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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/30 20060101AFI20221021BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20221021BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221021BHJP
   H01L 35/32 20060101ALN20221021BHJP
【FI】
H01L35/30
H01L21/302 101G
H01L21/68 N
H01L35/32 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018211418
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020077810
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦
(72)【発明者】
【氏名】堀越 真人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 英明
(72)【発明者】
【氏名】清澤 航
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-008287(JP,A)
【文献】特開2013-055089(JP,A)
【文献】特開2010-168635(JP,A)
【文献】特表2009-540580(JP,A)
【文献】特開2002-353298(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038044(WO,A1)
【文献】特表2003-508893(JP,A)
【文献】特開2004-104113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/00-34
H01L 21/3065
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する天板と、
前記天板との間において内部空間を形成するように前記天板に接続されるベース板と、
前記内部空間に配置される熱電モジュール板と、
前記内部空間に配置され、前記熱電モジュール板と熱交換する熱交換板と、
前記熱電モジュール板及び前記熱交換板を介して前記天板と前記ベース板とを結合し、前記天板及び前記ベース板のそれぞれに固定される第1結合部材と、
前記熱電モジュール板及び前記熱交換板を介して前記天板と前記ベース板とを結合し、前記天板に固定され前記ベース板と相対移動可能な第2結合部材と、を備え
前記第1結合部材は、前記天板の中央部分に固定され、
前記第2結合部材は、前記第1結合部材の周囲に複数固定される、
温調装置。
【請求項2】
前記熱電モジュール板は、前記内部空間において前記天板に隣接するように配置され、
前記天板と前記熱電モジュール板との間に設けられる粘弾性膜を備える、
請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記粘弾性膜は、熱伝導グリスを含む、
請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記第2結合部材と前記ベース板との間に配置される摺動部材を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温調装置。
【請求項5】
前記第2結合部材は、ボルトを含み、
前記摺動部材は、前記ボルトの周囲に配置されるワッシャを含む、
請求項4に記載の温調装置。
【請求項6】
前記第2結合部材に対する前記摺動部材の摩擦係数は、前記第2結合部材に対する前記ベース板の摩擦係数よりも小さい、
請求項4又は請求項5に記載の温調装置。
【請求項7】
前記摺動部材は、前記第2結合部材のワッシャと前記ベース板のワッシャとの間に配置され、
前記第2結合部材のワッシャに対する摺動部材の表面の摩擦係数は、前記ベース板のワッシャの表面の摩擦係数よりも小さい、
請求項4に記載の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、基板を成膜処理する成膜装置、基板を露光処理する露光装置、及び基板をエッチング処理するエッチング装置のような、様々な半導体処理装置が使用される。半導体処理装置には、基板の温度を調整する温調装置が設けられている場合が多い。例えば基板をドライエッチング処理する場合、エッチング速度は基板の温度の影響を受けるため、温調装置により基板の温度を調整しながらドライエッチング処理が実行される。特許文献1には、半導体処理装置の真空チャンバにおいて基板の温度を調整する基板支持アセンブリが開示されている。特許文献1において、基板支持アセンブリは、温調装置として機能する。基板支持アセンブリは、基板を支持するためのトップ板と、トップ板の下方に配置されるベース板と、トップ板とベース板との間に配置されるカバー板とを有する。カバー板とベース板との間の内部空間に熱電モジュールが配置される。熱電モジュールは、カバー板と接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-008287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温調装置が高温環境下で使用される場合、熱電モジュール及び熱電モジュールに隣接する部材の少なくとも一方の熱変形に起因して、熱電モジュール及び部材の少なくとも一方に過度な応力が作用する可能性がある。