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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】屋根用取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20221021BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20221021BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20221021BHJP
【FI】
E04D13/00 K ETD
E04D13/18
H02S20/23 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020146271
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022041202
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591042322
【氏名又は名称】ニイガタ製販株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 悦久
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1650144(JP,S)
【文献】特開2020-084559(JP,A)
【文献】特開2016-079795(JP,A)
【文献】特開2017-078309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根のハゼ部などの取付部に取付固定する屋根用取付金具であって、前記取付部に外側から挟持する挟持部を下部に備えた左右一対の対向挟持体と、この左右の対向挟持体間に架設状態に配設される締付ボルトとから成り、左右いずれか一方の前記対向挟持体に、他方の対向挟持体に向かって凸湾曲面状に突出し且つ左右の対向挟持体の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凸条部が設けられ、この凸条部が係合可能な凹湾曲面状で且つ左右の対向挟持体の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凹条部が他方の前記対向挟持体に設けられていて、前記締付ボルト若しくは締付ボルトに螺着されている締付ナットを締付けると、左右の前記対向挟持体が接近して前記凸条部が前記凹条部に係合する方向に移動し、凸条部が凹条部に係合後も締付ボルト若しくは締付ナットを締付けると、湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体が回動移動してこの他方の対向挟持体の前記挟持部が一方の対向挟持体の前記挟持部に接近して、この左右の挟持部が前記取付部を両外側から締付挟持して取付部に取付固定されるように構成されており、一方の前記対向挟持体は、前記凸条部の下方に、左右の対向挟持体の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、他方の前記対向挟持体の前記凹条部の下部を支承して前記締付ボルト若しくは前記締付ナットを締付けた際に凸条部を凹条部に係合案内すると共に、凹条部の下部に接することで一方の対向挟持体に対し他方の対向挟持体の揺動を規制するガイド片部が設けられているか、若しくは他方の前記対向挟持体は、前記凹条部の下方に、左右の対向挟持体の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、一方の前記対向挟持体の前記凸条部の下部を支承して前記締付ボルト若しくは前記締付ナットを締付けた際に凹条部に凸条部を係合案内すると共に、凸条部の下部に接することで一方の対向挟持体に対し他方の対向挟持体の揺動を規制するガイド片部が設けられ、このガイド片部は、前記凸条部の下方に他方の前記対向挟持体に向けて突設されているか、若しくは前記凹条部の下方に一方の前記対向挟持体に向けて突設されていると共に、前記締付ボルト若しくは締付ボルトに螺着されている締付ナットを緩めて、左右の前記対向挟持体の挟持部間の間隔をこの挟持部間に前記取付部を挿入可能な間隔まで広げた際に、前記凹条部若しくは前記凸条部の下方に配設されてこの凹条部若しくは凸条部の下部に接することができる突出長を有する形状に形成されており、一方の前記対向挟持体は、前記挟持部と前記凸条部とを有するアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成され、他方の前記対向挟持体は、前記挟持部と前記凹条部とを有するアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成され、一方の対向挟持体若しくは他方の対向挟持体が、前記ガイド片部を有する押出成形品で構成されていることを特徴とする屋根用取付金具。
【請求項2】
