(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20221021BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20221021BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20221021BHJP
【FI】
A01B69/00 303K
A01C11/02 331D
G05D1/02 N
(21)【出願番号】P 2019116440
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健次
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041358(JP,A)
【文献】特開2010-213590(JP,A)
【文献】特開2012-050354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00-69/08
A01C 11/02
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に装備されて作業地に対して作業を行う作業装置と、
作業経路及び前記作業経路に隣接して前記作業経路に沿った次の作業経路において、作業地の外周部の近傍における前記作業経路の終了位置と、作業地の外周部の近傍における次の前記作業経路の開始位置とに亘る複数の異なる旋回経路を記憶する旋回経路記憶部と、
作業地の外周部の位置データに基
づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する選択部とが備えら
れ、
前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、
前記機体の前部が作業地の外周部に近接する位置まで前進して前記作業経路の終了位置に達する直進行程の後の後進行程と、前記後進行程の後の旋回行程とが順に行われて、次の前記作業経路の開始位置に達する前記旋回経路が含まれており、
前記後進行程において、前記機体の前輪が直進位置から右に操向操作されて前記機体の後進が行われ、又は、前記前輪が直進位置から左に操向操作されて前記機体の後進が行われ、又は、前記前輪が左右に繰り返して操向操作されて蛇行しながら前記機体の後進が行われる作業車。
【請求項2】
前記選択部は、
前記作業経路に沿った方向における作業地の外周部と前記作業経路の終了位置との間の距離と、前記作業経路に沿った方向における作業地の外周部と次の前記作業経路の開始位置との間の距離とが、同じになるように、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記選択部により選択された前記旋回経路を表示する表示装置が備えられ、
人為的な操作に基づいて、前記選択部により選択された前記旋回経路が決定される請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、
前記作業経路の終了位置から次の前記作業経路の開始位置に向けて、次の前記作業経路の開始位置を通過する位置まで、前記機体が旋回する通過前進旋回行程と、
前記通過前進旋回行程の後に次の前記作業経路の開始位置に戻るための開始位置用後進行程とを有する前記旋回経路が含まれており、
次の前記作業経路の開始位置が前記作業経路の終了位置よりも前記作業地の外周部側に近い前記位置データの場合、
前記選択部は、前記通過前進旋回行程と前記開始位置用後進行程とを有する前記旋回経路を選択する請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、
前記作業経路の終了位置から次の前記作業経路の開始位置に向けて、次の前記作業経路の開始位置の手前の位置まで、前記機体が旋回する未達前進旋回行程と、
前記未達前進旋回行程の後に次の前記作業経路の開始位置に進むための開始位置用前進行程とを有する前記旋回経路が含まれている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記選択部は、
作業地の土の硬さに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項7】
前記位置データを記憶する外周部記憶部が備えられて、
前記選択部は、
前記外周部記憶部に記憶された前記位置データに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項8】
前記位置データを記憶する外周部記憶部が備えられて、
前記選択部は、
前記外周部記憶部に記憶された前記位置データと、前記作業経路の開始位置及び終了位置とに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項9】
前記機体の位置を検出する測位部が備えられて、
前記外周部記憶部は、
前記機体が作業地の外周部に沿って走行した際に前記測位部により検出された前記機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置を、前記位置データとして記憶する
請求項7又は8に記載の作業車。
【請求項10】
前記機体の位置を検出する測位部が備えられて、
前記外周部記憶部は、
前記機体が作業地の外周部に沿って走行した際に前記測位部により検出された前記機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置を通り、且つ、作業地の外周部に沿った直線状の位置を、前記位置データとして記憶する
請求項7又は8に記載の作業車。
【請求項11】
作業地の外周部のうちの特定の外周部に沿って設定された複数の前記作業経路を記憶する作業経路記憶部と、
前記作業経路記憶部に記憶された前記作業経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、
前記前輪を自動的に操向操作する走行制御部とが備えられている
請求項9又は10に記載の作業車。
【請求項12】
前記機体の位置を検出する測位部と、
前記選択部によって選択された前記旋回経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、
前記前輪を自動的に操向操作する旋回制御部とが備えられている
請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項13】
前記機体の位置を検出する測位部と、
前記選択部によって選択された前記旋回経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、
前記前輪を自動的に操向操作する旋回制御部とが備えられて、
前記旋回制御部は、
前記開始位置用後進行程において、前記前輪が前記通過前進旋回行程での前記前輪の通過軌跡を通過することが少なくなるように、前記前輪を操向操作して前記機体を後進させる請求項4に記載の作業車。
【請求項14】
前記旋回制御部は、
前記通過前進旋回行程において、前記機体が、次の前記作業経路の開始位置に対して、前記作業経路に沿った方向と直交する横方向で、前記作業経路の反対側に位置するように、前記前輪を操向操作して前記機体を前進させながら旋回させ、
前記開始位置用後進行程において、前記機体が次の前記作業経路の開始位置に向かうように、前記前輪を操向操作して前記機体を後進させる
請求項13に記載の作業車。
【請求項15】
前記機体の位置を検出する測位部と、
前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、前記機体が、次の前記作業経路の開始位置から、前記作業経路に沿った方向と直交する横方向に変位していることを報知する報知部とが備えられている
請求項1~14のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機、トラクタ等のように、作業地に対して作業を行う作業装置が機体に装備された作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているような、作業形態により植付作業が行われる。
複数の作業経路が互いに平行に並ぶように設定されており、機体に搭乗する作業者は、一つの作業経路に沿った作業走行が終了して、機体が作業地の外周部の近傍に達すると、作業装置を停止操作して、作業地の外周部の近傍で機体を旋回させて、機体を隣接する次の作業経路に入れる。
特許文献1では、互いに隣接する作業経路及び次の作業経路において、作業経路の終了位置と次の作業経路に開始位置とに亘る旋回経路が設定(記憶)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車が作業地で作業を行う場合、作業地の外周部の平面的な全体形状、作業地の外周部と作業経路の終了位置との位置関係、作業地の外周部と次の作業経路の開始位置との位置関係等の各種の条件が存在する。
【0005】
本発明は、作業車において、作業経路の終了位置から次の作業経路の開始位置に旋回する場合、各種の状態に対応することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、機体に装備されて作業地に対して作業を行う作業装置と、作業経路及び前記作業経路に隣接して前記作業経路に沿った次の作業経路において、作業地の外周部の近傍における前記作業経路の終了位置と、作業地の外周部の近傍における次の前記作業経路の開始位置とに亘る複数の異なる旋回経路を記憶する旋回経路記憶部と、作業地の外周部の位置データに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択する選択部とが備えられ、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、前記機体の前部が作業地の外周部に近接する位置まで前進して前記作業経路の終了位置に達する直進行程の後の後進行程と、前記後進行程の後の旋回行程とが順に行われて、次の前記作業経路の開始位置に達する前記旋回経路が含まれており、前記後進行程において、前記機体の前輪が直進位置から右に操向操作されて前記機体の後進が行われ、又は、前記前輪が直進位置から左に操向操作されて前記機体の後進が行われ、又は、前記前輪が左右に繰り返して操向操作されて蛇行しながら前記機体の後進が行われる。
【0007】
本発明によると、互いに隣接する作業経路及び次の作業経路において、作業経路の終了位置と次の作業経路に開始位置とに亘る複数の異なる旋回経路が記憶されている。
本発明によると、作業地の外周部の位置データに基づいて、選択部により、複数の異なる旋回経路から、旋回経路が選択される。
【0008】
