(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】注射デバイスに取り付けられるデータ収集装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61M5/315 550Z
A61M5/315 550P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021037904
(22)【出願日】2021-03-10
(62)【分割の表示】P 2017564021の分割
【原出願日】2016-06-09
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2015-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マウリス・トポーレク
(72)【発明者】
【氏名】マルクス-マイノルフ・ディットリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ネッセル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・リーデル
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・コラー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン・エーベルリ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン・ツヴィッカー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・フェルバー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・クリストフ・グーゲル
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519025(JP,A)
【文献】特表2014-516599(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02692378(EP,A1)
【文献】特開平11-267207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ収集デバイス(20)であって:
注射デバイスの投与量ノブ(12)と係合することにより、データ収集デバイスを注射デバイス(1)に取り付けるように構成されたスリーブからなる第1の部分(23)と;
該第1の部分に回転可能に取り付けられた第2の部分(24)であって、圧力が第2の部分に加えられたときに、注射デバイスの用量ボタン(11)を押すように配置される、第2の部分(24)と;
注射デバイスによる薬剤の排出中に、該第2の部分に対する第1の部分の回転を検出するように構成されたセンサ配置(51)と;
前記検出された動きに基づいて、注射デバイスによって排出される薬剤量を判定するように構成されたプロセッサ配置(50)と
を含む前記データ収集デバイス。
【請求項2】
第2の部分は第1の電気接点(30)を有する外側部分(26)を含み;
第2の部分は第2の電気接点(31)を有する内側部分(27)を含み;
該内側部分は外側部分に対して軸方向に可動であり、圧力が外側部分に加えられたとき前記第1の電気接点を前記第2の電気接点に係合させる、請求項1に記載のデータ収集デバイス。
【請求項3】
圧力が外側部分(26)に加えられたときデータ収集デバイスに電力を供給するように配置された圧電発電機を含む、請求項2に記載のデータ収集デバイス。
【請求項4】
前記第1の電気接点(30)が第2の電気接点(31)に係合し、かつ/または第2の電気接点から係合解除されたときトリガされるタイマ(55)を含み、ここで、データ収集デバイスは、タイマが最後にトリガされてからの経過時間を判定し、経過時間が閾値条件に合わない場合に警報を発するように構成される、請求項2または3に記載のデータ収集デバイス。
【請求項5】
プロセッサ配置(50)は、前記タイマ(55)を使用して薬剤投与量を投与するため
のタイムスタンプを判定し、判定された薬剤投与量および前記タイムスタンプを記憶するように構成され、そして、ここで、プロセッサ配置は、判定された薬剤投与量のログおよびタイムスタンプ情報を別のデバイスに送信するように構成される、請求項4に記載のデータ収集デバイス。
【請求項6】
第2の部分(24)に対する第1の部分(23)の回転が防止される第1の構成と、第1の部分が第2の部分に対して回転可能な第2の構成との間で切り替わるように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項7】
注射デバイス(1)の投与量ノブ(12)に係合するように配置された伝達配置(73)を含み;
第1の部分は注射デバイスの投与量ノブ(12)に取り付けられるように構成され;
伝達配置は、投与量ノブが回転するときに第2の部分(24)に対して第1の部分(23)を回転させるように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項8】
前記伝達配置(73)は摩擦車(76)を含む、請求項7に記載のデータ収集デバイス。
【請求項9】
第1の部分(23)は、変形可能な材料から形成された内面を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項10】
第1の部分(23)は、注射デバイスの投与量ノブ(12)の外側機能に嵌まるように構成された内面を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項11】
第1の部分(23)の内面は、注射デバイスの投与量ノブ(12)の表面の構造に対応する形状の溝を含む、請求項10に記載のデータ収集デバイス。
【請求項12】
溝は第1の部分(23)の開口端に口を有し、溝は第1の部分の開口端から離れてより狭い幅に先細りになる、請求項11に記載のデータ収集デバイス。
【請求項13】
第1の部分(23)に
1つ以上の外側グリップ機能(123)を設けて、ユーザによる第1の部分の把持を容易にすることにより、注射デバイス(1)のハウジング(10)に対してデータ収集デバイス(20)を回転させる、請求項1~12のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項14】
センサ配置(51)は、光学センサ、磁気センサ、容量センサ、および機械センサのうちの
1つ以上を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス。
【請求項15】
薬剤投与装置であって:
薬剤が注射デバイスから排出されるときに回転するように構成された投与量ノブ(12)、及び、注射デバイスから薬剤を放出させるように配置された用量ボタン(11)を含む注射デバイス(1)と;
請求項1~14のいずれか1項に記載のデータ収集デバイス(20)とを含む前記薬剤投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射デバイスに取り付けられ、注射デバイスから薬剤投与量情報を収集するデータ収集デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の注射による定期的な治療を必要とする様々な疾患が存在する。そのような注射は、医療従事者または患者自身によって利用される注射デバイスを使用して行うことができる。一例として、1型および2型糖尿病は、例えば1日に1回または数回、患者自身がインスリン用量を注射することによって治療することができる。例えば、充填済み使い捨てインスリンペンを注射デバイスとして使用することができる。あるいは、再使用可能なペンを使用することもできる。再使用可能なペンは、空の薬剤カートリッジを新しいものと交換することが可能である。いずれのペンも、1組の1回限りの針が付属することがあり、これらの針は、毎回使用前に交換される。このとき、注射予定のインスリン用量は、例えば、インスリンペンにおいて、投薬量ノブを回し、インスリンペンの用量窓またはディスプレイから実際の用量を観察することによって手動で選択することができる。次いで、適当な皮膚部分内へ針を挿入し、インスリンペンの注射ボタンを押すことによって、この用量が注射される。インスリン注射を監視することが可能になるように、例えばインスリンペンの誤った取扱いを防止するために、またはすでに適用された用量を追跡するために、例えば注射されたインスリン用量に関する情報などの、注射デバイスの状態および/または使用に関係する情報を測定することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様は、データ収集デバイスであって、注射デバイスに取り付けられるように構成された第1の部分と、第1の部分に回転可能に取り付けられた第2の部分と、第2の部分に対する第1の部分の回転を検出するように構成されたセンサ配置と、前記検出された動きに基づいて、注射デバイスによって排出される薬剤量を判定するように構成されたプロセッサ配置とを含むデータ収集デバイスを提供する。
【0004】
データ収集デバイスは、薬剤投与量を判定するために注射デバイス上の文字認識を利用しないため、場合により、データ収集デバイスを、現在プログラムされている投与量の表示を覆い隠さないように構成して、ユーザが見るためのさらなる投与量の表示を設ける必要をなくす。加えて、薬剤投与量の判定は、光学的文字認識技法よりもコンピュータ集約的でなくてよい。
【0005】
加えて、第2の部分が第1の電気接点を有する外側部分を含み、第2の部分が第2の電気接点を有する内側部分を含み、内側部分が外側部分に対して軸方向に可動であり、圧力が外側部分に加えられたとき前記第1の電気接点を前記第2の電気接点に係合させる実施形態において、データ収集デバイスを実施することができる。例えば、第1および第2の電気接点の係合により、データ収集デバイスを起動することができる。
【0006】
さらに加えて、データ収集デバイスは、圧力が外側部分に加えられたときデータ収集デバイスに電力を供給するように配置された圧電発電機をさらに含むことができる。
【0007】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、前記第1の電気接点が第2の電気接点に係合し、かつ/または第2の電気接点から係合解除されたときトリガされるタイマを含むことができる。
【0008】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスを、タイマが最後にトリガされてからの経過時間を判定し、経過時間が閾値条件に合わない場合に警報を発するように構成してもよい。
【0009】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、前記タイマを使用して薬剤投与量を投与するためのタイムスタンプを判定し、判定された薬剤投与量および前記タイムスタンプを記憶するように構成されたプロセッサ配置を有する。
【0010】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、判定された薬剤投与量のログおよびタイムスタンプ情報を別のデバイスに送信するように構成されたプロセッサ配置を有することができる。
【0011】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスを、第2の部分に対する第1の部分の回転が防止される第1の構成と、第1の部分が第2の部分に対して回転可能な第2の構成との間で切り替わるように構成してもよい。例えば、第2の部分は、前記第1の構成と前記第2の構成との間で切り替わるように第1の部分に対して軸方向に可動であってよい。
