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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】興行映像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/472 20110101AFI20221021BHJP
   H04N 21/478 20110101ALI20221021BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221021BHJP
   G06F 3/01 20060101ALN20221021BHJP
【FI】
H04N21/472
H04N21/478
G06Q50/10
G06F3/01 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022027967
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521516226
【氏名又は名称】内田 滋啓
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】内田 滋啓
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-015417(JP,A)
【文献】特開2020-017242(JP,A)
【文献】特開2016-025633(JP,A)
【文献】特開2015-069362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
G06Q 50/10
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に、
舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信可能な興行映像受信ステップと、
前記興行映像の一部又は全部を含む表示映像をヘッドマウントディスプレイに表示可能な表示ステップと、
前記表示映像から指定された指定部分が前記1以上の演者のいずれかである場合に、前記指定部分に対応する前記演者に利益を付与可能な利益付与ステップと、
を実行させ
前記興行映像は、演者と映像との対応付けに関する対応情報と関連付けられて格納され、
前記利益付与ステップは、表示装置入力部を用いて指定部分表示領域を移動させ、演者に対応する指定部分を指定し、前記対応情報を用いて指定された前記指定部分に対応する演者に利益を付与することが可能な興行映像表示プログラム。
【請求項2】
前記表示装置に、
前記ヘッドマウントディスプレイの位置が所定の範囲に含まれるかを判別可能な位置判別ステップをさらに実行させることが可能であり、
前記表示ステップは、前記位置が前記所定の範囲に含まれるかに応じて前記表示映像の表示を制御可能である、
請求項1に記載の興行映像表示プログラム。
【請求項3】
前記表示装置に、
前記ヘッドマウントディスプレイの移動速度が特定の範囲に含まれるかを判別可能な速度判別ステップをさらに実行させることが可能であり、
前記表示ステップは、前記移動速度が前記特定の範囲に含まれるかに応じて前記表示映像の表示を制御可能である、
請求項1又は2に記載の興行映像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、興行映像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
演劇、音楽ライブ、舞踏の公演、及びスポーツの試合等によって例示される観客に娯楽を提供する興行がある。興行において、従来、公演会場にいる観客から演者、選手等に金銭等の「おひねり」(「御捻り」「紙捻り」「ご祝儀」「投げ銭」等とも称する。)を渡すことが行われている。観客は、「おひねり」を渡すことを介して、興行において得られた感動への感謝の気持ちを演者、選手等に伝え得る。また、「おひねり」を渡された演者、選手等は、「おひねり」を介して観客の感動と感謝の気持ちとを実感し得る。そして、「おひねり」を渡された演者、選手等は、観客との関係性であるエンゲージメントを高め得る。
【0003】
「おひねり」を渡すことに関し、特許文献1は、選手の試合を観戦した観客による、選手に対するおひねり及び感動に関する情報の少なくとも1つを含む入力情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得した入力情報を選手ごとに評価する評価手段と、前記評価手段によって評価された評価情報を外部へ提供する提供手段とを備えることを特徴とするサーバ装置を開示している。特許文献1は、入力情報として、選手ごとに表示されるボタンが押下されたときにPC又は携帯端末に表示される入力画面を介して入力される情報等を示している。
【0004】
特許文献1の発明は、スポーツの選手又はチームに対する「おひねり」を好適に徴収しつつ、観客が受けた感動を評価し、当該選手等の影響度を評価して外部へ発信し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-174134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、興行に関し、観客が利用する各種の表示装置へ興行の映像を配信することが行われている。興行の映像を配信することにより、観客は、興行会場と異なる場所で興行を楽しみ得る。また、興行の映像を配信することにより、興行の主催者は、会場の定員、興行に係る費用面、安全面、衛生面等による制限に縛られることなく、興行を観る楽しみを多数の観客に提供し得る。
【0007】
興行の映像の配信について、例えば、興行会場で興行を観る場合のような、臨場感豊かな表示が可能な配信に対する要望がある。特許文献1の発明は、スポーツの試合を観戦した観客から「おひねり」を好適に徴収し得るものの、興行の映像を臨場感豊かに表示可能な配信を行う点において、さらなる改良の余地がある。
【0008】
また、特許文献1の発明では、選手ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」に係る入力情報を入力する。ここで、スポーツにおいては、審判等がスポーツに関する裁定を円滑に行うことを助ける等の目的のため、通常、選手を識別可能な情報が提供される。このような情報として、例えば、ユニフォーム及びトランクス等の選手が身につけるものが含む背番号、選手名、及びデザイン等、並びに、選手がいるコートサイド等が挙げられる。観客は、選手を識別可能な情報を用いて、選手たちを識別し、選手ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」に係る入力情報を入力し得る。
【0009】
興行に関し、演劇、音楽ライブ、及び舞踏の公演等によって例示される舞台で行われる興行がある。舞台で行われる興行を楽しむ場合においては、スポーツの観戦と異なり、選手に相当する演者を識別可能な情報が必ずしも提供されるとは限らない。これにより、舞台で行われる興行を楽しむ観客は、演者を識別することに困難を生じ得る。
【0010】
したがって、特許文献1の発明を用いて、舞台で行われる興行を行う演者に「おひねり」を渡そうとすると、観客は、演者の演技等に感動した場合に、当該演技等を行った演者及び/又は当該演者に対応するボタンを識別できず、演者ごとに表示されるボタンを介して「おひねり」を渡せないリスクが生じ得る。
【0011】
したがって、特許文献1の発明は、舞台で行われる興行の映像を配信した場合に、演者を識別可能な情報を提供していない演者について、観客が「おひねり」を渡す等の当該演者に利益を付与することを可能とする点において、さらなる改良の余地がある。
【0012】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信し、興行映像の一部又は全部を含む表示映像をヘッドマウントディスプレイに表示し、表示映像から指定された指定部分が1以上の演者のいずれかである場合に、指定部分に対応する演者に利益を付与可能とすること等によって上述の課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明は、表示装置に、舞台で演じる1以上の演者が撮影された興行映像を外部の装置から受信可能な興行映像受信ステップと、前記興行映像の一部又は全部を含む表示映像をヘッドマウントディスプレイに表示可能な表示ステップと、前記表示映像から指定された指定部分が前記1以上の演者のいずれかである場合に、前記指定部分に対応する前記演者に利益を付与可能な利益付与ステップと、を実行させることが可能な興行映像表示プログラムを提供する。
【0015】
第1の特徴に係る発明によれば、ヘッドマウントディスプレイに、外部の装置から受信した興行映像の一部又は全部を含む表示映像が表示される。ヘッドマウントディスプレイは、据置型のディスプレイ等より小さな装置でより広い視野を提供可能であることが知られている。また、表示映像の視野が広いほど、臨場感が高まることが知られている。したがって、ヘッドマウントディスプレイに表示映像を表示することにより、配信された興行の映像が臨場感豊かに表示される。
【0016】
そして、第1の特徴に係る発明によれば、観客は、ヘッドマウントディスプレイに表示された表示映像から1以上の演者のいずれかに対応する指定部分を指定し、指定された演者に「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像から演者のいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者を間違えることなく指定し、指定された演者に「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0017】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【0018】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記表示装置に、前記ヘッドマウントディスプレイの位置が所定の範囲に含まれるかを判別可能な位置判別ステップをさらに実行させることが可能であり、前記表示ステップは、前記位置が前記所定の範囲に含まれるかに応じて前記表示映像の表示を制御可能である、プログラムを提供する。
【0019】
ヘッドマウントディスプレイに表示された表示映像は、観客が現実世界を見ることを妨げ得る。したがって、ヘッドマウントディスプレイに表示された表示映像の視聴において、観客が該映像を安全に視聴できるよう支援する要望がある。
【0020】
第2の特徴に係る発明によれば、ヘッドマウントディスプレイの位置が所定の範囲に含まれるかに応じて表示映像の表示を制御できる。これにより、観客が屋内等の安全に視聴できる場所にいる場合に限定してヘッドマウントディスプレイに表示映像を表示するよう制御し得る。また、観客が安全に視聴できないことが懸念される場所にいる場合にヘッドマウントディスプレイに表示映像を表示させないよう制御し得る。
【0021】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示することと、観客が興行の映像を安全に視聴できるよう支援することと、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与することと、を両立できる。
