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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20221021BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
E04H1/12 301
A47K4/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018030157
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019143410
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】堀江 直也
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 和典
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-038777(JP,U)
【文献】特開平04-250270(JP,A)
【文献】実開平01-177588(JP,U)
【文献】実開昭62-075158(JP,U)
【文献】特開2012-157594(JP,A)
【文献】特開2017-218876(JP,A)
【文献】実開平02-150349(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を溜める浴槽と、
前記浴槽の上縁部に配設されており、前記浴槽と前記浴槽に隣接する浴槽前床とを仕切る仕切部と、を備える浴室ユニットにおいて、
前記仕切部は、前記上縁部の一端側に固定板、他端側に開閉可能な扉を有し、
上下方向に前記浴槽前床から天井にかけて延びており、前記固定板の前記浴槽前床側を覆うパネルを備えることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記固定板は、前記浴槽側から前記浴槽前床側への漏水を抑制しており、
前記パネルには、機能部品が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記固定板は透明性を有し、
前記パネルは、前記上縁部に沿って前記一端側から前記固定板の中途部まで設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記パネルは、芯材および木製の補強材の両面に表面材を貼り合わせて形成されており、
前記表面材は、樹脂製または木製であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニットは、湯を溜める浴槽と、浴槽に隣接して配設された浴槽前床を有する。浴室ユニットは、周囲を壁パネル、上方を天井パネルで覆われている。浴室ユニット内の空間には、浴槽のほか、洗面器やトイレが設けられることもあり、ユーザがより快適に浴室ユニットを利用するための工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、浴槽と浴槽前床とを隔てる仕切部を設けた浴室ユニットが開示されている。仕切部は、固定仕切りと、引き戸である扉を有する。浴室ユニットは、浴槽側にシャワー装置が設けられており、浴槽前床側に便器装置、洗面器およびカウンタ等が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-250270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の浴室ユニットは、仕切部に設けた固定板の材質などが不明であるが、固定板の材質として例えば浴槽側に対する耐水性を考慮してガラス材を用いた場合、浴槽前床側に配設される洗面器およびカウンタとの接続性が悪く、隙間が空くと浴槽前床側の見栄えが悪くなる。
【0006】
また、浴槽前床側における機能性を高めるために、浴槽前床を囲む壁部に棚やタオル掛けなどの機能部品を配置する場合、固定板の材質がガラス材であると、機能部品をねじ止め等によって固定することができなかった。固定板は、ガラス材を用いて浴槽側に対する耐水性を考慮した場合、浴槽前床側に配置される洗面器や、カウンタおよび機能部品等との接続および配置等の機能性が損なわれてしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴槽と浴槽前床との仕切部に設けられる固定板の浴槽前床側における機能性を高めることができる浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る浴室ユニットは、湯を溜める浴槽と、前記浴槽の上縁部に配設されており、前記浴槽と前記浴槽に隣接する浴槽前床とを仕切る仕切部と、を備える浴室ユニットにおいて、前記仕切部は、前記上縁部の一端側に固定板、他端側に開閉可能な扉を有し、前記固定板の前記浴槽前床側を覆うパネルを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴室ユニットは、浴槽と浴槽前床との仕切部に設けられる固定板の浴槽前床側における機能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る浴室ユニットの縦断面図である。
図3図2のA-A線による断面図である。
図4】パネルの外観を示す斜視図である。
図5図4に示すB-B線によるパネルの断面図である。
図6図6(a)および(b)は、図2に示すA-A線による固定板およびパネル部分を拡大した断面図である。
図7】変形例に係る浴室ユニットの外観を示す模式図である。
図8】別の変形例に係る浴室ユニットの図3に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図8を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態)