【0012】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、光学センサ、磁気センサ、容量センサ、および機械センサのうちの1つまたはそれ以上を含むセンサ配置を有することができる。
【0013】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、注射デバイスの回転可能部材に取り付けられるように構成された第1の部分を有することができる。
【0014】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは、注射デバイスの回転可能部材に係合するように配置された伝達配置を含むことができ、第1の部分は注射デバイスの回転可能部材に取り付けられるように構成され、伝達配置は、前記回転可能部材が回転するときに第2の部分に対して第1の部分を回転させるように構成される。
【0015】
加えておよび/またはあるいは、データ収集デバイスは摩擦車を含む伝達配置を有することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、薬剤投与装置であって、薬剤が注射デバイスから排出されるときに回転するように構成された回転可能部材を有する注射デバイスと、前のセクションで述べたデータ収集デバイスとを含む薬剤投与装置を提供する。
【0017】
加えておよび/またはあるいは、薬剤投与装置は、薬剤を注射デバイスから放出するように配置された注射ボタンを含む注射デバイスを有することができ、圧力が第2の部分に加えられたとき注射ボタンを押すように配置された第2の部分を有することができる。
【0018】
加えておよび/またはあるいは、薬剤投与装置は、薬剤が注射デバイスから排出されるときに回転するように構成された回転可能部材を含む注射デバイスと;前述したデータ収集デバイスとを含むことができ、伝達配置は注射デバイスの回転可能スリーブに係合するように配置される。
【0019】
一部の実施形態において、注射デバイスは使い捨て注射デバイスであり、データ収集デバイスは注射デバイスに解放可能に取り付けることができるように構成される。他の実施形態において、注射デバイスは再使用可能な注射デバイスであってよく、データ収集デバ
イスは注射デバイスに恒久的に取り付けられるように構成される。さらに、注射デバイスは注射器ペンであってよい。
【0020】
本発明の第3の態様は、データ収集デバイスであって:第1の部分を注射デバイスの投与量ノブに取り付けるように構成された1つまたはそれ以上の機能を有する第1の部分と;第1の部分に回転可能に連結された第2の部分であって、第2の部分の少なくとも一部は第1の部分に対して軸方向に可動である第2の部分と;第2の部分に対する第1の部分の回転を検出するように構成されたセンサ配置と;前記検出された動きに基づいて、注射デバイスによって排出される薬剤量を判定するように構成されたプロセッサ配置とを含み、連結配置が第1の部分と注射デバイスの投与量ノブとの非恒久的連結をもたらすように構成されるデータ収集デバイスを提供する。
【0021】
第1の部分は、変形可能な材料から形成された内面を有することができる。
【0022】
第1の部分は、注射デバイスの投与量ノブの外側機能に対応するように形成された内面を有することができる。
【0023】
第1の部分は、注射デバイスの投与量ノブの外側機能に嵌まるように構成された内面を有することができる。
【0024】
第1の部分の内面は、注射デバイスの投与量ノブの表面の構造に対応する形状の溝を含むことができる。ここで、溝は第1の部分の開口端に口を有することができ、溝は第1の部分の開口端から離れてより狭い幅に先細りになり得る。
【0025】
第1の部分に1つまたはそれ以上の外側グリップ機能を設けて、ユーザによる第1の部分の把持を容易にすることにより、注射デバイスのハウジングに対してデータ収集デバイスを回転させることができる。
【0026】
データ収集デバイスが注射デバイスに装着されたときに、第2の部分のユーザが接触可能な表面は、第1の部分のユーザが接触可能な部分よりも大きくてよい。
【0027】
データ収集デバイスが注射デバイスに装着されたときに、第1の部分のユーザが接触可能な表面は、第2の部分のユーザが接触可能な部分よりも大きくてよい。
【0028】
第2の部分を、データ収集デバイスの外径よりもデータ収集デバイスの長手方向軸に半径方向に近い位置で、第1の部分に回転可能に連結してもよい。
【0029】
あるいは、第2の部分を、データ収集デバイスの外径よりもデータ収集デバイスの長手方向軸から半径方向に遠い位置で第1の部分に回転可能に連結してもよく、場合により、この位置は、データ収集デバイスが注射デバイスに装着されたときに投与量ノブの位置と軸方向に一致する。
【0030】
第1の部分は、データ収集デバイスが注射デバイスに連結されたときに注射デバイスの用量ボタンの周りに密に嵌合するように構成された要素を含むことができる。
【0031】
データ収集デバイスを、第2の部分に対する第1の部分の回転が防止される第1の構成と、第1の部分が第2の部分に対して回転可能な第2の構成との間で切り替わるように構成してもよい。
【0032】
センサ配置は、光学センサ、磁気センサ、容量センサ、および機械センサのうちの1つ
またはそれ以上を含むことができる
【0033】
データ収集デバイスは、第1の部分に対して第2の部分の少なくとも一部が動いたときに動作するように構成された電気スイッチをさらに含むことができ、電気スイッチを動作させるのに必要な力は、注射デバイスから薬剤を送達するのに必要な力よりも小さい。
【0034】
本発明の第4の態様は、薬剤投与装置であって、薬剤が注射デバイスから排出されるときに回転するように構成された回転可能部材を含む注射デバイスと、前述したデータ収集デバイスとを含む薬剤投与装置を提供する。
【0035】
注射デバイスは、注射デバイスから薬剤を放出させるように配置された注射ボタンを含むことができ;データ収集デバイスの第2の部分を、圧力が第2の部分に加えられたとき注射ボタンを押すように配置することができる。
【0036】
再び、一部の実施形態において、注射デバイスは使い捨て注射デバイスであり、データ収集デバイスは注射デバイスに解放可能に取り付けることができるように構成される。他の実施形態において、注射デバイスは再使用可能な注射デバイスであってよく、データ収集デバイスは注射デバイスに恒久的に取り付けられるように構成される。さらに、注射デバイスは注射器ペンであってよい。
【0037】
以下で、添付図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態によるデータ収集デバイスと共に使用する注射デバイスの分解図である。
【
図2】
図1の注射デバイスに取り付けられた、例示的な実施形態によるデータ収集デバイスを示す図である。
【
図3】
図1の注射デバイスに取り付けられたときの、
図2に示すデータ収集デバイスの横断面図である。
【
図4a】注射デバイスに係合する
図2のデータ収集デバイスの一部の変形形態の概略図である。
【
図4b】注射デバイスに係合する
図2のデータ収集デバイスの一部の変形形態の概略図である。
【
図4c】注射デバイスに係合する
図2のデータ収集デバイスの一部の変形形態の概略図である。
【
図4d】注射デバイスに係合する
図2のデータ収集デバイスの一部の変形形態の概略図である。
【
図5】
図2のデータ収集デバイスのロッキング構造を示す図である。
【
図6】
図2のデータ収集デバイスの第1の変形形態の等角破断図である。
【
図7a】
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の近位端の等角図である。
【
図7b】
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の遠位端の等角図である。
【
図7c】
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の側面図である。
【
図7d】
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の側断面図である。
【
図7e】
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の部分破断等角近位図である。
【
図8】
図1の注射デバイスに装着された
図2のデータ収集デバイスの第2の変形形態の横断面図である。
【
図9a】
図2のデータ収集デバイスの第3の変形形態の遠位端の等角図である。
【
図9b】
図1の注射デバイスに装着された
図2のデータ収集デバイスの第3の変形形態の近位端の等角図である。
【
図9c】
図2のデータ収集デバイスの第3の変形形態の側面図である。
【
図9d】
図2のデータ収集デバイスの第3の変形形態の破断側面図である。
【
図9e】
図2のデータ収集デバイスの第3の変形形態の側断面図である。
【
図10a】
図2のデータ収集デバイスの第4の変形形態の遠位端の等角図である。
【
図10b】
図1の注射デバイスに装着された
図2のデータ収集デバイスの第4の変形形態の遠位破断図である。
【
図10c】
図2のデータ収集デバイスの第4の変形形態の側面図である。
【
図10d】
図2のデータ収集デバイスの第4の変形形態の側断面図である。
【
図12】
図2および
図6~
図10のデータ収集デバイスからのデータが別のデバイスに送信されるシステムを示す図である。
【
図13】本発明の別の実施形態によるデータ収集デバイスと共に使用する注射デバイスの図である。
【
図14】
図13の注射デバイスと共に使用する、別の実施形態によるデータ収集デバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書は、ペン型注射器などの注射デバイスの近位端に、キャップのように注射デバイスに嵌合するよう取り付け可能なデータ収集デバイスを開示する。データ収集デバイスは、注射デバイスの投与量ノブまたは用量ダイヤル設定ノブ上に押込嵌めできるように構成される。特に、データ収集デバイスの第1の部分はキャビティを含む。このキャビティは、投与量ノブを受け、変形可能な内面を含んで投与量ノブ上に締まり嵌めをもたらし、かつ/または投与量ノブの外側機能に密に嵌まる機能を有する。押込嵌め機能により、データ収集デバイスを注射デバイスに容易に装着することができ、データ収集デバイスと注射デバイスとの間に取外し力を軸方向に加えることによってデータ収集デバイスを容易に取り外すことができる。データ収集デバイスは、装着されると、注射デバイスの動作を行うためにユーザにより操作される。データ収集デバイスは、装着されると、注射ペンからの薬剤送達の量および時間を監視する。薬剤量を、例えばスマートフォンに送信することができ、かつ/またはデータ収集デバイスのディスプレイに表示することができる。データ収集デバイスに押込嵌め機能を設けることにより、データ収集デバイスを一連の異なる注射デバイスに位置決めし、これらの注射デバイスと共に使用することができるため、ユーザの薬剤治療を複数のデバイスにわたって監視することができる。さらに、これを、注射デバイスの通常の使用を妨げることなく、かつ注射デバイスの投与量窓を覆い隠すことなく達成することができる。
【0040】
以下で、本発明の実施形態についてインスリン注射デバイスを参照して説明する。しかしながら、本発明はそのような適用に限定されず、他の薬剤を排出する注射デバイスと共に同様に良好に展開することができる。
【0041】
図1は薬剤送達デバイスの分解図である。この例では、薬剤送達デバイスは、SanofiのSoloSTAR(登録商標)インスリン注射ペンなどの注射デバイス1である。
【0042】
図1の注射デバイス1は、ハウジング10を含み、針15を固着可能なインスリン容器14を含む充填済み使い捨て注射ペンである。針は、内側ニードルキャップ16と外側ニードルキャップ17または代替キャップ18とにより保護される。投与量ノブ12を回すことにより、注射デバイス1から排出予定のインスリン用量をプログラムまたは「ダイヤル設定」することができ、その後、現在プログラムされている用量が投与量窓13を介して、例えば倍数単位で表示される。例えば、注射デバイス1がヒトインスリンを投与するように構成される場合、投与量はいわゆる国際単位(IU)で表示され、1IUは約45
