作可能である。このA/Vデータセグメントは第1品質レベルで受信される。このデータセグメントは、通信リンクを介してデータを転送し、アプリケーションレベルでA/Vコンテンツをフォーマットするのに用いられるプロトコルに応じて、パケット、データブロック、及び/又はチャンクとして受信されてよい。本明細書では、「セグメント」という用語は、受信されたA/Vコンテンツの任意のフォーマットの単位を示すものとして用いられる。受信されたデータセグメントは、バッファ106内に記憶される。
【0032】
ある時点で、通信装置は、メディアコンテンツのデータセグメントの受信を停止してもよい。これは一時的(例えば、ユーザがストリームの再生を一時停止した場合)であっても、あるいは「恒久的」(例えば、全コンテンツが受信された場合)であってもよい。これに応じて、通信装置は、ネットワークが、第1品質よりも高品質なバージョンのA/Vコンテンツを提供する能力があることを判定してもよい。この判定は、ネットワークからクライアント通信装置への通信リンクの品質を考慮に入れてもよい。
【0033】
この状況において、通信装置は、受信したA/Vコンテンツのデータセグメントの相対再生時間を決定するように構成されてもよい(A/Vコンテンツのデータセグメントが順番を外れて受信される可能性があることから、受信時間は再生時間と同じではない)。再生時間は、A/Vデータセグメントに含まれるメディアコンテンツが、ユーザに対して再生/提示されることが予定される時間である。相対再生時間を決定することにより、通信装置は、バッファ内のどのデータセグメントが最後に再生される予定か、どのデータセグメントが最後から2番目に再生される予定か、等を判定できる。その後、より高品質のストリームのリクエストがサーバに送信されると、通信装置はより高品質のデータセグメントを「逆」の順序で受信するようリクエストし、これにより、より高品質の、かつ最後に再生される予定の(すなわちストリーミングされたコンテンツの終わりに向けて、または少なくとも受信済みのストリーミングされたコンテンツの一部の)データセグメントが、より早く再生される予定の(すなわちストリーミングされたコンテンツ内でより早く起こる)ものより優先して受信されるようにしてもよい。通信装置がより高品質のデータセグメントを逆の順序で受信することをリクエストするか否かは、通信装置の変更可能なユーザ設定により制御されてもよい。これにより、通信装置は、通信装置がこの逆順ダウンロードのリクエストを行うように構成するユーザからの入力を受け付けるように構成されてもよい。
【0034】
【0035】
図2は、バッファ内に含まれる、異なる時間例201-204におけるA/Vデータストリームを示す。各データストリームは、複数のデータセグメント200を含む。各時間例201-204を通る垂直線205は、ユーザがA/Vデータストリームの再生を一時停止した再生時間中の時点を示し、時間はx軸に沿って進行する。
【0036】
第1時間例201では、一時停止位置205の左手側のデータセグメントは再生済みである。一時停止位置205の右手側には、受信済みのデータセグメントはない。
【0037】
第2時間例202(第1時間例の後)では、バッファは、A/Vストリームの残りの部分に関するデータセグメントを受信済みである。したがって、一時停止位置205の右手側および左手側双方に、データセグメントがある。これらのデータセグメントは予定された再生時間の順に並んで示され、最後に再生されるデータセグメントがバッファの一番右手側にあり、メディアコンテンツの再生再開に続いて最初に再生されるデータセグメントが一時停止位置205の右手側の直接隣接する位置にある。
【0038】
第3時間例203(第1及び第2時間例の後)では、バッファは、バッファの一番右手側の最後の2つのデータセグメント206をアップグレードしている。言い換えると、バッファは、再生される予定になっている最後の2つの受信済みデータセグメント206をアップグレードしている。
【0039】
第4時間例204(第1、第2及び第3時間例の後)では、一時停止位置205の右手側の全てのデータセグメント(一時停止位置205の後に直接隣接する最初の2つのデータセグメント207を除く)がアップグレード済みである。最初の2つのデータセグメント207は、アップグレードしている最中である。
【0040】
したがって、この図によって示されるように、ユーザが映像を一時停止位置205で一時停止した後、データストリームのバッファリングは、A/Vデータセグメントの受信が完全停止するまで継続されてもよい。この時点で、コンテンツストリームは(通信装置からのリクエストに引き続いて、より早く再生される予定のデータセグメントに優先して最後に再生される予定のデータセグメントが最初にアップグレードされるように)アップグレードされる。このプロセスは、最終的に一時停止位置に直接引き続いて再生されるデータセグメントが再生されるまで継続する。
【0041】
映像をストリームの最初からではなく最後から更新することにより、ユーザがA/Vコンテンツを見続けようと決めた場合に、バッファリングの問題が起こりにくいことから、ユーザの視聴体験をよりよいものにできる可能性がある。しかし、バッファリングによる中断を防ぐため、通信装置は、メモリ内にアップグレードされているデータセグメントを保持し、データセグメントをアップグレード中であるとするフラグを立てるよう構成されてもよい。再生再開に引き続き、再生中のA/Vコンテンツがフラグが立てられたデータセグメントに近づいた場合、元の低品質バージョンの受信済みA/Vデータセグメントがメモリから取得され、ストリームの一部として再生される。
【0042】
クライアント通信装置及びサーバ双方で可能な動作を、
図3及び
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
【0044】
