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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】自動バレーパーキングシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221021BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20221021BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20221021BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20221021BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20221021BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221021BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221021BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20221021BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/14 A
B60W30/06
B60W40/08
B60W50/14
B60W60/00
G06Q50/10
E04H6/42 C
H04Q9/00 301Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018112028
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019215665
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢貴
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176468(JP,A)
【文献】特表2018-505488(JP,A)
【文献】特開2006-159939(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029591(US,A1)
【文献】特開2016-099953(JP,A)
【文献】特開2007-219738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 30/00 ~ 60/00
G06Q 50/10
E04H 6/42
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が関与せずに自動走行可能な自動運転車両と、該自動運転車両を駐車するための駐車設備と、前記自動運転車両を無線接続により誘導して無人で自動走行せしめる管制システムとを備え、乗降場所で乗員が降車した自動運転車両を前記管制システムにより自動走行させて駐車設備の駐車スペースに入庫させる一方、該駐車スペースから前記管制システムにより出庫させた自動運転車両を乗員が待つ乗降場所まで誘導するようにした自動バレーパーキングシステムであって、
前記自動運転車両が車室内の人の有無を検知する検出器を装備しており、前記管制システムが前記自動運転車両の入庫開始時に前記検出器の検出情報を要求し且つその応答信号を確認して無人状態の場合に限り前記自動運転車両の自動走行を開始するように構成されていると共に、前記検出器からの応答信号が車内に人がいないことを検知している場合に、前記自動運転車両から降車した乗員の携帯端末に対し入庫開始応答を送信する一方、前記検出器からの応答信号が車内に人がいることを検知している場合には、前記自動運転車両から降車した乗員の携帯端末に対し入庫不可応答を送信するように前記管制システムが構成されていることを特徴とする自動バレーパーキングシステム。
【請求項2】
前記車室内の人の有無を検知する検出器が着座センサであることを特徴とする請求項に記載の自動バレーパーキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動バレーパーキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホテルやレストラン等の施設では、バレーパーキング(Valet Parking)と称される駐車形式が知られており、この種のバレーパーキングでは、自分で運転してきた車両を専門のポーターに預けて車両の駐車を任せ、外出時や帰宅時には前記ポーターに頼んで車両をエントランスまで乗り付けてもらうようにしているが、将来的な自動運転車両の普及に向けて前記バレーパーキングの自動化を図ることが検討されている。
【0003】
即ち、駐車設備の出入口付近に設定された所定の乗降場所にて自動運転車両から乗員が降車し、該自動運転車両と無線接続された管制システムにより前記自動運転車両を駐車スペースまで自動走行させて入庫させたり、或いは、駐車スペースから乗降場所まで自動走行させて出庫させたりすることが考えられている。
