IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノヴァルティス アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】免疫療法に対する応答を予測する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/574 20060101AFI20221021BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20221021BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221021BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221021BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20221021BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20221021BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20221021BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20221021BHJP
【FI】
G01N33/574 A
G01N33/53 Y
G01N33/48 M
A61P35/00
A61P11/00
A61P17/00
A61P43/00 105
C12Q1/06
G01N21/64 F
A61K39/395 D
A61K45/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019541728
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2018016896
(87)【国際公開番号】W WO2018145023
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】62/455,337
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/591,057
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506011618
【氏名又は名称】ノヴァルティス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】NOVARTIS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】ボルドー,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ダカッパガリ,ナヴィーン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュ ヨン
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0123964(US,A1)
【文献】国際公開第2015/124777(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/088930(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん患者に対する免疫療法の有効性を決定するための方法であって、
(A)前記がん患者から事前に採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
前記がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、前記相互作用スコアを記録することであって、前記少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、前記少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する前記試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、前記PBPの値を記録すること、ならびに
(C)前記相互作用スコアを第一の閾値と比較し、前記PBPの値を第二の閾値と比較すること、ここで前記第一の閾値は約500から約5000までに及ぶ、を含み、
(1)前記相互作用スコアが前記第一の閾値以上であるか、もしくは前記PBPの値が前記第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)前記相互作用スコアが前記第一の閾値以上であり、かつ前記PBPの値が前記第二の閾値以上である場合に、前記がん患者に対して前記免疫療法が有効であることを示す、方法
【請求項2】
前記免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一対の細胞の間の前記空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、または、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、請求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、請求項1-4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、請求項1-7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記がん患者が、非小細胞肺がん患者である、請求項1-7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
がん患者に対する免疫療法の有効性を決定するための方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料が前記がん患者から事前に採取され、前記方法は、
前記がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
前記選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
前記選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する前記拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
前記空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および前記第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、前記視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する前記視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する前記視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前記第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前記第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前記第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
前記第六のマスクの総面積を前記第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する前記視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
前記PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)前記空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、前記PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)前記空間的近接スコアが前記第一の値の閾値以上であるか、もしくは前記PBPの値が前記第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または、(2)前記空間的近接スコアが前記第二の閾値以上であり、かつ前記PBPの値が前記第二の閾値以上である場合に、前記がん患者に対して前記免疫療法が有効であることを示す、方法。
【請求項11】
前記所定因子が10である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、請求項10-13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、請求項10-13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
がん患者に対する免疫療法の有効性を決定するための方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料が事前に前記がん患者から採取され、前記方法は、
前記がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
前記選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
前記選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する前記拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
前記空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および前記第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、前記視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する前記視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する前記視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前記第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前記第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する前記視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前記第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
前記第六のマスクの総面積を前記第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する前記視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
前記PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)前記空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、前記PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)前記空間的近接スコアが前記第一の値の閾値以上であるか、もしくは前記PBPの値が前記第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または、(2)前記空間的近接スコアが前記第二の閾値以上であり、かつ前記PBPの値が前記第二の閾値以上である場合に、前記がん患者に対して前記免疫療法が有効であることを示す、方法。
【請求項17】
前記所定の因子が10である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、請求項16-19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、請求項16-19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2017年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/455,337号、および2017年11月27日に出願された米国仮特許出願第62/591,057号の優先権の利益を主張するものであり、どちらも参照によりここにその全体を組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は概して、がん治療の分野に関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示されるのは、一態様では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかの場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0004】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR+細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が前述の第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、各蛍光タグは、特定のバイオマーカーに対するものである。いくつかの実施形態では、複数の蛍光タグは、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1の第二の蛍光タグを含む。いくつかの実施形態では、マージンは、約1から約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、PD-L1を発現する近位に位置する細胞は、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある。いくつかの実施形態では、ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、正規化因子とは、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、所定の因子は10である。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、空間的近接スコア(SPS)は、以下の式によって決定され、
【数1】

式中、Aは、総相互作用面積(PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、Aは、PD-1を発現する能力を有する細胞の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0005】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間近接スコアを得ることであって、細胞が、PD-L1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR+細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が前述の第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、各蛍光タグは、特定のバイオマーカーに対するものである。いくつかの実施形態では、複数の蛍光タグは、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1の第二の蛍光タグを含む。いくつかの実施形態では、マージンは、約1から約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、PD-L1を発現する近位に位置する細胞は、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある。いくつかの実施形態では、ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、正規化因子とは、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、所定の因子は10である。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、空間的近接スコア(SPS)は、以下の式によって決定され、
【数2】

式中、Aは、総相互作用領域(PD-L1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、Aは、PD-L1を発現する能力を有する細胞の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0006】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかの場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、Foxp3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0007】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者はアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0008】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、
(A)本明細書に開示される方法を使用して、患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、免疫療法を患者に投与すること、を含む。
【0009】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、
(A)本明細書に開示される方法を使用して、患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、アジュバント化学療法を患者に投与すること、を含む。
【0010】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。
いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値より以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。
【0011】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR+細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、各蛍光タグは、特定のバイオマーカーに対するものである。いくつかの実施形態では、複数の蛍光タグは、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1の第二の蛍光タグを含む。いくつかの実施形態では、マージンは、約1から約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、PD-L1を発現する近位に位置する細胞は、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある。いくつかの実施形態では、ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、正規化因子とは、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、所定の因子は10である。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、空間的近接スコア(SPS)は、以下の式によって決定され、
