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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】作業ロボット安全システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
B25J19/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019118689
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021003764
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】507183066
【氏名又は名称】株式会社ケー・デー・イー
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】平岡 邦廣
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6708956(US,B1)
【文献】特開平11-236996(JP,A)
【文献】特開平06-288142(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194017(WO,A1)
【文献】特開2006-153126(JP,A)
【文献】特開2004-156312(JP,A)
【文献】国際公開第2007/085330(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
F16P 3/00 - 3/24
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ロボットが設置された作業スペースの床面又は天面に設けられるマーカと、
前記作業ロボットの動作領域外に設置されると共に、前記動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と当該ルートを開放する開放位置との間で移動可能な仕切部材と、
前記仕切部材に設けられ、前記マーカを検知するマーカ検知センサとを具備し、
前記マーカ検知センサが、前記仕切部材が前記閉鎖位置に設置された場合に前記マーカを検知し、少なくとも前記仕切部材が前記開放位置に設置された場合に前記マーカを検知しなくなるものであり、
前記マーカ検知センサが前記マーカを検知しなくなった場合に、前記作業ロボットの運転を停止させる運転停止部をさらに具備していることを特徴とする作業ロボット安全システム。
【請求項2】
前記マーカが、板状、シート状、又は、塗膜状のものである請求項1記載の作業ロボット安全システム。
【請求項3】
前記マーカが、光を反射するものであり、
前記マーカ検知センサが、前記マーカの反射光に基づき当該マーカを検知するものである請求項1又は2のいずれかに記載の作業ロボット安全システム。
【請求項4】
前記マーカ検知センサにおける前記マーカの検知状態を報知する報知機構をさらに具備している請求項1乃至3のいずれかに記載の作業ロボット安全システム。
【請求項5】
前記運転停止部が前記作業ロボットの運転を停止した後、前記マーカ検知センサが前記マーカを検知した場合に、前記作業ロボットの運転を再開させる運転再開部をさらに具備している請求項1乃至4のいずれかに記載の作業ロボット安全システム。
【請求項6】
前記仕切部材が、前記動作領域を囲むように複数直列状に並べられるものであり、
隣り合う前記仕切部材が、互いに屈曲可能に接続されており、
前記マーカ検知センサが、少なくとも両端に位置する前記仕切部材に設けられており、
前記マーカが、前記マーカ検知センサに対応する数前記床面又は天面に取り付けられている請求項1乃至5のいずれかに記載の作業ロボット安全システム。
【請求項7】
作業ロボットの動作領域外に設置されると共に、前記動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と当該ルートを開放する開放位置との間で移動可能な仕切部材と、
前記仕切部材に設けられ、前記作業ロボットが設置された作業スペースの床面又は天面に設けられるマーカを検知するマーカ検知センサとを具備し、
前記マーカ検知センサが、前記仕切部材が前記閉鎖位置に設置された場合に前記マーカを検知し、前記仕切部材が前記開放位置に設置された場合に前記マーカを検知しなくなるものであり、
前記マーカ検知センサが前記マーカを検知しなくなった場合に、前記作業ロボットの運転を停止させる運転停止部をさらに具備していることを特徴とする作業ロボット安全システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ロボット安全システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業ロボット安全システムとして、作業ロボットに動作領域に対応した検知範囲を備えたエリアセンサを設置し、エリアセンサが検知範囲に侵入した作業者を検知した場合に、作業ロボットの運転を停止させる構成のものがある。
