(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ドライバアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16J 1/08 20060101AFI20221020BHJP
F16J 1/01 20060101ALI20221020BHJP
F16J 9/26 20060101ALI20221020BHJP
F16C 33/10 20060101ALI20221020BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F16J1/08
F16J1/01
F16J9/26 Z
F16C33/10 A
F15B15/14 345A
(21)【出願番号】P 2021514962
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 US2019056422
(87)【国際公開番号】W WO2020081620
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-03-17
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519250431
【氏名又は名称】キョウセラ センコ インダストリアル ツールズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー, デビッド ディー
(72)【発明者】
【氏名】マッカードル, トーマス エー
(72)【発明者】
【氏名】カビス, アンソニー ディー
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528331(JP,A)
【文献】米国特許第05295564(US,A)
【文献】国際公開第2017/056810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 1/00-1/24
F16J 7/00-10/04
F16C 33/10
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具で使用するための
ドライバアセンブリであって、
上部外面(20、120)と、底部外面(22、122)と、前記上部外面と前記底部外面との間に延びる側壁外面と
を有する可動ピストン(10、110)と、
前記可動ピストンの前記側壁外面を取り囲む内面(70)を有する中空シリンダ(71)と、
前記可動ピストンと機械的に連通している可動ドライバ(90)と、
ガイド本体(36)であって、前記可動ドライバを案内し、かつ前記ガイド本体の出口部分に向かって前記可動ドライバによって駆動されることになる締結具を受け入れるガイド本体(36)と
前記
可動ピストンの前記側壁外面の第1の凹部と、
前記
可動ピストンの前記側壁外面に沿って前記第1の凹部に配置され
、その中に保持された液体潤滑油を含む多孔質媒体であって、前記中空シリンダの前記内面に前記液体潤滑油を送出する多孔質媒体(24、124)
と、
前記中空シリンダの前記内面に予め適用された抗焼き付きグリースと
を備え、
前記可動ピストン(10、110)が前記中空シリンダを通って移動するときに、前記液体潤滑油及び前記抗焼き付きグリースの両方は、前記可動ピストンの前記側壁外面の近位の前記中空シリンダ(71)の前記内面の少なくとも一部に対して潤滑を与える、ドライバアセンブリ。
【請求項2】
前記
可動ピストンの前記
側壁外面に沿って
前記第1の凹部に対して異なる位置に位置する、前記
可動ピストンの前記側壁外面の第2の凹部と、
前記第2の凹部に配置された周囲シール(26、126)と、
を更に備える、
請求項1に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項3】
(a)前記多孔質媒体(24、124)は、1インチ当た
り60~80個の
範囲内での細孔の平均セル密度を有する連続気泡発泡体を含み、
又は、
(b)
前記多孔質媒体(24、124)は、発泡体を含む、
請求項1に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項4】
前記
可動ピストンの前記側壁外面
を取り囲む内面(70)を有する中空シリンダ(71)を更に備え、
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダ
(71)を通って移動するときに、前記多孔質媒体(24、124)は、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と物理的に接触し、
前記
可動ピストン(10、110)が前記
中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記液体潤滑
油は、前記
可動ピストンの前記側壁外面に近位の前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)の一部分を潤滑するために使用される、
請求項2に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項5】
前記
可動ピストンは、円形断面を呈し、前記多孔質媒体(24、124)は、環状形状であり、前記
周囲シール(26、126)は、環状形状である、
請求項2に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項6】
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記周囲シール(26、126)は、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と物理的に接触し、
前記周囲シール(26、126)は、前記
可動ピストンの往復運動の動作サイクル中に、前記液体潤滑
油の大部分が前記
可動ピストンの前記側壁外面の前記第2の凹部を通過して移動することを防止する、
請求項4に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項7】
固体粒子を含む前記抗焼き付きグリースは、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)に適用され
ている、
請求項4に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項8】
加圧ガスを収容する主貯蔵チャンバ(74)を更に備え、
前記
中空シリンダ(71)は、前記主貯蔵チャンバ(74)と空気連通している前記
可動ピストンの第1の側
(76)に可変変位容
積を含み、前記
中空シリンダ(71)は、外部環境と空気連通している前記
可動ピストンの第2の反対側
(75)に可変通気容
積を含み、
前記周囲シール(26、126)は、前記
可動ピストンの往復運動の動作サイクル中に、前記液体潤滑
油の大部分が前記外部環境内に移動するのを防止するが、前記液体潤滑
油は、前記液体潤滑
油が後の動作サイクルで再使用されることになる前記主貯蔵チャンバ(74)に向かって移動することを妨げられない、
請求項6に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項9】
可
動ピストン(10、110)を含む中空シリンダ(71)であって、前記
可動ピストンの第1の側
(76)に可変変位容
積を含み、前記
可動ピストンの第2の反対側
(75)に可変通気容
積を含む、中空シリンダ(71)を備え
、
前記
可動ピストン(10、110)は、
前記
可動ピストンの前記第2の
反対側
(75)に近位の金属で作製された第1の部分(22、122)であって、
複数のねじ山(28、128)を有するステムを含み、前記中空シリンダ(71)の内面(70)と物理的に接触しないように、外径が十分に小さい第1の部分(22、122)と、
前記
可動ピストンの前記第1の側
(76)に近位の非金属で作製された第2の部分(20、120)であって、
前記第2の部分(20、120)は、前記複数のねじ山(28、128)を有する前記ステムを含む前記第1の部分(22、122)を受け入れるねじ付き開口部を有し、前記第2の部分(20、120)は、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と摺動可能に接触する少なくとも1つの表面を含み、前記少なくとも1つの表面は、前記
可動ピストン(10、110)に対して摺動可能なベアリング面として機能する、第2の部分(20、120)と、
を備える、
ドライバアセンブリ。
【請求項10】
前記
可動ピストン
(10、110)の前記第1の部分
(22、122)及び前記
可動ピストン
(10、110)の前記第2の部分
(20、120)は、前記第1及び第2の部分が単一のピストンサブアセンブリとして常に一緒に移動するように、互いに対して拘束されている(32、34、132、134)、
