(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】景品取得ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
(21)【出願番号】P 2022060726
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597009703
【氏名又は名称】北日本通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 守
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-6353(JP,A)
【文献】特開2005-34249(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079263(WO,A1)
【文献】特開2002-239209(JP,A)
【文献】特開2001-105360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/26~11/00
A63F 9/00~ 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品が載置されるプレイフィールドと、景品を把持するためのアームを有し、前記プレイフィールド内を移動可能な景品取得装置と、プレイヤーによる操作が可能な操作手段と、前記操作手段の操作に応じて前記景品取得装置を移動させるとともに、前記アームの把持動作を制御する制御手段とを備えた景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得装置は、電磁コイルと該電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャとを有し、該電磁コイルに電圧を印加することにより、該印加した電圧の大きさに応じた把持力で前記アームの把持動作を行わせる駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記アームの把持動作において、設定された第一の把持力よりも小さい第二の把持力に対応する電圧を前記電磁コイルに付与した後、所定時間が経過した後で、該第一の把持力に対応する電圧を該電磁コイルに付与することで、該第二の把持力で該アームの把持動作を行った後、該第二の把持力から該第一の把持力に変更する制御を実行可能であることを特徴とする景品取得ゲーム装置。
【請求項2】
前記景品取得装置は、閉状態の前記アームの間隙を調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の景品取得ゲーム装置。
【請求項3】
前記景品取得装置は、前記アームを駆動するための駆動源を収容する本体部と、基端部が前記本体部に対して回動可能に取り付けられ、先端部が前記アームの腕部に対して回動可能に取り付けられる支持部材とを備え、
前記本体部に取り付けられる前記支持部材の基端部の取付位置が該本体部に沿って上下方向に変位可能とされており、
前記調整手段は、前記支持部材の基端部の取付位置を変更することにより、閉状態の前記アームの間隙の大きさを調整することを特徴とする請求項2に記載の景品取得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機に代表される景品取得ゲーム装置は、筐体内部に形成されたプレイフィールド内に多数の景品が載置されて使用されるものである。遊戯者は、レバーやボタン等の操作手段を用いてアームを有する景品取得装置をプレイフィールド内で移動させることができる。そして、遊戯者は、所望とする景品が載置されている位置まで景品取得装置を移動させた後、アームでこの景品を把持させ、その状態で、景品排出口まで揚送することにより、景品を獲得することができる。
【0003】
このような景品取得ゲーム装置において、アーム付勢手段に対して設定された把持力に応じた励磁電圧を印加することでアームを作動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の景品取得ゲーム装置では、印加する励磁電圧によってアームを作動させるためのパワーが異なるために動作速度が異なってしまうという特性がある。そのため、遊戯者は、アームの動作速度を見て、景品を取得できるか否かが見極められてしまい、興趣を損なってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遊戯者に、アームの把持動作の挙動を認識し難くすることができる景品取得ゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、景品が載置されるプレイフィールドと、景品を把持するためのアームを有し、前記プレイフィールド内を移動可能な景品取得装置と、プレイヤーによる操作が可能な操作手段と、前記操作手段の操作に応じて前記景品取得装置を移動させるとともに、前記アームの把持動作を制御する制御手段とを備えた景品取得ゲーム装置であって、
前記景品取得装置は、電磁コイルと該電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャとを有し、該電磁コイルに電圧を印加することにより、該印加した電圧の大きさに応じた把持力で前記アームの把持動作を行わせる駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記アームの把持動作において、設定された第一の把持力よりも小さい第二の把持力に対応する電圧を前記電磁コイルに付与した後、所定時間が経過した後で、該第一の把持力に対応する電圧を該電磁コイルに付与することで、該第二の把持力で該アームの把持動作を行った後、該第二の把持力から該第一の把持力に変更する制御を実行可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の景品取得ゲーム装置において、
前記景品取得装置は、閉状態の前記アームの間隙を調整する調整手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の景品取得ゲーム装置において、
前記景品取得装置は、前記アームを駆動するための駆動源を収容する本体部と、基端部が前記本体部に対して回動可能に取り付けられ、先端部が前記アームの腕部に対して回動可能に取り付けられる支持部材とを備え、
前記本体部に取り付けられる前記支持部材の基端部の取付位置が該本体部に沿って上下方向に変位可能とされており、
