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特許7162542食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物及び食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物及び食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20221021BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20221021BHJP
   A61K 31/716 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221021BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20221021BHJP
   C12Q 1/6809 20180101ALN20221021BHJP
【FI】
A23L33/10 ZNA
A61K36/02
A61K31/716
A61P3/06
A61P19/08
A61P3/10
A61P43/00 107
A61P9/12
A61P3/00
C12N15/09 200
C12Q1/6809 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019011613
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2019126344
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2018010823
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506141225
【氏名又は名称】株式会社ユーグレナ
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中島 綾香
(72)【発明者】
【氏名】小堀 峻吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
(72)【発明者】
【氏名】立花 宏文
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/075262(WO,A1)
【文献】株式会社ユーグレナ、ミドリムシ特有の機能性成分・パラミロンを55%以上含有する「ユーグレナグラシリスE55」を新たに原料として規格化~パラミロンの研究成果の活用含め、多様化するニーズへの対応を推進します~,2017年08月21日,pp.1-2,https://www.euglena.jp/news/20170821-2/
【文献】Pol. J. Food Nutr. Sci.,2017年,vol.67, no.4,pp.251-263
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/10
A61K 36/02
A61K 31/716
C12N 1/12
C12N 15/09
C12Q 1/6809
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Ppara(配列番号17)の発現を促進し、
不飽和脂肪酸の食品因子機能である脂質代謝改善作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項2】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Vdr(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、
ビタミンDの食品因子機能である骨保護作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項3】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Ffar1(配列番号9)の発現を促進するために用いられ、
長鎖脂肪酸の食品因子機能である抗糖尿病作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項4】
パラミロンを有効成分として含有し、
Sirt1(配列番号37)の発現を促進するために用いられ、
フラボノイドの食品因子機能である抗老化作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項5】
パラミロンを有効成分として含有し、
Gabbr1(配列番号10)の発現を促進するために用いられ、
GABAの食品因子機能である血圧低下作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項6】
パラミロンを有効成分として含有し、
Adra1a(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、
シネフェリンの食品因子機能であるアドレナリン様作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物。
【請求項7】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Ppara(配列番号17)の発現を促進し、
不飽和脂肪酸の食品因子機能である脂質代謝改善作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【請求項8】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Vdr(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、
ビタミンDの食品因子機能である骨保護作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【請求項9】
ユーグレナを有効成分として含有し、
Ffar1(配列番号9)の発現を促進するために用いられ、
長鎖脂肪酸の食品因子機能である抗糖尿病作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【請求項10】
パラミロンを有効成分として含有し、
Sirt1(配列番号37)の発現を促進するために用いられ、
フラボノイドの食品因子機能である抗老化作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【請求項11】
パラミロンを有効成分として含有し、
Gabbr1(配列番号10)の発現を促進するために用いられ、
GABAの食品因子機能である血圧低下作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【請求項12】
パラミロンを有効成分として含有し、
Adra1a(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、
シネフェリンの食品因子機能であるアドレナリン様作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物及び食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する意識が年々高まっており、食品分野においても健康に関する研究が盛んに行われている。食品には、栄養を補給する生命維持の一次機能、味覚や嗜好を満足させる二次機能、そして体内の生理系統を調節して健康の維持や健康の回復に効果を及ぼす第三次機能がある。近年、この第三次機能が注目を集めており、数多くの特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品が開発されている。
【0003】
特定保健用食品として、血圧や血糖値の上昇抑制、糖分や体脂肪の吸収抑制などの効果が謳われているものが多く販売されている。しかし、特定保健用食品に含まれる機能成分の作用メカニズムについては詳細が解明されていない部分も多い。
【0004】
食品機能成分の作用メカニズムの研究において、近年の報告では食品機能成分が細胞内外の受容体に結合し、その結合後に機能が発揮されることが報告されている(非特許文献1)。これは、食品の機能成分が特定の標的分子に結合することで細胞内にシグナルを伝達して効果を発揮するというものであり、受け取り側のその標的分子の有無または発現量により、同じ食品成分であっても効果が異なることを示している。
【0005】
一方で、食糧、飼料、燃料等としての利用が有望視されている生物資源として、ユーグレナ(属名:Euglena、和名:ミドリムシ)が注目されている。
ユーグレナは、ビタミン,ミネラル,アミノ酸,不飽和脂肪酸など、人間が生きていくために必要な栄養素の大半に該当する59種類もの栄養素を備え、多種類の栄養素をバランスよく摂取するためのサプリメントとしての利用や、必要な栄養素を摂取できない貧困地域での食糧供給源としての利用の可能性が提案されている。
【0006】
ユーグレナは、食物連鎖の第一次生産者に位置し、捕食者により捕食されることや、光、温度条件、撹拌速度などの培養条件が他の微生物に比べて難しいなどの理由から、大量培養が難しいとされてきたが、近年、本発明者らの鋭意研究によって、大量培養技術が確立され、ユーグレナ及びユーグレナから抽出されるパラミロン等、ユーグレナ由来物質の大量供給の途が開かれた。
ユーグレナは、鞭毛運動をする動物的性質をもちながら、同時に植物として葉緑体を持ち光合成を行うユニークな生物であり、ユーグレナ自体やユーグレナ由来の物質が有する、多くの機能性が報告されている(非特許文献2)。ユーグレナ自体やユーグレナ由来の物質の機能性や体内における作用機序については、詳細が解明されていない部分も未だに多く、新規機能性の創出及び体内における作用機序の解明が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】H. Tachibana, et al., Nat. Struct. Mol. Biol., vol.11, pp.380-381 (2004).
