(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】電線の断線予知装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20221021BHJP
【FI】
G01R31/54
(21)【出願番号】P 2018182585
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】川上 斉徳
(72)【発明者】
【氏名】長田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166127(JP,A)
【文献】特開2015-021923(JP,A)
【文献】特開2012-068171(JP,A)
【文献】特開2008-008859(JP,A)
【文献】特開平04-251516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の導体部分が断線する予兆を検知する電線の断線予知装置であって、
通電状態にある前記電線の片端側における電気値を取得する取得部と、
取得した前記電気値の経時変化に基づいて前記予兆を検出する断線予兆検出部と、
を備え
、
前記電線は、複数が一括してシースで覆われて多芯ケーブルを構成し、
前記取得部は、前記多芯ケーブルの片端側における当該多芯ケーブル全体の電気値を取得し、
前記断線予兆検出部は、第1のタイミングで取得した第1電気値、および、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングで取得した第2電気値を記憶する記憶部と、前記第1電気値と前記第2電気値との差分値を算出する演算部と、算出した前記差分値が許容される閾値範囲から外れている場合、前記予兆が検出されたと判定する判定部と、を含み、前記多芯ケーブルを構成する各電線のうち、いずれかの導体部分が断線する予兆を検出でき、
前記電気値は、電流値又は電圧値であることを特徴とする電線の断線予知装置。
【請求項2】
前記多芯ケーブルは、電力を伝送する電力線を前記電線として複数含む給電ケーブル、電気信号を伝送する信号線を前記電線として複数含む通信ケーブルまたは前記電力線および前記信号線を前記電線として複数含む電線群を有する複合ケーブルであることを特徴とする請求項
1に記載の電線の断線予知装置。
【請求項3】
前記電気値は、前記電線に流れる電流の電流値であり、
前記取得部は、前記電流値を入力側で取得することを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の電線の断線予知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線予知装置に関し、特に、電線の導体部分が断線する予兆を検知する電線の断線予知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線と信号線が複合した複合ケーブルは、制御信号の送受信と電力供給を両立できるため、各種機器・装置に汎用されている。この複合ケーブルを構成する複数の電線が1本でも断線してしまうと、機器・装置に制御不能や誤動作などのトラブルを引き起こすおそれがある。そのような事態を未然に防ぐ方策の一つとして、複数の電線からなる給電ケーブルの断線検出方法が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、複数ある電線のうち任意に選択した1本の電線自身の電圧降下量を測定し、すべての電線が正常であるときの基準値と実測値との差の絶対値が所定の閾値を超えたとき、その給電ケーブルに断線が生じたと判断することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、測定対象とされる1本の電線の両端にそれぞれ設けられた2つの電圧計によって、その電線の電圧降下量を測定している。したがって、当該方法で給電ケーブル全体の断線検出を行う場合、複数ある電線のうちの1本のみについて電圧降下量を測定すれば足りるとはいえ、測定対象とされる電線の両端側に対して、測定機器の取付けなど何らかの対処が必要となる。
【0006】
上記した課題に鑑み、本発明は、電線の両端側に対する対処を要することなく、当該電線の導体部分が断線する予兆を検知することが可能な電線の断線予知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、電線の導体部分が断線する予兆を検知する電線の断線予知装置であって、通電状態にある前記電線の片端側における電気値を取得する取得部と、取得した前記電気値の経時変化に基づいて前記予兆を検出する断線予兆検出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記電線は、複数が一括してシースで覆われて多芯ケーブルを構成し、前記取得部は、前記多芯ケーブルの片端側における当該多芯ケーブル全体の電気値を取得し、前記断線予兆検出部は、前記多芯ケーブルを構成する各電線のうち、いずれかの導体部分が断線する予兆を検出することを特徴とする。
【0009】
この場合に、前記多芯ケーブルは、電力を伝送する電力線を前記電線として複数含む給電ケーブル、電気信号を伝送する信号線を前記電線として複数含む通信ケーブルまたは前記電力線および前記信号線を前記電線として複数含む電線群を有する複合ケーブルであることを特徴とする。
