(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】迅速交換装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/40 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
E02F3/40 E
(21)【出願番号】P 2020524337
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2019055374
(87)【国際公開番号】W WO2019170629
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】102018105049.6
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519209288
【氏名又は名称】オイルクイック ドイチュランド カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルシェル,フロリアン
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-524673(JP,A)
【文献】国際公開第2015/199081(WO,A1)
【文献】特開2000-008402(JP,A)
【文献】米国特許第06301811(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のアタッチメントを交換するための迅速交換装置(1)であって、支持部(2)と、第1の接続要素を受領するために前記支持部(2)の一方の側に配設された第1の収容部(3)と、第2の接続要素を受領するために前記支持部(2)の他方の側に配設された第2の収容部(4)と、前記第2の接続要素をその場で離脱可能に保持するためのロック装置と、前記アタッチメントを捕獲するために前記支持部(2)に配設された捕獲装置(8)とを有してなる、迅速交換装置において、
前記ロック装置は、後退した解放位置と、延び出たロック位置との間を移動可能な
複数のボルト形状のロック要素を有しており、
前記アタッチメントが、前記ロック要素の解放位置への意図しない動作
を生じさせる操作員の操作間違い
の結果として脱落するのを防止するために、前記捕獲装置(8)が、前記支持部(2)に旋回可能に配設された少なくとも1つの捕獲フック(9)を有している、ことを特徴とする迅速交換装置。
【請求項2】
前記捕獲装置(8)が、前記支持部(2)の前記第1の収容部(3)に旋回可能に配設された2つの捕獲フック(9)を有している、ことを特徴とする請求項1に記載の迅速交換装置。
【請求項3】
前記捕獲フック(9)が、横断軸(10)の周りで旋回できるように前記支持部(2)のブリッジ形態結合部材(11)に配設されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の迅速交換装置。
【請求項4】
前記ブリッジ形態結合部材(11)が横断腔部(12)を有し、前記捕獲フック(9)が前記横断軸(10)を受領するための受領腔部(15)を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の迅速交換装置。
【請求項5】
前記捕獲フック(9)が、軸受スリーブ(18)によって前記横断軸(10)に旋回可能に取り付けられている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の迅速交換装置。
【請求項6】
前記横断軸(10)は、脱落して捩れることを防止するためにピン(16)によって前記支持部(2)に対して固定されている、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の迅速交換装置。
【請求項7】
前記ブリッジ形態結合部材(11)は、前記捕獲フック(9)の2つの後方に延び出た脚部(14)間の中間空部(13)内に延び入っている、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の迅速交換装置。
【請求項8】
前記捕獲フック(9)が、前記脚部(14)の各端部にて前記支持部(2)の方向に面した上方の曲面部(19)と、前記支持部(2)の前側の停止面(21)に当接するための後方の当接面(20)とを有している、ことを特徴とする請求項7に記載の迅速交換装置。
