(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】固形腫瘍を標的とする二重特異性CAR T細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20221021BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20221021BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221021BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20221021BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221021BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20221021BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221021BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20221021BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20221021BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20221021BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20221021BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221021BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
A61K35/17 Z
A61P35/00
C07K14/705
C07K19/00
C12N5/0783
C12N5/10
C12N15/11 Z
C12N15/113 130Z
C12N15/113 140Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/86 Z
(21)【出願番号】P 2018506286
(86)(22)【出願日】2016-08-03
(86)【国際出願番号】 US2016045360
(87)【国際公開番号】W WO2017027291
(87)【国際公開日】2017-02-16
【審査請求日】2019-08-02
(32)【優先日】2015-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515045617
【氏名又は名称】シアトル チルドレンズ ホスピタル (ディービーエイ シアトル チルドレンズ リサーチ インスティテュート)
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,マイケル,シー.
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/031687(WO,A1)
【文献】特表2015-513394(JP,A)
【文献】国際公開第2014/055668(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/092024(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/62
A61K 35/17
A61P 35/00
C07K 14/705
C07K 19/00
C12N 5/0783
C12N 5/10
C12N 15/11
C12N 15/113
C12N 15/12
C12N 15/13
C12N 15/63
C12N 15/86
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキメラ抗原受容体(CAR)および第2のCARを含む細胞であって、
前記第1のCARが、CD19およびCD20からなる群から選択されるB細胞特異的細胞表面リガンドに特異的な第1のリガンド結合ドメインを含み、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進し、
前記第2のCARが、L1CAM、ROR1、EGFR、HER2、GD2およびEPHA2からなる群から選択される腫瘍上のがん抗原に特異的な第2のリガンド結合ドメインを含み、
前記第1のCARおよび第2のCARがそれぞれ4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインを含むことを特徴とする細胞。
【請求項2】
前記がん抗原がEGFR、L1CAMおよびROR1から選択され、前記第2のリガンド結合ドメインが配列番号16、18および20
からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記B細胞特異的細胞表面リガンドがCD19またはCD20であり、前記第1のリガンド結合ドメインが配列番号12および14
からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、請求項1または2に記載の細胞。
【請求項4】
前記第1のCARおよび第2のCARの少なくとも一方が前記細胞において誘導発現されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項5】
前記第1のCARおよび第2のCARがマーカータンパク質と共発現されている、請求項4に記載の細胞。
【請求項6】
前記マーカータンパク質がトランケートされたEGFR(EGFRt)ポリペプチドまたはトランケートされたHER2(Her2tg)ポリペプチドである、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項8】
前記自殺遺伝子システムが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである、請求項7に記載の細胞。
【請求項9】
さらに治療用組換え可溶性タンパク質をコードする核酸を含み、前記治療用組換え可溶性タンパク質がIL2、IL7、IL12およびIL15からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項10】
前記細胞が、細胞傷害性CD8
+Tリンパ球およびCD4
+Tヘルパーリンパ球から選択され、該細胞傷害性CD8
+Tリンパ球が、ナイーブCD8
+T細胞、CD8
+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8
+T細胞、制御性CD8
+T細胞、IPS細胞由来のCD8
+T細胞、エフェクターメモリーCD8
+T細胞およびバルクCD8
+T細胞からなる群から選択され、該CD4
+Tヘルパーリンパ球が、ナイーブCD4
+T細胞、CD4
+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4
+T細胞、制御性CD4
+T細胞、IPS細胞由来のCD4
+T細胞、エフェクターメモリーCD4
+T細胞およびバルクCD4
+T細胞からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項11】
前記B細胞特異的細胞表面リガンドがCD19であり、腫瘍上の前記がん抗原がL1CAM、EGFRまたはROR1である、請求項1~10のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の細胞、前記B細胞特異的細胞表面リガンドを含むB細胞、および前記がん抗原を含む腫瘍細胞を含む細胞集団であって、
前記B細胞特異的細胞表面リガンドが前記腫瘍細胞に存在しない細胞集団。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の細胞を
インビトロで製造する方法であって、
前記第1のCARをコードする第1の核酸と、前記第2のCARをコードする第2の核酸
を細胞に導入すること;
前記第1の核酸および前記第2の核酸を含む細胞を増殖させること;ならびに
前記第1のCARおよび前記第2のCARを発現する細胞を単離すること
を含む方法。
【請求項14】
前記第1の核酸および/または前記第2の核酸が、ベクターに含まれており、該ベクターが、ウイルスベクター、プラスミド、ミニサークルトランスポゾン、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステムおよびmRNAベクターから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のCARおよび前記第2のCARの少なくとも一方がトランケートされたEGFR(EGFRt)ポリペプチドまたはトランケートされたHER2(Her2tg)ポリペプチドと共発現されている、請求項
14または15に記載の方法。
【請求項17】
可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む、請求項
14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記可溶性タンパク質が、IL2、IL7、IL12およびIL15からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ウイルスベクターが、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記自殺遺伝子システムが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムおよび誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記B細胞特異的細胞表面リガンドがCD19であり、固形腫瘍上の前記がん抗原がL1CAM、EGFRまたはROR1である、請求項13~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
対象におけるB細胞に関連しない疾患の治療に使用するための、請求項1~11のいずれか1項に記載の細胞の集団であって、
前記疾患が、感染症およびがんから選択され、前記対象が、ヒトである、細胞集団。
【請求項23】
前記がんが、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫、卵巣癌および不応性神経芽腫および再発神経芽腫からなる群から選択される固形腫瘍を含む、請求項22に記載の細胞集団。
【請求項24】
CD4
+Tヘルパーリンパ球とCD8
+Tリンパ球を1:10~10:1の比率で含む、請求項22または23に記載の細胞集団。
【請求項25】
化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、放射線療法、外科手術、タモキシフェン、タモキシフェンの代謝産物、セツキシマブ(アービタックス)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ガンシクロビルおよびFK506からなる群から選択されるさらなる治療と組み合わせる、請求項22~24のいずれか1項に記載の細胞集団。
【請求項26】
養子細胞移入によって前記対象に投与される、請求項22~25のいずれか1項に記載の細胞集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願の参照による引用
本出願は、2015年8月7日に出願された米国仮特許出願第62/202,698号に基づく優先権を主張するものであり、この出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
配列、配列表またはコンピュータープログラムにより作成した配列に関する情報
本願は電子形式の配列表とともに出願されたものである。この配列表は、SCRI.95WO.TXTのファイル名で2016年7月26日に作成された45kbのファイルとして提供されたものである。この電子形式の配列表に記載された情報は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0003】
本明細書で開示する本発明の態様は、養子移入されたキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞の固形腫瘍に対する治療強度を増強する方法、ならびにそのための細胞および組成物に関する。具体的には、本明細書において、個々のT細胞において2種類のCARを共発現させるためのCAR T細胞産物を製造する方法、該CAR T細胞産物を産生する細胞および該CAR T細胞産物を含む組成物が提供され、2種類のCARとしては、たとえば、インビボにおいてエフェクター細胞の増殖および活性化を促進するB細胞標的「ドライバー」CARと、固形腫瘍を標的とする所望の特異性を持つCARまたはT細胞受容体(TcR)(パッセンジャーCAR/TcR)との組み合わせが挙げられる。
【背景技術】
【0004】
がんの治療に使用される標準的な方法の1つとして、様々な細胞療法が利用されている。がんやその他の疾患に罹患した患者を治療するための細胞療法は、細胞物質の注射、たとえば、治療を必要とする患者に生きた細胞を注射することによって行われる。具体的には、ポリクローナルなT細胞や抗原特異的なT細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、またはマクロファージを注入することによって行われる。がんの治療を目的とした養子T細胞療法に使用するためのキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞の開発が進められており、がん免疫療法やウイルス治療のための治療経路として有望視されている。
【0005】
CAR T細胞療法は、免疫療法の1つであり、患者自身由来のT細胞を検査室で単離し、特定の抗原やタンパク質を認識する合成受容体を発現するようにT細胞を遺伝子操作し、同じ患者に点滴で戻すことによって行われる。CARはいくつかのドメインで構成することができる。CARは、(1)通常は抗体に由来する抗原結合領域、(2)T細胞にCARをつなぎ止める膜貫通ドメイン、および/または(3)1つ以上のT細胞内シグナル伝達ドメインを有していてもよく、CARの構成要素はこれらに限定されない。第1世代CARは、通常、モノクローナル抗体(mAb)に由来する一本鎖可変断片(scFv)と、TCRζ鎖に由来するシグナル伝達モチーフとを有している。第2世代CARおよび第3世代CARでは、共刺激活性化モチーフを追加することによって第1世代CARからの改善がなされており、共刺激活性化モチーフを加えたことによって、インビボにおけるCAR発現細胞の増殖、細胞傷害性および持続性が向上している。臨床試験では、抗腫瘍活性が実証されたが、活性化、持続性およびがん組織への指向性が不十分であった。B細胞リンパ腫の患者では、ある程度の抗腫瘍応答が報告されており、たとえば、神経芽腫の患者では部分奏効や、疾患の安定化および寛解が報告されている。前臨床試験では、第2世代CARおよび第3世代CARを発現するT細胞が、活性化シグナル、増殖、サイトカインの産生、およびCAR発現T細胞のエフェクター機能を増強することができることが示されている。初期の臨床試験ではCARが有望であることを示す証拠が得られている。
【0006】
しかし残念ながら、免疫療法の分野では、CAR発現T細胞に関連する問題を十分に解決できていない。CAR発現T細胞に関連する問題としては、細胞の増殖および活性化が最適化に至っていないことや、細胞注入による毒性が見られることが挙げられる。CAR T細胞の投与によって引き起こされる毒性にはいくつかの種類があり、CAR発現T細胞の注入によって誘導される有害反応として、B細胞無形成、サイトカイン放出症候群(CRS)、腫瘍崩壊症候群などがある。B細胞無形成は、B細胞上の抗原の高効率なターゲティングが原因となって引き起こされることがある。しかしながら、B細胞は生涯を通じて維持される組織ではなく、CAR T細胞の初期標的として利用することができる。
【0007】
生体中でCAR T細胞を増殖させると、サイトカイン放出症候群(CRS)を引き起こす場合がある。CRSの症状としては、発熱、低血圧、低酸素症、神経学的変化などが挙げられる。神経学的変化としては、痙攣、失語症、精神状態の変化などが挙げられる。さらに、播種性血管内凝固症候群、ならびに/またはフェリチンおよびC反応性タンパク質の顕著な上昇に伴うトランスアミナーゼ上昇などの臨床的変化や生化学的変化が起こることもあり、これらの病状は、マクロファージ活性化症候群または血球貪食性リンパ組織球症(HLH)で見られるものと類似している。
【0008】
さらに、有害作用として、移植が失敗することがあり、この原因としては、注入されたT細胞の腫瘍転移巣への遊走が限定的であることや、固形腫瘍の免疫賦活活性および免疫抑制環境が限定的であることが考えられる。CARの開発は未だ発展途上であることから、CAR T細胞療法による治療中に発生する有害作用を防ぐために当該分野のさらなる進展が強く望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0010】
第2の態様において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0011】
第3の態様において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0012】
第4の態様において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0013】
第5の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0014】
第6の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0015】
第7の態様において、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現させるためのベクターが提供される。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターであってもよい。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0016】
第8の態様において、固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体またはTcRを発現させるためのベクターが提供される。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターであってもよい。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0017】
第9の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体を発現させるためのベクターが提供される。前記二重特異性キメラ抗原受容体は、B細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的である。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番
号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0018】
第10の態様において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、B細胞特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体またはTcRが提供される。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0019】
第11の態様において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体またはTcRが提供される。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0020】
第12の態様において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、B細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的な二重特異性キメラ抗原受容体が提供される。前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ
酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0021】
第13の態様において、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞が提供される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進し、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、腫瘍上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0022】
第14の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞であって、該二重特異性キメラ抗原受容体が2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。
【0023】
第15の態様において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法が提供される。前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含むことによってインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む第1の核酸または第1のベクターを細胞に導入すること;固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードするポリヌクレオチド配列を含む第2の核酸または第2のベクターを前記細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、別々のウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターおよび/またはレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、該別々のウイルスベクターを含む単一の組成物として前記細胞に同時に導入される。いくつかの実施形態において、前記別々のベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、および/またはmRNAベクターである。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導されるか;または第1のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。
【0024】
第16の態様において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸配列を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、プラスミドおよび/またはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
【0025】
第17の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸を細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドはウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は、マーカータンパク質と共発現される。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はEGFRtまたはHer2tgである。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。
【0026】
第18の態様において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含むベクターを細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
【0027】
第19の態様において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞の1種以上を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進し、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、腫瘍上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。
【0028】
第20の態様において、対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法が提供される。前記方法は、B細胞関連疾患を有さない治療対象を特定すること、ならびに本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上によって製造された細胞、および本明細書に記載の実施形態のいずれかによる組成物の1種以上を、治療を目的として対象に導入、提供または投与することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含むベクターを細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進し、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、腫瘍上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞、および
本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、細胞傷害性CD8+Tリンパ球および/またはCD4+Tヘルパーリンパ球を含み;前記細胞傷害性CD8+Tリンパ球は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択され;前記CD4+Tヘルパーリンパ球は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記組成物中のCD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:10~10:1である。いくつかの実施形態において、CD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:1である。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞関連疾患を有していない。いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のいずれにも罹患していない。いくつかの実施形態において、前記疾患はがんである。いくつかの実施形態において、前記疾患は感染症であり、該感染症は細菌性感染症またはウイルス性感染症である。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記固形腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫および卵巣癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は不応性再発神経芽腫を有する。いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞に関連しない疾患の治療、抗がん療法、抗感染症療法、抗菌療法、抗ウイルス療法または抗腫瘍療法を受けるべき対象として特定または選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞に関連しない前記疾患、がん、感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症または腫瘍の抑制を測定または評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、本明細書に記載の実施形態による細胞、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞、および本明細書に記載の実施形態のいずれかによる組成物の1種以上を、治療を目的として前記対象に導入、提供または投与する前、その最中、またはその後に、化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、補助療法(放射線療法および/または外科手術など)などのさらなる治療剤を前記対象に導入、提供または投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞、および本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、細胞傷害性CD8+Tリンパ球および/またはCD4+Tヘルパーリンパ球を含み;前記細胞傷害性CD8+Tリンパ球は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択され;前記CD4+Tヘルパーリンパ球は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記組成物中のCD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:10~10:1である。いくつかの実施形態において、CD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:1である。いくつかの実施形態において、前記細胞または前記組成物は、養子細胞移入によって前記対象に導入、提供、または投与される。いくつかの実施形態において、前記方法は、キメラ抗原受容体またはTcRの発現を誘導する薬物を導入、提供または投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記薬物はステロイドである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記対象は哺乳動物種である。いくつかの実施形態において、前記対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、霊長類またはヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象の年齢は小児年齢である。いくつかの実施形態において、前記方法は、サイトカインストームまたはB細胞無形成の症状の有無について前記対象を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記対象にプロドラッグを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記プロドラッグは、アービタックス、ハーセプチン、ガンシクロビル、FK506または二量体化誘導化学物質である。いくつかの実施形態において、前記方法は、不応性再発神経芽腫に罹患している対象に、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞を投与することを含む。
【0029】
前述した特徴以外のさらなる特徴や変更は、後述の図面の説明および代表的な実施形態から容易に理解できるであろう。後述の図面は代表的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】B細胞を標的とする「ドライバー」キメラ抗原受容体(CAR)と、腫瘍細胞を標的とする「パッセンジャー」CARとを共発現するT細胞を示す。
【0031】
【
図2】本発明の実施形態で説明したCARの基本的な配列の模式図を示す。図に示したように、本発明のCARをコードする配列は、リーダー配列(タンパク質を細胞表面に移行させるための配列など)、抗原結合ドメイン(免疫グロブリンの軽鎖可変領域の配列および重鎖可変領域の配列とリンカー)、スペーサードメイン(IgG4のヒンジ-CH3領域)、シグナル伝達ドメイン(CD28膜貫通領域、4-1BBドメイン、CD3ζ)、T2Aリボソームスキップ配列、および形質導入マーカー(EGFRtマーカーまたはHer2tgマーカー)を含む。
【0032】
【
図3】マーカーとしてHer2tおよびそのバリアントを使用した実験において、CARに含まれるリンカーの種類によってハーセプチンに対する結合親和性が様々に変化したことを示す。CARとして、CD19CAR-T2A-Her2tG/CD20CAR-T2A-EGFRtからなる二重CARをTリンパ球において発現させた。3A):Her2tのバリアントであるHer2t(CD28ヒンジ)、Her2t(IgG4ヒンジ)またはHer2tG(gly-serリンカー)を含むレンチウイルス3μlをH9 T細胞に形質導入した。形質導入したH9細胞を5日間培養し、ビオチン標識ハーセプチン(ハーセプチン-bio)とストレプトアビジン標識二次蛍光色素(SA-PE)で染色した。実験の結果、Her2tバリアントのうち、Her2tGがハーセプチンに対して最も強い結合力を有し、Her2t(IgG4ヒンジ)はハーセプチンに対して中程度の結合力を有し、Her2t(CD28ヒンジ)の結合力が最も弱かったことが示された。3B)PBMCから単離した初代CD4
+T細胞および初代CD8
+T細胞の単離(D0)、培養(D0~21)、選択(D14およびD21)および増殖(急速培養:D21)を行うことによって、
図4に示す細胞を調製した際のスケジュールを示す。3C)CD19CAR-T2A-Her2tGまたはCD20CAR-T2A-EGFRtを含む2種のレンチウイルスをそれぞれMOI=1でCD8
+T細胞に形質導入した。選択前のCD8
+T細胞は、形質導入の7日後(D10における培養中)に、アービタックス-APC、ビオチン標識ハーセプチン、およびストレプトアビジン標識二次蛍光色素(SA-PE)で染色し、選択した細胞は、急速T細胞培養法で12日間増殖させた後(S1Sp1D12)に染色を行った(
図4参照)。3D)細胞中に含まれるタンパク質を示したウエスタンブロットである。ウエスタンブロット分析を行うため、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含むRIPAバッファー中で細胞を溶解した。細胞溶解物をBCAアッセイ(Pierce)で分析するため、ゲルに等量載せて、ウエスタンブロットを行い、抗CD247(CD3ζ)一次抗体とIRDye 800CW標識ヤギ抗マウス二次抗体(LI-COR)で検出した。Odyssey近赤外蛍光イメージングシステム(LI-COR)でブロットを可視化した。
【0033】
【
図4】急速T細胞培養法で12日間増殖させた(S1Sp1D12)目的とする細胞のウエスタンブロットを示す。マーカー別に細胞を精製した。二重CAR発現CD8