【数3】

式中、Aは、総相互作用面積(PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、A は、PD-1を発現する能力を有する細胞の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。
【0012】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0013】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、以下を含むこと:がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーはPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーはPD-L1を発現すること、
(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0014】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、以下を含むこと:がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーはPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーはPD-L1を発現すること、
(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【0015】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、
(A)請求項1~67のいずれか一項に記載の方法を使用して、患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、免疫療法を患者に投与すること、または
(C)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が低い場合、(1)BRAF変異が存在する場合には標的療法を、または(2)BRAF変異が存在しない場合には姑息手術および/または放射線療法ならびに最も良い支持ケアを、患者に投与すること、を含む。
いくつかの実施形態では、BRAF変異が存在する場合に、標的療法は、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、またはそれらの組み合わせを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。
【0016】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、
(A)請求項68~81のいずれか一項に記載の方法を使用して、患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、患者にアジュバント化学療法を投与すること、または
(C)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が低い場合に、変異試験を進めて、(1)変異試験が陽性であれば標的療法を患者に投与すること、または(2)変異試験が陰性であれば最も良い支持ケアを患者に投与すること、を含む。
いくつかの実施形態では、変異試験が陽性であり、かつ患者がEGFR陽性である場合に、標的療法は、エルロチニブを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの実施形態では、突然変異試験が陽性であり、患者がALK陽性である場合、標的療法は、クリゾチニブを含むか、それからなるか、または本質的にそれらからなる。
【0017】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、黒色腫患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞に対するバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、黒色腫患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0018】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、黒色腫患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、黒色腫患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0019】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、非小細胞肺がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0020】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い非小細胞肺がん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、非小細胞肺がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【0021】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値未満である場合、非小細胞肺がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0022】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い非小細胞肺がん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値未満である場合、非小細胞肺がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【0023】
本明細書に開示されるのは、別の態様では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0024】
本明細書で開示されるのは、別の態様では、アジュバント化学療法から恩恵を受ける可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、:
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、撮像および分析のための組織試料の調製に使用される抗体および検出試薬の概要の非限定的な例を示す。
図2図2aは、画像内のDAPIで検出されたすべての核の非限定的な例を示す。図2bは、図2aの画像内のすべての細胞の拡張されたバイナリーマスクの非限定的な例を示す。
図3-1】図3aは、488染料を用いて検出されたS100の画像の非限定的な例を示す。図3bは、図3aの画像内のすべての腫瘍範囲のバイナリーマスクの非限定的な例を示す。
図3-2】図3cは、図3aの画像内のすべての腫瘍細胞のマスクの非限定的な例を示す。図3dは、図3aの画像内のすべての非腫瘍細胞のマスクの非限定的な例を示す。
図4図4aは、Cy(登録商標)5を用いて検出されたPD-L1の画像の非限定的な例を示す。図4bは、図4aの画像内のすべてのPD-L1陽性細胞のバイナリーマスクの非限定的な例を示す。
図5図5aは、Cy(登録商標)3.5を用いて検出されたPD-1の画像の非限定的な例を示す。図5bは、図5aの画像内のすべてのPD-1陽性非腫瘍細胞のバイナリーマスクの非限定的な例を示す。
図6図6aは、すべてのPD-L1陽性細胞と最も近い隣接細胞との相互作用マスクの非限定的な例を示す。図6bは、PD-L1陽性細胞に近接するPD-1陽性細胞の相互作用区画の非限定的な例を示す。
図7-1】図7aは、黒色腫患者24名由来の相互作用スコアの非限定的な例を示す。図7bは、黒色腫患者142名由来の相互作用スコアの非限定的な例を示す。
図7-2】図7cは、抗PD-1療法に対する応答状態による黒色腫患者24名におけるIDO-1HLA-DRの発現についてのバイオマーカー陽性パーセント(PBP)の非限定的な例を示す。図7dは、抗PD-1療法に対する応答状態による黒色腫患者24名におけるIDO-1HLA-DRCD11bの発現についてのバイオマーカー陽性パーセント(PBP)の非限定的な例を示す。
図8-1】図8aは、抗PD-1療法に対する応答状態による黒色腫患者24名におけるCD11b、HLA-DR、およびIDO-1の発現についてのバイオマーカー陽性パーセント(PBP)の組合せの非限定的な例を示す。IDO-1HLA-DRのPBPは、応答者と非応答者との間で発現に統計的な有意差を示した。
図8-2】図8bは、PD-1/PD-L1相互作用スコア、IDO-1HLA-DRPBP、またはそれらの組み合わせが、黒色腫患者24名のうち抗PD-1治療に応答する患者を予測する能力を示す。この組み合わせは、最大数の応答者を正しく特定する。
図8-3】図8cは、PD-1/PD-L1相互作用スコア、IDO-1HLA-DRのPBP、またはその組み合わせが、黒色腫患者142名のうち抗PD-1治療に応答する患者を予測する能力を示す。この組み合わせは、最大の数の応答者を正しく特定する。
図8-4】図8dは、黒色腫患者166名において、PD-1/PD-L1相互作用スコアのみまたはIDO-1HLA-DRのPBPのみが陽性であるものと比較して、PD-1/PD-L1相互作用スコアとIDO-1HLA-DRのPBPとの両方が陽性である患者について、抗PD-1療法に対する応答が最も高く予測されたことを示す(組み合わせたデータを図8bおよび図8c)に示す)。
図9-1】図9aは、組合せ試験(PD-1/PD-L1相互作用スコアおよびIDO-1HLA-DRのPBP)が、統計的に有意に無増悪生存期間(PFS)を改善された黒色腫患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図9-2】図9bは、組合せ試験(PD-1/PD-L1の相互作用スコアおよびIDO-1HLA-DRのPBP)が、統計的に有意に全生存期間(OS)を改善された黒色腫患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図10図10は、PD-1/PD-L1相互作用スコアとIDO-1HLA-DRのPBPとの両方が陰性である患者と比較して、組合せ試験(PD-1/PD-L1相互作用スコアおよびIDO-1HLA-DRのPBP)が、統計的に有意に全生存期間(OS)を改善された黒色腫患者(組合せコホート:患者合計166人より)を特定することができる、非限定的な例を示す。
図11図11は、例示的な実施形態による、バイオマーカー陽性の値を導出するためのプロセスのフローチャートである。
図12図12は、第二の例示的な実施形態による、バイオマーカー陽性の値を導出するためのプロセスのフローチャートである。
図13図13は、例示的な実施形態による、バイオマーカー陽性の値を導出するように構成されたコントローラのブロック図である。
図14図14 は、例示的な実施形態による、バイオマーカー陽性の値を導出するために使用される画像処理工程のフロー図である。
図15図15は、例示的な実施形態による、腫瘍組織を含む試料をスコアリングするためのプロセスのフローチャートである。
図16図16は、第二の例示的な実施形態による、腫瘍組織を含む試料をスコアリングするためのプロセスのフローチャートである。
図17図17は、例示的な実施形態による、がん患者から採取した腫瘍組織を含む試料をスコアリングするように構成されたコントローラのブロック図である。
図18図18は、例示的な実施形態による、腫瘍組織を含む試料をスコアリングするために使用される画像処理工程のフロー図である。
図19図19は、29種の黒色腫試料における代替の試料調製方法から算出された,IDO-1HLA-DRのPBPの相関関係を示す。
図20-1】図20aは、5%を超えるPD-L1腫瘍発現によって、統計的に有意にPFSを改善された黒色腫患者を特定できない、非限定的な例を示す。
図20-2】図20bは、5%を超えるPD-L1腫瘍発現によって、統計的に有意にOSを改善された黒色腫患者を特定できない、非限定的な例を示す。
図21図21aは、アジュバント化学療法の治療後にOSを改善された非小細胞肺がん(NSCLC)患者を予測するPD-1/PD-L1相互作用スコアが高い、非限定的な例を示す。図21bは、どれほどの高さのPD-1/PD-L1相互作用スコアが、アジュバント化学療法の治療を施されることなくOSを改善された非小細胞肺がん(SNP)患者を識別できないかについて、非限定的な例を示す。
図22図22は、アジュバント化学療法の治療によって非小細胞肺がん(NSCLC)患者のOSが改善されない、非限定的な例を示す。
図23図23aは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPBPが、統計的に有意にPFSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。図23bは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPBPが、統計的に有意にOSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図24図24aは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意にPFSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。図24bは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名における組合せ試験[すべてのT細胞の発現(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意にOSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図25図25aは、アジュバント化学療法を受けていなかったNSCLC患者328名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPBPが、統計的に有意なPFSの改善を示さない、非限定的な例を示す。図25bは、アジュバント化学療法を受けていなかったNSCLC患者328名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPBPが、統計的に有意なOSの改善を示さない、非限定的な例を示す。
図26図26aは、アジュバント化学療法を受けていなかったNSCLC患者328名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意なPFSの改善を示さない、非限定的な例を示す。図26bは、アジュバント化学療法を受けていなかったNSCLC患者328名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のCD25FoxP3の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]によって、統計的に有意なOSの改善を示さない、非限定的な例を示す。
図27図27aは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPBPが、統計的に有意にPFSを増加された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。図27bは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPBPが、統計的に有意にOSを増加された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図28図28aは、アジュバント化学療法により治療されたNSCLC患者114名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意にPFSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。図28bは、アジュバント化学療法で治療されたNSCLC患者114名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意にOSを改善された患者を特定することができる、非限定的な例を示す。
図29図29aは、アジュバント化学療法を受けなかったNSCLC患者328名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPBPが、統計的に有意なPFSの改善を示さない、非限定的な例を示す。図29bは、アジュバント化学療法を受けなかったNSCLC患者328名におけるすべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPBPが、統計的に有意なOSの改善を示さない、非限定的な例を示す。
図30図30aは、アジュバント化学療法を受けなかったNSCLC患者328名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意なPFSの改善を示さない、非限定的な例を示す。図30bは、アジュバント化学療法を受けなかったNSCLC患者328名における組合せ試験[すべてのT細胞(CD4またはCD8)のKi67の発現についてのPD-1/PD-L1相互作用スコアおよびPBP]が、統計的に有意なOSの改善を示さない、非限定的な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な実施形態を以下に記載する。具体的な実施形態は、本明細書に議論される網羅的な説明としては、またはさらに広範な態様への限定としては、意図されていないことに留意するべきである。ある特定の実施形態と併せて説明された一態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、他の任意の実施形態を用いて実施され得る。
【0027】
本明細書で使用される際に、「約」は当業者によって理解されるものとなり、それが使用される状況に応じてある程度変化するものとなる。当業者にとって明らかではない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」とは、特定用語のプラスまたはマイナス10%を意味するものとなる。
【0028】
要素(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)を説明する文脈の「a」および「an」および「the」および類似の指示対象を使用することは、本明細書に別段の指示のない限り、または文脈によって明確に矛盾のない限り、単数と複数との両方をカバーするものと解釈される。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示のない限り、その範囲内にあるそれぞれの別個の値を個別に参照する略記法としての役割を果たすことを意図されているに過ぎず、別個の値のぞれぞれは、それらが本明細書に個別に列挙されたかのごとく、本明細書に組み込まれる。本明細書に別段の記載のない限り、または別途文脈によって明確な矛盾のない限り、本明細書に記載されるすべての方法は、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に示されるすべての例、または例示的な言葉(例えば、「など」)は、実施形態をより良く際立たせることが意図されているに過ぎず、別段に明記のない限り、特許請求の範囲に関する限定を及ぼさない。特許請求の範囲にない任意の要素を不可欠であるものとして示すと解されるべき言葉は本明細書にはない。