【請求項9】
前記ブリッジ形態結合部材(11)が、前記捕獲フック(9)の後方面にある凹部(22)内に延び入っており、前記凹部(22)は上方内面(23)と下方内面(24)とを有している、ことを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の迅速交換装置。
【請求項10】
前記ブリッジ形態結合部材(11)と、前記凹部(22)の上方内面(23)及び下方内面(24)との間には、上方間隙(25)および下方間隙(26)が位置している、ことを特徴とする請求項9に記載の迅速交換装置。
【請求項11】
前記上方間隙(25)及び下方間隙(26)内には、緩衝要素(27)が挿入されている、ことを特徴とする請求項10に記載の迅速交換装置。
【請求項12】
前記横断軸(10)は、前記捕獲フック(9)と一体的に形成されている軸受ジャーナルであり、当該軸受ジャーナルにより、前記捕獲フック(9)が前記支持部(2)の半殻の収容部(28)内に配置されると共に、相補部品(29)によって下方からその場に保持される、ことを特徴とする請求項3に記載の迅速交換装置。
【請求項13】
前記横断軸(10)を旋回可能に取り付けるための前記半殻の収容部(28)は、前記支持部(2)のブリッジ形態結合部材(11)上で互いに離間して存在する2つの脚部(35)の上面に配設されている、ことを特徴とする請求項12に記載の迅速交換装置。
【請求項14】
少なくとも1つの捕獲フック(9)が、前記第1の収容部(3)内に係合する接続要素の周囲で締留めするように設計されている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の迅速交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部(おいて書き部)に言及された迅速交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの迅速交換装置は、建設機械の異なるアタッチメント(付属器)を簡単に且つ便利に交換するために使用される。このタイプの迅速交換装置を使用すれば、操作員の操縦室から、例えば、スイベルバケット、クロー、シアー、コンパクタ、マグネット、油圧ハンマー、その他のアタッチメントを、例えば、掘削機のブームとの間で、数秒以内に、安全性高く接続および脱接続(離脱)させることができる。
【0003】
米国特許US6154989Aは、一般の迅速交換装置を開示する。この迅速交換装置は、片側に配置され、アタッチメントに取り付けられた第1の接続要素を保持するための第1の収容部と、他方側に配置され、第2の接続要素を解放可能に保持するためのロック要素を備えた第2の収容部とを有した支持部を含んでいるものであり、このロック要素は解放位置とロック位置との間で可動である。万一、このロック要素が意図に反して解放位置に移動し、人に危害を及ぼすようなアタッチメントの落下事故を防止するため、アタッチメント上の相補フックと相互作用する横断バーを保持するためのフック構造部を備えた捕獲装置が支持部に配置されている。安全を図る目的で提供されているこのフック構造部は、その支持部と一体的に形成されているため、不適切な使用によってフック構造部が損傷を受ける度に、支持部も全体として必然的に影響を受けるであろう。従って、このような補修及び/又は交換は相当な費用と時間の消耗を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって解決されるべき課題は、捕獲装置への不適切な荷重による支持部への損傷を回避させることができる上記のタイプの迅速交換装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の各特徴を有してなる迅速交換装置によって解決される。さらに改良が加えられた本発明の好適な実施態様と利点は、従属請求項において言及されている。
【0007】