これにより、作業車が作業経路の終了位置から次の作業経路の開始位置に旋回する場合に、各種の条件に対応して適切な旋回が行えるようになって、作業車の作業性能が向上する。
本発明によると、機体の前部が作業地の外周部に近接する位置まで前進して作業経路の終了位置に達する直進行程の後の後進行程と、後進行程の後の旋回行程とを有する旋回経路が選択された場合、作業経路において、機体の前部が作業地の外周部に近接する位置まで機体が前進するのであり(直進行程)、機体の前部が作業地の外周部に近接する位置から、機体が後進する(後進行程)。後進行程が終了した後、次の作業経路に向けて機体は旋回する(前進旋回行程)。
本発明における旋回経路は、比較的大きな横幅を備えた機体(作業装置)が、作業地の外周部の近傍で旋回する状態に適している。
前述のように、機体の前部が作業地の外周部に近接する位置まで前進して作業経路の終了位置に達する直進行程の後の後進行程と、後進行程の後の旋回行程とを有する旋回経路が選択された場合、機体の前輪における直進行程の通過軌跡を、機体の前輪が後進行程において再び通過することがあり、機体の前輪により作業地に深い溝が形成される可能性がある。
本発明によると、後進行程において、機体の前輪が直進位置から次の作業経路に向かう向きの逆向きに操向操作されて機体が後進するので、機体の前輪における直進行程の通過軌跡を、機体の前輪が再び通過することが少なくなり、機体の前輪により作業地に深い溝が形成される状態を少なくすることができる。
本発明によると、後進行程において、機体の前輪が直進位置から次の作業経路に向かう向きの逆向きに操向操作されて、機体が後進するので、機体は少し次の作業経路に向く状態となるのであり、この後の旋回行程が無理なく行われるようになる。
本発明によると、後進行程において、機体の前輪が直進位置から次の作業経路に向かう向きに操向操作されて機体が後進するので、機体の前輪における直進経路の通過軌跡を、機体の前輪が再び通過することが少なくなり、機体の前輪により作業地に深い溝が形成される状態を少なくすることができる。
本発明によると、後進行程において、機体の前輪が直進位置から次の作業経路に向かう向きに操向操作されて、機体が後進するので、機体(作業装置)の後部が、隣接する前回の作業経路で作業の終了した部分から少し離れる状態となる。
これにより、旋回行程において、隣接する前回の作業経路で作業の終了した部分を、機体(作業装置)の一部が通過して荒らしてしまうという状態が少なくなる。
【0009】
本発明において、前記選択部は、前記作業経路に沿った方向における作業地の外周部と前記作業経路の終了位置との間の距離と、前記作業経路に沿った方向における作業地の外周部と次の前記作業経路の開始位置との間の距離とが、同じになるように、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択すると好適である。
【0010】
作業車の一例である乗用型田植機では、作業地の中央側での作業走行を終了してから、作業地の外周部に沿った作業走行を行うので、作業地の外周部と作業経路の終了位置との間、及び、作業地の外周部と次の作業経路の開始位置との間に、機体(作業装置)の横幅(又は機体(作業装置)の横幅の2倍等)に相当する領域が残るように、作業地の外周部の近傍で旋回が行われる。
【0011】
特許文献1では、作業地の外周部と作業経路に沿った方向とが、平面視で直交する状態となっているので、作業経路の終了位置と次の作業経路の開始位置とが、同じ位置で隣り合う状態となっており、作業経路に沿った方向における作業地の外周部と作業経路の終了位置との間の距離と、作業経路に沿った方向における作業地の外周部と次の作業経路の開始位置との間の距離とが、同じになっている。
【0012】
本発明によると、選択部により複数の旋回経路から旋回経路が選択される場合、各種の条件に基づいて、作業経路に沿った方向における作業地の外周部と作業経路の終了位置との間の距離と、作業経路に沿った方向における作業地の外周部と次の作業経路の開始位置との間の距離とが同じになるように、旋回経路が選択されるので、作業地の中央側での作業走行を終了してから作業地の外周部に沿った作業走行を行う作業形態に適した作業車を得ることができる。
【0013】
本発明において、前記選択部により選択された前記旋回経路を表示する表示装置が備えられ、人為的な操作に基づいて、前記選択部により選択された前記旋回経路が決定されると好適である。
【0014】
本発明によると、選択部により選択された旋回経路が表示装置に表示される。
これにより、例えば1個の旋回経路が表示装置に表示された場合、作業者は、表示された旋回経路が適切であるか否かを判断することができるのであり、表示された旋回経路が適切であると判断すると、人為的な操作を行うことによって、選択された旋回経路を決定することができる。
【0015】
例えば複数個の旋回経路が表示装置に表示された場合、作業者は、表示された複数個の旋回経路のうちから適切な旋回経路を捜すことができるのであり、人為的な操作を行うことによって、選択された複数個の旋回経路うちから、適切な旋回経路を決定することができる。
【0016】
本発明において、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、前記作業経路の終了位置から次の前記作業経路の開始位置に向けて、次の前記作業経路の開始位置を通過する位置まで、前記機体が旋回する通過前進旋回行程と、前記通過前進旋回行程の後に次の前記作業経路の開始位置に戻るための開始位置用後進行程とを有する前記旋回経路が含まれており、次の前記作業経路の開始位置が前記作業経路の終了位置よりも前記作業地の外周部側に近い前記位置データの場合、前記選択部は、前記通過前進旋回行程と前記開始位置用後進行程とを有する前記旋回経路を選択すると好適である。
【0017】
例えば、作業地の外周部と作業経路に沿った方向とが、平面視で斜めに交差する状態になっていると、機体が作業経路の終了位置から旋回を開始して、この後に旋回を終了した際に、機体が作業地の外周部から離れ過ぎるような状態になることがある。
【0018】
本発明によると、前述の状態において、通過前進旋回行程と開始位置用後進行程とを有する旋回経路が選択されるとよい。
通過前進旋回行程と開始位置用後進行程とを有する旋回経路が選択されると、機体が作業経路の終了位置から旋回を開始すれば、次の作業経路の開始位置を通過する位置まで旋回が続行される(通過前進旋回行程)。
この場合、次の作業経路の開始位置で旋回を終了するように、機体を無理に旋回させることがないので、旋回が無理なく行われる。
通過前進旋回行程が終了した状態で、機体が作業地の外周部から離れているので、この後に機体が少し後進して(開始位置用後進行程)、機体が次の作業経路の開始位置に無理なく達する。
【0019】
本発明において、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路に、前記作業経路の終了位置から次の前記作業経路の開始位置に向けて、次の前記作業経路の開始位置の手前の位置まで、前記機体が旋回する未達前進旋回行程と、前記未達前進旋回行程の後に次の前記作業経路の開始位置に進むための開始位置用前進行程とを有する前記旋回経路が含まれていると好適である。
【0020】
例えば、作業地の外周部と作業経路に沿った方向とが、平面視で斜めに交差する状態になっていると、機体が作業経路の終了位置から旋回を開始して、この後に旋回を終了した際に、機体が作業地の外周部に近接する状態になることがある。
【0021】
本発明によると、前述の状態において、未達前進旋回行程と開始位置用前進行程とを有する旋回経路が選択されるとよい。
未達前進旋回行程と開始位置用前進行程とを有する旋回経路が選択されると、機体が作業経路の終了位置から旋回を開始すれば、次の作業経路の開始位置の手前の位置で旋回を終了する(未達前進旋回行程)。
この場合、次の作業経路の開始位置まで旋回が行われるように、機体を無理に旋回させることがないので、旋回が無理なく行われる。
未達進旋回行程が終了した状態で、機体が作業地の外周部に近接しているので、この後に機体が少し前進して(開始位置用前進行程)、機体が次の作業経路の開始位置に無理なく達する。
【0022】
【0023】
【0024】
本発明において、前記選択部は、作業地の土の硬さに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択すると好適である。
【0025】
機体が作業地の外周部の近傍で旋回する場合、作業地の土の硬さは、選択部により旋回経路が選択される際の要素となる。
本発明によると、作業地の土の硬さに基づいて、選択部により旋回経路が選択されるので、選択部により適切な旋回経路が選択される際の選択精度が向上する。
【0026】
本発明において、前記位置データを記憶する外周部記憶部が備えられて、前記選択部は、前記外周部記憶部に記憶された前記位置データに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択すると好適である。
【0027】
本発明によると、外周部記憶部に記憶された位置データに基づいて、選択部により旋回経路が選択されるので、選択部により適切な旋回経路が選択される際の選択精度が向上する。
【0028】
本発明において、前記位置データを記憶する外周部記憶部が備えられて、前記選択部は、前記外周部記憶部に記憶された前記位置データと、前記作業経路の開始位置及び終了位置とに基づいて、前記旋回経路記憶部に記憶された複数の前記旋回経路から、前記旋回経路を選択すると好適である。
【0029】
本発明によると、外周部記憶部に記憶された位置データと、作業経路の開始位置及び終了位置とに基づいて、選択部により旋回経路が選択されるので、選択部により適切な旋回経路が選択される際の選択精度が向上する。
【0030】
本発明において、前記機体の位置を検出する測位部が備えられて、前記外周部記憶部は、前記機体が作業地の外周部に沿って走行した際に前記測位部により検出された前記機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置を、前記位置データとして記憶すると好適である。
【0031】
作業地の外周部の位置データを得る場合、本発明によると、作業者が機体を作業地の外周部に沿って走行させることにより、測位部により検出された機体の位置から、位置データを得ることができる。
この場合、作業地の外周部に配管や岩等の障害物が存在すると、作業者は、障害物を回避しながら、機体を作業地の外周部に沿って走行させることがある。
【0032】
本発明によると、測位部により検出された機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置が、位置データとして記憶される。
