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特許7162470会話音声レベル通知システム及び会話音声レベル通知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】会話音声レベル通知システム及び会話音声レベル通知方法
(51)【国際特許分類】
   G10L 25/51 20130101AFI20221021BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
G10L25/51
G08B21/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018154473
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2020030271
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(72)【発明者】
【氏名】増田 崇
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆士
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213278(JP,A)
【文献】特開2015-111253(JP,A)
【文献】特開2019-090962(JP,A)
【文献】特開平04-303900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 13/00-25/93
G08B 21/24
G10K 11/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の席あるいは作業者が打ち合わせを行う打ち合わせスペースである領域毎に配置された在席検知センサと、
前記領域毎に配置された音声センサと、
前記音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、前記音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する判定部と、
前記判定部の判定により音声が含まれていると判定されると、前記在席検知センサの出力により、前記領域における前記作業者の在席の有無を検出する在席検知部と、
前記領域に配置された前記音声センサから作業者の音声データを入力する音声入力部と、
前記作業者の在席している前記領域の各々における前記音声データから、音声が伝搬した際の、他の作業者が在席している他の領域における音声強度を、前記領域と他の領域とが配置された距離に基づき予測する音声予測部と、
前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えたか否かの判定を行う音声判定部と、
前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えた場合、前記領域毎に設けられた通知装置によって、その音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させる音声通知部と
を備えることを特徴とする会話音声レベル通知システム。
【請求項2】
前記通知装置は前記会話音声レベル通知システムに接続されたパーソナルコンピュータであり、 前記音声通知部が、当該パーソナルコンピュータの表示画面に対し、前記音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させることを特徴とする請求項1に記載の会話音声レベル通知システム。
【請求項3】
前記閾値が複数段階に設けられており、前記音声強度がそれぞれの段階を超える毎に、異なった通知を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の会話音声レベル通知システム。
【請求項4】
音声入力部が、作業者の席あるいは作業者が打ち合わせを行う打ち合わせスペースである領域に配置された音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、前記音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する判定過程と、
在席検知部が、前記領域毎に配置された在席検知センサの出力により、前記領域における前記作業者の在席の有無を検出する在席検知過程と、
前記音声センサから作業者の音声データを入力する音声入力過程と、
音声予測部が、前記作業者の在席している前記領域の各々における前記音声データから、音声が伝搬した際の、他の作業者が在席している他の領域における音声強度を、前記領域と他の領域とが配置された距離に基づき予測する音声予測過程と、
音声判定部が、前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えたか否かの判定を行う音声判定過程と、
音声通知部が、前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えた場合、前記領域毎に設けられた通知装置によって、その音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させる音声通知過程と
を含むことを特徴とする会話音声レベル通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他者の会話を阻害する会話音声レベルとなると、話者に対してその旨を通知する会話音声レベル通知システム及び会話音声レベル通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多人数の作業者が執務するオフィス空間においては、空調機器やOA(Office Automation)機器が発生する騒音に加え、他者の電話や打ち合わせによる無関係な会話音声が存在する。このため、作業者が上述した会話音声によって執務に集中できず、執務の効率が低下する場合がある。その結果、生産性を低下させる要因になる。 また、作業者本人が電話あるいは打ち合わせなどにおいて会話を行っている場合、近くの席や隣接した打ち合わせスペースからの他の作業者の無関係な音声は、上記作業者本人の会話の阻害要因となる。
【0003】
無関係な音声によって執務が阻害された場合、作業者が自身の会話を継続させようとして、自覚せずに自然と大きな声を発生するようなことがある。 また、複数の作業者の各々の相互作用により、お互いの会話音声の声が無意識に徐々に大きくなっていくような場合もある。この結果、多くの作業者が他の作業者より大きな声で会話を行おうとするため、オフィス空間全体の喧騒化につながってしまう。
【0004】
そこで、発明者は引用文献1(特許第6296291号公報)において、執務空間において、作業者の席あるいは打ち合わせスペースに音声センサを設置し、その音声センサで計測された会話音声のレベルが他者業務を阻害するレベルに達する場合に、その旨を通知するシステム・方法を提案した。
【文献】特許第6296291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の引用文献1記載の技術においては、音声センサに含まれる分析装置は、マイクロフォンの出力を中心周波数250Hzまたは500Hzのオクターブバンドフィルタ処理、あるいは人の聴感特性を模擬した特性のフィルタ処理した結果を音声データとしている。これは、様々な音の中から音声のみを抽出して、その音圧レベルを高い精度で計測するための工夫である。
