(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】センサ装置及びホルダ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2021505007
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009560
(87)【国際公開番号】W WO2020184404
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2019042803
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515134863
【氏名又は名称】トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村木 洋介
(72)【発明者】
【氏名】庄子 淳一
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0289411(US,A1)
【文献】特開2006-230912(JP,A)
【文献】特開平10-174722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信するプローブと、
前記プローブを着脱可能に保持するホルダ本体と体表に貼着されることによって前記ホルダ本体を体表に取り付ける粘着層とを有するホルダとを備え、
前記ホルダ本体は、保持した前記プローブを体表の側及び体表と反対側の両方へ露出させる開口が形成された環状の枠を有し、
前記枠は、弾性変形することによって前記プローブが嵌め込まれるように形成され、
前記枠の弾性によって前記プローブを保持するセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記ホルダ本体は、前記プローブが前記開口の体表側の開口縁よりも突出するように前記プローブを保持するセンサ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンサ装置において、
前記ホルダは、前記ホルダ本体の周囲に拡がるように設けられた可撓性を有するシートをさらに有し、
前記粘着層は、前記シートのうち体表と対向する面に設けられているセンサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ装置において、
前記シートは、前記ホルダ本体が取り付けられるベース部と、前記ベース部から外方へ帯状に延びる帯状部とを有し、
前記シートには、少なくとも前記帯状部によって区画される開口又は切欠きが形成されているセンサ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のセンサ装置において、
前記粘着層は、前記シートよりも通気性が高い材料で形成され、前記シートの前記開口又は前記切欠きを少なくとも部分的に塞ぐように設けられているセンサ装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1つに記載のセンサ装置において、
前記シートは、前記シートを体表に貼着する際の基準となる、体表の特定の部分に対応する形状に形成された基準部分を有するセンサ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサ装置において、
前記基準部分は、体表の鼠径部に対応する形状に形成されているセンサ装置。
【請求項8】
超音波を送受信するプローブのためのホルダであって、
前記プローブを着脱可能に保持するホルダ本体と、
体表に貼着されることによって前記ホルダ本体を体表に取り付ける粘着層とを備え、
前記ホルダ本体は、保持した前記プローブを体表の側及び体表と反対側の両方へ露出させる開口が形成された環状の枠を有し、
前記枠は、弾性変形することによって前記プローブが嵌め込まれるように形成され、
前記枠の弾性によって前記プローブを保持するホルダ。
【請求項9】
請求項8に記載のホルダにおいて、
前記ホルダは、前記ホルダ本体の周囲に拡がるように設けられた可撓性を有するシートをさらに有し、
前記粘着層は、前記シートのうち体表と対向する面に設けられているホルダ。
【請求項10】
請求項9に記載のホルダにおいて、
前記シートは、前記ホルダ本体が取り付けられるベース部と、前記ベース部から外方へ帯状に延びる帯状部とを有し、
前記シートには、少なくとも前記帯状部によって区画される開口又は切欠きが形成されているホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、センサ装置及びホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体表に装着されて、体内に超音波を送信し、体内からの反射波を受信するセンサ装置が知られている。例えば、特許文献1には、体内に超音波を送信し、膀胱からの反射波を受信するセンサ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようなセンサ装置においては、超音波を送受信するプローブが体表の適切な位置に装着される。プローブが適切な位置に装着されないと、超音波を適切に送信及び受信できない虞がある。プローブを適切な位置に装着するためには、センサ装置の取り扱いが容易であることが好ましい。センサ装置の取り扱いが容易であれば、プローブの位置をスムーズに調節することができ、結果としてプローブを適切な位置に装着しやすくなる。
【0005】
ここに開示された技術は、センサ装置の装着時におけるセンサ装置の取り扱いを容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたセンサ装置は、超音波を送受信するプローブと、前記プローブを着脱可能に保持するホルダ本体と体表に貼着されることによって前記ホルダ本体を体表に取り付ける粘着層とを有するホルダとを備え、前記ホルダ本体には、保持した前記プローブを体表の側へ露出させる開口が形成されている。
【0007】
ここに開示されたホルダは、超音波を送受信するプローブのためのホルダであって、前記プローブを着脱可能に保持するホルダ本体と、体表に貼着されることによって前記ホルダ本体を体表に取り付ける粘着層とを備え、前記ホルダ本体には、保持した前記プローブを体表の側へ露出させる開口が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
前記センサ装置によれば、センサ装置の装着時におけるセンサ装置の取り扱いを容易にすることができる。
【0009】
前記ホルダによれば、センサ装置の装着時におけるセンサ装置の取り扱いを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るセンサ装置の平面図である。
【
図3】
図3は、センサ装置を対象者に装着した場合の模式図である。
【
図7】
図7は、センサ装置を装着した状態における下腹部を中心とする模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、蓋が開いた状態のホルダの斜視図である。
【
図10】
図10は、
図1のA-A線における、蓋が閉じた状態のホルダの断面図である。
【
図11】