【0029】
「治療する」または「治療すること」という用語は、障害に関連する状態、症状、もしくはパラメータを改善するかまたは障害の進行を予防するために有効な量、様式、またはモードで、統計的に有意な程度または当業者に検知可能な程度のどちらかで、療法を投与することを指す。有効量、様式、またはモードは、対象によって変えることができ、患者に合わせて調整されうる。
【0030】
「最も良い支持ケア」という用語は、患者がより快適に感じる一助となるようにがんおよび/またはがん治療の症状を軽減することに焦点を当てるケアを指す。
【0031】
腫瘍は、それらの免疫構成に基づいて、「ホット(hot)」(炎症型)または「コールド(cold)」(非炎症型)に分類されうる。ホットな腫瘍を有する患者は、特定の免疫療法に応答することが予期されることがあり、コールドな腫瘍を有する患者よりも長く生きる可能性があるが、これまで、バイオマーカーが応答および生存と相関するかについては、当業者には不明であった。
【0032】
この問題に対処するために、本明細書に記載される方法の一部の実施形態は、免疫枯渇バイオマーカー(例えばPD-1およびPD-L1)の発現を介して、一種または複数種の免疫療法に応答するがん患者を特定する際に、ならびに免疫抑制を引き起こすことが知られている細胞タイプ(例えば、CD11b、HLA-DR、IDO-1、ARG1)またはMHCクラスI発現を欠いた高増殖性腫瘍細胞(例えば、Ki67、B2M)の存在を介して、応答しないがん患者(すなわち非応答者)を特定する際に、一助となる。 いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、特異的な免疫抑制または活性化のシグネチャーに基づくマルチプレックス免疫組織化学アッセイ(例えば、マルチプレックスFIHCアッセイ)の使用を含む。
【0033】
一態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0034】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0035】
一態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0036】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性(HLA-DR)細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0037】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性(HLA-DR)細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0038】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性(HLA-DR)細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0039】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0040】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0041】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0042】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)Ki67を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0043】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)Ki67を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0044】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)Ki67を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0045】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、転移性黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0046】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、転移性黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0047】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、転移性黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0048】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取した腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組合せから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組合せから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組合せから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組合せから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0052】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0053】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0054】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0055】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0056】
いくつかの実施形態では、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0057】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0058】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0059】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0060】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、黒色腫がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0061】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、黒色腫がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0062】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、黒色腫がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0063】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0064】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0065】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0066】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0067】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またははPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0068】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞のバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約900プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0069】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または、(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。
【0070】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。
【0071】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、本方法は、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を代表するスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、免疫療法から利益を得る可能性が高い。
【0072】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。
【0073】
いくつかの態様では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取した腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0075】
いくつかの実施形態では、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0076】
いくつかの実施形態では、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。
【0077】
いくつかの実施形態では、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、Granzyme B、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。
【0078】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、アジュバント化学療法から利益を得る可能性があるがん患者を選択する方法であって、本方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法にから利益を得る可能性が高い。
【0079】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性があるがん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ステップ(B)のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される。
【0080】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性があるがん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0081】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性があるがん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者または肺がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、黒色腫がん患者である。いくつかの実施形態では、がん患者は、非小細胞肺がん患者である。
【0082】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性がある非小細胞肺がん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。
【0083】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性がある非小細胞肺がん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)目的のバイオマーカーを発現する試料の視野にあるすべての細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、アジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高く、そして、目的のバイオマーカーは、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、またはそれらのうちの二つ以上の組合せの発現および/または発現不足を含む。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする。いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害療法、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、空間的近接は、ピクセルスケールで評価される。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約500から約5000までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第一の閾値は、約700プラスまたはマイナス100である。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、第二の閾値は、約5%プラスまたはマイナス1%である。
【0084】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性がある非小細胞肺がん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【0085】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法から利益を得る可能性がある非小細胞肺がん患者を選択する方法は、(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することを含み、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現すること、(B)Ki67を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者は、アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い。
【0086】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、(A)本明細書に開示される方法を使用して、患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および(B)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、免疫療法を患者に投与することを含む。
【0087】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、本方法は、(A)本明細書に開示される方法を使用して、患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および(B)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、アジュバント化学療法を患者に投与することを含む。
【0088】
バイオマーカー陽性率%
【0089】
本明細書に開示される方法は、がん患者から採取された組織試料の視野に存在する、すべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することを含みうる。
【0090】
いくつかの実施形態では、特異的バイオマーカーに対する親和性を有する複数の蛍光タグを用いて、試料を染色してもよい。染色された試料のデジタル画像を得てもよく、蛍光タグの場所に基づいて画像をさらに分析してもよい。全画像解析というより、目的の第一のバイオマーカーを発現する細胞の数に基づき視野を優先順位付けしてもよい。次いで、所定の数の視野を、蛍光シグナルについてさらに分析してもよい。いくつかの実施形態では、四つの異なるタイプの蛍光タグを使用することによって、目的の第一のバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像と、目的の第二のバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像、ならびにすべての細胞によって発現されるバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像と、サブセットバイオマーカー(例えば、腫瘍細胞によって発現されるバイオマーカー)に対応する蛍光シグナルの画像が生成される。さらに別の実施形態では、蛍光シグナルの画像を操作して、画像内の細胞に対応する蛍光シグナルのマスクを一つまたは複数個生成する。いくつかの実施形態では、蛍光シグナルの一つまたは複数のマスクは、画像内のすべての細胞のマスク、サブセットバイオマーカーを発現する画像内のすべての細胞(例えばすべての腫瘍細胞)のマスク、サブセットマーカーを発現しない画像内のすべての細胞(例えばすべての非腫瘍細胞)のマスク、目的の第一のバイオマーカーを発現する画像内のすべての細胞のマスク、および目的の第二のバイオマーカーを発現する画像内のすべての細胞のマスクからなる群から選択される、一つまたは複数を含む。これらのマスクの範囲は、所望に応じてPBPの値を導出するために使用されうる。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞についてのPBPの値が導出される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーと目的の第一のバイオマーカーとを発現するすべての細胞の第一のサブセットについてのPBPの値が導出される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーと目的の第二のバイオマーカーとを発現するすべての細胞の第二のサブセットについてのPBPの値が導出される。いくつかの実施形態では、目的の第二のバイオマーカーを発現するがサブセットバイオマーカーを発現しないすべての細胞の第二のサブセットについて、PBPの値を誘導する。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてのバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することは、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) サブセットバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) 任意選択的に、目的の第一のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
