(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/10 20060101AFI20221021BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20221021BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
E03C1/10
E03C1/042 E
C02F1/28 R
(21)【出願番号】P 2018096014
(22)【出願日】2018-05-18
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 建吾
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】七搦 広菜
(72)【発明者】
【氏名】久野 篤史
(72)【発明者】
【氏名】勝田 美樹
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-052375(JP,A)
【文献】特開2003-184146(JP,A)
【文献】特開平03-154685(JP,A)
【文献】特開2008-231686(JP,A)
【文献】実開昭59-048716(JP,U)
【文献】特開2005-023583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドベースと、
カートリッジを出入口を通して出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、
前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備え、
前記カートリッジ収容室は、前記出入口よりも奥側に前記カートリッジの全体を収容し、
前記出入口は、前記ヘッドベース側にある前記吐水ヘッドの基端部に形成され、
前記吐水ヘッド及び前記継手部材は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外され
、
前記吐水ヘッドに対する前記継手部材のロックの有無を切り替え可能な第1ロック部材を備え
る吐水装置。
【請求項2】
ヘッドベースと、
カートリッジを出入口を通して出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、
前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備え、
前記カートリッジ収容室は、前記出入口よりも奥側に前記カートリッジの全体を収容し、
前記出入口は、前記ヘッドベース側にある前記吐水ヘッドの基端部に形成され、
前記吐水ヘッド及び前記継手部材は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外され
、
前記吐水ヘッドに脱着自在に取り付けられ、前記出入口から外側に向かう方向での前記カートリッジの動きを規制する押さえ部材を備え、
前記吐水ヘッド及び前記押さえ部材は、互いに取り外すときに第1方向に相対移動するように設けられ、
前記押さえ部材は、前記カートリッジを前記第1方向に拘束するカートリッジ拘束部を有す
る吐水装置。
【請求項3】
ヘッドベースと、
カートリッジを出入口を通して出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、
前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備え、
前記カートリッジ収容室は、前記出入口よりも奥側に前記カートリッジの全体を収容し、
前記出入口は、前記ヘッドベース側にある前記吐水ヘッドの基端部に形成され、
前記吐水ヘッド及び前記継手部材は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外され
、
前記吐水ヘッドは、ヘッドハウジングと、前記ヘッドハウジングに挿通される長尺状の内部アセンブリと、を有し、
前記ヘッドハウジングに形成される位置決め孔との接触によって、前記ヘッドハウジングに対して前記内部アセンブリを周方向に位置決めするための位置決め部を有す
る吐水装置。
【請求項4】
上流側の水路から送り込まれる水を送出口から下流側の水路に送り出すための通水路を備え、
前記送出口は、前記ヘッドベースに接続された前記継手部材から前記吐水ヘッドを分離したときに、上流側の水路から送り込まれる水を外部に送り出せる位置に設けられ、
前記送出口から水を送り出す方向は、下向きに設定されている請求項1から3のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記カートリッジ収容室は、前記出入口側から奥側に向かうにつれて内径が小さくなるように形成される内径変化面を有する請求項1から4のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項6】
前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために回転操作を受ける回転操作体と、
前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために押圧操作を受ける押圧操作体と、を備え、
前記押圧操作体は、前記回転操作体の内部空間を前記回転操作体の回転軸方向の片側から覆う位置に設けられる請求項1から5のいずれかに記載の吐水装置。
【請求項7】
ヘッドベースと、
カートリッジを出入口を通して出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、
前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備え、
前記カートリッジ収容室は、前記出入口よりも奥側に前記カートリッジの全体を収容し、
前記出入口は、前記ヘッドベース側にある前記吐水ヘッドの基端部に形成され、
前記吐水ヘッド及び前記継手部材は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外され
、
前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために操作される操作体を備え、
前記吐水ヘッドは、ヘッドハウジングと、前記ヘッドハウジングに挿通される長尺状の内部アセンブリと、を有し、
前記操作体は、前記内部アセンブリの先端部に取り付けられるとともに、前記内部アセンブリの長手方向での前記ヘッドハウジングに対する前記内部アセンブリの動きを規制す
る吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジが用いられる吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の吐水装置は、カートリッジ収容室が設けられた吐水ヘッドを備えている。このカートリッジ収容室には、カートリッジを出入口を通して出し入れ可能である。特許文献1の吐水ヘッドは、カートリッジ収容室が設けられるグリップ部から頭部を脱着可能である。頭部は、カートリッジ収容室の出入口を通してカートリッジを出し入れするときにグリップ部から取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吐水ヘッドのカートリッジ収容室は、衛生上の要請から、定期的に清掃に供されることがある。本発明者が検討したところ、カートリッジ収容室の清掃作業の容易化を図るうえで、特許文献1の開示技術に関して改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本発明のある態様は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、カートリッジ収容室の清掃作業の容易化を図れる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本発明の第1態様は吐水装置である。第1態様の吐水装置は、ヘッドベースと、カートリッジを出入口を通して出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備え、前記出入口は、前記ヘッドベース側にある前記吐水ヘッドの基端部に形成され、前記吐水ヘッド及び前記継手部材は、前記出入口を通して前記カートリッジを出し入れするときに互いに取り外される。
【0007】