図11は、蓋が開いた状態のセンサ装置の斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1のA-A線における、蓋が閉じた状態のセンサ装置の断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係るセンサ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《実施形態1》
実施形態1に係るセンサ装置100について説明する。
図1は、センサ装置100の平面図である。
図2は、センサ装置100の斜視図である。
図3は、センサ装置100を対象者に装着した場合の模式図である。
【0013】
〈センサ装置の構成〉
センサ装置100は、超音波を送受信するプローブ1と、ホルダ4とを備えている。プローブ1は、ホルダ4に保持されている。センサ装置100は、対象者の体表に接触した状態で装着され、体内に超音波を送信し、その反射波を受信する。以下、「接触」は、体表との直接的な接触だけでなく、体表との間にカップリング剤を介した間接的な接触も含む意味である。センサ装置100は、
図3に示すように、対象者の下腹部の体表に装着される。
【0014】
図4は、プローブ1の斜視図である。
図5は、プローブ1の正面図である。
図6は、プローブ1の平面図である。
図7は、センサ装置100を装着した状態における下腹部を中心とする模式的な断面図である。プローブ1は、1又は複数の超音波センサ11と、超音波センサを収容するケーシング12とを有している。プローブ1は、外部機器と有線又は無線によって信号の授受可能に接続されている。ここでは、例として、プローブ1がケーブル13を介して外部機器(図示省略)と接続されている。
【0015】
ケーシング12は、扁平な箱状に形成されている。ケーシング12は、略長円状に形成され、体表に接触する面である接触面12aを有している(
図5参照)。接触面12aは、略平坦に形成されている。ケーシング12は、接触面12aの法線方向を向いて見たときに(
図6に示すように見たときに)略長円状の外形(外周の形状)を有する。以下、「プローブ1の外形」とは、この接触面12aの法線方向を向いてみたときの外形を意味する。
【0016】
例えば、プローブ1は、4つの超音波センサ11を有している。4つの超音波センサ11は、
図5,6に示すように配置されている。具体的には、4つの超音波センサ11A~11Dは、接触面12aに沿って配置されている。第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B及び第3超音波センサ11Cは、接触面12aの長手方向へ略一直線状にこの順番で配列されている。第4超音波センサ11Dは、第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B及び第3超音波センサ11Cで形成される列に対して、接触面12aの短手方向へオフセットした位置に配置されている。より具体的には、プローブ1が体表に装着された状態において、第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B及び第3超音波センサ11Cは、この順で略水平方向に並ぶように配列され、第4超音波センサ11Dは、第2超音波センサ11Bの下方に配置されている。
【0017】
第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B、第3超音波センサ11C及び第4超音波センサ11Dは、
図7に示すように、それぞれ異なる方向へ超音波を送信する。
図7は、各超音波センサ11の図示を省略し、各超音波センサ11の超音波の送信方向を図示している。第1超音波センサ11Aの超音波の送信方向がB1で示され、第2超音波センサ11Bの超音波の送信方向がB2で示され、第3超音波センサ11Cの超音波の送信方向がB3で示され、第4超音波センサ11Dの超音波の送信方向がB4で示される。詳しくは、超音波の送信方向の仰俯角が、第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B、第3超音波センサ11C及び第4超音波センサ11Dでそれぞれ異なる。例えば、第1超音波センサ11Aは、最も上向きに超音波を送信し、第2超音波センサ11B、第3超音波センサ11C、第4超音波センサ11Dの順に下向きに超音波を送信する。例えば、プローブ1が体表の適切な位置に装着された場合に、第4超音波センサ11Dは、恥骨101に向けて超音波を送信し、第3超音波センサ11C、第2超音波センサ11B、第1超音波センサ11Aは、膀胱102に向けて超音波を送信する。具体的には、膀胱102が小さいときには、第3超音波センサ11Cからの超音波の送信先に膀胱102が位置し、第1超音波センサ11A及び第2超音波センサ11Bからの超音波の送信先には膀胱102が位置していない(
図7は、この状態を表している)。膀胱102がそれよりも少し膨張したときには、第3超音波センサ11C及び第2超音波センサ11Bからの超音波の送信先に膀胱102が位置し、第1超音波センサ11Aからの超音波の送信先には膀胱102が位置していない。膀胱102がさらに膨張したとき(例えば、尿意を催す程度に膨張したとき)には、第3超音波センサ11C、第2超音波センサ11B及び第1超音波センサ11Aからの超音波の送信先に膀胱102が位置する。第1超音波センサ11A、第2超音波センサ11B、第3超音波センサ11C及び第4超音波センサ11Dの超音波の送信方向をこのように設定することによって、膀胱102の膨張に応じて、膀胱102からの反射波を検出する超音波センサ11の個数を増加させることができる。つまり、膀胱102からの反射波を検出する超音波センサ11の個数によって、膀胱102の膨張の程度を推定することができる。
【0018】
図8は、ホルダ4の分解斜視図である。
図9は、蓋5が開いた状態のホルダ4の斜視図である。
図10は、
図1のA-A線における、蓋5が閉じた状態のホルダ4の断面図である。ホルダ4は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体41と、体表に貼着されることによってホルダ本体41を体表に取り付ける粘着層7とを有している。ホルダ4は、ホルダ本体41の周囲に拡がるように設けられたシート6をさらに有していてもよい。
【0019】
ホルダ本体41には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口44が形成されている。具体的には、ホルダ本体41は、枠43と蓋5とを有している。例えば、ホルダ本体41は、ABS、PC、PP、POM、又はPA等の樹脂で形成されている。この例では、ホルダ本体41は、接触面12aが体表の方を向き且つ横長形状となるようにプローブ1を保持する。
【0020】
枠43は、プローブ1が嵌る形状に形成されている。より詳しくは、枠43は、長円の一部を形成する湾曲部43aと、2つのコーナー部43b,43bとを有している。枠43のうち2つのコーナー部43b,43bの間には、プローブ1のケーブル13が横切る切欠き43eが形成されている。2つのコーナー部43b,43bのそれぞれには、蓋5が係合する凹部43fが形成されている。
【0021】
枠43の内側に開口44が形成されている。開口44は、プローブ1の外形と同様の略長円状に形成されている。開口44を区画する、枠43の内周面45は、開口44の面積が体表側に向かって小さくなるように傾斜している。開口44は、体表と反対側の開口縁である第1開口縁44aと、体表側の開口縁である第2開口縁44bを有している。第1開口縁44aは、プローブ1の外形よりも大きい一方、第2開口縁44bは、プローブ1の外形よりも小さい。
【0022】
