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<図1>
  • 特許-排水桝ユニット 図1
  • 特許-排水桝ユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】排水桝ユニット
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
E03F5/10 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018123536
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020002649
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596156129
【氏名又は名称】株式会社ミツマル
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】仁部 数典
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】康村 久雄
(72)【発明者】
【氏名】境 守
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-030270(JP,A)
【文献】特開2000-027280(JP,A)
【文献】特開2000-045372(JP,A)
【文献】特開平11-324085(JP,A)
【文献】実開平03-032677(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0205579(US,A1)
【文献】特開平11-222914(JP,A)
【文献】実開平06-034087(JP,U)
【文献】実開平02-097482(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂材料によって形成され、少なくとも一部が地中に埋設される排水桝
樹脂材料によって形成され、前記排水桝の上に設けられる高さ延長部材と、を備え、
前記排水桝は、
地中に埋設された状態で上下方向に延出し、管状に構成される第1管状部と、
前記第1管状部の上端に設けられ、上方から前記高さ延長部材が係合可能な第1係合部と、
前記第1管状部と前記第1係合部とを連結する複数の第1補強リブと、を備え、
前記高さ延長部材は、
上下方向に延出し、管状に構成される第2管状部と、
前記第2管状部の上端に設けられ、上方から排水桝の蓋が係合可能な第2係合部と
前記第2管状部と前記第2係合部とを連結する複数の第2補強リブと、を備え、
前記第1管状部は、径方向において、前記高さ延長部材のうち前記第1係合部に係合した部分よりも内側の位置に設けられ、
前記第2管状部は、径方向において、前記蓋のうち前記第2係合部に係合した部分の直下に対応する位置に設けられ、
前記第2補強リブの数は、前記第1補強リブの数よりも少ない ことを特徴とする排水桝ユニット
【請求項2】
前記排水桝は、繊維を含有する樹脂材料によって形成され、
前記第1係合部は、
上方に延出する第1外周壁部と、
前記第1外周壁部よりも内側に設けられ、上方に延出する第1内周壁部と、
前記第1外周壁部と前記第1内周壁部のそれぞれの下部を連結する第1底面部と、を有し、
前記第1外周壁部と前記第1内周壁部との間に前記高さ延長部材が係合し、
前記第1補強リブは、前記第1底面部と前記第1管状部の外周面とを連結しており、
前記第2係合部は、
上方に延出する第2外周壁部と、
前記第2外周壁部よりも内側に設けられ、上方に延出する第2内周壁部と、
前記第2外周壁部と前記第2内周壁部とのそれぞれの下部を連結する第2底面部と、を有し、
前記第2外周壁部と前記第2内周壁部との間に前記蓋が係合可能であり、
前記第2補強リブは、前記第2底面部と、前記第2管状部の外側面とを連結し、
前記第2管状部の下端部が、前記第1外周壁部と前記第1内周壁部との間に入り込んだ状態で、前記第1底面部により支持されており、
前記第1管状部は、径方向において前記第1内周壁部の直下に設けられており、
前記第2管状部は、径方向において前記第2底面部の直下に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排水桝ユニット。
【請求項3】
前記繊維は、ガラス繊維又は炭素繊維であり、
前記樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載の排水桝ユニット
【請求項4】
