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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】ポリウレタン弾性繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/70 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
D01F6/70 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022027753
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502179282
【氏名又は名称】東レ・オペロンテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田中 利宏
(72)【発明者】
【氏名】苗代 和樹
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特公昭58-044767(JP,B2)
【文献】特表2002-538314(JP,A)
【文献】特開昭57-051816(JP,A)
【文献】特開平07-150416(JP,A)
【文献】特開2007-100248(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078170(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/153375(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101096781(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102251316(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102677213(CN,A)
【文献】国際公開第2021/060292(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 6/70
D01F 6/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用い金属石鹸の含有量が0.003質量%以上3.0質量%以下、界面活性剤の含有量が0.003質量%以上3.0質量%以下のポリウレタン弾性繊維を製造することを特徴とするポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項2】
製造されるポリウレタン弾性繊維が 酸化防止剤を0.002質量%以上5.0質量%以下含有する、請求項に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項3】
製造されるポリウレタン弾性繊維が 三級アミン化合物0.2質量%以上5.0質量%以下含有する、請求項1または2に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項4】
製造されるポリウレタン弾性繊維が、ジメチルアミン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミンから選ばれたモノアミンおよび/またはエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,3-シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミンから選ばれたジアミンからなる 架橋構造調節剤を0.002質量%以上2.0質量%以下含有する、請求項1~のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項5】
リサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量が0.02質量%以上1.0質量%以下である、請求項1~のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項6】
リサイクルポリウレタン弾性繊維のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に基づく数平均分子量が20,000以上120,000以下、かつ、GPCに基づく分子量が30,000以下の領域の検出強度カーブにピークまたはショルダーがない、請求項1~のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項7】
リサイクルポリウレタン弾性繊維の赤外スペクトル(IR)に基づくAνC=O 1730 cm -1/AνC=O 1710 cm-1が1.05以上1.50以下である、請求項1~のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【請求項8】
リサイクルポリウレタン弾性繊維の用途が下着である、請求項1~のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン弾性繊維に関し、とくに、リサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献が求められており、循環型の資源利用は、全ての工業製品における最重要課題である。例えば、ポリウレタン弾性繊維では、製造工程で発生した繊維屑や、使用済み製品から必要となる繊維を回収し、リサイクルする技術が知られており、特許文献1、特許文献2にあるように繊維屑を溶解してリサイクルする技術は古くから知られている。また、特許文献3、特許文献4にあるように、ポリウレタン材料を原料として細分化した後に溶媒を用いて溶解するカスケード型のリサイクル糸を生産する技術も近年見出されている。
【0003】
しかし、ポリウレタン弾性繊維からポリウレタン弾性繊維への水平型リサイクルでは、ポリウレタン弾性繊維特有の課題が存在する。すなわち、リサイクルにより蓄積する物質、減少する物質により、製造されるポリウレタン弾性繊維の特性低下が発生する。特にリサイクルを繰り返す場合、とりわけ、リサイクルポリウレタンの含有率やリサイクル繰り返し数が大きい場合にはこの現象は顕著であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭56-122836号公報
【文献】特公昭57-42657号公報
【文献】CN101096781号公報