【0022】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【0023】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記表示装置に、前記ヘッドマウントディスプレイの移動速度が特定の範囲に含まれるかを判別可能な速度判別ステップをさらに実行させることが可能であり、前記表示ステップは、前記移動速度が前記特定の範囲に含まれるかに応じて前記表示映像の表示を制御可能である、プログラムを提供する。
【0024】
上述の通り、ヘッドマウントディスプレイに表示された表示映像は、観客が現実世界を見ることを妨げ得る。したがって、観客が表示映像を視聴しながら歩行等すると、家具等につまづく、及び/又は、ぶつかる等のリスクが懸念される。
【0025】
第3の特徴に係る発明によれば、ヘッドマウントディスプレイの移動速度が特定の範囲に含まれるかに応じて表示映像の表示を制御できる。これにより、観客が歩行等していない場合に限定してヘッドマウントディスプレイに表示映像を表示するよう制御し得る。
【0026】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示することと、観客が興行の映像を安全に視聴できるよう支援することと、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与することと、を両立できる。
【0027】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本実施形態の興行映像配信システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、興行テーブル221の一例である。
図3図3は、興行映像テーブル321の一例である。
図4図4は、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、表示装置3で実行される表示処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
図6図6は、図5に続くフローチャートである。
図7図7は、全方位カメラを備える撮影装置1が設置された公演会場Tの一例を示す概略平面図である。
図8図8は、観客が表示映像Dを用いて演者Aを指定する様子の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
<興行映像配信システムS>
図1は、本実施形態の興行映像配信システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。以下、図1を用いて本実施形態の興行映像配信システムSの好ましい構成の一例を説明する。
【0032】
興行映像配信システムSは、撮影装置1と、サーバ2と、サーバ2とネットワークNを介して接続可能な表示装置3と、を含んで構成される。
【0033】
〔撮影装置1〕
撮影装置1は、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者A(例えば、図7の第1演者A1及び第2演者A2等。)を撮影可能である。撮影装置1は、特に限定されず、従来技術のカメラ等でよい。
【0034】
撮影装置1の数は、特に限定されない。撮影装置1の数は、2つ以上であることが好ましい。これにより、2つ以上の撮影装置1は、舞台TSを複数の視点から撮影し得る。そして、サーバ2は、複数の視点から撮影した映像に基づく立体映像を配信し得る。したがって、表示装置3において、興行の映像をよりいっそう臨場感豊かに表示できる。
【0035】
撮影装置1は、水平方向において実質的に全方位を撮影可能な全方位カメラを含むことが好ましい。これにより、表示装置3は、1以上の演者Aが演じる舞台TSの全てに加えて、舞台TSの周囲をも撮影した興行映像を用いて表示映像Dを後述するヘッドマウントディスプレイに表示できる。
【0036】
全方位カメラの種類は、特に限定されない。全方位カメラは、2以上のカメラを含むことが好ましい。これにより、撮影装置1は、舞台TSを複数の視点から撮影し得る。そして、サーバ2は、複数の視点から撮影した映像に基づく立体映像を配信し得る。したがって、表示装置3において、興行の映像をよりいっそう臨場感豊かに表示できる。
【0037】
全方位カメラは、互いに異なる方向を撮影可能な2以上のカメラを含むことが好ましい。魚眼レンズ等の広い水平画角を撮影可能なカメラでは、水平画角が広くなるにつれて、撮影範囲の外周付近における映像の歪みが増し得る。全方位カメラは、互いに異なる方向を撮影可能な2以上のカメラを含むことにより、1つのカメラで全方位を撮影する場合よりカメラそれぞれの水平画角を狭くし得る。これにより、全方位カメラは、撮影範囲の外周付近において映像が歪むことを低減し得る。
【0038】
全方位カメラが含むカメラの数は、4以上であることが好ましい。これにより、全方位カメラは、通常、60°以上100°以下の水平画角を有する広角レンズを用いたカメラによって構成され得る。したがって、4以上のカメラを含む全方位カメラは、広角レンズより広い水平画角を有する魚眼レンズを必要とする3以下のカメラを含む全方位カメラより、撮影範囲の外周付近における歪みを軽減し得る。
【0039】
[公演会場T]
撮影装置1が含む全方位カメラが設置される公演会場Tは、観客席が常設されていないことが好ましい。
【0040】
観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置する場合、観客席を利用する観客の姿等が興行映像に含まれ得る。これにより、表示装置3を用いて興行を楽しむ観客は、舞台TSで演ずる演者Aを観ることを妨げられ得る。
【0041】
また、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、伝染病対策等の衛生上の事由等によって興行及び撮影を行えないリスクがあり得る。加えて、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置し、観客を入れて公演中の興行を撮影する場合、観客席を常設することに関する負担に加えて、常設された観客席を観客が利用することによってもたらされる費用面、安全面、衛生面等における興行の主催者の負担が多大なものとなり、撮影に支障をきたし得る。
【0042】
観客席が常設されていない公演会場Tに全方位カメラが設置されるため、上述の事由等によって興行及び撮影が行われないリスクと、観客席の常設に関する各種の負担によって撮影に支障をきたすリスクと、が低減され得る。これにより、興行映像配信システムSは、興行映像をよりいっそう確実に配信し、配信された興行映像の表示を介して観客が演者Aに利益をよりいっそう確実に付与できる。
【0043】
また、観客席が常設されていない公演会場Tに全方位カメラが設置されるため、撮影装置1は、観客の入退場等を待つことなく興行を撮影できる。これにより、興行映像配信システムSは、観客席が設けられた公演会場Tに全方位カメラを設置する場合より、同じ時間内においてよりいっそう多くの興行映像を撮影し、配信できる。
【0044】
公演会場Tの外観は、特に限定されない。公演会場Tの外観は、例えば、桃山風の意匠を取り込んだ近代建築の外観等でよい。同様の外観を有する公演会場として、京都市にある南座が挙げられる。公演会場Tの外観が桃山風の意匠を取り込んだ近代建築の外観であることにより、観客は、公演会場Tの外観をも楽しみ得る。
【0045】
〔サーバ2〕
サーバ2は、サーバ制御部21と、サーバ記憶部22と、サーバ通信部23と、を備える。
【0046】
[サーバ制御部21]
サーバ制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0047】
サーバ制御部21は、必要に応じてサーバ記憶部22及び/又はサーバ通信部23等と協働し、サーバ2のソフトウェア構成要素である配信部211、利益割当部212、等を実現可能である。
【0048】
[サーバ記憶部22]
サーバ記憶部22は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。サーバ記憶部22は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0049】
サーバ記憶部22には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、興行テーブル221、表示装置3を利用する観客それぞれにおける利益の付与手段に関する登録観客情報、等が記憶されている。
【0050】
(興行テーブル221)
興行テーブル221は、興行映像及び1以上の演者情報を含む興行の情報を格納する。
【0051】
興行映像は、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された映像であれば、特に限定されない。興行映像のフォーマットは、特に限定されず、映像データに用いられる従来技術の各種フォーマットでよい。興行映像は、当該映像に関する音声を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、音声を含む興行映像を配信できる。興行映像は、当該映像に関する字幕を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、字幕を含む興行映像を配信できる。
【0052】
興行映像は、立体映像を表示可能な情報を含むことが好ましい。これにより、後述するヘッドマウントディスプレイに立体映像を表示できる。したがって、表示装置3において、興行の映像をよりいっそう臨場感豊かに表示できる。
【0053】
興行映像は、仮想現実(virtual reality、VRとも称する。)、拡張現実(augmented reality、ARとも称する。)、及び/又は複合現実(mixed reality、MRとも称する。)等を実現可能な情報を含むことが好ましい。当該情報は、例えば、ヘッドマウントディスプレイの向きに応じた映像を表示可能な情報、観客の仮想空間上での位置に応じた映像を表示可能な情報、等を含む。
【0054】
興行映像は、撮影装置1によって撮影された映像を含むことが好ましく、撮影装置1が備える全方位カメラによって撮影された映像を含むことがより好ましい。興行映像が全方位カメラによって撮影された映像であることにより、1以上の演者Aが演じる舞台TSの全てに加えて、舞台TSの周囲(例えば、公演会場Tの内部等。)をも撮影した興行映像を用いて表示映像Dを表示できる。興行映像が立体映像を表示可能な情報を含む場合、興行画像は、複数の撮影装置1によって撮影された映像及び/又は撮影装置1が含む複数のカメラによって撮影された映像を含むことが好ましい。これにより、表示装置3は、複数の撮影装置1によって撮影された映像を用いて立体映像を表示し得る。
【0055】
撮影装置1によって撮影された映像を含む興行映像は、特に限定されず、例えば、撮影装置1から配信された映像を含んでもよく、撮影装置1によって撮影された映像を外部の映像編集手段等を用いて編集した映像を含んでもよく、興行に関するリアルタイムの映像を含んでもよい。