【文献】嵐田亮、「微細藻類ユーグレナの特徴と食品・環境分野への応用」、光合成研究、vol.22, no.1, pp.33-38 (2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、日常的に継続して摂取することができ、効果的に食品因子センシング関連遺伝子の発現を促進させることが可能な食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物及び食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ユーグレナ由来物質に食品因子センシング関連遺伝子の発現を促進させる作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
従って、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Ppara(配列番号17)の発現を促進し、不飽和脂肪酸の食品因子機能である脂質代謝改善作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0011】
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Vdr(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、ビタミンDの食品因子機能である骨保護作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0012】
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Ffar1(配列番号9)の発現を促進するために用いられ、長鎖脂肪酸の食品因子機能である抗糖尿病作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0013】
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Sirt1(配列番号37)の発現を促進するために用いられ、フラボノイドの食品因子機能である抗老化作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0014】
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Gabbr1(配列番号10)の発現を促進するために用いられ、GABAの食品因子機能である血圧低下作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0015】
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Adra1a(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、シネフェリンの食品因子機能であるアドレナリン様作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物により解決される。
【0016】
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Ppara(配列番号17)の発現を促進し、不飽和脂肪酸の食品因子機能である脂質代謝改善作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
【0017】
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Vdr(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、ビタミンDの食品因子機能である骨保護作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
また、前記課題は、本発明によれば、ユーグレナを有効成分として含有し、Ffar1(配列番号9)の発現を促進するために用いられ、長鎖脂肪酸の食品因子機能である抗糖尿病作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Sirt1(配列番号37)の発現を促進するために用いられ、フラボノイドの食品因子機能である抗老化作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Gabbr1(配列番号10)の発現を促進するために用いられ、GABAの食品因子機能である血圧低下作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
また、前記課題は、本発明によれば、パラミロンを有効成分として含有し、Adra1a(配列番号3)の発現を促進するために用いられ、シネフェリンの食品因子機能であるアドレナリン様作用を増強するために用いられることを特徴とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤により解決される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、新規な食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物、食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強用食品組成物、食品因子機能増強剤及び食品因子機能増強用食品添加剤を提供することができる。
本発明の食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物、食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強用食品組成物、食品因子機能増強剤及び食品因子機能増強用食品添加剤は、これまでに副作用の報告がなく、食品衛生法に合致する水準の安全性を備えたユーグレナ由来物質を有効成分としているため、長期間の継続投与および継続摂取が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】ユーグレナ由来物質の摂取による肝臓における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図1B】ユーグレナ由来物質の摂取による肝臓における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図1C】ユーグレナ由来物質の摂取による肝臓における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図1D】ユーグレナ由来物質の摂取による肝臓における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図2】肝臓で発現が上昇した食品因子センシング関連遺伝子を示す図である。
