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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】緊急車両情報通報システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221020BHJP
   G08G 1/0965 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/0965
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022085344
(22)【出願日】2022-05-25
【審査請求日】2022-05-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522208106
【氏名又は名称】小林 保夫
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100199842
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 祥平
(72)【発明者】
【氏名】小林 保夫
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036829(JP,A)
【文献】特開2000-331287(JP,A)
【文献】特開2013-037625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/0965
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急車両から発信される緊急情報を一般車両に通報する緊急車両情報通報システムにおいて、
前記緊急車両に搭載される緊急車両搭載装置は、
指向性を有する指向性電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記緊急車両が走行している道路地図及び道路地図上の自車位置を取得する道路地図情報取得手段と、
前記電磁波照射手段から照射する前記指向性電磁波の照射方向を可変する照射方向可変手段、前記電磁波照射手段から照射する前記指向性電磁波の到達距離を可変する到達距離可変手段、及び前記電磁波照射手段から照射する前記指向性電磁波の照射角度を可変する照射角度可変手段のうち少なくとも一つを備えた電磁波照射可変手段と、
前記道路地図情報取得手段により取得した前記道路地図の道路状況及び前記道路地図上の前記自車位置に応じて前記電磁波照射可変手段を制御する制御手段と、を備えた緊急車両情報通報システム。
【請求項2】
前記一般車両に搭載される一般車両搭載装置は、
前記緊急車両から照射された前記指向性電磁波を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記指向性電磁波の受信方向を判定する受信方向判定手段と、
前記指向性電磁波を受信したこと及び前記指向性電磁波の受信方向を前記一般車両の運転者に通報する通報手段と、を備えた請求項1に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項3】
前記指向性電磁波はレーザー、赤外線、電波の何れかである請求項1又は請求項2に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項4】
前記電磁波照射手段は、複数本の棒状のレーザー照射器を等間隔で扇形状に配置することにより、前記緊急車両の進行方向を向いて180度の最大照射角度で前記指向性電磁波を照射可能な半円弧状の照射面を形成すると共に、前記複数本の棒状のレーザー照射器を独立駆動可能とした請求項1又は2に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項5】
前記照射方向可変手段は、前記電磁波照射手段の前記半円弧状の照射面を、前記緊急車両の前方に前記指向性電磁波を照射する前方向照射面と、前記緊急車両の左方向に前記指向性電磁波を照射する左方向照射面と、前記緊急車両の右方向に前記指向性電磁波を照射する右方向照射面とに3分画した請求項4に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項6】
前記到達距離可変手段は、前記前方向照射面、前記左方向照射面、及び前記右方向照射面ごとに到達距離が可変可能である請求項5に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項7】
前記照射角度可変手段は、前記照射面の照射角度を可変する場合と、前記前方向照射面、前記左方向照射面、前記右方向照射面ごとに照射角度を可変する場合との両方を含む請求項5に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項8】
前記緊急車両搭載装置は、交差路において直進、左折、右折の何れかの走行動作を選択する交差路走行選択手段を有し、
前記制御手段は前記交差路走行選択手段により選択された走行動作に応じて前記前方向照射面、前記左方向照射面、及び前記右方向照射面の到達距離をそれぞれ可変する請求項5に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項9】
前記交差路走行選択手段は方向指示器である請求項8に記載の緊急車両情報通報システム。
【請求項10】
前記緊急車両搭載装置は、
前記緊急車両搭載装置の駆動及び駆動停止をするスイッチ手段を有し、
前記スイッチ手段は、前記緊急車両搭載装置を前記緊急車両に従来から搭載されているサイレン発生器に連動させて駆動及び駆動停止する場合と連動させないで駆動及び駆動停止する場合とを切り替える切り替え機能を備える請求項1又は2に記載の緊急車両情報通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急車両情報通報システムに係り、特に緊急車両に対する一般車の退避行動をスムーズに行うための緊急車両情報通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
救急車、消防車、パトカー等の緊急車両が道路を走行する場合、それ以外の一般車両は緊急車両の走行の邪魔にならないように、車線を変更したり、路肩に寄って停止したりする等の退避行動をとる必要がある。そのためには、緊急車両は、緊急車両の存在や接近を一般車両に早期に通報する必要がある。
従来、緊急車両は、サイレン音、赤色等の警光灯(パトランプ)、又は緊急車両の運転者や同乗者等によるスピーカを介した音声により、その存在や接近を一般車両に通報していた。これにより、退避行動を行う必要のある一般車両が退避行動をとれるようにしている。
【0003】
しかし、サイレン音、警光灯、スピーカ音声による通報では、音が届く範囲や警光灯の見える範囲に限界がある。したがって、一般車両は緊急車両がある程度接近してこないと、緊急車両を認識できない。これにより、一般車両は緊急車両の存在や接近を早期に認識できないので、一般車両は余裕をもってスムーズな退避行動をとることができないという問題がある。特に、一般車両の運転者が窓を閉め切って大きな音で音楽を聴いている場合には、余裕をもってスムーズな退避行動をとることができないという問題がある。
また、緊急車両が交差点(十字路やT字路)を通過する場合、緊急車両が交差点を直進するのか、右折又は左折するのかは、緊急車両が交差点やT字路に近づいた時点で、方向指示器やスピーカ音声で一般車両に知らせることが通常である。これでは、一般車両は、緊急車両の直進、左折、右折の走行方向動作を早期に認識できないので、余裕をもってスムーズな退避行動をとることができないという問題がある。