【0056】
興行映像は、撮影装置1によって撮影された映像を外部の映像編集手段等を用いて編集した映像を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、単に撮影された映像を配信するだけでなく、編集によって臨場感等を増した映像を配信し得る。このような編集として、例えば、デジタル編集によって舞台装置を興行映像に合成する編集、デジタル映像を興行映像に合成する編集、演者Aを興行映像に合成する編集、等が挙げられる。
【0057】
興行映像は、興行に関するリアルタイムの映像を含むことが好ましい。これにより、観客は、配信されたリアルタイムの映像を介して、時間的な臨場感がある興行を楽しみ得る。
【0058】
リアルタイムの映像に関し、映像が撮影されるタイミングと映像が表示されるタイミングとが実質的に同じである映像配信を生配信とも称する。興行映像は、生配信される興行映像を含むことが好ましい。
【0059】
生配信される興行映像における映像が撮影されるタイミングと映像が配信されるタイミングとの時間差は、5分以下であることが好ましく、3分以下であることがより好ましく、2分以下であることがさらに好ましい。これにより、表示装置3は、よりいっそうライブの臨場感がある態様で興行映像を配信できる。
【0060】
生配信では、映像が撮影されるタイミングと映像が配信されるタイミングとの間に所定の時間差があることが好ましい。これにより、生配信であるにもかかわらず、配信されることが適切でない映像が配信されることを防ぎ得る。所定の時間差は、15秒以上であることが好ましく、30秒以上であることがより好ましく、1分以上であることがさらに好ましい。これにより、表示装置3は、配信されることが適切でない映像が配信されることをよりいっそう防ぎ得る。
【0061】
興行は、公演会場Tの舞台TSで1以上の演者Aが演じるものであれば、特に限定されない。興行は、例えば、演劇、コント等のお笑いの公演、音楽ライブ等の1以上を含むものでよい。また、興行は、スポーツの試合を含んでもよい。スポーツの試合である興行において、演者Aは、選手、スタッフ等に相当する。
【0062】
興行は、演劇を含むことが好ましい。演劇は、多数の演者Aが演じ得るものである。そして、演劇では、多数の演者Aそれぞれが楽器等によって例示される、演者Aを識別可能な要素を、演者Aが身に着けておらず、多数の演者Aそれぞれの識別が困難な場合があり得る。興行が演劇を含む場合、特に、群衆等を演じる役名の無い脇役を役名及び衣装等によって指定することが困難となり得る。興行が演劇を含むことにより、観客は、利益を付与したい演者Aが役名及び衣装等によって指定することが困難な演者Aであっても、そのような演者Aたちを表示された映像から容易に指定し得る。
【0063】
興行テーブル221は、興行映像の代わりに演者Aに相当する人物を含む各種映像と1以上の演者情報を含む映像の情報を格納できることが好ましい。このような各種映像として、例えば、映画、ドラマ、ニュース、動画コンテンツ等が挙げられる。上述の各種映像では、映像が含む人物たちが人物たちを容易に識別可能な衣装等を身に着けていない場合があり得る。したがって、興行テーブル221が興行映像の代わりに各種映像を格納可能であることにより、観客は、このような人物たちを表示された映像から容易に指定し得る。
【0064】
以下、興行映像が興行の映像であるものとして説明するが、興行映像が上述した各種映像である場合も同様に、興行映像配信システムSは、配信及び演者Aに相当する人物を指定し、利益を付与することが可能である。
【0065】
興行の情報は、演者Aと映像との対応付けに関する対応情報を含むことが好ましい。興行の情報が対応情報を含むことにより、対応情報を表示装置3に配信できる。
【0066】
興行の情報は、演者Aに対応する利益(「おひねり」とも称する。)に関する情報を含むことが好ましい。興行の情報が利益に関する情報を含むことにより、当該利益を対応する演者Aに付与できる。
【0067】
興行テーブル221は、興行の情報を識別可能な興行IDと当該興行IDによって識別される興行の情報とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、興行IDを用いて興行の情報を格納及び/又は取得できる。
【0068】
興行テーブル221は、興行映像をネットワークN上で識別可能なネットワーク上識別情報と興行とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、ネットワーク上識別情報に応じた興行映像を配信できる。また、観客は、ネットワーク上識別情報を用いて自らが感動等を得た興行映像を友人等に推薦し得る。さらに、興行の主催者及び/又は演者Aは、ネットワーク上識別情報を用いて興行映像を宣伝等し得る。
【0069】
ネットワーク上識別情報は、特に限定されず、例えば、興行映像と関連付けられたURL(Uniform Resource Locator)、URI(Uniform Resource Identifier)等が挙げられる。
【0070】
図2は、興行テーブル221の一例である。図2に示す興行テーブル221の興行ID「P0001」によって識別される興行は、以下の情報を含んでいる:
舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した「興行映像」と、
興行映像のうち第1演者A1に対応する部分を示す「対応情報」及び第1演者A1に付与される利益「20万円」を有する「第1演者情報」、並びに、
興行映像のうち第2演者A2に対応する部分を示す「対応情報」及び第2演者A2に付与される利益「12万円」を有する「第2演者情報」、
を含む「演者情報」。
【0071】
興行テーブル221が格納する興行が上述の各情報を含んでいることにより、サーバ2は、興行映像を配信し、興行映像のうち第1演者A1及び/又は第2演者A2に対応する部分が指定されたときに、各々に対応する利益を付与できる。
【0072】
[サーバ通信部23]
サーバ通信部23は、サーバ2をネットワークNに接続して表示装置3等と通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0073】
〔表示装置3〕
表示装置3は、表示装置制御部31と、表示装置記憶部32と、表示装置通信部33と、ヘッドマウントディスプレイ34と、表示装置入力部35と、を備える。必須の態様ではないが、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の位置を取得可能な位置取得部36、及び/又は、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度を取得可能な速度取得部37をさらに備えることが好ましい。
【0074】
表示装置3は、サーバ2から受信した興行画像の少なくとも一部又は全部である表示映像Dをヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、HMD、とも称する。)を含むヘッドマウントディスプレイ34に表示可能であれば、特に限定されない。
【0075】
表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34と一体に構成されていてもよく、別体に構成されていてもよい。中でも、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34と一体に構成されていることが好ましい。これにより、観客がヘッドマウントディスプレイ34と別体に構成された表示装置3とヘッドマウントディスプレイ34とを接続する煩わしさを感じることを防ぎ得る。
【0076】
[表示装置制御部31]
表示装置制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0077】
表示装置制御部31は、必要に応じて表示装置記憶部32、表示装置通信部33、ヘッドマウントディスプレイ34、及び/又は表示装置入力部35等と協働し、表示装置3のソフトウェア構成要素である興行映像受信部311、利益付与部312、位置判別部313、速度判別部314、映像表示部315、等を実現可能である。
【0078】
[表示装置記憶部32]
表示装置記憶部32は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。表示装置記憶部32は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0079】
表示装置記憶部32には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、興行映像テーブル321等が記憶されている。
【0080】
(興行映像テーブル321)
興行映像テーブル321は、サーバ2から受信した映像であって、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された興行映像を格納する。興行映像は、興行テーブル221に格納される興行映像と同様でよい。
【0081】
興行映像は、演者Aと映像との対応付けに関する対応情報と関連付けられて格納されることが好ましい。興行映像が対応情報と関連付けられて格納されることにより、表示装置3は、対応情報を用いて指定された指定部分に対応する演者Aを判別できる。これにより、表示装置3は、演者Aを判別する精度を高め得る。また、表示装置3は、画像認識技術等を用いて演者Aを逐一認識する等の処理負荷が比較的大きな処理を行うことなく、対応情報を用いた比較的簡易な処理によって演者Aを判別できる。
【0082】
ヘッドマウントディスプレイ34と表示装置3とが一体に構成されている場合、興行映像が上述の対応情報と関連付けられて格納されることは、表示装置3を軽量な構成にし得るとの効果をもたらし得る。上述の通り、興行映像が上述の対応情報と関連付けられて格納されることにより、表示装置3は、処理負荷が比較的大きな処理を行うことなく、対応情報を用いた比較的簡易な処理によって演者Aを判別できる。したがって、ヘッドマウントディスプレイ34と一体に構成された表示装置3を処理能力が比較的小さい軽量な構成とし得る。これにより、観客は、ヘッドマウントディスプレイ34をよりいっそう容易に利用し得る。
【0083】
興行映像テーブル321は、興行映像を識別可能な興行映像IDと当該興行映像IDによって識別される興行映像とを関連付けて格納可能であることが好ましい。これにより、表示装置3は、興行映像IDを用いて興行映像等を格納及び/又は取得できる。
【0084】
図3は、興行映像テーブル321の一例である。図3に示す興行映像テーブル321の興行映像ID「V0001」は、以下の情報と関連付けられている:
舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した「興行映像」と、
興行映像のうち第1演者A1に対応する部分を示す「第1対応情報」、及び、
興行映像のうち第2演者A2に対応する部分を示す「第2対応情報」、
を含む「対応情報」。
【0085】
興行映像テーブル321が格納する興行が興行映像を含んでいることにより、表示装置3は、興行映像をヘッドマウントディスプレイ34に表示できる。また、興行映像テーブル321が格納する興行が対応情報を含んでいることにより、表示装置3は、対応情報を用いて興行映像のうち第1演者A1及び/又は第2演者A2に対応する部分を容易に識別できる。