図1は本発明の実施形態に係る浴室ユニット100の外観を示す斜視図、図2は本発明の実施形態に係る浴室ユニット100の縦断面図、図3図2のA-A線による断面図である。尚、図1においては浴室ユニット100の手前側の壁パネルを省略した。浴室ユニット100は、浴槽1、シャワー装置2、給水装置3、仕切部4、浴槽前床50および壁部60等を有する。浴槽1は、平面視矩形状をなし、湯を溜めることができる深皿状である。浴槽1は、上縁部10に配設された壁部60および仕切部4によって周囲が覆われ、上方を天井61によって覆われている。仕切部4は、浴槽1の上縁部10の4辺のうち、浴槽1に隣接する浴槽前床50側の一辺に設けられている。
【0013】
仕切部4は、固定板41および開閉可能な引き戸である扉42を有しており、浴槽1と浴槽前床50とは、間仕切りとしての固定板41および扉42によって仕切られている。固定板41は仕切部4が配設された浴槽1の上縁部10における一端側に設けられており、扉42は他端側に設けられている。固定板41の浴槽前床50側には、固定板41を覆うパネル43が設けられている。浴室ユニット100への入り口62には、引き戸である開閉扉63が設けられ、入り口62を開閉することができる。尚、開閉扉63は引き戸に限られず、開き戸、引違い戸、折れ戸などであってもよい。
【0014】
浴槽前床50には洗面器70、便器装置71およびカウンタ72等が配置されている。浴槽前床50の部分における壁部60cには、鏡73、および衣類やタオルを収納する収納棚74などを配置する。また、パネル43には、タオル掛け75およびフック76などを配置する。洗面器70、便器装置71、カウンタ72、鏡73、収納棚74、タオル掛け75およびフック76等は、ユーザが浴槽前床50を使用する際に機能を発揮する機能部品である。浴槽前床50は、これらの機能部品を備えることで、ユーザにとって利用性が高い空間を提供する。
【0015】
仕切部4において、固定板41は、専ら浴槽1側の水仕舞いに用い、固定板41を覆うように設けたパネル43は、浴槽前床50側における機能性を高めるために用いられる。尚、浴槽前床50は、水の受け皿として機能させるものではなく、排水口を設ける必要はないが、床面の洗い流しのために排水口を設けてもよい。
【0016】
浴槽1は、底部11に排水栓12、および内側面等にオーバーフロー栓(図示略)を有し、排水栓12を閉状態にして浴槽1に湯を溜めることができ、排水栓12を開状態にして浴槽1から湯を抜く。浴槽1の長手方向の一端側における壁部60bには、シャワー装置2および給水装置3が配設されている。ユーザは、浴槽1内において、シャワー装置2からの湯水を浴び、給水装置3によって浴槽1に湯を溜めて入浴する。
【0017】
仕切部4の扉42は、上述のとおり引き戸であり、固定板41の浴槽1側をスライドし、固定板41が設けられた浴槽1の上縁部10の一端側に対して反対側となる他端側を開口させる。固定板41および扉42は、例えば、長方形状に組み立てられた框の内側にガラス製または樹脂製等の板体を嵌め込んで構成されており、透明性を有することで浴室ユニット100内の空間の見通しが良く、また空間が広いという印象をユーザに与える。
【0018】
固定板41および扉42は、仕切部4において、浴槽1の長手方向の両端部における壁部60aおよび60b、浴槽1の上縁部10、並びに天井61に配設された枠体の内側に嵌め込まれている。固定板41は枠体に固定されている。扉42は下枠や上枠に設けたレールに沿ってスライド可能としてある。仕切部4は、扉42を開状態とすることによって、壁部60aから浴槽1の長手方向の中央部付近までが開口する。また固定板41が透明や半透明である場合、パネル43の裏面を浴槽から見えにくくするために固定板41に隠蔽用のシートを張ったり、擦りガラスのような表面処理を施してもよい。
【0019】
固定板41の周縁部には、浴槽1側から浴槽前床50側へ漏水しないように、周縁部において枠体との間を水密に封じるシール材、および浴槽前床50側へ一旦流出した水が浴槽1側へ還流する水返し機構などが枠体も含めて設けられる。固定板41は、透明性のあるガラス製または樹脂製とすることで耐水性も良くなるが、嗜好に合わせて半透明であってもよい。また、固定板41は、内側に断熱材等による芯体を設け、該芯体の表面に耐水性のある樹脂や金属製などによる表面材は貼り合わせたサンドウィッチ構造のパネル部材であってもよい。この場合、固定板41は透明でない構成にもなり得る。
【0020】
図4はパネル43の外観を示す斜視図であり、図5図4に示すB-B線によるパネル43の断面図である。パネル43は、パネル面がL字状であり、固定板41を覆う縦部分43aと、浴槽前床50の床面から浴槽1の上縁部10の高さ付近までを覆う横部分43bからなる。パネル43の縦部分43aは、固定板41が設けられた浴槽1の上縁部10の一端側である壁部60b(または壁部60c)から、上縁部10に沿って固定板41の中途部まで設けられている。パネル43は、例えば図4に示す点線M部分で分割された2枚のパネルで構成されていてもよい。分割された下側のパネルは、浴槽1のいわゆるエプロンに相当し、浴槽1に着脱可能に取り付けられ、浴槽1の裏側を隠蔽する意匠カバーとすればよい。分割された下側のパネルを取り外すことによって、浴槽1の裏側に配置された機器の点検や修理等の保守作業を、浴槽1の側面からアクセスして行うことができる構成となっていてもよい。
【0021】
パネル43は、芯材43cおよび補強材43dの両面に表面材43eを貼り合わせるようにして構成されている。芯材43cは、例えば、EPS(Expanded Polystyrene)、XPS(Extruded Polystyrene)などの発泡スチロール等を用い、補強材43dは釘打ちやねじ止め等による機能部品の固定が可能な木材等を用いる。表面材43eは、樹脂または木材等の板またはシートであり、表面にユーザの嗜好に合わせた模様や色付けを施こすことができるものである。
【0022】