請求項9に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項11】
前記
可動ピストン
(10、110)の
側壁外面の第1の凹部と、
前記第1の凹部に配置された多孔質媒体(24、124)であって、液体潤滑
油を含む多孔質媒体(24、124)と、
を更に備える、
請求項9に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項12】
前記多孔質媒体(24、124)は、発泡体を含む、
請求項11に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項13】
前記
可動ピストン
(10、110)の前記
側壁外面に沿って
前記第1の凹部に対して異なる位置に位置する、前記
可動ピストンの前記
側壁外面の第2の凹部と、
前記第2の凹部に配置された周囲シール(26、126)と、
を更に備える、
請求項11に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項14】
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記発泡体は、前記中空シリンダ(71)の内面(70)と物理的に接触し、
前記
可動ピストン(10、110)が前記中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記液体潤滑
油は、前記
可動ピストン
(10、110)の前記
側壁外面に近位の前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)の一部分を潤滑するために使用される、
請求項12に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項15】
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダ
(71)を通って移動するときに、前記周囲シール(26、126)が、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と物理的に接触し、
前記周囲シール(26、126)が、前記
可動ピストン
(10、110)の往復運動の動作サイクル中に、前記液体潤滑
油の大部分が前記
可動ピストン
(10、110)の前記
側壁外面の前記第2の凹部を通過して移動することを防止する、
請求項13に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項16】
電動工具で使用するための
ドライバアセンブリであって、
上部外面(20、120)と、底部外面(22、122)と、前記上部外面と前記底部外面との間に延びる側壁外面と
を有する可動ピストン(10,110)と、
前記可動ピストンの前記側壁外面を取り囲む内面(70)を有する中空シリンダ(71)と、
前記可動ピストンと機械的に連通している可動ドライバ(90)と、
ガイド本体(36)であって、前記可動ドライバを案内し、かつ前記ガイド本体の出口部分に向かって前記可動ドライバによって駆動されることになる締結具を受け入れるガイド本体(36)と、
前記
可動ピストンの前記側壁外面の第1の凹部と、
前記第1の凹部に配置された第1の多孔質媒体(24、124)と、
前記
可動ピストンの前記側壁外面に沿って
前記第1の凹部に対して異なる位置に位置する、前記
可動ピストンの前記側壁外面の第2の凹部と、
前記第2の凹部に配置された第2の多孔質媒体(125)と、
を備え、
前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)のうちの少なくとも1つは、
その中に保持された液体潤滑
油を含
み、前記中空シリンダの前記内面に前記液体潤滑油を送出し、
前記中空シリンダの前記内面に予め適用された抗焼き付きグリースを備え、
前記可動ピストンが前記中空シリンダを通って移動するときに、前記液体潤滑油及び前記抗焼き付きグリースの両方は、前記可動ピストンの前記側壁外面の近位の前記中空シリンダの前記内面の少なくとも一部に対して潤滑を与える、ドライバアセンブリ。
【請求項17】
前記
可動ピストンの前記
側壁外面に沿って前記第1及び第2の凹部とは異なる位置に位置する、前記
可動ピストンの前記側壁外面の第3の凹部と、
前記第3の凹部に配置された周囲シール(26、126)と、
を更に備える、
請求項16に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項18】
(a)前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)は両方とも、1インチ当た
り60~80個の
範囲内の細孔の平均セル密度を有する連続気泡発泡体を含み、
又は、
(b)
前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)は両方とも、発泡体を含む、
請求項16に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項19】
前記
可動ピストンの前記側壁外面
を取り囲む内面(70)を有する中空シリンダ(71)を更に備え、
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)は、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と物理的に接触し、
前記
可動ピストン(10、110)が前記中空シリンダ(71)を通って移動するときに、前記液体潤滑
油は、前記
可動ピストンの前記側壁外面に近位の前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)の一部分を潤滑するために使用される、
請求項17に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項20】
前記
可動ピストンは、円形断面を呈し、前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)は両方とも、環状形状であり、前記
周囲シール(26、126)は、環状形状である、
請求項17に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項21】
前記
可動ピストン(10、110)が往復パターンで前記
中空シリンダを通って移動するときに、前記周囲シール(26、126)は、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)と物理的に接触し、
前記周囲シール(26、126)は、前記
可動ピストンの往復運動の動作サイクル中に、前記液体潤滑
油の大部分が前記側壁外面の前記第
3の凹部を通過して移動することを防止する、
請求項19に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項22】
固体粒子を含む前記抗焼き付きグリースは、前記中空シリンダ(71)の前記内面(70)に適用され
ている、
請求項19に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項23】
加圧ガスを収容する主貯蔵チャンバ(74)を更に備え、
前記
中空シリンダ(71)は、加圧ガスの前記主貯蔵チャンバ(74)と空気連通している前記
可動ピストンの第1の側
(76)に可変変位容
積を含み、前記
中空シリンダ(71)は、外部環境と空気連通している前記
可動ピストンの第2の反対側
(75)に可変通気容
積を含み、
前記周囲シール(26、126)は、前記液体潤滑
油の大部分が前記外部環境内に移動することを防止し、
前記液体潤滑
油は、前記液体潤滑
油が後の動作サイクルで再使用されることになる前記主貯蔵チャンバ(74)に向かって移動することを妨げられない、
請求項21に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項24】
前記第1の凹部及び前記第1の多孔質媒体(24、124)は、前記
可動ピストン
(10、110)の第1の側(20、120)に近位に配置されており、
前記第2の凹部及び前記第2の多孔質媒体(125)は、前記
可動ピストン
(10、110)の第2の側(22、122)に近位に配置されており、
前記第3の凹部及び前記周囲シール(26、126)は、前記
可動ピストン
(10、110)の前記
側壁外面に沿って前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に配置されている、
請求項23に記載の
ドライバアセンブリ。
【請求項25】
(a)前記第1の多孔質媒体(24、124)は、
組み立て時に液体潤滑
油を含むが、前記第2の多孔質媒体(125)は、
組み立て時に液体潤滑
油を含まない、
又は、
