(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】拡径装置及び拡径方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/18 20060101AFI20221021BHJP
E02D 5/20 20060101ALI20221021BHJP
E02F 5/20 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
E02D5/18 102
E02D5/20 102
E02F5/20
(21)【出願番号】P 2019030683
(22)【出願日】2019-02-22
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】眞野 英之
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-044083(JP,A)
【文献】特開2002-146775(JP,A)
【文献】特開平02-221518(JP,A)
【文献】特開2006-342614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/00-5/20
E02D 29/00,29/045-37/00
E02F 5/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中連続壁を形成するための掘削孔を拡径するための拡径装置であって、
前記掘削孔の短手方向の幅よりも大きい径の拡径孔を回転して形成するリーマーと、
前記リーマーの上方に取り付けられ、前記拡径孔に当接しながら摺動するよう形成されたガイドと、
前記リーマーの下方に取り付けられ、長手方向の幅が前記拡径孔の径よりも大きく形成されると共に、短手方向が前記掘削孔の短手方向に当接しながら摺動するよう形成されたバケットと、を備えることを特徴とする、
拡径装置。
【請求項2】
前記バケットは、底部に開閉自在に設けられた蓋部を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の拡径装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記拡径孔に当接するよう円筒状に形成された本体部を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の拡径装置。
【請求項4】
地中連続壁を形成するための掘削孔を拡径するための拡径方法であって、
リーマーを回転させて前記掘削孔の短手方向の幅よりも大きい径の拡径孔を形成する工程と、
前記リーマーの上方に取り付けられたガイドを、前記拡径孔に当接させながら前記リーマーに連動して摺動させる工程と、
前記リーマーの下方に取り付けられ、長手方向の幅が前記拡径孔の径よりも大きく形成されたバケットを、前記バケットの短手方向が前記掘削孔の短手方向に当接するように前記リーマーに連動して摺動させる工程と、を備えることを特徴とする、
拡径方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中連続壁の掘削孔に拡径した孔を形成する拡径装置及び拡径方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に壁用の空間となる掘削孔を形成した後、鉄筋コンクリートで地中連続壁(以下、連壁と記す)を形成する場合がある(例えば特許文献1参照)。連壁は、鉄筋コンクリート造で構築されるため剛性が高いこと、側面の面積が杭などに比べ大きく確保しやすいことから、地震時等に基礎に大きな引抜き力が作用する高層建物や近接構造物の変位制限が厳しい建物の壁杭など本設の基礎として利用される。連壁は、通常の杭に比して施工費が比較的高くなるため壁厚は必要最小限の幅に収めて形成されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高層建物などの建設現場においては、連壁を形成した後、地下1階側から掘り下げて床面を地階ごとに順次形成して地下空間を形成する逆打ち工法が用いられる場合がある。逆打ち工法において、順次形成される床面を支持するために連壁の中に所定間隔で複数の構真柱が予め形成される。逆打ち工法で用いられる構真柱は軸力が大きいため、構真柱の径方向の寸法が連壁の厚さよりも大きく形成される。そのため、連壁の掘削孔において構真柱が設けられる位置では掘削孔の幅を厚く形成する必要がある。