【0004】
このような背景から特許文献1では、緊急車両及び一般車両に設けられた車載装置と、車載装置と通信する路側通信装置とで構成された緊急車両通報システムが開示されている。車両が走行する道路に複数配置された路側通信装置は、車載装置から送信される、緊急車両か一般車両かを表す車両種別及び車両速度を含む送信データを受信し、一般車両の位置データや走行速度データ及び緊急車両の位置データや走行速度データを求め、これらに基づいて一般車両が緊急車両に到達するまでの距離と地到達時間との少なくとも一方を一般車両の車載装置に送信する。これにより、緊急車両の円滑な走行を可能とするとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2003/009253号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の緊急車両通報システムは、車両が走行する道路に路側通信装置を複数配置し、路側通信装置を介して緊急車両から一般車両への通報を行うシステムなので、システムが複雑になるだけでなく、路側通信装置を複数配置するための設備コストが高額になるという問題がある。
また、一般車両の運転者は、緊急車両がどの方向から来るかが分かりにくい交差点において、自車が退避行動の対象なのか否かが交差点の直前にくるまで分からないと、退避行動をとるべき一般車両の退避行動が遅れるだけでなく、退避行動を行う必要のない一般車両まで退避行動させてしまい交通渋滞の要因になる。したがって、交差点において、一般車両は自車が退避行動の対象なのか否かが早期に認識できることが望ましい。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、シンプルなシステムでありながら、緊急車両に対する一般車両の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両が退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる緊急車両情報通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の緊急車両情報通報システムは目的を達成するために、緊急車両から発信される緊急情報を一般車両に通報する緊急車両情報通報システムにおいて、緊急車両に搭載される緊急車両搭載装置は、指向性を有する指向性電磁波を照射する電磁波照射手段と、緊急車両が走行している道路地図及び道路地図上の自車位置を取得する道路地図情報取得手段と、電磁波照射手段から照射する指向性電磁波の照射方向を可変する照射方向可変手段、電磁波照射手段から照射する指向性電磁波の到達距離を可変する到達距離可変手段、及び電磁波照射手段から照射する指向性電磁波の照射角度を可変する照射角度可変手段のうち少なくとも一つを備えた電磁波照射可変手段と、道路地図情報取得手段により取得した道路地図の道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて電磁波照射可変手段を制御する制御手段と、を備えた。
ここで、道路地図の道路状況とは、一般道路、交差路、高速道路、高速合流路のうちの少なくと一つの道路地図から得られる道路状況を言う。
【0009】
本発明は、指向性電磁波の特長である指向性を利用して、道路地図情報取得手段により取得した道路地図の一般道路、交差路、高速道路、高速合流路等の道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて指向性電磁波を照射する照射方向、到達距離及び照射角度の少なくとも一つを可変することによって、退避行動の対象になっている一般車両に特定的に照射されるようにすると共に、退避行動の対象でなくなった一般車両にはできるだけ照射されないようにした。
即ち、本発明によれば、緊急車両に搭載した緊急車両搭載装置を制御する制御手段は、道路地図情報取得手段により取得した道路地図の一般道路、交差路、高速道路、高速合流路等の道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて照射方向可変手段、到達距離可変手段及び照射角度可変手段の少なくとも一つを備えた電磁波照射可変手段を制御することによって、緊急車両に対する退避行動の対象になっている一般車両が走行する道路領域に特定的に指向性電磁波を照射することができる。
これにより、シンプルなシステムでありながら、緊急車両に対する一般車両の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両が退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる緊急車両情報通報システムを提供することができる。
【0010】
本発明の態様において、一般車両に搭載される一般車両搭載装置は、緊急車両から照射された指向性電磁波を受信する受信手段と、受信手段で受信した指向性電磁波の受信方向を判定する受信方向判定手段と、指向性電磁波を受信したこと及び指向性電磁波の受信方向を一般車両の運転者に通報する通報手段と、を備えるようにした。
本発明の態様は、仮に退避行動の対象でない一般車両に緊急車両からの指向性電磁波が照射された場合であっても、一般車両の自車が退避行動の対象になっているか否かを判断できるようにしたものである。
即ち、一般車両に搭載した一般車両搭載装置では、緊急車両から照射された指向性電磁波を受信するだけでなく受信方向を判定して運転者に通報できるようにしたので、仮に退避行動の対象でない一般車両に指向性電磁波が照射された場合であっても、自車が退避行動の対象になっているか否かを判断できる。
【0011】
本発明の態様において、指向性電磁波はレーザー、赤外線、電波の何れかであることが好ましい。レーザー及び制外線は、高い指向性を有すると共に指向性電磁波を遠くまで照射でき、本発明の指向性電磁波として最適だからである。また、電波は指向性の点においてレーザーや赤外線に劣るものの、電波特に長波は障害物の影響を受けずに遠くへ電波を届けることができる特長がある。
本発明の態様において、電磁波照射手段は、複数本の棒状のレーザー照射器を等間隔で扇形状に配置することにより、緊急車両の進行方向を向いて180度の最大照射角度で指向性電磁波を照射可能な半円弧状の照射面を形成すると共に、複数本の棒状のレーザー照射器を独立駆動可能とすることが好ましい。
【0012】
本発明の態様によれば、電磁波照射手段を、複数本の棒状のレーザー照射器を等間隔で扇形状に配置することで、遠くまで照射可能な指向性電磁波を形成することができるだけでなく、複数本のレーザー照射器を独立駆動とすることにより照射方向可変手段や照射角度可変手段を簡単に構築することができると共に照射方向や照射角度の融通性が高くなる。また、緊急車両の進行方向を向いて180度の最大照射角度で指向性電磁波を照射できるようにしたので、緊急車両に退避行動の対象とならない緊急車両の後方以外を指向性電磁波の照射領域として満遍なくカバーすることができる。
【0013】
本発明の態様において、照射方向可変手段は、電磁波照射手段の前記半円弧状の照射面を、緊急車両の前方に指向性電磁波を照射する前方向照射面と、緊急車両の左方向に指向性電磁波を照射する左方向照射面と、緊急車両の右方向に指向性電磁波を照射する右方向照射面とに3分画することが好ましい。
