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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】ガンマ放射結像装置及び結像方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/29 20060101AFI20221021BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
G01T1/29 C
G01T1/20 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021535274
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2019121615
(87)【国際公開番号】W WO2020125371
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201811559943.2
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼天予
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲亜▼▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】王学武
(72)【発明者】
【氏名】王忠
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/139625(WO,A1)
【文献】特開2009-257962(JP,A)
【文献】特表2016-533477(JP,A)
【文献】特表2017-524408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/29
G01T 1/161
A61B 6/03
A61B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分離した検出器を含み、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器は、結像領域の異なる位置からの放射線が、当該検出器に到達するまでに通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なり、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断することを特徴とするガンマ線結像装置。
【請求項2】
前記複数の分離した検出器は、複数の隣接する2つの検出器の厚さが異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の結像装置。
【請求項3】
前記複数の分離した検出器は、光子の移動方向に沿って配置された少なくとも2つの検出器を含み、前記少なくとも2つの検出器は、前記放射線における光子の移動方向に沿う前方検出器及び後方検出器を含み、前記前方検出器は、前記後方検出器へ移動する光子を遮断及びコリメートする
ことを特徴とする請求項1に記載の結像装置。
【請求項4】
前記複数の分離した検出器は、前記放射線における光子の移動方向、及び光子の移動方向に直交する方向にアレイに配置され、各検出器とそれに隣接する検出器とは、光子に対する減衰率が異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の結像装置。
【請求項5】
隣接する2つの検出器層は、間隔を有する
ことを特徴とする請求項に記載の結像装置。
【請求項6】
前記放射線における光子の移動方向に沿って複数の検出器層を形成し、
前記複数の分離した検出器層の複数の隣接する2つの検出器層の間隔は異なる
ことを特徴とする請求項に記載の結像装置。
【請求項7】
隣接する2つの検出器は、間隔を有する
ことを特徴とする請求項に記載の結像装置。
【請求項8】
前記複数の分離した検出器の隣接する2つの検出器の間隔が異なる
ことを特徴とする請求項に記載の結像装置。
【請求項9】
複数の検出器間の距離を変化することにより、異なる方向から1つの検出器に入射する放射線における光子が異なる減衰率を有するようにする
ことを特徴とする請求項またはに記載の結像装置。
【請求項10】
前記複数の分離した検出器は、複数の第1種類の検出器と複数の第2種類の検出器とを含み、複数の第1種類の検出器と複数の第2種類の検出器とは交互に配置され、隣接する2つの検出器の種類は異なる
ことを特徴とする請求項6に記載の結像装置。
【請求項11】
前記第1種類の検出器及び第2種類の検出器は、いずれも、NaI、CsI、BGO、LSO、LYSO、GSO、YSO、CZT、YAP、GAGGのいずれかである
ことを特徴とする請求項10に記載の結像装置。
