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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】物品情報取得システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/04 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
G01B5/04 101
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018213661
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020079766
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(73)【特許権者】
【識別番号】504044540
【氏名又は名称】東邦ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森久保 光男
(72)【発明者】
【氏名】田井 良一
(72)【発明者】
【氏名】権藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】岩井 正美
(72)【発明者】
【氏名】味生 淳
(72)【発明者】
【氏名】小名山 学
(72)【発明者】
【氏名】森 清二
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-221280(JP,A)
【文献】特開2015-190769(JP,A)
【文献】特開2010-230514(JP,A)
【文献】特開2012-181114(JP,A)
【文献】特開2015-017930(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182523(JP,U)
【文献】特開2017-102078(JP,A)
【文献】特開2009-150837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00- 5/30
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得する物品情報取得システムであって、
前記物品が載置されると共に上下方向に沿う旋回軸心周りに旋回する旋回載置台と、前記旋回軸心を挟んで水平方向に沿う第1方向の両側に配置されると共に前記第1方向に沿って接近及び離間可能に構成された一対の移動体と、を有する計測装置と、
前記旋回載置台よりも上方に配置されると共に下方を撮像する撮像部と、前記撮像部の下方に配置されると共に前記旋回載置台側からの光を前記撮像部側に向けて屈曲させる光屈曲部と、を有する撮像装置と、を備え、
前記計測装置は、一対の前記移動体により前記旋回載置台に載置された前記物品を前記第1方向の両側から挟持すると共に、一対の前記移動体同士の間隔に基づいて前記物品の寸法を計測するように構成され、
前記撮像装置は、前記旋回載置台に載置された前記物品における前記光屈曲部側を向く側面部を撮像するように構成され、
前記計測装置による前記物品の寸法の計測後に、前記撮像装置による前記側面部の撮像を行う、物品情報取得システム。
【請求項2】
前記撮像部は、前記物品の前記側面部を撮像するための第1撮像部であって、前記第1撮像部は、その画角内に前記光屈曲部が納まるように配置され、
前記撮像装置は、前記第1撮像部とは別に、前記物品における上方を向く上面部を撮像するための第2撮像部を更に有し、
前記第2撮像部は、その画角内に前記旋回載置台が納まるように配置されている、請求項1に記載の物品情報取得システム。
【請求項3】
前記計測装置の前記旋回載置台とは別に、前記物品と同種の別の物品が載置される補助載置台を更に備え、
前記第2撮像部は、その画角内に前記旋回載置台と前記補助載置台との双方が納まるように配置されている、請求項2に記載の物品情報取得システム。
【請求項4】
前記第1撮像部は、前記第2撮像部よりも下方に配置されている、請求項2又は3に記載の物品情報取得システム。
【請求項5】
前記第1撮像部を昇降させる第1昇降機構と、前記第2撮像部を昇降させる第2昇降機構と、を更に有する、請求項2から4のいずれか一項に記載の物品情報取得システム。
【請求項6】
前記光屈曲部を前記旋回載置台に対して接近又は離間する方向に移動させる屈曲部移動機構を更に有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品情報取得システム。
【請求項7】
前記旋回載置台に載置された前記物品における上方を向く上面部の高さを検出する高さ検出装置を更に有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得するための物品情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1(特開2015-042965号公報)には、物品位置認識装置が備えられたピッキング設備が開示されている。特許文献1のピッキング設備では、ピッキングロボット〔P〕によって複数の物品〔B〕が収容されたコンテナ〔C〕から特定の物品〔B〕を取り出すピッキング作業を自動的に行っている。ピッキングロボット〔P〕は、物品位置認識装置によってコンテナ〔C〕内の物品〔B〕の位置を認識した後、当該物品〔B〕の取り出しを行っている。物品〔B〕の認識は、撮像部〔50〕によってコンテナ〔C〕に収容された物品〔B〕を撮像した画像と、予め登録された物品〔B〕のテンプレート画像とをパターンマッチングさせることにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-042965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなピッキング設備においては、複数種類の物品が取り扱われる。そのため、特許文献1の物品位置認識装置のように、パターンマッチングによってピッキング対象の物品の認識を行う場合には、複数種類の物品のそれぞれのテンプレート画像、すなわち複数種類の物品のそれぞれの外観情報を取得し、これを物品情報として登録しておく必要がある。また、保管倉庫に保管された複数種類の物品には大小様々なものも含まれており、物品の外観情報の他に、物品の寸法情報も取得し、これを物品情報として登録しておく必要がある。しかしながら、従来は、物品の外観情報の取得と物品の寸法情報の取得とは、それぞれ別々の作業によって行われていた。そのため、物品情報の取得作業の効率化に関して改善の余地があった。
【0005】
上記実情に鑑みて、物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を効率的に取得可能な物品情報取得システムの実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る物品情報取得システムは、
物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得する物品情報取得システムであって、