前記ガイド片部は、他方の前記対向挟持体の凹条部の下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の屋根用取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根や立平葺き屋根上に突設されたハゼ部などの取付部に締付挟持固定して、ソーラーパネルや雪止めなどの屋根上設置物を屋根上に設置するための屋根用取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋根上にソーラーパネルや融雪装置などの設置物を設置するための屋根用取付金具が実施されている。
【0003】
この種の屋根用取付金具は、取付けする屋根の形状によって構成が異なるが、折板屋根や立平葺き屋根のようにハゼ部を備えた屋根に対して使用する金具は、金具本体の上部に、屋根上設置物を固定するための固定ボルトが突設され、金具本体の下部に、ハゼ部に左右から挟持する一対の対向挟持部が設けられると共に、締付ボルトの締付により対向挟持部材が接近移動してハゼ部に挟持固定できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-29730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のような屋根用取付金具は、締付ボルトを緩め、左右の対向挟持部を作業者が両手で持って対向間隔を広げながらハゼ部の左右を挟むように屋根上にセットし、その後締付ボルトを締付けて対向挟持部でハゼ部に挟持固定しているが、本発明は、左右の対向挟持体(の挟持部)間を広げて屋根上のハゼ部に対して簡単にセットでき、セット時に対向挟持体が姿勢の是正を要するほど揺動してしまうことなく、締付ボルトの締付操作へとスムーズに移行できて屋根取付部への取付作業が容易に行われる製作容易で耐候性・耐久性にも優れた屋根用取付金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
屋根1のハゼ部2などの取付部2に取付固定する屋根用取付金具Aであって、前記取付部2に外側から挟持する挟持部4を下部に備えた左右一対の対向挟持体3と、この左右の対向挟持体3間に架設状態に配設される締付ボルト5とから成り、左右いずれか一方の前記対向挟持体3Aに、他方の対向挟持体3Bに向かって凸湾曲面状に突出し且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凸条部7が設けられ、この凸条部7が係合可能な凹湾曲面状で且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凹条部8が他方の前記対向挟持体3Bに設けられていて、前記締付ボルト5若しくは締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を締付けると、左右の前記対向挟持体3が接近して前記凸条部7が前記凹条部8に係合する方向に移動し、凸条部7が凹条部8に係合後も締付ボルト5若しくは締付ナット6を締付けると、湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体3Bが回動移動してこの他方の対向挟持体3Bの前記挟持部4が一方の対向挟持体3Aの前記挟持部4に接近して、この左右の挟持部4が前記取付部2を両外側から締付挟持して取付部2に取付固定されるように構成されており、一方の前記対向挟持体3Aは、前記凸条部7の下方に、左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、他方の前記対向挟持体3Bの前記凹条部8の下部を支承して前記締付ボルト5若しくは前記締付ナット6を締付けた際に凸条部7を凹条部8に係合案内すると共に、凹条部8の下部に接することで一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動を規制するガイド片部9が設けられているか、若しくは他方の前記対向挟持体3Bは、前記凹条部8の下方に、左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、一方の前記対向挟持体3Aの前記凸条部7の下部を支承して前記締付ボルト5若しくは前記締付ナット6を締付けた際に凹条部8に凸条部7を係合案内すると共に、凸条部7の下部に接することで一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動を規制するガイド片部9が設けられ、このガイド片部9は、前記凸条部7の下方に他方の前記対向挟持体3Bに向けて突設されているか、若しくは前記凹条部8の下方に一方の前記対向挟持体3Aに向けて突設されていると共に、前記締付ボルト5若しくは締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を緩めて、左右の前記対向挟持体3の挟持部4間の間隔をこの挟持部4間に前記取付部2を挿入可能な間隔まで広げた際に、前記凹条部8若しくは前記凸条部7の下方に配設されてこの凹条部8若しくは凸条部7の下部に接することができる突出長を有する形状に形成されており、一方の前記対向挟持体3Aは、前記挟持部4と前記凸条部7とを有するアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成され、他方の前記対向挟持体3Bは、前記挟持部4と前記凹条部8とを有するアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成され、一方の対向挟持体3A若しくは他方の対向挟持体3Bが、前記ガイド片部9を有する押出成形品で構成されていることを特徴とする屋根用取付金具に係るものである。
