(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
B65D5/44 C
(21)【出願番号】P 2018120840
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】広川 園恵
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-227036(JP,A)
【文献】特開2007-153444(JP,A)
【文献】特開2016-094249(JP,A)
【文献】特開2012-086895(JP,A)
【文献】米国特許第04004691(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の箱体形成片から成り、互いに平行に連設された側面と、前記側面同士の連接方向の
一方の端部に位置する
側面の側縁に設けられ、連接方向の他方の端部に位置する
側面の裏面に糊付けされて筒体に組み立てられる糊付片を備え、
前記糊付片が糊付けされた前記
他方の端部に位置する側面には、前記筒体の端部に位置する取出口を覆う蓋片が折罫線を介して設けられ、前記
他方の端部に位置する側面の、前記折罫線に隣接する部分には、差込片が、開封用破断線で区切られて設けられ、
前記差込片は、前記他方の端部に位置する前記側面の側縁部に達して設けられ、前記差込片の、前記側縁部の角部は外側に膨出する差込部となり、前記開封用破断線で前記側面から分離した状態で、前記差込部を有し前記折罫線から離れる方に突出するフラップとなり、
前記糊付片には、前記差込片の、前記他方の端部に位置する前記側面の前記側縁部とは反対側の部分に糊付けされる差込片用糊付片が設けられ、前記差込片用糊付片は、糊付片用破断線で区切られて前記糊付片から分離可能に設けられ、
前記糊付片
の、前記差込片で覆われた部分は、前記差込片用糊付片以外の部分が前記差込片に糊付けされず、前記差込片に覆われ
糊付けされていない部分に印刷部が設けられ、
前記糊付片が糊付けされた前記他方の端部に位置する前記側面の前記側縁部には、前記差込片に連続する部分が切り欠かかれて開口部が形成され、前記糊付片の一部が前記開口部から露出し、露出した前記一部にも印刷部が設けられ、
使用する際には、前記開封用破断線を切断して開封し、前記差込片を前記糊付片の裏面に差し込んで再封可能に形成されたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記差込片用糊付片は、糊付片用破断線及びスリットで区切られて、前記糊付片から分離可能に設けられている請求項1記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容物に関する情報を示す表示を可能にした包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品を包装する包装用箱には、薬剤師等の使用者が間違えやすい容量等を、同じ平面部分にグラフィック等のデザイン表現での注意喚起表現がされている。使用者は、包装用箱を開封する時、業務上いつも使用しているような医薬品の包装用箱については、効率を上げるため、正面部分の記載を確認せずに開封している。このため、誤用を防ぐことができる、より強く注意喚起を促すものが求められている。また、開封した後に、天面部分に紙の厚みの段差を生じ、段差の部分に文字や絵柄が表示され、使用者の視覚と触覚で注意を引くものもある。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている包装用箱は、一枚の箱体から成り、箱体形成片には、互いに連接され筒体に組み立てられる複数の側面と、筒体の一方の端部に設けられ端部の開口を閉鎖する上蓋片と、上蓋片の裏面に重ねられるフラップを有している。上蓋片の一部には、破断線と折り曲げ線で囲まれた折込片を備えている。上蓋片は、折込片を、破断線を切断して折り曲げ線で折り返すことにより開口部が形成され、フラップの表面が露出する。開口部に露出したフラップの表面には、文字や絵柄により情報が印刷された印刷部が設けられ、情報が表示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景技術の場合、開封前は天面部分に凹凸がなく、視覚と触覚でより強く注意を引くことは考えられていない。また、開封後に、開封したことを示す注意喚起表現がされるものであり、開封前に注意喚起表現をすることも考えられていない。