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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】粘度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/14 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
G01N11/14 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018131568
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020008491
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390013239
【氏名又は名称】株式会社アタゴ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 秀行
(72)【発明者】
【氏名】中島 吉則
(72)【発明者】
【氏名】川田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】笠井 敏夫
【審査官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】実公平01-038520(JP,Y2)
【文献】特開平07-035671(JP,A)
【文献】実公平07-040202(JP,Y2)
【文献】特開平10-206252(JP,A)
【文献】特許第3503341(JP,B2)
【文献】特開2002-340768(JP,A)
【文献】米国特許第04622846(US,A)
【文献】特開昭61-132840(JP,A)
【文献】米国特許第08820145(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00 - 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する第1のステージ部と、
第2の面を有し、前記第2の面を前記第1の面に近接対向して回転させる第2のステージ部と、
モータ本体と、前記モータ本体の出力軸であって前記第2のステージ部に直接又は間接的に連結して前記第2のステージ部と同期回転するシャフトと、を有するモータと、
前記シャフトを回転可能に支持すると共に前記モータ本体を前記シャフトを介して回転可能に支持する固定側部材と、
前記固定側部材に固定され、前記モータ本体が前記固定側部材に対し第1の方向に回転した際に当接付勢される歪ゲージユニットと、
を備えた粘度測定ユニットと、
前記モータの動作を制御すると共に前記歪ゲージユニットからの出力電圧に基づいて粘度を求める制御部と、
前記固定側部材を支持すると共に前記制御部を内部に収容する筐体と、
前記固定側部材に着脱可能とされ、装着状態で前記第2の面を覆い、非装着状態で前記第2の面を露出するキャップと、を有する 粘度計。
【請求項2】
前記筐体は把持可能であることを特徴とする請求項記載の粘度計。
【請求項3】
前記出力電圧と粘度との対応関係が記憶された記憶部を有し、
前記粘度を測定する試料を前記第1の面と前記第2の面との間に保持した状態で外部から起動指令が入力された際に、
前記制御部は、
前記モータを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転起動し、前記試料の粘性による反作用トルクで前記モータ本体が前記第1の方向に回転して前記歪ゲージユニットを当接付勢した状態で得られる前記歪ゲージユニットの出力電圧を検出し、検出した前記出力電圧に対応する粘度を前記対応関係に基づいて求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘度計。
【請求項4】
前記第1のステージ部は前記キャップに形成されてい ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の粘度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度計に関する。
【背景技術】
【0002】
液体などの試料の粘度を、試料中で回転させたロータに生じる反作用トルクとロータ軸に一端を固定したばねの捻れ反力との釣り合い位置に基づいて測定する回転粘度計が知られている。特許文献1にその回転粘度計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-126981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転粘度計は、ロータの回転開始から釣り合い位置が安定して測定が可能になるまで、数十秒から1分程度かかるのが一般的であった。そのため、回転するロータと試料との間の摩擦によって試料の温度上昇が生じていた。
そのため、従来の回転粘度計によって温度依存性の大きい粘度を高精度で測定することは容易でなく、改善が望まれていた。
また、多数の試料の粘度を短時間で測定することが求められる試料の製造現場などでは、効率向上のため、測定の高精度化と測定時間の短縮化が望まれている。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、短時間で高精度に粘度を測定できる粘度測定ユニット及び粘度計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)~)の構成を有する。