本発明の態様によれば、照射方向可変手段は、独立駆動可能な複数本のレーザー照射器で構成されている電磁波照射手段の前記半円弧状の照射面を、前方向照射面と左方向照射面と右方向照射面とに3分画するようにしたので、緊急車両の前方、左方、右方に指向性電磁波の照射方向を可変するための3つの照射面を簡単に構築することができる。
【0014】
本発明の態様において、照射角度可変手段は、照射面の照射角度を可変する場合と、前方向照射面、左方向照射面、右方向照射面ごとに照射角度を可変する場合との両方を含むことが好ましい。これにより、緊急車両から照射する指向性電磁波の照射角度をフレキシブルに可変することができるので、退避行動の対象になっている一般車両に指向性電磁波を特定的に照射し易くなる。
本発明の態様において、緊急車両搭載装置は、交差路において直進、左折、右折の何れかの走行動作を選択する交差路走行選択手段を有し、制御手段は交差路走行選択手段により選択された走行動作に応じて前方向照射面、左方向照射面、及び右方向照射面の到達距離をそれぞれ可変することが好ましい。
緊急車両搭載装置に、交差路において直進、左折、右折の何れかの走行動作を選択する交差路走行選択手段を更に設け、制御手段が交差路走行選択手段により選択された走行動作に応じて前方向照射面、左方向照射面、及び右方向照射面の到達距離をそれぞれ可変することにより、交差点領域において退避行動の対象となっている一般車両に特定的に指向性電磁波を照射し易くなる。
【0015】
本発明の態様において、交差路走行選択手段は方向指示器であることが好ましい。
本発明の態様によれば、緊急車両に既に備えられている方向指示器を交差路走行選択手段とし、これを制御手段に接続することで、緊急車両搭載装置をコンパクト化することができる。
本発明の態様において、緊急車両搭載装置は、緊急車両搭載装置の駆動及び駆動停止をするスイッチ手段を有し、スイッチ手段は、緊急車両搭載装置を緊急車両に従来から搭載されているサイレン発生器に連動させて駆動及び駆動停止する場合と連動させないで駆動及び駆動停止する場合とを切り替える切り替え機能を備えることが好ましい。
これにより、緊急車両搭載装置の駆動をサイレン発生器と連動させることもできるし、夜中や早朝など、サイレン音がうるさいと住民から苦情がくる可能性のある時間帯や場所などにおいては、緊急車両搭載装置だけを駆動して一般車両に緊急情報を通報することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の緊急車両情報通報システムによれば、シンプルなシステムでありながら、緊急車両に対する一般車両の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両が間違って退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】緊急車両情報通報システムの全体構成を示す説明図で、(A)は緊急車両から遠方の一般車両に指向性電磁波を照射している図であり、(B)は緊急車両に搭載される緊急車両搭載装置の機能ブロック図と一般車両に搭載される一般車両搭載装置の機能ブロック図
図2】緊急車両搭載装置のうち、緊急車両のルーフに搭載された電磁波照射手段の拡大図
図3】一般車両搭載装置のうち、一般車両のルーフに搭載された受信手段の拡大図
図4】高速道路における緊急車両情報通報システムの使用方法の一例を説明する説明図
図5図4において高速合流路を有する場合の説明図
図6】一般道路の交差点における緊急車両情報通報システムの使用方法の一例を説明する説明図
図7図6において交差点を緊急車両が左折する場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面にしたがって本発明の緊急車両情報通報システムの好ましい実施の形態について説明する。
【0019】
[緊急車両情報通報システムの全体構成]
図1は、緊急車両情報通報システムの全体構成を説明する説明図である。図1の(A)は、緊急車両から遠方の一般車両に指向性電磁波を照射している図であり、(B)は緊急車両に搭載される緊急車両搭載装置の機能ブロック図と一般車両に搭載される一般車両搭載装置の機能ブロック図である。
図1に示すように、緊急車両情報通報システム10は、主として、緊急車両12に搭載する緊急車両搭載装置14と、一般車両16に搭載する一般車両搭載装置18とで構成される。図1では、緊急車両12として、救急車で図示している。
なお、図1に示す本発明の緊急車両情報通報システム10の構成は、ベストモードで示したものであり、構成要件のすべてを必須要件とするものではない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
(緊急車両搭載装置)
【0020】
図1の(B)に示すように、本発明の緊急車両情報通報システム10のうち、緊急車両12に搭載される緊急車両搭載装置14は、主として、電磁波照射手段20と、道路地図情報取得手段22と、照射方向可変手段24、到達距離可変手段26、及び照射角度可変手段28の少なくとも一つを備えた電磁波照射可変手段29と、制御手段30と、スイッチ手段32と、緊急車両搭載装置14に交差路走行選択手段34とで構成される。
なお、本実施の形態では、電磁波照射可変手段29は、照射方向可変手段24、到達距離可変手段26、及び照射角度可変手段28の3つを全て備えた場合で説明する。また、緊急車両12に従来から搭載されているサイレン発生器36、赤色等の警光灯38(パトランプ)、スピーカ40等は従来のまま搭載されており、これらを従来通報装置42と言うことにする。
電磁波照射手段20は指向性を有する指向性電磁波を照射する手段であり、レーザー、赤外線、電波等の指向性の高い電磁波を使用することができる。レーザー、赤外線、電波のうち、レーザーは最も高い指向性を有する特長がある。また、電波は長波、中波、短波があり、建物等の障害物に影響されにくいという特長がある。特に波長が長い電波ほど回折効果によって障害物を回り込んで緊急車両12から遠くの一般車両16に電波を届けることができる。したがって、例えば一般道路や交差路(十字路、T字路)等に建物等の障害物があっても、波長の長い電波である、例えば中波、長波あるいはそれよりも波長の長い電波を使用すれば、指向性電磁波としての電波を一般車両16に緊急車両情報を届けることができる。
なお、本実施の形態では、高い指向性を有する指向性電磁波としてレーザーRの例で以下に説明する。
【0021】
指向性電磁波としてレーザーRを使用する場合、レーザーダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)を備えた電磁波照射手段20を用いることができるが、指向性がより高いレーザーダイオードが好ましい。また、レーザーRを使用する場合、レーザー安全基準のJIS規格C6802及びIEC60825-1で定められる最大許容露光量(MPE:Maximum Permissible Exposure)を超えないようにする必要があることは勿論である。
【0022】
図2は、緊急車両搭載装置14のうち、緊急車両12のルーフ(屋根)12Aに搭載された電磁波照射手段20の拡大図である。
図2に示すように、電磁波照射手段20は、緊急車両12のルーフ12A上の中央部に設置され、緊急車両12の進行方向を向いて180度の最大照射角度でレーザーRを照射可能な半円弧状の照射面44を有している。電磁波照射手段20の照射面44は、複数本の棒状のレーザー照射器46を等間隔で扇形状に配置することにより構築され、複数本のレーザー照射器46のそれぞれのレーザー照射面が緊急車両12の進行方向に向かって半円弧状に連続して配置されることにより形成される。
