(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】半導体電熱膜の前駆体溶液、半導体電熱膜構造、及び電熱構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20221021BHJP
H01C 7/02 20060101ALI20221021BHJP
C04B 35/453 20060101ALI20221021BHJP
H05B 3/16 20060101ALI20221021BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20221021BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20221021BHJP
【FI】
H05B3/20 378
H01C7/02
C04B35/453
H05B3/20 393
H05B3/20 392A
H05B3/16
H05B3/12 A
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2021116138
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】202110495861.1
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110772226.3
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521311230
【氏名又は名称】福建晶▲しい▼新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】羅浩
(72)【発明者】
【氏名】蔡建財
(72)【発明者】
【氏名】楊小華
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105228273(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112291867(CN,A)
【文献】特表2018-525777(JP,A)
【文献】特開平2-56885(JP,A)
【文献】特開2001-284021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H01C 7/02
C04B 35/453
H05B 3/16
H05B 3/12
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体電熱膜の前駆体溶液であって、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、
組成Aは、2~10重量%の塩化スズ(IV)5水和物、3~6重量%の塩化第一スズ
、および0.3~1重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2
に調節するPH調節剤を含み、
組成Bは、5~10重量%のコンダクタンス調節剤と、コンダクタンス調節剤は、塩化
アンチモン(III)2水和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウムおよび二酸化タリ
ウムのうちの1種または複数種の組み合わせであり、および0.6~1重量%の塩化アル
ミニウムと、を含有し、さらに組成BのPHを4.7~5.0に調節するPH調節剤を含
み、
組成Cは、0.5~0.7重量%の酸化錫、0.8~1.5重量%の酸化ビスマス、お
よび15~25重量%のエタノールを含有し、
さらに15~30重量%の蒸留水を含む、
半導体電熱膜の前駆体溶液。
【請求項2】
半導体電熱膜構造の製造方法は、
工程一:
配合比率に基づいて塩化スズ(IV)5水和物と塩化第一スズを十分に混合させてから、
それをPH調節剤中に加え、ここで、PH値は4.7~6.2に、温度は8~12℃にそ
れぞれコントロールし、完全的溶解まで攪拌してから、配合比率に基づいてグリセリンを
添加し、続いて、5~10min攪拌し、組成Aを取得し、
PH調節剤中に配合量のコンダクタンス調節剤と塩化アルミニウムを加え、コンダクタン
ス調節剤は塩化アンチモン(III)2水和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウムと
二酸化タリウムのうちの1種または複数種の組み合わせであり、ここで、PH値は4.7
~5.0に、温度は15~20℃にそれぞれコントロールし、均一に攪拌し、組成Bを取
得し、
配合比率に基づいて、エタノール中に配合量の酸化錫および酸化ビスマスを加え、組成C
を取得する工程と、
工程二:
組成Aと組成Bを全部組成C中に加え、そして配合量の蒸留水を添加し、充分に反応させ
