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特許7162150量子ドット含有ナノ粒子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】量子ドット含有ナノ粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20221020BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20221020BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20221020BHJP
   C09K 11/88 20060101ALI20221020BHJP
   C09K 11/56 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G01N33/543 541Z
G01N33/543 575
C01B33/18 C
C09K11/08 G ZNM
C09K11/08 A
C09K11/88
C09K11/56
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021556886
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2020095043
(87)【国際公開番号】W WO2020190118
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031977
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520111534
【氏名又は名称】バイオスクエア インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ホ ポム
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソン ウク
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0250612(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0049273(KR,A)
【文献】特開2018-138665(JP,A)
【文献】Bong-Hyun Jun et al,Ultrasensitive, biocomatible, quantum-dot-embedded silica nanoparticles for bioimaging,Advanced Functional Materials,2012年02月17日,vol.22,1843-1849
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部と、
前記コア部の表面に結合した量子ドット部と、
前記コア部と前記量子ドット部とを保護するためのシェル部と、
前記コア部と前記シェル部との結合を支持するための支持部と、
を含み、
前記支持部が、前記コア部に結合した第1の官能基を一端に有し且つ前記シェル部に結合した第2の官能基を他端に有する炭素支持体で形成されている、
量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項2】
前記第1の官能基が、ニトロ基、イミド基、エステル基、マレイミド基、ヨードアセトアミド基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、及びトシル基からなる群から選択される1つ又は複数である、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項3】
前記第2の官能基が、アルコキシシラン基、ジアルコキシシラン基、及びトリアルコキシシラン基からなる群から選択される1つ又は複数である、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項4】
前記炭素支持体が、線状、分岐状、又はデンドリマー型の炭素骨格構造を含む、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項5】
前記炭素支持体が、オリゴエチレングリコール又はポリエチレングリコールの骨格構造を含む、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項6】
前記炭素支持体の分子量が、100~15,000g/モルである、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項7】
前記シェル部が、複数のシリカシェル層を含む、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項8】
前記量子ドット部が、複数の量子ドット埋め込み層を含む、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項9】
(a)前記コア部の直径と(b)前記シェル部の厚さとの比が、120~3:1~7.5である、請求項1に記載の量子ドット含有ナノ粒子。
【請求項10】
(a)有機粒子又は無機粒子を含むコア部の表面を第1の表面改質剤で改質することと、
(b)工程(a)の反応物に量子ドットを導入し反応させて、量子ドット部を形成することと、
(c)工程(b)の反応物に炭素支持体を導入し反応させることと、
(d)工程(c)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させて、支持部及びシェル部を形成することと、
を含み、
前記炭素支持体が、前記コア部に結合する第1の官能基を一端に有し且つ前記シェル部に結合する第2の官能基を他端に有する、
量子ドット含有ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
工程(c)の反応物の表面を第2の表面改質剤で改質する工程(c’)を更に含む、請求項10に記載の量子ドット含有ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
工程(c’)の反応物に塩基を導入し反応させて、複数の量子ドット埋め込み層を含む量子ドット部を形成する工程(c”)を更に含む、請求項11に記載の量子ドット含有ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
工程(d)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させるプロセスを1回又は複数回行って、複数のシリカシェル層を含むシェル部を形成する工程(d’)を更に含む、請求項10に記載の量子ドット含有ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の量子ドット含有ナノ粒子を含む、バイオプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な粒子サイズの量子ドット含有ナノ粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーの発展に伴い、バイオテクノロジー、新薬開発、医療などに関するバイオ分野で、ナノテクノロジーと融合したバイオデバイスの研究が行われている。一例として、ナノテクノロジーの融合によって生成された生体分子が整然と固定化されたバイオプラットフォームは、無秩序な分子集合体と比較して生体分子の活性を維持し、各分子に対して特定の機能を発揮でき、それにより、感度及び優れた選択性を有するバイオセンサーとして使用され、必要なサンプル量を減らしつつ、少量を検出できる。