【0006】
しかしながら、上記のような単純なフィルタ処理のみでは音声を精度よく抽出するには必ずしも十分でなく、上記フィルタ処理後の音声データに音声以外の音が混入することにより、システムが誤った通知を行ってしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明に係る会話音声レベル通知システムは、 作業者の席あるいは作業者が打ち合わせを行う打ち合わせスペースである領域毎に配置された在席検知センサと、前記領域毎に配置された音声センサと、前記音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、前記音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する判定部と、前記判定部の判定により音声が含まれていると判定されると、前記在席検知センサの出力により、前記領域における前記作業者の在席の有無を検出する在席検知部と、 前記領域に配置された前記音声センサから作業者の音声データを入力する音声入力部と、 前記作業者の在席している前記領域の各々における前記音声データから、音声が伝搬した際の、他の作業者が在席している他の領域における音声強度を、前記領域と他の領域とが配置された距離に基づき予測する音声予測部と、 前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えたか否かの判定を行う音声判定部と、 前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えた場合、前記領域毎に設けられた通知装置によって、その音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させる音声通知部と を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システムは、前記通知装置は前記会話音声レベル通知システムに接続されたパーソナルコンピュータであり、 前記音声通知部が、当該パーソナルコンピュータの表示画面に対し、前記音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させることを特徴とする
また、本発明に係る会話音声レベル通知システムは、前記閾値が複数段階に設けられており、前記音声強度がそれぞれの段階を超える毎に、異なった通知を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る会話音声レベル通知方法は、音声入力部が、作業者の席あるいは作業者が打ち合わせを行う打ち合わせスペースである領域に配置された音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、前記音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する判定過程と、 在席検知部が、前記領域毎に配置された在席検知センサの出力により、前記領域における前記作業者の在席の有無を検出する在席検知過程と、 前記音声センサから作業者の音声データを入力する音声入力過程と、 音声予測部が、前記作業者の在席している前記領域の各々における前記音声データから、音声が伝搬した際の、他の作業者が在席している他の領域における音声強度を、前記領域と他の領域とが配置された距離に基づき予測する音声予測過程と、 音声判定部が、前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えたか否かの判定を行う音声判定過程と、 音声通知部が、前記音声強度のいずれかが予め設定された閾値を超えた場合、前記領域毎に設けられた通知装置によって、その音声強度のレベル及び/または前記音声強度の抑制を通知させる音声通知過程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る会話音声レベル通知システム及び会話音声レベル通知方法は、音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する。このような本発明に係る会話音声レベル通知システム及び会話音声レベル通知方法によれば、音声センサで集音された音に、人の音声が含まれるかを精度高く判定することで、システムが誤った通知を行ってしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による会話音声レベル通知システム1の構成を示すブロック図である。
図2】音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルの構成例を示す図である。
図3】距離記憶部118に記憶されている、領域識別番号の示す席S_1から席S_2から席S_9までの距離を示す距離テーブルの構成例を示す図である。
図4】席毎の作業者が発生する音声の他の席における予測音声レベルと、この予測音声レベルの評価結果とを示す伝搬予測データテーブルの構成例を示す図である。
図5】会話音声レベル通知システム1による会話音声の抑制を行う動作例を示すフローチャートである。
図6】打合スペースにおける会話の有無に応じた音圧レベルの周波数特性を示す図である。
図7】打合スペースにおける会話の有無に応じたLdiffの度数分布を示す図である。
図8】閾値LTの設定値と判定精度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。 図1は、本実施形態による会話音声レベル通知システム1の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、オフィス空間に配置された領域である席S_1から席S_9までの作業者の音声のレベルを制御する構成を例として説明するが、打ち合わせブース(打ち合わせスペース)でも同様に構成することができる。
【0013】
会話音声レベル通知システム1は、会話音声レベル通知装置11と、席S_1から席S_9の各席に配置されている通知装置21から通知装置29と、在席検知センサ31から在席検知センサ39と、音声センサ41から音声センサ49とから構成されている。
【0014】
音声センサ41から音声センサ49の各々は、例えばマイクロフォンと分析装置とを備えている。マイクロフォンは、当該マイクロフォンが設置された近傍の音を集音し電気信号に変換する機能を有している。このようなマイクロフォンからの電気信号は分析装置に入力される。
【0015】
マイクロフォンで集音された集音データには、人の声以外の音に係るデータも含まれている可能性がある。そのような集音データに音声以外の音が混入することにより、システムが誤った通知を行ってしまう、という課題があった。そこで、前記分析装置は、マイクロフォンで集音された音に人の音声が含まれているか否かを精度高く判定する処理を実行する。
【0016】
具体的には、当該分析装置は、予め設定された時間間隔幅(タイムスロット)、即ち測定時間、におけるA特性等価音圧レベル(LAeqともいう)及び中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eqともいう)の測定結果から、測定した音に音声が含まれているか否かを判定するようにしている。