本実施の形態では、23本のレーザー照射器46を緊急車両12の進行方向に向かって半円弧状に連続して配置されるようにした。これによって、23本全てのレーザー照射器46からレーザーを照射すると、電磁波照射手段20の照射面44から照射するレーザーRは緊急車両12の進行方向に向いて180度の最大照射角度を有して照射することができる。なお、本実施の形態では、23本のレーザー照射器46で構成したが、この本数に限定するものではない。
【0023】
また、電磁波照射手段20から照射されるレーザーRの最大到達距離としては、1000m以上であることが好ましい。この理由は、最大走行速度が60Km/時速以下である一般道路でのレーザーRの到達距離を考慮した場合、一般車両16は緊急車両12の存在及び接近を300m程度離れた距離で認識できれば、退避行動をスムーズに行うことができると思われる。しかし、高速走行する高速道路でのレーザーRの到達距離を考慮した場合、一般車両16がスムーズな退避行動をとるためには、緊急車両12の前方1000m以上遠くに存在する一般車両16にまでレーザーRが照射される必要がある。したがって、一般道路と高速道路との両方を満足するためのレーザーRの最大到達距離は1000m以上であることが好ましい。
なお、本実施の形態では、電磁波照射手段20から照射されるレーザーRの最大到達距離を1000mとした場合で説明する。
【0024】
道路地図情報取得手段22は、緊急車両12が走行している道路地図及び道路地図上の自車位置を取得するものである。即ち、道路地図から取得される一般道路、交差路、高速道路、高速合流路等の道路状況と、道路地図上の自車位置との関係から、緊急車両12が進行する進行先の道路状況に応じたレーザーRの適切な照射方向、適切な到達距離、適切な照射角度を設定するための情報を得るための手段である。そして、得られた情報に基づいて制御手段30は、照射方向可変手段24、到達距離可変手段26、及び照射角度可変手段28を制御する。道路地図情報取得手段22としては、例えばGPSにより自車位置を知るカーナビを使用することができる。
照射方向可変手段24は、電磁波照射手段20から照射されるレーザーRの照射方向を可変するものである。図2に示すように、照射方向可変手段24は、電磁波照射手段20の半円弧状の照射面44を、緊急車両12の進行方向である前方にレーザーRを照射する前方向照射面44Aと、緊急車両12の左方向にレーザーRを照射する左方向照射面44Bと、緊急車両12の右方向にレーザーRを照射する右方向照射面44Cとに3分画することにより形成されている。そして、3分割した照射面44A、44B、44Cごとに独立して駆動可能とすることにより照射方向を可変できるように構成した。
【0025】
また、前方向照射面44Aの最大照射角度θ1を30度、左方向照射面44Bの最大照射角度θ2を75度、右方向照射面44Cの最大照射角度θ3を75度とした。即ち、前方向照射面44Aからは30°の最大照射角度で前方にレーザーRが照射され、左方向照射面44Bからは75度の最大照射角度で斜め左方向にレーザーRが照射され、右方向照射面44Cからは75度の最大照射角度で斜め右方向にレーザーRが照射される。
なお、本実施の形態では、前方向照射面44Aと左方向照射面44Bと右方向照射面44Cとの3分画したが、更に細分画化することもできる。また、前方向照射面44Aと左方向照射面44Bと右方向照射面44Cの上記した最大照射角度も一例であり、例えば3等分にすることもできる。
このように、照射方向可変手段24を、前方向照射面44A、左方向照射面44B、及び右方向照射面44Cに3分画化する構成とすることにより、一般道路64(図6及び図7参照)や高速道路56(図4及び図5参照)の道路状況に応じてレーザーRの照射方向を適切に可変することができる。即ち、緊急車両12に対する退避行動が必要な一般車両16にレーザーRを照射し、退避行動が必要ない一般車両にできるだけレーザーRを照射しないようにできる。
【0026】
到達距離可変手段26は、レーザーRの到達距離を可変するものであり、上記したように電磁波照射手段20から照射されるレーザーRの最大到達距離を1000mとした場合、0mを超えて1000m以下の範囲内で任意に可変できるものが好ましい。到達距離可変手段26の到達距離を可変する方法として、レーザーRの到達距離を可変できればどのような方法でもよいが、例えば出力エネルギーを制御する方法を採用することができる。出力エネルギーを制御する方法は、レーザー照射器46に投入する励起エネルギーを制御する方法が一般的である。
照射角度可変手段28は、レーザーRの照射角度を可変するものである。レーザーRの照射角度を可変するとは、電磁波照射手段20の半円弧状の照射面44の最大照射角180度の範囲内で照射角度を小さくしたり大きくしたりする場合と、照射方向可変手段24の照射面44を3分割した前方向照射面44A、左方向照射面44B、右方向照射面44Cの照射角度の範囲内で照射角度を個別に小さくしたり大きくしたりする場合との両方を含む。上記した通り、電磁波照射手段20の半円弧状の照射面44は、23本の棒状のレーザー照射器46で構成され、制御手段30がそれぞれのレーザー照射器46をON-OFFすることにより、照射面44からの照射角度を可変したり、前方向照射面44A、左方向照射面44B、右方向照射面44Cからの照射角度をそれぞれ可変したりすることができる。
電磁波照射手段20の半円弧状の照射面44の最大照射角180度を小さくする方向に可変する場合には、照射面44を構成する23本のレーザー照射器46のうち、両側のレーザー照射器46の駆動本数を減らすことで照射面44の照射角度を小さくすることができる。
また、照射方向可変手段24の照射面44を3分割した前方向照射面44A、左方向照射面44B、右方向照射面44Cの照射角度を個別に可変する場合を前方向照射面の例で説明する。即ち、前方向照射面44Aを構成する5本のうち両側のレーザー照射器46の駆動本数を減らすことで前方向照射面44Aの最大照射角度の30度よりも照射角度を小さくすることができる。更には、前方向照射面44Aの5本のレーザー照射器46の右半分(例えば3本)のみを駆動すれば、最大照射角度の30度よりも照射角度を小さくした状態で緊急車両12の直進方向に対してレーザーRを右斜め前方に照射することができる。同様に、前方向照射面44Aの5本のレーザー照射器46の左半分(例えば3本)のみを駆動すれば、最大照射角度の30度よりも照射角度を小さくした状態で緊急車両12の直進方向に対してレーザーRを左斜め前方に照射することができる。
【0027】
左方向照射面44B及び右折方向照射面44Cについても同様であり、9本のレーザー照射器46の両側の駆動本数を減らすことにより、左方向照射面44B及び右折方向照射面44Cの照射角度を最大照射角度75度よりも小さくできる。また、9本のレーザー照射器46の上半分や下半分のみを駆動することによって、緊急車両12の直進方向に対してレーザーRを左斜め上方向又は右斜め上方向だけに照射したり、略左方向真横又は略右方向真横だけに照射したりすることができる。
制御手段30は、道路地図情報取得手段22により取得した道路地図及び道路地図上の自車位置に応じて照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御することにより、電磁波照射手段20から照射するレーザーRの照射方向、到達距離及び照射角度を制御するものである。即ち、制御手段30は、道路地図情報取得手段22の道路地図から緊急車両12が走行しているのは一般道路64か高速道路56か、一般道路64であれば前方に交差点68があるか、高速道路56であれば側方に高速合流路60Aがあるか等の道路状況を把握する。そして、道路地図上から得られる緊急車両12の自車位置と交差点68や高速合流路等60Aとの関係から、緊急車両12に対して退避行動が必要な道路領域を把握し、把握した道路領域にレーザーRが照射されるように照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御する。