【0003】
量子ドット含有ナノ粒子は、バイオプラットフォームに適用可能なナノ材料として挙げられ得る。量子ドットは、半導体材料であり、バルク状態の半導体材料の電子運動特性は一定のサイズ以下まで小さくなると更に制限されるため、発光波長がバルク状態のときとは異なる量子閉じ込め効果を示す材料である。この量子ドットが励起源からの光を受け取ることによってエネルギー励起状態に達すると、対応するエネルギーバンドギャップに従って自律的にエネルギーを放出する。従って、量子ドットの対応するバンドギャップを制御することにより、様々な波長帯のエネルギーを得ることができるため、量子ドット含有ナノ粒子は、本来の物性とは全く異なる光学的、電気的、磁気的性質などを示すことができる。
【0004】
これらの量子ドット含有ナノ粒子は、本来の光学特性を維持しつつ、バイオデバイスで長期間使用できるように、水分、酸素、光、熱などから保護する必要がある。従って、量子ドット含有ナノ粒子の表面をシリカなどの材料でキャップして、量子ドット含有ナノ粒子の表面が外部と接触するのを阻止することにより、量子ドット含有ナノ粒子の物理的及び化学的安定性を高める方法が適用されている。
【0005】
しかしながら、量子ドット含有ナノ粒子をシリカなどの材料でキャッピングする過程で、量子ドットがキャッピング材料上に蓄積するか、キャッピング密度が低いため、量子ドットをナノ粒子に均等に分布させることや、ナノ粒子のサイズを必要なレベルに制御することは、困難である。また、キャッピング密度が低いと、量子ドット含有ナノ粒子の安定性が確保されず、量子ドット含有ナノ粒子の光学特性が劣化する。
【0006】
従って、量子ドット含有ナノ粒子の安定性を確保することにより、優れた光学特性を示しつつ、粒子のサイズを自由に制御できる、量子ドット含有ナノ粒子を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安定性を確保することにより優れた光学特性を示し得る量子ドット含有ナノ粒子を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、量子ドット含有ナノ粒子のサイズを必要なレベルに自由に制御することができる量子ドット含有ナノ粒子の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、量子ドット含有ナノ粒子を含むバイオプラットフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、コア部と、コア部の表面に結合した量子ドット部と、コア部と量子ドット部とを保護するためのシェル部と、コア部とシェル部との結合を支持するための支持部と、を含み、支持部が、コア部に結合した第1の官能基を一端に有し且つシェル部に結合した第2の官能基を他端に有する炭素支持体から形成されている、量子ドット含有ナノ粒子を提供する。
【0011】
第1の官能基は、ニトロ基、イミド基、エステル基、マレイミド基、ヨードアセトアミド基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、及びトシル基からなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0012】
第2の官能基は、アルコキシシラン基、ジアルコキシシラン基、及びトリアルコキシシラン基からなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0013】
炭素支持体は、線状、分岐状、又はデンドリマー型の炭素骨格構造を含み得る。
【0014】
炭素支持体は、オリゴエチレングリコール又はポリエチレングリコールの骨格構造を含み得る。
【0015】
炭素支持体は、100~15,000g/モルの分子量を有し得る。
【0016】
シェル部は、複数のシリカシェル層を含み得る。
【0017】
量子ドット部は、複数の量子ドット埋め込み層を含み得る。
【0018】
(a)コア部の直径と(b)シェル部の厚さとの比は、120~3:1~7.5であり得る。
【0019】
更に、本発明は、(a)有機粒子又は無機粒子を含むコア部の表面を第1の表面改質剤で改質する工程と、(b)工程(a)の反応物に量子ドットを導入し反応させて、量子ドット部を形成する工程と、(c)工程(b)の反応物に炭素支持体を導入し反応させる工程と、(d)工程(c)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させて、支持部及びシェル部を形成する工程と、を含み、炭素支持体が、コア部に結合する第1の官能基を一端に有し且つシェル部に結合する第2の官能基を他端に有する、量子ドット含有ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の量子ドット含有ナノ粒子の製造方法は、工程(c)の反応物の表面を第2の表面改質剤で改質する工程(c’)を更に含み得る。
【0021】
更に、工程(c’)の反応物に塩基を導入し反応させて、複数の量子ドット埋め込み層を含む量子ドット部を形成する工程(c”)を更に含み得る。
【0022】
更に、工程(d)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させるプロセスを1回又は複数回行って、複数のシリカシェル層を含むシェル部を形成する工程(d’)を更に含み得る。
【0023】
一方、本発明は、量子ドット含有ナノ粒子を含むバイオプラットフォームを提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による量子ドット含有ナノ粒子は、支持部により高いキャッピング密度を有するため、安定性を確保することができ、それにより優れた光学特性を示すことができる。更に、本発明による量子ドット含有ナノ粒子は、優れた光学特性を有しつつ、様々な粒子サイズを示し得る。従って、本発明による量子ドット含有ナノ粒子は、バイオテクノロジーの分野(例えば、生体試料の検出)において有用に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の例による量子ドット含有ナノ粒子を示す断面図である。
図2】本発明の別の例による量子ドット含有ナノ粒子を示す断面図である。
図3】本発明の別の例による量子ドット含有ナノ粒子を示す断面図である。
図4】本発明の例による量子ドット含有ナノ粒子の形成過程を示すフローチャートである。
図5】本発明の例によるバイオプラットフォームを説明するための参考図である。
図6】本発明の例によるバイオプラットフォームを説明するための参考図である。
図7】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図8】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図9】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図10】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図11】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図12】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図13】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図14】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
