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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】角形ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/02 232
B65D1/02 250
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018236416
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020097436
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠和
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0186538(US,A1)
【文献】特開2016-030601(JP,A)
【文献】特開2015-209240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0236845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設され、
前記胴部は、複数のパネル面部がボトル軸回りの周方向にコーナ部を介して連設されて構成されるとともに、前記胴部に周溝が形成された角形ボトルであって、
前記周溝は、
径方向の外側を向く底面と、
前記底面の上端から径方向の外側に向かうに従い、上方に向けて延びる上側面と、
前記底面の下端から径方向の外側に向かうに従い、下方に向けて延びる下側面と、により画成され、
前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記パネル面部における周方向の端部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、隣接する前記コーナ部に向かうに従い、前記底面からボトル軸方向に離れ
前記底面は、ボトル軸に直交する横断面視で、前記パネル面部に位置して直線状に延びる直線部と、前記コーナ部に位置して径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する曲線部と、が周方向に交互に連設された形状を呈し、
前記曲線部における周方向の両端部は、この曲線部が位置する前記コーナ部に対して周方向の両側で隣接する各前記パネル面部に張り出して位置し、
前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記パネル面部における周方向の端部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、前記直線部と前記曲線部との接続部分が位置する周方向の位置から、隣接する前記コーナ部に向かうに従い、前記底面からボトル軸方向に離れている、角形ボトル。
【請求項2】
前記コーナ部は、周方向に幅を有してボトル軸方向に長さを有する帯状に形成され、
前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記コーナ部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、前記周溝の溝幅を狭めるように、前記底面に向けてボトル軸方向に張り出した突の曲線状を呈する、請求項1に記載の角形ボトル。
【請求項3】
前記底部の底壁部は、
外周縁部に位置する環状の接地部と、
前記接地部に径方向の内側から連なり上方に向けて延びる筒状の立ち上がり周壁部と、
前記立ち上がり周壁部の上端部から径方向の内側に向けて延び、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上方に向けて移動自在に配設された環状の可動壁部と、を備える、請求項1または2に記載の角形ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角形ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設され、胴部は、複数のパネル面部がボトル軸回りの周方向にコーナ部を介して連設されて構成されるとともに、胴部に周溝が形成された角形ボトルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5453669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の角形ボトルでは、熱充填後の角形ボトル内の減圧時に、胴部が、例えば横断面視で略正方形状または略長方形状から菱形等の扁平な形状に不正に変形するなどのおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、熱充填後の角形ボトル内の減圧時に、胴部が不正に変形するのを抑制することができる角形ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の角形ボトルは、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設され、前記胴部は、複数のパネル面部がボトル軸回りの周方向にコーナ部を介して連設されて構成されるとともに、前記胴部に周溝が形成された角形ボトルであって、前記周溝は、径方向の外側を向く底面と、前記底面の上端から径方向の外側に向かうに従い、上方に向けて延びる上側面と、前記底面の下端から径方向の外側に向かうに従い、下方に向けて延びる下側面と、により画成され、前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記パネル面部における周方向の端部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、隣接する前記コーナ部に向かうに従い、前記底面からボトル軸方向に離れ、前記底面は、ボトル軸に直交する横断面視で、前記パネル面部に位置して直線状に延びる直線部と、前記コーナ部に位置して径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する曲線部と、が周方向に交互に連設された形状を呈し、前記曲線部における周方向の両端部は、この曲線部が位置する前記コーナ部に対して周方向の両側で隣接する各前記パネル面部に張り出して位置し、前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記パネル面部における周方向の端部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、前記直線部と前記曲線部との接続部分が位置する周方向の位置から、隣接する前記コーナ部に向かうに従い、前記底面からボトル軸方向に離れている