【0017】
より具体的には、前記分析装置は、前記マイクロフォンで集音された音に基づいて、設定された時間間隔帯におけるA特性等価音圧レベル(LAeq)と、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)とを算出する算出部と、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)からA特性等価音圧レベル(LAeq)を引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、前記マイクロフォンで集音された音に、音声が含まれていると判定する判定部と、を有している。なお、本明細書においては、この「判定部」と「音声判定部」とは異なる構成である。
【0018】
前記算出部では、A特性等価音圧レベル(LAeq)及び中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)について、それぞれ指定した時間間隔幅(タイムスロット)の等価音圧レベルを算出する機能を有する。
【0019】
音声センサ41から音声センサ49は、算出したA特性等価音圧レベル(LAeq)及び中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)のいずれか一方を音声レベルとして出力する。また、音声センサ41から音声センサ49の各々から出力された音声レベルは、会話音声レベル通知装置11に対し送信される。本実施形態においては、A特性等価音圧レベル(LAeq)、又は、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)のいずれか一方を音声レベル(L)として定義し、この音声レベル(L)を、後述する式(2)中で用いている。
【0020】
前記算出部における等価音圧レベルの測定時間は必要な音声検出頻度により設定するが、一般的には10秒間から10分間程度と設定することが適当である。なお、等価音圧レベルの測定時間を長く設定した場合、測定時間内の短い時間にのみ音声が含まれる場合は音声が含まれないものと判定されることがある。
【0021】
前記マイクロフォンで集音した音声データの送信とそれを用いた他の席における予測音声レベルの計算やその値が設定した閾値を超えたか否かの判定は、等価音圧レベルの測定時間ごとに行う。特許文献1によれば1秒から数秒ごとに音声レベルデータの送信を行うよう記述されているが、本発明に従い等価音圧レベルの測定時間を10秒間から10分間の間に設定すれば、測定点の数が増えた場合においてもデータ送信および処理の負荷は小さい。
【0022】
なお、音声センサ(41~49)の各々に含まれるマイクロフォンと分析装置には、オクターブ分析機能を持った音圧レベル計(騒音計)を用いても良いし、MEMSマイクロフォンと最低限A 特性及び500Hzオクターブバンドの等価音圧レベルの分析機能を持ったワイヤレスセンサー等を用いても良い。また、スマートフォンやタブレット端末の音圧レベル計アプリケーションを用いることもできる。
【0023】
席S_1には、通知装置21と、在席検知センサ31と、音声センサ41とが設けられている。通知装置21は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_1に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ31は、席S_1に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ41は、席S_1における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0024】
また、席S_2には、通知装置22と、在席検知センサ32と、音声センサ42とが設けられている。通知装置22は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_2に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ32は、席S_2に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ42は、席S_2における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0025】
席S_3には、通知装置23と、在席検知センサ33と、音声センサ43とが設けられている。通知装置23は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_3に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ33は、席S_3に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ43は、席S_3における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0026】
席S_4には、通知装置24と、在席検知センサ34と、音声センサ44とが設けられている。通知装置24は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_4に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ34は、席S_4に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ44は、席S_4における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0027】
席S_5には、通知装置25と、在席検知センサ35と、音声センサ45とが設けられている。通知装置25は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_5に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ35は、席S_5に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ45は、席S_5における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0028】
席S_6には、通知装置26と、在席検知センサ36と、音声センサ46とが設けられている。通知装置26は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_6に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ36は、席S_6に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ46は、席S_6における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0029】