本発明による迅速交換装置に取り付けられる捕獲装置は、支持部に旋回式に接続された少なくとも1つの捕獲フックを含んでいる。この旋回式構造のおかげで、例えば、操作員(オペレータ)が迅速交換装置を操作している最中に捕獲フックを障害物に衝突させたりしたとき、または、障害物を迂回するため若しくは再配置する目的で地上の掘削機を支持する際に捕獲フックが不適切に使用されると、捕獲フックは反動的に後退(反動後退)することができる。よって、この捕獲フックの反動後退性のため、捕獲フックに作用する衝撃または作用力は支持部に直接的には伝達されないため、支持部への接続部に作用する荷重は減少し、支持部への影響は最大限に低減される。さらに、不適切な使用によって損傷を受けた捕獲フックは、支持部全体を交換せずとも容易に交換することができる。支持部全体を分解することも交換することも必要としない。その少なくとも1つの捕獲フックは、ロック装置が意図に反して解放されたとしても迅速交換装置に接続されたアタッチメントを捕獲し、迅速交換装置からのアタッチメントの不都合な解放を防止するように設計されている。捕獲フックは、操作員が操作する迅速交換装置のロック装置から完全に独立しており、よって、たとえ不適切に操作されても増強された安全性を提供する。従って、さらなる安全のために、捕獲フックは操作員に頼らずアタッチメントを捕獲するように設計されている。
【0008】
捕獲装置は、1つの捕獲フックを含むか、または、相互に分離されているか(若しくは)相互に接続されている複数の捕獲フックを含むことができる。1つの特に好適な実施態様によれば、捕獲装置は、支持部の第1の収容部上に旋回可能に配置された2つの捕獲フックを有している。これら捕獲フックは、別々に配置され、別々に旋回できる捕獲フックとして設計することができる。しかし、それらを相互に接続することもできる。
【0009】
頑強で構造的に利点が多い実施態様によれば、横断軸の周囲を旋回するように捕獲フックを支持部のブリッジ形態結合部材に配置することができる。捕獲フックを旋回式に取り付けるため、このブリッジ形態結合部材はクロスボア(腔部)を有することができ、捕獲フックは、横断軸を受領するために適した受領腔部を有することができる。
【0010】
捕獲フックを、好適には軸受スリーブの手段によって横断軸に旋回式に取り付けることができる。このような形態で、捕獲フックを支持部に蝶番形態で取り付けることができ、摩擦を減らして磨耗に対する信頼性が高い保護を提供することができる。脱落して捩れる事態を防止するため、横断軸はピン(の手段)によって支持部に対して固定が可能である。
【0011】
一つの実施態様によれば、ブリッジ形態結合部材は、捕獲フックの2本の後方に延び出す脚部間の中間空部内に延び入ることができる。支持部の方向に面した脚部の端部に、捕獲フックは、上曲面と、支持部の前方停止面に当接するための後方当接面とを有することができる。
【0012】
別の実施態様によれば、ブリッジ形態結合部材は、捕獲フックの後方面の凹部内に延び入ることができ、この凹部は上方内面と下方内面とを有している。好適には、このブリッジ形態結合部材と、前記凹部の上方及び下方内面との間には、緩衝要素を配置する上方間隙と下方間隙が設けられる。
【0013】
しかしながら、捕獲フックは、捕獲フックと一体的に形成されている横断軸の形態の軸受ジャーナル(の手段)によって支持部の半殻収容部内に挿入が可能であり、相補部品によって下方からその場に保持が可能である。横断軸を回転可能に取り付けるためのこの半殻収容部は、支持部のブリッジ形態結合部材上で相互に離れて配置されている2本の平行な脚部の上面に配設することができる。
【0014】
構造的に単純な実施態様によれば、捕獲フックは、第1の収容部に係合する接続要素の周囲で締留めする(clasp)ように設計されている。
【0015】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の図面に図示されている好適実施例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、折り込まれていない始動位置にある捕獲フック構造部を備えた迅速交換装置の第1の実施例を示す。
【
図2】
図2は、上方折り込み位置にある捕獲フック構造部を備えた
図1に示す迅速交換装置である。
【
図3】
図3は、一部が分解図で示されている捕獲フック構造部を備えた
図1に示す迅速交換装置である。
【
図5】
図5は、下方始動位置にある捕獲フックの拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、下方始動位置にある捕獲フックの拡大側面図である。
【
図7】
図7は、折り込み位置にある捕獲フックの拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、折り込み位置にある捕獲フックの拡大側面図である。