図6(a)および(b)は、図2に示すA-A線による固定板41およびパネル43部分を拡大した断面図である。固定板41およびパネル43は、図6(a)に示すように間に隙間があってもよいし、図6(b)に示すように密着していてもよい。固定板41およびパネル43の間に隙間が有る場合には、隙間部分に電気ケーブルなどを配置してもよい。
【0023】
洗面器70は、例えば、一側辺をパネル43の表面に突き合わせるように設け、該一側辺にシール材を配設する。また、パネル43に垂直なカウンタを設け、該カウンタに洗面器70を埋め込む構成としてもよい。パネル43は、浴槽前床50側の表面にタオル掛け75およびフック76が釘打ち等の固定手段を用いて取り付けられる。
【0024】
次に浴室ユニット100の作用について説明する。浴室ユニット100は、浴槽1側の水仕舞いが固定板41によって施されていれば、パネル43は、漏水防止や耐水性を考慮することなく、浴槽前床50側の機能部品を接続および固定するために用いることができる。
【0025】
上述のように、洗面器70は、パネル43の表面と隙間なく接するように設けることができる。またパネル43は、釘打ち等の固定手段を用いてタオル掛け75およびフック76等の機能部品を取り付けることができる。これにより、パネル43は、固定板41の部分の浴槽前床50側における機能性を高めることができる。
【0026】
パネル43は、発泡スチロール等の軽量で断熱性を有する芯材43cを部分的に補強材43dで補完することにより、補強材43dを設けた箇所で、タオル掛け75およびフック76等の機能部品を取り付けることができる。尚、パネル43に取り付けることができる機能部品は、タオル掛け75およびフック76に限られず、鏡73および収納棚74等をパネル43に取り付けても良い。
【0027】
またパネル43は、浴槽前床50側の表面にユーザの嗜好に合わせて模様や色を付けることができる。パネル43は、模様や色が付いたシートまたはクロスを貼り付けるようにしてもよい。浴室ユニット100は、表面にユーザの嗜好に合わせて模様や色を付けたパネル43を浴槽前床50側に設けることで、心地よい空間をユーザに提供することができる。
【0028】
また、固定板41および扉42を透明性のあるガラス材等で構成し、パネル43を浴槽1の上縁部10に沿って固定板41の中途部まで設けることによって、浴室ユニット100内の見通しが良くなり、空間が広いとの印象をユーザに与えることができる。
【0029】
また、固定板41およびパネル43の間は、密着していてもよいし、隙間があってもよい。固定板41およびパネル43の間に隙間が有る場合には、隙間部分に電気ケーブルなどを配置することができる。
【0030】
(変形例)
図7は、変形例に係る浴室ユニット100の外観を示す模式図である。この変形例に係る浴室ユニット100では、パネル43が横部分43b(図4参照)有さず、専ら縦部分43aによって構成されている。この場合でも、パネル43は、タオル掛け75およびフック76等の機能部品をパネル面に取り付けることができ、固定板41の部分の浴槽前床50側における機能性を高めることができる。
【0031】
またパネル43は、例えば図7に示す点線Nより上側の部分で構成されていてもよい。点線Nは浴槽1の上縁部10の高さの位置にある。パネル43は、高さ寸法が固定板41と同等となり、固定板41と上下方向に位置を合わせて、重なるように配置される。
【0032】
パネル43にはユーザの嗜好に合わせて模様や色を付けることができ、浴室ユニット100は、心地よい空間をユーザに提供することができる。また、固定板41および扉42を透明性のあるガラス材等で構成し、パネル43を浴槽1の上縁部10に沿って固定板41の中途部まで設けることによって、浴室ユニット100内の見通しが良くなり、空間が広いとの印象をユーザに与えることができる。
【0033】
図8は、別の変形例に係る浴室ユニット100の図3に相当する断面図である。この変形例に係る浴室ユニット100は、扉42を開き戸としたものである。開き戸である扉42は、浴槽1側へ開くものであっても、浴槽前床50側へ開くものであってもよい。
【0034】
この変形例においても、パネル43は、タオル掛け75およびフック76等の機能部品をパネル面に取り付けることができ、固定板41の部分の浴槽前床50側における機能性を高めることができ、ユーザの嗜好に合わせて模様や色を付けることができる。
【0035】
次に、実施形態および変形例に係る浴室ユニット100の特徴を説明する。
本発明の実施形態の浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽1と、浴槽1の上縁部10に配設されており、浴槽1と浴槽1に隣接する浴槽前床50とを仕切る仕切部4とを備える。仕切部4は、上縁部10の一端側に固定板41、他端側に開閉可能な扉42を有し、固定板41の浴槽前床50側を覆うパネル43を備える。これにより、浴室ユニット100は、パネル43によって固定板41の部分の浴槽前床50側における機能性を高めることができる。
【0036】
また固定板41は、浴槽1側から浴槽前床50側への漏水を抑制しており、パネル43には、タオル掛け75およびフック76等の機能部品が取り付けられる。これにより、浴室ユニット100は、固定板41によって浴槽1側から浴槽前床50側への漏水を抑制し、パネル43によって浴槽前床50側の機能性を高めることができる。
【0037】
また固定板41は透明性を有し、パネル43は浴槽1の上縁部10に沿って一端側から固定板41の中途部まで設けられている。これにより、浴室ユニット100は、浴室ユニット100内の見通しが良くなり、空間が広いとの印象をユーザに与えることができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0039】
1 浴槽、 10 上縁部、 4 仕切部、 41 固定板、 42 扉、
43 パネル、 50 浴槽前床、 75 タオル掛け(機能部品)、
76 フック(機能部品)、 100 浴室ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8