【0010】
また、前記断線予兆検出部は、第1のタイミングで取得した第1電気値、および、前記第1のタイミングより後の第2のタイミングで取得した第2電気値を記憶する記憶部と、前記第1電気値と前記第2電気値との差分値を算出する演算部と、算出した前記差分値が許容される閾値範囲から外れている場合、前記予兆が検出されたと判定する判定部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記電気値は、前記電線に流れる電流の電流値であり、前記取得部は、前記電流値を入力側で取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有する本発明の電線の断線予知装置によれば、通電状態にある電線の片端側における電気値を取得し、取得した電気値の経時変化に基づいて電線の導体部分が断線する予兆を検出するように構成されているため、電線の両端側に対する対処を特に必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る電線の断線予知装置の使用状態を示す概略図であり、(b)は複合ケーブルのA-A線断面図である。
【
図2】(a)は上記断線予知装置の機能ブロック図であり、(b)は予兆検出回路ユニットの詳細な機能ブロック図である。
【
図3】(a)は断線予兆の検知メカニズムを説明するための概略図であり、(b)は、電流値の経時変化を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る断線予知装置の使用状態を示す概略図である。
【
図7】(a)は第2実施形態に係る断線予知装置の機能ブロック図であり、(b)は予兆検出回路ユニットの詳細な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電線の断線予知装置(以下、単に「断線予知装置」ということとする。)の実施形態について、複合ケーブルに使用する場合を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1(a)に示すように、第1実施形態に係る断線予知装置10の使用対象となる複合ケーブル100は、例えば、産業機器の一種であるロボットアームの駆動制御のために用いられる。複合ケーブル100は、その両端部に設けられたコネクタ120,140を介して、制御装置200と駆動アーム300とを電気的に接続している。
【0016】
複合ケーブル100は、
図1(b)に示すように、制御装置200側の電源(不図示)から供給される電力を駆動アーム300側へ伝送する2本の電力線PL1,PL2、および、制御装置200と駆動アーム300との間で送受信される電気信号である制御信号を伝送する2本の信号線SL1,SL2を含む電線群を有する4芯構成の多芯ケーブルである。これらの電線群の外部は、絶縁体からなるシース160で一括して覆われている。
【0017】
上記構成を有する複合ケーブル100において、信号源となる制御装置200から電力線PL1,PL2に入力された電力は、負荷側の駆動アーム300へと出力される。同様に、制御装置200から信号線SL1,SL2に入力された制御信号は、駆動アーム300側へ出力される。複合ケーブル100の入力側であるコネクタ120近傍には、断線予知装置10が設けられている。断線予知装置10は、電線群を構成する各電線である電力線PL1,PL2、信号線SL1,SL2のいずれかの導体部分が断線する予兆を検知するためのものである。
【0018】
図2に示すように、断線予知装置10は、電流センサ12を含む。本例では、電流センサ12として、公知のクランプ式非接触電流センサが用いられている。この種の電流センサは、シース160の上から複合ケーブル100全体をクランプすることにより、電力線PL1,PL2、信号線SL1,SL2各々の導体部分と非接触で、クランプ部分における複合ケーブル100全体に流れる電流の電流値を測定することができる。すなわち、電流センサ12は、通電状態にある複合ケーブル100全体に流れる電流の電流値を入力側で取得する取得部として機能する。
【0019】
電流センサ12は、予兆検出回路ユニット14と電気的に接続されている。この予兆検出回路ユニット14は、電流センサ12のMCU(Micro Control Unit)に組み込まれた制御回路であり、
図2(b)に示すように、記憶部16、演算部18、および判定部20を含む。記憶部16、演算部18、および判定部20それぞれの機能・動作については後述する。
【0020】
予兆検出回路ユニット14は、また、断線予兆を検出した旨を報知するための報知器22と電気的に接続されている。報知器22としては、例えば、LEDランプやスピーカーなどが挙げられる。
【0021】
MCUは、CPU(Central Processing Unit)、メモリのほか、外部機器と通信するための入出力部、タイマーといった基本構成を備えている。MCUは、メモリに格納された制御プログラムをCPUに実行させることにより、後述する複合ケーブル100の断線予兆検出処理を実現する。
【0022】
ここで、複合ケーブル100における断線予兆の検知メカニズムについて、
図3を参照しながら説明する。