【0086】
[表示装置通信部33]
表示装置通信部33は、表示装置3をネットワークNに接続してサーバ2等と通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0087】
[ヘッドマウントディスプレイ34]
ヘッドマウントディスプレイ34は、興行画像のうち表示映像Dを表示可能であれば特に限定されず、従来技術のヘッドマウントディスプレイでよい。一般に、ヘッドマウントディスプレイは、据置型のディスプレイ等より小さな装置でより広い視野を提供可能であることが知られている。また、表示映像の視野が広いほど、臨場感が高まることが知られている。したがって、表示装置3がヘッドマウントディスプレイ34を含むことにより、ヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを臨場感豊かに表示できる。
【0088】
上述の通り、ヘッドマウントディスプレイ34は、表示装置3の他の部材と一体に構成されていてもよく、別体に構成されていてもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ34は、立体映像を表示可能であることが好ましい。これにより、ヘッドマウントディスプレイ34は、臨場感豊かな立体映像の態様で表示映像Dを表示できる。
【0089】
[表示装置入力部35]
表示装置入力部35は、表示映像Dが含む演者Aを指定可能であれば特に限定されない。表示装置入力部35は、ウェアラブルキーボード等によって例示されるキーボード、ヘッドマウントディスプレイ34に対応したポインティングディバイス、等の1以上を有するものでよい。表示装置入力部35は、表示映像Dの表示倍率及び画角を指定可能であることが好ましい。これにより、表示装置3を利用する観客(以下、単に「観客」とも称する。)は、表示映像Dを縮小して演者Aが含まれる部分を探しやすくし得る。また、これにより、観客は、表示映像Dを拡大して演者Aが含まれる部分を指定しやすくし得る。
【0090】
[位置取得部36]
位置取得部36は、ヘッドマウントディスプレイ34の位置を取得可能であれば、特に限定されない。位置取得部36は、例えば、GPSを用いてヘッドマウントディスプレイ34の位置を取得可能な従来技術のGPS受信機、観客が興行映像を安全に視聴可能な場所に設置された電波源からの電波を受信してヘッドマウントディスプレイ34が当該標識に近い安全に視聴可能な範囲にあるか識別可能な電波受信機、等を含むものでよい。位置取得部36を含むことにより、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の位置に応じた制御を行える。
【0091】
[速度取得部37]
速度取得部37は、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度を取得可能であれば、特に限定されない。速度取得部37は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度を取得可能な従来技術の速度センサ、加速度センサ等を含むものでよい。また、速度取得部37は、例えば、GPSを用いてヘッドマウントディスプレイ34の移動速度を取得可能でもよい。速度取得部37を含むことにより、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度に応じた制御を行える。
【0092】
[向き取得部]
興行映像がVR、AR、及び/又はMRを表示可能な情報を含む場合、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の向きを取得可能な向き取得部(図示せず)を含むことが好ましい。これにより、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の向きに応じてVR、AR、及び/又はMRを表示する制御等を行える。向き取得部は、特に限定されず、例えば、VR対応のヘッドマウントディスプレイ34と一体に構成された向きを検知可能なセンサ等でよい。
【0093】
〔利益〕
指定された演者Aに付与可能な利益は、特に限定されない。利益は、各種の法定通貨と交換可能な通貨でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨でもよい。
【0094】
利益は、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報を含んでもよい。これにより、演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0095】
利益は、特定の興行及び/又は特定の映像への出演権等によって例示される、演者Aに与えられる所定の権利の付与可能性を高める情報を含んでもよい。これにより、指定された演者Aは、所定の権利の付与を介して観客からの評価を実感し得る。また、所定の権利が出演権である場合、観客は、指定した演者Aを出演する興行及び/又は映像等でさらに楽しみ得る。
【0096】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、サーバ2と表示装置3とを通信可能にするものであれば特に限定されず、例えば、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、Wi-Fiネットワーク、携帯電話ネットワーク、あるいはこれらのネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0097】
〔配信処理のメインフローチャート〕
図4は、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下、図4を用いて、サーバ2で実行される配信処理の好ましい流れの一例が説明される。
【0098】
[登録判別ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2は、表示装置3を利用する観客がサーバ2に利益の付与手段に関する登録観客情報を登録した登録観客であるか判別する登録判別ステップを実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、登録観客情報を登録した、利益をより確実に付与可能な登録観客に利益を付与する手段を提供できる。登録判別ステップは、特に限定されず、例えば、表示装置3から受信した観客に関する情報(例えば、登録観客を識別可能な登録観客ID及びパスワード。)を用いて登録観客であるか判別する方法でよい。
【0099】
まず、サーバ2は、興行映像を配信する配信ステップ(ステップS1からステップS3)を実行する。これにより、サーバ2は、表示装置3からの配信指令に応じて興行映像を表示装置3に配信できる。
【0100】
[ステップS1:配信指令を受信したか判別]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して配信部211を実行し、表示装置3等から興行映像の配信を指令する配信指令を受信したか判別する処理を行う(ステップS1)。受信したならば、サーバ制御部21は、処理をステップS2に移す。受信していないならば、サーバ制御部21は、処理をステップS4に移す。
【0101】
必須の態様ではないが、配信指令を受信したか判別する処理は、複数の興行映像から配信される配信対象興行映像を選択可能な興行映像選択画面を表示する指令を表示装置3に送信し、興行映像選択画面の配信先から選択された興行映像の配信指令を受信する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、複数の興行映像から視聴したい興行映像を選択し、当該興行映像の配信を容易に指令できる。
【0102】
[ステップS2:興行映像を取得]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22と協働して配信部211を実行し、興行テーブル221から興行映像等を取得する処理を行う(ステップS2)。サーバ制御部21は、処理をステップS3に移す。
【0103】
興行テーブル221が格納する興行の情報が演者Aと映像との対応付けに関する対応情報を含む場合、ステップS2の処理は、対応情報を取得する処理を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、興行映像に加えて対応情報を配信できる。
【0104】
[ステップS3:興行映像を配信]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して配信部211を実行し、ステップS2において取得した興行映像等をステップS1で受信した配信指令の送信元に配信する処理を行う(ステップS3)。サーバ制御部21は、処理をステップS4に移す。
【0105】
映像が撮影されるタイミングと映像が配信されるタイミングとが実質的に同じである映像配信を生配信とも称する。興行映像等を配信する処理は、興行映像を生配信する処理を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、ライブの臨場感がある生配信の態様で興行映像を配信できる。
【0106】
生配信における映像が撮影されるタイミングと映像が配信されるタイミングとの時間差は、5分以下であることが好ましく、3分以下であることがより好ましく、2分以下であることがさらに好ましい。これにより、表示装置3は、よりいっそうライブの臨場感がある態様で興行映像を配信できる。
【0107】
生配信では、映像が撮影されるタイミングと映像が配信されるタイミングとの間に所定の時間差があることが好ましい。これにより、生配信であるにもかかわらず、配信されることが適切でない映像が配信されることを防ぎ得る。所定の時間差は、15秒以上であることが好ましく、30秒以上であることがより好ましく、1分以上であることがさらに好ましい。これにより、表示装置3は、配信されることが適切でない映像が配信されることをよりいっそう防ぎ得る。
【0108】
続いて、サーバ2は、表示装置3から受信した利益を特定通貨での利益に換算し、換算後の利益を1以上の演者Aのそれぞれに割り当てる利益割当ステップ(ステップS4からステップS6)を実行する。
【0109】
これにより、サーバ2は、表示装置3から受信した利益に応じた換算後の利益を1以上の演者Aのそれぞれに割り当てられる。したがって、興行映像配信システムSは、配信された興行の映像に映っている演者Aについて、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0110】
[ステップS4:利益を受信したか判別]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、表示装置3等から利益を受信したか判別する処理を行う(ステップS4)。受信したならば、サーバ制御部21は、処理をステップS5に移す。受信していないならば、サーバ制御部21は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS6の処理を繰り返す。
【0111】