図15】本発明の実施例、実験例、応用例を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び単語は、従来の意味又は辞書の意味に限定されるものとして解釈されるべきではなく、発明者は、用語の概念を適切に定義して、自身の発明を最良の方法で説明できる、という原則に基づいて、本発明の技術的アイデアと一致する意味及び概念として解釈されるべきである。
【0027】
本発明は、高いキャッピング密度により優れた物理的及び化学的安定性を有することにより優れた光学特性を示し得る量子ドット含有ナノ粒子に関する。これは、以下の図面を参照して具体的に説明される。
【0028】
図1を参照すると、本発明による量子ドット含有ナノ粒子(以下、「ナノ粒子」という)は、コア部10、量子ドット部20、シェル部30、及び支持部40を含み得る。
【0029】
本発明のナノ粒子に含まれるコア部10は、有機粒子又は無機粒子を含み得る。無機粒子は、具体的には、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、及び二酸化亜鉛からなる群から選択される1つ又は複数の成分からなるものであり得る。これらの無機粒子は安定性が高いため、コア部10に適用すると、ナノ粒子のサイズやコア部10のサイズを容易に制御することができ、そのため、優れた光学特性を有し且つ様々な粒子サイズを有するナノ粒子が得られ得る。また、無機粒子は、強い結合力の共有結合により量子ドットに結合する。共有結合している場合は、光退色による安定性の低下を防ぐことができ、長期間後であっても量子ドットの発光特性を維持することができる。
【0030】
コア部10の直径は、10~100,000nm、具体的には80~1,000nmであり得る。コア部10の直径が上記の範囲内であることにより、ナノ粒子の取り扱い及び更なる後処理を容易に行うことができる。
【0031】
本発明のナノ粒子に含まれる量子ドット部20は、コア部10の表面に結合しており、ナノ粒子が光学特性を示すことを可能にするのに役立ち得る。具体的には、量子ドット部20は、コア部10の表面全体を複数の量子ドットが取り囲む構造(単一の量子ドット埋め込み層)を有し得る。また、量子ドット部20に含まれる量子ドットは、シェル部30の成分であるシリカと架橋を形成し得、量子ドットが架橋によりシェル部30のシリカにランダムに結合した構造が現れ得る。
【0032】
一例として、量子ドットは、両端に官能基を有する材料によって均一に分散されコア部10の表面に結合し得、これにより、量子ドット部20が形成され得る。両端に官能基を有する材料は、具体的には、硫黄、窒素、及びリンからなる群から選択される1つ又は複数の原子を含む官能基が一端に結合し且つシラン基、アミノ基、スルホン基、カルボキシル基、及びヒドロキシ基からなる群から選択される1つ又は複数の官能基が他端に結合した材料であり得る。
【0033】
量子ドット部20に含まれる量子ドットは、II-VI族系半導体成分、III-V族系半導体成分、又はIV-IV族系半導体成分からなる単一コア構造を有していてもよいし、II-IV族系半導体成分を単一コア上にコーティングすることによってコーティング層を形成した構造を有していてもよい。
【0034】
II-VI族系半導体は、周期表上の少なくとも1つのIIB族元素及び少なくとも1つのVIB族元素が結合した半導体であり得る。具体的には、II-VI族系半導体は、CdS、CdSe、CdTe、ZnSe、ZnS、PbS、PbSe、HgS、HgSe、HgTe、CdHgTe、及びCdSeTe1-xからなる群から選択され得る。III-V族系半導体は、GaAs、InAs、及びInPからなる群から具体的に選択することができる。
【0035】
具体的には、発光効率の観点から、量子ドットは、単一コア構造ではなく、単一コア上にコーティング層が形成された構造を有することがより好ましい場合がある。これは、コーティング層がパッシベーション層として機能して単一コアを保護し、それによって量子ドットの安定性を高めるためである。具体的には、量子ドットとして、CdSe又はCdS製の単一コア上にZnS製のコーティング層を形成したもの、又はCdSe製の単一コア構造上にCdSe又はZnSe製のコーティング層を形成したもの(タイプ1量子ドット)を使用できる。
【0036】
また、量子ドットとしては、単一コア構造の量子ドット上に疎水性有機化合物(オレイン酸等)をコーティングしたもの、又は単一コア上にコーティング層を形成した構造のものを使用することができる。
【0037】
これらの量子ドットの直径は、1~50nm、具体的には1~20nmであり得る。また、量子ドットが単一コア上にコーティング層を形成した構造の場合、単一コアの直径は1~20nm、具体的には2~10nmであり得る。
【0038】
このような量子ドットを含む量子ドット部20は、図2に示すように、複数の量子ドット埋め込み層(量子ドットコーティング層)21、22、23を含み得る。具体的には、量子ドット部20は、コア部10の表面を取り囲む第1の量子ドット埋め込み層21、第1の量子ドット埋め込み層21を取り囲む第2の量子ドット埋め込み層22、及び第2の量子ドット埋め込み層22を取り囲む第3の量子ドット埋め込み層23を含み得る。ここで、量子ドット埋め込み層21、22、及び23の数は、図2に示されるものに限定されず、必要な物理的特性及びナノ粒子のサイズに従って調整することができる。このように、量子ドット部20が複数の量子ドット埋め込み層21、22、23を含む場合、ナノ粒子は多層多重量子ドットを含み、それにより高い発光効率(量子収率)と改善された輝度を示す。
【0039】
量子ドット部20において量子ドットが占める層の密度は、表面積占有率に関して、コア部10の表面積の5%以上、又は20%以上であり得る。また、量子ドット部20に含まれる量子ドットの数は、10~400,000、100~4,000、又は400~500であり得る。
【0040】
本発明のナノ粒子に含まれるシェル部30は、量子ドット部20を取り囲むように結合しており、コア部10と量子ドット部20とを保護するのに役立ち得る。シェル部30は、主にシリカから成り得る。
【0041】
シェル部30は、量子ドット部20に結合する過程で量子ドットを含み得る。具体的には、量子ドット部20に結合していない量子ドット又は量子ドット部20から分離した量子ドットがシェル部30に含まれると、シェル部30は、量子ドット含有複合シェル構造を有し得る。ここで、シェル部30に含まれる量子ドットの数は、例えば、10~100,000、又は200~5,000であり得る。更に、シェル部30において量子ドットが占める層密度(重量/体積)は、量子ドット部20の実質的な表面積の0.00001~99.99999%、30~90%、又は7~80%であり得る。
【0042】
シェル部30の厚さは、1~1,000nm、具体的には1~300nmであり得る。シェル部30の厚さが上記の範囲内であると、コア部10及び量子ドット部20を保護しつつ、ナノ粒子が過度に重くなるのを防ぎ、ナノ粒子の適用性を高めることができる。
【0043】
そのようなシェル部30は、図3に示すように、複数のシリカシェル層31、32、33を含み得る。具体的には、シェル部30は、量子ドット部20を取り囲む第1のシリカシェル層31と、第1のシリカシェル層31を取り囲む第2のシリカシェル層32と、第2のシリカシェル層32を取り囲む第3のシリカシェル層33と、を含み得る。ここで、シリカシェル層31、32、及び33の数は、図3に示される数に限定されず、ナノ粒子の必要な物理的特性とサイズに応じて調整できる。このように、シェル部30が複数のシリカシェル層31、32、33を含む場合、シェル部30のキャッピング密度が増加し、ナノ粒子の安定性が高まる。更に、シリカシェル層31、32、33の数を調整することにより、ナノ粒子のサイズを必要なレベルに自由に制御することができる。このとき、ナノ粒子のサイズ制御は、シェル部30に含まれるシリカシェル層31、32、33の数を調整することに加えて、シェル部30の形成時に反応材料の体積を調整することによって、厚さを制御することによっても、具体化することができる。