【文献】特開2002-538314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、リサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維において、リサイクルに伴う特有の特性低下の抑制を可能としたポリウレタン弾性繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維では、前述の如く、リサイクルにより蓄積する物質、減少する物質により、特性低下が発生してしまう。蓄積する物質で最も影響が大きいものとして、ポリウレタン弾性繊維の油剤に含有される微粉砕された金属石鹸が挙げられる。金属石鹸としては、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウムが代表的である。油剤は、ポリウレタン弾性繊維巻糸体の膠着現象を抑制し、繊維の解舒や編織工程のガイド、ローラー、編み針の摩擦を低減できるものであるが、一方で、ポリウレタン弾性繊維巻糸体の外形への影響が著しい。その効果は、油剤として外部に付着している場合より糸内部に添加した場合に顕著に現れ、質量当たりの解舒張力値として10倍以上の差として現れる場合がある。内部に添加した場合、金属石鹸は一旦溶解または溶融されることにより、糸表面を分子膜状に均一に被覆するため、解舒張力を著しく小さくするが、一方で、巻糸体の外形を変化させ、いわゆる、巻き崩れによって、巻き量上限を下げる特性低下が発生する。
【0007】
第2に影響が大きい蓄積物質は分解物である。その分解物としては、例えば、酸化防止剤として配合されるヒンダードフェノールの分解物、染色剤として配合される三級アミン化合物類の分解物等が挙げられる。同様に影響が大きい蓄積物質として、ポリウレタンウレア特有の架橋構造調節剤等が挙げられる。分解物が引き起こす特性低下としては、着色、経時変色、機械物性低下等が挙げられる。特にリサイクルを繰り返す場合、とりわけ、リサイクルポリウレタンの含有率が大きい場合には特性低下が顕著であった。
【0008】
これらに対して発明者らは、これらの特性低下を抑制するためには、リサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維において、油剤に含有される金属石鹸の含有量、界面活性剤、アミン、酸、触媒等の特定物質の含有量を、特性低下を抑制可能な特定の範囲に規制すること、さらには、分解物に対しては、リサイクルする原料を特定手法により選定することにより、前述の課題を解決できることを見出し、ポリウレタン弾性繊維の水平リサイクルをも可能にする、特性が改良されたリサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維を得ることが可能となることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のような構成を有する。
(1)リサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維であって、金属石鹸の含有量が0.003質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
(2)界面活性剤を0.003質量%以上3.0質量%以下含有する、(1)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(3)酸化防止剤を0.002質量%以上5.0質量%以下含有する、(1)または(2)に記載のポリウレタン弾性繊維。
(4)三級アミン化合物の含有量が0.2質量%以上5.0質量%以下である、(1)~(3)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(5)架橋構造調節剤を0.002質量%以上2.0質量%以下含有する、(1)~(4)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(6)リサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量が0.02質量%以上1.0質量%以下である、(1)~(5)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(7)リサイクルポリウレタン弾性繊維のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に基づく数平均分子量が20,000以上120,000以下、かつ、GPCに基づく分子量が30,000以下の領域の検出強度カーブにピークまたはショルダーがない、(1)~(6)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(8)リサイクルポリウレタン弾性繊維の赤外スペクトル(IR)に基づくAνC=O 1730 cm -1/AνC=O 1710 cm -1が1.05以上1.50以下である、(1)~(7)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(9)リサイクルポリウレタン弾性繊維の用途が洗濯を高頻度で行う衣料製品である、(1)~(8)のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
(10)リサイクルポリウレタン弾性繊維の用途が下着である、(9)に記載のポリウレタン弾性繊維。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維であっても、特性低下が十分に抑制されたポリウレタン弾性繊維を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例及び比較例で採用した解舒張力の測定方法を実施するための解舒張力測定装置の概略構成図である。
図2】実施例21におけるGPCによる測定例を示すグラフである。
図3】実施例21におけるIRスペクトルの測定例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。
まず本発明のポリウレタン弾性繊維において主構成成分として使用されるポリウレタンについて述べる。ここで、主構成成分とは、ポリウレタン弾性繊維に50質量%を超えて含有される成分である。
【0013】
本発明に使用されるポリウレタンは、ポリマージオールおよびジイソシアネートを出発物質とする構造を有するものであれば任意のものでよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤として低分子量ジアミンとからなるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤として低分子量ジオールとからなるポリウレタンウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されることも好ましい。さらには、その加工法も特に限定されるものではない。すなわち、再成形、再製糸を経たリサイクルによるポリウレタンでもよい。
【0014】
ポリマージオールはポリエーテル系、ポリエステル系ジオール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系ジオールが使用されることが好ましい。
【0015】
ポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略すこともある)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略すこともある)および3-メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性PTMG、THFおよび2-メチルテトラヒドロフランの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3-ジメチルTHFの共重合体である変性PTMG、特許第2615131号公報などに開示される側鎖を両側に有するポリオール、THFとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が好ましく使用される。これらポリエーテル系ジオールを1種または2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