【0008】
また、前記ガイド片部9は、他方の前記対向挟持体3Bの凹条部8の下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の屋根用取付金具に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のように構成したから、左右の対向挟持体がガイド片部によって正しい対向姿勢に保たれることとなり、従って締付ボルト若しくはこの締付ボルトに螺着されている締付ナットを緩めることで左右一対の対向挟持体の下部の挟持部の対向間隔を広げ、この間隔を広げた挟持部間に屋根の取付部を挟むようにして屋根上に本屋根用取付金具を配置するが、この後に対向挟持体の姿勢の是正を要することなく、そのまま締付ボルト若しくは締付ナットの締付作業へとスムーズに移行でき、また、締付操作により左右の対向挟持体が接近して凸条部が凹条部に係合する方向に移動し、凸条部が凹条部に係合後も締付ボルト若しくは締付ナットを締付けることで、凸条部と凹条部との湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体が回動移動して左右の挟持部が接近し、この左右の挟持部が取付部を両外側から締付挟持して取付部に取付固定されるが、この際、前記ガイド片部により凸条部が凹条部に確実に係合案内されるので、この締付操作も一対の対向挟持体の姿勢是正は不要で容易に行うことができ、しかも、左右一対の対向挟持体がアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成されているので、耐・耐久性に優れると共に、前記挟持部と前後方向に長さ幅を有する前記凸条部とが設けられている対向挟持体も、前記挟持部と前後方向に長さ幅を有する前記凹条部とが設けられている対向挟持体も、前後方向に長さ幅を有する前記ガイド片部が設けられている対向挟持体も簡易に設計実現可能であるなど、極めて実用性に優れた屋根用取付金具となる。
【0010】
また、本発明においては、一方の前記対向挟持体の前記凸条部の下部を支承して前記締付ボルト若しくは前記締付ナットを締付けた際に確実に前記凹条部に凸条部を係合案内すると共に、凸条部の下部に接することで一方の対向挟持体に対し他方の対向挟持体の揺動を確実に規制するガイド片部を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の屋根用取付金具となる。
【0011】
また、請求項2記載の発明においては、一方の前記対向挟持体の前記凸条部の下部を支承して前記締付ボルト若しくは前記締付ナットを締付けた際に前記凹条部に凸条部を係合案内すると共に、凸条部の下部に接することで一方の対向挟持体に対し他方の対向挟持体の揺動を規制するガイド片部を備えた他方の対向挟持体を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の屋根用取付金具となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1を示す斜視図である。
図2】実施例1を示す正面図である。
図3】実施例1を、屋根の取付部(ハゼ部)に対してセットしようとする状態を示す説明正面図である。
図4図3に続いて、実施例1を屋根の取付部にセットした状態(ハゼ部を挟んで屋根上に載置した状態)を示す説明正面図である。
図5図4に続いて、締付ボルトに螺着されている締付ナットを締付け操作することにより左右の挟持部で取付部を両外側から締付挟持して実施例1を取付部に取付固定した状態を示す説明正面図である。
図6図5の説明斜視図である。
図7】実施例1の使用状態(図4図5に続いて、載置板部にソーラーパネルを載置し、押え金具でソーラーパネルを押え込み固定した状態)を示す説明側面図である。
図8】実施例2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0014】
締付ボルト5若しくはこの締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を緩めることで左右一対の対向挟持体3下部の挟持部4の対向間隔を広げ、挟持部4で屋根1のハゼ部2などの取付部2を挟むようにして屋根1上に本屋根用取付金具Aを配置するが、この際、一方の対向挟持体3Aの凸条部7の下方に設けられているガイド片部9が、他方の対向挟持体3Bの凹条部8の下部に接するか、若しくは他方の対向挟持体3Bの凹条部8の下方に設けられているガイド片部9が、一方の対向挟持体3Aの凸条部7の下部に接することで、一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動が規制される。
