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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】スタビライザ
(51)【国際特許分類】
   B60G 21/055 20060101AFI20221021BHJP
【FI】
B60G21/055
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019123977
(22)【出願日】2019-07-02
(65)【公開番号】P2021008241
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雅人
(72)【発明者】
【氏名】中山 潤一
(72)【発明者】
【氏名】山内 雄一郎
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-182310(JP,U)
【文献】実開昭59-46707(JP,U)
【文献】実開昭62-127807(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 21/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能な本体筒部と、
左右一対の懸架装置に各別に連結される一対の連結部と、を備えるスタビライザであって、
前記連結部に、前記本体筒部に固定された中実の固定軸部が設けられ、
前記固定軸部は、
前記本体筒部内に嵌合された嵌合部と、
前記嵌合部と前記連結部とを接続し、前記嵌合部より大径に形成された大径部と、を備え、
前記本体筒部の開口端縁と前記大径部とを接合し、かつ前記本体筒部の中心軸線回りに沿う周方向の全長にわたって連続して延びる第1溶接部と、
前記本体筒部の内周面と前記嵌合部の外周面とを接合する第2溶接部と、が設けられている、スタビライザ。
【請求項2】
前記第1溶接部、および前記第2溶接部は、互いに接続されて連続して延びている、請求項1に記載のスタビライザ。
【請求項3】
前記第2溶接部は、周方向の全長にわたって連続して延び、
前記第1溶接部と前記第2溶接部との間に、前記本体筒部の内周面と前記嵌合部の外周面とを接合する中間溶接部が設けられ、
前記第1溶接部、前記第2溶接部、および前記中間溶接部は、互いに接続されて無端状に延びている、請求項2に記載のスタビライザ。
【請求項4】
前記中間溶接部は、前記本体筒部の中心軸線を中心に、360°を超えた角度範囲にわたって周方向に延びている、請求項3に記載のスタビライザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタビライザに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1に示されるような、弾性変形可能な本体筒部と、左右一対の懸架装置に各別に連結される一対の連結部と、を備え、連結部に、本体筒部内に嵌合された中実の固定軸部が設けられ、固定軸部のうち、本体筒部内から外部に突出した部分の外周面と、本体筒部の開口端縁と、が溶接により接合されたスタビライザが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-46707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のスタビライザでは、本体筒部内を密封すること、および疲労強度を向上させることが困難であるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、本体筒部内を密封すること、および疲労強度を向上させることの双方を実現することができるスタビライザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のスタビライザは、弾性変形可能な本体筒部と、左右一対の懸架装置に各別に連結される一対の連結部と、を備えるスタビライザであって、前記連結部に、前記本体筒部に固定された中実の固定軸部が設けられ、前記固定軸部は、前記本体筒部内に嵌合された嵌合部と、前記嵌合部と前記連結部とを接続し、前記嵌合部より大径に形成された大径部と、を備え、前記本体筒部の開口端縁と前記大径部とを接合し、かつ前記本体筒部の中心軸線回りに沿う周方向の全長にわたって連続して延びる第1溶接部と、前記本体筒部の内周面と前記嵌合部の外周面とを接合する第2溶接部と、が設けられている。
【0007】
この発明によれば、固定軸部が、嵌合部より大径に形成された大径部を備えるので、本体筒部の開口端縁と大径部とを接合する際に、大径部に形成された段部を本体筒部の開口端縁に突当てることが可能になり、本体筒部の内周面と嵌合部の外周面とを当接させる場合と比べて、固定軸部を本体筒部に対して容易かつ確実に全周にわたって連続して当接させることができる。そして、本体筒部の開口端縁と大径部とが、第1溶接部により周方向の全長にわたって連続して接合されているので、本体筒部内を確実に密封することができる。また、第1溶接部が、本体筒部の開口端縁と大径部とを接合していることから、本体筒部の内周面と嵌合部の外周面とを接合する第2溶接部と比べて、本体筒部と固定軸部との接合面積を広く確保することが可能になり、疲労強度を向上させることができる。