前記調整手段は、前記支持部材の基端部の取付位置を変更することにより、閉状態の前記アームの間隙の大きさを調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊戯者に、アームの把持動作の挙動を認識し難くすることができる景品取得ゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【
図2】(A)は、開状態の把持装置の外観を示す斜視図であり、(B)は、閉状態の把持装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、アームの閉状態の把持装置の外観を示す正面図であり、(B)は、アームの閉状態の位置を調整する要領について説明する図であり、(C)は、閉状態の位置が調整された把持装置の外観を示す斜視図である。
【
図5】クレーンゲーム機の機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】(A)は、払出設定処理について説明するフローチャートであり、(B)は、プレイ処理について説明するフローチャートである。
【
図7】(A)は、クレーン移動処理について説明するフローチャートであり、(B)は、入力方向動作管理テーブルの一例について説明する図であり、(C)は、アタック処理について説明するフローチャートである。
【
図8】サービスパネル部におけるサービスモニタの表示画面の一例について説明する図である。
【
図9】本実施形態に係る把持装置の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る景品取得ゲーム装置(例えば、クレーンゲーム機)について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0014】
まず、
図1を用いて、本発明を適用することができる景品取得ゲーム装置の一例としてのクレーンゲーム機100の全体構成について説明する。なお、
図1は、本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。本実施形態の説明において、左右、前後、上下とは、クレーンゲーム機100のプレイヤーが正面側から見た状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。なお、本実施形態では、左右方向をX軸方向という場合があり、前後方向をY軸方向という場合があり、上下方向をZ軸方向という場合がある。
【0015】
クレーンゲーム機100は、箱型に形成されており、底面にキャスタCが適宜数取り付けられている。したがって、ゲームセンター等の遊戯場のオペレータがクレーンゲーム機100を押動することにより容易に搬送することができるようになっている。
【0016】
クレーンゲーム機100は、箱状の基台1と、基台1の上方に形成されたプレイフィールド2とを備えて構成されている。
【0017】
基台1には、例えば、クレーンゲーム機100の全体制御を行う制御部300(
図5参照)を有する制御基板等が収容されており、基台1の前面の右側に設けられた開閉扉1aを開放することにより、内部にアクセスすることができるようになっている。さらに、基台1内には、サービスパネル部400も設けられており、開閉扉1aを開放することにより操作可能にアクセスすることができるようになっている。サービスパネル部400の詳細な構成については、後述する。また、基台1の前面中央下部には、後述するコインセレクタ84a,84bによって受け付けられた硬貨やコイン等の媒体を回収するための集金扉1bが開閉可能に設けられている。
【0018】
プレイフィールド2は、多数の景品Pが載置される底部2aを有するとともに、前面板2b、左側面板2c、右側面板2d、背面板2e及び天板3により閉塞された内部空間により形成されている。そして、前面板2b、左側面板2c及び右側面板2dは、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、内部空間が視認できるようになっている。なお、本実施形態では、前面板2b、左側面板2c及び右側面板2dの上部内側面に不透明あるいは半透明の樹脂製パネルが設けられており、プレイフィールド2の上部を視認困難としている。また、本実施形態では、景品Pを底上げして取得しやすくしたり、後述する把持装置200を保護するために、内部が空洞とされた球体からなる緩衝材としての多数のカラーボールCBが底部2aに敷き詰められており、景品PはこれらカラーボールCB上に載置されている。本実施形態で使用されるカラーボールCBは、樹脂により構成されているが、これに限定されない。
【0019】
プレイフィールド2の底部2aの左前隅部には、方形状に開口された景品排出口4が設けられており、景品Pを下方に排出することができるようになっている。景品排出口4から排出された景品Pは、基台1の左下部分に設けられた景品取出室6まで落下する。景品排出口4から排出された景品Pは、景品払出センサ41により検出される。景品払出センサ41は、例えば、赤外線センサにより構成されている。景品取出室6は前面側が方形状に開口した景品取出口を有しており、扉体7により景品取出口が閉塞されている。扉体7は、上端がヒンジにより揺動可能に支持されており、プレイヤーが扉体7を押圧操作することで景品取出口が開放し、景品取出室6にある景品Pを取り出すことができるようになっている。ここで、扉体7は、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、扉体7を介して景品取出室6の内部を視認することができるようになっている。また、底部2aには、景品排出口4の右側端部及び後側端部を囲むように仕切板5が立設されており、底部2aに載置され、あるいは、積み上げられた景品PやカラーボールCBが景品排出口4から落下するのを抑制している。
【0020】
プレイフィールド2の上方には、景品取得装置の一例としての把持装置200が設けられ、吊下げワイヤ200aによって吊り下げられている。プレイフィールド2の上部には、2本の横行用レール501f,501rがそれぞれ前端部近傍及び後端部近傍に左右方向に延びて平行に設けられるとともに、1本の縦行用レール502が2本の横行用レール501f,501rに架設されている。縦行用レール502は、前後方向に延びて設けられており、横行用モータユニット503と縦行用モータユニット505とが設けられている。横行用モータユニット503は、横行用モータ302(
図5参照)を内蔵しており、横行用モータ302により縦行用レール502を横行用レール501f,501rの延在方向に沿って移動させる。縦行用モータユニット505は、縦行用モータ301(