【0044】
本発明のナノ粒子に含まれる支持部40は、コア部10およびシェル部30の各々と結合しており、コア部10とシェル部30との結合を支持するように機能することができる。支持部40は、コア部10とシェル部30とを接続するブリッジ構造を有し得る。支持部40は、コア部10とシェル部30との間の結合力を増加させつつ、シェル部30のキャッピング密度(架橋密度)を増加させ、それにより、本発明は、高い安定性及び優れた光学特性を有するナノ粒子を提供し得る。
【0045】
すなわち、図4を参照すると、コア部10は、量子ドット(QD)の結合のためにその表面を改質することによって、量子ドット(QD)が結合し得る官能基(X)を有する。量子ドット(QD)が結合する過程で、量子ドットは、コア部10の表面に存在する全ての官能基とは結合できず、未反応の基が残り得る。コア部10の表面に残っている未反応基がシェル部30と結合することは困難であり、そのことが、シェル部30のキャッピング密度の低下につながり得る。
【0046】
しかし、本発明は、コア部10上に存在する未反応基とシェル部30との間に炭素支持体で形成された支持部40を導入することによりキャッピング密度を増加させることに関連し、これにより、ナノ粒子の安定性と光学特性を向上させることができる。
【0047】
具体的には、支持部40は、コア部10に結合する第1の官能基を一端に有し且つシェル部30に結合する第2の官能基を他端に有する炭素支持体で形成され得る。
【0048】
第1の官能基は、コア部10の表面に残っている未反応の官能基(例えば、チオール基)と反応し、具体的には、ニトロ基、イミド基、エステル基、マレイミド基、ヨードアセトアミド基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、及びトシル基からなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0049】
第2の官能基は、シェル部30を形成するためのシリカ前駆体と反応し、具体的には、アルコキシシラン基、ジアルコキシシラン基、及びトリアルコキシシラン基からなる群から選択される1つ又は複数であり得る。アルコキシシラン基は、メトキシシラン基又はエトキシシラン基であり得る。ジアルコキシシラン基は、ジメトキシシラン基又はジエトキシシラン基であり得る。トリアルコキシシラン基は、トリメトキシシラン基又はトリエトキシシラン基であり得る。
【0050】
炭素支持体は、両端に第1の官能基及び第2の官能基を有し、その主骨格は、線状、分岐状、又はデンドリマー型の炭素骨格構造を有し得る。また、炭素支持体の主骨格は、オリゴエチレングリコール又はポリエチレングリコールの骨格構造から構成されていてもよい。炭素支持体の主骨格がオリゴエチレングリコール又はポリエチレングリコールの骨格構造で構成されている場合、ナノ粒子を作製する過程で溶媒(例えばエタノール)への分散性が向上し得る。
【0051】
一例として、炭素支持体は、以下の式1によって表される構造を有し得る。
【0052】
【化1】
【0053】
ここで、Eは、第1の官能基である。E第2の官能基である。L及びLは、互いに同一であっても異なっていてもよく、C-C10アルキレン基、C-C10アリーレン基、エステル基、アセトアミド基、及びニトロ基からなる群からそれぞれ独立して選択され得る、又はそれらの組み合わせであり得る。*-(PEG)-*(ここで、nは3~250の整数)は、ポリエチレングリコール繰り返し単位であり得る。具体的には、L及びLは、それぞれ独立して、C-C10アルキレン基、
【0054】
【化2】
【0055】
からなる群から選択してもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0056】
一方、炭素支持体の分子量は、100~15,000g/モルであり得、具体的には、1000~10,000g/モルであり得る。
【0057】
本発明のナノ粒子は、支持部40により安定性を確保することにより、優れた光学特性を示し得る。具体的には、支持部40が炭素支持体によって形成される場合、炭素支持体は、単に分子単位で存在するのではなく、炭素支持体間の結合によって結晶構造を形成するので、コア部10とシェル部30との間の結合密度及びナノ粒子内部の架橋密度が向上し、その結果、ナノ粒子の安定性が向上し得る。
【0058】
また、本発明のナノ粒子は、シェル部30の厚さ又はシェル部30に含まれるシリカシェル層31、32、33の数を制御することにより、様々なサイズを示し得る。
【0059】
ここで、ナノ粒子の光学特性をより考慮して、(a)コア部10の直径と、(b)シェル部30の厚さと、の比(長さ比)は、120~3:1~7.5、具体的には、6~3:1~2であり得る。
【0060】
更に、本発明のナノ粒子は、コア部10の直径と、量子ドット部20の厚さと、シェル部30の厚さと、の比が、1:0.1~9:0.1~10、具体的には、1:0.1~4:0.1~4、より具体的には、1:0.1~2:0.1~2であり得る。
【0061】
一方、本発明のナノ粒子は、シェル部30を取り囲む外層部(図示せず)を更に含み得る。外層部は、主にシリカでできていてもよく、アルミナ、二酸化チタン、及び二酸化亜鉛からなる群から選択される1つ又は複数の成分を更に含み得る。外層部を更に含めると、ナノ粒子のテンプレート安定性が向上するため、ナノ粒子のサイズ制御が容易になり、遠心分離や洗浄も可能になり得る。
【0062】
本発明は、上記のナノ粒子を製造する方法を提供する。具体的には、本発明のナノ粒子の製造方法は、有機粒子又は無機粒子を含むコア部の表面を第1の表面改質剤で改質する工程(工程(a))と、工程(a)の反応物に量子ドットを導入し反応させて、量子ドット部を形成する工程(工程(b))と、工程(b)の反応物に炭素支持体を導入し反応させる工程(工程(c))と、工程(c)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させて、支持部及びシェル部を形成する工程(工程(d))と、を含み得る。
【0063】
工程(a)は、有機粒子又は無機粒子を含むコア部を第1の表面改質剤と反応させることによって、量子ドットに結合することができる官能基をコア部の表面に導入するプロセスであり得る。第1の表面改質剤は、シラン基、チオール基、炭素含有疎水性官能基、カルボキシル基、及びアミン基からなる群から選択される1つ又は複数の官能基を一端に有し且つチオール基、アミン基、エポキシ基、ハロゲン類、及び炭素類からなる群から選択される1つ又は複数の官能基を他端に有するカップリング剤であり得る。具体的には、第1の表面改質剤は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-ジフェニルホスフィノエチルトリエトキシシラン、ジフェニルホスフィノエチルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、3-(メタ-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、及びn-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランからなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0064】
