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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】乗用型田植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
A01C11/02 341
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019018981
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020124165
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】日熊 敏之
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-055184(JP,A)
【文献】国際公開第2014/098101(WO,A1)
【文献】特開2013-048601(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0032215(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、
前記走行機体の後部に昇降操作可能に支持された苗植付装置と、が備えられ、
前記苗植付装置は、
圃場面に接地して、前記苗植付装置の圃場面に対する高さを検出するとともに圃場面を整地するセンサフロートと、前記センサフロートの両横側方で圃場面に接地して、圃場面を整地する接地フロートと、前記センサフロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、前記両横側方の接地フロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、前記両横側方の接地フロートの前方において圃場面を整地する駆動可能な整地ロータ機構と、を有し、
前記整地ロータ機構は、
前記センサフロート及び前記両横側方の接地フロートの前方に機体横幅方向に延びる状態で設けられた回転駆動可能なロータ支軸と、前記ロータ支軸のうち、前記両横側方の接地フロートの前方に位置する部分に振り分けて相対回転不能に設けられた一対の整地ロータ部と、前記ロータ支軸のうち、当該ロータ支軸の軸芯方向において前記一対の整地ロータ部の間の一箇所のみに設けられ、前記ロータ支軸を駆動する動力が入力される入力部と、前記ロータ支軸のうち、前記センサフロートの前方に位置する部位に相対回転不能に設けられ、かつ、外径が前記一対の整地ロータ部の外径よりも小さい小径整地ロータ部と、を有し、
平面視において、前記センサフロートの前端が前記両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置し、かつ、前記センサフロートの前端が前記一対の整地ロータ部の後端よりも前方に位置し、
前記入力部と前記小径整地ロータ部とが、前記ロータ支軸のうち、前記一対の整地ロータ部の間かつ前記センサフロートの前方の領域において、前記機体横幅方向に沿って並んでいる乗用型田植機。
【請求項2】
前記一対の整地ロータ部は、前記ロータ支軸の軸芯方向に並べて前記ロータ支軸に装着された複数の整地ロータ部構成体によって構成されており、
前記整地ロータ部構成体の前記軸芯方向での大きさが苗植付条間の値の約数の値に等しい大きさに設定されている請求項に記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体と、前記走行機体の後部に昇降操作可能に支持された苗植付装置と、が備えられた乗用型田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した乗用型田植機において、苗植付装置は、圃場面に接地して、苗植付装置の圃場面に対する高さを検出するとともに圃場面を整地するセンサフロートと、センサフロートの両横側方で圃場面に接地して、圃場面を整地する接地フロートと、センサフロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、両横側方の接地フロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、を有し、センサフロートの検出結果を基に、圃場面に対する苗植付装置の高さ制御を可能にされたものがある。さらに、両横側方の接地フロートの前方において圃場面を整地する駆動可能な整地ロータ機構が備えられたものがある。