(b)前記第1の多孔質媒体(24、124)及び第2の多孔質媒体(125)の両方は、
組み立て時に液体潤滑
油を含む、
請求項24に記載の
ドライバアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年10月17日に出願された「WORKING CYLINDER FOR POWER TOOL WITH PISTON LUBRICATING SYSTEM」と題された米国仮特許出願第62/746,941号に対する優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書に開示される技術は、概して締結具駆動ツールに関し、特に、加圧空気を使用して、ピストンを駆動し、ひいては、ドライバブレードに締結具を標的ワークピースに押し込ませるタイプのそのようなツールを対象とする。作動シリンダ内のピストンの外側の一部分を取り囲む発泡材料などの潤滑剤飽和多孔質媒体を使用して、ピストン及び作動シリンダを継続的に潤滑及び洗浄し、ツールのより長い寿命にわたって性能を向上させる、実施形態が具体的に開示される。
【0003】
第2の実施形態の締結具駆動ツールでは、潤滑剤飽和多孔質媒体(例えば、発泡材料)は、シールの上の第1の部分と、シールの下の第2の部分とを有する。この「二重」発泡材料は、シールの下の潤滑を改善し、またシールの下を洗浄する。
【0004】
第3の実施形態では、2部品ピストンは、締結具駆動ツールのドライバアセンブリに機械的に取り付けられる。ピストンの上部は、非金属材料で作製され、シリンダ壁に対して、陽極酸化処理されたシリンダ壁の表面に傷をつけない案内ベアリングとして機能する。案内ベアリングは、駆動行程及び戻り行程中にピストンの位置を維持するのに非常に有益である。ゴムシールは、封止面として機能する。ピストンの下部は、駆動行程及び戻り行程中に衝撃及び他の力に関連付けられた応力に耐えることができる金属である。この下部は、ドライバに堅固に取り付けられ、それにより、ロッキング及びドライバの位置の他の変化が最小限に抑えられる。
【0005】
連邦政府支援の研究又は開発に関する記載
なし。
【背景技術】
【0006】
多くの従来の締結具駆動ツールは、それらの動作サイクルの一部として、ピストンを使用して、釘又はステープルを標的ワークピースに押し込むドライバブレードを移動させる。これらのピストンは、典型的には、加圧ガスによって、又は場合によっては燃焼空気によって駆動される。Kyocera Senco Industrial Tools,Inc.により販売されているFUSION(登録商標)として知られる加圧ガスツールの製品ラインでは、加圧ガスは、主貯蔵チャンバに貯蔵され、そのガスは、大気に通気されないが、代わりに複数回再使用され、(加圧ガスの充填当たり数万の動作サイクル数を含む)複数の駆動行程を駆動することができる。
【0007】
課題の1つは、摩擦、摩耗、及び充填圧力の最終的な損失を低減するために、ピストンと内側シリンダ壁との間に潤滑面を提供することである。この表面は、主貯蔵チャンバ及び作動シリンダが封止されているという事実により、ツールの寿命中に潤滑することが困難である。ピストンの動きは、潤滑剤を摺動面から経時的に拭き取る傾向があり、その後、封止面を摩耗させ始める。そのような摩耗した封止面は、空気の充填が封止面を通過して漏れるため、圧力損失をもたらすことがある。
【0008】
図8に示すようなKyocera Sencoにより販売されている従来のFUSION(登録商標)ツールでは、ツールの作動シリンダ部分205は、可動ピストンサブアセンブリ210を有する。ツールは、外側圧力容器壁部278を呈する主貯蔵チャンバ274を有する。主貯蔵チャンバ内には、作動シリンダ271があり、作動シリンダは、シリンダ壁270を呈する。シリンダ壁270の内側には、可動ピストン280があり、ピストンの上方には、ガス圧力チャンバ276があり、ピストンの下には、通気チャンバ275がある(
図8のこの図では)。
【0009】
ピストン280は、シール286を有し、(この図では)シールの上方には、第1の摺動可能なベアリング288があり、(この図では)シールの下には、第2の摺動可能なベアリング289がある。第2の摺動可能なベアリング289とシール286との間には、グリースリザーバ282がある。グリースリザーバは、ツールの潤滑を提供する。
【0010】
ピストン280の下端部には、ドライバ290の上端部230が接続ピン232によって定位置に保持される開口部がある。ドライバ290は、ドライバ歯292を呈し、シリンダ基部296から外に延びる。主貯蔵チャンバ274の底部とシリンダ基部との間には、固定ピストンストップ284がある。
【0011】
現在のFUSION(登録商標)ツールは、製造中にシリンダ壁及びピストンシール上に配置される潤滑剤を利用する。この潤滑剤は、ツールの動作に重要である。しかしながら、潤滑剤は、ツールを分解することなく再供給することができない。
【0012】
別の課題は、シリンダ壁に沿って摺動もする硬質材料でピストンを構成することである。
図8に示すような現在のFUSION(登録商標)ツールは、典型的には金属で作製された固体材料片としてピストンを示す。ピストンの摺動可能なベアリング288及び289は、シリンダ内壁に傷をつけることなく、駆動行程及び戻り行程中にピストンの案内を維持するために必要である。
【発明の概要】
【0013】
したがって、液体潤滑剤を保持して送出する発泡材料などの多孔質媒体を保持する、電動工具のピストンの外周の小さな容積又は凹部を含み、これにより、ピストン、シリンダ、及びピストンシールの寿命を延ばすことが利点である。
【0014】
発泡体がツールの寿命の間潤滑剤を保持してピストン及びシリンダ壁に沿って継続的に配置する、ピストン外面の凹部の連続気泡発泡材料に潤滑剤を貯蔵することによって、締結具駆動ツールのピストンと共に使用される潤滑剤を提供することが別の利点である。これにより、より長いツール寿命にわたって改善された圧力保持をもたらす改善された摩耗特性を提供する。発泡体内に捕捉された潤滑剤は、ツールの向きにかかわらず拘束される傾向がある。
【0015】
締結具駆動ツールのドライバアセンブリに機械的に取り付けられた2部品ピストンを提供することが更に別の利点である。上部材料は、非金属であり、シリンダ壁に対して、陽極酸化処理されたシリンダの表面を傷つけない案内ベアリングとして機能する。
【0016】
更に、締結具駆動ツールで使用するための、発泡材料などの多孔質媒体の別個の2つの部分を有するピストンを提供することが更なる利点である。少なくとも上部発泡体部分は、ツールの寿命にわたって潤滑剤を貯蔵して送出する。下部発泡体部分は、破片「クリーナ」として機能し、木材、石膏、金属粒子、照合テープ、砂、塵、及び水分、又は建設工事現場に一般的に見られる他の品目などの、シリンダに入ることがある破片を除去する。この破片の蓄積は、ピストンの下側が周囲空気に曝露されていることに起因する。
【0017】
追加の利点及び他の新規な特徴は、以下の説明に部分的に記載され、一部は、以下の検討時に当業者には明らかとなるであろう、又は本明細書に開示される技術の実践によって習得することができる。
【0018】
前述の利点及び他の利点を達成するために、また一態様によれば、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる側壁外面と、ピストンの側壁外面の第1の凹部と、ピストンの側壁外面に沿って第1の凹部に配置された多孔質媒体と、を備え、多孔質媒体が、液体潤滑剤材料を含む、電動工具で使用するためのピストンが提供される。
【0019】
別の態様によれば、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる円筒形側壁外面と、を備え、円形断面を有し、ピストンの円筒形外面の第1の円周方向凹部と、第1の円周方向凹部に配置された環状多孔質媒体と、を備え、多孔質媒体が、液体潤滑剤材料を含む、電動工具で使用するためのピストンが提供される。
【0020】
更に別の態様によれば、可動2部品ピストンを含む中空シリンダを備え、シリンダが、ピストンの第1の側に可変変位容積を含み、シリンダが、ピストンの第2の反対側に可変通気容積を含み、2部品ピストンが、ピストンの第2の側に近位の金属材料で作製された第1の部分であって、中空シリンダの内面と物理的に接触しないように、外径が十分に小さい、第1の部分と、ピストンの第1の側に近位の非金属材料で作製された第2の部分であって、中空シリンダの内面と摺動可能に接触する少なくとも1つの表面を含む、第2の部分と、を備え、少なくとも1つの表面が、それによってピストンに対して摺動可能なベアリング面として機能し、第1の部分及び第2の部分が、第1の部分及び第2の部分が単一のピストンサブアセンブリとして常に一緒に移動するように、互いに取り付けられている、電動工具用の作動シリンダが提供される。
【0021】