図5参照)とワイヤ巻取装置303(
図5参照)とを内蔵している。縦行用モータ301は、縦行用モータユニット505を縦行用レール502の延在方向に沿って移動させる。ワイヤ巻取装置303は、吊下げワイヤ200aの巻き取り及び繰り出しを行うことにより、吊下げワイヤ200aの先端部に取り付けられた把持装置200を上下方向に移動させる。また、横行用モータユニット503に対向する位置であって、後端部近傍に設けられた横行用レール501rの近傍に配された方形状の支持部材504が設けられている。なお、吊下げワイヤ200aに換えて伸縮パイプからなる吊下支持部を縦行用モータユニット505から垂下するようにして設け、この吊下支持部の先端に把持装置200を取り付け、吊下支持部を伸縮させることにより把持装置200を上下方向に移動させる構成としてもよい。
【0021】
把持装置200は、詳しくは後述するが、吊下げワイヤ200aが取り付けられる本体ケース201と、本体ケース201の下部に配置されたアーム取付部202と、アーム取付部202に支持された1又は複数本のアーム203とを備えて構成されている。アーム203は、開状態と閉状態とに変位可能に構成されており、プレイフィールド2に載置された景品Pを把持することができる。
【0022】
一方、基台1の前面中央には、操作部8が設けられており、箱型形状をなしている。操作部8は、その上面に、操作レバー81、操作ボタン82及び表示部83が配置されている。操作レバー81及び操作ボタン82は、プレイヤーにより操作が可能となっている。すなわち、本実施形態では、操作レバー81及び操作ボタン82が操作手段として機能している。表示部83には、例えば、遊戯可能残り回数(残りクレジット数)や遊戯残り時間等が表示される。プレイヤーは、操作レバー81を操作することにより把持装置200をプレイフィールド2内の任意の位置に移動させ、操作ボタン82を操作することにより、把持装置200を下降させるとともに、把持動作を行わせることができる。把持装置200は、把持動作が終了すると上昇し、アーム203を閉状態に維持させながら景品排出口4の上方に移動し、アーム203を開状態に変化させる。このとき、景品Pが把持装置200により把持されていた場合には、景品排出口4に向けて景品Pが落下して景品取出室6に案内され、その結果、プレイヤーは、景品取出室6から景品Pを取り出すことができる。なお、本実施形態では、操作レバー81及び操作ボタン82を操作することにより、把持装置200に動作を行わせるように構成されているが、操作ボタンのみで把持装置200に動作を行わせるように構成されたものであってもよい。例えば、横移動ボタンと縦移動ボタンとを備え、まず、横移動ボタンを操作して把持装置200を左右方向に移動させた後、縦移動ボタンを操作して把持装置200を前後方向に移動させ、その場所で把持装置200による把持動作が行われるように構成されてもよい。また、操作レバーのみ設け、操作ボタンを備えない構成であってもよい。また、表示部83を備えない構成であってもよい。
【0023】
また、操作部8の前面には、2つのコインセレクタ84a,84b(以下、2つのコインセレクタ84a,84bをまとめて「コインセレクタ84」という場合がある。)が並設されており、それぞれ受付可能な硬貨やメダルの種類が異なっている。本実施形態では、例えば、コインセレクタ84aは、100円硬貨のみ受付可能に構成されており、コインセレクタ84bは、500円硬貨のみ受付可能に構成されているが、これに限定されない。コインセレクタ84a,84bは、硬貨を受け付けると投入信号を出力する。コインセレクタ84により受け付けられた硬貨やメダルは、例えば、基台1の下部の回収箱に集められ、遊戯場のオペレータが開錠操作して集金扉1bを開放させることにより、回収することができるようになっている。また、操作部8の前面は開閉可能に構成されており、例えば、遊戯場のオペレータが開錠操作して操作部8の前面を開放させることにより、操作部8のメンテナンス等を行うことができるようになっている。
【0024】
コインセレクタ84は、ソレノイドの駆動により、投入された硬貨あるいはメダルを受け付ける状態と、投入された硬貨あるいはメダルを返却口に返却する状態とに変化可能に構成されている。
【0025】
なお、本実施形態では、遊戯価値として硬貨やメダル等の媒体をコインセレクタ84に投入することで遊戯が可能に構成されているが、例えば、RFID(Radio Frequency IDentifier)タグを備えたICカードあるいは磁気カードといった記録媒体や、NFC(Near Field Communication)機能を備えた携帯端末に対してプリペイド情報あるいは決済情報を読み書き可能なリーダライタ装置を備え、リーダライタ装置によって読み取った読取情報から遊戯価値を受け付け、これに基づいて遊戯を可能に構成されてもよい。また、二次元コードやバーコードを読取可能な読取装置を備え、読取装置によって読み取られた読取情報から遊戯価値を受け付け、これに基づいて遊戯を可能に構成されてもよい。
【0026】
次に、把持装置200の構成について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0027】
把持装置200は、円筒状に形成された本体ケース201を備えており、上面中央に吊下げワイヤ200aが固着されている。本体ケース201には、下面から本体ケース201の軸方向に沿って進退自在に変位可能なシリンダ210が設けられている。また、シリンダ210の下端には、1又は複数本のアーム203を着脱自在に取り付け可能なアーム取付部202が固着されている。本体ケース201の内部には、電磁コイルによるアクチュエータと、電磁コイルへの電圧の印加により吸引されるプランジャ(すなわち、電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャということもできる。)が収容されており、電圧の印加によりプランジャに接続されたシリンダ210を上下方向に駆動することができる。なお、アクチュエータは、電磁コイルに限らず、モータ等、周知の駆動手段を適用することができる。
【0028】
本体ケース201には、略中央部分に環状の取付ベース204が外周に取り付けられており、取付ベース204には、等間隔に3つの回動支持部材205の一端側が本体側軸ピン205aにより揺動可能に支持されている。
【0029】
アーム取付部202は、例えば、3方向に放射状に延びたアーム203を取り付けるための取付部材202aを備え、支持軸202bによりアーム203を揺動可能に支持している。