複数の前記第1補強リブは、所定の間隔で形成され、
前記第1補強リブの数は、10より多いことを特徴とする請求項2又は3に記載の排水桝ユニット
【請求項5】
前記第1補強リブの数は、60以上であることを特徴とする請求項に記載の排水桝ユニット
【請求項6】
前記第1補強リブは、前記第1底面部から前記第1管状部に向けて傾斜した略三角形状に構成されることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の排水桝ユニット
【請求項7】
前記第2管状部は、周方向に破断可能な1以上の破断部を有することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の排水桝ユニット。
【請求項8】
複数の前記第2補強リブは、所定の間隔で形成され、
前記第2補強リブの数は、30以上であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の排水桝ユニット。
【請求項9】
前記第2補強リブは、前記第2底面部から前記第2管状部に向けて傾斜した略三角形状に構成されることを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の排水桝ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水桝及び排水桝ユニットに係り、特に、樹脂材料を含有して成形される排水桝及び排水桝ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等を排水溝に流すための排水枡は、一般に排水溝の途中に接続しながら土中に埋設される。例えば、特許文献1には、こうした排水枡を、樹脂材料を用いて成形したものについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-104328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排水桝には、上方から大きい荷重が加えられることがあるため、排水桝の強度を高めることが求められる。特に、排水桝において、蓋や管状部材等の他部材を支持する上端部には大きい荷重が加えられるため、亀裂や割れが発生しやすい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水桝の上端部における亀裂や割れの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明に係る排水桝ユニットによれば、脂材料によって形成され、少なくとも一部が地中に埋設される排水桝樹脂材料によって形成され、前記排水桝の上に設けられる高さ延長部材と、を備え、前記排水桝は、地中に埋設された状態で上下方向に延出し、管状に構成される第1管状部と、前記第1管状部の上端に設けられ、上方から前記高さ延長部材が係合可能な第1係合部と、前記第1管状部と前記第1係合部とを連結する複数の第1補強リブと、を備え、前記高さ延長部材は、上下方向に延出し、管状に構成される第2管状部と、前記第2管状部の上端に設けられ、上方から排水桝の蓋が係合可能な第2係合部と、前記第2管状部と前記第2係合部とを連結する複数の第2補強リブと、を備え、前記第1管状部は、径方向において、前記高さ延長部材のうち前記第1係合部に係合した部分よりも内側の位置に設けられ、前記第2管状部は、径方向において、前記蓋のうち前記第2係合部に係合した部分の直下に対応する位置に設けられ、前記第2補強リブの数は、前記第1補強リブの数よりも少ないことにより解決される。
上記の排水桝ユニットによれば、排水桝を強度の高い材料により構成することで、排水桝の強度を向上できる。
また、排水桝の上に高さ延長部材を設けることで、排水桝ユニットの高さを調整することができる。
また高さ延長部材を排水桝と同様の強度の高い材料により構成することで、排水桝ユニットの全体としての強度を向上できる。
また、上記の排水桝ユニットによれば、高さ延長部材の第2係合部に加えられる荷重を、第2係合部に連結した複数の第2補強リブを通じて第2管状部に分散させることができる。これにより、排水桝ユニットの一部に荷重が集中することを抑制し、排水桝ユニットの亀裂、割れの発生を抑制できる。
【0007】