+T細胞は、CD19CAR-T2A-Her2tGとCD20CAR-T2A-EGFRtとを有するものであった。このウエスタンブロットはCARのζ部分に特異的であり、CD8
+T細胞におけるCARの発現を示すものであった。最も重要な点として、二重形質導入されたCD8
+T細胞において、両方のCAR(CD19CARおよびCD20CAR)の発現が示された。
【0034】
【
図5】5A)CD19 CAR T細胞およびCD20 CAR T細胞がK562標的パネル細胞に対して特異性を示すことが示された4時間クロム放出アッセイの結果を示す。CD8セントラルメモリーT細胞(Tcm)とK562標的細胞とを、30:1、10:1、3.3:1または1.1:1の比率で共培養した。二重形質導入T細胞のみが、すべての種類の抗原発現K562細胞を標的とすることができた。CD19CAR-T2A-Her2t CD8 TcmとCD19CAR-T2A-EGFRt CD8 Tcmは、類似した溶解能力を有することが示された。各グラフに、Mock(X)、CD19CAR-Her2tG(正方形)、CD19CAR-EGFTt(三角形)、CD20CAR-EGFRt(菱形)およびCD19CAR-Her2tG/CD20CAR-EGFRt(逆三角形)を示す。5B)24時間サイトカイン放出アッセイの結果を示す。CD8 TcmとK562標的細胞を、T細胞:標的細胞=2:1の比率で24時間共培養した後、上清中のエフェクターサイトカインの有無を分析した。CD19CAR-T2A-Her2tを形質導入したCD8 Tcmは、CD19CAR-T2A-EGFRtを形質導入したCD8 Tcmと比較して、産生されるエフェクターサイトカインの種類が多く、これらのサイトカインの産生量も多かった。
図5Aおよび
図5Bの各棒グラフは、いずれも左から右へ順に、K562 CD19、K562 CD20およびK562 CD19/CD20を示す。5C)CD4 Tcmについても同様の結果が得られた。各グラフに、Mock(X)、CD19CAR-Her2tG(正方形)、CD19CAR-EGFTt(三角形)、CD20CAR-EGFRt(菱形)およびCD19CAR-Her2tG/CD20CAR-EGFRt(逆三角形)を示す。
【0035】
【
図6】CD19を標的とするCRISPRガイド配列を含むプラスミドをエレクトロポレーションによって導入したRaji細胞を使用して行った実験の結果を示す。6A)エレクトロポレーションの7日後に、CD19マイクロビーズを使用したネガティブセレクション法にRaji細胞を供してCD19
+細胞を除去した後、CD19
-細胞をクローニングによって選択し、増殖させて実験に使用した。
図6B~C:
図5の実験で使用したのと同じ標的細胞を使用した4時間クロム放出アッセイおよびBioplexアッセイの結果を示す。各グラフに、Mock(X)、CD19CAR-Her2tG(正方形)、CD19CAR-EGFTt(三角形)、CD20CAR-EGFRt(菱形)およびCD19CAR-Her2tG/CD20CAR-EGFRt(逆三角形)を示す。Raji親細胞と3つのRaji CRISPRクローンに対して実験を行った。
図6Cでは、左上のグラフから時計回りに、Raji親細胞、Raji CRISPR(3)、Raji CRISPR(15)およびRaji CRISPR(27)を示す。各グラフの各棒は、左から右へ順に、mock、CD19CAR-Her2tG、CD19CAR-EGFRt、CD20CAR-EGFRtおよびCD19CAR-Her2tG/CD20CAR-EGFRtの結果(mockまたはこれらのCARを発現させた場合のIL-2、IFN-γおよびTNF-αの産生量)を示す。6D)CD4
+細胞を用いたクロム放出アッセイの結果を示す。
【0036】
【
図7】5×10
6個のNSO-IL15細胞を注射し、次に10×10
6個のMock T細胞またはCAR発現T細胞を静脈内注射したNSGマウスの実験結果を示す。上段に示したように、T細胞を注射してから14日目にマウスから骨髄を採取し、フローサイトメトリー分析に供した。上段のグラフは、シングレットの生細胞をゲーティングした結果を示す。中段のグラフはCD8
+×CD45
+細胞をゲーティングした結果を示す。下段のグラフは、Her2tGマーカーおよびEGFRtマーカーで染色したCD45
+細胞集団を解析した結果を示す。これらの結果から、EGFRtおよびHer2tGを使用して、インビボでT細胞を効率的に追跡することができることが示された。中段のグラフは、生存可能細胞(リンパ球:93.6%)、単一細胞(98.8%)、および生細胞(99.9%)をゲーティングした結果を示す。これらの細胞のCD8およびCD45を染色して解析し、グラフに示した。各グラフは、左から右へ順に、Mock、CD19CAR-T2A-Her2t、CD19CAR-T2A-EGFRt Tcm、およびCD19CAR-Her2tg/CD20CAR-EGFRtを示す。単一の生存可能細胞および生細胞をゲーティングしたところ、少なくとも1×10
7個の細胞が検出された。分析の結果、CD45
+細胞が細胞集団の約1%を占めることが示されたが、これは1×10
5個の細胞に相当する。残りの細胞はマウス骨髄細胞である。3段目のグラフ:Multisortキットを使用して精製したHer2t
+EGFRt
+T細胞の精製を示す。様々なH9細胞(5×10
6個の親細胞、Her2t
+細胞、EGFRt
+細胞、またはHer2t
+/EGFRt
+細胞)を混合し、精製を行った。まず、ビオチン標識ハーセプチンと抗ビオチンマルチソートビーズを使用して細胞を精製した。次いでマルチソートビーズを除去した後、アービタックス-APCおよび抗APCマイクロビーズを使用して陽性画分を精製した。最終的に得られた陽性画分は、Her2t陽性およびEGFRt陽性の二重陽性細胞であった。D)クロム放出アッセイの結果を示す。
【0037】
【
図8】0.5×10
6個のeGFP:ffluc発現Raji細胞を静脈内注射し、次に10×10
6個のMock T細胞またはCAR発現T細胞(CD4:CD8=1:1)を静脈内注射したNSGマウスの実験結果を示す。連続した腫瘍イメージングを行い、総光子数をグラフ化したところ、腫瘍の増殖または腫瘍の増殖抑制が示された。実験の結果、単一CAR発現T細胞または二重CAR発現T細胞は、Mock T細胞と比較して、腫瘍の増殖を抑制することができることが示された。各グラフに、Mock(X)、CD19CAR-Her2tG(正方形)、CD19CAR-EGFTt(三角形)、CD20CAR-EGFRt(菱形)およびCD19CAR-Her2tG/CD20CAR-EGFRt(逆三角形)を示す。
【0038】
【
図9A】CARをコードする2種のレンチウイルスベクターでCD4 T細胞およびCD8 T細胞を形質導入することができることを示す。精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードする臨床グレードのウイルスと、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代CE7CARをコードする臨床グレードのウイルスとで同時に形質導入した。各CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して、形質導入されたT細胞を精製し、精製CD4 T細胞は刺激しながら14日間培養し(S1D14)、精製CD8 T細胞は刺激しながら15日間培養し(S1D15)、その後、凍結した。この製法開発プロジェクトのプロジェクト名はPD0170であった。EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された。EGFRt
+集団のうち、CD19CAR細胞またはCE7CAR細胞がどのぐらいのパーセンテージで含まれているのか、あるいは、これらのウイルスによってT細胞が実際に二重形質導入されたのかどうかということは、この実験結果からはわからなかった。
【0039】
【
図9B】CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞が、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株を特異的に溶解することを示す。Mock(CAR
-)T細胞または二重形質導入T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。K562細胞は、CD19もL1CAMも陰性である。TM-LCL細胞、TM-LCL-OKT3細胞、K562+CD19細胞およびRaji細胞は、CD19のみ陽性である。SK-N-DZ細胞はL1CAMのみ陽性である。SK-N-DZ+CD19細胞は、CD19もL1CAMも陽性である。実験結果から、形質導入されたCD8 T細胞、および形質導入CD4 T細胞と形質導入CD8 T細胞とを混合したものではいずれも、高いCD19CAR活性が誘導されることが示された。SK-N-DZ細胞株に対しては、これよりも低いCE7CAR活性しか見られなかった。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、これによって得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された。
【0040】
【
図9C】CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞集団が、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生することを示す。二重形質導入したCD4 T細胞集団およびCD8 T細胞集団を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1にした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入されたT細胞は、懸濁したCD19発現標的細胞(LCLおよびK562)のすべてに応答してサイトカインを産生した。SK-N-DZ細胞に応答したサイトカインの産生はまったく見られなかったか、あるいはほとんど見られなかったが、このような現象は、短いスペーサーを有する第2世代CE7CARではよく観察され、たとえT細胞集団の100%においてCARを発現させた場合であっても起こりうる。T細胞集団のうち、CE7CAR発現T細胞がどのぐらいのパーセンテージで含まれているのかは不明であったが、
図9Bに示したクロム放出アッセイのデータと照らし合わせると、この結果は驚くに値しなかった。
【0041】
【
図9D】二重形質導入したT細胞が、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮することを示す。複数のマウス群に、GFP:ffluc、CD19tおよびIL-2を発現するSK-N-DZ細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock(PBSのみ、左のグラフ)または二重形質導入したCD4:CD8 CE7CAR T細胞(中央のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(右のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が長期間にわたって抑制されたことから、二重形質導入細胞は、腫瘍を退縮させ、増殖を抑制することが示された。
【0042】
【
図10A】CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、CARをコードする2種のレンチウイルスベクターで形質導入することができ、二重陽性集団は関連するマーカーによって特定することができることを示す。精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードするレンチウイルス、または41BB-ζ領域および変異型の長いスペーサー(L235D,N297Q)を有する第2世代CE7CARをコードするレンチウイルスをそれぞれ別々に使用して形質導入するか、あるいはこれらのレンチウイルスの両方を使用して同時に形質導入した。CD19CARにはT2A-Her2tGがインフレームで連結されており、CE7CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して(CE7CAR)、形質導入されたT細胞を精製し、凍結した。9日目に、EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された。CD4 T細胞のうち、Her2tG陽性細胞(CD19CAR)は約56%を占め、CD8 T細胞のうち、二重陽性細胞は約44%を占めた。
【0043】
【
図10B】CD19 CARおよびCE7CARを二重形質導入したCD8
+ T細胞が、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株を特異的に溶解することを示す。Mock(CAR
-)CD8
+ T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはCE7CAR)を形質導入したCD8
+ T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD8
+ T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。K562細胞は、CD19もL1CAMも陰性である。K562-OKT3細胞を陽性対照として使用した。Be2細胞はL1CAMのみ陽性である。Be2+CD19t細胞はCD19もL1CAMも陽性である。実験結果から、単一のCARを形質導入したCD8
+T細胞は、その認識抗原を特異的に溶解することが示された。これに対して、二重形質導入T細胞は、CD19またはL1CAMを発現する細胞、およびこれらの両方を発現する細胞を効率的に認識し、溶解することが示された。K562-OKT3細胞に対しては、いずれのCD8
+T細胞も同レベルの細胞溶解性を示した。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、形質導入されたT細胞を選択マーカーによって精製することができ、このようにして得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された。
【0044】
【
図10C】CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞集団が、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生することを示す。CD4
+またはCD8
+の、Mock(CAR
-)T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはCE7CAR)を形質導入したT細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したT細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対してもサイトカインを放出することができた。Be2-CD19t細胞に対するサイトカインの産生は、CE7CAR発現CD4
+T細胞、CE7CAR発現CD8
+T細胞、二重CAR発現CD4
+T細胞および二重CAR発現CD8
+T細胞の間で差は見られなかったが、K562-CD19t細胞に対するサイトカインの産生では、CD19CAR発現T細胞と二重形質導入T細胞との間で差が見られた。このデータは、二重形質導入T細胞集団のCD19CAR陽性率と一致している。
【0045】
【
図10D】二重形質導入したT細胞が、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮することを示す。複数のマウス群に、GFP:fflucおよびIL-2を発現するSK-N-DZ細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock CD4:CD8 T細胞(形質導入なし、左のグラフ)、CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(上段の中央のグラフ)または二重形質導入CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(上段の右のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(下のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が長期間にわたって抑制されたことから、単一のCE7CARを発現させた細胞および二重形質導入細胞はいずれも、腫瘍を退縮させ、増殖を抑制することが示された。単一のCE7CARを発現させたT細胞で処置したマウスの一部は、腫瘍の増殖による悪影響が見られたため、任意のエンドポイントに達する前に安楽死させた。実験の結果、二重形質導入T細胞は、単一のCE7CARを発現させたT細胞と同レベルでインビボの腫瘍を根絶することができることが示された。したがって、二重形質導入T細胞集団においてCE7CAR活性の抑制は見られなかった。
【0046】
【
図11A】CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、CARをコードする2種のレンチウイルスベクターで形質導入することができ、二重陽性集団は関連するマーカーによって特定することができることを示す。精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードするレンチウイルス、または41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代ROR1CARをコードするレンチウイルスをそれぞれ別々に使用して形質導入するか、これらのレンチウイルスの両方を使用して同時に形質導入した。CD19CARにはT2A-Her2tGがインフレームで連結されており、ROR1CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して(ROR1CAR)、形質導入されたT細胞を精製し、凍結した。9日目に、EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された。CD4 T細胞のうち、Her2tG陽性細胞(CD19CAR)は約86.7%を占め、CD8 T細胞のうち、二重陽性細胞は約88.1%を占めた。
【0047】
【
図11B】CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したCD8
+ T細胞が、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株を特異的に溶解することを示す。Mock(CAR
-)CD8
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD8
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD8
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。単一のROR1CARを発現させたT細胞は、41BB-ζまたはCD28-ζと短いスペーサーとを含む第2世代CARを有していた。K562細胞はCD19もROR1も陰性である。K562-OKT3細胞を陽性対照として使用した。Raji(CD19
+)細胞は、形質導入によってROR1を発現させた。Be2細胞、SK-N-AS細胞およびSK-N-DZ細胞はいずれもROR1陽性である。実験結果から、単一のCARを形質導入したCD8
+T細胞は、その認識抗原を特異的に溶解することが示された。これに対して、二重形質導入T細胞は、CD19またはROR1を発現する細胞、およびこれらの両方を発現する細胞(Raji ROR1)を効率的に認識し、溶解することが示された。K562-OKT3細胞に対しては、いずれのCD8
+T細胞も同レベルの細胞溶解性を示した。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、形質導入されたT細胞を選択マーカーによって精製することができ、このようにして得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された。
【0048】
【
図11C】CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したT細胞集団が、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生することを示す。Mock(CAR
-)CD4
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD4
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD4
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対しても、単一CAR発現T細胞と同レベルでサイトカインを放出することができた。
【0049】
【
図11D】CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したT細胞集団が、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生することを示す。Mock(CAR
-)CD8
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD8
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD8
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対しても、単一CAR発現T細胞と同レベルでサイトカインを放出することができた。
【0050】
【
図11E】二重形質導入したT細胞は、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮することを示す。複数のマウス群に、GFP:fflucを発現するBe2細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock CD4:CD8 T細胞(形質導入なし、左のグラフ)、ROR1CAR発現CD4:CD8 T細胞(中段の左のグラフ)または二重形質導入CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(中段の右のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(右のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が短期間だけ抑制されたことから、単一のROR1CARを発現させた細胞および二重形質導入細胞はいずれも、腫瘍の増殖を一時的に低下させることが示された。単一形質導入T細胞および二重形質導入T細胞はいずれも生存率を有意に延長することができた。実験の結果、二重形質導入T細胞は、単一のROR1CARを発現させたT細胞と同レベルでインビボの腫瘍を治療することができることが示された。したがって、二重形質導入T細胞集団においてROR1CAR活性の抑制は見られなかった。
【発明を実施するための形態】
【0051】
用語の定義
本発明の態様または実施形態の理解を容易にするため、用語の定義を以下に記載する。
【0052】
本明細書において「1つの」は、1つまたは1つ以上を意味していてもよい。
【0053】
本明細書において「約」は、特定の値が、この値を決定するために用いられた方法に本質的に付随する誤差の変動または実験間での変動を含むことを示す。
【0054】
本明細書において「キメラ抗原受容体(CAR)」は、T細胞などのエフェクター免疫細胞に特異性を付与することができる遺伝子操作されたタンパク質受容体を指す。CAR発現T細胞を使用することによって、インビボにおける増殖および活性化を促進することができるが、CAR発現T細胞の効果はこれに限定されない。また、特定の細胞表面抗原を発現する細胞を標的とする指向性をT細胞に持たせることができるようにCARを設計することも可能であり、このような標的指向性を持つT細胞が標的を認識することによって、リンパ球(T細胞など)の活性化が可能となる。さらに、CARを利用することによって、モノクローナル抗体もしくはその結合断片またはscFvの特異性をT細胞に付与することもでき、このような特異性の付与は、ベクターを介してモノクローナル抗体もしくはその結合断片またはscFvのコード配列をT細胞に導入することよって行うことができる。治療が必要な対象を治療するためにCARを使用する際、養子細胞移入と呼ばれる技術が使用される。この技術では、治療対象からT細胞を採取し、得られたT細胞を遺伝子操作して、抗原に特異的なCARを発現させる。CARを発現させたことによって抗原を認識し、それを標的とすることが可能となったT細胞を患者に再導入する。いくつかの実施形態では、CARを発現するリンパ球が提供され、該CAR発現リンパ球は、特定の細胞を標的とすることを目的として対象に送達することができる。いくつかの実施形態において、前記リンパ球は2種のCARを発現することによって二重特異性を発揮することができる。いくつかの実施形態において、前記リンパ球はCARと特異的なT細胞受容体(TcR)とを発現することによって二重特異性を発揮することができる。TcRは、Tリンパ球すなわちT細胞の表面に存在する分子であり、抗原を認識することができる。いくつかの実施形態において、前記リンパ球は、二重特異性CARを発現することによって二重特異性を発揮することができ、この二重特異性CARは、B細胞上に特異的に発現されるリガンドに結合する第1のドメインと、非B細胞性腫瘍上に特異的に発現されるリガンドに結合する第2のドメインとを含む。いくつかの実施形態において、前記がんはB細胞悪性腫瘍ではない。本明細書に記載したように、B細胞特異的CARは、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進する。
【0055】
CARの構造は、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインに連結されたモノクローナル抗体由来一本鎖可変断片(scFv)の融合タンパク質を含んでいてもよい。CARは、細胞内CD3ζドメインに連結された細胞外scFvを含んでいることが多い(第1世代CAR)。また、scFvに共刺激ドメインをさらに連結することができ、これによって、治療対象においてCARの治療有効性を高めることができる(第2世代CAR)。CAR分子を発現したT細胞は、CARが標的とする特定の抗原を発現する標的細胞を認識し、これを殺傷することができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、CD19を標的とするCARは、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。
【0057】
いくつかの実施形態において、CD20を標的とするCARは、配列番号13に示すアミノ酸配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。
【0058】
いくつかの実施形態において、CE7を標的とするCARは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。
【0059】
いくつかの実施形態において、ROR1を標的とするCARは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。
【0060】
いくつかの実施形態において、EGFR 806を標的とするCARは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。
【0061】
いくつかの実施形態において、Her2を標的とするCARは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。
【0062】
いくつかの実施形態において、GD2を標的とするCARは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。
【0063】
いくつかの実施形態において、EphA2を標的とするCARは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。
【0064】
いくつかの実施形態において、EphA2を標的とするCARは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体をコードする前記ポリヌクレオチドは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)のシグナル配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、GMCSFの前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。
【0066】
いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体をコードする前記ポリヌクレオチドは、シグナル配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、前記シグナル配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、CD20に特異的なscFvをコードする。
【0067】
本明細書において「EGFR 806」は、野生型EGFRの立体構造エピトープである。
本発明のキメラ抗原受容体は、特定のリガンドに特異的な結合部分を含んでいてもよい。前記結合部分は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含んでいてもよいが、前記結合部分に含まれるものはこれらに限定されない。第1のキメラ抗原受容体の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体は結合部分を含み、該結合部分は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記結合部分は、B細胞上のリガンドに特異的である。第2のキメラ抗原受容体の実施形態のいくつかにおいて、第2のキメラ抗原受容体は結合部分を含み、該結合部分は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記結合部分は、腫瘍細胞上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍は、B細胞関連がんの腫瘍ではない。
図1に示すように、B細胞を標的とするCAR(ドライバー)をコードするベクターと、腫瘍を標的とするCAR(パッセンジャー)をコードするベクターとが、2種のレンチウイルスベクターによって送達される。この2種のCARと共発現される特異的なマーカーを指標としてCAR発現細胞を精製し、治療に使用する。
【0068】
本発明の実施形態に記載したCARの基本的な配列の模式図を
図2に示す。本発明のCARは、リーダー配列、抗原結合ドメイン(免疫グロブリンの軽鎖可変領域の配列および重鎖可変領域の配列とリンカー)、スペーサードメイン(IgG4のヒンジ-CH3領域)、シグナル伝達ドメイン(CD28膜貫通領域、4-1BBドメイン、CD3ζ)、T2Aリボソームスキップ配列、および形質導入マーカー(EGFRtマーカーまたはHer2tgマーカー)を含む。いくつかの実施形態において、本発明のCAR発現T細胞は、CD19CAR-T2A-Her2tG、CD19CAR-T2A-EGFRt、CD20CAR-T2A-EGFRt、またはCD19CAR-T2A-Her2tG/CD20CAR-T2A-EGFRtである。
【0069】
本明細書において「共刺激」はリンパ球の活性化を指す。前記キメラ抗原受容体の実施形態のいくつかにおいて、前記キメラ抗原受容体は細胞内ドメインを含み、この細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達のための共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態において、前記共刺激ドメインは膜貫通型CD28ドメイン、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含む。いくつかの実施形態において、膜貫通型CD28ドメインは、配列番号5(M F W V L V V V G G V L A C Y S L L V T V A F I I F W V)に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、膜貫通型CD28ドメインは、配列番号6(配列番号6;ATGTTCTGGGTGCTGGTGGTGGTCGGAGGCGTGCTGGCCTGCTACAGCCTGCTGGTCACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTG)に示されるアミノ酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、4-1BBドメインは、配列番号7(配列番号7;K R G R K K L L Y I F K Q P F M R P V Q T T Q E E D G C S C R F P E E E E G G C E L R V K)に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、4-1BBドメインは、配列番号8(配列番号8;AAACGGGGCAGAAAGAAACTCCTGTATATATTCAAACAACCATTTATGAGACCAGTACAAACTACTCAAGAGGAAGATGGCTGTAGCTGCCGATTTCCAGAAGAAGAAGAAGGAGGATGTGAACTGCGGGTGAAG)に示される核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、CD3ζドメインは、配列番号9(配列番号9;F S R S A D A P A Y Q Q G Q N Q L Y N E L N L G R R E E Y D V L D K R R G R D P E M G G K P R R K N P Q E G L Y N E L Q K D K M A E A Y S E I G M K G E R R R G K G H D G L Y Q G L S T A T K D T Y D A L H M Q A L P P R)に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CD3ζドメインは、配列番号10(配列番号10;TTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTACCAGCAGGGCCAGAATCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGAAGGGAAGAGTACGACGTCCTGGATAAGCGGAGAGGCCGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCTCGGCGGAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGGCGGGGCAAGGGCCACGACGGCCTGTATCAGGGCCTGTCCACCGCCACCAAGGATACCTACGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCAAGG)に示される核酸配列によってコードされる。