枠43の内周面45は、第1傾斜面45aと、第1傾斜面45aよりも体表側に配置された第2傾斜面45bとで形成されている。開口44の軸心Xに対する第2傾斜面45bの角度は、軸心Xに対する第1傾斜面45aの角度よりも大きい。
【0023】
枠43には、枠43の外周面から軸心Xに直交する方向に拡がる平板46が設けられている。平板46の外形は、略長方形状に形成されている。平板46のうち体表と反対側の面を表(おもて)面46aと称し、平板46のうち体表側の面を裏面46bと称する。平板46の表面46aには、2つの軸受47が設けられている。2つの軸受47と、2つのコーナー部43b,43bとの間に開口44が位置している。枠43は、平板46の表面46aと裏面46bの両方から突出している。
【0024】
蓋5は、平板51と、枠52と、軸受53とを有している。
【0025】
平板51は、枠43よりも大きな略長方形状に形成されている。枠52は、平板51の体表側の面である裏面51bに設けられている。枠52は、枠43よりも大きな形状をしている。具体的には、枠52は、概ね、長方形の1対の長辺と1つの短辺とで構成された形状に形成されている。長方形の残りの短辺に相当する部分に、軸受53が設けられている。軸受53の両端には、ピン54が挿入される(
図8参照)。枠52の内周面において、長方形の短辺に相当する部分には、2つの凸部(図示省略)が設けられている。2つの凸部は、蓋5が閉じられたときに枠43の2つの凹部43fに係合するように形成されている。
【0026】
平板51の裏面51bのうち枠52の内側には、蓋5を閉じたときにプローブ1に接触するコンタクト部56が設けられている。コンタクト部56は、弾性又はクッション性を有する材質で形成されている。例えば、コンタクト部56は、シリコンで形成されている。尚、コンタクト部56は、弾性及びクッション性を有さない材質で形成されていてもよい。
【0027】
蓋5は、軸受53の一端がピン54を介して一方の軸受47に回転自在に取り付けられると共に、軸受53の他端がピン54を介して他方の軸受47に回転自在に取り付けられる。こうして、ホルダ5は、枠43に回転自在に支持されている。蓋5は、ピン54を中心に回転することによって、枠43の開口44を開閉する。
【0028】
シート6は、ホルダ本体41よりも大きな形状をしている。例えば、シート6は、可撓性を有する材質で形成されている。例えば、シート6は、ウレタン系のフォーム材又は不織布で形成されている。シート6は、シリコン又はPETで形成されていてもよい。さらに、シート6は、通気性を有していてもよい。シート6の略中央に、開口61が形成されている。開口61は、枠43のうち、平板46の裏面46bから突出している部分の外形よりも大きく且つ平板46の外形よりも小さく形成されている。シート6のうち体表と反対側の面を表(おもて)面6aと称し、シート6のうち体表側の面を裏面6bと称する。シート6の表面6aには、ホルダ本体41が貼着される。具体的には、枠43が開口61に挿入された状態で、平板46の裏面46bが両面テープ69を介してシート6の表面6aに貼着されている(両面テープ69は薄いので、
図10では表されていない)。シート6は、開口44の軸心Xと直交する方向であって枠43から外方へ拡がっている。
【0029】
シート6の外形に関し、シート6は、少なくとも2つの傾斜線部62,62を有する。2つの傾斜線部62,62の一端部(上端部)同士の間隔よりも他端部(下端部)同士の間隔の方が小さくなるように互いに傾斜している。詳しくは、シート6は、平行な一組の対辺のうち長い対辺が対象者の頭側となり且つ、短い対辺が対象者の足側になるように配置される略台形状に形成されている。つまり、シート6は、下底よりも上底が長い台形状に形成されている。2つの傾斜線部62,62は、台形の脚に相当する。傾斜線部62は、シート6の外形が外側に拡がるように曲線状に形成されている。尚、傾斜線部62は、直線状に形成されていてもよく、シート6の外形が内側へ凹むように曲線状に形成されていてもよい。傾斜線部62は、基準部分の一例である。
【0030】
粘着層7は、シート6の裏面6bに設けられている。粘着層7は、シート6を体表に貼着及び剥離を繰り返すことができる程度の粘着力を有している。粘着層7は、シート6の裏面6bの略全面に設けられている。例えば、粘着層7は、両面テープ又は接着剤で形成されている。つまり、粘着層7は、シート6の裏面6bに貼着された両面テープによって構成されるか、又は、シート6の裏面6bに塗布された接着剤によって構成される。粘着層7は、通気性を有していてもよい。
【0031】
〈センサ装置の装着方法〉
次に、このように構成されたセンサ装置100の体表への装着方法について説明する。装着前の段階では、プローブ1とホルダ4とは分離されている。
図11は、蓋5が開いた状態のセンサ装置100の斜視図である。
図12は、
図1のA-A線における、蓋5が閉じた状態のセンサ装置100の断面図である。
【0032】
まず、ホルダ4が粘着層7を介して体表へ貼着される。このとき、
図3に示すように、2つの傾斜線部62が概ね鼠径部103に沿うようにしてシート6が下腹部に貼着される。これにより、ホルダ4の位置決めを行うことができる。鼠径部103は、体表の特定の部分の一例である。
【0033】
あるいは、プローブ1の設置位置に相当する目印を予め体表に記しておき、その目印が開口44及び開口61から見えるようにシート6が下腹部に貼着される。ホルダ本体41の開口44及びシート6の開口61を介して体表が露出している。開口44及び開口61の位置は、プローブ1の設置位置である。そのため、体表の目印を基準に、ホルダ4を貼着してもよい。
【0034】
ホルダ4を体表へ貼着した後、ホルダ本体41にプローブ1を装着する。まず、プローブ1の接触面12a又は体表のうち開口44から露出している部分にカップリング剤を塗布する。次に、
図11に示すように、蓋5が開いた状態でプローブ1を枠43に嵌め込む。このとき、プローブ1は、接触面12bが体表の方を向く状態で、第1開口縁44aから開口44に嵌め込まれる。ケーブル13は、枠43の切欠き43e内に配置される。
【0035】
最後に、プローブ1が枠43に嵌った状態で蓋5が閉じられる。蓋5が閉じられると、蓋5の2つの凸部が枠43の2つの凹部43fに係合する。これにより、蓋5が閉じられた状態が維持される。蓋5が閉められると、プローブ1が枠43に固定される。
【0036】
詳しくは、蓋5が閉じられた状態においては、
図12に示すように、コンタクト部56がプローブ1に接触してプローブ1を体表側へ押圧している。これにより、プローブ1は、枠43内を第2開口縁44bの方へ押し込まれる。枠43の内周面45は、第1開口縁44aの大きさがプローブ1の外形よりも大きく且つ第2開口縁44bの大きさがプローブ1の外形よりも小さくなるように傾斜しているので、プローブ1は、枠43の内周面45(即ち、第1傾斜面45a又は第2傾斜面45b)と接触し、枠43の内周面45に嵌った状態となる。
【0037】
プローブ1がホルダ本体41に装着された状態において、プローブ1は、枠43から体表側へ部分的に突出している。つまり、接触面12aは、第2開口縁44bよりも体表側に、さらにはシート6及び粘着層7よりも体表側に位置している。
【0038】
このような装着によれば、プローブ1をホルダ本体41に嵌め込むことによって、プローブ1の位置決め及び装着が完了する。つまり、プローブ1の位置決め及び装着を簡便に行うことができる。
【0039】