【
図9】
図9は、一部が分解図で示されている捕獲フック構造部を備えた迅速交換装置の第2の実施例である。
【
図10】
図10は、非旋回始動位置にある
図9の捕獲フック構造部の捕獲フックの拡大詳細図である。
【
図12】
図12は、捕獲フック構造部を備えた迅速交換装置の第3の実施例である。
【
図13】
図13は、折り込み位置にある
図12の示す捕獲フック構造部の捕獲フックの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、建設機械、特に掘削機の異なるアタッチメントを簡単便利に交換するための迅速交換装置を示す。このタイプの迅速交換装置の使用によって、例えば、スイベルバケット、クロー、シアー、コンパクタ、油圧ハンマー、あるいは他の機械式及び/又は油圧式アタッチメントを、操縦席からの操作により、掘削機または異なる建設車両のブームあるいは他のアタッチメント部分との間にて簡単便利に接続および脱接続(離脱)させることができる。
【0018】
図示されている迅速交換装置1は、溶接加工または鋳造加工された部位の形態をなす支持部2を備えており、この支持部2は、一方の側に、ボルト形状である第1の接続要素を受領してその場で保持するための前方に開いた第1の収容部3を有しており、他方側に、ボルト形状である第2の接続要素を受領するための下方に開いた第2の収容部4を有している。この前方に開いた第1の収容部3は、クローまたはフォークの形態に形状化されている。この下方に開いた収容部4は、第2のボルト形状接続要素に当接するための湾曲した下方の当接面5を有している。支持部2はロック装置を備え、当該ロック装置は、以下で詳述するいくつかの実施例において、後退した解放位置と、延び出たロック位置との間で移動することができるところのボルト形状のロック要素(複数)から成る。これらボルト形状のロック要素は、支持部2の内側で水平のガイド腔部(ガイドボア)内を軸方向に可動にガイドされると共に、後退した解放位置と延び出たロック位置との間でピストンによって油圧式に移動可能である。この延び出たロック位置において、下方に開いた第2の収容部4は、支持部2に可動に配置されているロック要素によって底面(側)で閉じられ、その結果、第2のボルト形状接続要素は当該ロック要素によって下方から係合される。
【0019】
図示の実施例においては、支持部2は、一方の側に第1の接続要素のための2つのクロー形状の収容部3と、他方の側に第2の接続要素のための2つの収容部4とを含んでいる。さらに、支持部2の上部面に配置されている2つの平行な横側部6には、掘削機のブームまたは別な建設車両の接続部分に迅速交換装置1を取り付ける取付ボルト(図示せず)のための受領開口部7が存在する。
【0020】
迅速交換装置1によってアタッチメントを取り付けるため、原則的には掘削機のブームに配置される迅速交換装置1は、例えば、アダプタまたはアタッチメントに取り付けられている第1の接続要素が、迅速交換装置1の一方の側でクロー形状の収容部3内に引き入れられるようにまず動かされる。続いて、ロックボルト(ボルト形状のロック要素)が引き入れられた状態にて迅速交換装置1は、アダプタまたはアタッチメントの第2の接続要素が迅速交換装置1の他方側の下方に開いた収容部4の当接面5に当接するように、第1のボルト形状接続要素の周囲で旋回される。続いて、迅速交換装置1の支持部2のガイド腔部内に可動に配置されているロックボルト(ボルト形状のロック要素)が油圧動力で延び出し可能であり、第2のボルト形状接続要素は、迅速交換装置で2つのロックボルト(ボルト形状のロック要素)によって下方から係合され、アタッチメントは迅速交換装置1でその場に保持される。
【0021】
操作員の操作間違い、または故障によるロック要素の意図しない解放動作が生じた場合に迅速交換装置1に接続されたアタッチメントが迅速交換装置1から外れ、続いて、迅速交換結合装置が上昇した位置にあるときに落下する可能性を排除(防止)するために、
図1に示す捕獲装置8が支持部2に追加的に取り付けられる。この捕獲装置8は、アダプタまたはアタッチメントに取り付けられ且つ第1の収容部3に係合する接続要素の周囲で締留め(clasp)されように設計されている。また捕獲装置8は、アタッチメントが接続位置から意図せずに解放された場合に、接続要素が捕獲フック構造部に係合した結果として、アタッチメントが捕獲位置で捕獲され、それによって迅速交換装置のその場に保持されるように設計されている。