第1態様によれば、吐水ヘッド及び継手部材を互いに取り外す作業を経るだけで、吐水ヘッドを自由に動かせるようになる。これに伴い、吐水ヘッドのカートリッジ収容室内を簡単に清掃できるようになり、その清掃作業の容易化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1実施形態の吐水装置の側面断面図である。
【
図3】第1実施形態の吐水装置の設置状態を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態の吐水ヘッドの内部に形成される水路に関する説明図である。
【
図5】第1実施形態の吐水ヘッドに関する分解図である。
【
図7】第1実施形態の吐水ヘッド及び継手部材のそれぞれの一部を示す側面断面図である。
【
図8】第1実施形態のガイド機構の構成要素を平面上に展開した模式図である。
【
図12】第1実施形態の吐水ヘッド及び継手部材がロック位置にある状態を示す。
【
図13】第1実施形態の吐水ヘッド及び継手部材を取り外している途中の状態を示す。
【
図14】第1実施形態の吐水ヘッド及び継手部材を取り外した状態を示す図である。
【
図15】第1実施形態の継手部材から吐水ヘッドを分離した状態を示す図である。
【
図16】第1実施形態の吐水ヘッド及び継手部材を取り付ける途中の状態を示す図である。
【
図17】第1実施形態の押さえ部材の一部を下方から見た斜視図である。
【
図18】第1実施形態の吐水ヘッドの先端部の内部構造を示す断面図である。
【
図19】第1実施形態の吐水ヘッドの組み立て手順を模式的に示す図である。
【
図20】
図19(a)の矢視Bから内部アセンブリを見た図である。
【
図21】第2実施形態の吐水装置の一部を示す模式図である。
【
図22】第2実施形態の吐水装置の他の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「接触」とは、特に明示がない限り、言及している二者が直接的に接触する場合の他に、他の部材を介して間接的に接触する場合も含む。
【0010】
(第1の実施の形態)
(第1の工夫点)
図1は、第1実施形態の吐水装置10の斜視図である。
図2は、吐水装置10の側面断面図である。吐水装置10は、ヘッドベース12と、吐水部14から水を吐き出し可能な吐水ヘッド16と、ヘッドベース12に吐水ヘッド16を接続する継手部材18と、吐水ヘッド16に設けられるカートリッジ収容室20に収容されるカートリッジ22と、を備える。本実施形態の吐水装置10は、ユーザにより操作される操作部材24と、操作部材24に対する操作を通じて吐水ヘッド16から吐き出される水の流量や温度を調整可能な弁ユニット26と、を備える水栓装置でもある。
【0011】
継手部材18は、吐水ヘッド16に脱着自在に取り付けられる。吐水ヘッド16及び継手部材18は、互いに取り外すときに互いに遠ざかる方向に相対移動するように設けられる。以下、吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り外すときに互いに遠ざかるように相対移動する方向をX方向(第1方向)という。X方向において、吐水ヘッド16の先端側を単に「先端側」といい、それとは反対側を単に「基端側」という。以下、X方向の方向軸を中心とする円の円周方向、半径方向を単に「周方向」、「径方向」という。
【0012】
図3は、吐水装置10の設置状態を示す平面図である。ヘッドベース12は、吐水ヘッド16を支持するためのものである。ヘッドベース12は、たとえば、流し台、洗面キャビネット等の基体28に設置される。本実施形態の基体28は、正面側(
図3の下側)に居るユーザの作業に用いられるカウンター30と、カウンター30に一体化されたシンク32とを有する。シンク32は、吐水ヘッド16から吐き出される水を受けるための槽部32aを有する。
【0013】
図4は、吐水ヘッド16の内部に形成される水路に関する説明図である。吐水装置10は、上流側となる弁ユニット26側から水が送られる複数の上流側水路34A、34Bと、上流側水路34A、34Bから送られる水を吐水部14に送るための複数の下流側水路36A、36Bとを有する。また、吐水装置10は、複数の上流側水路34A、34Bのいずれかと、複数の下流側水路36A、36Bのいずれかとに水が流れる通水経路を切り替え可能な弁機構38を備える。本実施形態の弁機構38は切替弁である。
【0014】
複数の上流側水路34A、34Bには、カートリッジ22を経由せずに下流側水路36A、36Bに原水を送るための原水水路34Aと、カートリッジ22を経由して下流側水路36A、36Bに改質水を送るための改質水水路34Bとが含まれる。複数の下流側水路36A、36Bには、吐水部14からストレート吐水で水を吐き出すためのストレート用水路36Aと、吐水部14からシャワー吐水で水を吐き出すためのシャワー用水路36Bとが含まれる。
【0015】
図5は、吐水ヘッド16に関する分解図である。吐水ヘッド16は、ヘッドハウジング40と、内部アセンブリ42と、吐水部材44と、を備える。本実施形態の吐水部14は吐水部材44に設けられる。
【0016】
ヘッドハウジング40は、第1筒状部40aと、第1筒状部40aの外周部から突出する第2筒状部40bとを有する。第1筒状部40aはX方向に長尺状である。本実施形態のX方向は第1筒状部40aの筒軸方向でもある。第1筒状部40aは、基端部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。第2筒状部40bは、根本部から先端部までの範囲で継ぎ目なく連続するように形成される。ヘッドハウジング40の第1筒状部40aの基端部から第2筒状部40bの根本部までの範囲はユーザにより把持されるグリップ部40dを構成する。本実施形態のカートリッジ収容室20はグリップ部40dの内側に設けられる。
【0017】
内部アセンブリ42は、ヘッドハウジング40の第1筒状部40aに挿通される。内部アセンブリ42は、X方向に長尺状である。本実施形態のX方向は内部アセンブリ42の長手方向でもある。本実施形態の内部アセンブリ42は複数の内部部品を組み合わせて構成されるが、単数の内部部品により構成されてもよい。内部アセンブリ42は、吐水部材44が接続される部材受け部42aを有する。
【0018】
吐水部材44は、ヘッドハウジング40の第2筒状部40bに先端側から差し込まれ、ネジ等の固定具50を用いて内部アセンブリ42の部材受け部42aに接続される。
【0019】
カートリッジ収容室20にはカートリッジ22を出入口20aを通して出し入れ可能である。本実施形態のカートリッジ収容室20は、内部アセンブリ42を構成する筒状の内部部品46の内側に設けられる。出入口20aは、ヘッドベース12側にある吐水ヘッド16の基端部16aに形成される。詳しくは、出入口20aは、内部アセンブリ42の基端部に形成される。
【0020】
カートリッジ22は、原水から改質水を生成するためのものである。本明細書での「改質」とは、物理変化や化学変化を経て、特定の成分を原水から除去又は原水に付与することをいう。
【0021】
図2、
図5に示すように、カートリッジ22は、X方向での全長に亘る範囲のうち少なくとも半分以上の範囲がカートリッジ収容室20内に収容される。本実施形態のカートリッジ22は、X方向の全長に亘る範囲がカートリッジ収容室20内に収容される。カートリッジ収容室20内にはカートリッジ収容室20を形成する内壁面と吐水ヘッド16との間に原水水路34Aの一部となる外部水路34aが形成される。
【0022】
本実施形態のカートリッジ22は、長尺状のカートリッジ本体52と、カートリッジ本体52の両端部に取り付けられるエンドキャップ54、56とを備える。エンドキャップ54、56には、基端側の第1エンドキャップ54と、先端側の第2エンドキャップ56とが含まれる。
【0023】
カートリッジ本体52は、カートリッジ本体52の内部に設けられるとともに改質水水路34Bの一部となる内部水路34bと、外部水路34aと内部水路34bの間に設けられる改質部52aと、を有する。改質部52aは、外部水路34aから内部水路34bに水を通すことができ、改質材により原水を改質することで改質水を生成可能である。本実施形態の改質部52aは、複数の不織布等の透水膜間に改質材を収容して構成される。改質材は、たとえば、活性炭、炭酸カルシウム等である。
【0024】
図6は、
図2の継手部材18周りの拡大図である。
図2、
図6に示すように、ヘッドベース12は、基体28に支持されるベース本体58と、ベース本体58に固定されるヘッドガイド62とを備える。本実施形態のベース本体58は、筒状の胴部58cと、胴部58cの外周部から突き出るとともにベース孔58aが形成される筒状部58bとを有する。前述の操作部材24は胴部58cの先端部に設けられ、弁ユニット26は胴部58cに内蔵される。ヘッドガイド62は、ベース本体58のベース孔58aに先端側から差し込まれるとともに第1留め具60によりベース本体58に固定される。