詳しくは、ホルダ4を体表に貼着することによってプローブ1の実質的な位置決めが完了する。このとき、プローブ1が装着されていないホルダ4だけを体表に貼着するので、ホルダ4の取り扱いが容易になり、ひいてはホルダ4の位置決めの精度を向上させることができる。これにより、プローブ1の実質的な位置決めの精度も向上させることができる。
【0040】
例えば、ホルダ4を用いることなく、プローブ1を体表にテープやベルト等で固定する場合には、プローブ1を体表の適切な位置に手で押さえつけて、その状態でテープ等をプローブ1の上から体表に貼着する。そのため、テープ等を貼着する際にプローブ1の位置がずれる虞がある。1人で作業する場合、片手でプローブ1を押さえつけ、もう一方の手でテープ等を貼着する必要があり、プローブ1の位置がずれる可能性は高まる。さらには、プローブ1が外部機器(後述する処理装置91等)にケーブル等で接続されている場合には、ケーブル又は外部機器等の影響によりプローブ1の取り扱いが煩雑となり、プローブ1を適切な位置に保持しつつテープ等の貼着作業がさらに困難になる。
【0041】
それに対し、センサ装置100の場合は、まずホルダ4だけを体表に貼着すればよい。このとき、プローブ1がホルダ4から分離されているので、ホルダ4の取り扱いは簡単である。ホルダ4を簡単に取り扱うことができるので、ホルダ4を高い位置決め精度で体表に貼着することができる。ホルダ4が貼着されてしまえば、プローブ1をホルダ4に装着するだけなので、プローブ1を簡単に装着することができる。プローブ1の位置決めはホルダ4の貼着によって実質的に完了しているので、プローブ1も高い位置決め精度で装着することができる。
【0042】
それに加えて、ホルダ4の貼着及びプローブ1の装着をこの順に実施することによって、体表へのプローブ1の密着性が高められる。詳しくは、プローブ1が装着される前の段階においてシート6は体表に概ね密着(厳密には粘着層7を介して密着)する状態となっている。プローブ1は、ホルダ本体41へ装着されると、ホルダ本体41及びシート6よりも体表側へ部分的に突出する。つまり、プローブ1は単に体表に接触するというよりは、体表に押し付けられることになる。仮に、プローブ1をホルダ4に装着させた状態でホルダ4を体表に貼着させた場合であっても、プローブ1がシート6よりも突出しているので、プローブ1は体表に押し付けられる。しかし、プローブ1がシート6よりも突出した状態でシート6が貼着されると、シート6のうちプローブ1の近傍、即ち、開口61の周辺部分が体表から浮き上がり得る。それに対し、プローブ1が突出していない状態でシート6を体表に貼着させると、シート6のうち開口61の周辺部分も体表に密着させることができる。その後から、プローブ1をホルダ4に装着すると、プローブ1を体表へより押し付けることができる。体表へのプローブ1の密着性を向上させることができる。尚、シート6のうち開口61の周辺部分が体表から少し浮き上がる場合があるとしても、その浮き上がり量は、プローブ1をホルダ本体41に装着した状態でシート6を体表へ貼着する場合に比べて小さい。
【0043】
さらには、ホルダ4が体表に貼着されたままで、プローブ1だけを取り外すことができる。これにより、プローブ1のメンテナンス(例えば、プローブ1の充電、点検及び交換、並びに、カップリング剤の塗り直し)等を容易に行うことができる。テープ等でプローブ1を体表に貼着している場合には、テープ等を剥がす必要がある。それに比べると、蓋5を開けて、プローブ1を枠43から取り外すだけなので、プローブ1の取り外しが簡便である。さらに、メンテナンス後にプローブ1を体表に再び装着する際には、ホルダ4の位置は変わっていないので、プローブ1をメンテンナス前と同じ位置に再装着することができる。尚、テープ等でプローブ1を体表に貼着する場合には、プローブ1の位置決めを再度行う必要がある。
【0044】
〈センサ装置の適用例〉
続いて、センサ装置100の適用例について説明する。例えば、センサ装置100は、超音波測定システム9に組み込まれる。
図13は、超音波測定システム9の概略図である。
【0045】
超音波測定システム9は、超音波を用いて、対象者の蓄尿量又は排尿タイミングを推定するものである。超音波測定システム9は、超音波を送受信するセンサ装置100と、センサ装置100の超音波の送受信を制御する処理装置91と、センサ装置100の受信信号を解析するサーバ群92とを備える。センサ装置100は、対象者に常時装着され、超音波の送受信を繰り返す。センサ装置100と処理装置91とは、有線で接続されている。処理装置91は、サーバ群92と無線通信を行う。
【0046】
処理装置91は、プローブ1の超音波センサ11へ駆動電圧を出力すると共に、超音波センサ11から電気信号を受信する。プローブ1は、駆動電圧を受けて体内に超音波を送信する。プローブ1は、体内からの反射波を受信し、反射波に応じた受信信号を処理装置91へ送信する。処理装置91は、超音波センサ11を切り替えながら、各超音波センサ11に対してそのような超音波の送受信の処理を行う。処理装置91は、プローブ1の全ての超音波センサ11への超音波の送受信の処理が完了すると、得られた受信信号を外部機器へ送信する。例えば、処理装置91は、ゲートウェイ93を介してサーバ群92へ受信信号を送信する。処理装置91は、以上の処理を所定の周期で実行する。
【0047】
サーバ群92は、所謂、クラウドコンピューティングを行う。サーバ群92は、複数のサーバを含んでいる。例えば、サーバ群92は、処理装置91から送信されてくる、超音波センサ11の受信信号を保存し、解析する。例えば、サーバ群92は、超音波センサ11の受信信号に基づいて膀胱の蓄尿量及び/又は排尿タイミングを推定する。さらに、サーバ群92は、ユーザ端末94にアプリケーションを提供する。例えば、ユーザ端末94は、専用のアプリケーションをダウンロードしておくことによって、サーバ群92から提供される各種情報を得ることができる。ユーザ端末94は、専用のアプリケーションを介して、膀胱の蓄尿量及び/又は排尿タイミングを表示することができる。
【0048】
以上のように、センサ装置100は、超音波を送受信するプローブ1と、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体41と体表に貼着されることによってホルダ本体41を体表に取り付ける粘着層7とを有するホルダ4とを備え、ホルダ本体41には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口44が形成されている。
【0049】
換言すると、超音波を送受信するプローブ1のためのホルダ4は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体41と、体表に貼着されることによってホルダ本体41を体表に取り付ける粘着層7とを備え、ホルダ本体41には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口44が形成されている。
【0050】
この構成によれば、プローブ1がホルダ本体41に着脱可能となっているので、プローブ1をホルダ本体41から分離させた状態でホルダ4を体表に貼着することができる。ホルダ4が体表に貼着された後に、ホルダ本体41にプローブ1を装着することができる。このように、プローブ1とホルダ4とを分離させた状態でセンサ装置100の体表への装着を行うことができるので、プローブ1及びホルダ4の取り扱いを容易に行うことができる。その結果、ホルダ4を体表へ装着する際の位置決め精度を向上させることができ、ひいては、プローブ1の体表への位置決め精度も向上させることができる。さらに、ホルダ4が体表に貼着された状態のままプローブ1を取り外すことができるので、プローブ1のメンテナンス性を向上させると共に、プローブ1の再装着時の位置の再現性を向上させることができる。