図3A】ユーグレナ由来物質の摂取による大腿四頭筋における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図3B】ユーグレナ由来物質の摂取による大腿四頭筋における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図3C】ユーグレナ由来物質の摂取による大腿四頭筋における遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
図4】大腿四頭筋で発現が上昇した食品因子センシング関連遺伝子を示す図である。
図5】ユーグレナの食品因子機能増強効果の一例を説明するための概念図である。
図6】パラミロンの食品因子機能増強効果の一例を説明するための概念図である。
図7】大腿四頭筋におけるEsr1、Esrrb遺伝子発現量の測定結果を示すグラフである(Data are means±SE,n=5,Student’s t-test,*p<0.05vs.コントロール)。
図8】大腿四頭筋におけるCtsd遺伝子発現量の測定結果を示すグラフである(Data are means±SE,n=5,Student’s t-test,*p<0.05vs.コントロール)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至8を参照しながら説明する。
本実施形態は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物、食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強用食品組成物、食品因子機能増強剤及び食品因子機能増強用食品添加剤に関するものである。
【0021】
<食品因子>
食品因子(フードファクター)とは、食品の3次機能である「生理生体調節機能」に重要な役割を果たす物質群であり、「機能性食品因子」と同義である。
食品因子(機能性食品因子)は、体内の生理系統を調節して健康の維持や健康の回復に効果を及ぼす生理活性物質である。
【0022】
機能性食品因子の分類は、一様ではないが、食品成分別の分類、ターゲットとなる疾病別の分類、作用する場(生体系)を基盤とした分類、作用機構を基盤とした分類などが提唱されている(食品機能性の科学編集委員会 編集、『食品機能性の科学』、2008年4月)。
【0023】
(食品成分別の分類)
食品成分別の分類例について、食品成分群ごとに、機能性食品因子の例を以下に示すが、機能性食品因子は以下に示すものに限定されるものではない。
・糖質:難消化性多糖類、オリゴ糖など
・脂質:多価不飽和脂肪酸、植物ステロール、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質など
・タンパク質:乳タンパク質や大豆タンパク質などの機能性タンパク質、オリゴペプチド、アミノ酸など
・ビタミン:ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、ビタミンK(メナキノン)、葉酸など
・ミネラル:カルシウム、マグネシウム、鉄
・ヌクレオチド:AMP(アデニル酸)、CMP(シチジル酸)、GMP(グアニル酸)、IMP(イノシン酸)
・カロテノイド:カロテン、リコペン
・イソプレノイド:テルペン
・ポリフェノール:フラボノイド、イソフラボン、アントシアニジン
・含硫化合物:イソチオシアナート
・微生物:ビフィズス菌、乳酸菌
【0024】
(ターゲットとなる疾病別の分類)
ターゲットとなる疾病別の分類例について、疾病ごとに機能性食品因子の例を以下に示すが、機能性食品因子は以下に示すものに限定されるものではない。
・高血圧:ペプチド、ゲニポシド酸、酢酸、n-3系脂肪酸
・高コレステロール血症:大豆タンパク質・ペプチド、キトサン、アルギン酸、ポリフェノール、植物ステロール、乳酸菌
・高グリセリド血症:茶カテキン、グロビンペプチド、イソプレノイド
・高血糖、糖尿病:小麦アルブミン、難消化性デキストリン、茶ポリフェノール、イソプレノイド
・動脈硬化、心臓血管病:カロテノイド、ポリフェノール、n-3系脂肪酸
・肥満:茶カテキン、ジアシルグリセロール
・がん:カロテノイド、フラボノイド、イソフラボン、イソチオシアナート、乳酸菌、n-3系脂肪酸、スフィンゴ糖脂質
・骨粗しょう症:乳塩基性タンパク質、イソフラボン、乳酸菌、オリゴ糖、メナキノン
・虫歯:キシリトール、リン酸一水素カルシウム
・便秘:難消化性デキストリン、オリゴ糖
・下痢:難消化性デキストリン、オリゴ糖
・炎症性腸炎:アミノ酸、ポリフェノール、乳酸菌
・肝障害:イソプレノイド、アミノ酸
・胃炎:乳タンパク質
・消化器感染症:ペプチド、抗体タンパク質、乳酸菌
・喘息・アトピー:ポリフェノール、乳酸菌、オリゴ糖、n-3系脂肪酸、スフィンゴ糖脂質
・花粉症:ポリフェノール、乳酸菌、オリゴ糖
・認知症:レシチン、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸
・眼精疲労:アスタキサンチン、アントシアニン
・不眠:グリシン
【0025】
(作用する場を基盤とした分類)
作用する場を基盤とした分類(生体系別の分類)は、食品の3次機能の考え方が提唱された際に提案された分類であり、免疫系調整因子、分泌系調整因子、神経系調整因子、循環系調整因子、消化系調整因子、細胞系調整因子の6つの類型に分けて取り扱う分類である。
【0026】
(作用機構を基盤とした分類)
作用機構を基盤とした分類は、腸内細菌叢の変化誘導、腸管内での物質移動速度等の調節、腸管内での栄養素の結合・吸着、抗菌作用、酵素の阻害、酵素・タンパク質の活性化、抗酸化作用、ホルモン作用の修飾などの作用機構に基づく分類である。
【0027】
<食品因子機能>
食品因子機能とは、食品因子が生体において示す機能である。食品因子ごとに、様々な食品因子機能が見出されており、例えば、不飽和脂肪酸の脂質代謝改善作用、ビタミンDの骨保護作用、長鎖脂肪酸の抗糖尿病作用、フラボノイドの抗老化作用、γ-アミノ酪酸(GABA)の血圧低下作用、シネフェリンのアドレナリン様作用などが知られている。
【0028】
<食品因子センシング関連遺伝子(食品因子感知関連遺伝子)>
食品因子センシング関連遺伝子(食品因子感知関連遺伝子)とは、食品因子の機能性発現を担う生体側の遺伝子である。食品因子センシング関連遺伝子は、食品因子の生体における感知システムに関与する遺伝子であり、食品因子ごとに様々な遺伝子が知られている。食品因子センシング関連遺伝子の例を、その食品因子及び特徴と併せて、以下の表1~4に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
<ユーグレナ>
本実施形態において、「ユーグレナ」とは、分類学上、ユーグレナ属(Euglena)に分類される微生物、その変種、その変異種及びユーグレナ科(Euglenaceae)の近縁種を含む。
ここで、ユーグレナ属(Euglena)とは、真核生物のうち、エクスカバータ、ユーグレノゾア門、ユーグレナ藻綱、ユーグレナ目、ユーグレナ科に属する生物の一群である。
【0034】
