(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】液体漂白剤組成物及び液体漂白剤組成物製品
(51)【国際特許分類】
C11D 7/54 20060101AFI20221021BHJP
C11D 1/00 20060101ALI20221021BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20221021BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20221021BHJP
D06L 4/13 20170101ALI20221021BHJP
【FI】
C11D7/54
C11D1/00
C11D3/40
C11D17/04
D06L4/13
(21)【出願番号】P 2018150190
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】菊地 由希子
(72)【発明者】
【氏名】小倉 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】山口 由佳
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-268398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0221005(US,A1)
【文献】特開平10-072598(JP,A)
【文献】特開昭57-212260(JP,A)
【文献】特表2002-515539(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02228429(EP,A1)
【文献】特表2018-520220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
D06L 1/00-4/75
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:過酸化水素と、
(B)成分:下記式(I)で表される化合物
である色素と、
(C)成分:界面活性剤と、
を含有
し、
前記(C)成分が、下記(c1)成分と、下記(c2)成分と、下記(c3)成分とを併用する、液体漂白剤組成物。
(c1)成分:ノニオン界面活性剤
(c2)成分:アニオン界面活性剤
(c3)成分:半極性界面活性剤
【化1】
【請求項2】
25℃におけるpHが2~8である、請求項1に記載の液体漂白剤組成物。
【請求項3】
前記(c1)成分と、前記(c1)成分以外との質量比が、0.25~1.5であり、
前記(c2)成分/前記(c3)成分で表される質量比が、1.1~1.8である、請求項1又は2に記載の液体漂白剤組成物。
【請求項4】
請求項1
~3のいずれか一項に記載の液体漂白剤組成物が、容器本体を備える容器に収容されてなり、
前記容器本体の少なくとも一部は、400~700nmの波長領域における光透過率が10%以上である、液体漂白剤組成物製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物及び液体漂白剤組成物製品に関する。
【背景技術】
【0002】
液体漂白剤組成物は、被洗物に付着した汚れを落とす効果(洗浄力)に優れる。なかでも、漂白剤として過酸化水素を含む組成物は、色柄物にも使用できる手軽さから現在広く使用されている。
環境負荷の低減を目的として、プラスチック製パウチ入りの液体漂白剤組成物(パウチ入り漂白剤)が普及してきている。通常、パウチの内容物は、プラスチックボトルに詰め替えられてから使用される。
大容量のパウチ入り漂白剤をプラスチックボトルに詰め替える際には、プラスチックボトルの液位を確認しながら詰め替える必要がある。詰め替えて繰り返し使用するプラスチックボトルには、その側面に液残量を確認するための窓部が形成されている。液体漂白剤組成物を着色することにより、窓部から液を視認しやすくなる(液位視認性が高まる)。液位視認性が高まることにより、詰替え時や使用の際に液量を容易に確認できる。また、塗布洗浄の際にも液の広がりを視認できるため使用性も向上できる。
【0003】
過酸化水素を含む液体漂白剤組成物は、保管中に退色する傾向がある。例えば、色素として青色1号を含有する液体洗浄剤組成物は、漂白剤を配合すると保存後に脱色しやすいという問題があった。
こうした問題に対し、特許文献1は、過酸化水素と、フェノール系ラジカルトラップ剤と、染料と、界面活性剤とを含有する液体漂白剤組成物について提案している。特許文献1の液体漂白剤組成物によれば、色調安定性を発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液体漂白剤組成物では、日光曝露条件下での色調安定性を高めているものの、高温(例えば、50℃)保管後の色調安定性及び液位視認性については充分ではなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、色調安定性及び液位視認性により優れる液体漂白剤組成物及び液体漂白剤組成物製品を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
鋭意検討を重ねた結果、本発明者等は、特定の構造を有する色素を配合することで、高温保管後の色調安定性及び液位視認性に優れる液体漂白剤組成物が得られることを見出した。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
【0008】
[1](A)成分:過酸化水素と、(B)成分:下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物から選ばれる1種以上の色素と、(C)成分:界面活性剤と、を含有する、液体漂白剤組成物。
【0009】
【0010】