【0025】
ヘッドガイド62は、給水ホース64を引き出し可能なホース挿通孔62aと、吐水ヘッド16が継手部材18を介して接続されるヘッド接続部62bとを有する。給水ホース64は可とう性を持つ素材を用いて構成される。
【0026】
継手部材18は、全体として有底筒状をなす。継手部材18には、その内側に配置されるホース継手66を介して給水ホース64が接続される。継手部材18の内側には基端側からヘッドベース12のヘッド接続部62bが差し込まれる。ヘッド接続部62bは、吐水ヘッド16がX方向に沿って動くように吐水ヘッド16をガイド可能である。
【0027】
本実施形態の継手部材18は、吐水ヘッド16をヘッドベース12に脱着自在に接続する。吐水ヘッド16は、ヘッドベース12のヘッド接続部62bによるガイドを伴いX方向に沿って動かされることで、ヘッドベース12に対して脱着する。ヘッドベース12から吐水ヘッド16を取り外すとき、ヘッドベース12のホース挿通孔62aから給水ホース64が引き出される。一方、ヘッドベース12に吐水ヘッド16を取り付けるとき、ホース挿通孔62aに給水ホース64が押し戻される。
【0028】
吐水ヘッド16及び継手部材18は、カートリッジ収容室20の出入口20aからカートリッジ22を取り出すときに互いに取り外される。本実施形態の継手部材18は、カートリッジ収容室20内に出入口20aを通して差し込まれている。本実施形態の継手部材18は、このような出入口20aの開閉を伴い吐水ヘッド16に脱着自在に取り付けられる。
【0029】
カートリッジ収容室20を形成する内壁面と継手部材18との間にはシール部材68が配置される。シール部材68はOリング等の弾性体であり、カートリッジ収容室20と継手部材18の間をシールする。
【0030】
本実施形態の継手部材18は、カートリッジ収容室20の出入口20aから外側に向かう方向でのカートリッジ22の動きを規制する押さえ部材70を兼ねている。ここでの「外側に向かう方向」とは、出入口20aからX方向において基端側(
図6の右下)に向かう方向をいう。
【0031】
以上の工夫点の効果を説明する。
【0032】
(A1)カートリッジ収容室20の出入口20aは、吐水ヘッド16の基端部16aに形成され、吐水ヘッド16及び継手部材18は、カートリッジ22を出し入れするときに互いに取り外される。このような構造のもとでは、吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り外す作業を経るだけで、吐水ヘッド16を手動で自由に動かせるようになる。これに伴い、吐水ヘッド16を手動で動かすことで、吐水ヘッド16のカートリッジ収容室20内の残水を出入口20aから排出したり、そのカートリッジ収容室20内を水洗いしたり、カートリッジ収容室20内を簡単に清掃できる。よって、カートリッジ収容室20の清掃作業の容易化を図れる。
【0033】
かりに、特許文献1の構造のもとでは、カートリッジ収容室内を清掃するうえで、吐水ヘッドの頭部をグリップ部から取り外す作業の他に、吐水ヘッドのグリップ部をヘッドベースから取り外す作業まで要してしまう。この点、本実施形態によれば、吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り外す作業を経るだけで済む。
【0034】
また、特許文献1の構造のもとでは、吐水ヘッドのグリップ部をヘッドベースから取り外しても、グリップ部に給水ホースが接続されているため、吐水ヘッドの動ける範囲が給水ホースにより制限されてしまう。この点、本実施形態によれば、給水ホースによる制限を受けることなく吐水ヘッドを自由に動かせようになる利点がある。
【0035】
(A2)また、カートリッジ22を取り出すときに吐水ヘッド16から取り外される部材である継手部材18と吐水ヘッド16の継ぎ目が、吐水ヘッド16の先端側部分のような目立つ箇所に現れなくなる。このため、吐水ヘッド16の先端側部分の外観がすっきりとなり、良好な意匠性を得られる。
【0036】
吐水装置10の他の特徴を説明する。
図6を参照する。吐水ヘッド16が継手部材18を介してヘッドベース12に接続された状態にあるとき、吐水ヘッド16は、継手部材18を覆っている。この条件は、ヘッドベース12のヘッド接続部62bによるガイドを伴い吐水ヘッド16をX方向に沿って動かすうえで、吐水ヘッド16を可動範囲の基端側の末端位置に配置したときに満たされていればよい。本実施形態の吐水ヘッド16は、継手部材18のX方向の全長に亘る範囲で継手部材18を覆っている。また、本実施形態の吐水ヘッド16は、継手部材18を全周に亘る範囲で径方向外側から覆っている。
【0037】
吐水ヘッド16と継手部材18の間には全周に亘る範囲で連続する継ぎ目72が形成される。本実施形態では内部アセンブリ42と継手部材18の間に継ぎ目72が形成される。吐水ヘッド16は、このような継ぎ目72が露出しないように、継手部材18を覆っていればよい。吐水ヘッド16の外面に開口する孔を通して継手部材18が視認可能であってもよいということである。ここでの「孔」とは、たとえば、後述するヘッド側ロック孔16bである。本実施形態では、この条件を満たすようにヘッドハウジング40が継手部材18を覆っている。
【0038】
(B)これにより、カートリッジ22を取り出すときに吐水ヘッド16から取り外される部材である継手部材18と吐水ヘッド16との継ぎ目が、吐水装置10の外観に目立つように現れなくなる。これに伴い、吐水装置10の外観がすっきりとなり、良好な意匠性を得られる。
【0039】
特に、本実施形態によれば、吐水ヘッド16内のカートリッジ22を交換可能としつつ、ヘッドベース12に吐水ヘッド16を脱着自在に接続する構造の実現に要する継ぎ目であって、吐水装置10の外観に現れる継ぎ目の数を一つに抑えられる利点がある。ここでの一つの継ぎ目とは、吐水ヘッド16とヘッドベース12が形成する継ぎ目をいう。かりに、特許文献1の構造のもとでは、このような構造を実現するうえで、吐水ヘッドとヘッドベースの継ぎ目の他に、吐水ヘッドのグリップ部と頭部の継ぎ目を要してしまう。
【0040】
(第2の工夫点)
吐水装置10は、吐水ヘッド16に対する継手部材18のロックの有無を切り替え可能な第1ロック部材74と、ヘッドベース12に対する継手部材18のロックの有無を切り替え可能な第2ロック部材76とを備える。第1ロック部材74によりロックされるときの吐水部材44及び継手部材18の相対位置をロック位置Plという。
【0041】
図7は、吐水ヘッド16及び継手部材18のそれぞれの一部を示す側面断面図である。吐水装置10は、ロック位置Plにある吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り外すときに、これらの相対移動をガイドするガイド機構78を備える。
【0042】
図8は、ガイド機構78の構成要素を平面上に展開した模式図である。ガイド機構78は、吐水ヘッド16及び継手部材18の一方に設けられるガイド部80と、それらの他方に設けられるスライダ部82とを有する。本実施形態のガイド部80は内部アセンブリ42に設けられ、スライダ部82は継手部材18に設けられる。
【0043】
ガイド部80は、内部アセンブリ42の内周部に設けられるとともにX方向に延びる第1溝部80aと、第1溝部80aの奥側端部から周方向に延びる第2溝部80bとを有する。スライダ部82は継手部材18の外周部に設けられる突起部であり、ガイド部80の第1溝部80aや第2溝部80bに沿ってスライド可能である。
【0044】
吐水ヘッド16及び継手部材18は、第1溝部80aに沿ってスライダ部82がスライドすることでX方向に相対移動するようにガイドされる。また、吐水ヘッド16及び継手部材18は、第2溝部80bに沿ってスライダ部82がスライドすることで相対回転するようにガイドされる。
【0045】
吐水ヘッド16と継手部材18は、ロック位置Plにあるとき、ガイド機構78のガイド部80の第2溝部80bにスライダ部82が配置される。このとき、ガイド機構78のガイド部80とスライダ部82の接触によって、これらのX方向で互いに遠ざかる方向での相対移動が規制される。
【0046】
以上の吐水ヘッド16及び継手部材18は、ロック位置Plにある状態から、ガイド機構78によるガイドを伴い、互いに相対回転させた後に、互いにX方向で遠ざかる方向に相対移動させることで分離可能である。このように吐水ヘッド16及び継手部材18は、ガイド機構78によるガイドを伴い、ロック位置Plから相対移動させることで分離可能に設けられる。
【0047】
図9は、