【0003】
しかし、前記作業ロボット安全システムでは、作業者がエリアセンサの検知範囲を視覚的に把握することができず、不用意に検知範囲へ侵入して作業ロボットの運転を中断したり、また、検知範囲へ勢い良く侵入して作業ロボットと衝突したりするという問題がある。
【0004】
一方、前記作業ロボット安全システムとして、特許文献1に示すように、作業ロボットの設置面に支承された防護壁と、作業ロボットの設置面と防護壁との間に設けられ、作業ロボットに対する防護壁の移動を検知する防護壁移動検知手段と、を備えたものがある。
【0005】
しかし、前記作業ロボット安全システムでは、防護壁の移動が防護壁移動検知手段等によって制限されており、防護壁が設置された部分から作業ロボットの動作領域内へアクセスし難いという問題がある。このため、作業ロボット周囲に防護壁が設置されていない部分を設け、作業ロボットの動作領域内へアクセスするルートを形成しているが、この場合、作業者が当該ルートから作業ロボットへ近づくと、防護壁移動検知手段が作動せず、安全性が確保されないという問題がある。
【0006】
また、近年、町工場においては、狭い敷地を有効活用できるようにレイアウトの変更が容易な移動式の作業ロボットが導入されるケースが増えている。この場合、特許文献1のように、作業ロボットの設置面に防護壁検知手段が固定された構造のものでは、作業ロボットのレイアウトに合わせて防護壁を容易に設置し直すことができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実公平7-19732
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、作業ロボットの動作領域を視覚的に把握し易く、また、作業ロボットの動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを物理的に遮断して安全性を確保しながらも、必要に応じて当該ルートを容易に形成できる作業ロボット安全システムを提供することを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る作業ロボット安全システムは、作業ロボットが設置された作業スペースの床面又は天面に設けられるマーカと、前記作業ロボットの動作領域外に設置されると共に、前記作業スペースにおける前記動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と当該ルートを開放する開放位置との間で移動可能な仕切部材と、前記仕切部材に設けられ、前記マーカを検知するマーカ検知センサとを具備し、前記マーカ検知センサが、前記仕切部材が前記閉鎖位置に設置された場合に前記マーカを検知し、前記仕切部材が前記開放位置に設置された場合に前記マーカを検知しなくなるものであり、前記マーカ検知センサが前記マーカを検知しなくなった場合に、前記作業ロボットの運転を停止させる運転停止部をさらに具備していることを特徴とするものである。
【0010】
このようなものであれば、作業ロボットの動作領域外に設置される仕切部材を具備する構成としたので、作業者が、作業ロボットの動作領域を視覚的に把握できる。これにより、作業者は、動作領域付近で作業する場合に、仕切部材を意識して作業するようになり、動作領域へ不用意に侵入することがなくなる。
【0011】
また、仕切部材を、作業スペースにおける作業ロボットの動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と当該ルートを開放する開放位置との間で移動可能に設置したので、仕切部材を閉鎖位置に設置することにより、動作領域内へアクセスするルートを物理的に遮断でき、仕切部材を開放位置に設置することにより、当該ルートを容易に形成できる。
【0012】
また、作業スペースの床面又は天面に設置されたマーカを、仕切部材に設けられたマーカ検知センサによって検知する構成としたので、設置が容易である。すなわち、作業ロボットの動作領域を確認し、その動作領域に対応するようにマーカを設置することにより、仕切部材の閉鎖位置を簡単に設定することができる。
【0013】
また、仕切部材が開放位置に設置されたマーカ検知センサがマーカを検知しなくなった場合に、作業ロボットの運転を停止させる運転停止部をさらに具備する構成としてので、作業ロボットへアクセスするルートを形成された状態では、作業ロボットの運転が停止され、安全性が確保される。
【0014】
また、前記マーカの具体的な構成としては、板状、シート状、又は、塗膜状のものが挙げられる。
【0015】
このようなものであれば、例えば、作業ロボットが設置された作業スペース(作業室)の床面に設置したマーカが、当該床面から出っ張らない。これにより、作業者が前記ルートを移動する場合にマーカが邪魔にならない。
【0016】
前記マーカ及び前記マーカ検知センサの具体的な構成としては、前記マーカが、光を反射するものであり、前記マーカ検知センサが、前記マーカの反射光に基づき当該マーカを検知するものが挙げられる。