) 第1の面を有する第1のステージ部と、
第2の面を有し、前記第2の面を前記第1の面に近接対向して回転させる第2のステージ部と、
モータ本体と、前記モータ本体の出力軸であって前記第2のステージ部に直接又は間接的に連結して前記第2のステージ部と同期回転するシャフトと、を有するモータと、
前記シャフトを回転可能に支持すると共に前記モータ本体を前記シャフトを介して回転可能に支持する固定側部材と、
前記固定側部材に固定され、前記モータ本体が前記固定側部材に対し第1の方向に回転した際に当接付勢される歪ゲージユニットと、
を備えた粘度測定ユニットと、
前記モータの動作を制御すると共に前記歪ゲージユニットからの出力電圧に基づいて粘度を求める制御部と、
前記固定側部材を支持すると共に前記制御部を内部に収容する筐体と、
前記固定側部材に着脱可能とされ、装着状態で前記第2の面を覆い、非装着状態で前記第2の面を露出するキャップと、を有する粘度計である。
) 前記筐体は把持可能であることを特徴とする)に記載の粘度計である。
) 前記出力電圧と粘度との対応関係が記憶された記憶部を有し、
前記粘度を測定する試料を前記第1の面と前記第2の面との間に保持した状態で外部から起動指令が入力された際に、
前記制御部は、
前記モータを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転起動し、前記試料の粘性による反作用トルクで前記モータ本体が前記第1の方向に回転して前記歪ゲージユニットを当接付勢した状態で得られる前記歪ゲージユニットの出力電圧を検出し、検出した前記出力電圧に対応する粘度を前記対応関係に基づいて求めることを特徴とする1)又は2)に記載の粘度計である。
4) 前記第1のステージ部は前記キャップに形成されていることを特徴とする1)~3)のいずれか一つに記載の粘度計である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、短時間に高精度で粘度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る粘度計の実施例である粘度計51の外観斜視図である。
図2図2は、図1に示される粘度計51から測定キャップ3を取り外した状態を示す外観斜視図である。
図3図3は、粘度計51の機能的構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1におけるS4-S4位置での断面図である。
図5図5は、粘度計51が備える粘度測定ユニット7の組立図である。
図6図6は、粘度測定ユニット7が備えるベース75の斜視図である。
図7図7は、粘度測定ユニット7が備える歪ゲージユニット74の斜視図である。
図8図8は、歪ゲージユニット74の配置を説明するための前面図である。
図9図9は、図8における上面図である。
図10図10は、キャップステージ部33と試料載置部811との隙間である試料充填空間Vaを説明するための一部破断した部分断面図である。
図11図11は、粘度計51の測定動作において歪ゲージユニット74から出力される電圧の時間推移特性VTを説明するためのグラフである。
図12図12は、粘度計51の測定動作で用いられる起動条件テーブルTBaを例示する図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る粘度測定システムの実施例である粘度測定システム52を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る粘度計を、実施例の粘度計51により説明する。
まず、図1及び図2を主に参照して外観上の構成を説明する。説明の便宜上、上下左右前後の各方向を、図1及び図2に矢印で示した方向で規定する。
図1は、粘度計51の保管時及び測定時に装着する測定キャップ3の装着状態を示す斜視図であり、図2は、図1に示される装着状態から測定キャップ3を取り外した非装着状態を示す斜視図である。
【0010】
粘度計51は、外観上、上下方向に薄く前後方向に長い把持可能な本体部1を有する。また、本体部1は、前部において上方に向け概ね円柱状に突出したステージ部2を有する。
ステージ部2には、測定キャップ3が着脱自在に取り付けられる。取り付け構造は、例えばバヨネット構造とされる。
【0011】
測定キャップ3は、円形の平底部31と、平底部31の周囲から立ち上がる周壁部32と、を有する平底鍋状に形成されている。
また、平底部31には、周壁部32と同じ方向に円柱状に突出したキャップステージ部33(図4参照)が形成されている。
【0012】
図2に示されるように、ステージ部2には、測定キャップ3の周壁部32の内面に設けられた不図示の爪と係合するキャップ係合部755が示されている。測定キャップ3のステージ部2への取り付けは、図2の矢印DRaで示されるように、測定キャップ3を、爪とキャップ係合部755との周方向位置を合わせて下方に押し込んだあと、周方向に回動させることで取り付けられる。
【0013】
測定キャップ3は、図1に示される装着状態において測定ステージ81を覆っている。また、測定状態から測定キャップ3を外すと、図2に示されるように、円盤状の測定ステージ81が露出する。