【0004】
尚、このように乗員が関与せずに自動走行で駐車スペースに対し車両を入出庫させるようにしたパーキングシステムに関する先行技術文献情報としては、例えば、本発明と同じ出願人による下記の特許文献1等が既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-214800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の如きバレーパーキングを自動化するにあたっては、駐車設備内の十分な保安性を確保する観点から該駐車設備内の完全無人化を図る必要があり、入庫のための自動走行を開始するのに先立ち、車室内に人が取り残されていないことを確認してから自動走行を開始しなければならず、この確認作業を確実に行うために乗降場所付近に人感センサやカメラ装置等を新たに配備しなければならなくなって、駐車設備の設備コストが大幅に高騰してしまうという問題があり、しかも、車両の外側から車室内に人が取り残されているかどうかを正確に検知すること自体が技術的に難しいという問題もあった。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであり、自動運転車両の入庫時に車室内に人が取り残された状態で自動走行が開始されることを確実に防止し得る自動バレーパーキングシステムを設備コストの大幅な高騰を避けつつ実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、乗員が関与せずに自動走行可能な自動運転車両と、該自動運転車両を駐車するための駐車設備と、前記自動運転車両を無線接続により誘導して無人で自動走行せしめる管制システムとを備え、乗降場所で乗員が降車した自動運転車両を前記管制システムにより自動走行させて駐車設備の駐車スペースに入庫させる一方、該駐車スペースから前記管制システムにより出庫させた自動運転車両を乗員が待つ乗降場所まで誘導するようにした自動バレーパーキングシステムであって、
前記自動運転車両が車室内の人の有無を検知する検出器を装備しており、前記管制システムが前記自動運転車両の入庫開始時に前記検出器の検出情報を要求し且つその応答信号を確認して無人状態の場合に限り前記自動運転車両の自動走行を開始するように構成されていると共に、前記検出器からの応答信号が車内に人がいないことを検知している場合に、前記自動運転車両から降車した乗員の携帯端末に対し入庫開始応答を送信する一方、前記検出器からの応答信号が車内に人がいることを検知している場合には、前記自動運転車両から降車した乗員の携帯端末に対し入庫不可応答を送信するように前記管制システムが構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記自動バレーパーキングシステムにおいては、前記車室内の人の有無を検知する検出器が着座センサであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動バレーパーキングシステムによれば、乗降場所付近に人感センサやカメラ装置等を新たに配備しなくて済み、自動運転車両の入庫時に車室内に人が取り残された状態で自動走行が開始されることを確実に防止し得る自動バレーパーキングシステムを設備コストの大幅な高騰を避けつつ実現することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例を示すシステム構成図である。
図2】本実施例の入庫時における運用手順について示すフローチャートである。
図3】本実施例の入庫時における無線の遣り取りを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の自動バレーパーキングシステムの実施例を示すシステム構成図であり、本実施例においては、乗員が関与せずに自動走行可能な自動運転車両1と、該自動運転車両1を駐車するための駐車設備2と、前記自動運転車両1を3G回線やインターネット回線等を用いた無線接続により誘導して無人で自動走行せしめる管制システム3とを備え、所定の乗降場所で乗員が降車した自動運転車両1を管制システム3により自動走行させて駐車設備2の駐車スペースに入庫させる一方、該駐車スペースから前記管制システム3により出庫させた自動運転車両1を乗員が待つ乗降場所まで誘導するように構成したものである。
【0016】
ここで、前記自動運転車両1は、車室内の人の有無を検知する検出器として全ての座席に着座センサ4を装備しており、前記管制システム3は、前記自動運転車両1の入庫開始時に前記着座センサ4の検出情報を要求し且つその応答信号を確認して無人状態の場合に限り前記自動運転車両1に対し自動走行を開始するように構成されている。
【0017】
尚、車室内の人の有無を検知する検出器は着座センサ4に限定されるものではないが、この種の着座センサ4は、運転席と助手席における乗員のシートベルト着用を確認するべく大半の自動車に既に採用されているものであり、これを後部座席を含む全ての座席に採用して車室内の人の有無を検知する検出器として利用するのは容易である。