【0070】
本明細書において「リガンド」は、生体分子と複合体を形成することができる物質を指す。リガンドとしては、たとえば、基質、タンパク質、小分子、阻害因子、活性化因子、核酸および神経伝達物質が挙げられるが、これらに限定されない。リガンドは分子間力によって結合し、たとえばイオン結合、水素結合、およびファンデルワールス相互作用によって結合する。リガンドが受容体タンパク質に結合すると、三次元構造が変化し、それによってリガンドの機能が発揮される。リガンドの結合強度は、結合親和性とも呼ばれ、直接的な相互作用および解離作用によって決まる。リガンドは、「リガンド結合ドメイン」によって結合されてもよい。「リガンド結合ドメイン」は、たとえば、タンパク質上の特定のリガンドまたは特定のエピトープと結合可能な構造に見られる保存配列を指してもよい。リガンド結合ドメインまたはリガンド結合部分は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含んでいてもよい。リガンド結合ドメインは、1つまたは複数のリガンドに特異的な特定のタンパク質ドメインやタンパク質上のエピトープであってもよいが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書において「B細胞上のリガンド」または「B細胞抗原」は、B細胞関連疾患に罹患していない対象または患者のB細胞またはB細胞表面に発現される標的抗原を指す。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞関連疾患を有していない。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞関連疾患を有しておらず、かつ/または固形腫瘍の治療を受けている。B細胞関連疾患としては、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記患者はB細胞関連疾患を有していない。いくつかの実施形態において、前記患者は、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のいずれにも罹患していない。
【0072】
稀ではあるが、リンパ腫は悪性腫瘍や悪性腫瘤に形質転換し、リンパ系に属さない他の臓器に転移したり、拡散したりすることがある。このような症例では、患者はB細胞リンパ腫と固形腫瘍の両方を有している。さらに、全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどのB細胞疾患に罹患している患者は、固形腫瘍などのがんに罹患しやすい。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞疾患を有しておらず、かつ/またはがんの治療を受けている。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。
【0073】
いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは、抗体またはその一部である。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーである。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインはscFvである。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、B細胞上のリガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、B細胞上のリガンドはB細胞に特異的である。
【0074】
本明細書において「B細胞」は、獲得免疫系の液性免疫に関与するリンパ球の一種を指す。B細胞は、B細胞受容体(BCR)として知られるB細胞表面上タンパク質の発現によって、T細胞やナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの他のリンパ球と区別することができる。この特化したB細胞受容体タンパク質の発現によって、特定の抗原に結合することが可能となる。哺乳動物では、骨髄において未成熟B細胞が作られる。B細胞の主な機能としては、抗原に応答して抗体を産生すること、抗原提示細胞(APC)として機能すること、抗原との相互作用による活性化によってメモリーB細胞に分化することが挙げられる。また、B細胞は、シグナル伝達を介して免疫系を調節するサイトカインを放出する。B細胞の寿命は短く、免疫応答を誘導した誘発物質が排除されるとアポトーシスを起こす。B細胞のアポトーシスは、B細胞の生存に必要な様々なコロニー刺激因子の継続的な曝露が途切れると発生する。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、キメラ抗原受容体であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進するキメラ抗原受容体が提供される。いくつかの実施形態において、該キメラ抗原受容体がB細胞上のリガンドに結合すると、サイトカインが放出される。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体であって、2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする二重特異性キメラ抗原受容体が提供される。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、B細胞上のリガンドに特異的であり、具体的には、該キメラ抗原受容体が特異性を示すB細胞上のリガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体の第1の結合ドメインが特異性を示すリガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147、および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体がB細胞上のリガンドに結合すると、サイトカインの応答が誘導され、これによってT細胞の増殖が促進される。
【0076】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体であって、該キメラ抗原受容体のリガンドまたは標的分子が、腫瘍細胞上に存在する細胞表面分子であり、正常組織上に実質的に存在しないか、または重要視されていない正常組織にその発現が制限されていることを特徴とするキメラ抗原受容体が提供される。いくつかの実施形態において、前記腫瘍は、B細胞関連がんに由来するものではない。いくつかの実施形態において、前記リガンドまたは前記標的分子は、腫瘍細胞でも正常組織でも見出されるものである。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞でも正常組織でも見出されるリガンドに特異的なCARを発現する前記細胞は、CARによる治療期間を制限し、かつCARの安全性プロファイルを向上させるための自殺遺伝子をさらに含む。特定の条件下で機能する自殺遺伝子をドナーT細胞に導入することによって、腫瘍関連抗原または腫瘍関連リガンドを発現しうる正常組織への攻撃を制限してもよい。
【0077】
本明細書において「エフェクター細胞」は、特定の免疫応答を惹起することができる細胞種に分化誘導されたリンパ球を指し、たとえば、1つ以上の特定の機能を発揮する終末分化した白血球などが挙げられる。免疫系の主なエフェクター細胞としては、たとえば、病原体を破壊して生体内からこれを排除する活性化リンパ球や食細胞が挙げられる。エフェクター細胞としては、大型顆粒リンパ球が挙げられ、たとえば、ナチュラルキラー細胞や細胞傷害性Tリンパ球などがこれに含まれる。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体とを含み、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体が、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、増殖および活性化が促進される前記細胞は、リンパ球、食細胞、大型顆粒リンパ球、ナチュラルキラー細胞、および/または細胞傷害性Tリンパ球である。
【0078】
「がん抗原」、「腫瘍抗原」または「腫瘍マーカー」は、腫瘍細胞において産生される抗原性物質であり、宿主において免疫応答を惹起することができる。このようながん抗原は、腫瘍細胞を特定するためのマーカーとして有用に使用することができ、処置や治療の対象となりうる。様々な種類のがん抗原および腫瘍抗原が知られている。腫瘍細胞のみに存在し、正常細胞には存在しない腫瘍特異的抗原(TSA)や、腫瘍細胞にも、いくつかの種類の正常細胞にも存在する腫瘍関連抗原(TAA)がある。本発明の方法およびキメラ抗原受容体の実施形態のいくつかにおいて、前記キメラ抗原受容体は腫瘍持異抗原に特異的である。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は腫瘍関連抗原に特異的である。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、前記腫瘍は、B細胞関連がんに由来するものではない。いくつかの実施形態において、TAAに特異的なCARを発現する細胞は、遺伝子操作によって自殺遺伝子をさらに導入し、それによって、CAR T細胞による治療期間を制限し、TAAを発現する正常組織への攻撃を低減することができる。
【0079】
本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子はROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、B細胞関連がんではない腫瘍によって発現される。
【0080】
「特異的」または「特異性」は、結合パートナーに対するリガンドの特性、あるいはリガンドに対する結合パートナーの特性を指してもよく、たとえば、相補的形状、静電結合に関与する特異性および疎水性結合に関与する特異性が挙げられる。結合に関与する特異性としては、立体特異性、領域選択性、および化学選択性が挙げられる。いくつかの実施形態において、B細胞上のリガンドに特異的なキメラ抗原受容体が提供される。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞上のリガンドに特異的なキメラ抗原受容体が提供される。
【0081】
本明細書において「CE7」は、L1CAM上のエピトープである。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記リンパ球はCARと特異的なT細胞受容体(TcR)とを発現することによって二重特異性を発揮することができる。いくつかの実施形態において、前記特異的T細胞受容体が特異性を示す抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、ROR1またはNY-ESO-1である。
【0083】
「誘導発現された」または「誘導発現」は、遺伝子転写においてタンパク質の産生が開始されたこと、またはタンパク質の産生が増加したことを指す。目的のタンパク質をコードする遺伝子がプロモーターの制御下にある場合、タンパク質の誘導発現が起こりうる。本明細書において、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、抑制可能なプロモーター、誘導可能なプロモーターのいずれであってもよい。プロモーターが誘導可能なプロモーターである場合、転写率は誘導剤に応答して上昇する。これに対して、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写率は誘導剤による調節を受けない。抑制可能なプロモーターも公知である。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、抑制可能なシステムは、ドキシサイクリンを使用したTet-オン/オフシステムによって制御される。いくつかの実施形態において、抑制可能なシステムは、タモキシフェンによって制御される。いくつかの実施形態において、前記発現システムは、リボスイッチ/小分子mRNAによって制御される。いくつかの実施形態において、前記発現システムは、リボスイッチ、shRNAまたはマイクロRNAによって制御される。
【0084】
本明細書において「調節因子」は、調節配列を指してもよく、調節配列とは、プロモーターやオペレーターなどの、遺伝子発現の調節を担うDNA配列である。調節因子は、生物の体内において特定の遺伝子の発現を増加または低減させることが可能な核酸分子のセグメントであってもよい。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞であって、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体またはTcRが、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。
【0085】
本明細書において「膜貫通ドメイン」は、細胞膜を貫通することができる膜内在性タンパク質である。
【0086】
「プロモーター」は、構造遺伝子の転写を誘導するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、プロモーターは遺伝子の5’末端の非コード領域に存在し、構造遺伝子の転写開始点の近傍に位置する。転写を開始させるプロモーター配列のエレメントは、コンセンサスヌクレオチド配列によって特徴付けられることが多い。プロモーター配列のエレメントとしては、RNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的エレメント(DSE;McGehee et al., Mol. Endocrinol. 7:551 (1993);参照によりその全体が援用される)、環状AMP応答エレメント(CRE)、血清応答エレメント(SRE;Treisman, Seminars in Cancer Biol. 1:47 (1990);参照によりその全体が援用される)、グルココルチコイド応答エレメント(GRE)、および他の転写因子結合部位が挙げられ、たとえば、CRE/ATF(O'Reilly et al., J. Biol. Chem. 267:19938 (1992);参照によりその全体が援用される)、AP2(Ye et al., J. Biol. Chem. 269:25728 (1994);参照によりその全体が援用される)、SP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB;Loeken, Gene Expr. 3:253 (1993); 参照によりその全体が援用される)および8量体因子(概要は、Watson et al., eds., Molecular Biology of the Gene, 4th ed.(The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc. 1987;参照によりその全体が援用される)およびLemaigre and Rousseau, Biochem. J. 303:1 (1994)(参照によりその全体が援用される)を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、抑制可能なプロモーター、誘導可能なプロモーターのいずれであってもよい。プロモーターが誘導可能なプロモーターである場合、転写率は誘導剤に応答して上昇する。これに対して、プロモーターが構成的プロモーターである場合、転写率は誘導剤による調節を受けない。抑制可能なプロモーターも公知である。本発明の核酸の実施形態のいくつかにおいて、該核酸はプロモーター配列を含む。本発明のキメラ抗原受容体の実施形態のいくつかにおいて、該キメラ抗原受容体は誘導剤に応答して誘導発現される。いくつかの実施形態において、本発明のTcRは誘導剤に応答して誘導発現される。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明で使用されるプロモーターは、誘導可能なプロモーターであってもよく、構成的プロモーターであってもよい。誘導可能なプロモーターとしては、たとえば、タモキシフェン誘導性プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、およびドキシサイクリン誘導性プロモーター(たとえば、treプロモーター)が挙げられるが、これらに限定されない。構成的プロモーターとしては、たとえば、SV40、CMV、UBC、EF1α、PGK、およびCAGGを挙げることができる。いくつかの実施形態において、調節因子はプロモーターである。いくつかの実施形態において、前記プロモーターは、タモキシフェン誘導性プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、またはドキシサイクリン誘導性プロモーター(たとえば、treプロモーター)である。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、細胞におけるキメラ抗原受容体またはTcRの発現は、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導される。タモキシフェンの代謝産物として、4-ヒドロキシタモキシフェン(アフィモキシフェン)やN-デスメチル-4-ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)などの活性代謝物が挙げられ、これらのタモキシフェン代謝産物は、エストロゲン受容体に対して、タモキシフェンの30~100倍の親和性を発揮することができる。いくつかの実施形態において、タモキシフェンの代謝産物は、4-ヒドロキシタモキシフェン(アフィモキシフェン)および/またはN-デスメチル-4-ヒドロキシタモキシフェン(エンドキシフェン)である。いくつかの実施形態において、CAR/TcRを誘導するための第1のプロモーターと、マーカータンパク質を誘導するための第2のプロモーターとを含むベクターが提供される。
【0088】
本明細書において「抗体」は、形質細胞によって産生されるY字型の大きなタンパク質を指し、免疫系において細菌やウイルスなどの異物を特定し、それを中和する機能を有する。抗体タンパク質は4つのポリペプチド鎖、すなわち、ジスルフィド結合により連結された同一の重鎖2本と同一の軽鎖2本とを含んでいてもよい。それぞれの重鎖および軽鎖は、免疫グロブリンドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。免疫グロブリンドメインに含まれるアミノ酸の数は、約70個、約80個、約90個、約100個、約110個、約120個、約130個、約140個、約150個のいずれであってもよく、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲にある任意のアミノ酸数であってもよい。免疫グロブリンドメインは、その大きさや機能によって様々な種類に分類される。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは抗体断片であり、望ましくはその結合部分である。いくつかの実施形態において、CARに含まれる前記抗体断片またはその結合部分は、B細胞上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、CARまたはTcRに含まれる前記抗体断片またはその結合部分は、腫瘍細胞上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍は、B細胞関連がんに由来するものではない。いくつかの実施形態において、CARに含まれる前記抗体断片またはその結合部分は、腫瘍細胞上のリガンドに特異的である。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは、一本鎖可変断片(scFV)などの、抗体断片またはその結合部分である。いくつかの実施形態において、前記リガンドは腫瘍特異的突然変異を含む。いくつかの実施形態において、CARに含まれる前記抗体断片またはその結合部分は、ヒト化抗体に由来する1つ以上のドメインまたはその結合部分を含む。
【0089】
本明細書において「scFv」は、10~約25個のアミノ酸からなる短いリンカーペプチドで連結された、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)の融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞表面分子に特異的なscFvを含むCARが提供される。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、CD19に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、CD19に特異的なscFVは、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、CD20に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、CD20に特異的なscFVは、配列番号13に示すアミノ酸配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、CE7に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、CE7に特異的なscFVは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、ROR1に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、ROR1に特異的なscFVは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、EGFR 806に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、EGFR 806に特異的なscFVは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、Her2に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、Her2に特異的なscFVは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、GD2に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、GD2に特異的なscFVは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、EphA2(2H4)に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、EphA2(2H4)に特異的なscFVは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、EphA2(4H5)に特異的なscFVを含む。いくつかの実施形態において、EphA2(4H5)に特異的なscFVは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。
【0090】
本明細書において「マーカードメイン」は、細胞の標識として機能するタンパク質を指す。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、本発明の細胞は、特異的なキメラ抗原タンパク質と、このキメラ抗原タンパク質のマーカータンパク質とを共発現する。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記キメラ抗原受容体は、特異的なマーカータンパク質と共発現される。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、本発明の細胞は、キメラ抗原受容体をコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。
【0091】
本明細書において「リボソームスキップ配列」は、翻訳中のリボソームにリボソームスキップ配列を「スキップ」させてペプチド結合の形成を妨げ、リボソームスキップ配列の直後の領域から翻訳させるという機能を有する配列を指す。たとえば、いくつかのウイルスはリボソームスキップ配列を有することから、単一の核酸から複数のタンパク質を連続して翻訳することができ、翻訳されたタンパク質はペプチド結合によって連結されずに個別のタンパク質として得られる。本明細書において、リボソームスキップ配列は「リンカー」配列として使用される。本発明の核酸の実施形態のいくつかにおいて、本発明の核酸は、キメラ抗原受容体をコードする配列とマーカータンパク質をコードする配列との間にリボソームスキップ配列を含むことから、キメラ抗原受容体とマーカータンパク質は、ペプチド結合によって連結されずに共発現される。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列は、P2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2A配列である。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はEGFRtタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はHer2tgタンパク質である。リボソームスキップモチーフの後ろにマーカー遺伝子を配置することによって、マーカータンパク質はCARに連結されずに発現されるが、このようなマーカータンパク質であっても、目的のCARを発現している細胞の測定または精製に使用することができる。いくつかの実施形態において、前記T細胞は、2種のマーカータンパク質の発現が確認されることによって二重特異性T細胞であると特定され、2種のマーカータンパク質のうち、第1のマーカータンパク質はB細胞特異的CARの発現を示し、第2のマーカータンパク質は、腫瘍特異的CARの発現を示す。マーカータンパク質の確認は、免疫選択、マーカータンパク質への抗体の結合、および当業者に公知の他の選択方法によって行うことができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。
【0093】
本明細書において「内部リボソーム導入部位(IRES)」は、タンパク質合成過程の一部として、メッセンジャーRNA(mRNA)配列の途中からの翻訳の開始を可能とするヌクレオチド配列である。
【0094】
「二重特異性キメラ抗原受容体」は、第1のリガンドに特異的な第1のドメインと、第2のリガンドに特異的な第2のドメインとからなる2つのドメインを含むCARを指す。いくつかの実施形態において、第1のリガンドはB細胞上に特異的に発現されるタンパク質である。いくつかの実施形態において、第2のリガンドは腫瘍上に特異的に発現されるリガンドである。
【0095】
本明細書において「核酸」または「核酸分子」は、ポリヌクレオチドを指し、たとえば、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により得られた断片、ならびにライゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用またはエキソヌクレアーゼ作用により得られた断片などが挙げられる。核酸分子は、天然のヌクレオチドモノマー(DNA、RNAなど)、または天然のヌクレオチドの類似体(たとえば、天然のヌクレオチドのエナンチオマー)からなるモノマー、またはこれらの組み合わせから構成されていてもよい。修飾ヌクレオチドは、糖部分および/またはピリミジン塩基部分もしくはプリン塩基部分に修飾を有していてもよい。糖部分の修飾としては、たとえば、ハロゲン、アルキル基、アミンおよびアジド基による1つ以上のヒドロキシル基の置換が挙げられ、糖部分はエーテル化またはエステル化されていてもよい。さらに、糖部分全体が、立体構造的に類似の構造や電子的に類似の構造と置換されていてもよく、このような構造として、たとえば、アザ糖および炭素環式糖類似体が挙げられる。修飾塩基部分としては、アルキル化プリン、アルキル化ピリミジン、アシル化プリン、アシル化ピリミジン、およびその他の公知の複素環置換が挙げられる。核酸モノマーは、ホスホジエステル結合またはこれと似た結合により連結することができる。ホスホジエステル結合と似た結合としては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、ホスホロセレノエート結合、ホスホロジセレノエート結合、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)結合、ホスホロアニリデート(phosphoranilidate)結合、ホスホロアミデート結合などが挙げられる。「核酸分子」は、いわゆる「ペプチド核酸」も包含し、これは、ポリアミド主鎖に付加された天然の核酸塩基または修飾核酸塩基を含む。核酸は、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、B細胞上のリガンドに特異的なキメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞上のリガンドに特異的なキメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記核酸は、キメラ抗原受容体をコードするDNAである。いくつかの実施形態において、前記核酸は、キメラ抗原受容体をコードするmRNAである。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、二重特異性キメラ抗原受容体である。
【0096】
本明細書において「ベクター」は、目的のタンパク質またはmRNAをコードする遺伝物質を別の細胞に導入し、この細胞における該遺伝物質の複製および/または発現を可能とする核酸担体である。いくつかの種類のベクターが知られている。ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、人工染色体、mRNAのいずれであってもよく、また、これらに限定されない。ベクターは直線状であってもよく、環状であってもよい。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、ウイルスベクターを使用して、キメラ抗原受容体をコードする核酸を導入する。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドである。いくつかの実施形態において、前記ベクターはmRNAである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは直線状であり、テロメアを含む。
【0097】
本明細書において「プラスミド」は、染色体とは無関係に自己複製することができる細胞内遺伝子構造物である。プラスミドは、細菌や原生動物の細胞質中に見られる小さな環状DNA鎖や線状核酸であってもよいが、これらに限定されない。
【0098】
本明細書において「ミニサークル」は、原核生物ベクターに由来する部分が完全に取り除かれた小さな環状プラスミド誘導体である。ミニサークルは、発現ベクターとして機能することができ、哺乳動物細胞を遺伝子操作するための遺伝子導入担体として使用されている。ミニサークルは、細菌性DNA配列を含んでいないことから、異物として認識される可能性が少なく、破壊されにくいという利点を有する。このように、一般的なトランスジーンの送達方法では、外来DNAを含むプラスミドが使用される。ミニサークルのサイズが小さいほどクローニング能力が向上し、ミニサークルを細胞に送達することが容易になる。本発明をなんら限定するものではないが、ミニサークルの製造は2工程で行うことができ、元となるプラスミド(真核生物由来のインサートを含む細菌性プラスミド)を大腸菌において製造する工程と、この工程の終了後、該大腸菌内において部位特異的リコンビナーゼを誘導する工程とを含んでいてもよい。これらの工程の後、前記インサートの両端に位置する2つのリコンビナーゼ標的配列を利用して、原核生物ベクターに由来する部分を切り取り、得られたミニサークル(レシピエント細胞を非常に有効に遺伝子組換えできる媒体)およびミニプラスミドをキャピラリーゲル電気泳動(CGE)により回収する。
【0099】
本明細書において「逆方向末端反復配列」は、その下流に逆向きの相補配列を持ち、トランスポゾンの両端に位置するヌクレオチド配列である。
【0100】
本明細書において「転移因子(TE)」、すなわちトランスポゾンまたはレトロトランスポゾンは、ゲノム内で自体の位置を移動できるDNA配列を指してもよい。トランスポゾンを利用して、突然変異を作製したり、突然変異を元に戻したりすることができ、これによって細胞のゲノムサイズを変化させることができる。転移によって、TEが重複することが多い。真核生物細胞では、TEがC値の大半を占めることがある。本明細書において「C値」は、真核生物の二倍体体細胞中のDNA量の半量を含む半数体核に含まれるDNA量(ピコグラム)を指す。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、ベクターに組み込まれており、該ベクターはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、前記ベクターはトランスポゾンを含む。
【0101】
本明細書において「Sleeping Beautyトランスポゾンシステム」は、Sleeping Beauty(SB)トランスポゼースおよびトランスポゾンにより構成され、特定のDNA配列を脊椎動物のゲノムに挿入することを目的として1997年に設計された。DNAトランスポゾンは、カット&ペーストによって1つのDNA部位から別のDNA部位へと容易に移動することができる。転移は正確に行われ、定義されたDNAセグメントを1つのDNA分子から切り取り、同じまたは別のDNA分子やゲノムの別の部位へと移動させることができる。本明細書に記載のベクターの実施形態のいくつかにおいて、前記ベクターはSleeping Beautyトランスポゾンを含む。
【0102】
SBトランスポゼースは、レシピエントDNA配列のTAジヌクレオチド塩基対中にトランスポゾンを挿入することができる。挿入部位は、同じDNA分子中の別の部位であってもよく、別のDNA分子(または染色体)であってもよい。ヒトを含む哺乳動物のゲノムにおいては、およそ2億個のTA部位が存在する。TA挿入部位は、トランスポゾンを組み込む過程において複製される。TA配列のこのような複製は、転移されたことを証明するものであり、いくつかの実験においては転移機序を確認するために使用される。トランスポゼースはトランスポゾン内にコードされていてもよく、あるいは別の供給源から提供されてもよく、この場合、トランスポゾンは非自律因子である。
【0103】