【0011】
[2]25℃におけるpHが2~8である、[1]に記載の液体漂白剤組成物。
[3]前記(C)成分が、(c1)成分:ノニオン界面活性剤、(c2)成分:アニオン界面活性剤、及び(c3)成分:半極性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有する、[1]又は[2]に記載の液体漂白剤組成物。
[4]前記(c2)成分と、前記(c3)成分とを含有し、前記(c2)成分/前記(c3)成分で表される質量比が0.9~2.0である、[3]に記載の液体漂白剤組成物。
[5]前記(c2)成分がポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩(AES)であり、前記(c3)成分がラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX)である、[3]又は[4]に記載の液体漂白剤組成物。
[6]前記(B)成分の質量ppmに対する前記(A)成分の質量%の比率((A)質量%/(B)質量ppm)が、0.005~50である、[1]~[5]のいずれかに記載の液体漂白剤組成物。
[7]前記(B)成分の質量ppmに対する前記(C)成分の質量%の比率((C)質量%/(B)質量ppm)が、0.01~700である、[1]~[6]のいずれかに記載の液体漂白剤組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の液体漂白剤組成物が、容器本体を備える容器に収容されてなり、前記容器本体の少なくとも一部は、400~700nmの波長領域における光透過率が10%以上である、液体漂白剤組成物製品。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体漂白剤組成物によれば、色調安定性及び液位視認性により優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の液体漂白剤組成物製品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[液体漂白剤組成物]
本発明の液体漂白剤組成物(以下、単に「液体漂白剤」ともいう。)は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物である。
液体漂白剤は、洗剤と共に用いる助剤(いわゆる漂白剤)でもよく、漂白剤入りの洗剤(いわゆる漂白洗浄剤)でもよい。
いわゆる漂白剤とは、主に処理の対象となる被処理物の漂白を目的とし、漂白効果を重視した組成物である。
いわゆる漂白洗浄剤とは、主に被処理物の洗浄を目的とし、漂白剤よりは漂白効果は劣るが、洗浄力を重視した組成物である。
【0015】
<(A)成分>
(A)成分は、過酸化水素である。
(A)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0質量%超~5質量%未満が好ましく、0.5~4.5質量%がより好ましく、1~4質量%がさらに好ましい。
(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力を向上しやすい。
(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、色調安定性を向上しやすい。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物から選ばれる1種以上の色素である。本発明の液体漂白剤は、(B)成分を含有することで、色調安定性に優れやすい。これは、色素退色の原因となり得る過酸化水素の存在下においても、(B)成分は、分子内電荷移動状態の安定性に優れるためであると考えられる。
【0017】
【0018】
【0019】
上記式(I)で表される化合物は、1,4-ビス[(4-メチルフェニル)アミノ]アントラセン-9,10-ジオン(キニザリングリーンSS、C.I.Solvent Green 3(ソルベントグリーン3、緑色202号))である。
上記式(II)で表される化合物は、1,4-ビス(フェニルアミノ)アントラセン-9,10-ジオンである。
色調安定性により優れる観点から、(B)成分としては、上記式(I)で表される化合物(以下、「緑色202号」ともいう。)が好ましい。
【0020】
(B)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.1~100質量ppmが好ましく、0.5~30質量ppmがより好ましく、0.5~10質量ppmがさらに好ましい。
(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、液位視認性を向上しやすい。
(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、被洗物に着色しにくい。
【0021】
<(C)成分>
(C)成分は、界面活性剤である。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤((c1)成分)、アニオン界面活性剤((c2)成分)、半極性界面活性剤((c3)成分)、両性界面活性剤((c4)成分)、カチオン界面活性剤((c5)成分)が挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
((c1)成分)
(c1)成分は、ノニオン界面活性剤である。
(c1)成分としては、従来、液体洗浄剤に用いられているものであればよく、例えば、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン(炭素数8~22のアミン)等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