上記の排水桝ユニットにおいて、前記排水桝は、繊維を含有する樹脂材料によって形成され、前記第1係合部は、上方に延出する第1外周壁部と、前記第1外周壁部よりも内側に設けられ、上方に延出する第1内周壁部と、前記第1外周壁部と前記第1内周壁部のそれぞれの下部を連結する第1底面部と、を有し、前記第1外周壁部と前記第1内周壁部との間に前記高さ延長部材が係合し、前記第1補強リブは、前記第1底面部と前記第1管状部の外周面とを連結しており、前記第2係合部は、上方に延出する第2外周壁部と、前記第2外周壁部よりも内側に設けられ、上方に延出する第2内周壁部と、前記第2外周壁部と前記第2内周壁部とのそれぞれの下部を連結する第2底面部と、を有し、前記第2外周壁部と前記第2内周壁部との間に前記蓋が係合可能であり、前記第2補強リブは、前記第2底面部と、前記第2管状部の外側面とを連結し、前記第2管状部の下端部が、前記第1外周壁部と前記第1内周壁部との間に入り込んだ状態で、前記第1底面部により支持されており、前記第1管状部は、径方向において前記第1内周壁部の直下に設けられており、前記第2管状部は、径方向において前記第2底面部の直下に設けられているとよい
【0008】
上記の排水桝ユニットにおいて、前記繊維は、ガラス繊維又は炭素繊維であり、前記樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含むとよい。
こうすることで、排水桝の第1係合部に係る荷重を効果的に分散させることができる。これにより、排水桝の第1係合部の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
また上記の排水桝ユニットにおいて、複数の前記第1補強リブは、所定の間隔で形成され、前記第1補強リブの数は、10より多いとよい。
こうすることで、排水桝の第1係合部に係る荷重を効果的に分散させることができる。これにより、排水桝の第1係合部の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
【0009】
上記の排水桝において、前記第1補強リブの数は、60以上であるとよい。
こうすることで、排水桝の第1係合部に係る荷重をより効果的に分散させることができる。これにより、排水桝の第1係合部の亀裂、割れの発生をより効果的に抑制できる。
【0010】
上記の排水桝において、前記第1補強リブは、前記第1底面部から前記第1管状部に向けて傾斜した略三角形状に構成されるとよい。
こうすることで、排水桝の第1係合部に加えられた荷重を第1管状部に効率よく分散させることができる。
【0012】
上記の排水桝ユニットにおいて、前記第2管状部は、周方向に破断可能な1以上の破断部を有するとよい。
こうすることで、排水桝ユニットの高さを複数段階に調整することができる。
【0013】
上記の排水桝ユニットにおいて、複数の前記第2補強リブは、所定の間隔で形成され、前記第2補強リブの数は、30以上であるとよい。
こうすることで、高さ延長部材の第2係合部に係る荷重を効果的に分散させることができる。これにより、高さ延長部材の第2係合部の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
【0015】
上記の排水桝ユニットにおいて、前記第2補強リブは、前記第2底面部から前記第2管状部に向けて傾斜した略三角形状に構成されるとよい。
こうすることで、高さ延長部材の第2係合部に加えられた荷重を第2管状部に効率よく分散させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排水桝の上端部における亀裂や割れの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】排水桝本体の外観を示す図である。
図2】排水桝本体の構成を示す図である。
図3】排水桝本体の第1係合部の部分拡大図である。
図4】排水桝本体の上面図である。
図5】排水桝本体の下面図である。
図6】排水桝本体に蓋を係合した状態の断面図である。
図7】高さ延長部材の構成を示す図である。
図8】高さ延長部材の第2係合部の部分拡大図である。
図9】高さ延長部材の上面図である。
図10】高さ延長部材の下面図である。
図11】排水桝本体に高さ延長部材を係合した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について図1乃至図11を参照しながら説明する。ちなみに、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0019】
なお、以下では、本実施形態に係る排水桝本体10、及び排水桝本体10と高さ延長部材50からなる排水桝ユニット1として、住宅用の雨水集水枡を例に挙げて説明することとする。ただし、排水桝本体10及び排水桝ユニット1は、雨水集水枡以外にもインバート枡(汚水枡)、会所枡(トラップ枡など)、公共枡(公設枡)、泥溜枡、ドロップ枡の汚水枡等用途にも用いることが可能である。