てから、固体顆粒を濾除し、半導体電熱膜前駆体液を製成し、
半導体電熱膜構造の製造:
基底を380~860℃に加熱し、半導体電熱膜の前駆体溶液と3~7kg空気とを十分
に混合させて、スプレーガンによって基底の一側面に噴出塗布させ、室温に冷却させ、半
導体電熱膜構造を製成する工程と、
を含む、半導体電熱膜構造の製造方法。
【請求項3】
基底はセラミックス材製および/またはガラス材製である、請求項2に記載の半導体電熱
膜構造の製造方法。
【請求項4】
電熱構造の製造方法であって、
請求項2に記載の半導体電熱膜構造の製造方法を含み、
さらに、
電極の製造工程:
スクリーン印刷によって半導体電熱膜における基底から離れる一側面上に導電グルーを印
刷することにより、第1の電極と第2の電極を形成し、ここで、第1の電極と第2の電極
は対向設置され、スクリーンの目数は80~200目である、工程と、
電熱構造の製造工程:
塗布済みの半導体電熱膜、第1の電極および第2の電極の基底を、180~300℃に加
熱し、10~30分間乾燥してから、500~800℃に加熱し、15~30分間焼結し
て、そして冷却させると、電熱構造が完了する工程と、
を含む、電熱構造の製造方法。
【請求項5】
導電グルーは導電銀グルーである、請求項4に記載の電熱構造の製造方法。
【請求項6】
基底1はセラミックス材製および/またはガラス材製である、請求項4に記載の電熱構造
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体電熱膜の領域に関し、特に半導体電熱膜の前駆体溶液、半導体電熱膜構
造、及び電熱構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の電熱膜は伝統的な電熱材料に比べて、例えば電気抵抗線、大きな優位性がありま
す。例えば、電熱変換効率が高く、全表面カバーを実現できます。熱伝達面積を増加し、
伝熱速度を高めます。使用寿命は比較的に長いです。電子タバコでの加熱微粒子化器が使
えます。しかし、半導体の電熱膜の作動温度は通常100-300℃です。抵抗線の動作
温度は100-100℃と比較して、動作温度は比較的低いです。
また、現在の酸化スズ類の電熱膜は500℃以上で比較的抵抗変化があるため、減衰が激
しく、酸化スズ類電熱膜の使用範囲を制限しています。
また、電熱膜の昇温速度は比較的遅く、短時間で通電温度が不安定であり、電子タバコに
おいて発癌物質が発生しやすい。
現在、無機電熱膜は通常五水塩化錫または塩化錫または塩化亜錫を主成分として使用して
いますが、重量分の数は調合法によって異なり、通常10-60分で加水分解により酸化
スズ電熱膜が形成され、ドーピングにより電熱膜の性能が改善されますが、この成分のド
ーピングは上記の技術問題を解決することができません。
したがって、新しい半導体電熱膜の前駆体溶液を提供する必要があり、さらに半導体電熱
膜構造の調製方法を提供する必要があり、さらに、電熱構造の調製方法を提供する必要が
ある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、半導体電熱膜の前駆体溶液を提供して、上記の問題を解決する。
半導体電熱膜の前駆体溶液は、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、
組成Aは、2~10重量%の塩化スズ(IV)5水和物、3~6重量%の塩化第一スズ
、および0.3~1重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2
に調節するPH調節剤を含み、
組成Bは、5~10重量%のコンダクタンス調節剤と、コンダクタンス調節剤は、塩化
アンチモン(III)2水和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウムおよび二酸化タリ
ウムのうちの1種または複数種の組み合わせであり、および0.6~1重量%の塩化アル
ミニウムと、を含有し、さらに組成BのPHを4.7~5.0に調節するPH調節剤を含
み、
組成Cは、0.5~0.7重量%の酸化錫、0.8~1.5重量%の酸化ビスマス、お
よび15~25重量%のエタノールを含有し、
さらに15~30重量%の蒸留水を含む。
【0004】
本発明の第二目的は、以下を提供する。
半導体電熱膜構造の製造方法は、
工程一:
配合比率に基づいて塩化スズ(IV)5水和物と塩化第一スズを十分に混合させてから、
それをPH調節剤中に加え、ここで、PH値は4.7~6.2に、温度は8~12℃にそ
れぞれコントロールし、完全的溶解まで攪拌してから、配合比率に基づいてグリセリンを
添加し、続いて、5~10min攪拌し、組成Aを取得し、
PH調節剤中に配合量のコンダクタンス調節剤と塩化アルミニウムを加え、コンダクタン