これらの(c1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、液体漂白剤の安定性、洗浄力等の点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましく、下記式(c1-1)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(以下、化合物(c1-1)ということがある。)が特に好ましい。
R1-X-[(EO)p/(PO)q]-R2 ・・・(c1-1)
(c1-1)式中、R1は炭化水素基であり、-X-は2価の連結基であり、R2は水素原子、アルキル基又はアルケニル基である。EOはオキシエチレン基であり、pはEOの平均繰り返し数を表す数である。POはオキシプロピレン基であり、qはPOの平均繰り返し数を表す数である。
R1は炭素数が6~22であることが好ましく、8~22がより好ましく、10~18がさらに好ましく、12~16が特に好ましい。
R1の炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。R1の炭化水素基は、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
-X-としては、-O-、-COO-、-CONH-等が挙げられ、-O-が好ましい。-X-が-O-のとき、R2としては、水素原子が好ましい。
pは3~20であることが好ましく、4~18がより好ましく、5~12がさらに好ましく、6~9が特に好ましい。qは0~6であることが好ましく、0~3であることがより好ましい。また、pとqの合計は5~20であることが好ましい。
qが0でない場合、つまり化合物(c1-1)がEOとPOとの両方を有する場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法が挙げられる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
(c1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
液体漂白剤がいわゆる漂白剤である場合、(c1)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.5~15質量%が好ましく、0.5~12質量%がより好ましく、0.5~7質量%がさらに好ましい。
(c1)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力を向上しやすい。
(c1)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の外観安定性を向上しやすい。
【0024】
液体漂白剤がいわゆる漂白洗浄剤である場合、(c1)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、5~65質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~55質量%がさらに好ましい。
(c1)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄力を向上しやすい。
(c1)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の外観安定性を向上しやすい。
【0025】
((c2)成分)
(c2)成分は、アニオン界面活性剤である。
(c2)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸又はその塩(AES)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩(AS)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩(SAS)、α-スルホ脂肪酸エステル塩(MES)等が挙げられる。これらの(c2)成分における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
(c2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
AESとしては、具体的には、下記式(c2-1)で表される化合物が好ましい。
R3-[(EO)m/(PO)n]-SO3
-M+・・・(c2-1)
式(c2-1)中、R3は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である。EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。mは、EOの平均繰り返し数を表し、0以上の数である。nは、POの平均繰り返し数を表し、0~6の数である。0<m+nである。M+は対カチオンである。
AESとしては、炭素数10~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有し、平均1~5モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。
R3の炭素数は、10~20が好ましく、12~14がより好ましい。
EOの平均繰り返し数は、0~5が好ましく、0.5~2.5がより好ましく、1.5~2.5がさらに好ましい。
POの平均繰り返し数は0~3が好ましく、0がより好ましい。
M+としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンから誘導されるカチオン等が挙げられる。
(EO)m/(PO)nにおいて、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。