その結果、温調装置の少なくとも一部が損傷し、温調装置の性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、温調装置の少なくとも一部が熱変形しても、温調装置の性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、基板を支持する天板と、前記天板との間において内部空間を形成するように前記天板に接続されるベース板と、前記内部空間に配置される熱電モジュール板と、前記内部空間に配置され、前記熱電モジュール板と熱交換する熱交換板と、前記熱電モジュール板及び前記熱交換板を介して前記天板と前記ベース板とを結合し、前記天板及び前記ベース板のそれぞれに固定される第1結合部材と、前記熱電モジュール板及び前記熱交換板を介して前記天板と前記ベース板とを結合し、前記天板に固定され前記ベース板と相対移動可能な第2結合部材と、を備える温調装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、温調装置の少なくとも一部が熱変形しても、温調装置の性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る半導体処理装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る温調装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る温調装置の一例を示す分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る熱電モジュール板の一部を拡大した断面図である。
図5図5は、本実施形態に係る熱電発電モジュールの一部を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係る第1結合部材の一例を示す断面図である。
図7図7は、本実施形態に係る第2結合部材の一例を示す断面図である。
図8図8は、本実施形態に係る凸部の一例を示す断面図である。
図9図9は、本実施形態に係る作用を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。所定面内においてX軸と直交するY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸及びY軸を含むXY平面は、所定面と平行である。Y軸及びZ軸を含むYZ平面は、XY平面と直交する。X軸及びZ軸を含むXZ平面は、XY平面及びYZ平面のそれぞれと直交する。本実施形態において、XY平面は、水平面と平行である。Z軸方向は、鉛直方向である。+Z方向(+Z側)は、上方向(上側)である。-Z方向(-Z側)は、下方向(下側)である。なお、XY平面は、水平面に対して傾斜してもよい。
【0011】
[半導体処理装置]
図1は、本実施形態に係る半導体処理装置1の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、半導体処理装置1は、チャンバ装置2と、チャンバ装置2の内部空間2Sに配置され、内部空間2Sにおいて基板Wの温度を調整する温調装置3とを備える。
【0012】
本実施形態において、半導体処理装置1は、基板Wをドライエッチング処理するドライエッチング装置を含む。基板Wは、半導体ウエハを含む。ドライエッチング処理において、チャンバ装置2の内部空間2Sの圧力は、大気圧よりも低い圧力になるように調整される。内部空間2Sの圧力は、例えば200[Pa]になるように調整される。トライエッチング処理において、基板Wの温度は、温調装置3により調整される。チャンバ装置2の内部空間2Sが減圧され、基板Wの温度が調整された状態で、チャンバ装置2の内部空間2Sにエッチングガスが供給される。内部空間2Sにエッチングガスが供給されることにより、基板Wはドライエッチング処理される。
【0013】
温調装置3は、基板Wを支持した状態で、基板Wの温度を調整する。温調装置3は、基板Wの温度を調整して、エッチング速度を調整することができる。また、温調装置3は、基板Wの温度分布を調整することができる。
【0014】
チャンバ装置2は、内部空間2Sを形成するチャンバ部材2Tと、チャンバ部材2Tの温度を調整する温度調整装置2Uとを有する。温度調整装置2Uによりチャンバ部材2Tが加熱されると、温調装置3に支持されている基板Wの温度が目標温度よりも過度に高くなったり、基板Wの温度分布が目標温度分布にならなかったり可能性がある。温調装置3は、チャンバ部材2Tが加熱されても、基板Wが目標温度になるように、基板Wの温度を調整する。温調装置3は、チャンバ部材2Tが加熱されても、基板Wが目標温度分布になるように、基板Wの温度分布を調整する。
【0015】
[温調装置]
図2は、本実施形態に係る温調装置3の一例を模式的に示す断面図である。図3は、本実施形態に係る温調装置3の一例を示す分解斜視図である。
【0016】
図1図2、及び図3に示すように、温調装置3は、基板Wを支持する天板4と、天板4との間において内部空間3Sを形成するように天板4に接続されるベース板5と、内部空間3Sに配置される熱電モジュール板6と、内部空間3Sに配置され、熱電モジュール板6と熱交換する熱交換板7と、天板4とベース板5とを結合する結合部材8と、基板Wの裏面を支持してZ軸方向に移動するリフトピン9と、天板4及びベース板5のそれぞれに接触するシール部材10とを備える。
【0017】
天板4、熱電モジュール板6、熱交換板7、及びベース板5のそれぞれは、実質的に円板状である。天板4、熱電モジュール板6、熱交換板7、及びベース板5は、Z軸方向に積層される。以下の説明において、XY平面内において温調装置3の中心を通り、Z軸と平行な仮想軸を適宜、温調装置3の中心軸AX、と称する。
