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特許7162403プローブ給電誘電体共振器アンテナを有する電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】プローブ給電誘電体共振器アンテナを有する電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20221021BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20221021BHJP
   H01Q 9/04 20060101ALI20221021BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q3/26 Z
H01Q9/04
H01Q21/24
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021550068
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-13
(86)【国際出願番号】 US2020013449
(87)【国際公開番号】W WO2020176167
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】16/289,459
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヴサー, ビルゲハン
(72)【発明者】
【氏名】ラジャゴパラン, ハンシュ
(72)【発明者】
【氏名】パウロット, シモーン
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ, ジェニファー, エム.
(72)【発明者】
【氏名】パスコリーニ, マウイア
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0113674(US,A1)
【文献】国際公開第2004/075343(WO,A1)
【文献】N.H.Dhahadan, et al .,"Switched parasitic dielectric resonator antenna array using capacitor loading for 5G Applications.",2016 10th European Conference on Antennas and Propagation,2016年
【文献】Rong-Chang Han et al.,"Design of circularly-polarized dielectric resonator antenna with wideband feed network",2014 3rd Asia-Pacific Conference on Antennas and Propagation,2014年,pp.48-50
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 3/26
H01Q 9/04
H01Q 21/24
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあるプリント回路と、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成され、前記プリント回路に実装された誘電体共振要素を含んだ、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、
を備え
前記誘電体共振要素が、前記プリント回路から前記ディスプレイカバー層の方向に延在する、電子デバイス。
【請求項2】
前記プローブ給電誘電体共振器アンテナが、
前記誘電体共振要素上の給電プローブであって、前記誘電体共振要素を励起して前記高周波信号を放射するように構成されている、給電プローブを更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記プリント回路上にあって前記給電プローブに結合されている、高周波伝送線を更に備える、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記高周波伝送線が信号トレースを含み、前記給電プローブが、前記誘電体共振要素上にパターン化されて前記信号トレースに結合されている導電性トレースを含む、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記導電性トレースが、前記高周波伝送線のインピーダンスを前記誘電体共振要素のインピーダンスと整合させるように構成されている、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記信号トレースが、前記高周波伝送線のインピーダンスを前記誘電体共振要素のインピーダンスと整合させるように構成されている整合スタブを含む、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記給電プローブが、前記誘電体共振要素の第1の側壁に実装されており、前記プローブ給電誘電体共振器アンテナが、
前記誘電体共振要素の第2の側壁に実装された追加の給電プローブであって、前記第2の側壁が前記第1の側壁に直交し、前記追加の給電プローブが、前記誘電体共振要素を励起して前記高周波信号を放射するように構成されている、追加の給電プローブ
を更に含む、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、
プリント回路と、を備える電子デバイスであって、
前記プローブ給電誘電体共振器アンテナが、
前記プリント回路に実装された誘電体共振要素と、
前記誘電体共振要素上の給電プローブとを備え、前記給電プローブは、前記誘電体共振要素上にパターン化されるとともに、前記誘電体共振要素を励起して前記高周波信号を放射するように構成されている導電性トレースを備え、
前記電子デバイスは、
前記プリント回路上にあって前記給電プローブに結合されており、前記給電プローブに結合されている信号トレースを備える高周波伝送線と、
前記プリント回路上の接地トレースであって、前記接地トレースが、前記誘電体共振要素と重なり合うスロットを画定する、接地トレースと、
更に備える、電子デバイス。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、を備える電子デバイスであって、
前記プローブ給電誘電体共振器アンテナが、
誘電体共振要素と、
前記誘電体共振要素上の給電プローブとを備え、前記給電プローブは、前記誘電体共振要素を励起して前記高周波信号を放射するように構成され、
前記電子デバイスは、
前記誘電体共振要素と前記ディスプレイカバー層との間に介在する誘電体整合層であって、前記誘電体共振要素は、第1の誘電率を有し、前記ディスプレイカバー層は、前記第1の誘電率よりも大きい第2の誘電率を有し、前記誘電体整合層は、前記第2の誘電率よりも大きく、かつ前記第1の誘電率よりも小さい第3の誘電率を有する、誘電体整合層
更に備える、電子デバイス。
【請求項10】
前記誘電体共振要素がジルコニアを含む、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、を備える電子デバイスであって、
前記電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、前記ディスプレイカバー層が前記周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、
前記周囲導電性筐体構造体内のノッチであって、前記プローブ給電誘電体共振器アンテナは、前記ノッチと位置合わせされて前記ノッチを介して前記高周波信号を伝達するように構成されている、ノッチと、
更に備える、電子デバイス。
【請求項12】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、を備える電子デバイスであって、
前記電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、前記ディスプレイカバー層が前記周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、
前記ディスプレイカバー層を介して光を放出するように構成されているディスプレイモジュールであって、前記ディスプレイモジュールがノッチを含み、前記ノッチが、前記ディスプレイモジュールと前記周囲導電性筐体構造体とによって画定される縁部を有する、ディスプレイモジュールと、
前記ノッチと位置合わせされたオーディオスピーカと、
前記ノッチと位置合わせされた画像センサであって、前記プローブ給電誘電体共振器アンテナが、前記ノッチと位置合わせされて、前記ノッチを介して前記高周波信号を伝達するように構成されている、画像センサと、
を更に備える、電子デバイス。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、
前記筐体内にあって、前記ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、を備える電子デバイスであって、
前記電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、前記ディスプレイカバー層が前記周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、
前記ディスプレイカバー層に対向する後部筐体壁と、
前記後部筐体壁を介して10GHzを超える追加の周波数で追加の高周波信号を伝達するように構成されているフェーズドアンテナアレイと、
更に備える、電子デバイス。
【請求項14】
プリント回路と、
前記プリント回路に実装された誘電体カラムと、
前記誘電体カラムと重なり合う誘電体カバー層と、
前記誘電体カラム上の導電性パッチと、
前記導電性パッチに結合された高周波伝送線であって、前記導電性パッチは、前記誘電体カラムを励起して前記誘電体カバー層を介して10GHz~300GHzの周波数で高周波信号を放射するように構成されている、高周波伝送線と、
前記誘電体カラムと前記誘電体カバー層との間に介在する誘電体整合層であって、前記誘電体カラムは、第1の誘電率を有し、前記誘電体カバー層は、前記第1の誘電率よりも大きい第2の誘電率を有し、前記誘電体整合層は、前記第2の誘電率よりも大きく、かつ前記第1の誘電率よりも小さい第3の誘電率を有する、誘電体整合層と
を備える、電子デバイス。
【請求項15】
前記導電性パッチが、前記誘電体カラムを励起して、前記高周波信号を第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、前記電子デバイスは、
前記誘電体カラム上の追加の導電性パッチと、
前記追加の導電性パッチに結合されている追加の高周波伝送線であって、前記追加の導電性パッチは、前記誘電体カラムを励起して、前記周波数で前記第1の線形偏波に直交する第2の線形偏波を用いて追加の高周波信号を放射するように構成されている、追加の高周波伝送線と、
を更に備える、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記プリント回路上の接地トレースであって、前記接地トレースは、前記誘電体カラムと位置合わせされたスロットを画定し、前記スロットは、前記高周波伝送線のインピーダンスを前記誘電体カラムのインピーダンスと整合させるように構成されている、接地トレースと、
を更に備える、請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記プリント回路に実装され、前記誘電体カラムを横方向に取り囲む誘電体基板であって、前記誘電体カラムは、第1の誘電率を有し、前記誘電体基板は、前記第1の誘電率より少なくとも10.0小さい第2の誘電率を有する、誘電体基板
を更に備える、請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項18】
電子デバイスであって、
フェーズドアンテナアレイと、
前記フェーズドアンテナアレイに重なり合う誘電体カバー層とを備え、前記フェーズドアンテナアレイは、
前記誘電体カバー層を介して第1の周波数で第1の高周波信号を伝達するように構成されているアンテナの第1のセットであって、前記第1のセット内の各アンテナが、第1の誘電体共振要素と、前記第1の誘電体共振要素上の第1及び第2の給電プローブとを有し、前記第1の給電プローブは、前記第1の誘電体共振要素を励起して前記第1の高周波信号を第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、前記第2の給電プローブは、前記第1の誘電体共振要素を励起して前記第1の線形偏波に直交する第2の線形偏波を用いて前記第1の高周波信号を放射するように構成されている、アンテナの第1のセットと、
前記誘電体カバー層を介して第2の周波数で第2の高周波信号を伝達するように構成されているアンテナの第2のセットであって、前記第2のセット内の前記アンテナは、前記第1のセット内の前記アンテナの間にインターリーブされている、アンテナの第2のセットと、
を含む、
電子デバイス。
【請求項19】
前記第2のセット内の各アンテナが、第2の誘電体共振要素と、前記第2の誘電体共振要素上の第3及び第4の給電プローブと、を有し、前記第3の給電プローブは、前記第2の誘電体共振要素を励起して前記第2の高周波信号を前記第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、前記第4の給電プローブは、前記第2の誘電体共振要素を励起して前記第2の高周波信号を前記第2の線形偏波を用いて放射するように構成されている、請求項18に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記第1の周波数は24GHz~31GHzの周波数を含み、前記第2の周波数は37GHz~41GHzの周波数を含む、請求項18に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月28日に出願された米国特許出願第16/289,459号の優先権を主張し、当該米国特許出願を参照することによりその全体を本明細書に援用する。
本出願は、一般的には、電子デバイスに関し、より具体的には、無線回路を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、多くの場合、無線回路を含む。例えば、セルラー電話、コンピュータ、及び他のデバイスは、無線通信をサポートするためのアンテナ及び無線送受信機を含むことが多い。
【0003】
ミリ波通信帯域及びセンチ波通信帯域での無線通信をサポートすることが望ましいことがある。ミリ波通信(極高周波(extremely high frequency、EHF)通信と呼ばれることもある)及びセンチ波通信は、約10~300GHzの周波数での通信を伴う。これらの周波数での動作は、高帯域幅をサポートすることができるが、著しい困難を引き起こすことがある。例えば、ミリ波通信帯域及びセンチ波通信帯域における高周波数通信の特徴の1つは、様々な媒体を介した信号伝搬中の大きな減衰及び/又は歪みである。加えて、導電性電子デバイス部品の存在は、ミリ波通信及びセンチ波通信を処理するための回路を電子デバイスへ組み込むことを困難にしうる。