【0022】
図示の実施例では、捕獲装置8は、迅速交換装置1の支持部2に非不動状態に配設、即ちむしろ横断軸10の周囲で旋回できるように蝶番タイプの手段によって支持部2に接続されている2つの別々な捕獲フック9を備えている。これら2つの捕獲フック9は、迅速交換装置1が意図せずに解放されたときに、捕獲フック9に接続要素を係合することによって捕獲位置にアタッチメントを捕獲できるよう、例えば、アタッチメントのボルト形状の接続要素の周囲で締留めされるように設計されている。この旋回構造のため、捕獲フック9は、
図1に示すように下方の始動位置(開始位置)と、
図2に示すように上方の折り込み位置との間で動くことができる。
【0023】
図3及び
図4に示すように、支持部2は、捕獲フック9の接続のために横断腔部12を備えた前方に延び出ているブリッジ形態結合部材11を有している。第1の収容部3の下方で支持部2に取り付けられているこの前方に延び出たブリッジ形態結合部材11は、捕獲フック9の接続部分で後方に延び出した2つの脚部14間の中間空部13内に延び入っており、この接続部分は支持部2の方向に面している。捕獲フック9の2つの脚部14には受領腔部15が配設されており、これらは互いに整合しており、捕獲フック9の取り付け位置において、ブリッジ形態結合部材11の横断腔部12とは共軸関係にある。水平の横断軸10はブリッジ形態結合部材11の横断腔部12内に挿入され、抜け出て捩られるのを防止するためにピン16によって固定されている。
【0024】
図4が図示するように、横断軸10は、両方の端部のそれぞれで狭くなっている(径が減じられた)2つの軸受面17を有している。横断軸10は、2つの狭くなった軸受面17が両端でブリッジ形態結合部材11を越えて延び出るようにブリッジ形態結合部材11内に取り付けられている。捕獲フック9は、2つの軸受スリーブ18によって横断軸10の2つの横方向に突き出た軸受面17に回動可能に取り付けられている。
【0025】
捕獲フック9を取り付けるため、それらフックはまず受領腔部15が横断腔部12と整合するように支持部2の関連するブリッジ形態結合部材11に配置される。その後、横断軸10は、横断軸10の2つの軸受面17の端部がブリッジ形態結合部材11の両端を越えて均等に延び出るように横断腔部12内に挿入される。続いて、横断軸10は、ピン16によってブリッジ形態結合部材11に対してこの位置で固定される。このため、横断軸10に沿って半分の位置で、横断軸10は、ピン16を受領するための、
図4で示すような横断ボア(ピン穴)19を有する。最後に、それら2つの軸受スリーブ18は、横断軸10の2つの軸受面17に取り付け可能になると共に、捕獲フック9の脚部14の受領腔部15内に押し込み可能となる。
【0026】
旋回が可能で折り込み可能な構成のおかげで、捕獲フック9は、
図5及び
図6に示す始動位置(開始位置)と、
図7及び
図8に示す折り込み位置との間で可動である。例えば、迅速交換装置1を操作する操作員が、捕獲フックを迂回させたり、再配置するために、地上の掘削機を支持するつもりで、捕獲フック9を障害物に衝突させたり、不適切な操作でそれを使用した場合にも捕獲フック9は折り込みが可能であり、低減された力が支持部2との接続部に作用し、支持部への影響を可能な限り少なくする。さらに、捕獲フック9への損傷が発生した場合には、フックを必要に応じて容易に交換できる。
【0027】
図5から
図8で示すように、捕獲フック9は、脚部14の後方端に、支持部2の方向に面した上方の曲面部19と、支持部2の前方の停止面21に当接するための後方の当接面20とを有する。下方の始動位置において捕獲フック9の後方の当接面20は支持部2の停止面21に当接し、捕獲フック9はこの捕獲位置にてその場に保持される。もし相当な力が下方から作用すれば、曲面部19のために、捕獲フック9は横断軸10の周りで回転(回動)でき、上方の折り込み位置にまで移動できる。下方の始動位置と上方の折り込み位置の両方で、収容部3は捕獲フック9によって前方に向かって閉じられ、アタッチメントは確実に捕獲され、ロック機構が意図に反して解除されたとしてもその場に保持される。捕獲フック9は重力によって、あるいは戻りバネ(図示せず)によって折り込み位置から始動位置にまで戻ることができる。
【0028】
図9から