本体筒部の開口端縁と大径部とを接合する際に、大径部の段部を本体筒部の開口端縁に突当てることが可能になることから、この接合時に、本体筒部および固定軸部の前記中心軸線に沿う軸方向の相対位置を容易かつ精度よく決めることができる。
第1溶接部、および第2溶接部の双方が設けられているので、疲労強度を確実に向上させることができる。
固定軸部と本体筒部とが溶接により接合されていて別部材となっているので、例えば、本体筒部を薄肉にしてスタビライザの軽量化を図っても、固定軸部および連結部の各肉厚を厚くすること等が可能になり、固定軸部および連結部の強度を確保することができる。
【0008】
ここで、前記第1溶接部、および前記第2溶接部は、互いに接続されて連続して延びてもよい。
【0009】
この場合、第1溶接部、および第2溶接部が、互いに接続されて連続して延びているので、第1溶接部、および第2溶接部を形成するに際し、同一の製造装置を用いて、この製造装置の稼働を停止させず継続することが可能になり、製造効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記第2溶接部は、周方向の全長にわたって連続して延び、前記第1溶接部と前記第2溶接部との間に、前記本体筒部の内周面と前記嵌合部の外周面とを接合する中間溶接部が設けられ、前記第1溶接部、前記第2溶接部、および前記中間溶接部は、互いに接続されて無端状に延びてもよい。
【0011】
この場合、第1溶接部、第2溶接部、および中間溶接部が、互いに接続されて無端状に延びているので、第1溶接部、第2溶接部、および中間溶接部のなかで、劣化しやすい終端部分が生ずるのを防ぐことが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができるとともに、見栄えの悪化を抑制することができる。
第1溶接部、第2溶接部、および中間溶接部が、互いに接続されて無端状に延びていることから、本体筒部と固定軸部との接合面積を広く確保することが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができる。
【0012】
また、前記中間溶接部は、前記本体筒部の中心軸線を中心に、360°を超えた角度範囲にわたって周方向に延びてもよい。
【0013】
この場合、中間溶接部が、本体筒部の中心軸線を中心に、360°を超えた角度範囲にわたって周方向に延びているので、中間溶接部の長さを確保することが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、本体筒部内を密封すること、および疲労強度を向上させることの双方を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1実施形態として示したスタビライザが懸架装置に装着された状態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態として示したスタビライザの一部縦断面図である。
図3】本発明に係る一実施形態として示したスタビライザの製造方法を説明する説明図である。
図4】本発明に係る一実施形態として示したスタビライザの製造方法を説明する説明図である。
図5】本発明に係る第2実施形態として示したスタビライザの一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るスタビライザの第1実施形態を、図1図4を参照しながら説明する。
本実施形態のスタビライザ1は、図1に示されるように、本体筒部11、および連結部12を備え、左右一対の懸架装置50同士を連結する。本体筒部11、および連結部12は、例えば炭素鋼鋼材などにより形成される。
【0017】
まず、懸架装置50について説明する。
懸架装置50は、車輪54を回転可能に支持する支持部51と、下端部が支持部51に取り付けられるシリンダを有するショックアブソーバ52と、ショックアブソーバ52のシリンダとスタビライザ1とを連結するスタビライザリンク53と、を備える。
以下、スタビライザ1について、懸架装置50に取り付けられた状態での姿勢に基づいて説明する。
【0018】
本体筒部11は、車両の左右方向に延びる筒状のトーション部14と、トーション部14における左右方向の両端部から車両の後方に向けて各別に延びる一対の筒状のアーム部15と、を備え、弾性変形可能に形成されている。
【0019】
トーション部14の長さは、アーム部15の長さより長い。トーション部14の外周面は、左右方向の全長にわたって左右方向に真直ぐ延びている。アーム部15の外周面は、前後方向の全長にわたって前後方向に真直ぐ延びている。トーション部14の内径および外径はそれぞれ、全長にわたって同等になっている。アーム部15の内径および外径はそれぞれ、全長にわたって同等になっている。トーション部14の内径および外径はそれぞれ、アーム部15の内径および外径と同等になっている。トーション部14とアーム部15との接続部分は、左右方向の外側に向けて突となるように屈曲している。
