(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】ワッシャ及び締結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 43/00 20060101AFI20221021BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20221021BHJP
F16B 39/24 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
F16B43/00 Z
F16B5/02 U
F16B39/24 A
(21)【出願番号】P 2020183831
(22)【出願日】2020-11-02
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592118815
【氏名又は名称】東洋発條工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青柳 宏
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-021710(JP,Y1)
【文献】実開昭52-032661(JP,U)
【文献】実公昭44-031007(JP,Y1)
【文献】特開2011-231860(JP,A)
【文献】特開2014-005859(JP,A)
【文献】特開2018-054013(JP,A)
【文献】登録実用新案第3177869(JP,U)
【文献】実開平02-117408(JP,U)
【文献】国際公開第2009/096031(WO,A1)
【文献】特開2009-144883(JP,A)
【文献】実開昭50-101764(JP,U)
【文献】実開昭47-004368(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 43/00
F16B 5/02
F16B 39/24
B21K 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材が押圧する表側面と、
第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて前記第1締結対象と前記第2締結対象とが締結される裏側面と、
前記裏側面の内周側部分に
周方向全体において設けられると共に、内周側に開放され、
前記表側面が表側において突出されないと共に、表側が前記締結部材によって弾性変形される変形凹部と、
を備えるワッシャ。
【請求項2】
前記変形凹部が前記締結部材より外周側まで配置される
請求項1記載のワッシャ。
【請求項3】
前記裏側面の外周側部分に設けられる抑制凹部を備える
請求項1又は請求項2記載のワッシャ。
【請求項4】
前記抑制凹部が延伸される請求項3
記載のワッシャ。
【請求項5】
複数の前記抑制凹部が連絡される請求項3又は
請求項4記載のワッシャ。
【請求項6】
周方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項3~請求項5の何れか1項
記載のワッシャ。
【請求項7】
径方向側に前記抑制凹部が複数設けられる請求項3
~請求項6の何れか1項記載のワッシャ。
【請求項8】
複数の前記抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される請求項3
~請求項7の何れか1項記載のワッシャ。
【請求項9】
軸方向に対し前記抑制凹部の側面が傾斜される請求項3
~請求項8の何れか1項記載のワッシャ。
【請求項10】
裏側面の内周側部分に周方向全体において設けられると共に、内周側に開放され、表側面が表側において突出されない変形凹部を備えるワッシャと、
前記ワッシャの前記表側面を押圧する締結部材と、
前記ワッシャの前記裏側面側に配置される第1締結対象と、
前記裏側面と前記第1締結対象との間に挟まれて前記第1締結対象と締結されると共に、前記ワッシャの前記変形凹部より表側が前記締結部材によって弾性変形される第2締結対象と、
を備える締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれるワッシャ及び当該ワッシャを備える締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のロックワッシャでは、表側面をナットが押圧すると共に、裏側面と被取付部材との間に取付対象物が挟まれて、被取付部材と取付対象物とが締結される。
【0003】
ここで、このようなロックワッシャでは、特に振動する場合にナットが回転して緩むことを抑制できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、締結部材の緩みを抑制できるワッシャ及び当該ワッシャを備える締結構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のワッシャは、締結部材が押圧する表側面と、第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて前記第1締結対象と前記第2締結対象とが締結される裏側面と、前記裏側面の内周側部分に設けられると共に、内周側に開放され、表側が前記締結部材によって弾性変形される変形凹部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のワッシャは、本発明の第1態様のワッシャにおいて、前記変形凹部が周方向全体に設けられる。
【0008】
本発明の第3態様のワッシャは、本発明の第1態様又は第2態様のワッシャにおいて、前記変形凹部が前記締結部材より外周側まで配置される。
【0009】
本発明の第4態様のワッシャは、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのワッシャにおいて、裏側面の外周側部分に設けられる抑制凹部を備える。
【0010】
本発明の第5態様のワッシャは、本発明の第4態様のワッシャにおいて、前記抑制凹部が延伸される。
【0011】
本発明の第6態様のワッシャは、本発明の第4態様又は第5態様のワッシャにおいて、複数の前記抑制凹部が連絡される。
【0012】
本発明の第7態様のワッシャは、本発明の第4態様~第6態様の何れか1つのワッシャにおいて、周方向側に前記抑制凹部が複数設けられる。