ス調節剤は塩化アンチモン(III)2水和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウムと
二酸化タリウムのうちの1種または複数種の組み合わせであり、ここで、PH値は4.7
~5.0に、温度は15~20℃にそれぞれコントロールし、均一に攪拌し、組成Bを取
得し、
配合比率に基づいて、エタノール中に配合量の酸化錫および酸化ビスマスを加え、組成C
を取得する工程と、
工程二:
組成Aと組成Bを全部組成C中に加え、そして配合量の蒸留水を添加し、充分に反応させ
てから、固体顆粒を濾除し、半導体電熱膜前駆体液を製成し、
半導体電熱膜構造の製造:
基底を380~860℃に加熱し、半導体電熱膜の前駆体溶液と3~7kg空気とを十分
に混合させて、スプレーガンによって基底の一側面に噴出塗布させ、室温に冷却させ、半
導体電熱膜構造を製成する工程と、
を含む。
【0005】
好ましくは、基底はセラミックス材製および/またはガラス材製である。
【0006】
本発明の第三目的は、以下を提供する。
電熱構造の製造方法は、
請求項2に記載の半導体電熱膜構造の製造方法を含み、
さらに、
電極の製造:
スクリーン印刷によって半導体電熱膜における基底から離れる一側面上に導電グルーを印
刷することにより、第1の電極と第2の電極を形成し、ここで、第1の電極と第2の電極
は対向設置され、スクリーンの目数は80~200目であり、
電熱構造の製造:
塗布済みの半導体電熱膜、第1の電極および第2の電極の基底を、180~300℃に加
熱し、10~30分間乾燥してから、500~800℃に加熱し、15~30分間焼結し
て、そして冷却させると、電熱構造が完了する。
【0007】
好ましくは、導電グルーは導電銀グルーである。
【0008】
好ましくは、基底1はセラミックス材製および/またはガラス材製である。
【0009】
上記のPH調整剤はPHを調節し、塩化物の早期加水分解、、変質を生じることを防止す
る。上記のPH調整剤は塩酸、氷酢酸、硝酸、塩素酸、リン酸、プロトン酸、亜硝酸、酸
を含むが、これらに限らない。
【0010】
本発明の有益な技術効果は、先行技術に比べて以下の通りである。
(1)半導体電熱膜の前駆体溶液から結晶化された半導体電熱膜は耐温度急変を有し、温
度安定性が良く、耐減衰、昇温速度が速く、耐高温性が良い性質を有する。
(2)半導体電熱膜構造の製造方法を提供し、この方法は大量の自動化工業生産を安定さ
せることができる。
(3)電熱構造の調製方法を提供し、得られた電熱構造は耐温度急変、耐破壊、適応電圧
の広い範囲の変化、電熱変換効率が高く、耐高温性が良い性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施形態または先行技術における技術案をより明確に説明するために、以下では
実施形態または先行技術説明において必要とされる図面を簡単に紹介するが、以下の説明
における図面は本発明のいくつかの実施形態にすぎず、本分野の一般技術者にとっては、
創造的労働を行わない前提で、これらの図面に従って示された構造は、他の図面を得るこ
ともできる。
【
図1】本発明の実施例に係る電熱構造の概略
図1である。
【
図2】本発明の実施例に係る電熱構造の概略
図2である。
【0012】
[符号の説明]
1-基底
2-半導体電熱膜
3-第1の電極
4-第2の電極
5-導電部材
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態における図面に関連して、本発明の実施形態における技術的な態
様を明確にし、完全に説明するが、説明した実施形態は、全ての実施形態ではなく、本発
明の一部の実施形態にすぎないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者
は、創造的な労働がなされていない前提で取得される他のすべての実施形態は、本発明の
保護の範囲に属する。
また、本発明における「第一」、「第二」等に関する記述は、説明の目的だけに用いられ
、その相対的な重要性を示すか、または指示された技術的特徴を明示する数量を暗黙的に
示すかということに理解してはならない。したがって、「第一」、「第二」と限定された
特徴は、少なくとも一つの特徴を明示または暗黙的に含むことができる。
また、様々な実施形態の間の技術案は互いに結合することができるが、当業者が実現でき
ることを基礎としなければならない。技術案の結合が相互に矛盾したり、実現できない場
合は、このような技術案の結合は存在しないと考えるべきであり、本発明の保護範囲内に
もない。
【0014】
実施例1
半導体電熱膜の前駆体溶液は、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、ここで、
組成Aは、2重量%の塩化スズ(IV)5水和物、3重量%の塩化第一スズ、および0.