【0004】
したがって、ミリ波通信及びセンチ波通信をサポートする無線回路などの、改善した無線回路を有する電子デバイスを提供できることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
電子デバイスは、筐体、ディスプレイ、及び無線回路を備えることができる。筐体は、デバイスの周囲に延びる周囲導電性筐体構造体を含んでもよい。ディスプレイは、周囲導電性筐体構造体に実装されるディスプレイカバー層を含んでもよい。無線回路は、10GHz~300GHzの1つ以上の周波数帯域で高周波信号を伝達するフェーズドアンテナアレイを含んでもよい。フェーズドアンテナアレイは、デバイス内のディスプレイカバー層又は他の誘電体カバー層を介して高周波信号を伝達してもよい。
【0006】
フェーズドアンテナアレイは、プローブ給電誘電体共振器アンテナを含んでもよい。各プローブ給電誘電体共振器アンテナは、周囲の誘電体基板内に埋め込まれた比較的高い誘電率材料の列から形成された誘電体共振要素を含んでもよい。誘電体共振要素は、フレキシブルプリント回路に実装されてもよい。給電プローブは、誘電体共振要素の側壁上にパターン化された導電性トレースのパッチから形成することができる。給電プローブは、フレキシブルプリント回路上の高周波伝送線に結合されてもよい。給電プローブは、誘電体共振要素の電磁共振モードを励起することができる。励起されると、誘電体共振要素は、ディスプレイカバー層を介して高周波信号を放射することができる。誘電体共振要素は、比較的小さい横方向フットプリントを呈することができる。これにより、フェーズドアンテナアレイの誘電体共振要素は、ディスプレイ用のディスプレイモジュールと周囲導電性筐体構造体との間の比較的狭い空間内に実装することが可能になり得る。
【0007】
所望であれば、追加の給電プローブを、誘電体共振要素の直交する側壁に実装することができる。各給電プローブは、異なる線形偏波を用いて高周波信号を伝達することができる。フレキシブルプリント回路は、接地トレースを含んでもよい。所望であれば、接地トレースは、誘電体共振要素と重なり合うスロットを画定することができる。スロットの幅、給電プローブの寸法、及び/又は伝送線スタブを使用して、高周波伝送線のインピーダンスを誘電体共振要素のインピーダンスと整合させることができる。
【0008】
フェーズドアンテナアレイは、第1及び第2のセットのプローブ給電誘電体共振器アンテナを含んでもよい。第1のセット内の各アンテナは、誘電体共振要素と、直交線形偏波を用いて第1の周波数帯域で高周波信号を伝達するための第1及び第2の給電プローブとを含むことができる。第2のセット内の各アンテナは、誘電体共振要素と、直交偏波を用いて第2の周波数帯域で高周波信号を伝達するための第1及び第2の給電プローブとを含むことができる。プローブ給電誘電体共振器アンテナが占有する横方向エリアは、パッチアンテナ又はスロットアンテナなどの他の種類のアンテナよりも小さいので、第1及び第2のセットからのプローブ給電誘電体共振器アンテナは、フェーズドアンテナアレイにわたってインターリーブされたパターンで配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】いくつかの実施形態に係る、例示的な電子デバイスの斜視図である。
【0010】
図2】いくつかの実施形態に係る、電子デバイスの例示的な回路の模式図である。
【0011】
図3】いくつかの実施形態に係る、例示的な無線回路の概略図である。
【0012】
図4】いくつか実施形態に係る、信号のビームを方向付けるために、制御回路を使用して調整されてもよい例示的なフェーズドアンテナアレイを示す図である。
【0013】
図5】いくつかの実施形態に係る、電子デバイスの異なる側を介して放射するフェーズドアンテナアレイを有する、例示的な電子デバイスの側断面図である。
【0014】
図6】いくつかの実施形態に係る、電子デバイスの中に実装され得る例示的なプローブ給電誘電体共振器アンテナの側断面図である。
【0015】
図7】いくつかの実施形態に係る、複数の偏波をカバーするための例示的なプローブ給電誘電体共振器アンテナの斜視図である。
【0016】
図8】いくつかの実施形態に係る、接地トレース内の開口部と重なり合う例示的なプローブ給電誘電体共振器アンテナの側断面図である。
【0017】
図9】いくつかの実施形態に係る、接地トレースの開口部と重なり合う例示的なプローブ給電誘電体共振器アンテナの上視図である。
【0018】
図10】いくつかの実施形態に係る、同じ周波数及び異なる偏波を処理するためのインターリーブされたプローブ給電誘電体共振器アンテナを有する、例示的なフェーズドアンテナアレイの上視図である。
【0019】
図11】いくつかの実施形態に係る、異なる周波数及び偏波を処理するためのインターリーブされたプローブ給電誘電体共振器アンテナを有する、例示的なフェーズドアンテナアレイの上視図である。
【0020】
図12】いくつかの実施形態に係る、異なる周波数を処理するための、インターリーブされた二偏波型のプローブ給電誘電体共振器アンテナを有する例示的なフェーズドアンテナアレイの上視図である。
【0021】
図13】いくつかの実施形態に係る、周囲導電性筐体構造体内のノッチと位置合わせされたプローブ給電誘電体共振器アンテナを有する例示的な電子デバイスの上視図である。
【0022】
図14】いくつかの実施形態に係る、ディスプレイモジュール内のノッチと位置合わせされたプローブ給電誘電体共振器アンテナを有する例示的な電子デバイスの上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の電子デバイス10などの電子デバイスは、無線回路を含むことができる。無線回路は、1つ以上のアンテナを含むことができる。アンテナは、ミリ波信号及びセンチ波信号を使用して無線通信を実行するために使用されるフェーズドアンテナアレイを含んでもよい。極高周波(extremely high frequency、EHF)信号と呼ばれることもあるミリ波信号は、約30GHzを上回る周波数で(例えば、60GHz、又は約30GHz~300GHzの他の周波数で)伝搬する。センチ波信号は、約10GHz~30GHzの周波数で伝搬する。所望であれば、デバイス10はまた、衛星航法システム信号、セルラー電話信号、無線ローカルエリアネットワーク信号、近距離通信、光に基づく無線通信、又は他の無線通信を処理するためのアンテナを含むこともできる。
【0024】
電子デバイス10は、ポータブル電子デバイス又は他の適切な電子デバイスであってもよい。例えば、電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、腕時計デバイスなどの幾分小さなデバイス、ペンダントデバイス、ヘッドフォンデバイス、イヤピースデバイス、又は他のウェアラブル若しくはミニチュアデバイス、セルラー電話などのハンドヘルドデバイス、メディアプレーヤ、又は他の小型ポータブルデバイスであってもよい。デバイス10はまた、セットトップボックス、デスクトップコンピュータ、それにコンピュータ若しくは他の処理回路が統合されたディスプレイ、統合されたコンピュータを有しないディスプレイ、キオスク、ビル、若しくは車両に組み込まれた無線アクセスポイント、無線基地局、電子デバイス、又は他の適切な電子機器であってもよい。
【0025】
デバイス10は、筐体12などの筐体を含むことができる。ケースと呼ばれることもある筐体12は、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維複合材、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、など)、他の好適な材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成され得る。いくつかの状況では、筐体12の一部は、誘電体又は他の低導電性材料(例えば、ガラス、セラミック、プラスチック、サファイア、など)から形成され得る。他の状況では筐体12、又は筐体12を構成する構造体の少なくとも一部は、金属要素から形成され得る。
【0026】
所望であれば、デバイス10は、ディスプレイ14などのディスプレイを有することができる。ディスプレイ14は、デバイス10の前面に実装され得る。ディスプレイ14は、容量性タッチ電極を組み込んだタッチスクリーンであってもよい、又はタッチ非感知であってもよい。筐体12の後面(すなわち、デバイス10の前面の反対側のデバイス10の面)は、後部筐体壁12R(例えば、平面筐体壁)などの実質的に平面状の筐体壁を有してもよい。後部筐体壁12Rは、後部筐体壁を完全に貫通する、したがって筐体12の一部分を互いから離すスロットを有することができる。後部筐体壁12Rは、導電性部分及び/又は誘電部分を含むことができる。所望であれば、後部筐体壁12Rは、薄い層で覆われた平面金属層を含んでも、あるいはガラス、プラスチック、サファイア若しくはセラミックなどの誘電体のコーティングを含んでもよい。筐体12は、筐体12を完全には貫通しない浅い溝も有してもよい。スロット及び溝は、プラスチック又は他の誘電体で充填され得る。所望であれば、(例えば、全体を通るスロットによって)互いに離れている筐体12の一部分は、内部導電性構造体(例えば、スロットを橋渡しする金属薄板又は他の金属部材)によって接合されてもよい。
【0027】
筐体12は、周囲構造体12Wなどの周囲筐体構造体を含んでもよい。本明細書では、周囲構造体12Wの導電性部分と後部筐体壁12Rの導電性部分とは、筐体12の導電性構造体と総称され得る。周囲構造体12Wは、デバイス10及びディスプレイ14の周りに延びることができる。デバイス10及びディスプレイ14が4つの縁部を有する矩形形状を有する構成では、周囲構造体12Wは、(一例として)4つの対応する縁部を有する矩形リング形状を有し、かつ、デバイス10の後部筐体壁12Rから前面まで延びる周囲筐体構造体を使用して実装され得る。周囲構造体12W又は周囲構造体12Wの一部は、所望であれば、ディスプレイ14のベゼル(例えば、ディスプレイ14の4つの側部全てを取り囲み、及び/又はディスプレイ14をデバイス10に保持するのに役立つ装飾用トリム)として機能を果たすことができる。所望であれば、周囲構造体12Wは、(例えば、垂直側壁、湾曲側壁などを有する金属バンドを形成することによって)デバイス10の側壁構造体も形成することができる。
【0028】
周囲構造体12Wは、金属などの導電性材料から形成されてもよく、したがって、(例として)周囲導電性筐体構造体、導電性筐体構造体、周囲金属構造体、周囲導電性側壁、周囲導電性側壁構造体、導電性筐体側壁、周囲導電性筐体側壁、側壁、側壁構造体、又は周囲導電性筐体部材と呼ばれることもある。周囲導電性筐体構造体12Wは、ステンレス鋼、アルミニウム、又は他の適切な材料などの金属から形成されてもよい。1つ、2つ、又は2つよりも多い別個の構造体が、周囲導電性筐体構造体12Wを形成する際に使用されてもよい。
【0029】
周囲導電性筐体構造体12Wが均一な断面を有する必要はない。例えば、所望であれば、周囲導電性筐体構造体12Wの上部は、ディスプレイ14を適所に保持するのに役立つ内向きに突出した棚部を有してもよい。周囲導電性筐体構造体12Wの下部も、拡大されたリップを(例えば、デバイス10の後面の平面内に)有してもよい。周囲導電性筐体構造体12Wは、実質的に直線状の垂直側壁を有してもよく、湾曲側壁を有してもよく、又は他の適切な形状を有してもよい。いくつかの構成(例えば、周囲導電性筐体構造体12Wがディスプレイ14のベゼルとして機能する場合)においては、周囲導電性筐体構造体12Wが筐体12のリップの周りに延びていてもよい(すなわち、周囲導電性筐体構造体12Wは、筐体12のディスプレイ14を取り囲む縁部のみを覆い、筐体12の側壁の残りの部分は覆わなくてもよい)。
【0030】
後部筐体壁12Rは、ディスプレイ14に対して平行な平面内に位置してもよい。後部筐体壁12Rの一部又は全部が金属から形成されているデバイス10の構成では、周囲導電性筐体構造体12Wの一部を、後部筐体壁12Rを形成する筐体構造体の一体部分として形成することが望ましい可能性がある。例えば、デバイス10の後部筐体壁12Rは、平面金属構造体を含んでもよく、筐体12の側部の周囲導電性筐体構造体12Wの一部分は、平面金属構造体の平坦な又は湾曲した垂直に延びる一体の金属部分として形成されてもよい(例えば、筐体構造体12R及び12Wは、一体型構成の金属の連続部品から形成されてもよい)。このような筐体構造体は、所望であれば、金属のブロックから機械加工されてもよく、及び/又は一緒に組み立てられて筐体12を形成する複数の金属片を含んでもよい。後部筐体壁12Rは、1つ以上、2つ以上、又は3つ以上の部分を有してもよい。周囲導電性筐体構造体12W及び/又は後部筐体壁12Rの導電性部分は、デバイス10の1つ以上の外面(例えば、デバイス10のユーザから見える面)を形成してもよく、並びに/あるいはデバイス10の外面を形成しない内部構造体(例えば、ガラス、セラミック、プラスチックなどの誘電材料を含んでもよい薄い装飾層、保護コーティング、及び/又は他のコーティング層などの層で覆われた導電性筐体構造体、あるいはデバイス10の外面を形成し、及び/又は周囲導電性構造体12W及び/若しくは後部筐体壁12Rの導電性部分をユーザの視界から隠すように機能する他の構造体など、デバイス10のユーザから見えない導電性筐体構造体)を使用して実装されてもよい。
【0031】
ディスプレイ14は、デバイス10のユーザのために画像を表示するアクティブエリアAAを形成する画素のアレイを有することができる。例えば、アクティブエリアAAは、表示画素のアレイを含んでもよい。画素のアレイは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)構成要素、電気泳動画素のアレイ、プラズマディスプレイ画素のアレイ、有機発光ダイオード表示画素若しくは他の発光ダイオード画素のアレイ、エレクトロウェッティング表示画素のアレイ、又は他のディスプレイ技術に基づく表示画素で形成されてもよい。所望であれば、アクティブエリアAAは、タッチセンサ容量性電極、力覚センサ、又はユーザ入力を収集するための他のセンサなどのタッチセンサを含み得る。
【0032】
ディスプレイ14は、アクティブエリアAAの縁部のうちの1つ以上に沿って延びる非アクティブ境界領域を有し得る。ディスプレイ14の非アクティブエリアIAは、画像を表示するための画素を含まなくてもよく、筐体12内の回路構造及び他の内部デバイス構造体と重なり合うことがある。デバイス10のユーザの視界からこれらの構造体を視界から遮断するために、ディスプレイカバー層の下面又は非アクティブエリアIAと重なり合うディスプレイ14内の他の層を、非アクティブエリアIA内の不透明なマスキング層でコーティングしてもよい。不透明なマスキング層は、任意の好適な色を有し得る。非アクティブエリアIAは、アクティブエリアAA内に延在するノッチ8などの陥凹領域を含むことができる。アクティブエリアAAは、例えば、ディスプレイ14用のディスプレイモジュールの横方向エリア(例えば、画素回路、タッチセンサ回路などを含むディスプレイモジュール)によって画定されてもよい。ディスプレイモジュールは、アクティブなディスプレイ回路(すなわち、非アクティブエリアIAのノッチ8を形成する)を含まないデバイス10の上部領域20内に凹部又はノッチを有してもよい。ノッチ8は、アクティブエリアAAによって3つの側面上、及び周囲導電性筐体構造体12Wによる第4の側面上にて囲まれる(画定される)実質的に矩形の領域であってもよい。