【0030】
シリンダ210は、アーム取付部202の中央上部に取り付けられている。アーム取付部202は、自重により本体ケース201から離間する方向に移動可能な重さに設定されているが、アーム取付部202の形状及び重さについては適宜に設計することができる。
【0031】
本実施形態では、アーム取付部202に対して3つのアーム203が等間隔に取り付けられている。アーム203は、略ヘ字状に屈曲して形成されており、複数のアーム203の先端部で景品Pを把持して持ち上げることができ、また、例えば、景品Pに取り付けられた紐に引っ掛けて景品Pを吊り上げることもできるようになっている。アーム203は、基端部から所定距離離間した位置(回動支持位置)において、アーム側軸ピン205bによって回動支持部205の他端部に揺動可能に支持されている。すなわち、アーム203は、アーム取付部202及び回動支持部205の2点より揺動可能に支持されているということができる。なお、本実施形態では、アーム203を金属により形成したが、樹脂によって形成されたものであってもよい。
【0032】
回動支持部205は、それぞれ平板をU字状に折曲形成されてなり、一端部の内側を取付ベース204に対して挟持させるとともに、本体側軸ピン205aにより取付ベース204に揺動可能に共締めされており、他端部の内側をアーム203に対して挟持させるとともに、アーム側軸ピン205bによりアーム203に揺動可能に共締めされている。
【0033】
把持装置200は、上述したように構成されているので、
図2(A)に示すように、電磁コイルを駆動しておらず、アーム203が開状態となっている状態において、電磁コイルが駆動してシリンダ210が上方に引き上げられると、同図(B)に示すように、アーム203が支持軸202b及びアーム側軸ピン205bを支軸として揺動され、先端が他が対向する閉状態に変化するようになっている。
【0034】
また、本実施形態では、取付ベース204が本体ケース201の延在方向に沿って上下に移動させ、取付位置を変更することができるようになっている。
図3(A)に示す取付ベース204は、アーム203の閉状態ではアーム203の先端同士で形成される間隙が小さくなる位置(基準位置)とされている。
【0035】
本実施形態では、閉状態のアーム203の先端同士で形成される間隙を拡大する場合には、取付ベース204を本体ケース201に固定するために適宜位置に設けられた複数の取付ネジ204aを緩めて取付ベース204を本体ケース201に対して摺動可能とし、
図3(B)に示すように、アーム203の閉状態における先端同士の間隙を調整しながら取付ベース204の固定位置を定める。例えば、プレイフィールド2内に配置されたカラーボールCBを掬わない程度に、アーム203の閉状態における先端同士の間隙をカラーボールCBの外径よりもわずかに大きいサイズに調整することが考えられるが、目的は上述したものに限らず、遊戯の特性によって適宜のサイズに調整することができる。アーム203の閉状態における先端同士の間隙を設定した後は、取付ベース204を本体ケース201に対して固定するために、取付ネジ204aにより締着する。なお、
図3(C)は、アーム203の閉状態の位置を調整した後の閉状態の把持装置200の斜視図を示している。
【0036】
次に、サービスパネル部400の外観構成について、
図4を参照しながら説明する。
【0037】
サービスパネル部400は、LCD(Liquid Crystal Display)によって構成されたサービスモニタ401と、各種設定を行うためのディップスイッチ402a,402b及びメンテナンス用ボタン403a~403eと、設定値を変更するための選択ダイヤル404と、音量調整を行うための音量調整ボリューム405と、クレーンゲーム機100の電源のON/OFFを行うための電源スイッチ406とを備えている。
【0038】
サービスモニタ401は、クレーンゲーム機100の稼働状況の表示や、各種設定を行う際の設定表示等を行うことができる。
【0039】
ディップスイッチ402a,402bは、それぞれ複数(例えば、8つ)の切換スイッチを有しており、クレーンゲーム機100が起動する際に各スイッチの位置が読み取られ、その読み取られた結果に応じた設定がなされるように構成されている。ディップスイッチ402a,402bのスイッチ操作により設定可能なものとしては、例えば、遊戯が行われていない待機状態において実行されるデモ演出において音声を出力するか否かの設定や、クレーンゲーム機100に設けられた発光手段の発光パターン等がある。
【0040】
メンテナンス用ボタン403a~403eは、5つのボタンからなり、それぞれ、第1ボタン403a、第2ボタン403b、第3ボタン403c、第4ボタン403d及び第5ボタン403eにより構成されている。ボタンの数は、これに限定されず、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。
【0041】
クレーンゲーム機100の待機状態において第1ボタン403aが1回操作されると、サービスモニタ401にプレイデータ表示画面が表示され、さらに第1ボタン403aが1回操作されると非表示となる。すなわち、第1ボタン403aの操作毎に、プレイデータ表示画面の表示と非表示とを切り換えることができる。なお、プレイデータ表示画面の詳細については後述する。また、クレーンゲーム機100の待機状態において第1ボタン403aが所定時間(例えば、2秒間)の長押し操作が行われると、払出設定を行うことができるようになっている。払出設定の具体的な設定方法については、後述する。
【0042】
また、クレーンゲーム機100の待機状態において第2ボタン403bが長押し操作されると、クレジットの設定を行うことができる。クレジットの設定では、例えば、硬貨の投入を受け付けたときにプレイ可能なゲーム数(すなわち、1コインでプレイ可能なゲーム数)を設定することができる。
【0043】
また、クレーンゲーム機100の待機状態において第3ボタン403cが長押し操作されると、把持装置200のアーム203の把持力の調整を行うことができる。
【0044】
また、クレーンゲーム機100の待機状態において第4ボタン403dが長押し操作されると、テストモードに移行することができる。テストモードは、各種装置の動作状態を確認するためのモードであり、貨幣の投入を行うことなく把持装置200の動作を確認したり、操作部8における操作レバー81及び操作ボタン82が正常に作動するかについての確認等を行うことができる。
【0045】
