(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】宅配ロッカー
(51)【国際特許分類】
A47G 29/124 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A47G29/124
(21)【出願番号】P 2018185071
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 亮介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-272054(JP,A)
【文献】特開平11-313753(JP,A)
【文献】特開平01-304283(JP,A)
【文献】特開2003-233758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を備えた複数の収容部と、前記収容部に対して荷物の預け入れ/取り出し操作を行う操作部とを備えた宅配ロッカーであって、
前記操作部を備えた1つの主ロッカーと、前記収容部を1以上備えた少なくとも1つの従ロッカーとが分離可能に連結されて成り、
前記従ロッカーは複数のタイプを有して、連結された前記従ロッカーは前記複数のタイプの中から選択されたものであり、
前記主ロッカーは、連結可能な前記従ロッカーのタイプ毎の収容部のサイズ及び数を記憶するロッカータイプ記憶部と、前記操作部の操作を受けて個々の前記電気錠を制御する制御部を有する一方、
連結された従ロッカーのタイプを登録操作する登録手段を備え、
前記制御部は、前記登録手段から連結された従ロッカーのタイプが登録されると、連結された従ロッカーの収容部のサイズ及び数の情報を前記ロッカータイプ記憶部から読み取り、当該従ロッカーの個々の前記電気錠の制御が可能となることを特徴とする宅配ロッカー。
【請求項2】
前記主ロッカー及び前記従ロッカーは縦長に形成され、互いに左右方向に連結されることを特徴とする請求項1記載の宅配ロッカー。
【請求項3】
前記主ロッカーに少なくとも2つの前記従ロッカーが連続して連結されると共に、前記主ロッカーは左右何れか一方の端部に配置され、
前記主ロッカーと前記従ロッカーとの間、及び従ロッカー同士の間は、電気錠制御のための信号線が前記主ロッカーから渡り配線されて成ることを特徴とする請求項2記載の宅配ロッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が配達した荷物を受取人に代わり一時的に保管する宅配ロッカーに関し、特に収容部の構成が変更可能な宅配ロッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の利用者の多い場所には、荷物の収容部を多数備えた宅配ロッカーが設置されている。そして、この様な多数の収容部を備えた宅配ロッカーは、様々な大きさの荷物に対応できるよう収容部の大きさが異なる複数種類のロッカーが組合わせられて構成されれている。
それでも、利用者のニーズに合わず、収容部が足りない場合は収容部の数を増やすために宅配ロッカーを入れ替えて大型化したり、小さな荷物が多い等の収容部の大小の構成変更の必要がある場合も宅配ロッカーを交換していた。
【0003】
一方で、物品を収容する収容箱(収容部)を交換可能とし、収容部の大きさを変更可能とした自動販売機がある。例えば、特許文献1の自動販売機は、販売する物品が大きさに合わせ収容部を交換可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記引用文献1の構成を宅配ロッカーに適用すれば、宅配ロッカーにおいても、全体を交換すること無く、収容部の数やサイズの組み合わせの変更ができ、利便性の向上を図ることができると考えられる。
しかしながら、宅配ロッカーの場合、特に外部と通信する機能を備えた宅配ロッカーの場合、収容部の交換を構造上は容易なように構成しても、制御ブログラムの変更等の面倒な作業が発生する。そのため、収容部を交換する構成は面倒であり現場に負担がかかると考えられた。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、簡易な操作で収容部の構成を変更できる宅配ロッカーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、電気錠を備えた複数の収容部と、収容部に対して荷物の預け入れ/取り出し操作を行う操作部とを備えた宅配ロッカーであって、操作部を備えた1つの主ロッカーと、収容部を1以上備えた少なくとも1つの従ロッカーとが分離可能に連結されて成り、従ロッカーは複数のタイプを有して、連結された従ロッカーは複数のタイプの中から選択されたものであり、主ロッカーは、連結可能な従ロッカーのタイプ毎の収容部のサイズ及び数を記憶するロッカータイプ記憶部と、操作部の操作を受けて個々の電気錠を制御する制御部を有する一方、連結された従ロッカーのタイプを登録操作する登録手段を備え、制御部は、登録手段から連結された従ロッカーのタイプが登録されると、連結された従ロッカーの収容部のサイズ及び数の情報をロッカータイプ記憶部から読み取り、当該従ロッカーの個々の電気錠の制御が可能となることを特徴とする。