【0033】
ディスプレイ14は、透明ガラス、透明プラスチック、透明セラミック、サファイア、若しくは他の透明な結晶性材料の層、又は他の透明層(単数又は複数)などの、ディスプレイカバー層を用いて保護されてもよい。ディスプレイカバー層は、平面形状、凸湾曲形状、平面部分及び湾曲部分を有する形状、平面主領域の平面から曲がった部分を有する1つ以上の縁部に囲まれた平面主領域を含むレイアウト、又は他の好適な形状を有し得る。ディスプレイカバー層は、デバイス10の前面全体を覆うことができる。別の好適な構成では、ディスプレイカバー層は、デバイス10の前面の実質的に全てを覆っても、又はデバイス10の前面の一部分のみを覆ってもよい。開口部を、ディスプレイカバー層内に形成することができる。例えば、ボタンを収容するために、開口部をディスプレイカバー層内に形成することができる。また、ノッチ8内のスピーカポート16又はマイクロフォンポートなどのポートを収容するために、ディスプレイカバー層に開口部を形成してもよい。所望であれば、通信ポート(例えば、オーディオジャックポート、デジタルデータポートなど)、並びに/あるいはスピーカ及び/又はマイクロフォンなどのオーディオ構成要素のためのオーディオポートを形成するために、筐体12内に開口部を形成してもよい。
【0034】
ディスプレイ14は、タッチセンサ用の容量性電極のアレイ、画素をアドレス指定するための導電性ライン、駆動回路、などの導電性構造体を含むことができる。筐体12は、筐体12の壁(すなわち、周囲導電性構造体12Wの反対側の側部の間に溶接されるか、又は他の方法で接続された1つ以上の金属部品から形成された実質的に矩形のシート)に広がる、金属フレーム部材及び平面導電性筐体部材(バックプレートと呼ばれることもある)などの内部導電性構造体を含むことができる。バックプレートは、デバイス10の外部後面を形成してもよく、又はガラス、セラミック、プラスチック、若しくはガラスなどの誘電材料を含み得る薄い装飾層、保護コーティング、及び/若しくは他のコーティングなどの層、又はデバイス10の外面を形成し、バックプレートをユーザの視界から隠すように機能する他の構造体によって覆われてもよい。デバイス10は、プリント回路基板、プリント回路基板上に実装された構成要素、及び他の内部導電性構造体などの導電性構造体も含むことができる。デバイス10内で接地板を形成する際に使用され得るこれらの導電性構造体は、例えば、ディスプレイ14のアクティブエリアAAの下に延びることができる。
【0035】
領域22及び20において、開口部が、デバイス10の導電性構造体内(例えば、周囲導電性筐体構造体12Wと、後部筐体壁12Rの導電性部分、プリント回路基板上の導電性トレース、ディスプレイ14内の導電性電気構成要素、などの反対側の導電性接地構造体の間)に形成されてもよい。ギャップと呼ばれることがあり得るこれらの開口部は、空気、プラスチック、及び/又は他の誘電体で満たされてもよく、所望であれば、デバイス10内の1つ以上のアンテナのスロットアンテナ共振要素の形成に使用されてもよい。
【0036】
デバイス10内の導電性筐体構造体及び他の導電性構造体は、デバイス10内のアンテナのための接地板として機能することができる。領域22及び20内の開口部は、オープン又はクローズドスロットアンテナ内のスロットとして機能することができ、ループアンテナ内の材料の導電経路によって囲まれた中央誘電領域として機能することができ、ストリップアンテナ共振要素又は逆Fアンテナ共振要素などのアンテナ共振要素を接地面から分離するスペースとして機能することができ、寄生アンテナ共振要素の性能に寄与することができ、又は領域22及び20内に形成されたアンテナ構造体の一部として他の方法で機能することができる。所望であれば、ディスプレイ14のアクティブエリアAA及び/又はデバイス10内の他の金属構造体の下にある接地板は、デバイス10の端部の一部に延びる部分を有してもよく(例えば、接地が領域22及び20内の誘電体充填開口部に向かって延びてもよい)、したがって領域22及び20内のスロットが狭められる。
【0037】
一般に、デバイス10は、任意の適切な数のアンテナ(例えば、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、など)を含むことができる。デバイス10内のアンテナは、細長いデバイス筐体の対向している第1の端部及び第2の端部に(例えば、図1のデバイス10の領域22及び20の端部に)、デバイス筐体の1つ以上の縁部に沿って、デバイス筐体の中心に、他の好適な場所に、又はこれらの場所の1つ以上に、配置され得る。図1の構成は、単なる例示である。
【0038】
周囲導電性筐体構造体12Wの一部分に、周囲ギャップ構造体を設けてもよい。例えば、周囲導電性筐体構造体12Wに、図1に示されるように、ギャップ18などの1つ以上のギャップを設けてもよい。周囲導電性筐体構造体12Wにおけるギャップは、ポリマー、セラミック、ガラス、空気、他の誘電材料、又はそれらの材料の組み合わせなどの誘電体で充填され得る。ギャップ18は、周囲導電性筐体構造体12Wを1つ以上の周囲導電性セグメントに分割することができる。このようにして形成される導電性セグメントは、所望であれば、デバイス10内のアンテナの部分を形成してもよい。他の誘電体開口部は、周囲導電性筐体構造体12W(例えば、ギャップ18以外の誘電体開口部)内に形成することができ、デバイス10の内部に実装されたアンテナ用の誘電体アンテナ窓として機能することができる。デバイス10内のアンテナは、周囲導電性筐体構造体12Wを介して高周波信号を伝達するための誘電体アンテナ窓と位置合わせされてもよい。デバイス10内のアンテナはまた、ディスプレイ14を介して高周波信号を伝達するために、ディスプレイ14の非アクティブエリアIAと位置合わせされてもよい。
【0039】
可能な限り大きいディスプレイをデバイス10のエンドユーザに提供するために(例えば、メディアを表示するため、アプリケーションを実行するためなどに使用されるデバイスの面積を最大化するために)、ディスプレイ14のアクティブエリアAAによって覆われているデバイス10の前面における面積量を増大させることが望ましい場合がある。アクティブエリアAAのサイズを増大させることにより、デバイス10内の非アクティブエリアIAのサイズを低減することができる。これにより、デバイス10内のアンテナに利用可能なディスプレイ14の背後の面積を低減することができる。例えば、ディスプレイ14のアクティブエリアAAは、アクティブエリアAAの背後に実装されたアンテナによって処理された高周波信号のデバイス10の前面を通る放射を遮断するように機能する導電性構造体を含んでもよい。したがって、アンテナが十分な効率の帯域幅でデバイス10の外部の無線機器と通信できるようにしながら、(例えば、可能な限り大きいディスプレイアクティブエリアAAを可能にするために)デバイス10内の小さな空間量を占有するアンテナを提供することができることが望ましい。
【0040】
典型的なシナリオでは、デバイス10は、1つ以上の上部アンテナ及び1つ以上の下部アンテナを有することができる(例として)。上部アンテナは、例えば、領域20においてデバイス10の上端に形成することができる。下部アンテナは、例えば、領域22においてデバイス10の下端に形成することができる。所望であれば、領域20と領域22との間に延在する筐体12の縁部に沿って、追加のアンテナが形成されてもよい。これらのアンテナは、同一の通信帯域、重なり合う通信帯域、又は別個の通信帯域をカバーするために別々に使用され得る。これらのアンテナは、アンテナダイバーシティ方式又は多重入力多重出力(MIMO)アンテナ方式を実施するために使用され得る。任意の他の所望の周波数をカバーするための他のアンテナもまた、デバイス10内部の任意の所望の位置に実装することができる。図1の実施例は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、筐体12は、他の形状(例えば、正方形、円筒形、球形、これらの組み合わせ及び/又は異なる形状など)を有してもよい。
【0041】
デバイス10内に使用することができる例示的な構成要素の模式図を、図2に示す。図2に示すように、デバイス10は、制御回路28を含むことができる。制御回路28は、記憶回路30などの記憶装置を含むことができる。記憶回路30は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するよう構成される他の電気的にプログラムできる読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)などを含むことができる。制御回路28は、処理回路32などの処理回路を含むことができる。処理回路32は、デバイス10の動作を制御するために使用することができる。処理回路32は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ホストプロセッサ、ベースバンドプロセッサ集積回路、特定用途向け集積回路、中央処理装置(central processing units、CPU)などを含んでもよい。制御回路28は、ハードウェア(例えば、専用ハードウェア又は回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して、デバイス10内で動作を実行するよう構成することができる。デバイス10内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、記憶回路30上に記憶されてもよい(例えば、記憶回路30は、ソフトウェアコードを記憶する非一時的(有形)コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい)。ソフトウェアコードは、時に、プログラム命令、ソフトウェア、データ、命令、又はコードと呼ばれることがある。記憶回路30上に記憶されたソフトウェアコードは、処理回路32によって実行されてもよい。
【0042】
制御回路28は、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバー・インターネット・プロトコル(voice-over-internet-protocol、VOIP)通話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能などのソフトウェアをデバイス10上で走らせるために使用される場合がある。外部機器との相互作用をサポートするために、通信プロトコルを実施する際に制御回路28が使用される場合がある。制御回路28を使用して実施することができる通信プロトコルとしては、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)と呼ばれることもあるIEEE802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコル又は他のWPANプロトコルなどの他の近距離無線通信リンクのためのプロトコル、IEEE802.11adプロトコル、セルラー電話プロトコル、MIMOプロトコル、アンテナダイバーシティプロトコル、衛星航法システムプロトコル、アンテナベースの空間測距プロトコル(例えば、無線検出及び測距(RADAR)プロトコル、又はミリ波周波数及びセンチ波周波数で伝達される信号のための他の所望の距離検出プロトコル)などが挙げられる。各通信プロトコルは、プロトコルを実施する際に使用される物理的接続手順を指定する、対応する無線アクセス技術(radio access technology、RAT)と関連付けることができる。
【0043】
デバイス10は、入出力回路24を含み得る。入出力回路24は、入出力デバイス26を含むことができる。入出力デバイス26を使用して、デバイス10にデータを供給することを可能にし、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にすることができる。入出力デバイス26は、ユーザインターフェースデバイス、データポートデバイス、センサ、及び他の入出力構成要素を含むことができる。例えば、入出力デバイスとしては、タッチスクリーン、タッチセンサ機能を有さないディスプレイ、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、状態インジケータ、光源、オーディオジャック及び他のオーディオポート構成要素、デジタルデータポートデバイス、光センサ、ジャイロスコープ、加速度計若しくは動き及び地球に対するデバイスの方位を検出し得る他の構成要素、キャパシタンスセンサ、近接センサ(例えば、静電容量近接センサ及び/又は赤外線近接センサ)、磁気センサ、並びに他のセンサ及び入出力構成要素を挙げることができる。
【0044】
入出力回路24は、高周波信号を無線で伝達するための無線回路34などの無線回路を含むことができる。制御回路28は、明確にするために図2の実施例では無線回路34とは別個に示されているが、無線回路34は、処理回路32の一部を形成する処理回路、及び/又は制御回路28の記憶回路30の一部を形成する記憶回路を含んでもよい(例えば、制御回路28の一部分は、無線回路34上に実装されてもよい)。一例として、制御回路28は、ベースバンドプロセッサ回路、又は無線回路34の一部を形成する他の制御構成要素を含むことができる。
【0045】
無線回路34は、ミリ波/センチ波送受信機回路38などのミリ波及びセンチ波送受信機回路を含んでもよい。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、約10GHz~300GHzの周波数での通信をサポートすることができる。例えば、ミリ波/センチ波送受信機回路38は、約30GHz~300GHzの極高周波(EHF)若しくはミリ波通信帯域における、及び/又は約10GHz~30GHzのセンチ波通信帯域(超高周波(Super High Frequency、SHF)帯域と呼ばれることもある)における通信をサポートすることができる。例として、ミリ波/センチ波送受信機回路38は、約18GHz~27GHzのIEEE K通信帯域、約26.5GHz~40GHzのK通信帯域、約12GHz~18GHzのK通信帯域、約40GHz~75GHzのV通信帯域、約75GHz~110GHzのW通信帯域、又は約10GHz~300GHzの任意の他の所望の周波数帯域における通信をサポートすることができる。所望であれば、ミリ波/センチ波送受信機回路38は、60GHzでのIEEE802.11ad通信、及び/又は27GHz~90GHzでの第5世代モバイルネットワーク若しくは第5世代無線システム(5G)の通信帯域をサポートすることができる。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、1つ以上の集積回路(例えば、システム・イン・パッケージデバイス内の共通のプリント回路上に実装された複数の集積回路、異なる基板上に実装された1つ以上の集積回路など)から形成することができる。
【0046】