市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造してもよい。公知の製造方法としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに、無水硫酸を反応させるか、クロルスルホン酸を反応させる方法が挙げられる。
【0027】
LASとしては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16のものが好ましく、炭素数10~14のものが特に好ましい。
AOSとしては、炭素数10~20のものが好ましい。
ASとしては、アルキル基の炭素数が10~20のものが好ましい。
SASとしては、アルキル基の炭素数が10~20のものが好ましく、14~17のものがより好ましい。中でも、前記アルキル基が2級アルキル基であるもの(すなわち2級アルカンスルホン酸塩)が特に好ましい。
MESとしては、脂肪酸残基の炭素数が10~20のものが好ましい。
これらの中でも、洗浄力と安定性に優れる点で、AES、LAS、SAS、AOSが好ましく、AESがより好ましい。
【0028】
液体漂白剤がいわゆる漂白剤である場合、(c2)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0~10質量%が好ましく、0.5~8質量%がより好ましく、0.5~7質量%がさらに好ましい。
(c2)成分の含有量が上記数値範囲内であると、対象物に直接塗布するのに適した粘度及びより良好な外観安定性を有する液体漂白剤を得ることができる。
【0029】
液体漂白剤がいわゆる漂白洗浄剤である場合、(c2)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0~40質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、1~7質量%がさらに好ましい。
(c2)成分の含有量が上記数値範囲内であると、対象物に直接塗布するのに適した粘度及びより良好な外観安定性を有する液体漂白剤を得ることができる。
【0030】
((c3)成分)
(c3)成分は、半極性界面活性剤である。
(c3)成分としては、アミンオキシド型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX)等が挙げられる。
【0031】
((c4)成分)
(c4)成分は、両性界面活性剤である。
(c4)成分としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0032】
((c5)成分)
(c5)成分は、カチオン界面活性剤である。
(c5)成分としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられ、アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲンイオンとしてフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、アルキル硫酸イオンとして、炭素数1~3のアルキル基を有するものが好ましく、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。(c5)成分は、設備への腐食性の点から、メチル硫酸塩、エチル硫酸塩として用いることが好ましい。
【0033】
液体漂白剤は、(c1)成分と、(c2)~(c5)成分から選ばれる1種以上とを併用することが好ましい。(c1)成分と、(c2)~(c5)成分から選ばれる1種以上とを併用する場合、(c1)成分と(c2)~(c5)成分の合計(以下、「(c1)成分以外」ともいう。)との質量比(以下、「c1/c1以外の比」ともいう。)は、0.25~20が好ましく、0.25~1.5がより好ましい。
c1/c1以外の比が上記数値範囲内であると、液体漂白剤の外観安定性をより向上しやすい。
【0034】
液体漂白剤は、漂白活性だけではなく、洗浄力を向上するために(c2)成分を含有することが好ましい。
しかし、(c2)成分として、AESやLASを多く配合すると、液体漂白剤の洗浄力を向上できるが、液体漂白剤の安定性が悪く、組成物が白濁して液位視認性が低下する場合がある。特に、容器の内壁が白色の場合は、白濁した液体漂白剤の色が容器の内壁の色と同じ白色になるため、液位視認性がより低下する場合がある。
そこで、液体漂白剤は、(c3)成分を含有することが好ましい。液体漂白剤が、(c2)成分と(c3)成分との双方を含有することで、(c2)成分と(c3)成分とがコンプレックスを形成し、液体漂白剤の白濁を抑制できる。加えて、液体漂白剤の洗浄力が向上する。
このような効果を奏する(c2)成分と(c3)成分との組み合わせとしては、AESとAPAXとの組み合わせが好ましい。
また、上述した(B)成分と、水との混和を促進するために、液体漂白剤は、(c1)成分を含有することが好ましい。(c1)成分としては、上述した化合物(c1-1)が好ましく、AE6(上記式(c1-1)中、R1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、R2が水素原子であり、XがOであり、pが6であり、qが0である化合物。)がより好ましい。
液体漂白剤としては、(c1)成分と(c2)成分と(c3)成分とを併用することが好ましく、AE6とAESとAPAXとを併用することが特に好ましい。
【0035】
液体漂白剤が、(c2)成分と(c3)成分とを含有する場合、(c2)成分/(c3)成分で表される質量比(以下、「c2/c3比」ともいう。)は、0.9~2.0が好ましく、1.0~1.9がより好ましく、1.1~1.8がさらに好ましい。
c2/c3比が上記数値範囲内であると、液体漂白剤の液位視認性をより向上しやすい。
【0036】
(c3)~(c5)成分の合計の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0~10質量%が好ましく、0.2~5質量%がより好ましく、0.3~3質量%がさらに好ましく、0.5~1.8質量%が特に好ましい。