3重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2に調節するPH調
節剤を含み、該組成AのPH調節剤は氷酢酸とする;
組成Bは、5重量%のコンダクタンス調節剤である塩化アンチモン(III)2水和物、
および0.6重量%の塩化アルミニウムを含有し、さらに組成BのPHを4.7~5.0
に調節するPH調節剤を含み、該組成BのPH調節剤は塩酸とする;
組成Cは、0.5重量%の酸化錫、0.8重量%の酸化ビスマス、および15重量%のエ
タノールを含有する;
さらに15重量%の蒸留水を含む、ものとした。
【0015】
実施例2
半導体電熱膜の前駆体溶液は、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、ここで、
組成Aは、10重量%の塩化スズ(IV)5水和物、6重量%の塩化第一スズ、および1
重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2に調節するPH調節
剤を含み、該組成AのPH調節剤は氷酢酸とする;
組成Bは、10重量%のコンダクタンス調節剤である塩化アンチモン(III)2水和物
、および1重量%の塩化アルミニウムを含有し、さらに組成BのPHを4.7~5.0に
調節するPH調節剤を含み、該組成BのPH調節剤は塩酸とする;
組成Cは、0.7重量%の酸化錫、1.5重量%の酸化ビスマス、および25重量%のエ
タノールを含有する;
さらに25重量%の蒸留水を含む、ものとした。
【0016】
実施例3
半導体電熱膜の前駆体溶液は、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、ここで、
組成Aは、6重量%の塩化スズ(IV)5水和物、4.5重量%の塩化第一スズ、および
0.65重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2に調節する
PH調節剤を含み、該組成AのPH調節剤は氷酢酸とする;
組成Bは、7.5重量%のコンダクタンス調節剤である塩化アンチモン(III)2水和
物、および0.8重量%の塩化アルミニウムを含有し、さらに組成BのPHを4.7~5
.0に調節するPH調節剤を含み、該組成BのPH調節剤は塩酸とする;
組成Cは、0.6重量%の酸化錫、1.15重量%の酸化ビスマス、および20重量%の
エタノールを含有する;
さらに22.5重量%の蒸留水を含む、ものとした。
【0017】
本発明の他の実施例において、コンダクタンス調節剤は、塩化アンチモン(III)2水
和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウムおよび二酸化タリウムのうちの1種または複
数種の組み合わせとしてもよい。
組成Aおよび組成B中におけるPH調節剤は、例えば、塩酸、氷酢酸、硝酸、塩素酸、リ
ン酸、プロトン酸、亜硝酸、ぎ酸としてもよい。PHを調節する機能を発揮することによ
って、塩化物の早期水分解による変質を防止することができるとわかった。
【0018】
下記の方法によって上記実施例で得られた半導体電熱膜にテストを行った。
抵抗値:GB/T7278-2008;
電熱変換効率:GB/T 7287-2008;
法線方向の全放射率:B/T 7287-2008;
電熱変換率の増値:GB/T 7287-2008;
持続動作時間:GB/T 7287-2008;
昇温時間:GB/T 7287-2008;
酢酸24h亜鉛溶出:GBT 3534-2002;
酢酸24hカドミウム溶出:GBT 3534-2002;
破壊試験:GBT 3534-2002;
漏洩電流:GB/T 7287-2008;
減衰試験:GB/T 7287-2008;
加熱速度試験:GB/T 7287-2008
試験結果
【0019】
【0020】
本発明にかかる電熱膜は以下の特性を有する。
抵抗値は0.7Ωと低い。加熱は快速であり、通電瞬間における0.4s程度にて200
~310℃まで昇温できる。ブレイクダウン防止が可能である。動作電圧と漏洩電流は基
準を満たし、短絡破壊が発生しない。耐高温性は良好で、破壊温度が680℃と高い。持
続動作時間は2000s以上と長い。電熱変換率は95%以上と高い。耐温度激変性は良
好である。