【0018】
本実施例における入庫時の具体的な運用手順は、図2にフローチャートで示す通りであり、先ずステップS1で自動運転車両1を所定の乗降場所に停車させ、然る後に、ステップS2で自動運転車両1から降車した乗員が自身のスマートフォン等の携帯端末5を使用して入庫開始操作を行い、ステップS3で車内に人がいないことが管制システム3で確認された後、ステップS4で入庫開始受付の情報を乗員の携帯端末5に表示させ、次いで、ステップS5で自動運転車両1を管制システム3による無人走行で所定の駐車スペースに入庫させるようにしているが、先のステップS3で車内に人がいることが管制システム3で確認された場合には、ステップS6を経由して先のステップS2から遣り直されるようになっていて、先のステップS6においては、入庫不可の情報を乗員の携帯端末5に表示させるようにしている。
【0019】
ここで、乗員が携帯端末5を使用して入庫開始操作を行うにあたっては、駐車設備2の利用に先立ち事前登録を済ませておき、この事前登録の際に取得した認証コード等を管制システム3との間で取り交わすことで、該管制システム3が自動運転車両1を自動走行させて駐車設備2の駐車スペースに入庫させることに認証を与えるようにしておくと良い。
【0020】
尚、入庫開始受付や入庫不可の情報を表示させる携帯端末5は、スマートフォン以外の専用端末や自動運転車両1のスマートキー等であっても良く、また、情報を表示させる以外に音声やブザー等で知らせるようにすることも可能である。
【0021】
他方、乗員の携帯端末5と管制システム3と自動運転車両1との間で行われる無線の遣り取りは図3のシーケンス図に示す通りであり、自動運転車両1から降車した乗員が自身のスマートフォン等の携帯端末5を使用して入庫開始操作を行うと、この携帯端末5からの入庫開始要求D1が管制システム3に向けて送信され、これを受けた管制システム3から自動運転車両1に向けて無人確認要求D2(着座センサ4の検出情報の要求)が送信され、これを受けた自動運転車両1からは無人確認応答R1(着座センサ4の検出情報の要求に対する応答信号)が提供される。
【0022】
そして、管制システム3に提供された無人確認応答R1が車内に人がいないことを検知したものであれば、管制システム3から自動運転車両1に向け自動走行開始要求D3が送信されて自動走行が開始され、これを受けた自動運転車両1から自動走行開始応答R2が管制システム3に返され、該管制システム3から入庫開始応答R3が乗員の携帯端末5に送信されて入庫開始受付の情報が表示される。
【0023】
ただし、前記管制システム3の無人確認要求D2に対する前記自動運転車両1からの無人確認応答R1が車内に人がいることを検知したものであった場合には、前記管制システム3から自動運転車両1に向けて自動走行開始要求D3が送信されず、前記管制システム3から入庫不可応答R4が乗員の携帯端末5に送信されて入庫不可の情報が表示される。
【0024】
尚、自動運転車両1を管制システム3により自動走行させて駐車設備2の駐車スペースに入庫させるに際し、例えば、先に先行技術文献情報としてあげた特開2017-214800号公報(特許文献1)にも記載されている通り、乗員が関与せずに自動走行できる機能を既に備えている自動運転車両1を外部からの無線接続により誘導して自動走行させること自体は容易に実現可能な事項であり、後は駐車設備2内の各種センシング機器類を利用した適切な自動運転車両1の位置情報の把握と駐車スペースまでの適切なルート決めを管制システム3側で実施できれば良く、これらも既存技術により特段の技術的困難性なく実現できる事項である。
【0025】
而して、以上に述べた如き自動バレーパーキングシステムによれば、乗降場所付近に人感センサやカメラ装置等を新たに配備しなくて済み、自動運転車両1の入庫時に車室内に人が取り残された状態で自動走行が開始されることを確実に防止し得る自動バレーパーキングシステムを設備コストの大幅な高騰を避けつつ実現することができる。
【0026】
また、特に本実施例の場合には、管制システム3による入庫開始受付が完了したことを携帯端末5により確認することができ、しかも、降車した自動運転車両1に人が取り残されていた場合にも入庫不可の情報を携帯端末5で確認することができて迅速に対処することが可能となる。
【0027】
更に、本実施例のように、車室内の人の有無を検知する検出器を着座センサ4とすれば、運転席と助手席における乗員のシートベルト着用を確認するべく大半の自動車に既に採用されている着座センサ4を後部座席を含む全ての座席に採用するだけで対応することができ、その実施容易性の大幅な向上を図ることができるというメリットもある。
【0028】
尚、本発明の自動バレーパーキングシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 自動運転車両
2 駐車設備
3 管制システム
4 着座センサ(検出器)
5 携帯端末
1 入庫開始要求
2 無人確認要求(検出器の検出情報の要求)
3 自動走行開始要求
1 無人確認応答(検出器の検出情報の要求に対する応答信号)
2 自動走行開始応答
3 入庫開始応答
4 入庫不可応答
図1
図2
図3