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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】磁気位置センサを含む回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/215 20160101AFI20221021BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20221021BHJP
   H02K 19/02 20060101ALI20221021BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
H02K11/215
G01D5/245 H
G01D5/245 110X
G01D5/245 110L
H02K19/02
H02K9/06 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019529549
(86)(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2017077740
(87)【国際公開番号】W WO2018099667
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】1661795
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(73)【特許権者】
【識別番号】517357424
【氏名又は名称】マヴェル ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MAVEL S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ディブ、 ヴィサム
(72)【発明者】
【氏名】ファブレ、 ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ベットーニ、 ダヴィデ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/181900(WO,A1)
【文献】特開2010-041884(JP,A)
【文献】特開2017-167014(JP,A)
【文献】特開2004-222391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/215
G01D 5/245
H02K 19/02
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械であって、
-フレーム(130)内に配置され、巻線を含む固定子(190)と、
-前記固定子内に回転可能に取り付けられ、軸(X)の周りを回転する回転シャフト(160)に固定された本体を含む回転子(150)と、
-負荷を駆動する前記回転シャフト(160)の端部(160a)を支持する第1の軸受(171)と、
-前記負荷を駆動する前記端部とは反対側の前記回転シャフト(160)の端部(160b)を支持する第2の軸受(172)と、
-前記フレーム(130)の第1の端部に配置され、前記第1の軸受(171)を受け入れる第1のハウジングを中央部に含む前部フランジ(110)と、
-前記第1の端部とは反対側の前記フレームの第2の端部に配置され、前記第2の軸受(172)を受け入れる第2のハウジングを中央部に含む後部フランジ(120)とを含み、 前記前部フランジおよび後部フランジ(110、120)はそれぞれ内面と外面とを有し、前記回転電気機械は、
-前記シャフトが回転する間、前記回転子の角度位置を測定する磁気位置センサ(101)をさらに有し、前記位置センサ(101)は、
-前記負荷を駆動する前記端部とは反対側の前記回転シャフト(160)の前記端部(160b)に固定され、前記回転シャフト(160)が回転する間、前記回転シャフトとともに回転するように制限される磁石(102)を有する回転部(108)と、
-ホール効果センサと、前記センサ(109)の出力信号を送信するための手段とを含み、前記回転部(108)に面し、前記機械の前記フレームに連結された固定金属支持体(106)上に取り付けられた固定部(103)とを有し、
前記位置センサ(101)の前記回転部(108)および前記固定部(103)は、前記軸(X)を中心とする第3の軸受(104)によって分離され、前記第3の軸受は、一方では前記負荷を駆動する前記端部とは反対側の前記回転シャフト(160)の前記端部(160b)に固定され、他方では前記センサの前記回転部を含む前記回転シャフト(160)の前記端部を通過させるように構成された前記金属支持体(106)内に形成された開口部の壁に固定され、前記第3の軸受(104)は、前記位置センサ(101)の前記回転部(108)と接触している、回転電気機械(100)。
【請求項2】
前記位置センサの前記回転部(108)は、前記負荷を駆動する前記端部とは反対側の前記回転シャフト(160)の前記端部(160b)に形成されたキャビティ(107)内に収容されたインサート(105)を含み、前記キャビティ(107)は、前記機械の外部に向かう開口部を含み、前記インサート(105)は、前記位置センサの磁石を備えた前記キャビティ(107)の前記開口部の側面上に設けられる、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記位置センサ(101)の前記回転部(108)の前記インサート(105)は、非磁性材料で作られ、好ましくは非磁性鋼または真鍮で作られる、請求項に記載の電気機械。
【請求項4】