ユーグレナ属に含まれる種として、具体的には、Euglena chadefaudii、Euglena deses、Euglena gracilis、Euglena granulata、Euglena mutabilis、Euglena proxima、Euglena spirogyra、Euglena viridisなどが挙げられる。
ユーグレナとして、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis),特に、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株を用いることができるが、そのほか、ユーグレナ・グラシリス(E. gracilis)Z株の変異株SM-ZK株(葉緑体欠損株)や変種のE. gracilis var. bacillaris、これらの種の葉緑体の変異株等の遺伝子変異株、Astaia longa等のその他のユーグレナ類であってもよい。
【0035】
ユーグレナ属は、池や沼などの淡水中に広く分布しており、これらから分離して使用しても良く、また、既に単離されている任意のユーグレナ属を使用してもよい。
ユーグレナ属は、その全ての変異株を包含する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、たとえば組換え、形質導入、形質転換等により得られたものも含有される。
【0036】
ユーグレナ細胞の培養において、培養液としては、例えば、窒素源,リン源,ミネラルなどの栄養塩類を添加した培養液、例えば、改変Cramer-Myers培地((NHHPO 1.0g/L,KHPO 1.0g/L,MgSO・7HO 0.2g/l,CaCl・2HO 0.02g/l,Fe(SO・7HO 3mg/l,MnCl・4HO 1.8mg/l,CoSO・7HO 1.5mg/l,ZnSO・7HO 0.4mg/l,NaMoO・2HO 0.2mg/l,CuSO・5HO 0.02g/l,チアミン塩酸塩(ビタミンB1) 0.1mg/l,シアノコバラミン(ビタミンB12)、(pH3.5))を用いることができる。なお、(NHHPOは、(NHSOやNHaqに変換することも可能である。また、そのほか、ユーグレナ 生理と生化学(北岡正三郎編、(株)学会出版センター)の記載に基づき調製される公知のHutner培地,Koren-Hutner培地を用いてもよい。
【0037】
培養液のpHは好ましくは2以上、また、その上限は、好ましくは6以下、より好ましくは4.5以下である。pHを酸性側にすることにより、光合成微生物は他の微生物よりも優勢に生育することができるため、コンタミネーションを抑制できる。
ユーグレナ細胞の培養は、太陽光を直接利用するオープンポンド方式、集光装置で集光した太陽光を光ファイバー等で送り、培養槽で照射させ光合成に利用する集光方式等により行っても良い。
また、ユーグレナ細胞の培養は、例えば供給バッチ法を用いて行われ得るが、フラスコ培養や発酵槽を用いた培養、回分培養法、半回分培養法(流加培養法)、連続培養法(灌流培養法)等、いずれの液体培養法により行っても良い。
ユーグレナ細胞の分離は、例えば培養液の遠心分離,濾過又は単純な沈降によって行われる。
【0038】
(ユーグレナ藻体)
本実施形態では、ユーグレナ藻体として、遠心分離,濾過又は沈降等によって分離したユーグレナ生細胞をそのまま用いることができる。ユーグレナ生細胞は、培養槽から収穫後そのままの状態で使用することもできるが、水若しくは生理食塩水で洗浄するのが好ましい。また、ユーグレナ藻体が水などの液体に分散した分散液の状態で用いてもよい。本実施形態において、ユーグレナ生細胞を凍結乾燥処理やスプレー乾燥処理して得たユーグレナの乾燥藻体をユーグレナ藻体として用いると好適である。
更に、ユーグレナ生細胞を超音波照射処理や、ホモゲナイズ等の機械処理を行うことにより得た藻体の機械的処理物をユーグレナ藻体として用いてもよい。また、機械的処理物に乾燥処理を施した機械的処理物乾燥物をユーグレナ藻体として用いてもよい。
【0039】
(ユーグレナ水性溶媒抽出物)
本実施形態において、「ユーグレナ水性溶媒抽出物」とは、水性溶媒を用いてユーグレナから抽出される抽出物を意味し、特に、水性溶媒として水を用い、5℃~600℃で、数秒~数十時間抽出したユーグレナの水抽出物又は熱水抽出物を用いることが好ましい。
抽出に使用する水は、必ずしも蒸留水や、純水、又は超純水である必要はなく、例えば、水道水や不純物を含むものであってもよいが、活性成分の抽出を妨げる成分を含まない水が好ましい。
【0040】
本実施形態において、「水抽出物」とは、0~50℃(0℃を除く。)の水による抽出物を意味する。
ここで、「水」とは、0~50℃(0℃を除く。)の水を意味する。
水の温度は、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分に抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくは1~40℃、より好ましくは5~35℃、特に好ましくは10~30℃である。
【0041】
本実施形態において、「熱水抽出物」とは、50℃よりも高い温度の水による抽出物を意味し、「温水抽出物」とも呼ぶことができる。
ここで、「熱水」とは、50℃よりも高温の水を意味し、「熱湯」も含む概念であり、沸騰状態にある水も含まれる。また、液体状態の熱水に限定されることなく、気体状態及び超臨界状態の熱水も含まれる。
熱水の温度は、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分に抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくは50℃より高く120℃以下、より好ましくは50℃より高く100℃以下である。
【0042】
抽出に使用する水のpHは、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分抽出できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、好ましくはpH4~10、より好ましくはpH5~9、特に好ましくはpH6~8であるとよい。
【0043】
なお、本実施形態では、水性溶媒として、水を単独で用いるが、活性成分に影響を与えずに、活性成分を十分抽出できるものであって、通常、抽出に用いることができる溶媒を1種または2種以上選択して用いてもよい。例えば、水、アルコール類、グリコール類などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。アルコール類としては、エタノール、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。グリコール類としては、ブチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。その他の水性溶媒としては、アセトン等が挙げられる。これらの溶媒は単独或いは水溶液として用いても良く、任意の2種または3種以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0044】