これにより、前述のように位置データに基づいて(位置データと作業経路の開始位置及び終了位置とに基づいて)、選択部により旋回経路が選択された場合、選択部により選択された旋回経路と、作業地の外周部や障害物との接触が、無理なく回避される。
【0033】
本発明において、前記機体の位置を検出する測位部が備えられて、前記外周部記憶部は、前記機体が作業地の外周部に沿って走行した際に前記測位部により検出された前記機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置を通り、且つ、作業地の外周部に沿った直線状の位置を、前記位置データとして記憶すると好適である。
【0034】
作業地の外周部の位置データを得る場合、本発明によると、作業者が機体を作業地の外周部に沿って走行させることにより、測位部により検出された機体の位置から、位置データを得ることができる。
この場合、作業地の外周部に配管や岩等の障害物が存在すると、作業者は、障害物を回避しながら、機体を作業地の外周部に沿って走行させることがある。
【0035】
本発明によると、測位部により検出された機体の位置から、事前に設定された所定距離だけ作業地の中央側の位置を通り、且つ、作業地の外周部に沿った直線状の位置が、位置データとして記憶される。
これにより、前述のように位置データに基づいて(位置データと作業経路の開始位置及び終了位置とに基づいて)、選択部により旋回経路が選択された場合、選択部により選択された旋回経路と、作業地の外周部や障害物との接触が、無理なく回避される。
【0036】
本発明において、作業地の外周部のうちの特定の外周部の位置に沿って設定された複数の前記作業経路を記憶する作業経路記憶部と、前記作業経路記憶部に記憶された前記作業経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、前記前輪を自動的に操向操作する走行制御部とが備えられていると好適である。
【0037】
本発明によると、前述のように作業地の外周部の位置データが記憶された場合に、作業地の外周部のうちの特定の外周部の位置に沿って設定された複数の作業経路が作業経路記憶部に記憶されるのであり、記憶された作業経路に沿って機体が走行するように、測位部により検出された機体の位置に基づいて、走行制御部により機体の前輪が自動的に操向操作される。
【0038】
これにより、作業走行と作業地の外周部の近傍での旋回とを繰り返す作業車において、機体を作業経路に沿って自動的に走行させる走行制御部が備えられることによって、作業車の作業性能が向上する。
【0039】
本発明において、前記機体の位置を検出する測位部と、前記選択部によって選択された前記旋回経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、前記前輪を自動的に操向操作する旋回制御部とが備えられていると好適である。
【0040】
本発明によると、選択部によって選択された旋回経路に沿って機体が走行するように、測位部により検出された機体の位置に基づいて、旋回制御部により機体の前輪が自動的に操向操作される。
【0041】
これにより、作業走行と作業地の外周部の近傍での旋回とを繰り返す作業車において、機体を旋回経路に沿って自動的に走行させる旋回制御部が備えられることによって、作業車の作業性能が向上する。
【0042】
本発明において、前記機体の位置を検出する測位部と、前記選択部によって選択された前記旋回経路に沿って前記機体が走行するように、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、前記前輪を自動的に操向操作する旋回制御部とが備えられて、前記旋回制御部は、前記開始位置用後進行程において、前記前輪が前記通過前進旋回行程での前記前輪の通過軌跡を通過することが少なくなるように、前記前輪を操向操作して前記機体を後進させると好適である。
【0043】
本発明によると、選択部によって選択された旋回経路に沿って機体が走行するように、測位部により検出された機体の位置に基づいて、旋回制御部により機体の前輪が自動的に操向操作される。
【0044】
これにより、作業走行と作業地の外周部の近傍での旋回とを繰り返す作業車において、機体を旋回経路に沿って自動的に走行させる旋回制御部が備えられることによって、作業車の作業性能が向上する。
【0045】
前述のように、通過前進旋回行程と開始位置用後進行程とを有する旋回経路が選択された場合、機体の前輪における通過前進旋回行程の終盤の通過軌跡を、機体の前輪が開始位置用後進行程において再び通過することがあり、機体の前輪により作業地に深い溝が形成される可能性がある。
【0046】
本発明によると、開始位置用後進行程において機体の前輪が少し操向操作されて、機体の前輪における通過前進旋回行程の終盤の通過軌跡を、機体の前輪が再び通過することが少なくなり、機体の前輪により作業地に深い溝が形成される状態を少なくすることができる。
【0047】
本発明において、前記旋回制御部は、前記通過前進旋回行程において、前記機体が、次の前記作業経路の開始位置に対して、前記作業経路に沿った方向と直交する横方向で、前記作業経路の反対側に位置するように、前記前輪を操向操作して前記機体を旋回させ、前記開始位置用後進行程において、前記機体が次の前記作業経路の開始位置に向かうように、前記前輪を操向操作して前記機体を後進させると好適である。
【0048】
通過前進旋回行程と開始位置用後進行程とを有する旋回経路が選択された場合、通過前進旋回行程が終了した状態で、機体が、次の作業経路の開始位置に対して、作業経路に沿った方向と直交する横方向に少し外れた位置に達するように、通過前進旋回行程が行われるとよい。
この後の開始位置用後進行程において、機体が少し斜めに後進して次の作業経路の開始位置に向かうように、機体の前輪が操向操作されることによって、機体の前輪における通過前進旋回行程の終盤の通過軌跡を、機体の前輪が再び通過することが少なくなる。
【0049】
本発明によると、通過前進旋回経路において、機体が、次の作業経路の開始位置に対して、作業経路に沿った方向と直交する横方向で、作業経路の反対側(作業経路から離れる側)に達するように、通過前進旋回行程が行われる。
これにより、通過前進旋回行程において、作業経路で作業の終了した部分を、機体(作業装置)の一部が通過して荒らしてしまうという状態が少なくなる。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
本発明において、前記機体の位置を検出する測位部と、前記測位部により検出された前記機体の位置に基づいて、前記機体が、次の前記作業経路の開始位置から、前記作業経路に沿った方向と直交する横方向に変位していることを報知する報知部とが備えられていると好適である。
【0063】
本発明によると、機体が旋回経路の後半に入り、次の作業経路の開始位置に接近した場合に、報知部が作動すれば、機体と次の作業経路の開始位置との関係を、作業者が認識し易くなるのであり、作業者の誤解を招くことが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
第1参考形態の乗用型田植機の左側面図である。
【
図2】
第1参考形態の乗用型田植機の平面図である。
【
図3】
第1参考形態の制御装置と各部との連係状態を示す図である。
【
図4】
第1参考形態の圃場において走行ラインが取得された状態を示す平面図である。
【
図5】
第1参考形態の圃場において畦際ラインが取得された状態を示す平面図である。
【
図6】
第1参考形態の圃場において作業経路が設定された状態を示す平面図である。
【
図7】
第1参考形態の圃場において作業経路及び旋回経路が設定された状態を示す平面図である。
【
図8】
第1参考形態の圃場において回り植えの作業走行を示す平面図である。
【
図9】
第1参考形態の第1の旋回経路を示す平面図である。
【
図10】
第1参考形態の第2の旋回経路を示す平面図である。
【
図11】
第1参考形態の第3の旋回経路を示す平面図である。
【
図12】
第1参考形態の第4の旋回経路を示す平面図である。
【
図13】
第1参考形態の第5の旋回経路を示す平面図である。
【
図14】
第1参考形態の第6の旋回経路を示す平面図である。
【
図15】
第1参考形態の平面視で菱形の圃場を示す平面図である。
【
図16】
第2参考形態の第5の旋回経路を示す平面図である。
【
図17】
実施形態の第4の旋回経路を示す平面図である。
【
図18】
実施形態の第4の旋回経路を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1~
図18に、圃場(作業地に相当)を走行する作業車の一例である乗用型田植機が示されており、
図1~
図18において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0066】
以下、本発明を明確にする為の第1参考機体及び第2参考形態を図1~図16に基づいて説明しており、図17及び図18に基づいて本発明の実施形態を説明している。
(第1参考形態)
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2が設けられた機体11の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降操作する油圧シリンダ4が設けられ、リンク機構3の後部に、苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0067】
苗植付装置5に、左右方向に所定間隔を隔てて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右部及び左部に回転可能に取り付けられた回転ケース7、回転ケース7の両端部に取り付けられた植付アーム8、フロート9、苗のせ台10等が設けられて、苗植付装置5が6条植型式に構成されている。
【0068】
機体11及び苗植付装置5に亘って、施肥装置18(作業装置に相当)が設けられている。施肥装置18に、ホッパー13、繰り出し部14、ブロア15、作溝器16及びホース17等が設けられている。
【0069】
座席12が機体11の後部に設けられており、機体11において座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13及び繰り出し部14が設けられ、繰り出し部14の左の横外側にブロア15が設けられている。フロート9に作溝器16が連結されて、6個の作溝器16が設けられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って6本のホース17が接続されている。