受信する利益は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を含んでいれば、特に限定されない。受信する利益は、表示装置3において表示された映像において指定された演者Aを含む部分に関する情報及び演者Aを識別可能な情報等の1以上を含む情報でよい。
【0112】
受信する利益が演者Aを識別可能な情報を含まない場合、利益を受信したか判別する処理は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を用いて当該演者Aを識別する処理を含むことが好ましい。当該演者Aを識別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて当該演者Aを識別する処理、各種画像認識を用いて当該演者Aを識別する処理等でよい。
【0113】
必須の態様ではないが、受信する利益は、利益の多寡に関する情報を含むことが好ましい。受信する利益が利益の多寡に関する情報を含むことにより、観客は、感動の度合い等に応じた利益を演者Aに付与し得る。
【0114】
[ステップS5:利益を換算]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、ステップS4において受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理を行う(ステップS5)。サーバ制御部21は、処理をステップS6に移す。
【0115】
特定通貨での利益に換算する処理は、特に限定されない。
【0116】
特定通貨での利益に換算する処理は、受信した利益を所定の額の特定通貨に換算する処理を含んでもよい。これにより、観客は、付与する利益の多寡を逐一指定することなく、演者Aを指定する簡易な操作によって演者Aに利益を付与できる。
【0117】
特定通貨での利益に換算する処理は、演者Aを指定した回数及び/又は演者Aを指定した時間の長さ等によって例示される、感動の度合いに関する情報を特定通貨に換算する処理を含んでもよい。これにより、観客は、演者Aを指定した回数及び/又は演者Aを指定した時間の長さ等によって、演者Aに所望の額の利益を付与できる。
【0118】
特定通貨は、特に限定されない。特定通貨は、各種の法定通貨と交換可能な通貨でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨でもよい。
【0119】
受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理は、受信した利益を特定通貨での利益に換算する代わりに、受信した利益を、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報に換算する処理を含んでもよい。これにより、演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0120】
必須の態様ではないが、受信した利益を特定通貨での利益に換算する処理は、指定された演者Aに関する映像、画像、音声、及び/又は文章をステップS4で受信した利益の送信元に配信する処理を含んでもよい。これにより、観客は、配信された映像、画像、音声、及び/又は文章を介して、指定された演者Aに利益が付与されることを確認できる。また、観客は、配信された映像、画像、音声、及び/又は文章を鑑賞する楽しみを得うる。
【0121】
[ステップS6:換算した利益を割り当て]
サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して利益割当部212を実行し、ステップS5において換算した利益をステップS4において受信した利益に対応する演者Aに割り当てる処理を行う(ステップS6)。サーバ制御部21は、処理をステップS1に移し、ステップS1からステップS6の処理を繰り返す。
【0122】
必須の態様ではないが、換算した利益を割り当てる処理は、指定された演者Aに関する所定利益を観客に付与する処理を含んでもよい。所定利益として、例えば、指定された演者Aに関する品物、指定された演者Aのファンクラブにおいて観客に付与されるポイント等が挙げられる。これにより、観客は、感動等を伝えるだけでなく、演者Aに関する所定利益を楽しみ得る。
【0123】
[購入画面提供ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ制御部21は、サーバ記憶部22及びサーバ通信部23と協働して、表示装置3に興行に関する商品を購入可能な購入画面を表示するよう指令する購入画面提供ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、配信された興行映像の鑑賞後等に、リアルタイムで商品を購入し得る。したがって、観客は、利益の付与だけでなく、興行に関する商品を購入することによっても、興行によって得られた感動等を演者A等の興行の関係者に伝え得る。また、サーバ制御部21が購入画面提供ステップを実行可能であることにより、演劇等の興行の収益性を高めることが可能な課金モデルが構築され得る。そして、構築された課金モデルが提供する収益性は、演劇等の興行を文化として浸透させるためのベースとなり得る。
【0124】
購入画面の表示態様は、特に限定されない。購入画面の表示態様は、購入画面をVR、AR、及び/又はMRとして表示する態様を含むことが好ましい。これにより、観客が興行映像を視聴するときの臨場感がVR、AR、及び/又はMRでない購入画面の表示によって損なわれることを防ぎ得る。臨場感が損なわれることを防ぐことにより、観客の購買意欲が高まることも見込み得る。
【0125】
購入画面提供ステップに関する商品は、特に限定されない。購入画面提供ステップに関する商品として、例えば、興行映像の一部又は全部、興行及び/又は演者Aに関する冊子、写真、小物等の各種グッズ、興行及び/又は演者Aに関するデジタルデータ並びに、演者Aの肖像の商業的利用に関する権利、等が挙げられる。
【0126】
従来、演劇等の興行において、興行の一場面を撮影した写真が販売されている。このような写真に関し、当該商品は、中でも、興行映像の一部を切り抜いた画像を表示可能なデジタルデータを含むことが好ましい。これにより、観客は、上述の写真に相当する画像を表示可能なデジタルデータを購入し得る。このようなデジタルデータを購入可能であることにより、写真の収納、写真の保管、衛生面への配慮、等に関する観客の負担等が軽減され得る。
【0127】
当該商品は、興行に関するデジタルデータのうち、トレーディングカードとして利用可能なデジタルデータを含むことが好ましい。これにより、観客は、興行に関するトレーディングカードの交換及び/又は鑑賞を楽しむことができる。
【0128】
購入画面提供ステップを実行可能なタイミングは、特に限定されない。当該タイミングは、例えば、配信前、配信中、配信後のタイミング等の1以上を含むタイミングでよい。
【0129】
当該商品が興行の流れを示すテキストを含む場合、当該タイミングは、配信前のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、興行の流れをテキストによって把握した上で興行映像を楽しむことができる。
【0130】
当該商品が興行に関するデジタルデータのうち興行の流れを示すテキスト及び/又は画像を表示可能なデジタルデータを含む場合、当該タイミングは、配信前のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、興行の流れを当該商品によって把握した上で興行映像を楽しむことができる。
【0131】
当該商品が各種グッズを含む場合、当該タイミングは、配信前のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、各種グッズを用いて演者Aを応援しながら興行映像を楽しむことができる。
【0132】
当該商品が各種グッズを含む場合、当該タイミングは、配信後のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、各種グッズを興行の記念品として楽しむことができる。
【0133】
当該商品が興行に関するデジタルデータのうち興行映像の一部を切り抜いた画像を表示可能なデジタルデータを含む場合、当該タイミングは、配信前及び/又は配信後のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、配信前及び/又は配信後に当該画像の鑑賞を楽しむことができる。このような画像として、例えば、興行映像のうち名シーンに相当する一部を切り抜いた画像等が挙げられる。
【0134】
当該商品が興行に関するデジタルデータのうちトレーディングカードとして利用可能なデジタルデータを含む場合、当該タイミングは、配信前及び/又は配信後のタイミングを含むことが好ましい。これにより、観客は、配信前及び/又は配信後に当該トレーディングカードの交換及び/又は鑑賞を楽しむことができる。
【0135】
商品がデジタルデータを含む場合、購入画面提供ステップにおいて表示を指令される購入画面は、デジタルデータを非代替性トークン(「non-fungible token」、「NFT」とも称する。)と関連付けて購入可能とする画面であることが好ましい。これにより、サーバ2の管理者及び/又は興行の主催者等は、NFTと関連付けられたデジタルデータを配信前及び/又は配信後に直接販売し得る。また、これにより、観客は、デジタルデータと関連付けられたNFTによって当該デジタルデータに関する権利を示し得る。
【0136】
さらに、これにより、NFTと関連付けられたデジタルデータを購入した購入者は、当該NFTが示す権利に基づいて、当該デジタルデータを映画、テレビ放送、及びオンデマンド配信等によって例示される、各種媒体で発表し得る。また、NFTと関連付けられたデジタルデータを購入した購入者は、当該NFTが示す権利に基づいて、当該デジタルデータを用いた広告画像及び広告映像等の製作、配信、及び/又は販売等を行い得る。
【0137】
デジタルデータをNFTと関連付けて購入可能とする手段は、特に限定されず、ブロックチェーン技術を用いて所有権の正当性を示す方法等によって例示される、従来技術の非代替性トークンの取引に関する方法を含む手段でよい。
【0138】
購入画面がデジタルデータをNFTと関連付けて購入可能とする画面である場合、NFTと関連付けられたデジタルデータは、興行映像の一部を切り抜いた画像を表示可能なデジタルデータ及び/又はトレーディングカードとして利用可能なデジタルデータを含むことが好ましい。
【0139】
これにより、観客は、関連付けられたNFTによって当該画像及び/又はトレーディングカードの取引等に関する権利(例えば、当該画像及び/又はトレーディングカードを他社に販売する権利。)を示し得る。
【0140】
[ネットワーク上識別情報配信ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2は、興行映像をネットワークN上で識別可能なネットワーク上識別情報を表示装置3、興行の主催者及び/又は演者Aが利用する端末等の各種装置に配信するネットワーク上識別情報配信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、配信されたネットワーク上識別情報を用いて自らが感動等を得た興行映像を友人等に推薦し得る。また、興行の主催者及び/又は演者Aは、配信されたネットワーク上識別情報を用いて興行映像を宣伝等し得る。