本明細書において、「PiggyBac(PB)トランスポゾン」は、「カット&ペースト」機構を介してベクターと染色体との間を効率的に移動する転移性遺伝因子である。転移に際して、PBトランスポゼースは、トランスポゾンベクターの両端に位置するトランスポゾン特異的逆方向末端反復配列(ITR)を認識し、ITRに挟まれた配列を元の部位から効率的に移動させて染色体のTTAA部位に効率的に組み込む。PiggyBacトランスポゾンシステムの強力な活性によって、PBベクターの2つのITRに挟まれた目的の遺伝子を標的ゲノムへと容易に移動させることができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、前記ベクターはPiggyBacトランスポゾンである。PiggyBac(PB)トランスポゾンは、「カット&ペースト」機構を介してベクターと染色体との間を効率的に転移する転移性遺伝因子である。転移に際して、PBトランスポゼースは、トランスポゾンベクターの両端に位置するトランスポゾン特異的逆方向末端反復配列(ITR)を認識し、ITRに挟まれた配列を元の部位から効率的に移動させて染色体のTTAA部位に効率的に組み込む。PiggyBacトランスポゾンシステムの強力な活性によって、PBベクターの2つのITRに挟まれた目的の遺伝子を標的ゲノムへと容易に移動させることができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、PBは、遺伝子タグに作動可能に連結されたキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。1つ以上のPBトランスポゾンを使用することができる。いくつかの実施形態において、PBは、キメラ抗原受容体および第1の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含み、別のPBは、キメラ抗原受容体および第2の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。これらの構築物の各構成要素は、自己切断T2A配列をコードする核酸などの核酸を介して隔てられている。いくつかの実施形態において、それぞれのPBに含まれるキメラ抗原受容体は互いに異なっており、たとえば、スペーサーの長さおよび配列、細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに/または遺伝子タグ配列が異なっているが、相違点はこれらに限定されない。
【0106】
本明細書において「養子細胞移入」は、患者の体内に細胞を移入することを指す。いくつかの実施形態において、対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞および組成物の1種以上を治療対象に導入、提供または投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は養子細胞移入によって投与される。
【0107】
本明細書において「リーダー配列」は、シグナル配列としても知られており、タンパク質を細胞表面に移行することができる。CARに含まれるリーダー配列とは、CARに含まれる最初のアミノ酸配列であり、細胞表面発現を誘導するアミノ酸配列を指す。リーダー配列すなわちシグナル配列は、タンパク質の細胞表面発現に必要とされる場合がある。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記シグナル配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。
【0108】
本明細書において「非免疫原性スペーサー」は、患者の免疫応答をほとんど誘導しないか、または全く誘導しないスペーサーを指す。いくつかの実施形態において、前記キメラ抗原受容体は、該キメラ抗原受容体による治療を必要とする対象の免疫応答を誘導しないスペーサーを含む。
【0109】
前記非免疫原性スペーサーに含まれるポリペプチド鎖の長さは、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、30アミノ酸長、31アミノ酸長、32アミノ酸長、33アミノ酸長、34アミノ酸長、35アミノ酸長、36アミノ酸長、37アミノ酸長、38アミノ酸長、39アミノ酸長、40アミノ酸長、41アミノ酸長、42アミノ酸長、43アミノ酸長、44アミノ酸長、45アミノ酸長、46アミノ酸長、47アミノ酸長、48アミノ酸長、49アミノ酸長、50アミノ酸長、51アミノ酸長、52アミノ酸長、53アミノ酸長、54アミノ酸長、55アミノ酸長、56アミノ酸長、57アミノ酸長、58アミノ酸長、59アミノ酸長、60アミノ酸長、61アミノ酸長、62アミノ酸長、63アミノ酸長、64アミノ酸長、65アミノ酸長、66アミノ酸長、67アミノ酸長、68アミノ酸長、69アミノ酸長、70アミノ酸長、71アミノ酸長、72アミノ酸長、73アミノ酸長、74アミノ酸長、75アミノ酸長、76アミノ酸長、77アミノ酸長、78アミノ酸長、79アミノ酸長、80アミノ酸長、81アミノ酸長、82アミノ酸長、83アミノ酸長、84アミノ酸長、85アミノ酸長、86アミノ酸長、87アミノ酸長、88アミノ酸長、89アミノ酸長、90アミノ酸長、91アミノ酸長、92アミノ酸長、93アミノ酸長、94アミノ酸長、95アミノ酸長、96アミノ酸長、97アミノ酸長、98アミノ酸長、99アミノ酸長、100アミノ酸長、101アミノ酸長、102アミノ酸長、103アミノ酸長、104アミノ酸長、105アミノ酸長、106アミノ酸長、107アミノ酸長、108アミノ酸長、109アミノ酸長、110アミノ酸長、111アミノ酸長、112アミノ酸長、113アミノ酸長、114アミノ酸長、115アミノ酸長、116アミノ酸長、117アミノ酸長、118アミノ酸長、119アミノ酸長、120アミノ酸長、121アミノ酸長、122アミノ酸長、123アミノ酸長、124アミノ酸長、125アミノ酸長、126アミノ酸長、127アミノ酸長、128アミノ酸長、129アミノ酸長、130アミノ酸長、131アミノ酸長、132アミノ酸長、133アミノ酸長、134アミノ酸長、135アミノ酸長、136アミノ酸長、137アミノ酸長、138アミノ酸長、139アミノ酸長、140アミノ酸長、141アミノ酸長、142アミノ酸長、143アミノ酸長、144アミノ酸長、145アミノ酸長、146アミノ酸長、147アミノ酸長、148アミノ酸長、149アミノ酸長、150アミノ酸長、151アミノ酸長、152アミノ酸長、153アミノ酸長、154アミノ酸長、155アミノ酸長、156アミノ酸長、157アミノ酸長、158アミノ酸長、159アミノ酸長、160アミノ酸長、161アミノ酸長、162アミノ酸長、163アミノ酸長、164アミノ酸長、165アミノ酸長、166アミノ酸長、167アミノ酸長、168アミノ酸長、169アミノ酸長、170アミノ酸長、171アミノ酸長、172アミノ酸長、173アミノ酸長、174アミノ酸長、175アミノ酸長、176アミノ酸長、177アミノ酸長、178アミノ酸長、179アミノ酸長、180アミノ酸長、181アミノ酸長、182アミノ酸長、183アミノ酸長、184アミノ酸長、185アミノ酸長、186アミノ酸長、187アミノ酸長、188アミノ酸長、189アミノ酸長、190アミノ酸長、191アミノ酸長、192アミノ酸長、193アミノ酸長、194アミノ酸長、195アミノ酸長、196アミノ酸長、197アミノ酸長、198アミノ酸長、199アミノ酸長、200アミノ酸長、201アミノ酸長、202アミノ酸長、203アミノ酸長、204アミノ酸長、205アミノ酸長、206アミノ酸長、207アミノ酸長、208アミノ酸長、209アミノ酸長、210アミノ酸長、211アミノ酸長、212アミノ酸長、213アミノ酸長、214アミノ酸長、215アミノ酸長、216アミノ酸長、217アミノ酸長、218アミノ酸長、219アミノ酸長、220アミノ酸長、221アミノ酸長、222アミノ酸長、223アミノ酸長、224アミノ酸長、225アミノ酸長、226アミノ酸長、227アミノ酸長、228アミノ酸長、229アミノ酸長、230アミノ酸長、231アミノ酸長、232アミノ酸長、233アミノ酸長、234アミノ酸長、235アミノ酸長、236アミノ酸長、237アミノ酸長、238アミノ酸長、239アミノ酸長、240アミノ酸長のいずれであってもよく、またはこれらの長さのいずれか2つによって定義される範囲にある長さであってもよい。キメラ抗原受容体において、非免疫原性スペーサーは、20種のアミノ酸のうち任意のものを任意の順序で含むことによって、所望の長さのポリペプチド鎖を構成していてもよく、前記20種のアミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、および/またはトリプトファンが挙げられる。非免疫原性スペーサー配列は、キメラ抗原受容体においてscFVと膜貫通ドメインとをつなぐリンカーであってもよい。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記核酸は、非免疫原性スペーサーをコードする配列を含む。いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーは特定の長さの配列を含み、該配列の長さは、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、16アミノ酸長、17アミノ酸長、18アミノ酸長、19アミノ酸長、20アミノ酸長、21アミノ酸長、22アミノ酸長、23アミノ酸長、24アミノ酸長、25アミノ酸長、26アミノ酸長、27アミノ酸長、28アミノ酸長、29アミノ酸長、30アミノ酸長、31アミノ酸長、32アミノ酸長、33アミノ酸長、34アミノ酸長、35アミノ酸長、36アミノ酸長、37アミノ酸長、38アミノ酸長、39アミノ酸長、40アミノ酸長、41アミノ酸長、42アミノ酸長、43アミノ酸長、44アミノ酸長、45アミノ酸長、46アミノ酸長、47アミノ酸長、48アミノ酸長、49アミノ酸長、50アミノ酸長、51アミノ酸長、52アミノ酸長、53アミノ酸長、54アミノ酸長、55アミノ酸長、56アミノ酸長、57アミノ酸長、58アミノ酸長、59アミノ酸長、60アミノ酸長、61アミノ酸長、62アミノ酸長、63アミノ酸長、64アミノ酸長、65アミノ酸長、66アミノ酸長、67アミノ酸長、68アミノ酸長、69アミノ酸長、70アミノ酸長、71アミノ酸長、72アミノ酸長、73アミノ酸長、74アミノ酸長、75アミノ酸長、76アミノ酸長、77アミノ酸長、78アミノ酸長、79アミノ酸長、80アミノ酸長、81アミノ酸長、82アミノ酸長、83アミノ酸長、84アミノ酸長、85アミノ酸長、86アミノ酸長、87アミノ酸長、88アミノ酸長、89アミノ酸長、90アミノ酸長、91アミノ酸長、92アミノ酸長、93アミノ酸長、94アミノ酸長、95アミノ酸長、96アミノ酸長、97アミノ酸長、98アミノ酸長、99アミノ酸長、100アミノ酸長、101アミノ酸長、102アミノ酸長、103アミノ酸長、104アミノ酸長、105アミノ酸長、106アミノ酸長、107アミノ酸長、108アミノ酸長、109アミノ酸長、110アミノ酸長、111アミノ酸長、112アミノ酸長、113アミノ酸長、114アミノ酸長、115アミノ酸長、116アミノ酸長、117アミノ酸長、118アミノ酸長、119アミノ酸長、120アミノ酸長、121アミノ酸長、122アミノ酸長、123アミノ酸長、124アミノ酸長、125アミノ酸長、126アミノ酸長、127アミノ酸長、128アミノ酸長、129アミノ酸長、130アミノ酸長、131アミノ酸長、132アミノ酸長、133アミノ酸長、134アミノ酸長、135アミノ酸長、136アミノ酸長、137アミノ酸長、138アミノ酸長、139アミノ酸長、140アミノ酸長、141アミノ酸長、142アミノ酸長、143アミノ酸長、144アミノ酸長、145アミノ酸長、146アミノ酸長、147アミノ酸長、148アミノ酸長、149アミノ酸長、150アミノ酸長、151アミノ酸長、152アミノ酸長、153アミノ酸長、154アミノ酸長、155アミノ酸長、156アミノ酸長、157アミノ酸長、158アミノ酸長、159アミノ酸長、160アミノ酸長、161アミノ酸長、162アミノ酸長、163アミノ酸長、164アミノ酸長、165アミノ酸長、166アミノ酸長、167アミノ酸長、168アミノ酸長、169アミノ酸長、170アミノ酸長、171アミノ酸長、172アミノ酸長、173アミノ酸長、174アミノ酸長、175アミノ酸長、176アミノ酸長、177アミノ酸長、178アミノ酸長、179アミノ酸長、180アミノ酸長、181アミノ酸長、182アミノ酸長、183アミノ酸長、184アミノ酸長、185アミノ酸長、186アミノ酸長、187アミノ酸長、188アミノ酸長、189アミノ酸長、190アミノ酸長、191アミノ酸長、192アミノ酸長、193アミノ酸長、194アミノ酸長、195アミノ酸長、196アミノ酸長、197アミノ酸長、198アミノ酸長、199アミノ酸長、200アミノ酸長、201アミノ酸長、202アミノ酸長、203アミノ酸長、204アミノ酸長、205アミノ酸長、206アミノ酸長、207アミノ酸長、208アミノ酸長、209アミノ酸長、210アミノ酸長、211アミノ酸長、212アミノ酸長、213アミノ酸長、214アミノ酸長、215アミノ酸長、216アミノ酸長、217アミノ酸長、218アミノ酸長、219アミノ酸長、220アミノ酸長、221アミノ酸長、222アミノ酸長、223アミノ酸長、224アミノ酸長、225アミノ酸長、226アミノ酸長、227アミノ酸長、228アミノ酸長、229アミノ酸長、230アミノ酸長、231アミノ酸長、232アミノ酸長、233アミノ酸長、234アミノ酸長、235アミノ酸長、236アミノ酸長、237アミノ酸長、238アミノ酸長、239アミノ酸長、240アミノ酸長のいずれであってもよく、またはこれらの長さのいずれか2つによって定義される範囲にある長さであってもよい。いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーは、前記キメラ抗原受容体においてscFVと膜貫通領域との間に位置する。
【0110】
いくつかの実施形態において、スペーサー領域は、少なくとも10~229アミノ酸長、10~200アミノ酸長、10~175アミノ酸長、10~150アミノ酸長、10~125アミノ酸長、10~100アミノ酸長、10~75アミノ酸長、10~50アミノ酸長、10~40アミノ酸長、10~30アミノ酸長、10~20アミノ酸長、もしくは10~15アミノ酸長であるか、またはこれらのアミノ酸長のいずれか2つによって定義される範囲にある長さを有する。いくつかの実施形態において、スペーサー領域の長さは、1アミノ酸長よりも長く12アミノ酸長以下であるか、1アミノ酸長よりも長く119アミノ酸長以下であるか、または1アミノ酸長よりも長く229アミノ酸長以下である。
【0111】
いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1(配列番号1;E S K Y G P P C P P C P)に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号2(配列番号2;GAGAGCAAGTACGGACCGCCCTGCCCCCCTTGCCCT)に示す配列によってコードされる。
【0112】
いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4-CH3ヒンジスペーサーを含む。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3(配列番号3;E S K Y G P P C P P C PG Q P R E P Q V Y T L P P S Q E E M T K N Q V S L T C L V K G F Y P S D I A V E W E S N G Q P E N N Y K T T P P V L D S D G S F F L Y S R L T V D K S R W Q E G N V F S C S V M H E A L H N H Y T Q K S L S L S L G K)に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号4に示す配列によってコードされる(配列番号4;GAGAGCAAGTACGGACCGCCCTGCCCCCCTTGCCCTGGCCAGCCTCGCGAGCCCCAGGTGTACACCCTGCCTCCCTCCCAGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGCCTGGTGAAGGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAACGGCCAGCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCCGTGCTGGACAGCGACGGCAGCTTCTTCCTGTACAGCCGGCTGACCGTGGACAAGAGCCGGTGGCAGGAAGGCAACGTCTTTAGCTGCAGCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGAGCCTGAGCCTGTCCCTGGGCAAG)。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーはIgG4-CH2スペーサー(L235D,N297Q変異体)を含む。いくつかの実施形態において、IgG4-CH2スペーサー(L235D,N297Q変異体)は、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。
【0114】
いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーはIgG4ヒンジを含む。いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーはCD8αヒンジを含む。いくつかの実施形態において、前記非免疫原性スペーサーはCD28ヒンジを含み、IgG分子のCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに融合されている。
【0115】
本明細書において「シグナル伝達ドメイン」は、キメラ抗原受容体に含まれるドメインの1つであり、サイトカインの放出、インビボにおけるT細胞の生存および腫瘍の排除を促進することができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内ドメイン、4-1BB細胞内ドメインおよび/またはCD3ζ細胞内ドメインを含む。
【0116】
本明細書において「ステロイド」は、17個の炭素原子からなる4環構造を含むという共通の特徴を有する小さな環状有機化合物を指す。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、CARの発現は、ステロイドによって誘導され、該ステロイドとしては、エストロゲン、テストステロン、グルココルチコイドおよびレチノイン酸が挙げられる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、ステロイドの一種であるタモキシフェンを使用して、CARまたはTcRの発現を誘導する。いくつかの実施形態において、エストロゲンまたはグルココルチコイドを使用して、CARまたはTcRの発現を誘導する。
【0117】
「B細胞に関連しない疾患」は、B細胞がんやB細胞疾患に関連しないがんまたは疾患を指す。したがって、本明細書に記載の実施形態で述べた、B細胞関連異常によって引き起こされない疾患のマーカーとして、細胞表面上の特定のがんマーカータンパク質の発現を利用することができる。B細胞に関連しない疾患としては、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞性リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書において「固形腫瘍」は、組織の悪性腫瘤を指す。対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞および組成物、ならびに本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上に記載の方法によって製造された細胞の1種以上を治療対象に導入、提供または投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記対象はがんを有している。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記固形腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫および卵巣癌からなる群から選択される。
【0119】
本明細書において「神経芽腫」は、小児期や乳児期に発生する頭蓋外固形腫瘍であって、交感神経系の神経堤由来組織から生じる神経内分泌腫瘍を指す。この腫瘍は、たとえば、副腎や、頚部、胸部、腹部および/または骨盤の神経組織から発生するが、該腫瘍が由来する臓器や組織はこれらに限定されない。本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、二重特異性キメラ抗原受容体を含むことによって二重特異性を示すT細胞、または2種のキメラ抗原受容体を含むことによって二重特異性を示すT細胞を、このようなT細胞を必要とする対象に養子細胞移入によって投与する。いくつかの実施形態において、前記T細胞を必要とする対象は神経芽腫に罹患している。いくつかの実施形態において、前記T細胞を必要とする対象は小児年齢である。本明細書において小児年齢は24歳以下を指す。小児年齢は、0歳、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳、18歳、19歳、20歳、21歳、22歳、23歳、24歳のいずれであってもよく、前記値のいずれか2つの間の範囲にある年齢であってもよい。
【0120】
本明細書において「不応性再発神経芽腫」は、治療に完全奏効を示さず、不応性と判断された「高リスク」と見なされる小児の神経芽腫を指す。高リスクと見なされた小児患者は、第一選択療法の対象外となるため、新しい治療法を使用した臨床試験に適格であると考えられる。また、第一選択療法に対して良好な奏効を示したが、疾患の再発(再燃)を起こした小児患者も高リスクと見なされ、臨床試験で試験される新しい治療法に適格であると考えられる。本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、患者は、不応性および/または再発性の神経芽腫に罹患している。いくつかの実施形態において、前記治療を必要とする対象は小児年齢である。本明細書において小児年齢は24歳以下を指す。小児年齢は、0歳、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳、6歳、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳、18歳、19歳、20歳、21歳、22歳、23歳、24歳のいずれであってもよく、前記値のいずれか2つの間の範囲にある年齢であってもよい。いくつかの実施形態において、前記患者はがん療法で治療中の患者である。いくつかの実施形態において、前記がん療法は、131I-MIBGを患者に投与することを含む。
【0121】
本明細書において「自殺遺伝子療法」、「自殺遺伝子」および「自殺遺伝子システム」は、アポトーシスにより細胞を破壊する方法を指してもよく、この方法では、細胞にアポトーシスを起こして自殺させる自殺遺伝子が必要とされる。CAR療法を必要とする患者の安全性への懸念から、有害事象を予防または軽減するための様々な戦略の開発が試みられている。CAR T細胞療法の有害作用としては、移入されたT細胞が血流にサイトカインを放出することによって起こるサイトカイン放出症候群とも呼ばれる「サイトカインストーム」が挙げられ、この疾患では生命に危険が及ぶほどの高熱や血圧の急降下を招く恐れがある。今日まで、サイトカイン放出症候群はCAR T細胞で処置された患者において最も一般的に見られる有害事象であり、CAR T細胞による治療を受ける以前に極めて進展した疾患を有する患者では、重症化したサイトカイン放出症候群を発症する可能性が高いことが示されている。腫瘍持異抗原が健常組織でも発現されている場合、オフターゲットな有害作用が起こる可能性もある。
【0122】
自殺遺伝子療法を利用することによって、キメラ抗原受容体により標的指向性が付与されたT細胞の安全性を高め、CAR発現T細胞の注入によって起こりうる有害事象を避けることができる。悪性細胞のみに対して細胞傷害作用を発揮させるためには、薬理療法、自殺遺伝子または新規戦略が必要である。自殺遺伝子療法を実施する方法として、いくつかの方法が知られており、たとえば、遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法やウイルス指向性酵素プロドラッグ療法が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法(GDEPT)では、がん細胞から遺伝子を取り出し、別の遺伝子で組み換えることによって、正常細胞に無害な酵素を形成させる。この異種酵素は腫瘍細胞に挿入され、正常細胞に無害であるが、がん細胞に対しては傷害性を示す小分子プロドラッグがこの腫瘍細胞から放出される。遺伝子操作された自殺遺伝子は、無毒なプロドラッグを細胞毒性物質に変換する。ウイルス指向性酵素プロドラッグ療法では、キャリアとしての単純ヘルペスウイルスや感冒ウイルスなどのウイルス、またはベクターを使用して、組み換えた遺伝子をがん細胞に送達する。自殺遺伝子療法を実施したとしても、がん性腫瘍に対する化学療法や放射線療法の必要性が必ずしも完全に排除されるとは限らない。しかしながら、自殺遺伝子療法によって腫瘍細胞に損傷を与えることができるため、化学療法や放射線療法に対する腫瘍細胞の感受性を高めることができる。このようなアプローチは、前立腺癌および膀胱癌に対して有効であることが既に立証されている。自殺遺伝子療法は、他の種類のがんにも適用が拡大されつつある。がん患者は免疫系が抑制されていることが多いため、送達担体として使用されるウイルスによって副作用が起こる可能性がある。CAR T細胞療法の有害作用は、プロモーターの制御下でCARを発現させることによって抑制することができる。過去の論文で報告されているように、CARを発現するTリンパ球は、エクスビボにおいて自殺遺伝子を用いてさらに遺伝子組換えすることができる。自殺遺伝子は、細胞レベルで非毒性プロドラッグを毒性化合物に変換することができる因子をコードする遺伝子であってもよいが、このような遺伝子に限定されない。養子細胞移入によるCAR T細胞の注入によって有害作用が起こった場合、有害作用を発症した対象に前記プロドラッグを投与することができ、投与されたプロドラッグは、非遺伝子組換えT細胞による免疫再構成を妨害することなく、自殺遺伝子で遺伝子組換えしたT細胞を選択的に排除することができる。また、単純ヘルペスチミジンキナーゼ(Hsv-tk)/ガンシクロビル(GCV)自殺システムを使用した自殺システムが報告されている(Casucci et al. 2011, Journal of Cancer 2011, 2;この文献は参照によりその全体が本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体とを含む細胞であって、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体が、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞であって、該二重特異性キメラ抗原受容体が2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は自殺遺伝子システムをさらに含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、EGFRt自殺遺伝子システムであり、プロドラッグとしてアービタックスを患者に投与する。いくつかの実施形態において、前記対象に投与するアービタックスの用量は、1日当たり0.04mg/cm2である。いくつかの実施形態において、アービタックスを前記プロドラッグとして使用する場合、初回量を0.04mg/cm2とすることができ、いくつかの実施形態においては、この初回量を投与した後に、0.025mg/cm2の用量でアービタックスを毎週投与する。いくつかの実施形態において、患者が発疹を発症した場合、週当たりの用量を、0.03mg/cm2、0.02mg/cm2、0.01mg/cm2、またはこれらの量のいずれか2つの間の用量まで低減することができる。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、Her2tG自殺遺伝子システムであり、プロドラッグとしてハーセプチンを患者に投与する。いくつかの実施形態において、前記対象に投与するハーセプチンの用量は、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、またはこれらの量のいずれか2つの間の用量である。第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞を製造する前記方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、自殺遺伝子をコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態において、自殺遺伝子をコードする前記核酸は、ベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。
【0124】
本明細書において、「単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システム」は、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ遺伝子を、プロドラッグであるガンシクロビルと組み合わせて使用した自殺遺伝子システムである。
【0125】
第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞を製造する前記方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、自殺遺伝子システムをコードする核酸を細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子をコードする前記核酸は、ベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子は、前記キメラ抗原受容体をコードする核酸を含むベクターに組み込まれており、該核酸の上流または下流に位置しており、切断可能なリンカーをコードする遺伝子によって、前記キメラ抗原受容体をコードする核酸から隔てられている。いくつかの実施形態において、前記受容体の投与を必要とする対象に、ガンシクロビル1000mgを食餌とともに1日3回投与する。
【0126】
いくつかの実施形態において、前記プロドラッグがガンシクロビルである場合、導入療法として、5mg/kgの用量のガンシクロビルを12時間毎に一定の速度で1時間、2時間、3時間、またはこれらの値のいずれか2つの間の時間にわたって患者に静脈内投与(IV)することができ、この投与は、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲にある期間継続してもよい。いくつかの実施形態において、前記プロドラッグがガンシクロビルである場合、患者体内のガンシクロビルの量は一定に維持され、5mg/kgの用量のガンシクロビルが、一定の速度で1時間、2時間、3時間、またはこれらの値のいずれか2つの間の時間にわたって患者に静脈内投与(IV)される。いくつかの実施形態において、ガンシクロビルは1日1回、週に7日投与される。いくつかの実施形態において、前記プロドラッグがガンシクロビルである場合、患者体内のガンシクロビルの量は一定に維持され、6mg/kgの用量のガンシクロビルが、一定の速度で1時間、2時間、3時間、またはこれらの値のいずれか2つの間の時間にわたって、1日1回、週に5日、患者に静脈内投与(IV)される。
【0127】
第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞を製造する前記方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、自殺遺伝子システムをコードする核酸を細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、カスパーゼを使用した自殺遺伝子システムである。誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムとしては、誘導型カスパーゼ-9自殺遺伝子システムおよびカスパーゼ-8自殺遺伝子システムが挙げられるが、これらに限定されない。誘導型カスパーゼ9(iCasp9)を介した自殺遺伝子システムは、ヒトタンパク質から構築されたアポトーシス促進分子の特定条件下での二量体化に基づいているため、免疫原性は低いと考えられる。いくつかの実施形態において、iCasp9自殺システムを使用する場合、iCasp9タンパク質は、ヒトFK506結合性タンパク質を含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、カスパーゼ9自殺遺伝子システムなどのカスパーゼシステムである。いくつかの実施形態において、前記プロドラッグは、FK506、または二量体化を誘導する別の化学物質である。第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞を製造する前記方法の実施形態のいくつかにおいて、該方法は、自殺遺伝子をコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかの実施形態において、自殺遺伝子をコードする前記核酸は、ベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記対象にプロドラッグを投与することによってアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態において、前記プロドラッグはFK506である。いくつかの実施形態において、前記対象への投与量は、0.075mg/kg/日、0.1mg/kg/日、0.125mg/kg/日、0.150mg/kg/日、0.175mg/kg/日、0.2mg/kg/日、またはこれらの量のいずれか2つの間の範囲にある用量である。
【0129】
いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、タモキシフェンによってアポトーシスを誘導するための自殺ベクターを含む。具体的には、Fas-エストロゲン受容体融合タンパク質を使用した誘導型アポトーシスシステムを使用して、形質導入細胞を迅速に排除することができる。いくつかの実施形態において、前記システムは、生体内で発現されているエストロゲンの影響を受けることなく、アポトーシスを誘導することができる。
【0130】