前記物品が載置されると共に上下方向に沿う旋回軸心周りに旋回する旋回載置台と、前記旋回軸心を挟んで水平方向に沿う第1方向の両側に配置されると共に前記第1方向に沿って接近及び離間可能に構成された一対の移動体と、を有する計測装置と、
前記旋回載置台よりも上方に配置されると共に下方を撮像する撮像部と、前記撮像部の下方に配置されると共に前記旋回載置台側からの光を前記撮像部側に向けて屈曲させる光屈曲部と、を有する撮像装置と、を備え、
前記計測装置は、一対の前記移動体により前記旋回載置台に載置された前記物品を前記第1方向の両側から挟持すると共に、一対の前記移動体同士の間隔に基づいて前記物品の寸法を計測するように構成され、
前記撮像装置は、前記旋回載置台に載置された前記物品における前記光屈曲部側を向く
側面部を撮像するように構成され、
前記計測装置による前記物品の寸法の計測後に、前記撮像装置による前記側面部の撮像を行う。
【0007】
本構成によれば、一対の移動体により旋回載置台上の物品を挟持することにより、当該物品の水平方向に沿う第1方向の寸法を計測することができる。また、旋回載置台上に置かれた際の物品の位置が適正位置からずれていた場合であっても、一対の移動体による挟持によって物品の位置が適正位置に矯正される。その後に撮像装置による撮像を行うため、物品の側面部の画像を適切に撮像することができる。従って、本構成によれば、物品の寸法情報の取得と物品の外観情報の取得とを連続して行うことができると共に、物品の寸法情報の取得のための一対の移動体の動作を利用して物品の位置を適正位置に矯正した後に、適切に外観情報の取得を行うことができる。従って、物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を効率的且つ適切に取得することができる。
更に、旋回載置台上に物品を載置するため、旋回載置台の旋回を旋回させることにより、複数の方向の物品の寸法を計測することができると共に、複数の方向から物品の側面部の撮像を行うことができる。従って、物品の各部の寸法情報及び物品の複数の側面部に係る外観情報を効率的且つ適切に取得することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品情報取得システムの構成を示す斜視図
図2】物品情報取得システムの構成を示す正面図
図3】物品情報取得システムの構成を示す側面図
図4】物品情報取得システムの構成を示す平面図
図5】物品情報取得システムの制御構成を示すブロック図
図6】物品情報取得システムの動作を示す図
図7】物品情報取得システムの制御手順を示すフローチャート
図8】幅が異なる物品を取り扱う場合の説明図
図9】幅が異なる物品を取り扱う場合の制御手順を示すフローチャート
図10】高さが異なる物品を取り扱う場合の説明図
図11】高さが異なる物品を取り扱う場合の制御手順を示すフローチャート
図12】第2実施形態において、計測装置により物品の寸法を計測する様子を示す模式図
図13】第2実施形態において、計測装置により物品の寸法を計測する様子を示す模式図
図14】第2実施形態において、計測装置により物品の寸法を計測する様子を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
物品情報取得システムの第1実施形態について説明する。物品情報取得システム100は、物品9の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得するシステムである。得られた物品情報は、例えば、複数の物品の中から目的の物品を認識するための物品認識システムに用いられる。このような物品認識システムは、複数種類の物品が取り扱われるピッキング設備に適用されることがあり、ピッキング装置によって複数の物品が収容されている容器から目的の物品を選択してピッキングする際などに用いられる。具体的には、容器内における複数の物品を上方から撮像した画像の中から、目的の物品が占める領域を検出する際などに、物品認識システムが用いられる。この際、物品を撮像した画像と予め登録さ
れた物品情報に基づく画像とをパターンマッチングさせることにより、目的の物品を認識することが可能である。物品情報取得システム100は、例えば、上述のような物品認識システムに用いられる物品情報を取得するためのシステムである。以下、物品情報取得システム100の構成について詳細に説明する。
【0011】
1-1.物品情報取得システムの機械的構成
図1~4は、物品情報取得システム100の構成を示している。物品情報取得システム100は、物品9の寸法を計測し当該物品9の寸法情報を取得する計測装置2と、物品9の外観を撮像し当該物品9の外観情報を取得する撮像装置3と、を備えている。
【0012】
ここで、本実施形態において「物品9」は、内容物を収容する箱状体である。図示の例では、物品9は、直方体状に形成されており、正面9P、背面9B、及び4つの側面9Sを有している。これらの各面には、物品9の内容物を示す文字、記号、写真、絵など、又は、物品9の内容物を特徴づける色彩、模様、マークなどが施されている。但し、上記のような構成に限定されることなく、物品9は、例えば多角柱状など、様々な形状に形成されているものであっても良い。
【0013】
本実施形態において「寸法情報」とは、物品9の大きさを表す情報である。上述のように本例では、物品9は直方体状に形成されているため、寸法情報は、物品高さH、横幅W1、及び前後長W2を含む情報である。但し、寸法情報は、これに限定されることなく、物品の形状に応じて適宜設定することができる。本例では、計測装置2によって、物品高さH、横幅W1、及び前後長W2を物品9の寸法情報として取得する。
【0014】
本実施形態において「外観情報」とは、物品9の表面を画像によって表す情報である。上述のように本例では、物品9は直方体状に形成されているため、外観情報は、物品9の正面9P、背面9B、及び4つの側面9Sのそれぞれに関する画像情報を含んでいる。但し、外観情報は、これに限定されることなく、物品の形状に応じて適宜設定することができる。本例では、撮像装置3によって、正面9P、背面9B、及び4つの側面9Sのそれぞれに関する画像情報を物品9の外観情報として取得する。なお、物品9の各面の画像情報には、各面に表された模様や色彩などの情報に加えて、各面の外形(外縁形状)の情報も含まれる。
【0015】
図1~4に示すように、計測装置2は、物品9が載置されると共に上下方向に沿う旋回軸心AX周りに旋回する旋回載置台21と、旋回軸心AXを挟んで水平方向に沿う第1方向Xの両側に配置されると共に第1方向Xに沿って接近及び離間可能に構成された一対の移動体22と、を有している。また、計測装置2は、一対の移動体22を第1方向Xに沿って移動させる移動体駆動機構23を備えている。
【0016】
図3に示すように、旋回載置台21は、旋回駆動部21Mによって回転駆動される旋回軸21Aと一体回転するように連結されている。旋回軸21Aは旋回軸心AXに沿って配置されており、この旋回軸21Aが駆動されることにより、旋回載置台21が旋回軸心AX周りに旋回する。旋回駆動部21Mは、例えば、旋回モータによって構成されている。旋回駆動部21Mは、旋回載置台21を、例えば90°毎など、所望の角度回転させることができるように構成される。よって、旋回モータとしては、例えばステッピングモータやサーボモータ等を用いると好適である。
【0017】