(c3)~(c5)成分の合計の含有量が上記数値範囲内であると、液体漂白剤の外観安定性をより向上しやすい。
【0037】
(C)成分の含有量(界面活性剤の合計量)は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.5質量%以上が好ましい。
液体漂白剤がいわゆる漂白剤である場合、(C)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.5~30質量%が好ましく、1.5~25質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、液体漂白剤の洗浄力を向上しやすい。
(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の外観安定性を向上しやすい。
【0038】
液体漂白剤がいわゆる漂白洗浄剤である場合、(C)成分の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、5~70質量%が好ましく、10~65質量%がより好ましく、20~60質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、液体漂白剤の洗浄力を向上しやすい。
(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の外観安定性を向上しやすい。
【0039】
(B)成分の質量ppmに対する(A)成分の質量%の比率((A)質量%/(B)質量ppm、以下、「A/B比」ともいう。)は、0.005~50が好ましく、0.1~10がより好ましく、0.5~5がさらに好ましい。
A/B比が上記下限値以上であると、被洗物への着色(布への染着性)を抑制しやすい。
A/B比が上記上限値以下であると、液体漂白剤の色調安定性が保たれやすい。
【0040】
(B)成分の質量ppmに対する(C)成分の質量%の比率((C)質量%/(B)質量ppm、以下、「C/B比」ともいう。)は、0.01~700が好ましく、0.1~70がより好ましく、1~65がさらに好ましい。
C/B比が上記下限値以上であると、被洗物への着色(布への染着性)を抑制しやすい。
C/B比が上記上限値以下であると、液体漂白剤の色調安定性が保たれやすい。
【0041】
<任意成分>
本発明の液体漂白剤は、上記(A)~(C)成分以外に、液体漂白剤に通常用いられる任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、ラジカルトラップ剤、有機溶剤、緩衝剤、香料、溶媒、ハイドロトロープ剤、抗菌剤、漂白活性化剤等が挙げられる。
【0042】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア等が挙げられる。
【0043】
(キレート剤)
キレート剤としては、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)が挙げられる。
液体漂白剤がキレート剤を含有する場合、キレート剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~3質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。
キレート剤の含有量が上記数値範囲内であると、保存後の容器の膨らみを抑制しやすい。
【0044】
(ラジカルトラップ剤)
ラジカルトラップ剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
ラジカルトラップ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカルトラップ剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0~0.2質量%未満が好ましく、0~0.1質量%がより好ましく、0~0.05質量%がさらに好ましい。
ラジカルトラップ剤の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の臭気を抑制しやすい。
【0045】
(有機溶剤)
有機溶剤としては、水混和性有機溶剤が好ましい。本明細書において、水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに20g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶剤としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のアルキルエーテル類;フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル等の芳香族エーテル類等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、3-メトキシー3-メチル-1-ブタノール、フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。
水混和性有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体漂白剤が水混和性有機溶剤を含有する場合、水混和性有機溶剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.1~15質量%が好ましい。
【0046】
(緩衝剤)
緩衝剤としては、クエン酸、ホウ酸化合物、例えば、四ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