.5マイクログラムの純粋な結晶インスリン(1/22mg)の生物学的等価量である。インスリン類似体または他の薬剤を送達するための注射デバイスにおいて、他の単位を使用してもよい。選択された用量を
図1の投与量窓13に示すものとは異なって表示することも同様に適切であり得ることに留意されたい。
【0043】
投与量窓13はハウジング10のアパーチャの形であってよく、これにより、ユーザは数字スリーブ70の限られた部分を見ることができる。この数字スリーブ70は、投与量ノブ12を回したときに動いて、現在プログラムされている用量の視覚標示を提供するように構成されている。プログラム中に投与量ノブ12を回すと、投与量ノブ12はハウジング10に対して螺旋経路で回転する。
【0044】
この例では、投与量ノブ12は、以下で説明するデータ収集デバイスへの取付けを容易にする1つまたはそれ以上の構造71a、71b、71cを含む。
【0045】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すことにより機械的クリック音を生じさせて、ユーザに音響フィードバックを与えるように構成することができる。数字スリーブ70は、インスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用する。針15を患者の皮膚部分に穿刺した後に注射ボタン11を押すと、表示窓13に表示されたインスリン用量が注射デバイス1から排出される。注射ボタン11を押した後に注射デバイス1の針15が皮膚部分に一定時間残っているときに、高い割合の用量が患者の身体に実際に注射される。インスリン用量の排出によっても機械的クリック音が生じることがあるが、これは投与量ノブ12を使用するときに生じる音とは異なる。
【0046】
本実施形態において、インスリン用量の送達中に、投与量ノブ12をその初期位置へ軸方向運動で、すなわち回転なしで回す一方、数字スリーブ70を回転させてその初期位置に戻し、例えばゼロ単位の用量を表示する。
【0047】
インスリン容器14が空になるか、注射デバイス1内の薬剤の使用期限(例えば、最初の使用後28日)に達するまで、注射デバイス1をいくつかの注射プロセスに使用することができる。
【0048】
さらに、注射デバイス1を初めて使用する前に、例えば2単位のインスリンを選択し、針15を上方に向けて注射デバイス1を保持しながら注射ボタン11を押すことにより、いわゆる「プライムショット」を行ってインスリン容器14および針15から空気を除去する必要があり得る。提示を簡単にするために、以下で、排出される量は注射される用量に実質的に対応し、したがって、例えば、注射デバイス1から排出される薬剤の量は、ユーザが受ける量に等しいものとする。それにもかかわらず、排出される用量と注射される用量との差(例えば、損失)を考慮する必要があり得る。
【0049】
図2は、例示的な実施形態によるデータ収集デバイス20を取り付けたときの注射デバイス1の一端部の斜視図である。データ収集デバイス20は、ハウジング21とオプションのディスプレイ22aを有するエンドプレート22とを含む。データ収集デバイス20は、以下で説明し図示するいくつかの異なる形態のうちの1つを取ることができる。
【0050】
図3は、注射デバイス1に取り付けられたときの、実施形態によるデータ収集デバイス20の横断面図である。データ収集デバイス20は、第1の部分23と第2の部分24とを含み、第1の部分23は第2の部分24に対して回転運動することができる
【0051】
この特定の例において、第1の部分23は、投与量ノブ12上に位置するスリーブである。第1の部分は、投与量ノブ12の構造71a、71b、71cと協働する構造19a
、19b、19cを有することができる。構造19a~19cが第1の部分23に設けられているかどうかにかかわらず、配置は、投与量のプログラム中に第1の部分23がユーザにより回転されると、投与量ノブ12も回転し、薬剤の放出中に投与量ノブ12が回転すると、第1の部分23も回転するようになっている。
【0052】
気泡ゴムパッド44などの弾性パディングを第1の部分23の構造19a~19c内に設けて、第1の部分23の構造19a~19cの寸法と投与量ノブ12の構造71a、71b、71cの寸法との公差に備え、かつ/または第1の部分23と投与量ノブ12とを係合させて、第1の部分23の回転により投与量ノブ12を回転させ、投与量ノブ12の回転により第1の部分23を回転させるようにすることができる。あるいは、弾性パディング44を、別のゴムまたは合成ゴム材料から作ることができる。弾性パディング44を第1の部分23の全周に設けても、断続的な位置に設けてもよい。
【0053】
図4bに示すように、第1の部分23の構造19a~19cの代わりに弾性パディング44を設けてもよい。これらの実施形態において、遠位端35(
図3の最下部)における第1の部分23の内面には実質的に特徴がない。内面は全体として円筒形であってよい。あるいは、内面は全体として、遠位端が幅広の円錐形であってよい。あるいは、内面は全体として、遠位端が幅広のドーム状であってよい。
【0054】
さらにあるいは、第1の部分23は、投与量ノブの構造71a、71b、71cと協働する構造とするのに十分な厚さの弾性パディングを含む。パディングは、投与量ノブ12の表面に一致するよう十分に軟質である。例えば、パディングは、投与量ノブ12の表面の構造に一致するよう十分に軟質である。
【0055】
図4a、
図4c、および
図4dの実施形態において、第1の部分23の内面の構造に加えて弾性パディング44を設けることができる。前述したパディング44は複数の機能を実行することができる。
【0056】
第1に、パディング44は、データ収集デバイス20の第1の部分23を投与量ノブ12上に取り付けるのを助ける。特に、弾性パディング44は変形して、第1の部分のキャビティ内に投与量ノブ12を収容する。摩擦により、第1の部分23内への投与量ノブ12の挿入に応じて反力が生じる。これにより、データ収集デバイス20が投与量ノブ12上で受けられていることを示す触覚フィードバックをユーザに与える。データ収集デバイス20が完全に装着されると、さらなる動きが防止される。これは、投与量ノブ12の近位端が第1の部分23のキャビティの近位端における当接面に当接する(例えば
図6参照)ときに、何らかの相対運動から相対運動のない状態への段差変化をユーザに与えることによる触覚フィードバックを通じて、ユーザが検出することができる。データ収集デバイス20と投与量ノブ12との摩擦により、データ収集デバイス20が注射デバイス1に装着されたままとなる。これは、データ収集デバイス20を注射デバイスに固定するためのさらなる機構なしで達成することができるが、さらなる機構の使用は排除されない。データ収集デバイス20を注射デバイスから取り外すためには、摩擦力に打ち勝つ必要がある。これは、例えば30N以上の強い引張力をデータ収集デバイスに近位方向へ加えることにより達成することができる。
【0057】
また、パディングにより、用量設定中/プログラム中に、ユーザにより加えられた回転力を第1の部分23と投与量ノブ12との間に伝えるための十分な係合をもたらす。この力は、第1の部分23と投与量ノブ12との摩擦により伝えられる。第1の部分23と投与量ノブ12との間に回転方向に作用する摩擦力は、薬物送達デバイス1の内部の力に打ち勝つのに必要な力よりも、少なくとも5倍、またはより有利には少なくとも10倍大きいため、部材間の滑りを回避するのを助ける。
【0058】
図4aに概略的に示すように、内面の構造19a~19cは、投与量ノブ12の構造71a、71b、71cの形状に嵌まる形状を有する機能の形を取ることができる。例えば、内面の構造19a~19cは、投与量ノブ12の構造71a、71b、71cの形状に密に対応する形状を有する機能の形を取ることができる。形状が密に対応することにより、第1の部分23と投与量ノブ12とを良好に係合させることができる。内面の構造19a~19cが投与量ノブ12の構造71a、71b、71cの形状と嵌まる形状を有する場合、第1の部分23の内面を形成するために比較的高い摩擦係数を有する材料を選択すると、データ収集デバイス20と投与量ノブ12との嵌合をもたらして、データ収集デバイス20が注射デバイス1上に保持される。場合により第1の部分23の内面に弾性材料を使用すると、データ収集デバイス20が注射デバイス1上にさらに保持される。しかしながら、第1の部分23の内面の構造と投与量ノブ12の構造71a、71b、71cとの嵌合が十分に密であり、これらの間の摩擦係数が十分に高い場合、第1の部分23の内面の材料は弾性である必要はない。
【0059】
図4cに概略的に示すように、第1の部分23の弾性内面の構造19a~19cはリブの形を取ることができる。リブは、三角形横断面を有することができ、またはドーム状横断面を有することができる。リブは周方向であってよい。あるいは、リブを軸方向に配置してもよい。有利には、軸方向リブの数は、投与量ノブ12の構造71a、71b、71cの数の少なくとも4倍である。これにより、特定の回転位置合わせを必要とせずに、投与量ノブ12の構造71a、71b、71cを第1の部分23の構造によって容易に受けることが確実にできるようになる。
【0060】
図4dに示すように、構造19a、19bはリブの形を取ることができる。データ収集デバイス20が投与量ノブ12上に配置されると、投与量ノブの構造71a~71cは第1の部分23の構造/リブ19a~19cの間に入る。ここでは、構造19a、19bは、データ収集デバイス20が注射デバイス1上に完全に装着されたときに構造71a~71c間の投与量ノブ12の表面を把持するように構成される。このために、リブ19a、19bは、投与量ノブ12の構造71の半径方向高さ以上の半径方向高さを有する。リブは離間し、その数は、データ収集デバイスが装着されているときにリブの近位端が投与量ノブ12の構造の遠位端に接触しにくくなるように決められる。特に、隣接するリブ間の間隔は、投与量ノブ12の隣接する構造71間の間隔の整数倍に等しくてよい。リブの構成および間隔は、データ収集デバイスが装着されているときにリブの近位端と投与量ノブ12の構造の遠位端とが接触する場合に、複数のリブと複数の構造71とが略等しく接触するような構成および間隔である。この場合、構造から逸れたリブにより生じ得る小さい回転力によって、リブが投与量ノブ12の構造71間に位置する。
【0061】
リブはデータ収集デバイス20の長手方向軸に対してねじれていても、ねじれていなくてもよい。特に、異なる構造19a~19c間に相対的なねじれがあってもよく、例えば1つの構造/リブ19aが時計方向のねじれを有し、次の構造/リブ19bが反時計方向のねじれを有する。データ収集デバイス20が投与量ノブ12上に配置されると、投与量ノブの構造71a~71cは第1の部分23の構造/リブ19a~19c間に入る。
【0062】
これらの配置のすべてにおいて、第1の部分23は、投与量ノブ12の軸方向長さ全体について第1の部分23と投与量ノブ12との略均一な係合があるように形成される。これは、データ収集デバイス20と注射デバイス1との正確な軸方向配向を確保するのを助ける。軸方向配向が設けられるのは、部材の形状が、投与量ノブ12と第1の部分23が共に嵌まるときに、不正確な配向があると、投与量ノブ12と第1の部分23との間に修正力が半径方向に加えられるようになっているからである。正確な軸方向位置合わせが有用なのは、これにより、用量送達が実行されるときに、第1の部分23から投与量ノブ1
2へ回転力がより十分に伝わり、より十分なフィードバックをユーザに与えるからである。また、正確な軸方向位置合わせは、一般に、ユーザの経験を向上させる。
【0063】
