(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】配管の接続構造
(51)【国際特許分類】
E03D 11/13 20060101AFI20221021BHJP
F16L 5/00 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
E03D11/13
F16L5/00 N
(21)【出願番号】P 2018225393
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】梅田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】林 佐登司
(72)【発明者】
【氏名】伴 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】福谷 孝二
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168643(JP,A)
【文献】特開2008-303616(JP,A)
【文献】特開平9-41468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/00-13/00
F16L 5/00
A47K 1/00
E03C 1/00- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陶器の表面に形成された貫通孔に配管を接続する配管の接続構造であって、
前記貫通孔に挿入される挿入部と、前記挿入部から拡径して前記貫通孔の周囲に当接可能な当接部と、を有し、中空部に前記配管が挿通される筒状の弾性部材と、
前記貫通孔に前記配管が挿入された状態で、前記弾性部材を固定し、前記配管を前記貫通孔に接続する固定部材と、を備え、
前記弾性部材は、前記当接部における前記配管の挿通方向に沿う厚さ寸法が、前記挿入部における前記配管の挿通方向に略直交する厚さ寸法よりも大きい、配管の接続構造。
【請求項2】
前記当接部における前記中空部の内壁面には、内側に向かって突出する環状の内ビード部が形成される、請求項1に記載の配管の接続構造。
【請求項3】
前記当接部は、平面状に形成され、
前記当接部における前記貫通孔の周囲に当接する面と反対側の面に配置されるワッシャ部及び前記ワッシャ部の周縁から突出して前記当接部の外周面に沿って延びるガイド部を有するガイド付きワッシャを有する、請求項1又は2に記載の配管の接続構造。
【請求項4】
前記固定部材は、樹脂製であり、前記配管が挿通する挿通孔と、前記固定部材が当接する部材の被当接部に当接する座面部と、前記座面部から前記配管の挿通方向に沿って起立し、工具により締結される締結部と、を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の配管の接続構造。
【請求項5】
前記固定部材は、前記締結部における前記挿通孔と、前記締結部の外側表面との間に部分的に形成される中抜き部を有する、請求項4に記載の配管の接続構造。
【請求項6】
前記締結部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法は、前記陶器の前記貫通孔の内径よりも大きい、請求項4又は5に記載の配管の接続構造。
【請求項7】
前記締結部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法は、前記座面部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法よりも狭く形成され、
前記締結部の前記最大幅寸法は、前記座面部の前記最大幅寸法の70%~100%である、請求項4~6のいずれか1項に記載の配管の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば便器や洗面器等の陶器に配管を接続する場合、陶器の表面に形成された貫通孔に配管を挿入し、固定する。配管は、貫通孔の周囲に弾性部材及びワッシャ等を介在させてナット等の固定部材により締結されることで、弾性部材及びワッシャ等に押圧されて固定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