図6のA-A線断面の一部を示す図である。第1ロック部材74は、第1基部74aと、第1操作部74bと、第1ロック部74cと、第2ロック部74dと、を有する。
【0048】
第1基部74aは、弾性変形可能であるとともに継手部材18に巻き付けられる。本実施形態の第1基部74aは、環の一部を切り欠いた切欠環状をなす。これにより、第1基部74aを広げるように弾性変形させた状態で第1基部74aの内側に継手部材18を配置した後、第1基部74aが復元することで、継手部材18に第1基部74aを巻き付けられる。よって、第1ロック部材74を継手部材18に容易に取り付けられる。
【0049】
第1基部74aは、第1操作部74bから周方向の両側に一対の弧状部74ea、74ebが延びるように形成される。一対の弧状部74eaには、筒状の継手部材18の中心軸線Lcを間に挟んで第1操作部74bとは反対側まで延びる第1弧状部74eaが含まれる。一対の弧状部74ea、74ebのそれぞれには第1操作部74bから周方向に間を置いた位置に押し当て部74fが設けられる。押し当て部74fは、第1操作部74bが押圧操作されるときに継手部材18に押し当てられる。一対の弧状部74ea、74ebは、継手部材18に押し当て部74fが押し当てられることで、第1操作部74bに対してなす角度が変化するように弾性変形する。
【0050】
第1弧状部74eaの周方向の端部には径方向内側に突き出る爪部74gが形成される。継手部材18の外周部には爪部74gを受けることができる爪受け部18aが形成される。爪部74gが爪受け部18aに引っ掛かることで、継手部材18の中心軸線Lcに対して第1操作部74bとは反対側(
図9の上側)に向かう第1弧状部74eaの動きを規制できる。これにより、このような方向に第1ロック部材74の第1弧状部74eaが大きく動いてしまうことで、継手部材18に吐水ヘッド16を取り付けるときに、吐水ヘッド16が第1弧状部64eaに干渉する事態を避けられる。
【0051】
第1操作部74bは、第1ロック部材74によるロックの有無を切り替えるときに操作される。本実施形態の第1操作部74bは、第1基部74aから径方向外側に突き出ている。
【0052】
本実施形態の第1ロック部74cは第1操作部74bが兼ねている。本実施形態の第2ロック部74dは、第1基部74aを挟んで第1ロック部74cとは反対側に設けられる。本実施形態の第2ロック部74dは、第1基部74aから径方向内側に突き出ている。
【0053】
図10は、
図6の一部を示す拡大図であり、
図11は、
図9の一部を示す拡大図である。第1ロック部材74の第1ロック部74cは、ヘッドロック位置Phl(
図10(a)、
図11(a)参照)とヘッドロック解除位置Phr(
図10(b)、
図11(b)参照)との間を移動可能である。本実施形態の第1ロック部74cは、第1操作部74bを径方向内側に向けて押圧操作することで、ヘッドロック位置Phlからヘッドロック解除位置Phrに移動可能である。第1ロック部74cは、継手部材18に形成される継手側ロック孔18bに沿って第1ロック部材74の一部が摺動することによって、ヘッドロック位置Phlとヘッドロック解除位置Phrの間での動きがガイドされる。ここでの「第1ロック部材74の一部」とは、本実施形態において、第1ロック部材74の第2ロック部74dである。
【0054】
第1ロック部74cは、ヘッドロック位置Phlにあるとき、吐水ヘッド16に形成されるヘッド側ロック孔16bと周方向に接触可能な位置に配置される。第1ロック部材74は、第1ロック部74cがヘッドロック位置Phlにあるとき、継手側ロック孔18bと周方向に接触可能な位置に配置される。このような位置には、本実施形態において、第1ロック部材74の一部である第2ロック部74dが配置される。
【0055】
第1ロック部74cがヘッドロック位置Phlにあるとき、吐水ヘッド16に対して継手部材18が相対回転しようとすると、第1ロック部74cがヘッド側ロック孔16bと接触し、かつ、第2ロック部74dが継手側ロック孔18bと接触する。これに伴い、第1ロック部材74によって、ロック位置Plにある吐水ヘッド16及び継手部材18の相対回転が規制される。これにより、本実施形態の第1ロック部材74は、吐水ヘッド16に対して継手部材18をロックする。
【0056】
第1ロック部74cは、ヘッドロック解除位置Phrにあるとき、ヘッド側ロック孔16bと周方向に接触不能な位置に配置される。これに伴い、第1ロック部材74による吐水ヘッド16に対する継手部材18の相対回転の規制が解除される。これにより、本実施形態の第1ロック部材74は、吐水ヘッド16に対する継手部材18のロックを解除する。
【0057】
図9に戻る。第2ロック部材76は、第2操作部76bと、第2ロック部74dと、を有する。本実施形態の第2ロック部材76は第1ロック部材74が兼ねている。第2操作部76bは、第2ロック部材76によるロックの有無を切り替えるときに操作される。本実施形態の第2操作部76bは第1操作部74bが兼ねている。
【0058】
図10、
図11に示すように、第2ロック部材76の第2ロック部74dは、ベースロック位置Pbl(
図10(b)、
図11(b)参照)とベースロック解除位置Pbr(
図10(a)、
図11(a)参照)の間を移動可能である。本実施形態の第2ロック部74dは、第2操作部76bを径方向内側に向けて押圧操作することで、ベースロック解除位置Pbrからベースロック位置Pblに移動可能である。
【0059】
第2ロック部74dは、ベースロック位置Pblにあるとき、ヘッドベース12に形成されるベース側ロック孔12aと周方向及びX方向に接触可能な位置に配置される。第2ロック部材76は、ベースロック位置Pblにあるとき、継手側ロック孔18bと周方向及びX方向に接触可能な位置に配置される。このような位置には、本実施形態において、第2ロック部材76の一部である第2ロック部74dが配置される。
【0060】
第2ロック部74dがベースロック位置Pblにあるとき、ヘッドベース12に対して継手部材18が相対移動しようとすると、第2ロック部74dがベース側ロック孔12a及び継手側ロック孔18bと接触する。これに伴い、第2ロック部材76によりヘッドベース12に対する継手部材18の周方向及びX方向での相対移動が規制される。これにより、本実施形態の第2ロック部材76は、ヘッドベース12に対して継手部材18をロックする。
【0061】
第2ロック部74dは、ベースロック解除位置Pbrにあるとき、ベース側ロック孔12aと周方向及びX方向に接触不能な位置に配置される。これに伴い、第2ロック部材76によるヘッドベース12に対する継手部材18の相対移動の規制が解除される。これにより、本実施形態の第2ロック部材76は、ヘッドベース12に対する継手部材18のロックを解除する。
【0062】
本実施形態において、
図10(a)、
図11(a)に示すように、第1ロック部74cがヘッドロック位置Phlにあるとき、第2ロック部74dはベースロック解除位置Pbrにある。このとき、X方向に沿って動かすことで、継手部材18とともに吐水ヘッド16をヘッドベース12から脱着できる。また、
図10(b)、
図11(b)に示すように、第1ロック部74cがヘッドロック解除位置Phrにあるとき、第2ロック部74dがベースロック位置Pblにある。このとき、吐水ヘッド16及び継手部材18を相対移動させることで互いに取り外し可能となる。
【0063】
以上の工夫点の効果を説明する。
【0064】
(C)吐水装置10は第1ロック部材74を備える。よって、第1ロック部材74によるロックを解除しない限り、吐水ヘッド16及び継手部材18が誤って取り外される事態を避けられる。
【0065】
(D)吐水装置10は第2ロック部材76を備える。よって、第2ロック部材76によりロックすることで、ヘッドベース12に継手部材18を固定した状態で継手部材18から吐水ヘッド16を取り外す作業をできる。このため、継手部材18が動かないように片手でしっかりと支えずとも吐水ヘッド16を取り外すことができ、吐水ヘッド16の取り外し時に良好な作業性を得られる。
【0066】
第1ロック部材74は、第2ロック部材76を兼ねている。これにより、吐水装置10の部品点数を削減でき、製品コストの削減や管理負担の軽減を図れる。
【0067】
他の工夫点を説明する。第1ロック部材74は、自らの弾性変形を伴い、吐水ヘッド16に対する継手部材18のロックの有無を切り替え可能である。本実施形態の第1ロック部材74は、自らの一部である第1基部74aの弾性変形を伴い、第1ロック部材74により継手部材18をロックするロック状態から、そのロックを解除する解除状態に切り替え可能である。
【0068】