【0028】
制御手段30には、道路地図情報取得手段22により取得した道路地図から得られる道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28をどのように制御するかのプログラムを予め搭載しておくことが好ましい。
スイッチ手段32は、緊急車両搭載装置14の駆動及び駆動停止を行うものである。緊急車両12には、上記した通り、サイレン発生器36、警光灯38、スピーカ40等は従来通報装置42が搭載されており、緊急出動するときには、サイレンを鳴らしながら警光灯を点灯するのが通常である。したがって、スイッチ手段32は、サイレン発生器36や警光灯38と連動させて緊急車両搭載装置14を駆動及び駆動停止する態様を採用できる。即ち、緊急出動の際に、緊急車両12の運転者又は同乗者がサイレン発生器36や警光灯38を駆動したときに連動してスイッチ手段32がONになって緊急車両搭載装置14を駆動するようにしてもよい。
また、スイッチ手段32は、緊急車両搭載装置14をサイレン発生器36や警光灯38と連動させないで行動及び駆動停止させる態様を採用することもでき、連動させる場合と、連動させない場合との切り替え機能を有することが好ましい。例えば、夜中や早朝など、サイレン音がうるさいと住民から苦情がくる可能性のある時間帯や場所などにおいては、スイッチ手段32は、サイレン発生器36と連動させずに、指向性電磁波Rの一般車両16への照射だけ、又は指向性電磁波Rと警光灯38だけで緊急車両12の接近を知らせる態様をとれるようにすることが好ましい。
交差路走行選択手段34は、緊急車両12が交差路に近づいたときに、直進、左折又右折の交差路走行情報を制御手段30に知らせるものである。即ち、緊急車両12の運転者又は同乗者が交差路に近づく任意の距離において駆動することができる。そして、制御手段30は、交差路走行選択手段34からの直進、左折又は右折の交差路走行情報に応じて、緊急車両12が交差点68を通過するまでは、退避行動の必要な一般車両16に確実にレーザーRが照射されるように照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御する。そして、制御手段30は、緊急車両12が交差点68を通過した後は、一般車両16の退避行動による交通渋滞を速やかに回避するように照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御する。交差路において、制御手段30が照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28をどのように制御するかは、下記の緊急車両情報通報システムの使用方法で説明する。
【0029】
交差路走行選択手段34は、緊急車両の方向指示器34Aで代用し、方向指示器34Aに連動して制御手段30の制御を開始させるようにしてもよい。
(一般車両搭載装置)
図1に示すように、本発明の緊急車両情報通報システム10のうち、一般車両16に搭載される一般車両搭載装置18は、主として、受信手段48と、受信方向判定手段50と、通報手段52とで構成される。
受信手段48は緊急車両12から照射されたレーザーRを受信するものである。受信手段48は、図3に示すように、一般車両16のルーフ16A(屋根)上の中央部に設置され、全方位(360度)から照射されるレーザーRを受信可能なように360度の受信面54を有している。
【0030】
受信方向判定手段50は、受信手段48で受信したレーザーRの受信方向を判定するものである。受信方向判定手段50は、受信手段48の受信面54を、一般車両16の前方(進行方向)からのレーザーRを受信する前方向受信面54Aと、後方からのレーザーRを受信する後方向受信面54Bと、進行方向に対して左方向からのレーザーRを受信する左方向受信面54Cと、進行方向に対して右方向からのレーザーRを受信する右方向受信面54Dと、に4分画して構成される。
また、前方向受信面54Aの受信角度θ4を90度、後方向受信面54Bの受信角度θ5を90度、左方向受信面54Cの受信角度θ6を90度、右方向受信面54Dの受信角度θ7を90度とした。即ち、図3に示すように、一般車両16の前後方向をY軸のY1-Y2方向、左右方向をX軸のX1-X2方向としたとき、前方向受信面54Aには、一般車両16の進行方向の前方からY軸に対して左右45度の角度から照射されたレーザーRが受信される。また、後方向受信面54Bには、一般車両16の進行方向の後方からY軸に対して左右45度の角度から照射されたレーザーRが受信される。また、左方向受信面54Cには、一般車両16の左方向からX軸に対して上下45度の角度から照射されたレーザーRが受信されると共に、右方向受信面54Dには、一般車両16の右方向からX軸に対して上下45度の角度から照射されたレーザーRら受信される。
これにより、受信方向判定手段50は、一般車両16の進行方向に対してどの方向から照射されたレーザーRであるかを判定することができる。なお、本実施の形態では、前方向受信面54Aと後方向受信面54Bと左方向受信面54Cと右方向受信面54Dとの4分画としたが、更に細分画化することもできる。例えば、X軸とY軸の位置で更に分画して8分画にすることもできる。これにより、緊急車両12から照射されたレーザーRが一般車両16の進行方向に対してどの方向から照射されたものであるかを更に詳細な方向を認識することができる。
【0031】
通報手段52は、緊急車両12からのレーザーRを受信したこと及びレーザーRの受信方向を一般車両16の運転者に通報するものである。通報方法としては音声及びモニター表示の少なくとも一方が好ましい。したがって、一般車両16に搭載された一般車両搭載装置18によれば、例えば交差路において、一般車両16の運転者は緊急車両12が自車と同じ道路の前方を走行しているのか、後方を走行しているのか、あるいは交差路で交差される交差道路の左方から来るのか右方から来るのかを認識することができる。
上記したように、本発明の緊急車両情報通報システム10は、緊急車両12に搭載する緊急車両搭載装置14と、一般車両16に搭載する一般車両搭載装置18との間での通報のみで構成され、従来技術のように、緊急車両12と一般車両16との間の通報を仲介する路側通信装置等を必要としないので、システム自体をシンプル化することができる。
【0032】
次に、上記の如く構成された本発明の緊急車両情報通報システム10の使用方法の一例を説明する。なお、緊急車両情報通報システム10の使用方法において、前方向照射面44Aから照射されるレーザーRをレーザーR1、左方向照射面44Bから照射されるレーザーをレーザーR2、右方向照射面44Cから照射されるレーザーをレーザーR3とする。
[緊急車両情報通報システムの使用方法]
(高速道路の場合)
先ず、高速道路56について、緊急車両情報通報システム10の使用方法の一例を説明する。
図4は、高速道路56の長い直線領域の図であり、中央分離帯58を挟んで矢印Mで示す下り方向の下り車線60と矢印Nで示す上り方向の上り車線62にそれぞれ3車線ある場合である。
この場合には、緊急車両12のスイッチ手段32がONになって緊急車両搭載装置14が駆動すると、制御手段30は、道路地図情報取得手段22から得られる道路地図情報から高速道路56であること及び長い直線領域であることを判断する。制御手段30は、この判断に基づいて、照射方向可変手段24を制御して前方向照射面44Aのみを駆動すると共に照射角度可変手段28を制御して前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の照射角度を5度以下の狭い照射角度に設定する。更に、制御手段30は、到達距離可変手段26を制御して照射されるレーザーR1の到達距離を最大到達距離L1の1000mに設定する。