(iv) サブセットバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
(v) 任意選択的に、目的の第一のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
(vi) 第四のマスクの総面積を第一のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞についてPBPの値を得ること、
(vii) 任意選択的に、視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせることであって、この視野は、
(a) (a)サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現するか、または
(b) (b)目的の第一のバイオマーカーの非存在下でサブセットバイオマーカーを発現すること、
ならびに
(viii) 任意選択的に、第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、(a)サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現するかまたは(b)目的の第一のバイオマーカーの非存在下でサブセットバイオマーカーを発現するかのどちらかのすべての細胞の第一のサブセットについて、PBPの値を導出すること、を含む。
いくつかの実施形態では、任意選択的なステップは実施されない。いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第四のマスクの総面積および第一のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第六のマスクの総面積および第四のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一のマスクの総面積、第四のマスクの総面積、および第六のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0092】
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出する方法は、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) サブセットバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) 任意選択的に、目的の第一のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
(iv) サブセットバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
(v) 任意選択的に、目的の第一のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
(vi) 第四のマスクの総面積を第一のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞についてPBPの値を得ること、
(vii) 任意選択的に、サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、ならびに
(viii) 任意選択的に、第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現するすべての細胞の第一のサブセットについてPBPの値を導出すること、を含む。
いくつかの実施形態では、任意選択的なステップは実施されない。いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第四のマスクの総面積および第一のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第六のマスクの総面積および第四のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一のマスクの総面積、第四のマスクの総面積、および第六のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0093】
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出する方法は、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) サブセットバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) 目的の第一のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
(iv) サブセットバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
(v) 目的の第一のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞の第一のサブセットを表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
(vi) 第四のマスクの総面積を第一のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞についてPBPの値を得ること、
(vii) サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現する視野にあるすべての細胞の第一のサブセットを表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、ならびに
(viii) 第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞の第一のサブセットについてPBPの値を得ること、を含む。
いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第四のマスクの総面積および第一のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第六のマスクの総面積および第四のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一のマスクの総面積、第四のマスクの総面積、および第六のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0094】
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することは、
(ix) 目的の第二のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第四の蛍光シグナルの第七のマスクを構築すること、
(x) 目的の第二のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての細胞の第二のサブセットを表す蛍光シグナルを含む第八のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第七のマスクとを組み合わせること、
(xi) サブセットバイオマーカーおよび目的の第二のバイオマーカーを発現する視野にあるすべての細胞の第二のサブセットを表す蛍光シグナルを含む第九のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第八のマスクとを組み合わせること、ならびに
(xii) 第九のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、サブセットバイオマーカーおよび目的の第二のバイオマーカーを発現するすべての細胞の第二のサブセットについてPBPの値を導出すること、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第九のマスクの総面積および第四のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0095】
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することは、
(ix) 目的の第二のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第四の蛍光シグナルの第七のマスクを構築すること、
(x) 視野においてサブセットバイオマーカーを発現しないすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第八のマスクを提供する方法で、前述の第二のマスクを前述の第一のマスクから減算すること、
(xi) 視野において目的の第二のバイオマーカーを発現するがサブセットバイオマーカーを発現しないすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第九のマスクを提供する方法で、前述の第七のマスクと第八のマスクとを組み合わせること、ならびに
(xii) 第九のマスクの総面積を第八のマスクの総面積で除算することによって、目的の第二のバイオマーカーを発現するがサブセットバイオマーカーを発現しないすべての細胞についてPBPの値を得ること、をさらに含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することは、
(ix)目的の第二のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第四の蛍光シグナルの第七のマスクを構築すること、
(x)
(a)視野において、サブセットバイオマーカー、目的の第一のバイオマーカー、および目的の第二のバイオマーカーを発現するか、
(b)視野において、目的の第二のバイオマーカーの非存在下で、サブセットバイオマーカーおよび目的の第一のバイオマーカーを発現するか、または
(c)視野において、目的の第一のバイオマーカーの非存在下で、サブセットバイオマーカーおよび目的の第二のバイオマーカーを発現する、
すべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第八のマスクを提供する方法で、前述の第六のマスクと第七のマスクとを組み合わせること、ならびに
(xii)第八のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、目的の第一のバイオマーカーもしくは目的の第二のバイオマーカー、またはそれらの組合せ、ならびにサブセットバイオマーカーを発現するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、をさらに含む。
いくつかの実施形態では、視野に存在するすべての細胞または任意選択的には一つもしくは複数のそのサブセットについてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することは、一つまたは複数の追加的な目的のバイオマーカー(例えば、目的の第三のバイオマーカー)に関するステップ(ix)、(x)、および(xii)に類似した追加的なステップのサイクルをさらに含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第九のマスクの総面積および第八のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0098】
いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーにより特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、それぞれ腫瘍細胞および非腫瘍細胞に対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、生細胞および非生細胞にそれぞれ対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセットは、生細胞のサブセットであり、細胞の非サブセットは、生細胞のサブセットに含まれない生細胞からなる。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーにより特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、T細胞および非T細胞にそれぞれ対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、骨髄細胞および非骨髄細胞にそれぞれ対応し、その逆もまた同様である。
【0099】
いくつかの実施形態では、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、非腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、非腫瘍細胞および腫瘍細胞を含む。いくつかの実施形態では、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、HLA-DR細胞を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、T細胞を含む。いくつかの実施形態では、T細胞はCD3を発現する。いくつかの実施形態では、T細胞はCD8を発現する。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4を発現する。
【0101】
いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD11b、CD33、HLA-DR、IDO-1、ARG1、グランザイムB、B2M、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、PD-1、TIM3、LAG3、41BB、OX40、CTLA-4、CD40L、CD28、GITR、ICOS、CD28、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、ICOS、CD28、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、およびGITRLからなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1、ガレクチン9、およびMHCからなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、IDO-1を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1、TIM-3、およびTCRから選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーおよび目的の第二のバイオマーカーは、互いに異なり、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、ICOS、CD28、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーおよび目的の第二のバイオマーカーは、互いに異なり、CD11b、CD33、HLA-DR、IDO-1、ARG1、グランザイムB、B2M、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、ICOS、CD28、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、ガレクチン9、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、ICOS、CD28、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含み、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1、TIM-3、およびTCRから選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1を含み、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L1を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD80を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CTLA-4を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD80を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、PD-L2を含み、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CTLA-4を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD86を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、LAG-3を含み、目的の第二のバイオマーカーは、HLA-DRを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、TIM-3を含み、目的の第二のバイオマーカーは、ガレクチン9を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、41BBを含み、目的の第二のバイオマーカーは、4.1BBLを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、OX40を含み、目的の第二のバイオマーカーは、OX40Lを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD40を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD40Lを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、ICOSを含み、目的の第二のバイオマーカーは、ICOSLを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、GITRを含み、目的の第二のバイオマーカーは、GITRLを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、HLA-DRを含み、目的の第二のバイオマーカーは、TCRを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD25を含み、目的の第二のバイオマーカーは、FoxP3を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD4を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD8を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD3を含み、目的の第二のバイオマーカーは、PD-1を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD56を含み、目的の第二のバイオマーカーは、CD16を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、HLA-DRを含み、目的の第二のバイオマーカーは、IDO-1を含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、CD33を含み、目的の第二のバイオマーカーは、ARG1を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、非腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、T細胞で発現される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、CD3を含む。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、CD19を含む。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、CD45を含む。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、骨髄細胞で発現される。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、CD11bを含む。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、HLA-DRを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、Ki67を含み、視野にあるすべての細胞の第一のサブセットは、CD8陽性細胞を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーは、HLA-DRを含み、目的の第一のバイオマーカーは、IDO-1を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することを含み、この導出は、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成し、第一の蛍光シグナルを細胞全体の直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