陶器は焼成により形成されるため、表面に微細な凹凸が形成されたり、傾斜が形成されたりし、個々の陶器によって製造誤差が生じやすい。弾性部材を陶器の表面に密着させるためには、陶器の表面形状が一定している必要がある。したがって、陶器の表面形状に高い精度が求められることとなり、便器などの陶器の製造の歩留まりが悪くなる可能性があった。そこで、陶器に弾性部材を介して固定部材で固定する際、弾性部材が陶器の表面から浮いてしまう不陸を防止しやすい配管の接続構造が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、陶器(例えば、後述の便器本体101)の表面に形成された貫通孔(例えば、後述の貫通孔103)に配管(例えば、後述の配管2)を接続する配管の接続構造(例えば、後述の配管の接続構造1)であって、前記貫通孔に挿入される挿入部(例えば、後述の挿入部51)と、前記挿入部から拡径して前記貫通孔の周囲に当接可能な当接部(例えば、後述の当接部53)と、を有し、中空部に前記配管が挿通される筒状の弾性部材(例えば、後述の弾性部材5)と、前記貫通孔に前記配管が挿入された状態で、前記弾性部材を固定し、前記配管を前記貫通孔に接続する固定部材(例えば、後述のナット4)と、を備え、前記弾性部材は、前記当接部における前記配管の挿通方向に沿う厚さ寸法(例えば、後述の厚さ寸法T1)が、前記挿入部における前記配管の挿通方向に略直交する厚さ寸法(例えば、後述の厚さ寸法T2)よりも大きい、配管の接続構造に関する。
【0006】
前記当接部における前記中空部の内壁面には、内側に向かって突出する環状の内ビード部(例えば、後述の内ビード部52)が形成される、ことが好ましい。
【0007】
前記当接部は、平面状に形成され、前記当接部における前記貫通孔の周囲に当接する面と反対側の面に配置されるワッシャ部(例えば、後述のワッシャ部61)及び前記ワッシャ部の周縁から突出して前記当接部の外周面に沿って延びるガイド部(例えば、後述のガイド部62)を有するガイド付きワッシャ(例えば、後述のガイド付きワッシャ6)を有する、ことが好ましい。
【0008】
前記固定部材は、樹脂製であり、前記配管が挿通する挿通孔(例えば、後述の挿通孔41)と、前記固定部材が当接する部材の被当接部に当接する座面部(例えば、後述の座面部42)と、前記座面部から前記配管の挿通方向に沿って起立し、工具により締結される締結部(例えば、後述の締結部43)と、を有する、ことが好ましい。
【0009】
前記固定部材は、前記締結部における前記挿通孔と、前記締結部の外側表面との間に部分的に形成される中抜き部(例えば、後述の中抜き部432)を有することが好ましい。
【0010】
前記締結部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法(例えば、後述の最大幅寸法W1)は、前記陶器の前記貫通孔の内径(例えば、後述の内径D)よりも大きい、ことが好ましい。
【0011】
前記締結部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法は、前記座面部における前記配管の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法(例えば、後述の最大幅寸法W2)よりも狭く形成され、前記締結部の前記最大幅寸法は、前記座面部の前記最大幅寸法の70%~100%である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、陶器の表面と弾性部材との不陸を防止しやすい配管の接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の配管の接続構造が用いられた便器装置を示す図である。
【
図2】本実施形態の配管の接続構造の断面図である。
【
図4】本実施形態のナットを示し、(a)図は、ナットの斜視図であり、(b)図は、断面図である。
【
図5】本実施形態の配管の接続構造における配管の各部が変形した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の配管の接続構造1が用いられた便器100を示す図である。
便器100は、便器本体101と、後方上面部102とを有する。
便器本体101は、上部が開口したボウル部を有し、全体が陶器により形成される。
図1に示すように、便器本体101の上部後方には、便器本体101に洗浄水を供給するための配管2、105を挿通させる貫通孔103、104が形成されている。
図1に示すように、上方の貫通孔103には、以下に説明する本実施形態の配管2が挿通し、下方の貫通孔104には、便器本体101にジェット水流を発生させるためのジェット配管105が挿通されている。
【0015】
後方上面部102は、便器本体101の上部後方に配置され、便器本体101に便器本体101の洗浄用の水を供給する構成部品を固定する面である。具体的には、後方上面部102には給水弁(図示省略)が配置され、この給水弁が、配管2、105に接続される。