他の実施形態において、第1の部分23に、第2の部分24の少なくとも一部を囲む剛性セクションと投与量ノブ12の少なくとも一部を囲む弾性セクションとを形成することができる。剛性セクションは、データ収集デバイス20を注射デバイス1に取り付けるとき、または注射デバイス1から取り外すときに、ユーザ対して堅固な把持面をもたらし、弾性セクションは、投与量ノブ12上への第1の部分23の取付けを助け、プログラム中および薬剤放出中に第1の部分23と投与量ノブ12との間に回転を伝えるのに十分な係合をもたらす。場合により、剛性セクションを弾性セクションとは異なる材料から形成してもよい。場合により、そのような第1の部分23は、前述したように投与量ノブ12の構造71a、71b、71cと協働するように構成された構造19a~19cおよび/または弾性パディング44を含んでもよい。
【0064】
一部の実施形態において、インジケータがデータ収集デバイスに設けられる。インジケータは、例えば、溝、突端、または印刷された機能であってよい。インジケータにより、ユーザがデータ収集デバイスを注射デバイス1の突端と位置合わせすることが容易になる。しかしながら、図示した実施形態において、そのような位置合わせは必要ではない。
【0065】
第1の部分23と投与量ノブ12との連結は、可動部材を含まない。場合により第1の部分23の連結面を形成する弾性材料の変形により助長される部材の表面間の摩擦を用いた密な嵌合のみによって、第1の部分23は投与量ノブ12に連結される。
【0066】
投与予定の薬剤投与量を設定するために、ユーザは第1の部分23を把持して回転させることができる。これにより、注射デバイス1の投与量ノブ12が回って、投与量をプログラムするからである。
【0067】
また、この特定の例において、第2の部分24は、第1の部分23内に位置する本体であり、支承部25を使用して第1の部分23に回転可能に取り付けられる。第2の部分24は外側部分26を含み、この外側部分26はエンドプレート22と、場合によりディスプレイ22aとを含む。第2の部分24は内側部分27も含む。データ収集デバイス20が注射デバイス1に取り付けられると、内側部分27は注射ボタン11上に位置する。外側部分26と内側部分27とは固定具28により取り付けられて、互いに対する回転を防止する。しかしながら、本実施形態において、外側部分26を内側部分27対して軸方向に動かしてもよく、ばね29などの1つまたはそれ以上の弾性部材を設けて、外側部分26を内側部分27から離すように付勢してもよい。
【0068】
データ収集デバイス20は、内側部分27に対する外側部分26の軸方向運動を検出するように構成される。本明細書で後述するように、例えばスイッチ53を使用して所定量よりも大きい動きを検出することができる。
【0069】
この特定の配置において、第1の電気接点30を外側部分26に設け、対応する第2の電気接点31を内側部分27に設ける。ユーザがエンドプレート22を押すと、外側部分26が内側部分に向かって軸方向に動き、第1および第2の電気接点30、31間の接続を確立する。エンドプレート22にさらに圧力が加わると、内側部分27が注射ボタン11を押し、注射ボタン11を起動する。第1および第2の電気接点30、31は、係合時にプロセッサ配置50とディスプレイ22aとのデータ接続をもたらす。
【0070】
場合により、データ収集デバイス20を、第2の部分24に対する第1の部分23の回転が防止される第1の構成と、そのような回転が妨げられない第2の構成とを有するよう
に配置することができる。例えば、
図5に示すように、第1の部分23および第2の部分24には、第1および第2の部分23、24のうちの一方の突起40、ならびに第1および第2の部分23、24のうちの他方の周囲溝41および軸方向凹部42などのロック構造を設けることができる。この特定の例において、第1の構成では、突起40が凹部42内に位置し、回転が防止される。第1の部分23に対する第2の部分24の軸方向運動により、データ収集デバイス20を第2の構成に切り替えて、突起40が周囲溝41内に位置し、回転が可能にされるようにしてもよい。
【0071】
図5に示す配置は突起40、溝41、および凹部42の形のロック構造を含むが、他のタイプの協働構造またはロック方法を使用して、第1の構成における回転を防止してもよい。
【0072】
図6は、データ収集デバイス20の変形形態である第1の代替データ収集デバイス240の等角破断図である。
【0073】
図7a~
図7eは、データ収集デバイス20の別の変形形態である第2の代替データ収集デバイス220の様々な図である。
図8は、注射デバイスに装着された第2の代替データ収集デバイス220の横断面図である。
【0074】
これらの図において、参照符号は、同様の要素について
図2のものを引き続き使用する。特に記載のない限り、または不可能でない限り、
図2のデバイスの機能が
図6~
図8のデータ収集デバイスに存在する。また、いずれか1つのデバイスの機能が、他のデバイスのすべてに存在する。
【0075】
図2、
図5、
図6、
図7、および
図8のデータ収集デバイスは、第1の部分23が、第2の部分24よりも大きい接触可能な表面積を持つという共通の特徴を有する。
【0076】
図6のデータ収集デバイス240は、データ収集デバイス240の本体内に含まれるカプセル244を含む。カプセル244自体は、この例ではコイン電池の形の電源54またはバッテリと、プリント回路基板(PCB)242とを含む。PCBには、通信インターフェース243、例えばブルートゥース(登録商標)低エネルギーチップまたは近距離無線通信(NFC)チップを含むいくつかの電子部材が取り付けられる。また、PCBは、第2の部分24の軸方向運動を検出するためのスイッチ53を支持する。さらに、PCB242は、第2の部分24に対する第1の部分23の回転を検出するように構成されたセンサ配置51を支持する。特に、カプセル244は、第2の部分24に対する回転が固定され、用量が送達されているときに第1の部分23に対して第2の部分24と共に回転する。
【0077】
電源54は、データ収集デバイス240の電子部材に電力を供給する。電源54はPCB242の遠位に位置する。電源54には、カプセル244の遠位端とPCB242とが当接する。
【0078】
第1の部分23は3つの重要な構造的要素を有する。第1の部分23を1つの部材として形成してもよく、または共に連結される複数の部材から形成してもよい。第1の部分23の第1の要素246は、ダイヤル設定ノブ12に係合するように構成される。第1の要素の態様については、特に
図4a~
図4dに関して前述した。第2の要素246は、用量送達ボタン11に係合するように構成される。特に、第2の要素246は、用量送達ボタン11の周りに密に嵌合するよう構成される。第2の要素246は、データ収集デバイス240を注射デバイス1上に正確に軸方向に位置合わせすることを確実に行うよう促す。第2の要素246はリングの形を取ることができる。第2の要素246は、用量送達ボタ
ン11の遠位方向への動きを妨げないように、低摩擦内面を有することができる。第3の要素248は、第1の部分23の近位端に位置する。第3の要素248は半径方向内方に延びる。また、第3の要素248は第2の部分24を半径方向に囲む。
【0079】
カプセル244は、第1の部分23に形成されたキャビティ内で軸方向に可動である。カプセル244は、第1の部分23の第3の要素248により、カプセル244の周囲で近位方向に拘束される。遠位方向で、カプセル244は用量ボタン11に当接する。
【0080】
第2の部分24は、その周囲でカプセル244の近位端に連結される。柱245が第2の部分24の中央に設けられ、軸方向に延びる。柱245はスイッチ53と一致し、遠位方向の力が第2の部分24に加わらないときにスイッチ53に接触しても接触しなくてもよい。第2の部分24の中央は、遠位方向にわずかに変形可能である。
【0081】
スイッチ53は、第2の部分24の少なくとも一部が第1の部分23に対して動いたときに動作するように構成される。スイッチ53を動作させるのに必要な力は、注射デバイス1から薬剤を送達するのに必要な力よりも小さい。スイッチ53の動作を使用してデータ収集デバイスの部材への電力供給をトリガすることにより、用量送達の開始前にデータ収集デバイスの部材に電力が供給される。例えば、スイッチ53を動作させるのに必要な力は約2N、またはより一般的には1N~5Nであってよい。
【0082】
次に、データ収集デバイス240の動作について説明する。最初に、ユーザが注射デバイス1に用量をダイヤル設定する。これは、ユーザがデータ収集デバイス240の第1の部分23を回転させることにより達成される。回転力が投与量ノブ12に伝わり、投与量ノブ12も回転する。用量がダイヤル設定されているときに、第2の部分24も第1の部分に伴って回転する。ダイヤル設定中、PCB242の電子機器には電力が供給されない。
【0083】
ユーザは、所望の用量をダイヤル設定すると、第2の部分24を押して用量の送達を開始する、すなわち注射を行う。最初は、第2の部分24がわずかに変形し、第2の部分24の中央が第2の部分24の周囲よりも遠位方向に動く。言い換えると、第2の部分24の中央が第2の部分の周囲に対して軸方向に、かつ第1の部分に対して軸方向に動く。これにより、柱245がスイッチ53を起動する。これにより、PCB242の電子機器に電力を供給してこれらを起動する。第2の部分24のさらなる動きが、第1の部分23内のカプセル244の動きに伝わる。これが用量ボタン11の遠位方向への動きに伝わる。用量ボタン11が用量送達(注射デバイス1内でクラッチ(図示せず)を係合解除することにより行われる)を可能にするのに十分なだけ動くと、ユーザの動作により用量送達ボタンが遠位方向へ動くときに投与量ノブ12が用量ボタン11に対して回転し始める。特に、用量送達ボタン11は注射デバイス1のハウジング10に対して回転しないが、投与量ボタンと数字スリーブ70とは螺旋状に動く(すなわち軸方向に動き、同時に回転する)。したがって、第1の部分23は第2の部分24に対して回転する。ユーザが第2の部分24を押すのをやめると、または全用量が送達されると、第2の部分24に対する第1の部分23の回転が停止する。生じた回転の量が送達用量を示す。回転量はセンサ51により検出され、これを使用して送達用量を計算する。その後、以下で説明するように、送達用量がメモリに記憶される。
【0084】
図6のデータ収集デバイスにはティスプレイがないが、送達用量を表示するディスプレイを代わりに設けてもよい。
【0085】
ディスプレイの代わりに、
図6のデータの収集デバイスは光学インジケータ配置を含む。例えば、光学インジケータ配置は、発光ダイオード(図示せず)などの1つまたは2つ
の光源であってよい。光学インジケータ配置を、例えば、軸方向に設けても、第2の部分24の近位端面の周辺に設けても、第2の部分24もしくは第1の部分23の周囲に設けてもよい。
【0086】
光学インジケータ配置は、休止期間に関するフィードバックを与えるように構成される。注射が終了すると(これは第1および第2の部分23、24間の回転の停止またはスイッチ53の動作の停止を検出することによって検出される)、データ収集デバイスの光学インジケータ配置は、休止期間になっていることを示す。例えば、光学インジケータ配置が点滅し始める、すなわち、断続的に起動される。点滅の周波数は休止期間にわたって変化し得る。例えば、休止期間の開始時に周波数は約5Hzであってよく、休止期間の終了時に周波数は約1Hzであってよい。休止期間が終了するときに、光学インジケータ配置は照明されたままとなり、シーケンスの終了および休止期間の終了を示すことができる。
【0087】
休止期間の持続時間は薬剤の種類によって決まる。薬剤の種類または休止期間を、例えば、データ収集デバイスと共に動作するように構成されたアプリケーションを実行している携帯電話からデータ収集デバイスに通信することができる。
【0088】