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、任意の情報が視覚と触覚で注意を引くように設けられ、また再封が可能で便利な包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一枚の箱体形成片から成り、互いに平行に連設された側面と、前記側面同士の連接方向の一方の端部に位置する側面の側縁に設けられ、連接方向の他方の端部に位置する側面の裏面に糊付けされて筒体に組み立てられる糊付片とを備えた包装用箱である。前記糊付片が糊付けされた前記他方の端部に位置する側面には、前記筒体の端部に位置する取出口を覆う蓋片が折罫線を介して設けられている。前記他方の端部に位置する側面の、前記折罫線に隣接する部分には、差込片が、開封用破断線で区切られて設けられ、前記差込片は、前記他方の端部に位置する前記側面の側縁部に達して設けられ、前記差込片の、前記側縁部の角部は外側に膨出する差込部となり、前記開封用破断線で前記側面から分離した状態で、前記折罫線から離れる方に突出するフラップとなる。前記糊付片には、前記差込片の、前記他方の端部に位置する前記側面の前記側縁部とは反対側の部分に糊付けされる差込片用糊付片が設けられ、前記差込片用糊付片は、糊付片用破断線で区切られて前記糊付片から分離可能に設けられ、前記糊付片の、前記差込片で覆われた部分は、前記差込片用糊付片以外の部分が前記差込片に糊付けされず、前記差込片に覆われ糊付けされていない部分に印刷部が設けられている。そして、前記包装用箱は、前記開封用破断線を切断して開封し、前記差込片を前記糊付片の裏面に差し込んで再封可能に形成されている。
【0008】
前記糊付片が糊付けされた前記他方の端部に位置する前記側面の前記側縁部には、前記差込片に連続する部分が切り欠かかれて開口部が形成され、前記糊付片の一部は前記開口部から露出し、露出した部分にも印刷部が設けられている。
【0009】
前記糊付片の、前記差込片に糊付けされる部分は、差込片用糊付片が、糊付片用破断線及びスリットで区切られて、前記糊付片から分離可能に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装用箱は、簡単な構造で、任意の情報が視覚と触覚で注意を引くように設けられ、再封が可能で便利である。開封前にも開封後にも、注意を引くような印刷部を表示し、使用者に注意喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の第一実施形態の包装用箱を開封した状態を示す斜視図である。
【
図2】この発明の第一実施形態の包装用箱を再封した状態を示す斜視図である。
【
図3】この発明の第一実施形態の包装用箱の展開図である。
【
図4】この発明の第一実施形態の包装用箱の組立状態を示す正面図である。
【
図5】この発明の第一実施形態の包装用箱の斜視図である。
【
図6】この発明の第一実施形態の包装用箱を開封する操作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図6はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の包装用箱10は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てて設けられている。
図3は箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、側面14,16,18,20が、互いに平行に連接して形成されている。側面14,16,18,20は、連接方向と直交する幅方向が互いに等しい矩形であり、連接方向の長さは側面14,18が長く、側面16,20はそれより少し短い。側面20の側縁部には、包装用箱10の組立状態で側面14の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。側面14,16,18,20、糊付片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られて設けられている。
【0013】
側面14において、側面同士の連接方向に対して直角な方向の一端部には、矩形の外側上蓋片32が折罫線34で区切られて設けられている。側面14の、折罫線34に隣接する部分には、差込片36が設けられている。差込片36は、側面14の、折罫線24とは反対側の側縁部14aに達して設けられ、側縁部14aの所定位置から折罫線24と折罫線34の交点付近に達する開封用破断線38で、周囲と区切られている。開封用破断線38は、側縁部14aに交差して形成されて折罫線24から少し離れた位置に達する直線と、この直線の端部から、折罫線24と折罫線34の交点付近に達する直線で形成された逆ヘの字形状であり、差込片36は、折罫線34から離れる方に膨出する略台形状であり、外側上蓋片32よりやや小さい。差込片36の、側縁部14a側の角部は、外側に膨出する円弧で形成され、差込部36aとなる。差込片36は、開封用破断線38で側面14から分離した状態で、折罫線34から離れる方に突出するフラップとなる。