【0016】
また、ポリウレタン弾性繊維として耐摩耗性や耐光性を得る観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、特開昭61-26612号公報などに開示されている側鎖を有するポリエステルポリオールなどのポリエステル系ジオールや、特公平2-289516号公報などに開示されているポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
【0017】
また、こうしたポリマージオールは単独で使用してもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。
【0018】
ポリマージオールの分子量は、糸にした際の伸度、強度、耐熱性などを得る観点から、数平均分子量が1,000以上8,000以下のものが好ましく、1,500以上6,000以下がより好ましい。この範囲の分子量のポリオールが使用されることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性に優れた弾性糸を容易に得ることができる。
【0019】
次に、ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略すこともある)、トリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5-ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂環族ジイソシアネートは、特にポリウレタン弾性糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
次にポリウレタンを合成するにあたって用いられる鎖伸長剤は、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうちの少なくとも1種を使用するのが好ましい。なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を一分子中に両方有するものであってもよい。
【0021】
好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p,p’-メチレンジアニリン、1,3-シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4-アミノフェニル)フォスフィンオキシドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を容易に得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果が失わない程度に加えてもよい。
【0022】
また、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1-メチル-1,2-エタンジオールなどが代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることが好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性がより高くなり、また、より強度の高い糸を得ることができるのである。
【0023】
また、本発明においてポリウレタンの分子量は、耐久性や強度の高いポリウレタン弾性繊維を得る観点から、数平均分子量として30,000以上150,000以下の範囲であることが好ましい。なお、分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算する。
【0024】
ポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤としては、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
【0025】
本発明においては、以上のような基本構成を有するポリウレタンからなるポリウレタン弾性繊維は、リサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維として構成されている。ここでリサイクルポリウレタン弾性繊維とは、一旦製品としてのポリウレタン弾性繊維に製造され、その後に回収されたあらゆるポリウレタン弾性繊維を意味し、屑糸等として繊維の形態で回収されたものの他、布帛の形態から回収されたものも含まれ、リサイクルを繰り返したものから回収されたものも含まれる。回収の方法は特に限定されず、あらゆる方法で回収されたリサイクルポリウレタン弾性繊維が含まれる。
【0026】
本発明におけるリサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維においては、第1の特徴として、金属石鹸の含有量が、0.003質量%以上3.0質量%以下の範囲内に制御されている。金属石鹸の含有量が、0.003質量%未満であれば、ポリウレタン弾性繊維の解舒性が不足するおそれがあり、3.0質量%を超えると、ポリウレタン弾性繊維の経て取り解舒時に張力が安定せず、やはり解舒性が不足するおそれがある。金属石鹸の含有量が0.003質量%以上3.0質量%以下の範囲内に制御されていることにより、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい巻糸体形状、解舒張力、破断強伸度が確保される。本発明のポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量の好ましい範囲は0.03質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0027】
上記のような望ましい金属石鹸の含有量(0.003質量%以上3.0質量%以下)に制御するためには、例えば、原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量を把握し、回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維と、バージン原料として使用されるポリウレタンとの混合比を、上記望ましい金属石鹸の含有量を達成できる比率に調整する方法を採用すればよい。
【0028】
原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量としては、0.02質量%以上1.0質量%以下の範囲が好ましい。リサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量がこの範囲内にあると、最終的に製造されるポリウレタン弾性繊維の内部に含有される金属石鹸の含有量を、上述の望ましい金属石鹸の含有量に容易に制御することが可能になる。リサイクルポリウレタン弾性繊維の金属石鹸の含有量としてより好ましくは0.03質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以上0.3質量%以下の範囲である。