前記第3の軸受(104)は、強磁性材料で形成され、好ましくは強磁性鋼で形成される、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項5】
前記第3の軸受(104)は、転動部材、好ましくは玉を有する種類の軸受であり、好ましくは前記金属支持体(106)の前記開口部の前記壁に固定された外部レースと、前記駆動端部とは反対側であり、前記センサ(101)の前記回転部(108)と接触している前記回転シャフト(160)の前記端部(160b)に固定された内部レースとを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項6】
前記センサの前記固定部(103)の前記固定金属支持体(106)は、前記後部フランジ(120)の方に面する内面と、前記機械の外部の方に向けられた外面とを有し、前記外面は、前記金属支持体の前記開口部の周囲に平面(106a)を含み、前記平面(106a)は、前記位置センサ(101)の前記固定部(103)に接触している、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項7】
前記フレームならびに前記前部フランジおよび前記後部フランジを冷却する外部冷却手段を含む冷却システムをさらに含み、前記外部冷却手段は、前記回転シャフト(160)に固定され、前記後部フランジ(120)の前記外面(122)と前記第3の軸受(140)との間に配置され、外部空気を前記フレーム(130)に沿って前記前部フランジ(110)の方向に送る外部ファン(140)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項8】
-前記フレーム(130)は、前記回転シャフト(160)の前記軸(X)に平行な軸に実質的に沿って伸びる冷却ファン(131)の組を含む外面を有し、
-前記後部フランジ(120)は、円筒形周囲部(128b)に連結されたリングの形をした中央部(128a)と、前記後部フランジ(120)の前記中央部(128a)と前記周囲部(128b)との間に配置され、前記外部ファン(140)からの前記外部空気を前記フレーム(130)の前記外面上に前記冷却ファン(131)の前記組によって形成された前記通路内に送る少なくとも1つの開口部(127)とを有する、請求項に記載の電気機械。
【請求項9】
前記外部ファン(140)は、前記後部フランジ(120)の前記外面(122)と前記第3の軸受(104)との間の前記回転シャフト(160)上に取り付けられた外部空気インペラを含み、前記位置センサ(101)用の前記固定金属支持体(106)は、前記外部ファン(140)を覆う保護プレート(129)に固定されることによって前記フレームに連結され、前記保護プレート(129)は、前記外部空気が進入するオリフィス(129a)を含み、前記後部フランジ(120)の前記周囲部(128b)に固定される、請求項およびのいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項10】
前記フレーム(130)ならびに前記前部フランジおよび前記後部フランジは、密閉ケーシングを形成し、前記冷却システムは、前記フレーム(130、230)内部に配置され、前記回転子(150)が回転するときに前記フレーム内部に空気流を生じさせる内部ファン(181、182)の対をさらに含み、各ファンは、前記回転子(150)の前記本体と軸受(171、172)との間の前記回転シャフト(160、260)上に固定的に取り付けられ、前記前部フランジおよび前記後部フランジの各々の前記内面は、前記各フランジの前記第1および第2のハウジング(116a、126a、216a、226a)の周囲部上に配置され、前記空気流の向きを定め、前記空気流の前記熱を取り込むフィン(113、123)を含む、請求項からのいずれか一項に記載の密閉電気機械。
【請求項11】
前記機械と一体的な前記磁気位置センサは、ヨーロッパ規格EN60529による保護等級IP67を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項12】
出力定格が20kw以上でかつ75kw以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項13】
同期リラクタンス型である、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械の分野に関し、詳細には回転電気機械の回転子の角度位置の測定に関する。
より詳細には、本発明は、一体型磁気位置センサを含む同期リラクタンス回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電気機械は従来、互いに同軸に配置された、固定部分、すなわち固定子と、回転移動可能な部分、すなわち回転子とを含む。回転子は一般に、固定子内部に収容され、固定子は、回転子を回転駆動する磁界を発生させる電気巻線を保持する。回転子は一般に、層状構造の積層体で形成され、回転シャフト上に配置された本体で形成される。それらの層状構造は、回転子の周囲に磁極を形成する永久磁石または巻線用のハウジングを構成する。各磁石は、回転子の表面上に露出されてもよく、または完全に回転子内部に組み込まれてもよい。
【0003】
回転子の位置に関する正確な情報は、これらの機械を特に高速で制御するうえで必須である。図1は、この動作の原理と、電気機械4と、この機械のトルクを調節するアルゴリズム3と、センサによって得られる電圧U、電流I、および機械回転位置Pの情報2との間の関係を示す。機械4の回転子の位置Pに関する正確な情報は従来、機械のトルクのベクトル制御についてのアルゴリズム3によって使用される。このことは一般に、ベクトル制御と呼ばれる。その理由は、機械4が目標用途によって必要とされるトルクを発生させるには、機械4内を循環する電流同士を同相に維持し、回転子の位置と同期させなければならないからである。このことを実現するために、機械のマイクロコントローラ1は、機械を制御するインバータに組み込まれ、機械4の端子に電圧Uを印加することによって機械を制御する。それらの電圧はトルク制御アルゴリズム3によって供給される。