【0018】
天板4は、基板Wを支持する支持面4Aを有する。天板4は、例えばアルミニウム製である。天板4は、ステンレス鋼製でもよい。支持面4Aは、+Z方向を向く。天板4は、基板Wの表面とXY平面とが平行になるように、基板Wを支持する。基板Wは、支持面4Aに載置される。
【0019】
天板4は、支持面4A及び支持面4Aの反対方向を向く裏面4Bを有する円板状の支持部41と、支持部41の周縁部に接続され、支持部41の周縁部からベース板5に突出する周壁部42とを有する。
【0020】
ベース板5は、天板4を支持する。ベース板5は、例えばアルミニウム製である。ベース板5は、ステンレス鋼製でもよい。ベース板5は、天板4、熱電モジュール板6、及び熱交換板7よりも-Z側に配置される。ベース板5は、天板4の周壁部42の下面4Cに対向する上面5Aと、熱交換板7の下面7Bと間隙を介して対向する対向面5Dとを有する。上面5A及び対向面5Dのそれぞれは、+Z方向を向く。対向面5Dは、上面5Aよりも-Z側に配置される。上面5Aは、円環状である。XY平面内において、上面5Aは、対向面5Dの周囲に配置される。上面5Aは、周壁部42の下面4Cに接触する。周壁部42の下面4Cとベース板5の上面5Aの少なくとも一部とが接触することにより、天板4とベース板5との間に、温調装置3の内部空間3Sが形成される。
【0021】
ベース板5は、対向面5Dから支持部41に突出する凸部5Tを有する。凸部5Tの少なくとも一部は、熱交換板7に設けられている貫通孔7Jに配置される。凸部5Tの少なくとも一部は、熱電モジュール板6に設けられている貫通孔6Jに配置される。凸部5Tの上端部は、天板4の支持部41に接続される。
【0022】
ベース板5は、対向面5Dから支持部41に突出する凸部5Uを有する。中心軸AXの放射方向において、凸部5Uは、中心軸AXと凸部5Tとの間に配置される。凸部5Uの少なくとも一部は、熱交換板7に設けられている貫通孔7Kに配置される。凸部5Uの少なくとも一部は、熱電モジュール板6に設けられている貫通孔6Kに配置される。凸部5Uの上端部は、天板4の支持部41に接続される。
【0023】
熱電モジュール板6は、天板4の支持面4Aに支持されている基板Wの温度を調整する。熱電モジュール板6は、電力の供給により吸熱又は発熱する熱電モジュール20を含む。熱電モジュール板6は、内部空間3Sに配置される。熱電モジュール板6は、天板4の支持部41よりも-Z側に配置される。熱電モジュール板6は、内部空間3Sにおいて天板4に隣接するように配置される。熱電モジュール板6の上面6Aは、支持部41の裏面4Bに対向する。
【0024】
熱電モジュール20は、ペルチェ効果により、吸熱又は発熱する。熱電モジュール20は、支持部41を介して、支持面4Aに支持されている基板Wから熱を奪うことができる。熱電モジュール20は、支持部41を介して、支持面4Aに支持されている基板Wに熱を与えることができる。熱電モジュール20が吸熱又は発熱することにより、支持面4Aに支持されている基板Wの温度が調整される。
【0025】
熱電モジュール板6は、熱電モジュール20と、熱電モジュール20の上面に接続される第1絶縁膜21と、熱電モジュール20の下面に接続される第2絶縁膜22と、熱電モジュール20の周囲に配置される隔壁部材23とを有する。熱電モジュール20は、第1絶縁膜21と第2絶縁膜22と隔壁部材23とで規定される空間に配置される。第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22のそれぞれは、例えばポリイミド製の膜を含む。熱電モジュール板6の上面6Aは、第1絶縁膜21の上面を含む。熱電モジュール板6の下面6Bは、第2絶縁膜22の下面を含む。
【0026】
図3に示すように、熱電モジュール板6は、第1熱電モジュール板61と、第2熱電モジュール板62と、第3熱電モジュール板63と、第4熱電モジュール板64と、第5熱電モジュール板65と、第6熱電モジュール板66と、第7熱電モジュール板67とを含む。第1熱電モジュール板61は、XY平面内において中央部に配置される円形状の板である。中心軸AXは、第1熱電モジュール板61を通る。第2熱電モジュール板62は、第1熱電モジュール板61の周囲に配置される円環状の板である。第3熱電モジュール板63は、第2熱電モジュール板62の周囲に配置される円環状の板である。第4熱電モジュール板64は、第3熱電モジュール板63の周囲の一部に配置される円弧状の板である。第5熱電モジュール板65は、第3熱電モジュール板63の周囲の一部において第4熱電モジュール板64の隣に配置される円弧状の板である。第6熱電モジュール板66は、第3熱電モジュール板63の周囲の一部において第5熱電モジュール板65の隣に配置される円弧状の板である。第7熱電モジュール板67は、第3熱電モジュール板63の周囲の一部において第4熱電モジュール板64と第6熱電モジュール板66との間に配置される円弧状の板である。
【0027】
第1~第7熱電モジュール板61~67のそれぞれが、熱電モジュール20、第1絶縁膜21、第2絶縁膜22、及び隔壁部材23を有する。第1~第7熱電モジュール板61~67のそれぞれが、上面6A及び下面6Bを有する。
【0028】
熱交換板7は、熱電モジュール板6と熱交換する。熱交換板7は、内部空間3Sにおいて、熱電モジュール板6よりも-Z側に配置される。Z軸方向において、熱電モジュール板6は、支持部41と熱交換板7との間に配置される。Z軸方向において、熱交換板7は、熱電モジュール板6とベース板5との間に配置される。熱交換板7は、内部空間3Sにおいて熱電モジュール板6に隣接するように配置される。熱交換板7の上面7Aは、熱電モジュール板6の下面6Bに対向する。