この構成によれば、連結された従ロッカーのタイプを主ロッカーに登録するだけで、制御部は従ロッカーに設けられている収容部のサイズ及び数を認識して電気錠の制御が可能となる。よって、従ロッカーを交換或いは追加しても簡易な操作で登録でき、宅配ロッカーを入れ替えること無く宅配ロッカーの利便性を高めることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、主ロッカー及び従ロッカーは縦長に形成され、互いに左右方向に連結されることを特徴とする。
この構成によれば、宅配ロッカーを構成する主ロッカーと従ロッカーは、左右方向に連結されるため、上下に移動操作する必要が無く分離/連結を無理なく行うことができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、主ロッカーに少なくとも2つの従ロッカーが連続して連結されると共に、主ロッカーは左右何れか一方の端部に配置され、
主ロッカーと従ロッカーとの間、及び従ロッカー同士の間は、電気錠制御のための信号線が主ロッカーから渡り配線されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、主ロッカーと複数の従ロッカーとは、信号線が渡り配線されるため、主ロッカーには信号線を接続する端子を1つ設ければ良く、連結する従ロッカーの数に合わせて端子を複数設ける必要が無い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連結された従ロッカーのタイプを登録するだけで、制御部は従ロッカーに設けられている収容部のサイズ及び数を認識して電気錠の制御が可能となる。よって、従ロッカーを交換或いは追加しても簡易な操作で登録でき、宅配ロッカーを入れ替えること無く宅配ロッカーの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る宅配ロッカーの一例を示す構成図であり、(a)は通信先の外部端末も含めて示し、(b)は宅配ロッカーを複数の小ロッカーに分離した状態を示している。
【
図2】
図1の宅配ロッカーの制御系のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る宅配ロッカーの一例を示す構成図であり、(a)は通信先の外部端末も含めて示し、(b)は宅配ロッカーを複数の小ロッカーに分離した状態を示している。
図1に示すように、宅配ロッカー1は荷物を収容する複数の収容部11、荷物の預け入れ/取り出し操作を行う操作部12、預かり証を発行する発行部13を有し、通信ネットワークNを介して外部端末2と通信を実施するよう構成されている。そして、
図1(b)に示すように、複数のロッカー(小ロッカー10)に分離可能となっている。
尚、外部端末2は、例えば宅配業者が所持して宅配ロッカー1の空き状況を確認するための端末、或いは宅配ロッカー1を初期設定する端末である。
【0013】
具体的に、宅配ロッカー1は縦長に形成された複数の小ロッカー10を左右方向に連結して形成され、ここでは3つの小ロッカー(第1ロッカー10a,第2ロッカー10b,第3ロッカー10c)10が連結されて形成されている。
第1ロッカー10aは、操作部12、発行部13を備え、内部には後述する制御部(宅配ロッカー制御部17)が組み込まれており、宅配ロッカー1の制御を担っている。そして、この第1ロッカー10aには、Mサイズの収容部11bが3個設けられている。
【0014】
第2ロッカー10b及び第3ロッカー10cは、操作部は無く収容部11のみで構成されている。以下、この操作部12を備えた第1ロッカー10aを主ロッカーL1とし、操作部の無い第2ロッカー10b,第3ロッカー10cを従ロッカーL2とする。
そして、この従ロッカーL2は、収容部11の個数及びサイズが異なる様々な構成のものが用意され、ここではその中の2種類の従ロッカーL2が連結されている。中央に配置されている従ロッカーL2(第2ロッカー10b)は、Lサイズの収容部11cを2個、XLサイズの収容部11dを1個備え、左側に配置されている従ロッカーL2(第3ロッカー10c)は、Sサイズの収容部11aを4個、Lサイズの収容部11cを2個備えている。
【0015】
このように、宅配ロッカー1を形成する複数の小ロッカー10は、操作部12を備えた主ロッカーL1に、収容部11のみを備えた従ロッカーL2が連結されて構成されている。
尚、ここで第2ロッカー10bをAタイプの従ロッカー、左側に配置されている第3ロッカー10cをBタイプの従ロッカーとする。また、収容部11の上記S,M,L,XLの各サイズは、Sが最小サイズであり順に大きくなり、XLが最大サイズを示しているし、各サイズは規格化されており宅配業者は各収容部に収容できる荷物の最大サイズを把握している。
【0016】
図2は
図1の宅配ロッカー1の制御系の構成を示すブロック図であり、
図2に示すように、主ロッカーL1に操作部12、発行部13に加えて、操作画面等を表示する表示部14、主ロッカーL1及び従ロッカーL2の情報を記憶する小ロッカー情報記憶部15、外部端末2と通信する外部通信部18、従ロッカーL2と通信する従ロッカー通信部19、個々の収容部11の扉に設けられている電気錠16を制御し、更に宅配ロッカー1全体を制御する宅配ロッカー制御部17が設けられている。
【0017】
従ロッカーL2は、主ロッカーL1と通信するための通信部21、従ロッカーL2の収容部11の扉に設けられている電気錠16を主ロッカーL1からの信号で制御するための制御部22、小ロッカー10同士を連結した後に隣接する小ロッカー10の通信部21同士或いは通信部21と主ロッカーL1の従ロッカー通信部19とが信号線Mで連結される。