【0033】
これにより、電磁波照射手段20からは、緊急車両12の進行方向前方に5度以下の照射角度でレーザーR1が1000m先まで照射される。この場合、前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の照射角度を例えば最大照射角度の30度にして、到達距離L1を1000mにすると、レーザーR1が拡がり過ぎて上り車線62への照射領域が大きくなってしまう。また、下り車線60を走行する一般車両16のうち、緊急車両12に近い一般車両16は、緊急車両12からのサイレン音が聞こえるので、レーザーR1の照射は余り重要でない。
【0034】
これにより、緊急車両12の前方を走行する一般車両16にレーザーR1を照射することができる。この結果、緊急車両12の前方1000m以内を走行している一般車両16の受信手段48の4つの受信面54(54A、54B、54C、54D)のうちの後方向受信面54Bに緊急車両12からのレーザーR1が受信される。そして、受信手段48で受信されたレーザーR1は、受信方向判定手段50及び通報手段52を介して音声又はモニター表示の形で一般車両16の運転者に緊急車両12が後方から接近していることが通報される。
したがって、高速道路56の下り車線60を走行する一般車両16の運転者は、サイレン音や警光灯が認識できない緊急車両12から遠い位置を走行していても緊急車両12が後方から接近してくることを早期に認識できるので、退避行動の準備を行うことができる。そして、一般車両16の運転者は、緊急車両12が自車の近く(例えば300m以内)まで接近したことをサイレン音や警光灯、更にはスピーカ音声等によって認識できるので、低速走行や停止して緊急車両に道を譲る。
一方、高速道路56の上り車線62を走行する一般車両16の受信手段48には、緊急車両12の前方向照射面44Aから5度以下の狭い照射角度でレーザーR1が前方に照射されるので、下り車線60を走行する緊急車両12からのレーザーR1が受信されにくい。仮に、下り車線60を走行する緊急車両12からのレーザーR1が上り車線62を走行する一般車両16の受信手段48に受信されたとしても、一般車両16に搭載される一般車両搭載装置18の受信方向判定手段50によって前方向受信面54Aから受信されたレーザーR1であることが運転手に通報されるので、下り車線60の緊急車両12であることを認識することができる。これにより、上り車線62を走行する一般車両16は退避行動の対象でないこが分かるので、そのままの高速走行を行うことができ、渋滞を防止することができる。
【0035】
図4のように、高速道路56の長い直線領域において、前方向照射面44A、左方向照射面44B、右方向照射面44Cの全てからレーザーRを照射すると、退避行動の対象になっていない上り車線62の一般車両16にまでレーザーRが照射されてしまうだけでなく、下り車線60に平行して一般道路64がある場合には、一般道路64の交通渋滞をも生じさせる危険がある。
図5は、高速道路56の長い直線領域の左側に、一般道路(図示せず)から下り車線60に合流する高速合流路60Aがある場合である。この場合、緊急車両12のスイッチ手段32がONになって緊急車両搭載装置14が駆動すると、制御手段30は、道路地図情報取得手段22から得られる道路地図情報から高速道路56であること及び下り車線60の左側に高速合流路60Aがあることを判断する。この判断に基づいて、制御手段30は、照射方向可変手段24を制御して前方向照射面44A及び左方向照射面44Bを駆動すると共に前方向照射面44Aから照射されるレーザーR1の到達距離を最大到達距離である1000mとし、左方向照射面44Bから照射されるレーザーR2の到達距離L2を150~200mとする。
左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離L2は下り車線60の幅に下り車線60から高速合流路60Aまでの距離を加味して150~200m程度であることが好ましい。通常、高速道路56の1車線の幅は3.5mが基本なので、3車線の場合には3車線の合計幅に路肩幅を加えると15m弱程度になり、高速合流路60Aまでの距離を加味しても150~200mあれば十分と言える。
これにより、緊急車両12の前方1000mを走行する一般車両16にレーザーR1を照射することができると共に高速合流路60Aから下り車線60に合流する一般車両16にもレーザーR2を照射することができる。したがって、緊急車両12の前方を走行する一般車両16の運転者は、図5で説明したと同様に、緊急車両12が接近してくることを早期に認識できるので、退避行動の準備を行うことができる。また、高速合流路60Aから下り車線60に合流する一般車両16の運転者は、合流地点に緊急車両12の存在を認識でき、緊急車両が12合流地点を通過するまで合流しないようにできる。これにより、合流地点での緊急車両12との事故のみならず、他の一般車両16との事故も未然に防止することができる。
【0036】
また、右方向照射面44CからはレーザーR3を照射しないことによって、上り車線62を走行する一般車両16は退避行動をとることなく高速走行するので、上り車線62の交通渋滞を回避できる。
なお、図5は、高速道路56の長い直線領域の左側に、一般道路から下り車線60に合流する高速合流路60Aがある場合で説明したが、右側に高速合流路(図示せず)がある場合には、前方向照射面44A及び右方向照射面44Cを駆動すると共に前方向照射面44Aから照射されるレーザーR1の到達距離を最大到達距離である1000mとし、右方向照射面44Cから照射されるレーザーR3の到達距離を150~200m程度とすればよい。
このように、上記した高速道路56における本発明の緊急車両情報通報システム10によれば、緊急車両12に対する一般車両16の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両16が間違って退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる。
【0037】
なお、図示しなかったが、高速道路56において、緊急車両12の走行前方が左方向に緩やかにカーブしている場合、カーブした先の一般車両16にまで緊急車両12からのレーザーRが照射されることが好ましい。このためには、緊急車両12の前方から左方までの90度程度の広い領域にレーザーRを照射する必要がある。このような場合、制御手段30は前方向照射面44Aと左方向照射面44Bから同じ最大到達距離1000mでレーザーR1、R2を照射することができる。同様に、緊急車両12の走行前方が右方向に緩やかにカーブしている場合には、制御手段30は前方向照射面44Aと右方向照射面44Cから同じ最大到達距離1000mでレーザーR1、R3を照射することができる。
(一般道路の場合)
【0038】
次に、一般道路64の交差路の場合について、緊急車両情報通報システム10の使用方法の一例を説明する。
図6は、東西方向と南北方向に直交して交差する2本の一般道路64の交差路の一例として信号66のある交差点68の場合である。ここで、東西方向の一般道路64を東西道路64Aと言い、南北方向の一般道路64を南北道路64Bという。そして、緊急車両12は南北道路64Bを南から北に交差点68に向かって走行しているものとする。また、交差路走行選択手段34として方向指示器34A(図1参照)を使用する場合で説明する。