【0029】
熱電モジュール20が支持面4Aに支持されている基板Wから熱を奪う場合、基板Wの熱は、支持部41及び熱電モジュール板6を介して、熱交換板7に移動する。熱交換板7は、温調用流体が流通する内部流路(不図示)を有する。温調用流体は、冷却水のような冷媒を含む。温調用流体は、流体温度調整装置(不図示)により温度調整された後、内部流路の入口を介して内部流路に流入する。温調用流体は、内部流路を流通して、熱交換板7に移動した熱を奪う。熱を奪った温調用流体は、内部流路の出口から流出し、流体温度調整装置に戻される。
【0030】
熱交換板7は、銅製である。銅は、熱伝導率が高い。そのため、熱交換板7は、熱電モジュール板6と効率良く熱交換することができる。
【0031】
結合部材8は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して、天板4とベース板5とを結合する。結合部材8は、複数設けられる。結合部材8は、ボルトを含む。ベース板5は、結合部材8の頭部が配置される凹部5Cを有する。凹部5Cは、ベース板5の下面5Bに設けられる。
【0032】
ベース板5は、結合部材8の軸部の少なくとも一部が配置される貫通孔5Hを有する。熱交換板7は、結合部材8の軸部の少なくとも一部が配置される貫通孔7Hを有する。熱電モジュール板6は、結合部材8の軸部の少なくとも一部が配置される貫通孔6Hを有する。天板4は、結合部材8の軸部の先端部が挿入されるねじ孔4Hを有する。結合部材8は、熱電モジュール板6の貫通孔6H及び熱交換板7の貫通孔7Hを介して、天板4とベース板5とを結合する。
【0033】
結合部材8は、天板4の第1部分P1に結合される第1結合部材81と、第1部分P1の周囲に複数規定された天板4の第2部分P2に結合される第2結合部材82とを含む。第1部分P1は、XY平面内において、天板4の支持部41の中央部分に規定される。第2部分P2は、XY平面内において、天板4の支持部41の第1部分P1の周囲に複数規定される。本実施形態において、第2部分P2は、第1部分P1の周囲の6箇所に規定される。なお、第2部分P2は、第1部分P1の周囲の少なくとも3箇所に規定されていればよい。第1結合部材81は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して、天板4の第1部分P1とベース板5とを結合する。第2結合部材82は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して、天板4の第2部分P2とベース板5とを結合する。
【0034】
複数の第2結合部材82のうち、少なくとも1つの第2結合部材82は、凸部5Tに設けられている貫通孔5Jに配置される。
【0035】
天板4は、裏面4Bからベース板5に突出する凸部4Tを有する。第1結合部材81が挿入されるねじ孔4Hは、凸部4Tに設けられる。熱交換板7は、第1結合部材81及び凸部4Tが配置される貫通孔7Hを有する。熱電モジュール板6は、第1結合部材81及び凸部4Tが配置される貫通孔6Hを有する。凸部4Tの下端面は、ベース板5に設けられている凸部5Sの上端面に、断熱材40を介して接触する。
【0036】
リフトピン9は、基板Wが支持面4Aに接近したり支持面4Aから離れたりするように、基板Wの裏面を支持してZ軸方向に移動する。リフトピン9の少なくとも一部は、凸部5Uに設けられている貫通孔5Wに配置される。リフトピン9の少なくとも一部は、天板4に設けられている貫通孔4Wに配置される。貫通孔5Wの内側の空間及び貫通孔4Wの内側の空間は、チャンバ装置2の内部空間2Sに接続される。
【0037】
内部空間3Sは、大気開放される。内部空間3Sは、大気圧に維持される。内部空間3Sは、通路11を介して、チャンバ装置2の外部空間(大気空間)に接続される。通路11の少なくとも一部は、ベース板5に設けられる。図3に示すように、ベース板5は、環状のリム部51と、リム部51の内側に配置されるスポーク部52とを有する。リム部51とスポーク部52との間に通路11が設けられる。天板4の第1部分P1に結合される結合部材8が配置される貫通孔5Hは、スポーク部52に設けられる。
【0038】
温調装置3の内部空間3Sは、大気圧に維持される。温調装置3の周囲のチャンバ装置2の内部空間2Sは、大気圧よりも低い圧力に維持される。温調装置3の内部空間3Sの圧力がチャンバ装置2の内部空間2Sの圧力よりも高いので、チャンバ装置2の内部空間2Sに供給されたエッチングガスが、温調装置3の内部空間3Sに流入することが抑制される。これにより、エッチングガスと熱電モジュール20との接触が抑制される。例えばエッチングガスが腐食性である場合、エッチングガスと熱電モジュール20とは接触しないことが好ましい。本実施形態においては、温調装置3の内部空間3Sの圧力がチャンバ装置2の内部空間2Sの圧力よりも高いので、エッチングガスと熱電モジュール20との接触が抑制される。
【0039】
シール部材10は、天板4及びベース板5のそれぞれに接触する。シール部材10は、天板4の周壁部42とベース板5との境界をシールする。シール部材10が設けられることにより、チャンバ装置2の内部空間2Sに供給されたエッチングガスが、温調装置3の内部空間3Sに流入することが抑制される。また、シール部材10が設けられることにより、温調装置3の内部空間3Sの気体が、チャンバ装置2の内部空間2Sに流出することが抑制される。例えば熱電モジュール板6及び熱交換板7の少なくとも一方から発生した異物が、チャンバ装置2の内部空間2Sに流出することが抑制される。これにより、支持面4Aに支持されている基板Wに異物が付着することが抑制される。本実施形態において、熱交換板7は、銅製である。銅を含む異物が基板Wに付着すると、基板Wから製造される半導体デバイスの性能が低下する可能性がある。シール部材10が設けられることにより、温調装置3の内部空間3Sで発生した異物が、支持面4Aに支持されている基板Wに付着することが抑制される。