【0013】
本発明の第8態様のワッシャは、本発明の第4態様~第7態様の何れか1つのワッシャにおいて、径方向側に前記抑制凹部が複数設けられる。
【0014】
本発明の第9態様のワッシャは、本発明の第4態様~第8態様の何れか1つのワッシャにおいて、複数の前記抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される。
【0015】
本発明の第10態様のワッシャは、本発明の第4態様~第9態様の何れか1つのワッシャにおいて、軸方向に対し前記抑制凹部の側面が傾斜される。
【0016】
本発明の第11態様の締結構造は、裏側面の内周側部分に設けられると共に、内周側に開放される変形凹部を備えるワッシャと、前記ワッシャの表側面を押圧する締結部材と、前記ワッシャの前記裏側面側に配置される第1締結対象と、前記裏側面と前記第1締結対象との間に挟まれて前記第1締結対象と締結されると共に、前記ワッシャの前記変形凹部より表側が前記締結部材によって弾性変形される第2締結対象と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1態様のワッシャでは、表側面を締結部材が押圧すると共に、裏側面と第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて、第1締結対象と第2締結対象とが締結される。
【0018】
ここで、ワッシャでは、裏側面の内周側部分に変形凹部が設けられると共に、内周側に変形凹部が開放されており、変形凹部より表側が締結部材によって弾性変形される。このため、ワッシャの反力により締結部材の緩みを抑制できる。
【0019】
本発明の第2態様のワッシャでは、変形凹部が周方向全体に設けられる。このため、ワッシャの変形凹部より表側が締結部材によって効果的に弾性変形できて、ワッシャの反力を大きくできる。
【0020】
本発明の第3態様のワッシャでは、変形凹部が締結部材より外周側まで配置される。このため、ワッシャの変形凹部より表側が締結部材によって効果的に弾性変形できて、ワッシャの反力を大きくできる。
【0021】
本発明の第4態様のワッシャでは、裏側面の外周側部分に抑制凹部が設けられる。このため、ワッシャの回転を抑制できる。
【0022】
本発明の第5態様のワッシャでは、抑制凹部が延伸される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0023】
本発明の第6態様のワッシャでは、複数の抑制凹部が連絡される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0024】
本発明の第7態様のワッシャでは、周方向側に抑制凹部が複数設けられる。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0025】
本発明の第8態様のワッシャでは、径方向側に抑制凹部が複数設けられる。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0026】
本発明の第9態様のワッシャでは、複数の抑制凹部の深さ寸法が互いに相違される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0027】
本発明の第10態様のワッシャでは、軸方向に対し抑制凹部の側面が傾斜される。このため、ワッシャの回転を効果的に抑制できる。
【0028】
本発明の第11態様の締結構造では、ワッシャの表側面を締結部材が押圧すると共に、ワッシャの裏側面と第1締結対象との間に第2締結対象が挟まれて、第1締結対象と第2締結対象とが締結される。
【0029】
ここで、ワッシャでは、裏側面の内周側部分に変形凹部が設けられると共に、内周側に変形凹部が開放されており、変形凹部より表側が締結部材によって弾性変形される。このため、ワッシャの反力により締結部材の緩みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る締結構造を示す断面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
【
図4】(A)~(C)は、本発明の第3実施形態のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図であり、(C)は、拡大断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の第4実施形態のワッシャを示す図であり、(A)は、裏面図であり、(B)は、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る締結構造10が断面図にて示されている。なお、図面では、締結構造10の一側を矢印Aで示し、締結構造10の他側を矢印Bで示している。
【0032】
図1に示す如く、本実施形態に係る締結構造10には、第1締結対象としての板状の取付板12が設けられており、取付板12は、例えば各種の機械(自動車等の移動手段を含む)に設置される。また、取付板12には、第1孔としての円状の取付孔12Aが貫通形成されている。
【0033】
取付板12には、締結相手としてのボルト14が設けられている。ボルト14の他側には、押圧部としての円板状又は多角形板状の頭部14Aが同軸上に設けられており、頭部14Aは、取付板12の他側に固定(例えば溶接)されると共に、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されている。ボルト14の一側には、略円柱状の脚部14Bが同軸上に設けられており、脚部14Bは、頭部14Aから一側に延出されて、取付孔12Aに貫通及び嵌合されている。また、脚部14Bの外周面には、雄ネジ14Cが形成されている。
【0034】
取付板12の一側には、第2締結対象としての板状の締結板16が設けられている。締結板16には、第2孔としての円状の締結孔16Aが貫通形成されており、締結孔16Aは、取付板12の取付孔12Aと同軸上に配置されると共に、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。
【0035】