工程(b)は、工程(a)の反応物(表面が改質されたコア部)に量子ドットを導入し反応させることにより、コア部を取り囲む量子ドット部を形成するプロセスであり得る。この場合、量子ドットとして、疎水性有機化合物でコーティングされた量子ドットを使用し得る。また、量子ドット部を形成する過程で疎水性有機溶媒を使用することで、結合していない量子ドットの数を最小限に抑え、反応を安定化させることができる。疎水性有機溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、エチルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、及びシクロヘキサンからなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0065】
工程(b)における反応物(表面が改質されたコア部)と量子ドットとの反応比は特に限定されないが、量子ドット部形成の効率を考慮すると、それは8:1~2:1の重量比であり得る。
【0066】
工程(c)は、工程(b)の反応物(表面に量子ドット部が形成されたコア部)を炭素支持体と反応させることによって、反応物の表面(コア部の表面)に、支持部形成前駆体(炭素支持体の第1の官能基がコア部に結合した状態)を導入するプロセスであり得る。炭素支持体の記載は、上記と同じであるため、省略する。
【0067】
工程(c)における反応物(表面に量子ドット部が形成されたコア部)と炭素支持体との反応比は特に限定されないが、ナノ粒子の架橋密度を考慮すると、それは10:1~500:1の重量比であり得る。
【0068】
工程(d)は、工程(c)の反応物(量子ドット及び炭素支持体と反応したコア部)をシリカ前駆体と反応させることによって、支持部及びシェル部を形成するプロセスであり得る。具体的には、シリカ前駆体は、工程(c)で導入された支持部形成前駆体と反応することにより、支持部及びシェル部を形成する。ここで、シリカ前駆体は、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びエチルトリエトキシシランからなる群から選択される1つ又は複数であり得る。
【0069】
一方、本発明のナノ粒子の製造方法は、工程(c)の反応物(表面に量子ドット部が形成されたコア部)を第2の表面改質剤で改質する工程(工程(c’))を更に含み得る。具体的には、工程(c’)は、工程(c)の反応物(表面に量子ドット部が形成されたコア部)に含まれる量子ドット部(量子ドット)の表面に、シェル部形成材料であるシリカ前駆体と反応することができる官能基を導入するプロセスであり得る。ここで、第2の表面改質剤は、シラン基、チオール基、炭素含有疎水性官能基、カルボキシル基、及びアミン基からなる群から選択される1つ又は複数の官能基を一端に有し且つチオール基、アミン基、エポキシ基、ハロゲン類、及び炭素類からなる群から選択される1つ又は複数の官能基を他端に有するカップリング剤であり得る。具体的には、第2の表面改質剤は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び2-ジフェニルホスフィノエチルトリエトキシシラン、ジフェニルホスフィノエチルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、3-(メタ-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、及びn-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランからなる群から選択される1つ又は複数であり得る。このように、工程(c)の反応物が第2の表面改質剤で改質されると、量子ドット部とシェル部との間の結合密度を増加させることができる。
【0070】
ここで、本発明のナノ粒子の製造方法は、工程(c’)の反応物(第2の表面改質剤で改質された量子ドット部が結合したコア部)に塩基を導入し反応させて、複数の量子ドット埋め込み層を含む量子ドット部を形成する工程(工程(c”))を更に含み得る。すなわち、最初に、量子ドットを、第1の表面改質剤で表面を改質したコア部と反応させて、第1の量子ドット埋め込み層を形成した後に、第2の表面改質剤で表面を改質するプロセスを行ってから塩基を供給して量子ドットを再結合するプロセスを行うことによって、複数の量子ドット埋め込み層を形成する。ここで、量子ドットの結合反応が、第2の表面改質剤で表面を改質した後に塩基を供給することによって行われる場合、第2の表面改質剤間の結合が制御され、その結果、各層が複数積層した構造(多層構造)の量子ドット埋め込み層を容易に形成できる。塩基は、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される1つ又は複数であり得る。このようにして、複数の量子ドット埋め込み層が形成されると、ナノ粒子の発光効率と輝度を向上させることができる。
【0071】
工程(c’)及び/又は工程(c”)は、工程(c)の前に行うことができ(すなわち、工程(b)の反応物との反応)、工程(c)と同時に行うことができ、又は工程(c)の後に行うことができる。
【0072】
また、本発明のナノ粒子の製造方法は、工程(d)の反応物にシリカ前駆体を導入し反応させるプロセスを1回又は複数回(具体的には3~4回)繰り返し行って、複数のシリカシェル層を含むシェル部を形成する工程を更に含み得る。このように、複数のシリカシェル層が形成される場合、ナノ粒子のサイズを容易に必要なレベルに制御することができる。
【0073】
本発明の製造方法によって製造されたナノ粒子は、大量の量子ドットがコア部の表面に安定して結合した構造を有し得、様々な粒子サイズを有し得、各発光色を観察するのに十分な発光効率及び輝度を示し得る。従って、本発明のナノ粒子は、生物学的用途に適用された場合、(マルチ)標識部位として有用に機能し得る。
【0074】
具体的には、本発明は、上記のナノ粒子を含むバイオプラットフォーム(又はバイオアッセイ)を提供することができる。本発明において、バイオプラットフォームは、免疫診断などの分子診断に使用されるプラットフォームを指し得る。そのようなバイオプラットフォームにおいて、本発明のナノ粒子(具体的には、ナノ粒子のシェル部の表面)は、(マルチ)標識部位として機能し得る。
【0075】
一例として、ナノ粒子は、リガンドを介して標的物質(生体試料)に相補的に結合する抗体に結合され、ナノ粒子結合抗体が標的物質(生体試料)を捕捉する構造を提供する。リガンドは特に限定されず、ストレプトアビジン-ビオチン、アビジン-ビオチン、又はアシアロ糖タンパク質-ガラクトースなどの受容体-リガンド対であり得る。
【0076】
標的物質(生体試料)は、抗原、受容体、ウイルス、酵素、感染性免疫グロブリン、サイトカイン、又は他の感染性因子であり得る。
【0077】
本発明のバイオプラットフォームは、上記のナノ粒子が磁気ビーズとサンドイッチアッセイ構造を形成したバイオプラットフォーム(又はバイオアッセイ)として具体化することができる。
【0078】
磁気ビーズとしては、非特異的結合の防止を考慮して、ポリスチレンシード及びスチレンモノマーとスチレン誘導体、乳化剤、及び脂溶性過酸化物系重合開始剤との混合物を共重合させて得られるビーズ状共重合体が好ましい。
【0079】
本発明のバイオプラットフォームを使用して生体試料を検出するプロセスは、ナノ粒子及び磁気ビーズがサンドイッチアッセイ構造に配置されたバイオプラットフォームに、標的物質(生体試料)を注入して、反応を行い(図5参照)、反応から放出される蛍光強度を測定するプロセスから構成され得る。この場合、蛍光強度は、光学的方法、電気信号に変換する方法などによって測定することができる。
【0080】
一方、本発明のバイオプラットフォームは、生物学的検出キットとして具体化され得る。生物学的検出キットは、感知膜と、感知膜に固定された本発明のナノ粒子と、を含み得る。