【請求項12】
前記複数の検出器層は、それぞれ、第1の検出器層から第Nの検出器層であり、前記第1の検出器層から第Nの検出器層は、光子の移動方向に沿って配置され、ただし、N≧2であり、
前記第1の検出器層と被検体との間に吸収コリメータをさらに含む
ことを特徴とする請求項に記載の結像装置。
【請求項13】
複数の分離した検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、複数の検出器層を形成し、被検体の外側で多層に配置され、隣接する2つの検出器層の間には間隔を有し、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断する
ことを特徴とする結像装置。
【請求項14】
複数の分離した検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、少なくとも2種類の検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、複数の検出器層を形成し、被検体の外側で多層に配置され、
被検体と光子の移動方向に沿う最内層の検出器層との間に位置するコリメータをさらに含み、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断する
ことを特徴とする結像装置。
【請求項15】
複数の分離した検出器を提供し、
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、
前記複数の検出器層によって前記被検体を結像し、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器は、結像領域の異なる位置からの放射線が前記1つの検出器に到達するまでに通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なり、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断する
ことを特徴とする結像方法。
【請求項16】
複数の分離した検出器を提供し、
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して、隣接する2つの検出器層の間に間隔を有するように複数の検出器層を形成し、
前記複数の検出器層によって前記被検体を結像し、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断する
ことを特徴とする結像方法。
【請求項17】
コリメータと、少なくとも2種類を含む複数の分離した検出器とを提供し、
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、
前記コリメータを、前記被検体と光子の移動方向に沿う最内層の検出器層との間に設け、
前記コリメータ及び前記複数の検出器層によって前記被検体を結像し、
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器が受光した異なる方向から入射した放射線は、通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なることで、異なる減衰率を有し、これにより放射線方向を判断する
ことを特徴とする結像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、核技術及び応用技術分野に関し、具体的には、ガンマ放射結像装置及び結像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガンマ放射結像は、医療診断、核漏洩及び核放射ホットスポットの監視、核廃棄物管理、工業・農業放射線源の管理・監視に、広く利用されている。ガンマ放射結像装置は、ガンマ光子を放出する核種を検出して、それの空間分布画像を形成することに使用され、工業用ガンマカメラとして、又は、医療診断用ガンマカメラとして、単独で使用してもよく、単光子放射断層結像(SPECT)又は陽電子放射断層結像(PET)の重要な機能部品として使用してもよい。
【0003】
ガンマ放射結像装置は、一般的に、検出器とコリメータとの2つの部分を含む。検出器部分は、位置感度ガンマ検出器によって、光子が検出器に入射する位置情報、エネルギー情報、及び時間情報を取得し、シンチレーション結晶+光電子増倍管からなるシンチレーション検出器であってもよく、半導体検出器であってもよく、又は、ガンマ放射測定に使用できる他の検出器であってもよい。コリメータは、検出器と被検体との間に配置され、ある特定の方向の光子のみを検出器に入射させ、他の方向の光子を吸収する。検出器で検出された光子の位置及びコリメータが許容する光子の入射方向に基づいて、人体から放出される光子の経路情報を取得し、平面ガンマ放射源分布画像を形成することができる。また、検出器とコリメータを被結像体周りに回転させて、複数の方向で複数の平面ガンマ画像を測定し、断層像再構成アルゴリズムで3次元のガンマ放射線源分布画像を求めることもできる。