【0051】
また、ホルダ本体41は、プローブ1が開口44の体表側の第2開口縁44bよりも突出するようにプローブ1を保持する。
【0052】
この構成によれば、ホルダ本体41に保持されたプローブ1は、第2開口縁44bよりも体表側へ突出している。そのため、プローブ1を体表へ接触させやすくなる。
【0053】
さらに、ホルダ本体41は、開口44が形成され、プローブ1が嵌め込まれる枠43と、開口44の体表と反対側の第1開口縁44aを開閉する蓋5とを有し、蓋5が閉じられた状態で蓋5と枠43のうち開口44を区画する内周面45とによってプローブ1を保持する。
【0054】
この構成によれば、枠43にプローブ1を嵌め込んで蓋5を閉じることによって、ホルダ本体41へのプローブ1の装着が完了する。つまり、プローブ1の装着を簡便に行うことができる。また、装着後のプローブ1は、枠43及び蓋5によって覆われているので、プローブ1が外部からの影響を受けにくく、プローブ1が装着された状態を安定的に維持することができる。
【0055】
また、ホルダ4は、ホルダ本体41の周囲に拡がるように設けられたシート6をさらに有し、粘着層7は、シート6のうち体表と対向する裏面6bに設けられている。
【0056】
この構成によれば、粘着層7を介してシート6が体表に貼着される。これにより、ホルダ4を体表へ貼着する際の接触面積を大きくすることができるので、ホルダ4を体表から外れにくくすることができる。
【0057】
さらに、シート6は、シート6を体表に貼着する際の基準となる、体表の特定の部分に対応する形状に形成された傾斜線部62(基準部分)を有する。
【0058】
この構成によれば、傾斜線部62を体表の特定の部分に合わせてシート6を体表に貼着することによって、ホルダ4を体表の適切な位置へ貼着することが容易となる。その結果、体表の適切な位置へのプローブ1の配置を容易に実現することができる。
【0059】
具体的には、傾斜線部62は、体表の鼠径部103に対応する形状に形成されている。
【0060】
この構成によれば、傾斜線部62が鼠径部103に沿うようにシート6を体表に貼着することによって、下腹部の適切な位置へのホルダ4の配置、ひいてはプローブ1の配置を容易に実現することができる。
【0061】
《実施形態2》
続いて、実施形態2に係るセンサ装置200について説明する。
図14は、センサ装置200の平面図である。
図15は、センサ装置200の斜視図である。センサ装置200は、ホルダ204の構成がセンサ装置100のホルダ4と異なる。以下では、センサ装置200のうちセンサ装置100と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0062】
センサ装置200は、超音波を送受信するプローブ1と、ホルダ204とを備えている。プローブ1は、ホルダ204に保持されている。センサ装置200は、対象者の体表に接触した状態で装着され、体内に超音波を送信し、その反射波を受信する。センサ装置200は、対象者の下腹部の体表に装着される(
図3参照)。
【0063】
図16は、ホルダ204の斜視図である。
図17は、
図14のB-B線における、ホルダ204の断面図である。ホルダ204は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と、体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層7とを有している。ホルダ204は、ホルダ本体241の周囲に拡がるように設けられたシート6をさらに有していてもよい。
【0064】
ホルダ本体241には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口244が形成されている。ホルダ本体241は、弾性を有し、変形及び復元可能に形成されている。例えば、ホルダ本体241は、エラストマ又はシリコンゴムで形成されている。この例では、ホルダ本体241は、接触面12aが体表の方を向き且つ横長形状となるようにプローブ1を保持する。
【0065】
ホルダ本体241は、枠243を有している。枠243は、プローブ1が嵌る形状に形成されている。より詳しくは、枠243は、長円状に形成されている。枠243には、プローブ1のケーブル13が横切る切欠き243eが形成されている。それに加えて、枠243には、2つの切欠き243dが形成されている。切欠き243dによって、枠243がより変形しやすくなっている。
【0066】
枠243の内側に開口244が形成されている。開口244は、プローブ1の外形と同様の略長円状に形成されている。開口244は、体表と反対側の開口縁である第1開口縁244aと、体表側の開口縁である第2開口縁244bを有している。開口244を区画する、枠243の内周面245は、開口244の面積が第1開口縁244a及び第2開口縁244bにおいて小さく、開口244の深さ方向の中間部分において大きくなるように湾曲している。第1開口縁244a及び第2開口縁244bは、プローブ1の外形よりも小さい。開口244の深さ方向において開口244の面積が最も大きくなる部分は、プローブ1の外形と略同じ大きさを有する。
【0067】
枠243には、枠243の外周面から開口244の軸心Xに直交する方向に拡がる平板246が設けられている。平板246の外形は、略長方形状に形成されている。平板246のうち体表と反対側の面を表(おもて)面246aと称し、平板246のうち体表側の面を裏面246bと称する。枠243は、平板246の表面246aと裏面246bの両方から突出している。裏面246bに、両面テープ(両面テープは薄いので、
図17では表されていない)を介してシート6が貼着されている。
【0068】
シート6及び粘着層7の構成は、センサ装置100のシート6及び粘着層7と同様である。ただし、ホルダ本体41がホルダ本体241に置き換えられたことに伴い、開口61は、ホルダ本体241に対応する形状に形成されている。すなわち、開口61は、枠243のうち、平板246の裏面246bから突出している部分の外形よりも大きく且つ平板246の外形よりも小さく形成されている。
【0069】
〈センサ装置の装着方法〉
次に、このように構成されたセンサ装置200の体表への装着方法について説明する。装着前の段階では、プローブ1とホルダ204とは分離されている。
図18は、
図14のB-B線における、センサ装置200の断面図である。
【0070】
まず、ホルダ204が体表へ貼着される。このとき、2つの傾斜線部62が概ね鼠径部103に沿うようにしてシート6が下腹部に貼着される(
図3参照)。これにより、ホルダ204の位置決めを行うことができる。あるいは、プローブ1の設置位置に相当する目印を予め体表に記しておき、その目印が開口244及び開口61から見えるようにシート6が下腹部に貼着される。
【0071】
ホルダ204を体表へ貼着した後、ホルダ本体241にプローブ1を装着する。まず、プローブ1の接触面12a又は体表のうち開口244から露出している部分にカップリング剤を塗布する。次に、プローブ1を枠243に嵌め込む。このとき、プローブ1は、接触面12bが体表の方を向く状態で、第1開口縁244aから開口244に嵌め込まれる。第1開口縁244aには切欠き243dが形成されているので、第1開口縁244aが拡がるように枠243を変形させながらプローブ1が嵌め込まれる。ケーブル13は、枠243の切欠き243e内に配置される。