(iv) HLA-DRも発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
(v) IDO-1も発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
(vi) HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野にあるすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、ならびに
(vii) 第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、視野に存在するすべての腫瘍細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することを含み、この導出は、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) 腫瘍バイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) 視野にあるすべての腫瘍細胞を表す蛍光シグナルを含む第三のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
(iv) 目的のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第四のマスクを構築すること、
(v) 目的のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての腫瘍細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第三のマスクと第四のマスクとを組み合わせること、ならびに
(vi) 第五のマスクの総面積を第三のマスクの総面積で除算することによって、目的のバイオマーカーを発現するすべての腫瘍細胞についてPBPの値を得ること、を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第五のマスクの総面積および第三のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1、ガレクチン9、およびMHCからなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1を含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、ガレクチン9を含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、MHCを含む。いくつかの実施形態では、視野は、非腫瘍細胞をさらに含む。いくつかの実施形態では、非腫瘍細胞は、免疫細胞および間質細胞を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、視野に存在するすべての非腫瘍細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することを含み、この導出は、
(i) 視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体の直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
(ii) 腫瘍バイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
(iii) 視野にあるすべての非腫瘍細胞を表す蛍光シグナルを含む第三のマスクを提供する方法で、前述の第二のマスクを前述の第一のマスクから減算すること、
(iv) 目的のバイオマーカーを発現する視野に存在するすべての範囲を表す蛍光シグナルの第四のマスクを構築すること、
(v) 目的のバイオマーカーも発現する視野にあるすべての非腫瘍細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第三のマスクと第四のマスクとを組み合わせること、ならびに
(vi) 第五のマスクの総面積を第三のマスクの総面積で除算することによって、目的のバイオマーカーを発現するすべての非腫瘍細胞についてPBPの値を導出すること、を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第五のマスクの総面積および第三のマスクの総面積は、それぞれピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、PD-1、TIM3、LAG3、41BB、OX40、CTLA-4、CD40L、CD28、GITR、ICOS、CD28、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカー、またはそれらのうちの二つ以上の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、PD-1、TIM3、LAG3、41BB、OX40、CTLA-4、CD40L、CD28、GITR、ICOS、CD28、CD3、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、PD-1、TIM3、LAG3、41BB、OX40、CTLA-4、CD40L、CD28、GITR、ICOS、CD28、CD4、CD8、FoxP3、CD25、CD16、CD56、CD68、CD163、CD80、およびCD86からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HLA-DR、CD80、CD86、4.1BBL、ICOSL、CD40、OX40L、IDO-1、GITRL、PD-1、TIM3、LAG3、41BB、OX40、CTLA-4、CD40L、CD28、GITR、ICOS、およびCD28からなる群から選択されるバイオマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-L1を含む。いくつかの実施形態では、目的のバイオマーカーは、PD-1を含む。いくつかの実施形態では、非腫瘍細胞は、免疫細胞および間質細胞を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、PBPの値は、閾値PBPと比較される。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約2%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約2%から約9%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約2%から約8%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約2%から約7%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約2%から約6%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約3%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約3%から約9%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約3%から約8%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約3%から約7%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約3%から約6%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約4%から約10%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約4%から約9%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約4%から約8%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約4%から約7%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約4%から約6%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、約5%から約10%まで、または約10%から約15%まで、または約15%から約20%まで、または約10%から約20%まで、または約20%から約25%まで、または約20%から約30%まで、または約25%から約30%まで、または約30%から約35%まで、または約30%から約40%まで、または約35%から約40%まで、または約40%から約45%まで、または約40%から50%までに及ぶ。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、増分を中に含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50%である。いくつかの実施形態では、閾値PBPは、プラスまたはマイナス1%の増分を中に含む約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50%である。
【0114】
図11は、バイオマーカー陽性%(PBP)またはPBPスコアの値を導出する一実施形態のステップを図示する、フローチャートである。ステップ1101では、画像データを取得し、ステップ1102では、様々なタイプの蛍光シグナルに特有のデータが各種チャネルに分離されるように、画像データを非混合とする。ステップ1103では、第一のチャネルからのデータを使用して、すべての細胞のマスクを生成する。ステップ1104では、第二のチャネルからのデータを使用して、サブセットバイオマーカーを発現する視野にある範囲のマスクを生成するが、例えば、このサブセットマスクは、視野に存在する腫瘍範囲のマスクであることがある。ステップ1105では、すべての細胞マスクとサブセットマスク(例えば、腫瘍範囲マスク)とを組み合わせて、すべてのサブセット細胞のマスクを生成する。
【0115】
いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーにより特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、それぞれ腫瘍細胞および非腫瘍細胞に対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、生細胞および非生細胞にそれぞれ対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセットは、生細胞のサブセットであり、細胞の非サブセットは、生細胞のサブセットに含まれない生細胞からなる。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーにより特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、T細胞および非T細胞にそれぞれ対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、それぞれ骨髄細胞および非骨髄細胞に対応し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、サブセットバイオマーカーによって特定される細胞のサブセット、および細胞の非サブセットは、それぞれHLA-DR細胞およびHLA-DR細胞に対応し、その逆もまた同様である。
【0116】
特定の実施形態では、すべての細胞マスクとサブセットマスクとを組み合わせることによって、すべての腫瘍細胞および/またはすべての非腫瘍細胞が特定されうる。プロセスは、選択されたタイプの目的の細胞のみに、例えば、腫瘍細胞のみまたは非腫瘍細胞のみに、実施されてもよい。プロセスはまた、両方の分析に向けられてもよい。ステップ1106では、第三のチャネルからのデータを使用して、(特定の目的のバイオマーカーへ結合するための親和性を有する蛍光タグの存在を表す蛍光シグナルに基づき)バイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスクを生成する。ステップ1107および1108では、ステップ1106で生成されたバイオマーカーマスクを、ステップ1105で生成されたサブセット細胞マスクと組み合わせる。ステップ1107は、バイオマーカーマスクを第一の方法でサブセット細胞マスクと組み合わせて、バイオマーカーについて陽性であるすべてのサブセット細胞のマスクを生成する。ステップ1108は、バイオマーカーマスクを第二の方法でサブセット細胞マスクと組み合わせて、バイオマーカーについて陽性ではないサブセット細胞のマスクを生成する。ステップ1107および1108のうちの一方または両方が、本方法の様々な実施形態に従って実施されてもよい。ステップ1109/1110では、目的のサブセット細胞(例えば、ステップ1107でマスクによって特定されたバイオマーカーについて陽性であるサブセット細胞、またはステップ1108でマスクによって特定されたバイオマーカーについて陽性ではないサブセット細胞)の面積を、すべてのサブセット細胞の総面積で除算することによって、PBPスコアを計算する。ステップ1109および1110のうちの一方または両方は、本方法の様々な実施形態に従って実施されてもよい。
【0117】
図12は、バイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出するための方法の第二の実施形態のステップを図示するフローチャートである。ステップ1201では、画像データを取得し、ステップ1202では、様々なタイプの蛍光シグナルに特有のデータが各種チャネルに分離されるように、画像データを非混合とする。ステップ1203では、第一のチャネルからのデータを使用して、すべての細胞のマスクを生成する。ステップ1204では、第二のチャネルからのデータを使用して、(特定の目的のバイオマーカーへの結合の親和性を有する蛍光タグの存在を表す蛍光シグナルに基づき)バイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスクを生成する。ステップ1205では、(ステップ1204で作製されたマスクによって特定される)バイオマーカーについて陽性である細胞の面積を、(ステップ1203から得た)目的の全ての細胞の総面積で除算することによって、PBPスコアを計算する。図12のプロセスを、図11に図示される方法と別々に実施しても同時に実施してもよい。言い換えれば、PBPスコアを、すべての細胞、すべての腫瘍細胞、およびすべての非腫瘍細胞について計算してもよいし、またはそれらの任意の組合せが、図11および図12の方法の組み合わせであってもよい。
【0118】
本明細書に開示される方法では、デジタル画像の操作を、例示的な一実施形態による、図13のブロック図に説明されているコントローラなどのコントローラを含むコンピューティングシステムによって実行してもよい。コントローラ200は、通信インターフェース202およびプロセッシング回路204を含むように示されている。通信インターフェース202は、様々なシステム、デバイス、またはネットワークとのデータ通信を実行するための有線または無線のインターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、ワイヤ端子など)を含むことがある。例えば、通信インターフェース202は、イーサネット(登録商標)カード、およびデータをイーサネット(登録商標)ベースの通信ネットワークを介して送受信するためのポート、および/または無線通信ネットワークを介して通信するためのWifiトランシーバを含むことがある。通信インターフェース202は、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク(例えば、、インターネット、建物WANなど)を介して通信するように構成されることがあり、種々の通信プロトコル(例えば、、BACnet、IP、LONなど)を使用することがある。
【0119】
通信インターフェース202は、コントローラ200と様々な外部のシステムまたはデバイス(例えば、撮像デバイス102)との間の電子データ通信を容易にするように構成されるネットワークインターフェースであることがある。例えば、コントローラ200は、撮像デバイス102から得た選択された視野についての撮像データを受信して、データを分析し、空間的近接スコア(SPS)を計算することがある。
【0120】
さらに図13を参照すると、プロセッシング回路204が、プロセッサ206およびメモリ208を含むように示されている。プロセッサ206は、汎用または特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、一つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAS)、プロセッシングコンポーネント群、またはその他の適切なプロセッシングコンポーネントであることがある。プロセッサ506は、メモリ508に格納されたコンピュータコードまたは命令を実行するように構成されてもよいし、他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信されてもよい。
【0121】