【0004】
ガンマ放射結像装置のコリメータは、吸収平行化の原理を採用している。すなわち、コリメータを鉛、タングステン等の重金属で作製し、コリメータに穴、スリット、溝等の空隙部を開け、空隙部に入射した光子は、コリメータを透過して検出器に検出され、残りの光子は、コリメータに遮断されて吸収される。典型的には、パラレルアパーチャコリメータ、セクタビームコリメータ、ピンホールコリメータ等がある。このように作製されたコリメータは、光子の大部分を遮断し、ごく一部の光子のみを透過させることで、検出器ユニットで受光された光子イベントが被結像体空間における小さい部分領域からのみ生じ、画像再構成アルゴリズムによって、高い空間分解能の画像を取得することができる。しかし、多くの光子が吸収されるため、検出効率が低く、結像性能に大きな影響を与える。
【0005】
符号化開口コリメータに基づくガンマ放射結像装置は、コリメータの開口率を大幅に増加させ、異なる方向の放射源から入射する多くの光子により、検出器上に異なる投影平面分布を形成し、画像再構成アルゴリズムを使用して放射源方向を求める。このようなコリメータの検出効率は大幅に向上するが、検出器ユニットで受光される光子イベントは、被結像体空間における複数の領域または面積の大きい領域から生じる可能性があり、単一の光子から得られる方向情報は著しく低下し、点状または疎な放射線源のような特定の分布の結像のみに適用可能である。核医学結像等では、放射性医薬品が人体内に広く連続的に分布しているため、その結像効果は、パラレルアパーチャコリメータ等に基づく検出効率の低いガンマカメラと比べてむしろ劣る。
【0006】
以上のように、従来のガンマ放射結像装置は、吸収平行化原理を使用するコリメータが大量の光子を吸収するため、結像装置の検出効率が低く、その結果、収集時間が長く、又は限られた収集時間内の画像品質が低くなったり、高い開孔率を有する符号化開口コリメータによって、検出効率を向上させることはできるが、受光された光子イベントによる方向性情報を減少させ、その分、その画像品質も向上できない場合がある。
【0007】
【発明の概要】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、上記課題の少なくとも1つを解決できるように、光子検出効率が高く、且つ、光子イベント情報も高いガンマ放射結像装置及び結像方法を提供することを主な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示は、分離された検出器を有するガンマ放射結像装置及び結像方法を提供している。検出器を空間的に複数のユニットに分離し、異なる検出器ユニットを光子の移動方向に沿って前後に配置することによって、光子の移動方向における前方の検出器ユニットが後方の検出器ユニットに対して光子を遮断・コリメートすることができ、さらに、光子の減衰率が異なる検出器材料を用いて異なる検出器ユニットを形成することにより、光子の移動方向における前方の異なる検出器ユニットが、後方の検出器ユニットに対して異なる光子遮断・コリメートを行い、それにより、光子の方向を判断する効果が得られる。
【0012】
上記の装置において、すべての検出器ユニット(他の検出器に対してコリメート作用を持つ検出器ユニットを含む)によって測定された光子イベントは、いずれも、任意の結像方法に入力されることで、検出効率を向上させるとともに、光子イベントによる指向性情報も増加させて、より高品質の画像を得ることができる。
【0013】
本開示の一態様によれば、複数の分離した検出器を含み、前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器は、結像領域の異なる位置からの放射線が、当該検出器に到達するまでに通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なる、ガンマ線結像装置が提供される。
【0014】
本開示の他の態様によれば、複数の分離した検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、複数の検出器層を形成し、被検体の外側で多層に配置され、隣接する2つの検出器層の間には間隔を有する、結像装置が提供される。
【0015】
本開示の更に他の態様によれば、複数の分離した検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、少なくとも2種類の検出器を含み、前記複数の分離した検出器は、複数の検出器層を形成し、被検体の外側で多層に配置され、被検体と光子の移動方向に沿う最内層の検出器層との間に位置するコリメータをさらに含む、結像装置が提供される。
【0016】