本明細書において「プロドラッグ」は、薬理学的に不活性な形態で投与された後、正常な代謝プロセスによって活性形態に変換される薬物である。いくつかの実施形態において、対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞および組成物、ならびに本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上に記載の方法によって製造された細胞の1種以上を治療対象に導入、提供または投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、サイトカインストームまたはB細胞無形成の症状の有無について前記対象を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、高熱、血圧上昇または血圧低下、低血圧症、低酸素症、痙攣または失語症に罹患している。いくつかの実施形態において、前記対象は、フェリチンの上昇および/またはC反応性タンパク質の上昇が見られる。本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞が自殺遺伝子システムを含む場合、前記方法は、前記対象にプロドラッグを投与することをさらに含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、前記形質導入T細胞が自殺遺伝子システムを含む場合、該自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ9自殺遺伝子システムであり、前記プロドラッグはFK506である。いくつかの実施形態において、前記対象に投与するFK506の用量は、0.075~0.2mg/kg/日である。いくつかの実施形態において、前記対象への投与量は、0.075mg/kg/日、0.1mg/kg/日、0.125mg/kg/日、0.150mg/kg/日、0.175mg/kg/日、0.2mg/kg/日、またはこれらの量のいずれか2つの間の範囲にある用量である。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記形質導入T細胞が自殺遺伝子システムを含む場合、該自殺遺伝子システムは、タモキシフェンによってアポトーシスを誘導するための自殺ベクターを含む自殺遺伝子システムであり、前記プロドラッグはタモキシフェンである。いくつかの実施形態において、前記対象に投与するタモキシフェンの用量は、20mg/日である。
【0133】
いくつかの実施形態において、前記形質導入T細胞が自殺遺伝子システムを含む場合、該自殺遺伝子システムは、タモキシフェンによってアポトーシスを誘導するための自殺ベクターを含む単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)自殺遺伝子システムであり、前記プロドラッグはGCVである。いくつかの実施形態において、GCV1000mgを1日3回、食餌とともに前記対象に経口投与する。
【0134】
本明細書において「移植」は、移植組織を宿主の体内に植え込むことを指す。効果的なCAR T細胞の特徴の1つとして、十分な生着の徴候が示されることが挙げられ、十分な生着は、CAR T細胞による免疫応答に必要とされる。たとえば、CARの有効性を知るためには、CARの細胞表面発現についての情報を得るしかないが、導入したCAR遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応によって検出しても、CARの細胞表面発現についての有益な情報は得られない。したがって、CAR T細胞の活性および生着を調べるためには、フローサイトメトリーや当業者に公知の他の方法によって、細胞表面に発現されたCARを特異的に検出できる試薬を使用することが重要である。本明細書に記載の実施形態において、養子移入されたCARの治療強度は、固形腫瘍を殺傷するように標的指向性が付与された第2のCARを発現するCAR T細胞を移入し、このCAR T細胞の活性化、増殖および遊走を、B細胞を標的とする別のCARによって誘導することによって高めることができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、B細胞に特異的なCARを含む本発明の方法および細胞は、腫瘍上のリガンドに特異的なCARしか含まないT細胞と比較して、生着が改善するという驚くべき効果を発揮した。本明細書に記載の実施形態で説明したように、固形腫瘍を殺傷するように標的指向性が付与されたCARを発現するCAR T細胞を移入し、このCAR T細胞の活性化、増殖および遊走を、B細胞を標的とする別のCARによって誘導することによって、生着の失敗を防ぐことができる。
【0135】
本明細書において「対象」または「患者」は、たとえば、実験、診断、予防および/または治療を目的として、本明細書に記載の実施形態を使用または投与することができる任意の生物を指す。対象または患者として、たとえば、動物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記対象は、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、霊長類またはヒトである。
【0136】
本明細書に記載した様々な具体的態様および実施形態において本発明を説明するが、個々の実施形態に記載した様々な特徴、態様および機能は、それらが記載された特定の実施形態における適用に限定されない。また、具体的な実施形態が記載されているかどうか、具体的な特徴が本発明の実施形態の一部として提示されているかどうかにかかわらず、個々の実施形態に記載した様々な特徴、態様および機能は単独で使用してもよく、本発明の別の実施形態の1つ以上と様々に組み合わせて使用してもよい。本発明の範囲は、本明細書に記載または提示された具体的な実施形態によって限定されない。
【0137】
本発明の態様は、養子移入されたキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞の固形腫瘍に対する治療強度を増強する方法、ならびにそのための細胞および組成物に関する。具体的には、本明細書において、個々のT細胞において2種のCARを共発現させたCAR T細胞を製造する方法、該CAR T細胞、および該CAR T細胞を含む組成物が提供され、2種のCARとしては、インビボにおいてエフェクター細胞の増殖および活性化を促進するB細胞標的「ドライバー」CARと、固形腫瘍を標的とする所望の特異性を持つCARまたはT細胞受容体(TcR)(パッセンジャーCAR/TcR)とが使用される。
【0138】
第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体とを発現する細胞
好ましい実施形態のいくつかによれば、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞であって、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体またはTcRが、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。
【0139】
いくつかの実施形態において、前記リンパ球はCARと特異的なT細胞受容体(TcR)とを発現することによって二重特異性を発揮することができる。いくつかの実施形態において、前記特異的T細胞受容体が特異性を示す抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。
【0140】
いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体は、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体の発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ受容体は第1のリガンド結合ドメインを含み、第2のキメラ受容体は第2のリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、前記リガンド結合ドメインは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンド、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子を含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンド、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子を含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体と共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体と共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体と共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0141】
本明細書に記載の実施形態のいくつかは、CARによって固形腫瘍に対する標的指向性が付与された養子移入T細胞の治療強度を増強するための新規戦略を含む。これらの実施形態は、個々のT細胞(CD4+T細胞サブセットおよびCD8+T細胞サブセット)において2種のCARを共発現させたCAR T細胞をさらに含み、この2種のCARは、インビボにおける増殖および活性化を促進するためのB細胞標的「ドライバー」CAR(CD19、CD22、CD20、CD10、CD79c、ROR1またはB細胞によって発現される別の細胞表面分子に特異的なCAR)と、固形腫瘍を標的とする所望の特異性を有するCARまたはTcR(パッセンジャーCAR/TcR)とを含む。二重CAR(またはCAR/TcR)T細胞は、本明細書に記載の実施形態において開発された2種の細胞表面タグ、すなわち遺伝子組換えヒトEGFRポリペプチドおよび遺伝子組換えヒトHER2ポリペプチド(すなわちEGFRtおよびHER2tg)を使用することによって特定および選択することができる。さらに、B細胞を標的とするドメインと、固形腫瘍を標的とするドメインとを含む単一のCARも、B細胞および固形腫瘍に対して二重特異性を発揮するものとして想定される。このような二重特異性CAR T細胞を製造するための遺伝子導入方法としては、様々なものが想定され、たとえば、ウイルスベクター、非ウイルストランスポゾンベクター、またはmRNAを用いた方法が挙げられる。また、B細胞を標的とするCARが、TamRなどの薬物を使用した発現制御フォーマットに含まれている遺伝子システムが想定される。このようなシステムの好ましい一実施形態として、CD19特異的CARの共発現システムが挙げられ、該CD19特異的CARは、好ましくは、ヒトscFv結合ドメイン、非免疫原性細胞外スペーサーおよび第2世代4-1BB:ζ細胞質テールを含み、さらに、cDNA同士を連結する遺伝因子(リボソームスキップ配列やIRESなど)を介して共発現されるEGFRtまたはHER2tg(または別の適切な細胞表面タグ)を含み、固形腫瘍の治療を目的として開発された別のCARまたはTcRとともに発現され、このCARまたはTcRは第2の細胞表面タグと共発現される。このシステムの一実施形態において、各CAR/タグ(またはTcR/タグ)を含む2種のレンチウイルスベクターを提供することができ、この2種のレンチウイルスの混合物を使用することによって、ヒトT細胞に各CAR/タグ(またはTcR/タグ)を同時に形質導入することができる。これらの実施形態では、細胞選択(免疫磁気、セルソーティングなど)を実施することによって、前記2種の細胞表面タグをいずれも発現し、かつ各細胞表面タグに対応するCARを発現する形質導入T細胞を精製することも想定される。
【0142】
前記二重CAR(またはCAR/TcR)T細胞は、本明細書に記載の実施形態で開発および開示された2種の細胞表面タグを使用して特定および選択することができ、この2種の細胞表面タグは、マーカータンパク質(たとえば、遺伝子組換えヒトEGFRポリペプチドおよび遺伝子組換えヒトHER2ポリペプチド(すなわちEGFRtおよびHER2tg))からなっていてもよい。さらに、B細胞を標的とするドメインと、固形腫瘍を標的とするドメインとを含む単一のCARも、B細胞および固形腫瘍に対して二重特異性を発揮するものとして想定され、このような単一のCARも本明細書において提供される。このような二重特異性CAR T細胞を製造するための遺伝子導入方法としては、様々なものが想定され、たとえば、ウイルスベクター、非ウイルストランスポゾンベクター、およびmRNAを用いた方法が挙げられる。さらに、B細胞を標的とするCARが、TamRなどの薬物を使用した発現制御フォーマットに含まれている遺伝子システムが想定される。このようなシステムの好ましい一実施形態として、CD19特異的CARの共発現システムが挙げられ、該CD19特異的CARは、ヒトscFv結合ドメイン、非免疫原性細胞外スペーサーおよび第2世代4-1BB:ζ細胞質テールを含んでいてもよく、また、該CD19特異的CARは、cDNA同士を連結する遺伝因子(リボソームスキップ配列やIRESなど)を介して細胞表面タグ(たとえばEGFRtまたはHER2tg)と共発現させてもよく、該CD19特異的CARは、固形腫瘍の治療を目的として開発された別のCARまたはTcRとともに発現され、このCARまたはTcRは第2の細胞表面タグと共発現される。このシステムの一実施形態において、各CAR/タグ(またはTcR/タグ)を別々に含む2種のレンチウイルスベクターを提供することができ、この2種のレンチウイルスの混合物を使用することによって、ヒトT細胞に各CAR/タグ(またはTcR/タグ)を同時に形質導入することができる。本明細書に記載の実施形態において、細胞選択(免疫磁気、セルソーティングなど)を実施することによって、前記2種の細胞表面タグをいずれも発現し、かつ各細胞表面タグに対応するCARを発現する形質導入T細胞を精製することも想定される。
【0143】
本明細書に記載の実施形態のいくつかから得た知見から、正常B細胞を標的とするドライバーCARと固形腫瘍を標的とする第2のパッセンジャーCARとを含む二重特異性CAR T細胞の新規な特徴として、白血病患者に注入されたCD19 CAR T細胞が急激に増殖し、活性化されて、中枢神経系(CNS)を含む全身性の白血病が軽減されることが見出された。この現象は、寛解期の患者において観察されたものであり、腫瘍化していないB細胞が活性化され、それに応答してCD19 CAR T細胞が増殖したことが示された。B細胞を介したCD19 CAR T細胞の増殖は、CD19 CAR T細胞に対してB細胞が独自の免疫賦活特性を発揮したことを反映しており、また、B細胞が、血液、リンパ節および骨髄に分布し、点滴静注によって注入されたCAR T細胞がこれらの組織に遊走したことを示している。
【0144】
これに対して、固形腫瘍を標的とするCAR T細胞(たとえば、CE7を標的とするCAR T細胞など)では、転移性神経芽腫の患者の臨床試験において移植が失敗することがある。この原因として、注入されたT細胞の腫瘍転移巣への遊走が限定的であることや、固形腫瘍の免疫賦活活性および免疫抑制環境が限定的であることが考えられる。本発明では、固形腫瘍を殺傷するように標的指向性が付与された第2のパッセンジャーCARを発現するCAR T細胞を移入し、このCAR T細胞の活性化、増殖および遊走を、B細胞を標的とする別のCARによって誘導することによって、前述の問題が解消されている。
【0145】
本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、実験データから以下のことが示された。
1)CD19CAR-T2A-EGFRtおよび第2のCAR(抗CD20)-T2A-HER2tをそれぞれ含む2種のレンチウイルスを使用して、ヒトT細胞に同時に形質導入することができる。
2)同時に形質導入されたヒトT細胞の一部は、EGFRtおよびHER2tを共発現する。
3)二重陽性T細胞は、EGFRtに特異的な免疫磁気選択試薬(アービタックス)およびHER2に特異的な免疫磁気選択試薬(ハーセプチン)を使用して精製することができ、精製された細胞集団は均質である。
4)二重CAR T細胞は、CARによって付与されたCD19特異性と、獲得した第2の特異性(たとえばCD20)を保持している。
5)導入した遺伝子をTamRの制御下で発現させる遺伝子システムを使用することによって、タモキシフェンに依存したCD19CARの発現が可能となる。
6)現在実施中の実験では、B細胞による活性化によって増強された抗固形腫瘍活性を示すCD19ドライバー×L1CAMパッセンジャー二重CAR発現T細胞が試験されている。
【0146】
本明細書に記載の実施形態のいくつかは、ヒトがん、特に固形腫瘍に対するCAR T細胞療法の治療効果の増加を目的として使用することが想定される。本発明のドライバー/パッセンジャーCAR産物は、固形腫瘍を持つ患者の治療に使用することができ、固形腫瘍にまずパッセンジャーCARを送達し、次いでB細胞系細胞の細胞表面抗原(たとえばCD19など)を認識するドライバーCARを患者に投与することによって、不十分な活性化や増殖を最適化することができる。一実施形態において、ドライバーCARは、TamR-tfなどの薬物を使用した発現制御システムに組み込むことができ、これによって、ドライバーCARを増加させる期間と、「休薬」およびB細胞の再構築を行う期間とからなるサイクルで治療を行うことができる。さらに、ドライバーCARの前記効果は、患者由来のB細胞や、細胞表面にB細胞抗原を発現するT細胞-APC複合体を注入することによって増強することができ、これによって、腫瘍のターゲティングを増強することができると予想される。このような戦略は、内因性TcRまたは導入されたTcRをマーカーとして単離された腫瘍反応性T細胞を使用することによって腫瘍特異性が得られ、ドライバーがB細胞抗原特異的CARである場合に使用することができる。
【0147】
いくつかの実施形態において、前記二重CAR構築物は、複数のレンチウイルスを使用して同時に形質導入することによって導入可能であることが実証されている。また、たとえば、非ウイルス性トランスポゾンシステム(Sleeping Beautyトランスポゾンのトランスポゼースなど)を用いて、複数の構築物を単一のベクターに組み込むこともできる。
【0148】
CAR発現T細胞による処置を受けた患者は、長期間にわたってB細胞無形成を発症する可能性がある。したがって、TamRを使用した発現制御システムを使用することによって、ドライバーCD19 CARの反応性をオンの状態にしたり、オフの状態にしたりすることができ、これによって、B細胞の再構築を一時的に可能とすることができる。あるいは、CAR T細胞に自殺遺伝子を組み込むことによって、B細胞を回復させる期間を設けたり、かつ/またはCAR T細胞が消失した後に患者のB細胞を再注入したりすることもできる。いくつかの実施形態において、B細胞を標的とする前記CARは、薬物によって制御される。
【0149】
また、CAR発現T細胞の別の有害作用として、サイトカインストームが挙げられる。ここでも、プロモーターの制御下でCARを発現させたり、あるいは当業者に公知のエクスビボ法を利用して自殺遺伝子システムを組み込んだりすることによって、CAR T細胞療法による有害作用を抑制することができる。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞は自殺遺伝子システムをさらに含む。
【0150】
二重特異性キメラ抗原受容体を発現する細胞
本明細書で述べたように、二重特異性CARを含む細胞が提供される。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞であって、該二重特異性キメラ抗原受容体が2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、L1CAMへの結合に際して認識されるエピトープは、CE7エピトープである。いくつかの実施形態において、L1CAMへの結合に際して認識される標的は、CE7エピトープである。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0151】
また、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、腫瘍上のリガンドに特異的である第2の結合ドメインとからなる2つの結合ドメインを含む二重特異性CARを発現するT細胞を使用する場合、前記B細胞結合ドメインによって、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化が促進されることから、CARによって固形腫瘍に対する標的指向性が付与された養子移入T細胞の治療強度を増強することができると予想される。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0152】
二重特異性CAR発現T細胞による処置を受けた患者は、長期間にわたってB細胞無形成を発症する可能性がある。このような有害作用を軽減するため、TamRを使用した発現制御システムを使用することによって、二重特異性CARの反応性をオンの状態にしたり、オフの状態にしたりすることができ、これによって、B細胞の再構築を一時的に可能とすることができる。あるいは、二重特異性CAR T細胞に自殺遺伝子を組み込むことによって、B細胞を回復させる期間を設けたり、かつ/または二重特異性CAR T細胞が消失した後に患者のB細胞を再注入したりすることもできる。いくつかの実施形態において、前記二重特異性CARは、薬物によって制御される。
【0153】
いくつかの場合において、二重特異性CAR発現T細胞によって、サイトカインストームが発症する可能性がある。このような場合、プロモーターの制御下で二重特異性CARを発現させたり、あるいは当業者に公知のエクスビボ法を利用して自殺遺伝子システムを組み込んだりすることによって、二重特異性CAR T細胞療法による前記有害作用を抑制することができる。本発明の細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞は自殺遺伝子システムをさらに含む。
【0154】
組成物
本発明の方法および組成物の実施形態のいくつかにおいて、該方法および該組成物を使用して、がんに罹患したヒトのがんを治療、緩和または排除することができる。本発明の方法および組成物の実施形態のいくつかにおいて、前記治療を必要とする患者は、不応性再発神経芽腫に罹患している小児年齢の患者である。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記固形腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫および卵巣癌からなる群から選択される。
【0155】
本発明の細胞は、CD4+細胞のサブセットとCD8+細胞のサブセットとを規定の組成で含むものである。これらの細胞サブセットに、CD19CAR(4-1BB:ζ)およびEGFRtの発現を誘導するSCRレンチウイルスと、CE7R CAR(4-1BB:ζ)およびEGFRtの発現を誘導するSCRレンチウイルスとを同時に形質導入する。本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、EGFRtおよびHER2tgを使用したCAR/レンチウイルスのペアを試験で使用した。
【0156】
本明細書で述べたように、CD19に特異的なCARおよび固形腫瘍を標的とするCARが開発された。本明細書に記載の実施形態のいくつかは、T細胞において複数のCARを発現させた二重特異性CAR産物、または遺伝子組換えにより作製された二重特異性CAR産物に関する。生着率を高めることによって腫瘍応答を増強するための戦略として、B細胞に特異的なドライバーCARと、固形腫瘍に特異的なパッセンジャーCARまたはTcRとを共発現させるという概念は、本発明独自のものである。
【0157】
いくつかの実施形態において、本発明の細胞の1種以上を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0158】
いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含む。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0159】
本明細書において「医薬品添加剤」または「医薬品基剤」は、治療を目的とした薬学的に活性な物質またはT細胞を処方および/または投与するための溶媒として使用される担体または不活性媒体を指してもよい。基剤としては、高分子ミセル、リポソーム、リポタンパク質ベースの担体、ナノ粒子担体、デンドリマー、および/またはT細胞用の当業者に公知の他の基剤が挙げられる。理想的な基剤または添加剤としては、毒性がなく、生体適合性、非免疫原性および生分解性を有し、宿主の防御機構によって認識されないものが挙げられる。
【0160】
いくつかの実施形態において、ヒトを治療するための組成物または組み合わせ製剤であって、本発明の実施形態のいずれかに記載の少なくとも1つの遺伝子組換えT細胞集団と医薬品添加剤とを含む組成物または組み合わせ製剤が提供される。いくつかの実施形態において、前記添加剤は医薬品基剤である。いくつかの実施形態において、前記医薬品基剤中に医薬組成物を含む。
【0161】
前記組成物は、基剤または医薬品基剤をさらに含んでいてもよい。本明細書において「基剤」は、投与と目的として活性な医薬または細胞を送達するために使用される治療効果のない物質を指してもよい。本明細書において「医薬品基剤」は、薬学的に活性な物質を処方および/または投与するための溶媒として使用される担体または不活性媒体を指してもよい。理想的な基剤としては、毒性がなく、生体適合性、非免疫原性および生分解性を有し、宿主の防御機構によって認識されないものが挙げられる。本明細書に記載の実施形態のいくつかにおいて、T細胞を劣化させることなく維持するための基剤または添加剤を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、前記基剤は医薬品基剤である。いくつかの実施形態において、前記医薬品基剤中に医薬組成物を含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、前記組成物は、細胞傷害性CD8+Tリンパ球および/またはCD4+Tヘルパーリンパ球を含み;前記細胞傷害性CD8+Tリンパ球は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択され;前記CD4+Tヘルパーリンパ球は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記組成物中のCD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:10~10:1である。いくつかの実施形態において、CD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:1である。
【0163】
二重特異性を発揮するための2種のキメラ抗原受容体を含む細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を含む細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含むことによってインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む第1の核酸を細胞に導入すること;固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードするポリヌクレオチド配列を含む第2の核酸を前記細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、2種のベクターに別々に組み込まれている。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、同じベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、2種のウイルスベクターに別々に組み込まれている。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、同じベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターおよび/またはレンチウイルスベクターである。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記2種のベクターは、該2種のベクターの混合物を含む単一の組成物として前記細胞に導入される。いくつかの実施形態において、第1の核酸および/または第2の核酸は、プラスミドまたはミニサークルトランスポゾンによって導入される。いくつかの実施形態において、第1の核酸の導入と第2の核酸の導入は同時に行われ、第1の核酸および第2の核酸は、前記細胞に送達するための単一の組成物として調製される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導されるか;または第1のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は、阻害性タンパク質のドミナントネガティブ変異体、増殖促進性タンパク質の構成的に活性な変異体、T細胞シグナル調節タンパク質、または腫瘍微小環境応答性タンパク質である。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は、二重特異性T細胞誘導抗体(BiTE)である。本明細書において「BiTE」は、抗がん薬として使用することができる二重特異性合成モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、前記BiTEはブリナツモマブまたはSolitomabである。BiTEは、様々な抗体に由来する複数の一本鎖可変断片を含む融合タンパク質、または4種の遺伝子に由来するアミノ酸配列を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は、恒常性サイトカイン、融合タンパク質または融合ペプチドである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12および/またはIL15である。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、50U/mlのインターロイキン-2(IL-2)で刺激する(S1)。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0164】
いくつかの態様において、Her2tgタグまたはEGFRtタグを遺伝子タグ/マーカーとして使用することによって、導入した目的遺伝子を発現する治療用細胞の均質な集団をエクスビボで選択および精製することが可能となる。さらに、Her2tgを使用することによって、インビボで治療用細胞を追跡することができる。たとえば、血液、骨髄および脳脊髄穿刺液のハーセプチン染色の標的としてHer2tgを使用することによって、導入した遺伝子を発現している治療用細胞の持続性を確認し、がんの寛解から治療の持続期間にわたって患者を追跡することができる。Her2tgをEGFRtなどの別の遺伝子タグとともに使用する場合、導入した複数の遺伝子を発現する細胞を同時に精製することができ、これによってCAR療法の治療用途を拡大することができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、免疫磁気選択またはセルソーティングによって前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記細胞の表面上の前記マーカータンパク質を免疫結合で検出することによって、前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質は、Her2tgおよび/またはEGFRtである。
【0165】
2種のキメラ抗原受容体とトランスポゼースシステムとを含む細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を含む細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含み、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2の核酸配列を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、2つの逆方向末端反復遺伝子配列の間に位置している。いくつかの実施形態において、前記逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beauty逆方向末端反復遺伝子配列またはPiggyBac逆方向末端反復遺伝子配列である。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、前記方法は、ポリヌクレオチドを前記細胞に導入することをさらに含み、該ポリヌクレオチド配列はmRNAをコードし、該mRNAはトランスポゼースをコードする。いくつかの実施形態において、前記トランスポゼースは、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースである。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導されるか;または第1のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
【0166】
いくつかの実施形態において、前記ベクターは、遺伝子タグに作動可能に連結されたキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。1つ以上のPiggyBac(PB)トランスポゾンを使用することができる。いくつかの実施形態において、PBは、キメラ抗原受容体および第1の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含み、別のPiggyBacは、キメラ抗原受容体および第2の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。前記構築物それぞれの各構成要素は、自己切断T2A配列をコードする核酸などの核酸を介して隔てられている。いくつかの実施形態において、それぞれのPiggyBacに含まれるキメラ抗原受容体は互いに異なっており、たとえば、スペーサーの長さおよび配列、細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに/または遺伝子タグ配列が異なっているが、相違点はこれらに限定されない。
【0167】
いくつかの態様において、Her2tgタグまたはEGFRtタグを遺伝子タグ/マーカーとして使用することによって、導入した目的遺伝子を発現する治療用細胞の均質な集団をエクスビボで選択および精製することが可能となる。さらに、Her2tgを使用することによって、インビボで治療用細胞を追跡することができる。たとえば、血液、骨髄および脳脊髄穿刺液のハーセプチン染色の標的としてHer2tgを使用することによって、導入した遺伝子を発現している治療用細胞の持続性を確認し、がんの寛解から治療の持続期間にわたって患者を追跡することができる。Her2tgをEGFRtなどの別の遺伝子タグとともに使用する場合、導入した複数の遺伝子を発現する細胞を同時に精製することができ、これによってCAR療法の治療用途を拡大することができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、免疫磁気選択またはセルソーティングによって前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記細胞の表面上の前記マーカータンパク質を免疫結合で検出することによって、前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質は、Her2tgおよび/またはEGFRtである。
【0168】