【0005】
図5に示されるように、鉄骨で形成された構真柱Tの径方向の幅に合わせて掘削孔Hの幅W1を拡幅した幅W2の掘削孔を形成することは、費用が非常に大きくなるという問題がある。また、建物の荷重による大きな軸力に抵抗するためには壁杭の底面積だけでは支持力が不足するので、連壁の深さ方向の長さを長く形成する必要がある。
【0006】
上記の問題を回避するため、
図6及び
図7に示されるように、拡底杭の工法を併用して底面積を大きくする工法も提案されている。しかし、径の大きな拡底底面Zを形成するためには拡底掘削機Dの径も大きくなるため、拡底掘削機Dを挿入するために掘削孔Hの幅W1を拡幅した幅W2の掘削孔を形成する必要がある。
【0007】
図8及び
図9に示されるように、連壁の掘削孔Hの幅W1を大きくせずに、構真柱Tの設置や径の大きな拡底掘削機を挿入する方法として、構真柱Tの入る部分だけ連壁用の掘削機を用いてT形の掘削孔を構築する方法が提案されている。しかし、構真柱Tの入るT形の掘削孔の必要幅W2は、一般の連壁用の掘削機の1ガット幅W3(例えば、3.2m)よりも小さい場合が多いことから、連壁用の掘削機で掘削すると必要面積より大きな掘削を行う必要があり、掘削の手間が増えるという課題がある。また、このような工法を用いて連壁の厚さを構真柱Tに合わせて形成すると、掘削量が大きくなり、コストが増加するという課題がある。
【0008】
図10から
図12に示されるように、場所打ち拡底杭で利用されているリーマー付きのアースドリル用のバケットBを利用して、掘削孔Hに円形の孔Cを拡径することも提案されている。しかし、この場合も掘削孔Hの幅W1に収まるバケットBではリーマーによる掘削土Mは大半がバケットBの外の掘削孔Hに落ちるという問題点がある。掘削土は孔内を落下する際に泥土化し安定液中に浮遊して沈降に時間がかかり回収が難しくなる。
【0009】
このため、上記方法によれば、リバースサーキュレーション用のサクションポンプPなどをアースドリル用のバケットBの両側に設置する必要があるなど、手間を要する。また、壁心方向のバケットの拘束ができないため、掘削中にバケットBが移動し、鉛直方向の孔の拡幅の精度が確保できないという課題がある。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡便な構成により地中連続壁のために形成された掘削孔を正確かつ効率的に拡径することができる拡径装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達するために、本発明は、地中連続壁を形成するための掘削孔を拡径するための拡径装置であって、前記掘削孔の短手方向の幅よりも大きい径の拡径孔を回転して形成するリーマーと、前記リーマーの上方に取り付けられ、前記拡径孔に当接しながら摺動するよう形成されたガイドと、前記リーマーの下方に取り付けられ、長手方向の幅が前記拡径孔の径よりも大きく形成されると共に、短手方向が前記掘削孔の短手方向に当接しながら摺動するよう形成されたバケットと、を備えることを特徴とする拡径装置である。
【0012】
本発明によれば、地中連続壁を形成するための掘削孔をリーマーで拡径して拡径孔を掘削する際に、拡径孔に当接するように形成されたガイドがリーマーの横方向への移動を規制し、リーマーの鉛直方向の移動を安定させることができる。そして、リーマーが掘削して排出される掘削土をリーマーの下方に設けられたバケットが受け止めるため掘削土の回収が容易となる。
【0013】
また、本発明は、前記バケットが底部に開閉自在に設けられた蓋部を備えるように構成されていてもよい。
【0014】
本発明によれば、バケット内が掘削土で満たされた際に蓋部を開けることにより、掘削土が自重でバケット外に落下するため、掘削土の回収作業を容易化することができる。
【0015】