【0070】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1,2,3に示すように、機体11の前部に設けられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して、静油圧式の無段変速装置23に伝達され、無段変速装置23からミッションケース33の内部のギヤ変速型式の副変速装置(図示せず)に伝達される。
【0071】
右及び左の前車軸ケース34が、ミッションケース33の右部及び左部に連結されて、右及び左の前輪1が、前車軸ケース34の右部及び左部に操向可能に支持されている。副変速装置の動力が、前輪デフ装置(図示せず)、前車軸ケース34の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。操縦ハンドル20が座席12の前側に設けられており、操縦ハンドル20により前輪1が操向操作される。
【0072】
後車軸ケース35が、機体11の後部の下部に左右方向に沿って支持されており、右及び左の後輪2が、後車軸ケース35の右部及び左部に支持されている。副変速装置の動力が、伝動軸36、後車軸ケース35の内部の伝動軸(図示せず)及びサイドクラッチ(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0073】
無段変速装置23は、中立位置Nから前進側及び後進側に無段階に操作可能に構成されている。変速レバー37が操縦ハンドル20の左の横側に設けられ、連係機構44が変速レバー37と無段変速装置23とに亘って接続されている。
【0074】
変速レバー37は、中立位置Nから前進領域F及び後進領域Rに操作可能であり、変速レバー37により、無段変速装置23が中立位置Nから前進側及び後進側に無段階に操作される。
【0075】
(苗植付装置及び施肥装置への伝動系)
図1,2,3に示すように、ミッションケース33において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及び伝動軸38を介して苗植付装置5に伝達されるのであり、植付クラッチ26を伝動状態及び遮断状態に操作する電動モータ28が設けられている。
【0076】
植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右方向に横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して圃場に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0077】
ミッションケース33において、副変速装置の動力が、施肥クラッチ27を介して、施肥装置18の繰り出し部14に伝達されており、電動モータ28により施肥クラッチ27が伝動状態及び遮断状態に操作される。
【0078】
施肥クラッチ27が伝動状態に操作されると、ホッパー13の肥料が繰り出し部14により繰り出されて、ブロア15の搬送風によりホース17を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16により圃場に溝が形成されながら、作溝器16から圃場の溝に肥料が供給される。施肥クラッチ27が遮断状態に操作されると、繰り出し部14が停止する。
【0079】
(苗植付装置の自動昇降制御)
図3に示すように、苗植付装置5の左右方向の軸芯P1周りに、中央のフロート9の後部が上下に揺動可能に支持されている。苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が設けられており、高さセンサー22の検出値が、機体11に設けられた制御装置50に入力されている。
【0080】
機体11の進行に伴って中央のフロート9が圃場に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、圃場(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さが検出される。
【0081】
自動昇降制御部51がソフトウェアとして制御装置50に設けられ、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が設けられており、自動昇降制御部51により制御弁24が操作される。
【0082】
制御弁24が上昇位置に操作されると、油圧シリンダ4に作動油が供給され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇操作される。制御弁24が下降位置に操作されると、油圧シリンダ4から作動油が排出され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降操作される。
【0083】
自動昇降制御部51の作動状態において、高さセンサー22の検出値(圃場から苗植付装置5までの高さ)に基づいて、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持されるように、自動昇降制御部51により制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が作動操作され、苗植付装置5が自動的に昇降操作される。これにより、植付アーム8による苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0084】
(操作レバーによる苗植付装置の昇降操作)
図2及び
図3に示すように、操作レバー39が、操縦ハンドル20の下側の右の横側に設けられて、操作レバー39が右の外側に延出されている。操作レバー39は、中立位置Nから上側の上昇位置UU及び下側の下降位置DDに操作可能に支持されて、中立位置Nに付勢されており、操作レバー39の操作位置が制御装置50に入力されている。
【0085】
操作レバー39が上昇位置UU及び下降位置DDに操作されることに基づいて、制御装置50により、制御弁24及び電動モータ28、自動昇降制御部51が、以下の説明のように操作される。
【0086】
操作レバー39が上昇位置UUに操作されると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作され、自動昇降制御部51が停止状態となり、制御弁24が上昇位置に操作されて、苗植付装置5が上昇操作される。苗植付装置5が上限位置に達すると、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が停止する。
【0087】
操作レバー39が下降位置DDに操作されると、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が遮断状態に操作され、自動昇降制御部51が停止状態となり、制御弁24が下降位置に操作されて、苗植付装置5が下降操作される。中央のフロート9が圃場に接地すると、自動昇降制御部51が作動状態となり、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持される。
【0088】
操作レバー39が下降位置DDに操作され中立位置Nに操作された後に再び下降位置DDに操作されると、自動昇降制御部51の作動状態で、電動モータ28により植付クラッチ26及び施肥クラッチ27が伝動状態に操作される。
【0089】
(機体の位置及び方位の検出の構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左の支持フレーム19が、機体11の前部の右部及び左部に設けられており、予備苗のせ台21が支持フレーム19に支持されている。支持フレーム25が、右及び左の支持フレーム19の上部に亘って連結されている。
【0090】
支持フレーム25において、平面視で機体11の左右中央に位置する部分に、計測装置29(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置29に、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、機体11の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が設けられており、計測装置29は機体11の位置を示す測位データを出力する。
【0091】
後車軸ケース35において平面視で機体11の左右中央に位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置30が取り付けられている。計測装置29及び慣性計測装置30の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0092】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)がある。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(機体11)が備える受信装置を使用して、計測装置29の受信装置の位置を計測するものである。
【0093】
慣性計測装置30に、機体11のヨー角度(機体11の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)が設けられている。慣性計測装置30により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置29及び慣性計測装置30によって、機体11の位置及び方位が検出される。
【0094】
(機体の自動走行及び畦際の位置の取得に関する構成)
図3に示すように、操縦ハンドル20を操作可能な操向モータ40が設けられており、操縦ハンドル20の前側に、液晶ディスプレイ等により構成された表示装置42(報知部に相当)、及びブザー45(報知部に相当)が設けられている。
【0095】
変速レバー37の操作位置が制御装置50に入力されており、変速レバー37を操作可能な変速モータ41が設けられている。自動走行の開始及び停止を行う押しボタン型式の自動操作部43が、変速レバー37の握り部に設けられており、自動操作部43の信号が制御装置50に入力される。
【0096】
図1及び
図2に示すように、丸パイプが折り曲げられて形成された右及び左のガード部材46が、苗植付装置5の右部及び左部に設けられている。右のガード部材46が苗植付装置5(機体11)の最右部となり、左のガード部材46が苗植付装置5(機体11)の最左部となる。上下方向に沿った棒状の右及び左のマーカー47が、右及び左の支持フレーム19に取り付けられている。
【0097】
図3に示すように、制御装置50に、作業経路設定部52、作業経路記憶部53、旋回経路記憶部54、選択部55、走行制御部56、旋回制御部57、報知制御部58、外周部設定部59及び外周部記憶部60が、ソフトウェアとして設けられている。
【0098】
(畦際の位置の取得の為の機体の走行)