席S_7には、通知装置27と、在席検知センサ37と、音声センサ47とが設けられている。通知装置27は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_7に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ37は、席S_7に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ47は、席S_7における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0030】
席S_8には、通知装置28と、在席検知センサ38と、音声センサ48とが設けられている。通知装置28は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_8に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ38は、席S_8に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ48は、席S_8における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0031】
席S_9には、通知装置29と、在席検知センサ39と、音声センサ49とが設けられている。通知装置29は、会話音声レベル通知装置11から供給される、席S_9に在席する作業者に対して自身の会話音声の音声レベルの大きさを通知する。在席検知センサ39は、席S_9に作業者が在席しているか否かの検出を行い、検出結果を会話音声レベル通知装置11へ出力する。音声センサ49は、席S_9における音声レベルを検出し、音声レベルの検出結果と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る前記判定部の判定結果とを会話音声レベル通知装置11へ出力する。
【0032】
会話音声レベル通知装置11は、音声入力部111、在席検知部112、音声予測部113、音声判定部114、音声通知部115、音声・在席データ記憶部116、伝搬予測データ記憶部117及び距離記憶部118の各々を備えている。
【0033】
音声入力部111は、音声センサ41から音声センサ49の各々より供給される音声レベルの情報、音声が含まれているに係る判定情報を、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルに書き込んで記憶させる。
【0034】
在席検知部112は、在席検知センサ31から在席検知センサ39の各々より供給される在席しているか否かの情報を、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルに書き込んで記憶させる。
【0035】
図2は、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルの構成例を示す図である。図2において、各席を識別する領域識別情報と、この領域識別情報の示す席における会話音声の音声レベルデータ(dB)と、マイクロフォンで集音された音に音声が含まれているに係る判定情報と、領域識別情報の示す席に作業員がいるか否かを示す在席有無情報とが対応づけられて記憶されている。音声レベルデータは、対応する領域に設けられた音声センサ(音声センサ41から音声センサ49)の検出した会話音声のレベルである。判定情報は、人の声である音声が含まれるか否かに係る情報であり、含む場合に「含む」と示され、含まない場合に「含まず」と示される。在席有無情報は、対応する領域に設けられた在席検知センサ(在席検知センサ31から在席検知センサ39)の検出した作業者の有無の情報(在席有無情報)であり、領域に作業者がいる場合に「在席」と示され、作業者がいない場合に「不在」と示される。
【0036】
図1に戻り、音声入力部111は、音声センサ41から音声センサ49の各々から供給される会話音声の強度レベル(音声強度)を示す音声レベルデータを、所定の周期で順次入力して、音声センサの配置されている席の領域識別番号に対応して、音声・在席データ記憶部116における音声・在席データテーブルの音声レベルデータの欄に、書き込んで記憶させる。
【0037】
在席検知部112は、在席検知センサ31から在席検知センサ39の各々より供給される在席しているか否かを示す在席有無情報を、音声・在席データ記憶部116における音声・在席データテーブルの在席有無情報の欄に書き込んで記憶させる。
【0038】
音声予測部113は、各席における会話音声が他の席においてどの程度の強度の音声レベルデータを有するかの予測を、以下の(1)式および(2)式により求める。
【0039】
(1)式において、Lpは予測点での音圧レベル(dB)であり、Lwは会話音声のパワーレベル(dB)であり、rは話者(作業者)の場所(領域)から予測点(他の作業者の存在する領域)までの距離(m)であり、Rは室定数(R=Sα/1-α))であり、Sは部屋(オフィス空間)の表面積(m2)であり、αは室(オフィス空間)の平均吸音率である。ここで、αは式においてはαバー(αの上部に-)で示されている。また、(2)式において、Lは計測された会話音声の音声レベル(音圧レベル、dB)であり、dは話者(作業者)から会話センサ(音声センサ)までの距離(m)である。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
図3は、距離記憶部118に記憶されている、領域識別番号の示す席S_1から席S_2から席S_9までの距離を示す距離テーブルの構成例を示す図である。図3は、席S_1を基準とした距離テーブルであるが、同様に、席S_2から席S_9の各々を基準とした距離テーブルがある。したがって、距離記憶部118には、8個の距離テーブルが予め書き込まれて記憶されている。図3において予測点までの距離が、席S_1から音声レベルデータを予測する他の席までの距離(r)を示している。また、距離記憶部118には、室(オフィス空間)の表面積S(m2)及び室の平均吸音率α(αの上部にバー)とが予め書き込まれて記憶されている。また、距離記憶部118には、作業者(話者)から音声センサまでの距離d(m)が記憶されている。
【0042】
図1に戻り、音声予測部113は、(2)式により会話音声の強度レベルLWを求める。このとき、音声予測部113は、音声・在席データ記憶部116から読み出した音声レベルデータLと、距離テーブルから読み出した距離dとを(2)式に代入して、会話音声の強度レベルLWを求める。
【0043】
また、音声予測部113は、距離記憶部118から表面積S及び平均吸音率αを読み出し、読み出した表面積S及び平均吸音率αを「R=Sα/(1-α)」の式に代入することにより室常数Rを求める。
【0044】
そして、音声予測部113は、算出した強度レベルLW及び室常数Rと、距離記憶部118の距離テーブルから読み出した距離r(m)とを(1)式に代入して、伝搬予測の結果として、他の席における会話音声の予測音声レベルLpを算出する。
【0045】
図4は、席毎の作業者が発生する音声の他の席における予測音声レベルと、この予測音声レベルの評価結果とを示す伝搬予測データテーブルの構成例を示す図である。この伝搬予測データテーブルは、伝搬予測データ記憶部117に書き込まれて記憶されている。
【0046】