図4に示すように、本実施形態では、一対の移動体22は、第1方向Xに沿って互いに対向する対向面22Aを有している。そして、一対の対向面22Aの第1方向Xの間隔を拡大又は縮小するように、一対の移動体22が第1方向Xに沿って相対的に移動するように構成されている。本例では、一対の移動体22は、上下方向視で第1方向Xに直交する
第2方向Yに沿って延びる板状に形成されている。そして、移動体22は、最も広い面が第1方向Xを向くように配置され、第1方向Xに沿って互いに対向する板面が一対の対向面22Aとなっている。
【0018】
本実施形態では、図1及び図4に示すように、移動体駆動機構23は、一対の移動体22を第1方向Xに沿って案内するガイドレール23Lと、一対の移動体22を駆動する移動体駆動部23Mと、移動体駆動部23Mの駆動力を一対の移動体22に伝達する伝達機構23Tと、を有して構成されている。ここで、移動体駆動部23Mは、電動モータ等を用いて構成される。また、伝達機構23Tは、例えば、ガイドレール23Lの内部に配置されたボールねじ機構等の伝動部材を用いて構成される。本例では、一対のガイドレール23Lが、旋回載置台21を挟んで第2方向Yの両側において、第1方向Xに延びるように配置されている。そして、一対のガイドレール23Lの一方に一対の移動体22の一方を駆動するための伝達機構23Tが配置され、一対のガイドレール23Lの他方に一対の移動体22の他方を駆動するための伝達機構23Tが配置されている。そして、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のナット)に移動体22が連結されていると共に、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のねじ軸)が移動体駆動部23Mによって駆動される構成となっている。また、本実施形態では、移動体駆動機構23は、一対の対向面22Aが、互いに、旋回載置台21の旋回軸心AXから同じ距離となるように、一対の移動体22を連動させる構成となっている。そのため、本例では、一対の移動体22及び伝達機構23Tが共通の移動体駆動部23Mにより駆動される構成となっている。そして、一対の移動体22は、共通の移動体駆動部23Mによって、それぞれに対応する伝達機構23Tを介して互いに第1方向Xの反対向きに同じ距離移動するように駆動される。なお、伝達機構23Tの構成は上記に限定されず、無端ベルトとプーリ、リンク機構、ギヤ機構等を用いて構成しても良い。
【0019】
そして、計測装置2は、一対の移動体22により旋回載置台21に載置された物品9を第1方向Xの両側から挟持すると共に、一対の移動体22同士の間隔に基づいて物品9の寸法を計測するように構成されている。この計測の際、一対の移動体22のそれぞれの対向面22Aが、計測対象の物品9に当接する。よって、一対の対向面22Aの間隔が、その姿勢での物品9の第1方向Xの寸法に対応する。本例では、一対の移動体22それぞれの初期位置および初期位置における両者の間の距離は既知であるので、この既知の距離と、物品9を挟持した際の一対の移動体22それぞれの移動距離とに基づいて、物品9を挟持した後の一対の移動体22の間の距離を算出する。これにより、物品9が旋回載置台21に載置された際の第1方向Xに沿う寸法を計測することができる。また、旋回載置台21によって、当該旋回載置台21に載置された物品9の姿勢を旋回軸心AX周りに変更することができる。よって、旋回載置台21を90°旋回させ、その前後で2回計測することで、物品9の横幅W1の寸法および物品9の前後長W2の寸法を計測することができる。
【0020】
本実施形態では、物品情報取得システム100は、旋回載置台21に載置された物品9における上方を向く上面部91の高さを検出する高さ検出装置5を更に有している。物品9の上面部91の高さを検出することにより、物品9の物品高さHを計測することができる。本実施形態では、高さ検出装置5は、光を投受光可能な光学式のセンサとして構成されており、旋回載置台21の上方において支持部材5Sにより支持されて、下方に向けて光を投光するように構成されている。本例では、高さ検出装置5は、当該高さ検出装置5から物品9の上面部91までの距離を検出する。高さ検出装置5から旋回載置台21の上面までの距離は既知であるので、この既知の距離と、高さ検出装置5から物品9の上面部91までの距離とに基づいて、旋回載置台21の上面から物品9の上面部91までの距離である物品高さHを算出する。これにより、物品高さHに関する寸法情報を取得することができる。なお、図示の例では、高さ検出装置5は、出退駆動部5Mにより駆動されて、
第2方向Yに沿って出退するように構成されている。これにより、高さ検出装置5は、物品高さHを計測する場合には旋回載置台21に載置された物品9の上方に位置することができ、物品高さHを計測しない場合には後述する撮像装置3の画角から退避することができる。これにより、高さ検出装置5が撮像の妨げとなることを抑制できる。
【0021】
ここで、本実施形態において「物品9の上面部91」は、物品9が旋回載置台21(及び後述する補助載置台4)に載置された状態での、当該物品9における上方を向く面である。説明を加えると、上述のように、物品9は正面9Pと背面9Bと側面9Sとを有しているが、正面9Pが上方を向く状態で物品9が旋回載置台21に載置されている状態では、正面9Pが上面部91となる。一方、背面9Bが上方を向く状態で物品9が旋回載置台21に載置されている状態では、背面9Bが上面部91となる。或いは、側面9Sが上方を向く状態で物品9が旋回載置台21に載置されている状態では、側面9Sが上面部91となる。従って、物品9の載置状態によっては、物品9の全ての面が上面部91となり得る。
【0022】
図1~4に示すように、撮像装置3は、旋回載置台21よりも上方に配置されると共に下方を撮像する撮像部30としての第1撮像部31と、第1撮像部31の下方に配置されると共に旋回載置台21側からの光を第1撮像部31側に向けて屈曲させる光屈曲部33と、を有している。第1撮像部31により撮像された物品9の表面の画像が、物品9の外観情報として取得される。
【0023】
例えば、第1撮像部31は、画像をデジタルデータとして記録できるカメラにより構成されている。本実施形態では、第1撮像部31は、撮像方向を鉛直下方に向けて配置されている。そして、第1撮像部31は、その画角内に光屈曲部33が納まるように配置されている。図4に示す例では、第1撮像部31は、上下方向視で光屈曲部33と重複するように配置されている。
【0024】
光屈曲部33は、反射や屈折等によって光を折り曲げる機能を有し、例えば、ミラー、プリズム、レンズ、或いはこれらの組み合わせを用いて構成することができる。本実施形態では、光屈曲部33は、旋回載置台21に載置された物品9からの水平方向の光を鉛直上方に向けて反射させて屈曲させるミラーを有して構成されている。本例では、光屈曲部33は、第2方向Yにおいて旋回載置台21と並ぶように配置されており、旋回載置台21に載置された物品9からの第2方向Yに沿う光を鉛直上方に向けて屈曲させる。そのため、光屈曲部33を構成するミラーは、その反射面が水平方向に対して45度傾斜する姿勢で配置されている。
【0025】
そして、撮像装置3は、旋回載置台21に載置された物品9における光屈曲部33側を向く側面部92を撮像するように構成されている。本例では、光屈曲部33は、旋回載置台21に対して第2方向Yの一方側に配置されている。そのため、撮像装置3は、旋回載置台21に載置された物品9における第2方向Yの一方側を向く側面部92を撮像する。