また、第5ボタン403eは、サービスボタンとして機能しており、クレーンゲーム機100の待機状態において第5ボタン403eが1回操作されると、クレジットをインクリメントし、貨幣を投入することなく遊戯を可能にすることができる。
【0046】
選択ダイヤル404は、例えば、ロータリエンコーダによる回転スイッチであり、回転方向及び回転量に応じて指定されたパラメータの変更を行うことができる。
【0047】
音量調整ボリューム405は、例えば、可変抵抗器により構成されており、回転位置を変更するにより音量の調整を行うことができる。
【0048】
続いて、本実施形態に係るクレーンゲーム機100の機能的構成について、
図5を参照しながら説明する。ここで、
図5は、クレーンゲーム機100の機能的構成を示すブロック図である。
【0049】
図5に示すように、例えば、クレーンゲーム機100の統括制御を行う制御部300を備えており、制御部300には、操作部8と、表示部83と、コインセレクタ84と、アーム駆動部201bと、景品払出センサ41と、縦行用モータ301と、横行用モータ302と、ワイヤ巻取装置303と、サービスパネル部400とが電気的に接続されて構成されている。
【0050】
制御部300は、例えば、CPU(Central Processing Unit)300aと、ROM(Read Only Memory)300bと、RAM(Random Access Memory)300cとを備えて構成され、ROM300bに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAM300cに展開し、展開したプログラムに従って各部の動作を集中制御する。
【0051】
ROM300bは、半導体等の不揮発メモリ等により構成され、上述した各種プログラムの他、各種データ等を記憶する。RAM300cは、CPU300aにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0052】
次に、本実施形態に係るクレーンゲーム機100において実行される払出設定処理について、
図6(A)を参照しながら説明する。ここで、
図6(A)は、払出設定処理について説明するフローチャートである。払出設定処理は、クレーンゲーム機100の待機状態において、サービスパネル部400の第1ボタン403aが長押し操作されたことにより起動する処理である。
【0053】
制御部300のCPU300aは、最初に、景品単価設定処理を実行する(ステップS201)。景品単価設定処理が実行されると、
図8(A)に示すように、サービスモニタ401に景品単価設定画面が表示される。景品単価設定画面では、設定の対象である景品の単価が表示され、
図8(A)に示す例では、景品の単価の設定額として「¥0300」が表示されており、さらに、設定変更可能であることを認識容易とするために、「0300」の数字部分が点滅している。景品の単価の表示の下方には、選択ダイヤル404の操作により景品の単価の設定を変更することができる旨の説明が表示されており、選択ダイヤル404を時計方向に回転させることにより、景品の単価の設定額をインクリメントすることができる旨の「CW:INC」の文字情報と、選択ダイヤル404を反時計方向に回転させることにより、景品の単価の設定額をデクリメントすることができる旨の「CCW:DEC」の文字情報とが表示されている。遊戯場の運営者は、例えば、景品の仕入単価を入力することで、景品の払出率の管理を正確に行うことができるようになる。また、景品単価設定画面の表示中に第3ボタン403cが操作されると払出率設定画面に移行し、第1ボタン403aが操作されると払出設定処理を終了して待機状態に移行するように構成されている。そのため、サービスモニタ401の下方には、「デモ中モード:ボタンNo.1」と「払出率設定:ボタンNo.3」が表示されており、その旨を報知している。
【0054】
続いて、CPU300aは、払出率設定処理を実行する(ステップS203)。払出率設定処理が実行されると、
図8(B)に示すように、サービスモニタ401に払出率設定画面が表示される。払出率設定画面では、設定の対象である設定払出率が表示され、
図8(B)に示す例では、設定払出率として「050%」が表示されており、さらに、設定変更可能であることを認識容易とするために、「015」の数字部分が点滅している。設定払出率の表示の下方には、選択ダイヤル404の操作により払出率の設定を変更することができる旨の説明が表示されており、選択ダイヤル404を時計方向に回転させることにより、設定払出率をインクリメントすることができる旨の「CW:INC」の文字情報と、選択ダイヤル404を反時計方向に回転させることにより、設定払出率をデクリメントすることができる旨の「CCW:DEC」の文字情報とが表示されている。また、払出率設定画面の表示中に第3ボタン403cが操作されると把持力設定画面に移行し、第1ボタン403aが操作されると景品単価設定画面に移行するように構成されている。そのため、サービスモニタ401の下方には、「景品単価設定:ボタンNo.1」と「把持力設定:ボタンNo.3」が表示されており、その旨を報知している。
【0055】
次に、CPU300aは、把持力設定処理を実行する(ステップS205)。把持力設定処理が実行されると、
図8(C)に示すように、サービスモニタ401に把持力設定画面が表示される。把持力設定画面では、設定の対象であるアーム203の把持力が表示され、
図8(C)に示す例では、把持力設定値として「6」が表示されており、さらに、設定変更可能であることを認識容易とするために、「6」の数字部分が点滅している。この把持力設定値は、景品を把持する際のアーム203の把持力の大きさに対応しており、把持力の最も小さい「1」から把持力の最も大きい「10」の10段階からいずれかに設定することができる。把持力設定値の表示の下方には、選択ダイヤル404の操作により設定値を変更することができる旨の説明が表示されており、選択ダイヤル404を時計方向に回転させることにより、設定値をインクリメントすることができる旨の「CW:INC」の文字情報と、選択ダイヤル404を反時計方向に回転させることにより、設定値をデクリメントすることができる旨の「CCW:DEC」の文字情報とが表示されている。また、把持力設定画面の表示中に第3ボタン403cが操作されるとソフトキャッチ設定画面に移行し、第1ボタン403aが操作されると払出率設定画面に移行するように構成されている。そのため、サービスモニタ401の下方には、「払出率設定:ボタンNo.1」と「ソフトキャッチ設定:ボタンNo.3」が表示されており、その旨を報知している。なお、本実施形態では、デモ中モードにおいて第3ボタン403cが長押し操作された場合にも把持力設定処理が実行されるようにしている。