【0020】
本実施形態に係る排水桝本体10及び高さ延長部材50は、繊維を含有する樹脂材料によって形成されたものである。より具体的に説明すると、排水桝本体10及び高さ延長部材50は、ガラス繊維を含有するポリ塩化ビニル系の合成樹脂材料によって形成されている。このようにガラス繊維を含有する樹脂材料によって成形された排水桝本体10及び高さ延長部材50については、比較的に大きな積載荷重が入力されたとしても延びるように変形するので割れ難く、また内部にクラックが入り難い構造となっている。
【0021】
なお、繊維については、ガラス繊維に限定されず、炭素繊維であってもよい。また、樹脂材料については、熱可塑性樹脂、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリカボネード(PC)、アクリルニトリル(AC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリカボネードアクリルブタジエンスチレン(PCABS)を利用してもよい。
【0022】
<排水桝本体10の構成>
以下においては、図1乃至図6を参照しながら、まず排水桝としての排水桝本体10の構成について説明する。
図1乃至図6に示されるように、排水桝本体10は底面を有する管状体となっている。具体的には、排水桝本体10は、主要な構成として、第1管状部20、第1係合部30及び第1補強リブ40を備える。
【0023】
第1管状部20は、地中に埋設された状態で上下方向に延出し、管状に構成される。
上記の「上下方向」とは、鉛直方向のことである。また、上記の「管状」とは、外側が環状に構成されるとともに、その内側に空洞がある構造をいう。
そして、本実施形態においては、第1管状部20は、円管状に構成された円筒部20Aと、円筒部20Aの下端に設けられた底部22を有する。
なお、本実施形態では、第1管状部20を円管状に構成した例について説明するが、第1管状部20は円管状に限られず、角パイプ等のその他の形状としてもよい。
【0024】
円筒部20Aは、上端から下端に向かって径が小さくなっている。すなわち、円筒部20Aの外周面23(外側面)及び内周面24(内側面)は、下端から上端に向かって僅かに外側に傾斜している。この傾斜角度は、一例としては2.95度とするがこれに限られない。
また、円筒部20Aの下端側、すなわち円筒部20Aと底部22との接続部分には、内周面24に、上下方向に延出するリブ25が形成されている。
図4に示されるように、リブ25は、第1管状部20の内周面24に複数(本例では4つ)設けられる。もちろんリブ25の数は、4つに限られるものではなく、1~3、又は5以上としてもよい。
このように、リブ25を円筒部20Aと底部22との接続部分に設けることにより、第1管状部20の底部22付近の強度を向上させることができる。
【0025】
底部22は、円盤形状をなし、底部22の径は、第1管状部20において最小となっている。換言すれば、底部22の径は、第1管状部20において底部22よりも上の部分の径に比べて小さくなっている。
また、図5に示されるように、底部22の下面側には、底部22の中心から放射状に複数の放射状リブ22Aが形成されている。これにより、底部22の強度が向上されている。
【0026】
また、図2に示されるように、第1管状部20の上端21には、上方から他部材が係合可能な第1係合部30が設けられている。この第1係合部30は、他部材を下方から支持する部分となる。換言すれば、第1係合部30は、上方からの荷重を受ける部分となる。
ここで、上記の「他部材」とは、例えば図6に示される排水桝の蓋3や、図11に示される高さ延長部材50等である。
【0027】
図3に示されるように、第1係合部30は、主要な構成として、第1外周壁部31、第1内周壁部32、第1底面部33を有する。
【0028】
第1外周壁部31は、第1係合部30における最外周部分をなし、上方に延出する環状の壁部である。なお、図4に示されるように、第1外周壁部31は、排水桝本体10における最外周部分をなしている。
また、図2図3に示されるように、第1外周壁部31の上端31Aは、排水桝本体10における最上部に位置する。
【0029】
第1内周壁部32は、第1外周壁部31よりも内側に設けられ、上方に延出する環状の壁部である。なお、第1内周壁部32は、第1係合部30における最内周部分をなしている。
第1内周壁部32の上端32Aは、第1外周壁部31の上端31Aよりも下方に位置している。