【0072】
プローブ1が枠243に嵌め込まれると、プローブ1が枠243に固定される。つまり、プローブ1は、枠243の弾性によって保持される。
【0073】
詳しくは、プローブ1が枠243に嵌め込まれた状態においては、
図18に示すように、プローブ1は、枠243の内周面245と接触し、枠243の内周面245に嵌った状態となる。プローブ1は、枠243から体表側へ部分的に突出している。つまり、接触面12aは、第2開口縁244bよりも体表側に、さらにはシート6及び粘着層7よりも体表側に位置している。
【0074】
このような装着によれば、プローブ1をホルダ本体241に嵌め込むことによって、プローブ1の位置決め及び装着が完了する。つまり、プローブ1の位置決め及び装着を簡便に行うことができる。
【0075】
また、ホルダ204を体表に貼着することによってプローブ1の実質的な位置決めが完了する。このとき、プローブ1が装着されていないホルダ204だけを体表に貼着するので、ホルダ204の取り扱いが容易になり、ひいてはホルダ204の位置決めの精度を向上させることができる。これにより、プローブ1の実質的な位置決めの精度も向上させることができる。
【0076】
それに加えて、ホルダ204の貼着及びプローブ1の装着をこの順に実施することによって、体表へのプローブ1の密着性が高められる。
【0077】
さらには、ホルダ204が体表に貼着されたままで、プローブ1だけを取り外すことができる。これにより、プローブ1のメンテナンス(例えば、プローブ1の充電、点検及び交換、並びに、カップリング剤の塗り直し)等を容易に行うことができる。さらに、メンテナンス後にプローブ1を体表に再び装着する際には、ホルダ204の位置は変わっていないので、プローブ1をメンテンナス前と同じ位置に再装着することができる。
【0078】
以上のように、センサ装置200は、超音波を送受信するプローブ1と、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層7とを有するホルダ204とを備え、ホルダ本体241には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口244が形成されている。
【0079】
換言すると、超音波を送受信するプローブ1のためのホルダ204は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と、体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層7とを備え、ホルダ本体241には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口244が形成されている。
【0080】
この構成によれば、プローブ1がホルダ本体241に着脱可能となっているので、プローブ1をホルダ本体241から分離させた状態でホルダ204を体表に貼着することができる。ホルダ204が体表に貼着された後に、ホルダ本体241にプローブ1を装着することができる。このように、プローブ1とホルダ204とを分離させた状態でセンサ装置100の体表への装着を行うことができるので、プローブ1及びホルダ204の取り扱いを容易に行うことができる。その結果、ホルダ204を体表へ装着する際の位置決め精度を向上させることができ、ひいては、プローブ1の体表への位置決め精度も向上させることができる。さらに、ホルダ204が体表に貼着された状態のままプローブ1を取り外すことができるので、プローブ1のメンテナンス性を向上させると共に、プローブ1の再装着時の位置の再現性を向上させることができる。
【0081】
また、ホルダ本体241は、開口244が形成され、プローブ1が嵌め込まれる枠243を有し、枠243は、弾性変形することによってプローブ1が嵌め込まれるように形成され、弾性によってプローブ1を保持している。
【0082】
この構成によれば、弾性変形可能な枠243によってプローブ1を保持できるので、ホルダ本体241を簡易に構成することができる。
【0083】
《実施形態3》
続いて、実施形態3に係るセンサ装置300について説明する。
図19は、センサ装置300の平面図である。尚、
図19においては、粘着層307にハッチングが付されている。センサ装置300は、ホルダ304の構成がセンサ装置200のホルダ204と異なる。以下では、センサ装置300のうちセンサ装置100及びセンサ装置200と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0084】
センサ装置300は、超音波を送受信するプローブ1と、ホルダ304とを備えている。プローブ1は、ホルダ304に保持されている。センサ装置300は、対象者の体表に接触した状態で装着され、体内に超音波を送信し、その反射波を受信する。センサ装置300は、対象者の下腹部の体表に装着される(
図3参照)。
【0085】
図20は、ホルダ304の分解斜視図である。尚、
図20においては、ホルダ本体241の設置場所だけを一点鎖線で示し、ホルダ本体241自体の図示を省略している。また、粘着層307にハッチングが付されている。ホルダ304は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と、体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層307とホルダ本体241の周囲に拡がるように設けられたシート306とを有している。つまり、ホルダ304のホルダ本体241は、ホルダ204のホルダ本体241と同じであり、粘着層307及びシート306が粘着層7及びシート6と異なる。
【0086】
シート306は、ホルダ本体241よりも大きな形状をしている。例えば、シート306は、可撓性を有する材質で形成されている。例えば、シート306は、ウレタン系のフォーム材で形成されている。シート306は、粘着層307よりも通気性が低い材料で形成されている。シート306の略中央に、開口361が形成されている。開口361は、枠243のうち、平板246の裏面246bから突出している部分の外形よりも大きく且つ平板246の外形よりも小さく形成されている。シート306のうち体表と反対側の面を表(おもて)面306aと称し、シート306のうち体表側の面を裏面306bと称する。シート306の表面306aには、ホルダ本体241が貼着される。具体的には、枠243が開口361に挿入された状態で、平板246の裏面246bが両面テープ(図示省略)を介してシート306の表面306aに貼着されている。シート306は、開口244の軸心Xと直交する方向であって枠243から外方へ拡がっている。
【0087】
より詳しくは、シート306は、ホルダ本体241が設置されるベース部364と、ベース部364から外方へ延びる帯状部365とを有している。シート306は、複数の帯状部365を有していてもよい。シート306は、ベース部364を囲むように配置され、帯状部365を介してベース部364と連結された環状部366をさらに有していてもよい。
【0088】
このようなシート306には、ベース部364及び帯状部365によって区画される開口が形成されている。詳しくは、
図19,20に示すように、ベース部364、帯状部365及び環状部366を有するシート306においては、ベース部364、帯状部365及び環状部366によって区画される1又は複数の開口367が形成されている。
【0089】