(E)これにより、第1ロック部材74により継手部材18のロックの有無を切り替えたとき、第1ロック部材74の弾性反発力によって、その切り替え前の状態に復帰できる。本実施形態では、前述の解除状態からロック状態に復帰できる。よって、その切り替え前の状態に復帰するための付勢部材を不要にできる。
【0069】
なお、別の観点から見ると、第1ロック部材74が兼ねる第2ロック部材76も、自らの弾性変形を伴い、ヘッドベース12に対する継手部材18のロックの有無を切り替え可能であると捉えられる。
【0070】
吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り外す手順の一例を説明する。
図12~
図14を用いて説明する。
図12は、吐水ヘッド16及び継手部材18(不図示)がロック位置Plにある状態を示し、
図13は、それらを取り外している途中の状態を示し、
図14は、それらを取り外した状態を示す。
【0071】
まず、第1ロック部材74の第1操作部74bを操作することによって、第1ロック部74cをヘッドロック位置Phl(
図10(a)参照)からヘッドロック解除位置Phr(
図10(b)参照)に移動させる。本実施形態においては、このような操作を経ることで、第1ロック部材74の第2ロック部74dがベースロック解除位置Pbr(
図10(a)参照)からベースロック位置Pbl(
図10(b)参照)に移動させられる。
【0072】
吐水ヘッド16及び継手部材18は、第1操作部74bの操作を通じて第1ロック部74cをヘッドロック解除位置Phrに配置した状態のまま、ロック位置Plから相対移動させる。詳しくは、本実施形態においては、次の(1-1)、(1-2)の手順を経るように相対移動させる。(1-1)まずは、
図12、
図13に示すように、吐水ヘッド16及び継手部材18を方向Paに相対回転させる。(1-2)次に、
図13、
図14に示すように、吐水ヘッド16及び継手部材18をX方向において互いに遠ざかる方向Pbに相対移動させる。吐水ヘッド16及び継手部材18は、ガイド機構78によるガイドを伴い、このように相対移動させる。
【0073】
(1-1)の手順を経たとき、吐水ヘッド16及び継手部材18がロック位置PlからX方向に相対移動していない。よって、カートリッジ収容室20の出入口20aが継手部材18により閉じた状態が維持される。
【0074】
図10(c)、
図11(c)は、吐水ヘッド16及び継手部材18を取り外している途中の状態を示す図である。(1-1)のように相対移動させたとき、第1ロック部材74の一部である第1操作部74bは、吐水ヘッド16の径方向内側で吐水ヘッド16の内周部と接触する位置に配置される。これにより、第1ロック部74cは、ヘッドロック解除位置Phrからヘッドロック位置Phlに向かう移動が規制され、ヘッドロック解除位置Phrに保持される。別の観点から見ると、吐水ヘッド16及び継手部材18をロック位置Plから相対移動させたとき、吐水ヘッド16と第1ロック部材74の接触により、第2ロック部74dがベースロック位置Pblに保持されるとも捉えられる。吐水ヘッド16が継手部材18から分離するまで第1ロック部74cはヘッドロック解除位置Phrに保持され、第2ロック部74dはベースロック位置Pblに保持される。
【0075】
(F)これにより、吐水ヘッド16により第1ロック部74cをヘッドロック解除位置Phrに保持させてしまえば、それ以降は、第1ロック部74cを手動でヘッドロック解除位置Phrに保持せずともよくなる。よって、吐水ヘッド16及び継手部材18の取り外し作業で良好な作業性を得られる。
【0076】
前述の(1-1)の手順を経た後、第1ロック部材74の近くから手を離し、吐水ヘッド16の出入口20aより先端側の部分を掴んだ状態で、前述の(1-2)の手順を経る。
【0077】
(G)このような手順を経ることで、出入口20aからカートリッジ収容室20内の残水が漏れ出るとき、その出入口20aの近傍に手を配置せずともよくなる。これに伴い、カートリッジ収容室20内の残水により手が濡れる事態を避けられる。
【0078】
図15は、継手部材18から吐水ヘッド16を分離した状態を示す図である。吐水ヘッド16及び継手部材18が分離したとき、第1ロック部材74の弾性変形に起因する弾性反発力によって、第1ロック部74cはヘッドロック解除位置Phrからヘッドロック位置Phlに復帰する。このとき、第2ロック部74dもベースロック位置Pblからベースロック解除位置Pbrに復帰する。
【0079】
これにより、継手部材18及び吐水ヘッド16を分離させたとき、特別な操作をすることなく、第2ロック部74dをベースロック位置Pblからベースロック解除位置Pbrに動かせる。よって、第1ロック部材74に特別な操作をすることなく、吐水ヘッド16が分離した状態の継手部材18をヘッドベース12からも分離できる。
【0080】
吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに取り付ける手順の一例を説明する。吐水ヘッド16及び継手部材18は、互いに分離した状態から、ガイド機構78によるガイドを伴い相対移動させることでロック位置Plに配置する。詳しくは、次の(2-1)、(2-2)の手順を経るように相対移動させる。
(2-1)吐水ヘッド16及び継手部材18をX方向において互いに近づく方向に相対移動させる。
(2-2)吐水ヘッド16及び継手部材18を相対回転させる。
【0081】
図16は、吐水ヘッド16及び継手部材18を取り付ける途中の状態を示す図である。第1ロック部材74の第1操作部74bは、(2-1)のように相対移動させるとき、吐水ヘッド16の一部により押圧される被押圧面74hを有する。吐水ヘッド16の一部により被押圧面74hが押圧されると、第1ロック部材74の第1ロック部74cは、ヘッドロック位置Phlからヘッドロック解除位置Phrに向かう方向Pcに移動させられる。吐水ヘッド16及び継手部材18を相対移動させることでロック位置Plまで配置すると、第1ロック部74cは、第1ロック部材74の弾性変形に起因する弾性反発力によって、ヘッドロック解除位置Phrからヘッドロック位置Phlに復帰する。
【0082】
(第3の工夫点)
図6を参照する。継手部材18が兼ねる押さえ部材70は、カートリッジ22をX方向に拘束するカートリッジ拘束部84を有する。詳しくは、カートリッジ拘束部84は、カートリッジ22の一部と接触することによって、カートリッジ22をX方向に拘束する。ここでのカートリッジ22の一部とは、本実施形態において、第1エンドキャップ54の一部である。詳しくは、本実施形態の第1エンドキャップ54は、全体として有底筒状をなす。第1エンドキャップ54は、第1エンドキャップ54の基端側の端面部からX方向に突き出る凸部54aと、凸部54aの先端部から径方向外側に張り出すつば状の張出部54bとを有する。
【0083】
図17は、押さえ部材70の一部を下方から見た斜視図である。
図6、
図17に示すように、本実施形態のカートリッジ拘束部84は、押さえ部材70の先端側の端面部からX方向に突き出る突起部84aと、突起部84aから突き出る爪部84bとを有する。本実施形態の突起部84aは、第1エンドキャップ54の凸部54aを取り囲むようにU字状に延びている。本実施形態の突起部84aは、上向きに開放する開放口84cを有する溝状を呈する。爪部84bは、第1エンドキャップ54の張出部54bの裏側に配置され、その張出部54bに引っ掛けられる。ここでの「裏側」とは、第1エンドキャップ54の張出部54bに対してX方向で押さえ部材70から離れる側(
図6の左上側)をいう。これにより、カートリッジ拘束部84は、カートリッジ22の張出部54bと接触することによって、カートリッジ22及び継手部材18のX方向で互いに離間する方向での動きを拘束する。
【0084】
カートリッジ拘束部84は、第1エンドキャップ54の凸部54aに対してX方向に直交する水平方向Y(以下、Y方向という)の両側に位置するとともに、その凸部54aに対して下方に位置する。これにより、カートリッジ拘束部84は、Y方向や下方向でのカートリッジ22の動きを拘束する。カートリッジ拘束部84は、カートリッジ22を支持しているとも捉えられる。カートリッジ22の凸部54aは、カートリッジ拘束部84の開放口84cを通して突起部84aの内側から出し入れ可能である。これにより、カートリッジ拘束部84は、X方向と直交する上方向でのカートリッジ22の動きを許容する。
【0085】
以上の利点を説明する。カートリッジ22は、押さえ部材70のカートリッジ拘束部84によって、押さえ部材70とX方向に一体的に動かせる。よって、吐水ヘッド16及び押さえ部材70をX方向での相対移動を伴い分離するとき、押さえ部材70によってカートリッジ収容室20の出入口20aからカートリッジ22を取り出せる(