図11は、本発明に従う、捕獲装置8を有した迅速交換装置1の第2の実施例を示す。繰り返すが、この実施例においても、捕獲装置8は、迅速交換装置1の支持部2に非固定式であり旋回式に取り付けられている2つの別々の捕獲フック9を有する。また、これら2つの捕獲フック9は支持部2のブリッジ形態結合部材11に蝶番付け(ヒンジ連結)されており、横断軸10の周りを旋回することができる。このため、ブリッジ形態結合部材11は横断腔部12を有しており、捕獲フック9は横断軸10を受領するための相補的な受領腔部15を有する。
【0029】
図10及び
図11に示すように、支持部2の方向に面している後方側で、捕獲フック9は、上方内面23と下方内面24を備えた凹部22をそれぞれ有する。捕獲フック9の凹部22は、ここではブロック形態であるブリッジ形態結合部材11よりも少々大きく、ブリッジ形態結合部材11と、凹部22の上方内面23及び下方内面24のそれぞれの間に、上方間隙25と下方間隙26がそれぞれ形成されている。ゴム製または他の弾性材料製である緩衝要素27が上方間隙25と下方間隙26のそれぞれの中に挿入される。この実施例においても、捕獲フック9は支持部2に対して旋回できる。しかし、この実施例では、旋回および折り込みの動作は、間隙25と間隙26のサイズ、及び緩衝要素27の反動後退性の程度によって制限されている。しかしながら、第1の実施例とは異なり、捕獲フック9は、捕獲フックが変形することなく上方ばかりか下方にも移動できる。よって、捕獲フック9は支持部2に反動後退性を伴って蝶番付け(ヒンジ連結)されており、上方と下方の両方向に動ける。
【0030】
図12から
図15は、本発明に従う、捕獲装置8を有した迅速交換装置1の第3の実施例を示す。この実施例でも、捕獲装置8は、迅速交換装置1の支持部2に非固定式であり旋回可能に取り付けられた2つの別々の捕獲フック9を含んでいる。また、この実施例でも、これら2つの捕獲フック9は支持部2のブリッジ形態結合部材11に蝶番付け(ヒンジ連結)されており、横断軸10の周りを旋回することができる。但しこの実施例では、横断軸10は、相補的な横断腔部や受領腔部に挿入された別々なボルトやピンではなく、捕獲フック9と一体的に形成された軸受ジャーナルであり、そのおかげで、捕獲フック9はブリッジ形態結合部材11で半殻の収容部28内に配置され、相補部品29によって下方からその場に保持される。
【0031】
図14に示すように、軸受ジャーナルの形態である2つの横方向に延び出る横断軸10は、捕獲フック9上にて側方削耗域30により形成されている。その底面において、捕獲フックは、2つの強力バネピン33と34のための横断腔部32(複数)を備えたブリッジ形態部材31を有しており、それらによって捕獲フック9をブリッジ形態結合部材11上でその場に保持するための相補部品29が取り付けられている。この相補部品29は、捕獲フック9が軸受(半)殻状の収容部28から、その横断軸10と共に上方にスライドするのを防止する。
【0032】
図15には、
図12に示す実施例のブリッジ形態結合部材11が、相互に距離を隔てて配置された2つの平行な脚部35を有することが示されている。横断軸10を旋回可能に取り付けるための半殻の収容部28が、2つの脚部35の上部面に配置され、中間空部36によって離間されている。2つの横断方向に延び出る横断軸10を具備しつつ中間空部36内に突き出す捕獲フック9は、収容部28内に挿入されると共に、相補部品29によってその場に固定される。
【0033】
同様に、
図12から
図15に示す実施例においては、捕獲フック9はその接続位置から意図に反して解放されたアタッチメントを捕獲位置にて捕獲でき、よって迅速交換装置のその場に確実に保持できる。
【符号の説明】
【0034】
1.迅速交換装置
2.支持部
3.第1の収容部(受領部)
4.第2の収容部(受領部)
5.当接面
6.横側部
7.受領開口部
8.捕獲装置
9.捕獲フック
10.横断軸
11.ブリッジ形態結合部材
12.横断腔部
13.中間空部
14.脚部
15.受領腔部
16.ピン
17.軸受面
18.軸受スリーブ
19.曲面部
20.当接面
21.停止面
22.凹部
23.上方内面
24.下方内面
25.上方間隙
26.下方間隙
27.緩衝要素
28.半殻の収容部(受領部)
29.相補部品
30.削耗域
31.ブリッジ形態部材
32.横断腔部
33.強力バネピン
34.強力バネピン
35.脚部
36.中間空部