【0026】
ここで、本実施形態において「物品9の側面部92」は、物品9が旋回載置台21に載置された状態での、当該物品9における水平方向を向く面である。従って、上述の上面部91の場合と同様に、物品9の載置状態によっては、物品9の全ての面が側面部92となり得る。
【0027】
また、本実施形態では、撮像装置3は、物品9の側面部92を撮像するための第1撮像部31とは別に、物品9における上面部91を撮像するための第2撮像部32を更に有している。例えば、第2撮像部32は、第1撮像部31と同様、画像をデジタルデータとして記録できるカメラにより構成されている。第2撮像部32は、その画角内に旋回載置台
21が納まるように配置されている。これにより、旋回載置台21に載置された物品9の上面部91を撮像することができる。
【0028】
更に、本実施形態では、物品情報取得システム100は、計測装置2の旋回載置台21とは別に、物品9と同種の別の物品9が載置される補助載置台4を備えている。図示の例では、補助載置台4は、第1方向Xにおいて旋回載置台21と並んで配置されている。また、補助載置台4は、旋回載置台21と載置面の高さが同じとなるように配置されている。なお、本実施形態において「同種の物品9」とは、大きさ及び外観が同じである物品9をいう。
【0029】
そして、上述の第2撮像部32は、その画角内に旋回載置台21と補助載置台4との双方が納まるように配置されている。これにより、第2撮像部32によって、旋回載置台21に載置された物品9の上面部91及び補助載置台4に載置された物品9の上面部91の双方を撮像することができる。例えば、旋回載置台21には、正面9Pを上方に向けて物品9を載置し、補助載置台4には、背面9Bを上方に向けて当該物品9と同種の物品9を載置することで、同種の物品9における正面9Pの外観情報および背面9Bの外観情報の双方を同時に取得することができる。
【0030】
ここで、本実施形態では、第1撮像部31と第2撮像部32とで同じ構成のカメラを用いている。そのため、物品9における撮像対象となる部分から第1撮像部31及び第2撮像部32に対してそれぞれ向かう光の経路長を被写体距離とすると、物品9の実際の大きさに応じた外観情報を取得するという観点からは、物品9の側面部92を撮像する場合と物品9の上面部91を撮像する場合とで、被写体距離が同等であることが望ましい。しかし、第1撮像部31と第2撮像部32とが同じ高さに配置されている場合には、第1撮像部31の被写体距離は、光屈曲部33によって物品9からの光を屈曲させる分、第2撮像部32の被写体距離に比べて長くなる。
【0031】
そこで、本実施形態では、第1撮像部31が、第2撮像部32よりも下方に配置されている。これにより、例えば、図10の左図に示すように、第1撮像部31から光屈曲部33までの上下方向の距離である鉛直距離Lv1と、光屈曲部33から物品9の側面部92までの水平方向の距離である水平距離Lh1と、の和である第1被写体距離L1を、第2撮像部32から物品9の上面部91までの上下方向の距離である第2被写体距離L2と同等にすることができ、少なくとも、第1撮像部31の第1被写体距離L1と第2撮像部32の第2被写体距離L2との差を小さくすることができる。本例では、第1撮像部31は、第2撮像部32に比べて、水平距離Lh1に応じた距離だけ低い高さに配置されている。なお、水平距離Lh1は、物品9の大きさにより異なった値となるが、この場合の「水平距離Lh1に応じた距離」は、例えば、大きさの異なる複数種類の物品9に基づいて算出された平均距離であっても良い。
【0032】
1-2.物品情報取得システムの制御構成
次に、物品情報取得システム100の制御構成について説明する。
【0033】
図5に示すように、物品情報取得システム100は、計測装置2及び撮像装置3に指令を行う統括制御装置Ctを備えている。より具体的には、統括制御装置Ctは、計測装置2が有する計測制御部2C及び撮像装置3が有する撮像制御部3Cに対して各種の指令を行う。これらの制御装置及び制御部は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアと、コンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムと、の協働により、各機能が実現される。
【0034】
計測制御部2Cは、統括制御装置Ctからの指令を受けて、物品9の寸法を計測し、物
品9の寸法情報を取得する。本実施形態では、計測制御部2Cは、旋回載置台21、移動体22、及び高さ検出装置5を制御することにより、物品9の横幅W1、前後長W2、及び物品高さHを計測する。
【0035】
撮像制御部3Cは、統括制御装置Ctからの指令を受けて、物品9の外観を撮像し、物品9の外観情報を取得する。本実施形態では、撮像制御部3Cは、第1撮像部31及び第2撮像部32を制御することにより、物品9の正面9P及び背面9B(上面部91)及び側面9S(側面部92)を撮像する。また、撮像制御部3Cは、統括制御装置Ctを介して計測制御部2Cと連係することにより、物品9が有する全ての側面9S(本例では4つの側面9S)を撮像する。具体的には、計測制御部2Cによる旋回載置台21の制御と、撮像制御部3Cによる第1撮像部31の制御とにより、物品9の側面9Sの向きを変更しつつ全ての側面9Sを撮像する。
【0036】
そして、このような制御構成に基づき、物品情報取得システム100は、計測装置2による物品9の寸法の計測後に、撮像装置3による側面部92の撮像を行う。本実施形態では、物品情報取得システム100は、少なくとも物品高さH以外の物品9の寸法を計測した後に、撮像装置3による側面部92の撮像を行う。これにより、計測装置2の計測動作を利用して、物品9を撮像装置3による撮像に適した適正位置に配置した後に、物品9を撮像することができる。説明を加えると、物品9の側面9Sを一対の移動体22により挟持することにより、その挟持方向(第1方向X)における物品9の位置を移動体22によって適正位置に矯正することができる。よって、旋回載置台21を90°旋回させ、その前後でそれぞれ計測動作を行った後には、旋回載置台21の中央の適正位置に物品9が配置された状態となる。その後、撮像装置3によって撮像することで、旋回載置台21の中央側の適正位置に配置された物品9を撮像することができる。
【0037】
図6の動作図および図7のフローチャートを参照して、物品9の寸法の計測と外観の撮像とを行う手順の例について説明する。
【0038】
まず、図6(a)に示すように、旋回載置台21及び補助載置台4のそれぞれに同種の物品9を載置する。この際、旋回載置台21には正面9Pを上向きとし、且つ、横幅W1が第1方向Xに沿うように物品9を載置する。また、補助載置台4には背面9Bを上向きとして物品9を載置する。この載置作業は作業者が行う。そして、旋回載置台21上の物品9の横幅W1と物品高さHとを計測する(図7:#10、#11)。なお、その後、図6(b)に示すように、物品9の前後長W2が第1方向Xに沿うように、旋回載置台21を90°旋回させる(図7:#12)。そして、図6(c)に示すように、物品9の前後長W2を計測する(図7:#13)。以上の動作により、物品9の横幅W1、前後長W2、及び物品高さHを含む寸法情報を取得する。
【0039】