図4の伝搬予測データテーブルにおいては、領域識別番号と、予測音声レベルと、音声レベル比較結果とが対応付けられて記憶されている。予測音声レベルの欄には、領域識別番号に対応した席における会話音声が他の席に伝搬した際の音声レベルを予測した予測音声レベルのなかで最も高い予測音声レベルが抽出されて書き込まれている。例えば、図4の伝搬予測データテーブルにおける席S_1の予測音声レベルの欄には、席S_1の作業者の発生した会話音声から求めた席S_2から席S_9の各々における予測音声レベルのなかで最も高い予測音声レベルが書き込まれる。図4における伝搬予測データテーブルの席S_2から席S_9の各々の予測音声レベルの欄も同様に、それぞれ他の席の予測音声レベルのなかで最も高い予測音声レベルが書き込まれる。また、音声レベル比較結果の欄には、予測音声レベルの欄に記載された他の席における予測音声レベルが予め設定された閾値以上となっている場合に、「警告レベル」が記憶され、一方予測音声レベルの欄に記載された他の席における予測音声レベルが上記閾値未満である場合「非警告レベル」が記憶されている。
【0047】
したがって、「警告レベル」が記憶されている場合、その書き込まれている領域識別番号の示す席における会話音声の音声レベルが、他の席に対して悪影響を与えていることを示している。一方、「非警告レベル」が記憶されている場合、その書き込まれている領域識別番号の示す席における会話音声の音声レベルが、他の席に対して悪影響を与えない程度であることを示している。上記予測音声レベルを評価する閾値は、複数の作業者を用いた実験により、大多数の作業者が影響が無いとして抽出した音声レベルに設定されている。すなわち、この閾値を超えた場合、悪影響を与えると感じる作業者が存在することになる。
【0048】
図1に戻り、音声予測部113は、他の席における会話音声の予測音声レベルLpを算出し、領域識別番号順に算出した予測音声レベルを音声判定部114に対して出力する。
【0049】
ここで、音声予測部113は、予測音声レベルの算出を行う際、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルを参照して、2箇所以上の領域で作業者が在席している際、それぞれ在席している領域同士の席に対する会話音声の予測音声レベルのみの算出を行うようにしても良い。
【0050】
音声判定部114は、音声予測部113から領域識別番号の席毎に供給される、各席の各々の会話音声から求めた他の席における予測音声レベルの中で最も高い予測音声レベルを抽出する。そして、音声判定部114は、領域識別番号席毎に、席毎の会話音声から求めた他の席における最も高い予測音声レベルを、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルの予測音声レベルの欄に書き込んで記憶させる。
【0051】
また、音声判定部114は、予測音声レベルに書き込まれた他の各席の予測音声レベルが予め設定された閾値以上であるか否かの判定を行う。そして、音声判定部114は、他の各席の測音声レベルが予め設定された閾値以上である場合、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルの音声レベル比較結果の欄に対し、「警告レベル」を書き込んで記憶させる。一方、音声判定部114は、予測音声レベルが予め設定された閾値未満である場合、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルの音声レベル比較結果の欄に対し、「非警告レベル」を書き込んで記憶させる。
【0052】
また、音声判定部114は、各席の各々の会話音声から求めた他の席における予測音声レベルの中で最も高い予測音声レベルを抽出する際、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルを参照し、在席している席における予測音声レベルから予測音声レベルの中で最も高い予測音声レベルを抽出するように構成しても良い。
【0053】
すなわち、他の席に作業者が在席していなければ(不在であれば)、その席に対する音声レベルを考慮する必要がないためである。
【0054】
音声通知部115は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルを参照し、「警告レベル」が書き込まれている領域識別番号を抽出する。そして、音声通知部115は、抽出した領域識別番号の席に対応する通知装置に対して、会話音声の音声レベルを抑制することを示す情報を通知する。
【0055】
音声通知部115は、例えば、通知装置が表示装置である場合、「他の人の迷惑となるため、もう少し会話の声を小さくして下さい」などの表示を行い、予測音声レベルと閾値とを並べて表示し、会話における音声の抑制を通知するように構成されている。表示装置の場合、席におかれているパーソナルコンピュータに接続されている表示装置を用いる構成でも良い。
【0056】
また、本実施形態においては、閾値を1個として説明したが、予測音声レベルと比較する閾値を複数、たとえば注意閾値及び警告閾値を設定しておく構成としても良い。注意閾値は、警告閾値未満に設定される。音声判定部114は、音声予測部113から供給される予測音声レベルから、注意閾値以上であり、かつ警告閾値未満の予測音声レベルを抽出し、抽出した予測音声レベルで最も低い予測音声レベルを抽出する。
【0057】
この場合、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルには、注意レベルの欄を新たに設定する。そして、音声判定部114は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルにおいて、注意レベルとなった席に対応する領域識別番号の音声レベル比較結果(注意レベル)に対し、「注意レベル」を書き込んで記憶させる。
【0058】
また、音声判定部114は、音声予測部113から供給される予測音声レベルから、警報閾値以上の予測音声レベルを抽出し、抽出した予測音声レベルで最も低い予測音声レベルを抽出する。
【0059】
音声判定部114は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルにおいて、警告レベルとなった席に対応する領域識別番号の音声レベル比較結果(警告レベル)に対し、「警告レベル」を書き込んで記憶させる。また、音声判定部114は、音声予測部113から供給される予測音声レベルが注意閾値未満の場合、音声レベル比較結果(注意レベル)及び音声レベル比較結果(警告レベル)の各々に対し、それぞれ「非注意レベル」、「非警告レベル」を書き込んで記憶させる。また、音声判定部114は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブル「警告レベル」が示された領域識別番号における音声レベル比較結果(注意レベル)に対し、「非注意レベル」を書き込む。
【0060】
音声通知部115は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルを参照し、「注意レベル」が書き込まれている領域識別番号を抽出する。そして、音声通知部115は、抽出した領域識別番号の席に対応する通知装置に対して、会話音声の音声レベルを抑制することを示す情報を通知する。すなわち、音声通知部115は、「会話の声が大きくなっています。他の人に迷惑となるため、これ以上声を大きくしないで下さい」などの通知内容を通知装置に設けられた表示画面に表示する処理を行う。また、音声通知部115は、上記通知内容に加えて予測音声レベルと閾値とを並べて通知装置の表示画面に表示し、会話における音声レベルの上昇を抑制するように、作業者に対して通知する。
【0061】