【0056】
次に、CPU300aは、キャッチソフト設定処理を実行する(ステップS207)。キャッチソフト設定処理が実行されると、
図8(D)に示すように、サービスモニタ401にソフトキャッチ設定画面が表示される。ソフトキャッチ設定画面では、設定の対象であるアーム203の閉動作を行う動作パターンをキャッチソフトモード(ON)にするか通常モード(OFF)にするかの設定が可能であり、
図8(D)に示す表示では、キャッチソフトモードに設定されていることを示す「ON」が表示されており、さらに、設定変更可能であることを認識容易とするために、「ON」の文字が点滅している。ソフトキャッチ設定が「ON」に設定されると、アーム203の閉動作の開始時には、アーム203が閉状態となるのに十分な電圧(例えば、20V)が電磁コイルに印加され、所定時間(例えば、300sec)が経過したときに、設定した把持力に対応する電圧(例えば、50V)まで上昇させる制御が行われる。これにより、アーム203が閉状態となる動作によって把持力が遊戯者に推測されにくくなる。また、電磁コイルに高電圧が印加されると、アームの閉動作が急激に行われるので、例えば、景品Pの底上げや緩衝のために敷き詰められたカラーボールCBを大きな力で弾いてしまい、当該カラーボールCBが意図せずに景品排出口4から排出されてしまうといった不都合が生じにくくなる。
【0057】
次に、CPU300aは、設定確認処理を実行する(ステップS209)。設定確認処理が実行されると、
図8(E)に示すように、上述した要領で設定された、景品単価、払出率、アーム203の把持力及びソフトキャッチの各設定結果がサービスモニタ401に表示される。また、設定確認画面の表示中に第3ボタン403cが操作されるとプレイエリア選択画面に移行し、第1ボタン403aが操作されるとソフトキャッチ設定画面に移行するように構成されている。そのため、サービスモニタ401の下方には、「ソフトキャッチ設定:ボタンNo.1」と「デモ中モード:ボタンNo.3」が表示されており、その旨を報知している。CPU300aは、設定確認処理が終了すると、払出設定処理を終了する。
【0058】
次に、本実施形態に係るクレーンゲーム機100において実行されるプレイ処理について
図6(B)を参照しながら説明する。ここで、
図6(B)は、プレイ処理について説明するフローチャートである。
【0059】
まず、CPU300aは、硬貨が投入されたか否かを判定する(ステップS301)。すなわち、CPU300aは、コインセレクタ84a,84bからの投入信号が入力されたか否かを判定する。CPU300aは、硬貨が投入されたと判定しなかった場合は(ステップS301:No)、硬貨が投入されたと判定されるまでステップS301の処理を実行する。
【0060】
一方、CPU300aは、硬貨が投入されたと判定した場合は(ステップS301;Yes)、遊戯処理を実行する。遊戯処理では、操作部8の操作レバー81及び操作ボタン82の操作を受け付け、把持装置200の移動操作及びアーム203の把持動作を予め定められた制限時間(例えば、30秒)以内に行わせる処理を実行する。このとき、アーム203の把持動作については、払出率に応じた動作が行われるように制御される。このように、本実施形態では、制御部300は、制御手段として機能している。
【0061】
その後、CPU300aは、遊戯が終了したか否かを判定する(ステップS305)。CPU300aは、遊戯が終了したと判定しなかった場合は(ステップS305;No)、引き続きステップS303の遊戯処理を継続する。一方、CPU300aは、遊戯が終了したと判定した場合は(ステップS305;Yes)、プレイ回数カウンタをインクリメントする(ステップS307)。プレイ回数カウンタは、RAM300cの作業領域に記憶されているカウンタである。
【0062】
次に、CPU300aは、景品Pの払い出しがあったか否かを判定する(ステップS309)。具体的には、CPU300aは、景品払出センサ41からの信号の有無に基づいて景品Pの払い出しの判定を行う。
【0063】
CPU300aは、景品Pの払い出しがあったと判定した場合は(ステップS309;Yes)、景品払出カウンタのインクリメントを行う(ステップS311)。一方、CPU300aは、景品Pの払い出しがあったと判定しなかった場合は(ステップS309;No)、ステップS311の処理を実行することなく、ステップS313の処理を実行する。
【0064】
その後、CPU300aは、払出率(P/O)を算出し(ステップS313)、プレイ処理を終了する。払出率(P/O)は、予め設定された景品Pの単価に景品払出カウンタの値を乗じた額(払出額)をインカム(売上)で除することにより算出される。なお、本実施形態では、100円投入で1回、500円投入で6回の遊戯が可能に設定されている場合において、100円が投入されたことによる遊戯が実行された場合に、当該遊戯1回あたりのインカムを100円とし、500円が投入されたことによる遊戯が実行された場合に、当該遊戯1回あたりのインカムを500/6=83.3円として計算するようにしているが、投入金額に拘わらず、遊戯1回あたりのインカムを100円として計算するようにしてもよい。算出された払出率は、RAM300cに更新記録されるとともに、後述するように、サービスモニタ401におけるプレイデータの表示画面に表示される。
【0065】
次に、
図6(B)に示すプレイ処理における遊戯処理において実行されるクレーン移動処理について
図7(A)を参照しながら説明する。ここで、
図7(A)は、クレーン移動処理について説明するフローチャートである。なお、クレーン移動処理は、遊戯処理において、所定時間毎(例えば、2ms毎)に起動する処理である。
【0066】
まず、CPU300aは、操作レバー81がいずれかの方向にONされたか否かを判定する(ステップS401)。CPU300aは、操作レバー81がいずれかの方向にONされたと判定した場合は(ステップs401;Yes)、
図7(B)に示す入力方向動作管理テーブルにおける入力された方向に対応する方向の入力フラグをオンにセットし(ステップS403)、その後、操作レバー81の入力方向に把持装置200を移動させる(ステップS405)。なお、入力方向動作管理テーブルは、制御部300のRAM300cに記憶されている。一方、ステップS401において、操作レバー81がいずれかの方向にONされたと判定しない場合は(ステップs401;No)、クレーン移動処理を終了して遊戯処理に戻る。
【0067】