その後、図6(d)に示すように、第2撮像部32により旋回載置台21に載置された物品9の上面部91(正面9P)および補助載置台4に載置された物品9の上面部91(背面9B)を撮像すると共に、第1撮像部31により物品9の側面部92(側面9S)を撮像する(図7:#14、#15)。そして、図7に示すように、物品9の全ての側面9Sについて撮像が完了したか否かを判定する(#16)。全ての側面9Sについて撮像が完了していない場合には(#16;No)、旋回載置台21を90°旋回させ(#17)、旋回後に第1撮像部31により側面部92(側面9S)を撮像し(#15)、物品9の全ての側面9Sを撮像し終えるまで、これらの動作(#15~#17)を繰り返す。以上の動作により、物品9の正面9P、背面9B、及び全ての側面9Sに関する外観情報を取得する。
【0040】
以上説明した構成により、物品情報取得システム100は、物品の寸法情報および外観
情報の双方を効率的に取得することが可能となっている。
【0041】
1-3.物品情報取得システムの他の特徴構成
次に、物品情報取得システム100の他の特徴構成について説明する。
【0042】
上述のように、物品9を撮像する場合には、被写体距離を適切な距離に設定することが望ましい。ところが、撮像装置3の位置が固定された状態であると、物品9の寸法によって被写体距離が変化することになる。更に、横幅W1と前後長W2との寸法が異なる1つの物品9について各側面9Sを撮像する場合にも、被写体距離が変化する。また、物品9を撮像する場合には、物品9の中心部分を、撮像装置3の画角中央に位置させることが望ましい。しかしながら、物品9の寸法が異なれば、物品9の中心部分と撮像装置3の画角中央との位置関係も異なることになる。このように、物品9の寸法が異なる場合には、撮像条件も異なってくる。本実施形態では、物品情報取得システム100は、物品9の寸法に応じて撮像条件を適切に調整するための撮像条件調整機能を有している。以下、詳細に説明する。
【0043】
図2~5に示すように、物品情報取得システム100は、第1撮像部31を昇降させる第1昇降機構35と、第2撮像部32を昇降させる第2昇降機構36と、を更に有している。本実施形態では、図2及び図4に示すように、第1昇降機構35は、第1撮像部31を支持する第1支持体31Sを昇降方向に案内する第1案内レール35Lと、第1撮像部31及び第1支持体31Sを昇降駆動する第1昇降駆動部35Mと、第1昇降駆動部35Mの駆動力を第1支持体31Sに伝達する第1伝達機構35Tと、を有して構成されている。ここで、第1昇降駆動部35Mは、電動モータ等を用いて構成される。また、第1伝達機構35Tは、例えば、第1案内レール35Lの内部に配置されたボールねじ機構等の伝動部材を用いて構成される。そして、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のナット)に第1支持体31Sが連結されていると共に、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のねじ軸)が第1昇降駆動部35Mによって駆動される構成となっている。なお、第1伝達機構35Tの構成はこれに限定されず、無端ベルトとプーリ、リンク機構、ギヤ機構等を用いて構成しても良い。第1撮像部31は、このような第1昇降機構35によって上下方向に移動(昇降)する。図5に示すように、第1昇降機構35は、撮像制御部3Cにより制御されて第1撮像部31を昇降駆動する。
【0044】
第2昇降機構36についても、第1昇降機構35と同様に構成されている。すなわち、本実施形態では、図2及び図4に示すように、第2昇降機構36は、第2撮像部32を支持する第2支持体32Sを昇降方向に案内する第2案内レール36Lと、第2撮像部32及び第2支持体32Sを昇降駆動する第2昇降駆動部36Mと、第2昇降駆動部36Mの駆動力を第2支持体32Sに伝達する第2伝達機構36Tと、を有して構成されている。ここで、第2昇降駆動部36Mは、電動モータ等を用いて構成される。また、第2伝達機構36Tは、例えば、第2案内レール36Lの内部に配置されたボールねじ機構等の伝動部材を用いて構成される。そして、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のナット)に第2支持体32Sが連結されていると共に、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のねじ軸)が第2昇降駆動部36Mによって駆動される構成となっている。なお、第2伝達機構36Tの構成はこれに限定されず、無端ベルトとプーリ、リンク機構、ギヤ機構等を用いて構成しても良い。第2撮像部32は、このような第2昇降機構36によって上下方向に移動(昇降)する。図5に示すように、第2昇降機構36は、撮像制御部3Cにより制御されて第2撮像部32を昇降駆動する。
【0045】
物品情報取得システム100は、第1昇降機構35によって第1撮像部31を昇降させ、或いは、第2昇降機構36によって第2撮像部32を昇降させることにより、撮像条件を調整する。以下、具体例を用いて詳細に説明する。
【0046】
図8には、横幅W1と前後長W2とで寸法が異なる物品9が示されている。図8の左図では、横幅W1が第2方向Yに沿うように物品9が旋回載置台21に載置されている。旋回載置台21の上面から第2撮像部32までの上下方向の距離は既知である。そして、物品9の物品高さHについても、高さ検出装置5により計測されているため既知である。従って、第2撮像部32の第2被写体距離L2は、旋回載置台21の上面から第2撮像部32までの上下方向の距離と、物品高さHと、の差から算出できる。
【0047】
また、旋回軸心AX(旋回載置台21の中心)から光屈曲部33までの距離は既知である。そして、物品9の横幅W1についても、計測装置2によって計測されているため既知であり、旋回軸心AXから物品9の側面部92までの距離は、横幅W1の半分に相当する距離であるため既知である。従って、第1撮像部31の第1被写体距離L1における水平距離Lh1は、旋回軸心AX(旋回載置台21の中心)から光屈曲部33までの距離と、横幅W1の半分に相当する距離(H/2)と、の差から算出できる。なお、第1撮像部31から光屈曲部33までの上下方向の距離である鉛直距離Lv1も既知である。
【0048】
そして、本実施形態では、物品情報取得システム100は、第1昇降機構35によって第1撮像部31を昇降させ、或いは、第2昇降機構36によって第2撮像部32を昇降させることにより、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、撮像条件を調整する。なお、本実施形態において「同等」とは、完全に同じである必要はなく、実質的に同一と見なせる程度の差がある状態も含む。
【0049】
ここで、物品9の前後長W2が当該物品9の横幅W1よりも大きい場合において、図8の左図の状態から、図8の右図に示すように前後長W2が第2方向Yに沿うように物品9を旋回させた場合には、旋回前の状態に比べて水平距離Lh1´が短くなる。そのため、第1被写体距離L1は、第2被写体距離L2よりも短くなる。上述のように、旋回後の水平距離Lh1´は、既知の値を用いて算出することができる。そこで、物品情報取得システム100は、旋回載置台21を旋回させた後、第1被写体距離L1の水平距離Lh1´が短くなった場合には、第1撮像部31を上昇させる。また、物品情報取得システム100は、旋回載置台21を旋回させた後、第1被写体距離L1の水平距離Lh1´が長くなった場合には、第1撮像部31を下降させる。これにより、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、撮像条件を調整する。