【0040】
[熱電発電モジュール]
図4は、本実施形態に係る熱電モジュール板6の一部を拡大した断面図である。図5は、本実施形態に係る熱電モジュール板6の一部を示す斜視図である。なお、図4は、第1熱電モジュール板61と第2熱電モジュール板62との境界を拡大した断面図である。第2熱電モジュール板62から第7熱電モジュール板67のそれぞれの境界の構造は、第1熱電モジュール板61と第2熱電モジュール板62との境界の構造と同様である。
【0041】
図4及び図5に示すように、熱電モジュール板6は、熱電モジュール20と、熱電モジュール20の上面に接続される第1絶縁膜21と、熱電モジュール20の下面に接続される第2絶縁膜22と、熱電モジュール20の周囲に配置される隔壁部材23とを有する。熱電モジュール20は、第1絶縁膜21と第2絶縁膜22と隔壁部材23とで規定される空間に配置される。第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22のそれぞれは、例えばポリイミド製の膜を含む。熱電モジュール板6の上面6Aは、第1絶縁膜21の上面を含む。熱電モジュール板6の下面6Bは、第2絶縁膜22の下面を含む。
【0042】
隔壁部材23は、第1絶縁膜21と第2絶縁膜22との間に配置される。隔壁部材23は、熱電モジュール20が配置される空間を囲むように設けられた環状の部材である。隔壁部材23は、セラミックス製である。隔壁部材23は、酸化アルミニウム製でもよいし、窒化アルミニウム製でもよい。隔壁部材23は、接着剤により、第1絶縁膜21及び第2絶縁膜22のそれぞれに接合される。
【0043】
熱電モジュール20は、熱電半導体素子24と、第1電極25と、第2電極26とを有する。熱電半導体素子24は、p型熱電半導体素子24Pと、n型熱電半導体素子24Nとを含む。XY平面内において、p型熱電半導体素子24Pとn型熱電半導体素子24Nとは、交互に配置される。第1電極25は、p型熱電半導体素子24P及びn型熱電半導体素子24Nのそれぞれに接続される。第2電極26は、p型熱電半導体素子24P及びn型熱電半導体素子24Nのそれぞれに接続される。p型熱電半導体素子24Pの上面及びn型熱電半導体素子24Nの上面は、第1電極25に接続される。p型熱電半導体素子24Pの下面及びn型熱電半導体素子24Nの下面は、第2電極26に接続される。第1電極25は、第1絶縁膜21に接続される。第2電極26は、第2絶縁膜22に接続される。熱電モジュール20の上面は、第1電極25の上面を含む。熱電モジュール20の下面は、第2電極26の下面を含む。
【0044】
熱電モジュール20は、ペルチェ効果により、吸熱又は発熱する。第1電極25と第2電極26との間に電位差が与えられると、熱電半導体素子24において電荷が移動する。電荷の移動により、熱電半導体素子24において熱が移動する。これにより、熱電モジュール20は、吸熱又は発熱する。本実施形態においては、熱電半導体素子24の+Z側の端部に接続される第1電極25が吸熱し、熱電半導体素子24の-Z側の端部に接続される第2電極26が発熱するように、第1電極25と第2電極26との間に電位差が与えられる。第1電極25が吸熱することにより、支持面4Aに支持されている基板Wは冷却される。なお、第1電極25が発熱し、第2電極26が吸熱するように、第1電極25と第2電極26との間に電位差が与えられてもよい。第1電極25が発熱することにより、支持面4Aに支持されている基板Wは加熱される。
【0045】
熱電モジュール板6の第1絶縁膜21は、天板4の支持部41に隣接する。天板4の支持部41と熱電モジュール板6の第1絶縁膜21との間に粘弾性膜12が設けられる。粘弾性膜12は、熱伝導グリスを含む。なお、粘弾性膜12は、ゲルシートを含んでもよい。第1電極25が吸熱することにより、支持面4Aに支持されている基板Wの熱は、支持部41、粘弾性膜12、及び熱電モジュール板6を介して、熱交換板7に移動する。
【0046】
第2絶縁膜22は、熱交換板7に接合される。第2絶縁膜22は、例えば接着剤により、熱交換板7に接合される。
【0047】
[第1結合部材]
図6は、本実施形態に係る第1結合部材81の一例を示す断面図である。第1結合部材81は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して天板4とベース板5とを結合する。第1結合部材81は、熱電モジュール板6の貫通孔6H及び熱交換板7の貫通孔7Hを介して、天板4の第1部分P1とベース板5とを結合する。第1部分P1は、XY平面内において、天板4の支持部41の中央部分に規定される。第1結合部材81は、天板4の中央部分に固定される。第1結合部材81は、天板4及びベース板5のそれぞれに固定される。
【0048】
第1結合部材81は、ボルトを含む。第1結合部材81は、頭部81Hと、軸部81Sと、ワッシャ81Wとを有する。軸部81Sの先端部(上端部)にねじ山が設けられる。支持部41の第1部分P1の裏面4Bに、軸部81Sの先端部が挿入されるねじ孔4Hが形成される。ねじ孔4Hにねじ溝が設けられる。軸部81Sに設けられているねじ山とねじ孔4Hに設けられているねじ溝とが噛み合うことにより、第1結合部材81は、天板4に固定される。
【0049】
軸部81Sの少なくとも一部は、ベース板5の貫通孔5Hに配置される。軸部81Sの表面と貫通孔5Hの内面とは離れている。軸部81Sの少なくとも一部は、熱交換板7の貫通孔7Hに配置される。軸部81Sの表面と貫通孔7Hの内面とは離れている。軸部81Sの少なくとも一部は、熱電モジュール板6の貫通孔6Hに配置される。軸部81Sの表面と貫通孔6Hの内面とは離れている。なお、軸部81Sの表面と、貫通孔5Hの内面、貫通孔7Hの内面、及び貫通孔6Hの内面の少なくとも一つとが接触してもよい。