高速道路56の場合と同様に、緊急車両12のスイッチ手段32がONになって緊急車両搭載装置14が駆動すると、制御手段30は、道路地図情報取得手段22から得られる道路地図情報から東西方向と南北方向に交差する2本の一般道路64(64A,64B)が交差すると共に、緊急車両12の走行前方に交差点68があることを判断する。
この判断に基づいて、制御手段30は、照射方向可変手段24を制御して電磁波照射手段20の半円弧状の照射面44のうち、前方向照射面44Aと左方向照射面44Bと右方向照射面44Cとを駆動すると共に、到達距離可変手段26を制御して、3つの照射面44(44A、44B、44C)から照射されるレーザーR1、R2、R3の到達距離が同じになるようにする。この場合、一般車両16が緊急車両12のサイレン音や警光灯をはっきりと認識できる範囲は緊急車両12からの半径が100m程度の円の領域内と思われる。このため、3つの照射面44(44A、44B、44C)から照射するレーザーR1、R2、R3の到達距離L3としてはサイレン音や警光灯が明らかに認識し難い例えば300mに制御することができる。
【0039】
このように、緊急車両12は、緊急車両12の進行方向に向かって300mの半円領域内に180度の照射角度を有してレーザーRを照射しながら、南北道路64Bを南から北に交差点68に向かって走行する。
この結果、図6に示されるように、東西道路64Aと南北道路64Bとを走行中の広い領域の一般車両16の一般車両搭載装置18には、緊急車両12からのレーザーRが受信される。具体的には、一般車両搭載装置18の受信手段48で受信された緊急車両12からのレーザーRは、受信方向判定手段50でレーザーRの受信方向が判定される。
例えば、南北道路64Bにおいて、緊急車両12の前方を緊急車両12と同じ北方向に走行している一般車両16aには、後方向受信面54Bに緊急車両12からのレーザーRが受信される。これにより、受信方向判定手段50は、緊急車両12が自車の走行方向後側から接近していると判定する。また、南北道路64Bにおいて、緊急車両12の前方を緊急車両12と逆の南方向に走行している一般車両16bには、前方向受信面54Aに緊急車両12からのレーザーRが受信される。これにより、受信方向判定手段50は、緊急車両12が自車の走行方向前側から接近していると判定する。
また、東西道路64Aのうち、西方向に走行している一般車両16Cには、左方向受信面54Cに緊急車両12からのレーザーRが受信される。これにより、受信方向判定手段50は、緊急車両12が自車の走行方向左側から接近していると判定する。また、東西道路64Aのうち、東方向に走行している一般車両16Dには、右方向受信面54Dに緊急車両12からのレーザーRが受信される。これにより、受信方向判定手段50は、緊急車両12が自車の走行方向右側から接近していると判定する。
【0040】
このように、一般車両16の受信手段48に受信された緊急車両12のレーザーRは、受信方向判定手段50により受信方向が判定され、通報手段52に送られる。これにより、一般車両16の運転者は、サイレン音や警光灯が認識できない緊急車両12から遠い位置を走行していても緊急車両12がどの方向から接近してくるかを早期に認識できる。したがって、一般車両16は緊急車両12が交差点68に近づく前に余裕をもって退避行動の準備を行うことができる。
そして、緊急車両12は、交差点68が近づいたら、スピーカ音声により交差点68を直進するか、左折するか、右折するかを知らせると共に、交差点68の手前30m程度(又は交差点の3~5秒手前)で方向指示器34A(交差路走行選択手段34の一例)を出す。緊急車両12の運転者が方向指示器34Aを出すタイミング及び直進、左折、右折の何れの交差路走行をするかに連動して、制御手段30は到達距離可変手段26を制御して、3つの照射面44(44A、44B、44C)から照射するそれぞれのレーザーR1、R2、R3の到達距離を変える。
即ち、緊急車両12が交差点68を直進する場合には、3つの照射面44から照射するそれぞれのレーザーR1、R2、R3の到達距離L3を300mに維持した状態で交差点68を直進する。これにより、緊急車両12が交差点68を直進して通過し終えるまでは、南北道路64Bの交差点68から北側の一般車両16a、16b及び東西道路64Aの一般車両16c、16dにレーザーR1、R2、R3が照射される。そして、緊急車両12が交差点68を直進して通過し終えた後は、南北道路64Bの交差点68の北側を走行する一般車両16a、16bにのみレーザーR1、R2、R3が照射される。
これにより、南北道路64Bの交差点68の北側を走行する一般車両16a、16bにのみ退避行動をとらせることができると共に、南北道路64Bの交差点68から南側の一般車両及16a、16b及び東西道路64Aを走行する一般車両16c、16dについては、緊急車両12に対する退避行動によって生じた交通渋滞を通常走行に速やかに戻させることができる。
なお、緊急車両12が交差点68を直進して通過した後は、制御手段30は前方向照射面44AのみからレーザーR1を照射することも可能であるが、交差点68の北側に脇道が存在している場合があるので、3つの照射面44からレーザーR1、R2、R3を照射することが好ましい。
【0041】
次に、図7を使用して、緊急車両12が交差点68を左折する場合について説明する。
緊急車両12が交差点68を左折する場合、制御手段30は、方向指示器34Aが左折を出すタイミングに連動して、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離L3を一番長くし、前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の到達距離L4を次に長くし、右方向照射面44Cから照射するレーザーR3の到達距離L5を一番短くする。例えば、前記したように緊急車両12が交差点68に近づく前の3つの照射面44(44A、44B、44C)から照射するレーザーR1、R2、R3の到達距離L3が同じ300mとした場合、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離L3をそのまま300mとし、前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の到達距離L4を300mから150mと短くし、右方向照射面44Cから照射するレーザーR3の到達距離L5を300mから50mと最も短くする。
即ち、緊急車両12が交差点68を左折する場合、東西道路64Aのうち交差点68の西側を走行する一般車両16c、16dは、引き続き緊急車両12に対する退避行動をとる必要があるので、緊急車両12が接近してくることを早期に認識して退避行動の準備をしておく必要がある。このため、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離L3を300mに維持することにより、東西道路64Aのうち交差点68の西側を走行する一般車両16c、16dは、引き続き緊急車両12に対する退避行動をとるように促す。
また、東西道路64Aのうち交差点68の東側を走行する一般車両16c、16dは、緊急車両12が左折し終わったら、速やかに通常走行に戻して交通渋滞を回避する必要がある。このため、右方向照射面44Cから照射するレーザーR3の到達距離L5を300mから50mと短くすることにより、東西道路64Aの交差点68の東側を走行する一般車両16c、16dのうち交差点68近傍の一般車両16c、16dにのみ退避行動を促すようにする。
【0042】