【0020】
なお、トーション部14の長さを、アーム部15の長さ以下としてもよい。トーション部14およびアーム部15は湾曲してもよい。トーション部14およびアーム部15の各内径を互いに異ならせてもよく、トーション部14およびアーム部15の各外径を互いに異ならせてもよい。
【0021】
連結部12は、本体筒部11のアーム部15側から車両の後方に向けて真直ぐ突出している。なお、連結部12は、本体筒部11のアーム部15側から後方に向けて屈曲した状態で突出してもよい。連結部12は、その表裏面が車両の左右方向を向く板状に形成されている。
連結部12には、板厚方向に貫く貫通孔12aが形成されている。この貫通孔12a、およびスタビライザリンク53に形成された貫通孔にボルトが一体に挿通された状態で、このボルトにナットが螺着されることにより、連結部12が、スタビライザリンク53に連結される。
【0022】
以上の構成において、スタビライザ1は、車両が例えば旋回走行するときなど、左右一対のショックアブソーバ52の変位量が相違した際に、弾性変形することで、車両のロール方向の変位を抑える。
【0023】
連結部12に、本体筒部11に固定された中実の固定軸部13が設けられている。固定軸部13は、連結部12から車両の前方に向けて延びている。固定軸部13は、連結部12と一体に形成されている。図2に示されるように、固定軸部13は、本体筒部11内に嵌合された嵌合部16と、嵌合部16と連結部12とを接続し、嵌合部16より大径に形成された大径部17と、を備えている。嵌合部16、および大径部17は、本体筒部11の中心軸線Oと同軸に配設されている。大径部17の外径は、本体筒部11の外径より小さくなっている。なお、大径部17の外径を、本体筒部11の外径以上としてもよい。
【0024】
スタビライザ1に、固定軸部13と本体筒部11とを接合する第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23が設けられている。
【0025】
第1溶接部21は、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とを接合し、かつ本体筒部11の中心軸線O回りに沿う周方向の全長にわたって連続して延びている。第1溶接部21の、中心軸線Oに沿う軸方向の位置は、周方向の全長にわたって同じになっている。
第1溶接部21は、本体筒部11における径方向(厚さ方向)の全域に設けられている。第1溶接部21は、図3に示されるように、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17の段部17aとを突当てた状態で、段部17aと本体筒部11の開口端縁11aとの当接部分を溶かして一体にすることで形成されている。
なお、第1溶接部21は、本体筒部11の開口端縁11aのうち、外周部分より径方向の内側に位置する部分に限って設けてもよい。
【0026】
第2溶接部22は、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを接合している。第2溶接部22は、第1溶接部21から軸方向に離れている。第2溶接部22は、嵌合部16を本体筒部11内に嵌合した状態で、本体筒部11における径方向(厚さ方向)の全域、および嵌合部16の外周面を溶かして一体にすることで形成されている。第2溶接部22、および第1溶接部21は、互いに接続されて連続して延びている。第2溶接部22、および第1溶接部21は、互いに離れて独立して設けられてもよい。
第2溶接部22は、周方向の全長にわたって連続して延びている。第2溶接部22の軸方向の位置は、周方向の全長にわたって同じになっている。なお、第2溶接部22は、軸方向の位置を異ならせつつ、周方向の全長にわたって連続して延びてもよい。
【0027】
中間溶接部23は、第1溶接部21と第2溶接部22との間に設けられ、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを接合している。中間溶接部23は、第2溶接部22と同様に、嵌合部16を本体筒部11内に嵌合した状態で、本体筒部11における径方向(厚さ方向)の全域、および嵌合部16の外周面を溶かして一体にすることで形成されている。中間溶接部23は、本体筒部11の中心軸線Oを中心に、約180°の角度範囲にわたって周方向に延び、第1溶接部21と第2溶接部22とを接続している。中間溶接部23は、周方向の一方側に向かうに従い、軸方向の一方側に向けて延びている。
なお、中間溶接部23は、例えば、軸方向に真直ぐ延びてもよいし、周方向に屈曲しながら軸方向に延びてもよい。また、中間溶接部23を設けず、例えば、周方向の全長にわたって連続して延びる第1溶接部21と、周方向の全長にわたって連続して延びる第2溶接部22と、が、軸方向に離れて不連続で互いに独立して設けられた構成を採用してもよい。
【0028】