メモリ208は、本開示に記載される様々なプロセスを完了および/または推進するためのデータおよび/またはコンピュータコードを保存するための、一つまたは複数のデバイス(例えば、記憶ユニット、記憶デバイス、保存デバイスなど)を含むことがある。メモリ208は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、光学メモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/もしくはコンピュータ命令を保存するための任意の他の適切なメモリを含みうる。メモリ208は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本開示に記載される様々なアクティビティおよび情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含んでいてもよい。メモリ508は、プロセッシング回路204を介してプロセッサ206に通信可能に接続されてもよく、本明細書に記載される一つまたは複数のプロセスを(例えば、プロセッサ206によって)実行するためのコンピュータコードを含んでいることがある。
【0122】
さらに 図13を参照すると、コントローラ200は、撮像デバイス102からの入力を受信することが示されている。撮像デバイスは、すべての撮像データおよび記録を、それを記述するすべてのメタデータと併せて取得する。次いで、撮像デバイスは、コントローラ200による読み取りが可能なストリームの中にデータをシリアル化するものとなる。データストリームは、ファイルシステム、RDBM、または直接TCP/IP通信など、任意のバイナリデータストリームのタイプを収容しうる。データストリームを使用するために、コントローラ200は、スペクトルアンミキサー210を含むことが示されている。スペクトルアンミキサー210は、撮像デバイス102から画像データを受信しうるが、そこでは、スペクトルアンミキシングを実施し、様々な波長を呈示する画像を非混合として、各波長帯域に対する個別の分離したチャネルに分ける。例えば、画像データは「非混合」とされて、組織試料中の目的の細胞またはタンパク質を特定するために使用される様々なフルオロフォアのそれぞれに対する別々のチャネルに分けられることがある。フルオロフォアは、ほんの一例として、DAPI、Cy(登録商標)2、Cy(登録商標)3、Cy(登録商標)3,5、Cy(登録商標)5、FITC、TRITC、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)594、およびTexas Redからなる群のうちの一つまたは複数であることがある。一例では、チャネルの一つは、画像内の核を特定するために、461 nmの波長(DAPIの最大発光波長)の周辺の所定の帯域内に収まる画像データを含むことがある。他のチャネルは、異なるフルオロフォアを用いて組織試料の異なる部分を特定するために、異なる波長の画像データを含むことがある。
【0123】
コントローラ200はまた、細胞マスカー212、サブセット範囲マスカー216、およびバイオマーカーマスカー222など、様々なマスカーを含むことが示されている。これら、または他の実施形態でコントローラ200に含まれうるその他のマスカーを使用して、組織試料中のある目的の特長を特定するために使用されるフルオロフォアに応じて、スペクトルアンミキサー210から非混合のシグナルを受信し、目的の特定の細胞または範囲のマスクを作製する。マスクを作製するために、マスカー(細胞マスカー212、サブセット範囲マスカー216、およびバイオマーカーマスカー222など)は、視野内の各ピクセルの強度に関連する画像データを受信する。ピクセル強度は、試料の発光する蛍光の量に直接的に比例するが、(特定のバイオマーカーを特定するためにフルオロフォアを使用する際に)これは同様に、試料中のタンパク質バイオマーカーの量に直接的に比例する。絶対閾値は、画像ピクセルに存在する値に基づいて設定されてもよい。閾値以上のすべてのピクセルは、1.0または「オン」にマッピングされ、他のすべてのピクセルは、0.0または「オフ」にマッピングされるものとなる。このようにして、視野にある目的の細胞または組織部分を特定するために、バイナリーマスクを作製する。その他の実施形態では、下限を使用してマスクが作成されるが、その場合、下限以上の強度を有するすべてのピクセルが、マスクのピクセル値として受理され使用される。強度が下限を下回る場合は、ピクセル値は0.0または「オフ」に設定される。
【0124】
図14に示されるマスキングのためのフロー図の例では、マスクの出力を提供するために、DAPIおよび488染料のチャネル(または核および腫瘍範囲をそれぞれ特定するための他のフルオロフォア)が、下限プロトコル(ステップ1410、1412、1420、1422)を使用するのに対して、Cy5チャネル(または目的のバイオマーカーを特定するための他のフルオロフォア)は、閾値プロトコル(ステップ1430)を使用する。下限プロトコルと関連して、下限を決定するためのヒストグラムステップもある。具体的には、ヒストグラム閾値(ステップ1412、1422)は、入力画像の閾値を生成するが、スライドスケールを使用して、閾値が発生する点を決定する。入力は、現在のイメージとユーザ定義の閾値パーセンテージである。後者は、閾値レベルを総強度のどのパーセントに設定すべきかを決定するために使用される。まず、各ピクセルの強度を総強度に合算する。閾値パーセンテージをこの総強度により乗算して、カットオフの合計を得る。最後に、すべてのピクセルを(ヒストグラム内で)強度によってグループ化し、カットオフの合計が達成されるまでそれらの強度を(ビン毎に)最も低いものから最も高いものまで計算する。プロセスで訪れた最新の最も高いピクセル強度が、現在の画像についての閾値である。その値より大きな強度を有するすべてのピクセルが、最大限に設定された強度を有する一方、その他はすべて、最小値に設定される。
【0125】
図14のステップ1414、1416、1424、1426、1428、1432、1434、1436として特定されるステップは、細胞マスカー212(ステップ1414、1416)、サブセット範囲マスカー216(ステップ1424、1426、1428)、およびバイオマーカーマスカー222(ステップ1432、1434、1436)などの初発のマスカーで発生する中間ステップを表す。これらのステップは、以下のように定義される。
【0126】
拡張によって、画像内の最も明るい領域の面積が増加する。拡張には、二つの入力が必要である。第一に暗黙の現在の画像であり、第二に拡張の反復数である。バイナリイメージのみが第一の入力に使用されるものと仮定する。プロシージャは連続画像上で稼働するものとなるが、出力は有効な拡張とはならない。この拡張プロセスは、画像内の最大ピクセル強度を最初に見つけることによって始まる。続いて、画像の各ピクセルを一度調べる。検討下にあるピクセルが最大強度と等しい強度を有する場合、そのピクセルを、反復半径を有する円形として出力画像に描画し、元のピクセルの中心に配する。その円にあるすべてのピクセルは、最大強度に等しい強度を有するものとなる。その他のすべてのピクセルを、変更することなく出力画像にコピーする。
【0127】
この穴埋めプロシージャは、画像の「空」領域を最大強度でピクセルにより埋めることになる。これらの空領域は、最小強度を有するものであり、そのピクセル範囲(サイズ)は、ユーザによって指定されるものである。現在の画像およびサイズとは、必要とされる二つの入力である。拡張のように、このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきである。
【0128】
浸透は、拡張と同じ方式で画像を処理する。第一のステップが画像の最小強度を決定すること、最も低い強度に匹敵するピクセルのみを変えること、および見つかった最小強度のピクセルを曇らせるために使用する円を最も低い強度値で満たすことを除いて、すべての機能性は拡張と同じである。拡張のように、このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきである。
【0129】
オブジェクトを削除する。二つの入力が求められる。すなわち、現在のイメージとオブジェクトサイズである。オブジェクトの削除は、穴埋めプロシージャの逆である。入力オブジェクトサイズよりも小さな範囲を満たす最大強度を有するピクセルのみを含有する任意の領域は、最小強度に設定され、それゆえ「除去」されることになる。このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきであり、連続画像への適用は、予期せぬ結果を生じる場合がある。
【0130】
ステップ1418、1429、および1438における出力はそれぞれ、結果として得られる細胞マスク、サブセットマスク(またはこの具体的な例では、腫瘍範囲マスク)、およびバイオマーカー細胞マスクである。図14は、これらの結果として得られるマスクの組み合わせを、PBPスコアの関連範囲の情報を得るためにさらに図示する。これらの組み合わせを、図13に図示されるコントローラ200の組合せマスカーを参照しながら、下記に説明する。
【0131】
コントローラ200は、サブセット細胞マスカー218、非サブセット細胞マスカー220、および組合せマスカー230など、組合せマスカーを含むことが示されている。いくつかの実施形態では、マスカー218によって特定されたサブセット細胞、およびマスカー220によって特定された非サブセット細胞は、それぞれ腫瘍細胞および非腫瘍細胞である。サブセット細胞マスカーは、図14のステップ1452に示されるようにAnd演算を実施して、(画像内のすべての細胞を表す)細胞マスカー212の出力を、サブセット範囲マスカー216の出力と組み合わせる。したがって、サブセット細胞マスカーは、画像内のすべてのサブセット細胞のマスクを生成する。この同じ組合せは、図14のステップ1454に示されるような非サブセット細胞マスカー220によって実施されるOut演算を用いて、試料画像内のすべての非サブセット細胞のマスクを生成する。
【0132】
組合せマスカー230は、二つの入力マスクを組み合わせるように構成される。図14に図示されるように、組合せマスカー230は、バイオマーカーマスクを、(サブセット細胞マスカー218由来の)サブセット細胞マスクもしくは(非サブセット細胞マスカー220由来の)非サブセット細胞マスクのうちの一つ、またはバイオマーカーマスク+サブセットマスクおよびバイオマーカーマスク+非サブセットマスクの両方と組み合わせる。点線は、細胞マスクのうちのどちらか一方または両方が、組合せマスカー230でバイオマーカーマスクと組み合わされうることを表す。組合せマスカー230の結果は、バイオマーカーについて陽性であるすべてのサブセット細胞および/またはバイオマーカーについて陽性であるすべての非サブセット細胞を表すマスクである。組合せマスカー230は、組合せマスカー230の結果がバイオマーカーについて陽性ではない(バイオマーカー陰性である)サブセット細胞を表すマスクとなるように、代替的な方法でマスクを組み合わせることがある。目的の細胞がサブセットに、例えば腫瘍または非腫瘍などに、しかしむしろすべての細胞に、特に関連しない場合は、バイオマーカー陽性マスクは、任意の追加のマスクと組み合わされず、変更されることなく組合せマスカー230を通過する。
【0133】
バイオマーカー陽性%(PBP)スコアを計算するために、(例えば、すべての、腫瘍の、または非腫瘍の)選択されたサブセット細胞のバイオマーカー陽性マスクまたはバイオマーカー陰性マスク(その場合、スコアはバイオマーカー陰性を表す)の範囲を、範囲エバリュエータ232にて、ピクセルで決定する。(バイオマーカーについて陽性および陰性の)選択されたすべての細胞の総面積を、範囲エバリュエータ232にて、ピクセルで決定する。範囲エバリュエータ232で終了する点線は、総面積の入力が、別々に計算される全細胞マスク、サブセット細胞マスク、および非サブセット細胞マスクのうち一つまたは複数でありうることを示す。バイオマーカー陽性スコアのパーセントを、陽性カルキュレータ236で決定する。一実施形態では、BPBスコアは、範囲エバリュエータ232由来の選択された細胞バイオマーカー陽性マスクの面積を、範囲エバリュエータ232由来のすべての選択された細胞マスクの面積によって除算し、100を乗算することによって計算される。一実施形態では、相互作用カルキュレータ236によって実行される式は、
【数4】

であって、式中、Aは、(例えば、すべての、腫瘍の、または非腫瘍の)選択されたサブセット細胞のタイプについてのバイオマーカー陽性の面積であり、Aは、(すべての、腫瘍の、非腫瘍の)選択された細胞タイプのすべての細胞の総面積である。同様に、Aは、上記の式においてAを置換することができ、その場合、Aは、サブセット細胞のタイプについてバイオマーカー陰性のパーセントを表すスコアを決定するための、(例えば、すべての、腫瘍の、または非腫瘍の)選択された細胞のタイプのバイオマーカー陰性の面積である。
【0134】
このAndプロシージャは、バイナリAND演算の後にモデル化されるが、実に多くの点で異なる。Andは、現在の画像とユーザが選択した結果とを受理する。出力とは、二つの入力画像由来のマッチングピクセルの正規化された強度の乗算を実施することによって作製される画像である。一部の場合では、画像強度データは、既に正規化されている。したがって、Andプロシージャは、単なる二つの画像のピクセル毎の乗算である。Outに必要な二つの入力とは、現在の画像とユーザが選択した結果である。Outは、式A*(1-B/Bmax)に従って第二の画像形態をまず除去し、式中、Aは現在の画像であり、Bは除去されるユーザ選択画像であり、BmaxはBの最大強度である。BmaxによってBを除算することにより、Bを正規化することに留意されたい。
【0135】
PBPの値を導出することは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願PCT/US2016/058277号にも開示されている。
【0136】
相互作用スコアまたは空間的近接スコア
【0137】
本明細書に開示される方法は、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることを含むことがある。
【0138】
いくつかの実施形態では、特異的バイオマーカーに対する親和性を有する複数の蛍光タグを用いて、試料を染色してもよい。染色された試料のデジタル画像を得てもよく、蛍光タグの場所に基づいて画像をさらに分析してもよい。全画像解析というより、目的の第一のバイオマーカーを発現する細胞の数に基づき視野を優先順位付けしてもよい。次いで、所定の数の視野を、蛍光シグナルについてさらに分析してもよい。いくつかの実施形態では、四つの異なるタイプの蛍光タグの使用によって、目的の第一のバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像、および目的の第二のバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像、ならびにすべての細胞が発現するバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像、および腫瘍細胞が発現するバイオマーカーに対応する蛍光シグナルの画像を生成する。さらなる実施形態では、蛍光シグナルの画像を操作して、画像内の細胞に対応する蛍光シグナルの一つまたは複数のマスクを生成する。いくつかの実施形態では、蛍光シグナルの一つまたは複数のマスクは、画像内のすべての細胞のマスク、画像内のすべての腫瘍細胞のマスク、画像内のすべての非腫瘍細胞のマスク、画像内の目的の第一ののバイオマーカーを発現するすべての細胞のマスク、画像内の第二のバイオマーカーを発現するすべての細胞のマスク、および画像内の目的の第一のバイオマーカーを発現するすべての細胞ならびに目的の第二のバイオマーカーを発現する近接して位置する細胞を表す相互作用マスク、を含む。さらなる実施形態では、相互作用マスクを使用して、目的の第一のバイオマーカーを発現する細胞に近接して位置する目的の第二のバイオマーカーを発現するすべての選択された視野から、細胞の相互作用区画を生成する。相互作用区画の総面積を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを生成してもよく、その際に、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーが、第一のバイオマーカーを発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーが、第一のバイオマーカーとは異なる第二のバイオマーカーを発現する。いくつかの実施形態では、スコアは、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を標示する。
【0139】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることを含み、スコアリングのステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーが第一のバイオマーカーを発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーが第一のバイオマーカーとは異なる第二のバイオマーカーを発現すること、および(ii)スコアを記録することであって、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を示す閾値と比べてスコアリングすること、を含む。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーはPD-L1であり、第二のバイオマーカーはPD-1である。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーはPD-1であり、第二のバイオマーカーはPD-L1である。
【0140】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、腫瘍細胞、骨髄細胞、または間質細胞を含み、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞、骨髄細胞、または間質細胞は、PD-L1を発現し、免疫細胞は、PD-1を発現する。
【0141】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、腫瘍細胞を含み、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、骨髄細胞を含み、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、間質細胞を含み、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、PD-L1を発現し、免疫細胞は、PD-1を発現する。
【0142】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、PD-L1を発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、PD-1を発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、PD-L1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、PD-1を発現する。
【0143】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、PD-1を発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、PD-L1を発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーは、PD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーは、PD-L1を発現する。