【0141】
[観客映像受信ステップ]
必須の態様ではないが、興行映像が興行に関するリアルタイムの映像を含む場合、サーバ2は、表示装置3から観客が撮影されたリアルタイムの観客映像を受信する観客映像受信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、観客映像を演者A等に配信し得る。したがって、観客は、演者A等と双方向の映像通信を行い得る。双方向の映像通信を行うことにより、観客は、演者A等とリアルタイムの交流を楽しみ得る。また、観客は、リアルタイムの交流において、演者Aに利益を付与し得る。
【0142】
〔表示処理のメインフローチャート〕
図5は、表示装置3で実行される表示処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。図6は、図5に続くフローチャートである。以下、図5及び図6を用いて、表示装置3において、興行映像表示プログラムの実行を介して実行される表示処理の好ましい流れの一例が説明される。
【0143】
[観客情報送信ステップ]
必須の態様ではないが、サーバ2が登録判別ステップを実行可能である場合、表示装置3は、観客に関する情報であって、当該観客が登録観客であるか判別可能な情報である観客情報をサーバ2に送信する観客情報送信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、サーバ2は、観客情報を用いて観客が登録観客であるか判別できる。
【0144】
まず、表示装置3は、興行映像を受信する興行映像受信ステップ(ステップS11からステップS14)を実行する。これにより、表示装置3は、興行映像を受信できる。
【0145】
[ステップS11:配信指示を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して興行映像受信部311を実行し、表示装置3を利用する観客から興行映像の配信を指示する配信指示を受信したか判別する処理を行う(ステップS11)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS12に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS13に移す。
【0146】
配信指示を受信したか判別する処理は、観客が指定した指定興行映像の配信を指示する配信指示を受信したか判別する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、表示装置3を介して指定した指定興行映像の配信を指示できる。
【0147】
[ステップS12:配信指令を送信]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置通信部33と協働して興行映像受信部311を実行し、ステップS11で受信した配信指示に基づく配信指令をサーバ2に送信する処理を行う(ステップS12)。表示装置制御部31は、処理をステップS13に移す。
【0148】
[ステップS13:興行映像を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置通信部33と協働して興行映像受信部311を実行し、サーバ2から興行映像を受信したか判別する処理を行う(ステップS13)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS14に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS15に移す。
【0149】
[ステップS14:興行映像を格納]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32と協働して興行映像受信部311を実行し、ステップS13で受信した興行映像を興行映像テーブル321に格納する処理を行う(ステップS14)。表示装置制御部31は、処理をステップS15に移す。
【0150】
続いて、表示装置3は、興行映像の少なくとも一部をヘッドマウントディスプレイ34に表示する映像表示ステップ(ステップS15からステップS18及びステップS22)を実行する。これにより、表示装置3は、興行映像を表示できる。
【0151】
[ステップS15:表示指示を受信したか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部315を実行し、表示装置3を利用する観客から興行映像の表示を指示する表示指示を受信したか判別する処理を行う(ステップS15)。受信したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS16(図6に記載)に移す。受信していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。
【0152】
ヘッドマウントディスプレイ34に表示された表示映像Dは、観客が現実世界を見ることを妨げ得る。したがって、ヘッドマウントディスプレイ34に表示された表示映像Dの視聴において、観客が該映像を安全に視聴できるよう支援する要望がある。
【0153】
必須の態様ではないが、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の位置が所定の範囲に含まれるか判別可能な位置判別ステップ(ステップS16)を実行可能であることが好ましい。これにより、ヘッドマウントディスプレイ34の位置が所定の範囲に含まれるかに応じて表示映像Dの表示を制御できる。これにより、観客が屋内等の安全に視聴できる場所にいる場合に限定してヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示するよう制御し得る。また、観客が安全に視聴できないことが懸念される場所にいる場合にヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示させないよう制御し得る。
【0154】
[ステップS16:位置が所定の範囲に含まれるか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び位置取得部36と協働して位置判別部313を実行し、ヘッドマウントディスプレイ34の位置が所定の範囲に含まれるか判別する処理を行う(ステップS16、位置判別ステップ)。位置が所定の範囲に含まれると判別したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS17に移す。位置が所定の範囲に含まれると判別していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11(図5に記載)に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。
【0155】
所定の範囲は、観客がヘッドマウントディスプレイ34に表示された表示映像Dを安全に視聴可能であることに関する範囲であれば、特に限定されない。所定の範囲は、例えば、観客の自宅・自室等に関する範囲、興行映像を視聴するために設けられた建物・部屋等に関する範囲、の1以上を含む範囲でよい。
【0156】
位置判別ステップは、観客が安全に視聴できないことが懸念される範囲にヘッドマウントディスプレイ34の位置が含まれるか判別し、位置が当該範囲に含まれると判別した場合に処理をステップS11に移し、位置が当該範囲に含まれると判別していない場合に処理をステップS17に移す処理を含んでもよい。これにより、表示装置3は、路上及び山野等によって例示される観客が安全に視聴できないことが懸念される範囲にヘッドマウントディスプレイ34の位置が含まれる場合に、ヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示させないよう制御し得る。
【0157】
観客が安全に視聴することに関し、上述の通り、ヘッドマウントディスプレイ34に表示された表示映像Dは、観客が現実世界を見ることを妨げ得る。したがって、観客が表示映像Dを視聴しながら歩行等すると、家具等につまづく、及び/又は、ぶつかる等のリスクが懸念される。
【0158】
必須の態様ではないが、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度が特定の範囲に含まれるか判別可能な速度判別ステップ(ステップS17)を実行可能であることが好ましい。これにより、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度が特定の範囲に含まれるかに応じて表示映像Dの表示を制御できる。これにより、観客が歩行等していない場合に限定してヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示するよう制御し得る。
【0159】
[ステップS17:移動速度が特定の範囲に含まれるか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び速度取得部37と協働して速度判別部314を実行し、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度が特定の範囲に含まれるか判別する処理を行う(ステップS17、速度判別ステップ)。移動速度が特定の範囲に含まれると判別したならば、表示装置制御部31は、処理をステップS18に移す。移動速度が特定の範囲に含まれると判別していないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11(図5に記載)に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。
【0160】
特定の範囲は、観客が安全に視聴可能な移動速度の範囲であれば、特に限定されない。特定の範囲は、例えば、観客が実質的に静止している場合の移動速度の範囲でよい。
【0161】
速度判別ステップは、観客が安全に視聴できないことが懸念される範囲にヘッドマウントディスプレイ34の移動速度が含まれるか判別し、移動速度が当該範囲に含まれると判別した場合に処理をステップS11に移し、移動速度が当該範囲に含まれると判別していない場合に処理をステップS18に移す処理を含んでもよい。これにより、表示装置3は、歩行中の速度範囲及び走行中の速度範囲等によって例示される観客が安全に視聴できないことが懸念される範囲にヘッドマウントディスプレイ34の移動速度が含まれる場合に、ヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示させないよう制御し得る。
【0162】
[ステップS18:表示映像を表示]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部315を実行し、ステップS13で受信した興行映像のうち表示映像Dをヘッドマウントディスプレイ34に表示する処理を行う(ステップS18、表示ステップ)。表示装置制御部31は、処理をステップS19に移す。
【0163】
ステップS13で受信した興行映像が立体映像を含む場合、表示ステップは、立体映像である表示映像Dをヘッドマウントディスプレイ34に表示する処理を含むことが好ましい。これにより、表示装置3は、興行の映像をよりいっそう臨場感豊かに表示し得る。
【0164】