図14参照)。このため、吐水ヘッド16及び押さえ部材70の取り外し作業とカートリッジ22の取り出し作業を同時に行うことができ、カートリッジ22の交換時に良好な作業性を得られる。
【0086】
(第4の工夫点)
図6、
図17を参照する。吐水装置10は、上流側の水路から送り込まれる水を送出口86aから下流側の水路に送り出すための通水路86を備える。本実施形態の通水路86は継手部材18やホース継手66の内部に形成され、その送出口86aは継手部材18に形成される。本実施形態の通水路86の送出口86aは、カートリッジ22とは別の部材が形成しているということである。本実施形態での「上流側の水路」は給水ホース64の内部に形成され、「下流側の水路」は原水水路34Aである。本実施形態の原水水路34Aは、継手部材18の外面とカートリッジ22の外面とカートリッジ収容室20の内壁面とに囲まれて形成される。
【0087】
図15、
図17に示すように、通水路86の送出口86aは、ヘッドベース12に接続された継手部材18から吐水ヘッド16を分離したときに、上流側の水路から送り込まれる水を外部に送り出せる位置に設けられる。このような位置として、本実施形態の送出口86aは、継手部材18から吐水ヘッド16を分離したときに、継手部材18の外部に露出する外周面に開口するように設けられる。
【0088】
送出口86aから水を送り出す送出方向Pdは下向きに設定されている。送出方向Pdは、本実施形態において、X方向と直交する下向きの方向に設定されているが、X方向と無関係に下向きの方向に設定されていてもよい。送出口86aの送出方向Pdは、送出口86aから少なくとも一部の水が上向きに送り出されず、かつ、Y方向に沿って送り出されないように設定されるともいえる。また、送出口86aの送出方向Pdは、送出口86aから少なくとも一部の水がX方向の先端側に向けてX方向に沿って送り出されないように設定されるともいえる。
【0089】
これにより、送出口86aの送出方向Pdが上向きに設定されている場合と比べ、送出口86aから送り出される水の届く水平距離を小さくできる。このため、ヘッドベース12に接続された継手部材18から吐水ヘッド16を分離したとき、誤操作等によって通水路86の送出口86aから水が送り出されても、その水が飛び散る範囲を小さくできる。ここでの誤操作とは、たとえば、吐水ヘッド16を分離した状態で、操作部材24の誤操作によって、通水路86に水を送り込んだ場合をいう。
【0090】
本実施形態の送出口86aから水を送り出す範囲は、送出口86aから送り出される全ての水がシンク32(
図3参照)の槽部32aの内壁面で受けられるように設定される。この条件は、ヘッドベース12が基体28に鉛直軸周りに回転可能に設置される場合、その回転可能範囲の一部で満たしていればよい。
【0091】
これにより、通水路86の送出口86aから外部に水が送り出されても、シンク32の槽部32aの外部まで水が届くのを避けられ、その水によりユーザが濡れてしまう事態を防止できる。
【0092】
また、本実施形態の送出口86aは、カートリッジ22とは別の部材が形成している。よって、カートリッジ22の有無によらず、送出口86aから下向きに水を送り出せる。
【0093】
なお、通水路86にはストレーナ88が配置される。ストレーナ88は透水性を持つスクリーン90を有する。スクリーン90は、メッシュ、多孔板等であり、自らを通ろうとする水に含まれる異物を捕捉可能である。通水路86を流れる水はストレーナ88を経由して送出口86aから送り出される。ストレーナ88は、通水路86の送出口86aを通して通水路86に対して出し入れ可能である。
【0094】
(第5の工夫点)
図5を参照する。カートリッジ収容室20は、出入口20aから奥側に向かうにつれて内径が小さくなるように形成される内径変化面20bを有する。本実施形態のカートリッジ収容室20は、連続的に僅かに内径が小さくなるようにテーパー状に形成されるが、段階的に内径が小さくなるように形成されてもよい。
【0095】
カートリッジ22は、カートリッジ収容室20に出入口20aから出し入れするとき、カートリッジ収容室20の内径変化面20bに接触する摺動面22aを有する。本実施形態の摺動面22aは、第1エンドキャップ54や第2エンドキャップ56の外周部に設けられる。本実施形態の内径変化面20bは、カートリッジ収容室20にカートリッジ22を出し入れするとき、カートリッジ22の摺動面22aが接触しうるX方向での全範囲に設けられる。
【0096】
これにより、カートリッジ収容室20に対して出入口20aを通してカートリッジ22を出し入れするとき、カートリッジ収容室20の内径が一定の場合と比べ、カートリッジ収容室20の内壁面(内径変化面20b)に対するカートリッジ22の摺動抵抗を軽減できる。
【0097】
なお、第2エンドキャップ56の摺動面22aの外径は、第1エンドキャップ54の摺動面22aの外径より小さくなるように設定される。
【0098】
(第6の工夫点)
図18は、吐水ヘッド16の先端部の内部構造を示す断面図である。
図1、
図2、
図18に示すように、吐水装置10は、吐水ヘッド16の動作状態を変更するために操作される操作体92、94を備える。操作体92、94には、回転操作を受ける回転ハンドル92(回転操作体)と、押圧操作を受ける押しボタン94(押圧操作体)とが含まれる。
【0099】
図18に示すように、回転ハンドル92は、内部アセンブリ42の先端部に取り付けられ、内部アセンブリ42に回転可能に支持される。押しボタン94は、内部アセンブリ42の先端部に取り付けられ、内部アセンブリ42にX方向に移動可能に支持される。
【0100】
吐水装置10は、操作体92、94の動きに連動して弁機構38を作動させることが可能な連動機構96を備える。本実施形態の連動機構96には、押しボタン94を押圧方向とは反対側に付勢するスプリングやスラストロック機構が組み込まれる。
【0101】
回転ハンドル92は、回転操作を受けると連動機構96を介して弁機構38を作動させる。回転ハンドル92は、回転ハンドル92の回転位置によって、複数の下流側水路36A、36B(
図4参照)のいずれかに通水経路が切り替わるように弁機構38を作動させる。これにより、回転ハンドル92は、吐水部14から吐き出される水が、ストレート吐水とシャワー吐水の間で切り替わるように、吐水ヘッド16の動作状態を択一的に切り替える。
【0102】
押しボタン94は、押圧操作を受けると連動機構96を介して弁機構38を作動させる。押しボタン94は、押圧操作を受ける毎に、複数の上流側水路34A、34Bのいずれかに通水経路が切り替えわるように弁機構38を作動させる。これにより、押しボタン94は、吐水ヘッド16から吐き出される水が浄水と改質水との間で切り替わるように、吐水ヘッド16の動作状態を択一的に切り替える。
【0103】
図18に示すように、回転ハンドル92は筒状の外周壁部92aを有し、外周壁部92aはX方向の先端側に向かって開放する開口部92bを有する。本実施形態の回転ハンドル92の一部は、ヘッドハウジング40の第1筒状部40aに先端側の開口部から差し込まれている。また、本実施形態の回転ハンドル92の一部は、第1筒状部40aのX方向での延長上に設けられる。
【0104】
本実施形態の押しボタン94は、回転ハンドル92とは別体であり、回転ハンドル92と独立して動作可能である。押しボタン94は、ユーザによる押圧操作を受ける円盤状の端面部94aを有する。端面部94aは、回転ハンドル92の内部空間92cをX方向の先端側から覆う位置に設けられる。本実施形態のX方向は、回転ハンドル92の回転軸方向でもある。押しボタン94の少なくとも一部は、回転ハンドル92の内側に配置される。本実施形態の押しボタン94は、回転ハンドル92の先端側の開口部92bから一部がはみ出している。
【0105】
(F)このように押しボタン94は、回転ハンドル92の内部空間92cを先端側から覆う位置に設けられる。よって、吐水ヘッド16の動作状態を変更するにあたり、ユーザにより操作される箇所を回転ハンドル92の近くに集約できる。このため、ユーザが腕を大きく動かすことなく回転ハンドル92や押しボタン94を操作でき、ユーザの操作性が良好となる。
【0106】
また、吐水ヘッド16の動作状態の変更操作に押しボタン94と回転ハンドル92を用いることができる。よって、吐水ヘッド16の動作状態の変更操作に単数の操作体を用いる場合と比べ、ユーザにとって操作体により変更される対象を分かり易くするよう設計でき、ユーザの操作性が良好となる。
【0107】
(第7の工夫点)
吐水ヘッド16の組み立て方法を説明する。
図19は、吐水ヘッド16の組み立て手順を模式的に示す図である。まず、