図4に示すように、例えば平面視で長方形状で、畦B1,B2,B3,B4を有する圃場において、作業者が以下に説明する操作を行うことにより、畦B1~B4の畦際B11,B21,B31,B41(外周部に相当)に沿った走行ラインS1,S2,S3,S4が、計測装置29及び慣性計測装置30、外周部設定部59により取得される。
【0099】
機体11に搭乗する作業者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を走行させて圃場の出入口A1に位置させる。この場合、
図2に示すように、作業者は、右(左)のマーカー47が、左右方向で右(左)のガード部材46と同じ位置に位置するように、右(左)のマーカー47の位置を事前に調節しておく。
【0100】
図4に示すように、機体11が出入口A1に位置した状態において、操縦ハンドル20の近傍に設けられた設定スイッチ48(
図3参照)を、作業者が押し操作すると、設定スイッチ48が押し操作された時点での機体11の位置が、出入口A1の位置として、外周部設定部59に取得されるのであり、畦際B11に沿った走行ラインS1の取得が開始される。
【0101】
作業者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を出入口A1から発進させて、右のマーカー47(
図2参照)が畦際B11に接するように、機体11を畦際B11に沿って走行させる。
【0102】
畦際B11に配管や岩等の障害物E1が存在すると、作業者は、右のマーカー47が障害物E1に接するように、障害物E1を回避しながら、機体11を走行させる。機体11が次の畦際B31に達すると、作業者は設定スイッチ48を押し操作して、走行ラインS1の取得を終了する。
【0103】
これにより、計測装置29及び慣性計測装置30により機体11の位置が検出され、畦際B11に対して走行ラインS1が取得される。障害物E1が存在する位置では、走行ラインS1が少し圃場の中央側に変位している(走行ラインS1の部分S1a参照)。
【0104】
機体11が次の畦際B31に達すると、作業者は機体11を旋回させ、設定スイッチ48を押し操作して、右のマーカー47が畦際B31に接するように、機体11を畦際B31に沿って走行させる。
【0105】
畦際B31に配管や岩等の障害物E1が存在すると、作業者は、右のマーカー47が障害物E1に接するように、障害物E1を回避しながら、機体11を走行させる。機体11が次の畦際B21に達すると、作業者は設定スイッチ48を押し操作して、畦際B31に沿った走行ラインS3の取得を終了する。
【0106】
この後、作業者は、前述と同様に機体11を畦際B21,B41に沿って走行させて、畦際B21に沿った走行ラインS2、及び、畦際B41に沿った走行ラインS4を取得する。
【0107】
(畦際の位置の取得)
前述の(畦際の位置の取得の為の機体の走行)に記載のように、走行ラインS1~S4が取得されると、以下の説明のように、走行ラインS1~S4に基づいて、外周部設定部59により畦際ラインLB1,LB2,LB3,LB4(作業地の外周部の位置データに相当)が設定され、畦際ラインLB1~LB4が、畦際B11~B41の位置として外周部記憶部60に記憶される。
【0108】
図4及び
図5に示すように、走行ラインS1の部分S1aが、走行ラインS1のうち、機体11の進行方向に対して最も左側(最も圃場の中央側)であったとする。
走行ラインS1の部分S1aから、(横幅W2-所定距離W3)の距離だけ、機体11の進行方向に対して右側(畦際B11側)の位置を通り、走行ラインS1における部分S1aの他の部分(畦際B11)に沿った直線である畦際ラインLB1が、設定されて記憶される。
【0109】
この場合、横幅W2は、
図2に示すように、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅の1/2であり、計測装置29から右(左)のガード部材46までの左右方向での距離である。所定距離W3は、事前に設定された値(例えば、100mm程度)であり、任意に変更可能な値である。
【0110】
走行ラインS2,S3においても、走行ラインS2,S3の部分S2a,S3aが、走行ラインS2,S3のうち、機体11の進行方向に対して最も左側(最も圃場の中央側)であったとする。
【0111】
前述と同様に、走行ラインS2,S3の部分S2a,S3aから、(横幅W2-所定距離W3)の距離だけ、機体11の進行方向に対して右側(畦際B21,B31側)の位置を通り、走行ラインS2,S3における部分S2a,S3aの他の部分(畦際B21,B31)に沿った直線である畦際ラインLB2,LB3が、設定されて記憶される。
【0112】
畦際B41において障害物E1が存在せず、走行ラインS4が直線状であれば、走行ラインS4から、(横幅W2-所定距離W3)の距離だけ、機体11の進行方向に対して右側(畦際B41側)の位置を通り、走行ラインS4(畦際B41)に沿った直線である畦際ラインLB4が、設定されて記憶される。
【0113】
以上のように、畦際ラインLB1,LB2,LB3,LB4が、計測装置29及び慣性計測装置30により検出された機体11の位置から、事前に設定された所定距離W3だけ圃場の中央側の位置を通り、且つ、畦際B11,B21,B31,B41に沿った直線状の位置である。
【0114】
(作業経路の取得)
前述の(畦際の位置の取得)に記載のように、畦際ラインLB1~LB4が外周部記憶部60に記憶されると、以下の説明のように、畦際ラインLB1~LB4及び出入口A1の位置に基づいて、作業経路設定部52により作業経路L01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が設定され、作業経路L01~L07が、作業経路記憶部53に記憶される。
【0115】
図6に示すように、畦際ラインLB1,LB2から設定距離W6だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインLB1,LB2に沿って平行に、枕地ラインLA1,LA2が設定される。畦際ラインLB3,LB4から設定距離W6だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインLB3,LB4に沿って平行に、枕地ラインLA3,LA4が設定される。
【0116】
図6に示す圃場では、設定距離W6が、横幅W2(
図2参照)の2倍の値に設定され、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅に設定されている。
設定距離W6は、任意に変更可能な値であり、設定距離W6が、横幅W2の4倍の値に設定され、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅の2倍の値に設定される場合もある。
【0117】
図2に示すように、隣接する植付アーム8の左右方向の間隔である条間隔W4と、条間隔W4の1/2の設定間隔W5とが認識されている。6条植型式の苗植付装置5の場合、5個の条間隔W4と2個の設定間隔W5とが合計されて(6個の条間隔W4が合計されて)、苗植付装置5の作業幅W1が認識されている。
このように、苗植付装置5において、植付アーム8による条数の分だけ条間隔W4が合計されて、苗植付装置5の作業幅W1が認識されている。
【0118】
図6に示すように、枕地ラインLA3から作業幅W1の1/2の距離だけ圃場の中央側の位置に、作業経路L01が、枕地ラインLA3と平行に枕地ラインLA1,LA2に亘って設定される。作業経路L02~L07が、互いに作業幅W1を隔てながら、作業経路L01と平行に枕地ラインLA1,LA2に亘って設定される。
【0119】
最後の作業経路L07と枕地ラインLA4との間隔が、作業幅W1の1/2の距離とならない場合、
図2に示す設定間隔W5が大小に微調整されることにより、作業幅W1が大小に微調整されて、最後の作業経路L07と枕地ラインLA4との間隔が、作業幅W1の1/2の距離となるように、作業経路L02~L07が設定される。
【0120】
最後の作業経路L07の終了位置D7が出入口A1の近傍となるように、作業経路L07と枕地ラインLA1との交点が、作業経路L07の終了位置D7として設定されるのであり、作業経路L07の向き(
図6に示す作業経路L07の矢印参照)が設定される。
【0121】
最後の作業経路L07の終了位置D7及び向きが設定されることに基づいて、作業経路L01~L07と枕地ラインLA1,LA2との交点において、作業経路L07の開始位置C7、作業経路L01~L06の開始位置C1~C6及び終了位置D1~D6が設定されるのであり、作業経路L01~L06の向き(
図6に示す作業経路L01~L06の矢印参照)が設定される。
【0122】
作業経路L01~L07の開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7とは、
図2に示すように、苗植付装置5の基準位置G1に対応する。苗植付装置5の基準位置G1は、植付アーム8が圃場に苗を植え付ける左右方向での位置(線)において、苗植付装置5の作業幅W1の左右中央部の位置である。
【0123】
苗植付装置5が圃場に下降操作された状態において、植付アーム8が圃場に苗を植え付ける位置(線)と、計測装置29との間の平面視での長さW9が、事前に認識されているので、計測装置29により検出される機体11(計測装置29)の位置、及び、長さW9に基づいて、苗植付装置5の基準位置G1が検出される。
【0124】
以上のようにして、作業経路L01~L07、開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7が設定されると、設定された作業経路L01~L07、開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7が表示装置42に表示される。
【0125】
作業者は、表示された作業経路L01~L07、開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7が適切であるか否かを判断することができるのであり、表示された作業経路L01~L07、開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7が適切であると判断すると、決定スイッチ(図示せず)を操作する。これにより、作業経路L01~L07、開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7が承認されて決定される。
【0126】
(旋回経路記憶部に記憶されている旋回経路)
図9~
図14に示すように、複数の異なる第1~第6の旋回経路LL1,LL2,L3,Ll4,LL5,LL6が、旋回経路記憶部54に記憶されている。
【0127】