測定ステージ81の試料載置部811は、本体部1の下側面を水平面上に置いた状態で水平となる試料載置面811aを有する。
【0014】
本体部1は、上側の上ケース111と下側の下ケース112とが上下に組み合わされた筐体11を有する。
図2において、本体部1の上面1aには、表示部12,操作部13,及び温度検出部14が設けられている。筐体11の内部には、基板16が収められている。
【0015】
図3は、粘度計51の機能的構成を示すブロック図であり、以下、図3も参照して説明する。
表示部12は、基板16に実装された表示素子12aを含む。表示素子12aは、粘度計51の動作状態及び測定した粘度の値などを使用者が視認可能に表示する。
操作部13は、基板16に実装された、使用者が電源ON/OFFや測定開始の操作を行うための複数の押しボタンを含む。図2には、電源ボタン13a及び測定開始ボタン13bが示されている。
温度検出部14は、上ケース111に形成された孔14aと、その孔14aに対応して基板16に実装された温度センサ14bと、を有する。温度センサ14bは、本体部1の周囲の雰囲気温度を測定する。
本体部1の内部には乾電池などのバッテリBTを収納する電池収納部15が設けられている。下ケース112の後面には、電池収納部15を開閉しバッテリBTの交換を可能とする蓋15aが設けられている。
基板16には、中央処理装置(CPU)171及び記憶部172を含む制御部17が実装されている。
【0016】
粘度計51を使用する測定者は、概略、試料の粘度を次の操作で測定できる。
測定者は、まず、測定キャップ3を外し本体部1の下面を下向きにして机上などの水平面上に置く。次いで、電源ボタン13aを押して電源を入れる。
露出している測定ステージ81における試料載置部811の試料載置面811aに試料を適量載せる。適量は、例えば0.3ml程度である。
次いで、測定キャップ3をステージ部2に取り付けて測定開始ボタン13bを押す。この測定開始ボタン13bの押圧操作によって粘度計51は測定を開始する。
粘度計51の制御部17は、予め定められた方法(後述)で試料の粘度を求め、表示部12に粘度の数値を表示する。測定開始ボタン13bの押圧から粘度の数値表示まで、測定に要する時間は約1秒である。
【0017】
この短時間の粘度測定を実現する具体的な構造例を、図4及び図5を主に参照して詳述する。
図4は、図1におけるS4-S4位置での断面図である。すなわち、図4はステージ部2の横断面図である。ただし、モータ71は側面図として示されている。また、図5は、図4に示される粘度測定ユニット7の組立図である。
【0018】
まず、筐体11に支持されている粘度測定ユニット7の構成を図4及び図5を参照して説明する。以下、粘度測定ユニット7を単に測定ユニット7とも称する。
測定ユニット7は、図5における下方側から、モータ71,ベアリングユニット72,モータマウント73,ベース75,歪ゲージユニット74を有する。
また、測定ユニット7は、ベース75よりも上方側に、連結ナット76,回転プレート77,Oリング78,防水プレート79,スラストベアリング80,測定ステージ81,及び測定キャップ3を有する。
【0019】
モータ71は、ステップモータであり、モータ本体711,出力軸となるシャフト713,及びモータ本体711の上方側の蓋となるモータプレート712と、を有する。
ベアリングユニット72は、スリーブ721及びラジアルベアリング722を有する。スリーブ721は筒状であって、その外面にラジアルベアリング722の内輪(不図示)が嵌着されている。
【0020】
スリーブ721は、上部に、雄ねじが形成された雄ねじ部7211を有する。
モータマウント73は、平板状のマウントベース731と、マウントベース731の中央部において2段に縮径して突出した突出部733と、マウントベース731に圧入されて上方に突出するマウントピン732と、を有する。
突出部733は、根本側突出部7331と、それより小径の先端側突出部7332とを有する。
【0021】
ベース75については、その斜視図である図6も参照して説明する。
ベース75は、上下に延びる軸線CL75を中心とする貫通孔751を有して円盤状に形成されている。
ベース75は、基準面757,周縁リブ752,凹部753,及び周溝754を有する。
基準面757はベース75における軸線CL75方向の基準となる面である。周縁リブ752は、基準面757の周縁に上方に突出して形成されている。凹部753は、基準面757の中央部において円形に凹んだ部分として形成されている。周溝754は、基準面757に形成されている。
また、ベース75は、周壁の外周面における周方向に180°離隔した位置に、既述のキャップ係合部755を有する。
【0022】
歪ゲージユニット74については、斜視図である図7も参照して説明する。
図7に示されるように、歪ゲージユニット74は、ゲージ部741,カンチレバー742,及びホルダ743を含んでユニット化されている。
【0023】
ゲージ部741は、ビーム型ロードセルと称される市販品を用いている。
ゲージ部741は、図7おけるA-B方向を長手とする概ね直方体を呈し、側面741aにはひずみゲージ741bが貼られている。
歪ゲージユニット74は、ひずみゲージ741bによって、A端側に対するB端側の矢印DRb方向のまげ変形量に応じた電圧を出力する。
ゲージ部741のA端側は、ホルダ743に対しねじ745によって固定されている。