その後、CPU300aは、オンとされている操作レバー81のうち操作レバー81がオフとなった方向があったか否かを判定する(ステップS407)。CPU300aは、操作レバー81がオフとなった方向があったと判定しない場合は(ステップS407;No)、ステップS405の処理を実行し、操作レバー81がオフとなった方向があったと判定した場合は(ステップS407;Yes)、入力方向動作管理テーブルにおけるリミットタイマのレバーオフとされた方向と対向する方向(例えば、右方向のレバーオフであれば、反対の左方向)に対応するフィールドに、リミットタイマ(例えば、500ms)がセットされるとともに(ステップS409)、入力規制フラグにNGのフラグをセットする(ステップS411)。入力規制フラグは、リミットタイマが0となるまでNGのままフラグが維持される。その後、CPU300aは、操作レバー81がオフとなった方向の入力フラグをクリアする(ステップS412)。
【0068】
その後、CPU300aは、操作レバー81が新たにONとされた方向があるか否かを判定する(ステップS413)。CPU300aは、操作レバー81が新たにONとされた方向があると判定した場合は(ステップS413;Yes)、当該入力方向について入力規制フラグがNGとなっているか否かを判定する(ステップS415)。CPU300aは、当該入力方向について入力規制フラグがNGであると判定しなかった場合は(ステップS415;No)、ステップS417~ステップS421の処理を実行する。なお、ステップS417~ステップS421の処理は、ステップS403~ステップS407と同様であるため、説明を省略する。一方、CPU300aは、ステップS413において、操作レバー81が新たにONとされた方向があると判定しない場合(ステップS413;No)、あるいは、ステップS415において、当該入力方向について入力規制フラグがNGであると判定した場合は(ステップS415;Yes)、ステップS413の処理を実行する。なお、この場合において、把持装置200が移動中である場合は、当該把持装置200の移動を継続する。本実施形態では、操作レバー81が8方向に入力可能であって、これに対応して把持装置200も8方向に移動可能となっている。すなわち、入力した操作レバー81の方向が前、後、左、右である場合は、1つの要素の方向への操作レバー81の入力があったということができ、入力した操作レバー81の方向が斜め(左前、右前、左後、右後)である場合は、2つの要素の方向への操作レバー81の入力があったということができる。そして、本実施形態では、ステップS415において、2つの要素の方向のうち少なくとも1つの要素の方向についての規制フラグがNGである場合には、当該2つの要素の方向への操作レバー81の入力を無効にし、把持装置200の移動を規制するようにしている。
【0069】
本実施形態では、上述したように構成されているので、例えば、
図9に示すように、把持装置200を左方向に移動させた後、遊戯者PLが急激に操作レバー81を左方向から右方向に転換入力した場合は、右方向を含む方向(右前、右、右後)への移動が所定時間規制されるので、ワイヤ200aで吊下げられた把持装置200が慣性により大きく揺動するのを抑制することができる。
【0070】
次に、
図7(C)を参照しながら、アタック処理について説明する。ここで、
図7(C)は、アタック処理について説明するフローチャートである。アタック処理は、遊戯処理において、所定時間毎(例えば、2ms毎)に起動する処理である。
【0071】
最初に、CPU300aは、操作ボタン82が押下操作されたか否かを判定する(ステップS501)。CPU300aは、操作ボタン82が押下操作されたと判定した場合は(ステップS501;Yes)、払出率(P/O)をRAM300cを参照することにより判定を行う(ステップS503)。
【0072】
続いて、CPU300aは、キャッチソフト(CS)モードがONとなっているか否かを判定する(ステップS505)。CPU300aは、CSモードがONとなっていると判定した場合は(ステップS505;Yes)、CSモードに応じたアーム203の把持動作を実行した後(ステップS507)、この処理を終了する。具体的には、CPU300aは、アーム203の把持動作について、開状態から閉状態となるまでにアーム駆動部201bに発生させる電圧(電磁コイルに印加する電圧)をアーム203が動作するのに十分な電圧(例えば、20V)とした後、閉状態となってからアーム駆動部201bに発生させる電圧を、設定された把持力に応じた電圧(例えば、50V)まで上昇させる。
【0073】
一方、CPU300aは、CSモードがONとなっていると判定しない場合(すなわち、通常モードである場合)は(ステップS505;No)、通常のアームの把持動作を実行した後(ステップS509)、この処理を終了する。すなわち、CPU300aは、通常モードの場合、アーム203の把持動作について、開状態から閉状態となるまでにアーム駆動部201bに発生させる電圧を設定された把持力に応じた電圧(例えば、50V)に設定する。
【0074】
このように、本実施形態では、アーム203が開状態から閉状態となるまでの動作を電圧を一定にすることにより、遊戯者にアーム203の把持力を推測し難くするようにしている。また、アーム203が開状態から閉状態となるまでの間、その動作が可能な程度の十分な電圧を与えることにより、アーム203が急激に閉動作するのを抑制できるので、例えば、プレイフィールド2内に敷き詰められたカラーボールCBを弾いてしまって、意図せずカラーボールCBが景品排出口4から排出してしまうといった不都合を防止することができる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、クレーンゲーム機100は、景品Pが載置されるプレイフィールド2と、景品Pを把持するためのアーム203を有し、プレイフィールド2内を移動可能な把持装置200と、プレイヤーによる操作が可能な操作レバー81と、操作レバー81の操作に応じて把持装置200をX軸方向及びY軸方向に移動させるとともに、アーム203の把持動作を制御する制御部300とを備えている。また、クレーンゲーム機100は、把持装置200を吊下げワイヤ200aにより吊下げ、吊下げワイヤ200aを繰り出し及び巻き取ることにより、把持装置200を昇降可能なワイヤ巻取装置303を備えている。制御部300は、操作レバー81の操作により把持装置300が一の要素を含む方向に移動した後、所定時間が経過する前に操作レバー81により該一の要素とは正対する方向の要素を含む方向に操作された場合には、該操作に応じた把持装置200の移動を規制する。その結果、景品取得装置の急激な反転移動により生じる慣性により大きく揺動するのを抑制することが可能であり、景品取得装置を吊下げるワイヤや、このワイヤの繰り出し及び巻き取りを行う昇降装置に対するダメージを低減でき、製品寿命への影響を低減することができるようになる。