【0081】
感知膜は、脱水-縮合法によって固定されたものであり得る。更に、感知膜は、ガラス板、ポリスチレン板、又はマイクロタイター板上に形成されたものであり得る。
【0082】
このような生物学的検出キットは、単糖、多糖、有機酸、アルコール、コレステロール、コリン、及びキサンチンからなる群から選択される1つ又は複数の物質を検出することができるキットであり得る。具体的には、図6は、本発明のナノ粒子が適用された生物学的検出キットを示す図であり、部分拡大図は、抗体が結合したナノ粒子を、検出キットのニトロセルロース膜(NC膜)上の赤い線で示しており、標的物質と捕捉抗原との間の反応を示している。
【0083】
本発明の生物学的検出キットは、上記のナノ粒子(すなわち、様々な粒子サイズを有するナノ粒子)を含むので、感度を容易に調整することができる。
【0084】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明の技術的精神のカテゴリー及び範囲内で種々の変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、本発明の範囲はそれらに限定されない。
【0085】
[実施例1]
【0086】
ストーバー法により直径120nm(10mg/ml)のシリカ粒子からなるコア部に100μlの1%(v/v)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)を添加し、25℃で12時間撹拌することによりチオール基をシリカ粒子の表面に導入した。
【0087】
次に、チオール基が導入されたシリカ粒子に、オレイン酸(疎水性)でコーティングされた固体量子ドット粒子(CdSe/ZnS、100mg/ml)4mgを添加し、ボルテックスで激しく攪拌することにより、量子ドット粒子をシリカ粒子のチオール基に結合させた。次に、疎水性溶媒であるジクロロメタン8mlを更に添加し、10分間撹拌して、結合していない量子ドット粒子を更に結合させた。次に、100μlのメルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)をそこに添加して15分間撹拌し、次に塩基として100μlの25%アンモニア水(NHOH(aq))を添加して3時間撹拌して、3つの量子ドット埋め込み層が積層した構造の量子ドット部を形成した。
【0088】
次に、コア部と量子ドット部が形成されたナノ粒子をエタノールで3回洗浄した後、テトラエチルオルトシリケート100μlと塩基として25%アンモニア水を添加し、400rpmで20時間攪拌して、シェル部を形成した。その後、エタノールで3回洗浄するプロセスを行った後、シリカコア部と、3つの量子ドット埋め込み層が積層した量子ドット部と、シリカシェル部(単一のシリカシェル層)と、を含む量子ドット含有ナノ粒子が作製された。
【0089】
[実施例2]
【0090】
量子ドット部を形成する際に、最初にメルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)を添加し撹拌した後に25%アンモニア水(NHOH(aq))を添加せずに、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)及び25%アンモニア水(NHOH(aq))を同時に添加し撹拌したこと以外は、実施例1と同じプロセスを行うことにより、シリカコア部と、1つの量子ドット埋め込み層を含む量子ドット部と、シリカシェル部と、を含む量子ドット含有ナノ粒子を作製した。
【0091】
[実験例1]
【0092】
上記実施例1及び2で作製した量子ドット含有ナノ粒子の発光効率及び輝度をそれぞれ測定し、その結果を図7に示す。図7は、水溶性リガンド及びCOOH官能基で改質された従来の量子ドット含有ナノ粒子(QD-COOHとして示される)と、実施例2の複数量子ドット含有ナノ粒子(単一シリカQD又はQDとして示される)と、実施例1の多層複数量子ドット含有ナノ粒子(QDとして示される)と、の間で発光効率及びの輝度を比較する図である。図7におけるAを参照すると、QD-COOH(コントロール)、シリカコーティングQD(実施例2)、及びQD(実施例1)のQYの結果を確認することができた。図7におけるBを参照すると、単一コーティングQD(実施例2)及びQD(実施例1)の蛍光強度の結果を確認することができた。一方、図7におけるCを参照すると、肉眼で確認できるUVランプ(365nm)で単一コーティングQD(実施例2)及びQD(実施例1)を観察した結果を確認することができた。
【0093】
[実施例3]
【0094】
実施例2で作製した量子ドット含有ナノ粒子上にシェル部を追加的に形成するプロセスを追加的に1回行うことにより、シリカコア部と、1つの量子ドット埋め込み層が積層した量子ドット部と、2つのシリカシェル層が積層したシリカシェル部と、を含む量子ドット含有ナノ粒子(平均直径180nm)を作製した。このとき、シェル部を追加的に形成するプロセスは、最初に250μlのテトラエチルオルトシリケート、25%アンモニア水、エタノール、及び脱イオン水(DW)を25分間反応させ、次に上記の実施例2で作製された量子ドット含有ナノ粒子を添加し、400rpmで20時間撹拌し、続いてエタノールで3回洗浄するプロセスを行うことで構成されていた。
【0095】
[実施例4]
【0096】
実施例2で作製した量子ドット含有ナノ粒子上にシェル部を形成するプロセスを追加的に2回行うことにより、シリカコア部と、1つの量子ドット埋め込み層が積層した量子ドット部と、3つのシリカシェル層が積層したシリカシェル部と、を含む量子ドット含有ナノ粒子(平均直径210nm)を作製した。このとき、シェル部を追加的に形成するプロセスは、実施例3に記載のプロセスであり、このプロセスを2回繰り返すことで構成されていた。
【0097】
[実施例5]
【0098】
実施例2で作製した量子ドット含有ナノ粒子上にシェル部を形成するプロセスを更に3回行うことにより、シリカコア部と、1つの量子ドット埋め込み層が積層した量子ドット部と、4つのシリカシェル層が積層したシリカシェル部と、を含む量子ドット含有ナノ粒子(平均直径234nm)を作製した。このとき、シェル部を追加的に形成するプロセスは、実施例3に記載のプロセスであり、このプロセスを3回繰り返すことで構成されていた。
【0099】
[実験例2]
【0100】
実施例3~5でそれぞれ作製した量子ドット含有ナノ粒子を透過型電子顕微鏡で分析した。結果を図8に示す。図8を参照すると、シリカシェル層の形成を制御することにより粒子サイズが増加したナノ粒子が作製されたことが確認できた。また、ナノ粒子のサイズが増加した場合でも均一な形のナノ粒子が作製されたことが確認できた。
【0101】
[実験例3]
【0102】
実施例2~4のいずれか1つを適用して量子ドット含有ナノ粒子を作製したが、各工程で使用する材料や反応比を制御することにより、様々なサイズの量子ドット含有ナノ粒子を作製した。その後、作製した量子ドット含有ナノ粒子を透過型電子顕微鏡で分析した。結果を図9に示す。図9を参照すると、様々なサイズの量子ドット含有ナノ粒子が作製されたことが確認できた。このことは本発明が量子ドット含有ナノ粒子のサイズを自由に制御できることを支持していると理解することができる。
【0103】
[実施例6~9]
【0104】