液体漂白剤が緩衝剤を含有する場合、緩衝剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.01~2質量%が好ましい。
【0047】
(香料)
香料は、香料原料単体、又は、香料原料と香料用溶剤と香料安定化剤等とからなる香料組成物を含むものであり、液体漂白剤に通常用いられる香料を配合することができる。
液体漂白剤が香料を含有する場合、香料の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.01~1.0質量%が好ましい。
【0048】
(溶媒)
溶媒として水を含むことが好ましい。
本発明の液体漂白剤は、水溶液であることが好ましく、エマルジョンを形成していないことが好ましい。
水の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、30質量%以上が好ましく、35~95質量%がより好ましく、50~95質量%がさらに好ましく、80~90質量%が特に好ましい。
【0049】
(ハイドロトロープ剤)
ハイドロトロープ剤としては、例えば、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、安息香酸塩、尿素等が挙げられる。
液体漂白剤がハイドロトロープ剤を含有する場合、ハイドロトロープ剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.01~15質量%が好ましい。
【0050】
(抗菌剤)
抗菌剤としては、例えば、4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、8-オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
液体漂白剤が抗菌剤を含有する場合、抗菌剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0質量%超3質量%以下が好ましく、0.001~1質量%がより好ましく、0.005~0.5質量%がさらに好ましく、0.01~0.3質量%が特に好ましい。
【0051】
(漂白活性化剤)
漂白活性化剤は、それ自体は漂白効果を持たないが、液体漂白剤中で過酸化水素と反応して酸化力の高い有機過酸に変わる物質である。
漂白活性化剤としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、テトラアセチルエチレンジアミン;炭素数1~18、好ましくは炭素数8~12のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩;炭素数1~18、好ましくは炭素数8~12のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシ安息香酸又はその塩が挙げられる。
このうち、4-デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS、4-ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS))、4-ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(NOBS)が好ましい。
漂白活性化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体漂白剤が漂白活性化剤を含有する場合、漂白活性化剤の含有量は、液体漂白剤の総質量に対して、0.1~2質量%が好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.4~1質量%がさらに好ましい。
漂白活性化剤の含有量が上記下限値以上であると、液体漂白剤における黄ばみに対する漂白力が高まる。
漂白活性化剤の含有量が上記上限値以下であると、液体漂白剤の外観安定性を向上しやすい。
【0052】
なお、本発明の液体漂白剤を構成する成分の合計量は、100質量%を超えない。
【0053】
・pH
液体漂白剤の25℃におけるpHは、2~8が好ましく、2.5~7がより好ましく、4~6.5がさらに好ましく、5~6.5が特に好ましい。
液体漂白剤の25℃におけるpHが上記下限値以上であると、液体洗浄剤の洗浄力を向上しやすい。
液体漂白剤の25℃におけるpHが上記上限値以下であると、液体洗浄剤の色調安定性を良好にしやすい。
液体漂白剤の25℃におけるpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
なお、本明細書において、pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
【0054】
[液体漂白剤の製造方法]
本発明の液体漂白剤は、例えば、(A)~(C)成分と、必要に応じて任意成分を混合し、必要に応じて所定のpHになるように調整することによって製造できる。
【0055】
[液体漂白剤の使用方法]
本発明の液体漂白剤の使用方法は、例えば、液体漂白剤を単独で、又は公知の洗浄剤や柔軟剤とともに水に入れて洗浄液とし、この洗浄液に被洗物を入れ、洗濯機で洗浄する方法、液体漂白剤をあらかじめ水に溶解し、これに被洗物を浸漬し、その後洗濯機で洗浄する方法等が挙げられる。また、液体漂白剤を被洗物に塗布した後、適宜放置し、その後、通常の洗濯を行ってもよい。
被洗物としては、例えば、衣料、布帛、シーツ、カーテン、絨毯等の繊維製品が挙げられる。
洗浄液中の液体漂白剤の含有量は、特に限定されない。水に対する液体漂白剤の添加量は、例えば、水10L当たり、液体漂白剤2~15mLとされる。
【0056】
[液体漂白剤組成物製品]
本発明の液体漂白剤組成物製品(以下、単に「漂白剤製品」ともいう。)は、本発明の液体漂白剤が、容器本体を備える容器に収容されてなる。
図1は、本発明の漂白剤製品の一例を示す斜視図である。