また、音声通知部115は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測テーブルを参照し、「警告レベル」が書き込まれている領域識別番号を抽出する。音声通知部115は、予測音声レベルが「警告レベル」である場合、「もう少し会話の声を小さくして下さい」などの表示を行い、予測音声レベルと閾値とを並べて表示し、会話における音声の抑制を通知するように構成しても良い。
【0062】
また、通知装置21から通知装置29の各々が、表示装置として青色、黄色及び赤色の3色のLED(Light Emitting Diode)ランプの組で構成されるようにしても良い。
【0063】
この場合、音声通知部115は、予測音声レベルが「注意レベル」及び「警告レベル」のいずれでもない場合、黄色及び赤色のLEDを消灯させた状態で、青色のLEDを点灯させる。また、音声通知部115は、予測音声レベルが「注意レベル」である場合、青色及び赤色のLEDを消灯させた状態で、黄色のLEDを点灯させる。音声通知部115は、予測音声レベルが「警告レベル」である場合、青色及び黄色のLEDを消灯させた状態で、赤色のLEDを点灯させる。
【0064】
また、本実施形態の会話音声レベル通知システム1における会話音声レベル通知装置11は、センサーなどにより作業者の在席及び不在を検知して空調や照明などの制御を行う位置検知型設備制御システム、例えば、スマートワークプレイスシステムに結合して構成しても良い。この場合、本実施形態における在席検知センサ31から在席検知センサ39の各々は、位置検知型設備制御システムにおけるセンサーを用いる構成とする。このとき、本実施形態の会話音声レベル通知装置11の機能を上記位置検知型設備制御システムの中核制御装置(例えば、サーバーなど)に、ソフトウェアとして組み込んで構成しても良い。また、本実施形態の会話音声レベル通知装置11は、位置検知型設備制御システムのネットワークを利用し、通知装置21から通知装置29と、在席検知センサ31から在席検知センサ39と、音声センサ41から音声センサ49との各々に対して情報の送受信を行うように構成しても良い。
【0065】
また、位置検知型設備制御システムにおいて、各席の照明装置を制御できる場合、会話音声レベル通知装置11は、この照明装置の制御機能を利用する構成としても良い。すなわち、音声通知部115は、「警告レベル」となった場合、照明装置を所定の周期で、点灯/消灯(あるいは照明の照度を変化させる)を所定の周期で繰り返して、「警告レベル」であることを通知するように構成しても良い。
【0066】
また、通知レベルに「注意レベル」及び「警告レベル」の複数の段階がある場合、音声通知部115は、レベル毎に点灯/消灯(あるいは照明の照度を変化させる)を行う周期の周波数を変更し、作業者に通知するように構成しても良い。
【0067】
また、本実施形態における通知装置21から通知装置29の各々を、作業者が携帯するスマートフォン等に換えて運用する構成としても良い。この場合、スマートフォンに対して以下のアプリケーションをインストールしておく必要がある。すなわち、会話音声レベル通知システム1は、「注意レベル」あるいは「警告レベル」となった場合、対応する席の作業者が携帯するスマートフォンに対し、電子メールあるいはLAN経由により、スマートフォンのバイブレーション機能を駆動させたり、あるいは表示画面にすでに説明した「警告レベル」などの表示を行わせるように構成しても良い。
【0068】
また、作業者が在席あるいは不在かを検出する在席検知センサ31から在席検知センサ39を、スマートフォン等のBYOD(Bring Your Own Device)による位置情報の通知の機能を利用する構成としても良い。すなわち、在席検知部111は、各作業者の携帯するスマートフォンからの位置情報を得て、そのスマートフォンの携帯している作業員識別情報が対応付けられている位置情報の位置が、当該作業員識別情報の示す席の位置であるか否かの判定を行う。そして、在席検知部111は、スマートフォンの位置情報と席の位置とが同様の場合に在席とし、一方、スマートフォンの位置情報と席の位置とが異なる場合に不在と判定し、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルに書き込んで記憶させる。
【0069】
次に、図面を参照して、会話音声レベル通知システム1の動作例を説明する。図5は、会話音声レベル通知システム1による会話音声の抑制を行う動作例を示すフローチャートである。以下、席S_1及び席S_6の各々が、作業者が在席しており、席S_2からS_5、S_7からS_9の各々が、作業者が不在である場合を説明する。また、以下の説明において、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルにおける作業者の在席有無情報を利用する構成で動作を説明する。
【0070】
ステップF1:
音声入力部112は、所定の周期が経過すると、席S_1から席S_9の各々から、音声センサ41から音声センサ49それぞれの出力する会話音声の音声レベルデータを、順次入力する。
【0071】
そして、音声入力部112は、入力した音声センサ41から音声センサ49それぞれの音声レベルデータを、席の領域識別情報に対応させ、順次、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルの音声レベルデータの欄に書き込んで記憶させる。
【0072】
ステップF2:
音声センサ41から音声センサ49の各々に含まれる分析装置が、予め設定された時間間隔幅(タイムスロット)におけるA特性等価音圧レベル(LAeq)及び中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)の測定結果から、測定した音に音声が含まれているか否かを判定する。
【0073】
各分析装置は、前記マイクロフォンで集音された音に基づいて、設定された時間間隔帯におけるA特性等価音圧レベル(LAeq)と、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)とを算出する。
【0074】
そして、算出されたA特性等価音圧レベル(LAeq)と中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)とに基づいて、判定部はそれらの差Ldiff(式(3))が、設定した閾値LT以上となった場合に、A特性等価音圧レベル(LAeq)と中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベル(L500eq)を測定した時間範囲に音声が含まれていると判定する。すなわち、式(4)の不等式が成り立つときに、(人の声による)音声が含まれていると判定する。
diff=L500eq-LAeq (3)
diff≧ LT (4)
当該判定の結果が、NOであればステップF1に戻りループする。一方、当該判定の結果が、YESであればステップF3に進む。このように、本実施形態では人の声が含まれているかを高い精度で判定してから、F2以降のステップを実行するようになっているので、システムが誤った通知を行ってしまうことを防止できる。また、前記判定の結果がYESとなって初めて、2以降のステップを実行するので、システムに不必要な処理負荷がかかることもない。
【0075】
ステップF3:
次に、在席検知部111は、音声入力部112が音声レベルデータを入力したのと同一の周期にて、在席検知センサ31から在席検知センサ39それぞれの出力する在席有無情報(在席あるいは不在のいずれかを示す情報)を、順次入力する。
【0076】
そして、在席検知部111は、入力した在席検知センサ31から在席検知センサ39それぞれの在席有無情報を、席の領域識別情報に対応させ、順次、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルの在席有無情報の欄に書き込んで記憶させる。
【0077】
次に、在席検知部111は、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルを参照し、在席である領域識別情報の席を抽出する。
【0078】
このとき、在席検知部111は、音声・在席データテーブルにおいて、作業者が在席している席が無い場合、あるいは作業者が在席している席が1個のみである場合、他の作業者に対して会話音声が影響を与えることが無いとして、処理をステップF7へ進める。
【0079】
一方、在席検知部111は、音声・在席データテーブルにおいて、作業者が在席している席が2個以上の場合、他の作業者に対して会話音声が影響を与えるとして、処理をステップF4へ進める。
【0080】
ステップF4:
次に、音声予測部113は、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルを参照し、在席である領域識別情報の席を抽出する。ここで音声予測部113は、席S_1及び席S_6が在席であることを抽出する。
【0081】
そして、音声予測部113は、在席である席S_1及び席S_6の各々を基準として、音声予測を行う。
【0082】
すなわち、音声予測部113は、席S_1から席S_6までの距離rのデータを、距離記憶部118における席S_1に対応する距離テーブルから読み出す。
【0083】
また、音声予測部113は、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルから席S_1の音声レベルデータを読み出す。
【0084】
そして、音声予測部113は、読み出した距離rのデータと席S_1の音声レベルデータとから、(1)式及び(2)式の各々を用い、席S_1の作業者における会話音声の伝搬予測を行い、席S_6における予測音声データを算出する。音声予測部113は、予測音声データを、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測データテーブルの席S_1の予測音声レベルの欄に書き込んで記憶させる。
【0085】
同様に、音声予測部113は、席S_6から席S_1までの距離rのデータを、距離記憶部118における席S_6に対応する距離テーブルから読み出す。
【0086】
音声予測部113は、音声・在席データ記憶部116の音声・在席データテーブルから席S_6の音声レベルデータを読み出す。
【0087】
そして、音声予測部113は、読み出した距離rのデータと席S_6の音声レベルデータとから、(1)式及び(2)式の各々を用い、席S_1の作業者における会話音声の伝搬予測を行い、席S_1における予測音声データを算出する。音声予測部113は、予測音声データを、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測データテーブルの席S_6の予測音声レベルの欄に書き込んで記憶させる。
【0088】
ステップF5:
音声判定部114は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測データテーブルを参照して、予測音声レベルが閾値を超えているか否かの判定を行う。
【0089】
そして、音声判定部114は、席S_1における会話音声の席S_6における予測音声レベルが閾値を超えている場合、伝搬予測データテーブルにおける席S_1の領域識別情報に対応する音声レベル比較結果の欄に「警告レベル」を書き込み記憶させる。一方、音声判定部114は、席S_1における会話音声の席S_6における予測音声レベルが閾値を超えていない場合、伝搬予測データテーブルにおける席S_1の領域識別情報に対応する音声レベル比較結果の欄に「非警告レベル」を書き込み記憶させる。
【0090】
また、音声判定部114は、席S_6における会話音声の席S_1における予測音声レベルが閾値を超えている場合、伝搬予測データテーブルにおける席S_6の領域識別情報に対応する音声レベル比較結果の欄に「警告レベル」を書き込み記憶させる。一方、音声判定部114は、席S_6における会話音声の席S_1における予測音声レベルが閾値を超えていない場合、伝搬予測データテーブルにおける席S_6の領域識別情報に対応する音声レベル比較結果の欄に「非警告レベル」を書き込み記憶させる。
【0091】
そして、音声判定部114は、処理をステップF6へ進める。
【0092】
ステップF6:
音声通知部115は、伝搬予測データ記憶部117の伝搬予測データテーブルを参照して、席S_1及び席S_6のいずれかあるいは双方の領域識別番号に対応する予測音声レベルが閾値以上である領域識別番号を抽出する。
【0093】
そして、音声通知部115は、抽出した領域識別番号の席に対応する通知装置(通知装置21及び通知装置26いずれか、あるいは双方)に対して、会話音声の音声レベルを抑制することを示す情報を通知し、処理をステップF1へ進める。
【0094】
ステップF7:
音声通知部115は、会話音声の音声レベルを抑制することを示す情報をいずれの領域に対しても通知せず、処理をステップF1へ進める。
【0095】
上述した本実施形態によれば、会話音声の大きい作業者に対し、他の作業者の会話を阻害していることを警告として通知するため、作業者自身の音声を抑制を促す効果がある。
【0096】
また、本実施形態によれば、同一のオフィス空間においてそれぞれ異なる場所で電話している作業者あるいは会話しているグループ同士の各々の音声のレベルの上昇を、それぞれ閾値を超えた場合に警告して抑制するため、相互作用により互いの音声が次第に大きくなる現象を防止することができる効果がある。
【0097】
また、本実施形態によれば、上述したように各作業者の音声を一定レベル(閾値)以下で抑制するため、オフィス空間の静音化を実現することができ、作業者のストレスを低減することができ、各々の作業者の生産性を向上させることが可能となる効果がある。
【0098】
また、本実施形態は、位置検知型設備制御システムと連動することにより、他の作業者の在席する領域に対してのみ、会話音声の伝搬予測と評価を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、作業者が不在の領域において、会話音声の予測と評価を行わずに不必要な通知を避けることで、警告などの通知の有効性を確保すると共に、会話をしている作業者に対して不必要な不快感を与えることを防止する効果がある。
【0099】
また、加齢とともに聴覚は衰えるため、高齢者は会話の聞き取りが困難となり、その傾向は周囲の騒音が大きくなる程に顕著となる。
【0100】
したがって、本発明によれば、上述したようにオフィス空間の静音化が実現するため、このオフィスで就業する高齢者の会話の聞き取り難さを低減させ、高齢の作業員の聞き取りにくいというストレスを低減させ、高齢の作業員の生産性を向上させることが可能となる。
【0101】