【0004】
回転電気機械の回転子の角度位置を得る様々な方法が知られている。第1の方法は、その位置を完全にソフトウェアによって推定することから成り、第2の方法は、位置センサを使用してこの位置を判定することから成る。位置センサを使用すると、より正確な情報が与えられる。同期リラクタンス機械などのいくつかの回転電気機械は、磁石をほとんど含まず、回転子の位置に関する非常に正確な情報を必要とする。この測定は一般に、1電気角が1機械角に極の対の数を掛けた値に等しい場合に、特に高速では精度が1電気角未満でなければならない。より一般的には、最高の精度を実現することの目的は、機械の安定した確実な制御を可能にすることである。
【0005】
一般に正確な測定値をもたらすが、コストがかかり、インバータをどのように制御するかを適応させることが必要になることがある「リゾルバ」型センサを含む、いくつかの既知の種類の位置センサを使用することができる。コストの低い磁気センサ、またはインクリメンタルセンサなどの他の種類のセンサが使用されてもよい。
【0006】
本発明は、回転子の角度位置を判定する磁気位置センサを含む回転電気機械に関する。
図2は、動作原則が本発明による機械において使用される動作原則と同一である標準的な磁気位置センサを示す。位置センサ10は、2つの部分、すなわち、磁石を含み、回転移動が矢印によって示されている回転部11と、複数のホール効果磁気センサを含む固定部12とを有する。回転部は、機械の回転子のシャフトに固定され、一般にシャフト内に磁石が組み込まれる。固定部12のホール効果センサは、シャフトとともに回転する磁石によって生成される回転する磁界の振幅を検出し、それによって、磁石の位置、したがって回転子の角度位置を示す出力信号を生成することが可能になる。ケーブル13は、位置センサ10によって生成される電気信号を送るために使用される。この種のセンサは、DC電圧、たとえば、5ボルト±5%のDC電圧Vddによって駆動される。センサは、2つの出力信号、すなわち、回転子の角度位置の正弦波および余弦波を生成する。これらの信号VおよびVは一般に正弦波形態であり、互いに90°ずれる。したがって、電気機械を制御するために、この2つの信号が、機械を制御するのに使用されるマイクロコントローラにおいて使用されて調整される。
【0007】
シャフトに固定された磁石と固定部の磁気センサとの間の半径方向距離は、出力信号の振幅および測定精度に大きな影響を及ぼす。
【0008】
上記の位置センサ形状は、以下のようにいくつかの利点を有する。
-このセンサが生成することのできる位置測定値の精度に対してコストが低いこと、
-規格EN60529による「IP」保護等級が高く、一般に保護等級IP67であること、
-設置が容易であること。
【0009】
一方、この種の位置センサは、磁気センサを含む固定部に対する回転部の磁石の半径方向移動および軸方向移動の影響を非常に受けやすい。軸方向移動は、回転子のシャフトが回転する軸(X)によって定義される方向における移動を意味し、半径方向移動は、軸(X)に垂直な移動を意味する。これらの移動は、たとえば、累積機械公差、熱的効果(たとえば、鉄の膨張)、磁石の支持体の機械公差(シャフトの穴の移動)に起因して生じる。累積機械公差は、位置センサと従来採用されている機械基準、すなわち、回転シャフトを支持する軸受との間の中間部の存在、特に、機械を冷却するためにシャフト上に取り付けられたファンなどの回転中間部の存在に関連する。位置センサと(機械の後端部の所で)回転シャフトを支持する軸受との間の任意の中間部は、様々な機械部品、特に位置センサについての厳密な累積公差を維持するのを困難にする。ここで、磁気位置センサによる回転子の正確な測定を実現するには厳密な公差が重要である。
【0010】
さらに、出力信号、特に信号の(ピーク間)振幅は、機械の誘導磁界および磁石が取り付けられたシャフトの磁化によって乱されることがある。磁石の支持体は通常、非磁性体であり、それによって、一方では固定子からの磁力線から磁石を保護し、他方では、磁石の場の集中を維持することが可能になる。しかし、一般に常に、特に高電流では、支持体によって除去できない漏洩磁力線がある。シャフトが磁化される場合、位置センサの磁石が経時的に消磁される恐れがあり、かつ固定子において磁力線が発生することもある。このことはすべて、磁気位置センサの動作、したがって測定を妨害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を解消し、モータのシャフト上で生じやすい機械的及び/又は磁気的な乱れとは無関係に回転子の位置に関する安定した正確な情報を提供することができる、回転子の角度位置の一体型センサを備えた回転電気機械を提供することである。
詳細には、本発明の目的は、回転子の位置に関するこの種の情報を提供し、同時に、位置センサの容易な組込み、及び/又は、前記センサの高い密封レベルに関する保護、一般には規格EN60529による保護等級IP67を実現し、電気機械の密封に関する要件、及び/又は、回転子の位置の測定についての限定的で効率的なコストに適合することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、上記の目的のうちの少なくとも1つを実現するために、本発明は、回転電気機械であって、
-フレーム内に配置され、巻線を含む固定子と、
-固定子内に回転可能に取り付けられ、軸(X)の周りを回転する回転シャフトに固定された本体を含む回転子と、
-負荷を駆動する回転シャフトの端部を支持する第1の軸受と、