抽出に用いる水性溶媒の温度は、例えば、0℃以上であり、活性成分に影響を与えないのであれば特に限定されることはない。沸騰状態又は超臨界状態にある水性溶媒を使用することもできるが、5℃~600℃の水性溶媒を使用するのが好ましく、10℃~200℃の水性溶媒を使用するのがより好ましい。
したがって、抽出用の水性溶媒とは、沸騰状態や超臨界状態にある水性溶媒も含むものである。抽出に使用する水性溶媒の量は、ユーグレナ中に含まれる水溶性活性成分を十分に溶解することができる量であることが好ましい。
【0045】
抽出方法も特に限定されず、例えば、以下に示す方法により抽出を行うことができるが、これに限定されることなく、通常の抽出方法を自由に選択して用いることができる。例えば、ユーグレナの藻体乾燥粉末を水性溶媒に所定時間浸漬した後に遠心分離又は濾過する方法、ユーグレナの藻体乾燥粉末を水性溶媒に加えて震盪して均一に分散させた後に遠心分離又は濾過する方法、などが挙げられる。
また、抽出を促進するために、ユーグレナを添加後の水性溶媒を加熱することも可能である。
【0046】
ユーグレナの水抽出は、以下に示すような通常の方法で行うことができるが、これに限定されるものではない。例えば、ユーグレナ組織及び水を容器に入れ、適宜攪拌又は震盪しながら所定時間静置し、得られた抽出液は、そのまま水抽出物として使用可能である。また、例えば、そのような抽出液を遠心して得られる上清を水抽出物として使用することもできる。また、そのような抽出液又は上清を濃縮、乾燥して水分を除去し、これを水抽出物として使用することもできる。水抽出は、抽出効率を上げて抽出時間を短縮するために、水に、少量、例えば、10質量%以下のアルコール、好ましくはエタノールを添加して行ってもよい。
水抽出を行う場合の抽出時間は、活性成分が抽出される時間であれば特に限定されず、数秒~数十時間の範囲で、抽出の温度に応じて適宜設定することができる。
【0047】
熱水による抽出は、以下に示すような、通常用いられている方法で行なうことができるが、これに限定されるものではない。ユーグレナを、通常用いられる抽出器に水とともに導入した後に、加熱することで抽出を行う。沸騰水または超臨界状態にある水を使用して抽出する場合には、水の蒸気圧に耐え得る抽出器を使用する必要がある。抽出時の圧力は1~5000気圧に設定することができ、60~400気圧に設定するのが好ましい。
高温高圧下で抽出を行なう場合には、抽出時間が長す過ぎると活性成分が分解したり、化学反応を起こすことがある。従って、高温高圧下で抽出を行なうときには、抽出時間を短時間、例えば、3分以内とするのが好ましく、1分以内とするのがより好ましく、30秒以内とすることが特に好ましい。
【0048】
抽出したユーグレナ抽出物は、そのままでも本実施形態に係る食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤等の有効成分として用いることができるが、当該抽出物を更に、適当な分離手段(例えば、分配抽出、ゲル濾過法、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相若しくは順相の高速液体クロマトグラフィーなど)により活性の高い画分を分画して用いることも可能である。
また、ユーグレナ抽出物やその画分を、濃縮、乾燥して水性溶媒を除去し、これを水性溶媒抽出物として使用することもできる。
【0049】
(パラミロン)
「パラミロン(paramylon)」とは、約700個のグルコースがβ-1,3-結合により重合した高分子体(β-1,3-グルカン)で多孔質であり、ユーグレナ属が含有する貯蔵多糖である。パラミロン粒子は、扁平な回転楕円体粒子であり、β-1,3-グルカン鎖がらせん状に絡まりあって形成されている。
【0050】
パラミロンは、すべての種,変種のユーグレナ細胞内に顆粒として存在し、その個数,形状,粒子の均一性は、種により特徴がある。
パラミロンは、グルコースのみからなり、E. gracilis Zの野生株と葉緑体欠損株SM-ZKから得られたパラミロンの平均重合度は、グルコース単位で約700である。
パラミロンは、水,熱水には不溶性であるが、希アルカリ,濃い酸,ジメチルスルホキシド,ホルムアルデヒド,ギ酸に溶ける。
パラミロンの平均密度は、E. gracilis Zでは1.53、E. gracilis var. bacillaris SM-L1では1.63である。
パラミロンは、粉末図形法を用いたX線解析によれば、3本の直鎖状β-1,3-グルカンが右巻きの縄のようにねじれあったゆるやかならせん構造をとっている。このグルカン分子がいくつか集まってパラミロン顆粒を形成する。パラミロン顆粒は結晶構造部分が非常に多く約90%を占め、多糖類の中で最も結晶構造率の高い化合物である(ユーグレナ 生理と生化学,北岡正三郎編,学会出版センター)。
なお、パラミロン((株)ユーグレナ製)の粒度分布は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置で測定したときのメジアン径が、1.5~2.5μmである。
【0051】
パラミロン粒子は、培養されたユーグレナ細胞から任意の適切な方法で単離及び微粒子状に精製され、通常、粉末体として提供されている。
例えば、パラミロン粒子は、(1)任意の適切な培地中でのユーグレナ細胞の培養、(2)当該培地からのユーグレナ細胞の分離、(3)分離されたユーグレナ細胞からのパラミロンの単離、(4)単離されたパラミロンの精製、および必要に応じて(5)冷却及びその後の凍結乾燥によって得ることができる。
パラミロンの単離は、例えば、大部分が生物分解される種類の非イオン性又は陰イオン性の界面活性剤を用いて行われる。パラミロンの精製は、実質的には単離と同時に行われる。
【0052】
なお、ユーグレナからのパラミロンの単離および精製は周知であり、例えば、E. Ziegler, "Die naturlichen und kunstlichen Aromen" Heidelberg, Germany, 1982, Chapter 4.3 "Gefriertrocken"、DE4328329、又は特表2003-529538号公報に記載されている。
【0053】
(パラミロンの加工品)
パラミロンの加工品としては、公知の種々の方法によりパラミロンを化学的又は物理的に処理して得た水溶性パラミロン、硫酸化パラミロン等や、パラミロン誘導体も含まれる。
【0054】
パラミロンの加工品としては、例えば、アモルファスパラミロンが挙げられる。
アモルファスパラミロンとは、ユーグレナ由来の結晶性パラミロンをアモルファス化した物質である。
アモルファスパラミロンは、ユーグレナから公知の方法で生成された結晶性のパラミロンに対する相対結晶度が、1~20%である。
但し、この相対結晶度は、特開2011-184592号記載の方法により求めたものである。
つまり、アモルファスパラミロン及びパラミロンを、それぞれ、粉砕機(Retsh社製ボールミルMM400)にて、振動数20回/秒で5分間粉砕後、X線回折装置(スペクトリス社製H’PertPRO)を用い、管電圧45KV、管電流40mAにて、2θが5°乃至30°の範囲でスキャンを行い、パラミロンとアモルファスパラミロンの2θ=20°の付近の回折ピークPc,Paを得る。
このPc,Paの値を用い、アモルファスパラミロンの相対結晶度を、