一例として、第1外周壁部31の上下方向の長さを20mmとすると、第1内周壁部32の上下方向の長さは10mmとするが、寸法はこれに限られない。
【0030】
また、図3に示されるように、第1内周壁部32は、第1管状部20と連続するように形成されている。具体的には、第1管状部20は、径方向において、第1内周壁部32の直下に設けられている。
【0031】
第1底面部33は、第1外周壁部31と第1内周壁部32のそれぞれの下部を連結する。
具体的には、第1底面部33は、第1外周壁部31の下部31Bと、第1内周壁部32の下部32Bとを連結する水平方向に延出する部分である。
そして、第1底面部33の上面33Aは、第1外周壁部31と第1内周壁部32との間に位置し、上面33Aにより他部材が支持される。
具体的には、図6に示されるように、排水桝の蓋3において下面側に突出する係合突起部3Aが、第1外周壁部31及び第1内周壁部32の間に入り込んだ状態で、第1底面部33により支持される。
ここで、蓋3の上面3Bと、第1外周壁部31の上端31Aとの上下方向の位置は略揃っており、これにより、排水桝本体10と、蓋3とが上面において連続するように構成されている。
【0032】
また、排水桝本体10には、第1管状部20と第1係合部30とを連結する第1補強リブ40が複数形成される。
具体的には、図3に示されるように、第1補強リブ40は、第1底面部33の下面33Bと、第1管状部20の外周面23とを連結する部材である。
より詳細には、第1補強リブ40は、第1底面部33の下面33Bから、第1管状部20の外周面23に向けて傾斜した斜辺を有する略三角形状に構成されている。
このように構成することで、第1底面部33に対して上方から加えられた荷重を、第1補強リブ40を通じて第1管状部20に分散させやすくなる。
【0033】
また、図1及び図2に示されるように、第1補強リブ40は、排水桝本体10の周方向に亘って所定の間隔で均等に設けられている。
例えば、第1補強リブ40の数は、10より多くする。すなわち、第1補強リブ40は、少なくとも円周角度36度ごとに1つ以上形成するとよい。
より好適には、第1補強リブ40は60以上形成する。すなわち、第1補強リブ40は、円周角度6度に1つ以上形成する。
こうすることで、第1係合部30に加えられる上からの荷重を、効果的に第1管状部20に分散させることができる。そのため、第1係合部30の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
【0034】
なお、排水桝本体10は、金型に、ガラス繊維を含有する合成樹脂材料を流し込むことによる射出成形法により一体的に成形可能である。
より詳しく説明すると、不図示の射出成形用金型においてガラス繊維含有の合成樹脂材料がスプルー、ランナー及びゲートを経由して金型により構成されるキャビティ内に充填される。ここで、キャビティは、排水桝本体10の外形形状と対応した空間となっている。そして、キャビティ内に充填した合成樹脂材料を冷却して取り出すことにより排水桝本体10が得られる。
【0035】
排水桝本体10の厚みに関しては、排水桝本体10の主要部(第1管状部20、第1係合部30、第1補強リブ40)の厚みは例えば5mm程度とする。これにより、排水桝本体10を薄肉に構成できる。なお、このように、排水桝本体10を薄肉に構成した場合においても、排水桝本体10の材料及び構造により、排水桝本体10の強度を十分に確保することができる。
【0036】
<高さ延長部材50の構成>
次に、図7乃至図11を参照しながら、排水桝本体10の高さを延長するための高さ延長部材50の構成について説明する。高さ延長部材50は、地中に埋設した排水桝本体10の上端と、地表とが離れている場合に、その間を埋めるために、排水桝本体10の上に取り付けられるものである。以下においては、排水桝本体10と高さ延長部材50を合わせた排水桝を、排水桝ユニット1と称する。
【0037】
図7乃至図11に示されるように、高さ延長部材50は底面を有さない管状体となっている。具体的には、高さ延長部材50は、主要な構成として、第2管状部60、第2係合部70及び第2補強リブ80を備える。
【0038】
第2管状部60は、地中に埋設された状態で上下方向に延出し、管状に構成される。
なお、本実施形態では、第2管状部60を円管状に構成した例について説明するが、第2管状部60は円管状に限られず、角パイプ等のその他の形状としてもよい。
【0039】
第2管状部60は、上端から下端に向かって略同径となっている。すなわち、第2管状部60は上下方向において略勾配なしに延出している。具体的には、第2管状部60の勾配は、0.5度程度とするがこれに限られない。