図1の漂白剤製品1は、液体漂白剤10を収容する正面視で八角形の扁平な外観の容器本体100と、着脱可能に取り付けられたキャップ110とを備える。
容器本体100の少なくとも一部の光透過率は10%以上である。なお、本明細書において、光透過率は400~700nmの波長領域における値であり、光透過率の測定には、株式会社島津製作所製SolidSpec-3700を用いた。
例えば、
図1において、容器本体100は、内部を視認可能な窓部20を側面に有する。窓部20は容器本体100の縦方向(高さ方向)に沿って形成されている。窓部20は、光透過率が10%以上である。
窓部20の面積は、容器の全表面積に対し、0.5面積%以上が好ましい。
【0057】
容器は、可撓性容器であることが好ましい。「可撓性」とは、容器内の圧力が変化した際に、容器が破損せずに柔軟に変形することをいう。
可撓性容器としては、プラスチック製容器、紙製容器、金属製容器等が挙げられる。
プラスチック製容器の構成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート(CP)、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS)等が挙げられる。
金属製容器の構成材料としては、アルミニウム等が挙げられる。
その他、紙に金属箔を貼り合せた積層体や、プラスチックに紙を貼り合せた積層体、プラスチックに金属箔を貼り合せた積層体等も用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
[実施例1~16、比較例1]
表1~2に示す組成に従い、各成分を混合して各液体漂白剤を得た。なお、実施例4~7、13~16は、参考例である。
表中の組成の単位は、(B)成分は「質量ppm」、(B)成分以外は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の「-」は、その成分が配合されていないことを示す。
表中の「適量」は、各例の液体漂白剤のpHを表中の値にするのに要したpH調整剤の量である。
表中の「バランス」は、各例の液体漂白剤に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
本実施例において使用した原料は、下記の[使用原料]に示す通りである。
【0060】
[使用原料]
<(A)成分>
・a-1:過酸化水素(35質量%工業用過酸化水素、三菱ガス化学株式会社製)。
【0061】
<(B)成分>
・b-1:C.I.Solvent Green 3(緑色202号、構造は下記式(I)、癸巳化成株式会社製、緑色202号。
【0062】
【0063】
<(B)成分の比較品>
・b’-1:C.I.Solvent Blue 63(青色403号、構造は下記式(III)、癸巳化成株式会社製、青色403号。
【0064】
【0065】
<(C)成分>
((c1)成分)
・c1-1a(AE6):ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL-60」;上記式(c1-1)中、R1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、R2が水素原子であり、XがOであり、pが6であり、qが0である化合物。
・c1-1b(AE9):ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ライオン株式会社製、商品名「レオックスCL-90」;上記式(c1-1)中、R1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、R2が水素原子であり、XがOであり、pが9であり、qが0である化合物。
・c1-1c(EOPO):ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(EOPO型ノニオン)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(EOPO型ノニオン、天然アルコールCO1270(C12/C14=7/3(質量比)、プロクター・アンド・ギャンブル社製)に、8モルのエチレンオキサイドと、2モルのプロピレンオキサイドと、8モルのエチレンオキサイドとをこの順でブロック付加して得られたノニオン界面活性剤);上記式(c1-1)中、R1が炭素数12及び炭素数14の直鎖状のアルキル基であり、R2が水素原子であり、XがOであり、pが16であり、qが2である化合物。
・c1-2:ソフタノール、セカンダリーアルコールエトキシレート、株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール70」。
((c2)成分)
・c2-1(AES):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩(AES、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、EOの平均付加モル数2)、新日本理化株式会社製、商品名「シノリン SPE―1250」;上記式(c2-1)中、R3が炭素数12のアルキル基であり、M+がナトリウムイオンであり、mが2であり、nが0である化合物。
・c2-2(LAS):直鎖アルキル(炭素数10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ライオン株式会社製、商品名「ライポンLS250」。
・c2-3:石鹸、日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」。
((c3)成分)
・c3-1(APAX):ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX)、クラリアント社製、商品名「GENAMINOX AP」;下記式(c3-1)において、R4が炭素数11の直鎖状アルキル基であり、R5及びR6がメチル基であり、tが3である化合物。