また、本発明は、前記ガイドが前記拡径孔に当接するよう円筒状に形成された本体部を備えるように構成されていてもよい。
【0016】
本発明によれば、リーマーが形成した拡径孔に円筒状に形成されたガイドが当接し、リーマーが横方向にずれることを防止し、リーマーの鉛直方向の動作を安定化させ、正確な拡径孔を形成することができる。
【0017】
また、本発明は、地中連続壁を形成するための掘削孔を拡径するための拡径方法であって、リーマーを回転させて前記掘削孔の短手方向の幅よりも大きい径の拡径孔を形成する工程と、前記リーマーの上方に取り付けられたガイドを前記拡径孔に当接させながら前記リーマーと共に摺動させる工程と、前記リーマーの下方に取り付けられ、長手方向の幅が前記拡径孔の径よりも大きく形成されたバケットを、前記バケットの短手方向が前記掘削孔の短手方向に当接するように前記リーマーと共に摺動させる工程と、を備えることを特徴とする拡径方法である。
【0018】
本発明によれば、地中連続壁を形成するための掘削孔をリーマーで拡径して拡径孔を掘削する際に、ガイドが拡径孔に当接してリーマーの横方向への移動を規制しつつ、リーマーと共に摺動するため、リーマーの鉛直方向の移動を安定させることができる。そして、リーマーの下方に設けられたバケットが、リーマーにより掘削されて排出される掘削土を受け止めるため掘削土の回収が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば簡便な構成により地中連続壁のために形成された掘削孔を正確かつ効率的に拡径することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の拡径装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】拡径装置により連続壁用の掘削孔を拡径する状態を示す平面図である。
【
図3】拡径装置により連続壁用の掘削孔を拡径する状態を示す正面方向の断面図である。
【
図4】拡径装置により連続壁用の掘削孔を拡径する状態を示す側面方向の断面図である。
【
図5】比較例における、構真柱を挿入するために連続壁用の掘削孔の幅を広げる工法を示す平面図である。
【
図6】比較例における、拡底杭の工法を利用して連続壁用の掘削孔の幅を広げる工法を示す平面図である。
【
図7】比較例における、拡底杭の工法を利用して連続壁用の掘削孔の幅を広げる工法を示す側面方向の断面図である。
【
図8】比較例における、連続壁用の掘削機を利用して続壁用の掘削孔をT形断面に拡径する工法を示す平面図である。
【
図9】比較例における、連続壁用の掘削機を利用して続壁用の掘削孔をT形断面に拡径する工法を示す正面方向の断面図である。
【
図10】比較例における、リーマー付きのアースドリル用のバケットを利用して、掘削孔を拡径する工法を示す平面図である。
【
図11】比較例における、リーマー付きのアースドリル用のバケットを利用して、掘削孔を拡径する工法を示す正面方向の断面図である。
【
図12】比較例における、リーマー付きのアースドリル用のバケットを利用して、掘削孔を拡径する工法を示す側面方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の拡径装置及び拡径方法の実施形態の実施形態について説明する。拡径装置は、地中に形成された連壁用に形成された掘削孔を拡径するための装置である。拡径装置は、例えば、一般的なアースドリル機等の装置に取り付けられて使用される。
【0022】
図1に示されるように、拡径装置1は、掘削孔H(
図2参照)を拡径するためのリーマー2と、リーマー2の掘削方向をガイドするガイド10と、リーマー2の掘削土を回収するバケット20とを備える。
【0023】
リーマー2は、回転軸S(
図3参照)に取り付けられるハブ3を備える。回転軸Sは、アースドリル機等により回転駆動される。ハブ3は、鉛直方向の軸線Lに沿って円柱状に形成されている。ハブ3は、平面視で中心部において、軸線Lに沿って矩形の貫通孔3Aが形成されている。貫通孔3Aには、回転軸Sの先端部が嵌合する。ハブ3の側面部には、軸線Lと直交する水平方向に突出した一対の回転刃4が設けられている。回転刃4は、所定の回転方向に回転し、既設の孔を拡径する。回転刃4は、ブレード状に形成されている。回転刃4の掘削部には、複数のダイヤモンドコーティングされたチップ4Aが形成されている。