二重特異性を発揮する二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸を細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドはウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は、マーカータンパク質と共発現される。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はEGFRtまたはHer2tgである。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
【0169】
いくつかの実施形態において、前記方法は、免疫磁気選択またはセルソーティングによって前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記細胞の表面上の前記マーカータンパク質を免疫結合で検出することによって、前記細胞を選択することをさらに含む。
【0170】
いくつかの態様において、Her2tgタグまたはEGFRtタグを遺伝子タグ/マーカーとして使用することによって、導入した目的遺伝子を発現する治療用細胞の均質な集団をエクスビボで選択および精製することが可能となる。さらに、Her2tを使用することによって、インビボで治療用細胞を追跡することができる。たとえば、血液、骨髄および脳脊髄穿刺液をハーセプチンで染色するための標的としてHer2tを使用することによって、導入した遺伝子を発現している治療用細胞の持続性を確認し、がんの寛解から治療の持続期間にわたって患者を追跡することができる。Her2tをEGFRtなどの別の遺伝子タグとともに使用する場合、導入した複数の遺伝子を発現する細胞を同時に精製することができ、これによってCAR療法の治療用途を拡大することができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、免疫磁気選択またはセルソーティングによって、二重特異性CARを発現する前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記細胞の表面上の前記マーカータンパク質を免疫結合で検出することによって、二重特異性マーカーを発現する前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質は、Her2tgおよび/またはEGFRtである。
【0171】
トランスポゼースシステムを使用して、二重特異性を発揮する二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞を製造する方法
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞を製造する方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記方法は、第1の結合ドメインと第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含むベクターを細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが、固形腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beauty逆方向末端反復遺伝子配列またはPiggyBac逆方向末端反復遺伝子配列である。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、前記方法は、ポリヌクレオチドを前記細胞に導入することをさらに含み、該ポリヌクレオチド配列はmRNAをコードし、該mRNAはトランスポゼースをコードする。いくつかの実施形態において、前記トランスポゼースは、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースである。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtまたはHer2tgの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、前記ベクターは、遺伝子タグに作動可能に連結されたキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。1つ以上のPiggyBac(PB)トランスポゾンを使用することができる。いくつかの実施形態において、PBは、キメラ抗原受容体および第1の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含み、別のPiggyBacは、キメラ抗原受容体および第2の遺伝子タグをコードするポリヌクレオチドに連結されたプロモーターを含む。前記構築物それぞれの各構成要素は、自己切断T2A配列をコードする核酸などの核酸を介して隔てられている。いくつかの実施形態において、それぞれのPiggyBacに含まれるキメラ抗原受容体は互いに異なっており、たとえば、スペーサーの長さおよび配列、細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびに/または遺伝子タグ配列が異なっているが、相違点はこれらに限定されない。
【0173】
いくつかの態様において、Her2tgタグまたはEGFRtタグを遺伝子タグ/マーカーとして使用することによって、導入した目的遺伝子を発現する治療用細胞の均質な集団をエクスビボで選択および精製することが可能となる。さらに、Her2tgを使用することによって、インビボで治療用細胞を追跡することができる。たとえば、血液、骨髄および脳脊髄穿刺液のハーセプチン染色の標的としてHer2tgを使用することによって、導入した遺伝子を発現している治療用細胞の持続性を確認し、がんの寛解から治療の持続期間にわたって患者を追跡することができる。Her2tgをEGFRtなどの別の遺伝子タグとともに使用する場合、導入した複数の遺伝子を発現する細胞を同時に精製することができ、これによってCAR療法の治療用途を拡大することができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、免疫磁気選択またはセルソーティングによって前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記細胞の表面上の前記マーカータンパク質を免疫結合で検出することによって、前記細胞を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質は、Her2tgおよび/またはEGFRtである。
【0174】
対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法
いくつかの実施形態において、対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞および組成物、ならびに本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞の1種以上を治療対象に導入、提供または投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、投与される前記細胞は、同種異系細胞を移入することによって提供される。いくつかの実施形態において、投与される前記細胞は、自己由来細胞を移入することによって提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体とを含み、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体が、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。
【0175】
いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体は、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体の発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンド、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子を含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンド、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子を含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体と共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体と共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体と共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。
【0176】
いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体が2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148、EMMPRIN/CD147および/またはB細胞に関連しない腫瘍の腫瘍標的である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、ROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、前記対象のB細胞無形成の発症の有無を追跡する。いくつかの実施形態において、前記対象に薬物を投与することによって、前記B細胞特異的CARの発現を誘導する。
【0178】
いくつかの実施形態において、CARの発現は、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターによって制御される。前記薬物は、安全性が証明されていること、薬物動態プロファイルが好適であること、組織分布が良好であること、細胞外間隙と細胞質との間の分配係数が低いこと、免疫原性が低いこと、毒性が低いこと、および/またはリンパ球における発現性が高いことを目安に選択される。特定の一実施形態において、選択される薬物は、FDAに認可されており、導入した遺伝子をリンパ球において発現することができ、望ましくない他の遺伝子の発現を活性化させず、かつ、異種成分を含有しないプロモーターを誘導することができる。いくつかの実施形態において、前記誘導可能なプロモーターは、薬物と相互作用する転写活性化因子によって活性化される。前記転写活性化因子は、薬物の存在下において活性化されるか、あるいは薬物の存在下において、誘導可能なプロモーターに結合し、これを活性化することができる。
【0179】
別の薬物の具体例として、エストロゲン受容体のリガンド結合依存性転写活性化ドメインに結合する薬物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記薬物としては、タモキシフェン、その代謝産物および類似体、ならびにそれらの薬学的に許容される塩および/または水和物もしくは溶媒和物が挙げられる。いくつかの実施形態において、別の薬物の具体例として、エストロゲン受容体のリガンド結合依存性転写活性化ドメインに結合する薬物が挙げられる。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲンまたはグルココルチコイドである。
【0180】
タモキシフェン(CAS RN:10540-29-1)は、2-(4-((1Z)-1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ)-N,N-ジメチル-エタンアミン、または(Z)-2-(p-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ)-N,N-ジメチルアミン(IUPAC)としても知られており、分子式はC26H29NOで示され、その分子量(M.W.)は371.52である。タモキシフェンは、組織特異的活性を有する選択的エストロゲン受容体モジュレーターである。タモキシフェンは、乳房組織において抗エストロゲン薬(阻害薬)として作用するが、子宮内膜においては、コレステロールの代謝、骨密度、および細胞増殖を促進するエストロゲン(刺激薬)として作用する。タモキシフェンは、薬学的に許容される塩として経口投与されることが多い。たとえば、タモキシフェンクエン酸塩(RN 54965-24-1、M.W.563.643)は、転移性乳がんの治療に適応されており、乳房・腋窩リンパ節郭清および乳房への放射線照射を行った女性の乳がんの治療において補助薬として使用されている。また、タモキシフェンクエン酸塩は、乳がんを発症する危険性の高い女性における乳がん罹患率の低減にも適応されている。
【0181】
ラット、マウス、およびヒトの乳がん患者におけるタモキシフェンの代謝産物は、Robinson et al., Metabolites, pharmacodynamics, and pharmacokinetics of tamoxifen in rats and mice compared to the breast cancer patient. Drug Metab Dispos January 1991 19:36-43(この文献はその全体が参照によって本明細書に援用される)に開示されており、主なものとして、N-デスメチルタモキシフェン(RN 31750-48-8、M.W.357.494)および4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)(RN 68392-35-8、M.W.387.52、アフィモキシフェン)が挙げられる。チトクロムP-450による分解によって得られる別の代謝産物は、Crewe et al., 2002に開示されており、cis-4-ヒドロキシタモキシフェン(RN 174592、M.W.387.52;アフィモキシフェン、E異性体)、および4'-ヒドロキシタモキシフェン((Z)-4-(1-(4-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)-1-フェニルブタ-1-エン-2-イル)フェノール)が挙げられる。詳細については、Crewe et al., 2002, Metabolism of Tamoxifen by recombinant human cytochrome P-450 enzymes: Formation of the 4-hydroxy, 4'-hydroxy and N-desmethyl metabolites and isomerization of trans-4-hydroxytamoxifen, Drug Metab Dispos, 30(8): 869-874のFIG. 1(この文献は参照によってその全体が本明細書に援用される)を参照されたい。
【0182】
タモキシフェンとの類似の構造を有する化合物としては、cis-タモキシフェン(RN 13002-65-8、M.W. 371.521)、4-メチルタモキシフェン(RN 73717-95-5、M.W. 385.548)、N-デスメチルタモキシフェン(RN 31750-48-8、M.W. 357.494)、(Z)-デスエチルメチルタモキシフェン(RN 15917-50-7、M.W. 357.494)、(E)-デスエチルメチルタモキシフェン(RN 31750-45-5、M.W. 357.494)、トランス-4-ヒドロキシタモキシフェン(RN 68047-06-3、M.W. 387.52)、アフィモキシフェン(RN 68392-35-8、M.W. 387.52、4-ヒドロキシタモキシフェン)、アフィモキシフェン、E異性体(RN 174592-47-3、M.W. 387.52)、4-クロロタモキシフェン(RN 77588-46-6、M.W. 405.966)、4-フルオロタモキシフェン(RN 73617-96-6、M.W. 389.511)、トレミフェン(RN 89778-26-7、M.W. 405.966)、デスエチルタモキシフェン(RN 19957-51-8、M.W. 343.47)、(E)-デスエチルタモキシフェン(RN 97151-10-5、M.W. 343.47)、(Z)-デスエチルタモキシフェン(RN 97151-11-6、M.W. 343.47)、ミプロキシフェン(RN 129612-87-9、M.W. 429.6)、2-(p-(β-エチル-α-フェニルスチリル)フェノキシ)トリエチルアミン(RN 749-86-0、M.W. 399.575)、ドロロキシフェン(RN 82413-20-5、M.W. 387.52)、4-ヨード-タモキシフェン(RN 116057-68-2、M.W. 497.413)、ジヒドロタモキシフェン(RN 109640-20-2、M.W. 373.537)、(E)-N,N-ジメチル-2-(4-(1-(2-メチルフェニル)-2-フェニル-1-ブテニル)フェノキシ)エタンアミン(RN 97150-96-4、M.W. 385.548)、および4-ヒドロキシトレミフェン(RN 110503-62-3、M.W. 421.965);ならびに/またはこれらの薬学的に許容される塩および/もしくは水和物もしくは溶媒和物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
タモキシフェンのクエン酸塩、またはタモキシフェンと類似の構造を有する化合物のクエン酸塩としては、たとえば、タモキシフェンクエン酸塩(RN 54965-24-1、M.W. 563.64)、2-(p-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ)-N,N-ジメチルエチルアミンクエン酸塩(RN 7244-97-5、563.64)、(E)-タモキシフェンクエン酸塩(RN 76487-65-5、M.W. 563.64)、トレミフェンクエン酸塩(RN 89778-27-8、M.W. 598.088)、ドロロキシフェンクエン酸塩(RN 97752-20-0、M.W. 579.64)、2-(p-(1,2-ビス(p-メトキシフェニル)-1-ブテニル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩(RN 42920-39-8、M.W. 651.748)、2-(4-(1,2-ジフェニルエテニル)フェノキシ)-N,N-ジエチル-エタンアミン2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸塩(RN 40297-42-5、M.W. 563.643)、2-(p-(α-フェニルスチリル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩(RN 102433-95-4、M.W. 563.64)、2-(p-(2-(p-メトキシフェニル)-1-フェニル-1-ブテニル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩(1:1)(RN 42824-34-0、M.W. 637.72)、2-(p-(1-(p-メトキシフェニル)-2-フェニルプロペニル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩(RN 13554-24-0、M.W. 607.696)、2-(p-(α-(p-メトキシフェニル)スチリル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩一水和物(RN 13542-71-7、M.W. 593.669)、2-(p-(p-メトキシ-α-フェニルフェネチル)フェノキシ)トリエチルアミンクエン酸塩(RN 16421-72-0、M.W. 595.685)、α-(p-(2-(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)-β-エチル-p-メトキシ-α-フェニルフェネチルアルコールクエン酸塩(1:1)(RN 35263-93-5、M.W. 639.737)、1-(p-(2-(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)-2-(p-メトキシフェニル)-1-フェニルエタノールクエン酸塩(M.W. 611.68)、α-p-(2-(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)-β-エチル-α-(p-ヒドロキシフェニル)-p-メトキシフェネチルアルコールクエン酸塩(RN 35263-96-8、M.W. 655.737)、および/または2-(p-(p-メトキシ-α-メチルフェネチル)フェノキシ)-トリエチルアミンクエン酸塩(RN 15624-34-7、M.W. 533.614)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体の発現の誘導に有効な前記薬物の量は、導入した遺伝子の発現量が、発現が誘導されていない場合の発現量および/または基底レベルの発現量を上回るように選択される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体の発現の誘導に有効な前記薬物の量は、該薬物の公知の投与量および薬物動態プロファイルを利用することによって容易に決定することができる。
【0185】
いくつかの実施形態において、前記誘導可能なプロモーターは、基底レベルでの活性が低い。レンチウイルスベクターを用いる場合、発現が誘導されていない細胞における基底レベルでの活性は、細胞において遺伝子の発現が誘導された場合の20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%またはこれ以下である。基底レベルでの活性は、フローサイトメトリーを用いて、導入した遺伝子(たとえばマーカー遺伝子)の発現量を誘導因子(たとえば薬物)の非存在下において測定することによって決定することができる。
【0186】
いくつかの実施形態において、前記誘導可能なプロモーターが発現されると、発現が誘導されていない場合や基底レベルでの活性と比べて高い活性を誘導することができる。いくつかの実施形態において、発現が誘導された場合の活性レベルは、発現が誘導されていない場合の2倍、4倍、6倍、8倍、10倍またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、導入した遺伝子を前記誘導可能なプロモーターの制御下で発現させた場合、発現された遺伝子は、転写活性化因子の非存在下において、10日未満、8日未満、6日未満、4日未満、2日未満または1日未満でオフの状態となるが、0日ではオフの状態とはならない。
【0187】
いくつかの実施形態において、基底レベルでの活性が低く、高レベルの発現が誘導され、かつ/または短期間でオンとオフとを切り替えることができるように、誘導可能なプロモーターを設計かつ/または遺伝子操作してもよい。いくつかの実施形態において、前記誘導可能なプロモーターは、7xHBD/mE1bプロモーターである。
【0188】
いくつかの実施形態において、前記対象に薬物を投与することによって、腫瘍を特異的な標的とするCARを誘導する。いくつかの実施形態において、前記対象にタモキシフェンまたはその活性代謝物を投与し、それによって前記B細胞特異的CARの発現を誘導する。いくつかの実施形態において、前記対象がB細胞無形成に罹患していると診断された場合、タモキシフェンまたはその代謝産物の投与を中止する。いくつかの実施形態において、前記方法は、タモキシフェンまたはその代謝産物の投与期間と休薬期間からなるサイクルで該薬物を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記CARの投与を必要とする対象に、該対象から得たB細胞を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞表面上のリガンドまたはB細胞表面上の抗原を発現させるT細胞-APC複合体を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞関連疾患を有していない。いくつかの実施形態において、前記疾患はがんである。いくつかの実施形態において、前記疾患は感染症である。いくつかの実施形態において、前記感染症は細菌性感染症またはウイルス性感染症である。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記固形腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫および卵巣癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞に関連しない疾患の治療、抗がん療法、抗感染症療法、抗菌療法、抗ウイルス療法または抗腫瘍療法を受けるべき対象として特定または選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞に関連しない前記疾患、がん、感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症または腫瘍の抑制を測定または評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞に関連しない前記疾患、がん、感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症または腫瘍の抑制を測定または評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、本明細書に記載の細胞および組成物、ならびに本明細書に記載の方法のいずれかによって製造された細胞の1種以上を、治療を目的として前記対象に導入、提供または投与する前、その最中、またはその後に、化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、補助療法(放射線療法および/または外科手術など)などのさらなる治療剤を前記対象に導入、提供または投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記細胞または前記組成物は、養子細胞移入によって前記対象に導入、提供、または投与される。いくつかの実施形態において、前記方法は、キメラ抗原受容体の発現を誘導する薬物を導入、提供または投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記薬物は、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記薬物はステロイドである。いくつかの実施形態において、前記対象は哺乳動物種である。いくつかの実施形態において、前記対象は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、霊長類またはヒトである。いくつかの実施形態において、前記対象はヒトである。
【0189】
いくつかの実施形態において、前記方法は、サイトカインストームまたはB細胞無形成の症状の有無について前記対象を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記対象は、高熱、血圧上昇または血圧低下、低血圧症、低酸素症、痙攣または失語症に罹患している。いくつかの実施形態において、前記対象は、フェリチンの上昇および/またはC反応性タンパク質の上昇が見られる。本発明の方法の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞が自殺遺伝子システムを含む場合、前記方法は、前記対象にプロドラッグを投与することをさらに含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のいずれにも罹患していない。いくつかの実施形態において、前記対象は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫または卵巣癌を有する。いくつかの実施形態において、前記対象は不応性再発神経芽腫を有する。
【0191】
キメラ抗原受容体または二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸、およびキメラ抗原受容体または二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸を製造する方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、ステロイドによって誘導することができ、たとえば、エストロゲン受容体に結合することができる化合物またはエストロゲン受容体のリガンドによって誘導することができる。いくつかの実施形態において、前記ステロイドはflustravantである。
【0192】
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞によって発現される細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、flustravantによって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターはステロイド(たとえばエストロゲン、グルココルチコイドなど)によって誘導することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第5の核酸配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸は、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードし、かつ第3の核酸は、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含むか;あるいは、第2の核酸は、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードし、かつ第3の核酸は、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、自殺遺伝子システムをコードする核酸が提供される。
【0195】
ベクター
いくつかの実施形態において、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現させるためのベクターであって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含むベクターが提供される。いくつかの実施形態において、前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、ステロイドによって誘導することができる。
【0196】
いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞によって発現される細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、flustravantによって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、ステロイドによって誘導することができる。
【0197】
いくつかの実施形態において、前記ベクターに含まれる核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカー配列はリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、第5の核酸配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第2の核酸は、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードし、かつ第3の核酸は、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含むか;あるいは、第2の核酸は、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードし、かつ第3の核酸は、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、前記ベクターは、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現する。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体を発現する。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、前記キメラ抗原受容体の発現を促進する第1のプロモーター配列をコードする第1の配列と、マーカータンパク質の発現を促進する第2のプロモーター配列をコードする第2の配列とを含む。
【0199】
いくつかの実施形態において、前記ベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、2つの逆方向反復配列を含み、前記核酸は該2つの逆方向反復配列の間に位置する。いくつかの実施形態において、前記ベクターはミニサークルである。いくつかの実施形態において、前記逆方向反復配列は、Sleeping Beauty逆方向反復配列またはPiggyBac逆方向反復配列である。
【実施例】
【0200】
別の実施形態
マーカーとしてのEGFRtまたはHertGとこれらを付加したCARの顕著な発現
図3に示したように、マーカーとしてHer2tおよびそのバリアントを使用した実験において、CARに含まれるリンカーの種類によってハーセプチンに対する結合親和性が様々に変化することが示された。CARとして、CD19CAR-T2A-Her2tG/CD20CAR-T2A-EGFRtからなる二重CARをTリンパ球において発現させた。
図3Aに示したように、Her2tのバリアントであるHer2t(CD28ヒンジ)、Her2t(IgG4ヒンジ)またはHer2tG(gly-serリンカー)を含むレンチウイルス3μlをH9 T細胞に形質導入した。形質導入したH9細胞を5日間培養し、ビオチン標識ハーセプチン(ハーセプチン-bio)とストレプトアビジン標識二次蛍光色素(SA-PE)で染色した。実験の結果、Her2tバリアントのうち、Her2tGがハーセプチンに対して最も強い結合力を有し、Her2t(IgG4ヒンジ)はハーセプチンに対して中程度の結合力を有し、Her2t(CD28ヒンジ)の結合力が最も弱かったことが示された。これらの実験では、CD3/CD28ビーズによる細胞の刺激は行わなかった(
図3C)。PBMCから単離した初代CD4
+T細胞および初代CD8
+T細胞の単離(D0)、培養(D0~21)、選択(D14およびD21)および増殖(急速培養:D21)を行うことによって、後掲の
図4に示す細胞を調製した際のスケジュールを
図3Bに示す。CD19CAR-T2A-Her2tGまたはCD20CAR-T2A-EGFRtを含む2種のレンチウイルスをそれぞれMOI=1でCD8
+T細胞に形質導入した。選択前のCD8
+T細胞は、形質導入の7日後(D10における培養中)に、アービタックス-APC、ビオチン標識ハーセプチン、およびストレプトアビジン標識二次蛍光色素(SA-PE)で染色し、選択した細胞は、急速T細胞培養法で12日間増殖させた後(S1Sp1D12)に染色を行った(
図4参照)。