【0007】
この発明によれば、周溝における上側面、および下側面のうちの少なくとも一方において、パネル面部における周方向の端部に位置する部分(以下、端部分という)の径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、隣接するコーナ部に向かうに従い、底面からボトル軸方向に離れているので、周溝のうち、パネル面部における周方向の端部に位置する部分の表面積が、ボトル軸方向に拡張されることとなる。
したがって、角形ボトル内の減圧時に、特に応力が集中しやすい、パネル面部とコーナ部との間の稜線部分に加えられた応力が、周溝に伝播しても、上側面、および下側面のうちの少なくとも一方の端部分で緩和されることとなり、胴部が不正に変形するのを抑制することができる。
【0009】
面の曲線部における周方向の両端部が、この曲線部が位置するコーナ部に対して周方向の両側で隣接する各パネル面部に張り出して位置しているので、底面の曲線部の周方向の位置と、前記稜線部分の周方向の位置と、が重複することとなる。これにより、角形ボトル内の減圧時に、前記稜線部分に加えられた応力が、ボトル軸方向の外側から周溝の底面に伝播しても、曲線部で緩和されることとなり、胴部が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
【0011】
溝における上側面、および下側面の各端部分のうちの少なくとも一方の径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、底面の前記接続部分が位置する周方向の位置から、隣接するコーナ部に向かうに従い、底面からボトル軸方向に離れているので、周溝のうち、パネル面部における周方向の端部に位置する部分が、上側面、および下側面の各端部分と、底面の曲線部と、により画成されることとなる。
したがって、周溝のうち、パネル面部における周方向の端部に位置する部分のほぼ全域で、角形ボトル内の減圧時に前記稜線部分から伝播された応力を緩和することが可能になり、胴部が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
【0012】
また、前記コーナ部は、周方向に幅を有してボトル軸方向に長さを有する帯状に形成され、前記上側面、および前記下側面のうちの少なくとも一方において、前記コーナ部に位置する部分の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、前記周溝の溝幅を狭めるように、前記底面に向けてボトル軸方向に張り出した突の曲線状を呈してもよい。
【0013】
この場合、周溝における上側面、および下側面のうちの少なくとも一方において、コーナ部に位置する部分(以下、角部分という)の径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、底面に向けてボトル軸方向に張り出した突の曲線状を呈するので、角部分、および端部分それぞれにおける径方向の外端縁同士を、周方向に滑らかに接続することが可能になり、角形ボトル内の減圧時に、前記稜線部分と周溝との接続部分に応力が集中するのを抑制することができる。
【0014】
また、前記底部の底壁部は、外周縁部に位置する環状の接地部と、前記接地部に径方向の内側から連なり上方に向けて延びる筒状の立ち上がり周壁部と、前記立ち上がり周壁部の上端部から径方向の内側に向けて延び、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上方に向けて移動自在に配設された環状の可動壁部と、を備えてもよい。
【0015】
この場合、底部の底壁部が、立ち上がり周壁部および可動壁部を備えるので、角形ボトル内の減圧時に、可動壁部を、立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上方に向けて移動させ、角形ボトルの内圧低下を抑えることが可能になり、胴部が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、熱充填後の角形ボトル内の減圧時に、胴部が不正に変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る第1実施形態として示した角形ボトルの、パネル面部を正面から見た側面図である。
図2図1に示す角形ボトルのII-II線矢視断面図である。
図3】本発明に係る第2実施形態として示した角形ボトルの底部の縦断面図である。
図4図3に示す角形ボトルの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る角形ボトル1について説明する。
角形ボトル1は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13、および底部14が、ボトル軸O方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設されて構成されている。
以下、上下方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
なお、角形ボトル1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、若しくはポリプロピレンなどの合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11には、図示しないキャップが装着される。
角形ボトル1の内容積は、例えば200ml以上4000ml以下の内容物が充填される大きさとなっている。
【0020】
図1および図2に示されるように、胴部13は、複数のパネル面部15が周方向にコーナ部17を介して連設されて構成されている。コーナ部17は、周方向に幅を有して上下方向に長さを有する帯状に形成されている。コーナ部17の幅は、パネル面部15の周方向の大きさより小さくなっている。パネル面部15およびコーナ部17の各外周面は、ボトル軸Oに直交する横断面視でほぼ真直ぐ延びている。なお、コーナ部17は、周方向に幅を有しない頂角部であってもよい。
【0021】
胴部13は、ボトル軸Oに直交する横断面視で正方形状を呈する。図示の例では、肩部12および底部14も、胴部13と同様に、ボトル軸Oに直交する横断面視で正方形状を呈する。パネル面部15とコーナ部17とは、稜線部分16を介して接続されている。
【0022】
胴部13に、周溝21が形成されている。周溝21は、胴部13に、上下方向に間隔をあけて複数形成されている。周溝21は、全周にわたって連続して延びている。周溝21は、胴部13に1つ以上形成されていればよい。