本開示の別の態様によれば、複数の分離した検出器を提供し、前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、前記複数の検出器層によって前記被検体を結像し、前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器は、結像領域の異なる位置からの放射線が前記1つの検出器に到達するまでに通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なる、結像方法が提供される。
【0017】
本開示の更に別の態様によれば、複数の分離した検出器を提供し、前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して、隣接する2つの検出器層の間に間隔を有するように複数の検出器層を形成し、前記複数の検出器層によって、前記被検体を結像する、結像方法が提供される。
【0018】
本開示の更に別の態様によれば、コリメータと、少なくとも2種類を含む複数の分離した検出器とを提供し、前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、前記コリメータを、前記被検体と光子の移動方向に沿う最内層の検出器層との間に設け、前記コリメータ及び前記複数の検出器層によって前記被検体を結像する、結像方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
上記の技術案から分かるように、本開示の分離検出のガンマ放射結像装置及び結像方法は、以下の効果の少なくとも1つを奏する。
【0020】
(1)光子を検出するための検出器ユニットは、他の検出器ユニットのコリメータとして使用されることができ、その結果、異なる方向からある検出器ユニットに入射する放射線は、その経路において異なる数の他の検出器ユニット、又は異なる厚さの他の検出器ユニット、又は異なる材料の他の検出器ユニットを通過するので、異なる減衰率を有し、それによって、コリメータによる光子の吸収損失を低減して、光子方向の判断効果及び結像品質を向上させることができ、それにより、高い光子検出効率及び高い光子イベント情報の両方を有する。
【0021】
(2)検出器は、空間的に多層に分割されてもよく、検出器ユニットの空間配置の変化及び/又は検出器ユニットの間隔の変化が増加して、異なる方向からある検出器ユニットに入射する放射線が、その経路において異なる他の検出器ユニットを通過することによって異なる減衰率を有し、コリメータにおける光子の吸収損失を低減し、光子方向の判断効果及び結像品質を向上させることができる。
【0022】
(3)検出器は、異なる材料によって構成されてもよく、異なる材料が持つ異なる光子減衰率により、光子方向の判断効果及び結像品質を向上することができる。異なる方向からある検出器ユニットに入射する放射線は、その経路において異なる検出器材料を通過するため、異なる減衰率を有し、コリメータにおける光子の吸収損失を低減しつつ、光子方向の判断効果および結像品質をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1]本開示の一実施例に係るガンマ放射結像装置の構成を示す模式図である。
【0024】
図2]本開示の他の実施例に係るガンマ放射結像装置の構成を示す模式図である。
【0025】
図3]本開示のさらに他の実施例に係るガンマ放射結像装置の構造を示す模式図であ
る。
【0026】
図4]本開示の別の実施例に係るガンマ放射結像装置の構成を示す模式図である。
【0027】
図5]本開示のさらに別の実施例に係るガンマ放射結像装置の構成を示す模式図であ
る。
【0028】
図6]本開示のさらに別の実施例に係るガンマ放射結像装置の構成を示す模式図であ
る。
【0029】
【符号の説明】
【0030】
1 第1種類の検出器
2 第2種類の検出器
3、4 光線
5、6 位置
7 コリメータ
O 被検体
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の目的、技術案、および利点をより明確にするために、以下、具体的な実施例を挙げて、添付の図面を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。
【0032】
本開示は、シンチレーション光子を検出可能な検出器を、ガンマ放射結像装置を構成するコリメータに用いることを提案する。コリメータ部分は、全部シンチレーション光子を検出可能な検出器から構成されてもよく、または、任意の既存のコリメータとシンチレーション光子を検出可能な検出器とによりコリメータを構成してもよい。検出器部分のいずれかの検出器は、他の検出器のコリメータとして用いられてもよく、単なる検出器として動作してもよい。結像領域の異なる位置から放射された放射線が、同じ検出器に到達するまでに通過する検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なる(例えば、任意の検出器aについて、結像領域の異なる位置から放射された放射線b及び放射線cが、この検出器aに到達するまでに通過する検出器の厚さが異なり、及び/又は通過する検出器の材料が異なり、及び/又は通過する検出器の数が異なる)ように、適切な検出器の構造、材料、配置関係等を選択することで、検出器での放射線強度を測定することによって放射線が放射された位置を決定し、画像を取得することができる。