【0144】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約45μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約40μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約35μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約30μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約25μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約20μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、2.5μmから約15μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約50μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約45μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約40μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約35μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約30μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約25μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約20μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、5μmから約15μmまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μmである。
【0145】
いくつかの実施形態では、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接は、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約90ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約80ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約70ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約60ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約50ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約40ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約5から約30ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約100ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約90ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約80ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約70ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約60ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約50ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約40ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約10から約30ピクセルまでに及ぶ。いくつかの実施形態では、空間的近接は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100ピクセルである。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0146】
いくつかの実施形態では、決定するステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された視野のそれぞれについて、第二のバイオマーカーを発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、決定するステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された視野のそれぞれについて、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約0.5μmから約50 μm以内に第二のバイオマーカーを発現する近位に位置する細胞を包囲するように、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、決定するステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された視野のそれぞれについて、第二のバイオマーカーを発現する近位に位置する細胞を包囲するように約1から約100ピクセルに及ぶマージンをとって、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、決定するステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された各視野について、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約0.5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する細胞を包囲するように、約1から約100ピクセルに及ぶマージンをとって、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された視野のそれぞれに由来するすべての細胞について、ピクセルで測定した際の第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、異なるバイオマーカーに特異的な四つの蛍光タグが、決定のステップで使用される。さらなる実施形態では、第一の蛍光タグは、第一のバイオマーカーと関連付けられ、第二の蛍光タグは、第二のバイオマーカーと関連付けられ、第三の蛍光タグは、第三のバイオマーカーと関連付けられ、第四の蛍光タグは、第四のバイオマーカーと関連付けられる。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーは、腫瘍および非腫瘍のマーカーを含む。いくつかの実施形態では、第二のバイオマーカーは、非腫瘍マーカーを含む。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーは、腫瘍および非腫瘍のマーカーを含み、第二のバイオマーカーは、非腫瘍マーカーを含む。いくつかの実施形態では、第三のバイオマーカーは、すべての細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、第四のバイオマーカーは、腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、第三のバイオマーカーは、すべての細胞によって発現され、第四のバイオマーカーは、腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の蛍光タグは、特異的バイオマーカーに対する結合親和性を有する抗体または別の抗体にコンジュゲーションされたフルオロフォアを含む。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の蛍光タグは、特異的バイオマーカーに対する親和性を有するフルオロフォアである。
【0151】
いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルは、約1から約100ピクセルまでに及ぶマージンをとって拡張される。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約100ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約90ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約80ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約70ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約60ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約50ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約40ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約5から約30ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約100ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約90ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約80ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約70ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約60ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約50ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約40ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約10から約30ピクセルまでである。いくつかの実施形態では、マージンは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100ピクセルである。いくつかの実施形態では、ピクセルは0.5μm幅である。
【0152】
いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約0.5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約45μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約40μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約35μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約30μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約25μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約20μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約2.5μmから約15μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約45μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約40μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約35μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約30μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約25μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約20μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5μmから約15μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張することは、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する、近位に位置する細胞を包囲する。いくつかの実施形態では、近位に位置する細胞上の第二のバイオマーカーは、第一のバイオマーカーに直接接触している。
【0153】
いくつかの実施形態では、第二のバイオマーカーを発現する選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積が、ピクセルで測定される。
【0154】
いくつかの実施形態では、正規化因子は、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一の総面積と第二の総面積との両方が、ピクセルで測定される。
【0155】
いくつかの実施形態では、正規化因子は、第二のバイオマーカーを発現する能力を有する選択された各視野に由来するすべての細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一の総面積と第二の総面積との両方が、ピクセルで測定される。
【0156】
いくつかの実施形態では、正規化因子は、選択された各視野に由来するすべての細胞についての第二の総面積である。いくつかの実施形態では、第二の総面積は、ピクセルで測定される。いくつかの実施形態では、第一の総面積と第二の総面積との両方が、ピクセルで測定される。
【0157】
いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約5000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約4500である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約4000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約3500である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約3000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約2500である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約2000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約1500である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、約500から約1000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、増分を中に含む約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、または5000である。いくつかの実施形態では、閾値スコアは、プラスまたはマイナス100の増分を中に含む約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、または5000である。
【0158】
いくつかの実施形態では、所定の因子は、約10から約10までである。いくつかの実施形態では、所定の因子は、約10から約10までである。いくつかの実施形態では、所定の因子は、約10から約10までである。いくつかの実施形態では、所定の因子は、約10から約10までである。いくつかの実施形態では、所定の因子は、増分を中に含む約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、または10である。
【0159】
いくつかの実施形態では、腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、この決定のステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一の特異的バイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された各視野について、第二の特異的バイオマーカーを発現する近位に位置する細胞を包囲するように、第一の特異的バイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二の特異的バイオマーカーを発現し、かつ第一の特異的バイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、この決定のステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された各視野について、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約0.5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する細胞を包囲するように、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、この決定のステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された各視野について、第二のバイオマーカーを発現する近位に位置する細胞を包囲するように、約1から約100ピクセルに及ぶマージンをとって、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞について、ピクセルで測定した際の第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、この決定のステップは、(i)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べて第一のバイオマーカーを発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、(ii)選択された各視野について、第一のバイオマーカーを発現する細胞の形質膜の約0.5μmから約50μm以内に第二のバイオマーカーを発現する細胞を包囲するように、約1から約100ピクセルに及ぶマージンをとって、第一のバイオマーカーに起因する蛍光シグナルを拡張すること、ならびに(iii)選択された各視野に由来するすべての細胞について、ピクセルで測定した際の第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、第二のバイオマーカーを発現し、かつ第一のバイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナル内に包囲されること、を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、空間的近接スコア(SPS)は、以下の式によって決定される。
【数5】