図3(a)に示すように、断線予知装置10では、電力線PL1,PL2と信号線SL1,SL2とが複数混在する複合ケーブル100全体を1本の電線と捉えて、この複合ケーブル100全体に流れる電流の電流値Iを測定する。そして、この電流値Iの経時変化をモニタリングすることにより、複合ケーブル100に生じる断線予兆を検知しようとするのである。
【0023】
図3(b)は、複合ケーブル100全体に流れる電流の電流値Iの経時変化を示す図である。例えば、ロボットアーム駆動時の電流値Iは、負荷によって変動する。複合ケーブル100が正常である場合、時間t1から時間t2までの間の微小時間内では、基本的に電流値Iが急激に変動することはほとんどなく、二点鎖線で示す所期の閾値範囲内で変動することとなる。また、負荷を意図的に変動させた場合であっても、電流値Iは、変動後の負荷に応じた上記閾値範囲内の値に維持されるはずである。
【0024】
これに対し、時間t4の時点で電力線PL1が劣化したと仮定すると、電力線PL1に生じた劣化部分が内部抵抗となり、その分だけ電力線PL1全体の内部抵抗が増大する。ここでいう「劣化」とは、例えば、電力線PL1の導体部分に亀裂や一部断線が生じて、導体部分が断線仕掛かった状態のことである。その結果、時間t3から時間t4までの間の微小時間内であっても、電力線PL1を流れる電流が急激に減少し、ひいては、複合ケーブル100全体を流れる電流の電流値Iが閾値範囲外まで減少するといった電流値Iの経時変化が現れることとなる。断線予知装置10では、このような微小時間内に生じる電流値Iの変化を検出することにより、これを複合ケーブル100の断線予兆として、可能な限り早期のタイミングで検知しようとしている。
【0025】
上記した断線初期(断線予兆)の状態では、
図3(b)に示すように、電流値Iが閾値範囲外まで急激に変動したとしても、その変動は継続することなく、瞬間的にもとの(変動前の)閾値範囲内まで戻ることになる。この点に着目すれば、電流値Iの微小時間毎の変化を継続的にサンプリングしたデータから、負荷変動であるか断線予兆であるかを判別することが可能であると考えられる。
【0026】
なお、上記した微小時間毎の電流値Iのサンプリング周期は、1~10msec程度を想定しているが、このサンプリング周期は、例えば、複合ケーブル100の形態や複合ケーブル100を使用する機器の種類などに応じて適宜調整すればよい。
【0027】
続いて、断線予知装置10の動作フローについて、
図2(b)および
図4を適宜参照しながら説明する。
【0028】
複合ケーブル100の断線予兆検出処理が開始されると、電流センサ12は、まず1回目のタイミングで電流値I1を測定する(ステップS1)。1回目の測定により取得された電流値I1は、予兆検出回路ユニット14の記憶部16(メモリ)に記憶される(ステップS2)。
【0029】
1回目の測定から所定時間Δt(例えば、10msec)が経過すると、電流センサ12は、2回目のタイミングで電流値I2を測定する(ステップS3)。2回目の測定により電流値I2が取得されると、予兆検出回路ユニット14の演算部18は、記憶部16に記憶されている1回目の電流値I1を参照し、これら2つの電流値の差分値(I2-I1)を算出する(ステップS4)。
【0030】
そして、判定部20において、演算部18で算出した差分値(I2-I1)が許容される閾値範囲内にあるか否かを判定する(ステップS5)。算出した差分値(I2-I1)が許容される閾値範囲内にある場合(ステップS5:No)には、最新の電流値である2回目の電流値I2を参照値として記憶部16に上書きして記憶する(ステップS6)。
【0031】
なお、3回目のタイミング以降の処理については、演算部18で算出した差分値が許容される閾値範囲外になるまで(ステップS5:Yes)、上記したステップS3からステップS6の処理を所定時間Δtごとに繰り返し実行する(ステップS7)。すなわち、3回目以降のタイミングでは、判定部20は、演算部18で算出した差分値が許容される閾値範囲外になるまで、常に、第1のタイミングであるn回目に取得した電流値In(第1電気値)と、n回目から所定時間Δtを経過後の第2のタイミングであるn+1回目に取得した電流値In+1(第2電気値)との差分値(In+1-In)が許容される閾値範囲内にあるか否かを繰り返し判定することとなる。
【0032】
一方、演算部18で算出した差分値が許容される閾値範囲外となった場合(ステップ5:Yes)、判定部20は、複合ケーブル100に断線予兆が検出されたと判定し(ステップS8)、その旨を報知して(ステップS9)、複合ケーブル100の断線予兆検出処理を終了する。
【0033】
このように、上記構成からなる断線予知装置10によれば、電流センサ12が入力側で取得した電流値Iの経時変化に基づいて、予兆検出回路ユニット14が複合ケーブル100の電線群を構成する電力線PL1,PL2、信号線SL1,SL2のいずれかの導体部分に生じる断線予兆を検出するように構成されているため、複合ケーブル100の出力側では電流値を測定する必要がない。したがって、給電ケーブル100の両端側に対する対処を特に要することなく、断線予兆を検知することが可能となる。
【0034】
また、断線予知装置10は、複合ケーブル100の入力側に取り付けて使用するため、出力側が駆動アーム300のように可動するものであっても何ら差支えはなく、出力側における設置態様やスペース的な制約を考慮しなくても済む。
【0035】
さらに、複数ある電力線PL1,PL2、信号線SL1,SL2各々の電流値を個別に測定するのではなく、これらの電線群を一括してまとめた給電ケーブル100全体の電流値を測定するので、取り扱いが安易である。