【0015】
即ち、左右一対の対向挟持体3は、一方の前記対向挟持体3Aに、他方の対向挟持体3Bに向かって凸湾曲面状に突出し且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凸条部7が設けられ、この凸条部7が係合可能な凹湾曲面状で且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凹条部8が他方の前記対向挟持体3Bに設けられていて、前記挟持部4の対向間隔を広げることで凸条部7と凹条部8とが係脱すると、一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bが揺動してしまってその後の作業に不都合が生じる可能性があるが、本発明では、たとえ凸条部7と凹条部8とが係脱した状況でもガイド片部9によって対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動が規制されて正しい対向姿勢が保たれるため、本屋根用取付金具Aを取付部2(屋根1)にセットした後は、一方の対向挟持体3Aに対して他方の対向挟持体の姿勢の是正を要することなく、そのまま締付ボルト5若しくはこの締付ボルト5に螺着されている締付ナット6の締付作業へとスムーズに移行できる。
【0016】
続いて、締付ボルト5若しくはこの締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を締付操作すると、左右の前記対向挟持体3が接近して前記凸条部7が前記凹条部8に係合する方向に移動するが、この際、前記ガイド片部9が、他方の前記対向挟持体3Bの前記凹条部8の下部を支承して凸条部7が凹条部8に確実に係合案内されるか、若しくは一方の前記対向挟持体3Aの前記凸条部7の下部を支承して凸条部7が凹条部8に確実に係合案内されるので、この締付操作も一対の対向挟持体3の姿勢是正は不要で容易に行うことができる。
【0017】
そして、凸条部7が凹条部8に係合後も締付ボルト5若しくは締付ナット6を締付けると、凸湾曲面状の凸条部7と凹湾曲面状の凹条部8との湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体3Bが回動移動してこの他方の対向挟持体3Bの前記挟持部4が一方の対向挟持体3Aの前記挟持部4に接近して、この左右の挟持部4が前記取付部2を両外側から締付挟持して取付部2に取付固定される。
【0018】
また、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成される本発明の左右一対の対向挟持体3は、鉄製のものと比べて高い耐候性・耐久性を発揮でき、前記挟持部4と前後方向に長さ幅を有する前記凸条部7とが設けられる構成の対向挟持体3Aも、前記挟持部4と前後方向に長さ幅を有する前記凹条部8とが設けられる構成の対向挟持体3Bも簡易に設計実現可能であると共に、前後方向に長さ幅を有する前記ガイド片部9を一方の対向挟持体3A若しくは他方の対向挟持体3Bも簡易に設計実現可能である。
【実施例1】
【0019】
本発明の具体的な実施例1について図1図7に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、立平葺き屋根1にソーラーパネル10を取付けるための屋根用取付金具Aに適用したもので、図1図2に示すように、立平葺き屋根1上に、そのハゼ部2を取付部2として取付固定可能な対向挟持体3(金具本体3)を備え、さらにこの対向挟持体3の上部には、ソーラーパネル10の外縁部を載置可能な載置板部11が設けられていると共に、この載置板部11に載置したソーラーパネル10を固定するための固定ボルト12が立設状態に設けられている。尚、屋根用取付金具Aは、立平葺き屋根1用の本実施例に限らず、折板屋根1やその他の屋根1に固定可能な構成に適宜設計変更可能であるし、ソーラーパネル10以外の他の屋根上設置物(雪止め等)取付用にも適宜設計変更可能である。
【0021】
また、本実施例の対向挟持体3について具体的に説明すると、一方の対向挟持体3Aは、水平方向に面方向を有する天板部13と、この天板部13の一側(図2図5における左側)端部から垂設される一側脚板部14と、この一側脚板部14の下端部から前記天板部13と同方向に突設する挟持部4とを有する略転コ字板状体で構成されていると共に、天板部13も一側脚板部14も挟持部4も、屋根1の勾配方向、即ちハゼ部2に沿った長さを有する形状に形成されている。以下、本実施例では、この対向挟持体3の長さ方向を屋根用取付具Aの前後方向と定めて説明する。
【0022】
また、この一方の対向挟持体3Aには、前記天板部13の他側(図2図5における右側)端部の下方に、他方の対向挟持体3Bに向かって凸湾曲面状に突出し且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凸条部7が設けられ、前記一側脚板部14の一側(図2図5における左側)板面の中ほどよりやや上方位置には、後述する締付ボルト5のボルト頭部を回り止め状態に嵌合する嵌合溝15が設けられている。