締結板16の一側には、締結部材としての筒状のナット18が設けられている。ナット18の外周は、多角形状にされており、ナット18の内周面には、雌ネジ(図示省略)が形成されている。雌ネジは、ボルト14(脚部14B)の雄ネジ14Cと螺合されており、ナット18内には、脚部14Bが貫通されている。
【0036】
締結板16とナット18との間には、略円環板状のワッシャ20(座金)が設けられており、ワッシャ20内には、ボルト14の脚部14Bが貫通及び嵌合されている。ワッシャ20の一側面及び他側面は、それぞれ表側面20A及び裏側面20Bにされており、表側面20A及び裏側面20Bは、それぞれナット18側及び締結板16側に配置されている。上述の如くボルト14の雄ネジ14Cとナット18の雌ネジとが螺合されて、ボルト14の頭部14Aとナット18との間に取付板12、締結板16及びワッシャ20が挟持されることで、取付板12と締結板16とが締結されており、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって他側に押圧されて、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。
【0037】
図2の(A)及び(B)に示す如く、ワッシャ20の裏側面20Bの内周側部分には、円環板状の変形凹部20Cが同軸上に形成されており、変形凹部20Cは、ワッシャ20の周方向全体に配置されている。変形凹部20Cは、ワッシャ20の周方向全体において、ワッシャ20の内周側に開放されており、変形凹部20Cの外周は、ワッシャ20の周方向全体において、ナット18(ナット18のワッシャ20との接触部分)の外周の内周側に配置されている。
【0038】
ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分には、溝状で断面矩形状の抑制凹部20Dが形成されており、抑制凹部20Dは、ワッシャ20の径方向に延伸されて、長手方向両端がそれぞれワッシャ20の外周側及び内周側(変形凹部20C側)に開放されている。抑制凹部20Dは、ワッシャ20の周方向に複数配置されており、複数の抑制凹部20Dは、ワッシャ20の周方向に等間隔に配置されている。
【0039】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0040】
以上の構成の締結構造10では、ボルト14及びナット18によって取付板12と締結板16とが締結されており、ワッシャ20の表側面20Aがナット18によって他側に押圧されて、ワッシャ20の裏側面20Bと取付板12との間に締結板16が挟まれている。
【0041】
ここで、ワッシャ20の裏側面20Bの内周側部分に変形凹部20Cが形成されると共に、変形凹部20Cがワッシャ20の内周側に開放されており、ワッシャ20の変形凹部20Cより表側がナット18によって凹状に弾性変形されている。このため、ワッシャ20の反力により、ワッシャ20とナット18との間、ボルト14(雄ネジ14C)とナット18(雌ネジ)との間、ワッシャ20と締結板16との間、及び、取付板12と締結板16との間の摩擦力(押圧力)を増加できる。しかも、ワッシャ20の裏側面20Bが、内周側の変形凹部20Cによって締結板16との接触面積を減少できて、外周側部分において締結板16に対する摩擦力(押圧力)を増加でき、ワッシャ20の回転抵抗トルクを大きくできる。
【0042】
これにより、締結構造10が設置される機械が振動する場合でも、ワッシャ20及びナット18の回転を抑制できて、ナット18の緩みを抑制できる。しかも、従来の螺旋状に曲げられたスプリングワッシャ(バネ座金)を使用する必要をなくすことができ、部品価格及び組付け費用を低減できる。
【0043】
さらに、変形凹部20Cが、ワッシャ20の周方向全体に形成されると共に、ワッシャ20の周方向全体においてナット18の外周より外周側まで配置されている。このため、ワッシャ20の変形凹部20Cより表側がナット18によって凹状に効果的に弾性変形できて、ワッシャ20の反力を大きくでき、ワッシャ20及びナット18の回転を効果的に抑制できて、ナット18の緩みを効果的に抑制できる。
【0044】
また、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分に抑制凹部20Dが形成されている。このため、抑制凹部20Dの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0045】
さらに、抑制凹部20Dが、ワッシャ20の径方向に延伸されると共に、ワッシャ20の周方向に複数形成されている。このため、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0046】
[第2実施形態]
図3(A)には、本発明の第2実施形態に係る締結構造30のワッシャ20が裏面図にて示されており、
図3(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されている。
【0047】
本実施形態に係る締結構造30は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0048】
図3の(A)及び(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造30では、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分に複数の抑制凹部20Dが網状に形成されており、第1群の抑制凹部20D(以下「抑制凹部20D1」という)と第2群の抑制凹部20D(以下「抑制凹部20D2」という)とは、それぞれ同一方向に延伸されている。第1群の抑制凹部20D1は、互いに等間隔に配置されると共に、第2群の抑制凹部20D2は、互いに等間隔に配置されており、第1群の抑制凹部20D1の間隔と第2群の抑制凹部20D2の間隔とは、同一にされている。第1群の抑制凹部20D1と第2群の抑制凹部20D2とは、互いに交差(本実施形態では直交)されて連通されており、抑制凹部20Dの長手方向両端は、ワッシャ20の外周側又は内周側(変形凹部20C側)に開放されている。
【0049】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0050】