快速な加熱速度を達成できる。5分間以内で最高温度の90%まで達し得る。透明度は良
好で、75%-88%までになる。
成分分析によって、電熱膜は、抗酸化、抗腐食、絶縁性、難燃性、耐水性、高硬度、無毒
、また、有害放射線なく、不良物質排出なく、加熱時における力率(power fac
tor)は1、加熱水試料は小分子団水と検出、人体に最適な吸収の遠赤外線含有という
特徴を有するとわかった。
本発明は有益な技術効果を提供する。
本発明は、塩化スズ(IV)5水和物と塩化第一スズの比率を改良するものであって、高
温水分解によって多結晶格子の酸化錫と一定比率の酸化第一スズを形成し、よってn型の
導電電熱膜を形成する。そして、比率の改良により高温水分解後に形成された電熱膜の電
導率は8~20Ω/cm2となった。また、コンダクタンス調節剤の種類と比率を改良す
ることにより酸化錫の結晶格子パラメータを改変する。所定の比率範囲内で電導率の増加
と抵抗値の低減を両立させることができる。短時間での快速加熱が実現される。上記組成
と所定比率の塩化アルミニウム(三酸化アルミニウムに高温水分解する)、酸化錫、酸化
ビスマスの間の相互協同作用によって、半導体電熱膜の温度係数を減少し、半導体電熱膜
の耐温度激変性と耐減衰性を向上する。
本発明はさらに、上記半導体電熱膜の前駆体溶液を含む、半導体電熱膜構造の製造方法を
提供する。
【0021】
実施例4
半導体電熱膜の前駆体溶液の製造方法は、以下の工程を含んだ。
工程一:
配合比率に基づいて塩化スズ(IV)5水和物と塩化第一スズを十分に混合させてから、
それをPH調節剤中に加えた。ここで、PH値は4.7~6.2に、温度は8~12℃に
それぞれコントロールした。完全的溶解まで攪拌してから、配合比率に基づいてグリセリ
ンを添加した。続いて、5~10min攪拌し、組成Aを取得した。
PH調節剤中に配合量のコンダクタンス調節剤と塩化アルミニウムを加えた。コンダクタ
ンス調節剤は塩化アンチモン(III)2水和物、三酸化ビスマス、三酸化アルミニウム
と二酸化タリウムのうちの1種または複数種の組み合わせとしてもよい。ここで、PH値
は4.7~5.0に、温度は15~20℃にそれぞれコントロールした。均一に攪拌し、
組成Bを取得した。
配合比率に基づいて、エタノール中に配合量の酸化錫および酸化ビスマスを加え、組成C
を取得した。
工程二:
組成Aと組成Bを全部組成C中に加え、そして配合量の蒸留水を添加し、充分に反応させ
てから、固体顆粒を濾除し、半導体電熱膜前駆体液を製成した。
半導体電熱膜構造の製造:
基底を380~860℃に加熱し、半導体電熱膜の前駆体溶液と3~7kg空気とを十分
に混合させて、スプレーガンによって基底の一側面に噴出塗布させ、室温に冷却させ、半
導体電熱膜構造を製成した。
具体的配合比率は実施例1と同様であり、基底はセラミックス材製および/またはガラス
材製とした。
【0022】
実施例5
半導体電熱膜構造の製造方法の工程は実施例4と同じであり、具体的な配合比は実施例2と
同じである。
【0023】
実施例6
半導体電熱膜構造の製造方法の工程は実施例4と同じであり、具体的な配合比は実施3と同
じである。
【0024】
説明が必要なのは、上記の実施例において、基底は380-860℃に加熱するとした。
その原因は、配合比率に基づいて得られた半導体電熱膜の前駆体溶液の適宜温度が380
~860℃であるからである。温度調節によって電熱膜上における抵抗差を小さくさせ、
焼き崩しの可能性を減少させることができる。温度が上記の値より低いと、成膜効果が悪
くなる。また空気配合比率の設定は前駆液霧化の気圧を影響する。所定の配合比率より小
さいと、霧化不充分となり、膜メッキの不均一をもたらす。所定の配合比率より大きいと
、気圧が高すぎ、希釈霧化中における試料成分を影響し、その大部分が空気となってしま
い、試料の量は少なくすぎる場合、成膜ができなくなる。そして、空気が乾燥であると、
水蒸気等を混入してはならなく、さもなければ混合後前駆液の成分比率を影響する。
本発明はさらに、上記半導体電熱膜構造の製造方法を含む、電熱構造の製造方法を提供す
る。
【0025】
実施例7
電熱構造の製造方法は、上記実施例の半導体電熱膜構造の製造方法を含み、そして以下の
工程も含む。
電極の製造:
スクリーン印刷によって半導体電熱膜における基底から離れる一側面上に導電グルーを印