【0029】
含有される金属石鹸としては、より具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。
【0030】
本発明のポリウレタン弾性繊維においては、界面活性剤を含有する場合には、0.003質量%以上3.0質量%以下含有していることが好ましい。界面活性剤はリサイクルによって蓄積する金属石鹸の影響を低減することができ、界面活性剤はポリウレタン弾性繊維が使用される中で適度な徐放性があり、蓄積が軽度である。界面活性剤の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい解舒性(解舒張力)、巻糸体形状、破断強伸度が確保される。より好ましい界面活性剤の含有量は0.03質量%以上2.5質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.3質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0031】
また、原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の界面活性剤の含有量としては、0.003質量%以上0.5質量%以下の範囲が好ましい。リサイクルポリウレタン弾性繊維の界面活性剤の含有量がこの範囲内にあると、最終的に製造されるポリウレタン弾性繊維の内部に含有される界面活性剤の含有量を、上述の望ましい界面活性剤の含有量に容易に制御することが可能になる。リサイクルポリウレタン弾性繊維の界面活性剤の含有量としてより好ましくは0.03質量%以上0.25質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以上0.2質量%以下の範囲である。
【0032】
含有される界面活性剤としては、より具体的には、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。本発明に用いる非イオン系界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルモノグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これらのうち、いわゆる界面活性剤の親水部(Hydrophil)はエーテル型が好ましく、例えば、エチレンオキシド重合体、プロピレンオキシド重合体、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体のうち少なくとも1種であることが好ましい。ノニオン系界面活性剤としてエチレンオキシド重合体の末端変性誘導体、プロピレンオキシド重合体の末端変性誘導体、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の末端変性誘導体のうちの少なくとも1種を含有することで、紡糸性を高めつつ、例えば抗菌性を良好なものとすることができる。いわゆる界面活性剤の疎水部(Hydrophob)は前述の末端変性構造のことであるが、アルキル基、フェニル基、スチレン化フェニル基が好ましく、ノニオン系界面活性剤として、具体的には、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンエチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンプロピルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等が挙げられる。より好ましいのはポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルであり、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリススチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンモノスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2,4,6‐トリス(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2,4‐ビス(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐2‐モノ(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレン‐4‐モノ(α,α‐ジメチルベンジル)フェニルエーテル等が挙げられる。最も好ましいのは、これらのスチレン基の付加モル数が分布を持ち、これらの混合物を用いる場合である。
【0033】
本発明において、カチオン系界面活性剤である4級アンモニウム塩を併用する場合には、アンモニウムイオン中のアルキル基の鎖長により抗菌力に差があり、抗菌力の強いものが望ましいが、ポリウレタン弾性糸の製造上にかかる受熱による熱分解抑制の観点からアルキル基等の鎖種、鎖長が大きく、すなわち炭素数の大きいアルキル基等を選ぶことが好ましい。そして、古着などからのリサイクルに対して、衛生面からも抗菌剤を含有することが好ましい。この観点から特に好ましいアンモニウムイオンは、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、オレイルトリメチルアンモニウムイオンなどである。これらは通常、塩化物、臭化物、ヨウ化物などの無機塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩等の有機酸塩により供給され、中でも、変色や耐熱性等の安定性の観点からスルホン酸塩とカルボン酸塩が好ましい。
【0034】
上記構造を有する塩の具体例としては、ジデシルジメチルアンモニウム-3-フッ化メチルスルホン酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムペンタフルオロエタンスルホン酸塩、n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、及びベンジルジメチルヤシ油アルキルアンモニウムペンタフルオロエタンスルホン酸塩である。
【0035】
4級アンモニウム塩系抗菌剤は、抗菌性を発現し、変色や伸縮特性のバランスを保つという観点から、ポリウレタン弾性糸全質量に対して0.1質量%以上5質量%以下の範囲で含有することが好ましい。
【0036】