【0076】
また、本実施形態によれば、操作レバー81の操作により把持装置200が一の要素を含む方向に移動した後、所定時間が経過してから操作レバー81により該一の要素とは正対する方向の要素を含む方向に操作された場合には、該操作に応じた把持装置200の移動が許容される。そのため、景品取得装置の揺動がある程度治まった状態で反対方向への移動を許容するので、ワイヤや昇降装置へのダメージを低減できるとともに、円滑な遊戯を続行させることができるようになる。
【0077】
また、本実施形態によれば、操作レバー81の操作により把持装置200が一の要素を含む方向に移動した後、所定時間が経過する前に操作レバー81により該一の要素とは正対する方向の要素を含む方向に操作されて把持装置200の移動が規制された場合には、該所定時間が経過してから操作レバー81により再度の操作が行われることにより、該一の要素とは正対する方向の要素を含む方向への操作レバー81による操作に応じた把持装置200の移動を許容する。その結果、景品取得装置の急激な反転移動により生じる慣性により大きく揺動するのを抑制することが可能であり、景品取得装置を吊下げるワイヤや、このワイヤの繰り出し及び巻き取りを行う昇降装置に対するダメージを低減でき、製品寿命への影響を低減することができるようになるとともに、遊戯者に、急激な操作により動作が停止してることが認識でき、遊戯者に正常に動作していることを認識させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、操作レバー81の操作により把持装置200が一の要素を含む方向に移動した後、所定時間が経過する前に操作レバー81により該一の要素とは正対する方向の要素を含まない方向に操作された場合には、該操作に応じた把持装置200の移動が許容される。その結果、景品取得装置の慣性による揺動が生じにくい方向への移動については、移動を規制しないようにすることで、円滑な遊戯を行うことができるようになる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、クレーンゲーム機100は、景品Pが載置されるプレイフィールド2と、景品Pを把持するためのアーム203を有し、プレイフィールド2内を移動可能な把持装置200と、プレイヤーによる操作が可能な操作レバー81及び操作ボタン82と、操作レバー81及び操作ボタン82の操作に応じて把持装置200を移動させるとともに、アーム203の把持動作を制御する制御部300とを備えている。制御部300は、アーム203の把持動作において、設定された第一の把持力よりも小さい第二の把持力でアーム203の把持動作を行った後、第二の把持力から第一の把持力に変更する制御を実行可能である。そのため、アームが景品を把持するまでは、弱い把持力で動作し、景品を把持した段階で把持力を変化させるようにしたので、遊戯者に、アームの把持動作の挙動を認識し難くすることができ、アームの動作によって遊戯者に把持力を推測されにくくなって、興趣が低下することを抑制することができるようになる。また、本実施形態によれば、例えば、プレイフィールド内において景品を底上げするためにカラーボール等を敷き詰めたりした場合に、カラーボールを弾いてしまって景品払出口に払い出されてしまう煩わしさを抑制することもできる。
【0080】
また、本実施形態によれば、把持装置200は、電磁コイルと電磁コイルに対して挿脱可能なプランジャとを有し、電磁コイルに電圧を印加することにより、該印加した電圧の大きさに応じた把持力でアーム203の把持動作を行わせるアーム駆動部201bを備えている。制御部300は、アーム203の把持動作において、第二の把持力に対応する電圧(例えば、20V)を電磁コイルに付与した後、所定時間(例えば、300ms)が経過した後で、第一の把持力に対応する電圧(例えば、50V)を電磁コイルに付与する。その結果、第一の把持力に対応する電圧を最初に付与せずに、これよりも弱い第二の把持力に対応する電圧とすることで、アームの動作のコントロールを容易に制御することができるようになる。
【0081】
また、本実施形態によれば、把持装置200は、閉状態のアーム203の間隙を調整する取付ベース204を備えているので、例えば、プレイフィールド内において景品を底上げするためにカラーボール等を敷き詰めたりした場合に、誤ってカラーボールを把持してしまう不都合を抑制することができるようになる。
【0082】
また、本実施形態によれば、把持装置200は、アーム203を駆動するための電磁コイルを収容する本体ケース201と、基端部が本体ケース201に対して回動可能に取り付けられ、先端部がアーム203の腕部に対して回動可能に取り付けられる回動支持部205とを備えている。本体ケース201に取り付けられる回動支持部205の基端部の取付位置が本体ケース201に沿って上下方向に変位可能である。取付ベース204は、回動支持部205の基端部の取付位置を変更することにより、閉状態のアーム203の間隙の大きさを調整する。そのため、閉状態のアームの間隙を容易に調整することができる。
【0083】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
100 クレーンゲーム機(景品取得ゲーム装置)
2 プレイフィールド
81 操作レバー81(操作手段)
200 把持装置(景品取得装置)
200a 吊下げワイヤ(ワイヤ)
201b アーム駆動部(駆動手段)
203 アーム
204 取付ベース(調整手段)
205 回動支持部(支持部材)
300 制御部(制御手段)
303 ワイヤ巻取装置(昇降手段)
P 景品
【要約】
【課題】遊戯者に、アームの把持動作の挙動を認識し難くすることができる景品取得ゲーム装置を提供する。
【解決手段】クレーンゲーム機100は、景品Pが載置されるプレイフィールド2と、景品Pを把持するためのアーム203を有し、プレイフィールド2内を移動可能な把持装置200と、プレイヤーによる操作が可能な操作レバー81及び操作ボタン82と、操作レバー81及び操作ボタン82の操作に応じて把持装置200を移動させるとともに、アーム203の把持動作を制御する制御部300とを備えている。制御部300は、アーム203の把持動作において、設定された第一の把持力よりも小さい第二の把持力でアーム203の把持動作を行った後、第二の把持力から第一の把持力に変更する制御を実行可能である。
【選択図】
図3