【0033】
コリメータとして使用される検出器のコリメータ効果をさらに向上するために、検出器は、空間的に異なる位置にある検出器が異なる光子(放射線)減衰率(減衰係数)を有し得るように、複数の検出器材料から構成され得る。これにより、異なる方向からある検出器に入射する放射線は、異なる検出器材料を通過して異なる減衰率を有し、光子の方向を判断する目的を達成できる。
【0034】
コリメータとして使用される検出器のコリメータ効果をさらに向上するために、検出器は、空間的に密接しないように配置され得る。検出器間の距離を変化させ、隣接する層の間隔を検出器サイズ以上とし、あるいは、同一層の隣接する検出器の間隔を検出器サイズ以上とすることにより、異なる方向からある検出器に入射する放射線が、異なる他の検出器を通過して異なる減衰率を有するようにして、光子の方向を判断する目的を達成できる。
【0035】
実施例1
【0036】
本実施例においては、図1に示すように、前記結像装置は、9つの検出器を含み、前記9つの検出器は、3つの検出器層を形成し、前記被検体(例えば、人体)の外部で3つの層に配置され、内側から外側へ順に第1の検出器層、第2の検出器層、第3の検出器層である。前記9つの検出器は、第1種類の検出器1と第2種類の検出器2との2種類の検出器を含む。そして、任意の隣接する2つの検出器は、前記光子に対する減衰率が異なる。
【0037】
具体的には、前記第1の検出器及び第2の検出器は、異なる材料からなる。本実施例の結像装置によれば、被検体Oの位置5からの光線3と位置6からの光線4は、前記第2の検出器層における第2種類の検出器2に入射するまでに、それぞれ、第1の検出器層における第1種類の検出器1と第2種類の検出器2を通過することによって、異なる減衰となり、前記第2の検出器層における第2種類の検出器2で受光された光子が、被検体Oの内部の異なる2つの位置である位置5と位置6からの光子である確率は異なり、光子の方向を判断する役割を果たす。
【0038】
本実施例における検出器の数、検出器の層数、検出器の種類数は例示的な説明に過ぎないことを指摘しておく。つまり、検出器の数は9つに限定されず、検出器の層数も3層に限定されず、検出器の種類も2種類に限定されず、当業者は、必要に応じて適宜調整することができる。
【0039】
実施例2
【0040】
本実施例においては、図2に示すように、前記結像装置は、6つの検出器を含み、前記6つの検出器は、2つの検出器層を形成し、前記被検体(例えば、人体)の外部で2つの層に配置され、内側から外側へ順に第1の検出器層と第2の検出器層である。前記6つの検出器は、いずれも第1種類の検出器1である。また、任意の隣接する2つの検出器の間には間隔がある。すなわち、第1の検出器層と第2の検出器層との間に間隔があり、第1の検出器層の隣接する2つの検出器の間に間隔があり、第2の検出器層の隣接する2つの検出器の間にも間隔がある。
【0041】
具体的には、本実施例の結像装置によれば、被検体の位置5からの光線3と位置6からの光線4は、第2の検出器層における検出器に入射するまでに、被検体の位置5からの光線3は、第1の検出器層における検出器を通過し、被検体の位置6からの光線4は、空気のみを通過することによって、異なる減衰となり、前記第2の検出器層における検出器で受光された光子が、位置5と位置6からの光子である確率は異なり、光子の方向を判断する役割を果たす。
【0042】
本実施例における検出器の数、検出器の層数、検出器の種類数は例示的な説明に過ぎないことを指摘しておく。つまり、検出器の数は6つに限定されず、検出器の層数も2層に限定されず、検出器の種類も1種類に限定されず、当業者は、必要に応じて適宜調整することができる。
【0043】
また、本実施例の結像装置の各検出器層は、複数の種類の検出器を含み、間隔と検出器の種類の違いによって光子方向を判断してもよい。
【0044】
実施例3
【0045】
本実施例においては、図3に示すように、前記結像装置は、9つの検出器を含み、前記9つの検出器は、3つの検出器層を形成し、前記被検体(例えば、人体)の外部で3つの層に配置され、内側から外側へ順に第1の検出器層、第2の検出器層、第3の検出器層である。前記9つの検出器は、第1種類の検出器1と第2種類の検出器2との2種類の検出器を含む。隣接する2つの検出器層は間隔を有し、且つ、第1の検出器層と第2の検出器層との間の間隔は、第2の検出器層と第3の検出器層との間の間隔と異なってもよい。任意の隣接する2つの検出器は、前記光子に対する減衰率が異なる。各層が一定の間隔で隔てられることにより、光子方向を判断する効果をさらに向上させる。