【0016】
配管の接続構造1は、便器本体101の表面に形成された貫通孔103に配管2を接続する構造であり、便器本体101の貫通孔103及び配管2により構成される。
配管2は、一端が給水弁を介して給水源へ接続されるホース部21と、ホース部21の他端に配置され、便器本体101の貫通孔103に挿通して固定されるリムノズル3を有する。
図2は、配管の接続構造1の断面図である。
図2に示すように、リムノズル3は、リムノズル本体30と、固定部材としてのナット4と、弾性部材5と、ガイド付きワッシャ6と、抜け止め金具7と、バックアップリング8と、ノズルキャップ9と、を有する。
【0017】
リムノズル本体30は、ホース部21の端部に接続された状態で貫通孔103に挿通され、固定される管状のアダプタである。リムノズル本体30のホース部21側から洗浄水が供給され、ホース部21と反対側の端部へ向けて洗浄水が流通する。リムノズル本体30は、ホース部21に接続される上流側よりも、便器本体101の貫通孔103に挿通される下流側の方で径が大きく形成されている。リムノズル本体30の外側表面には、リムノズル本体30が係合する部品の形状に応じた溝及び突起が形成されている。具体的には、リムノズル本体30の上流側には、後述するナット4と係合するネジ溝31が形成されており、下流側には、後述する抜け止め金具7が係合するフランジ状の突起32が形成されている。
【0018】
図3は、弾性部材5の断面図である。弾性部材5は、中心側に中空部54を有する筒状で、フランジの形成されたゴム製平パッキンである。
図3に示すように、弾性部材5は、挿入部51と、内ビード部52と、当接部53と、を有する。弾性部材5の中空部54には、リムノズル本体30が挿通される。
【0019】
挿入部51は、貫通孔103に挿入される略円筒形の部分であり、リムノズル本体30の挿通する挿通方向に沿って延びる。
図2に示すように、挿入部51を便器本体101の貫通孔103に挿通させた状態では、挿入部51と貫通孔103の周縁との間に、隙間Sが形成されている。
【0020】
当接部53は、挿入部51の一方側で挿入部51からフランジ状に拡径する部分である。
図2に示すように、当接部53は、挿入部51が貫通孔103に挿入された状態で、貫通孔103の周囲の便器本体101の表面に当接可能な部分である。当接部53は、挿入部51から屈曲して拡径する面が平坦な平面状に形成され、便器本体101の表面に面で接触する。また、便器本体101の表面と接する側と反対の上流側の面も平坦な平面状に形成され、後述するガイド付きワッシャ6が当接する。
【0021】
当接部53は、リムノズル本体30の挿通方向に沿う方向の厚さ寸法T1が、4mm~8mm程度であり、この当接部53の厚さ寸法T1は、挿入部51におけるリムノズル本体30の挿通方向に略直交する方向の厚さ寸法T2、すなわち挿入部51の管の厚さ寸法よりも大きい。
【0022】
内ビード部52は、
図3に示すように、当接部53における中空部54の内壁面に形成される環状の凸部である。内ビード部52は、中空部54の内壁面から内側に向かって突出する環が上下方向に離れて二つ形成されている。内ビード部52は、リムノズル本体30が中空部54に挿入された際、リムノズル本体30の外側表面を押圧する。
【0023】
ガイド付きワッシャ6は、弾性部材5の当接部53における上流側に配置される。ガイド付きワッシャ6は、樹脂製で略環状の形状を有し、ワッシャ部61と、ガイド部62と、貫通孔63と、を有する。
【0024】
ワッシャ部61は、弾性部材5における当接部53の便器本体101の表面に当接する側と反対側の面に配置される。ワッシャ部61は、当接部53を覆うように、当接部53に重ねて配置される。ワッシャ部61は、当接部53と略同じかわずかに大きい外径を有する。
【0025】
ガイド部62は、ワッシャ部61の周縁から突出して当接部53の外周面に沿って延びる側壁である。ガイド部62は、ワッシャ部61の面に対して略直交する方向に延び、当接部53の側面を少なくとも部分的に覆うように配置される。
【0026】
貫通孔63は、ワッシャ部61及びガイド部62の中心側に形成される円形の穴であり、リムノズル本体30が挿通する。
【0027】
抜け止め金具7は、中心側にリムノズル本体30が挿通される略長円形の貫通孔71が形成される環状の金具である。抜け止め金具7は、便器本体101の表面の貫通孔103の下流側で、貫通孔103の周囲の面に当接可能に延出する延出部72を有する。抜け止め金具7は、貫通孔71にリムノズル本体30が挿通した状態で、リムノズル本体30の下流側に形成されたフランジ状の突起32に当接し、延出部72が貫通孔103の周囲の面の下流側に当接することにより、リムノズル本体30が上流側へ抜けてしまうことを防止する。