-負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフトの端部を支持する第2の軸受と、
-フレームの第1の端部に配置され、第1の軸受を受け入れる第1のハウジングを中央部に含む前部フランジと、
-第1の端部とは反対側のフレームの第2の端部に配置され、第2の軸受を受け入れる第2のハウジングを中央部に含む後部フランジとを有し、
前部フランジおよび後部フランジの各々が内面と外面とを有し、回転電気機械が、
-シャフトが回転する間、回転子の角度位置を測定する磁気位置センサをさらに有し、位置センサが、
-負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフトの端部に固定され、回転シャフトが回転する間、回転シャフトとともに回転するように制限される磁石を有する回転部と、
-ホール効果センサと、センサ出力信号を送信するための手段とを含み、回転部に面し、機械のフレームに連結された固定金属支持体上に取り付けられた固定部とを有し、
位置センサの回転部と固定部が、軸(X)を中心とする第3の軸受によって分離され、第3の軸受が、一方では負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフトの端部に固定され、他方ではセンサの回転部を含む回転シャフトの端部を通過させるように構成された金属支持体内に形成された開口部の壁に固定される回転電気機械を提案する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第3の軸受は、位置センサの回転部と接触している。
一実施形態によれば、位置センサの回転部は、負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフトの端部に形成されたキャビティ内に収容されたインサートを含み、キャビティは、機械の外部に向かう開口部を含み、インサートは、位置センサ磁石を含むキャビティの開口部の側面上に設けられる。
位置センサの回転部のインサートは、好ましくは非磁性材料で作られ、好ましくは非磁性鋼または真鍮で作られる。
【0014】
第3の軸受は、好ましくは強磁性材料で形成され、好ましくは強磁性鋼で形成される。
第3の軸受は、転動部材、好ましくは玉を有する種類の軸受であってもよく、好ましくは金属支持体の開口部の壁に固定された外部レースと、負荷を駆動する端部とは反対側であり、センサの回転部と接触している回転部の端部に固定された内部レースとを含む。
センサの固定部の固定金属支持体は好ましくは、後部フランジの方に面する内面と、機械の外部の方に向けられた外面とを有し、外面は、金属支持体の開口部の周囲に平面を含み、前記平面は、位置センサの固定部に接触している。
【0015】
一実施形態によれば、機械は、フレームならびに前部フランジおよび後部フランジを冷却する外部冷却手段を含む冷却システムをさらに含み、外部冷却手段は、回転シャフトに固定され、後部フランジの外面と第3の軸受との間に配置され、外部空気をフレームに沿って前部フランジの方向に送る外部ファンを含む。
フレームは有利には、回転シャフトの軸(X)に平行な軸に実質的に沿って伸びる冷却フィンの組を含む外面を有し、後部フランジは有利には、円筒形周囲部に連結されたリングの形をした中央部と、後部フランジの中央部と周囲部との間に配置され、外部ファンからの外部空気をフレームの外面上に冷却フィンの組によって形成された通路内に送る少なくとも1つの開口部とを有する。
【0016】
外部ファンは好ましくは、後部フランジの外面と第3の軸受との間の回転シャフト上に取り付けられた外部空気インペラを含み、位置センサ用の固定金属支持体は、外部ファンを覆う保護プレートに固定されることによってフレームに連結され、保護プレートは、外部空気が進入するオリフィスを含み、後部フランジの周囲部に固定される。
フレームならびに前部フランジおよび後部フランジは好ましくは、密閉ケーシングを形成し、冷却システムは好ましくは、フレーム内部に配置され、回転子が回転するときにフレーム内部に空気流を生じさせる内部ファンの対をさらに含み、各ファンは、回転子の本体と軸受との間の回転シャフト上に固定的に取り付けられ、前部フランジおよび後部フランジの各々の内面は、各フランジの第1および第2のハウジングの周囲部上に配置され、空気流の向きを定め、前記空気流の熱を取り込むフィンを含む。
機械と一体的な磁気位置センサは有利には、ヨーロッパ規格EN60529による保護等級IP67を有する。
【0017】
本発明による電気機械は好ましくは、出力定格が20kW以上でかつ75kW以下である。
本発明による電気機械は好ましくは、同期リラクタンス型である。
本発明の他の目的および利点は、非制限的な例を介した、後述の添付の図を参照する本発明の特定の実施形態についての以下の説明を読んだときに明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電気機械におけるモータ制御についての回転子の位置に関する情報の使用を示す、すでに説明した理論図である。
図2】本発明による電気機械において使用することができる位置センサと同じ種類の標準的な磁気位置センサの一例の、すでに説明した斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による電気機械の後部の断面斜視図である。
図4】本発明の同じ実施形態による電気機械の前部の断面斜視図である。
図5】本発明の同じ実施形態による電気機械の長手方向断面図である。
図6】本発明による電気機械への回転子位置センサの組込みを中心とする図4の詳細図である。
図7】本発明による電気機械への回転子位置センサの組込みを中心とする図3の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