特に、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分では、抑制凹部20Dが、延伸されると共に、ワッシャ20の径方向側及び周方向側に複数形成されている。このため、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0051】
さらに、抑制凹部20Dと抑制凹部20Dとが互いに交差されて連通されている。このため、抑制凹部20Dと抑制凹部20Dとの交差部分における抑制凹部20Dの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0052】
[第3実施形態]
図4(A)には、本発明の第3実施形態に係る締結構造40のワッシャ20が裏面図にて示されている。さらに、
図4(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されており、
図4(C)には、当該ワッシャ20が拡大断面図にて示されている。
【0053】
本実施形態に係る締結構造40は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0054】
図4の(A)~(C)に示す如く、本実施形態に係る締結構造40では、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分に円環状の抑制凹部20Dが同軸上に一対形成されており、抑制凹部20Dは、ワッシャ20の周方向全体において、ワッシャ20の周方向に延伸されている。抑制凹部20Dは、断面台形状にされており、抑制凹部20Dは、両側面がワッシャ20の軸方向に対し傾斜されて、ワッシャ20径方向の寸法(幅寸法)がワッシャ20の表側へ向かうに従い小さくされている。また、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Dは、ワッシャ20の内周側の抑制凹部20Dに比し、ワッシャ20軸方向における寸法(深さ寸法)が大きくされている。
【0055】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0056】
特に、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分では、抑制凹部20Dが、ワッシャ20の周方向に延伸されると共に、ワッシャ20の径方向に複数形成されている。このため、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0057】
さらに、抑制凹部20Dの両側面がワッシャ20の軸方向に対し傾斜されると共に、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Dがワッシャ20の内周側の抑制凹部20Dに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされている。このため、抑制凹部20Dの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0058】
なお、本実施形態では、ワッシャ20の外周側の抑制凹部20Dがワッシャ20の内周側の抑制凹部20Dに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされる。しかしながら、ワッシャ20の内周側の抑制凹部20Dがワッシャ20の外周側の抑制凹部20Dに比しワッシャ20軸方向における寸法を大きくされてもよい。
【0059】
[第4実施形態]
図5(A)には、本発明の第4実施形態に係る締結構造50のワッシャ20が裏面図にて示されており、
図5(B)には、当該ワッシャ20が断面図にて示されている。
【0060】
本実施形態に係る締結構造50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0061】
図5の(A)及び(B)に示す如く、本実施形態に係る締結構造50では、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分にディンプル状の抑制凹部20Dが複数形成されている。抑制凹部20Dの周面は、球面状にされており、抑制凹部20Dは、側面が全周においてワッシャ20の軸方向に対し傾斜されて、径方向寸法がワッシャ20の表側へ向かうに従い小さくされている。第1群の抑制凹部20D(以下「抑制凹部20D3」という)、第2群の抑制凹部20D(以下「抑制凹部20D4」という)及び第3群の抑制凹部20D(以下「抑制凹部20D5」という)は、ワッシャ20の内周側から外周側に向けて等間隔に配置されており、第1群の抑制凹部20D3、第2群の抑制凹部20D4及び第3群の抑制凹部20D5は、それぞれワッシャ20の周方向に等間隔に配置されている。第1群の抑制凹部20D3と第3群の抑制凹部20D5とは、ワッシャ20周方向の位置が一致されており、第2群の抑制凹部20D4は、第1群の抑制凹部20D3間及び第3群の抑制凹部20D5間のワッシャ20周方向中央の位置に配置されている。
【0062】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0063】
特に、ワッシャ20の裏側面20Bの外周側部分では、抑制凹部20Dがワッシャ20の径方向側及び周方向側に複数形成されている。このため、ワッシャ20の裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0064】
さらに、抑制凹部20Dの側面が全周においてワッシャ20の軸方向に対し傾斜されている。このため、抑制凹部20Dの裏側面20Bとの間の角部が締結板16に効果的に食い付くことができて、裏側面20Bの締結板16に対する摩擦力を一層増加でき、ワッシャ20及びナット18の回転を一層抑制できて、ナット18の緩みを一層抑制できる。
【0065】
なお、上記第1実施形態~第4実施形態では、ナット18と締結板16との間にワッシャ20が挟まれる。しかしながら、ボルト14(締結部材)の頭部14Aと取付板12(第2締結対象)との間にワッシャ20が挟まれてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 締結構造
12 取付板(第1締結対象)
16 締結板(第2締結対象)
18 ナット(締結部材)
20 ワッシャ
20A 表側面
20B 裏側面
20C 変形凹部
20D 抑制凹部
30 締結構造
40 締結構造
50 締結構造