301で、クライアント通信装置は、A/Vコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して受信するよう構成される。この受信したA/Vデータセグメントは第1品質で送信されてもよい。第1品質は、クライアント通信装置によってリクエストされていてもよい。受信されたA/Vデータセグメントは、通信装置のユーザに再生されるメディアコンテンツのストリームの一部であってもよい。このストリームは、クライアント通信装置に操作可能に接続されるディスプレイ及び/又はスピーカーを介して再生されてもよい。
【0045】
302で、クライアント通信装置は、このデータセグメントをバッファに記憶するよう構成される。このバッファは、この目的のためにクライアント通信装置に操作可能に接続される。
【0046】
303において、クライアント通信装置は、データセグメントの再生前に、ネットワークがデータセグメント内のコンテンツを、バッファに現在記憶されるものと異なる第2品質で提供する能力があることを判定するよう構成される。第2品質は、第1品質よりも高品質である。
【0047】
304において、クライアント通信装置は、より早い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの送信をリクエストするのに優先して、最も遅い相対再生時間を有するバッファ内のより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントを送信するようリクエストするよう構成される。このリクエストは、ネットワークを介してサーバに送られてもよい。このリクエストに応じて、サーバは、最も遅い/最後の相対再生時間のより高品質バージョンのA/Vコンテンツのデータセグメントを、より早い相対再生時間を有するコンテンツを含むデータセグメントのより高品質バージョンの送信に優先して送信してもよい。
【0048】
サーバの動作を、
図4を参照して説明する。上述のように、サーバは、実際には、協同して作用して下記の機構を実現するいくつかの別のサーバであってもよい。
【0049】
401で、サーバは、A/Vコンテンツを含むデータセグメントをネットワークを介して通信装置に送信するよう構成される。この送信は、通信装置がA/Vデータセグメント内に含まれるコンテンツの受信を以前にリクエストしていたことの結果であってもよい。
【0050】
402において、サーバは、送信済みデータセグメントのコンテンツの高品質バージョンを含むデータセグメントを送信するリクエストを受信するよう構成される。このリクエストは、送信済みコンテンツの最も遅い相対再生時間を有するより高品質バージョンのコンテンツの一つ以上のデータセグメントが、より早い相対再生時間を有するより高品質のコンテンツのデータセグメントの送信に優先して送信されるべきことを示す。このリクエストは、クライアント通信装置によって受信されてもよい。
【0051】
このリクエストに応じて、403において、サーバは、最も遅い相対再生時間を有する一つ以上のより高品質バージョンのデータセグメントをクライアント通信装置に送信するよう構成される。
【0052】
上記では、受信したA/Vコンテンツのより高品質バージョンをダウンロード/リクエストするのにA/V再生を一時停止(または完全停止)することとしているが、これは必ずしも必要ではないことが理解される。代わりに、通信装置は、全ての関連するA/Vデータセグメントを受信しており、これらのデータセグメントの再生に先立って受信したA/Vデータセグメントのより高品質バージョンを受信可能であることを判定するのみでもよい。しかし、本システムは、ユーザがA/Vコンテンツの再生を一時停止及び/または完全停止する場合に特に有用である。というのは、これによりA/Vデータストリームの大部分を比較的劣悪な接続状態で受信すること、およびより高品質なバージョンのA/Vコンテンツを受信することの双方を可能とするより多くの時間が得られるからである。
【0053】
プロセッサ、プロセシングシステムまたは回路と本明細書に記載されるものは、実務上、単一のチップまたは集積回路により実装されても、複数のチップまたは集積回路により実装されてもよく、あるいはチップセット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、グラフィクス・プロセッシング・ユニット(GPUs)等によって実装されてもよい。このチップまたは複数のチップは、実施形態にしたがって動作するよう構成可能なデータプロセッサおよびデジタル・シグナル・プロセッサの少なくとも一方を実装するための回路(ならびに場合によってファームウェア)を備えてもよい。この点に関し、例示的実施形態は、少なくとも部分的に(不揮発性)メモリに記憶されプロセッサにより実行可能なコンピュータソフトウェア、ハードウェア、または実体的に記憶されたソフトウェアとハードウェア(および実体的に記憶されたファームウェア)との組み合わせにより実装されてもよい。
【0054】
データ記憶用のデータ記憶装置(例えば上述のバッファおよびメモリ)について本明細書に記載する。これは、単一の装置または複数の装置により実装されてもよい。適切な装置としては、例えばハードディスクおよび不揮発性半導体メモリが挙げられる。
【0055】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態を説明するための例として理解されるべきである。別の実施形態および例が想定される。一つの例または実施形態に関して記載される任意の特徴は、単独で、またはほかの特徴と組み合わせて使用可能である。加えて、一つの例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、他の例または実施形態、または他の例または実施形態の任意の組み合わせのいずれかの特徴と組み合わせても使用可能である。さらに、本明細書に記載されない均等物および変形例も、請求項に定義される本発明の範囲内で利用可能である。