周溝21は、径方向の外側を向く底面18と、底面18の上端から径方向の外側に向かうに従い、上方に向けて延びる上側面19と、底面18の下端から径方向の外側に向かうに従い、下方に向けて延びる下側面20と、により画成されている。
【0023】
底面18の幅は、全周にわたって同等になっている。底面18は、ボトル軸Oに直交する横断面視で、パネル面部15に位置して直線状に延びる直線部18aと、コーナ部17に位置して径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する曲線部18bと、が周方向に交互に連設された形状を呈する。
直線部18a、およびパネル面部15それぞれの周方向の中央部は、互いに一致している。曲線部18b、およびコーナ部17それぞれの周方向の中央部は、互いに一致している。直線部18aは、全長にわたってパネル面部15に位置している。
【0024】
曲線部18bにおける周方向の両端部は、この曲線部18bが位置するコーナ部17に対して周方向の両側で隣接する各パネル面部15に張り出して位置している。これにより、直線部18aと曲線部18bとの接続部分18cは、パネル面部15に位置しており、曲線部18bの周方向の位置と、前記稜線部分16の周方向の位置と、が重複している。
図示の例では、曲線部18bにおける周方向の両端部は、この曲線部18bが位置するコーナ部17に対して周方向の両側で隣接する各パネル面部15における、このコーナ部17との接続部分に各別に位置している。底面18の前記接続部分18cと前記稜線部分16との周方向の距離Xは、例えば2mm以上となっている。
なお、曲線部18bを全長にわたってコーナ部17に位置させ、パネル面部15に張り出さない構成を採用してもよい。
【0025】
そして、本実施形態では、周溝21における上側面19、および下側面20それぞれにおいて、パネル面部15における周方向の端部に位置する部分(以下、端部分という)19a、20aの径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離れている。
なお、上側面19における径方向の外端縁は、上側面19の上端縁と一致し、下側面20における径方向の外端縁は、下側面20の下端縁と一致する。
【0026】
周溝21のうち、パネル面部15における周方向の端部に位置する部分の溝幅が、隣接するコーナ部17に向かうに従い、広くなっている。上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aの双方の径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、直線状に延びている。
なお、上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aのうちのいずれか一方の径方向の外端縁のみを、径方向の外側から見て、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離してもよい。上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aの径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、曲線状に延びてもよい。
【0027】
パネル面部15に位置する上側面19、および下側面20それぞれにおいて、周方向で隣り合う端部分19a、20a同士の間に位置する部分(以下、中部分という)19b、20bの径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、周方向に真直ぐ延びている。中部分19b、20bの周方向の長さは、端部分19a、20aの周方向の長さより長くなっている。中部分19b、20bの幅は、底面18の幅と同等になっている。
【0028】
上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aの径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、直線部18aと曲線部18bとの接続部分18cが位置する周方向の位置から、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離れている。すなわち、端部分19a、20aと中部分19b、20bとの接続部分、並びに、直線部18aと曲線部18bとの接続部分18cは、周方向の同じ位置に位置している。
【0029】
なお、端部分19a、20aと中部分19b、20bとの接続部分、並びに、直線部18aと曲線部18bとの接続部分18cそれぞれの周方向の位置を互いに異ならせてもよい。上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aのうちのいずれか一方の径方向の外端縁のみを、径方向の外側から見て、直線部18aと曲線部18bとの接続部分18cが位置する周方向の位置から、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離してもよい。
【0030】
上側面19、および下側面20それぞれにおいて、コーナ部17に位置する部分(以下、角部分という)19c、20cの径方向の外端縁は、径方向の外側から見て、周溝21の溝幅を狭めるように、底面18に向けて上下方向に張り出した突の曲線状を呈する。
上側面19の角部分19cの径方向の外端縁は、上側面19の中部分19bの径方向の外端縁より上方に位置し、下側面20の角部分20cの径方向の外端縁は、下側面20の中部分20bの径方向の外端縁より下方に位置している。
【0031】
なお、上側面19、および下側面20の各角部分19c、20cのうちのいずれ一方の径方向の外端縁のみが、径方向の外側から見て、周溝21の溝幅を狭めるように、底面18に向けて上下方向に張り出した突の曲線状を呈してもよい。上側面19、および下側面20の各角部分19c、20cの双方の径方向の外端縁を、径方向の外側から見て、周方向に真直ぐ延ばしてもよい。
【0032】
上側面19、および下側面20の各角部分19c、20cは、径方向の外側から見て、コーナ部17における周方向の中央部を通り上下方向に延びる直線に対して対称形状を呈する。パネル面部15に位置する上側面19、および下側面20は、径方向の外側から見て、パネル面部15における周方向の中央部を通り上下方向に延びる直線に対して対称形状を呈する。
上側面19、および下側面20は、全周にわたって、径方向の外側から見て、周溝21における上下方向の中央部を通り周方向に延びる直線に対して対称形状を呈する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態による角形ボトル1によれば、周溝21における上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aの径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離れているので、周溝21のうち、パネル面部15における周方向の端部に位置する部分の表面積が、上下方向に拡張されることとなる。