光学インジケータ配置は、最近摂取した薬剤用量に関するフィードバックを与えるように構成される。ユーザがデータ収集デバイスの第2の部分24を押すと、データ収集デバイスは、いつ最終用量が送達されたかを確認する。ユーザはデータ収集デバイスの第2の部分24を押して、薬剤の送達を開始するか、または具体的には最終用量送達からの時間についての情報を要求することができる。データ収集デバイスは、摂取した用量の通知が、スイッチ53、現在の時間、および最終用量送達の時間の観察により与えられる予定であるかを判定する。ある期間、例えば前1時間に大きな用量(例えば2単位超)が送達されていないと判定されると、光学インジケータ配置は薬剤の送達が可能にされることを示す。例えば、光学インジケータ配置は1秒間、緑色に光ることができる。代わりに、ある期間内に大きな用量が送達されたと判定されると、光学インジケータ配置は、例えば赤色の警報を発する、または放つことができる。
【0089】
光学インジケータ配置は、データ収集デバイスの寿命の終了に関するフィードバックを与えるように構成される。エラーまたは空のバッテリのような他の解決不可能な問題が検出されると、データ収集デバイスは、例えば、少なくとも数時間、赤色に点滅するように光学インジケータ配置を操作することにより、これを示す。
【0090】
ユーザが遠位を向いた力を第2の部分から除去すると、注射デバイス内からのばね力により、用量ボタン11がカプセル244および第2の部分24を元の位置に戻す。
【0091】
図7のデータ収集デバイス220は、
図6のデータ収集デバイスに非常に類似している。しかしながら、異なる機構は第2の部分24を遠位方向に保持する。注射デバイス1は
図7a~
図7eにはないが、
図8には示される。
【0092】
図7bおよび
図7dにおいて、構造19a~19cが明確に示される。構造が2つの主部を有することがわかるだろう。近位に位置する部分221は、あらゆる寸法において投与量ノブ12の対応する構造17の形状に十分に対応する形状を有する凹部である。遠位に位置する部分222は、遠位方向外方に広がる口を有する。部分222の口は、データ収集デバイス240が注射デバイス1上に配置されたときに投与量ノブ12の構造17の近位端をつかむように機能する。そして、口の側面により回転位置合わせの調節が行われて、投与量ノブ12の構造17が第1の部分23の構造19a~19cの近位に位置する部分221に案内される。完全に装着されると、第1の部分23の構造19a~19cの遠位に位置する部分222は、投与量ノブ12の構造17に半径方向に係合する。これに
より、注射デバイス1上におけるデータ収集デバイス220の正確な軸方向位置合わせを助け、摩擦により注射デバイス上でデータ収集デバイス220を保持することを助ける。
【0093】
特に
図7aおよび
図7dを参照して説明したが、構造19の構成および動作は、本明細書で具体化されたデータ収集デバイスのすべてについて同じであってよい。
【0094】
第2の部分24は柱245を含む。第1の部分23の第3の要素248は半径方向内方に延びるカラー225を含む。カプセル244は環状首部224を含む。首部224は、回転的に(rotationally)ロックされた連結で柱245の周りに嵌合する。柱245はカプセル244に対してわずかに遠位方向に動いて、用量送達手順の開始時にスイッチ53を起動することができるが、用量送達の開始前にはカプセル244に対して動くことができない。
【0095】
柱245および首部224は、互いに対する部材の軸方向運動を制限する相互動作機能を有する。特に、1つまたはそれ以上の突起228が1つまたはそれ以上の窪み229に嵌入する。カプセル244に対する第2の部分24の動きは、1つまたはそれ以上の突起228に関して、1つまたはそれ以上の窪み229の端部により制限される。この例では、突起228が柱245に設けられ、窪み229が首部224に設けられるが、当業者により代替配置が構想されるだろう。
【0096】
低摩擦面が、カラー225の半径方向内端と首部224の半径方向外面との間に設けられる。したがって、第1の部分23とカプセル244とは、用量送達中に互いに対して回転することができる。データ収集デバイス240の外径よりもデータ収集デバイスの長手方向軸に半径方向に近い位置で、第2の部分24が第1の部分に回転可能に連結される。比較的半径方向内方位置に第1の部分23とカプセル244/第2の部分24との接触面を設けることが有利である。特に、これにより接触面積が小さくなるため、摩擦が低減する。したがって、用量送達中に第1の部分23と第2の部分24とを互いに対して回転させるのに必要なトルクが小さくなる。これにより薬物送達が向上し、注射デバイス1とデータ収集デバイス220との組合せをより容易に使用できるようになる。
【0097】
図7eに見られるスロット付きディスク249により、センサ51が第2の部分24に対する第1の部分23の回転量を検出することができる。特に、一方の部分、例えば第2の部分24のフォトダイオードまたは他の光学センサ51がスロット付きディスク249に向けられ、このディスク249は他方の部分、例えば第1の部分23と共に回転する。センサ51は、スロット付きディスク249が動くときにセンサ51に対するスロットの位置に従って変化する量だけ反射または透過する光を検出する。したがって、センサ51に対するスロット付きディスク249の回転によって、センサにより検出される信号が変化する。
【0098】
センサ出力を使用して回転量を判定する2つの主な代替案がある。第1に、高強度パルスまたは低強度パルスの数を数えて回転量を導き出すことができる。高強度パルスまたは低強度パルスを、例えば閾値回路を使用して検出することができる。あるいは、低強度から高強度への変化または高強度から低強度への変化の数を数えてもよい。例えば微分回路を使用して変化を判定してもよい。変化の数を数えることは、正確な強度閾値を使用することに依存しないため、十分な確実性をもたらす。いずれの場合にも、センサ51を通るスロットの数を数えて、そこから送達される用量を計算することができる。
【0099】
図7および
図8のデータ収集デバイスにはディスプレイがないが、代わりに送達用量を表示するためのディスプレイを設けてもよい。
【0100】
次に、
図7および
図8のデータ収集デバイス220の動作について説明する。最初に、ユーザが注射デバイス1に用量をダイヤル設定する。これは、ユーザがデータ収集デバイス220の第1の部分23を回転させることにより達成される。回転力が投与量ノブ12に伝わり、投与量ノブ12も回転する。用量がダイヤル設定されているときに、第2の部分24も第1の部分に伴って回転する。ダイヤル設定中、PCB242の電子機器には電力が供給されない。
【0101】
ユーザは、所望の用量をダイヤル設定すると、第2の部分24を押して用量の送達を開始する、すなわち注射を開始する。最初は、第2の部分24が、1つまたはそれ以上の突起228が1つまたはそれ以上の窪み229に嵌入する相互動作によって可能にされる距離の一端から他端へ遠位方向に動く。行程の限界で、または限界近くで、第2の部分24の位置がスイッチ53を起動する。これにより、PCB242の電子機器に電力を供給してこれらを起動する。第2の部分24のさらなる動きが第1の部分23内のカプセル244の動きに伝わる。これは用量ボタン11の遠位方向への動きに伝わる。用量ボタン11が用量送達を開始するのに十分なだけ動くと、投与量ノブ12が、用量ボタン11を含む注射デバイス1の残りの部分に対して回転し始める。したがって、第1の部分23は第2の部分24に対して回転する。ユーザが第2の部分24を押すのをやめると、または全用量が送達されると、第2の部分24に対する第1の部分23の回転が停止する。生じた回転の量が送達用量を示す。回転量はセンサ51により検出され、これを使用して送達用量を計算する。その後、送達用量を、ディスプレイ22aに表示することができ、かつ/または、プロセッサ配置の一部であっても一部でなくてもよい非一時メモリまたは一時メモリに記憶させることができる。
【0102】
ユーザが遠位を向いた力を第2の部分から除去すると、注射デバイス内からのばね力により、用量ボタン11がカプセル244および第2の部分24を元の位置に戻す。
【0103】
図9a~
図9eは、データ収集デバイス20の変形形態である第3の代替データ収集デバイス120の様々な図である。
【0104】
図10a~
図10dは、データ収集デバイス20の変形形態である第4の代替データ収集デバイス140の様々な図である。
【0105】
これらの図において、参照符号は、同様の要素について
図2、
図6、
図7、および
図8のものを引き続き使用する。特に記載のない限り、または不可能でない限り、
図2、
図6、
図7、および
図8のデータ収集デバイスの機能が
図9および
図10のデータ収集デバイスに存在する。また、特に記載のない限り、いずれか1つのデバイスの機能が、他のデバイスのすべてに存在する。
【0106】
図9および
図10のデータ収集デバイスは、第2の部分24が、第1の部分23よりも大きい、ユーザが接触可能な外側表面積を持つという共通の特徴を有する。
【0107】
データ収集デバイスを案内して、用量ボタン11を使用して軸方向位置合わせを修正するように機能する第1の部分23の第2の要素247の形状が、
図9aおよび
図9eに明確に見られる。
図9aにおいて、用量ボタン11が押し下げられた状態で示されるため、この図では第1の部分23の第2の要素247に係合して示されていない。第2の要素247は、データ収集デバイスが注射デバイスに連結されたときに注射デバイスの用量ボタンの周りに少なくとも部分的に嵌合するように形成されている。
【0108】
図9のデータ収集デバイス120では、第2の部分24が比較的大きい。第2の部分24内で、ばね121が2つの電源(例えばバッテリ)54をPCB242の遠位面に対し
て付勢する。導体122は、近位電源54の近位面とPCB242との間に電気回路を形成する。スイッチ53がPCB242の近位面に形成される。図示したように、スイッチ53はばね端子を含むことができる。ばね端子は、第2の部分24が第1の部分23に対して遠位方向に動いたときに動いてスイッチ53を動作させる。スイッチ53を動作させるのに必要な力は、注射デバイス1から薬剤を送達するのに必要な力よりも小さい。スイッチ53の動作を使用してデータ収集デバイスの部材への電力供給をトリガすることにより、用量送達の開始前にデータ収集デバイスの部材に電力が供給される。例えば、スイッチ53を動作させるのに必要な力は約2N、またはより一般的には1N~5Nであってよい。
【0109】
第1のカラー124がカプセル244の遠位端から遠位方向に向けられる。第2のカラー125が、カプセル244の遠位端から遠位に延びる。第2のカラー125は第1のカラー124の外側にあり、これらは同心である。
【0110】
第2のカラー125および第2の部分24は、互いに対する部材の軸方向運動を制限する相互動作機能を有する。特に、1つまたはそれ以上の突起228が1つまたはそれ以上の窪み229に嵌入する。カプセル244に対する第2の部分24の動きは、1つまたはそれ以上の突起228に関して、1つまたはそれ以上の窪み229の端部により制限される。この例では、突起228が第2のカラー125、およびしたがってカプセル244に設けられ、窪み229が第2の部分24に設けられるが、当業者により代替配置が構想されるだろう。
【0111】
第1のカラー124は用量ボタン11にぴったりと嵌合して、送達中にデータ収集デバイス120と注射デバイス1との軸方向位置合わせを助ける。ワッシャ(図示せず)を第1のカラー124と用量ボタン11との間に設けて、部材間の接触を向上させてもよい。データ収集デバイス120の装着中にも用量送達中にも、第1のカラー124は第1の部分23に接触しない。
【0112】
第1の部分23にはグリップ機能123が設けられる。グリップ機能123により、ユーザは、用量設定時に第1の部分を把持し、トルクを与えることによって第1の部分を回転させることができる。グリップ機能123は、概ね半径方向に延びる表面を提供し、ユーザはこの表面に力を与えて第1の部分23を回転させることができる。
【0113】