後述の(選択部による旋回経路の選択)に記載のように、選択部55により、旋回経路記憶部63に記憶された複数の第1~第6の旋回経路LL1~LL6から、適切な旋回経路LL1~LL6が選択される。
【0128】
第1~第6の旋回経路LL1~LL6の各々について、作業経路L01,L02の終了位置D1,D2、及び作業経路L02,L03の開始位置C2,C3等を例として、以下のように説明する。
【0129】
(第1の旋回経路)
図9に示すように、旋回経路LL1は、作業経路L01の終了位置D1から作業経路L02に向けて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が一定の旋回半径で旋回する形態である。
【0130】
旋回経路LL1は、苗植付装置5が4,5,6条植型式である場合に適しており、圃場において、畦際B11,B21と作業経路L01~L07とが、平面視で略直交する状態で、設定距離W6が、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅(横幅W2の2倍)である場合に適している。
【0131】
(第2の旋回経路)
図10に示すように、旋回経路LL2は、作業経路L01の終了位置D1から作業経路L02に向けて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が前進する前進行程LL2aと、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が一定の旋回半径で旋回する旋回行程LL2bと、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が前進する前進行程LL2cとを有する形態である。
【0132】
旋回経路LL2は、苗植付装置5が4,5,6条植型式である場合に適しており、圃場において、畦際B11,B21と作業経路L01~L07とが、平面視で略直交する状態で、設定距離W6が、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅の2倍(横幅W2の4倍)である場合に適している。
【0133】
(第3の旋回経路)
図11に示すように、旋回経路LL3は、作業経路L01の終了位置D1から作業経路L02に向けて、一定の旋回半径で機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が旋回する旋回行程LL3aと、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が畦際B11に沿って前進する前進行程LL3bと、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が一定の旋回半径で旋回する旋回行程LL3cとを有する形態である。
【0134】
旋回経路LL3は、苗植付装置5が8,10条植型式である場合に適しており、圃場において畦際B11,B21と作業経路L01~L07とが、平面視で略直交する状態で、設定距離W6が、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅(横幅W2の2倍)である場合に適している。
【0135】
(第4の旋回経路)
図12に示すように、旋回経路LL4では、苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L01の終了位置D1に達すると(直進行程)、機体11の前部が畦際B11に近接(接触)する状態となる。
【0136】
旋回経路LL4は、機体11の前部が畦際B11に近接する位置まで、機体11が前進して作業経路L01の終了位置D1に達する直進行程の後に、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が後進する後進行程LL4aと、後進行程LL4aの後に次の作業経路L02の開始位置C2に向けて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が一定の旋回半径で旋回する旋回行程LL4bとを有する形態である。
【0137】
この場合、機体11の前部が畦際B11の少し手前の位置からに畦際B11近接する位置まで、機体11が前進して作業経路L01の終了位置D1に達する直進行程において、この直進行程が、旋回経路LL4の一部となることもある。
【0138】
旋回経路LL4は、苗植付装置5が8,10条植型式である場合に適しており、圃場において畦際B11,B21と作業経路L01~L07とが、平面視で略直交する状態で、設定距離W6が、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅(横幅W2の2倍)である場合に適している。
【0139】
(第5の旋回経路)
圃場が、平面視で長方形状ではなく平面視で菱形であった場合、
図15に示すように、苗植付装置5の右及び左のガード部材46に亘る横幅(横幅W2の2倍)である設定距離W6により、作業経路L01~L07が設定されたとする。この場合、畦際ラインLB1,LB2と、作業経路L01~L07に沿った方向とが、平面視で斜めに交差する状態となっている。
【0140】
図15に示す圃場において、枕地ラインLA1及び畦際ラインLB1に対して、苗植付装置5が4,5,6条植型式である機体11が旋回する場合、以下の説明のように旋回経路LL5が適している。
【0141】
図13に示すように、苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L01の終了位置D1に位置すると、苗植付装置5の左部(左の植付アーム8の植付位置)が、枕地ラインLA1を超えて畦際ラインLB1側に入り込む。
【0142】
これにより、旋回経路LL5において、苗植付装置5の左部(左の植付アーム8の植付位置)が枕地ラインLA1に位置するように、作業経路L01の終了位置D1が、枕地ラインLA1から畦際ラインLB1の反対側に修正される(作業経路L01の終了位置D1a参照)。作業経路L03,L05,L07の終了位置D3,D5,D7においても、前述と同様な修正が行われる。
【0143】
苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L02の開始位置C2に位置すると、苗植付装置5の右部(右の植付アーム8の植付位置)が、枕地ラインLA1を超えて畦際ラインLB1側に入り込む。
【0144】
これにより、旋回経路LL5において、苗植付装置5の右部(右の植付アーム8の植付位置)が枕地ラインLA1に位置するように、作業経路L02の開始位置C2が、枕地ラインLA1から畦際ラインLB1の反対側に修正される(作業経路L02の開始位置C2a参照)。作業経路L04,L06の開始位置C4,C6においても、前述と同様な修正が行われる。
【0145】
旋回経路LL5は、作業経路L01の終了位置D1aから次の作業経路L02の開始位置C2aに向けて、苗植付装置5の基準位置G1が次の作業経路L02の開始位置C2aを通過する位置に達するまで、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が旋回する通過前進旋回行程LL5aと、通過前進旋回行程LL5aの後に次の作業経路L02の開始位置C2aに戻るために、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が後進する開始位置用後進行程LL5bとを有する形態である。
【0146】
(第6の旋回経路)
図15に示す圃場(前述の(第5の旋回経路)参照)において、枕地ラインLA2及び畦際ラインLB2に対して、苗植付装置5が4,5,6条植型式である機体11が旋回する場合、以下の説明のように旋回経路LL6が適している。
【0147】
図14に示すように、苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L02の終了位置D2に位置すると、苗植付装置5の左部(左の植付アーム8の植付位置)が、枕地ラインLA2を超えて畦際ラインLB2側に入り込む。
【0148】
これにより、旋回経路LL6において、苗植付装置5の左部(左の植付アーム8の植付位置)が枕地ラインLA2に位置するように、作業経路L02の終了位置D2が、枕地ラインLA2から畦際ラインLB2の反対側に修正される(作業経路L02の終了位置D2a参照)。作業経路L04,L06の終了位置D4,D6においても、前述と同様な修正が行われる。
【0149】
苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L03の開始位置C3に位置すると、苗植付装置5の右部(右の植付アーム8の植付位置)が、枕地ラインLA2を超えて畦際ラインLB2側に入り込む。
【0150】
これにより、旋回経路LL6において、苗植付装置5の右部(右の植付アーム8の植付位置)が枕地ラインLA2に位置するように、作業経路L03の開始位置C3が、枕地ラインLA2から畦際ラインLB2の反対側に修正される(作業経路L03の開始位置C3a参照)。作業経路L01,L05,L07の開始位置C1,C5,C7においても、前述と同様な修正が行われる。
【0151】
旋回経路LL6は、作業経路L02の終了位置D2aから次の作業経路L03の開始位置C3aに向けて、苗植付装置5の基準位置G1が次の作業経路L03の開始位置C3aの手前の位置に達するまで、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が旋回する未達前進旋回行程LL6aと、未達前進旋回行程LL6aの後に次の作業経路L03の開始位置C3aに向けて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が前進する開始位置用前進行程LL6bとを有する形態である。
【0152】
(選択部による旋回経路の選択)
前述の(作業経路の取得)及び
図6に示すように、作業経路L01~L07が作業経路記憶部53に記憶されると、外周部記憶部60に記憶された畦際B11,B21の位置としての畦際ラインLB1,LB2と、作業経路L01~L07の開始位置C1~C7及び終了位置D1~D7とに基づいて、選択部55により、旋回経路記憶部54に記憶された複数の第1~第6の旋回経路LL1~LL6から、一つ又は複数の旋回経路LL1~LL6が選択される。
【0153】
図6に示す圃場では、選択部55により、旋回経路LL1が適切であると判断されて、旋回経路LL1が選択される(前述の(第1の旋回経路)参照)。
図15に示す圃場では、選択部55により、旋回経路LL5,LL6が適切であると判断されて、旋回経路LL5,LL6が選択される(前述の(第5の旋回経路)(第6の旋回経路)参照)。
【0154】
図6及び