図19(a)に示すように、内部アセンブリ42に継手部材18を取り付ける。継手部材18は、内部アセンブリ42に取り付けたうえで、前述の第1ロック部材74によって内部アセンブリ42にロックする。継手部材18にはホース継手66を介して給水ホース64を接続しておく。次に、ヘッドハウジング40の第1筒状部40aに基端側から内部アセンブリ42を挿通する。
【0108】
次に、
図19(b)に示すように、内部アセンブリ42の先端部に回転ハンドル92を取り付ける。本実施形態において、回転ハンドル92は、スナップフィット方式によって、ヘッドハウジング40の第1筒状部40aに先端側から差し込むことで、内部アセンブリ42に取り付ける。内部アセンブリ42に取り付けられた回転ハンドル92は、ヘッドハウジング40に接触することで、ヘッドハウジング40に対する内部アセンブリ42のX方向での変位を規制する。本実施形態では、X方向において基端側に向かう方向での変位を規制する。
【0109】
これにより、回転ハンドル92を内部アセンブリ42に取り付けるだけで、ヘッドハウジング40に対する内部アセンブリ42の動きを規制できる。本実施形態では、ヘッドハウジング40の第1筒状部40aの基端側開口部40c(
図19(b)参照)からの内部アセンブリ42の抜け止めを図れる。
【0110】
次に、
図19(b)に示すように、内部アセンブリ42の先端部に押しボタン94を取り付ける。押しボタン94は、スナップフィット方式によって、回転ハンドル92の開口部92bから差し込むことで、内部アセンブリ42に取り付ける。
【0111】
次に、
図19(c)に示すように、ヘッドハウジング40の第2筒状部40bに先端部から吐水部材44を差し込み、吐水部材44を内部アセンブリ42の部材受け部42a(
図5も参照)に接続する。以上の作業を経ることで吐水ヘッド16の組み立てが完了する。
【0112】
図20は、
図19(a)の矢視Bから内部アセンブリ42を見た図である。本図では、第1ロック部材74に関して第1操作部74bのみ示す。
【0113】
ヘッドハウジング40に内部アセンブリ42を挿通するとき、第1ロック部材74の第1操作部74bは、ヘッドハウジング40のヘッド側ロック孔16bの内側に嵌め込むように配置する。これにより、第1操作部74bは、ヘッド側ロック孔16bとの周方向での接触によって、ヘッドハウジング40に対して内部アセンブリ42を周方向に位置決めする。第1操作部74bは、このような機能を発揮する位置決め部74iとして機能している。また、ヘッド側ロック孔16bは、位置決め部74iと協働して内部アセンブリ42を周方向に位置決めするための位置決め孔40eとして機能している。位置決め孔40eは、本実施形態において、ヘッドハウジング40の端部に形成される切欠である。
【0114】
位置決め部74iは、ヘッドハウジング40に対する内部アセンブリ42の周方向での相対位置が所定の条件を満たすように位置決めする。所定の条件とは、本実施形態において、内部アセンブリ42の部材受け部42a(
図19(c)参照)が、ヘッドハウジング40の第2筒状部40bに差し込まれる吐水部材44と接続可能な位置に配置されることをいう。
【0115】
(H)これにより、ヘッドハウジング40内に内部アセンブリ42を挿通するときに、第1ロック部材74の位置決め部74iによって、ヘッドハウジング40に対して内部アセンブリ42を周方向に容易に位置決めできる。特に、第1ロック部材74とは別の箇所に位置決め部74iを設けるより部品点数の削減を図れる。
【0116】
第1ロック部材74の位置決め部74iは、ヘッドハウジング40のヘッド側ロック孔16bとの接触によって、ヘッドハウジング40に対して内部アセンブリ42を位置決めする。よって、ヘッドハウジング40の内部に位置決め部74iが接触すべき箇所を設けずともよくなり、その内部構造の簡素化を図れる。
【0117】
なお、この位置決め部74iは、ヘッド側ロック孔16bとのX方向での接触によって、X方向において内部アセンブリ42の先端側に向かう方向でのヘッドハウジング40に対する内部アセンブリ42の相対移動を規制している。
【0118】
(第2の実施の形態)
図21(a)、(b)は、第2実施形態の吐水装置10の一部を示す模式図である。本実施形態の吐水ヘッド16は継手部材18を覆っておらず、継手部材18は外部に露出している。
【0119】
本実施形態の第1ロック部材74と第2ロック部材76は互いに別体に設けられる。本図では、第1ロック部材74の第1ロック部74c(不図示)がヘッドロック位置Phlにあり、第2ロック部材76の第2ロック部74d(不図示)がベースロック解除位置Pbrにある状態を示す。この状態にあるとき、X方向に沿って動かすことで、継手部材18とともに吐水ヘッド16をヘッドベース12から脱着できる。
【0120】
図22(a)、(b)は、第2実施形態の吐水装置10の他の状態を示す模式図である。本図では、第1ロック部材74の第1ロック部74c(不図示)がヘッドロック解除位置Phrにある状態を示す。この状態にあるとき、吐水ヘッド16及び継手部材18を相対移動させることで互いに取り外し可能となる。また、本図では、第2ロック部材76の第2ロック部74d(不図示)がベースロック位置Pblにある状態を示す。この状態にあるとき、ヘッドベース12に継手部材18を固定した状態で継手部材18から吐水ヘッド16を取り外す作業をできる。これにより、カートリッジ収容室20の出入口20aからカートリッジ22を取り出せるようになる。
【0121】
本実施形態の吐水装置10によっても、前述の(A1)、(A2)、(C)、(D)で説明した効果を得られる。また、本実施形態では説明していないが、(第2の工夫点)~(第7の工夫点)で説明した構成を組み合わせてもよい。
【0122】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。次に、各構成要素の変形例を説明する。
【0123】
吐水装置10は、操作部材24や弁ユニット26を備える水栓装置である例を説明したが、これらがなくともよい。
【0124】
カートリッジ22の原水の改質態様として、原水の浄化を例に説明したが、これに限定されない。たとえば、美容成分、臭い成分、炭酸成分、水素成分の付与等でもよい。
【0125】
カートリッジ22は、吐水ヘッド16のカートリッジ収容室20にX方向の少なくとも一部に亘る範囲が収容されていればよい。カートリッジ22は、たとえば、カートリッジ収容室20にX方向の半分以上の範囲が収容され、その他の箇所をヘッドベース12に収容してもよい。この場合、吐水ヘッド16を継手部材18から取り外したとき、そのヘッドベース12によってカートリッジ22を支持しつつ、カートリッジ22の一部を露出させることができる。このカートリッジ22の露出箇所を用いてカートリッジ22の交換を容易にできる。
【0126】
吐水ヘッド16及び継手部材18を互いに脱着自在に取り付けるための具体的手段は特に限定されない。たとえば、このような具体的手段としては、ねじ構造等を用いてもよい。また、吐水ヘッド16及び継手部材18はクリップ等の留め具を用いて脱着可能に取り付けられてもよい。
【0127】
第1ロック部材74は、第1ロック部74cがヘッドロック位置Phlにあるとき、吐水ヘッド16に対する継手部材18の相対移動を規制することで、吐水ヘッド16に対して継手部材18をロックできればよい。このようにロックするために、たとえば、吐水ヘッド16に対する継手部材18のX方向での相対移動のみを規制してもよい。
【0128】
第1ロック部材74や第2ロック部材76の形状は特に限定されない。
【0129】
第2ロック部材76は、第2ロック部74dがベースロック位置Pblにあるとき、ヘッドベース12に対する継手部材18の相対移動を規制することで、ヘッドベース12に対して継手部材18をロックできればよい。このようにロックするために、たとえば、ヘッドベース12に対する継手部材18の相対移動のみを規制してもよい。
【0130】
第1ロック部材74は、押圧操作とは別の操作態様によって、ヘッドロック位置Phlからヘッドロック解除位置Phrに第1ロック部74cを移動可能であってもよい。ここでの別の操作態様とは、たとえば、回転操作、スライド操作である。
【0131】
吐水装置10は、第1ロック部材74や第2ロック部材76によるロックの有無を切り替えたときに、その切り替え前の状態に復帰させるための付勢力を付与する付勢部材を備えていてもよい。
【0132】
(A1)、(A2)、(B)、(C)、(E)~(G)の効果や、(第3の工夫点)~(第6の工夫点)で説明した効果を得るうえでは、継手部材18は、吐水ヘッド16をヘッドベース12に脱着自在に接続していなくともよい。実施形態ではヘッドベース12から給水ホース64を引き出し可能な例を説明したが、給水ホース64を引き出し可能ではなくともよいということである。