図9eから最もよくわかるように、第1の部分23はコネクタ配置230、231、228によって第2の部分24に連結される。特に、第1の部分23は、遠位方向を向いた当接面を有する第1のLセクション部材231を含む。これは、第1の部分23の一部として形成される。第2の部分24の一部を形成する第2のLセクション部材230が支持部232に連結され、この支持部232はPCB242、第1のカラー124、および第2の部分24の他の部材に連結される。第2のLセクション部材230は、近位方向を向いた当接面を有する。第2のLセクション部材230およびこれに連結される他の部材は、力を加えて第1および第2のLセクション部材231、230の当接面が共に位置するようにスナップ嵌めすることによって、製造中に第1の部分23に取り付けられる。第1のLセクション部材231への第2のLセクション部材230のスナップ嵌めは、わずかに近位方向を向いた第1のLセクション部材231の傾斜面によって容易になる。
【0114】
電源54を第2の部分24内に入れた後、第3のLセクション部材228がすでに嵌合された状態の第2の部分の本体234を、第2のLセクション部材230上にスナップ嵌めする。スナップ嵌めは、わずかに遠位方向を向いた第3のLセクション部材228の傾斜面によって容易になる。その後、第3のLセクション部材の近位を向いた当接面は、第2のLセクション部材228の遠位を向いた当接面に当接する。この配置によりばね12
1を圧縮させて維持することによって、電源54の良好な電気接続を確保する。これにより、簡単な製造プロセスおよび低コストの部材の使用も可能になる。
【0115】
第1の部分23が第2の部分24に嵌合すると、第1および第2のLセクション部材230、231の表面間の低摩擦接触により、第1の部分23と第2の部分24とは互いに対して回転する。関連する表面の適切な被覆により、または部材自体の適切な材料の選択により、低摩擦接触をもたらすことができる
【0116】
注射デバイス1上へのデータ収集デバイス120の装着中、力が軸方向に加えられる。装着中に、ユーザが力を第2の部分24に加える可能性がある。この場合、力は第1の部分に伝わり、第3のLセクション部材228の遠位端、またはより一般的には本体234によって、第1の部分23が投与量ノブ12上に、第1の部分23の近位を向いた面235に対して嵌合する。装着後、データ収集デバイス120により与えられるばね力は、第2の部分24を第1の部分23に対して近位方向に押す。このばね力は、用量送達中に注射デバイス1により与えられる反力よりも大きい(反力は、内部部材の動きおよび針を通る薬剤放出による流体力からの摩擦によって主に生じる)。したがって、第3のLセクション部材228の遠位端、またはより一般的には本体234は、用量送達中に第1の部分23の近位を向いた面235に接触しない。用量送達中にこれらが接触すれば、摩擦力が第1の部分23と第2の部分24との回転運動に対抗する。
【0117】
図9のデータ収集デバイス220にはディスプレイがないが、代わりに送達用量を表示するためのディスプレイを設けてもよい。
【0118】
次に、
図9のデータ収集デバイス220の動作について説明する。最初に、ユーザが注射デバイス1に用量をダイヤル設定する。これは、ユーザがデータ収集デバイス220の第1の部分23を回転させることにより達成される。回転力が投与量ノブ12に伝わり、投与量ノブ12も回転する。用量がダイヤル設定されているときに、第2の部分24も第1の部分に伴って回転する。ダイヤル設定中、PCB242の電子機器には電力が供給されない。
【0119】
ユーザは、所望の用量をダイヤル設定すると、第2の部分24を押して用量の送達を開始する、すなわち注射を行う。最初は、第2の部分24が、1つまたはそれ以上の突起228と1つまたはそれ以上の窪み229との相互動作によって可能にされる距離の一端から他端へ遠位方向に動く。行程の限界で、または限界近くで、第2の部分24の位置がスイッチ53を起動する。これにより、PCB242の電子機器に電力を供給してこれらを起動する。第2の部分24のさらなる動きがカプセル244の遠位方向への動きに伝わる。これは用量ボタン11の遠位方向への動きに伝わる。用量ボタン11が用量送達を開始するのに十分なだけ動くと、投与量ノブ12が、用量ボタン11を含む注射デバイス1の残りの部分に対して回転し始める。したがって、第1の部分23は第2の部分24に対して回転する。ユーザが第2の部分24を押すのをやめると、または全用量が送達されると、第2の部分24に対する第1の部分23の回転が停止する。生じた回転の量が送達用量を示す。回転量はセンサ51により検出され、これを使用して送達用量を計算する。その後、送達用量を、ディスプレイ22aに表示することができる。
【0120】
ユーザが遠位を向いた力を第2の部分から除去すると、注射デバイス内からのばね力により、用量ボタン11がカプセル244および第2の部分24を元の位置に戻す。
【0121】
第1の部分23が比較的小さく、第1の部分のどの部分も第2の部分24の近位面近くにないため、ユーザは、第2の部分24を使用して用量送達を行うときに、第1の部分23との接触を容易に避けることできる。これは、ユーザが第2の部分24を操作するのに
親指を使用するか人差し指を使用するかに関係なく同じである。
【0122】
図10のデータ収集デバイス140は、
図9のデータ収集デバイス120に非常に類似している。
【0123】
1つの主な違いは、データ収集デバイス140が、マクロ機能123の代わりに、高摩擦材料から形成されたグリップ要素141を含んで、ユーザが注射デバイスに用量をダイヤル設定するグリップを設けることである。グリップ要素141はバンドの形である。グリップ要素は、第1の部分23の外面に設けられた溝142に嵌入する。
【0124】
別の主な違いは、データ収集デバイス140が全体として円錐形であることである。データ収集デバイス140の直径は、遠位端よりも近位端で大きい。これにより、ユーザは、第2の部分24を使用して用量送達を行うときに、第1の部分23との接触を避けることがさらに容易になる。これは、ユーザが第2の部分24を操作するのに親指を使用するか人差し指を使用するかに関係なく同じである。
【0125】
図10bは、第2の部分24に対する第1の部分23の回転を検出および測定することのできるスロット付きディスク249を示す。この例では、スロット付きディスク249は波形タイプである。ここでは、スロットがディスク249の全体にわたって延びるのではなく、ピットまたは溝を形成する。ピットまたは溝の底部は、センサに最も近いディスクの表面に対して異なる反射率を示してもよい。したがって、
図7eを参照して前述したものと略同じ方法でディスク249の動きを検出することができる。さらにあるいは、スロット付きディスクを有する代わりに、センサ51とは反対の第1の部分23の表面を、交互のパターンで異なる反射率を示すように設計してもよい。
【0126】
図10のデータ収集デバイスにはディスプレイがないが、代わりに送達用量を表示するためのディスプレイを設けてもよい。
【0127】
図11はデータ収集デバイス20、120、140、220、240のブロック図である。データ収集デバイス20はプロセッサ配置50を含み、このプロセッサ配置50は、プロセスマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つまたはそれ以上のプロセッサと、プロセッサ配置50により実行されるソフトウェア、および計数されたパルス、導き出された用量サイズ、タイムスタンプなどのデータ収集デバイスの使用中に生成されたデータを記憶することのできるプログラムメモリ52aおよびメインメモリ52bを含むメモリユニット52a、52bとを含む。スイッチ53は、操作されると、センサ配置51を含むデバイスの電子部材に電源54を接続する。ディスプレイ22aは存在しても存在しなくてもよい。
【0128】
第1および第2の電気接点30、31は、係合時にプロセッサ配置50とディスプレイ22aとのデータ接続をもたらすことができる。
【0129】
1つまたはそれ以上のセンサを含むセンサ配置51は、第1の部分23と第2の部分24との回転運動を検出するために設けられる。
【0130】
センサ配置51の分解能は、注射デバイス1の設計により判定される。センサ配置51の適切な角度分解能を式(1)により判定することができる:
【数1】
【0131】
例えば、投与量ノブ12の完全な1回転が24IUの薬剤投与量に対応する場合には、センサ配置51の適切な分解能は15°以下である。
【0132】
図2の実施形態において、
図3および
図11に示すように、1つまたはそれ以上の第1の磁石56aが第1の部分23の内面の周囲に設けられ、1つまたはそれ以上の第2の磁石56bが第2の部分24の外面の周囲に設けられる。センサ配置51は、第1の部分23および第1の磁石56aが第2の部分24および第2の磁石56bに対して回転するときに、ホール効果に基づき磁場の変化によって出力を変化させるトランスデューサである。
【0133】
薬剤が注射デバイス1から排出されるときに第1の部分23が投与量ノブ12と共に回転するため、センサ配置51により測定された回転の角度は、排出される薬剤の量に比例する。注射デバイス1に含まれる薬剤のゼロレベルまたは絶対量を判定する必要はない。さらに、投与量窓13を通して表示される数字スリーブ70の数字または目盛りを監視する必要がないため、投与量窓13を覆い隠さないようにデータ収集デバイス20を設計することができる。
【0134】
送達された薬剤量は、注射デバイス1にプログラムされた投与量から独立してデータ収集デバイス20により判定される。送達された薬剤量を判定することにより、設定された、したがって投薬予定の薬剤の量を判定するデータ収集デバイスと比べて、注射された薬剤の量についての直接的な、したがってより確実な情報が得られる。
【0135】
しかしながら、他の実施形態において、異なるタイプのセンサを使用してもよい。例えば、トランスデューサの代わりに、センサ配置は、微小電気機械(MEMS)デバイス、または磁場の変化を検出するための他の磁気センサを含んでもよい。センサ配置の別の例は、発光ダイオード(LED)などの光源と、光トランスデューサなどの光検出器とを含む光学式エンコーダであり、これは第1の部分の内面から反射した光の変化を監視し、第1の部分の内面は、目盛りまたは少なくとも1つの成形された反射領域などの、反射率が変化する1つまたはそれ以上の領域を周囲に有する。そのようなセンサ配置は、前述した第2~第4の変形形態で使用される。
【0136】
他の実施形態において、センサ配置51は電位差計であってよい。さらに別の実施形態において、容量センサ配置を使用してもよく、ここでは第1の部分23に設けられた要素がセンサ配置の2つのプレート間のキャパシタンスに影響する。さらなる例において、機械的スイッチおよび/またはトラックを有する機械的センサを使用して、第1および第2の部分23、25間の相対回転を検出してもよい。
【0137】
詳細に説明した実施形態は、あるタイプのセンサのみをセンサ配置51に含むが、センサ配置26が1つまたはそれ以上のタイプの複数のセンサを含む他の実施形態を考案してもよい。
【0138】
出力57が設けられ、これはWi-Fiもしくはブルートゥース(登録商標)などの無線ネットワークを介して別のデバイスと通信する無線通信インターフェースであるか、またはユニバーサルシリアルバス(USB)、ミニUSB、もしくはマイクロUSBコネク
タを受けるためのソケットなどの有線通信リンク用のインターフェースであってよい。
図12は、データ収集デバイス20が、データ転送のために有線接続61を介してパーソナルコンピュータ60などの別のデバイスに接続されたシステムの例を示す。例えば、プロセッサ配置50は、ユーザにより薬剤量が投与されるときに、注射についての判定された送達薬剤量およびタイムスタンプを記憶し、続いて、記憶したデータをコンピュータ60に転送することができる。コンピュータ60は治療ログを維持し、かつ/または治療履歴情報を、例えば医療専門家による検討のために遠隔位置に送る。