本発明のポリウレタン弾性繊維においては、酸化防止剤を含有する場合には、0.002質量%以上5.0質量%以下含有していることが好ましい。酸化防止剤の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい酸化防止剤はヒンダードフェノール化合物であり、一般に抗酸化防止剤として知られているフェノール化合物が挙げられる。例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-トルエン、n-オクタデシル-β-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6’-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カルシウム(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル-モノエチル-フォスフェート)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トコフェロール、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジーt-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2’-オキサミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、エチレン-1,2-ビス(3,3-ビス[3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]ブチレート)、エチレン-1,2-ビス(3-[3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]ブチレート)、1,1-ビス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3’-t-ブチル-4’-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、さらには、ポリウレタン弾性糸用の抗酸化防止剤として知られている高分子量のヒンダードフェノール化合物も好適に用いられる。
【0037】
かかる高分子量のヒンダードフェノール化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼンとクレゾールとの付加重合体、ジシクロペンタジエンとクレゾールとの付加重合体イソブチレン付加物、クロロメチルスチレンと、クレゾール、エチルフェノール、t-ブチルフェノールなどの化合物との重合体が使用される。ここで、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレンは、p-でもm-でもよい。また、クレゾール、エチルフェノール、t-ブチルフェノールは、o-、m-、p-のいずれでもよい。
【0038】
なかでも、ポリウレタン糸の原料紡糸液の粘度を安定化し、紡糸中の揮発減量を抑制し、良好な紡糸性を得る観点から、分子量300以上の化合物であることが好ましく、さらには、高い紡糸速度、染色時における耐熱性、不飽和脂肪酸への耐性、重金属への耐性を効率よく発揮するためには、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレン-1,2-ビス(3,3-ビス[3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]ブチレート)、ジビニルベンゼンとp-クレゾールとの付加物であって、6~12の繰り返し数を持つ重合体のいずれかまたはそれらを併用して用いることが好ましい。なかでも1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンが特に好ましい。また、(a)化合物および(c)化合物にトリアジン化合物を選択した場合には染色時における耐熱性において特に高い相乗効果を得ることができる。なかでも、(a)化合物が1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンであり、かつ、(c)化合物が2,4-ジ(2′,4′-ジメチルフエニル)-6-(2″-ヒドロキシ-4″-アルコキシフエニル)-1,3,5-トリアジンであることが特に好ましい。
【0039】
更に、本発明のポリウレタン弾性糸にはリサイクルによる特性低下抑制の観点、特に破断強伸度抑制、変色抑制の観点で片ヒンダードフェノール化合物を含有していることが好ましい。片ヒンダードフェノール化合物としては、片ヒンダードのヒドロキシフェニル基を少なくとも2つ含み、かつ、ビスエステル、アルキリデンから選択される骨格を有する化合物であることが好ましい。ここで、ヒドロキシフェニル基における水酸基に隣接する環位置に存在するアルキル基はターシャリーブチル基であることがより望ましく、水酸基の当量が600以下であることが更に望ましい。
【0040】
さらに、本発明におけるフェノール化合物として、片ヒンダードフェノール化合物も好ましい。片ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、片ヒンダードのヒドロキシフェニル基がビスエステル骨格に共有結合した構造のエチレン-1,2-ビス(3,3-ビス[3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]ブチレート)(下記の化学式1)が好ましい。
【0041】
【化1】
【0042】
前記した片ヒンダードフェノール化合物を含有させることにより、リサイクルによる特性低下抑制効果を高めることができる。そして、このタイプのヒンダードフェノール化合物は下着など高頻度に洗濯および漂白が実施される場合には、特異的にポリウレタン弾性繊維を構成するポリウレタンの分子量低下抑制に働き、有効である。この効果を十分なものとし、かつ、繊維の物理的特性に悪影響を与えない観点から、片ヒンダードフェノール化合物はポリウレタン弾性糸に対し0.15~4質量%含有されるのが好ましく、0.5~3.5質量%含有されるのがより好ましく、破断強伸度、複合耐久性、耐黄変色、場合により耐光性が確保される。より好ましい酸化防止剤の含有量は0.2質量%以上3.0質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0043】
また、原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の酸化防止剤の含有量としては、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲が好ましい。リサイクルポリウレタン弾性繊維の酸化防止剤の含有量がこの範囲内にあると、最終的に製造されるポリウレタン弾性繊維の内部に含有される酸化防止剤の含有量を、上述の望ましい酸化防止剤の含有量に容易に制御することが可能になる。リサイクルポリウレタン弾性繊維の酸化防止剤の含有量としてより好ましくは0.2質量%以上3.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0044】
含有される酸化防止剤としては、より具体的には、分子量が1000以上のヒンダードフェノール化合物であり、ポリウレタン弾性糸用の抗酸化防止剤として知られている分子量1,000以上のヒンダードフェノール化合物が用いられることが好ましい。分子量が1,000以上と云う比較的高分子量である以外には特に制限はなく、かかる高分子量のヒンダードフェノール化合物の好ましい具体例としては、ジビニルベンゼンとクレゾールとの付加重合体、ジシクロペンタジエンとクレゾールとの付加重合体イソブチレン付加物、クロロメチルスチレンと、クレゾール、エチルフェノール、t-ブチルフェノールなどの化合物との重合体が使用される。ここで、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレンは、p-でもm-でもよい。また、クレゾール、エチルフェノール、t-ブチルフェノールは、o-、m-、p-のいずれでもよい。