【0014】
側面14の、側縁部14aに隣接する部分には、差込片36に連続する部分が矩形に切り欠かかれて開口部40が形成されている。開口部40の大きさは、折罫線34に対して直角方向の長さは差込片36とほぼ同じ程度で、折罫線34に沿って平行な長さは、折罫線34の半分以下の短いものである。側面14の、折罫線34とは反対側の端部には、外側上蓋片32と同形状の外側下蓋片42が折罫線44で区切られて設けられている。
【0015】
側面16の、側面14の折罫線34に隣接する端部には、側面16の端部を下底とする小さい台形状のフラップ46が折罫線48で区切られて設けられている。側面16の、折罫線48と反対側の端部にも、小さい台形状のフラップ50が折罫線52で区切られて設けられている。
【0016】
側面18の、側面16の折罫線48に隣接する端部には、矩形の内側上蓋片54が折罫線56で区切られて設けられている。内側上蓋片54は、外側上蓋片32よりも少し小さい。側面18の、折罫線56とは反対側の端部には、内側上蓋片54と同形状の内側下蓋片58が折罫線60で区切られて設けられている。側面16の、折罫線60に隣接する部分には、円弧形の廃棄用破断線62が設けられている。廃棄用破断線62の両端部は、折罫線60の両端部付近に達し、中間部分は側面18の中央に向かって膨出する。
【0017】
側面20の、側面18の折罫線56に隣接する部分には、側面20の端部を下底とする小さい台形状のフラップ64が折罫線66で区切られて設けられている。側面20の、折罫線66とは反対側の端部にも、小さい台形状のフラップ68が折罫線70で区切られて設けられている。
【0018】
糊付片22は、側面20より僅かに小さい矩形に形成されている。糊付片22の、側面20の折罫線66に隣接する端部22aと、折罫線30とは反対側に位置する側縁部22bとで形成される角部は、矩形の差込片用糊付片72となっている。差込片用糊付片72は端部22aに交差する糊付片用破断線74と、側縁部22bに交差する方向に長いスリット76で囲まれて区切られ、略矩形であり、スリット76と側縁部22bで囲まれた角部は面取りされている。差込片用糊付片72と折罫線30の間の部分には、包装用箱10の組立状態で差込片36に重なる位置に、例えば「開封済み」と書いた文字が印刷された印刷部78が設けられている。印刷部78よりも、端部22aから離れた部分には、包装用箱10の組立状態で開口部40に重なって露出する位置に、「5mg」と書いた文字が印刷された印刷部80が設けられている。
【0019】
次に、この実施形態の包装用箱10の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは
図3が包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0020】
まず、糊付片22の表面に糊82を塗布する。糊82は、例えば、側縁部22bに近い位置と折罫線30に近い位置に、互いに平行に2本の直線で塗布する。側縁部22bに近い位置の糊82は、差込片用糊付片72にも連続して塗布する。折罫線30に近い糊82は、印刷部80に重ならない位置で止められている。次に、折罫線28を正折りし、さらに折罫線24を正折りし、側面14の裏面は糊82により糊付片22の表面に糊付けされ、
図4に示すように折り畳み状態となる。差込片36の、折罫線24に近い部分は、差込片用糊付片72に糊付けされる。糊付片22の印刷部80は側面14の開口部40から露出し、印刷部78は差込片36に覆われる。
【0021】
糊82は、印刷部80に達しないように塗布されているため、差込片36の側縁部14a側は、糊付片22に糊付けされず、開口部40もあるので、糊付片22との間に隙間が生じやすいが、折罫線24側は糊付片22に連続する差込片用糊付片72に糊付けされているため、隙間を小さく抑える。この状態で箱体形成片12による折り畳み状態の包装用箱10が、商品である収容物を包装する工場へ出荷される。
【0022】