シート306の外形に関し、シート306は、少なくとも2つの傾斜線部362,362を有する。2つの傾斜線部362,362の一端部(上端部)同士の間隔よりも他端部(下端部)同士の間隔の方が小さくなるように互いに傾斜している。詳しくは、シート306は、シート6と同様に、概ね下底よりも上底が長い台形状に形成されている。2つの傾斜線部362,362は、台形の脚に相当する。傾斜線部362は、シート306の外形が内側へ凹むように曲線状に形成されている。尚、傾斜線部362は、直線状に形成されていてもよく、シート306の外形が外側に拡がるように曲線状に形成されていてもよい。台形の上底に相当する上底部363の中央には、外側に拡がる膨出部363aが形成されている。
【0090】
体表へのホルダ304の貼着時に、2つの傾斜線部362が概ね鼠径部103に沿うように且つ、膨出部363aが臍104(
図3参照)の下方に位置するようにしてシート306が下腹部に貼着される。つまり、傾斜線部362及び膨出部363aは、基準部分の一例であり、鼠径部103及び臍104は、体表の特定の部分の一例である。
【0091】
粘着層307は、シート306の裏面306bに設けられている。粘着層307は、シート306を体表に貼着及び剥離を繰り返すことができる程度の粘着力を有している。粘着層307は、通気性を有する材料、好ましくは、シート306よりも通気性が高い材料で形成されている。例えば、粘着層307は、不織布製の粘着テープで形成されている。尚、シート306も、粘着層307と同程度の通気性を有していてもよい。粘着層307のうち体表側の面である裏面307bが粘着性を有している。粘着層307は、両面テープ308を介してシート306の裏面306bに貼着されている。
【0092】
粘着層307は、シート306の裏面306bの略全面に設けられている。例えば、粘着層307の外形は、シート306の外形と略同じであってもよい。粘着層307の略中央に、シート306の開口361と連通する開口371が形成されている。開口371は、枠243のうち平板246の裏面246bから突出している部分が貫通する。その一方で、粘着層307には、シート306の開口367に対応する開口が形成されていない。
【0093】
両面テープ308は、シート306と実質的に同じ形状をしている。詳しくは、両面テープ308は、ベース部364に対応するベース部384と、帯状部365に対応する帯状部385とを有している。両面テープ308は、複数の帯状部385を有していてもよい。両面テープ308は、環状部366に対応する環状部386をさらに有していてもよい。両面テープ308の略中央には、シート306の開口361と連通する開口381が形成されている。両面テープ308には、シート306の開口367と連通する1又は複数の開口387が形成されている。両面テープ308は、シート306の裏面306bの略全面に貼着される一方、粘着層307のうち体表側の面である表面307aに貼着される。これにより、両面テープ308は、シート306に粘着層307を取り付けている。
【0094】
シート306及び粘着層307が両面テープ308によって接合された状態においては、開口361、開口381及び開口371が互いに連通する。また、開口367及び開口387が互いに連通する。開口367及び開口387は、粘着層307によって塞がれている。枠243の一部が開口361、開口381及び開口371に挿入された状態で、ホルダ本体241は、両面テープ(図示省略)を介してシート306の表面306aに貼着される。
【0095】
ホルダ304は、粘着層307を介して体表に貼着される。ホルダ本体241に保持されるプローブ1は、開口361、開口381及び開口371を介して体表側へ露出する。
【0096】
このように構成されたホルダ304は、体表への貼着状態を長期間維持することができると共に、通気性を確保することができる。詳しくは、シート306において、ホルダ本体241が取り付けられるベース部364から外方へ帯状部365が延びている。これにより、シート306の外形が拡大されている。さらに、環状部366が設けられることによって、シート306の外形がさらに拡大されている。これらベース部364、帯状部365及び環状部366には、粘着層307が設けられているので、体表へのホルダ304の貼着力が向上する。また、ベース部364が単に拡大される(例えば、ベース部364が相似的に拡大される)構成と比べて、シート306を体表の広範囲に貼着することができる。体表は、人体の活動に伴って自在に変動する。体表の変動は、シート306を体表から剥離させるように作用し得る。体表の変動は、その場所によって様々である。シート306が体表の狭い範囲に貼着されていると、シート306が全体的に体表の変動の影響を受け得る。それに対し、シート306が体表の広範囲に貼着されている場合には、シート306の一部が体表の変動の影響を受けても、シート306の別の部分は体表の変動の影響が小さいこともあり得る。その結果、ホルダ304の体表への貼着状態が長期間維持されやすくなる。そして、シート306の外形が拡大したにもかかわらず、開口387を設けることによって、シート306の通気性を確保することができる。尚、両面テープ308も同様の開口387を設けること及び通気性を有する材料で粘着層307を形成することによって、開口387が粘着層307で塞がれているとしても、開口387の通気性を維持することができる。
【0097】
尚、ホルダ304は、以下のように変形してもよい。
図21は、変形例1に係るシート306の平面図である。尚、
図21においては、ホルダ本体241の設置場所だけを一点鎖線で示し、ホルダ本体241自体の図示を省略している。また、粘着層307にハッチングが付されている。例えば、シート306は、ベース部364と帯状部365とを有し、環状部366を有していなくてもよい。シート306には、ベース部364及び帯状部365によって区画される切欠き368が形成される。その場合、両面テープ308も、シート306と同様の形状に形成される。粘着層307は、シート306と同様の形状であっても、異なる形状であってもよい。粘着層307は、シート306と異なる形状である場合には、例えば、複数の帯状部365の先端を滑らかに繋ぐような外形を有していてもよい。すなわち、粘着層307は、切欠き368の一部又は全部を塞ぐような形状に形成されていてもよい。尚、複数の帯状部365の先端部が連結されていてもよい。すなわち、シート306には、開口367及び切欠き368の両方が形成されていてもよい。
【0098】
また、別の変形例として、粘着層307には、開口367と対応する(即ち、連通する)開口又は切欠き368と対応する(即ち、連通する)切欠きが形成されていてもよい。この構成によれば、粘着層307は開口387又は切欠き368の通気性に影響を与えないので、通気性を有する材料で粘着層307を形成しなくてもよい。ただし、通気性を有する材料で粘着層307を形成し、粘着層307で開口387又は切欠き368を塞ぐことによって、通気性を確保しつつ、体表への粘着層307の接着力を向上させることができる。
【0099】
以上のように、センサ装置300は、超音波を送受信するプローブ1と、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層307とを有するホルダ304とを備え、ホルダ本体241には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口244が形成されている。
【0100】