各図において、同じ参照番号は同一または類似の部材を示す。
本発明の主題は、回転子の角度位置を検知する一体的な磁気センサを含む回転電気機械に関する。
【0020】
図3図7は、電気車両またはハイブリッド車両におけるトラクション電気モータとして使用できる本発明の一実施形態による回転電気機械の様々な断面図である。
図3図7に示されるようなモータは、たとえば、シンクロリラクタントモータとも呼ばれる同期リラクタンスモータであり、連続出力定格が35kWであり、過渡(ピーク)出力定格が52kWであり、350VのDCバス上の供給電圧によって動作することができる。
【0021】
本発明は、有利には同期リラクタンス電気機械に適用されるが、電気機械構成に限定されず、より広範に任意の種類の電気機械、特に、出力定格が20kW以上でかつ180kW以下である特定の電気機械に関する。詳細には、特に空気の通気による外部(フレームおよびフランジ)冷却を含む専用冷却システムを含む図3図7に示されている電気機械は、一般に出力定格が20kW以上でかつ75kW以下であってもよい。75kWを超える場合、電気機械は好ましくは、たとえば液体の循環による冷却に関する他の外部冷却手段を含んでいる。
【0022】
電気モータ100は、一方の端部で前部フランジ110によって閉鎖され、他方の端部で後部フランジ120によって閉鎖されたフレーム130を含んでいる。電気モータの、巻線を含む固定子190および回転子150は、フレーム130内に収容されている。接続が行われる端子箱(図中の参照符号なし)は、特にモータの前部でフレームを閉鎖するフランジ110の高さにおいてフレーム130に固定されている。フレーム130ならびにフランジ110および120は、金属、たとえばアルミニウムまたは鉄で作られている。図示されていないが、フレームはフランジの一方と一体化することができ、または各フランジがフレームの一部と単一の構成部材を形成し、そして、この2つの構成部材を接合して、固定子と回転子とを収容するハウジングを形成することができる。
【0023】
回転子150は、固定子内に回転可能に取り付けられた回転シャフト160に固定された本体を含んでいる。回転シャフト160は、軸(X)の周りを回転し、前部フランジ110および後部フランジ120によって保持されている。前部フランジ110は、負荷を駆動する回転シャフト160の端部160aを支持し、後部フランジ120は、負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフト160の端部160bを支持している。
説明の残りの部分では、機械の前部は、回転子の回転シャフトによって負荷が駆動される機械の側を意味し、機械の後部は、その反対側を意味する。
【0024】
詳細には、前部フランジ110および後部フランジ120はそれぞれ、機械の内部の方に向けられた内面(111、121)と、機械の外部の方に向けられた外面(112、122)と、内面(111、121)の中央部に位置して軸受(171、172)を受け入れるハウジング(116a、126a)とを有している。軸受171および172、たとえば玉軸受はそれぞれ、負荷を駆動する回転シャフト160の端部160aと負荷を駆動する端部とは反対側の回転シャフトの端部160bを支持している。
【0025】
本発明によれば、この電気機械は、シャフトが回転する間、回転子の角度位置を測定する磁気位置センサ101を含んでいる。位置センサ101および位置センサ101が電気機械と一体化されている状態は、図6および図7に特に明確に示されており、図6および図7は、それぞれ図4および図3に示されている機械の後部の詳細である。
【0026】
位置センサは、
-回転シャフト160とともに回転するように制限されるように回転シャフト160の端部160bに固定された磁石102を有する回転部108と、
ホール効果センサとセンサ109の出力信号を送信する手段とを含む固定部103とを含んでいる。固定部103は、回転部108に面しており、機械100のフレーム130に連結された固定金属支持体106上に取り付けられている。各ホール効果センサは従来、360度の機械角にわたって規則的に分散されている。たとえば、固定部103が3つのホール効果センサを含む場合、各ホール効果センサは120度離れて位置している。
【0027】
本発明によれば、位置センサ101の回転部108と固定部103は軸受104によって分離されている。この軸受104は、シャフトの回転軸(X)に心合わせされる。軸受104は、一方ではシャフト160の端部160bに固定され、他方では、金属支持体106に形成された開口部の壁に固定されており、前記開口部は、センサの回転部を保持する回転シャフト160の端部を通過させるように構成されている。
軸受104は好ましくは、センサの回転部と接触しており、それによって、この特定の組立体の機械的耐久性および機械的精度を向上させる。
【0028】
本発明によれば、この軸受104は、シャフト上に取り付けることのできる各部品についての新しい機械基準を構成し、特に位置センサの各部に対して通常の基準、すなわち軸受172に置き換わる。この新しい基準は、シャフト位置センサに近接しているので、位置センサの半径方向および軸方向位置の公差を小さくし(精度を高くし)、磁石とセンサとの間に一定で厳密な距離を定める。したがって、この軸受104と位置センサによって形成される組立体は、たとえば、以下に説明する外部ファンなどの、シャフト上に取り付けられた他の機械的部品が存在することに起因して干渉を生じさせることがある機械的攪乱とは無関係に、回転子の位置に関する安定した正確な情報をセンサ101によって得るのを可能にする。
【0029】