第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23は、互いに接続されて無端状に延びている。第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23は、例えばレーザ溶接等により形成される。レーザ溶接の場合、加工時間を抑えること、大気中で溶接すること、並びに、加熱部位を局所的に抑えることをそれぞれ実現することができる。
なお、第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23は、レーザ溶接に限らず他の溶接で形成されてもよい。また、周方向の全長にわたって連続して延びる第1溶接部21と、本体筒部11の中心軸線Oを中心に360°未満、周方向に沿って延びる第2溶接部22と、中間溶接部23と、を備える構成を採用してもよい。
【0029】
次に、以上のように構成されたスタビライザ1の製造方法について説明する。
図3に示されるように、嵌合部16が本体筒部11内に嵌合され、かつ段部17aが本体筒部11の開口端縁11aに突当てられてなる、本体筒部11、連結部12、および固定軸部13の組立体Wを、図4に示されるような製造装置30にセットする。この際、本体筒部11に、トーション部14および一対のアーム部15は形成されておらず、本体筒部11は全長にわたって真直ぐ延びている。
【0030】
そして、本体筒部11の開口端縁11aと段部17aとの当接部分を、レーザ溶接機33に対向させた状態で、回転機32により組立体Wを中心軸線O回りに回転させながら、レーザ溶接機33からレーザを前記当接部分に照射することによって、大径部17と本体筒部11の開口端縁11aとを接合し、かつ軸方向の位置が周方向の全長にわたって同じになっている第1溶接部21が形成される。
ここで、回転機32に、連結部12を着脱可能に保持する冶具32aが設けられている。製造装置30は、本体筒部11における軸方向の中間部分を回転可能に支持するポジショナー34を備えている。
【0031】
次に、回転機32による組立体Wの回転、およびレーザ溶接機33からのレーザおよびガスの照射を継続したままの状態で、レーザ溶接機33を軸方向に移動させることによって、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを接合し、かつ周方向の一方側に向かうに従い、軸方向の一方側に向けて延びる中間溶接部23が形成される。
次に、回転機32による組立体Wの回転、およびレーザ溶接機33からのレーザおよびガスの照射を継続したままの状態で、レーザ溶接機33の軸方向の移動を停止させることによって、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを接合し、かつ軸方向の位置が周方向の全長にわたって同じになっている第2溶接部22が形成される。
【0032】
以上より、互いに接続されて無端状に延びる第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23が形成される。
その後、本体筒部11をA1変態点未満の温度に加熱し、本体筒部11に曲げ加工を施し、トーション部14および一対のアーム部15を形成した後に、本体筒部11、連結部12、および固定軸部13の全体を、例えば抵抗加熱などによりA1変態点以上融点未満の温度に加熱して焼入れる。以上より、スタビライザ1が得られる。
なお、この焼入れは、第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23を形成する前に行ってもよい。また、この焼入れは、本体筒部11にのみ施してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によるスタビライザ1によれば、固定軸部13が、嵌合部16より大径に形成された大径部17を備えるので、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とを接合する際に、図3に示されるように、大径部17に形成された段部17aを本体筒部11の開口端縁11aに突当てることが可能になり、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを当接させる場合と比べて、固定軸部13を本体筒部11に対して容易かつ確実に全周にわたって連続して当接させることができる。
【0034】
そして、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とが、第1溶接部21により周方向の全長にわたって連続して接合されているので、本体筒部11内を確実に密封することができる。また、第1溶接部21が、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とを接合していることから、本体筒部11の内周面と嵌合部16の外周面とを接合する第2溶接部22と比べて、本体筒部11と固定軸部13との接合面積を広く確保することが可能になり、疲労強度を向上させることができる。
【0035】