【0045】
なかでも、ポリウレタン糸の原料紡糸液の粘度を安定化し、良好な紡糸性を得る観点から、クレゾールから誘導される重合体のヒンダードフェノール化合物であることが好ましい。さらには、高い紡糸速度、染色時における耐熱性、不飽和脂肪酸への耐性、重金属への耐性を効率よく発揮するためには、その高分子量ヒンダードフェノール化合物をある程度多く含むことが好ましいが、ポリウレタン糸としてより良好な基本物性を得る観点からすると多過ぎないことが好ましい。
【0046】
本発明のポリウレタン弾性繊維においては、上記のような酸化防止剤の分解物についても、その含有量が1.0質量%以下に規制されていることが好ましい。酸化防止剤の分解物の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい破断強伸度、耐変色性、耐久性が確保される。好ましい酸化防止剤の分解物の含有量は1.0質量%以下の範囲であり、より好ましくは0.5質量%以下の範囲である。
【0047】
本発明のポリウレタン弾性繊維においては、三級アミン化合物を含有する場合には、0.2質量%以上5.0質量%以下含有していることが好ましい。三級アミン化合物の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、紡糸性、染色性、耐久性、耐黄変色性が向上する。
【0048】
本発明で用いる三級アミン化合物としては、構造中にアミノ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、ポリウレタン弾性糸の耐塩素劣化性および黄変性の観点から1級から3級アミノ基のうち、3級アミノ基のみを分子中に有するものが特に好ましい。
【0049】
三級アミン化合物は数平均分子量が2,000未満であると、ポリウレタン弾性糸の編成時に、ガイドや編み針との擦過により脱落や、染色等の浴中での加工時に流出により、撥水加工性が悪化するため数平均分子量が2,000以上である必要がある。ポリウレタン紡糸原液への溶解性を鑑みると、数平均分子量の範囲としては2,000~10,000の範囲のものが好ましい。より好ましくは2,000~4,000の範囲である。
【0050】
前記した三級アミン化合物を含有させることにより、ポリウレタン弾性糸のリサイクル性能、特に黄変防止性能を高めることができる。この効果を十分なものとし、かつ、繊維の物理的特性に悪影響を与えない観点から、三級アミン化合物は繊維質量に対して、0.2質量%以上、5.0質量%以下含有されるのが好ましく、0.5質量%以上、4.0質量%以下含有させるのがより好ましい。より好ましい三級アミン化合物の含有量は0.5質量%以上3.0質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0051】
また、原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の三級アミン化合物の含有量としては、0.002質量%以上5.0質量%以下の範囲が好ましい。リサイクルポリウレタン弾性繊維の三級アミン化合物の含有量がこの範囲内にあると、最終的に製造されるポリウレタン弾性繊維の内部に含有される三級アミン化合物の含有量を、上述の望ましい三級アミン化合物の含有量に容易に制御することが可能になる。リサイクルポリウレタン弾性繊維の三級アミン化合物の含有量としてより好ましくは0.002質量%以上3.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.002質量%以上2.0質量%以下の範囲である。
【0052】
含有される三級アミン化合物としては、より具体的には、t-ブチルジエタノールアミンとメチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネ-ト)の反応による、数平均分子量2000以上の線状の高分子化合物、ポリエチレンイミンや分子骨格中に、第一級アミノ基と、第二級アミノ基と、第三級アミノ基とを含む分岐構造を有している高分子量化合物等が挙げられる。
【0053】
本発明のポリウレタン弾性繊維においては、上記のような三級アミン化合物の分解物についても、その含有量が1.0質量%以下に規制されていることが好ましい。三級アミン化合物の分解物の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい巻糸体形状、複合耐久性、耐黄変色が確保される。より好ましい三級アミン化合物の分解物の含有量は1.0質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.5質量%以下の範囲である。
【0054】
また、本発明のポリウレタン弾性繊維においては、架橋構造調節剤を含有する場合には、0.002質量%以上2.0質量%以下含有していることが好ましい。架橋構造調節剤の含有量がこの範囲内にあると、実用上好ましいポリウレタン弾性繊維の特性、特に好ましい破断強伸度、永久歪み率、耐黄化性が確保される。より好ましい架橋構造調節剤の含有量は0.02質量%以上1.5質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下の範囲である。
【0055】
また、原料として回収使用されるリサイクルポリウレタン弾性繊維の架橋構造調節剤の含有量としても、0.002質量%以上2.0質量%以下の範囲が好ましい。リサイクルポリウレタン弾性繊維の架橋構造調節剤の含有量がこの範囲内にあると、最終的に製造されるポリウレタン弾性繊維の内部に含有される架橋構造調節剤の含有量を、上述の望ましい架橋構造調節剤の含有量に容易に制御することが可能になる。リサイクルポリウレタン弾性繊維の架橋構造調節剤の含有量としてより好ましくは0.02質量%以上1.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下の範囲である。
【0056】
含有される架橋構造調節剤としては、モノアミンおよび/またはジアミンが挙げられる。より具体的には、モノアミンとしてジメチルアミン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン等、ジアミンとしてエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,3-シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミンが挙げられる。特に好ましいのは、モノアミンとジアミンの混合使用である。
【0057】
リサイクルポリウレタン弾性繊維はリサイクルを繰り返すことによって、蓄積する金属石鹸、酸化防止剤、三級アミン化合物、これらの分解物が少ないことが好ましい。特に、好んで用いられる数平均分子量2,000~10,000の範囲の三級アミン化合物やその分解物、好んで用いられる分子量1,000以上の酸化防止剤やその分解物がリサイクルを繰り返すことによって、蓄積し、特性低下、とりわけ、破断強伸度低下を起こす。
【0058】