軸受104と位置センサ101のこの構成は、シャフトが強磁性材料で作られている場合に、シャフトが磁化することによって発生する場合がある磁力線の誘導を密閉する効果も有する。このことに起因して、センサの磁石は、回転子の磁化によって誘導され、回転子の位置の測定に支障をもたらすことがあるあらゆる磁気攪乱から分離される。したがって、本発明は、位置センサが経時的に消磁する恐れを制限する。
回転シャフトの位置は、シャフト160に固定された磁石102の回転に連動する磁場振動を検出することによって測定される。ホール効果素子型の磁気位置センサの動作原理は、当業者には公知であり、ここでは説明しない。センサの出力信号は、センサ109の出力信号を送信する手段、一般的にはケーブルによって、モータを制御するインバータに組み込まれたマイクロコントローラに送られる。
【0030】
磁気位置センサ101は、好ましくは密封に関するヨーロッパ規格EN60529による保護等級がIP67である。この等級IPは、固体および液体の進入に対する保護のレベルを分類する。この等級のフォーマットは、規格IEC60529によって規定されており、「IP」と、その後に続く2つの数字と文字の少なくとも一方とを含む。最初の数字は塵埃に対する保護に関し、2番目の数字は水の進入に対する保護に関する。等級IP67を有する物体は、塵埃および一時的な浸漬(1mまで)の作用に対して完全に保護され、機器を圧力および時間の規定された条件の下で浸漬させた場合(1mまでの浸水)水が有害な量だけ浸透することはあり得ない。
【0031】
センサ101の回転部108は好ましくは、磁石102を備えるインサート105を含んでいる。インサート105は、シャフト160の端部160bに形成されたキャビティ107内に収容されている。このキャビティ107は、機械の外部に向けて開口部を有する。磁石102は、この開口部の側面上のインサート105内に位置している。シャフトの端部160bを掘削することによってこの種のキャビティを作製することが可能である。インサート105はたとえば、ねじ山によってシャフト160に固定されている。
位置センサ101の回転部108のインサート105は好ましくは、非磁性鋼または真鍮などの非磁性金属で作られている。この組成は、固定子からの磁力線から磁石を保護し、磁石に特有の磁界の集中を維持することに寄与する
【0032】
軸受104は好ましくは、強磁性材料、たとえば強磁性鋼で作られている。したがって、軸受104は漏洩磁力線を密閉することができる。
この軸受は有利なことに、一般的には玉であるが、ローラでもよい転動部材を有する種類の軸受である。したがって、この軸受は、金属支持体106の中央開口部の壁に固定された外部レースと、シャフト160の端部160bに固定され、センサの回転部108と接触し、特にキャビティ107の外側でインサート105の一部と接触している内部レースとを有することができる。
【0033】
センサ101の固定部103の固定金属支持体106は、後部フランジ120に面する内面と、機械の外部の方に向けられた外面とを有している。支持体106の外面は、金属支持体の開口部の周囲に平面106aを有しており、この平面は、位置センサの固定部103と接触している。より詳細には、金属支持体106の外面は、センサの固定部103を受け入れる環状のハウジングを含んでおり、前記環状のハウジングは、平面106aを含んでおり、平面106aは、位置センサの磁石を含むシャフトの端部に対する開口部の周囲に位置している。固定金属支持体106は、図3図7に示されているように円板の形を取ることができ、または任意の他の形状であってもよい。
【0034】
本発明は有利には、フレームならびに前部フランジおよび後部フランジを冷却する外部冷却手段、一般的には機械の後部に位置し、回転シャフト上に取り付けられた外部ファンを含む電気機械に適用される。
【0035】
図3図7に示されている本発明の実施形態によれば、外部冷却手段は、シャフト160に固定され、後部フランジ120の外面122と位置センサの軸受104との間に配置され、外部空気をフレーム130に沿って前部フランジ110の方向に向ける外部ファン140を含んでいる。
本発明による機械には軸受104が存在しているので、ファン140の後段に(軸Xに沿って機械の外部に向かう方向に)位置する、すなわち、ファン140と位置センサ101との間に位置する新しい機械基準が提供される。したがって、位置センサの近くのこの新しい機械基準は、位置センサの半径方向および軸方向位置に対する公差を小さくし、磁石とセンサとの間に一定で厳密な距離を定めるのを可能にする。この種の構成は、干渉のないセンサの正確な出力信号、すなわち、特に高調波をほとんど含まず、したがって、容易に利用可能な出力信号を得るうえで好ましい。
【0036】
図3図7に示されている本発明の実施形態によれば、フレーム130は、回転シャフト160の軸(X)に平行な軸に実質的に沿って延びる細長い冷却フィン131の組を含む外面を有している。後部フランジ120は、円筒形周囲部128bに連結されたリングの形をした中央部128aと、後部フランジ120の前記中央部128aと周囲部128bとの間に位置し、外部空気を外部ファン140から、フレーム130の外面上の冷却フィン131の組によって形成される通路に送る少なくとも1つの開口部127とを含む。
外部ファン140は好ましくは、後部フランジ120の外面122と位置センサの軸受104との間の回転シャフト160上に取り付けられた外部空気インペラを含む。
【0037】
モータの後部に保護プレート129が位置しており、外部ファン140を覆っている。保護プレート129は、後部フランジ120の周囲部128bに固定されている。保護プレート129は、ファン140のインペラによって吸引された外部空気が進入するオリフィス129aを含んでいる。
位置センサ101用の固定金属支持体106は、たとえば、固定金属支持体106をこの保護プレート129に固定することによってフレームに連結されている。