更に別の態様によれば、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる円筒形側壁外面と、を備え、円形断面を有し、ピストンの円筒形外面の第1の円周方向凹部と、第1の円周方向凹部に配置された第1の環状多孔質媒体と、ピストンの円筒形外面に沿って異なる位置に位置する、ピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部と、第2の円周方向凹部に配置された第2の環状多孔質媒体と、を備え、第1及び第2の環状多孔質媒体のうちの少なくとも1つが、液体潤滑剤材料を含む、電動工具で使用するためのピストンが提供される。
【0022】
更なる態様によれば、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる側壁外面と、ピストンの側壁外面の第1の凹部と、ピストンの側壁外面に沿って第1の凹部に配置された多孔質媒体と、を備え、多孔質媒体が、液体潤滑剤を含む、電動工具で使用するためのピストンが提供される。
【0023】
また更なる態様によれば、可動2部品ピストンを含む中空シリンダを備え、シリンダが、ピストンの第1の側に可変変位容積を含み、シリンダが、ピストンの第2の反対側に可変通気容積を含み、2部品ピストンが、ピストンの第2の側に近位の金属で作製された第1の部分であって、中空シリンダの内面と物理的に接触しないように、外径が十分に小さい、第1の部分と、ピストンの第1の側に近位の非金属で作製された第2の部分であって、中空シリンダの内面と摺動可能に接触する少なくとも1つの表面を含む、第2の部分と、を備え、少なくとも1つの表面が、それによってピストンに対して摺動可能なベアリング面として機能し、第1の部分及び第2の部分が、第1の部分及び第2の部分が単一のピストンサブアセンブリとして常に一緒に移動するように、互いに取り付けられている、電動工具用の作動シリンダが提供される。
【0024】
なお更なる態様によれば、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる側壁外面と、ピストンの側壁外面の第1の凹部と、第1の凹部に配置された第1の多孔質媒体と、ピストンの側壁外面に沿って異なる位置に位置する、ピストンの側壁外面の第2の凹部と、第2の凹部に配置された第2の多孔質媒体と、を備え、第1の多孔質媒体及び第2の多孔質媒体のうちの少なくとも1つが、液体潤滑剤を含む、電動工具で使用するためのピストンが提供される。
【0025】
更に他の利点は、本技術を実施するために企図される最良の形態のうちの1つにおける好ましい実施形態が記載され、示されている、以下の説明及び図面から当業者には明らかとなるであろう。実現されるように、本明細書に開示される技術は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全てその原理から逸脱することなく、様々な明白な態様において修正が可能である。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本明細書に開示される技術のいくつかの態様を示し、説明及び特許請求の範囲と共に、本技術の原理を説明する役割を果たす。図面では、
【0027】
【
図1】本明細書に開示される技術の原理に従って構成された、締結具駆動ツールで使用するためのピストンサブアセンブリの側面図である。
【0028】
【0029】
【
図3】
図1のツールのドライバブレード及びドライバ歯を示す斜視図である。
【0030】
【
図4】ピストンサブアセンブリを示す、
図1の締結具駆動ツールの作動シリンダの断面図である。
【0031】
【
図5】本明細書に開示される技術の原理に従って構成された、締結具駆動ツールで使用するためのピストンサブアセンブリの第2の実施形態の側面図である。
【0032】
【0033】
【
図7】
図5の第2の実施形態の締結具駆動ツールの斜視図である。
【0034】
【
図8】先行技術で既知の締結具駆動ツールの断面図である。
【0035】
【
図9】発泡材料などの多孔質媒体が積み重ねて配置された、
図2のものと同様の断面図である。
【0036】
【0037】
【
図11】外層が内層を覆う又は取り囲むように、発泡材料などの多孔質媒体が積層された、
図2のものと同様の断面図である。
【0038】
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、その実施例は、添付図面に示されており、同様の数字は、図面全体を通して同じ要素を示す。
【0040】
本明細書に開示される技術は、その適用において、以下の説明に記載される又は図面に示される構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書に開示される技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明の目的のためであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びその変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加の項目を包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における用語「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、及び「取り付けられた(mounted)」、並びにその変形は、幅広く使用され、直接的及び間接的な接続、結合、並びに取り付けを包含する。加えて、用語「接続された」及び「結合された」並びにその変形は、物理的若しくは機械的接続又は結合に限定されない。更に、「通信する(communicating with)」及び「通信している(in communications with)」という用語は、信号若しくは情報のその伝達が直接であるか、又は信号若しくは情報のその通過にも関与する、それらの間の追加の物理的若しくは仮想的要素が存在するかに関わらず、互いの間で信号若しくは情報を何らかで伝達する異なる2つの物理的又は仮想的要素を指す。更に、「連通している(in communication with)」という用語はまた、「第1の端部」と「第2の端部」との間に中間構成要素が存在するか否かに関わらず、「連通(communication)」の一方の端部(「第1の端部」)が(機械的移動、又は状態の水圧若しくは空気圧変化などの)発生する特定の推進力の「原因」であり得え、「連通(communication)」の他方の端部(「第2の端部」)がその移動/状態の変化の「影響」を受け取り得る、機械的、水圧式、又は空気式システムを指すことができる。
【0041】
要素名、例えば、第1の入口、第2の入口などに先行する「第1」及び「第2」という用語は、類似若しくは関連する要素、結果、又は概念を区別するための識別目的のために使用され、必ずしも順序を意味することを意図せず、用語「第1」及び「第2」は、別途記載のない限り、追加の類似若しくは関連する要素、結果、又は概念の包含を除外することを意図するものでもない。
【0042】
ここで
図1を参照すると、参照番号10によって概して指定された締結具駆動ツールで使用するためのピストンサブアセンブリの第1の実施形態は、ピストン上部20及びピストン底部22の2つの主半体を有する。ピストン上部20は、硬質プラスチック、又は他の非金属材料、好ましくはDelrinで構成され、ピストン底部22は、金属、好ましくはアルミニウムで構成されている。ピストン底部は、複数の雄ねじ山28を有するステムで構成され、ピストン上部は、ステムを受け入れるための、ねじ山が雌であるねじ付き開口部を有する。ピストン上部は、ピストン底部の雄ねじ山を使用して螺合可能に取り付けられ(
図2を参照)、それにより、両方のピストン部は、単一のピストンサブアセンブリ10として一緒に移動する。
【0043】
上述したピストン設計は、単にピストン全体を構成するための好ましい実施形態に過ぎず、本技術の原理から逸脱することなく、他の2部品ピストン設計を使用することができることに留意されたい。例えば、1つの代替的な設計として、2つのピストン半体20及び22は、ピンコネクタを含む任意のタイプの確実な機械的接続部を介して互いに取り付けられてもよい。また代替的に、2つのピストン半体20、22は、それらが常に一緒に移動するように機械的締結具なしで拘束されてもよい。更に、作動シリンダ71(
図4を参照)のガス圧力は、ツール動作のほとんど全ての状況下で、上部ピストン半体20が底部ピストン半体22に対してしっかりと押し付けられた状態を維持する傾向がある。
【0044】
ピストンサブアセンブリ10の一般的な形状は、
図3に見られるように、円形断面を有する円筒形外面を含む。円形断面の中心は、ピストンの長手方向軸に沿って位置し、その長手方向軸は、
図2の「L」で見ることができる。ピストンの外周の正確な形状、及びシリンダスリーブの対応する内面の正確な形状は、必ずしも正確に円形である必要はないことが理解されるであろう。その代わりに、これらの表面は、「嵌合形状」であり、かつ依然として本明細書に開示される技術の原理の範囲内にある限り、他の幾何学的形状を有してもよい。本明細書に提示される開示に関して、ピストンは、実際に円形断面を有し、したがって、シリンダスリーブの内面も円形であると想定される。