【0050】
このような被写体距離の調整は、例えば、図9のフローチャートに示す手順に従って行われる。まず、物品情報取得システム100は、旋回載置台21の旋回後における水平距離Lh1´を演算する(#20)。そして、既知である第2被写体距離L2の値と、ステップ20により演算された水平距離Lh1´の値とを用いて、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等になる鉛直距離Lv1´を演算する(#21)。そして、物品情報取得システム100は、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、第1撮像部31を上昇又は下降させて鉛直距離Lv1´を調整する(#22)。以上の手順により、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、撮像条件を調整することができる。
【0051】
また、図1~5に示すように、本実施形態では、物品情報取得システム100は、光屈曲部33を旋回載置台21に対して接近又は離間する方向(第2方向Y)に移動させる屈曲部移動機構34を更に有している。本実施形態では、図1図3及び図4に示すように、屈曲部移動機構34は、光屈曲部33を支持する第3支持体33Sを第2方向Yに沿って案内する案内部34Lと、光屈曲部33及び第3支持体33Sを駆動する第3駆動部34Mと、第3駆動部34Mの駆動力を第3支持体33Sに伝達する第3伝達機構34Tと、を有して構成されている。ここで、第3駆動部34Mは、電動モータ等を用いて構成さ
れる。また、第3伝達機構34Tは、例えば、案内部34Lの内部に配置されたボールねじ機構等の伝動部材を用いて構成される。そして、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のナット)に第3支持体33Sが連結されていると共に、当該伝動部材(例えばボールねじ機構のねじ軸)が第3駆動部34Mによって駆動される構成となっている。なお、第3伝達機構34Tの構成はこれに限定されず、無端ベルトとプーリ、リンク機構、ギヤ機構等を用いて構成しても良い。このような構成により、光屈曲部33は、第2方向Yに沿って双方向に移動する。図5に示すように、屈曲部移動機構34は、撮像制御部3Cに制御されて、光屈曲部33を第2方向Yに沿って移動させる。
【0052】
そして、本実施形態では、物品情報取得システム100は、屈曲部移動機構34によって光屈曲部33を移動させることにより、物品9における撮像対象の側面部92の中心部分と撮像装置3の画角中央位置CI(図10参照)とが一致するように、撮像条件を調整する。以下、具体例を用いて詳細に説明する。
【0053】
例えば、ある物品9の物品情報の取得を終えた後に、当該物品9に比べて物品高さHの高い別の物品9の物品情報の取得を行う場合には、第2撮像部32における第2被写体距離L2が短くなる。この場合の第2被写体距離L2の調整は、第2撮像部32を上昇させることにより行うことができる。しかし、この場合、図10の左図に示すように、第1撮像部31の画角中央位置CI(第1被写体距離L1に沿う線分が物品9の側面部92と交わる位置)の高さが、側面部92の中心部分に対応する中心高さHCよりも下方にずれることになる。そこで、図10の右図に示すように、物品情報取得システム100は、光屈曲部33を物品9に対して接近させることにより、物品9の中心高さHCと撮像装置3の画角中央位置CIの高さとが一致するように、撮像条件を調整する。
【0054】
このように物品9に対して光屈曲部33を接近させた場合には、図10の右図に示すように、光屈曲部33を接近させる前に比べて第1被写体距離L1の鉛直距離Lv1´が短くなる。なお、第2方向Yにおける第1撮像部31の位置は不変であることから、光屈曲部33を移動させた後においても、水平距離Lh1´は不変である(Lh1=Lh1´)。上述のように、第2被写体距離L2と水平距離Lh1´とは、既知の値を用いて算出することができるため、これらの値を用いて、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とを同等にするために必要な鉛直距離Lv1´を算出することができる。そこで、物品9に対して光屈曲部33を接近させることにより第1被写体距離L1の鉛直距離Lv1´が短くなった場合には、第1撮像部31を上昇させることにより、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、撮像条件を調整する。なお、上記とは逆に、前回よりも物品高さHの低い物品9の物品情報の取得を行う場合には、光屈曲部33を物品9から離間させると共に、第1撮像部31を下降させることにより、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように撮像条件を調整する。
【0055】
上記で説明した画角中央位置CIの高さの調整は、例えば、図11のフローチャートに示す手順に従って行われる。まず、物品情報取得システム100は、物品9の物品高さHに基づいて、側面部92の中心部分に対応する中心高さHCを演算する(#30)。この中心高さHCは、物品高さHの半分の高さに相当する。そして、物品情報取得システム100は、画角中央位置CIの高さと中心高さHCとを一致させるように、光屈曲部33を物品9に対して接近又は離間させる(#31)。次に、物品情報取得システム100は、既知である第2被写体距離L2の値と水平距離Lh1´の値とを用いて、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等になる鉛直距離Lv1´を演算する(#32)。そして、物品情報取得システム100は、第1被写体距離L1と第2被写体距離L2とが同等となるように、第1撮像部31を上昇又は下降させて鉛直距離Lv1´を調整する(#33)。以上の手順により、物品9の中心高さHCと第1撮像部31の画角中央位置CIの高さとが一致するように、撮像条件を調整することができると共に、第1被写体距離L1
と第2被写体距離L2とが同等となるように、撮像条件を調整することができる。
【0056】
2.第2実施形態
次に、物品情報取得システム100の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記の第1実施形態と比べて、計測装置2の構成が異なる。具体的には、第1実施形態では、図4に示すように、物品9の寸法を計測するための一対の移動体22が、一対の対向面22Aが互いに旋回載置台21の旋回軸心AXから同じ距離となるように連動する構成となっていた。本実施形態では、一対の移動体22のそれぞれが、独立して動作するように構成されている。以下では、図12図14を参照して、本実施形態について第1実施形態と異なる点を主として説明する。特に説明しない点については、第1実施形態と同様である。
【0057】
図12図14は、第2方向Y視(図1等参照)における計測装置2を模式的に示しており、物品9の寸法(図示の例では横幅W1)を計測する手順を示している。
【0058】