また、第2管状部60の下部には、周方向に破断可能な破断部65が形成されている。そして、破断部65は、第2管状部60の上下方向に所定の間隔で複数並んで形成されている。
この破断部65は、第2管状部60を切断しやすいように設けられる切込み部であり、破断部65において第2管状部60を切断することにより、高さ延長部材50の高さを変えることが可能となっている。
本例においては、破断部65を複数(8つ)設けており、高さ延長部材50の高さを9段階に調整することができる。もちろん、破断部65の数は8に限定されるものではなく、破断部65は任意の数に設定することが可能である。
そして、本例においては、破断部65を上下に等間隔に配置しているが、これに限られない。
【0040】
また、図7に示されるように、第2管状部60の上端部61には、上方から排水桝の蓋3が係合可能な第2係合部70が設けられている。この第2係合部70は、蓋3を下方から支持する部分である。換言すれば、第2係合部70は、上方からの荷重を受ける部分である。
【0041】
図8に示されるように、第2係合部70は、主要な構成として、第2外周壁部71、第2内周壁部72、及び第2底面部73を有する。
【0042】
第2外周壁部71は、第2係合部70における最外周部分をなし、上方に延出する環状の壁部である。なお、図9に示されるように、第2外周壁部71は、高さ延長部材50における最外周部分をなしている。
また、図7図8に示されるように、第2外周壁部71の上端71Aは、高さ延長部材50における最上部に位置する。
【0043】
第2内周壁部72は、第2外周壁部71よりも内側に設けられ、上方に延出する環状の壁部である。なお、第2内周壁部72は、高さ延長部材50における最内周部分をなしている。
第2内周壁部72の上端72Aは、第2外周壁部71の上端71Aよりも下方に位置している。
一例として、第2外周壁部71の上下方向の長さを20mmとすると、第2内周壁部72の上下方向の長さは10mmとするが、これに限られない。
【0044】
第2底面部73は、第2外周壁部71と第2内周壁部72のそれぞれの下部を連結する。
具体的には、第2底面部73は、第2外周壁部71の下部71Bと、第2内周壁部72の下部72Bとを連結する水平方向に延出する部分である。
そして、第2底面部73の上面73Aは、第2外周壁部71と第2内周壁部72との間に位置し、上面73Aにより蓋3が支持される。
具体的には、図11に示されるように、排水桝の蓋3において下面側に突出する係合突起部3Aが、第2外周壁部71及び第2内周壁部72の間に入り込んだ状態で、第2底面部73により支持される。
ここで、蓋3の上面3Bと、第2外周壁部71の上端71Aとの上下方向の位置は略揃っており、これにより、排水桝ユニット1(高さ延長部材50)と、蓋3とが上面において連続するように構成される。
【0045】
また、図8に示されるように、第2底面部73の直下に第2管状部60が設けられている。具体的には、第2管状部60は、第2底面部73の径方向の中央部に接続している。換言すれば、第2管状部60の外周面63と内周面64の中央位置と、第2底面部73の径方向の中央位置とが上下に重なるようになっている。このように構成することにより、第2底面部73に加えられる荷重が第2管状部60に真っ直ぐに伝わりやすくなる。
【0046】
そして、図11に示されるように、第2管状部60の下端部62は、排水桝本体10の第1係合部30と係合し、第1係合部30により下方から支持される。具体的には、第2管状部60の下端部62は、第1外周壁部31と第1内周壁部32の間に入り込んだ状態で、第1底面部33と当接して、第1底面部33により下方から支持される。
なお、第2管状部60において、上端部61から下端部62に向けて厚みを薄くすることとしてよい。このように、上端部61に比べて下端部62の厚みを薄くすることで、下端部62を、第1係合部30における第1外周壁部31と第1内周壁部32との間に差し込み易くなる。一例としては、上端部61の厚みを5mm、下端部62の厚みを3.5mmとするが、これに限られない。
【0047】
また、高さ延長部材50には、第2管状部60と第2係合部70とを連結する第2補強リブ80が複数形成される。
具体的には、図7図10に示されるように、第2補強リブ80は、第2底面部73の下面73Bと、第2管状部60の外周面63(外側面)とを連結する部材である。
より詳細には、第2補強リブ80は、第2底面部73の下面73Bから、第2管状部60の外周面63に向けて傾斜した斜辺を有する略三角形状に構成されている。
このように構成することで、第2底面部73に対して上方から加えられた荷重を、第2補強リブ80を通じて第2管状部60に分散させやすくなる。