実施例2で作製した量子ドット含有ナノ粒子上にシェル部を追加的に形成するプロセスをそれぞれ1回ずつ更に行うことにより、量子ドット含有ナノ粒子を作製した。作製したナノ粒子のサイズを以下の表1に示す。このとき、実施例6でシェル部を追加的に形成するプロセスは、最初にテトラエチルオルトシリケート15μl、25%アンモニア水5μl、エタノール5ml、及び脱イオン水(DW)0.5mlを25分間反応させ、次に上記の実施例2で作製した量子ドット含有ナノ粒子を添加し、400rpmで20時間撹拌し、続いてエタノールで3回洗浄するプロセスを行うことで構成されていた。更に、実施例7、8、及び9においてシェル部を追加的に形成するプロセスは、実施例6の反応物(テトラエチルオルトシリケート、アンモニア水、エタノール、及び脱イオン水)の量をそれぞれ2、4、及び8倍増加して添加するプロセス、並びに、反応及び洗浄のプロセスをそれぞれ行うことから構成されていた。
【0105】
【表1】
【0106】
[実験例4]
【0107】
実施例2及び6~9で作製した量子ドット含有ナノ粒子の安定性は、それぞれ、以下の方法で評価した。具体的には、実施例2及び6~9の量子ドット含有ナノ粒子のそれぞれを、25℃、50℃、及び70℃に設定された各チャンバーに入れ、17時間保存した。その後、ナノ粒子をチャンバーから取り出して量子収率(%)(QY)を測定し、基準25℃と比較したQY値の変化の程度を確認し、以下の表2に示した。
【0108】
【表2】
【0109】
上記の表2を参照すると、25℃ではナノ粒子のQY値に変化はなかったが、厳しい条件である50℃及び70℃ではシェル部の厚さ(シリカシェル層の数)によりQY値に変化があったことが確認できた。特に、実施例6~8は、温度によるQY値のわずかな変化により、優れた安定性を示したことが確認できた。
【0110】
[実験例5]
【0111】
シェル部の平均厚さの増加によるQY値の変化を、実施例6~9でそれぞれ作製した量子ドット含有ナノ粒子を用いて測定した。結果を図10に示す。図10を参照すると、シェル部の平均厚さが約7nmまではQY値に変化がなかったが、7nm以上の厚さではQY値が低下したことが確認できた。
【0112】
[実施例10]
【0113】
直径120nm(10mg/ml)のシリカ粒子からなるコア部に100μlの1%(v/v)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)を添加し、25℃で12時間撹拌することによりシリカ粒子の表面にチオール基を導入した。
【0114】
次に、チオール基を導入したシリカ粒子に、オレイン酸(疎水性)でコーティングするプロセスを行った固体量子ドット粒子(CdSe/ZnS、100mg/ml)4mgを添加し、ボルテックスで激しく攪拌することにより、量子ドット粒子をシリカ粒子のチオール基に結合させた。次に、疎水性溶媒であるジクロロメタン8mlを更に添加し、10分間撹拌して、結合していない量子ドット粒子を更に結合させた。
【0115】
次に、両端にマレイミド基とトリエトキシシラン基とがそれぞれ結合し且つポリエチレングリコールの主骨格を有する炭素支持体(分子量1,000g/mol)150μlを添加し、15分間撹拌し、メルカプトプロピルトリエトキシシラン(MPTES)100μlを添加して15分間撹拌した後、塩基として25%アンモニア水(NHOH(aq))100μlを添加して3時間撹拌して、炭素支持体をコア部の表面に結合させつつ、3つの量子ドット埋め込み層が積層した構造を有する量子ドット部を形成した。
【0116】
次に、コア部、量子ドット部、及び炭素支持体が結合したナノ粒子をエタノールで3回洗浄した後、テトラエチルオルトシリケート100μlと25%アンモニア水を添加し、400rpmで20時間攪拌して、支持部とシェル部とを形成した。その後、エタノールで3回洗浄するプロセスを行い、シリカコア部と、3つの量子ドット埋め込み層が積層した量子ドット部と、炭素支持体と、シリカシェル部(単一のシリカシェル層)と、を含むナノ粒子を作製した。
【0117】
[実施例11]
【0118】
両端にマレイミド基とトリエトキシシラン基とがそれぞれ結合し且つポリエチレングリコールの主骨格を有し且つ2,000g/molの分子量を有する炭素支持体を適用したこと以外は上記実施例10と同じプロセスを行うことにより、量子ドット含有ナノ粒子を作製した。
【0119】
[実施例12]
【0120】
両端にマレイミド基とトリエトキシシラン基とがそれぞれ結合し且つポリエチレングリコールの主骨格を有し且つ3,400g/molの分子量を有する炭素支持体を適用したこと以外は上記実施例10と同じプロセスを行うことにより、量子ドット含有ナノ粒子を作製した。
【0121】
[実施例13]
【0122】
両端にマレイミド基とトリエトキシシラン基とがそれぞれ結合し且つポリエチレングリコールの主骨格を有し且つ5,000g/molの分子量を有する炭素支持体を適用したこと以外は上記実施例10と同じプロセスを行うことにより、量子ドット含有ナノ粒子を作製した。
【0123】
[実施例14]
【0124】
両端にマレイミド基とトリエトキシシラン基とがそれぞれ結合し且つポリエチレングリコールの主骨格を有し且つ10,000g/molの分子量を有する炭素支持体を適用したこと以外は上記実施例10と同じプロセスを行うことにより、量子ドット含有ナノ粒子を作製した。
【0125】
[実験例6]
【0126】
実施例10~14でそれぞれ作製した量子ドット含有ナノ粒子を透過型電子顕微鏡で分析した。結果を図11に示す。図11を参照すると、均一な形状及びサイズを有するナノ粒子が作製されたことが確認できた。
【0127】
[実験例7]
【0128】
実施例1及び10でそれぞれ作製した量子ドット含有ナノ粒子の安定性を、以下の方法で評価した。具体的には、実施例1及び10の量子ドット含有ナノ粒子のそれぞれを含む溶液をパッド上に滴下し、次いで乾燥させた。次に、乾燥させたパッド上に化学接着剤を滴下し、銀箔ポーチで密封した後、55℃のチャンバー内で340分間保存しつつ、蛍光シグナルの減少率(初期蛍光シグナルに対する保存時間経過後の蛍光シグナルの比率)を測定した。結果を図12に示す。
【0129】
図12を参照すると、時間とともに、実施例1では蛍光シグナルの強度が約75%減少した一方で、実施例10では約12%減少したことが確認できた。このことは、炭素支持体からなる支持部を含むナノ粒子が、支持部を含まないナノ粒子と比較して、優れた化学的安定性を有することを支持していると理解することができる。
【0130】
[応用例1]生物学的検出キット
【0131】
実施例1で作製した量子ドット含有ナノ粒子を用いて、以下のプロセスで生物学的検出キットを作製し、抗原捕捉実験を行った。
【0132】
1)量子ドット含有ナノ粒子の表面改質
【0133】
上記実施例1の量子ドット含有ナノ粒子1mgを(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES溶液、5%v/v、1mL)に添加し、室温で1時間攪拌した。その後、エタノールで3回洗浄した後、無水コハク酸75mg、2-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液500μl、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)3.50μlを添加して2時間攪拌した。その後、ジメチルホルムアミド(DMF)で3回洗浄した後、ジメチルピリジン(DMP)100μlと4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)2.1mgを添加し、DICを27μl添加し、室温で1時間攪拌した。その後、2-メチル-2-ピロリドン(NMP)で2回、三リン酸緩衝液(TPBS)で1回、リン酸緩衝液(PBS、pH7.2)で1回洗浄し、リン酸緩衝液(PBS、pH7.2)に分散させて、抗体を結合するためのナノ粒子の表面改質を行った。
【0134】
2)抗体結合
【0135】
20uM抗体を100μgの表面改質量子ドット含有ナノ粒子に添加し、室温で2時間撹拌した。その後、PBS(pH7.2)で4回洗浄し、抗体をナノ粒子に結合させた。