【0045】
ドライバ90(
図3を参照)は、製造中にピストン底部半体22の開口部に設置される上部取り付け部分30を有する。ピストン底部22は、ドライバ開口部に対して横方向である2つの貫通開口部42及び44を呈する。ドライバを、ドライバ上部30でピストン底部22に固定するために、2つの接続ピン32及び34が使用される。上記に提供された様々な方向の用語は、
図2の図に関してであり、第1の実施形態は、本技術の原理から逸脱することなく、多くの他の角度位置で使用されてもよいことが理解されるであろう。これら2つの接続ピン32及び34の使用は、ピストンサブアセンブリ10をドライバ90と整列させた状態に保つのに役立つ。
【0046】
このピストンサブアセンブリ10は、本明細書で長手方向軸と呼ばれる方向に沿って往復して移動するように設計されていることが更に理解されるであろう。
図2では、そのような長手方向軸は、文字「L」によって指定される。接続ピン32及び34は、
図2に文字「T」によって示される垂直な横断方向に配置される。
【0047】
ピストン上部20は、ピストンの外面上に位置する2つの円周方向凹部又は溝を有する。上部溝(又は凹部)は、発泡体などの多孔質媒体を含む環状材料24を保持し、下部溝(又は凹部)は、この図示した実施形態ではローブシールである、環状シール26を保持する。(環状シール26はまた、ピストンの外周の周囲に延びるため、本明細書では「周囲シール」と呼ばれることがあることに留意されたい。)多孔質媒体24は、液体潤滑剤材料(Mobil Vactra 2オイル、ISO 粘度 68の高級滑動油(slideway oil)など)を保持し、潤滑剤のリザーバとして機能する。多孔質材料は、連続気泡発泡材料若しくはスポンジ状発泡材料、又は油に耐性のエアフィルタ材料などの様々な特定の種類の材料を含むことができる。発泡材料は、軟質、可撓性、かつ非研磨性であることが好ましい。
【0048】
連続気泡発泡材料は、本明細書に記載される目的のために良好に機能し、以下で使用するとき、用語「発泡体」又は「発泡材料」は、これらの電動工具で使用するための適切な液体又はグリース潤滑剤材料を保持することができる、そのような全ての種類の多孔質媒体を指すことが理解されるであろう。また、本開示の目的のために、「円周方向凹部」という語句は、例えば、ピストンの断面の正確な形状にかかわらず、ピストンの外面の凹部又は「溝」を指すことも理解されるであろう。換言すれば、ピストンは、円形若しくは楕円形の断面形状、又は更には正方形若しくは矩形の断面形状を有してもよいが、これらの凹部が本開示の読者によってよりよく理解されるように、本明細書で言及される凹部は、それにもかかわらず「円周方向」凹部と呼ばれることになる。
【0049】
多孔質媒体24は、様々な代替の液体潤滑剤材料を保持することができる。使用される液体潤滑剤材料の種類は、リフトサイクル中にピストン10の摩擦を変化させる。この液体潤滑剤は、ISO 68(約SAE 20W)あたりの粘度を有する軽量油であることが望ましい。
【0050】
この目的に使用される「液体」潤滑剤は、液体との溶液中のグリースの形態として固体粒子を含んでもよく、又は場合によっては、使用される「液体」潤滑剤は、使用時に、ピストンが往復移動されるとピストンの表面に沿って広がる半液体若しくは半固体材料として機能する、適切なグリース材料(固体粒子を有する又は有さない)を主に含むことができることに留意されたい。
【0051】
好ましくは、発泡材料24は、1インチ当たり約60~80個の細孔の平均セル密度を有する、網状ウレタン発泡体などの連続気泡発泡体を含む。発泡材料は、潤滑油に対して耐性であるべきであり、おそらくグリースにも耐性であるべきである。Koehler又はBriggs及びStrattonの芝刈り機エンジンに使用されるプレフィルタを含む特定のタイプのエアフィルタ材料を、発泡材料24に使用することができる。
【0052】
発泡体24は、内側シリンダ壁と不断の接触をし、ツールの寿命にわたって潤滑剤をゆっくりと送出する。シール26はまた、シリンダ壁と不断の接触をし、シリンダ内に収容された潤滑剤を保持し、更に、シールは、(可変変位容積76内の)ピストンの上の高いガス圧を保持する。シリンダ及びシールは、Permatex 133Aなどの抗焼き付き潤滑剤でプレコーティングされてもよい。(抗焼き付きは、グリースのように塗布される。)発泡体24は、それ自体でシールとして機能しないが、潤滑剤を貯蔵してシリンダ壁に沿って送出することを意図していることに留意されたい。また、シールの「上」に移動する任意の潤滑剤が後続のピストン移動によって再使用されることになるため、発泡体24の「上の」第2のシールは、必要ではない。
【0053】
ツールが完全に組み立てられると、発泡体24は、シリンダ及びピストンのための液体潤滑剤の唯一の供給源となることにも留意されたい。より具体的には、発泡体は、潤滑剤が過度に急速に送出されることを防止する、抑制する要因として機能し、それによってツール全体の正常寿命を延ばす。
【0054】
前述の段落における記述は特定の実施形態に当てはまるが、グリース材料が液体潤滑剤と共に使用され、グリースが典型的には発泡材料に直接適用されない、代替の実施形態が想定される。その代わりに、ピストンが設置される前に、シリンダスリーブ(シリンダ壁70)の内面にグリースが適用される。好適なグリース材料の例は、Valvoline Crimson多目的グリースである。別の代替例のグリース潤滑剤材料は、Kluber ISOFLEX TOPAS NB 52である。更に別の代替例は、Kluber ISOFLEX TOPAS NB 152である。
【0055】
上述したように、様々なタイプの潤滑剤が、この締結具駆動ツールの作動シリンダにおいて良好に機能することができる。液体潤滑剤は、上述のように、一般に発泡体24に適用されるためのものである。グリース潤滑剤は、一般に、シール26及び/又はシリンダ壁70の内面に適用されるためのものである。1つの代替の実施形態では、Valvoline Crimsonグリース及びMobil Vactra 2オイルなどのグリース材料及び液体材料の両方が、同時に使用される。
【0056】
作動シリンダ71にグリース材料が使用されることになる場合、グリース材料は、ピストンサブアセンブリ10が内部に設置される前に、シリンダの内面に適用されることになる。更に、グリースはまた、ツール設計者の選択に従ってシール26に適用されてもよい。シール26にグリースが使用される場合、シール26が上部ピストン20上に設置される前又は後のいずれかに、シールが入る凹部にグリースが適用されてもよい。一般に、任意の液体潤滑剤がその発泡体24に適用される前に、発泡体24を上部ピストン20のその凹部に設置することが好ましい。(発泡体の「湿潤」片をその溝又は凹部に設置することは困難である。)最終的に、グリースの少なくとも一部がシール26の「下」に、すなわち、シールと溝の底面との間の小さな空間内に適用される場合、より良好である可能性が高い。この作動シリンダ及びピストンの組み合わせにおいて「貯蔵」することができるグリース(及び液体潤滑剤)が多いほど、その組み合わせがより長く適切に動作することになる。
【0057】
ここで
図4を参照すると、ピストンサブアセンブリ10は、概して参照番号5によって呼ばれる駆動ツールの作動シリンダ部分に組み込まれて示されている。外壁78は、内部で作動シリンダ71がピストンサブアセンブリ10を包囲する主貯蔵チャンバ74を収容する。作動シリンダ部は、主貯蔵チャンバ74を完全に密閉するシリンダ基部96を含む。ガス圧チャンバ76は、ピストン上部20の上方の作動シリンダの内部に含まれる。ガスチャンバ76は、動作中にピストンを駆動するために使用される加圧ガスの可変容積又は「変位容積」を含む。ピストン底部22の下には、大気に通気するシリンダ「通気チャンバ」75がある。
【0058】
動作中、ピストンサブアセンブリ10は、作動シリンダ71のシリンダ内壁(又は「スリーブ」)70に沿って摺動する。ピストン上部20のベアリング面52、54、及び56は、通常の移動中にシリンダ壁70に接触する。ピストン底部22は、直径がわずかに小さく、シリンダ壁に接触しない。ピストンサブアセンブリがシリンダ壁に沿って摺動すると、ピストンは、固定ピストンストップ84によって停止される。
【0059】
これらのベアリング面52、54、及び56は、インサートベアリングを有する金属ピストンを使用する以前の設計とはかなり異なる。以前の設計では、インサートベアリングは、シリンダ壁に沿って摺動可能な表面を提供し、これによりピストンがシリンダ壁に全く接触しないことを可能にしていた。この新規な意匠では、ピストンサブアセンブリ10のベアリング面52、54、及び56は、実際にシリンダ壁面に沿って接触して摺動し、また低摩擦案内ベアリング面としても機能する。
【0060】