この種のものとして、例えば特許文献1に示される水田作業機がある。特許文献1に示される水田作業機では、苗植付装置としての水田作業装置が備えられ、水田作業装置では、センサフロートとしての接地センサフロート、接地センサフロートの両横側方に設けられた接地フロートが備えられ、接地センサフロートの前端が両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置している。両横側方の接地フロートそれぞれの前方に整地ロータが駆動可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-10635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサフロートの前端をセンサフロートの両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置させることにより、センサフロートによる検出結果をセンサフロートの前端部から取り出しやすいとか、センサフロートの検出性能を向上できるとか有利である。センサフロートの前端を両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置させるものにおいて、両横側方の接地フロートそれぞれの前方における整地を可能にするのに、従来の技術を採用した場合、両横側方の接地フロートのうちの一方の接地フロートの前方で整地を行う整地ロータに動力を伝達する専用の動力伝達機構と、両横側方の接地フロートのうちの他方の接地フロートの前方で整地を行う整地ロータに動力を伝達する専用の動力伝達機構とを設けるので、動力伝達構造が複雑になる。また、動力伝達構造のために重くなる。
【0005】
本発明は、センサフロートの前端を両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置させるものにおいて、苗植付装置を走行機体から後方にあまり離れないようにしつつ、両横側方の接地フロートそれぞれの前方における整地を構造簡単な動力伝達機構で可能にできる乗用型田植機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による乗用型田植機は、
走行機体と、前記走行機体の後部に昇降操作可能に支持された苗植付装置と、が備えられ、前記苗植付装置は、圃場面に接地して、前記苗植付装置の圃場面に対する高さを検出するとともに圃場面を整地するセンサフロートと、前記センサフロートの両横側方で圃場面に接地して、圃場面を整地する接地フロートと、前記センサフロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、前記両横側方の接地フロートが整地した圃場面に苗植え付けを行う苗植付機構と、前記両横側方の接地フロートの前方において圃場面を整地する駆動可能な整地ロータ機構と、を有し、前記整地ロータ機構は、前記センサフロート及び前記両横側方の接地フロートの前方に機体横幅方向に延びる状態で設けられた回転駆動可能なロータ支軸と、前記ロータ支軸のうち、前記両横側方の接地フロートの前方に位置する部分に振り分けて相対回転不能に設けられた一対の整地ロータ部と、前記ロータ支軸のうち、当該ロータ支軸の軸芯方向において前記一対の整地ロータ部の間の一箇所のみに設けられ、前記ロータ支軸を駆動する動力が入力される入力部と、前記ロータ支軸のうち、前記センサフロートの前方に位置する部位に相対回転不能に設けられ、かつ、外径が前記一対の整地ロータ部の外径よりも小さい小径整地ロータ部と、を有し、平面視において、前記センサフロートの前端が前記両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置し、かつ、前記センサフロートの前端が前記一対の整地ロータ部の後端よりも前方に位置し、前記入力部と前記小径整地ロータ部とが、前記ロータ支軸のうち、前記一対の整地ロータ部の間かつ前記センサフロートの前方の領域において、前記機体横幅方向に沿って並んでいる
【0007】
本構成によると、ロータ支軸の軸芯方向での一箇所のみに動力を入力すれば、ロータ支軸が回転し、両横側方の接地フロートそれぞれの前方に位置する整地ロータ部がロータ支軸によって駆動されるので、ロータ支軸の軸芯方向での一箇所のみに動力を入力するだけの構造簡単な動力伝達機構を設ければ済む。平面視において、センサフロートの前端が両横側方の接地フロートそれぞれの前方に位置する整地ロータ部の後端よりも前方に位置するので、走行機体とセンサフロートとの間隔を、センサフロートの前端が整地ロータ部の後端よりも後方にするものにおける走行機体とセンサフロートとの間隔よりも狭くできる。
【0008】
従って、センサフロートの前端を両横側方の接地フロートの前端よりも前方に位置させるものにおいて、苗植付装置を走行機体から後方にあまり離れないようにしつつ、両横側方の接地フロートそれぞれの前方での整地を行わせるのに、ロータ支軸の軸芯方向での一箇所のみに動力を入力するだけの構造簡単な動力伝達機構を設けるだけでできる。構造簡単な動力伝達機構を設ければ済むので田植機の軽量化が可能になる。
【0009】
【0010】
本構成によると、整地ロータ部よりも横外側の箇所に入力部を設けるのに比して短い長さのロータ支軸を採用すれば済むので、整地ロータ機構をコンパクトに得られる。
【0011】
【0012】
本構成によると、小径整地ロータ部の外径が整地ロータ部の外径よりも小さいことによってセンサフロートの前端が整地ロータ部の後端よりも前方に位置することを可能にしつつ、センサフロートの前方における整地を小径整地ロータ部によってできる。
【0013】
本発明においては、前記一対の整地ロータ部は、前記ロータ支軸の軸芯方向に並べて前記ロータ支軸に装着された複数の整地ロータ部構成体によって構成されており、前記整地ロータ部構成体の前記軸芯方向での大きさが苗植付条間の値の約数の値に等しい大きさに設定されていると好適である。