所望であれば、ミリ波/センチ波送受信機回路38(本明細書では単に送受信機回路38又はミリ波/センチ波回路38と呼ばれることもある)は、ミリ波/センチ波送受信機回路38によって送受信されるミリ波信号及び/又はセンチ波信号での高周波信号を使用して空間測距動作を実行することができる。受信された信号は、外部オブジェクトから反射されてデバイス10に向かって戻る送信された信号のバージョンであってもよい。制御回路28は、送信及び受信された信号を処理して、デバイス10とデバイス10の周囲の1つ以上の外部オブジェクト(例えば、ユーザ若しくは他の人の身体、他のデバイス、動物、家具、壁、又はデバイス10の近傍の他の物体若しくは障害物などのデバイス10の外部の物体)との間の距離を検出又は推定することができる。所望であれば、制御回路28はまた、送信及び受信された信号を処理して、デバイス10に対する外部オブジェクトの2次元又は3次元の空間位置を特定することができる。
【0047】
ミリ波/センチ波送受信機回路38によって実行される空間測距動作は、一方向性である。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、外部無線機器との双方向通信を実行することができる。双方向通信は、ミリ波/センチ波送受信機回路38による無線データの送信及び外部無線機器によって送信された無線データの受信の両方を伴う。無線データは、例えば、電話通話に関連付けられた無線データ、ストリーミングメディアコンテンツ、インターネットブラウジング、デバイス10上で稼働するソフトウェアアプリケーションに関連付けられた無線データ、電子メールメッセージなどの、対応するデータパケットに符号化されたデータを含むことができる。
【0048】
所望であれば、無線回路34は、非ミリ波/センチ波送受信機回路36などの、10GHz未満の周波数での通信を処理するための送受信機回路を含んでもよい。非ミリ波/センチ波送受信機回路36は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)通信のための2.4GHz及び5GHz帯域を処理する無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)送受信機回路、2.4GHzのBluetooth(登録商標)通信帯域を処理する無線パーソナルエリアネットワーク(wireless personal area network、WPAN)送受信機回路、700~960MHz、1710~2170MHz、2300~2700MHz、及び/又は600MHz~4000MHzの任意の他の所望のセルラー電話通信帯域のセルラー電話通信帯域を処理するセルラー電話送受信機回路、1575MHzでのGPS信号又は他の衛星測位データを処理するための信号(例えば、1609MHzでのGLONASS信号)を受信するGPS受信機回路、テレビ受信機回路、AM/FM無線受信機回路、ページングシステム送受信機回路、近距離通信(near field communications、NFC)回路などを含むことができる。非ミリ波/センチ波送受信機回路36及びミリ波/センチ波送受信機回路38はそれぞれ、1つ以上の集積回路、電力増幅器回路、低雑音入力増幅器、受動高周波構成要素、スイッチング回路、伝送線構造体、及び高周波信号を処理するための他の回路を含むことができる。
【0049】
無線回路34は、アンテナ40を含んでもよい。非ミリ波/センチ波送受信機回路36は、1つ以上のアンテナ40を使用して、10GHz未満の高周波信号を送受信することができる。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、アンテナ40を使用して、10GHzを上回る(例えば、ミリ波周波数及び/又はセンチ波周波数での)高周波信号を送受信することができる。
【0050】
衛星航法システムリンク、セルラー電話リンク、及び他の遠距離リンクでは、数千フィート又は数マイルにわたってデータを伝達する目的で高周波信号が使用されるのが典型的である。2.4GHz及び5GHzでのWiFi(登録商標)リンク及びBluetooth(登録商標)リンク並びに他の近距離無線リンクでは、数十フィート又は数百フィートにわたってデータを伝達する目的で高周波信号が使用されるのが典型的である。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、見通し線経路を介して移動する近距離にわたって高周波信号を伝達することができる。ミリ波通信及びセンチ波通信用の信号受信を強化するために、フェーズドアンテナアレイ及びビームステアリング技術(例えば、ビームステアリングを実行するためにアレイ内のそれぞれのアンテナに対するアンテナ信号の位相及び/又は大きさが調整される方式)を使用することができる。遮断されたか、又はデバイス10の動作環境が原因で他の点で劣化したアンテナを未使用状態に切換え、より高性能のアンテナをそれらの代わりに使用できるように、アンテナダイバーシティ方式も使用されてもよい。
【0051】
無線回路34内のアンテナ40は、任意の好適なアンテナタイプを使用して形成されてもよい。例えば、アンテナ40は、積層パッチアンテナ構造体、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平板逆Fアンテナ構造体、モノポールアンテナ構造体、ダイポールアンテナ構造体、ヘリカルアンテナ構造体、八木(Yagi-Uda)アンテナ構造体、これらの設計の混成などから形成される共振要素を有するアンテナを含んでもよい。別の好適な構成では、アンテナ40は、誘電体共振器アンテナなどの誘電体共振要素を有するアンテナを含んでもよい。所望であれば、アンテナ40の1つ以上は、キャビティ付きアンテナでもよい。異なる帯域及び帯域の組み合わせに対して、異なる種類のアンテナが使用されてもよい。例えば、1つのタイプのアンテナは、非ミリ波/センチ波送受信機回路36のための非ミリ波/センチ波無線リンクを形成する際に使用することができ、別のタイプのアンテナは、ミリ波/センチ波送受信機回路38のためのミリ波周波数及び/又はセンチ波周波数で高周波信号を伝達する際に使用することができる。ミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号を伝達するために使用されるアンテナ40は、1つ以上のフェーズドアンテナアレイ内に配置することができる。
【0052】
ミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号を伝達するためのフェーズドアンテナアレイ内に形成してもよいアンテナ40の概略図を、図3に示す。図3に示すように、アンテナ40は、ミリ/センチ(millimeter/centimeter、MM/CM)波送受信機回路38に結合することができる。ミリ波/センチ波送受信機回路38は、高周波伝送線42を含む伝送線経路を使用してアンテナ40のアンテナフィード44に結合することができる。高周波伝送線42は、信号導体46などの正極信号導体を含むことができ、接地導体48などの接地導体を含むことができる。接地導体48は、(例えば、アンテナ接地上に位置するアンテナフィード44の接地アンテナフィード端子の上に)アンテナ40のアンテナ接地に結合することができる。信号導体46は、アンテナ40のアンテナ共振要素に結合することができる。例えば、信号導体46は、アンテナ共振要素上に位置するアンテナフィード44の正極アンテナフィード端子に結合することができる。別の好適な構成では、アンテナ40は、給電プローブを使用して給電されるプローブ給電アンテナであってもよい。この構成では、アンテナフィード44は、給電プローブとして実装することができる。信号導体46は、給電プローブに結合することができる。高周波伝送線42は、高周波信号を給電プローブに及び給電プローブから伝達することができる。高周波信号が給電プローブを介して伝達されると、給電プローブは、アンテナ用の共振要素(例えば、アンテナ40用の誘電体アンテナ共振要素)を励起することができる。共振要素は、給電プローブによる励起に応答して高周波信号を放射することができる。
【0053】
高周波伝送線42は、ストリップライン伝送線(本明細書では単にストリップラインと呼ばれることもある)、同軸ケーブル、金属化ビアによって実現される同軸プローブ、マイクロストリップ伝送線、エッジ結合マイクロストリップ伝送線、エッジ結合ストリップライン伝送線、導波路構造体、これらの組み合わせなどを含んでもよい。複数の種類の伝送線を使用して、ミリ波/センチ波送受信機回路38をアンテナフィード44に結合する伝送線経路を形成することができる。所望であれば、フィルタ回路、スイッチング回路、インピーダンス整合回路、位相シフタ回路、増幅器回路、及び/又は他の回路を、高周波伝送線42上に介在させることができる。
【0054】
デバイス10内の高周波伝送線は、セラミック基板、リジッドプリント回路基板、及び/又はフレキシブルプリント回路に統合することができる。1つの好適な構成では、デバイス10内の高周波伝送線は、複数の次元(例えば、2次元又は3次元)で折ることができ、又は曲げることができ、曲げた後に曲げた形状又は折った形状を維持する(例えば、多層積層構造体は、他のデバイス構成要素の周りで経路選択するように特定の3次元形状に折られてもよく、補強材又は他の構造体によって適切に保持されることなく折った後にその形状を保持するように十分に剛体であってもよい)、多層積層構造体(例えば、間に入る接着剤なしで共に積層された銅などの導電材料及び樹脂などの誘電材料の層)内に統合されてもよい。積層構造体の複数の層の全ては、接着剤なしで(例えば、接着剤で共に複数の層を積層する複数のプレス工程を実行することとは反対に)共に1回で積層されてもよい(例えば、単一のプレス工程で)。
【0055】
図4は、どのようにミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号を処理するためのアンテナ40をフェーズドアンテナアレイ内に形成することができるかを示す。図4に示すように、フェーズドアンテナアレイ54(本明細書では、アレイ54、アンテナアレイ54、又はアンテナ40のアレイ54と呼ばれることもある)は、高周波伝送線42に結合することができる。例えば、フェーズドアンテナアレイ54内の第1のアンテナ40-1は、第1の高周波伝送線42-1に結合することができ、フェーズドアンテナアレイ54内の第2のアンテナ40-2は、第2の高周波伝送線42-2に結合することができ、フェーズドアンテナアレイ54内のN番目のアンテナ40-Nは、N番目の高周波伝送線42-Nに結合することなどができる。アンテナ40は、フェーズドアンテナアレイを形成するものとして本明細書で説明されているが、フェーズドアンテナアレイ54内のアンテナ40はまた、時に、単一のフェーズドアレイアンテナを集合的に形成するものを指してもよい。
【0056】
フェーズドアンテナアレイ54内のアンテナ40は、任意の所望の数の行と列で、又は任意の他の所望のパターンで配置することができる(例えば、アンテナは、行と列を有するグリッドパターンで配置される必要はない)。信号送信動作中に、高周波伝送線42を使用して、無線送信のために、ミリ波/センチ波送受信機回路38(図3)からフェーズドアンテナアレイ54に信号(例えば、ミリ波信号及び/又はセンチ波信号などの高周波信号)を供給することができる。信号受信動作中に、高周波伝送線42を使用して、フェーズドアンテナアレイ54で受信された信号(例えば、外部無線機器からの、又は外部オブジェクトから反射された送信された信号)をミリ波/センチ波送受信機回路38(図3)に伝達することができる。
【0057】
フェーズドアンテナアレイ54内の複数のアンテナ40を使用することにより、アンテナによって伝達される高周波信号の相対的な位相及び大きさ(振幅)を制御することによって、ビームステアリング構成を実装することが可能になる。図4の実施例では、アンテナ40はそれぞれ、対応する高周波位相/大きさコントローラ50を有する(例えば、高周波伝送線42-1上に介在する第1の位相/大きさコントローラ50-1は、アンテナ40-1によって処理される高周波信号の位相及び大きさを制御することができ、高周波伝送線42-2上に介在する第2の位相/大きさコントローラ50-2は、アンテナ40-2によって処理される高周波信号の位相及び大きさを制御することができ、高周波伝送線42-N上に介在するN番目の位相/大きさコントローラ50-Nは、アンテナ40-Nによって処理される高周波信号の位相及び大きさを制御することができる、など)。
【0058】
位相/大きさコントローラ50はそれぞれ、高周波伝送線42上の高周波信号の位相を調整するための回路(例えば、位相シフタ回路)、及び/又は高周波伝送線42上の高周波信号の大きさを調整するための回路(例えば、電力増幅器及び/又は低雑音増幅器回路)を含んでもよい。位相/大きさコントローラ50は、本明細書では時に、ビームステアリング回路(例えば、フェーズドアンテナアレイ54によって送信及び/又は受信される高周波信号のビームをステアリングするビームステアリング回路)と集合的に呼ばれることがある。
【0059】
位相/大きさコントローラ50は、フェーズドアンテナアレイ54内のアンテナのそれぞれに提供される送信信号の相対的な位相及び/又は大きさを調整することができ、フェーズドアンテナアレイ54が受信した受信信号の相対的な位相及び/又は大きさを調整することができる。位相/大きさコントローラ50は、所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54が受信した受信信号の位相を検出するための位相検出回路を含むことができる。本明細書では、「ビーム」又は「信号ビーム」という用語は、特定の方向においてフェーズドアンテナアレイ54によって送信及び受信される無線信号を総称するために使用されることがある。信号ビームは、対応する指示角度で特定の指示方向に(例えば、フェーズドアンテナアレイ内の各アンテナからの信号の組み合わせからの強め合う干渉及び弱め合う干渉に基づいて)向けられるピークゲインを呈することができる。特定の方向で送信される高周波信号を指すために、本明細書では時に「送信ビーム」という用語を使用することもあり、特定の方向から受信される高周波信号を指すために、本明細書では時に「受信ビーム」という用語を使用することもある。
【0060】
例えば、位相/大きさコントローラ50を調整して、送信される高周波信号の位相及び/又は大きさの第1のセットを生成する場合、送信された信号は、点Aの方向に向けられた図4のビームB1によって示すような送信ビームを形成することになる。しかしながら、位相/大きさコントローラ50を調整して、送信される信号の位相及び/又は大きさの第2のセットを生成する場合、送信された信号は、点Bの方向に向けられたビームB2によって示すような送信ビームを形成することになる。同様に、位相/大きさコントローラ50を調整して、位相及び/又は大きさの第1のセットを生成する場合、高周波信号(例えば、受信ビーム内の高周波信号)は、ビームB1によって示すように、点Aの方向から受信することができる。位相/大きさコントローラ50を調整して、位相及び/又は大きさの第2のセットを生成する場合、高周波信号は、ビームB2によって示すように、点Bの方向から受信することができる。
【0061】