【0024】
一対の回転刃4は、平面視して回転時の直径が掘削孔Hの短手方向の幅よりも大きい径となるように形成されている。この直径は、逆打ち工法で用いられる構真柱が挿入されるサイズに設定されている。回転刃4は、ハブ3に2個設けられているだけでなく、2個以上設けられていてもよい。上記構成により、リーマー2が軸線L回りに所定方向に回転した場合、掘削孔Hの短手方向の幅よりも大きい径で地盤を掘削し、拡径された拡径孔を形成する。
【0025】
リーマー2の上方には、円筒状に形成されたガイド10が設けられている。ガイド10は、平面視でリーマー2と軸線Lと同軸に配置されている。ガイド10は、リーマー2が形成した拡径孔に当接し、リーマー2の回転軸S(軸線L)が鉛直方向からずれるのを防止する。ガイド10により、リーマー2は、鉛直方向に軸線L方向に沿って拡径孔を掘り進めることができる。ガイド10は、円筒状に形成された本体部11と、本体部11を支持する支持部14とを備える。
【0026】
本体部11は、例えば、金属板を円筒状に丸めて継ぎ目を溶接することで形成される。本体部11は、リーマー2の掘削方向を安定させるものであれば必ずしも円筒状に形成されていなくてもよい。本体部11の内部空間には、支持部14が設けられている。支持部14は、例えば、回転軸Sを支持するハブ15と、ハブ15から放射状に水平方向に突出して本体部11の内側の壁面11Aを支持する複数のスポーク16を備える。
【0027】
ハブ15は、円柱状に形成されている。ハブ15は、平面視で中心部に軸線Lに沿って矩形の貫通孔15Aが形成されている。貫通孔15Aには、上述のリーマー2を回転させる回転軸Sが挿通される。回転軸Sは、貫通孔15Aに嵌合してガイド10をリーマー2と共に回転させる。ガイド10は、必ずしも回転軸Sにより回転される必要はなく、回転軸Sが貫通孔15Aで空転するようにしてもよい。
【0028】
また、ガイド10は、リーマー2が形成した孔のガイドと機能するのであれば必ずしも円筒状に形成されている必要はない。上記構成により、ガイド10は、リーマー2が掘削した孔に嵌って鉛直方向に沿ったガイドとなり、リーマー2が横方向にずれることを防止して、鉛直方向に直線的な孔を形成することができる。リーマー2の下方には、バケット20が設けられている。
【0029】
バケット20は、上面に開口部を有する矩形に形成された容器である。バケット20は、リーマー2が地盤を掘削した際に発生する掘削土を受け止めて回収する。
【0030】
バケット20は、平面視して矩形の開口を有する本体部21と、本体部21の底部の開口を覆う蓋部25とを備える。本体部21は、平面視して矩形の筒状体に形成されている。本体部21は、長手方向に対向して配置された一対の摺動壁22と、一対の摺動壁22に直交するように配置された一対の側板23とを備える。摺動壁22は、正面視して矩形の板状体に形成されている。摺動壁22の水平方向の幅は、リーマー2の回転時の直径よりも大きい幅で形成されている。側板23は、側面視して矩形の板状体に形成されている。側板23の水平方向の幅は、側面視して掘削孔Hの対向する壁面間の距離よりも若干小さい幅で形成されている。
【0031】
一対の摺動壁22は、リーマー2が拡径孔を掘削して下方に移動するのに従って連壁用の掘削孔Hの対向する壁面に当接しながら摺動する。一対の摺動壁22の上端の中央部には、一対の摺動壁22同士を連結する支持部材26が設けられている。
【0032】
支持部材26は平面視して矩形の板状体に形成されている。支持部材26の中央部には、ベアリング26Bが嵌め込まれている。ベアリング26Bには、上述の回転軸Sの先端部が回転自在に連結される。これにより、バケット20は、回転軸Sに回転自在に吊り下げられる。
【0033】
本体部21の底部には、開閉自在な蓋部25が設けられている。蓋部25は、矩形の板状体に形成されている。蓋部25は、長手の一辺が摺動壁22の下辺にヒンジ機構(不図示)等を用いて回転自在に取り付けられている。蓋部25は、バケット20に設けられたロック機構(不図示)等を解除することにより閉状態から自重や積載された掘削土の重量により開状態となる。