したがって、角形ボトル1内の減圧時に、特に応力が集中しやすい、パネル面部15とコーナ部17との間の稜線部分16に加えられた応力が、周溝21に伝播しても、上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aで緩和されることとなり、胴部13が不正に変形するのを抑制することができる。
【0034】
底面18の曲線部18bにおける周方向の両端部が、この曲線部18bが位置するコーナ部17に対して周方向の両側で隣接する各パネル面部15に張り出して位置しているので、曲線部18bの周方向の位置と、前記稜線部分16の周方向の位置と、が重複することとなる。これにより、角形ボトル1内の減圧時に、前記稜線部分16に加えられた応力が、上下方向の外側から周溝21の底面18に伝播しても、曲線部18bで緩和されることとなり、胴部13が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
【0035】
周溝21における上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aの径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、底面18の前記接続部分18cが位置する周方向の位置から、隣接するコーナ部17に向かうに従い、底面18から上下方向に離れているので、周溝21のうち、パネル面部15における周方向の端部に位置する部分が、上側面19、および下側面20の各端部分19a、20aと、底面18の曲線部18bと、により画成されることとなる。
したがって、周溝21のうち、パネル面部15における周方向の端部に位置する部分のほぼ全域で、角形ボトル1内の減圧時に前記稜線部分16から伝播された応力を緩和することが可能になり、胴部13が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
【0036】
周溝21における上側面19、および下側面20の各角部分19c、20cの径方向の外端縁が、径方向の外側から見て、底面18に向けて上下方向に張り出した突の曲線状を呈するので、角部分19c、20c、および端部分19a、20aそれぞれにおける径方向の外端縁同士を、周方向に滑らかに接続することが可能になり、角形ボトル1内の減圧時に、前記稜線部分16と周溝21との接続部分に応力が集中するのを抑制することができる。
【0037】
次に、本発明の第2実施形態に係る角形ボトル2を、図3および図4を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0038】
底部14の底壁部25は、外周縁部に位置する環状の接地部26と、接地部26に径方向の内側から連なり上方に向けて延びる筒状の立ち上がり周壁部27と、立ち上がり周壁部27の上端部から径方向の内側に向けて延び、立ち上がり周壁部27との接続部分を中心に上方に向けて移動自在に配設された環状の可動壁部28と、可動壁部28の径方向の内端部から上方に向けて延びる有頂筒状の陥没凹部29と、を備えている。
【0039】
接地部26は、上下方向から見て、ボトル軸Oと同軸に配置された円形状を呈する。接地部26は、上下方向から見て、パネル面部15に内接するように配設されている。
角形ボトル1内の減圧時に、可動壁部28が、立ち上がり周壁部27との接続部分を中心に上方に向けて移動する。可動壁部28は、下方に向けて突の曲面状に形成されている。可動壁部28にリブ28aが形成されている。リブ28aは、径方向に間隔をあけて複数配置されるとともに、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
可動壁部28に、リブ28aを形成しなくてもよい。接地部26の、上下方向から見た平面視形状は、例えば矩形状などの角形状にしてもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態による角形ボトル2によれば、底部15の底壁部25が、立ち上がり周壁部27および可動壁部28を備えるので、角形ボトル1内の減圧時に、可動壁部28を、立ち上がり周壁部27との接続部分を中心に上方に向けて移動させ、角形ボトル1の内圧低下を抑えることが可能になり、胴部13が不正に変形するのを確実に抑制することができる。
接地部26が、上下方向から見て、ボトル軸Oと同軸に配置された円形状を呈するので、ボトル軸Oと接地部26との距離が全周にわたって同じになり、角形ボトル1をブロー成形により形成する際に、接地部26を全周にわたって精度よく形成することができる。
【0041】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0042】
例えば前記実施形態では、上側面19、および下側面20の各角部分19c、20cが、径方向の外側から見て、コーナ部17における周方向の中央部を通り上下方向に延びる直線に対して対称形状を呈する構成を示したが、非対称形状を呈する構成を採用してもよい。
パネル面部15に位置する上側面19、および下側面20は、径方向の外側から見て、パネル面部15における周方向の中央部を通り上下方向に延びる直線に対して非対称形状を呈してもよい。
上側面19、および下側面20は、径方向の外側から見て、周溝21における上下方向の中央部を通り周方向に延びる直線に対して非対称形状を呈してもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、肩部12、胴部13および底部14のそれぞれのボトル軸Oに直交する横断面視形状を正方形状としたが、これに限らず例えば、3角形状、長方形状、若しくは5角形状にする等適宜変更してもよい。
【0044】
また、角形ボトル1、2を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
さらに、角形ボトル1、2は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、2 角形ボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
15 パネル面部
17 コーナ部
18 底面
18a 直線部
18b 曲線部
18c 直線部と曲線部との接続部分
19 上側面
19a 上側面の端部分
20 下側面
20a 下側面の端部分
21 周溝
25 底壁部
26 接地部
27 立ち上がり周壁部
28 可動壁部
O ボトル軸
図1
図2
図3
図4