【0050】
頭部81Hは、ベース板5の下面5Bに設けられた凹部5Cに配置される。凹部5Cの内径は、貫通孔5Hの内径よりも大きい。貫通孔5Hと凹部5Cとの境界に支持面5Eが配置される。支持面5Eは、-Z方向を向く。頭部81Hと支持面5Eとの間にワッシャ81Wが配置される。ワッシャ81Wは、軸部81Sの周囲に配置される。
【0051】
軸部81Sの先端部をねじ孔4Hにねじ込むことにより、頭部81Hは、ワッシャ81Wを介して支持面5Eに押し付けられる。これにより、第1結合部材81は、ベース板5に固定される。
【0052】
第1結合部材81が天板4及びベース板5のそれぞれに固定されることにより、第1結合部材81と天板4とベース板5との相対位置は維持される。
【0053】
[第2結合部材]
図7は、本実施形態に係る第2結合部材82の一例を示す断面図である。第2結合部材82は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して天板4とベース板5とを結合する。第2結合部材82は、熱電モジュール板6の貫通孔6H及び熱交換板7の貫通孔7Hを介して、天板4の第2部分P2とベース板5とを結合する。第2部分P2は、XY平面内において、天板4の支持部41に規定された第1部分P1の周囲に複数規定される。第2結合部材82は、第1結合部材81の周囲に複数固定される。第2結合部材82は、天板4に固定され、ベース板5と相対移動可能である。
【0054】
第2結合部材82は、ボルトを含む。第2結合部材82は、頭部82Hと、軸部82Sと、ワッシャ82Wとを有する。軸部82Sの先端部(上端部)にねじ山が設けられる。支持部41の第2部分P2の裏面4Bに、軸部82Sの先端部が挿入されるねじ孔4Hが形成される。ねじ孔4Hにねじ溝が設けられる。軸部82Sに設けられているねじ山とねじ孔4Hに設けられているねじ溝とが噛み合うことにより、第2結合部材82は、天板4に固定される。
【0055】
軸部82Sの少なくとも一部は、ベース板5の貫通孔5Hに配置される。軸部82Sの表面と貫通孔5Hの内面とは離れている。軸部82Sの少なくとも一部は、熱交換板7の貫通孔7Hに配置される。軸部82Sの表面と貫通孔7Hの内面とは離れている。軸部82Sの少なくとも一部は、熱電モジュール板6の貫通孔6Hに配置される。軸部82Sの表面と貫通孔6Hの内面とは離れている。
【0056】
頭部82Hは、ベース板5の下面5Bに設けられた凹部5Cに配置される。凹部5Cの内径は、貫通孔5Hの内径よりも大きい。貫通孔5Hと凹部5Cとの境界に支持面5Eが配置される。支持面5Eは、-Z方向を向く。
【0057】
ワッシャ82Wは、頭部82Hよりも+Z側に配置される。ワッシャ82Wは、軸部82Sの周囲に配置される。ワッシャ82Wは、頭部82Hに固定される。
【0058】
本実施形態において、温調装置3は、第2結合部材82とベース板5との間に配置される摺動部材14を備える。摺動部材14は、頭部82Hと支持面5Eとの間に配置されるワッシャを含む。摺動部材14は、軸部82Sの周囲に配置される。摺動部材14は、第2結合部材82のワッシャ82Wよりも+Z側に配置される。
【0059】
摺動部材14と支持面5Eとの間にワッシャ15が配置される。ワッシャ15は、摺動部材14よりも+Z側に配置される。ワッシャ15は、ワッシャ15の上面が支持面5Eに接触するように、凹部5Cに配置される。ワッシャ15の外径は、凹部5Cの内径に実質的に等しい。ワッシャ15は、凹部5Cに嵌る。ワッシャ15の位置は、凹部5Cにおいて固定される。ワッシャ15とベース板5との相対位置は維持される。
【0060】
本実施形態において、ベース板5は、ワッシャ15を含む。すなわち、ワッシャ15は、ベース板5の構成要素とみなされる。ベース板5とワッシャ15とは一体であるとみなされる。
【0061】
摺動部材14は、第2結合部材82のワッシャ82Wとベース板5のワッシャ15との間に配置される。ワッシャ82Wの上面と摺動部材14の下面とが対向する。ワッシャ82Wの上面と摺動部材14の下面とは接触する。摺動部材14の上面とワッシャ15の下面とが対向する。摺動部材14の上面とワッシャ15の下面とは接触する。
【0062】
摺動部材14は、摺動部材14の上面がワッシャ15の下面に接触するように、凹部5Cに配置される。摺動部材14の外径は、凹部5Cの内径に実質的に等しい。摺動部材14は、凹部5Cに嵌る。摺動部材14の位置は、凹部5Cにおいて固定される。摺動部材14とベース板5との相対位置は維持される。
【0063】
ワッシャ82Wは、ワッシャ82Wの上面が摺動部材14の下面に接触するように、凹部5Cに配置される。ワッシャ82Wの外径及び頭部82Hの外径のそれぞれは、凹部5Cの内径よりも小さい。
【0064】
第2結合部材82に対する摺動部材14の表面の摩擦係数は、第2結合部材82に対するベース板5の表面の摩擦係数よりも小さい。本実施形態においては、ワッシャ82Wに対する摺動部材14の表面の摩擦係数は、ワッシャ15の表面の摩擦係数よりも小さい。本実施形態において、ワッシャ82W及びワッシャ15のそれぞれは、ステンレス鋼製である。摺動部材14は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK:polyetheretherketone)製である。第2結合部材82のワッシャ82Wは、摺動部材14の下面に対して滑ることができる。
【0065】