ゲージ部741のB端側には、ゲージ部741の長手方向に直交する方向に延びる薄板状のカンチレバー742が、ねじ744によって固定されている。
ゲージ部741の出力電圧は、アンプ746(図2参照)により増幅される。アンプ746で増幅された電圧は制御部17によって監視され、必要に応じて記憶される。
【0024】
以上説明した複数の部材の組み付け状態について、図4及び図5を主に参照して説明する。
モータ71のモータプレート712は、モータマウント73にねじ734,735により固定されている。
ベアリングユニット72のスリーブ721には、モータ71のシャフト713が回転自在に挿通されている。
一方、ベアリングユニット72におけるラジアルベアリング722の外輪(不図示)は、モータマウント73の突出部733における先端側突出部7332の内面に圧入固定されている。
ベアリングユニット72のスリーブ721は、ベース75の貫通孔751に対し、下方側から、雄ねじ部7211が上方に突出するように挿通される。
この上方に突出した雄ねじ部7211に連結ナット76が締め付けられて、ベアリングユニット72はベース75に対し固定されている。
【0025】
これにより、モータ71は、モータマウント73に対しラジアルベアリング722を介して軸線CL71まわりに回転自在に支持されている。
また、モータ71のシャフト713も、モータマウント73に対して回転自在となっている。
【0026】
ベース75の下面756には、歪ゲージユニット74のホルダ743が不図示のねじによって所定の姿勢で固定されている。
図8及び図9は、歪ゲージユニット74のモータ71などに対する配置位置を説明するための図である。
詳しくは、図8は、モータ71,ベアリングユニット72,モータマウント73,及び歪ゲージユニット74の組み付け状態を示す上面図である。図8における(S4)-(S4)位置が図4の断面位置に対応している。
図9は、図8の前面図であり、歪ゲージユニット74のホルダ743が固定されているベース75の下面756の一部も断面で記載してある。
【0027】
図8に示されるように、ベース75に対し軸線CL71まわりに回転自在に支持されたモータ71は、ベース75に固定された歪ゲージユニット74によって、正逆方向の回動がそれぞれ規制される。
【0028】
まず、図8における時計回り方向の回動(矢印DRc)は、モータマウント73のマウントベース731が、歪ゲージユニット74のホルダ743に位置E1において当接することで規制される。
これは、図9に示されるように、ホルダ743が、モータ71の軸線CL71方向において、ベース75側から下方側に、モータマウント73に対応した位置を超えて延びているためである。
【0029】
また、図8における反時計回り方向の回動(矢印DRd)は、モータマウント73のマウントピン732が歪ゲージユニット74のカンチレバー742の先端部7421に当接することで規制される。これは、図9に示されるように、カンチレバー742が、軸線CL71方向において、モータマウント73に対し上方側に離隔し、かつマウントピン732にのみ当接するよう配置されていることによる。
【0030】
モータマウント73の時計回り方向の回動でのホルダ743に対する当接では、ホルダ743が実質的に変形することなくモータ71の回動が停止する。
一方、モータマウント73の反時計回り方向の回動におけるマウントピン732のカンチレバー742への当接では、マウントピン732がカンチレバー742を押す。これにより、ゲージ部741は、A側端部を固定端としてB側端部が矢印DRb方向に曲げ変形する。ゲージ部741は、その変形に基づく歪み量に対応した電圧を出力する。
すなわち、測定ユニット7は、モータ71の反時計回り方向(矢印DRd)の回動付勢力を、歪ゲージユニット74の出力電圧に基づいて求めることができる。
【0031】
ここまで、測定ユニット7のベース75より下側の構成について説明した。次に、測定ユニット7のベース75から上側の構成を、図4及び図5を参照して説明する。
【0032】
スリーブ721から上方に突出したシャフト713の先端部には、円盤状の回転プレート77が同軸で固定されている。
回転プレート77は、周縁部に、複数の磁石であるプレートマグネット771が、上方側をすべて同極として同じ径方向位置及び等角度間隔で嵌め込まれている。ここでは、上方側がN極となる姿勢で嵌め込まれているものとする。
【0033】
回転プレート77は、ベース75の凹部753内に収容され、回転プレート77の上面772は、ベース75の基準面757よりも下方に位置している。
ベース75の基準面757には、防水プレート79が、周溝754に嵌め込まれたOリング78を押圧した状態で不図示のねじにより固定されている。
詳しくは、周溝754に、Oリング78が上方に僅かに突出するように収められ、防水プレート79は、Oリング78を下方に圧縮し基準面757に密着するように取り付けられている。
ベース75の凹部753の内部空間は、Oリング78の押圧を伴う防水プレート79の基準面757への密着とスリーブ721の連結ナット76の螺合とによって、外部に対し水密状態で維持される。
【0034】
防水プレート79の上面には、スラストベアリング80を介して測定ステージ81が載置される。
測定ステージ81は、円盤状を呈し、下面815の中央部には、同軸でスラストベアリング80が取り付けられている。