【0028】
バックアップリング8は、中心にリムノズル本体30が挿通される貫通孔81が形成される環状の金具である。バックアップリング8は、抜け止め金具7よりも薄く、外形は略円形状である。バックアップリング8は、弾性部材5が変形した際に、弾性部材5を支持する。
【0029】
ノズルキャップ9は、リムノズル本体30の下流側端部を覆うキャップであり、有底筒状の形状を有する。ノズルキャップは、キャップ開口部91と、キャップ底部92と、キャップ側面部93とを有する。
キャップ開口部91は、リムノズル本体30の下流側端部を受け入れる。
キャップ底部92は、リムノズル本体30の下流側端部が当接する略円形の面であり、洗浄水を便器本体101の内側へ向けて吐水する複数の貫通孔94が形成されている。
キャップ側面部93は、リムノズル本体30の下流側の側面に沿う略円筒形の部分である。
【0030】
図4(a)は、ナット4の斜視図であり、
図4(b)は、断面図である。
図4(a)に示すように、ナット4は、樹脂製であり、挿通孔としてのリムノズル本体挿通孔41と、座面部42と、締結部43と、を有する。
【0031】
リムノズル本体挿通孔41は、リムノズル本体30がナット4に挿通する円筒状の貫通孔である。リムノズル本体挿通孔41の内周面には、リムノズル本体30の上流側の外周面に形成されたネジ溝31に対応するナット4側のネジ溝41aが形成されており、ナット4を回転させることでリムノズル本体30と係合する。
【0032】
座面部42は、ナット4が当接する部材の被当接部としてのガイド付きワッシャ6の上流側の面に当接する平坦な面を有し、平面視で略円形形状に形成される。
【0033】
締結部43は、座面部42の上流側の面に形成される略六角柱状の部分である。締結部43は、座面部42からリムノズル本体30の挿通方向に沿って起立し、工具により締結される。
【0034】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、締結部43は、リムノズル本体挿通孔41と締結部43の外側表面との間に部分的に形成される中抜き部432を有し、いわゆる肉抜き形状に形成されている。具体的には、リムノズル本体挿通孔41と、締結部43の外側表面との間に放射方向に延びる複数の内壁431が形成され、中抜き部432は、隣接する内壁431同士の間に形成される。リムノズル本体挿通孔41の外側に中抜き部432が形成されることで、締結部43自体の大きさ、すなわち締結部43の六角形状の向かい合う角と角を結ぶ距離が大きく形成される。
【0035】
締結部43は、
図2に示すように、締結部43におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W1が、便器本体101の貫通孔103の内径Dよりも大きい。
【0036】
また、締結部43は、締結部43におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W1が、座面部42におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W2よりも狭い。具体的には、締結部43の最大幅寸法W1は、座面部42の最大幅寸法W2の70%~100%であり、好ましくは70~80%程度である。
【0037】
次に、配管の接続構造1における配管2の固定手順について説明する。
図2に示すように、リムノズル本体30の下流側端部にノズルキャップ9が嵌められて、リムノズル本体30の外側表面の突起32の上に抜け止め金具7とバックアップリング8とが重ねられた状態で、便器本体101の内側から外側に向かって貫通孔103にリムノズル本体30を挿入する。
【0038】
便器本体101の貫通孔103の外側にリムノズル本体30の上端側が突出した状態で、リムノズル本体30に弾性部材5の挿入部51を通し、続いてガイド付きワッシャ6の貫通孔63を通す。弾性部材5の挿入部51及びガイド付きワッシャ6の貫通孔63をリムノズル本体30に通すと、ガイド付きワッシャ6が弾性部材5の当接部53の上流側の面を覆う。このとき、弾性部材5の挿入部51に形成された環状の内ビード部52が、リムノズル本体30の外周面に密着する。
【0039】
次に、ナット4のリムノズル本体挿通孔41にリムノズル本体30を通しつつ、リムノズル本体挿通孔41の内周面に形成されたネジ溝41aを、リムノズル本体30のネジ溝31に係合させる。このとき、最初は施工者が手等で回して取り付けるが、係合がきつくなってくると、工具を使ってナット4の締結部43の外側を挟み、回転させる。このように、便器本体101の貫通孔103にリムノズル3を挿入させた状態で、ナット4が弾性部材5及びガイド付きワッシャ6を固定することで、配管2が貫通孔103に接続される。