【0014】
本構成によると、苗植付条間の値に対応した数の整地ロータ部構成体を準備することにより、その苗植付条間を隔てた状態で苗植付けを行う2条植え部分のための整地が適切に行われる整地ロータ部を構成できるので、苗植え付けが可能な条数が異なる苗植付装置に対して、植付け箇所が適切に整地される整地ロータ機構を簡単に具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】乗用型田植機の全体を示す左側面図である。
図2】苗植付装置の平面図である。
図3】苗植付装置における施肥部を示す正面図である。
図4】整地ロータ機構を示す平面図である。
図5】昇降制御を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、乗用型田植機の走行機体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「機体前方」、矢印Bの方向を「機体後方」、矢印Uの方向を「機体上方」、矢印Dの方向を「機体下方」、紙面表側の方向を「機体左方」、紙面裏側の方向を「機体右方」とする。
【0017】
図1に示されるように、乗用型田植機は、左右一対の前車輪1が操向可能かつ駆動可能に装備され、左右一対の後車輪2が駆動可能に装備された走行機体を備えている。走行機体の前部に、エンジン3を有する原動部4が形成されている。走行機体の後部に、運転座席5、及び、前車輪1を操向操作するステアリングホィール6を有する搭乗型の運転部7が形成されている。走行機体が有する機体フレーム8の後部にリンク機構9を介して苗植付装置10が支持されている。リンク機構9は、油圧式の昇降シリンダ9aの伸縮作動によって機体フレーム8に対して上下揺動する状態で機体フレーム8に支持されている。苗植付装置10は、昇降シリンダ9aの伸縮作動よるリンク機構9の上下揺動によって、センサフロート11及び接地フロート12が圃場面に接地した下降作業状態と、センサフロート11及び接地フロート12が圃場面に対して上方に離間した上昇非作業状態と、にわたって昇降操作される。走行機体の後部に、苗植付装置10による植付苗に粉粒状の肥料を供給する施肥装置50が設けられている。
【0018】
〔苗植付装置の構成について〕
苗植付装置10は、図1,2,3に示されるように、走行機体の横幅方向に延びるフレーム材13と、フレーム材13の横幅方向に並ぶ三箇所から後向きに延ばされた植付け駆動ケース14と、が備えられた植付けフレーム15を有している。三つの植付け駆動ケース14のうちの中央の植付け駆動ケース14において、この植付け駆動ケース14の後部の横一側部に、苗植付機構16が駆動可能に支持されている。三つの植付け駆動ケース14のうち、中央の植付け駆動ケース14の両横側方に位置する植付け駆動ケース14のそれぞれにおいて、この植付け駆動ケース14の後部の両横側部に、苗植付機構16が駆動可能に支持されている。苗植付装置10は、五つの苗植付機構16を有している。植付けフレーム15の前部の上方に、五つの苗植付機構16に苗を供給する一つの苗載台17が設けられている。苗載台17は、苗植付機構16の苗植え運動に連動させて左右に往復移送され、苗載台17に載置されたマット状苗を各苗植付機構16に供給する。植付けフレーム15の下部に、一つのセンサフロート11と二つの接地フロート12とが設けられている。センサフロート11は、苗植付装置10の横幅方向での中央部に配置され、二つの接地フロート12は、センサフロート11の両横側方に振り分けて配置されている。センサフロート11及び二つの接地フロート12は、苗植付装置10の下降作業状態において、圃場面に接地して圃場面を整地する。植付けフレーム15の前部に、センサフロート11及び二つの接地フロート12の前方で圃場面を整地する整地ロータ機構30が設けられている。
【0019】
図2,3に示されるように、フレーム材13の横幅方向での中間部に、フィードケース20が設けられている。図1に示されるように走行機体に設けられた回転軸21及び伝動ケース22、伝動ケース22からフィードケース20へ延ばされた回転軸23を介してフィードケース20にエンジン3からの動力が入力される。図2に示されるように、フィードケース20に入力された動力がフィードケース20に連結された出力ケース24、出力ケース24と植付け駆動ケース14とに連結された動力伝達ケース25を介して三つの植付け駆動ケース14のそれぞれに入力される。苗植付機構16は、植付け駆動ケース14に入力された動力によって駆動され、苗載台17に載置されているマット状苗から植付け用の苗を取り出し、取り出した植付け用の苗を圃場面に下降搬送して植え付け、植え付けを終えると、苗載台17に戻るように苗植え運動を行う。中央の植付け駆動ケース14の左横側方に位置する左の植付け駆動ケース14に支持されている二つの苗植付機構16による苗植付けは、圃場面のうち、整地ロータ機構30によって整地され、さらに、センサフロート11の左横側方に位置する接地フロート12によって整地された箇所に行われる。中央の植付け駆動ケース14に支持されている一つの苗植付機構16による苗植付けは、圃場面のうち、整地ロータ機構30によって整地され、さらに、センサフロート11によって整地された箇所に行われる。中央の植付け駆動ケース14の右横側方に位置する右の植付け駆動ケース14に支持されている二つの苗植付機構16による苗植付けは、圃場面のうち、整地ロータ機構30によって整地され、さらに、右の接地フロート12によって整地された箇所に行われる。