【0048】
また、図7及び図10に示されるように、第2補強リブ80は、高さ延長部材50の周に亘って所定の間隔で均等に設けられている。
例えば、第2補強リブ80の数は、10より多くする。すなわち、第2補強リブ80は、少なくとも円周角度36度ごとに1つ以上形成するとよい。
より好適には、第2補強リブ80は30以上形成する。すなわち、第2補強リブ80は、円周角度12度に1つ以上形成する。
こうすることで、第2係合部70に加えられる上からの荷重を、効果的に第2管状部60に分散させることができる。そのため、第2係合部70の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
なお、第2補強リブ80の数は、第1補強リブ40よりも少なくすることが可能である。これは、高さ延長部材50においては、第2管状部60が第2底面部73の直下に配されており、第2底面部73への荷重が第2管状部60に伝わりやすくなっているためである。
【0049】
なお、高さ延長部材50は、金型に、ガラス繊維を含有する合成樹脂材料を流し込むことによる射出成形法により一体的に成型可能である。
より詳しく説明すると、不図示の射出成形用金型においてガラス繊維含有の合成樹脂材料がスプルー、ランナー及びゲートを経由して金型により構成されるキャビティ内に充填される。ここで、キャビティは、高さ延長部材50の外形形状と対応した空間となっている。そして、キャビティ内に充填した合成樹脂材料を冷却して取り出すことにより高さ延長部材50が得られる。
【0050】
また、高さ延長部材50の厚みに関しては、高さ延長部材50の主要部(第2管状部60、第2係合部70、第2補強リブ80)の厚みは例えば5mm程度とするがこれに限られない。また、第2管状部60は上端部61から下端部62に向けて厚みを薄くする。
なお、このように、高さ延長部材50を薄肉に構成した場合においても、高さ延長部材50の材料及び構造により、高さ延長部材50の強度を十分に確保することができる。
また、高さ延長部材50の高さ及び破断部65の形成位置は、図7乃至図11に示した例に限定されるものではない。
【0051】
<まとめ>
以上説明した排水桝としての排水桝本体10及び排水桝ユニット1の主な特徴は以下の通りである。
[1]本実施形態に係る排水桝本体10は、繊維を含有する樹脂材料によって形成され、少なくとも一部が地中に埋設される。排水桝本体10は、地中に埋設された状態で上下方向に延出し、管状に構成される第1管状部20と、第1管状部20の上端に設けられ、上方から他部材が係合可能な第1係合部30と、第1管状部20と第1係合部30とを連結する複数の第1補強リブ40と、を備える。第1係合部30は、上方に延出する第1外周壁部31と、第1外周壁部31よりも内側に設けられ、上方に延出する第1内周壁部32と、第1外周壁部31と第1内周壁部32のそれぞれの下部を連結する第1底面部33と、を有する。第1外周壁部31と第1内周壁部32との間に他部材が係合し、第1補強リブ40は、第1底面部33と第1管状部20の外周面とを連結する。
上記の排水桝本体10によれば、排水桝本体10を強度の高い材料により構成することで、排水桝本体10の強度を向上できる。
また、上記の排水桝本体10によれば、排水桝本体10と他部材が係合する第1係合部30に加えられる荷重を、複数の第1補強リブ40を通じて第1管状部20に分散させることができる。これにより、排水桝本体10の一部に荷重が集中することを抑制し、排水桝本体10の亀裂、割れの発生を抑制できる。
【0052】
[2]上記の排水桝本体10において、繊維は、ガラス繊維又は炭素繊維であり、樹脂材料は、熱可塑性樹脂を含む。
こうすることで、排水桝本体10を薄肉化しても強度を確保することが可能となる。
【0053】
[3]上記の排水桝本体10において、複数の第1補強リブ40は、所定の間隔で形成され、第1補強リブ40の数は、10より多い。
こうすることで、排水桝本体10の第1係合部30に係る荷重を効果的に分散させることができる。これにより、排水桝本体10の第1係合部30の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
【0054】
[4]上記の排水桝本体10において、第1補強リブ40の数は、60以上である。
こうすることで、排水桝本体10の第1係合部30に係る荷重をより効果的に分散させることができる。これにより、排水桝本体10の第1係合部30の亀裂、割れの発生をより効果的に抑制できる。
【0055】