本実施形態では、計測装置2は、旋回載置台21に載置された物品9との距離を測る測距計24を備えている。測距計24は、旋回載置台21を挟んで第1方向Xの一方側に配置された第1測距計241と、他方側に配置された第2測距計242と、を有している。本実施形態では、一対の測距計241,242は、レーザを照射して対象物との距離を測るレーザ光線式に構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、測距計24は、例えば、光学系を用いる光学式や、超音波を用いる超音波式に構成されていても良い。
【0059】
図12に示すように、一対の測距計241,242は、一対の移動体22(以下、第1方向Xの一方側に配置されたものを第1移動体221と称し、他方側に配置されたものを第2移動体222と称することがある。)よりも旋回軸心AXから遠い位置に配置されている。換言すれば、旋回軸心AXの位置を第1方向Xの内側とした場合に、第1測距計241は、第1移動体221よりも第1方向Xの外側に配置され、第2測距計242は、第2移動体222よりも第1方向Xの外側に配置されている。
【0060】
一対の移動体221,222のそれぞれは、旋回載置台21との間で上下方向の隙間を形成するように、旋回載置台21よりも上方に配置されている。一対の測距計241,242から照射されるレーザは、第1方向Xに沿って旋回載置台21の中心位置に向かって照射され、移動体22と旋回載置台21との間の隙間を抜けて旋回載置台21に載置された物品9に到達する。これにより、一対の測距計241,222から照射されるレーザのそれぞれを、物品9における第1方向Xの両側面9S,9Sに到達させることができ、一対の測距計241,242のそれぞれから物品9までの距離を計測できる。そして、これらの距離に基づいて、物品9の寸法を計測(後述する仮計測)することができる。
【0061】
そして、本実施形態では、一対の移動体221,222を第1方向Xに沿って移動させる移動体駆動機構23(図1等参照)は、一対の移動体221,222を互いに独立して移動させるように構成されている。そして、例えば一対の移動体221,222のうち第1移動体221を移動させることで、当該第1移動体221により物品9を押し込んで、物品9を旋回載置台21の中心位置(旋回軸心AXの位置)に配置させる。そして、第2移動体222を移動させることで、第1移動体221と第2移動体222とで物品9を挟み込み、この状態での両者の離間距離に基づいて物品9の寸法を計測(後述する本計測)することができる。
【0062】
次に、物品9の寸法を計測する手順について説明する。本実施形態では、物品9の寸法を計測(本計測)する前に、当該物品9の寸法を仮計測する。説明を加えると、図12
示すように、一対の測距計241,242により、物品9の両側面9S,9Sにレーザを照射して、一対の測距計241,242のそれぞれと物品9との距離に基づいて、物品9の横幅W1´を仮計測する。
【0063】
そして、仮計測した横幅W1´に基づいて、旋回載置台21の中心位置に物品9を配置させるために必要な第1移動体221の移動量を算出する。具体的には、第1移動体221の初期位置から旋回載置台21の中心位置(旋回軸心AXの位置)までの距離である中心距離WCから、仮計測した物品9の横幅W1´の半分の長さ(W1´/2)を減算することで、旋回載置台21の中心位置に物品9を配置させるために必要な第1移動体221の移動量を算出する。
【0064】
次に、図13に示すように、上記のように算出した移動量(WC-W1´/2)だけ第1移動体221を移動させる。これにより、物品9が旋回載置台21の中心位置に配置される。
【0065】
その後、図14に示すように、第1移動体221を物品9に接触させたまま、第2移動体222を移動させて、当該第2移動体222を第1移動体221の反対側から物品9に接触させる。これにより、第1移動体221と第2移動体222とによって、第1方向Xの両側から物品9を挟み込む。そして、第1方向Xにおける第1移動体221と第2移動体222との離間距離に基づいて、物品9の横幅W1を本計測する。
【0066】
3.その他の実施形態
次に、物品情報取得システムのその他の実施形態について説明する。
【0067】
(1)上記の実施形態では、物品情報取得システム100は、少なくとも物品9の横幅W1および前後長W2を計測した後に、側面部92の撮像を行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品情報取得システム100は、物品9の幅寸法を計測する都度、その時点における光屈曲部33側を向く物品9の側面部92を撮像するように構成されていても良い。上記の実施形態に照らして説明すると、物品情報取得システム100は、物品9の横幅W1の計測後その時点において光屈曲部33側を向く側面部92を撮像し、次に、物品9の前後長W2の計測後その時点において光屈曲部33側を向く側面部92を撮像するように構成されていても良い。
【0068】
(2)上記の実施形態では、第2撮像部32により物品9の上面部91を撮像する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1撮像部31によって物品9の上面部91を撮像しても良い。この場合、物品9の側面部92を撮像する場合と物品9の上面部91を撮像する場合とで、第1昇降機構35によって第1撮像部31の高さを変更すると好適であるが、高さを変更せずに撮像しても良い。また、この場合において、第1撮像部31の画角内に補助載置台4も納まるように第1撮像部31を設けることにより、第1撮像部31と第2撮像部32とを兼ねる1つの撮像部を備える構成とし、当該1つの撮像部のみで物品9の全ての面の外観情報を取得する構成としても好適である。
【0069】
(3)上記の実施形態では、旋回載置台21とは別に、物品9と同種の別の物品9が載置される補助載置台4が設けられている例について説明した。しかし、補助載置台4は設けられていなくても良い。この場合、物品9が載置される載置台として旋回載置台21において、物品9の正面9P及び背面9Bの双方を撮像するようにしても良い。例えば、正面9Pの撮像後に物品9を反転させることにより、背面9Bを撮像することができる。この場合において、物品9の反転を作業者が行っても良いし、物品情報取得システム100が反転機構を備え、当該反転機構によって旋回載置台21上で物品9を反転させる構成としても良い。
【0070】
(4)上記の実施形態では、移動体22の形状を板状とした例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移動体22は、物品9を挟持し得るように構成されていれば特に形状は限定されない。例えば、移動体22は、棒状体や柱状体などによって構成されていても良い。
【0071】
(5)上記の実施形態では、物品情報取得システム100が、第1撮像部31を昇降させる第1昇降機構35と、第2撮像部32を昇降させる第2昇降機構36と、を有している構成を例として説明した。しかし、物品情報取得システム100が、第1昇降機構35と第2昇降機構36との一方又は双方を備えない構成としても良い。この場合において、物品9の各面までの被写体距離の違いによる画像データの縮尺の相違は、画像処理により補正する構成とすると好適である。
【0072】