典型的な例は製造直後の何らかの不具合による工業製品としての規格外の繊維、すなわち屑糸を高濃度で配合するリサイクルでは、これを繰り返す場合、破断強伸度低下が顕著である。この様な特性低下を回避するには、前述のように分子量の高い三級アミン化合物、その分解物、分子量の高い酸化防止剤やその分解物の含有量の低いポリウレタンソースを配合し、含有添加物濃度を低減することが有効である。その指標は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に基づく数平均分子量が20,000以上120,000以下、かつ、GPCに基づく分子量が30,000以下の領域の検出強度カーブにピークまたはショルダーがないポリウレタンを配合することが好ましい。ポリウレタン弾性繊維の破断強伸度を鑑みると、数平均分子量の範囲としては30,000以上100,000以下の範囲のものが好ましい。より好ましくは40,000以上80,000以下の範囲である。なお、検出強度カーブとは微分分子量分布曲線(横軸は分子量、縦軸は濃度分率を分子量の対数値で微分した値)、ショルダーとはショルダーピークのことである。
【0059】
なお、本発明においてリサイクルポリウレタン弾性繊維を原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維としての分子量は、数平均分子量2,000~10,000の範囲の三級アミン化合物や好んで用いられる分子量1,000以上の酸化防止剤を配合する場合には、数平均分子量として10,000以上50,000以下の範囲となっても好ましい。なお、分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算する。
【0060】
更には、リサイクルポリウレタン弾性繊維の赤外スペクトル(IR)に基づくウレタン結合のカルボニル伸縮振動の2つについて、その吸光度であるAνC=O 1730cm-1とAνC=O 1710cm-1について、AνC=O 1730cm-1に対するAνC=O 1710cm-1比率、すなわち、AνC=O 1730 cm -1/AνC=O 1710 cm -1が1.05以上1.50以下であるポリウレタンを配合することがより好ましい。
【0061】
このようなリサイクルポリウレタン原料ソースはその用途が洗濯を高頻度で行う衣料製品で達成される場合に発生し、より好ましい。市中から回収されるアンダーウエア、すなわち下着類の古着を用いることで多くの場合、達成することができる。その原因はアニオン性界面活性剤で洗濯を繰り返すことにあり、リサイクルポリウレタン弾性繊維原料とすることに好適である。
【実施例
【0062】
(実施例1~21、比較例1~3)
以下に、表1~4に示した実施例1~21、比較例1~3について、リサイクルポリウレタン弾性繊維および金属石鹸等を添加した弾性繊維の製造と評価について説明する。
【0063】
<乾式紡糸ポリウレタン系弾性繊維の製造>
比較例1では、まず、分子量2,000のテトラメチレンエーテルグリコール、ビス-(p-イソシアネートフェニル)-メタンおよびエチレンジアミンからなるポリウレタンのN、N‘-ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略する。)溶液(35質量%)を重合しポリマ溶液PUU1とした。
【0064】
次に、酸化防止剤として、t-ブチルジエタノールアミンとメチレン-ビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)との反応によって生成せしめたポリウレタン(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2462)と、p-クレゾールとジビニルベンゼンの縮合重合体(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2390)との1対1(質量比)の混合物を用い、この混合物のDMAc溶液(35質量%)を調製し、添加剤溶液(B)とした。
【0065】
上記の溶液PUU1、添加剤溶液(B)、エチレンジアミン(C)をそれぞれ99質量%、1.0質量%、0.1質量%で均一に混合し、一旦、紡糸溶液(D)とした。
【0066】
こうして得られた紡糸原液を用いて、紡糸溶液中のDMAcおよび浮遊するエチレンジアミンを紡糸原液含有量の1/100以下になる様に乾燥窒素温度300℃以上にて乾式紡糸する。このとき、ゴデローラーと巻取機の速度比を1:1.20として、22dtex/3filのマルチフィラメントのポリウレタン弾性繊維を紡糸して、巻き取り前のオイリングローラーによって後述する処理剤(油剤)をローラー給油し、巻き取り速度が600m/分で、長さ58mmの円筒状紙管に、巻き幅38mmを与えるトラバースガイドを介して、サーフェイスドライブの巻取機を用いて巻き取り、500gの巻糸体として乾式紡糸ポリウレタン弾性繊維を得た。得られたポリウレタン弾性繊維は3本のフィラメントを合着させた合着糸であった。処理剤付与量が糸に対して所定量になるようにオイリングローラーの回転数を調整した。また、処理剤の付与量は、JIS-L1073(合成繊維フィラメント糸試験方法)に準拠して、抽出溶剤としてn-ヘキサンを用いて測定した。ここで使用した処理剤の組成は、25℃で1×10-52/sの粘度を有するポリジメチルシロキサン80質量部、25℃で1.2×10-52/sの粘度を有する鉱物油15質量部、平均粒子径0.5μmのジステアリン酸マグネシウム塩5質量部の混合物である。
【0067】
実施例1では、比較例1で得られた繊維を紙管から抜き取り、DMAcに溶解して、35質量%のDMAc溶液とし、これをリサイクル1回のポリウレタン弾性繊維種R1(ここでR1の数字表記部分はリサイクル回数を表す。)のDMAc溶液と称する。これを紡糸原液とし、比較例1と同じ方法で紡糸した。
【0068】
実施例2では、実施例1で得られた繊維を紙管から抜き取り、DMAcに溶解して、35質量%のDMAc溶液とし、これをリサイクルポリウレタン弾性繊維R2のDMAc溶液と称する。これを紡糸原液とし、比較例1と同じ方法で紡糸した。
【0069】
実施例3~6は表1の通り、リサイクル回数3~9回にて紡糸した。
【0070】
比較例2では、使用する処理剤(油剤)組成が、25℃で1×10-52/sの粘度を有するポリジメチルシロキサン80質量部、25℃で1.2×10-52/sの粘度を有する鉱物油20質量部、ジステアリン酸マグネシウム塩0質量部の混合物であること以外実施例1と同様の方法で紡糸した。
【0071】
なお、表1~表4において、含有率とは、紡糸原液中のポリマ固形分100質量部に対する値である。また、表3、4において、直前リサイクル回のリサイクルポリウレタン弾性繊維種RAとは、GPCに基づく数平均分子量が63,000、かつ、GPCに基づく分子量が30,000以下の領域の検出強度カーブにピークまたはショルダーがなく、IRに基づくAνC=O 1730 cm -1/AνC=O 1710 cm -1が1.35であり、洗濯が高頻度で行われた下着の古着から取り出した、原料となるリサイクルポリウレタン弾性繊維を指す。
【0072】
次に、上記で得た乾式紡糸ポリウレタン弾性繊維(以下、試料糸)を下記の評価に供した。
【0073】
<巻糸体形状>