本発明は同様に、フレームならびに前部フランジおよび後部フランジを冷却する冷却液回路を含む外部冷却手段を含む電気機械に適用されてもよい。
【0038】
本発明による電気機械を冷却するシステムは好ましくは、ロータの2つの端部でロータ150のシャフト160上に固定的に取り付けられた2つの内部ファン(181、182)をさらに含んでおり、それぞれ、内部ファンによって生じた空気流の向きを定め、その空気流の熱を取り込むように構成されたフィン(113、123)を含むフランジ(110、120)の内面に面している。
【0039】
この場合、内部ファンの対を含むこの種の一体型冷却システムを含む電気機械は、密閉回転電気機械である。内部冷却システムを含むこの特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
密閉電気機械は、ケーシングと呼ばれることもある密封されたフレーム内に回転子および固定部が密閉された電気機械を意味する。
【0040】
図3図7に示されている本発明の実施形態では、フレームは、電気機械の回転子と固定部とを含み、2つのフランジ110および120によって密封状態で密閉されている。つまり、前部フランジ110および後部フランジ120は、フレーム130を密封状態で密閉する密封手段を含んでいる。
前部フランジ110は、リングの形をした中央部118aと、円筒形の周囲部118bとを含んでいる。内面111は、フレーム130の内部の方に面しており、軸受171を受け入れるように、内面の中央部に位置するハウジング116aを含んでいる。このハウジング116aは、回転子の回転シャフト160が通過するオリフィスを中央に有している。フレーム130と接触するように、シャフト160用のオリフィスの高さにおいて周囲部118bの周縁にシールが設けられている。フランジ110の周囲部118bは、前部フランジ110をフレーム130に固定する固定点も含んでいる。
【0041】
前部フランジ110の内面111は、軸受171のハウジング116aの周囲に配置されたフィン113の組を含んでいる。これらのフィン113の機能は、後述のように軸受171と回転子150との間に配置された内部ファン181によって生じさせられる空気流の向きを定め、その空気流の熱を取り込むことである。前部フランジ110の内面111は、たとえば12個のフィン113を保持している。
【0042】
フィン113は好ましくは、ハウジング116aの周りに規則的に分散されている。フランジの各フィンおよび本体は、たとえば、型を使用して製造される(一体鋳造の)単体を形成している。フィンは有利には、この機械の巻線ヘッドおよび回転部を効果的に冷却する内部空気の特定の循環に寄与するような形状を有している。各フィンは好ましくは平面であり、概形が台形であり、この台形は、底辺(互いに平行な向かい合う辺)が軸(X)に直交し、ハウジング116aと向かい合う辺が、直線ではなく曲線であり、(フランジの周囲部118bの所で半径方向においてフィンに沿って位置する点に対して)凹状をなしている。フィンの縁部のこの凹状は、巻線ヘッドとの近接度を最適にし、同時に、効果的な冷却が実現されるように空気流を最適にするのを可能にする。フィンのこの説明は、フランジの表面に露出される部分に基づいている(かつフランジの一部に基づいている)。フィンの長手方向断面において、フィンは、概形が、各底辺と直角を形成する辺がハウジング116の壁を構成する矩形台形(rectangular trapezium)である。内部フィンは、いわゆる肩部がフランジの内面に面する鳥の翼状である。各フィンの寸法は、フランジと機械の内部部材との間に残される自由空間内において空気を良好に循環させるうえで適切な内部ファンに対する近接度を維持するように、内部ファンと内部ファンに面する各フィンの上部との間に最大空間が残されるような寸法である。非制限的な一例として、長さが約20mmの内部フィンを保持する、内径が約20cmのフランジを含む装置において、内部ファンと各フィンの上部との間に4~5mmの空間が残される。各フィンの長さ(または高さ)は、軸(X)に沿った各フィンの寸法と理解される。
【0043】
前部フランジ110の周囲部118bは、その外面112上に複数の熱放散フィン117をさらに含んでもよい。放散フィン117は、回転子の軸(X)に平行な軸に実質的に沿って延びている。フレーム130が冷却フィン131の組を含む外面を有する場合、前部フランジ110の複数のフィン117は、フレーム130の複数の冷却フィン131によって形成される通路を延長する。
後部フランジ120は、円筒形周囲部128bに連結されたリングの形をした中央部128aを含んでいる。前部フランジ110の場合と同様に、内面121は、フレーム130の内部の方に面しており、軸受172を受け入れることを目的として、内面の中央部に位置するハウジング126aを含んでいる。このハウジング126aは、回転子の回転シャフト160が通過するオリフィスを中央に有している。フレーム130と接触するように、シャフト160用のオリフィスの高さにおいて周囲部128bの周縁にシールが設けられている。後部フランジ120の周囲部128bおよび中央部128aは、フランジをフレームに固定する固定点も有する連結部を含んでいる。たとえば、後部フランジは、4つの固定点(たとえば、ネジ穴)を備えた4つの連結部を含んでいる。
【0044】
後部フランジ120の内面121は、前部フランジ110のように、軸受172のハウジング126aの周囲に配置されたフィン123の組を含んでいる。これらのフィン123は、軸受172と回転子150との間に配置された内部ファン182の回転によって生じさせられる空気流の向きを定め、その空気流の熱を取り込む同じ機能を有している。後部フランジ120の内面121は、たとえば12個のフィン113を保持している。