(6)上記の実施形態では、物品情報取得システム100が、屈曲部移動機構34を有している構成を例として説明した。しかし、物品情報取得システム100が、屈曲部移動機構34を備えない構成としても良い。この場合、複数種類の物品9の全てに対応できるように光屈曲部33の大きさ(光屈曲部33がミラーを用いる場合はミラーの面積)を十分に確保すると共に、複数種類の物品9の物品高さHの平均に合わせた位置に光屈曲部33を配置すると好適である。
【0073】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0074】
4.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品情報取得システムの概要について説明する。
【0075】
物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得する物品情報取得システムであって、
前記物品が載置されると共に上下方向に沿う旋回軸心周りに旋回する旋回載置台と、前記旋回軸心を挟んで水平方向に沿う第1方向の両側に配置されると共に前記第1方向に沿って接近及び離間可能に構成された一対の移動体と、を有する計測装置と、
前記旋回載置台よりも上方に配置されると共に下方を撮像する撮像部と、前記撮像部の下方に配置されると共に前記旋回載置台側からの光を前記撮像部側に向けて屈曲させる光屈曲部と、を有する撮像装置と、を備え、
前記計測装置は、一対の前記移動体により前記旋回載置台に載置された前記物品を前記第1方向の両側から挟持すると共に、一対の前記移動体同士の間隔に基づいて前記物品の寸法を計測するように構成され、
前記撮像装置は、前記旋回載置台に載置された前記物品における前記光屈曲部側を向く側面部を撮像するように構成され、
前記計測装置による前記物品の寸法の計測後に、前記撮像装置による前記側面部の撮像を行う。
【0076】
本構成によれば、一対の移動体により旋回載置台上の物品を挟持することにより、当該物品の水平方向に沿う第1方向の寸法を計測することができる。また、旋回載置台上に置かれた際の物品の位置が適正位置からずれていた場合であっても、一対の移動体による挟持によって物品の位置が適正位置に矯正される。その後に撮像装置による撮像を行うため、物品の側面部の画像を適切に撮像することができる。従って、本構成によれば、物品の寸法情報の取得と物品の外観情報の取得とを連続して行うことができると共に、物品の寸
法情報の取得のための一対の移動体の動作を利用して物品の位置を適正位置に矯正した後に、適切に外観情報の取得を行うことができる。従って、物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を効率的且つ適切に取得することができる。
更に、旋回載置台上に物品を載置するため、旋回載置台の旋回を旋回させることにより、複数の方向の物品の寸法を計測することができると共に、複数の方向から物品の側面部の撮像を行うことができる。従って、物品の各部の寸法情報及び物品の複数の側面部に係る外観情報を効率的且つ適切に取得することができる。
【0077】
ここで、
前記撮像部は、前記物品の前記側面部を撮像するための第1撮像部であって、前記第1撮像部は、その画角内に前記光屈曲部が納まるように配置され、
前記撮像装置は、前記第1撮像部とは別に、前記物品における上方を向く上面部を撮像するための第2撮像部を更に有し、
前記第2撮像部は、その画角内に前記旋回載置台が納まるように配置されていると好適である。
【0078】
本構成によれば、物品の側面部を撮像する第1撮像部と物品の上面部を撮像する第2撮像部とを別個に備えるため、それぞれの撮像部を物品の撮像対象部分に適した位置及び方向に配置することができる。そのため、物品の側面部と上面部とのそれぞれを適切に撮像して高品質の外観情報を取得することが容易となる。
【0079】
また、
前記計測装置の前記旋回載置台とは別に、前記物品と同種の別の物品が載置される補助載置台を更に備え、
前記第2撮像部は、その画角内に前記旋回載置台と前記補助載置台との双方が納まるように配置されていると好適である。
【0080】
本構成によれば、例えば、旋回載置台に載置された物品と同種の別の物品を、旋回載置台に載置された物品とは異なる向き(姿勢)で補助載置台に載置することにより、同種の物品に関する複数の向きの外観情報を同時に取得することが可能となる。従って、物品の外観情報をより効率的に取得することが可能となる。
【0081】
また、
前記第1撮像部は、前記第2撮像部よりも下方に配置されていると好適である。
【0082】
物品における撮像対象となる部分から撮像部に向かう光の経路長を被写体距離とすると、物品の実際の大きさに応じた外観情報を取得するという観点からは、物品の側面部を撮像する場合及び物品の上面部を撮像する場合の何れの場合であっても、被写体距離は同等であることが望ましい。しかしながら、上記の構成によれば、第1撮像部の被写体距離は、光屈曲部によって物品からの光を屈曲させる分、第2撮像部の被写体距離に比べて長い。本構成によれば、第1撮像部が第2撮像部よりも下方に配置されているため、第1撮像部の被写体距離と第2撮像部の被写体距離との差を少なくすることができる。
【0083】
また、
前記第1撮像部を昇降させる第1昇降機構と、前記第2撮像部を昇降させる第2昇降機構と、を更に有すると好適である。
【0084】
本構成によれば、第1撮像部と第2撮像部とをそれぞれ昇降させて、第1撮像部の被写体距離と第2撮像部の被写体距離とを個別に調整することができる。これにより、例えば、物品の大きさや形状等に応じて、適切に外観情報を取得することが可能となる。
【0085】
また、
前記光屈曲部を前記旋回載置台に対して接近又は離間する方向に移動させる屈曲部移動機構を更に有すると好適である。
【0086】
本構成によれば、物品の側面部における第1撮像部によって撮像される箇所が適切になるように調整することが可能となる。
【0087】
また、
前記旋回載置台に載置された前記物品における上方を向く上面部の高さを検出する高さ検出装置を更に有すると好適である。
【0088】
本構成によれば、物品を旋回載置台に載置した状態のままで、物品の水平方向に沿う第1方向の寸法に加えて、物品の高さ方向の寸法を計測することができる。従って、物品の各部の寸法情報を効率的に取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示に係る技術は、物品の寸法情報および外観情報を含む物品情報を取得するための物品情報取得システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0090】
100 :物品情報取得システム
2 :計測装置
3 :撮像装置
4 :補助載置台
5 :高さ検出装置
9 :物品
21 :旋回載置台
22 :移動体
30 :撮像部
31 :第1撮像部(撮像部30)
35 :第1昇降機構
32 :第2撮像部
36 :第2昇降機構
33 :光屈曲部
34 :屈曲部移動機構
91 :上面部
92 :側面部
AX :旋回軸心
CI :画角中央位置
Ct :統括制御装置
H :物品高さ
HC :中心高さ
L1 :第1被写体距離
L2 :第2被写体距離
W1 :横幅
W2 :前後長
X :第1方向
Y :第2方向
図1
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