また、測定ステージ81の下面815には、スラストベアリング80を取り囲むように、複数のステージマグネット814が嵌め込まれている。
【0035】
ここで、複数のステージマグネット814は、ある回動位置において、それぞれが回転プレート77の複数のプレートマグネット771のいずれかと概ね対向するように配置されている。
また、複数のステージマグネット814は、プレートマグネット771と対向する側(下方)の磁極が、プレートマグネット771と引き合うよう異極となる姿勢で測定ステージ81に嵌め込まれている。
プレートマグネット771が、既述のように上方側がN極となる姿勢で配置されている場合、ステージマグネット814は、下方側がS極となる姿勢で配置されている。
【0036】
このように、複数のステージマグネット814それぞれが複数のプレートマグネット771のいずれかと対向し、互いに磁気的に引き合うようになっている。そのため、測定ステージ81は、防水プレート79上に、磁気吸引によって軸線CL71を軸として自動調芯され、位置決めされる。
【0037】
測定ステージ81は、回転プレート77に対し直接連結されてはいないものの、ラジアル方向には磁気バランスが取れるように自動的に同軸で位置出しされている。また、測定ステージ81は、スラスト方向には回転プレート77に磁気的に吸引されてスラストベアリング80を介して位置決めされ、回転方向にはスラストベアリング80によって摩擦抵抗が実質的に無視できる状態になっている。
これにより、測定ステージ81は、回転プレート77の回転に伴い実質一体的に同期回転する。
【0038】
測定ステージ81の上面には、わずかに窪んだ円形の平坦面である試料載置面811aを有する既述の試料載置部811が形成されている。
試料載置部811の径方向外側には、全周に亘り深く抉られた溝である周溝部813が形成されている。
これにより、試料載置部811と周溝部813との間の部分は、相対的に、全周に亘って上方に突出した土手部812となっている。
【0039】
試料載置面811aは、ステージ部2に測定キャップ3が取り付けられた状態で、測定キャップ3のキャップステージ部33の対向面33aと僅かな隙間をもって平行に対向する。すなわち、試料載置面811aと対向面33aとは近接対向する。僅かな隙間は、例えば、0.1~0.2mm程度である。
測定ユニット7における、シャフト713,回転プレート77,及び測定ステージ81を含む系を、モータ本体711に対して相対的に回転する回転系Raと称する。
【0040】
以上詳述した測定ユニット7は、図4に示されるように、ベース75が上ケース111に対してOリング114を挟んで不図示のねじにより固定されることで筐体11に取り付けられる。
筐体11は、上ケース111が下ケース112に対しOリング113を挟んで不図示のねじにより固定されることで形成される。これにより、筐体11の内部は、外部空間に対し水密状態で維持される。
測定ユニット7は、筐体11に対し、ベース75のみが連結されると共にベース75以外の部材が筐体11側の固定部材に接触しない状態で、支持されている。
【0041】
次に、粘度計51の粘度測定動作について詳述する。粘度Pを測定する試料を試料Smとする。
まず、既述のように、粘度計51を、測定キャップ3を外した状態で試料載置部811の試料載置面811aが上方を向いて水平となるようにする。
試料載置面811a上に、試料Smを例えば0.3ml程度載せ、測定キャップ3をベース75に取り付ける。
また、制御部17は、温度センサ14bが測定した本体部1の周囲の雰囲気温度を表示部12に表示させる。制御部17は、測定した雰囲気温度に基づき、周知の方法による温度補償をして粘度Pを求めてもよい。
【0042】
図10は、試料Smを試料載置面811aに載せ、測定キャップ3をベース75に取り付けた状態での、キャップステージ部33の対向面33aと試料載置部811の試料載置面811aとの隙間を含む部分の一部破断した拡大断面図である。
測定キャップ3を取り付けることで、試料載置面811a上の試料は、試料載置面811aとキャップステージ部33の対向面33aとが対向する円形部分の隙間に広がって保持される。
この隙間は、直径Daで高さtaの薄い円盤状の空間である。直径Daは、キャップステージ部33の直径であり例えば25mm、高さtaはキャップステージ部33の対向面33aと試料載置部811の試料載置面811aとの隙間の軸線CL71方向の距離であり、例えば0.1~0.2mmである。この試料が全体に又は一部に充填され保持される薄い円盤状の空間を試料充填空間Vaと称する。
【0043】
試料載置面811aに対し、試料Smの量をある程度多く載置した場合、一部の試料Smが土手部812を乗り越えても周溝部813に溜まり、測定ステージ81の外に溢れ出ることはない。
すなわち、試料載置面811aに試料Smを過剰な量で載置しない限り、試料Smは、測定ステージ81の周縁から防水プレート79上に落下しないので敏感な測定ステージ81の回転に影響を与える虞はほとんどない。
【0044】
適量の試料Smを試料載置部811に載せ、測定キャップ3をベース75に取り付けた後、使用者が測定開始ボタン13bを押すと、CPU171は、モータ71を起動させる。詳しくは、CPU171は、予め設定された起動条件Ptで、モータ本体711に対しシャフト713を含む回転系Raを起動する。起動条件Ptは、回転系Raを、起動開始から約1秒未満(例えば約0.8秒後)に運転パルス速度5000Hzで定常回転させる条件として設定しておく。