ステップS13で受信した興行映像がVR、AR、及び/又はMRを表示可能な情報を含む場合、表示ステップは、VR、AR、及び/又はMRの態様でヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示可能な処理を含むことが好ましい。これにより、表示装置3は、公演会場Tに対応する仮想現実空間(メタバース領域とも称する。)を観客に提供し得る。したがって、観客は、仮想現実空間における臨場感豊かな視聴体験を得うる。
【0165】
当該処理は、向き取得部とさらに協働して、ヘッドマウントディスプレイ34の向き等に応じて興行映像のうち表示映像Dとして表示される範囲及び/又は向きを変更可能な手順を含むことが好ましい。
【0166】
また、当該処理は、例えば、観客の操作及び/又はヘッドマウントディスプレイ34の向き等に応じて興行映像のうち表示映像Dとして表示される範囲及び/又は向きを変更する手順、観客の操作等に応じて興行映像のうち表示映像Dとして表示される範囲に関する視点を変更する手順、等を含むことが好ましい。
【0167】
表示装置3は、興行映像のうちヘッドマウントディスプレイ34に表示中の表示映像Dから指定された指定部分が1以上の演者Aのいずれかである場合に、指定部分に対応する演者Aに利益を付与可能な利益付与ステップ(ステップS19からステップS21)を実行する。これにより、表示装置3は、指定された演者Aに利益を付与できる。
【0168】
演者Aは、表示映像Dにおいて移動し得る。これにより、観客は、移動する演者Aを表示映像Dから指定することに困難を覚え得る。表示ステップは、表示映像Dと異なる位置に1以上の演者Aを指定可能な画像を表示可能であることが好ましい。これにより、観客は、演者Aが表示映像Dにおいて移動する場合であっても、当該画像を用いて演者Aを容易に指定できる。これにより、観客は、例えば、演者Aの写真等によって例示される画像をクリックする等して演者Aを指定し、指定された演者Aに投げ銭等の利益を付与し得る。
【0169】
[ステップS19:指定部分が指定されたか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS18において表示された表示映像Dから指定部分が指定されたか判別する処理を行う(ステップS19)。指定されたならば、表示装置制御部31は、処理をステップS20に移す。指定されていないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0170】
表示ステップが1以上の演者Aを指定可能な画像を表示可能である場合、ステップS19の処理は、当該画像が指定された場合に指定部分が指定されたと判別可能であることが好ましい。これにより、表示装置3は、当該画像を用いた演者Aの指定を判別できる。
【0171】
利益付与ステップは、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理(ステップS20)を含むことが好ましい。これにより、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理をサーバ2が実行することが避けられる。これにより、サーバ2が興行映像を配信する表示装置3の数が多い場合であっても、判別する処理によってサーバ2が過大な処理負荷を被ることが防がれ得る。
【0172】
[ステップS20:指定部分が演者のいずれかであるか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS19において指定された指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理を行う(ステップS20)。指定部分が演者Aのいずれかであるならば、表示装置制御部31は、処理をステップS21に移す。指定部分が演者Aのいずれにも該当しないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0173】
指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて指定部分に対応する演者Aを判別する処理、各種画像認識を用いて指定部分に対応する演者Aを判別する処理等でよい。
【0174】
指定部分が1以上の演者Aを指定可能な画像のいずれかである場合、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理は、指定部分に対応する画像を用いて演者Aを判別可能であることが好ましい。これにより、観客は、演者Aが表示映像Dにおいて移動する場合であっても、当該画像を用いて演者Aを指定できる。
【0175】
表示ステップがVR、AR、及び/又はMRの態様でヘッドマウントディスプレイ34に表示映像Dを表示する処理を含む場合、指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する処理は、手指等によって例示される観客の身体の一部及び/又は観客が手指等に装着した指示手段等を用いた身体動作によって指定部分が演者Aのいずれかであるか判別する手順を含むことが好ましい。これにより、観客は、演者Aを指さす動作によって例示される直感的な身体動作によって演者Aを指定し得る。これにより、観客の臨場感がよりいっそう豊かになり得る。
【0176】
[ステップS21:対応する演者に利益を付与]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して利益付与部312を実行し、ステップS19で指定された指定部分に対応する演者Aに利益を付与する処理を行う(ステップS21)。表示装置制御部31は、処理をステップS22に移す。
【0177】
利益を付与する処理は、対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報(「表示装置3が送信する利益」とも称する。)をサーバ2に送信する処理を含むことが好ましい。これにより、サーバ2は、送信された演者特定情報を用いて演者Aに利益を付与できる。
【0178】
演者特定情報は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を含んでいれば、特に限定されない。演者特定情報は、表示装置3において表示された映像において指定された演者Aを含む部分に関する情報及び演者Aを識別可能な情報等の1以上を含む情報でよい。
【0179】
演者特定情報が演者Aを識別可能な情報を含まない場合、利益を受信したか判別する処理は、利益を付与する演者Aを特定可能な情報を用いて当該演者Aを識別する処理を含むことが好ましい。当該演者Aを識別する処理は、特に限定されず、例えば、対応情報を用いて当該演者Aを識別する処理、各種画像認識を用いて当該演者Aを識別する処理等でよい。
【0180】
必須の態様ではないが、演者特定情報は、利益の多寡に関する情報を含むことが好ましい。演者特定情報が利益の多寡に関する情報を含むことにより、観客は、感動の度合い等に応じた利益を演者Aに付与し得る。
【0181】
付与される利益は、特に限定されない。付与される利益は、各種の法定通貨と交換可能な通貨による利益でもよく、特典ポイント等によって例示される、指定された一群の対象に含まれるいずれかの金品等と引き換え可能な通貨による利益でもよい。
【0182】
付与される利益は、人気投票における票数によって例示される、指定された演者Aを評価する情報を含んでもよい。これにより、指定された演者Aは、演者Aを評価する情報を介して観客からの評価を実感し得る。
【0183】
付与される利益は、特定の興行及び/又は特定の映像への出演権等によって例示される所定の権利について、所定の権利が演者Aに与えられる可能性を高める情報を含んでもよい。このような情報として、例えば、演者Aに所定の権利が与えられることを支持する情報、演者Aを評価する情報等が挙げられる。これにより、指定された演者Aは、所定の権利を介して観客からの評価を実感し得る。また、所定の権利が出演権である場合、観客は、指定した演者Aを出演する興行及び/又は映像等でさらに楽しみ得る。
【0184】
必須の態様ではないが、対応する演者Aに利益を付与する処理は、指定された演者Aに関する映像、画像、音声、及び/又は文章を表示する処理を含んでもよい。これにより、観客は、表示された映像、画像、音声、及び/又は文章を介して、指定された演者Aに利益が付与されることを確認できる。また、観客は、表示された映像、画像、音声、及び/又は文章を鑑賞する楽しみを得うる。
【0185】
必須の態様ではないが、対応する演者Aに利益を付与する処理は、指定された演者Aに関する所定利益を観客に付与する処理を含んでもよい。所定利益として、例えば、指定された演者Aに関する品物、指定された演者Aのファンクラブにおけるポイント等が挙げられる。これにより、観客は、感動等を伝えるだけでなく、演者Aに関する所定利益を楽しみ得る。
【0186】
[ステップS22:表示を終了するか判別]
表示装置制御部31は、表示装置記憶部32及び表示装置入力部35と協働して映像表示部315を実行し、ヘッドマウントディスプレイ34への表示を終了するか判別する処理を行う(ステップS22)。表示を終了するならば、表示装置制御部31は、処理をステップS11に移し、ステップS11からステップS22の処理を繰り返す。表示を終了しないならば、表示装置制御部31は、処理をステップS16に移し、ステップS16からステップS22の処理を繰り返す。
【0187】
[購入画面表示ステップ]
必須の態様ではないが、表示装置制御部31は、表示装置記憶部32、表示装置通信部33、ヘッドマウントディスプレイ34、及び表示装置入力部35と協働して、ヘッドマウントディスプレイ34に興行に関する商品を購入可能な購入画面を表示するよう指令する購入画面表示ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、利益の付与だけでなく、興行に関する商品を購入することによっても、興行によって得られた感動等を演者A等の興行の関係者に伝え得る。
【0188】
購入画面表示ステップは、サーバ2から送信された購入画面を受信する処理を含むことが好ましい。これにより、観客は、サーバ2を介して興行に関する商品を購入できる。
【0189】
購入画面の表示態様は、特に限定されない。購入画面の表示態様は、購入画面をVR、AR、及び/又はMRとして表示する態様(以下、単に「VR等の購入画面表示態様」とも称する。)を含むことが好ましい。これにより、観客が興行映像を視聴するときの臨場感がVR、AR、及び/又はMRでない購入画面の表示によって損なわれることを防ぎ得る。臨場感が損なわれることを防ぐことにより、観客の購買意欲が高まることも見込み得る。
【0190】
観客が購入を希望する商品を指定する手順は、特に限定されない。観客が購入を希望する商品を指定する手順は、例えば、音声によって購入を希望する商品を指定する手順、表示装置入力部35を介した入力によって購入を希望する商品を指定する手順、等の1以上を含む。観客が購入を希望する商品を指定する手順が音声によって指定する手順を含むことにより、観客の臨場感がよりいっそう豊かになり得る。したがって、観客の購買意欲が高められることを見込み得る。
【0191】