各位相/大きさコントローラ50は、図2の制御回路28から受信した対応する制御信号52に基づいて、所望の位相及び/又は大きさを生成するように制御することができる(例えば、位相/大きさコントローラ50-1によって提供される位相及び/又は大きさは、制御信号52-1を使用して制御することができ、位相/大きさコントローラ50-2によって提供される位相及び/又は大きさは、制御信号52-2を使用して制御することができる、など)。所望であれば、制御回路は、送信ビーム又は受信ビームを経時的に異なる所望の方向にステアリングするために、制御信号52をリアルタイムでアクティブに調整することができる。位相/大きさコントローラ50は、所望であれば、受信信号の位相を特定する情報を制御回路28に提供することができる。
【0062】
ミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号を使用して無線通信を実行するとき、高周波信号は、フェーズドアンテナアレイ54と外部通信機器との間の見通し線経路を介して伝達される。外部オブジェクトが図4の点Aに位置する場合、位相/大きさコントローラ50を調整して、信号ビームを点Aに向けてステアリングする(例えば、信号ビームの指示方向を点Aに向けてステアリングする)ことができる。フェーズドアンテナアレイ54は、点Aの方向に高周波信号を送信及び受信することができる。同様に、外部通信機器が点Bに位置する場合、位相/大きさコントローラ50を調整して、信号ビームを点Bに向けてステアリングする(例えば、信号ビームの指示方向を点Bに向けてステアリングする)ことができる。フェーズドアンテナアレイ54は、点Bの方向に高周波信号を送信及び受信することができる。図4の実施例では、ビームステアリングは、単純にするために、単一の自由度で(例えば、図4のページの左及び右に向かって)実行されるものとして示されている。しかしながら、実際には、ビームは、2つ以上の自由度で(例えば、図4のページの中及び外に、並びにページの左及び右に、3次元で)ステアリングすることができる。フェーズドアンテナアレイ54は、ビームステアリングを実行することができる対応する視野(例えば、フェーズドアンテナアレイ上の半球又は半球のセグメント)を有することができる。所望であれば、デバイス10は、デバイスの複数の側面からカバーを提供するために、それぞれが異なる方向に面する複数のフェーズドアンテナアレイを含んでもよい。
【0063】
図5は、デバイス10が複数のフェーズドアンテナアレイを有する実施例におけるデバイス10の側断面図である。図5に示すように、周囲導電性筐体構造体12Wは、デバイス10の(横方向の)周囲に延在してもよく、後部筐体壁12Rからディスプレイ14まで延在してもよい。ディスプレイ14は、ディスプレイモジュール68(ディスプレイパネルと呼ばれることもある)などのディスプレイモジュールを有することができる。ディスプレイモジュール68は、画素回路、タッチセンサ回路、力覚センサ回路、及び/又はディスプレイ14のアクティブエリアAAを形成するための任意の他の所望の回路を含んでもよい。ディスプレイ14は、ディスプレイモジュール68と重なり合うディスプレイカバー層56などの誘電体カバー層を含んでもよい。ディスプレイモジュール68は、画像光を発することができ、ディスプレイカバー層56を介してセンサ入力を受信することができる。ディスプレイカバー層56及びディスプレイ14は、周囲導電性筐体構造体12Wに実装されてもよい。ディスプレイモジュール68と重ならないディスプレイ14の横方向エリアは、ディスプレイ14の非アクティブエリアIAを形成することができる。
【0064】
デバイス10は、後面フェーズドアンテナアレイ54-1などの複数のフェーズドアンテナアレイ54を含むことができる。図5に示すように、フェーズドアンテナアレイ54-1は、後部筐体壁12Rを通るミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号60を送信及び/又は受信することができる。後部筐体壁12Rが金属部分を含むシナリオでは、高周波信号60は、後部筐体壁12Rの金属部分の孔部又は開口部を通って伝達されてもよく、又は後部筐体壁12Rの他の誘電体部分を介して伝達されてもよい。孔部は、後部筐体壁12Rの横方向エリアにわたって(例えば、周囲導電性筐体構造体12W間)に延在する誘電体カバー層又は誘電体コーティングによって重ね合わされてもよい。フェーズドアンテナアレイ54-1は、矢印62によって示されるように、デバイス10の下の半球にわたって高周波信号60用のビームステアリングを実行することができる。
【0065】
フェーズドアンテナアレイ54-1は、基板64などの基板に実装されてもよい。基板64は、集積回路チップ、フレキシブルプリント回路、リジッドプリント回路基板、又は他の基板であってもよい。基板64は、本明細書では時に、アンテナモジュール64と呼ばれる場合がある。所望であれば、送受信機回路(例えば、図2のミリ波/センチ波送受信機回路38)をアンテナモジュール64に実装することができる。フェーズドアンテナアレイ54-1は、接着剤を使用して後部筐体壁12Rに接着してもよく、後部筐体壁12Rに(例えば、接触して)押圧してもよく、又は後部筐体壁12Rから離間していてもよい。
【0066】
フェーズドアンテナアレイ54-1の視野は、デバイス10の後面下の半球に限定される。デバイス10におけるディスプレイモジュール68及び他の構成要素58(例えば、図2の入出力回路24又は制御回路28の部分、デバイス10のためのバッテリなど)は、導電性構造体を含む。注意を払わなければ、これらの導電性構造体は、デバイス10内のフェーズドアンテナアレイによってデバイス10の前面上の半球にわたって高周波信号が伝達されることを阻止する。デバイス10の前面上の半球をカバーするための追加のフェーズドアンテナアレイは、非アクティブエリアIA内のディスプレイカバー層56に対して実装することができるが、ディスプレイモジュール68の横方向の外周部と周囲導電性筐体構造体12Wとの間には、フェーズドアンテナアレイを完全に支持するために必要な回路及び高周波伝送線の全てを形成するスペースが不十分な場合がある。これらの問題を軽減し、デバイス10の前面を介したカバーを提供するために、前面フェーズドアンテナアレイをデバイス10の周囲領域66内に実装してもよい。前面フェーズドアンテナアレイ内のアンテナは、誘電体共振器アンテナを含んでもよい。誘電体共振器アンテナは、パッチアンテナ及びスロットアンテナなどの他の種類のアンテナよりも、図5のX-Y平面内の占有面積がより小さくてもよい。誘電体共振器アンテナとしてアンテナを実装することにより、前面フェーズドアンテナアレイの放射要素が、ディスプレイモジュール68と周囲導電性筐体構造体12Wとの間の非アクティブエリアIA内に収まることを可能にすることができる。同時に、フェーズドアンテナアレイのための高周波伝送線及び他の構成要素は、ディスプレイモジュール68の背後(下)に配置することができる。
【0067】
図6は、デバイス10用の前面フェーズドアンテナアレイ内の例示的な誘電体共振器アンテナの側断面図である。図6に示すように、デバイス10は、所与のアンテナ40(例えば、図5の周辺領域66内に実装されている)を有する前面フェーズドアンテナアレイを含むことができる。図6のアンテナ40は、誘電体共振器アンテナであってもよい。この実施例では、アンテナ40は、フレキシブルプリント回路72などの基材に実装される誘電体共振要素92を含んでもよい。この実施例は単なる例示に過ぎず、所望であれば、フレキシブルプリント回路72は、リジッドプリント回路基板、プラスチック基板、又は任意の他の所望の基板と置き換えられてもよい。
【0068】
フレキシブルプリント回路72は、後部筐体壁12Rに沿って延在する横方向エリア(例えば、図6のX-Y平面内)を有する。フレキシブルプリント回路72は、接着剤を使用して後部筐体壁12Rに接着してもよく、後部筐体壁12Rに(例えば、接触して配置されて)押圧してもよく、又は後部筐体壁12Rから分離していてもよい。フレキシブルプリント回路72は、アンテナ40に第1の端部と、デバイス10内のミリ波/センチ波送受信機回路に結合された反対側の第2の端部(例えば、図2のミリ波/センチ波送受信機回路38)を有することができる。1つの好適な構成では、フレキシブルプリント回路72の第2の端部は、図5のアンテナモジュール64に結合することができる。
【0069】
図6に示すように、フレキシブルプリント回路72は、積層誘電体層70を含み得る。誘電体層70は、ポリイミド、セラミック、液晶ポリマー、プラスチック、及び/又は任意の他の所望の誘電材料を含み得る。導電性トレース82などの導電性トレースは、フレキシブルプリント回路72の上面76上にパターン化されてもよい。導電性トレース80などの導電性トレースは、フレキシブルプリント回路72の対向する底面78上にパターン化されてもよい。導電性トレース80は、接地電位に保持されてもよく、したがって、本明細書では接地トレース80と呼ばれることがある。接地トレース80は、フレキシブルプリント回路72内及び/又はフレキシブルプリント回路72の上面76上の追加の接地トレースに、フレキシブルプリント回路72(明確にするために図6には示されていない)を通って延在する導電ビアを使用して、短絡させることができる。接地トレース80は、アンテナ40用のアンテナ接地の一部を形成することができる。接地トレース80は、(例えば、はんだ、溶接、導電性接着剤、導電性テープ、導電性ブラケット、導電性ピン、導電性ねじ、導電性クリップ、これらの組み合わせなどを使用して)デバイス10のシステム接地に結合することができる。例えば、接地トレース80は、周囲導電性筐体構造体12W、後部筐体壁12Rの導電部分、又はデバイス10内の他の接地構造体に結合することができる。導電性トレース82が上面76上に形成され、接地トレース80がフレキシブルプリント回路72の底面78上に形成される図6の実施例は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、1つ以上の誘電体層70を導電性トレース82の上に積層することができ、及び/又は1つ以上の誘電体層70を、接地トレース80の下に積層することができる。
【0070】
アンテナ40は、高周波伝送線74などの、フレキシブルプリント回路72上に形成され、及び/又はフレキシブルプリント回路72内に埋め込まれた、高周波伝送線を使用して給電することができる。高周波伝送線74(例えば、図3の所与の高周波伝送線42)は、接地トレース80及び導電性トレース82を含み得る。導電性トレース82と重なり合う接地トレース80の部分は、高周波伝送線74用の接地導体(例えば、図3の接地導体48)を形成することができる。導電性トレース82は、高周波伝送線74のための信号導体(例えば、図3の信号導体46)を形成することができ、したがって、本明細書では信号トレース82と呼ばれることがある。高周波伝送線74は、アンテナ40とミリ波/センチ波送受信機回路との間で高周波信号を伝達することができる。アンテナ40が信号トレース82及び接地トレース80を使用して給電される図6の実施例は、単なる例示に過ぎない。一般に、アンテナ40は、フレキシブルプリント回路72内及び/又はフレキシブルプリント回路72上の任意の所望の伝送線構造体を使用して給電することができる。
【0071】
アンテナ40の誘電体共振要素92は、フレキシブルプリント回路72の上面76に実装される誘電材料の列(ピラー)から形成してもよい。所望であれば、誘電体共振要素92は、誘電体基板90などのフレキシブルプリント回路72の上面76に実装される誘電体基板内に(例えば、横方向に囲まれて)埋め込まれてもよい。誘電体基板90及び誘電体共振要素92は、フレキシブルプリント回路72の底面100から、ディスプレイ14の対向する上面98まで延在する。
【0072】
アンテナ40の放射周波数は、(例えば、図6のX、Y、及び/又はZ軸の方向における)誘電体共振要素92の寸法を調整することによって選択することができる。誘電体共振要素92は、誘電率dk3を有する誘電材料の列から形成してもよい。誘電率dk3は、比較的高くてもよい(例えば、10.0超、12.0超、15.0超、20.0超、15.0~40.0、10.0~50.0、18.0~30.0、12.0~45.0などである)。1つの好適な構成では、誘電体共振要素92は、ジルコニア又はセラミック材料から形成してもよい。所望であれば、他の誘電材料を使用して、誘電体共振要素92を形成してもよい。
【0073】
誘電体基板90は、誘電率dk4を有する材料から形成してもよい。誘電率dk4は、誘電体共振要素92の誘電率dk3未満であってもよい(例えば、18.0未満、15.0未満、10.0未満、3.0~4.0、5.0未満、2.0~5.0などである)。誘電率dk4は、少なくとも10.0、5.0、15.0、12.0、6.0など、誘電率dk3より大きくてもよい。1つの好適な構成では、誘電体基板90は、成形プラスチックから形成してもよい。他の誘電材料を使用して誘電体基板90を形成してもよく、又は所望であれば、誘電体基板90を省略してもよい。誘電体共振要素92と誘電体基板90との間の誘電率の差は、誘電体共振要素92と誘電体基板90との間の、底面100から上面98までの高周波境界条件を確立することができる。これは、高周波信号をミリ波周波数及びセンチ波周波数で伝搬するための導波路として機能するように、誘電体共振要素92を構成することができる。
【0074】
誘電体基板90は、誘電体共振要素92の各側面上に幅(厚さ)106を有してもよい。幅106は、誘電体共振要素92を周囲導電性筐体構造体12Wから分離し、誘電体基板90内の信号反射を最小化するように選択することができる。幅106は、例えば、誘電率dk4の誘電材料中の高周波信号の有効波長の少なくとも10分の1であってもよい。幅106は、例として、0.4~0.5mm、0.3~0.5mm、0.2~0.6mm、0.1mm超、0.3mm超、0.2~2.0mm、0.3~1.0mm、又は0.4~0.5mm超であってもよい。
【0075】
誘電体共振要素92は、高周波伝送線74の信号導体によって励起されると、高周波信号104を放射することができる。いくつかのシナリオでは、フレキシブルプリント回路の上面76上の接地トレース内にスロットが形成され、スロットは、フレキシブルプリント回路72内に埋め込まれた信号導体によって間接的に給電され、スロットは、誘電体共振要素92を励起して高周波信号104を放射する。しかしながら、これらのシナリオでは、アンテナの放射特性は、誘電体共振要素がフレキシブルプリント回路72にどのように実装されるかによって影響を受ける可能性がある。例えば、誘電体共振要素をフレキシブルプリント回路に実装するために使用される接着剤の空隙又は層は、制御することが困難である可能性があり、アンテナの放射特性に望ましくない影響を与える可能性がある。下地のスロットを使用して誘電体共振要素92を励起することに関連する問題を緩和するために、アンテナ40は、給電プローブ85などの高周波給電プローブを使用して給電することができる。給電プローブ85は、アンテナ40用のアンテナフィード部の一部(例えば、図3のアンテナフィード44)を形成してもよい。
【0076】
図6に示すように、給電プローブ85は、導電性トレース84から形成されてもよい。導電性トレース84は、誘電体共振要素92の所与の側壁102上にパターン化された第1の部分(例えば、スパッタリングプロセス又は他の導電性堆積技術を使用して形成された側壁102上の導電性パッチ)を含み得る。導電性トレース84は、導電性相互接続構造体86を使用して信号トレース82に結合された第2の部分を含み得る。導電性相互接続構造体86は、はんだ、溶接、導電性接着剤、導電性テープ、導電性発泡体、導電性バネ、導電性ブラケット、及び/又は任意の他の所望の導電性相互接続構造体を含んでもよい。給電プローブ85は、任意の所望の導電性構造体(例えば、導電性トレース、導電性箔、シート金属、及び/又は他の導電性構造体)から形成することができる。