【0020】
〔整地ロータ機構の構成について〕
整地ロータ機構30は、図4に示されるように、センサフロート11、及び、左右の接地フロート12の前方に走行機体の横幅方向に延びる状態で設けられたロータ支軸31を有している。すなわち、ロータ支軸31は、センサフロート11の前方と、センサフロート11の左横側方に位置する接地フロート12の前方と、センサフロート11の右横側方に位置する接地フロート12の前方とにわたって設けられている。図2に示されるように、フレーム材13の前方に苗植付装置10の横幅方向に延びる支持フレーム32が設けられている。支持フレーム32は、支持フレーム32とフレーム材13とに連結された連結部材33を介してフレーム材13に支持されている。支持フレーム32の苗植付装置10横幅方向での複数箇所から支持部材34が前向きに延ばされている。図4に示されるように、ロータ支軸31は、支持部材34に回転可能に支持されている。ロータ支軸31のうちの左の接地フロート12の前方に位置する部分、及び、ロータ支軸31のうちの右の接地フロート12の前方に位置する部分のそれぞれに、整地ロータ部35が相対回転不能に設けられている。ロータ支軸31のうち、センサフロート11の前方に位置する部分に、小径整地ロータ部36が相対回転不能に支持されている。小径整地ロータ部36の外径は、整地ロータ部35の外径よりも小さく設定されている。小径整地ロータ部36は、ロータ支軸31に沿う方向に延びる状態で小径整地ロータ部36の外周部に設けられた整地突条(図示せず)を有している。整地突条は、小径整地ロータ部36の外周部の周方向での複数箇所に設けられている。
【0021】
左の接地フロート12の前方と、右の接地フロート12の前方とに分かれて位置する一対の整地ロータ部35のそれぞれは、図4に示されるように、ロータ支軸31の軸芯方向に並べてロータ支軸31に装着された複数の整地ロータ部構成体35aによって構成されている。整地ロータ部構成体35aのロータ支軸31の軸芯方向での大きさXは、苗植付条間Yの値の約数の値に等しい大きさに設定されている。本実施形態では、苗植付条間Yが300mmに設定され、整地ロータ部構成体35aの大きさXは、75mmに設定されているが、これに限らない。たとえば、苗植付条間Yを300mmに設定した場合、整地ロータ部構成体35aの大きさXを50mm、150mmあるいは300mmに設定してもよい。苗植付条間Yを250mmに設定した場合、整地ロータ部構成体35aの大きさXを50mm、125mmあるいは、250mmに設定するとよい。小径整地ロータ部36の外径は、一対の整地ロータ部35の外径よりも小さく設定されている。
【0022】
図4に示されるように、ロータ支軸31の軸芯方向での一箇所のみに、ロータ支軸31を駆動する動力を入力する入力部37が形成されている。詳述すると、入力部37は、ロータ支軸31のうちの一対の整地ロータ部35の間の箇所に形成されている。入力部37の入力軸37aと、走行機体の後部に設けられた伝動ケース22が有する動力取出し軸22aとが回転軸38によって連動連結されている。本実施形態では、入力部37は、ロータ支軸31のうちの一対の整地ロータ部35の間の箇所に形成されているが、これに限らない。たとえば、ロータ支軸31のうち、整地ロータ部35に対してロータ支軸31の端が位置する側の箇所に形成してもよい。
【0023】
整地ロータ機構30においては、エンジン3から伝動ケース22に入力された動力が回転軸38によって入力部37に入力され、入力された動力によってロータ支軸31が駆動され、一対の整地ロータ部35及び小径整地ロータ部36がロータ支軸31によって駆動される。圃場面のうち、接地フロート12が接地する箇所を整地ロータ部35によって整地し、圃場面のうち、センサフロート11が接地する箇所を小径整地ロータ部36によって整地する。
【0024】
〔苗植付機構の昇降制御の構成について〕
図2,4に示されるように、センサフロート11は、平面視において、センサフロート11の前端11fが一対の接地フロート12の前端12fよりも前方に位置し、かつ、センサフロート11の前端11fが一対の接地フロート12それぞれの前方に位置する整地ロータ部35の後端35rよりも前方に位置する状態で植付けフレーム15の下部に設けられている。図5に示されるように、センサフロート11の後端部に備えられたブラケット40と、支持アーム41とが連結軸42によって相対回転可能に連結されている。支持アーム41は、植付けフレーム15に苗植付装置10の横幅幅方向に延びる状態で支持されたフロート支軸43から延ばされている。センサフロート11は、連結軸42の横向き軸芯Pを揺動支点にして植付けフレーム15に対して上下揺動可能な状態で植付けフレーム15に支持されている。苗植付装置10の圃場面に対する高さが変化すると、センサフロート11に作用する接地反力により、センサフロート11の前端側が横向き軸芯Pを揺動支点にして植付けフレーム15に対して上下揺動する。センサフロート11の植付けフレーム15に対する揺動角を知ることにより、苗植付装置10の圃場面に対する高さを知ることができる。すなわち、苗植付装置10の圃場面に対する高さをセンサフロート11によって検出できる。