【0034】
上記構成により、バケット20は、リーマー2が地盤を掘削した際に落下する掘削土をリーマー2の下方で受け止めて回収する。バケット20の底部の蓋部25を開放することにより、バケット内部の掘削土は泥土化せず土の状態のまま排出できる。
【0035】
図2から
図4に示されるように、拡径装置1は、既設の掘削孔Hの拡径に用いられる。掘削孔Hは、連壁を形成するために地盤に設けられた連続した孔である。掘削孔Hには、孔壁の崩壊を防止すると共に、溶液中のスライム状物質の沈降を防止するためのベントナイト系の溶液で生成された安定液で満たされている。掘削孔Hは、連壁が入るよう所定の幅F1で一対の壁面H1,H2が対向した空間が形成されている。リーマー2は、所定の幅F1よりも広い幅F2で拡径孔Qを形成する。幅F2は、構真柱と拡底掘削機が挿入されるように寸法が設定されている。拡径孔Qは、掘削孔Hを半月形に広げた2つの空間Q1,Q2により形成されている。
【0036】
掘削孔Hを拡径する場合、拡径装置1を対象位置に対して上方から設置する。この際、バケット20が掘削孔Hに先に挿入される。リーマー2が地表面に当接した後、回転軸Sを回転駆動させ、リーマー2を所定方向に回転させながら回転軸Sを下方に押し込む。そうすると、地盤がリーマー2に掘削される。リーマー2で掘削された掘削土は、大半がバケット20内に落下する。回転軸Sを更に押し込んで拡径孔Qを更に深く掘り進ませる。この時、バケット20は、短手方向が掘削孔Hの短手方向に当接しながらリーマーに連動して摺動する。バケット20に掘削土が満杯となる毎に拡径装置1を引き上げ、ロック機構を解除して蓋部25を開き、掘削土をバケット20内から排出する。これにより、掘削土が掘削孔Hに落下して安定液中で泥土化して浮遊することが防止される。
【0037】
掘削孔Hを掘り進める際、円筒状に形成されたガイド10が拡径孔Qに当接し、リーマー2に連動して掘削孔Hを摺動すると共に、リーマー2の横方向への移動を規制する。即ち、ガイド10は、リーマー2が横方向にずれることを防止する。掘削孔Hを更に掘り進めると、バケット20が掘削孔Hの底に到達する。掘削孔Hの底からバケット20の高さ分は、リーマー2による掘削ができない。そこで、拡径装置1を拡径孔Qから引き抜いてリーマー2の径と同じ径のアースドリルバケットを拡径孔Qに挿入し、掘削孔Hの底まで掘削する。
【0038】
拡径孔Qの拡底掘削をする場合は、アースドリルバケットを拡径孔Qから引き抜いて、代わりに拡底掘削機を挿入し拡底掘削を行い、拡底孔を形成する。上記各工程の後、掘削孔H内に鉄筋コンクリートで連壁を形成する。そして、拡底孔にコンクリートを打設して構真柱を挿入して位置決めし、拡底杭に支持された構真柱を形成する。
【0039】
上述したように拡径装置1によれば、簡便な構成により地中連続壁のために形成された掘削孔Hを正確かつ効率的に拡径することができる。また、拡径装置1によれば、リーマー2の上方に設けられたガイドが拡径孔Qに当接してリーマー2の横方向への移動を規制するため、拡径された孔を正確に形成することができる。また、拡径装置1によれば、バケット20の長手方向の幅がリーマー2の回転時の径よりも大きく形成されているため、リーマー2により掘削された掘削土の大半を回収することができ、施工コストを低減することができる。
【0040】
また、拡径装置1によれば、バケット20の短手方向の幅が掘削孔Hの幅に合わせて形成されているため、掘削孔Hの幅によらずに拡径の大きさを設定することができる。また、拡径装置1によれば、拡径部分の掘削にアースドリル機を用いることで、連壁用の掘削孔Hの幅を広げるように拡径を行うより、費用や工期を抑えることができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 拡径装置
2 リーマー
3 ハブ
3A 貫通孔
4 回転刃
4A チップ
10 ガイド
11 本体部
11A 壁面
14 支持部
15 ハブ
15A 貫通孔
16 スポーク
20 バケット
21 本体部
22 摺動壁
23 側板
25 蓋部
26 支持部材
26B ベアリング