換言すると、超音波を送受信するプローブ1のためのホルダ304は、プローブ1を着脱可能に保持するホルダ本体241と、体表に貼着されることによってホルダ本体241を体表に取り付ける粘着層307とを備え、ホルダ本体241には、保持したプローブ1を体表の側へ露出させる開口244が形成されている。
【0101】
この構成によれば、センサ装置100,200及びホルダ4,204と同様に、センサ装置300の装着時におけるセンサ装置300の取り扱いを容易にすることができる。
【0102】
また、シート306は、ホルダ本体241が取り付けられるベース部364と、ベース部364から外方へ帯状に延びる帯状部365とを有し、シート306には、少なくとも帯状部365によって区画される開口367又は切欠き368が形成されている。
【0103】
この構成によれば、シート306を全面的に大きくするのではなく、帯状部365によって局所的に拡張することによって、シート306を体表の広範囲に亘って貼着させることができ、その結果、ホルダ304が体表に貼着された状態を長期間維持することができる。さらに、帯状部365によって開口367又は切欠き368が形成されるので、シート306の通気性を確保することができる。つまり、体表へのシート306の接着面積の拡大を抑制しつつ、シート306の外形を大きくすることによって、シート306の通気性とホルダ304の貼着状態の安定性とを両立させることができる。
【0104】
さらに、粘着層307は、シート306よりも通気性が高い材料で形成され、シート306の開口367又は切欠き368を少なくとも部分的に塞ぐように設けられている。
【0105】
この構成によれば、粘着層307は、シート306の開口367又は切欠き368にも設けられているので、開口367又は切欠き368の通気性を損なうことなく、ホルダ304の貼着力を向上させることができる。
【0106】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0107】
例えば、プローブ1は、前述の構成に限定されない。プローブ1が含む超音波センサ11の個数は、1つ、2つ又は3つであってもよく、5つ以上であってもよい。プローブ1が複数の超音波センサ11を含む場合、複数の超音波センサ11は、任意の配置とすることができる。
【0108】
プローブ1の外形は、略長円形以外の形状であってもよい。例えば、プローブ1の外形は、略長方形状であってもよい。
【0109】
プローブ1は、ケーブル13を介して外部機器に接続されているが、これに限定されない。プローブ1は、外部機器に無線で接続されていてもよい。外部機器は、PC又はスマートフォン等の端末であってもよい。
【0110】
センサ装置100,200,300は、超音波測定システム9に適用されているが、これに限定されない。センサ装置100,200,300は、体内へ送信した超音波の反射波を受信し、その受信波を利用する装置及びシステムに適用することができる。例えば、センサ装置100,200,300は、膀胱の蓄尿量又は排尿タイミングの推定以外の用途に用いられてもよい。センサ装置100,200,300は、例えば、腸内の蓄便量及び/又は排便タイミングの推定に用いられてもよい。具体的には、プローブ1は、大腸からの反射波を検出するように構成され、大腸の太さの推定に用いられてもよい。あるいは、センサ装置100,200,300は、連続波ドプラ法(CWD:Continuous Wave Doppler)を用いた生体活動性に関する情報の取得に用いられてもよい。生体活動性に関する情報としては、蠕動運動の活動性に関する情報が挙げられる。連続波ドプラ法によれば、送信した超音波の周波数と受信した反射波の周波数の差異に基づいて、超音波が反射した対象物の動きの大きさを推定することができる。プローブ1から上行結腸、横行結腸、下行結腸又はS状結腸に向けて超音波を送信し、その反射波を受信し、周波数の変化(差異)を抽出することによって、反射部分における蠕動運動を評価することができる。センサ装置100,200,300は、このような生体活動性に関する情報の取得に用いられてもよい。
【0111】
ホルダ4,204は、シート6を有していなくてもよい。その場合、ホルダ本体41,241の体表側の面に粘着層7が設けられ得る。つまり、ホルダ本体41,241が、粘着層7を介して体表に貼着される。
【0112】
ホルダ4,204,304の材料、即ち、ホルダ本体41,241、シート6,306及び粘着層7,307の材料は、適宜選択することができる。
【0113】
1枚のシート6,306に、複数のホルダ本体41,241が設けられていてもよい。例えば、1枚のシート6に、4つのホルダ本体41が設けられていてもよい。4つのプローブ1がそれぞれ対応するホルダ本体41に装着される。この場合、体表の異なる4か所の位置において、超音波の送受信を行うことができる。
【0114】
ホルダ本体41,241は、プローブ1が開口44,244の第2開口縁44b,244bよりも突出しないようにプローブ1を保持してもよい。例えば、ホルダ41,241は、プローブ1が開口44,244の第2開口縁44b,244bと面一となるようにプローブ1を保持してもよい。ただし、プローブ1を体表に密着させる必要がある場合は、プローブ1を第2開口縁44b,244bよりも突出させることが好ましい。
【0115】
ホルダ本体41の枠43と蓋5とは、分離可能に構成されていてもよい。つまり、蓋5は、枠43に着脱可能であればよく、枠43の軸受47に取り付けられていなくてもよい。
【0116】
ホルダ本体は、複数の分割体によって環状に形成される枠を有していてもよい。例えば、枠243を2分割とし、一方の分割体をシート6及び粘着層7に固定し、他方の分割体を、一方の分割体から着脱可能に構成してもよい。この場合、一方の分割体にプローブ1が嵌め込まれた状態で他方の分割体を一方の分割体に取り付けることによって、プローブ1が枠に装着される。このとき、枠は、枠243のような弾性を有していなくてもよい。
【0117】
シート6,306の形状は、任意に形成することができる。シート6,306のうち体表の特定の部分に対応する形状に形成された基準部分は、傾斜線部62又は膨出部363aでなくてもよい。適宜に選択された、体表の特定の部分に対応する形状であれば、基準部分は任意に形成することができる。例えば、シート6,306は、臍を露出させる開口を基準部分として有していてもよい。シート6,306の基準部分が対応する、体表の特定の部分は、鼠径部103又は臍104でなくてもよい。
【0118】
また、ホルダ本体とシートとは、一体的に形成されていてもよい。例えば、ホルダ本体241とシート6又はシート306とが同じ材料(例えば、PET)で一体的に形成されていてもよい。
【0119】
粘着層7,307は、シート6,306の裏面6b,306bの全面ではなく、一部に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上説明したように、ここに開示された技術は、センサ装置及びホルダについて有用である。
【符号の説明】
【0121】
100,200,300 センサ装置
1 プローブ
4,204,304 ホルダ
41,241 ホルダ本体
43,243 枠
44,244 開口
44a,244a 第1開口縁(体表と反対側の開口縁)
44b,244b 第2開口縁(体表側の開口縁)
45,245 内周面
5 蓋
6,306 シート
6b,306b 裏面(体表と対向する面)
62,362 傾斜線部(基準部分)
363a 膨出部(基準部分)
364 ベース部
365 帯状部
367 開口
368 切欠き
7,307 粘着層
103 鼠径部(体表の特定の部分)
104 臍(体表の特定の部分)