アモルファスパラミロンの相対結晶度=Pa/Pc×100(%)
により算出する。
【0055】
アモルファスパラミロンは、特開2011-184592号記載の方法に従い、結晶性のパラミロン粉末を、アルカリ処理した後に酸で中和し、その後洗浄、水分除去工程を経て、乾燥を行うことにより調製される。
パラミロンの加工品としては、そのほか、公知の種々の方法によりパラミロンを化学的又は物理的に処理して得た水溶性パラミロン、硫酸化パラミロン等や、パラミロン誘導体も含まれる。
【0056】
<食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤>
本実施形態に係る食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、ユーグレナ由来物質を有効成分とする食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤(食品因子感知関連遺伝子発現促進剤)である。
「ユーグレナ由来物質」には、ユーグレナ生細胞やユーグレナの乾燥藻体などのユーグレナ藻体の他、ユーグレナの水性溶媒抽出物、ユーグレナ藻体の加工品、パラミロン、パラミロンの加工品等が含まれる。
【0057】
「食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤」とは、食品因子センシング関連遺伝子の発現を促進させる剤のことをいい、「食品因子センシング関連遺伝子発現量増加剤」と同義である。遺伝子量の増加は、例えば、PCR法などの公知の方法により遺伝子の発現量を測定することで評価することができる。
【0058】
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、食品因子のセンシング(感知)に関与する食品因子センシング関連遺伝子の発現を促進することにより、食品因子のセンシングに関連するタンパク質(食品因子の受容体)の発現を促進することが可能である。
【0059】
<食品因子機能増強剤>
本実施形態に係る食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有し、食品因子機能を増強するための食品因子機能増強剤としても用いることができる。
【0060】
「食品因子機能を増強する」とは、本実施形態の食品因子機能増強剤の有効成分であるユーグレナ由来物質を摂取する前の状態と比べて、生体における食品因子機能が増強することをいう。
【0061】
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、食品因子センシング関連遺伝子が生体内で発現するのを促進し、食品因子のセンシングに関連するタンパク質(食品因子の受容体)の発現を促すことにより食品因子機能を増強する作用を奏する。
【0062】
<食品因子機能増強用食品添加剤>
本実施形態の食品因子機能増強剤は、ユーグレナ由来物質を有効成分として含有し、食品因子機能を増強するための食品因子機能増強用食品添加剤(食品因子機能増強用食品添加物)としても用いることができる。
ユーグレナ由来物質は、食品因子機能を増強することが可能であるため、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメント等の食品に添加することで、当該食品に含まれる食品因子の食品因子機能を増強することができる。
【0063】
<用途>
本実施形態に係るユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強剤は、健康食品等の食品組成物、医薬組成物として構成され、食品因子のセンシング機能が低下した生体に投与される。
【0064】
ユーグレナ藻体やパラミロンなどのユーグレナ由来物質は、食品としても摂取可能で副作用がないため、特定の疾病の確定診断を受ける前であっても、投与可能である。
【0065】
本実施形態のユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強剤を、生活習慣、加齢、食生活、運動不足など、何らかの理由に起因して、食品因子のセンシング機能が低下する可能性の高い人に対して、長期間継続投与できる。
【0066】
本実施形態に係るユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強剤を投与する対象は、上記状態の者や、ヒト以外の動物に限定されるものではない。
【0067】
また、40歳以降の年齢のヒトに、特に60歳または65歳以上の高齢者にユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤、食品因子機能増強剤を投与することができる。
40歳以上のヒト、特に60歳または65歳以上の高齢者は、加齢によって食品因子のセンシング機能が低下する傾向があるが、ユーグレナ由来物質が備える、食品因子センシング関連遺伝子発現促進作用や食品因子機能増強作用により、食品因子のセンシング機能を改善することができる。
【0068】
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤によれば、生体における食品因子のセンシング機能を向上させることができるため、特定の食品因子を含有する食品に添加して組み合わせることで、当該食品因子の食品因子機能を向上させるという応用が期待される。
【0069】
また、本実施形態に係るユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、薬理学的に許容され得る添加剤を加え、医薬組成物、食品組成物等の組成物等として用いることができる。
【0070】
(食品組成物)
本実施形態のユーグレナ由来物質は、食品にも用いることが可能である。
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物は、食品の分野では、食品因子センシング関連遺伝子発現促進作用を有効に発揮できる有効な量のユーグレナ由来物質を食品素材として、各種食品に配合することにより、当該作用を有する食品組成物を提供することができる。
また、ユーグレナ由来物質を、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病院患者用食品、サプリメント等と組み合わせて食品組成物を提供することも可能である。
当該食品組成物としては、例えば、調味料、畜肉加工品、農産加工品、飲料(清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、乳飲料、果汁飲料、茶、コーヒー、栄養ドリンク等)、粉末飲料(粉末ジュース、粉末スープ等)、濃縮飲料、菓子類(キャンディ(のど飴)、クッキー、ビスケット、ガム、グミ、チョコレート等)、パン、シリアル等が挙げられる。また、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の場合、カプセル、トローチ、シロップ、顆粒、粉末等の形状であっても良い。
【0071】