【0139】
本実施形態によれば、データ収集デバイス20は、最大35の注射事象の送達薬剤量およびタイムスタンプなどのデータを記憶するように構成される。1日1回の注射治療によれば、これは約1カ月の治療履歴を記憶するのに十分である。データ記憶装置は先入れ先出しの方法で整理され、最新の注射事象がデータ収集デバイス20のメモリに常に確実に存在するようにする。コンピュータ60に転送されると、データ収集デバイス20内の注射事象履歴は削除される。あるいは、データはデータ収集デバイス20内に残り、新しいデータが記憶されると最も古いデータが自動で削除される。このようにして、データ収集デバイス内のログは使用中に徐々に蓄積され、常に最新の注射事象を含む。あるいは、他の構成が、治療の必要および/またはユーザの好みに応じて、70(1日2回)、100(3カ月)または他の適切な数の注射事象の記憶容量を含んでもよい。
【0140】
別の実施形態において、出力57を、無線通信リンクを使用して情報を送信するように構成してもよく、かつ/またはプロセッサ配置23を、そのような情報をコンピュータ40に周期的に送信するように構成してもよい。
【0141】
電源スイッチ58が電源59と共に設けられる。一部の実施形態において、電源スイッチ58を第1および第2の電気接点30、31またはスイッチ53により設けることができる。電源スイッチ58は、データ収集デバイス20の電源を入れるまたは切ることにより第2の部分24に加わる圧力に応答するため、注射デバイス1が使用されていないときに電力を節約することができる。そのような配置において、データ収集デバイス20に再び電力が供給され、プロセッサ配置50はディスプレイ22aを制御して、ユーザの記憶力を助けるための判定された薬剤用量情報22aおよび/または判定された薬剤用量が送達されてからの経過時間を示すことができる。例えば、プロセッサ配置23により、ディスプレイ22aは、最新の判定された薬剤投与量情報と経過時間との表示を周期的に切り替えることができる。
【0142】
電源54はバッテリであってよい。一部の実施形態において、エンドプレート22は充電式バッテリを充電するためのソーラーパネルを含むことができる。電源は1つのコイン電池、または直列もしくは並列に配置された複数のコイン電池であってよい。
【0143】
別の実施形態において、電源54は圧電発電機であってよく、これはユーザによりエンドプレート22が押されたときに電力を発生させて、場合によりバッテリの必要をなくす。
【0144】
タイマ55も設けられる。データ収集デバイス20のスイッチを入れるおよび切ることに加えて、またはその代わりに、スイッチ53または第1および第2の電気接点30、31を、係合および/または係合解除時にタイマ55をトリガするように配置してもよい。例えば、第1および第2の電気接点30、31の係合時もしくは係合解除時の両方、またはスイッチ53の動作時および動作停止時の両方でタイマ55がトリガされる場合には、プロセッサ配置50はタイマからの出力を使用して、注射ボタン11が押された時間長さを判定する、例えば注射の持続時間を判定する。
【0145】
あるいはまたは加えて、プロセッサ配置50はタイマ55を使用して、第1および第2の電気接点30、31の係合解除またはスイッチ53の動作停止の時間により示される、注射終了から経過した時間長さを監視することができる。場合により、
図2に示すように、経過時間をディスプレイ22a上に示してもよい。また、場合により、第1および第2の接点30、31が次に係合したとき、またはスイッチ53が次に動作されたときに、プロセッサ配置50は経過時間を所定の閾値と比べて、ユーザが前の注射後に別の注射を早すぎるタイミングで投与しようとしている可能性があるかどうかを判定する。早すぎるタイミングで投与しようとしている場合には、可聴信号および/またはディスプレイ22a上の警告メッセージなどの警報を発する。他方、経過時間が非常に短い場合には、ユーザが薬剤量を「分割用量」として投与していることを示すことができ、プロセッサ配置50は、投与量がそのように送達されたことを示す情報を記憶することができる。そのような状況で、数秒、例えば10秒から数分、例えば5分までの範囲で経過時間を所定の閾値と比べる。一例によれば、所定の閾値は2分に設定される。最後の注射から経過した時間が2分以下である場合、プロセッサ配置50は、投与量が「分割用量」として送達されたことを示す情報を記憶する。プロセッサ配置50により経過時間を監視する別のオプションの目的は、経過時間が所定の閾値を過ぎたときを判定して、ユーザが別の注射を投与することを忘れていたかもしれないことを提示し、忘れていた場合には警報を発することである。
【0146】
薬剤が投薬されるときに回転可能な部材を注射デバイス1が含む場合に、データ収集デバイス20が使用される。しかしながら、一部の注射デバイスでは、用量送達中に投与量ノブが回転しない。しかしながら、第1の部分23を直接または間接的に取り付けることのできる別の回転可能部材が投与量ノブの近くにあってよい。
図13は、そのような注射デバイス80の例を示す。
図13では、
図1に示す注射デバイス1のものと同様の部材が同じ参照符号を用いて示される。また、注射デバイス80は、キャップ18が定位置にあり、針および薬剤チャンバを覆っている状態で示される。
【0147】
この注射デバイス80の特定の例において、注射ボタンと投与量ノブとは、単一の部材であるノブ81によって設けられる。ノブ81を回すことにより薬剤投与量を注射デバイス72にプログラムすることができる。このノブ81はスリーブ82を回転させ、スリーブ82は、プログラムされた投与量が増加するにつれて注射デバイス70のハウジング83から外方へ延びる。
図1に関連して前述したように、ノブ81を回すと数字スリーブ70も回るため、投与量が投与量窓13に表示される。
【0148】
ノブ81を押して注射またはプライムショットを投与すると、ノブ81がスリーブ82から部分的にデカップリングされるため、ノブ81とスリーブ82とは互いに独立して回転することができる。薬剤が注射デバイス80から排出されると、スリーブ82は回転し、ハウジング83に入る。その間、ノブ81はハウジング側へ動くが回転しない。
【0149】
図14は、第1の部分を直接取り付けることのできる回転可能部材を有していない
図13の注射デバイス80と共に使用可能な、さらなる実施形態によるデータ収集デバイス72のブロック図である。
図2のデータ収集デバイス20の部材に対応するデータ収集デバイス72の部材は、同じ参照符号で示される。
【0150】
データ収集デバイス72に伝達配置73が設けられる。伝達配置73は、データ収集デバイス72が注射デバイスに取り付けられたときに、薬剤の排出時に回転する注射デバイスの部材に係合するように構成される。伝達配置73は、第1の部分74を第2の部分75に対して回転させることにより回転可能部材の回転に応答する。
【0151】
特定の例において、伝達配置73は第2の部分75に取り付けられ、摩擦車76を含む
。この特定の例において、摩擦車76は略球形またはボール形状を有し、データ収集デバイス72が注射デバイス80に取り付けられたときにノブ81上を通過することができ、例えばデータ収集デバイス20および
図5を参照して説明したものと同様のロッキング機構を使用するときに、第1の部分74と第2の部分75との軸方向運動を可能にするようになっている。摩擦車76を弾性アーム77により第2の部分75に取り付けて、データ収集デバイス72の取付けまたは取外し時にノブ81上での摩擦車76の動きを容易にすることができる。
【0152】
図14は伝達配置73が1つの摩擦車76を含む実施形態を示すが、他の実施形態は、1つまたはそれ以上の追加の摩擦車76、例えば2つまたは3つの摩擦車を含むことができる。そのような追加の摩擦車76を設けることにより、スリーブ82と第1の部分74との回転の伝達の確実性を高めることができる。
【0153】
図14に示すように、注射デバイス80のノブ81は第2の部分75に接触している。1つまたはそれ以上の弾性パッド45を第2の部分75とノブ81との間に設けて、これらの係合を向上させることができる。注射デバイス80のノブ81の構造71a、71b、71c、弾性パッド45、および第2の部分75の弾性部分と協働するように構成された構造(図示せず)の1つまたはそれ以上を、第2の部分75とノブ81との係合を強化するように設けて、第2の部分75の回転によりノブ81を回転させ、ノブ81の回転により第2の部分75を回転させるようにしてもよい。
【0154】
しかしながら、その場合、第1の部分74はノブ81に接触せず、または直接係合しない。したがって、
図5に関して前述したように、第1の部分74と第2の部分75とを共にロックして、第1の部分74を回して第2の部分75、したがってノブ81を回転させることにより、注射デバイス80をプログラムすることができるようになっている。投与量がプログラムされると、ユーザは第2の部分75を押すことによりノブ81を押し下げて、プログラムされた薬剤の量を注射デバイス80から投薬することができる。第1の部分74に対する第2の部分75の軸方向運動により、第2の部分75に対する第1の部分74の回転を防止するロッキング機構を解放する。
【0155】
薬剤が排出されると、ノブ81はハウジング83側へ動くが回転しない。スリーブ82は回転し、ハウジング83内へ戻る。スリーブ82の回転が、伝達配置73を通して第1の部分74に伝達される。これにより、第1の部分74は第2の部分75に対して回転する。その後、
図2のデータ収集デバイス20に関連して前述したように、センサ配置51は、薬剤投与量を判定可能な回転の角度を検出する。
【0156】
詳細に前述した特定の実施形態は、本発明を実施できる方法の例としてのみ意図されたものである。データ収集デバイス20、120、140、240、220および/または注射デバイス1、80の構成の多くの変形形態が考えられる。以下で、いくつかのそのような変形形態について説明する。
【0157】
図2の実施形態のスイッチ53は電気接点から形成され、スイッチの第1~第4の変形形態に含まれる。スイッチは、例えば、レバースイッチ、ドームスイッチ、スライダスイッチ、ゴムキーパッドスイッチであってよい。スイッチは、容量タッチスイッチまたは抵抗タッチスイッチであってもよい。スイッチは触知できるマイクロスイッチであってもよい。スイッチ53は、一般に、マイクロスイッチと呼ぶことができる。
【0158】
第1の部分23は、
図9に示す半径方向機能によって、または
図10に示すゴム引き部材によって、ユーザによる把持を容易にすることができる。あるいは、第1の部分23の周囲面を粗くしても、接着剤もしくは触知できる被覆を設けても、高摩擦材料で作るか高
摩擦材料で被覆しても、他の把持可能な機能を有してもよい。
【0159】
他の実施形態において、ばね要素が、カプセル242の遠位端の中央に、中央近位部分で連結され、第1の部分23に遠位周囲部分で連結される。ばね要素の中央部を受ける機能、例えば凹みがカプセル244に設けられる。第2の部分24が遠位方向に押されていないとき、ばね要素は用量ボタン11に接触することができない。第2の部分24が遠位方向に押されているとき、ばね要素は圧縮して力を用量ボタン11に伝える。この配置は、カプセル244の位置を案内するのに伴って、第1の部分23が第2の部分24に対して回転するための低摩擦の回転中心をもたらすことができる。また、この配置は良好な軸方向公差補償をもたらすことができる。さらに、これにより、スイッチ53を動作させるのに十分な力を加えたときに大きく圧縮しないばねを選択することによって、注射デバイス1の用量送達機構の起動前にスイッチの良好な連続起動を行うことができる。
【0160】
また、上記の実施形態をインスリン注射器ペンからのデータ収集に関して説明したが、本発明の実施形態を、他の薬剤の注射の監視などの他の目的で使用してもよいことに留意されたい。
【0161】