【0018】
通信部21は2組の通信用端子(図示せず)を有し、隣接する小ロッカー10と信号線Mによる渡り配線で接続され、主ロッカーL1に設けられた宅配ロッカー制御部17の制御により、従ロッカーL2の個々の電気錠16が制御される。
尚、この渡り配線による通信は、例えばRS485通信が適用できるし、渡り配線の終端となる空き端子には通信端となるカバーを装着すれば良い。
【0019】
小ロッカー情報記憶部15は、主ロッカーL1の収容部11の情報に加えて、連結可能な複数種類の従ロッカーL2の収容部11の情報を記憶している。例えば、Aタイプ従ロッカーL2の情報として、Lサイズの収容部が2個、XLサイズの収容部が1個設けられいることが記憶されているし、Bタイプ従ロッカーの情報として、Sサイズの収容部が4個、Lサイズの収容部が2個設けられていることが記憶されている。更に、他のタイプの従ロッカー情報も記憶されている。
【0020】
上記の如く構成された宅配ロッカー1の初期設定は以下の様に行われる。尚、この初期設定は、現場において小ロッカー10を連結して宅配ロッカー1を設置した際、或いは小ロッカー10を追加/交換した際に行われる。
小ロッカー10を連結して信号線Mが接続されたら、操作部12を操作して表示部14に登録画面を表示させ、表示に従い小ロッカー10の登録が成される。ここでは右側に配置された小ロッカー10から順に登録操作が成される。
まず右側の第1列の登録画面が表示され、第1ロッカー10aが登録される。その後、第2列の第2ロッカー10bの登録画面、第3列の第3ロッカー10cの登録画面が表示され、表示に従い登録が成される。尚、第4ロッカーが連結されている場合は第3列の後に登録画面が表示され登録が行われる。
【0021】
具体的に、第1列の小ロッカー(第1ロッカー)10aは主ロッカーL1であるため、主ロッカーL1と入力される。この入力を受けて、宅配ロッカー制御部17は登録されている主ロッカーL1の情報から、Mサイズの収容部11が3個設けられ、3枚の扉(3個の電気錠16)を有していることを把握し、第1ロッカー10aの収容部11の個々の電気錠16の制御が可能となる。
尚、この登録は、主ロッカーL1が第1ロッカー10aとして必ず右隅に設置される場合は、工場出荷時に登録しておいても良く、その場合初期設定では連結される従ロッカーL2のみ登録される。
【0022】
次に、第2列の小ロッカー(第2ロッカー)10bの設定に入る。第2列はAタイプ従ロッカーL2であるため、Aタイプと入力される。この入力を受けて、宅配ロッカー制御部17は登録されているAタイプ従ロッカーL2の情報から、Lサイズの収容部が2、XLサイズの収容部が1設けられ、全体で3枚の扉(3個の電気錠16)を有していることを把握する。結果、第2列の小ロッカー10bの個々の収容部11の電気錠16の制御が可能となる。
【0023】
次に、第3列の小ロッカー(第3ロッカー)10cの設定に入る。第3列はBタイプ従ロッカーL2であるため、Bタイプと入力される。この入力を受けて、宅配ロッカー制御部17は登録されているBタイプ従ロッカーL2の情報から、Sサイズの収容部が4、Lサイズの収容部が2設けられて、全体で6枚の扉(6個の電気錠16)を有していることを把握する。結果、第3列の小ロッカー10cの個々の収容部11の電気錠16の制御が可能となる。こうして、初期設定は終了する。
【0024】
このように、連結された従ロッカーL2のタイプを主ロッカーL1に登録するだけで、宅配ロッカー制御部17は従ロッカーL2に設けられている収容部11のサイズ及び数を認識して電気錠16の制御が可能となる。よって、従ロッカーL2を交換或いは追加しても簡易な操作で登録でき、宅配ロッカー1を入れ替えること無く宅配ロッカー1の利便性を高めることができる。
また、宅配ロッカー1を構成する主ロッカーL1と従ロッカーL2は、左右方向に連結されるため、上下に移動操作する必要が無く分離/連結を無理なく行うことができる。
更に、主ロッカーL1と複数の従ロッカーL2とは、信号線Mが渡り配線されるため、主ロッカーL1には信号線Mを接続する端子を1つ設ければ良く、連結する従ロッカーL2の数に合わせて端子を複数設ける必要が無い。
【0025】
尚、上記実施形態では、主ロッカーL1を右隅に配置しているが、初期設定時の設定項目に主ロッカーの位置を指定する項目を設ければ、左隅でも良いのは勿論、中間位置であっても良い、何れの位置に主ロッカーL1を配置しても渡り配線は可能である。また、主ロッカーL1の従ロッカー通信部19にも、従ロッカーL2と同様に2組の通信端子を設ければ左右に信号線Mを送出させることができ、中間位置であっても無理なく信号線Mを配線できる。
また、ここではAタイプ、Bタイプの従ロッカーL2を連結しているため、設定時に順にAタイプ、Bタイプと入力したが、従ロッカーにはその他Cタイプ、Dタイプ等多数のタイプが有り、連結されたタイプが設定時に登録される。
更に、操作部12の操作により従ロッカーを登録(初期設定)しているが、外部端末2に所定のアプリケーションをインストールして、外部端末2を操作して登録しても良い。
【符号の説明】
【0026】
1・・宅配ロッカー、2・・外部端末(登録手段)、10・・小ロッカー、11・・収容部、12・・操作部(登録手段)、14・・表示部、15・・小ロッカー情報記憶部(ロッカータイプ記憶部)、16・・電気錠、17・・宅配ロッカー制御部(制御部)、18・・外部通信部、19・・従ロッカー通信部、L1・・主ロッカー、L2・・従ロッカー、M・・信号線。