本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とを接合する際に、大径部17の段部17aを本体筒部11の開口端縁11aに突当てることが可能になることから、この接合時に、本体筒部11および固定軸部13の軸方向の相対位置を容易かつ精度よく決めることができる。
第1溶接部21、および第2溶接部22の双方が設けられているので、疲労強度を確実に向上させることができる。
固定軸部13と本体筒部11とが溶接により接合されていて別部材となっているので、例えば、本体筒部11を薄肉にしてスタビライザ1の軽量化を図っても、固定軸部13および連結部12の各肉厚を厚くすること等が可能になり、固定軸部13および連結部12の強度を確保することができる。
【0036】
第1溶接部21、および第2溶接部22が、互いに接続されて連続して延びているので、第1溶接部21、および第2溶接部22を形成するに際し、同一の製造装置30を用いて、この製造装置30の稼働を停止させず継続することが可能になり、製造効率を向上させることができる。
【0037】
第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23が、互いに接続されて無端状に延びているので、第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23のなかで、劣化しやすい終端部分が生ずるのを防ぐことが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができるとともに、見栄えの悪化を抑制することができる。
第1溶接部21、第2溶接部22、および中間溶接部23が、互いに接続されて無端状に延びていることから、本体筒部11と固定軸部13との接合面積を広く確保することが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができる。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態に係るスタビライザ2を、図5を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0039】
本実施形態のスタビライザ2では、中間溶接部25が、本体筒部11の中心軸線Oを中心に、360°を超えた角度範囲にわたって周方向に延びている。
中間溶接部25は、一端部が第1溶接部21に接続された第1中間溶接部25aと、一端部が第2溶接部22に接続された第2中間溶接部25bと、第1中間溶接部25aおよび第2中間溶接部25bの各他端部同士を接続した第3中間溶接部25cと、を備えている。第1中間溶接部25a、第2中間溶接部25b、および第3中間溶接部25cはそれぞれ、本体筒部11の中心軸線Oを中心に、約180°の角度範囲にわたって周方向に延びている。
【0040】
第1中間溶接部25a、および第2中間溶接部25bはそれぞれ、周方向の一方側に向かうに従い、軸方向の一方側に向けて延びている。第1中間溶接部25a、および第2中間溶接部25bはそれぞれ、同じ周方向の領域に設けられるとともに、径方向の外側から見て、ほぼ平行に延びている。第1中間溶接部25aにおける第1溶接部21の反対側の他端部、および第2中間溶接部25bにおける第2溶接部22の反対側の他端部それぞれの軸方向の位置が互いに同等になっている。
【0041】
第3中間溶接部25cの軸方向の位置は、周方向の全長にわたって同じになっている。
なお、中間溶接部25は、全長にわたって周方向の一方側に向かうに従い、軸方向の一方側に向けて延びる螺旋状に形成されてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によるスタビライザ2によれば、中間溶接部25が、本体筒部11の中心軸線Oを中心に、360°を超えた角度範囲にわたって周方向に延びているので、中間溶接部25の長さを確保することが可能になり、疲労強度を確実に向上させることができる。
本実施形態においても、前記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
前記実施形態では、本体筒部11の開口端縁11aと大径部17とを接合する際に、大径部17の段部17aを本体筒部11の開口端縁11aに突当てたが、この接合時に、段部17aと本体筒部11の開口端縁11aとの間に軸方向の隙間を設けてもよい。
第2溶接部22は、周方向の一方側に向かうに従い、軸方向の一方側に向けて延びてもよいし、本体筒部11の中心軸線Oを中心に、360°未満の角度範囲にわたって周方向に延びてもよい。
連結部12は、本体筒部11のアーム部15側から左右方向に突出してもよく、スタビライザの構成は適宜変更してもよい。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、2 スタビライザ
11 本体筒部
11a 開口端縁
12 連結部
13 固定軸部
16 嵌合部
17 大径部
21 第1溶接部
22 第2溶接部
23、25 中間溶接部
50 懸架装置
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5