各フィン123は好ましくは、ハウジング126aの周りに規則的に分散されている。それらのフィンの形状および寸法は好ましくは、上述の前部フランジ110の内面111上のフィン113の形状および寸法と同一である。
【0045】
後部フランジ120は、外部ファン140からの外部空気をフレーム130に沿った方向に向け、特にその空気をフレーム130の外面上に冷却フィン131の組によって形成される通路内に向ける少なくとも1つの開口部を中央部128aと周囲部128bとの間に含んでいる。後部フランジ120は、たとえばこの種の4つの開口部を含んでいる。これらの開口部は、たとえば円弧状であり、フランジ120の中央部128aの周縁に均等に分散されている。
フレーム130の外面上の冷却フィン131は、回転子の軸(X)に実質的に平行な軸に沿って延びている。軸(X)に実質的に平行であるとは、その軸(X)に対してプラスまたはマイナス25°の角度内であることを意味する。これらの冷却フィン131の役割は、フレームの、空気との交換領域を大きくして熱の放散量を増やし、フレームの表面上の外部空気の流れを、一方のフランジから他方のフランジまでフレームの全長をカバーするように向けることである。前部フランジ110の周囲部が、好ましくはフレーム130の各冷却フィンと同じ方向に向けられた放散フィン117も含む場合に、外部空気が流れる連続的な通路が形成され、それによって、フレームおよび前部フランジの冷却が向上する。
【0046】
この説明では、外部空気は、密閉回転電気機械の外部の空気を意味し、内部空気は、密閉電気機械に含まれる空気、より厳密には、この機械の密封されたフレーム内に密閉された空気を意味する。
電気モータは、フレーム130上に取り付けられ、各冷却フィン131を囲み、空気がフレーム130に沿って流れるときにフレーム130の外面および冷却フィン131の近傍に空気を保持する金属、好ましくはアルミニウムプレート132をさらに含むことができる。図3図7に示されているモータの例では、各金属プレート132は、フレームの外面の形状に倣うようにわずかに湾曲している。各金属プレート132は好ましくは、フレームの周りに規則的に分散されており、たとえば、8つのプレートが、フレームの周りに間隔を置いて配置されたユニットを形成するように2×2個にグループ分けされてフレームに固定されている。各金属プレート132は、外部ファン140からの外部空気が流れる通路を残すようにフレーム上に取り付けられている。したがって、各金属プレート132は、後部フランジ120の周囲部上に位置することができる。
【0047】
フレーム内部の内部ファン(181、182)の対は、回転子が回転するときにフレームの内部に空気流を生じさせるのを可能にする。密封されたフレーム内部の空気流は、動作時の内部ファン181および182と、フレーム130内部の機械の構造部材、特にフランジ110および120の内面の構造との相互作用によって生じさせられる。より詳細には、前部フランジおよび後部フランジ(110、120)の内面(111、121)上の各フィン(113、123)は、各内部ファン(181、182)によって生じさせられた空気流を半径方向において固定部190の巻線の各ヘッド191の方へ向け(回転シャフト160の軸(X)を中心とする遠心力方向への流れ)、次いで各巻線ヘッド191からの空気流を、まず各巻線ヘッドの高さにおける軸(X)に平行な方向に流し、次いで半径方向において回転シャフトの方へ流して(軸(X)に平行に流し、次いで軸(X)を中心とする向心力方向に流して)、フランジの中央の方へ戻すように構成されている。したがって、空気のこの種の内部循環は、モータの前部側および後部側、すなわち、回転子150の各側において生じさせられる。フランジ113および123の内面上の各フィンは、内部空気流の向きを定めることに加えて、空気流の熱を放散させ、したがって、固定部190の各巻線ヘッド191と電気機械のシャフト160および回転子150を冷却するのを可能にする。
【0048】
後部フランジ120の外面と軸受104との間のモータの後部に位置する外部ファン140は、外部空気流を発生させることによってフレーム130およびフランジの冷却に寄与し、この外部空気流は、まず半径方向において後部フランジ120の外面の周囲の方へ向けられ、そして、好ましくは冷却フィン131を備え、好ましくはフレーム130の外面上に空気流を拘束する金属プレート132で覆われたフレーム130の外面に沿って延びるように、回転軸(X)に平行に前部フランジ110に向けられる。したがって、空気は好ましくは、実質的に軸(X)に沿った細長いフィン間に形成された通路内を通過し、各金属プレートとフレーム130の外面との間に形成された空間に拘束される。後部フランジ120の各開口部127は有利には、ファン140からの外部空気がフランジの外面から、好ましくは冷却フィン131を備えるフレーム130の外面の方へ流れるのを可能にする。
【0049】
外部ファン140は内部ファン181および182よりも大きい。ファン140のサイズは、冷却が最適になるようにモータの出力と最大回転速度の関数として選択される。
本発明は有利には、同期リラクタンスモータに適用され、好ましくは、出力が20kW以上でかつ180kW以下である機械に適用される。非制限的な一例として、本発明に従って冷却されるモータは、連続出力定格が30kWであり、過渡(ピーク)出力定格が52kWであり、350VのDCバス供給電圧によって動作することができ、以下の寸法、すなわち、回転子の外径134mm、固定子の外径200mm、フレームの外径250mm、モータの長さ214mm、能動部分の長さ(回転子の層状構造の積層体の長さに相当する)100mmを有することができる同期リラクタンスモータであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7