次に、収容物を収容し包装する工場において、折罫線24,26,28,30を各々90°に正折りして四角形の筒体にする。そして、内側上蓋片54の表面に、折罫線56に沿って糊84を塗布し、折罫線48,66でフラップ46,64を90°に正折りし、内側上蓋片54を折罫線56で正折りし、次に外側上蓋片32を折罫線34で90°に正折りする。これにより、外側上蓋片32の裏面に内側上蓋片54の表面が糊84により糊付けされ、一方の端面が形成される。
【0023】
そして他方の端面から商品である収容物を入れる。収容物は、例えば医薬品である。そして、内側下蓋片58の表面に、折罫線60に沿って糊84を塗布し、折罫線52,70でフラップ50,68を90°に正折りし、内側下蓋片58を折罫線60で正折りし、次に外側下蓋片42を折罫線44で90°に正折りする。これにより、外側下蓋片42の裏面に内側下蓋片58の表面が糊84により糊付けされ、他方の端面が形成され、
図5に示すように包装が完了する。側面14の開口部40には印刷部80が露出し、収容物について成分の容量等の情報が視認可能で注意喚起する。
【0024】
次に、包装用箱10の使用方法について説明する。包装用箱10を開封する時は、
図6に示すように、差込片36を押し込んで開封用破断線38を切断し、側面14から分離させ、差込片36と外側上蓋片32を引き上げる。開封用破断線38を切断する際に、糊付片用破断線74も切断され、差込片用糊付片72は糊付片22から分離し、差込片36の裏面に糊付けされた状態で糊付片22から外れる。外側上蓋片32を引き上げると、外側上蓋片32に糊付けされた内側上蓋片54も引き上げられ、
図1に示すように取出口85が開口され、差込片36で覆われていた印刷部78が露出し、開封済みであることが表示される。
【0025】
収容物を取り出して使用した後、再び包装用箱10に収容し再封する時は、フラップ46,64を正折りし、互いに糊付けされている外側上蓋片32と内側上蓋片54を折罫線56で90°に正折りし、差込片36の差込部36aを糊付片22の端部22aから裏面に差し込み、
図2に示すように再封する。差込片36は、側面14の、切断された開封用破断線38の内側を隙間なく閉鎖する。印刷部78は露出した状態を維持し、開封済みであることを注意喚起する。包装用箱10が不要になると、廃棄用破断線62を切断して外側下蓋片42を開き、箱体形成片12を平坦に折り畳んで廃棄しやすくする。
【0026】
この実施形態の包装用箱10によれば、簡単な構造で、任意の情報が視覚と触覚で注意を引くように設けられ、また再封が可能で便利である。印刷部80は、側面14に紙の厚みの段差を形成する開口部40の内側に表示されるため、開封前に、視覚的にも触覚的にも、収容物の内容についての情報を作業者に伝え、注意喚起することができる。印刷部78は、開封前は差込片36で覆われ、開封して再封したときに表示され、開封済みであることを強く注意喚起することができる。開封後は、折り返したりせずに、簡単な操作で開封済みを示す印刷部78を表示することができる。取出口85の近傍には、印刷部78と印刷部80が表示されているため、容量違いの医薬品や品名が類似している医薬品を間違えて患者に処方するミスを減らすことができる。さらに、開封前にも開封後にも、印刷部78,80により注意喚起の表示を確認することができる。
【0027】
糊82は、印刷部80に達しない位置に塗布されているため、差込片36の側縁部14a側は、糊付片22に糊付けされず、開口部40もあり糊付片22との間に隙間が生じやすいが、折罫線24側は差込片用糊付片72に糊付けされているため、隙間を小さく抑えることができ、他部材に引っ掛かることを防ぐ。差込片用糊付片72は、糊付片用破断線74とスリット76で糊付片22から区切られているため、開封用破断線38を切断して差込片36を側面14から分離させる際に同時に糊付片22から分離され、支障なく円滑に開封することができる。
【0028】
再封は、側面14の一部を切り取って形成した差込片36を使用するため、紙面積を増やすことが無い。差込片36は、開封用破断線38で側面14から分離した状態で、折罫線34から離れる方に突出するフラップとなり、差込片36の差込部36aは外側に膨出する円弧で形成されているため、糊付片22の裏面に差し込みやすく、再封の操作が簡単であり、また確実に係止される。一般的なサック箱のように、何度でも再封することができる。包装用箱10は、構造がシンプルであり、既存の包装機械で作ることができる。
【0029】
次に
他の実施形態について
図7に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の包装用箱86は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片88を組み立てて設けられている。