【0066】
【0067】
((c5)成分)
・c5-1:ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、第一工業製薬株式会社製、商品名「カチオーゲンES-L」;下記式(c5-1)において、R7はドデシル基、R8はメチル基、R9はメチル基、R10はエチル基、Z1
-は硫酸エチルイオンである化合物。
【0068】
【0069】
<任意成分>
・キレート剤:1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、イタルマッチ社製、商品名「デイクエスト2010」。
・溶剤1:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、株式会社クラレ製、商品名「ソルフィット」;下記式(IV)において、R11がメチル基、R12、R13及びR14が水素原子である化合物。
CH3OCR11(CH3)CHR12CHR13OR14 ・・・(IV)
・溶剤2:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」。
・ハイドロトロープ剤:p-トルエンスルホン酸(PTS)、協和発酵工業株式会社製、商品名「PTS酸」。
・ラジカルトラップ剤:p-メトキシフェノール、川口化学工業株式会社製、商品名「MQ-F」。
・緩衝剤:クエン酸、関東化学株式会社製、商品名「クエン酸」。
・抗菌剤1:ポリヘキサメチレンビグアニド(Proxel IB)、ロンザジャパン株式会社製、商品名「Proxel IB」;下記式(V)の化合物。
【0070】
【0071】
・抗菌剤2:4,4’-ジクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(チノサン)、BASF社製、商品名「Tinosan HP100」。
・漂白活性化剤:4-ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(OBS)、特開2011-57745号公報の段落[0114]に記載の手順で合成したもの。
・香料:特開2011-225743号公報の表1~6に記載の香料組成物A。
・pH調整剤:硫酸(日産化学工業株式会社製)、水酸化ナトリウム(旭硝子株式会社製)。
・水:精製水。
【0072】
得られた各例の液体漂白剤について、以下の評価を行った。その結果を表1~2に併記する。
【0073】
<色調安定性の評価>
透明のガラス製瓶に、各例の液体漂白剤100gをそれぞれ充填し、蓋を閉めて密封した。この瓶を遮光下で、50℃にて30日間静置して保存した。
かかる保存の後、液の外観を目視で観察し、保存前の液体漂白剤の色調と比べて、下記評価基準に従って、液体漂白剤の色調の安定性を目視で評価した。
《評価基準》
〇:色調が保持されていた。
×:色調が悪化した。
【0074】
<液位視認性の評価>
50℃にて30日間静置して保存した後の各例の液体漂白剤を、口栓付きパウチに詰め、液位を視認可能な窓部をもつ容器(内壁が白色の容器)に注ぎ込み、液位の視認性を下記評価基準に従って目視で評価した。
《評価基準》
◎:液面の判別が容易である(一見して判別できる)。
○:液面の判別がやや容易である。
×:液面の判別が容易でない(一見して判別できない)。
【0075】
<洗浄力の評価>
(1)油汚れ汚垢布の作製
3cm×3cmに裁断したポリエステルトロピカル布に、ラー油(エスビー株式会社製)0.02mLを滴下し、室温にて一晩風乾したものを「洗浄前の油汚れ汚垢布」とした。
(2)洗浄試験
油汚れ汚垢布5枚のそれぞれに対し、同じ液体漂白剤を0.12mLずつ塗布し、5分間静置した。
その後、水温15℃に調整した水道水900mLを入れた洗浄試験機(Terg-O-Tometer)に、洗剤(ライオン株式会社製、商品名「トップクリアリキッド」)0.75gと油汚れ汚垢布5枚を入れ、120rpmで10分間洗浄した(浴比20倍)。
洗浄後に、脱水を行い、水道水(15℃)900mLで3分間のすすぎを行った。すすぎ後、脱水し、アイロンで乾燥したものを「洗浄後の油汚れ汚垢布」とした。
(3)洗浄力の評価
洗浄力は、測色色差計(日本電色工業株式会社製、商品名SE2000)を用い、汚れ付着前の原布(ラー油を滴下する前のポリエステルトロピカル布)、及び洗浄試験前後の油汚れ汚垢布についてZ値(反射率)を測定し、下式より洗浄率を算出することにより評価した。評価は、5枚の油汚れ汚垢布について算出した洗浄率の平均値を求め、下記評価基準に従って洗浄力を評価した。
洗浄率(%)=(洗浄後の油汚れ汚垢布のZ値-洗浄前の油汚れ汚垢布のZ値)/(原布のZ値-洗浄前の油汚れ汚垢布のZ値)×100
《評価基準》
◎:洗浄率の平均値が30%以上。
○:洗浄率の平均値が20%以上30%未満。
△:洗浄率の平均値が10%以上20%未満。
×:洗浄率の平均値が10%未満。
【0076】
<外観安定性の評価>
50℃にて30日間静置して保存した後の各例の液体漂白剤の外観を目視で観察し、下記評価基準に従って液体漂白剤の外観安定性(液安定性)を評価した。
《評価基準》
◎:30日間均一で分離がない。
○:20日間均一で分離がないが、30日間で濁り、分離又は浮遊が見られる。
×:20日未満で濁り、分離又は浮遊が見られる。
【0077】
【0078】
【0079】
表1~2に示すように、本発明を適用した実施例1~16は、色調安定性及び液位視認性に優れていた。
一方、(B)成分の代わりに比較成分を用いた比較例1は、色調安定性及び液位視認性が「×」だった。
【0080】
本発明の液体漂白剤組成物によれば、色調安定性及び液位視認性により優れることが分かった。
【符号の説明】
【0081】
1 液体漂白剤組成物製品
10 液体漂白剤組成物
20 窓部
100 容器本体
110 キャップ