図3Dに示したウエスタンブロット分析を行うため、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含むRIPAバッファー中で細胞を溶解した。細胞溶解物をBCAアッセイ(Pierce)で分析するため、ゲルに等量載せて、ウエスタンブロットを行い、抗CD247(CD3ζ)一次抗体とIRDye 800CW標識ヤギ抗マウス二次抗体(LI-COR)で検出した。Odyssey近赤外蛍光イメージングシステム(LI-COR)でブロットを可視化した。
【0201】
CD4 T細胞およびCD8 T細胞の選択
健常ドナーの血液廃棄キット(Puget Sound Blood Center)から得たヒト末梢血単球(PBMC)から、CD4バルクT細胞およびCD8バルクT細胞を単離した。各ドナー由来のPBMCを2つのグループ(CD4バルクT細胞単離用またはCD8バルクT細胞単離用)に分け、製造元のプロトコルに従ってCD4単離キットまたはCD8単離キット(ミルテニーバイオテク)を使用したAutoMACSによって不要な細胞を除去した。単離したCD8細胞には50U/mlインターロイキン-2(IL-2)を使用し、単離したCD4細胞には5ng/mlインターロイキン-7(IL-7)を使用し、さらにそれぞれの単離細胞に1ng/mlインターロイキン-15(IL-15)および抗CD3/CD28ビーズ(Life Technologies)を使用して各単離細胞を刺激(S1)した。CD4 T細胞またはCD8 T細胞を硫酸プロタミン(1:100希釈)で活性化し、3日後にMOI=1のウイルスで形質導入を行い、32℃、800×gで30分間遠心分離した。ビオチンで標識したハーセプチンまたはアービタックスと抗ビオチンマイクロビーズ(ミルテニー)とを使用して免疫磁気選択を行うことにより、各細胞株のHer2t+サブセットまたはEGFRt+サブセットを濃縮した。選択されたCD19CAR+T細胞および/またはCD20CAR+T細胞を、50U/ml IL-2(CD8)、5ng/ml IL-7(CD4)および1ng/ml IL-15の存在下において、放射線照射(8000rad)したTM-LCL(Sp1)をT細胞:TM-LCL=1:7の比率で使用して刺激しながら、形質導入後から12~18日間増殖させた。刺激した細胞を12日目(D12)に回収し、フローサイトメトリー分析を行った。
【0202】
ウエスタンブロットに供した目的とする細胞は、急速T細胞培養法で12日間増殖させ(S1Sp1D12)(
図3参照)、あらかじめマーカー別に精製した細胞である。二重形質導入細胞として、CD19CAR-T2A-Her2tGおよびCD20CAR-T2A-EGFRtを含むCD8
+T細胞を使用した。このウエスタンブロットはCARのζ部分に特異的であり、2種のマーカータンパク質、すなわちHer2tGまたはEGFRtの発現を示すものではなく(
図3Cおよび
図4を参照されたい)、CD8
+T細胞におけるCARの発現を示すものであった。最も重要な点として、二重形質導入されたCD8
+T細胞において、両方のCAR(CD19CARおよびCD20CAR)の発現が見られた。
【0203】
K562標的細胞パネルに対するCD19 CAR T細胞およびCD20 CAR T細胞の特異性
CD8セントラルメモリーT細胞(Tcm)とK562標的細胞とを、30:1、10:1、3.3:1または1.1:1の比率で共培養した。二重形質導入T細胞のみが、すべての種類の抗原発現K562細胞を標的とすることができた。4時間クロム放出アッセイを行ったところ、
図5Aに示したように、CD19 CAR T細胞およびCD20 CAR T細胞がK562標的細胞パネルに対して特異性を示すことが示された。具体的には、CD8セントラルメモリーT細胞(Tcm)とK562標的細胞とを、30:1、10:1、3.3:1または1.1:1の比率で共培養した。二重形質導入T細胞のみが、すべての種類の抗原発現K562細胞を標的とすることができた。CD19CAR-T2A-Her2t CD8 TcmとCD19CAR-T2A-EGFRt CD8 Tcmは、類似した溶解能力を有することが示された。さらに、これらのCD19発現細胞、CD20発現細胞およびCD19/CD20発現細胞を使用して、K562細胞を標的とした24時間サイトカイン放出アッセイも行った。CD8 TcmとK562標的細胞を、T細胞:標的細胞=2:1の比率で24時間共培養した後、上清中のエフェクターサイトカインの有無を分析した。CD19CAR-T2A-Her2tを形質導入したCD8 Tcmは、CD19CAR-T2A-EGFRtを形質導入したCD8 Tcmと比較して、産生されるエフェクターサイトカインの種類が多く、これらのサイトカインの産生量も多かった。
図5Aおよび
図5Bの各グラフは、いずれも左から右へ順に、K562 CD19、K562 CD20およびK562 CD19/CD20を示す。CD4 Tcmについても同様の結果が得られた。CD19CAR-T2A-Her2t CD8 TcmとCD19CAR-T2A-EGFRt CD8 Tcmは、類似した溶解能力を有することが示され、これらのCAR発現T細胞の有効性が示された。CD4 Tcmにおいて得られた同様の結果を
図5Cに示す。
【0204】
CD19を標的とするCRISPRガイド配列を含むプラスミドをエレクトロポレーションによって導入したRaji細胞
CD19を標的とするCRISPRガイド配列を含むプラスミドをエレクトロポレーションによって導入したRaji細胞を使用して実験を行い、その結果を
図6A~Dに示した。CD19マイクロビーズを使用したネガティブセレクション法にRaji細胞を供してCD19
+細胞を除去した後、CD19
-細胞をクローニングによって選択し、増殖させて実験に使用した。具体的には、エレクトロポレーションの7日後に、CD19マイクロビーズを使用したネガティブセレクション法にRaji細胞を供した(
図6A)。次に、
図5Bおよび
図5Cの実験で使用したのと同じ標的細胞を使用して、4時間クロム放出アッセイおよびBioplexアッセイを行った。CD4
+細胞を使用したクロム放出アッセイも行った。
【0205】
CAR発現T細胞を注射したNSGマウス
5×10
6個のNSO-IL15細胞を注射し、次に10×10
6個のMock T細胞またはCAR発現T細胞を静脈内注射したNSGマウスの実験結果を
図7に示す。T細胞を注射してから14日目にマウスから骨髄を採取し、フローサイトメトリー分析に供した。上段のグラフは、シングレットの生細胞をゲーティングした結果を示す。中段のグラフはCD8
+×CD45
+細胞をゲーティングした結果を示す。下段のグラフは、Her2tGマーカーおよびEGFRtマーカーで染色したCD45
+細胞集団を解析した結果を示す。これらの結果から、EGFRtおよびHer2tGを使用して、インビボでT細胞を効率的に追跡することができることが示された(
図7の上段のグラフ)。
図7の中段のグラフは、生存可能細胞(リンパ球:93.6%)、単一細胞(98.8%)、および生細胞(99.9%)をゲーティングした結果を示す。これらの細胞のCD8およびCD45を染色して解析し、グラフに示した。各グラフは、左から右へ順に、Mock、CD19CAR-T2A-Her2t、CD19CAR-T2A-EGFRt Tcm、およびCD19CAR-Her2tg/CD20CAR-EGFRtを示す。単一の生存可能細胞および生細胞をゲーティングしたところ、少なくとも1×10
7個の細胞が検出された。分析の結果、CD45
+細胞が細胞集団の約1%を占めることが示されたが、これは1×10
5個の細胞に相当する。残りの細胞はマウス骨髄細胞である。
図7の下段のグラフは、Multisortキットを使用して精製したHer2t
+EGFRt
+T細胞を示す。この実験では、様々なH9細胞(5×10
6個の親細胞、Her2t
+細胞、EGFRt
+細胞、またはHer2t
+/EGFRt
+細胞)を混合し、精製を行った。まず、ビオチン標識ハーセプチンと抗ビオチンマルチソートビーズを使用して細胞を精製した。次いでマルチソートビーズを除去した後、アービタックス-APCおよび抗APCマイクロビーズを使用して陽性画分を精製した。最終的に得られた陽性画分は、Her2t陽性およびEGFRt陽性の二重陽性細胞であった。
【0206】
CAR T細胞を発現させたことによって腫瘍の増殖が抑制されたマウス
eGFP:fflucを発現するRaji標的細胞(10
6個)を6~10週齢のマウスに静脈内注射した。7日後に、CAR-Her2t
+発現T細胞、CAR-EGFRt
+発現T細胞または二重CAR発現T細胞(CD4:CD8=1:1)10
7個を静脈内注射(IV)した。D-ルシフェリン(Xenogen)をマウス一匹あたり4.29mgの量で腹腔内注射(i.p.)し、イソフルランで麻酔をかけ、D-ルシフェリンを注射した10分後に、IVISスペクトラムイメージングシステム(パーキンエルマー)を使用してイメージングを行うことによって、生物発光イメージングを毎週行った。Living Imageソフトウェア Version 4.3(パーキンエルマー)を使用してルシフェラーゼの活性を分析し、目的領域内における光子数を分析した。
図8に示すように、単一CAR発現T細胞または二重CAR発現T細胞は、Mock T細胞と比較して、腫瘍の増殖を抑制することができた。
【0207】
CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、CARをコードする2種のレンチウイルスベクターで形質導入することができる
精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードする臨床グレードのウイルスと、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代CE7CARをコードする臨床グレードのウイルスとで同時に形質導入した。各CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して、形質導入されたT細胞を精製し、精製CD4 T細胞は刺激しながら14日間培養し(S1D14)、精製CD8 T細胞は刺激しながら15日間培養し(S1D15)、その後、凍結した。この製法開発プロジェクトのプロジェクト名はPD0170であった。
図9Aに示すように、EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された。EGFRt
+集団のうち、CD19CAR細胞またはCE7CAR細胞がどのぐらいのパーセンテージで含まれているのか、あるいは、これらのウイルスによってT細胞が実際に二重形質導入されたのかどうかということは、この実験結果からはわからなかった。FMC63 CD19CARは、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、配列番号12に示す配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、FMC63 CD19CARは、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、配列番号12に示す配列によってコードされる。
【0208】
CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞は、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株を特異的に溶解する
Mock(CAR
-)T細胞または二重形質導入T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。K562細胞は、CD19もL1CAMも陰性である。TM-LCL細胞、TM-LCL-OKT3細胞、K562+CD19細胞およびRaji細胞は、CD19のみ陽性である。SK-N-DZ細胞はL1CAMのみ陽性である。SK-N-DZ+CD19細胞は、CD19もL1CAMも陽性である。
図9Bに示すように、形質導入されたCD8 T細胞、および形質導入CD4 T細胞と形質導入CD8 T細胞とを混合したものではいずれも、高いCD19CAR活性が誘導されることが示された。SK-N-DZ細胞株に対しては、これよりも低いCE7CAR活性しか見られなかった。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、これによって得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された。
【0209】
CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞集団は、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生する
二重形質導入したCD4 T細胞集団およびCD8 T細胞集団を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1にした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析し、結果を
図9Cに示した。二重形質導入されたT細胞は、懸濁したCD19発現標的細胞(LCLおよびK562)のすべてに応答してサイトカインを産生した。SK-N-DZ細胞に応答したサイトカインの産生はまったく見られなかったか、あるいはほとんど見られなかったが、このような現象は、短いスペーサーを有する第2世代CE7CARではよく観察され、たとえT細胞集団の100%においてCARを発現させた場合であっても起こりうる。T細胞集団のうち、CE7CAR発現T細胞がどのぐらいのパーセンテージで含まれているのかは不明であったが、
図9Bに示したクロム放出アッセイのデータと照らし合わせると、この結果は驚くに値しない。
【0210】
二重形質導入したT細胞は、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮する
複数のマウス群に、GFP:ffluc、CD19tおよびIL-2を発現するSK-N-DZ細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock(PBSのみ、左のグラフ)または二重形質導入したCD4:CD8 CE7CAR T細胞(中央のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析し、その結果を
図9Dに示した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(右のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が長期間にわたって抑制されたことから、二重形質導入細胞は、腫瘍を退縮させ、増殖を抑制することが示された。しかしながら、時間の経過とともに腫瘍が成長し、腫瘍の増殖に伴い徐々に瀕死状態に陥ったため、マウスを安楽死させた。
【0211】
CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、CARをコードする2種のレンチウイルスベクターで形質導入することができ、二重陽性集団は関連するマーカーによって特定することができる
精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードするレンチウイルス、または41BB-ζ領域および変異型の長いスペーサー(L235D,N297Q)を有する第2世代CE7CARをコードするレンチウイルスをそれぞれ別々に使用して形質導入するか、あるいはこれらのレンチウイルスの両方を使用して同時に形質導入した。CD19CARにはT2A-Her2tGがインフレームで連結されており、CE7CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して(CE7CAR)、形質導入されたT細胞を精製し、凍結した。9日目に、EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された(
図10A参照)。CD4 T細胞のうち、Her2tG陽性細胞(CD19CAR)は約56%を占め、CD8 T細胞のうち、二重陽性細胞は約44%を占めた。
【0212】
CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したCD8
+
T細胞は、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株を特異的に溶解する
Mock(CAR
-)CD8
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはCE7CAR)を形質導入したCD8
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD8
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。K562細胞は、CD19もL1CAMも陰性である。K562-OKT3細胞を陽性対照として使用した。Be2細胞はL1CAMのみ陽性である。Be2+CD19t細胞はCD19もL1CAMも陽性である。実験結果から、単一のCARを形質導入したCD8
+T細胞は、その認識抗原を特異的に溶解することが示された。これに対して、二重形質導入T細胞は、CD19またはL1CAMを発現する細胞、およびこれらの両方を発現する細胞を効率的に認識し、溶解することが示された。K562-OKT3細胞に対しては、いずれのCD8
+T細胞も同レベルの細胞溶解性を示した。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、形質導入されたT細胞を選択マーカーによって精製することができ、このようにして得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された(
図10B参照)。
【0213】
CD19CARおよびCE7CARを二重形質導入したT細胞集団は、CD19陽性標的細胞株またはL1CAM陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生する
CD4
+またはCD8
+の、Mock(CAR
-)T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはCE7CAR)を形質導入したT細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したT細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析し、結果を
図10Cに示した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対してもサイトカインを放出することができた。Be2-CD19t細胞に対するサイトカインの産生は、CE7CAR発現CD4
+T細胞、CE7CAR発現CD8
+T細胞、二重CAR発現CD4
+T細胞および二重CAR発現CD8
+T細胞の間で差は見られなかったが、K562-CD19t細胞に対するサイトカインの産生では、CD19CAR発現T細胞と二重形質導入T細胞との間で差が見られた。この結果は、二重形質導入T細胞集団のCD19CAR陽性率と一致している。
【0214】
二重形質導入したT細胞は、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮する
複数のマウス群に、GFP:fflucおよびIL-2を発現するSK-N-DZ細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock CD4:CD8 T細胞(形質導入なし、左のグラフ)、CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(中央のグラフ)または二重形質導入CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(右のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(下のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が長期間にわたって抑制されたことから、単一のCE7CARを発現させた細胞および二重形質導入細胞はいずれも、腫瘍を退縮させ、増殖を抑制することが示された。単一のCE7CARを発現させたT細胞で処置したマウスの一部は、腫瘍の増殖による悪影響が見られたため、任意のエンドポイントに達する前に安楽死させた。実験の結果、二重形質導入T細胞は、単一のCE7CARを発現させたT細胞と同レベルでインビボの腫瘍を根絶することができることが示された。したがって、二重形質導入T細胞集団においてCE7CAR活性の抑制は見られなかった(
図10D参照)。
【0215】
CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、CARをコードする2種のレンチウイルスベクターで形質導入することができ、二重陽性集団は関連するマーカーによって特定することができる
精製されたCD4 T細胞およびCD8 T細胞をCD3/CD28ビーズで刺激し、次に、41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代FMC63CD19CARをコードするレンチウイルス、または41BB-ζ領域および短いスペーサーを有する第2世代ROR1CARをコードするレンチウイルスをそれぞれ別々に使用して形質導入するか、あるいはこれらのレンチウイルスの両方を使用して同時に形質導入した。CD19CARにはT2A-Her2tGがインフレームで連結されており、ROR1CARにはT2A-EGFRtがインフレームで連結されていた。EGFRtをマーカーとして使用して(ROR1CAR)、形質導入されたT細胞を精製し、凍結した。9日目に、EGFRtの発現に基づいたフローサイトメトリー分析を行ったところ、精製した形質導入細胞は均質な集団であったことが示された(
図11A参照)。CD4 T細胞のうち、Her2tG陽性細胞(CD19CAR)は約86.7%を占め、CD8 T細胞のうち、二重陽性細胞は約88.1%を占めた。
【0216】
CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したCD8
+
T細胞は、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株を特異的に溶解する
Mock(CAR
-)CD8
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD8
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD8
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに4時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を様々に変えた。単一のROR1CARを発現させたT細胞は、41BB-ζまたはCD28-ζと短いスペーサーとを含む第2世代CARを有していた。K562細胞はCD19もROR1も陰性である。K562-OKT3細胞を陽性対照として使用した。Raji(CD19
+)細胞は、形質導入によってROR1を発現させた。Be2細胞、SK-N-AS細胞およびSK-N-DZ細胞はいずれもROR1陽性である。実験結果から、単一のCARを形質導入したCD8
+T細胞は、その認識抗原を特異的に溶解することが示された。これに対して、二重形質導入T細胞は、CD19またはROR1を発現する細胞、およびこれらの両方を発現する細胞(Raji ROR1)を効率的に認識し、溶解することが示された。K562-OKT3細胞に対しては、いずれのCD8
+T細胞も同レベルの細胞溶解性を示した。これらの結果から、CARをコードする2種のウイルスを使用してT細胞に形質導入することができ、形質導入されたT細胞を選択マーカーによって精製することができ、このようにして得られたT細胞集団は様々な抗原を認識できることが示された(
図11B参照)。
【0217】
CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したT細胞集団は、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生する
Mock(CAR
-)CD4
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD4
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD4
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対しても、単一CAR発現T細胞と同レベルでサイトカインを放出することができた(
図11C参照)。
【0218】
CD19CARおよびROR1CARを二重形質導入したT細胞集団は、CD19陽性標的細胞株またはROR1陽性標的細胞株に応答して様々なサイトカインを産生する
Mock(CAR
-)CD4
+T細胞、単一のCAR(CD19CARまたはROR1CAR)を形質導入したCD4
+T細胞、またはこれらのCARを二重形質導入したCD4
+T細胞を、様々な標的細胞株とともに24時間共培養した。この際、エフェクター細胞と標的細胞の比率を2:1とした。24時間のインキュベーションの後、共培養物から上清を採取し、Bioplexアッセイを使用して、上清中のIL-2、IFN-γまたはTNF-αの有無について分析した。二重形質導入細胞は、標的発現細胞株のいずれに対しても、単一CAR発現T細胞と同レベルでサイトカインを放出することができた(
図11D参照)。
【0219】
二重形質導入したT細胞は、頭蓋内に異種移植した腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を発揮する
複数のマウス群に、GFP:fflucを発現するBe2細胞0.2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)し(0日目)、次いで、二重形質導入したCD4:CD8 T細胞(1:1の比率)2×10
6個を頭蓋内接種(i.c.)した(7日目)。Mock CD4:CD8 T細胞(形質導入なし、左のグラフ)、ROR1CAR発現CD4:CD8 T細胞(中段の左のグラフ)または二重形質導入CE7CAR発現CD4:CD8 T細胞(中段の右のグラフ)で処置したマウス群の腫瘍を、連続した生物発光イメージングによって分析した。処置群および対照群の生存率をカプラン・マイヤー法によって分析した(右のグラフ)。生物発光イメージングにおいて、腫瘍の増殖が短期間だけ抑制されたことから、単一のROR1CARを発現させた細胞および二重形質導入細胞はいずれも、腫瘍の増殖を一時的に低下させることが示された。しかしながら、その後、Be2腫瘍が急速に成長してマウスは瀕死の状態に陥った。単一形質導入T細胞および二重形質導入T細胞はいずれも生存率を有意に延長することができた。実験の結果、二重形質導入T細胞は、単一のROR1CARを発現させたT細胞と同レベルでインビボの腫瘍を治療することができることが示された(
図11D参照)。したがって、二重形質導入T細胞集団においてROR1CAR活性の抑制は見られなかった。
【0220】
さらなる実施形態
B細胞特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0221】
B細胞特異的細胞表面分子に特異的な誘導型キメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0222】
腫瘍特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0223】
腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な誘導型キメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0224】
二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0225】
誘導型二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする核酸であって、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする核酸が提供される。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。
【0226】
インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現させるためのベクター
いくつかの実施形態において、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現させるためのベクターであって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含むベクターが提供される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0227】
固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体またはTcRを発現させるためのベクター
いくつかの実施形態において、固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体またはTcRを発現させるためのベクターであって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含むベクターが提供される。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0228】
二重特異性キメラ抗原受容体を発現させるためのベクター
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を発現させるためのベクターであって、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含み、前記二重特異性キメラ抗原受容体がB細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的であることを特徴とするベクターが提供される。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、
配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0229】
B細胞特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体またはTcR
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、B細胞特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体またはTcRが提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を特異的に促進するキメラ抗原受容体を発現させるためのベクターであり、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメインおよび/またはCD3ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0230】
腫瘍特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体またはTcR
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的なキメラ抗原受容体またはTcRが提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、固形腫瘍を特異的な標的とするキメラ抗原受容体またはTcRを発現させるためのベクターであり、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第3の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第4の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、リンカーをコードする配列を含む第6の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第7の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸配列が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸配列が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0231】
B細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的な二重特異性キメラ抗原受容体