図15に示す圃場以外の圃場及び作業経路L01~L07において、選択部55により旋回経路LL2,LL3,LL4のうちの一つ、又は複数が選択される場合もある(前述の(第2の旋回経路)(第3の旋回経路)(第4の旋回経路)参照)。
【0155】
複数の圃場において、作業経路L01~L07の配置及び設定距離W6等が同じであれば、外周部記憶部60に記憶された畦際B11,B21の位置としての畦際ラインLB1,LB2に基づいて、選択部55により、旋回経路記憶部54に記憶された複数の第1~第6の旋回経路LL1~LL6から、一つ又は複数の旋回経路LL1~LL6が選択されることも可能である。
【0156】
この場合、
図9~
図13に示すように、作業経路L01,L02に沿った方向における畦際B11と作業経路L01の終了位置D1,D1aとの間の距離W7と、作業経路L01,L02に沿った方向における畦際B11と次の作業経路L02の開始位置C2,C2aとの間の距離W8とにおいて、距離W7,W8が同じ値になるように、選択部55により旋回経路LL1~LL5が選択される。
【0157】
前述と同様に
図14に示すように、作業経路L02,L03に沿った方向における畦際B21と作業経路L02の終了位置D2aとの間の距離W7と、作業経路L02,L03に沿った方向における畦際B21と次の作業経路L03の開始位置C3aとの間の距離W8とにおいて、距離W7,W8が同じ値になるように、選択部55により旋回経路LL6が選択される。
【0158】
前述のように、選択部55により推奨される旋回経路LL1~LL6が選択されると、選択された旋回経路LL1~LL6が、
図9~
図14に示すような簡単なパターンによって、表示装置42に表示される。
【0159】
1個の旋回経路LL1~LL6が表示装置42に表示された場合、作業者は、表示された旋回経路LL1~LL6が適切であるか否かを判断し、表示された旋回経路LL1~LL6が適切であると判断すると、決定スイッチ(図示せず)を操作する。これにより、表示された旋回経路LL1~LL6が承認されて決定される。
【0160】
複数個の旋回経路LL1~LL6が表示装置42に表示された場合、作業者は、表示された複数個の旋回経路LL1~LL6のうちから適切な旋回経路LL1~LL6を捜し、決定スイッチ(図示せず)を操作する。これにより、選択された複数個の旋回経路LL1~LL6うちから、適切な旋回経路LL1~LL6が承認されて決定される。
この場合、決定スイッチとして、押しボタン型式や、表示装置42の画面内に設けられたタッチパネル型式のスイッチ等がある。
【0161】
(作業経路での機体の自動走行)
前述の(作業経路の取得)(選択部による旋回経路の選択)及び
図7に示すように、作業経路L01~L07及び旋回経路LL1が設定されたとする。
【0162】
報知制御部58により、機体11の位置、作業経路L01及び作業経路L01の開始位置C1が表示装置42に表示されるので、機体11に搭乗した作業者は、表示装置42を目視しながら、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して機体11を走行させ、操作レバー39を下降位置DDに操作して、苗植付装置5の基準位置G1を作業経路L01の開始位置C1に位置させる。
【0163】
次に作業者は、自動操作部43を操作して、走行制御部56を作動状態とし、操作レバー39を再び下降位置DDに操作して、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作し、苗の植え付け及び肥料の供給を開始する。
【0164】
図3及び
図7に示すように、走行制御部56の作動状態において、計測装置29及び慣性計測装置30の検出に基づいて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が作業経路L01に沿って走行するように、操向モータ40が作動操作されて、前輪1の自動的な操向操作が行われる。変速モータ41が作動操作され、変速レバー37が前進の最高速位置FMよりも少しだけ低速の前進の高速位置F1に自動的に操作されるのであり、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)は作業経路L01に沿って一定の速度で自動的に走行する。
【0165】
報知制御部58により、機体11の位置、機体11が走行する現在の作業経路L01、及び、次に機体11が走行する作業経路L02が、表示装置42に表示される。機体11が作業経路L01の終了位置D1に接近すると、機体11及び作業経路L01,L02に加えて、作業経路L01の終了位置D1及び作業経路L02の開始位置C2、旋回経路LL1が、表示装置42に表示される。
【0166】
(旋回経路での機体の自動走行)
図3及び
図7に示すように、苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L01の終了位置D1に達すると、走行制御部56により変速モータ41が作動操作され、変速レバー37が中立位置Nに操作されて、機体11、苗植付装置5及び施肥装置18が停止し、走行制御部56が停止状態となる。
【0167】
作業者は、操作レバー39を上昇位置UUに操作して苗植付装置5を上昇操作した後、自動操作部43を操作して、旋回制御部57を作動状態とする。
【0168】
旋回制御部57の作動状態において、計測装置29及び慣性計測装置30の検出に基づいて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が旋回経路LL1に沿って走行するように、操向モータ40が作動操作されて、前輪1の自動的な操向操作が行われる。変速モータ41が作動操作され、変速レバー37が高速位置F1よりも低速の前進の低速位置F2に自動的に操作されるのであり、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)は旋回経路LL1に沿って一定の速度で自動的に旋回する。
【0169】
苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L02の開始位置C2の直前に達すると、作業者は、操作レバー39を下降位置DDに操作して、苗植付装置5を圃場に下降操作する。
【0170】
旋回制御部57により機体11を旋回経路LL1に沿って旋回させる操作が適切に行われず、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が、次の作業経路L02の開始位置C2から、作業経路L02に沿った方向と直交する横方向に変位していると、このことが表示装置42にコメントとして表示され、ブザー45が作動する。
【0171】
この場合、作業者は、自動操作部43を操作して旋回制御部57を停止状態とし、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して機体11を旋回させて、機体11の位置を修正する。
【0172】
苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L02の開始位置C2に達すると、旋回制御部57により変速モータ41が作動操作され、変速レバー37が中立位置Nに操作されて、機体11が停止し、旋回制御部57が停止状態となる。
【0173】
作業者は、操作レバー39を再び下降位置DDに操作し、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作して、苗の植え付け及び肥料の供給を開始するのであり、自動操作部43を操作して、走行制御部56を作動状態とする。これにより、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)は作業経路L02に沿って一定の速度で自動的に走行する。
作業者は、以上の操作を繰り返すことより、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)を作業経路L03~L07及び旋回経路LL1に沿って走行及び旋回させる。
【0174】
前述の(選択部による旋回経路の選択)に記載のように、旋回経路LL2~LL6が選択されていても、旋回制御部57の作動状態において、前述の(第2の旋回経路)~(第6の旋回経路)に記載の旋回経路LL2~LL6に沿って機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が走行するように、計測装置29及び慣性計測装置30の検出に基づいて、操向モータ40により前輪1が操向操作され、変速モータ41により変速レバー37が操作される。
【0175】
(畦際に沿っての作業走行)
図8に示すように、苗植付装置5の基準位置G1が作業経路L07の終了位置D7に達すると、作業経路L01~L07に沿った作業走行を終了する。
【0176】
作業者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して機体11を旋回させて、機体11を位置K1に位置させる。作業者は、操作レバー39を下降位置DDに操作して、苗植付装置5を圃場に下降操作し、植付クラッチ26及び施肥クラッチ27を伝動状態に操作するのであり、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を畦際ラインLB4に沿って走行させる回り植えの作業走行L11を行う。
【0177】
機体11が回り植えの作業走行L11から畦際B21に達すると、作業者は、位置K2から、前述と同様にして、機体11を畦際ラインLB2に沿って走行させる回り植えの作業走行L12を行う。
【0178】
作業者は、前述と同様にして、位置K3からの回り植えの作業走行L13、及び位置K4からの回り植えの作業走行L14を行う。回り植えの作業走行L14を終了して、機体11が出入口A1に達すると、作業者は、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を出入口A1から圃場の外に出す。
【0179】
(第2参考形態)
前述の(第5の旋回経路)の旋回経路LL5の通過前進旋回行程LL5aにおいて、
図16に示すように、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が、次の作業経路L02の開始位置C2aに対して、作業経路L02に沿った方向と直交する横方向で、作業経路L01の反対側に位置するように、前輪1が操向操作されて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が旋回するように構成されてもよい。
【0180】
旋回経路LL5の通過前進旋回行程LL5aの後の開始位置用後進行程LL5bにおいて、次の作業経路L02の開始位置C2aに向けて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が斜めに後進するように、前輪1が操向操作される。