【0046】
具体的には、本実施例の結像装置によれば、被検体の位置5からの光線3と位置6からの光線4は、第2の検出器層における第2種類の検出器2の検出器に入射するまでに、被検体の位置5からの光線3は、第1の検出器層における第1種類の検出器1を通過し、被検体の位置6からの光線4は、第1の検出器層における第2種類の検出器2を通過することによって、異なる減衰となり、前記第2の検出器層における第2種類の検出器2で受光された光子が、位置5と位置6からの光子である確率は異なり、光子の方向を判断する役割を果たす。
【0047】
本実施例における検出器の数、検出器の層数、検出器の種類数は例示的な説明に過ぎないことを指摘しておく。つまり、検出器の数は9つに限定されず、検出器の層数も3層に限定されず、検出器の種類も2種類に限定されず、当業者は、必要に応じて適宜調整することができる。
【0048】
実施例4
【0049】
本実施例においては、図4に示すように、複合検出器/コリメータのガンマ放射結像装置は、9つの検出器を含み、前記9つの検出器は、3つの検出器層を形成し、前記被検体(例えば、人体)の外部で3つの層に配置され、内側から外側へ順に第1の検出器層、第2の検出器層、第3の検出器層である。前記9つの検出器は、第1種類の検出器1と第2種類の検出器2との2種類の検出器を含む。隣接する2つの検出器層は間隔を有し、且つ、第1の検出器層と第2の検出器層との間の間隔は、第2の検出器層と第3の検出器層との間の間隔と異なっていてもよい。任意の隣接する2つの検出器の前記光子に対する減衰率が異なる。各層が一定の間隔で隔てられることにより、光子方向を判断する効果をさらに向上させる。
【0050】
さらに、前記結像装置は、前記第1の検出器層と前記被検体との間に開口率が高い吸収コリメータ7をさらに含む。本実施例の結像装置において、第1層の検出器を除く他の各層の検出器は、その前の各層検出器の減衰により、光子方向を判断する効果を有する。第1の検出器層と被検体との間に開口率が高い吸収コリメータを設けることにより、第1の検出器層における検出器による光子方向の判断効果がさらに向上する。
【0051】
本実施例における検出器の数、検出器の層数、検出器の種類数は例示的な説明に過ぎないことを指摘しておく。つまり、検出器の数は9つに限定されず、検出器の層数も3層に限定されず、検出器の種類も2種類に限定されず、当業者は、必要に応じて適宜調整することができる。
【0052】
また、本実施例は、コリメータを含む結像装置であり、検出器の種類、分布等は、前記実施例と同じであってもよく、ここでは説明を省略する。
【0053】
実施例5
【0054】
本実施例において、ガンマ放射結像装置は、検出器ユニットを有し、検出器ユニットは、それぞれ第1の検出器アレイ層、第2の検出器アレイ層、第3の検出器アレイ層、第4の検出器アレイ層である4つの検出器アレイ層を含み、各検出器アレイ層は、それぞれ第1の検出器と第2の検出器である2種類の検出器を含む。第1の検出器はNaI無機シンチレータを含み、第2の検出器はLSO無機シンチレータを含む。各検出器アレイ層において、第1の検出器と第2の検出器とは、交互に配置される。第1の検出器アレイ層の各第1の検出器は、第2の検出器アレイ層の各第2の検出器の位置にそれぞれ対向し、第1の検出器アレイ層の各第2の検出器は、第2の検出器アレイ層の各第1の検出器の位置にそれぞれ対向する。被検体内の異なる位置からの光子は、検出器ユニット内で減衰率が異なる2つの材料を通過することで、異なる分布を形成する。
【0055】
実施例6
【0056】
本実施例において、ガンマ放射結像装置は、検出器ユニットを有し、検出器ユニットは、それぞれ第1の検出器アレイ層、第2の検出器アレイ層、第3の検出器アレイ層、第4の検出器アレイ層である4つの検出器アレイ層を含み、各検出器アレイ層は、それぞれ第1の検出器と第2の検出器である2種類の検出器を含む。第1の検出器はGSO検出器であり、第2の検出器はYSO検出器である。被検体内の異なる位置からの光子は、検出器内で減衰率が異なる2種類の材料を通過することで、異なる分布を形成する。
【0057】
実施例7
【0058】
本実施例において、ガンマ放射結像装置は、複数の検出器アレイ層を含み、各検出器アレイ層は、複数の種類の検出器を含む。前記被検体からの距離が最大である、最外層の検出器アレイ層は一種の検出器を含み、前記複数層の検出器アレイ層のうち、最外層の検出器アレイ層を除く検出器アレイ層は、複数の種類の検出器を含む。図5に示すように、同一層の検出器アレイ層において、前記複数の種類の検出器は交互に配置されている。
【0059】
実施例8
【0060】
実施例7と異なり、本実施例の結像装置は、図6に示すように、第1の検出器層と前記被検体との間にコリメータをさらに含む。
【0061】