モータ本体711に対するシャフト713の回転方向は、上面図である図8において時計回り方向(矢印DRc)である。
【0045】
起動条件Ptは、試料Smの種類毎に予め設定し、記憶部172に試料Smに紐付けして記憶させておく。
【0046】
試料充填空間Vaに試料Smがない非測定状態では、回転系Raの起動特性に影響を与える外部要因はなく、高精度に安定した起動特性が得られる。ここで起動特性は、回転系Raの回転数の時間推移として示される。
一方、試料充填空間Vaに試料Smが存在する測定状態では、試料充填空間Vaに充填された試料Smの粘性応力による抵抗が生じるため、回転系Raは、付与されるトルクがその抵抗に抗する起動トルクに達するまでは回転しない。
そのため、モータ本体711は、回転系Raが試料Smの粘性抵抗のために回転しないことで生じる反作用のトルクによって、図8に示される反時計回り方向に回転する。
モータ本体711が反時計回り方向に回転すると、マウントピン732がカンチレバー742を押して歪ゲージが変形し、その変形抵抗によって回転系Raに付与される回転方向のトルクが上昇する。
この回転方向のトルクが起動トルクに達すると、回転系Raが回転を開始し、それ以降は試料Smの粘性に応じた反作用トルクTqaと歪ゲージの変形抵抗との平衡状態で回転が継続する。
【0047】
回転指令時刻から回転方向のトルクが起動トルクに達して回転を開始するまでに要する時間(起動時間)経過後は、回転系Raには、回転を妨げる方向の一定の反作用トルクTqaが付与された平衡状態となって一定の回転数で回転する。
【0048】
すなわち、CPU171の起動指令によって、シャフト713は、モータ本体711に対し図8における時計回り方向(矢印DRc)方向に回転しようとする。これに連動してシャフト713の先端に固定されている回転プレート77も回転しようとし、回転プレート77に対し機械的に連結されていないものの磁気的に連動して測定ステージ81も回転しようとする。
しかしながら、試料充填空間Vaに試料Smが充填されていることから、上述のように、モータ本体711の押圧による歪ゲージの変形抵抗による回転方向のトルクが試料Smの粘性に応じた起動トルクに達して回転系Raが回転する。
【0049】
回転系Raの回転開始後は、回転を妨げる方向の反作用トルクTqaが回転系Raに作用する。
既述のように、測定ユニット7は、モータ本体711がベース75及び回転系Raに対して回転可能になっていることから、モータ本体711は、反作用トルクTqaによって図8における反時計回り方向(矢印DRd)に回転し、反作用トルクTqaの大きさに対応した力でカンチレバー742を図8の下方に押す。
これにより、ゲージ部741は、固定端となるA端に対してB端側が下方(矢印DRb)に変形し、その変形量に応じた電圧を出力する。
【0050】
図11は、回転系Raの起動動作におけるゲージ部741からの出力電圧Vの時間推移特性VTを示したグラフである。
グラフの縦軸は出力電圧Vである。時間推移特性VTは、ゲージ部741に歪みがない自然状態で電圧V1を示し、起動後の反作用トルクTqaが付与されて歪が生じつつ平衡状態となっている定常回転時に電圧V2を示す。
グラフの横軸は時間tである。時刻t1が起動指令時、時刻t2が、回転方向のトルクが起動トルクに達した回転開始時、である。
時刻t3及び時刻t4は、それぞれ測定開始時刻及び測定終了時刻である。CPU171は、時刻t3から時刻t4までの間の出力電圧Vを平均し、平均値を試料Smの粘度Pを求めるための基準測定電圧V2aとして採用する。
【0051】
具体的数値例は、電圧V1は0.610Vであり、電圧V2は1.630Vである。また、時刻t1を0(ゼロ)秒とすると、時刻t2は0.824秒、時刻t3は1.00秒、時刻t4は1.30秒である。
【0052】
制御部17の記憶部172には、試料Smの種類と試料Smの種類毎に対応させた起動条件Ptとを予め紐付けして記憶させておく。
起動条件は、例えば、試料として、粘度Pが異なる複数の粘度計校正用標準液を用い、それぞれの粘度で図11における時間推移特性VTの起動時間(時刻t2-時刻t1)が1秒未満となるように、起動パルス速度及び運転パルス速度を決めて設定する。
【0053】
そして、複数の粘度Pと、複数の粘度Pそれぞれに対応させた起動条件Ptと、実際に粘度Pの異なる複数の粘度計校正標準液を試料として起動させてそれぞれに得た基準測定電圧V2aと、を紐付けした起動条件テーブルTBaを作成する。作成した起動条件テーブルTBaは、記憶部172に記憶させておく。
【0054】
起動条件テーブルTBaは、試料の種類毎に作成されることが望ましい。
試料の種類の分類例は、例えば、潤滑油、調理油、食用ソース、塗料などである。
起動条件テーブルTBaを、試料の種類毎に作成し、それぞれで粘度Pと基準測定電圧V2aとの関係を得ておくと、より高精度に粘度Pの推定ができ、試料がニュートン流体か非ニュートン流体かに応じて、粘度Pを推定する最適な処理方法を選択できる。
【0055】
起動条件テーブルTBaの一例を図12に示す。
図12に示された起動条件テーブルTBaは、試料の種類が「潤滑油A(ニュートン流体)」として作成されたテーブル例である。