【0181】
作業経路L01と作業経路L02との間隔が、
図2に示す作業幅W1よりも少し大きなものに設定されていた場合、
図16に示す旋回経路LL5の通過前進旋回行程LL5aにおいて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が、次の作業経路L02の開始位置C2aに対して、作業経路L02に沿った方向と直交する横方向で、作業経路L01側に位置するように、前輪1が操向操作されて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が前進しながら旋回するように構成されてもよい。
【0182】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態について説明する。この場合、本発明の実施形態において前述の第1参考形態及び第2参考形態と異なる部分について説明しており、その他の部分は前述の第1参考形態及び第2参考形態と同様である。
前述の(第4の旋回経路)の旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、
図17に示すように、前輪1が直進位置から次の作業経路L02に向かう向きの逆向きに操向操作されて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が後進するように構成されてもよい。これにより、旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、機体11は少し次の作業経路L02に向く状態となる。
【0183】
前述の(第4の旋回経路)の旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、
図18に示すように、前輪1が直進位置から次の作業経路L04に向かう向きに操向操作されて、機体11(苗植付装置5の基準位置G1)が後進するように構成されてもよい。これによって、旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、機体11(苗植付装置5)の後部が、隣接する前回の作業経路L02で作業の終了した部分から少し離れる状態となる。
【0184】
図12に示す旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、旋回制御部57により前輪1が左右に繰り返して操向操作されて、機体11が少し蛇行しながら後進するように構成されてもよい。これにより、旋回経路LL4の後進行程LL4aにおいて、前輪1が、作業経路L01の終了位置D1の手前での前輪1の通過軌跡を通過することが少なくなる。
【0185】
(発明の実施の第1別形態)
図13に示す旋回経路LL5の開始位置用後進行程LL5bにおいて、旋回制御部57により前輪1が左右に繰り返して操向操作されて、機体11が少し蛇行しながら後進するように構成されてもよい。これにより、旋回経路LL5の開始位置用後進行程LL5bにおいて、前輪1が、旋回経路LL5の通過前進旋回行程LL5aの前輪1の通過軌跡を通過することが少なくなる。
【0186】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(苗植付装置の自動昇降制御)に記載の自動昇降制御部51の作動感度を、作業者が手動ダイヤル(図示せず)を操作することにより、敏感側及び鈍感側に設定できるように構成されてもよい。
【0187】
一般に、圃場の泥(土)が硬い場合、自動昇降制御部51の作動感度が鈍感側に設定されることが好ましく、圃場の泥(土)が軟らかい場合、自動昇降制御部51の作動感度が敏感側に設定されることが好ましい。
【0188】
作業者が、自動昇降制御部51の作動感度を鈍感側に設定すると、選択部55により、圃場の泥(土)が硬く前輪1及び後輪2のスリップが少ないと判断されて、
図9及び
図11に示す旋回経路LL1,LL3が選択されるように構成されてもよい。
【0189】
作業者が、自動昇降制御部51の作動感度を敏感側に設定すると、選択部55により、圃場の泥(土)が軟らかく前輪1及び後輪2のスリップが多いと判断されて、
図10及び
図12に示す旋回経路LL2,LL4が選択されるように構成されてもよい。
【0190】
これは、
図10及び
図12に示すように、旋回経路LL2,LL4において、前輪1及び後輪2のスリップにより、機体11(苗植付装置5の基準位置G)が、作業経路L02の開始位置C2から外れそうになっても、機体11(苗植付装置5の基準位置G)が作業経路L02の開始位置C2に達するまでに、比較的長い距離が存在して、機体11の向きの修正が行い易いことによる。
【0191】
自動昇降制御部51の作動感度が敏感側に設定されて、選択部55により旋回経路LL4が選択された場合、前述の
(実施形態)及び
図17に示す状態や、前述の
(実施形態)及び
図18に示す状態が自動的に設定されてもよい。
【0192】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明の実施の第2別形態)において、圃場の泥(土)の硬軟が、以下の説明のように自動的に検出されるように構成されてもよい。
【0193】
水田等の圃場では、表面である田面(圃場面)の下側に、比較的硬い耕盤が存在しており、前輪1及び後輪2は下側の耕盤に接地し、苗植付装置5のフロート9は上側の田面(圃場面)に接地する。
【0194】
田面(圃場面)から機体11までの高さが、超音波センサー(図示せず)により検出され、機体11に対する苗植付装置5の高さ(リンク機構3の角度)が、ポテンショメータ(図示せず)により検出されることにより、田面(圃場面)から耕盤までの圃場の深さが検出される。
【0195】
これにより、圃場の深さが浅いと、圃場に水が少なく、圃場の泥(土)は比較的硬いと判断できるのであり、圃場の深さが深いと、圃場に水が多く、圃場の泥(土)は比較的軟らかいと判断できる。
【0196】
(発明の実施の
第4別形態)
前述の(畦際の位置の取得)及び
図5に示すように、畦際ラインLB1~LB4が設定される場合、障害物E1以外の部分において、畦際ラインLB1~LB4が畦際B11~B41に沿って直線状(緩やかな曲線状)に設定され、障害物E1の部分において、畦際ラインLB1~LB4の部分が、平面視で圃場の中央側に突出するように折れ曲がって形成されてもよい。
【0197】
前述の状態において、畦際ラインLB1~LB4における障害物E1の部分が、平面視で緩やかな曲線、又は、緩やかに曲がる2本の直線状の折れ線によって、圃場の中央側に突出するように形成されてもよい。
【0198】
(発明の実施の第5別形態)
前述の(畦際の位置の取得)に記載のように、機体11を走行させることにより畦際ラインLB1~LB4(位置データ)を取得するのではなく、外部の送信機等から、畦際ラインLB1~LB4(位置データ)が、制御装置50に送信されて取得されるように構成されてもよい。
【0199】
畦際ラインLB1~LB4(位置データ)が記憶された記憶媒体(図示せず)を、作業者が持参して、記憶媒体から制御装置50に、畦際ラインLB1~LB4(位置データ)に移すように構成されてもよい。
【0200】
(発明の実施の第6別形態)
選択部55により旋回経路LL1~LL6が自動的に選択されるのではなく、作業者が選択スッチ(図示せず)(選択部に相当)を操作することにより、旋回経路LL1~LL6が人為的に選択されるように構成されてもよい。
この場合、選択スイッチとして、押しボタン型式や、表示装置42の画面内に設けられたタッチパネル型式のスイッチ等がある。
【0201】
(発明の実施の第7別形態)
機体11の自動走行に関する走行制御部56及び旋回制御部57、操向モータ40、変速モータ41及び自動操作部43等が設けられなくてもよい。
この構成によると、作業経路L01~L07及び選択された旋回経路LL1~LL6が表示装置42に表示される。作業者は、表示装置42に表示された、機体11、作業経路L01~L07及び選択された旋回経路LL1~LL6を目視しながら、操縦ハンドル20及び変速レバー37を操作して、機体11を作業経路L01~L07及び選択された旋回経路LL1~LL6に沿って走行及び旋回させる。
【0202】
(発明の実施の第8別形態)
乗用型田植機では、作業経路L01~L07において予備苗のせ台21の苗が少なくなると、作業を一時中断して、機体11を畦際B11~B41に走行させて、畦B1~B4から機体11(予備苗のせ台21)に苗を補給することがある。
【0203】
前述の状態において、作業者が機体11を畦際B11~B41に走行させて停止させると、エンジン31が自動的に停止操作されるように構成されてもよい。
エンジン31が停止操作される前の状態で、苗植付装置5が上限位置まで上昇操作されていないと、苗植付装置5が上限位置まで自動的に上昇操作されて、この後にエンジン31が自動的に停止操作されるように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、苗植付装置5が機体11に設けられた乗用型田植機ばかりではなく、播種装置(図示せず)(作業装置に相当)が機体11に設けられた乗用型直播機、ロータリ耕耘装置(図示せず)(作業装置に相当)や、薬剤散布装置(図示せず)(作業装置に相当)が機体11に設けられたトラクタ等の作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0205】
1 前輪
5 苗植付装置(作業装置)
11 機体
18 施肥装置(作業装置)
29 計測装置(測位部)
42 表示装置(報知部)
45 ブザー(報知部)
53 作業経路記憶部
54 旋回経路記憶部
55 選択部
56 走行制御部
57 旋回制御部
60 外周部記憶部
B11 畦際(外周部)
B21 畦際(外周部)
B31 畦際(外周部)
B41 畦際(外周部)
C1 開始位置
C2 開始位置
C3 開始位置
C4 開始位置
C5 開始位置
C6 開始位置
C7 開始位置
D1 終了位置
D2 終了位置
D3 終了位置
D4 終了位置
D5 終了位置
D6 終了位置
D7 終了位置
L01 作業経路
L02 作業経路
L03 作業経路
L04 作業経路
L05 作業経路
L06 作業経路
L07 作業経路
LB1 畦際ライン(位置データ)
LB2 畦際ライン(位置データ)
LB3 畦際ライン(位置データ)
LB4 畦際ライン(位置データ)
LL1 旋回経路
LL2 旋回経路
LL3 旋回経路
LL4 旋回経路
LL4a 後進行程
LL4b 前進旋回行程
LL5 旋回経路
LL5a 通過前進旋回行程
LL5b 開始位置用後進行程
LL6 旋回経路
LL6a 未達前進旋回行程
LL6b 開始位置用前進行程
W3 所定距離
W7 距離
W8 距離