同様に、南北道路64Bの交差点68の北側を走行する一般車両16a、16bについても、緊急車両12が左折し終わったら、速やかに通常走行に戻して交通渋滞を回避する必要がある。しかし、南北道路64Bの交差点68の南側を走行している一般車両16a、16bは緊急車両12が左折するまでの間、退避行動の影響を長く受けたので交通渋滞が続いた状態にある。したがって、南北道路64Bのうち交差点68の北側を南方向に向かって走行する一般車両16bは、緊急車両12が左折し終わった後も、直ちに通常走行に戻るよりもワンテンポ遅らせて通常走行に戻す方が結果的に南北道路64Bの交通渋滞を回避し易くなる。このため、前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の到達距離L4を300mから150mと一気に短くしないことにより、南北道路64Bの交通渋滞を通常走行に回避し易くすることができる。
また、緊急車両12が交差点68を右折する場合は、上記した左折の場合と同様の考えから、制御手段30は、方向指示器34Aが右折を出すタイミングに連動して、右方向照射面44Cから照射するレーザーR3の到達距離を一番長くし、前方向照射面44Aから照射するレーザーR1の到達距離を次に長くし、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離を一番短くする。
図示しないが、一般道路64の交差路の一種であるT字路における制御手段30の制御方法の考え方は交差点68の場合と同様である。即ち、緊急車両12がT字路を左折又は右折し終わった後も退避行動が必要な一般車両16に対しては照射されるレーザーRの到達距離Lを長くして引き続き退避行動を早期に通報する。そして、退避行動から通常走行に戻す必要のある一般車両16に対しては照射されるレーザーRの到達距離を短くして、緊急車両12が左折又は右折し終わったら速やかに通常走行に戻れるようにして緊急車両による交通渋滞を解消する。
例えば、緊急車両12がT字路に近づく前、制御手段30は前方向照射面44A、左方向照射面44B、及び右方向照射面44Cの3つの照射面44ともにレーザーR1、R2、R3の到達距離Lを300mに制御する。そして、方向指示器34Aが左折を出したら、制御手段30は方向指示器34Aが左折を出すタイミングに連動して、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離Lを長くし、前方向照射面44A及び右方向照射面44Cから照射するレーザーR1、R3の到達距離を短くする。前記したように緊急車両12がT字路に近づく前の3つの照射面から照射するレーザーR1、R2、R3の到達距離Lが同じ300mとした場合、左方向照射面44Bから照射するレーザーR2の到達距離Lをそのまま300mとし、前方向照射面44A及び右方向照射面44Cから照射するレーザーR1、R3の到達距離Lを300mから50mとする。
【0043】
以上図4及び図5の高速道路56の場合、図6及び図7の一般道路64の場合で説明したように、本発明の緊急車両情報通報システム10によれば、緊急車両12に搭載した緊急車両搭載装置14を制御する制御手段30は、道路地図情報取得手段22により取得した道路地図の一般道路64、交差点68、高速道路56、高速合流路60A等の道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて電磁波照射手段20から照射するレーザーRの照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御できるようにした。これにより、一般道路64、交差点68、高速道路56、高速合流路60A等の道路状況に応じて緊急車両12に対する退避行動の対象になっている一般車両16が走行する道路領域に特定的にレーザーRを照射することができる。更には、退避行動の対象になっていない一般車両16あるいは退避行動から通常走行に戻る必要のある一般車両16に対してはレーザーRをできるだけ照射しないようにできる。
また、一般車両16に搭載した一般車両搭載装置18では、緊急車両12から照射されたレーザーRを受信するだけでなく受信方向を判定して運転者に通報できるようにしたので、仮に退避行動の対象でない一般車両16に緊急車両12からレーザーRが照射された場合であっても、自車が退避行動の対象になっているか否かを判断できる。
これにより、緊急車両12に対する一般車両16の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両16が退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる。
なお、本実施の形態で説明した照射方向可変手段24による照射方向、到達距離可変手段26よる到達距離、照射角度可変手段28による照射角度は一例であり、高速道路56や一般道路64の道路状況、道路事情、交通状況に応じて適宜可変することができる。
このように、本発明の緊急車両情報通報システム10は、緊急車両12から一般車両16にレーザーRを照射するというシンプルなシステムでありながら、緊急車両12に対する一般車両16の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両16が退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる緊急車両情報通報システムを提供することができる。
なお、本実施の形態では、指向性電磁波としてレーザーRの例で説明したが、レーザー照射器46を赤外線照射器(図示せず)に代えることにより、本発明の緊急車両情報通報システム10を構築することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10…緊急車両情報通報システム、12…緊急車両、14…緊急車両搭載装置、16(16a、16b、16c、16d)…一般車両、18…一般車両搭載装置、20…電磁波照射手段、22…道路地図情報取得手段、24…照射方向可変手段、26…到達距離可変手段、28…照射角度可変手段、29…電磁波照射可変手段、30…制御手段、32…スイッチ手段、34…交差路走行選択手段、34A…方向指示器、36…サイレン発生器、38…警光灯、40…スピーカ、42…従来通報装置、44…照射面、44A…前方向照射面、44B…左方向照射面、44C…右方向照射面、46…レーザー照射器、48…受信手段、50…受信方向判定手段、52…通報手段、54…受信面、54A…前方向受信面、54B…後方向受信面、54C…左方向受信面、54D…右方向受信面、56…高速道路、58…中央分離帯、60…下り車線、60A…高速合流路、62…上り車線、64…一般道路、64A…東西道路、64B…南北道路、66…信号、68…交差点、R…レーザー、R1…前方向照射面からのレーザー、R2…左方向照射面からのレーザー、R3…右方向照射面からのレーザー、L…到達距離
【要約】
【課題】シンプルなシステムでありながら、緊急車両に対する一般車両の余裕をもったスムーズな退避行動を可能にすると共に、退避行動の対象になっていない一般車両が退避行動を取ることによる交通渋滞を回避できる緊急車両情報通報システムを提供する。
【解決手段】緊急車両12に搭載した緊急車両搭載装置14を制御する制御手段30は、道路地図情報取得手段22により取得した道路地図の一般道路64、交差点68、高速道路56、高速合流路60A等の道路状況及び道路地図上の自車位置に応じて電磁波照射手段20から照射するレーザーRの照射方向可変手段24、到達距離可変手段26及び照射角度可変手段28を制御できるようにした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7