軸部82Sの先端部をねじ孔4Hにねじ込むことにより、頭部82H及びワッシャ82Wは、摺動部材14及びワッシャ15を介して支持面5Eに押し付けられる。ワッシャ82Wは、摺動部材14の下面に対して滑ることができる。頭部82Hとワッシャ82Wとは固定されており、一体である。ワッシャ82Wの外径及び頭部82Hの外径のそれぞれは、凹部5Cの内径よりも小さい。そのため、頭部82H及びワッシャ82Wは、凹部5Cの内側で、摺動部材14の下面に対して滑りながら、XY平面内において移動することができる。
【0066】
頭部82Hと軸部82Sとワッシャ82Wとは一体である。したがって、第2結合部材82は、摺動部材14の下面に対して滑りながら、XY平面内において移動することができる。
【0067】
第2結合部材82が天板4に固定されることにより、第2結合部材82と天板4との相対位置は維持される。第2結合部材82は、摺動部材14を滑ることにより、ベース板5に対してXY平面内において相対移動する。第2結合部材82の中心軸と直交するXY平面内において、第2結合部材82とベース板5との相対位置は変化する。
【0068】
[凸部]
図8は、本実施形態に係る凸部5Tの一例を示す断面図である。ベース板5は、対向面5Dから支持部41に突出する凸部5Tを有する。凸部5Tの少なくとも一部は、熱交換板7に設けられている貫通孔7Jに配置される。凸部5Tの少なくとも一部は、熱電モジュール板6に設けられている貫通孔6Jに配置される。凸部5Tの上端部は、天板4の支持部41に接続される。複数の第2結合部材82のうち、少なくとも1つの第2結合部材82は、凸部5Tに設けられている貫通孔5Jに配置される。
【0069】
凸部5Tが支持部41に接続されるので、Z軸方向において、支持部41の裏面4Bとベース板5の上面5A及び対向面5Dとの距離が維持される。
【0070】
本実施形態において、凸部5Tの上端面と支持部41の裏面4Bとの間にスペーサ16が配置される。凸部5Tの上端部は、スペーサ16を介して支持部41に接続される。スペーサ16の厚さ又はスペーサ16の数が調整されることにより、支持部41の裏面4Bとベース板5の上面5A及び対向面5Dとの距離が調整される。
【0071】
スペーサ16は、例えばカーボンのような熱伝導率が低い材料で形成される。これにより、基板Wの熱が、ベース板5にダイレクトに伝達されることが抑制される。基板Wの熱は、熱電モジュール板6に効率良く伝達される。
【0072】
[動作]
次に、本実施形態に係る温調装置3の動作について説明する。チャンバ装置2の内部空間2Sが減圧される。基板Wがチャンバ装置2の内部空間2Sに搬入される。リフトピン9は、リフトピン9の上端部が支持面4Aよりも上方に配置されるように上昇する。リフトピン9は、内部空間2Sに搬送された基板Wの裏面を支持する。基板Wの裏面を支持したリフトピン9は下降する。リフトピン9が下降することにより、基板Wは天板4の支持面4Aに支持される。
【0073】
熱電モジュール20に電位差が与えられることにより、温調装置3は、支持面4Aに支持されている基板Wの温度の調整を開始する。本実施形態において、熱電モジュール板6は、第1~第7熱電モジュール板61~67を含む。第1~第7熱電モジュール板61~67のそれぞれは、基板Wの温度を別々に調整可能である。第1~第7熱電モジュール板61~67のそれぞれに与えられる電位差が調整されることにより、温調装置3は、基板Wの温度分布を調整することができる。
【0074】
チャンバ装置2の内部空間2Sにエッチングガスが供給される。チャンバ部材2Tが温度調整装置2Uにより加熱される。チャンバ部材2Tが加熱されることにより、エッチング処理により生成された異物がチャンバ部材2Tの内面に異物が付着することが抑制される。
【0075】
チャンバ部材2Tが加熱されると、温調装置3の支持面4Aに支持されている基板Wの温度が目標温度よりも過度に高くなったり、基板Wの温度分布が目標温度分布にならなかったり可能性がある。温調装置3は、チャンバ部材2Tが加熱されても、基板Wが目標温度になるように、基板Wの温度を調整する。また、温調装置3は、チャンバ部材2Tが加熱されても、基板Wが目標温度分布になるように、基板Wの温度分布を調整する。
【0076】
温調装置3の少なくとも一部は、チャンバ部材2Tの輻射熱により熱変形する可能性が高い。天板4は、板状の部材であるため、XY平面内における天板4の熱変形量は、Z軸方向における天板4の熱変形量よりも大きい。同様に、XY平面内における熱電モジュール板6の熱変形量は、Z軸方向における熱電モジュール板6の熱変形量よりも大きい。また、天板4の線膨張係数と熱電モジュール板6の線膨張係数とは異なる。そのため、天板4の熱変形量と熱電モジュール板6の熱変形量とは異なる可能性が高い。XY平面内における天板4の熱変形量と熱電モジュール板6の熱変形量との差は、大きくなる可能性が高い。
【0077】
図9は、本実施形態に係る作用を説明するための模式図である。本実施形態において、第2結合部材82は、第2結合部材82の先端部が天板4に固定されている状態で、ベース板5に対してXY平面内において相対移動可能である。そのため、天板4がXY平面内において熱変形した場合、第2結合部材82は、天板4の熱変形に連動するように、XY平面内において移動することができる。これにより、天板4に過度な応力が作用したり、熱電モジュール板6に過度な応力が作用したりすることが抑制される。
【0078】
天板4と熱電モジュール板6との間に粘弾性膜12が設けられる。そのため、天板4は、熱電モジュール板6に対してXY平面内において円滑に相対移動することができる。これにより、天板4の熱変形量と熱電モジュール板6の熱変形量との差が大きくても、天板4に過度な応力が作用したり、熱電モジュール板6に過度な応力が作用したりすることが抑制される。
【0079】