ドライバ90は、動作中にピストンサブアセンブリ10と共に移動する。ドライバは、ドライバ歯92を呈する。ドライバは、ドライバトラック93に沿ってガイド本体36を通って移動する。ガイド本体36は、シリンダ基部96の下に取り付けられている。ガイド本体は、マガジン(図示せず)から締結具を受け入れ、ドライバ及び締結具をツールの出口部分に、かつワークピース内に案内する。上記に提供された様々な方向の用語は、
図4の図に関してであり、第1の実施形態は、本技術の原理から逸脱することなく、多くの他の角度向きで使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0061】
ここで
図5を参照すると、参照番号110によって概して指定された締結具駆動ツールで使用するためのピストンサブアセンブリの第2の実施形態は、ピストン上部120及びピストン底部122の2つの主半体を有する。ピストン上部120は、硬質プラスチック、又は他の非金属材料、好ましくはDelrinで構成され、ピストン底部122は、金属、好ましくはアルミニウムで構成されている。ピストン底部は、複数の雄ねじ山128を有するステムで構成され、ピストン上部は、ステムを受け入れるための、ねじ山が雌であるねじ付き開口部を有する。ピストン上部は、ピストン底部の雄ねじを使用して螺合可能に取り付けられ(
図6を参照)、それにより、両方のピストン部は、単一のピストンサブアセンブリとして一緒に移動する。2つのピストン半体120及び122は、例えば、ピンコネクタを含む任意のタイプの確実な機械的接続部を介して互いに取り付けられてもよいことに留意されたい。
【0062】
ピストンサブアセンブリ110の一般的な形状は、
図7に見られるように、円形断面を有する円筒形外面を含む。円形断面の中心は、ピストンの長手方向軸に沿って位置し、その長手方向軸は、
図6の「L」で見ることができる。ピストンの外周の正確な形状、及びシリンダスリーブの対応する内面の正確な形状は、必ずしも正確に円形である必要はないことが理解されるであろう。その代わりに、これらの表面は、「嵌合形状」であり、かつ依然として本明細書に開示される技術の原理の範囲内にある限り、他の幾何学的形状を有してもよい。本明細書に提示される開示に関して、ピストンは、実際に円形断面を有し、したがって、シリンダスリーブの内面も円形であると想定される。
【0063】
ドライバ190(
図6を参照)は、製造中にピストン底部半体122の開口部に設置される上部取り付け部分130を有する。ピストン底部122は、ドライバ開口部に対して横方向である2つの貫通開口部142及び144を呈する。ドライバを、ドライバ上部130でピストン底部122に固定するために、2つの接続ピン132及び134が使用される。上記に提供された様々な方向の用語は、
図5の図に関してであり、第1の実施形態は、本技術の原理から逸脱することなく、多くの他の角度位置で使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0064】
このピストンサブアセンブリ110は、本明細書で長手方向軸と呼ばれる方向に沿って往復して移動するように設計されていることが更に理解されるであろう。
図6では、そのような長手方向軸は、文字「L」によって指定される。
【0065】
ピストン上部120は、ピストンの外面上に位置する3つの円周方向凹部又は溝を有する。上部溝は、発泡材料などの多孔質媒体を含む円形材料124を保持し、下部溝は、多孔質媒体(例えば、発泡材料)125の別の円形材料を保持する。中間溝は、円形シール126を保持する。(環状シール126はまた、ピストンの外周の周囲に延びるため、本明細書では「周囲シール」と呼ばれることがあることに留意されたい。更に、多孔質媒体(又は発泡体片)124は、本明細書では「第1の多孔質媒体」と呼ばれることがあり、多孔質媒体(又は発泡体片)125は、本明細書では「第2の多孔質媒体」と呼ばれることがある。)一実施形態では、発泡体片124及び125の両方は、潤滑剤を保持し、潤滑剤のリザーバとして機能する。好ましくは、発泡体124及び125は、連続気泡発泡体を含む。発泡体124及び125は、内側シリンダ壁70と不断の接触をし、ツールの寿命にわたって潤滑剤をゆっくりと送出する。
【0066】
シール126はまた、シリンダと不断の接触をし、シリンダ内に収容された潤滑剤を保持する。発泡体片124及び125は、それ自体でシールとして機能しないが、潤滑剤を貯蔵してシリンダに沿って送出することを意図していることに留意されたい。また、シールの「上」に移動する任意の潤滑剤が再使用されることになるため、発泡体124の「上の」第2のシールは、必要ではない。下部発泡体片125は、潤滑剤を送出することに加えて、外部の破片がシリンダ71の底部付近の領域内のツールの封止の領域に入るのを防止するための「ワイパ」又は「キャッチャ」としても機能する。
【0067】
代替的な実施形態では、発泡体125は、潤滑剤を含まない。その代わりに、発泡体は、主に、作動シリンダ71の底部領域内への道を探す破片に対する「ワイパ」又は「キャッチャ」として機能する。潤滑剤がシール126を通過してこの第2の発泡体片125に進むことになった場合、発泡体片125は、その潤滑剤を再分配する。任意選択的に、第2の発泡体片125は、製造時に「少」量の潤滑剤を受け入れることができる。
【0068】
図6の実施形態における第2の発泡材料125は、理由があってシール126の「下」に配置される。上述のように、発泡体125は、外部の破片がシール126に到達しないように保つための「ワイパ」又は「キャッチャ」として機能し、それによってシール126の寿命を向上させ、それによって、主貯蔵チャンバ内、及びピストンの上部の「上方」(表面120の上方)の空間内の高い空気圧をより長時間維持することによって、ツールの寿命を延ばす。
【0069】
図6の実施形態における第2の発泡材料125はまた、その発泡体片125の「上に」有益な潤滑剤を保持する「保持具」としても機能し、すなわち、ピストンが作動シリンダ内を移動する場合に潤滑剤を保持する傾向がある。また、そのような「保持具」として、発泡材料125は、締結具が駆動されたときに、潤滑剤がワークピース表面に(この図では)「下方に」移動しないように保つ傾向がある。
【0070】
本明細書に開示される様々な実施形態における多孔質媒体(発泡体片など)24、124、及び125は、単一の材料片で形成される必要はないことに留意されたい。例えば、発泡体片は、
図9の片61及び63などの、より薄い厚さをそれぞれ有する発泡体片の積層体として配置することができる。より薄い厚さの発泡体片のこの積層体の上部環状形状は、
図10に示す形状を有する。
【0071】
更に、様々な実施形態における多孔質媒体(発泡体片など)24、124、及び125は、外層64が内層62を覆う
図11の片62及び64などの、異なる内径及び外径として積層することができる。これらの積層された発泡体片の形状の上部環状外観は、
図12に示す形態を有する。この構成では、内側及び外側の発泡体片62及び64は、所望であれば、異なる物理的特性を有してもよい。例えば、内側発泡体片62は、保持することができる大量の潤滑剤を最大化する能力を有するように選択されてもよく、外側発泡体片64は、潤滑剤をその内径からその外径に、したがってシリンダ内壁付近のピストンの外周面により容易に移送することになる、優れたウィッキング能力を有するように選択されてもよい。
【0072】
中空シリンダ、若しくはピストン、シール、若しくは発泡体片の内径又は外径への言及は、本明細書に開示される電動工具設計を構成する部品の同じ又は類似の部分を言及している間に、内側(若しくは外側)幅、又は内側(若しくは外側)寸法などの他の言葉によって言及されてもよいことが理解されるであろう。これは、ピストン及び作動シリンダが完全に円形ではない場合に特に当てはまる。例えば、ピストンの外側形状(断面における)及び作動シリンダの内側形状(断面における)は、所望であれば、円形ではなく楕円形であってもよい。
【0073】
図4のピストン10又は
図6のピストン110の説明は、例えば、(
図4の)上部ピストン部分20、(
図4の)下部ピストン部分22、並びに(
図4の)側壁52、54、及び56の組み合わせの特性を参照して、例えば、「上部外面、底部外面、及び上部外面と底部外面との間に延びる側壁外面」を有するとして説明することができることが更に理解されるであろう。当然ながら、ピストン22の下部はまた、
図4に番号付けされていない側壁を有する。
【0074】
最後に、ピストンサブアセンブリ10又は110は、本明細書に開示される技術の原理から逸脱することなく、それが使用される電動工具の設計者によって所望される場合、単一の材料片で構成されてもよいことが加えて理解されるであろう。特定の修正をそのタイプのピストン構成のために行う必要がある可能性が高いが、本明細書に記載されるように、いくつかの重要な利益を提供するように、潤滑剤を送出するために使用される発泡体片(多孔質媒体)が必ず依然として含まれ得る。
【0075】
上述し、図面に例示される原理は、以下などの一連の短い記述で更に要約することができる。