[5]上記の排水桝本体10において、第1補強リブ40は、第1底面部33から第1管状部20に向けて傾斜した略三角形状に構成される。
こうすることで、排水桝本体10の第1係合部30に加えられた荷重を第1管状部20に効率よく分散させることができる。
【0056】
[6]本発明に係る排水桝ユニットは、排水桝本体10と、樹脂材料によって形成され、排水桝本体10の第1係合部30の上に設けられる高さ延長部材50と、を備える。高さ延長部材50は、上下方向に延出し、管状に構成される第2管状部60と、第2管状部60の上端に設けられ、上方から排水桝の蓋3が係合可能な第2係合部70と、第2管状部60と第2係合部70とを連結する複数の第2補強リブ80と、を備える。第2係合部70は、上方に延出する第2外周壁部71と、第2外周壁部71よりも内側に設けられ、上方に延出する第2内周壁部72と、第2外周壁部71と第2内周壁部72とのそれぞれの下部を連結する第2底面部73と、を有する。第2外周壁部71と第2内周壁部72との間に排水桝の蓋3が係合可能であり、第2補強リブ80は、第2底面部73と、第2管状部60の外側面とを連結する。第2管状部60の下端部62が、第1外周壁部31と第1内周壁部32との間に入り込んだ状態で、第1底面部33により支持される。
こうすることで、排水桝本体10の上に高さ延長部材50を設けることで、排水桝ユニット1の高さを調整することができる。
また高さ延長部材50を排水桝本体10と同様の強度の高い材料により構成することで、排水桝ユニットの全体としての強度を向上できる。
また、上記の排水桝ユニット1によれば、高さ延長部材50の第2係合部70に加えられる荷重を、第2係合部70に連結した複数の第2補強リブ80を通じて第2管状部60に分散させることができる。これにより、排水桝ユニット1の一部に荷重が集中することを抑制し、排水桝ユニット1の亀裂、割れの発生を抑制できる。
【0057】
[7]上記の排水桝ユニット1において、第2管状部60は、周方向に破断可能な1以上の破断部65を有する。
こうすることで、排水桝ユニット1の高さを複数段階に調整することができる。
【0058】
[8]上記の排水桝ユニット1において、複数の第2補強リブ80は、所定の間隔で形成され、第2補強リブの数は、30以上である。
こうすることで、高さ延長部材50の第2係合部70に係る荷重を効果的に分散させることができる。これにより、高さ延長部材50の第2係合部70の亀裂、割れの発生を効果的に抑制できる。
【0059】
[9]上記の排水桝ユニット1において、第1管状部20は、径方向において、第1内周壁部32の直下に設けられており、第2管状部60は、径方向において、第2底面部73の直下に設けられている。第2補強リブ80の数は、第1補強リブ40の数よりも少ない。
こうすることで、高さ延長部材50を排水桝本体10の上に安定的に設置可能となる。また、高さ延長部材50の強度を高めつつ、第2係合部70の数を抑えることでより高さ延長部材50の成形を容易とすることができる。
【0060】
[10]上記の排水桝ユニット1において、第2補強リブ80は、第2底面部73から第2管状部60に向けて傾斜した略三角形状に構成される。
こうすることで、高さ延長部材50の第2係合部70に加えられた荷重を第2管状部60に効率よく分散させることができる。
【0061】
<その他の実施形態>
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施形態では第1補強リブ40及び第2補強リブ80を三角形状に構成したが、矩形形状、扇型形状等に構成してもよい。
また、高さ延長部材50は、排水桝本体10の上に上下に複数重ねて配置してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 排水桝ユニット
3 蓋
3A 係合突起部
3B 上面
10 排水桝本体(排水桝)
20 第1管状部
20A 円筒部
21 上端
22 底部
22A 放射状リブ
23 外周面
24 内周面
25 リブ
30 第1係合部
31 第1外周壁部
31A 上端
31B 下部
32 第1内周壁部
32A 上端
32B 下部
33 第1底面部
33A 上面
33B 下面
40 第1補強リブ
50 高さ延長部材
60 第2管状部
61 上端部
62 下端部
63 外周面
64 内周面
65 破断部
70 第2係合部
71 第2外周壁部
71A 上端
71B 下部
72 第2内周壁部
72A 上端
72B 下部
73 第2底面部
73A 上面
73B 下面
80 第2補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11