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸またはベクターによってコードされる、B細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的な二重特異性キメラ抗原受容体が提供される。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は、B細胞特異的細胞表面分子と腫瘍特異的細胞表面分子のいずれにも特異的であり、前記ベクターは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる核酸を含む。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸配列、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第4の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第5の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、リンカーをコードする配列を含む第7の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第8の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体をコードする前記核酸は、リーダー配列をコードする配列を含む第1の核酸、薬物によって誘導可能な第1のプロモーターをコードする配列を含む第2の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第3の核酸、B細胞特異的細胞表面分子または腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvをコードする配列を含む第4の核酸、非免疫原性細胞外スペーサーをコードする配列を含む第5の核酸、膜貫通ドメインをコードする配列を含む第6の核酸、4-1BBドメイン、CD3ζドメインおよび/またはCD28ζドメインを含む共刺激ドメインを含むシグナル伝達ドメインをコードする配列を含む第7の核酸、リンカーをコードする配列を含む第8の核酸、ならびにマーカードメインをコードする配列を含む第9の核酸を含み、第1の核酸が第2の核酸の5’末端に共有結合によって結合しており、第3の核酸が第2の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第4の核酸が第3の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第5の核酸が第4の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第6の核酸が第5の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第7の核酸が第6の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第8の核酸が第7の核酸の3’末端に共有結合によって結合しており、第9の核酸が第8の核酸の3’末端に共有結合によって結合していることを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記リンカーはリボソームスキップ配列またはIRES配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はP2A配列、T2A配列、E2A配列またはF2A配列である。いくつかの実施形態において、前記リボソームスキップ配列はT2Aである。いくつかの実施形態において、前記T2A配列は、配列番号33に示すアミノ酸配列を含み、配列番号34に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リンカーは5’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロモーターは、薬物によって誘導することができる。いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインをコードする前記配列は、3’末端にIRES配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記B細胞特異的細胞表面分子は、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、前記核酸は、自殺遺伝子システムをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記薬物は、エストロゲン受容体のリガンドなどのステロイドである。いくつかの実施形態において、前記ステロイドは、タモキシフェンおよび/またはその代謝産物である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記腫瘍特異的細胞表面分子は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、前記スペーサーはIgG4ヒンジスペーサーである。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含み、配列番号4に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記スペーサーは、配列番号39に示すアミノ酸配列を含み、配列番号40に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD28ζドメインは、配列番号5に示すアミノ酸配列を含み、配列番号6に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記4-1BBドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含み、配列番号8に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記CD3ζドメインは、配列番号9に示すアミノ酸配列を含み、配列番号10に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD19に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号11に示すアミノ配列を含み、配列番号12に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、CD20に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、B細胞特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号13に示すアミノ配列を含み、配列番号14に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAMに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、L1CAM上のCE7エピトープに特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、配列番号16に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、ROR1に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、配列番号18に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EGFR 806に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、配列番号20に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、Her2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号21に示すアミノ酸配列を含み、配列番号22に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、GD2に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、配列番号24に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(2H4)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号26に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、腫瘍特異的細胞表面分子に特異的な前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、EphA2(4H5)に特異的な抗体もしくはその結合断片またはscFvである。いくつかの実施形態において、前記抗体もしくはその結合断片またはscFvは、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、配列番号28に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のシグナル配列を含む。いくつかの実施形態において、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の前記シグナル配列は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、配列番号30に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記リーダー配列は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含み、配列番号32に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記マーカードメインはHer2tGを含む。いくつかの実施形態において、前記Her2tGは、配列番号35に示すアミノ酸配列を含み、配列番号36に示す核酸配列によってコードされる。いくつか
の実施形態において、前記マーカードメインはEGFRtを含む。いくつかの実施形態において、前記EGFRtは、配列番号37に示すアミノ酸配列を含み、配列番号38に示す核酸配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、前記ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクターまたはフォーミーウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、またはmRNAベクターである。
【0232】
第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞
いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含む細胞であって、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体またはTcRが、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。
【0233】
二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を含む細胞であって、該二重特異性キメラ抗原受容体が2つの結合ドメインを含むこと、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする細胞が提供される。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。
【0234】
キメラ抗原受容体を有する細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含むことによってインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む第1の核酸または第1のベクターを細胞に導入すること;固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードするポリヌクレオチド配列を含む第2の核酸または第2のベクターを前記細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、別々のウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターおよび/またはレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、該別々のウイルスベクターを含む単一の組成物として前記細胞に同時に導入される。いくつかの実施形態において、前記別々のベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、および/またはmRNAベクターである。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導されるか;または第1のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、インターロイキン-2(IL-2)で刺激する。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0235】
キメラ抗原受容体を有する細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸配列を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、プラスミドおよび/またはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、インターロイキン-2(IL-2)で刺激する。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0236】
二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸配列を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、プラスミドおよび/またはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、インターロイキン-2(IL-2)で刺激する。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0237】
二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸を細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドはウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステムおよび/またはmRNAベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は、マーカータンパク質と共発現される。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はEGFRtまたはHer2tgである。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、インターロイキン-2(IL-2)で刺激する。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0238】
二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞の製造方法
いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する方法であって、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含むベクターを細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。前記方法の実施形態のいくつかにおいて、前記方法は、前記細胞を刺激することをさらに含む。いくつかの実施形態において、CD8細胞は、インターロイキン-2(IL-2)で刺激する。いくつかの実施形態において、CD4細胞は、インターロイキン-7(IL-7)で刺激する。いくつかの実施形態において、抗CD3/CD28ビーズで細胞を刺激する。
【0239】
組成物
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による細胞の1種以上を含む組成物が提供される。いくつかの実施形態において、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含み、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体またはTcRが、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。いくつかの実施形態において、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。いくつかの実施形態において、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。
【0240】
対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法
いくつかの実施形態において、対象の、B細胞に関連しない疾患を治療、緩和または抑制する方法であって、B細胞関連疾患を有さない治療対象を特定すること、ならびに本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による細胞、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞、および本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による組成物の1種以上を、治療を目的として対象に導入、提供または投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による細胞および本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、細胞傷害性CD8+Tリンパ球および/またはCD4+Tヘルパーリンパ球を含み;前記細胞傷害性CD8+Tリンパ球は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択され;前記CD4+Tヘルパーリンパ球は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記組成物中のCD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:10~10:1である。いくつかの実施形態において、CD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:1である。いくつかの実施形態において、前記対象はB細胞関連疾患を有していない。いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、節性濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、皮膚原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫-下肢型、高齢者EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症関連びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞リンパ腫、HHV8多中心性キャッスルマン病随伴大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・バーキット中間型分類不能B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型・ホジキン中間型分類不能B細胞リンパ腫、または結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫のいずれにも罹患していない。いくつかの実施形態において、前記疾患はがんである。いくつかの実施形態において、前記疾患は感染症であり、該感染症は細菌性感染症またはウイルス性感染症である。いくつかの実施形態において、前記がんは固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、前記固形腫瘍は、乳癌、脳腫瘍、肺癌、肝臓癌、胃癌、脾臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、前立腺癌、子宮癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、肉腫、神経芽腫および卵巣癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記対象は不応性再発神経芽腫を有する。いくつかの実施形態において、前記対象は、B細胞に関連しない疾患の治療、抗がん療法、抗感染症療法、抗菌療法、抗ウイルス療法または抗腫瘍療法を受けるべき対象として特定または選択される。いくつかの実施形態において、前記方法は、B細胞に関連しない前記疾患、がん、感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症または腫瘍の抑制を測定または評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記方法は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞、および本明細書に記載の実施形態のいずれかによる組成物の1種以上を、治療を目的として前記対象に導入、提供または投与する前、その最中、またはその後に、化学療法剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、補助療法(放射線療法および/または外科手術など)などのさらなる治療剤を前記対象に導入、提供または投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる細胞および本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による方法によって製造された細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、細胞傷害性CD8+Tリンパ球および/またはCD4+Tヘルパーリンパ球を含み;前記細胞傷害性CD8+Tリンパ球は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択され;前記CD4+Tヘルパーリンパ球は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記組成物中のCD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:10~10:1である。いくつかの実施形態において、CD4+Tヘルパーリンパ球とCD8+Tリンパ球の比率は1:1である。いくつかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の実施形態のいずれか1以上による細胞の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、第1のキメラ抗原受容体と第2のキメラ抗原受容体またはTcRとを含み、第1のキメラ抗原受容体が、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるエフェクター細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のキメラ抗原受容体またはTcRが、腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRは、前記細胞において誘導発現される。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体および/または第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRの発現は調節因子の制御下にある。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体は、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第2のキメラ抗原受容体またはTcRは、抗体もしくはその結合断片またはscFv、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1のマーカータンパク質は第1のキメラ抗原受容体と共発現され、第2のマーカータンパク質は第2のキメラ抗原受容体またはTcRと共発現される。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はEGFRtであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はHer2tgであるか;または第1のキメラ抗原受容体と共発現される第1のマーカータンパク質はHer2tgであり、かつ第2のキメラ抗原受容体もしくはTcRと共発現される第2のマーカータンパク質はEGFRtである。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記細胞は、二重特異性キメラ抗原受容体を含み、該二重特異性キメラ抗原受容体は2つの結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが、B細胞上のリガンドに特異的であり、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2の結合ドメインが腫瘍上のリガンドに特異的であることを特徴とする。いくつかの実施形態において、B細胞上の前記リガンドは、CD1d、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23/FcεRII、CD24、CD25/IL-2 R α、CD27/TNFRSF7、CD32、CD34、CD35、CD38、CD40(TNFRSF5)、CD44、CD45、CD45.1、CD45.2、CD54(ICAM-1)、CD69、CD72、CD79、CD80、CD84/SLAMF5、LFA-1、CALLA、BCMA、B細胞受容体(BCR)、IgM、IgD、B220/CD45R、C1q R1/CD93、CD84/SLAMF5、BAFF R/TNFRSF13C、B220/CD45R、B7-1/CD80、B7-2/CD86、TNFSF7、TNFRSF5、ENPP-1、HVEM/TNFRSF14、BLIMP1/PRDM1、CXCR4、DEP-1/CD148またはEMMPRIN/CD147である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、腫瘍上の前記リガンドは、がん抗原である。いくつかの実施形態において、前記がん抗原は、EGFR、HER2、メソテリン、癌精巣抗原、L1CAM、O-アセチル化GD2、GD2、ネオアンチゲン、Var2、グリピカン-2(GPC2)、HPV抗原、α-フェトプロテイン、癌胎児抗原、CA-125、MUC-1、上皮性腫瘍抗原、rasもしくはp53の異常生成物、EphA2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-C2、PRAME、SSX2、アディポフィリン、AIM2、ALDH1A1、BCLX、EpCAM、CS274、CPSF、サイクリンD1、DKK1、ENAH、EpCAM、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250、HLA-DOB、ヘプシン、ID01、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、Lengsin、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、ミッドカイン、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RUF43、FU2AS、secernin 1、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TPBG、VEGF、WT1、NY-ESO-1またはROR1である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記がん抗原はL1CAMである。いくつかの実施形態において、前記がん抗原はROR1である。いくつかの実施形態において、第1の結合ドメインおよび第
2の結合ドメインは、抗体もしくはその一部、受容体のリガンドもしくはその変異体、ペプチド、および/またはポリペプチド性親和性分子もしくはポリペプチド性結合パートナーを含む。いくつかの実施形態において、前記細胞は、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記細胞は治療用可溶性タンパク質を発現する。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインであり、該恒常性サイトカインはIL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD8+T細胞、CD8+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD8+T細胞、制御性CD8+T細胞、IPS細胞由来のCD8+T細胞、エフェクターメモリーCD8+T細胞およびバルクCD8+T細胞からなる群から選択される細胞傷害性CD8+Tリンパ球である。いくつかの実施形態において、前記細胞は、ナイーブCD4+T細胞、CD4+メモリーT細胞、セントラルメモリーCD4+T細胞、制御性CD4+T細胞、IPS細胞由来のCD4+T細胞、エフェクターメモリーCD4+T細胞およびバルクCD4+T細胞からなる群から選択されるCD4+Tヘルパーリンパ球である。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はL1CAMに特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1のキメラ抗原受容体はB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2のキメラ抗原受容体はROR1に特異的であり、第1および第2のキメラ抗原受容体は、4-1BBおよびCD3ζからなるシグナル伝達ドメインをさらに含む。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはL1CAMに特異的である。前記細胞の実施形態のいくつかにおいて、第1の結合ドメインはB細胞上のリガンドに特異的であり、B細胞上の該リガンドはCD19であり、第2の結合ドメインはROR1に特異的である。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含むことによってインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む第1の核酸または第1のベクターを細胞に導入すること;固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードするポリヌクレオチド配列を含む第2の核酸または第2のベクターを前記細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、第1の核酸と第2の核酸は、別々のウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、ガンマレトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターおよび/またはレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、該別々のウイルスベクターを含む単一の組成物として前記細胞に同時に導入される。いくつかの実施形態において、前記別々のベクターは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステム、および/またはmRNAベクターである。いくつかの実施形態において、第1のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導されるか;または第1のキメラ抗原受容体が発現することによってHer2tgの共発現が誘導され、かつ第2のキメラ抗原受容体が発現することによってEGFRtの共発現が誘導される。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記別々のウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する前記方法は、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸配列を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、プラスミドおよび/またはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する前記方法は、2種のベクターを細胞に共送達すること;前記細胞を増殖させること;および前記細胞を単離することを含み、第1のベクターが、B細胞上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第1のキメラ抗原受容体をコードする第1の核酸配列を含み、該第1のキメラ抗原受容体が、インビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進すること、ならびに第2のベクターが、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2のキメラ抗原受容体またはTcRをコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むことを特徴とする。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、プラスミドおよび/またはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸および第2の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸を細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドはウイルスベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、フォーミーウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、トランスポゾン、インテグラーゼベクターシステムおよび/またはmRNAベクターに組み込まれている。いくつかの実施形態において、前記二重特異性キメラ抗原受容体は、マーカータンパク質と共発現される。いくつかの実施形態において、前記マーカータンパク質はEGFRtまたはHer2tgである。いくつかの実施形態において、前記方法は、可溶性タンパク質をコードする配列を含むベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記可溶性タンパク質は恒常性サイトカインである。いくつかの実施形態において、前記恒常性サイトカインは、IL2、IL7、IL12またはIL15である。いくつかの実施形態において、前記ウイルスベクターは、自殺遺伝子システムをコードする核酸をさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、前記方法は、自殺遺伝子システムをコードする配列を含むベクターを導入することをさらに含む。いくつかの実施形態において、前記自殺遺伝子システムは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子システムまたは誘導型カスパーゼ自殺遺伝子システムである。いくつかの実施形態において、二重特異性キメラ抗原受容体を有する細胞を製造する前記方法は、B細胞上のリガンドに特異的であり、かつインビボにおけるB細胞の増殖および活性化を促進する第1の結合ドメインと、固形腫瘍上のリガンドに特異的な結合ドメインを含む第2の結合ドメインとを含む二重特異性キメラ抗原受容体をコードする第1の核酸を含むベクターを細胞に導入すること;前記細胞を増殖させること;ならびに前記細胞を単離することを含む。いくつかの実施形態において、前記ベクターはプラスミドまたはミニサークルトランスポゾンである。いくつかの実施形態において、第1の核酸は、第1の逆方向末端反復遺伝子配列と第2の逆方向末端反復遺伝子配列との間に位置する。いくつかの実施形態において、第1の逆方向末端反復遺伝子配列および第2の逆方向末端反復遺伝子配列は、Sleeping Beautyトランスポゾンの逆方向反復配列またはPiggyBacトランスポゾンの逆方向反復配列である。いくつかの実施形態において、前記方法は、Sleeping BeautyトランスポゼースまたはPiggyBacトランスポゼースをコードするベクターを前記細胞に導入することをさらに含む。
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