ここで特定保健用食品とは、生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品であって、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示可能なものである。
また栄養機能食品とは、栄養成分(ビタミン、ミネラル)の補給のために利用される食品であって、栄養成分の機能を表示するものである。栄養機能食品として販売するためには、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が定められた上限値、下限値の範囲内にある必要があり、栄養機能表示だけでなく注意喚起表示等もする必要がある。
また機能性表示食品とは、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品である。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものである。
【0072】
本実施形態に係る食品組成物には、ユーグレナ由来物質に加え、通常食品組成物に用いることができる成分を、1種または2種以上自由に選択して配合することが可能である。例えば、各種調味料、保存剤、乳化剤、安定剤、香料、着色剤、防腐剤、pH調整剤などの、食品分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【0073】
本実施形態に係る食品組成物には、ユーグレナ由来物質以外に、食品因子センシング関連遺伝子発現促進作用があることが知られているその他の物質を1種以上添加することも可能である。
【0074】
(医薬組成物)
本実施形態に係るユーグレナ由来物質を有効成分として含有する食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、医薬組成物として利用することができる。
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤は、医薬の分野では、食品因子センシング関連遺伝子発現促進作用を有効に発揮できる量のユーグレナ由来物質と共に、薬学的に許容される担体や添加剤を配合することにより、当該作用を有する医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、医薬品であっても医薬部外品であってもよい。
当該医薬組成物は、内用的に適用されても、また外用的に適用されても良い。従って、当該医薬組成物は、内服剤、静脈注射、皮下注射、皮内注射、筋肉注射及び/又は腹腔内注射等の注射剤、経粘膜適用剤、経皮適用剤等の製剤形態で使用することができる。
当該医薬組成物の剤型としては、適用の形態により、適当に設定できるが、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末剤、散剤などの固形製剤、液剤、懸濁剤などの液状製剤、軟膏剤、またはゲル剤等の半固形剤が挙げられる。
【0075】
本実施形態に係る医薬組成物には、薬学的に許容される添加剤を1種または2種以上自由に選択して含有させることができる。
例えば、本実施形態に係る医薬組成物を経口剤に適用させる場合、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、矯味剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。また、ドラックデリバリーシステム(DDS)を利用して、徐放性製剤等にすることもできる。
【0076】
本実施形態に係る医薬組成物には、ユーグレナ由来物質以外に、食品因子センシング関連遺伝子発現促進作用があることが知られているその他の物質を1種以上添加することも可能である。
【0077】
<用法・用量>
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤の用法としては、例えば、粉末剤、カプセル剤、錠剤、顆粒、液剤又はシロップ等によって経口投与すると良い。
本実施形態の食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤の投与量や投与形態は、対象、病態やその進行状況、その他の条件によって適宜選択すればよい。例えば、ユーグレナ由来物質として、ユーグレナを選択し、ヒト(成人)を対象に食品因子センシング関連遺伝子発現促進効果を得ることを目的として経口投与する場合には、一般に、ユーグレナを乾燥重量で1日当たり1~5000mg、好ましくは100~3000mg、さらに好ましくは500~2000mg程度となるように、1日に1~2回程度(朝と晩)、週に5回以上となる割合で継続的に投与するとよい。
【実施例
【0078】
以下、具体的実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の試験では、ユーグレナ由来物質としてユーグレナ粉末(実施例1)及びパラミロン粉末(実施例2)を用い、ユーグレナ又はパラミロンの継続摂取が食品因子センシング関連遺伝子の発現に与える影響を明らかにすることを目的としている。
【0079】
<実施例1>
食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤として、ユーグレナ由来物質であるユーグレナ・グラシリス粉末(ユーグレナ藻体、(株)ユーグレナ製)を用いた。
【0080】
<実施例2>
食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤として、ユーグレナ由来物質であるパラミロン粉末((株)ユーグレナ製)を用いた。
【0081】
<試験1 ユーグレナ由来物質の継続摂取が食品因子センシング関連遺伝子の発現量に与える影響の検討>
(試験方法)
・飼料調製
CE-2食(日本クレアより購入)中にユーグレナ粉末を2%含むよう混合し、ユーグレナ食を調製した。同様に、CE-2食中にパラミロン粉末を2%含むよう混合し、パラミロン食を調製した。CE-2食の栄養成分を表5乃至7に示す。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】
・摂食試験
12週齢のC57BL/6J雄性マウスを平均体重が等しくなるよう3群に群分けし、それぞれコントロール群(C)、ユーグレナ群(E)、パラミロン群(P)とした(n=6)。コントロール群にはCE-2(通常食)、ユーグレナ群には2%ユーグレナ含有CE-2(ユーグレナ食)、パラミロン群には2%パラミロン含有CE-2(パラミロン食)を摂食させた(表8)。4週間の摂食期間経過後、マウスから大腿四頭筋および肝臓を採取した。
【0086】
【表8】
【0087】
・遺伝子発現解析
採取した臓器よりTri reagent(コスモバイオ)を用いてRNAを抽出後、各群6匹分のRNAを混合したもの(n=1)を解析サンプルとし、マイクロアレイ(Agilent社 SurePrint G3 Mouse GE マイクロアレイキット8x60K v2)を用いて遺伝子の発現を測定した。
【0088】
(試験1の結果)
肝臓における結果を図1A~1D及び図2に、大腿四頭筋における結果を図3A~3C及び図4に示す。
・肝臓