【0136】
3)検出キットの作製
【0137】
抗体に結合した量子ドット含有ナノ粒子にウシ血清アルブミン(BSA)溶液(5%w/w、1mL)を添加し、室温で1時間撹拌することにより、図13-Aに示す検出キットを作製した。
【0138】
作製した検出キットを用いて抗原捕捉実験を行った。結果を図13に示す。図13におけるAを参照すると、抗原が捕捉されたときに、捕捉抗体と標的物質とが結合して、吸収パッド側において捕捉抗体と共に線のマークを表示したことが、確認できた。また、図13におけるBを参照すると、検出キット分析装置により、検出キットにおいて線でマークされた箇所での蛍光強度を確認することができた。
【0139】
[応用例2]サンドイッチ構造のバイオプラットフォーム(バイオアッセイ)
【0140】
実施例1で作製した量子ドット含有ナノ粒子を用いて、以下のプロセスでバイオプラットフォームを作製し、実験を行ってその性能を確認した。
【0141】
1)磁気ビーズの作製
【0142】
単分散ポリスチレンシード(4μm)が、分散重合法を使用して作製された。分散媒として、ポリビニルピロリドン-40(PVP-40)1gを含むエタノール/2-メトキシエタノール(体積比3:2)を使用した。
【0143】
具体的には、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、150mg)をスチレン(15mL)に溶解し、そこから抑制剤を除去した後、分散媒に添加した。その後、超音波処理を10分間行った後、円筒形反応チャンバー内で70℃で20時間攪拌(120cpm)しながら分散重合を行った。次に、懸濁液を遠心分離し、遠心分離しながら沈殿物を蒸留水で洗浄し、次にエタノールで再度洗浄し、真空下で乾燥させるプロセスを行うことにより、ポリスチレンシード(4μm、8.3g)が得られた。
【0144】
次に、得られたポリスチレンシード(4μm、700mg)を、オーバーヘッドスターラーと還流冷却器を備えたガラス反応器に入れ、0.25%(w/w)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含むフタル酸ジブチル(DBP、0.7mL)の乳化水性媒体(100mL)に分散させ、400rpm、室温で20時間撹拌して、ポリスチレンシードをフタル酸ジブチル(DBP)で膨張させた。BPO(240mg)を溶解させたスチレン(4.6mL)とジビニルベンゼン(DVB、2.3mL)の混合物を、0.25%(w/w)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む100mLの水性媒体に入れ、ホモジナイザーを使用して1分間乳化した。その後、スチレン-ジビニルベンゼン混合物を、フタル酸ジブチルで膨張させた攪拌ポリスチレンシード分散媒体に添加し、室温で400rpmで20時間反応させた。20時間後、10mlの10%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、20時間反応させた分散媒体に添加し、窒素で30分間パージした。その後、重合のために、200rpm、70℃で20時間連続的に攪拌することにより、単分散PS-DVBビーズが得られた。
【0145】
次に、得られたPS-DVBビーズを洗浄および遠心分離した後、脱イオン水(50℃)で洗浄した。次に、PS-DVBビーズをエタノールとテトラヒドロフラン(THF)で洗浄し、フタル酸ジブチル(DBP)と線状ポリマーを除去した。その後、真空下、30℃で24時間乾燥し、マクロポーラスPS-DVBビーズ(7.5μm、2.5g)を得た。
【0146】
次に、得られたマクロポーラスPS-DVBビーズ(1g)を氷浴に入れ、5mlの酢酸を添加した。その後、PS-DVBビーズに室温で50mLの硫酸をゆっくりと添加し、温度を90℃に上げながら30分~2時間撹拌した。攪拌した分散液に400mLの氷水を注ぐことにより反応を停止し、遠心分離し、洗浄し、真空下で乾燥させて、1.1gのスルホン化PS-DVBビーズを得た。
【0147】
次に、500mgのスルホン化PS-DVBビーズを、機械的攪拌(200rpm)して窒素をパージしながら、室温で10mLの脱イオン水に分散させた。このとき、FeCl・6HO(618mg、2.26mmol)及びFeCl・4HO(257mg、1.28mmol)を分散液に添加した。2時間後、連続的に攪拌しながら、50mLの28%水酸化アンモニウムを、スルホン化PS-DVBビーズ分散液に40分間滴下して添加した。その後、遠心分離を行い、25%トリフルオロ酢酸(TFA)、脱イオン水、エタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、653mgの磁化PS-DVBビーズ(7.5μm)を得た。
【0148】
2)磁化PS-DVBビーズのコーティング
【0149】
(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン溶液(1%(v/v)、100mL)を100mgの磁化PS-DVBビーズに添加し、室温で10分間撹拌した。その後、水酸化アンモニウム(28%、2mL)を添加し、室温で20分間攪拌した後、TEOS(2mL)を添加し、12時間激しく攪拌して、磁化PS-DVBビーズの表面をシリカでコーティングした。次に、シリカコーティングPS-DVBビーズを磁石で収集し、エタノールで5回洗浄して、シリカコーティングPS-DVBビーズを得た。
【0150】
3)シリカコーティングPS-DVBビーズの表面改質
【0151】
シリカコーティングPS-DVBビーズの表面は、1)上記の応用例1の量子ドット含有ナノ粒子の表面改質と同じプロセスを行うことによって改質された。
【0152】
4)抗体結合
【0153】
10μM抗体を100μgの表面改質PS-DVBビーズに添加し、室温で2時間撹拌した。その後、PBS(pH7.2)で4回洗浄し、BSA溶液(5%(w/w)1mL)を添加し、室温で1時間攪拌して、抗体を表面改質PS-DVBビーズに結合させた。
【0154】
5)サンドイッチ構造バイオプラットフォーム
【0155】
PBS(pH7.2)に分散した抗原を100μgの抗体結合PS-DVBビーズに添加し、室温で1時間撹拌した後、磁石を使用してPBS(pH7.2)で4回洗浄した。ここで、抗体に結合した量子ドット含有ナノ粒子(応用例1のナノ粒子)100μgを添加し、室温で1時間攪拌した後、磁石を用いてPBS(pH7.2)で4回洗浄した。次に、300μlのPBS(pH7.2)に分散させることによって、バイオプラットフォームを作製した。
【0156】
作製したバイオプラットフォームの性能を確認するための実験を行った。結果を図14に示す。図14におけるAを参照すると、3.2-3.2×10-4HAU以上の範囲で蛍光を検出することができる結果を確認することができた。また、図14におけるBを参照すると、リアルタイムPCRで同じ標的物質を検出した場合に有意差がないことが確認できた。このことは、本発明がリアルタイムPCRのレベルで正確かつ迅速な診断を可能にし、log10以上の広いダイナミックレンジを有する効果を提供し得ることを支持する。
【0157】
[応用例3]生物学的検出キット
【0158】
実施例1の代わりに実施例10で作製した量子ドット含有ナノ粒子を用いて生物学的検出キットを作製し、抗原捕捉実験を行った。その後、バイオオンリーリーダーで検出キットを測定した。結果を図15に示す。図15を参照すると、蛍光シグナルの強度によってピーク高さの違いが見られたことが確認できた。また、肉眼では見えないシグナル(線3)がバイオオンリーリーダーでの測定で確認されたことが分かった。
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