【0017】
このようなものであれば、マーカ検知センサが、マーカを非接触で検知するので、仕切部材とマーカとの位置合わせや設置が容易となる。
【0018】
また、仕切部材とマーカとを設置する場合に、マーカ検知センサがマーカを検知しているか否かを判別することが困難となる。そこで、前記マーカ検知センサにおける前記マーカの検知状態を報知する報知機構をさらに具備するように構成してもよい。
【0019】
このようなものであれば、作業者は、報知機構を介してマーカ検知センサがマーカを検知しているか否かを容易に判別できる。
【0020】
また、前記運転停止部が前記作業ロボットの運転を停止した後、再度前記マーカ検知センサが前記マーカを検知した場合に、前記作業ロボットの運転を再開させる運転再開部をさらに具備するように構成してもよい。
【0021】
このようなものであれば、作業ロボットへアクセスするルートを形成するために仕切部材を閉鎖位置から開放位置へ移動させた後、再度閉鎖位置に戻した場合に、作業ロボットの運転が自動的に再開されるようになり、作業効率が向上する。
【0022】
また、具体的な構成としては、前記仕切部材が、前記動作領域を囲むように複数直列状に並べられたものであり、隣り合う前記仕切部材が、互いに屈曲可能に接続されており、前記マーカ検知センサが、少なくとも両端に位置する前記仕切部材に設けられており、前記マーカが、前記マーカ検知センサに対応する数前記床面又は天面に取り付けられているものが挙げられる。
【0023】
また、本発明に係る作業ロボット安全システムは、作業ロボットの動作領域外に設置されると共に、前記動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と当該ルートを開放する開放位置との間で移動可能な仕切部材と、前記仕切部材に設けられ、前記作業ロボットが設置された作業スペースの床面又は天面に設けられるマーカを検知するマーカ検知センサとを具備し、前記マーカ検知センサが、前記仕切部材が前記閉鎖位置に設置された場合に前記マーカを検知し、前記仕切部材が前記開放位置に設置された場合に前記マーカを検知しなくなるものであり、前記マーカ検知センサが前記マーカを検知しなくなった場合に、前記作業ロボットの運転を停止させる運転停止部をさらに具備していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る作業ロボット安全システムによれば、作業ロボットの動作領域を視覚的に把握し易く、また、作業ロボットの動作領域外から当該動作領域内へアクセスするルートを物理的に遮断して安全性を確保しながらも、必要に応じて当該ルートを容易に形成できる。また、工場内のレイアウトに合わせて作業ロボットを移動させた場合にも手軽に移設できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る作業ロボット安全システムを示す模式図である。
図2】実施形態に係る作業ロボット安全システムを模式的に示す斜視図である。
図3】実施形態に係る作業ロボット制御部を模式的に示すブロック図である。
図4】他の実施形態に係る作業ロボット安全システムを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る作業ロボット安全システムを図面に基づいて説明する。
【0027】
本発明に係る作業ロボット安全システムは、工場等の作業ロボットが設置された作業スペースに設置されるものであり、作業ロボットの動作領域近辺で作業する作業者の安全を確保するためのものである。作業スペースは、工場等の作業ロボットが設置されるスペースであり、少なくとも床面を有するスペースであればよい。
【0028】
<実施形態> 本実施形態に係る作業ロボット安全システム100は、図1に示すように、作業ロボットMが設置された作業スペースSに設けられるマーカ10と、作業ロボットMの動作領域Aよりも外側に設置される仕切部材20と、作業ロボットMを制御する作業ロボット制御部30と、を備えている。なお、本実施形態の作業ロボットMは、移動式のものである。
【0029】
前記マーカ10は、作業スペースSの床面s1又は天面(図示せず)に設けられるものである。具体的には、マーカ10は、板状又はシート状のものである。この場合、マーカ10は、当該床面s1又は天面に着脱できるように粘着剤等によって貼り付けられているものが好ましい。また、マーカ10は、床面s1又は天面に塗装によって形成された塗膜状のものであってもよい。本実施形態のマーカ10は、作業スペースSの床面s1、言い換えれば、作業スペースSに設置された作業ロボットMの設置面に設けられており、作業ロボットMの動作領域Aよりも外側に配置されている。
【0030】