【0023】
また、この一方の対向挟持体3Aは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成されている(押出成形により天板部13と一側脚板部14と挟持部4と凸条部7と嵌合溝15とを有する形態に一体成形されている。)。
【0024】
他方の対向挟持体3Bは、立板状の他側脚板部16と、他側脚板部16の下端部から前記一方の対向挟持体3Aに向かって突設する挟持部4とを有する略L字板状体で構成されていると共に、他側脚板部16も挟持部4も、屋根1のハゼ部2に沿った長さを有する形状に形成されている。
【0025】
また、この他方の対向挟持体3Bには、他側脚板部16の上端部に、前記凸条部7が係合可能な凹湾曲面状で且つ左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有する凹条部8が設けられている。
【0026】
また、この他方の対向挟持体3Bは、アルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成されている(押出成形により他側脚板部16と挟持部4と凹条部8とを有する形態に一体成形されている。)。図中符号17は左右の対向挟持体3に設けられ(一体成形され)ている肉抜き穴である。
【0027】
この左右の対向挟持体3間には、締付ボルト5が架設状態に配設されていると共に、この締付ボルト5のボルト頭部が前記嵌合溝15に嵌合されて一方の対向挟持体3Aに対し回り止め状態に設けられ、この締付ボルト5の先端部には締付ナット6が螺着されている。
【0028】
そして、締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を締付回動操作すると、左右の前記対向挟持体3が接近して前記凸条部7が前記凹条部8に係合する方向に移動し、凸条部7が凹条部8に係合後も締付ナット6を締付けると、湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体3Bが回動移動してこの他方の対向挟持体3Bの前記挟持部4が一方の対向挟持体3Aの前記挟持部4に接近し、この左右の挟持部4が前記取付部2を両外側から締付挟持してハゼ部2(取付部2)に取付固定されるように構成されている。
【0029】
尚、本実施例に限らず、回り止め状態に設けられる締付ナット6に対し締付ボルト5を締付回動する構成が採用されていても良いし、締付ボルト5も締付ナット6も回り止めされない構成(締付ボルト5と締付ナット6のいずれをも締緩回動操作可能な構成)が採用されていても良い。
【0030】
本実施例は、図2図5に示すように、他方の前記対向挟持体3Bの前記凹条部8の下方に、左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、一方の前記対向挟持体3Aの前記凸条部7の下部を支承して前記締付ナット6を締付けた際に凹条部8に凸条部7を係合案内すると共に、凸条部7の下部に接することで一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動を規制するガイド片部9が設けられ(押出成形により一体成形され)ている。
【0031】
尚、一方の前記対向挟持体3Aの前記凸条部7の下方に、左右の対向挟持体3の対向方向と直交する前後方向に長さ幅を有し、他方の前記対向挟持体3Bの前記凹条部8の下部を支承して前記締付ナット6を締付けた際に凸条部7を凹条部8に係合案内すると共に、凹条部8の下部に接することで一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bの揺動を規制するガイド片部9が設けられている構成が採用されていても良い。
【0032】
具体的には、ガイド片部9は、凹条部8の下方から一方の前記対向挟持体3Aに向けて突設されていると共に、前記他側脚板部16の板面に対して略水平方向に板状に突出する形状に形成されている。
【0033】
また、このガイド片部9は、前記締付ボルト5に螺着されている締付ナット6を緩めて、左右の前記対向挟持体3の挟持部4間の間隔をこの挟持部4間に前記ハゼ部2を挿入可能な間隔まで広げた際に、前記凸条部7の下方に配設されてこの凸条部7の下部に接することができる突出長を有する形状に形成されている。
【0034】
従って、前記締付ナット6を緩めることで左右一対の対向挟持体3の下部の挟持部4の対向間隔を広げ(図3参照)、挟持部4で屋根1のハゼ部2を挟むようにして屋根1上に本屋根用取付金具Aを配置するが、この際、他方の対向挟持体3Bの凹条部8の下方に設けられているガイド片部9が一方の対向挟持体3Aの凸条部7の下部に接することで、凸条部7と凹条部8とが係脱している状況であっても、一方の対向挟持体3Aに対し他方の対向挟持体3Bが前記締付ボルト5を支点とした揺動や、凸条部7と凹条部8とが前後方向に位置ズレするように揺動すること等が可及的に規制され、左右の対向挟持体3同志が正しい対向姿勢に保たれる(図4参照)ため、本屋根用取付金具Aをハゼ部2(屋根1)にセットした後は、一方の対向挟持体3Aに対して他方の対向挟持体の姿勢の是正を要することなく、そのまま締付ナット6の締付作業へとスムーズに移行できるように構成されている。