注射デバイス1は、薬剤を患者に注射または注入するように構成される。例えば、送達は皮下、筋肉内、または静脈内であってよい。送達は無針であってもよい。注射デバイス1は、患者または看護師もしくは医師などの介護者が操作することができ、様々なタイプの安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器のうちの1つであってよい。注射デバイス1は、使用前に封止されたアンプルを穿孔する必要のあるカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスにより送達される薬剤の量は、約0.5ml~約2mlであり得る。注射デバイス1は、一定期間(例えば、約5分、15分、30分、60分、または120分)、患者の皮膚に付着して「大量の」薬剤(通常、約2ml~約10ml)を送達するように構成された大量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプであってよい。特定の薬剤と組み合わせて、必要な仕様内で動作するように注射デバイス1をカスタマイズしてもよい。例えば、注射デバイス1を、ある期間(例えば、自動注射器の場合に約3秒~約20秒、かつLVDの場合に約10分~約60分)内で薬剤を注射するようにカスタマイズしてもよい。他の仕様は、低レベルまたは最小レベルの不快感、または人的要因、保存期間、使用期限、生体適合性、環境への配慮などに関連したある条件を含み得る。そのような変形形態は、例えば、粘性が約3cP~約50cPの薬物などの様々な要因によって生じ得る。したがって、注射デバイス1は、サイズが約25ゲージ~約31ゲージの中空針を含むことができる。一般的なサイズは27ゲージおよび29ゲージである。
【0162】
注射デバイス1は、1つまたはそれ以上の自動化機能を含むこともできる。例えば、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの1つまたはそれ以上を自動化してもよい。1つまたはそれ以上の自動化工程のためのエネルギーを、1つまたはそれ以上のエネルギー源により供給することができる。エネルギー源には、例えば、機械エネルギー、空気エネルギー、化学エネルギー、または電気エネルギーが含まれる。例えば、機械エネルギー源には、エネルギーを貯蔵または放出するためのばね、レバー、エラストマー、または他の機械的機構が含まれる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を組み合わせて単一のデバイスにしてもよい。デバイスは、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の部材の動きに変換するための歯車、弁、または他の機構をさらに含むことができる。
【0163】
そのような注射デバイス1の1つまたはそれ以上の自動化機能を、起動機構を介して各々起動することができる。そのような起動機構は、ボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動部材のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。自動化機能の起動は、一工程または多工程プロセスであってよい。すなわち、ユーザは、自動化機能を生じ
させるために1つまたはそれ以上の起動部材を起動する必要があり得る。例えば、一工程プロセスでは、ユーザがニードルスリーブを自分の身体に対して押し下げて、薬剤を注射できるようにしてもよい。注射デバイス1は、自動化機能の多工程起動を必要とすることがある。例えば、ユーザは、ボタンを押し下げ、ニードルシールドを後退させて注射を行う必要があり得る。
【0164】
加えて、1つの自動化機能の起動により、1つまたはそれ以上の後に続く自動化機能を起動するため、起動シーケンスを形成することができる。例えば、第1の自動化機能の起動により、針の挿入、薬剤の注射、および針の後退のうちの少なくとも2つを起動することができる。また、注射デバイス1は、1つまたはそれ以上の自動化機能を生じさせるために一連の特定の工程を必要とすることがある。注射デバイス1は一連の独立した工程で動作することができる。
【0165】
注射デバイス1は、安全シリンジ、ペン型注射器、または自動注射器のうちの1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。例えば、注射デバイス1は、薬剤を自動で注射するように構成された機械エネルギー源(通常、自動注射器に見られる)および用量設定機構(通常、ペン型注射器に見られる)を含むことができる。
【0166】
注射デバイス1は使い捨てであっても再使用可能であってもよい。
【0167】
注射デバイス1は、固定用量またはユーザ設定可能な用量を提供することができる。薬物または薬剤は、薬物送達デバイスと共に使用するように適用された一次パッケージまたは「薬物容器」に含まれる。薬物容器は、例えば、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を保存(例えば、短期保存または長期保存)するための適切なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の容器であってよい。例えば、場合によって、チャンバを、少なくとも1日(例えば、1日~少なくとも30日)、薬物を保存するように設計してもよい。場合によって、チャンバを、約1カ月~約2年、薬物を保存するように設計してもよい。保存は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことができる。場合によって、薬物容器は、薬物製剤の2つ以上の成分(例えば、薬物および希釈剤、または2つの異なる種類の薬物)を別個に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジであってよく、または二重チャンバカートリッジを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバを、ヒトまたは動物の身体への投薬前および/または投薬中に薬物または薬剤の2つ以上の成分を混合できるように構成してもよい。例えば、2つのチャンバを、(例えば、2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、投薬前にユーザの希望に応じて2つの成分を混合できるように構成してもよい。あるいはまたは加えて、2つのチャンバを、成分がヒトまたは動物の身体に投薬されているときに混合できるように構成してもよい。
【0168】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、たとえば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0169】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、たとえばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体もしくはGLP-1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻
害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(たとえば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0170】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0171】
例示的なインスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP-1、GLP-1類似体およびGLP-1受容体アゴニストは、たとえば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン-4(Exendin-4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC-2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド(Exenatide)-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0172】
例示的なオリゴヌクレオチドは、たとえば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0173】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0174】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0175】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG-F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0176】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(たとえばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。たとえば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、たとえば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0177】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0178】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0179】
例示的な抗体は、アンチPCSK-9mAb(たとえばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL-6mAb(たとえばサリルマブ(Sarilumab))、お
よびアンチIL-4mAb(たとえばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0180】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0181】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、たとえば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、たとえば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、たとえば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、たとえばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1~C6-アルキル基、場合により置換されたC2~C6-アルケニル基、場合により置換されたC6~C10-アリル基、または場合により置換されたC6~C10-ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0182】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物またはメタノラート(methanolate)またはエタノラート(ethanolate)などのアルカノラート(alkanolate)である。
【0183】
当業者は、本明細書に記載の物質、構造、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な構成要素を、本発明の全範囲および精神から逸脱することなく修正(追加および/または除去)してもよく、本発明はそのような修正およびそのあらゆる等価物を包含するものであることを理解するだろう。