【0076】
{A1}電動工具で使用するためのピストンであって、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる円筒形側壁外面と、を備え、円形断面を有し、ピストンの円筒形外面の第1の円周方向凹部と、第1の円周方向凹部に配置された環状多孔質媒体と、を備え、多孔質媒体が、液体潤滑剤材料を含む、ピストン。
【0077】
{A2}以下の特徴:ピストンの外面に沿って異なる位置に位置するピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部と、第2の円周方向凹部に配置された環状シールと、を加えた上記段落のピストン。
【0078】
{A3}以下の特徴:ピストンの円筒形外面より大きい円形内径を有する中空シリンダと、ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、環状多孔質媒体が、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、ピストンがシリンダを通って移動するときに、液体潤滑剤材料は、ピストンの円筒形外面に近位の中空シリンダの円形内径の一部分を潤滑するために使用される、を加えた上記段落のピストン。
【0079】
{A4}以下の特徴:ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、環状シールが、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、環状シールが、液体潤滑剤材料の大部分がピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部を通過して移動することを防止する、を加えた上記段落のピストン。
【0080】
{A5}以下の特徴:ピストンと機械的に連通しているドライバと、ドライバを案内し、かつドライバによってガイド本体の出口部分に駆動されることになる締結具を受け入れるガイド本体と、を加えた上記段落のピストンを有するシリンダ。
【0081】
{A6}以下の特徴:加圧ガスを収容する主貯蔵チャンバと、シリンダが、主貯蔵チャンバと空気連通しているピストンの第1の側に可変変位容積を含み、シリンダが、外部環境と空気連通しているピストンの第2の反対側に可変通気容積を含み、環状シールが、液体潤滑剤材料の大部分が外部環境内に移動するのを防止するが、液体潤滑剤材料が、液体潤滑剤材料が後の動作サイクルで再使用されることになる主貯蔵チャンバに向かって移動することを妨げられない、を加えた段落{A4}のピストンを有するシリンダ。
【0082】
{A7}以下の特徴:多孔質媒体が、中空シリンダ及びピストンのための潤滑剤の唯一の供給源であり、ツールが、主貯蔵チャンバ及び中空シリンダサブアセンブリを分解することなく、追加の潤滑剤を再供給することができない、を加えた段落{A4}のピストンを有するシリンダ。
【0083】
{A8}以下の特徴:多孔質媒体が、1インチ当たり約60~80個の細孔の平均セル密度を有する連続気泡発泡体を含む、を加えた段落{A4}のピストンを有するシリンダ。
【0084】
{A9}以下の特徴:発泡材料が、潤滑油に対して耐性であるエアフィルタ材料を含む、を加えた上記段落のピストンを有するシリンダ。
【0085】
{A10}以下の特徴:液体潤滑剤が、ISO 粘度 68の高級滑動油を含む、を加えた段落{A4}のピストンを有するシリンダ。
【0086】
{A11}以下の特徴:液体潤滑剤が、Mobil Vactra 2オイルを含む、を加えた上記段落のピストンを有するシリンダ。
【0087】
{A12}以下の特徴:液体潤滑剤が、潤滑油を含み、シリンダ内に適用された抗焼き付き潤滑剤を更に備える、を加えた段落{A3}のピストンを有するシリンダ。
【0088】
{A13}以下の特徴:抗焼き付き潤滑剤が、Permatex 133Aを含む、を加えた上記段落のピストンを有するシリンダ。
【0089】
{B1}可動2部品ピストンを含む中空シリンダを備え、シリンダが、ピストンの第1の側に可変変位容積を含み、シリンダが、ピストンの第2の反対側に可変通気容積を含み、2部品ピストンが、ピストンの第2の側に近位の金属材料で作製された第1の部分であって、中空シリンダの内面と物理的に接触しないように、外径が十分に小さい第1の部分と、ピストンの第1の側に近位の非金属材料で作製された第2の部分であって、中空シリンダの内面と摺動可能に接触する少なくとも1つの表面を含む、第2の部分と、を備え、少なくとも1つの表面が、それによってピストンに対して摺動可能なベアリング面として機能し、第1の部分及び第2の部分が、第1の部分及び第2の部分が単一のピストンサブアセンブリとして常に一緒に移動するように、互いに取り付けられている、電動工具用の作動シリンダ。
【0090】
{B2}以下の特徴:ピストンの外面の第1の円周方向凹部と、第1の円周方向凹部に配置された多孔質媒体であって、液体潤滑剤材料を含む多孔質媒体と、を加えた上記段落の作動シリンダ。
【0091】
{B3}以下の特徴:多孔質媒体が、環状発泡材料を含む、を加えた上記段落の作動シリンダ。
【0092】
{B4}以下の特徴:ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、環状発泡材料が、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、ピストンがシリンダを通って移動するときに、液体潤滑剤材料は、ピストンの円筒形外面に近位の中空シリンダの円形内径の一部分を潤滑するために使用される、を加えた上記段落の作動シリンダ。
【0093】
{B5}以下の特徴:ピストンの外面に沿って異なる位置に位置するピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部と、第2の円周方向凹部に配置された環状シールと、を加えた段落{B2}の作動シリンダ。
【0094】
{B6}以下の特徴:ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、環状シールが、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、環状シールが、液体潤滑剤材料の大部分がピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部を通過して移動することを防止する、を加えた上記段落の作動シリンダ。
【0095】
{C1}上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる円筒形側壁外面と、を備え、円形断面を有し、ピストンの円筒形外面の第1の円周方向凹部と、第1の円周方向凹部に配置された第1の環状多孔質媒体と、ピストンの円筒形外面に沿って異なる位置に位置する、ピストンの円筒形外面の第2の円周方向凹部と、第2の円周方向凹部に配置された第2の環状多孔質媒体と、を備え、第1及び第2の環状多孔質媒体のうちの少なくとも1つが、液体潤滑剤材料を含む、電動工具で使用するためのピストン。
【0096】
{C2}以下の特徴:ピストンの外面に沿って第1及び第2の円周方向凹部とは異なる位置に位置するピストンの円筒形外面の第3の円周方向凹部と、第3の円周方向凹部に配置された環状シールと、を加えた上記段落のピストン。
【0097】
{C3}以下の特徴:第1の環状多孔質媒体が、第1の環状発泡材料を含み、第2の環状多孔質媒体が、第2の環状発泡材料を含む、を加えた上記段落のピストン。
【0098】
{C4}以下の特徴:ピストンの円筒形外面より大きい円形内径を有する中空シリンダと、ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、第1及び第2の環状発泡材料が、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、ピストンがシリンダを通って移動するときに、液体潤滑剤材料は、ピストンの円筒形外面に近位の中空シリンダの円形内径の一部分を潤滑するために使用される、を加えた上記段落のピストン。
【0099】
{C5}以下の特徴:ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、環状シールが、中空シリンダの円形内径と物理的に接触し、環状シールが、液体潤滑剤材料の大部分が円筒形外面の第2の円周方向凹部を通過して移動することを防止する、を加えた上記段落のシリンダ及びピストン。
【0100】
{C6}以下の特徴:シリンダが、加圧ガスの主貯蔵チャンバと空気連通しているピストンの第1の側に可変変位容積を含み、シリンダが、外部環境と空気連通しているピストンの第2の反対側に可変通気容積を含み、環状シールが、液体潤滑剤材料の大部分が外部環境内に移動するのを防止するが、液体潤滑剤材料が、液体潤滑剤材料が後の動作サイクルで再使用されることになる主貯蔵チャンバに向かって移動することを妨げられない、を加えた上記段落のシリンダ及びピストン。