【0025】
図5に示されるように、センサフロート11の前端部に設けられたブラケット44と、検出センサ45に揺動可能に備えられた操作アーム45aとが連動ロッド46によって連動連結されている。検出センサ45は、回転ポテンショメータによって構成され、植付けフレーム15に支持されている。検出センサ45と制御装置47とが連結されている。センサフロート11の検出高さが検出センサ45によって電気信号に変換され、変換された電気信号が制御装置47に入力される。制御装置47に、昇降シリンダ9aの操作弁48が連係されている。制御装置47は、マイクロコンピュータによって構成され、昇降制御部49を備えている。昇降制御部49は、センサフロート11の検出高さが設定苗植え深さとして設定された設定検出範囲に位置する状態に昇降シリンダ9aを伸縮作動させるように、検出センサ45からの電気信号を基に操作弁48を制御するよう構成されている。
【0026】
前車輪1及び後車輪2が走行面の凹部に入り込んだり、凸部に乗り上がったりするなどによって走行機体が前後に傾斜したり、走行機体の走行面に対する高さが変化したりしても、センサフロート11の検出高さに基づく昇降制御部49による昇降シリンダ9aの制御により、苗植付装置10の苗植え深さを設定深さに維持しながら苗植え作業を行える。
【0027】
〔施肥装置の構成について〕
施肥装置50は、図1に示されるように、粉粒状の肥料を貯留する肥料タンク51と、肥料タンク51の下部に接続され、肥料タンク51から肥料を繰り出す繰出し機構52と、繰出し機構52に接続されたブロワ53と、を有している。繰出し機構52から五本の施肥ホース57が苗植付装置10に向けて延ばされている。繰出し機構52が繰り出した肥料がブロワ53からの搬送風によって五本の施肥ホース57それぞれに供給される。
【0028】
図3に示されるように、五本の施肥ホース57の苗植付装置側の端部は、五つの作溝施肥器56に各別に接続されている。五つの作溝施肥器56は、図3,4に示されるように、五つの苗植付機構16のそれぞれに一つの作溝施肥器56が対応するよう配置され、左の接地フロート12あるいは右の接地フロート12あるいはセンサフロート11に支持されている。各作溝施肥器56は、苗植付機構16による苗植付け箇所の横側方で圃場に溝を形成し、形成した溝に施肥ホース57からの肥料を供給する。
【0029】
図3に示されるように、左の接地フロート12に支持される二つの作溝施肥器56に各別に接続された二本の施肥ホース57のそれぞれに、施肥ホース57からの搬送風を抜き出すエア抜き管55が接続され、センサフロート11に支持される一つの作溝施肥器56に接続された施肥ホース57に、施肥ホース57からの搬送風を抜き出すエア抜き管55が接続されている。三本のエア抜き管55に左3条用の一本のエア抜きチューブ54aが接続され、三本のエア抜き管55によって抜き出された搬送風が一本のエア抜きチューブ54aによって纏めて空中に排出される。右の接地フロート12に支持される二つの作溝施肥器56に各別に接続された二本の施肥ホース57のそれぞれに、施肥ホース57からの搬送風を抜き出すエア抜き管58が接続されている。二本のエア抜き管58に右2条用の一本のエア抜きチューブ54bが接続され、二本のエア抜き管58によって抜き出された搬送風が一本のエア抜きチューブ54bによって纏めて空中に排出される。左3条用のエア抜きチューブ54aと右2条用のエア抜きチューブ54bとは、苗植付装置10の左右中央部に対して左側と右側とに分かれて位置するように配置されている。
【0030】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、五条植えが可能な苗植付装置10を採用された例を示したが、四条以下や六条以上の苗植えが可能に構成されたものであってもよい。
【0031】
(2)上記した実施形態では、小径整地ロータ部36が設けられた例を示したが、小径整地ロータ部36を設けないものであってもよい。
【0032】
(3)上記した実施形態では、入力部37がロータ支軸31のうち整地ロータ部35どうしの間の箇所に設けられた例を示したが、ロータ支軸31のうち整地ロータ部35に対してロータ支軸31の端が位置する側に設けたものであってもよい。また、動力が走行機体から入力される入力部37を採用した例を示したが、フィードケース20から入力するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、四条以下や六条以上の苗植えが可能な乗用型田植機に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 苗植付装置
11 センサフロート
11f センサフロートの前端
12 接地フロート
12f 接地フロートの前端
16 苗植付機構
30 整地ロータ機構
31 ロータ支軸
35 整地ロータ部
35a 整地ロータ部構成体
35r 整地ロータ部の後端
36 小径整地ロータ部
37 入力部
X 整地ロータ部構成体の大きさ
Y 苗植付条間
図1
図2
図3
図4
図5