前記仕切部材20は、作業ロボットMの動作領域A外に設置されるものである。具体的には、仕切部材20は、作業者が作業ロボットMの動作領域A外から当該動作領域A内へアクセスするルートを閉鎖する閉鎖位置と、当該ルートを開放する開放位置と、の間で移動可能に設置される。本実施形態は、図2に示すように、三つの仕切部材20が設置されている。なお、三つの仕切部材20は、動作領域Aを囲むように直列状に並べられている。隣り合う仕切部材20は、蝶番等によって互いに屈曲可能に接続されている。また、各仕切部材20は、仕切板21と、仕切板21を支持する一対の支持足22と、を備えている。なお、仕切板21は、透光部21aを有している。これにより、仕切部材20によって囲まれた作業ロボットMを、動作領域A外から透光部21aを介して監視できるようになっている。
【0031】
ここで、前記閉鎖位置は、具体的には、図1において実線で示すように、仕切部材20が、作業ロボットMの動作領域Aと当該動作領域Aよりも外側の領域とを仕切るように設置される位置である。例えば、仕切部材が、作業ロボットMの動作領域Aの外縁に沿うように設置される位置である。また、前記開放位置は、具体的には、図1において点線で示すように、仕切部材20が、作業ロボットMの動作領域Aと当該動作領域Aよりも外側の領域とを仕切るように設置されない位置である。例えば、仕切部材が、作業ロボットMの動作領域Aの外縁に沿わないように設置される位置である。なお、開放位置は、図1に示すように動作領域Aの外側の位置であってもよく、動作領域Aの内側の位置であってもよい。
【0032】
また、前記仕切部材20には、マーカ10を非接触で検知するマーカ検知センサ23が設けられている。具体的には、マーカ検知センサ23は、指向性を有する検知領域を有しており、当該検知領域内に配置されたマーカ10を検知するように構成されている。なお、マーカ検知センサ23は、仕切部材20におけるマーカ10が取り付けられた作業スペースSの床面s1又は天面と対向する位置に設けられている。よって、本実施形態のマーカ検知センサ23は、仕切部材20におけるマーカ10が取り付けられた作業スペースSの床面s1と対向する位置(具体的には、仕切板21の下面)に設けられている。
【0033】
ここで、前記マーカ10は、仕切部材20が閉鎖位置に設置された状態で、マーカ検知センサ23に検知されるように作業スペースSの床面s1又は天面に設けられる。すなわち、マーカ10は、仕切部材が閉鎖位置に設置された状態で、マーカ検知センサ23の検知領域内に位置するように設けられる。なお、マーカ10は、マーカ検知センサ23と対向する面の面積が16cm以上49cm以下のものが好ましく、位置合わせ精度と簡便性を考慮すると、25cm前後である20cm以上30cm以下のものがより好ましい。
【0034】
本実施形態のマーカ検知センサ23は、光学式のものである。具体的には、マーカ検知センサ23は、光源から投光した光の反射光を受光し、その受光した光の強度に基づき、検知領域に配置されるマーカ10を検知するものである。詳述すると、マーカ検知センサ23は、検知領域内にマーカ10が配置されている場合には、マーカ10からの反射光を受光し、一方、検知領域内にマーカ10が配置されていない場合には、マーカ10以外の部材からの反射光を受光する。そして、前者の反射光と後者の反射光とは、光の強度が異なっている。このため、マーカ検知センサ23は、この光の強度の変化を利用してマーカ10を検知するように構成されている。よって、光学式のマーカ検知センサ23を使用した場合には、マーカ10として反射素材を使用することが好ましい。
【0035】
また、前記仕切部材20は、マーカ検知センサ23に接続され、当該マーカ検知センサ23の検知状態を報知する報知機構24を備えている。本実施形態の報知機構24は、マーカ検知センサ23がマーカ10を検知したことを報知する第1報知機構24aと、マーカ検知センサ23がマーカ10を検知していないことを報知する第2報知機構24bと、を備えている。
【0036】
前記第1報知機構24a及び前記第2報知機構24bは、具体的には、仕切部材20に設置された発光体を備えており、マーカ検知センサ23と接続されている。そして、第1報知機構24aは、マーカ検知センサ23がマーカ10を検知したことを示す検知信号を受信すると、発光体を点灯してその旨を報知するように構成されている。一方、第2報知機構24bは、マーカ検知センサ23がマーカ10を検知していないことを示す非検知信号を受信すると、発光体を点灯してその旨を報知するように構成されている。なお、第1報知機構24aと第2報知機構24bとは、それぞれ異なる色に発光するものである。
【0037】
なお、前記報知機構24は、報知手段として光を用いているが、音や振動等も用いることができる。
【0038】
前記作業ロボット制御部30は、作業ロボットMと各マーカ検知センサ23とに接続されている。具体的には、作業ロボット制御部30は、図3に示すように、CPU、メモリ、ADコンバータ、DCコンバータ、入力手段等を有したコンピュータであり、前記メモリに格納されたプログラムをCPUによって実行することにより、運転停止部30a及び運転再開部30bとして機構を発揮するように構成されている。なお、作業ロボット制御部30は、作業ロボットM又は仕切部材20にいずれかに設けてもよく、また、作業ロボットM及び仕切部材20とは別の他の装置に設けてもよい。本実施形態の作業ロボット制御部30は、作業ロボットMに設けられている。