【0077】
信号トレース82は、高周波信号を給電プローブ85との間で伝達することができる。給電プローブ85は、信号トレース82上の高周波信号を誘電体共振要素92に電磁的に結合することができる。これは、誘電体共振要素92の1つ以上の電磁モード(例えば、高周波空洞モード又は導波路モード)を励起するよう機能し得る。給電プローブ85によって励起されると、誘電体共振要素92の電磁モードは、誘電体共振要素92の長さに沿って(例えば、図6のZ軸の方向に)、上面98を介して、そしてディスプレイ14を介して、高周波信号104の波面を伝搬する導波路として機能するように誘電体共振要素を構成することができる。
【0078】
例えば、信号伝送中、高周波伝送線74は、ミリ波/センチ波送受信機回路からアンテナ40へ高周波信号を伝達することができる。給電プローブ85は、信号トレース82上の高周波信号を誘電体共振要素92に結合することができる。これは、誘電体共振要素92の1つ以上の電磁モードを励起して、誘電体共振要素92の長さまで、及びディスプレイカバー層56を介してデバイス10の外部へと高周波信号104の伝搬をもたらすことができる。同様に、信号受信中、高周波信号104は、ディスプレイカバー層56を介して受信することができる。受信した高周波信号は、誘電体共振要素92の電磁モードを励起することができ、その結果、誘電体共振要素92の長さの方へ高周波信号が伝搬する。給電プローブ85は、受信した高周波信号を高周波伝送線74に結合することができ、高周波伝送線74は、高周波信号をミリ波/センチ波送受信機回路に伝達する。誘電体共振要素92と誘電体基板90との間の誘電率の比較的大きな差は、(例えば、高周波信号に対する誘電体共振要素92と誘電体基板90との間の強い境界を確立することによって)誘電体共振要素92が高周波信号104を比較的高いアンテナ効率で放射することを可能し得る。誘電体共振要素92の比較的高い誘電率はまた、誘電体共振要素92が、より低い誘電率を有する材料が使用されるシナリオと比較して、比較的小さい体積を占有することを可能にし得る。
【0079】
給電プローブ85の寸法(例えば、図6のX軸及びZ軸の方向)は、高周波伝送線74のインピーダンスを誘電体共振要素92のインピーダンスと整合させるのを助けるように選択することができる。給電プローブ85は、誘電体共振要素92の特定の側壁102上に配置して、アンテナ40に所望の線形偏波(例えば、垂直偏波又は水平偏波)を提供することができる。所望であれば、複数の給電プローブ85を誘電体共振要素92の複数の側壁102上に形成して、複数の直交する線形偏波を一度にカバーするようにアンテナ40を構成することができる。各給電プローブの位相は、時間とともに独立して調整されて、所望であれば、楕円又は円偏波などの他の偏波をアンテナに提供することができる。給電プローブ85は、本明細書では、給電導体85、給電パッチ85、又はプローブ給電85と呼ばれることがある。誘電体共振要素92は、本明細書では、誘電体放射要素、誘電体放射体、誘電体共振器、誘電体アンテナ共振要素、誘電体カラム、誘電体ピラー、放射要素、又は共振要素と呼ばれることがある。給電プローブ85などの1つ以上の給電プローブによって給電されるとき、図6のアンテナ40などの誘電体共振器アンテナは、本明細書ではプローブ給電誘電体共振器アンテナと呼ばれることがある。
【0080】
ディスプレイカバー層56は、誘電率dk3より小さい誘電率dk1を有する誘電材料から形成することができる。例えば、誘電率は、約3.0~10.0(例えば、4.0~9.0、5.0~8.0、5.5~7.0、5.0~7.0など)であり得る。1つの好適な構成では、ディスプレイカバー層56は、ガラス、プラスチック、又はサファイアから形成されてもよい。注意が払われない場合、ディスプレイカバー層56と誘電体共振要素92との間の誘電率の比較的大きな差は、ディスプレイカバー層と誘電体共振要素との間の境界における望ましくない信号反射を引き起こし得る。これらの反射は、伝送信号と反射信号との間の破壊的干渉をもたらし、アンテナ40のアンテナ効率を不必要に制限する漂遊信号損失につながる場合がある。
【0081】
影響を緩和するために、アンテナ40には、誘電体整合層94などのインピーダンス整合層が設けられてもよい。誘電体整合層94は、誘電体共振要素92とディスプレイカバー層56との間の、誘電体共振要素92の上面98に実装することができる。所望であれば、誘電体整合層94は、接着剤96の層を使用して誘電体共振要素92に接着することができる。接着剤をまた、又は代替的に使用して、所望であれば、誘電体整合層94をディスプレイカバー層56に接着してもよい。接着剤96は、高周波信号104の伝搬に著しく影響を与えないように比較的薄くてもよい。
【0082】
誘電体整合層94は、誘電率dk2を有する誘電材料から形成してもよい。誘電率dk2は、誘電率dk1より大きく、誘電率dk3より小さくてもよい。一例として、誘電率dk2はSQRT(dk1 k3)に等しくてもよく、ここでSQRT()は平方根演算子であり、「」は乗算演算子である。誘電体整合層94の存在により、誘電率dk1の材料と誘電率dk3の材料との間の鋭い境界に面することなく、高周波信号を伝搬させることができ、それによって信号反射を低減するのに役立つ。
【0083】
誘電体整合層94には、厚さ88を与えることができる。厚さ88は、誘電体整合層94内の高周波信号104の有効波長の約4分の1に等しく(例えば、15%以内)になるように選択することができる。有効波長は、高周波信号104の自由空間波長(例えば、10GHz~300GHzの周波数に対応するセンチメートル又はミリ波波長)を定数係数(例えば、dk3の平方根)で割ることによって与えられる。厚さ88が与えられると、誘電体整合層94は、ディスプレイカバー層56、誘電体整合層94と誘電体共振要素92との間の境界における高周波信号104の反射に関連するあらゆる破壊的干渉を緩和する、1/4波インピーダンス変換器を形成することができる。
【0084】
このように構成されると、アンテナ40は、デバイス10の後部に配置されたフレキシブルプリント回路の上のミリ波/センチ波送受信機回路に結合されているにもかかわらず、デバイス10の前面を介して高周波信号104を放射することができる。比較的狭い幅の誘電体共振要素92は、アンテナ40が、ディスプレイモジュール68と他の構成要素58と周囲導電性筐体構造体12Wとの間の容積に収まるのを可能にすることができる。図6のアンテナ40は、デバイス10の前面の上方の半球の少なくとも一部分にわたって高周波信号を伝達する前面フェーズドアンテナアレイ内に形成することができる。
【0085】
図7は、複数の偏波をカバーするための複数の給電プローブを使用して誘電体共振要素が供給されるシナリオにおける、図6のプローブ給電誘電体共振器アンテナの斜視図である。周囲導電性筐体構造体12W、誘電体基板90、誘電体整合層94、接着剤96、後部筐体壁12R、ディスプレイ14、及び図6の他の構成要素58は、明確にするために図7から省略されている。
【0086】
図7に示すように、アンテナ40の誘電体共振要素92は、フレキシブルプリント回路72の上面76に実装されている。アンテナ40は、誘電体共振要素92及びフレキシブルプリント回路72に実装された第1の給電プローブ85V及び第2の給電プローブ85Hなどの、複数の給電プローブ85を使用して給電することができる。給電プローブ85Vは、誘電体共振要素92の第1の側壁102上にパターン化された導電性トレース84Vを含む。給電プローブ85Hは、誘電体共振要素92の第2の(直角の)側壁102上にパターン化された導電性トレース84Hを含む。
【0087】
アンテナ40は、第1の高周波伝送線74V及び第2の高周波伝送線74Hなどの複数の高周波伝送線74を使用して給電することができる。第1の高周波伝送線74Vは、フレキシブルプリント回路72の上面76上に導電性トレース122V及び120Vを含むことができる。導電性トレース122V及び120Vは、高周波伝送線74V用の信号導体(例えば、図6の信号トレース82)の一部を形成することができる。同様に、第2の高周波伝送線74Hは、フレキシブルプリント回路72の上面76上に導電性トレース122H及び120Hを含むことができる。導電性トレース122H及び120Hは、高周波伝送線74H用の信号導体(例えば、図6の信号トレース82)の一部を形成することができる。
【0088】
導電性トレース122Vは、導電性トレース120Vより狭くできる。導電性トレース122Hは、導電性トレース120Hより狭くできる。導電性トレース120V及び120Hは、例えば、フレキシブルプリント回路72の上面76上の導電性コンタクトパッドであってもよい。給電プローブ85Vの導電性トレース84Vは、(例えば、図6の導電性相互接続構造体86を使用して)導電性トレース120Vに実装され、結合されてもよい。同様に、給電プローブ85Hの導電性トレース84Hは、導電性トレース120Hに実装され、結合されてもよい。
【0089】
高周波伝送線74V及び給電プローブ85Vは、第1の線形偏波(例えば、垂直偏波)を有する第1の高周波信号を伝達することができる。第1の高周波信号を使用して駆動されると、給電プローブ85Vは、第1の偏波に関連付けられた誘電体共振要素92の1つ以上の電磁モードを励起することができる。このように励起されると、第1の高周波信号に関連付けられた波面は、誘電体共振要素92の長さに沿って(例えば、中心/長手方向軸109に沿って)伝搬することができ、ディスプレイを介して(例えば、図6のディスプレイカバー層56を介して)放射することができる。
【0090】
同様に、高周波伝送線74H及び給電プローブ85Hは、第1の偏波(例えば、水平偏波)に直交する第2の線形偏波の高周波信号を伝達することができる。第2の高周波信号を使用して駆動されると、給電プローブ85Hは、第2の偏波に関連付けられた誘電体共振要素92の1つ以上の電磁モードを励起することができる。このように励起されると、第2の高周波信号に関連付けられた波面は、誘電体共振要素92の長さに沿って伝搬することができ、ディスプレイを介して(例えば、図6のディスプレイカバー層56を介して)放射することができる。給電プローブ85H及び85Vの両方は、アンテナ40が任意の所与の時間に第1及び第2の高周波信号の両方を伝達するように、一度にアクティブであってもよい。別の好適な構成では、給電プローブ85H及び85Vのうちの単一の1つは、アンテナ40が任意の所与の時間に単一偏波のみの高周波信号を伝達するように、一度にアクティブであってもよい。
【0091】
誘電体共振要素92は、長さ110、幅112及び高さ114を有し得る。長さ110、幅112及び高さ114は、給電プローブ85H及び/又は85Vによって励起されたときに所望の周波数で放射するアンテナ40を構成する電磁空洞/導波路モードの対応する組み合わせを有する誘電体共振要素92を提供するように選択することができる。例えば、高さ114は、2~10mm、4~6mm、3~7mm、4.5~5.5mm、又は2mm超であってもよい。幅112及び長さ110はそれぞれ、0.5~1.0mm、0.4~1.2mm、0.7~0.9mm、0.5~2.0mm、1.5mm~2.5mm、1.7mm~1.9mm、1.0mm~3.0mmなどであってもよい。幅112は、長さ110に等しくてもよく、又は他の構成では、長さ110と異なっていてもよい。誘電体共振要素92の側壁102は、周囲の誘電体基板(例えば、図6の誘電体基板90)に接触してもよい。誘電体基板は、給電プローブ85H及び85Vの上に成形されてもよく、又は、開口部、ノッチ、若しくは給電プローブ85H及び85Vの存在に対応する他の構造体を含んでもよい。図7の実施例は単なる例示に過ぎず、所望であれば、誘電体共振要素92は、他の形状(例えば、任意の所望の数の直線及び/又は湾曲した側壁102を有する形状)を有してもよい。
【0092】
導電性トレース84V及び84Hはそれぞれ、幅118及び高さ116を有し得る。幅118及び高さ116は、高周波伝送線74V及び74Hのインピーダンスを誘電体共振要素92のインピーダンスと整合させるように選択することができる。一例として、幅118は、0.3mm~0.7mm、0.2mm~0.8mm、0.4mm~0.6mm、又は他の値であってもよい。高さ116は、0.3mm~0.7mm、0.2mm~0.8mm、0.4mm~0.6mm、又は他の値であってもよい。高さ116は、幅118と等しくてもよく、又は幅118と異なっていてもよい。
【0093】
所望であれば、伝送線74V及び74Hは、トレース122V及び122Hに結合された整合スタブ124などの1つ以上の伝送線整合スタブを含み得る。整合スタブ124は、高周波伝送線74H及び74Vのインピーダンスが誘電体共振要素92のインピーダンスと整合されることを確実にするのに役立ち得る。整合スタブ124は、任意の所望の形状を有してもよく、又は省略されてもよい。導電性トレース84V及び84Hは、他の形状(例えば、任意の所望の数の直線及び/又は曲線状の縁部を有する形状)を有してもよい。
【0094】
所望であれば、スロットは、フレキシブルプリント回路72上の接地トレース80内に形成されて、高周波伝送線(単数又は複数)のインピーダンスを誘電体共振要素92と整合させるのを助けることができる。図8は、接地トレース80が、高周波伝送線(単数又は複数)のインピーダンスを誘電体共振要素92と整合させるのを助ける開口部を含むことができる様子を示すアンテナ40の側断面図である。図8の実施例では、単一の給電プローブのみが示されており、明確にするために、図6の、周囲導電性筐体構造体12W、誘電体基板90、誘電体整合層94、接着剤96、後部筐体壁12R、ディスプレイ14、及び他の構成要素58は省略されている。
【0095】
図8に示すように、接地トレース80は、フレキシブルプリント回路72の底面78にスロット126などのスロット又は開口部を含み得る。アンテナ40の誘電体共振要素92は、フレキシブルプリント回路72に実装することができ、下にあるスロット126と位置合わせすることができる。スロット126は、幅128を有することができる。幅128は、例えば、誘電体共振要素92の幅112以上であってもよい(例えば、誘電体共振要素92の横方向エリアの全体が、スロット126と重なり合ってもよい)。スロット126は、伝送線74のインピーダンスを誘電体共振要素92のインピーダンスと整合させるのに役立ち得る。所望であれば、スロット126の存在により、給電プローブ85が誘電体共振要素92の追加の電磁モードを励起して、アンテナ40によってカバーされる周波数及び/又は帯域幅を拡大することを可能にする。幅128は、高周波伝送線74と誘電体共振要素92との間のインピーダンス整合を最適化するように、及び/又はアンテナ40の周波数応答(例えば、ピーク応答周波数及び帯域幅)を同調するように、調整することができる。加えて、スロット126は、誘電体共振要素92内の2つの線形偏波(例えば、水平偏波と垂直偏波)の間の結合を最小化するように機能し得る。例えば、スロット126は、伝送線74V及び74H(図7)と関連付けられた送受信機ポート間の接地電流の流れを妨げるのに役立ち得る。
【0096】