【0101】
{C7}以下の特徴:第1の円周方向凹部及び第1の環状発泡材料が、ピストンの第1の側に近位に配置されており、第2の円周方向凹部及び第2の環状発泡材料が、ピストンの第2の側に近位に配置されており、第3の円周方向凹部及び環状シールが、ピストンの外面に沿って第1の円周方向凹部と第2の円周方向凹部との間に配置されている、を加えた上記段落のシリンダ及びピストン。
【0102】
{C8}以下の特徴:第1の環状発泡材料が、製造時に液体潤滑剤を含むが、第2の環状発泡材料が、製造時に液体潤滑剤を含まない、を加えた上記段落のシリンダ及びピストン。
【0103】
{C9}以下の特徴:第1及び第2の環状発泡材料の両方が、製造時に液体潤滑剤を含む、を加えた段落{C7}のシリンダ及びピストン。
【0104】
{C10}以下の特徴:液体潤滑剤が、潤滑油を含み、シリンダ内に適用された抗焼き付き潤滑剤を更に備える、を加えた段落{C4}のピストンを有するシリンダ。
【0105】
{C11}以下の特徴:抗焼き付き潤滑剤が、Permatex 133Aを含む、を加えた上記段落のピストンを有するシリンダ。
【0106】
{D1}電動工具で使用するためのピストンであって、上部外面と、底部外面と、上部外面と底部外面との間に延びる側壁外面と、ピストンの側壁外面の第1の凹部と、ピストンの側壁外面に沿って第1の凹部に配置された多孔質媒体と、を備え、多孔質媒体が、液体潤滑剤材料を含む、ピストン。
【0107】
{D2}以下の特徴:ピストンの側壁外面より大きい内径を有する中空シリンダと、ピストンが往復パターンでシリンダを通って移動するときに、多孔質媒体が、中空シリンダの内径と物理的に接触し、ピストンがシリンダを通って移動するときに、液体潤滑剤材料は、ピストンの側壁外面に近位の中空シリンダの内径の一部分を潤滑するために使用される、を加えた上記段落ピストン。
【0108】
{D3}以下の特徴:多孔質媒体が、発泡材料を含む、を加えた段落{D1}のピストン。
【0109】
本明細書に示される実施形態の一部は、明確にする目的で、本明細書の図面のいくつかに含まれるそれらの構成要素の全てを有しないことに留意されたい。そのような外側ハウジング及び他の構成要素の例を見るために、特に以前の設計に関して、読者は、Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願に案内される。同様に、電子コントローラがツールの機能を制御するように動作する「方法」に関する情報は、Sencoによって所有されている他の米国特許及び出願に見出される。更に、本ツール技術の他の態様は、以前の米国特許及び公開された出願に開示されている情報を含む、譲受人であるKyocera Senco Industrial Tools,Inc.によって販売されている以前の締結具駆動ツールに存在していてもよい。そのような刊行物の例は、米国特許第6,431,425号明細書;米国特許第5,927,585号明細書;米国特許第5,918,788号明細書;米国特許第5,732,870号明細書;米国特許第4,986,164号明細書;米国特許第4,679,719号明細書;米国特許第8,011,547号明細書、米国特許第8,267,296号明細書、米国特許第8,267,297号明細書、米国特許第8,011,441号明細書、米国特許第8,387,718号明細書、米国特許第8,286,722号明細書、米国特許第8,230,941号明細書、及び米国特許第8,763,874号明細書;また、米国特許出願公開第2016/0288305号明細書及び米国特許出願公開第2018/0178361号明細書である。これらの文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0110】
可動部を有する、又は機能を実行する、本明細書に記載される任意の種類の製品(処理回路及びメモリ回路を有するコンピュータなど)は、単になんらかの無生物装置としてではなく、「マシン」と見なされるべきであることが更に理解されるであろう。そのような「マシン」装置は、電動工具、プリンタ、電子錠などを、それらの例示的な装置がそれぞれ特定の可動部を有するため、自動的に含むべきである。更に、有用な機能を実行するコンピュータ化された装置はまた、マシンと見なされるべきであり、そのような用語は、多くの場合、多くのそのような装置を説明するために使用され、例えば、ソリッドステート電話応答機は、可動部を有さなくてもよいが、周知の有用な機能を実行するため、それでも一般に「マシン」と呼ばれる。
【0111】
本明細書で使用するとき、用語「近位」は、2つの物体がおそらくは互いに隣接するように、1つの物理的物体を第2の物理的物体と接近して配置する意味を有することができるが、それらの間に配置された第3の物体が存在しないことが必ずしも必要ではない。本明細書に開示される技術では、「雄型位置決め構造体」が「雌型位置決め構造体」の「近位」に配置されることになる場合が存在し得る。一般に、これは、2つの雄型構造体及び雌型構造体が互いに物理的に隣接することになることを意味し得る、又はこれは、それらが、2つの雄型構造体及び雌型構造体が連続的な表面に沿って実際に互いに触れるか否かにかかわらず、1つの構造体を互いに対して所定の方向に向けて、且つX-Y(例えば、水平及び垂直)位置に本質的に保持する特定のサイズ及び形状により、互いに対して「嵌合される」ことを意味し得る。又は、任意のサイズ及び形状の2つの構造体(雄型、雌型、又は他の形状かにかかわらず)は、それらが互いに物理的に隣接するか否かにかかわらず、互いに幾分近くに配置されてもよく、そのような関係は、依然として「近位」と呼ぶことができる。又は、特定の点に対する2つ以上の可能な位置は、スティックの端部「の付近に」又は「に」あるなど、物理的物体の正確な属性に関連して指定することができ、それらの可能な付近の/その位置の全ては、そのスティックの端部の「近位」と見なすことができる。更に、用語「近位」はまた、単一の物体に厳密に関連する意味を有することができ、単一の物体は、2つの端部を有してもよく、「遠位端」は、基準の対象点(又は領域)から幾分より遠く離れて配置された端部であり、「近位端」は、基準のその同じ対象点(又は領域)に幾分より接近して配置されることになる他方の端部である。
【0112】
本明細書に記載及び/又は図示される様々な構成要素は、本明細書に開示される技術の原理から逸脱することなく、複数の部品で又はこれらの構成要素のそれぞれのための一体型部品として、を含む、様々な方法で製造することができることが理解されるであろう。例えば、以下の特許請求の範囲の列挙された要素として含まれる構成要素は、一体型部品として製造されてもよく、又はその構成要素は、一緒に組み立てられるいくつかの個々の部品の組み合わせ構造体として製造されてもよい。しかし、その「複数部品の構成要素」は、特許請求される列挙された要素が、本明細書では一体型構造体としてのみ記載及び図示されていると思われる場合であっても、請求項の解釈の侵害目的に対して特許請求された列挙された要素の範囲内に依然として入る。
【0113】
「背景技術」及び「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、参照により本明細書に組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本明細書に開示される技術に関する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0114】
好ましい実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。網羅的であること、又は本明細書に開示される技術を開示される正確な形態に限定することを意図するものではなく、本明細書に開示される技術は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正されてもよい。本明細書に記載又は図示した任意の実施例は、非限定的な実施例として意図されており、本明細書に開示される技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記の教示を考慮することで、実施例若しくは好ましい実施形態(単数又は複数)の多くの修正形態又は変形形態が可能である。実施形態(単数又は複数)は、本明細書に開示される技術の原理及びその実際的な適用を例示するために選択及び説明されており、それによって、当業者が、想到される特定の用途に適合するように、様々な実施形態において、且つ様々な修正と共に、本明細書に開示される技術を利用することを可能にする。したがって、本出願は、その一般原理を使用して本明細書に開示される技術の任意の変形、使用、又は適応を網羅することを意図する。更に、本出願は、本明細書に開示されるこの技術が関連し、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる、当該技術分野において既知又は慣習的な実施の範囲内にあるように、本開示からのそのような逸脱を網羅することを意図している。