【0030】
図7は箱体形成片88を表面から見た展開図であり、箱体形成片88は、上記実施形態と同様に、側面14,16,18,20が、互いに平行に連接して形成されている。側面20の側縁部には、包装用箱10の組立状態で側面14の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。側面14,16,18,20、糊付片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られて設けられている。
【0031】
側面14において、側面同士の連接方向に対して直角な方向の一端部には、矩形の外側上蓋片32が折罫線34で区切られて設けられている。側面14の、折罫線34に隣接する部分には、差込片90が設けられている。差込片90は、側面14の側縁部14aに達して設けられ、側縁部14aの所定位置から折罫線24と折罫線34の交点付近に達する開封用破断線92で、周囲と区切られている。開封用破断線92は、側縁部14aに交差して形成され折罫線24から少し離れた位置に達する直線と、この直線の端部から、折罫線24と折罫線34の交点付近に達する直線で形成された逆ヘの字形状であり、差込片90は、折罫線34から離れる方に膨出する略台形状であり、外側上蓋片32よりやや小さい。差込片90の、側縁部14a側の角部は差込部90aとなり、折罫線24に近い方の角部よりも角度が小さく形成され、さらに、側縁部14aからくぼんだ位置にある。差込片90は、開封用破断線92で側面14から分離した状態で、折罫線34から離れる方に突出するフラップとなる。側面14の、側縁部14aに隣接する部分は、前記実施形態の開口部40は設けられていない。側面14の、折罫線34とは反対側の端部には、外側上蓋片32と同形状の外側下蓋片42が折罫線44で区切られて設けられている。
【0032】
糊付片22は、側面20との連接方向と直交する幅方向は側面20と同じであり、連接方向の長さは、側面20の半分以下の細長いものである。なお、前記実施形態の差込片用糊付片72は設けられていない。端部22aの近傍には、包装用箱86の組立状態で差込片90に重なる位置に、「開封済み」と書いた文字が印刷された印刷部94が設けられている。
【0033】
この実施形態の包装用箱86の組立方法は、前記実施形態の包装用箱10とほぼ同じである。糊付片22は細長いため、糊82は1本の直線で塗布し、印刷部94に重ならない位置で止められている。側面14の裏面は糊82により糊付片22の表面に糊付けされ、折り畳み状態となる。糊82は、印刷部94に達しない位置で止められているため、差込片90は、糊付片22に糊付けされないが、隙間が生じることは無い。
【0034】
包装用箱86の使用方法は、前記実施形態の包装用箱10とほぼ同じである。差込片90を押し込んで開封用破断線92を切断し、側面14から分離させ、差込片90と外側上蓋片32を引き上げる。外側上蓋片32に糊付けされた内側上蓋片54も引き上げられ、取出口85が開口される。差込片90で覆われていた印刷部94が露出し、開封済みであることが表示される。収容物を取り出して使用した後、再び包装用箱86に収容し再封する時は、外側上蓋片32と内側上蓋片54を折罫線56で90°に正折りし、差込片90の差込部90aを糊付片22の端部22aから裏面に差し込み、再封する。印刷部94は露出した状態を維持し、開封済みであることを注意喚起する。
【0035】
この実施形態の包装用箱86によれば、前記実施形態の包装用箱10と同様の効果を有し、印刷部94は、開封前は差込片90で覆われ、開封して再封したときに表示され、開封済みであることを注意喚起することができる。差込部90aは鈍角の角部であり、確実に糊付片22の端部22aから裏面に差し込み易く、また面積も広いため確実に係止することができる。
【0036】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、側面の形状や、底蓋片の構造、廃棄用破断線の位置や形状等、適宜変更可能である。各印刷部の文字や絵柄は、収容物にあわせて必要な情報にすることができる。収容物は、医薬品以外にもいろいろな物品に使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10,86 包装用箱
12,88 箱体形成片
14,16,18,20 側面
22 糊付片
32 外側上蓋片
34 折罫線
36,90 差込片
38,92 開封用破断線
40 開口部
72 差込片用糊付片
76 スリット
74 糊付片用破断線
78,80,94 印刷部
85 取出口