【0039】
前記運転停止部30aは、マーカ検知センサ23が、マーカ10を検知しなくなった場合に、作業ロボットMの運転を停止するものである。具体的には、運転停止部30aは、マーカ検知センサ23からマーカ10を検知しなくなったことを示す非検知信号を受信した場合に、作業ロボットMへ運転停止信号を送信し、作業ロボットMの運転を停止させるものである。ここで、マーカ検知センサ23が、マーカ10を検知しなくなった場合とは、仕切部材20が閉鎖位置から開放位置へ移動させられた場合である。
【0040】
前記運転再開部30bは、運転停止部30aで運転を停止した後、マーカ検知センサ23が、マーカ10を検知した場合に、作業ロボットMの運転を再開させるものである。すなわち、運転再開部30bは、マーカ検知センサ23からマーカ10を検知したことを示す検知信号を受信した場合に、作業ロボットMへ運転開始信号を送信し、作業ロボットMの運転を再開させるものである。ここで、マーカ検知センサ23が、マーカ10を検知した場合とは、仕切部材20が開放位置から閉鎖位置へ移動させられた場合である。
【0041】
なお、図示していないが作業ロボットMは、作業ロボットMを操作するための操作装置を有している。なお、操作装置は、作業ロボットMと無線又は有線で接続されており、作業者が、作業ロボットMをその動作領域Aの外側から操作できるように、仕切部材20に設置されている。
【0042】
次に、本実施形態の使用方法を説明する。
【0043】
先ず、作業ロボットMの動作領域Aを把握した上で、当該動作領域A外の閉鎖位置に仕切部材20を設置する。ここで、本実施形態においては、動作領域Aを囲むように三つの仕切部材20を互いに屈曲させて設置する。これにより、作業ロボットMの動作領域Aと当該動作領域Aよりも外側の領域Aとが、仕切部材20によって仕切られた状態となる。
【0044】
次に、作業スペースSの床面s1にマーカ10を設置する。具体的には、仕切部材20を動かすことなく、マーカ10を、マーカ検知センサ23の検知領域内に配置されるように前記床面s1に設置する。この場合、第1報知機構24aを参照することにより、マーカ10が、マーカ検知センサ23の検知領域内に配置されたか否かを容易に確認できる。
【0045】
なお、これにより、マーカ10は、仕切部材20が作業ロボットMの動作領域Aよりも外側に配置された状態でマーカ検知センサ23の検知領域内に配置されるように設置される。この状態で、作業者は、動作領域A外から操作装置を用いて作業ロボットMの運転を開始する。
【0046】
作業ロボットMの運転を開始した後、作業者が、動作領域A内に位置する作業ロボットMへアクセスするルートを形成するために仕切部材20を開放位置へ移動させると、マーカ10がマーカ検知センサ23の検知領域外に位置付けられる。そして、マーカ検知センサ23から運転停止部30aへ非検知信号が送信され、運転停止部30aによって作業ロボットMの運転が停止される。これにより、仕切部材20が設置されていた閉鎖位置には、作業ロボットMへアクセスするためのルートが形成される。
【0047】
続いて、作業者が、動作領域A内で作業を終えた後、仕切部材20を閉鎖位置へ戻すと、マーカ10がマーカ検知センサ23の検知領域内に位置付けられる。そして、マーカ検知センサ23から運転再開部30bへ検知信号が送信され、運転再開部30bによって作業ロボットMの運転が再開される。
【0048】
<その他の実施形態> 前記実施形態においては、マーカ検知センサ23として光学式のものを用いたが、マーカ検知センサ23は、マーカを非接触で検知できるものであれば、他の検知方式のものであってもよい。例えば、静電容量方式、超音波方式、過電流方式等のものを使用することもできる。
【0049】
また、前記実施形態においては、複数の仕切部材20を互いに接続して配置したものを例示したが、これに限定されず、図4に示すように、仕切部材20を単体で設置してもよい。
【0050】
また、前記実施形態においては、仕切部材20の底面にマーカ検知センサ23を設け、マーク10を作業スペースSの床面s1に設置する構成としたが、仕切部材20の上面にマーカ検知センサ23を設け、マーカ10を作業スペースSの天面に設置する構成としてもよい。また、仕切部材20の側面にマーカ検知センサ23を設け、マーカ10を作業スペースSの側面に設置する構成としてもよい。
【0051】
また、前記実施形態においては、仕切部材20が、複数の仕切板21を接続した構造になっているが、例えば、その仕切板21の一部を作業台に変更した構造としてもよい。仕切部材20は、柵状のものに限定されない。
【0052】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100 作業ロボット安全システム
M 作業ロボット
A 動作領域
10 マーカ
20 仕切部材
21 仕切板
23 マーカ検知センサ
24 検知機構
30 作業ロボット制御部
30a 運転停止部
30b 運転再開部

図1
図2
図3
図4