幅57.5mm、内径73.5mm、肉厚6.1mmの紙管を使用し、巻取り速度(巻糸体の周速度)500m/min、接圧10kgで、糸重量500gの糸を巻上げた。油剤付着量は5.0%であった。巻糸体を幅方向に見る場合、紙管幅57.5mmに対して巻糸が存在しない両サイドの寸法を任意に10カ所測定し、平均値をdとした。dは0.5mm以上6mm以下が好ましく、より好ましくは、1.5mm以上5mm以下である。dは梱包されたケークが、梱包資材と接触し、擦れて糸切れ等の破損が発生したり、ケークの変形が発生したりして、安定的に多量巻を生産することが困難となることを防止する観点から重要である。
d;1.5mm以上5mm以下;◎、
d;1.0mm以上1.5mm未満;〇、
d;0.5mm以上1.0mm未満;△、
d;0.5mm未満;×
【0074】
<解舒張力>
解舒張力を図1に示した装置によって測定した。円筒状紙管2に巻かれた試料糸の巻糸体1を図1のように固定し、そこから試料糸3を、45.7m/分の一定速度で巻糸体1の側面から解舒する。その解舒された試料糸3を、ガイド4、セラミック製スロット・ガイド5を通過させ、張力計ローラー6で90度に屈曲した軌跡を描かせ、ローラー12に45.7m/分にてドライブし、90度に屈曲した軌跡を描かせ、サッカーガン13に吸引させた。フリーの張力計ローラー6は電気的な歪みゲージ7に接続されており、その電気信号は導線8を通じ、積分器9で平均化処理され、導線10を通じ記録器11にそのデータが蓄積された。このテストを4分間行い、糸長183mでの平均解舒張力を計測した。
【0075】
計測は温度25℃、湿度60%RHにて実施した。計測する巻糸体の位置は巻糸体表層、中央層、最内層とした。具体的に巻糸体表層とは、巻糸体表面から約5gの糸が除去された層であった。巻糸体表面から約5gの糸を除去するのは、当該層では巻糸体表面の巻き上げのパターンが故意に変えられている場合があるからである。最内層とは、巻糸体に巻糸が約5g残された層であり、中央層とは、巻糸体表層と最内層との中間の層である。解舒張力を測定する巻糸体としては、3ヶ月以上、約20℃にて保管したものを使用した。かかる解舒張力を下記の基準で評価した。
◎:0.15cN未満
○:0.15cN以上0.25cN未満
△:0.25cN以上0.50cN未満
×:0.50cN以上
【0076】
<破断伸度、破断強度、永久歪み率、応力緩和率>
破断伸度、破断強度、永久歪み率、応力緩和率は、ポリウレタン弾性糸を、インストロン5564型引張試験機を用いて引張テストすることにより測定した。
試長5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返した。このとき、300%伸長時の応力を(G1)とした。次に試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ応力が0になった際の試料の長さを(L2)とした。この300%伸張、保持及び回復の操作を繰り返し、6回目の伸張において試料が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。以下、上記特性は下記式により算出される。
破断強度(cN)=(G3)
20以上:◎、17~20:〇、14~17:△、14以下:×
破断伸度(%)=100×((L3)-(L1))/(L1)
480以上:◎、460~480:〇、430~460:△、430以下:×
永久歪み率(%)=100×((L2)-(L1))/(L1)
20以下:◎、20~22:〇、22~24:△、24以上:×
応力緩和率(%)=100×((G1)-(G2))/(G1)
25以下:◎、25~28:〇、28~31:△、31以上:×
【0077】
<複合耐久性、耐光性、黄変色>
複合耐久性は、試料糸を100%伸長し、以下の(ア)(イ)(ウ)の暴露処理後の破断強度の保持率を求めた。
耐光性は試料糸を100%伸長し、以下の(ア)の暴露処理後の破断強度の保持率を求めた。
黄変色性は、試料糸を5×5cmの試料板に、試料板の色の影響が現れない程度に密接に最小の荷重で巻き取り、試料とした。試料及び常用標準白色面(JIS Z 8722の4.3.4)の前面を均質平たんで透明な約1mmのガラス板で密着させて覆った。b値の測定は、JIS L 1013のC法(ハンターの方法)に準じ、ハンター形色差計を用い、下記式に基づき算出した。測定回数は、5回とし、その平均値を採用した。
b=7.0(Y-0.847Z)/Y1/2
(但し、X、Y、ZはJIS Z 8701により算出した)
黄変色性は、試料を(ア)(イ)の暴露処理後の黄変度によって評価した。各暴露処理の際、黄変度(以下Δbと略記)は下記のようにして算出した。
Δb=暴露処理後のb値-暴露処理前のb値
【0078】
各暴露処理は下記のとおり実施した。
(ア)紫外線(UV)暴露処理
スガ試験機(株)社製のカーボンアーク型ウェザーメーターを用い、63℃、60%RHの温湿度で試料を25時間暴露処理した。
(イ)窒素酸化物(NOx)暴露処理
試料スタンドが回転する密閉容器(スコットテスター)を用い、NO2ガス10ppm、40℃、60%RHの温湿度で試料を20時間暴露処理した。
(ウ)塩素漂白剤(Cl2)暴露処理
恒温槽中の花王(株)社製「花王ハイター」500ppm水溶液に試料を40℃、30分間暴露後、10分水洗というサイクルを8回繰り返した。
【0079】
判定基準は以下の通りである。
◎ 〇 △ ×
複合耐久性 60%以上 40~60% 20~40% 20%以下
耐光性 80%以上 60~80% 40~60% 40%以下
黄変色 3以下 3~6 6~10 10以上
【0080】
GPCによる分子量測定は次の条件で実施した。図2に、実施例21におけるGPCによる測定例を示す。
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX KF-806M2本
溶媒:N,N-ジメチルアセトアミド 1ml/min
温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI検出器)
【0081】
IRスペクトルの測定は日本分光(株)製FT/IR7300赤外分光装置を用いて、KBr錠剤法で測定した。グラフである。図3に、実施例21におけるIRスペクトルの測定例を示す。
【0082】
<金属石鹸であるステアリン酸マグネシウムの定量分析>
糸を検体として、誘導結合プラズマ分析(ICP-AES)によりMg濃度を定量し、かかるMg濃度にMgに対するステアリン酸マグネシウムの分子量比率24.33を乗ずる。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【符号の説明】
【0087】
1: 巻糸体
2: 円筒状紙管
3: 解舒され走行している弾性繊維(試料糸)
4: ガイド
5: セラミック製スロット・ガイド
6: 張力計ローラー
7: 電気的な歪みゲージ
8: 導線
9: 積分器
10:導線
11:記録器
12:ローラー
13:サッカーガン
【要約】
【課題】リサイクルによるポリウレタンを含有するポリウレタン弾性繊維において、リサイクルに伴う特有の特性低下の抑制を可能としたポリウレタン弾性繊維を提供する。
【解決手段】リサイクルポリウレタン弾性繊維を少なくとも原料の一部として用いたポリウレタン弾性繊維であって、金属石鹸の含有量が0.003質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。
【選択図】なし
図1
図2
図3