異なるn(nは2以上の整数)種の昇順に並べた粘度P1~Pnの試料を測定する際の起動条件として、それぞれに起動条件Pt1~Ptm(mは2以上かつn以下の整数)のいずれかを対応させる。粘度Pの値が近い試料は、同じ起動条件で測定できるので、図12の起動条件テーブルTBaでは、粘度P1~P3の試料は同じ起動条件Pt1を対応させ、粘度P4以降について起動条件Pt2を対応させる、などの設定をしている。
粘度Pが大きい試料ほど、起動パルス速度及び運転パルス速度の少なくとも一方を大きくして、起動時間が所定の時間未満(例えば1秒未満)となるように調整している。
【0056】
また、図12に示される起動条件テーブルTBaは、試料の種類毎に、粘度P1~Pnのそれぞれの試料について、対応づけた起動条件でモータ71を起動し、得られた基準測定電圧V2aをそれぞれ基準測定電圧V2a1~V2anとして紐付けしてある。
【0057】
起動条件テーブルTBaによれば、複数の粘度Pそれぞれに対応する起動条件Pt及び基準測定電圧V2aが把握される。また、逆に、複数の起動条件Ptそれぞれにおいて、基準測定電圧V2aと粘度Pとの対応関係が把握される。
すなわち、粘度Pの詳細が不明の試料について、ある起動条件Ptを用いて基準測定電圧V2aを求め、得られた結果からその試料の粘度Pを推定することができる。
【0058】
試料がニュートン流体の場合は、粘度Pと基準測定電圧V2aとが実質的に比例関係となるので、予め測定したデータ数が少なくても高い精度で粘度Pを推定できる。そのため起動条件テーブルTBa毎に、粘度Pと基準測定電圧V2aとの比例関係を示す関係式Qaを記憶部172に記憶させておくとよい。
非ニュートン流体の場合は、複数のデータから近似曲線を推定し、その近似曲線の関係式Qbを紐付けして記憶部172に記憶させておくとよい。
【0059】
一般に、液体の試料は、容器に入れ攪拌したときの抵抗などから粘度Pの概略値がある程度推測される。その試料の正確な粘度Pを粘度計51で測定する手順例を次に説明する。
ここで測定する試料は、推測される粘度Pが、図12に示される粘度P4に近い試料Sm1とする。
【0060】
まず、測定者は、試料Sm1の種類と、試料Sm1で推測された概略の粘度に近い粘度P4の数値を、粘度計51の操作部13から入力する。
CPU171は、記憶部172に記憶された複数の起動条件テーブルから、入力された種類である「潤滑油A(ニュートン流体)」に該当する起動条件テーブルTBa(ここでは図12とする)を参照する。
CPU171は、起動条件テーブルTBaから、粘度P4に対応した起動条件Pt2を取得し、その起動条件Pt2を、これから行う測定における起動条件として設定し記憶部172に記憶させる。
【0061】
測定者は、粘度計51の下面を水平面上に置く。次いで、測定者は、試料Sm1の所定量を試料載置部811に載置し、測定キャップ3をベース75に取り付け、測定開始ボタン13bを押す。
CPU171は、測定開始ボタン13bの押圧により、設定した起動条件Pt2で回転系Raを起動し、得られた基準測定電圧V2aを基準測定電圧V2ayとして記憶部172に記憶する。
【0062】
CPU171は、得られた基準測定電圧V2ayと、起動条件テーブルTBaから取得した粘度P4における基準測定電圧V2a4と、を比較し、その差分を関係式Qaに代入して試料Sm1の粘度を求め、記憶部172に記憶させると共に表示部12に表示する。
CPU171が基準測定電圧V2a1を得てから試料Sm1の粘度を求めて表示部12に表示するまでの時間は極めて短く、測定開始ボタン13bの押圧からとしても1秒程度である。
【0063】
以上のように、粘度計51は、第1の円形平面(対向面33a)を有する固定側部材である第1のステージ部(キャップステージ部33)を備えている。また,粘度計51は、第1の円形平面(対向面33a)に対し微少隙間をもって平行に対向配置された第2の円形平面(試料載置面811a)を有する回転部材である第2のステージ部(測定ステージ81)を備えている。ここで、微少空間は試料充填空間Vaである。
また、粘度計51は、測定ステージ81に直接的又は間接的に連結して同期回転するシャフト713と固定側部材であるベース75に対し回転自在に支持されたモータ本体711とを有するモータ71を備えている。また、粘度計51は、モータ本体711の第1の方向(矢印DRd)の回転によって付勢されるカンチレバー742を有する歪ゲージユニット74を備えている。
さらに、粘度計51は、起動条件テーブルTBaを記憶した記憶部172及びモータ71の動作を制御するCPU171を含む制御部17を備えている。
制御部17は、カンチレバー742が付勢されて生じる歪ゲージユニット74の変形量に基づき出力される基準測定電圧V2aを把握し、起動条件テーブルTBaを参照して基準測定電圧V2aに対応した粘度Pを求める。
【0064】
これにより、試料充填空間Vaに試料が充填された状態で、制御部17がシャフト713及び測定ステージ81を含む回転系Raを第1の方向とは反対の第2の方向に起動させると、試料の粘性応力による抵抗でモータ本体711が第1の方向に回転する。そして、回転系Raが定常回転に達した後も粘性抵抗に応じた反作用トルクTqaでカンチレバー742を当接付勢する。
制御部17は、回転系Raが定常回転に達した直後の基準測定電圧V2aに基づいて試料の粘度Pを求める。
回転系Raが定常回転に達するでの起動時間は、例えば1秒未満の短時間に設定できるので、粘度計51は短時間で粘度Pを測定できる。また、測定時間が短いため、試料の温度上昇は無視できる程度に抑制されるため、高精度で粘度Pを測定できる。
【0065】