【0036】
加えて、電流センサ12として非接触型のものを採用すれば、給電ケーブル100に対する着脱が簡単であり、既設のケーブルにも適用することができる。
【0037】
以上、本発明に係る電線の断線予知装置について実施形態に基いて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態としても構わない。
【0038】
<変形例>
(1)上記した断線予知装置10では、電流センサとして、クランプ式非接触電流センサを用いたが、例えば、シース160の外周部分に巻き付けて給電ケーブル100に装着するシート型の電流センサを用いることとしても構わない。
【0039】
(2)上記実施形態および変形例に係る断線予知装置は、給電ケーブル100におけるシース160の入力側部分に取り付けて使用するものであったが、給電ケーブル100全体の電流値を入力側で測定し、その電流値の経時変化をモニタリングする構成であれば、給電ケーブル100に取り付ける態様は特に限定されない。
【0040】
例えば、
図5(a)に示す断線予知装置30のように、制御装置200と入力側のコネクタ120との間に介設される中継コネクタに電流センサや予兆検出回路ユニットが組み込まれた形態であってもよいし、
図5(b)に示す断線予知装置40のように、複合ケーブル100の入力側のコネクタ自体に電流センサや予兆検出回路ユニットが組み込まれた形態であってもよい。
【0041】
<第2実施形態>
上記実施形態および変形例に係る断線予知装置は、複合ケーブル100全体に流れる電流の電流値を入力側で測定し、その電流値の経時変化をモニタリングすることにより、複合ケーブル100に生じる断線予兆を検知する構成であった。これに対し、第2実施形態に係る断線予知装置50は、
図6、
図7に示すように、複合ケーブル100全体の出力側における電圧値を測定し、その電圧値の経時変化をモニタリングすることにより、複合ケーブル100に生じる断線予兆を検知することとしている。
【0042】
第2実施形態に係る断線予知装置50は、測定対象となる電気値が電流値Iから電圧値Vに変更されている点、および、電気値の測定位置が異なる以外は、基本的に上記した第1実施形態に係る断線予知装置10と同じである。よって、
図6、
図7において、断線予知装置10と実質的に同じ構成には同じ符号を付して、その説明は必要に応じて言及するに止め、以下、相違する部分を中心に説明する。
【0043】
断線予知装置50は、複合ケーブル100の出力側であるコネクタ140近傍に設けられている。断線予知装置50は、電圧センサ52を含む。本例では、電圧センサ52として、公知のクランプ式非接触電圧センサが用いられている。この種の電圧センサは、上記した電流センサと同様に、シース160の上から複合ケーブル100全体をクランプすることにより、電力線PL1,PL2、信号線SL1,SL2各々の導体部分と非接触で、クランプ部分における複合ケーブル100全体に印加されている電圧の電圧値を測定することができる。なお、この電圧センサ52は、シース160の外周部分に巻き付けて給電ケーブル100に装着するシート型の電圧センサであっても勿論構わない。電圧センサ52は、通電状態にある複合ケーブル100全体に印加されている電圧の電圧値を出力側で取得する取得部として機能する。
【0044】
電圧センサ52は、予兆検出回路ユニット14と電気的に接続されている。この予兆検出回路ユニット14は、電流センサ12のMCU(Micro Control Unit)に組み込まれた制御回路であり、
図7(b)に示すように、記憶部16、演算部18、および判定部20を含む。記憶部16、演算部18、および判定部20それぞれの機能・動作については、上記した断線予知装置10に組み込まれたものと基本的に同じであるため、詳細な説明は省略する。また、断線予知装置50の動作フローについても、所定のタイミングで取得する電気値が電流値I
n,I
n+1から電圧値V
n,V
n+1に変わる以外は同じであるため、図示およびその説明は省略する。
【0045】
なお、図示を省略するが、この断線予知装置50は、上記した断線予知装置10同様、制御装置200と出力側のコネクタ140との間に介設される中継コネクタに電圧センサや予兆検出回路ユニットが組み込まれた形態であってもよいし、複合ケーブル100の出力側コネクタ自体に電圧センサや予兆検出回路ユニットが組み込まれた形態であってもよい。
【0046】
<他の変形例>
(3)上記実施形態および変形例では、断線予兆の検知対象が、多芯ケーブルである複合ケーブル100であったが、例えば、電力を伝送する電力線を電線として複数含む給電ケーブル、電気信号を伝送する信号線を前記電線として複数含む通信ケーブルといった他の種類の多芯ケーブルであっても構わない。
【0047】
あるいは、複数本の素線が撚り合わされてなる導体部分が絶縁体で被覆された1本の電線を断線予兆の検知対象としても勿論構わない。具体的には、多芯ケーブルの電線群を構成する電力線PL1,PL2や信号線SL1,SL2といった電線を単線で使用する場合が挙げられる。
【0048】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0049】
10 電線の断線予知装置
12 電流センサ(取得部)
14 予兆検出回路ユニット(断線予兆検出部)