【0035】
そして、締付ナット6を締付操作すると、左右の前記対向挟持体3が接近して前記凸条部7が前記凹条部8に係合する方向に移動するが、この際、前記ガイド片部9が、一方の前記対向挟持体3Aの前記凸条部7の下部を支承して(ガイド片部9上を凸条部7がスライド摺動移動して)凸条部7が凹条部8に確実に係合案内されることとなり、この締付操作も一対の対向挟持体3の姿勢是正が不要で容易に行うことができるように構成されている(図4参照)。
【0036】
次いで、凸条部7が凹条部8に係合後も締付ナット6を締付けると、凸湾曲面状の凸条部7と凹湾曲面状の凹条部8との湾曲面同志の凹凸係合により他方の対向挟持体3Bが回動移動してこの他方の対向挟持体3Bの前記挟持部4が一方の対向挟持体3Aの前記挟持部4に接近して、この左右の挟持部4が前記取付部2を両外側から締付挟持して取付部2に取付固定されるが、この際、他方の対向挟持体3Bが前記凸条部7を支点に(凸条部7と凹条部8の凹凸係合部を支点に)回動することによって、この他方の対向挟持体3Bの挟持部4が前記凸条部ハゼ部2(の下アゴ部分)に対し斜め上方へ向かって圧着してハゼ部2に対し強固に取付固定されるように構成されている(図5参照)。
【0037】
また、ここで本実施例の前記載置板部11について説明すると、屋根1勾配方向に沿って前後方向に並設された二枚のソーラーパネル10の外縁部同士を隣接状態で載置可能な前後方向(屋根1勾配方向) に長さを有する板形状に形成されている。
【0038】
さらに詳しくは、載置板部11は、前記対向挟持体3の前後幅より前後方向に長く、一方の対向挟持体3Aの天板部13の前後幅寸法に対して1.5~2倍程度の前後板幅を有する長方形板状に形成されている(図1図6図7参照)。即ち、本実施例の載置板部11は、図7に示すように屋根1の勾配方向(ハゼ部12の長さ方向)に対して、前記固定ボルト12を挟んで前後に並設した二枚のソーラーパネル10の外縁部同士を隣接状態で載置可能に構成されている。
【0039】
また、この載置板部11は、中心部に前記固定ボルト12のボルト先端が挿通され、この載置板部11の上方へ突出する固定ボルト12のボルト先端に取付ナット18が螺着されていて、この取付ナット18の締付けにより載置板部11が前記天板部13に載置された状態で一方の前記対向挟持体3Aの上部に固定されていると共に、載置板部11上に前記固定ボルト12が立設状態に配設されている。
【0040】
また、この載置板部11は、前記対向挟持体3と同様に、耐候性・耐久性の高いアルミニウム若しくはアルミニウム合金の押出成形品で構成されている。
【0041】
図中符号19は載置板部11上に配設されて載置板部11上に前後並設状態に載置されたソーラーパネル3同志をアース接続するアース板、20はソーラーパネル10外縁部の金属フレーム部に喰い込んで電気的に接続する接続突起である。
【0042】
本実施例は、前記固定ボルト12に装着可能で、前記載置板部11に載置したソーラーパネル10の外縁部を上方から押え込んで固定するソーラーパネル押え金具Pを備えている。
【0043】
この押え金具Pについて具体的に説明すると、前記固定ボルト12に貫通装着される基体21の端部に、前記載置板部11に載置したソーラーパネル10の外縁部を上方から押え込み可能なパネル押え込み部22が設けられて構成されており、載置板部11より上方へ突出している前記固定ボルト12に基体21を装着し、固定ボルト12に螺着した固定ナット23を締付けることにより前記パネル押え込み部22で載置板部11上に載置したソーラーパネル10の外縁部を押え込み固定し得るように構成されている。
【実施例2】
【0044】
本発明の具体的な実施例2について図8に基づいて説明する。
【0045】
本実施例の屋根用取付金具Aは、左右の対向挟持体3の前後長が前記実施例1より延長されており、これに伴い締付ボルト5も対向挟持体3間の前後二箇所に架設されている。
【0046】
また、本実施例では、一方の対向挟持体3Aの天板部13上に直接前記アース板19が設けられ、このアース板19を備え前後長のある天板部13がソーラーパネル10を載置する載置台として機能するように構成されている(実施例1とは異なり、前記載置板部11は有しない構成である。)。尚、本実施例の場合、前記取付ナット18はアース板19と前記固定ボルト12を取付けるためのものとして機能するように構成されている。
【0047】
他の構成は、前記実施例1と同様である。
【0048】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0049】
1 屋根
2 取付部・ハゼ部
3 対向挟持体
3A 一方の対向挟持体
3B 他方の対向挟持体
4 挟持部
5 締付ボルト
6 締付ナット
7 凸条部
8 凹条部
9 ガイド片部
A 屋根用取付金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8