【0040】
図5は、
図2の状態から、ナット4を固く締結した状態の断面図である。便器本体101の表面は陶器製のため、凹凸や傾斜等が形成されている場合がある。この場合、弾性部材5を便器本体101の表面に密着させるために、強いトルクでナット4を締めることが一般的である。しかし、
図4に示すように、ナット4の座面部42に対して締結部43の最大幅が70%~100%となっていると、強いトルクでナット4を締めても、座面部42が潰れにくい。
図4では、座面部42はリムノズル本体挿通孔41側が凹むように撓んでいるが、変形はわずかなもので済む。
【0041】
さらに、弾性部材5の当接部53の外周面には、ガイド付きワッシャ6のガイド部62が当接するように延びている。この状態では、
図4に示すように、ナット4側から締め付けられて弾性部材5が潰されても、ガイド付きワッシャ6のガイド部62によって弾性部材5が径方向外側へ広がらないように弾性部材5が押さえられているので、弾性部材5は平たく潰れずに便器本体101の表面を押圧する。
【0042】
加えて、弾性部材5の当接部53におけるリムノズル本体30の挿通方向に沿う方向の厚さ寸法T1が、挿入部51におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の厚さ寸法T2よりも厚くなっているので、ナット4によって押圧されても、当接部53が形をとどめようとする力がガイド付きワッシャ6及び便器本体101の表面の両方に十分に働くので、便器本体101の表面を十分に押圧する面圧が確保できる。例えば、ナット4のトルクを5±0.5N・mで締め付けた場合、便器本体101の表面に当接していない不陸部分の高さ1.5mmまで吸収することができる。
【0043】
ナット4の取り付けが終わった後、リムノズル本体30の上流端側をホース部21に接続する。
【0044】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態では、便器本体101の表面に形成された貫通孔103に配管2を接続する配管の接続構造1を、貫通孔103に挿入される挿入部51と、挿入部51から拡径して貫通孔103の周囲に当接可能な当接部53と、を有し、中空部54に配管2が挿通される筒状の弾性部材5と、貫通孔103に配管2が挿入された状態で、弾性部材5を固定し、配管2を貫通孔103に接続するナット4と、を含んで構成した。また、弾性部材5の当接部53における配管2の挿通方向に沿う厚さ寸法T1を、挿入部51における配管2の挿通方向に略直交する厚さ寸法T2よりも大きく構成した。
当接部53におけるリムノズル本体30の挿通方向に沿う厚さ寸法T1の方が、挿入部51における挿通方向に略直交する厚さ寸法T2よりも大きいことで、便器本体101の表面形状の製造の精度が高くない場合に、便器本体101の表面に当接部53が密着しない不陸部分が大きく形成されたとしても、厚い当接部53がナット4に押されて変形し、不陸部分を吸収することができる。
また、容易に弾性部材5を便器本体101の表面に密着させることができることから、便器本体101の表面形状に高い精度を求めなくてもよくなるので、便器本体101の製造に際し、歩留まりが向上する。
【0045】
本実施形態では、当接部53における中空部54の内壁面に、内側に向かって突出する環状の内ビード部52を形成した。内ビード部52が配管2のリムノズル本体30の外側面を押圧するので、弾性部材5がリムノズル本体30に密着する。よって、ナット4が弾性部材5にかける力を逃がさずに便器本体101の表面へ伝えることができ、上記と同様の効果を奏する。
【0046】
本実施形態では、当接部53を、平面状に形成し、当接部53における貫通孔103の周囲に当接する面と反対側の面に配置されるワッシャ部61及びワッシャ部61の周縁から突出して当接部53の外周面に沿って延びるガイド部62を有するガイド付きワッシャ6を含んで構成した。
平面状の当接部53が便器本体101の貫通孔103の周囲に面接触するので、便器本体101の貫通孔103の周囲に十分な面圧をかけることができる。
さらに、当接部53を有する弾性部材5と、当接部53の外周面に沿って延びるガイド部62を有するガイド付きワッシャ6とをナット4で固定する。すると、ガイド付きワッシャのガイド部62が、弾性部材5の周囲を抑えるので、弾性部材5がナット4に押されて横に逃げ、平たく変形してしまうことを防止できる。よって、ナット4が弾性部材5にかける力を逃がさずに便器本体101の表面へ伝えることができ、上記と同様の効果を奏する。