本開示の分離した検出器を用いるガンマ放射結像装置は、コリメート効果がよりよく、ガンマ光子の測定数がより多く、空間分解能及び検出効率を効果的に向上している。
【0062】
また、本開示は、
【0063】
複数の分離した検出器を提供し、
【0064】
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、
【0065】
前記複数の検出器層によって前記被検体を結像する、結像方法を提供する。
【0066】
前記複数の分離した検出器の少なくとも1つの検出器は、結像領域の異なる位置からの放射線が前記1つの検出器に到達するまでに通過する他の検出器の厚さ、検出器の材料、検出器の数の少なくとも1つが異なる。
【0067】
本開示は、さらに、
【0068】
複数の分離した検出器を提供し、
【0069】
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して、隣接する2つの検出器層の間に間隔を有するように複数の検出器層を形成し、
【0070】
前記複数の検出器層によって前記被検体を結像する、別の結像方法を提供する。
【0071】
本開示は、さらに、
【0072】
コリメータと、少なくとも2種類を含む複数の分離した検出器とを提供し、
【0073】
前記複数の分離した検出器を被検体の外側で多層に配置して複数の検出器層を形成し、
【0074】
前記コリメータを、前記被検体と光子の移動方向に沿う最内層の検出器層との間に設け、
【0075】
前記コリメータ及び前記複数の検出器層によって前記被検体を結像する、別の結像方法を提供する。
【0076】
本開示の結像方法における前記検出器、コリメータ、間隔等の詳細は、前記結像装置の実施例と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0077】
また、上述した各素子及び方法に対する定義は、実施例に示した各種の具体的な構造、形状または方式に限定されず、当業者は、容易に変更または置き換えを行うことが可能である。
【0078】
実施例で言及された例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」等の方向用語は、単に図面を参照する方向であり、本開示の保護範囲を制限するためのものではないことを指摘しておく。図面では、同一の要素は、同一または類似の符号によって表される。本開示の理解を不要に混乱させる可能性がある場合には、従来の構造又は構成を省略する。また、図面における各部品の形状及び大きさは、実際の大きさ及び比例を反映するものではなく、本開示の実施例の内容を示すためのものである。なお、特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を制限するものと理解すべきではない。
【0079】
さらに、「含有する」または「含む」という単語は、請求項において記載されていない素子またはステップの存在を除外しない。素子の前に位置する「一」または「1つ」という単語は、そのような素子が複数存在することを除外しない。
【0080】
明細書及び特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」、「第3」等の順番を示す用語は、対応素子を修飾するためのものであり、それ自体は、当該素子に順番があることを意味せず、ある素子と別の要素との順序、又は製造方法の順序を表すものでもない。これらの用語の使用は、単に、ある名称を持つ素子を、同じ名称を有する別の要素と明らかに区別するためである。
【0081】
同様に、本開示を簡潔にし、且つ、それぞれの態様のうちの1つまたは複数を分かりやすくするために、本開示の例示的な実施例に対する上記の説明において、本開示のそれぞれの特徴は、単一の実施例、図、またはそれらの説明にグループ化される場合があることを理解すべきである。しかしながら、本開示の方法は、保護請求される本開示が、各請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を要求するという意図を反映するものと解釈してはいけない。より正確には、以下の特許請求の範囲が示すように、本開示の態様は、前に開示した単一の実施例の全ての特徴よりも少ない。したがって、発明を実施するための形態に従う特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、各請求項自体は、本開示の個別の実施形態として機能する。
【0082】
上記の具体的な実施例により、本開示の目的、技術案及び有益な効果をさらに説明している。理解すべきことは、上記は本開示の具体的な実施例に過ぎず、本開示を制限するものではない。本開示の主旨及び原則内のいずれの補正、等価切替、改善等は、いずれも、本開示の保護範囲に属すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6