肝臓において、ユーグレナ群ではAdora2a(配列番号1), Adora3(配列番号2), Adra1a(配列番号3), Bcl2(配列番号4), Ccr2(配列番号5), Ccr5(配列番号6), Ccr6(配列番号7), Cd36(配列番号8), Ffar1(配列番号9), Gabbr1(配列番号10), Glra4(配列番号11), Hic2(配列番号12), IL1a(配列番号13), IL1b(配列番号14), IL6(配列番号15), IL16(配列番号16), Ppara(配列番号17), Tlr1(配列番号18), Tlr3(配列番号19), Tlr5(配列番号20), Tlr6(配列番号21)の21遺伝子がコントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
また、肝臓において、パラミロン群ではAdora3(配列番号2), Adra1a(配列番号3), Ager(配列番号22), Bcl2(配列番号4), Ccr5(配列番号6), Cd4(配列番号23), Esrrb(配列番号24), IL1b(配列番号14), IL1r1(配列番号25), Ltb4r1(配列番号26), Tlr6(配列番号21), Olr1(配列番号27), Stx3(配列番号28)の13遺伝子がコントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
なお、肝臓において、Adra1a(配列番号3), Adora3(配列番号2), Bcl2(配列番号4), Ccr5(配列番号6), IL1b(配列番号14), Tlr6(配列番号21)の6遺伝子は、ユーグレナ群及びパラミロン群の両方で、コントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
【0089】
したがって、肝臓において、ユーグレナ由来物質としてのユーグレナやパラミロンに食品因子センシング関連遺伝子を増加させる作用があるため、ユーグレナ由来物質を食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤や食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物として用いることができることがわかった。
【0090】
・大腿四頭筋
大腿四頭筋において、ユーグレナ群ではBcl2l1(配列番号29), Ccr6(配列番号7), Esr1(配列番号30), Esrrb(配列番号24), Ffar3(配列番号31), Glrb(配列番号32), Ppara(配列番号17), Rxra(配列番号33), IL6ra(配列番号34), Tlr6(配列番号21), Vdr(配列番号35)の11遺伝子がコントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
また、大腿四頭筋において、パラミロン群ではBcl2l1(配列番号29), Gabbr1(配列番号10), Gpr84(配列番号36), IL6ra(配列番号3), IL16(配列番号16), Sirt1(配列番号37), Tlr4(配列番号38)の7遺伝子がコントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
なお、大腿四頭筋において、Bcl2l1(配列番号29)及びIL6ra(配列番号3)の2遺伝子は、ユーグレナ群及びパラミロン群の両方で、コントロール群と比較して1.5倍以上に増加していた。
【0091】
したがって、大腿四頭筋において、ユーグレナ由来物質としてのユーグレナやパラミロンに食品因子センシング関連遺伝子を増加させる作用があるため、ユーグレナ由来物質を食品因子センシング関連遺伝子発現促進剤や食品因子センシング関連遺伝子発現促進用食品組成物として用いることができることがわかった。
【0092】
(ユーグレナ由来物質の食品因子機能増強効果)
ユーグレナ由来物質は、食品因子センシング関連遺伝子の発現を促進するため、図5及び図6に示すように、食品因子機能を増強させることが可能である。
具体的には、図5に示すように、ユーグレナを摂取することにより、食品因子センシング関連遺伝子であるPpara,(配列番号17) Vdr(配列番号3), Ffar1(配列番号9)の発現を促進させることができるため、不飽和脂肪酸の食品因子機能である脂質代謝改善作用、ビタミンDの食品因子機能である骨保護作用、長鎖脂肪酸の食品因子機能である抗糖尿病作用が増強されることが想定される。
【0093】
また、図6に示すように、パラミロンを摂取することにより、食品因子センシング関連遺伝子であるSirt1(配列番号37), Gabbr1(配列番号10), Adra1a(配列番号3)の発現を促進させることができるため、フラボノイドの食品因子機能である抗老化作用、GABAの食品因子機能である血圧低下作用、シネフェリンの食品因子機能であるアドレナリン様作用が増強されることが想定される。
【0094】
<試験2 ユーグレナ由来物質の継続摂取が大豆イソフラボンセンサー関連遺伝子の発現に与える影響の検討>
(試験方法)
・飼料調製
CE-2食(日本クレアより購入)中にユーグレナ粉末を2%含むよう混合し、ユーグレナ食を調製した。
【0095】
・摂食試験
12週齢のC57BL/6J雄性マウスを平均体重が等しくなるよう3群に群分けし、それぞれコントロール群(C)、ユーグレナ群(E)、パラミロン群(P)とした(n=6)。コントロール群にはCE-2(通常食)、ユーグレナ群には2%ユーグレナ含有CE-2(ユーグレナ食)を摂食させた。4週間の摂食期間経過後、マウスから大腿四頭筋を採取した。
【0096】
・遺伝子発現解析
大腿四頭筋よりトータルRNAを回収し、cDNAの合成を行い、リアルタイムPCRにより各遺伝子発現量を測定した。β-actinを内部標準遺伝子として用いて各遺伝子の発現量を補正した。
【0097】
(試験2の結果)
大腿四頭筋におけるEsr1(配列番号30)、Esrrb(配列番号24)の発現量の測定結果を図7に、Ctsd(配列番号39)発現量の測定結果を図8に示す。
【0098】
大腿四頭筋において変動した遺伝子の発現量を、リアルタイムPCRにより測定した結果、大豆イソフラボンセンサーとして知られるEsr1(配列番号30)とその関連遺伝子Esrrb(配列番号24)の発現上昇が確認された(図7)。また、Esr1(配列番号30)の活性化によって発現が誘導されるCtsd(配列番号39)の発現量をリアルタイムPCRにより測定した結果、ユーグレナの摂取によりCtsd(配列番号39)の発現量の上昇が確認された(図8)。
【0099】
したがって、ユーグレナを摂取することにより、食品因子センシング関連遺伝子であるEsr1(配列番号30)、Esrrb(配列番号24)、Ctsd(配列番号39)の発現を促進させることができるため、大豆イソフラボンの食品因子機能が増強されることが想定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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