粘弾性膜12は、熱伝導グリスを含む。そのため、基板Wの熱は、熱伝導グリスを介して、熱電モジュール板6に移動することができる。
【0080】
第2結合部材82とベース板5との間に摺動部材14が配置される。これにより、第2結合部材82は、摺動部材14を滑りながら、ベース板5に対して円滑に相対移動することができる。
【0081】
第1結合部材81は、天板4及びベース板5のそれぞれに固定される。そのため、天板4とベース板5との相対位置は、第1結合部材81によって固定される。
【0082】
天板4は、中心軸AXを基準として、放射方向に熱変形する可能性が高い。本実施形態において、第1結合部材81の先端部が固定される天板4の第1部分P1は、天板4の中央部分に規定される。天板4の熱変形に連動する第2結合部材82の先端部が固定される天板4の第2部分P2は、第1部分P1の周囲に複数規定される。したがって、天板4及び熱電モジュール板6のそれぞれに過度な応力が作用することが抑制される。
【0083】
凸部5Tは、天板4にダイレクトに接続される。これにより、天板4がXY平面内において熱変形したり、粘弾性膜12がつぶれたり膨張したりしても、Z軸方向における天板4とベース板5との相対距離は維持される。
【0084】
エッチング処理が終了した後、リフトピン9が上昇する。リフトピン9は、基板Wの裏面を支持した状態で上昇する。これにより、基板Wの裏面と天板4の支持面4Aとが離れる。天板4から離れた基板Wは、アンロード装置(不図示)により、チャンバ装置2から搬出される。
【0085】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、第1結合部材81は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して天板4の第1部分P1とベース板5とを結合する。第2結合部材82は、熱電モジュール板6及び熱交換板7を介して第1部分P1とは異なる天板4の第2部分P2とベース板5とを結合する。第1結合部材81は、天板4及びベース板5のそれぞれに固定されるので、天板4とベース板5との相対位置は、第1結合部材81によって固定される。第2結合部材82は、天板4に固定され、ベース板5と相対移動可能なので、天板4が熱変形した場合、第2結合部材82は、天板4の熱変形に連動することができる。これにより、天板4に過度な応力が作用したり、熱電モジュール板6に過度な応力が作用したりすることが抑制される。したがって、温調装置3の損傷が抑制され、温調装置3の性能の低下が抑制される。
【0086】
天板4と熱電モジュール板6との間に粘弾性膜12が設けられる。そのため、天板4は、熱電モジュール板6に対してXY平面内において円滑に相対移動することができる。これにより、天板4の熱変形量と熱電モジュール板6の熱変形量との差が大きくても、天板4に過度な応力が作用したり、熱電モジュール板6に過度な応力が作用したりすることが抑制される。
【0087】
粘弾性膜12は、熱伝導グリスを含む。そのため、基板Wの熱は、熱伝導グリスを介して、熱電モジュール板6に移動することができる。
【0088】
第2結合部材82とベース板5との間に摺動部材14が配置される。これにより、第2結合部材82は、摺動部材14を滑りながら、ベース板5に対して円滑に相対移動することができる。
【0089】
摺動部材14は、第2結合部材82の軸部82Sの周囲に配置されるワッシャを含む。これにより、第2結合部材82は、摺動部材14に対して円滑に滑ることができる。
【0090】
天板4は、中心軸AXを基準として、放射方向に熱変形する可能性が高い。第1結合部材81の先端部が固定される天板4の第1部分P1は、天板4の中央部分に規定される。天板4の熱変形に連動する第2結合部材82の先端部が固定される天板4の第2部分P2は、第1部分P1の周囲に複数規定される。したがって、天板4及び熱電モジュール板6のそれぞれに過度な応力が作用することが抑制される。
【0091】
凸部5Tは、天板4にダイレクトに接続される。これにより、天板4がXY平面内において熱変形したり、粘弾性膜12がつぶれたり膨張したりしても、Z軸方向における天板4とベース板5との相対距離は維持される。
【符号の説明】
【0092】
1…半導体処理装置、2…チャンバ装置、2S…内部空間、2T…チャンバ部材、2U…温度調整装置、3…温調装置、3S…内部空間、4…天板、4A…支持面、4B…裏面、4C…下面、4H…ねじ孔、4T…凸部、4W…貫通孔、5…ベース板、5A…上面、5B…下面、5C…凹部、5D…対向面、5E…支持面、5H…貫通孔、5J…貫通孔、5S…凸部、5T…凸部、5U…凸部、5W…貫通孔、6…熱電モジュール板、6A…上面、6B…下面、6H…貫通孔、6J…貫通孔、6K…貫通孔、7…熱交換板、7A…上面、7B…下面、7H…貫通孔、7J…貫通孔、7K…貫通孔、8…結合部材、9…リフトピン、10…シール部材、11…通路、12…粘弾性膜、14…摺動部材、15…ワッシャ、16…スペーサ、20…熱電モジュール、21…第1絶縁膜、22…第2絶縁膜、23…隔壁部材、24P…p型熱電半導体素子、24N…n型熱電半導体素子、25…第1電極、26…第2電極、40…断熱材、41…支持部、42…周壁部、51…リム部、52…スポーク部、61…第1熱電モジュール板、62…第2熱電モジュール板、63…第3熱電モジュール板、64…第4熱電モジュール板、65…第5熱電モジュール板、66…第6熱電モジュール板、67…第7熱電モジュール板、81…第1結合部材、81H…頭部、81S…軸部、81W…ワッシャ、82…第2結合部材、82H…頭部、82S…軸部、82W…ワッシャ、AX…中心軸、P1…第1部分、P2…第2部分、W…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9