刷することにより、第1の電極と第2の電極を形成した。ここで、第1の電極と第2の電
極は対向設置されているとした。スクリーンの目数は80~200目とした。
電熱構造の製造:
塗布済みの半導体電熱膜、第1の電極および第2の電極の基底を、180~300℃に加
熱し、10~30分間乾燥してから、500~800℃に加熱し、15~30分間焼結し
て、そして冷却させると、電熱構造が完了した。ここで、基底は、セラミックス材製およ
び/またはガラス材製とした。導電グルーは導電銀グルーとした。
実施例7では、スクリーンの目数は80~200目とした。電極厚度の大きさは電極に耐
える電圧と電流の大きさに影響を与えるため、電極の厚度はコントロール可能としてもよ
い。上記成分の配合比率は、実施例1と同様であった。
【0026】
実施例8
実施例7と異なるのは半導体電熱膜の前駆体溶液の成分比であり、本実施例の配合比は実
施例2と同じである。
【0027】
実施例9
実施例7と異なるのは半導体電熱膜の前駆体溶液の成分比であり、本実施例の配合比は実
施例3と同じである。
【0028】
上記実施例で得られた電熱構造は、
図1および2に示すように、基底1と、第1の電極3
と、第2のモータ4と、および半導体電熱膜2とを含み、半導体電熱膜2は基底1の一側
面に塗布されており、特徴的には、半導体電熱膜1は、上記実施例の製造方法によって得
られるものとし、第1の電極3と第2の電極4は半導体電熱膜2における基底1から離れ
る一側面に設置されており、第1の電極3と第2の電極4とが対向設置されており、さら
に第1の電極3と第2の電極4に設置される、外部電源の電力を第1の電極3和第2の電
極4上に伝送するための導電部材5を備えているとなっている。
【0029】
基底1はセラミックス材製および/またはガラス材製とする。基底1の材料は実際の用途
によって改変してもよい。基底1をセラミックス材製の電熱構造とする場合、電子タバコ
のアトマイザーに適用することができる。
【0030】
第1の電極3と第2の電極4は銀材製とする。銀は、耐高温、耐温度激変、耐湿度および
酸化防止の特性を有するからである。
【0031】
電子タバコのアトマイザーに適用する場合、霧化物質を収納するために、基底1内にチャ
ンバーが設けられてもよい。
【0032】
実際によって、基底1の厚度と形状は、調整可能であり、第1の電極3および第2の電極
4の形状と位置は調整可能である。
図1に示すように、第1の電極3および第2の電極4
は方形状とし、かつ第1の電極3と第2の電極4とが平行的に対向設置されている。第1
の電極3と第2の電極4は他の形状、他形態の対向設置としてもよい。
図2に示すように
、例えば、第1の電極3はリング状、例えば円状リングとし、第2の電極4は円状とし、
第2の電極4は第1の電極3のリング内に設置されるとする。
【0033】
導電部材5は、導電ワイヤや導電片としてもよいが、これらに制限してはならない。導電
部材5の取付手法は、磁気付着、プッシュピン、係りバックルや、はんだ付けなどとして
もよいが、これらに制限してはならない。
【0034】
以上述べたのは本発明の好適な実施形態にすぎず、したがって本発明の特許範囲を制限す
るのではなく、本発明の発明の概念の下で、本発明の明細書及び図面の内容を利用して行
った等価構造変換または直接/間接的に応用することは、他の関連する技術分野の何れも
本発明の特許保護範囲に含まれる。
【要約】 (修正有)
【課題】電熱構造は耐温度急変、耐破壊、適応電圧の広い範囲の変化、電熱変換効率が高く、耐高温性が良い性質を有する半導体電熱膜構造を提供する。
【解決手段】半導体電熱膜の前駆体溶液は、組成A、組成Bおよび組成Cを含み、組成Aは、2重量%の塩化スズ(IV)5水和物、3重量%の塩化第一スズ、および0.3重量%のグリセリンを含有し、さらに組成AのPHを4.7~6.2に調節するPH調節剤を含み、組成AのPH調節剤は氷酢酸とする。組成Bは、5重量%のコンダクタンス調節剤である塩化アンチモン(III)2水和物、および0.6重量%の塩化アルミニウムを含有し、さらに組成BのPHを4.7~5.0に調節するPH調節剤を含み、組成BのPH調節剤は塩酸とする。組成Cは、0.5重量%の酸化錫、0.8重量%の酸化ビスマス、および15重量%のエタノールを含有する。
【選択図】なし