(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】基板、マイクユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
H04R1/02 106
(21)【出願番号】P 2019096833
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】岡野 信吾
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-155450(JP,A)
【文献】特開2007-082233(JP,A)
【文献】特開2011-254193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
H04R 1/00- 1/02
H04R 1/06
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/20- 1/34
H04R 1/40
H04R 1/42- 1/46
H04R 3/00
H04R 9/00
H04R 11/00-11/06
H04R 11/14
H04R 13/00-15/02
H04R 17/00-17/02
H04R 17/10
H04R 19/00-19/04
H04R 21/00-21/02
H04R 23/00-23/02
H04R 29/00-31/00
H05K 1/00- 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その一方の面がMEMSマイクロフォンと接続される基板であって、
前記基板を貫通し、前記MEMSマイクロフォンの音孔と連絡される基板音孔と、
前記基板の他方の面の前記基板音孔の周囲に配置されたGNDパッドを含む
基板。
【請求項2】
請求項1に記載の基板であって、
前記基板音孔がスルーホール、またはビアホールとされている
基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板であって、
前記基板の他方の面の前記GNDパッドの周辺に配置されたチップ部品を含む
基板。
【請求項4】
MEMSマイクロフォンと、
その一方の面が前記MEMSマイクロフォンと接続される基板と、
前記基板を貫通し、前記MEMSマイクロフォンの音孔と連絡される基板音孔と、
前記基板の他方の面の前記基板音孔の周囲に配置されたGNDパッドを含む
マイクユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のマイクユニットであって、
前記基板音孔がスルーホール、またはビアホールとされている
マイクユニット。
【請求項6】
請求項4または5に記載のマイクユニットであって、
前記基板の他方の面の前記GNDパッドの周辺に配置されたチップ部品を含む
マイクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ESD(Electro-Static Discharge)耐性を強化した基板、マイクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクロフォンの実装方法の従来技術として、特許文献1、2がある。特許文献1、2では、リバース音孔タイプのMEMSマイクロフォンを実装する基板に、MEMSマイクロフォンの音孔と連絡する基板音孔を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-029182号公報
【文献】特開2007-060661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MEMSマイクロフォンは静電気ESDに脆弱なデバイスであり、特にリバース音孔タイプのMEMSマイクロフォンは、音孔を通して集音部が剥き出しになる構造であり、音孔を塞ぐと集音機能が成立しない。しかしながら、特許文献1、2に開示された基板には静電対策がなされていない。なお、特許文献1、2では、MEMSマイクロフォンの音孔と基板音孔の周囲がグランドランドやシーリング端子で接続されているが、これはMEMSマイクロフォンの音孔と基板音孔とを密着させる目的であり、同部品では静電対策ができない。
【0005】
従来はリバース音孔タイプのMEMSマイクロフォンを用いる場合、直接静電気が着電しない構造を設ける必要があった。例えば、音導管を用いて直接静電気が着電しない位置に、MEMSマイクロフォンを設けたり、MEMSマイクロフォンの上部にメッシュ(ガーニッシュ/グリル)を設けたりする必要があり、設計上の制約要因、別パーツ追加によるコスト増の要因となっていた。
【0006】
そこで本発明では、リバース音孔タイプのMEMSマイクロフォンを実装でき、ESD耐性が高い基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板は、その一方の面がMEMSマイクロフォンと接続される基板であって、基板音孔と、GNDパッドを含む。基板音孔は、基板を貫通し、MEMSマイクロフォンの音孔と連絡される。GNDパッドは、基板の他方の面の基板音孔の周囲に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の基板は、リバース音孔タイプのMEMSマイクロフォンを実装でき、ESD耐性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、
図1を参照して実施例1のマイクユニットの構成を説明する。同図に示すように、本実施例のマイクユニット10は、リバース音孔タイプのMEMSマイクロフォン1と、プリント基板2を含む。MEMSマイクロフォン1は音孔11を含む。プリント基板2の一方の面(マイク接続面21と呼称する)に、MEMSマイクロフォン1が接続される。
【0012】
以下、
図2を参照してプリント基板2の構造を説明する。同図に示すように、プリント基板2は、基板音孔23と、GNDパッド24を含む。基板音孔23は、基板2を貫通し、MEMSマイクロフォン1の音孔11と連絡される。GNDパッド24は、基板2の他方の面(ESD耐性面22と呼称する)の基板音孔23の周囲に、基板音孔23を取り囲むように設けられる。同図の例ではGNDパッド24はリング(円環)形状とされ基板音孔23を取り囲んでいるが、本発明はこれに限定されない。例えば、GNDパッド24を四角形フレーム形状とし基板音孔23を取り囲むように設けてもよい。また、GNDパッド24を任意の多角形フレーム形状(例えば三角形、六角形、八角形、…フレーム形状)とし基板音孔23を取り囲むように設けてもよい。
なお、GNDパッド24に半田盛りを設けてもよい。半田盛りを設けることで、GND体積が増すことにより、静電気をGNDに着電する効果が増す。なお、基板音孔23がスルーホール、またはビアホールとされていてもよい。基板音孔23をスルーホール、またはビアホールとすることで、GND表面積が増すことにより、静電気をGNDに着電する効果が増す。
【0013】
<実施例1の効果>
本実施例の基板2、マイクユニット10によれば、GNDパッド24に静電気が着電するため基板GNDに静電気が拡散することを防ぐことができ、音導管やメッシュ(ガーニッシュ/グリル)などの追加部品を設ける必要が無く、設計上の制約や別パーツ追加によるコスト増が発生しない。またハウジングやメッシュなどにより音孔前部の空間(前室)を塞ぐ構造をとると、マイクロフォンの周波数特性の高域に不要なディップが発生することも問題であったが、本実施例の基板2、マイクユニット10によれば、音孔前部の空間(前室)を塞ぐ必要がないため、より安定したマイクロフォンの音響特性を作り出すことができる。
【0014】
[変形例1]
図3に示すように、基板2のESD耐性面22側であって、基板音孔23およびGNDパッド24の周辺に、1つまたは複数のGND電位を有するチップ部品25を配置してもよい。基板音孔23およびGNDパッド24の周辺にGND電位を有するチップ部品25を配置することにより、避雷針の効果が得られ、ESD耐性を高めることができる。
【0015】
上記実施例、変形例に開示した基板は、MEMSマイクロフォンに限らず、静電気に弱い電子部品を実装した基板全般に応用可能である。