表示ステップがVR等の購入画面表示態様で表示する処理を含む場合、当該手順は、手指等によって例示される観客の身体の一部を用いた身体動作及び/又は観客が手指等に装着した指示手段等を用いた身体動作によって観客が購入を希望する商品を指定可能な手順を含むことが好ましい。これにより、観客は、演者Aを指さす動作によって例示される直感的な身体動作によって購入を希望する商品を指定し得る。これにより、観客の臨場感がよりいっそう豊かになり得る。したがって、観客の購買意欲が高められることを見込み得る。
【0192】
購入画面表示ステップにおいて購入可能な商品は、特に限定されず、上述の購入画面提供ステップに関する商品と同様でよい。
【0193】
[観客映像送信ステップ]
必須の態様ではないが、興行映像が興行に関するリアルタイムの映像を含む場合、表示装置3は、観客が撮影されたリアルタイムの観客映像をサーバ2に送信する観客映像送信ステップ(図示せず)を実行可能であることが好ましい。これにより、観客は、演者A等とリアルタイムの交流を楽しみ得る。また、観客は、リアルタイムの交流において、演者Aに利益を付与し得る。
【0194】
[表示条件指定ステップ]
必須の態様ではないが、興行映像が全方位カメラによって撮影された映像である場合、表示装置3は、興行映像からヘッドマウントディスプレイ34に表示させる表示映像Dの表示倍率及び画角を指定可能な表示条件指定ステップ(図示せず)を実行することが好ましい。表示装置3が表示条件指定ステップを実行することにより、観客は、舞台TSの全てに加えて舞台TSの周囲をも撮影した興行映像から、任意の部分を好みの表示倍率及び/又は画角で表示させ得る。
【0195】
したがって、表示装置3が表示条件指定ステップを実行することにより、利益付与の対象としたい演者Aが全方位カメラから離れた場所及び/又は舞台TSから離れた場所にいる場合であっても、観客は、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに利益を確実に付与できる。また、これにより、観客は、自分好みにカスタマイズした好みの表示倍率及び画角で表示映像Dを表示し、興行を楽しめる。
【0196】
表示倍率及び画角を指定する手段は、特に限定されず、例えば、表示装置入力部35を介して行われた入力に応じて表示倍率及び画角を指定することを含む手段等でよい。
【0197】
表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、観客は、表示装置3のヘッドマウントディスプレイ34に、サーバ2から受信した興行映像のうち表示映像Dを表示させることができる。これにより、配信された興行の映像が臨場感豊かに表示される。
【0198】
そして、表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、観客は、ヘッドマウントディスプレイ34に表示中の表示映像Dから1以上の演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像Dから演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0199】
したがって、表示装置3が上述の流れの表示処理を実行することにより、配信された興行映像に映っている演者Aについて、当該演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0200】
<興行映像配信システムSの使用例>
続いて、本実施形態における興行映像配信システムSの使用例を説明する。
【0201】
〔興行映像を撮影〕
興行の主催者に依頼された撮影スタッフ等は、観客席が常設されていない公演会場Tに設置された全方位カメラを備える撮影装置1(図7の第1撮影装置1a及び第2撮影装置1b)を用いて、公演会場Tの舞台TSで演じる1以上の演者Aを撮影する。撮影スタッフ等は、撮影した映像を編集等して、撮影した映像を含む興行映像をサーバ2に格納する。
【0202】
図7は、全方位カメラを備える第1撮影装置1a及び第2撮影装置1bが設置された公演会場Tの一例を示す概略平面図である。図7に示す一例では、全方位カメラを備える第1撮影装置1a及び第2撮影装置1bが、舞台TSの外側であり、公演会場Tの内部である位置に設置されている。これにより、撮影装置1は、公演会場Tの舞台TSで演じる第1演者A1及び第2演者A2に加えて舞台TS周囲をも含む公演会場Tを撮影できる。撮影装置1の数が2以上であるため、撮影装置1は、立体映像を撮影し得る。
【0203】
〔登録観客であることを判別〕
表示装置3を利用する観客は、サーバ2に観客に関する情報を送信する。サーバ2は、送信された情報を用いて当該観客が利益の付与手段に関する登録観客情報を登録した登録観客であるか判別する。
【0204】
〔興行映像の配信を指示〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置3を介して、サーバ2に興行映像の配信を指示する。サーバ2は、表示装置3に興行映像を生配信及び/又は録画配信の態様で配信する。表示装置3は、配信された興行映像を受信し、興行映像テーブル321に格納する。
【0205】
〔ヘッドマウントディスプレイの位置及び移動速度を判別〕
表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の位置を取得し、観客が自宅等の安全な場所によって例示される所定の範囲にいるか判別する。また、表示装置3は、ヘッドマウントディスプレイ34の移動速度を取得し、観客が実質的に静止している等の安全に視聴可能な状態であるか判別する。ヘッドマウントディスプレイ34の位置及び移動速度を判別することにより、表示装置3は、観客が興行の映像を安全に視聴することを支援できる。
【0206】
〔興行映像の表示を指示〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置3を介して、配信された興行映像の表示を指示する。表示装置3は、興行映像の少なくとも一部を立体映像の態様等でヘッドマウントディスプレイ34に表示する。
【0207】
〔利益の付与対象となる演者Aを指定〕
表示装置3を利用する観客は、ヘッドマウントディスプレイ34に表示される表示映像Dから演者Aに対応する部分を指定することを介して、利益の付与対象となる演者Aを指定する。表示装置3は、指定された部分に対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報をサーバ2に送信する。
【0208】
図8は、観客が表示映像Dを用いて演者Aを指定する様子の一例を示す概略図である。図8に示す一例では、表示映像Dが現実世界の景色に重畳されてヘッドマウントディスプレイ34に表示されている。図8に示す例において、表示映像Dは、舞台TSに立つ第1演者A1と舞台TSに設けられた階段を有するバルコニーに立つ第2演者A2とを撮影した興行映像の一部である。また、図8に示す例において、ヘッドマウントディスプレイ34は、表示装置入力部35によって指定された部分を示す指定部分表示領域Fを表示している。
【0209】
表示映像Dが現実世界の景色に重畳されてヘッドマウントディスプレイ34に表示されていることにより、観客は、臨場感豊かに表示された表示映像Dを楽しめる。
【0210】
また、表示映像Dが現実世界の景色に重畳されてヘッドマウントディスプレイ34に表示されていることにより、観客は、ヘッドマウントディスプレイ34を介して表示映像Dを見ている場合であっても、現実世界を視認し得る。これにより、観客が表示映像Dを安全に視聴することをよりいっそう支援できる。
【0211】
さらに、表示映像Dが立体映像の態様でヘッドマウントディスプレイ34に表示可能であることにより、観客は、よりいっそう臨場感豊かに表示された表示映像Dを楽しめる。
【0212】
表示装置3を利用する観客は、表示装置入力部35を用いて指定部分表示領域Fを移動させ、第1演者A1に対応する指定部分を指定する。これにより、表示装置3は、第1演者A1と第2演者A2とが衣装等によって識別できない場合であっても、指定部分に対応する演者Aを特定して利益を付与可能な演者特定情報をサーバ2に送信できる。
【0213】
〔指定された演者Aに利益を付与〕
サーバ2は、演者特定情報を受信し、演者特定情報によって特定される演者Aに、特定通貨での利益に換算した利益を付与する。
【0214】
〔表示を終了〕
表示装置3を利用する観客は、表示装置入力部35を介して興行映像の表示を終了するよう指示する。表示装置3は、興行映像の表示を終了する。
【0215】
本実施形態の興行映像配信システムSによれば、観客は、表示装置3のヘッドマウントディスプレイ34に、外部の装置から受信した興行映像のうち表示映像Dを表示させることができる。
【0216】
そして、本実施形態の興行映像配信システムSによれば、観客は、ヘッドマウントディスプレイ34に表示中の表示映像Dから1以上の演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を付与できる。表示された表示映像Dから演者Aのいずれかに対応する指定部分を指定する手順を介して利益の付与が行われるため、観客は、演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、利益付与の対象としたい演者Aを間違えることなく指定し、指定された演者Aに「おひねり」等の利益を確実に付与できる。
【0217】
したがって、本実施形態の興行映像配信システムSによれば、配信された興行の映像に映っている演者Aについて、当該演者Aを識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者Aに付与できる。
【0218】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0219】
S 興行映像配信システム
1 撮影装置
2 サーバ
21 サーバ制御部
211 配信部
212 利益割当部
22 サーバ記憶部
221 興行テーブル
23 サーバ通信部
3 表示装置
31 表示装置制御部
311 興行映像受信部
312 利益付与部
313 位置判別部
314 速度判別部
315 映像表示部
32 表示装置記憶部
321 興行映像テーブル
33 表示装置通信部
34 ヘッドマウントディスプレイ
35 表示装置入力部
36 位置取得部
37 速度取得部
A 演者
A1 第1演者
A2 第2演者
D 表示映像
F 指定部分表示領域
N ネットワーク
T 公演会場
TS 舞台
【要約】
【課題】配信された興行の映像を臨場感豊かに表示し、該映像に映っている演者について、当該演者を識別可能な情報が提供されていない場合であっても、観客が「おひねり」等の利益を当該演者に付与可能な手段を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の興行映像表示プログラムは、表示装置3に、舞台TSで演じる1以上の演者Aが撮影された興行映像をサーバ2から受信可能な興行映像受信ステップと、興行映像の一部又は全部を含む表示映像をヘッドマウントディスプレイ34に表示可能な表示ステップと、表示映像Dから指定された指定部分が1以上の演者Aのいずれかである場合に、指定部分に対応する演者Aに利益を付与可能な利益付与ステップと、を実行させることが可能である。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8