図9は、誘電体共振要素92が接地トレース80内の下にあるスロット126とどのように(例えば、図8の矢印130の方向で取られるように)重なり合うことができるかを示す、アンテナ40の上視図である。図9の実施例では、明確にするために、図8のフレキシブルプリント回路72内の誘電材料は省略されている。
【0097】
図9に示すように、誘電体共振要素92は、下にある接地トレース80内のスロット126と位置合わせされてもよい。スロット126は、矩形形状(例えば、誘電体共振要素92の横形状と同じ形状)を有してもよく、又は他の形状を有してもよい。信号トレース82は、誘電体共振要素92の所与の側壁上に位置する対応する給電プローブ85内の導電性トレース84に結合することができる。この実施例は単なる例示に過ぎず、所望であれば、追加の偏波をカバーするために追加の給電プローブ及び高周波伝送線が提供されてもよい。
【0098】
所望であれば、デバイス10内の所与のフェーズドアンテナアレイは、異なる偏波をカバーする異なるアンテナを含むことができる(例えば、偏波ダイバーシティを有するフェーズドアンテナアレイを提供する)。例えば、所与のフェーズドアンテナアレイは、水平偏波をカバーするアンテナの第1のセットと、垂直偏波をカバーするアンテナの第2のセットとを含むことができる。デバイス内のスペース消費を最適化するために、アンテナの第1のセットは、フェーズドアンテナアレイ内のアンテナの第2のセットの間でインターリーブすることができる。
【0099】
図10は、水平偏波及び垂直偏波の両方をカバーするためのインターリーブされたアンテナを有する、所与のフェーズドアンテナアレイ54-2の上視図である。図10に示すように、フェーズドアンテナアレイ54-2は、第1の線形偏波(例えば、垂直偏波)で高周波信号を伝達するアンテナ40Vの第1のセットと、直交する第2の線形偏波(例えば、水平偏波)で高周波信号を伝達するアンテナ40Hの第2のセットとを含むことができる。
【0100】
アンテナ40H及び40Vはそれぞれ、対応する給電プローブ85によって励起される誘電体共振要素92を含み得る。フェーズドアンテナアレイ54-2内の各誘電体共振要素92は、同じ誘電体基板(例えば、図6の誘電体基板90)内に実装することができ、又は2つ以上の誘電体基板内に実装することができる。アンテナ40H用の給電プローブ85は、アンテナ40V用の給電プローブ85に対して鉛直に配向されてもよい。この実施例は単なる例示に過ぎない。別の好適な構成では、各アンテナ40H及び各アンテナ40Vは、2つの給電プローブ(例えば、図7の給電プローブ85H及び85V)を含むことができる。このシナリオでは、アンテナ40Hは、図7の給電プローブ85Hを介して高周波信号を伝達することができるのに対し、アンテナ40Vは、給電プローブ85Vを介して高周波信号を伝達することができる。アンテナ40H及び40Vは、(例えば、図8及び図9に示すように)接地トレース80内の下にあるスロット126を含んでもよく、又は、(例えば、図6及び図7に示すように)誘電体共振要素92の下に連続的な接地トレース80を含んでもよい。
【0101】
図10に示すように、フェーズドアンテナアレイ54-2は、アンテナの2つ以上のユニットセル132(本明細書ではアンテナユニットセル132と呼ばれることもある)の繰り返しパターンを含むことができる。各ユニットセル132は、対応するアンテナ40V及び対応するアンテナ40Hを含むことができる。図10の実施例では、フェーズドアンテナアレイ54-2は、4つのユニットセル132を有する。これは単なる例示に過ぎず、所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、4つを超えるユニットセル132又は4つ未満のユニットセル132を有することができる。
【0102】
満足のいくビーム形成を可能にするために、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナ40Hは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各隣接するアンテナ40Hからアンテナ40Hの動作の有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。同様に、各アンテナ40Vは、各隣接するアンテナ40Vからアンテナ40Vの動作の有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。図10に示すように、各アンテナ40Vは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ又は2つの隣接するアンテナ40Vから距離134だけ分離される。同様に、各アンテナ40Hは、1つ又は2つの隣接するアンテナ40Hから距離134だけ分離される(例えば、ユニットセル132は距離134に等しい幅を有してもよい)。距離134は、4mm~6mm、3mm~7mm、3.5mm~4.5mm、約4mmなどであってもよい。各アンテナ40Vは、隣接するアンテナ40Hの間の空間内に配置することができ、各アンテナ40Hは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の隣接するアンテナ40V間の空間内に配置することができる。一般に、アンテナ40H及び40Lなどの誘電体共振器アンテナは、スロットアンテナ又はパッチアンテナなどの他の種類のアンテナよりも占有する横方向エリアが小さいものであり得る。アンテナ40H及び40Lを誘電体共振器アンテナとして形成することにより、隣接するアンテナ40Hの間と隣接するアンテナ40Lの間に十分なスペースが存在して、フェーズドアンテナアレイ54-2内のアンテナ40Hの間でアンテナ40Vをインターリーブすることができる。このように配置されると、フェーズドアンテナアレイ54-2には、可能な限り小さい面積で偏波ダイバーシティを提供することができ、その一方で、各偏波に対して十分なビーム形成を可能にし得る。
【0103】
図10の実施例では、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナは、同じ周波数帯域(単数又は複数)をカバーする。所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、異なる周波数帯域及び/又は異なる偏波をカバーする異なるアンテナを含むことができる。図11は、水平偏波及び垂直偏波の両方を使用して異なる周波数帯域をカバーするための異なるアンテナを有する、所与のフェーズドアンテナアレイ54-2の上視図である。
【0104】
図11に示すように、フェーズドアンテナアレイ54-2は、アンテナ40VHの第1のセット、アンテナ40HHの第2のセット、アンテナ40VLの第3のセット、及びアンテナ40HLの第4のセットを含むことができる。アンテナ40VH及びアンテナ40HHはそれぞれ、同じ比較的高い周波数帯域で高周波信号を伝達することができる。アンテナ40VL及びアンテナ40HLはそれぞれ、同じ比較的低い周波数帯域で高周波信号を伝達することができる。アンテナ40VL及び40HLにおける誘電体共振要素92の寸法(及び任意選択的に、図8及び図9に示されるような下にあるスロット126の寸法)は、より低い周波数をサポートするために、アンテナ40VH及び40HHにおける誘電体共振要素92の寸法よりも大きくてもよい。比較的低い周波数帯域は、例えば、24GHz~31GHz(例えば、28GHz帯域)の周波数、26GHz~30GHzの周波数、又は比較的高い周波数帯域よりも低い任意の他の所望の周波数を含んでもよい。比較的高い周波数帯域は、例えば、37GHz~41GHz(例えば、39GHz帯域)の周波数、38GHz~40GHzの周波数、又は比較的低い周波数帯域よりも高い任意の他の所望の周波数を含んでもよい。
【0105】
アンテナ40VH及び40VLは両方とも、第1の線形偏波(例えば、垂直偏波)を用いて高周波信号を伝達することができる。アンテナ40HH及び40HLは両方とも、直交する第2の偏波(例えば、水平偏波)を用いて高周波信号を伝達することができる。図11のフェーズドアンテナアレイ54-2は、アンテナの1つ以上のユニットセル136及び1つ以上のユニットセル138(本明細書ではアンテナユニットセル136及び138と呼ばれることもある)の繰り返しパターンを含むことができる。各ユニットセル136は、対応するアンテナ40VH、アンテナ40HH、及びアンテナ40VLを含むことができる。各ユニットセル138は、対応するアンテナ40VH、アンテナ40HH、及びアンテナ40HLを含むことができる。図11の実施例では、フェーズドアンテナアレイ54-2は、2つのユニットセル136及び2つのユニットセル138を有する。これは単なる例示に過ぎず、所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、任意の所望の数の2つ以上のユニットセル136及び2つ以上のユニットセル138を有することができる。
【0106】
満足のいくビーム形成を可能にするために、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナ40VHは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40VHから比較的高い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。同様に、各アンテナ40HHは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40HHから比較的高い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。同時に、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナ40VLは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40VLから比較的低い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。同様に、各アンテナ40HLは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40HLから比較的低い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。
【0107】
図11に示すように、各アンテナ40VHは、1つ又は2つの隣接するアンテナ40VHから距離140だけ分離され、各アンテナ40HHは、1つ又は2つの隣接するアンテナ40HHから距離140だけ分離され、各アンテナ40VLは、1つ又は2つの隣接するアンテナ40VLから距離140だけ分離され、各アンテナ40HLは、1つ又は2つの隣接するアンテナ40HLから距離140だけ分離されている(例えば、ユニットセル136及び138はそれぞれ、距離140に等しい幅を有し得る)。距離140は、例えば、アンテナ40VH及び40HHの動作の波長(例えば、フェーズドアンテナアレイ54-2の比較的高い周波数帯域における周波数に対応する有効波長)の半分にほぼ等しくてもよい。いくつかの実施例として、距離140は、4mm~6mm、4.5mm~5.5mm、3mm~7mm、3mm~5mm、約4mmなどであってもよい。アンテナ40VH、40HH、40VL、及び40HLを(パッチ又はスロットアンテナとしてではなく)誘電体共振器アンテナとして形成することにより、隣接するアンテナ40VHの各ペア間にアンテナ40HH及びアンテナ40VL又は40HLのうちの1つの両方を形成するのに十分なスペースが存在し得る。このようにアンテナをインターリーブすることによって、フェーズドアンテナアレイ54-2には、デバイス10内の可能な限り小さいエリアを占有しながら、比較的低い周波数帯域及び比較的高い周波数帯域の両方の偏波ダイバーシティを提供することができる。
【0108】
別の好適な構成では、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナは、両方の線形偏波を同時にカバーすることができる。図12は、水平偏波及び垂直偏波の両方を使用して異なる周波数帯域をカバーするための異なるアンテナを有する、所与のフェーズドアンテナアレイ54-2の上視図である。
【0109】
図12に示すように、フェーズドアンテナアレイ54-2は、アンテナ40HBの第1のセット及びアンテナ40LBの第2のセットを含むことができる。各アンテナ40HBは、第1の給電プローブ85V及び第1の給電プローブに直交する第2の給電プローブ85Hを含むことができる。同様に、各アンテナ40LBは、第1の給電プローブ85V及び第1の給電プローブに直交する第2の給電プローブ85Hを含むことができる。アンテナ40HBはそれぞれ、水平偏波及び垂直偏波の両方を用いて、比較的高い周波数帯域(例えば、39GHzの周波数帯域)で高周波信号を伝達することができる。アンテナ40LBはそれぞれ、水平偏波及び垂直偏波の両方を用いて、比較的低い周波数帯域(例えば、28GHzの周波数帯域)で高周波信号を伝達することができる。アンテナ40LBにおける誘電体共振要素92の寸法(及び任意選択的に、図8及び図9に示されるような下にあるスロット126の寸法)は、より低い周波数をサポートするために、アンテナ40HBにおける誘電体共振要素92の寸法よりも大きくてもよい。所望であれば、制御回路(例えば、図2の制御回路28)は、アンテナが単一の偏波のみを伝達するように、任意の所与の時間に、アンテナ40HB及び/又はアンテナ40LB内の給電プローブ85V及び85Hのうちの1つのみを選択的にアクティブ化することができる。
【0110】
図12のフェーズドアンテナアレイ54-2は、2つ以上のユニットセル142(本明細書ではアンテナユニットセル142と呼ばれることもある)の繰り返しパターンを含むことができる。各ユニットセル142は、対応するアンテナ40HB及び対応するアンテナ40LBを含むことができる。図12の実施例では、フェーズドアンテナアレイ54-2は、4つのユニットセル142を有する。これは単なる例示に過ぎず、所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、任意の所望の数の2つ以上のユニットセル142を有することができる。
【0111】
満足のいくビーム形成を可能にするために、フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナ40LBは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40LBから比較的低い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。同様に、各アンテナ40HBは、フェーズドアンテナアレイ54-2内の1つ以上の隣接するアンテナ40HBから比較的高い周波数帯域内の周波数に対応する有効波長のおよそ半分の位置に配置することができる。図12に示すように、各アンテナ40HBは、隣接する1つ又は2つの隣接するアンテナ40HBから距離144だけ分離され、各アンテナ40LBは、隣接する1つ又は2つの隣接するアンテナ40LBから距離144だけ分離される(例えば、ユニットセル142はそれぞれ距離144に等しい幅を有してもよい)。距離144は、例えば、アンテナ40HBの動作の波長(例えば、フェーズドアンテナアレイ54-2の比較的高い周波数帯域における周波数に対応する有効波長)の半分にほぼ等しくてもよい。いくつかの実施例として、距離144は、4mm~6mm、4.5mm~5.5mm、3mm~7mm、3mm~5mm、約4mmなどであってもよい。アンテナ40HB及び40LBを(パッチ又はスロットアンテナとしてではなく)誘電体共振器アンテナとして形成することにより、フェーズドアンテナアレイ54-2内のアンテナ40HBの各ペアの間にアンテナ40LBを形成するのに十分なスペースが存在し得る。このようにアンテナをインターリーブすることによって、フェーズドアンテナアレイ54-2は、デバイス10内の可能な限り小さいエリアを占有しながら、比較的低い周波数帯域及び比較的高い周波数帯域の両方において直交偏波をカバーすることができる。