【0047】
本実施形態では、固定部材を樹脂製のナット4とした。また、リムノズル本体30が挿通する挿通孔41と、ガイド付きワッシャ6に当接する座面部42と、座面部42から配管2の挿通方向に沿って起立し、工具により締結される締結部43と、を含んで構成した。
固定部材を樹脂製のナット4にすることで、製造コストを低減することができるとともに、成形しやすくなり、座面部42及び締結部43を容易に成形することができる。
また、厚い当接部53がナット4に押されて変形し、不陸部分を吸収しやすくなるので、弾性部材5を締結する際のトルクを小さくすることができる。これにより、ナット4等の固定部材を樹脂で成形しても、十分な耐久性を有し、製造コストも低減することができる。また、施工時に軽い力で固定できるので施工者の作業負担も低減される。またナット4を工具により締結することで、弾性部材5の固定が容易になるので、施工性が向上する。
【0048】
本実施形態では、ナット4を、締結部43におけるリムノズル本体挿通孔41と、締結部43の外側表面との間に部分的に形成される中抜き部432を含んで構成した。
締結部43におけるリムノズル本体挿通孔41と、締結部43の外側表面との間に中抜き部432が形成されると、結果的に締結部43におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の幅が広くなる。締結部43の幅が座面部42の幅に対して相対的に広いと、ナット4を締結した場合に座面部42が撓む度合いが低減される。ナット4の座面部42の変形が抑制されると、ナット4の座面部42に接する弾性部材5が十分に押圧される。よって小さなトルクでも弾性部材5を十分に押圧することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0049】
本実施形態では、締結部43におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W1を、便器本体101の貫通孔103の内径Dよりも大きくした。
締結部43の最大幅寸法W1を、便器本体101の貫通孔103の内径Dよりも大きくすることで、ナット4を締結した場合に座面部42が撓む度合いを効果的に低減することができる。よって小さなトルクでも弾性部材5を十分に押圧することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0050】
本実施形態では、締結部43におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W1を、座面部42におけるリムノズル本体30の挿通方向に直交する方向の最大幅寸法W2よりも狭く形成し、締結部43の最大幅寸法W1を、座面部42の最大幅寸法W2の70%~100%とした。
締結部43の最大幅寸法W1を、座面部42の最大幅寸法W2の70%~100%とすることで、ナット4を締結した場合に座面部42が撓む度合いを効果的に低減することができる。よって小さなトルクでも弾性部材5を十分に押圧することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、配管2がリムノズル3を有するものとして説明したが、リムノズルに限定されない。例えば、配管はジェットノズルを有し、ジェットノズルに本発明の弾性部材及びガイド付きワッシャが設けられていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、固定部材としてナット4を例に説明したが、ナットに限定されない。貫通孔103に配管2が挿入された状態で、弾性部材5及びガイド付きワッシャ6を固定できるものであれば、他の部品であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、固定部材は樹脂製であるが、樹脂に限定されない。金属製でもよく、他の材質であってもよい。
また、上記実施形態では、ナット4が当接する部材は、ガイド付きワッシャ6であるとして説明したが、ガイド付きワッシャ6に限られない。ワッシャやパッキン等の配管を接続するその他の部品に当接していてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 配管の接続構造
2 配管
4 ナット(固定部材)
5 弾性部材
6 ガイド付きワッシャ
41 リムノズル本体挿通孔(挿通孔)
42 座面部
43 締結部
51 挿入部
52 内ビード部
53 当接部
54 中空部
61 ワッシャ部
62 ガイド部
101 便器本体(陶器)
103 貫通孔
432 中抜き部