【0133】
(B)の効果を得るうえでは、吐水ヘッド16が継手部材18を介してヘッドベース12に接続された状態にあるとき、ヘッドベース12及び吐水ヘッド16の何れか一方又は両方が、継手部材18を覆っていればよい。たとえば、ヘッドベース12が継手部材18の全体を覆っていてもよいし、ヘッドベース12及び吐水ヘッド16の両方が継手部材18の全体を覆っていてもよい。いずれの場合でも、吐水ヘッド16と継手部材18の間の継ぎ目72が露出しないように継手部材18を覆っていてもよい。
【0134】
押さえ部材70のカートリッジ拘束部84によるカートリッジ22の拘束態様は特に限定されない。たとえば、カートリッジ22の一部に爪部84bを引っ掛ける他にも、凹凸嵌合、圧入、マグネット等によって実現されてもよい。また、カートリッジ拘束部84は、Y方向や下向きの方向での動きを許容してもよい。
【0135】
押さえ部材70は継手部材18が兼ねている例を説明したが、継手部材18とは別体に設けられていてもよい。この場合でも、押さえ部材70は吐水ヘッド16に脱着自在に取り付けられていればよい。
【0136】
通水路86は、継手部材18とは別の部材の内部に一部が形成されてもよい。たとえば、継手部材18とは別に吐水ヘッド16の内部に水路形成部材を配置し、その水路形成部材の内部に通水路86の一部を形成してもよい。この水路形成部材は、ヘッドベース12に接続された継手部材18から吐水ヘッド16を分離したときに、継手部材18と一体化された部材であることが条件となる。
【0137】
通水路86の送出口86aの送出方向Pdは特に限定されない。たとえば、X方向と直交する全方向に設定されてもよいし、X方向に沿った方向で先端側に向かう方向に設定されてもよい。
【0138】
カートリッジ収容室20の内径はX方向で一定に設定されていてもよい。
【0139】
回転ハンドル92や押しボタン94による吐水ヘッド16の動作状態の変更態様は、吐水ヘッド16の吐水態様の切り替えや、吐水ヘッド16から吐き出される水の種類の切り替えである例を説明した。この変更態様は、特に限定されるものではない。この変更態様は、たとえば、吐水ヘッド16から吐き出される水の流量や温度の変更でもよいし、吐水状態と止水状態の切り替えでもよい。
【0140】
吐水装置10は、回転操作体と押圧操作体を備える例を説明したが、どちらか一方のみを備えていてもよいし、これらを備えていなくともよい。回転ハンドル92と押しボタン94は同じ部材の一部が構成していてもよい。
【0141】
回転ハンドル92は、ヘッドハウジング40に対する内部アセンブリ42の動きを規制する操作体の一例として説明した。この操作体の具体例は特に限定されず、たとえば、押圧操作体でもよい。
【0142】
位置決め部74iは第1ロック部材74に設けられる例を説明したが、内部アセンブリ42に設けられていてもよい。いずれにしても、ヘッドハウジング40に内部アセンブリ42を挿通するとき、内部アセンブリ42に一体化される部材に設けられていればよい。また、位置決め孔40eはヘッド側ロック孔16bを兼ねていなくともよい。
【0143】
ヘッドハウジング40の第1筒状部40aの筒軸方向や、内部アセンブリ42の長手方向の軸線は直線的に延びていてもよいし、曲線的に延びていてもよい。
【0144】
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0145】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
【0146】
第2態様の吐水装置は、第1態様において、前記吐水ヘッドに対する前記継手部材のロックの有無を切り替え可能な第1ロック部材を備えてもよい。
この態様によれば、第1ロック部材によるロックを解除しない限り、吐水ヘッドから継手部材が誤って取り外される事態を避けられる。
【0147】
第3態様の吐水装置は、第1態様または第2態様において、前記吐水ヘッドに脱着自在に取り付けられ、前記出入口から外側に向かう方向での前記カートリッジの動きを規制する押さえ部材を備え、前記吐水ヘッド及び前記押さえ部材は、互いに取り外すときに第1方向に相対移動するように設けられ、前記押さえ部材は、前記カートリッジを前記第1方向に拘束するカートリッジ拘束部を有してもよい。
この態様によれば、吐水ヘッド及び押さえ部材を第1方向での相対移動を伴い分離するとき、押さえ部材によって吐水ヘッドの出入口からカートリッジを取り出せる。
【0148】
第4態様の吐水装置は、第1から第3態様のいずれかにおいて、上流側の水路から送り込まれる水を送出口から下流側の水路に送り出すための通水路を備え、前記送出口は、前記ヘッドベースに接続された前記継手部材から前記吐水ヘッドを分離したときに、上流側の水路から送り込まれる水を外部に送り出せる位置に設けられ、前記送出口から水を送り出す方向は、下向きに設定されていてもよい。
この態様によれば、ヘッドベースに接続された継手部材から吐水ヘッドを分離したときに、通水路の送出口から水が飛び散る範囲を小さくできる。
【0149】
第5態様の吐水装置は、第1から第4態様において、前記カートリッジ収容室は、前記出入口側から奥側に向かうにつれて内径が小さくなるように形成される内径変化面を有してもよい。
この態様によれば、カートリッジ収容室に対してカートリッジを出し入れするときに、カートリッジ収容室の内径が一定の場合と比べ、カートリッジ収容室の内壁面に対するカートリッジの摺動抵抗を軽減できる。
【0150】
第6態様の吐水装置は、第1から第5態様において、前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために回転操作を受ける回転操作体と、前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために押圧操作を受ける押圧操作体と、を備え、前記押圧操作体は、前記回転操作体の内部空間を前記回転操作体の回転軸方向の片側から覆う位置に設けられてもよい。
この態様によれば、吐水ヘッドの動作状態を変更するにあたり、ユーザにより操作される箇所を回転操作体の近くに集約できる。
【0151】
第7態様の吐水装置は、第1から第6態様において、前記吐水ヘッドは、ヘッドハウジングと、前記ヘッドハウジングに挿通される長尺状の内部アセンブリと、を有し、前記ヘッドハウジングに形成される位置決め孔との接触によって、前記ヘッドハウジングに対して前記内部アセンブリを周方向に位置決めするための位置決め部を有してもよい。
この態様によれば、ヘッドハウジング内に内部アセンブリを挿通するときに、位置決め部によって、ヘッドハウジングに対して内部アセンブリを周方向に容易に位置決めできる。
【0152】
第8態様の吐水装置は、第1から第7態様において、前記吐水ヘッドの動作状態を変更するために操作される操作体を備え、前記吐水ヘッドは、ヘッドハウジングと、前記ヘッドハウジングに挿通される長尺状の内部アセンブリと、を有し、前記操作体は、前記内部アセンブリの先端部に取り付けられるとともに、前記内部アセンブリの長手方向での前記ヘッドハウジングに対する前記内部アセンブリの動きを規制してもよい。
この態様によれば、操作体を内部アセンブリに取り付けるだけで、ヘッドハウジングに対する内部アセンブリの長手方向での変位を規制できる。
【0153】
なお、各態様の発明の権利範囲には、カートリッジが組み込まれていないものも含まれる。
【0154】
また、以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の項目に記載の発明が含まれているともいえる。
【0155】
(第1項目)
ヘッドベースと、
カートリッジを出入口から出し入れ可能なカートリッジ収容室が設けられる吐水ヘッドと、
前記ヘッドベースに前記吐水ヘッドを接続する継手部材と、を備える吐水装置であって、
前記継手部材は、前記出入口から前記カートリッジを出し入れするときに前記吐水ヘッドから取り外され、
本吐水装置は、前記ヘッドベースに対する前記継手部材のロックの有無を切り替え可能な第2ロック部材を更に備える吐水装置。
【符号の説明】
【0156】
10…吐水装置、12…ヘッドベース、16…吐水ヘッド、16a…基端部、18…継手部材、20…カートリッジ収容室、20a…出入口、20b…内径変化面、22…カートリッジ、40…ヘッドハウジング、40e…位置決め孔、42…内部アセンブリ、70…押さえ部材、74…第1ロック部材、74c…第1ロック部、74i…位置決め部、84…カートリッジ拘束部、86…通水路、86a…送出口、92…操作体、92c…内部空間。