【0112】
図10から図12の実施例は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、2次元パターンで配置されたアンテナを含むことができる。このように配置されると、同じ偏波及び周波数帯域のアンテナ間に、垂直方向で、図10から図12に示す水平方向と同様の間隔を設けることができる。例えば、フェーズドアンテナアレイ内のアンテナの隣接する列は、互いに対して互い違いにすることができる(例えば、垂直に隣接するアンテナが同じ周波数帯域及び偏波をカバーしないことを確実にするために)。
【0113】
1つ以上のフェーズドアンテナアレイ54-2は、ディスプレイを介して放射するために、ディスプレイ14の周辺部に沿ってデバイス10内の任意の所望の場所に(例えば、図1のディスプレイ14の非アクティブエリアIA内に)実装することができる。図13は、所与のフェーズドアンテナアレイ54-2が周囲導電性筐体構造体12W内のノッチと、どのように位置合わせされ得るかを示す、デバイス10の上視図である。
【0114】
図13に示すように、周囲導電性筐体構造体12Wは、デバイス10のディスプレイモジュール68の周囲に延びることができる。図5及び図6のディスプレイカバー層56は、明確にするために図13から省略されている。周囲導電性筐体構造体12Wは、内側に突出するリップ148(本明細書では、棚部又はデータムと呼ばれることもある)及び隆起部146を含んでもよい。隆起部146は、ディスプレイカバー層の周縁部の周囲に延びてもよい。周囲導電性筐体構造体12Wのリップ148は、ノッチ150などの開口部を含んでもよい。フェーズドアンテナアレイ54-2(例えば、単一の偏波及び周波数帯域をカバーするフェーズドアンテナアレイ、図10に示すような同じ周波数帯域(単数又は複数)内の複数の偏波をカバーするフェーズドアンテナアレイ、又は図11及び図12に示すような複数の偏波及び複数の周波数帯域をカバーするフェーズドアンテナアレイ)は、リップ148の下に実装され、ノッチ150と位置合わせされてもよい。
【0115】
フェーズドアンテナアレイ54-2内のアンテナ40はそれぞれ、1つ以上の誘電体基板90によって取り囲まれた誘電体共振要素92を含むことができる。フェーズドアンテナアレイ54-2内の各アンテナ40は、同じフレキシブルプリント回路72内の対応する高周波伝送線を使用して給電することができる。この実施例は単なる例示に過ぎず、所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2内の2つ以上のアンテナ40は、別個のフレキシブルプリント回路内の高周波伝送線を使用して給電することができる。フェーズドアンテナアレイ54-2内のアンテナ40は、ノッチ150及びディスプレイカバー層(図示せず)を介して高周波信号を伝達することができる。フェーズドアンテナアレイ54-2は、デバイス10の前面の上の半球内でビームステアリングを実行することができる。図13の実施例は、単なる例示に過ぎない。所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2内のアンテナ40は、複数の行及び列のアンテナを有する2次元パターンで配置されてもよく、又は他のパターンで配置されてもよい。
【0116】
所望であれば、フェーズドアンテナアレイ54-2は、デバイス10内の他の場所に配置されてもよい。1つの好適な構成では、フェーズドアンテナアレイ54-2は、ディスプレイ14(図1)のアクティブエリアAA内のノッチ8内に配置することができる。図14は、フェーズドアンテナアレイ54-2がディスプレイ14のアクティブエリアAA内のノッチ8と、どのように位置合わせされ得るかを示す上視図である。
【0117】
図14に示すように、ディスプレイ14内のディスプレイモジュール68は、ノッチ8を含んでもよい。図5及び図6のディスプレイカバー層56は、明確にするために図14から省略されている。ディスプレイモジュール68は、ディスプレイ14のアクティブエリアAAを形成することができ、ノッチ8は、ディスプレイ14の非アクティブエリアIAの一部を形成する(図1)。ノッチ8の縁部は、周囲導電性筐体構造体12W及びディスプレイモジュール68によって画定されてもよい。例えば、ノッチ8は、ディスプレイモジュール68によって画定される2つ以上の縁部(例えば、3つの縁部)、及び周囲導電性筐体構造体12Wによって画定される1つ以上の縁部を有してもよい。
【0118】
デバイス10は、ノッチ8内にスピーカポート16(例えば、耳スピーカ)を含んでもよい。所望であれば、デバイス10は、ノッチ10内に他の構成要素152を含んでもよい。他の構成要素152は、1つ以上のカメラ、赤外線画像センサ、赤外線発光器(例えば、赤外線ドットプロジェクタ及び/又はフラッドイルミネータ)、周辺光センサ、指紋センサ、静電容量式近接センサ、熱センサ、湿度センサ、又は任意の他の所望の入出力構成要素(例えば、図2の入出力デバイス26)などの1つ以上の画像センサを含んでもよい。1つ以上のフェーズドアンテナアレイ54-2は、他の構成要素152又はスピーカポート16によって占有されていないノッチ8の部分(単数又は複数)と位置合わせされてもよい。ノッチ8と位置合わせされたフェーズドアンテナアレイ54-2は、1次元フェーズドアンテナアレイ54-2'などの1次元フェーズドアンテナアレイ、及び/又は2次元フェーズドアンテナアレイ54-2''などの2次元フェーズドアンテナアレイを含むことができる。誘電体共振要素92は、同じ周波数をカバーするパッチアンテナ又はスロットアンテナよりも占有する横方向エリアが小さいので、フェーズドアンテナアレイ54-2'及び54-2''はノッチ8内に収まることができ、スピーカポート16及び他の構成要素152の存在にもかかわらず、満足のいくアンテナ効率を依然として呈することができる。
【0119】
所望であれば、複数のフェーズドアンテナアレイ54-2は、周囲導電性筐体構造体12W内の複数のノッチ(例えば、図13の複数のノッチ150)と位置合わせされてもよく、及び/又はディスプレイモジュール68内のノッチ8と位置合わせされてもよい。フェーズドアンテナアレイ54-2は、デバイス10の前面の上の半球の一部又は全ての中で10GHz~300GHzの1つ以上の周波数帯域でビームステアリングを提供することができる。デバイス10の後部におけるフェーズドアンテナアレイ54-1(図5)の動作と組み合わせると、デバイス10内のフェーズドアンテナアレイは、デバイス10の周りのほぼ全球内のカバレッジを集合的に提供することができる。
【0120】
一実施形態によれば、筐体と、筐体に実装されたディスプレイカバー層を有するディスプレイと、筐体内にあって、ディスプレイカバー層を介して10GHzを超える周波数で高周波信号を伝達するように構成されている、プローブ給電誘電体共振器アンテナと、を含む電子デバイスが提供される。
【0121】
別の実施形態によれば、プローブ給電誘電体共振器アンテナは、誘電体共振要素と、誘電体共振要素上の給電プローブであって、誘電体共振要素を励起して高周波信号を放射するように構成されている、給電プローブと、を含む。
【0122】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、プリント回路であって、誘電体共振要素が実装されているプリント回路と、プリント回路上にあって給電プローブに結合されている高周波伝送線と、を含む。
【0123】
別の実施形態によれば、高周波伝送線は信号トレースを含み、給電プローブは、誘電体共振要素上にパターン化されて信号トレースに結合されている導電性トレースを含む。
【0124】
別の実施形態によれば、導電性トレースは、高周波伝送線のインピーダンスを誘電体共振要素のインピーダンスと整合させるように構成されている。
【0125】
別の実施形態によれば、信号トレースは、高周波伝送線のインピーダンスを誘電体共振要素のインピーダンスと整合させるように構成されている整合スタブを含む。
【0126】
別の実施形態によれば、給電プローブは、誘電体共振要素の第1の側壁に実装されており、プローブ給電誘電体共振器アンテナは、誘電体共振要素の第2の側壁に実装された追加の給電プローブを含み、第2の側壁は、第1の側壁に直交し、追加の給電プローブは、誘電体共振要素を励起して高周波信号を放射するように構成されている。
【0127】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、プリント回路上に接地トレースを含み、接地トレースは、誘電体共振要素と重なり合うスロットを画定する。
【0128】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、誘電体共振要素とディスプレイカバー層との間に介在する誘電体整合層を含み、誘電体共振要素は、第1の誘電率を有し、ディスプレイカバー層は、第1の誘電率よりも大きい第2の誘電率を有し、誘電体整合層は、第2の誘電率よりも大きく、かつ第1の誘電率よりも小さい第3の誘電率を有する。
【0129】
別の実施形態によれば、誘電体共振要素は、ジルコニアを含む。
【0130】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、ディスプレイカバー層が周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、周囲導電性筐体構造体内のノッチであって、プローブ給電誘電体共振要素はノッチと位置合わせされてノッチを介して高周波信号を伝達するように構成されている、ノッチと、を含む。
【0131】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、ディスプレイカバー層が周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、ディスプレイカバー層を介して光を放出するように構成されているディスプレイモジュールであって、ディスプレイモジュールがノッチを含み、ノッチが、ディスプレイモジュールと周囲導電性筐体構造体とによって画定される縁部を有する、ディスプレイモジュールと、ノッチと位置合わせされたオーディオスピーカと、ノッチと位置合わせされた画像センサであって、プローブ給電誘電体共振器アンテナが、ノッチと位置合わせされて、ノッチを介して高周波信号を伝達するように構成されている、画像センサと、を含む。
【0132】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、電子デバイスの周囲に延在する周囲導電性筐体構造体であって、ディスプレイカバー層が周囲導電性筐体構造体に実装されている、周囲導電性筐体構造体と、ディスプレイカバー層に対向する後部筐体壁と、後部筐体壁を介して10GHzを超える追加の周波数で追加の高周波信号を伝達するように構成されているフェーズドアンテナアレイと、を含む。
【0133】
一実施形態によれば、プリント回路と、プリント回路に実装された誘電体カラムと、誘電体カラムと重なり合う誘電体カバー層と、誘電体カラム上の導電性パッチと、導電性パッチに結合された高周波伝送線であって、導電性パッチは、誘電体カラムを励起して誘電体カバー層を介して10GHz~300GHzの周波数で高周波信号を放射するように構成されている、高周波伝送線と、を含む電子デバイスが提供される。
【0134】
別の実施形態によれば、導電パッチは、誘電体カラムを励起して、高周波信号を第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、電子デバイスは、誘電体カラム上の追加の導電性パッチと、追加の導電性パッチに結合されている追加の高周波伝送線であって、追加の導電性パッチは、誘電体カラムを励起して、周波数で第1の線形偏波に直交する第2の線形偏波を用いて追加の高周波信号を放射するように構成されている、追加の高周波伝送線と、を含む。
【0135】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、プリント回路上に接地トレースを含み、接地トレースは、誘電体カラムと位置合わせされたスロットを画定し、スロットは、高周波伝送線のインピーダンスを誘電体カラムのインピーダンスと整合させるように構成されている。
【0136】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、プリント回路に実装され、誘電体カラムを横方向に取り囲む誘電体基板を含み、誘電体カラムは、第1の誘電率を有し、誘電体基板は、第1の誘電率より少なくとも10.0小さい第2の誘電率を有する。
【0137】
一実施形態によれば、フェーズドアンテナアレイと、フェーズドアンテナアレイに重なり合う誘電体カバー層とを含む、電子デバイスが提供され、フェーズドアンテナアレイは、誘電体カバー層を介して第1の周波数で第1の高周波信号を伝達するように構成されているアンテナの第1のセットであって、第1のセット内の各アンテナが、第1の誘電体共振要素と、第1の誘電体共振要素上の第1及び第2の給電プローブとを有し、第1の給電プローブは、第1の誘電体共振要素を励起して第1の高周波信号を第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、第2の給電プローブは、第1の誘電体共振要素を励起して第1の線形偏波に直交する第2の線形偏波を用いて第1の高周波信号を放射するように構成されている、アンテナの第1のセットと、誘電体カバー層を介して第2の周波数で第2の高周波信号を伝達するように構成されているアンテナの第2のセットであって、第2のセット内のアンテナは、第1のセット内のアンテナの間にインターリーブされている、アンテナの第2のセットと、を含む。
【0138】
別の実施形態によれば、第2のセット内の各アンテナが、第2の誘電体共振要素と、第2の誘電体共振要素上の第3及び第4の給電プローブと、を有し、第3の給電プローブは、第2の誘電体共振要素を励起して第2の高周波信号を第1の線形偏波を用いて放射するように構成されており、第4の給電プローブは、第2の誘電体共振要素を励起して第2の高周波信号を第2の線形偏波を用いて放射するように構成されている。
【0139】
別の実施形態によれば、第1の周波数は24GHz~31GHzの周波数を含み、第2の周波数は37GHz~41GHzの周波数を含む。
【0140】
前述は単なる例示であり、当業者は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。前述の実施形態は、個別に又は任意の組み合わせで実装することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14