粘度計51は、わずかな量の試料で粘度測定ができるため、測定場所が限定されにくい。また、対向面33a及び試料載置面811aが平坦であり、比較的面積が小さいので、測定後の洗浄が容易である。
このように、粘度計51は、取り扱いが容易である。
【0066】
実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形してよい。
【0067】
粘度計51として、本体部1が把持可能ないわゆるハンディタイプを説明したが、粘度計51は、本体部1を机や棚の上に置いて測定するいわゆる据え置きタイプであってもよい。
すなわち、測定ユニット7を取り付ける筐体11の態様は限定されない。
【0068】
粘度計51の態様がハンディタイプ及び据え置きタイプのいずれにおいても、図13に示されるように、測定ユニット7と制御部17とを独立分離し、それぞれに通信部を備えて両者間を無線又は有線で通信するシステムとして構成してもよい。
【0069】
図13は、例えば、試料を製造するk(kは2以上の整数)本のラインそれぞれに配置された粘度測定ユニット7A1~7Akと、それぞれの粘度測定ユニット7A1~7Akと無線又は有線で通信する集中制御装置17Tを備えた粘度測定システム52の構成例を示した図である。
粘度測定ユニット7A1~7Akは、それぞれ粘度測定ユニット7及び測定側通信部91を有する。集中制御装置17Tは、制御側通信部92及び集中制御部17Sを有する。
集中制御部17Sは、粘度計51の制御部17による一つの粘度測定ユニット7に対する制御と同様の制御を、複数の粘度測定ユニット7A1~7Akに対し同時に実行できるものである。集中制御部17Sは、粘度測定ユニット7A1~7Akに関する情報を、集中表示部121に表示させる。
【0070】
粘度測定ユニット7A1~7Akは、それぞれ、測定キャップ3の取り付け及び取り外し、試料載置部811への試料の載置、測定後の測定キャップ3及び試料載置部811の洗浄を含む粘度測定、を自動実行できるようにするとよい。それにより、短時間で高精度の粘度が測定できる粘度計51の機能を生かし、高効率で粘度のばらつきの少ない高品質の試料製造が可能となる。
【0071】
モータ71は、ステップモータに限定されるものではなくDCモータやACモータを用いてもよい。複数の起動条件Ptそれぞれでの起動を、繰り返し精度よく安定実行できるという観点において、ステップモータを用いることは好ましい。
【0072】
試料充填空間Vaを形成する対向面の組は、上述の対向面33a及び試料載置面811aの組のように、互いに平行な平面であることに限定されない。例えば、対向する凸円錐面及び凹円錐面や、対向する凸曲面及び凹曲面などであってもよい。
【0073】
モータ71のシャフト713と回転プレート77とを連結する構成は、上述のように磁気吸引力などにより間接的に連結して同期回転するものに限らず、直接的に連結して同期回転するものであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 本体部
1a 上面
11 筐体
111 上ケース、 112 下ケース、 113,114 Oリング
12 表示部
12a 表示素子、 121 集中表示部
13 操作部
13a 電源ボタン、 13b 測定開始ボタン
14 温度検出部、 14a 孔、 14b 温度センサ
15 電池収納部、 15a 蓋
16 基板
17 制御部、 17S 集中制御部、 17T 集中制御装置
171 中央処理装置(CPU)、 172 記憶部
2 ステージ部
3 測定キャップ
31 平底部、 32 周壁部、 33 キャップステージ部
33a 対向面
51 粘度計、 52 粘度測定システム
7,7A1~7Ak 測定ユニット(粘度測定ユニット)
71 モータ
711 モータ本体、 712 モータプレート、 713 シャフト
72 ベアリングユニット
721 スリーブ、 7211 雄ねじ部
722 ラジアルベアリング
73 モータマウント
731 マウントベース、 732 マウントピン、 733 突出部
7331 根本側突出部、 7332 先端側突出部
734,735 ねじ
74 歪ゲージユニット
741 ゲージ部、 741a 側面、 741b ひずみゲージ
742 カンチレバー、 7421 先端部、 743 ホルダ
744,745 ねじ、 746 アンプ
75 ベース
751 貫通孔、 752 周縁リブ、 753 凹部
754 周溝、 755 キャップ係合部、 756 下面
757 基準面
76 連結ナット
77 回転プレート
771 プレートマグネット、 772 上面
78 Oリング、 79 防水プレート、 80 スラストベアリング
81 測定ステージ
811 試料載置部、 811a 試料載置面、 812 土手部
813 周溝部、 814 ステージマグネット、 815 下面
91 測定側通信部、 92 制御側通信部
BT バッテリ、 CL71,CL75 軸線、 Da 直径 E1 位置
Pt,Pt1~Ptm 起動条件、 P,P1~Pn 粘度
Qa,Qb 関係式、 Ra 回転系、 Sm,Sm1 試料
TBa 起動条件テーブル、 ta 高さ、 Tqa 反作用トルク
t1~t4 時刻、 Va 試料充填空間、 VT 時間推移特性
V 出力電圧、 V1,V2 電圧
V2a,V2a1~V2an,V2ay 基準測定電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13