なお、本発明における会話音声レベル通知システム1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより作業者の会話音声の抑制を行う制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0102】
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0103】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0104】
以上、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法は、音声センサで集音された音に基づいて、A特性等価音圧レベルと、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルとを算出し、中心周波数500Hzのオクターブバンド等価音圧レベルからA特性等価音圧レベルを引いた差分が予め設定された閾値以上である場合、音声センサで集音された音に、音声が含まれていると判定する。これにより、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、音声センサで集音された音に、人の音声が含まれるかを精度高く判定することで、システムが誤った通知を行ってしまうことを防止できる。
【0105】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、音声を高精度で検知することが可能で、音声以外の執務空間内の様々な音によりシステムが誤った通知を行うことを防止できる。
【0106】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、音声センサは、最低限A特性及び500Hzオクターブバンドの等価音圧レベルの分析機能を有していれば良いので、安価に製作できる。
【0107】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、測定された音に音声が含まれていることの判定方法は単純な減算と比較演算であるので、高度なシステムは不要となる。
【0108】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、必要なデータはA特性及び500Hzオクターブバンドの等価音圧レベルのみであり、ワイヤレスセンサー等を用いた場合のデータ転送量が少なく、システムの通信および処理にかける負荷が小さい。
【0109】
また、本発明に係る会話音声レベル通知システム1及び会話音声レベル通知方法によれば、等価音圧レベルの測定時間の設定により、音声検知の頻度を任意に設定可能である。測定時間を適切に設定することで、短時間の会話によりシステム作動し、過剰な通知を行うことを防止できる。また、測定時間を長く設定した場合、システムの通信および予測計算等の処理の負荷を減らすことができる。
【0110】
次に上記のような本発明に係る会話音声レベル通知システム1・会話音声レベル通知方法における音声が含まれる場合、含まれない場合の判定を行うための技術的根拠を示す。
【0111】
図6に、オフィス内の打合スペースにおいて会話が行われていた場合と会話が行われていない場合の音圧レベルの周波数特性を示す。図6の周波数特性の測定は1分間オクターブバンド等価音圧レベルを連続測定した。全測定サンプルは5622サンプル、その内会話が行われていた場合は1406サンプル、会話が行われていない場合は4216サンプルであった。図6には、打合スペースで会話が行われていた場合と会話が行われていない場合それぞれにおける測定結果の平均値と平均値±標準偏差を示す。なお、各周波数における音圧レベルはA特性により重み付けされた値である。
【0112】
図6からは、等価音圧レベルを測定した1分間に会話が行われている場合、即ち音声が含まれている場合は500Hzオクターブバンド音圧レベルが卓越した周波数特性であることがわかる。一方、会話が行われていない場合、即ち音声が含まれていない場合はこのような特徴は示されていない。以上の測定結果は、音声は500Hzオクターブバンドに主な周波数成分を持つことを示している。
【0113】
逆に言えば、測定した音の周波数特性において500Hzオクターブバンド音圧レベルが卓越している場合、その測定した音には音声が含まれている可能性が高いことを示唆する。
【0114】
ここで、A特性音圧レベルと500Hzオクターブバンド音圧レベルの関係を考える。仮に、測定した音が500Hzオクターブバンドにのみ周波数成分を持つとすると、A特性音圧レベルの定義からその差Ldiffは3.2dBとなる。
【0115】
実際には、音声は500Hzオクターブバンド以外の帯域にも周波数成分を持つため、A特性音圧レベルとLdiffがちょうど3.2dBとなることはないが、Ldiffが3.2dBに近いほど測定した音の500Hzオクターブバンド音圧レベルが卓越していることを意味する。
【0116】
図6に示した測定結果から Ldiffを算出し、打合スペースにおいて会話が行われていた場合と会話が行われていない場合それぞれにおけるLdiffの度数分布を図7に示す。
【0117】
図7から、会話が行われている場合は、会話が行われていない場合と比較してLdiffが大きい、即ちLdiffが3.2dBに近いことが示されている。
【0118】
diffから測定した音に音声が含まれていると判定する閾値LTの設定値により、判定精度が変化する。図8に、閾値LTの設定値と判定精度の関係を示す。
【0119】
ここで示した測定例では、閾値LTを-1dBに設定した場合に、会話が行われていること及び会話が行われていないことの判定精度が共に90%程度であった。
【0120】
閾値LTを大きい値に設定すると、測定した音に音声が含まれているにも関わらず音声が含まれていないと誤判定する確率が高くなる。一方で、閾値LTを小さい値に設定すると、測定した音に音声が含まれていないにも関わらず音声が含まれていると誤判定する確率が高くなる。閾値LTは音声以外の周囲の騒音等の影響を加味して設定する必要がある。
【0121】
ここで示した測定例では、1分間の等価音圧レベルを測定しているが、等価音圧レベルの測定時間は1分間に限定されるものではない。等価音圧レベルの測定時間は必要な音声検出頻度により設定するが、一般的には10秒間から10分間程度と設定することが適当である。なお、等価音圧レベルの測定時間を長く設定した場合、測定時間内の短い時間にのみ音声が含まれる場合は音声が含まれないものと判定されることがある。
【0122】
上記のような、技術的な根拠により、本発明に係る会話音声レベル通知システム・会話音声レベル通知方法は音声検出を行うものであり、原理的にみても、複雑なデータ処理等が不要なことが明白である。
【符号の説明】
【0123】
1・・・会話音声レベル通知システム
11・・・会話音声レベル通知装置
21,22,23,24,25,26,27,28,29・・・通知装置
31,32,33,34,35,36,37,38,39・・・在席検知センサ
41,42,43,44,45,46,47,48,49・・・音声センサ
111・・・在席検知部
112・・・音声入力部
113・・・音声予測部
114・・・音声判定部
115・・・音声通知部
116・・・音声・在席データ記憶部
117・・・伝搬予測データ記憶部
118・・・距離記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8