式中、Aは、総相互作用面積(第二の特異的バイオマーカーを発現し、かつ第一の特異的バイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される細胞の総面積)であり、ANTは、非腫瘍細胞の総面積である。
【0164】
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアは、以下の式によって決定される。
【数6】

式中、Aは、総相互作用面積(第二の特異的バイオマーカーを発現し、かつ第一の特異的バイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される細胞の総面積)であり、Aは、第二の特異的バイオマーカーを発現する能力を有する細胞の総面積である。
【0165】
いくつかの実施形態では、がん患者由来の腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることが、患者においてがんを治療する方法で使用される。いくつかの実施形態では、がん患者由来の腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることは、免疫療法の投与の前に実施される。
【0166】
図15は、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングする一実施形態のステップを図示するフローチャートである。ステップ1401では、画像データを取得し、ステップ1402では、様々なタイプの蛍光シグナルに特有のデータが各種チャネルに分離されるように、画像データを非混合とする。ステップ1403では、第一のチャネルからのデータを使用して、第一のバイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスク(第一のバイオマーカーマスク)を生成する。次いで、すべての細胞のマスクを拡張して(ステップ1404)、相互作用する(第二のバイオマーカーについて陽性である)細胞が中に見つかりうる所定の近接を表す拡張マスクを生成する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーマスクは、1と100ピクセルとの間で拡張される。ステップ1405では、第二のチャネルからのデータを使用して、第二のバイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスク(第二のバイオマーカーマスク)を生成する。ステップ1406では、第一のバイオマーカーマスクと第二のバイオマーカーマスクとを組み合わせて、第一のバイオマーカーについて陽性である細胞の所定の近接内にある、第二のバイオマーカーについて陽性である細胞を特定する、相互作用マスクを生成する。ステップ1407では、空間的近接スコアは、相互作用マスクの面積に基づいて計算される。
【0167】
図16は、がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングする第二の実施形態のステップを図示するフローチャートである。ステップ1501では、画像データを取得し、ステップ1502では、様々なタイプの蛍光シグナルに特有のデータが各種チャネルに分離されるように、画像データを非混合とする。ステップ1503では、第一のチャネルからのデータを使用して、視野にあるすべての細胞のマスクを生成し、ステップ1504では、第二のチャネルからのデータを使用して、視野にある腫瘍範囲などのサブセット範囲のマスクを生成する。ステップ1505では、すべての細胞のマスクを、サブセット範囲マスクと組み合わせて、サブセット細胞のマスクおよび非サブセット細胞のマスクを生成する。いくつかの実施形態では、サブセット細胞は腫瘍細胞であり、非サブセット細胞は非腫瘍細胞である。ステップ1506では、第三のチャネルからのデータを使用して、第一のバイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスク(第一のバイオマーカーマスク)を生成する。次いで、すべての陽性細胞のマスクを拡張して(ステップ1507)、相互作用する細胞(すなわち、第二のバイオマーカーについて陽性である細胞)が中に見つかりうる、所定の近接を表す拡張されたマスクを生成する。いくつかの実施形態では、第一のバイオマーカーマスクは、1と100ピクセルとの間で拡張される。ステップ1508では、第四のチャネルからのデータを使用して、第二のバイオマーカーについて陽性であるすべての細胞のマスク(第二のバイオマーカーマスク)を生成する。ステップ1509では、拡張されたマスクと第二のバイオマーカーマスクとを組み合わせて、第二のバイオマーカーについて陽性であり、かつ第一のバイオマーカーについて陽性である細胞の所定の近接内にある細胞を特定する、相互作用マスクを生成する。ステップ1510では、空間的近接スコアは、(どちらかの入力の使用を表す図16のフローチャートに点線で標示されているように、)第二のバイオマーカーについて陽性となり得るすべての細胞(サブセット細胞)の面積により、またはすべての細胞の面積により、相互作用マスクの面積を除算することによって計算される。いくつかの実施形態では、第二のバイオマーカーについて陽性となり得る細胞は、腫瘍細胞または非腫瘍細胞である。
【0168】
いくつかの実施形態では、細胞のサブセットおよび細胞の非サブセットは、それぞれ腫瘍細胞および非腫瘍細胞に対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、細胞のサブセットおよび細胞の非サブセットは、それぞれ生細胞および非生細胞に対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、細胞のサブセットは、生細胞のサブセットであり、細胞の非サブセットは、生細胞のサブセットに含まれない生細胞からなる。いくつかの実施形態では、細胞のサブセットおよび細胞の非サブセットは、それぞれT細胞および非T細胞に対応し、その逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、細胞のサブセットおよび細胞の非サブセットは、それぞれ骨髄細胞および非骨髄細胞に対応し、その逆もまた同様である。
【0169】
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアは、一対の細胞の近さを表す。いくつかの実施形態では、一対の細胞の近さは、その対の細胞の境界間の近接、その対の細胞の重心間の近接によって、その対の細胞のうち選択された第一の細胞の周囲に基づく境界論理を用いて、その対の細胞の境界における交差を決定することによって、および/またはその対の細胞の重なりの面積を決定することによって、決定されうる。
【0170】
いくつかの実施形態では、空間的近接スコアは、試料の画像に関連付けられたメタデータと関連付けられ、生成されたデータに含められ、免疫療法のストラテジーを決定するためにオペレーターに提供され、データベースに記録され、患者の医療記録と関連付けられ、および/またはディスプレイデバイス上に表示される。
【0171】
本明細書に開示される方法では、デジタル画像の操作を、例示的な一実施形態による、図17のブロック図に説明されているコントローラなどのコントローラを含むコンピューティングシステムによって実行してもよい。コントローラ200は、通信インターフェース202およびプロセッシング回路204を含むように示されている。通信インターフェース202は、様々なシステム、デバイス、またはネットワークとのデータ通信を実行するための、有線または無線のインターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、ワイヤ端子など)を含むことがある。例えば、通信インターフェース202は、イーサネット(登録商標)カード、およびデータをイーサネット(登録商標)ベースの通信ネットワークを介して送受信するためのポート、および/または無線通信ネットワークを介して通信するためのWifiトランシーバを含むことがある。通信インターフェース202は、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット、建物WANなど)を介して通信するように構成されることがあり、種々の通信プロトコル(例えば、BACnet、IP、LONなど)を使用することがある。
【0172】
通信インターフェース202は、コントローラ200と様々な外部のシステムまたはデバイス(例えば、撮像デバイス102)との間の電子データ通信を容易にするよう構成されるネットワークインターフェースであることがある。例えば、コントローラ200は、撮像デバイス102から得た選択された視野についての撮像データを受信して、データを分析し、空間的近接スコア(SPS)を計算することがある。
【0173】
さらに図17を参照すると、プロセッシング回路204は、プロセッサ206およびメモリ208を含むことが示されている。プロセッサ206は、汎用または特定目的のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、一つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAS)、プロセッシングコンポーネント群、またはその他の適切なプロセッシングコンポーネントであることがある。プロセッサ506は、メモリ508に格納されたコンピュータコードまたは命令を実行するように構成されてもよいし、他のコンピュータ可読媒体(例えば、CDROM、ネットワークストレージ、リモートサーバなど)から受信されてもよい。
【0174】
メモリ208は、本開示に記載される様々なプロセスを完了および/または推進するためのデータおよび/またはコンピュータコードを保存するための、一つまたは複数のデバイス(例えば、記憶ユニット、記憶デバイス、保存デバイスなど)を含むことがある。メモリ208は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブストレージ、一時ストレージ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、光メモリ、光学メモリ、またはソフトウェアオブジェクトおよび/もしくはコンピュータ命令を保存するための任意の他の適切なメモリを含みうる。メモリ208は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本開示に記載される様々なアクティビティおよび情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含んでいてもよい。メモリ508は、プロセッシング回路204を介してプロセッサ206に通信可能に接続されていることがあり、本明細書に記載される一つまたは複数のプロセスを(例えばプロセッサ206によって)実行するためのコンピュータコードを含んでいることがある。
【0175】
さらに 図17を参照すると、コントローラ200は、撮像デバイス102からの入力を受信することが示されている。撮像デバイスは、すべての撮像データおよび記録を、それを記述するすべてのメタデータと併せて取得する。次いで、撮像デバイスは、コントローラ200による読み取りが可能なストリームの中にデータをシリアル化するものとなる。データストリームは、ファイルシステム、RDBM、または直接TCP/IP通信など、任意のバイナリデータストリームのタイプを収容しうる。データストリームを使用するために、コントローラ200は、スペクトルアンミキサー210を含むことが示されている。スペクトルアンミキサー210は、撮像デバイス102から画像データを受信しうるが、そこでは、スペクトルアンミキシングを実施し、様々な波長を呈示する画像を非混合として、各波長帯域に対する個別の分離したチャネルに分ける。例えば、画像データは「非混合」とされて、組織試料中の目的の細胞またはタンパク質を特定するために使用される様々なフルオロフォアのそれぞれに対する別々のチャネルに分けられることがある。フルオロフォアは、ほんの一例として、DAPI、Cy(登録商標)2、Cy(登録商標)3、Cy(登録商標)3,5、Cy(登録商標)5、FITC、TRITC、488染料、555染料、594染料、およびTexas Redからなる群のうちの一つまたは複数であることがある。一例では、チャネルの一つは、画像内の核を特定するために、461 nmの波長(DAPIの最大発光波長)の周辺の所定の帯域内に収まる画像データを含むことがある。他のチャネルは、異なるフルオロフォアを用いて組織試料の異なる部分を特定するために、異なる波長の画像データを含むことがある。
【0176】
コントローラ200はまた、細胞マスカー212、サブセット範囲マスカー216、第一のバイオマーカーマスカー22、および第二のバイオマーカーマスカー224などの様々なマスカーを含むことが示されている。これら、または他の実施形態でコントローラ200に含まれうるその他のマスカーを使用して、組織試料中のある目的の特長を特定するために使用されるフルオロフォアに応じて、スペクトルアンミキサー210から非混合のシグナルを受信し、目的の特定の細胞または範囲のマスクを作製する。マスクを作り出すために、マスカー(細胞マスカー212、サブセット範囲マスカー216、第一のバイオマーカーマスカー22、および第二のバイオマーカーマスカー224など)は、視野内の各ピクセルの強度に関連する画像データを受信する。ピクセル強度は、試料の発光する蛍光の量に直接的に比例するが、(特定のバイオマーカーを特定するためにフルオロフォアを使用する際に)これは同様に、試料中のタンパク質バイオマーカーの量に直接的に比例する。絶対閾値は、画像ピクセルに存在する値に基づいて設定されてもよい。閾値以上のすべてのピクセルは、1.0または「オン」にマッピングされ、他のすべてのピクセルは、0.0または「オフ」にマッピングされるものとなる。このようにして、視野にある目的の細胞または組織部分を特定するために、バイナリーマスクを作製する。その他の実施形態では、下限を使用してマスクが作成されるが、その場合、下限以上の強度を有するすべてのピクセルが、マスクのピクセル値として受理され使用される。強度が下限を下回る場合は、ピクセル値は0.0または「オフ」に設定される。
【0177】
図18に示されるマスキングのためのフロー図の例では、マスクの出力を提供するために、(核および腫瘍の範囲をそれぞれ特定するための)DAPIおよび488のチャネルが、下限プロトコル(ステップ1710、1712、1720、1722)を使用するのに対して、(バイオマーカーを特定するため)Cy5およびCy3.5のチャネルは、閾値プロトコル(ステップ1730、1740)を使用する。下限プロトコルと関連して、下限を決定するためのヒストグラムステップもある。具体的には、ヒストグラム閾値(ステップ1712、1722)は、入力画像の閾値を生じるが、スライドスケールを使用して、閾値が発生する点を決定する。入力は、現在のイメージとユーザ定義の閾値パーセンテージである。後者は、閾値レベルを総強度のどのパーセントに設定すべきかを決定するために使用される。まず、各ピクセルの強度を総強度に合算する。閾値パーセンテージをこの総強度により乗算して、カットオフの合計を得る。最後に、すべてのピクセルを(ヒストグラム内で)強度によってグループ化し、カットオフの合計が達成されるまでそれらの強度を(ビン毎に)最も低いものから最も高いものまで計算する。プロセスで訪れた最新の最も高いピクセル強度が、現在の画像についての閾値である。その値より大きな強度を有するすべてのピクセルが、最大限に設定された強度を有する一方、その他はすべて、最小値に設定される。
【0178】
図18でステップ1714、1716、1724、1726、1728、1732、1734、1736、1742、1744として特定されるステップは、細胞マスカー212、サブセット範囲マスカー216、第一のバイオマーカーマスカー222、および第二のバイオマーカーマスカー224などの初発のマスカーで発生する中間ステップを表す。これらのステップは、以下のように定義される。
【0179】
拡張によって、画像内の最も明るい領域の面積が増加する。拡張には、二つの入力が必要である。第一に暗黙の現在の画像であり、第二に拡張の反復数である。バイナリイメージのみが第一の入力に使用されるものと仮定する。プロシージャは連続画像上で稼働するものとなるが、出力は有効な拡張とはならない。この拡張プロセスは、画像内の最大ピクセル強度を最初に見つけることによって始まる。続いて、画像の各ピクセルを一度調べる。検討下にあるピクセルが最大強度と等しい強度を有する場合、そのピクセルを、反復半径を有する円形として出力画像に描画し、元のピクセルの中心に配する。その円にあるすべてのピクセルは、最大強度に等しい強度を有するものとなる。その他のすべてのピクセルを、変更することなく出力画像内にコピーする。
【0180】
この穴埋めプロシージャは、画像の「空」領域を最大強度でピクセルにより埋めることになる。これらの空領域は、最小強度を有するものであり、そのピクセル範囲(サイズ)は、ユーザによって指定されるものである。現在の画像およびサイズとは、必要とされる二つの入力である。拡張のように、このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきである。
【0181】
浸透は、拡張と同じ方式で画像を処理する。第一のステップが画像の最小強度を決定すること、最も低い強度に匹敵するピクセルのみを変えること、および見つかった最小強度のピクセルを曇らせるために使用する円を最も低い強度値で満たすことを除いて、すべての機能性は拡張と同じである。拡張のように、このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきである。
【0182】
オブジェクトを削除する。二つの入力が求められる。すなわち、現在のイメージとオブジェクトサイズである。オブジェクトの削除は、穴埋めプロシージャの逆である。入力オブジェクトサイズよりも小さな範囲を満たす最大強度を有するピクセルのみを含有する任意の領域は、最小強度に設定され、それゆえ「除去」されることになる。このプロシージャは、バイナリ画像にのみ適用されるべきであり、連続画像への適用は、予期せぬ結果を生じる場合がある。
【0183】
最終ステップ1718、1729、1738、および1746の出力は、それぞれ、結果として得られる細胞マスク、サブセット範囲マスク(またはこの特定の例では、腫瘍範囲マスク)、バイオマーカー1細胞マスク、およびバイオマーカー2細胞マスクである。図18は、空間的近接スコアを計算するための、結果として得られるこれらのマスクの組み合わせをさらに図示する。これらの組み合わせを、図17に図示されるコントローラ200の組合せマスカーを参照しながら、下記に説明する。
【0184】
コントローラ200は、サブセット細胞マスカー218、非サブセット細胞マスカー220、および相互作用マスカー230など、組み合わせマスカーを含むことが示されている。サブセット細胞マスカーは、図18のステップ1752に示されるようにAnd演算を実施して、(画像内のすべての細胞を代表する)細胞マスカー212の出力を、サブセット範囲マスカー216の出力と組み合わせる。したがって、サブセット細胞マスカーは、画像内のすべてのサブセット細胞のマスクを生成する。いくつかの実施形態では、サブセット細胞は腫瘍細胞である。この同じ組合せは、図18のステップ1754に示されるような非サブセット細胞マスカー220によって実施されるOut演算を用いて、試料画像内のすべての非サブセット細胞のマスクを生成する。いくつかの実施形態では、非サブセット細胞は非腫瘍細胞である。
【0185】
別のマスクと組み合わせる前に、(第一のバイオマーカーマスカー222からの)第一のバイオマーカーマスクをディレータ226によって拡張する。第二のバイオマーカーを発現する細胞が第一のバイオマーカーを発現する細胞と相互作用するのに適切な近接内にあるるものとなる空間を特定するために、拡張されたマスクは、第一のバイオマーカーを発現するそれらの細胞を取り巻く範囲を表す。これは、図18のステップ1756および1758によって表される。図18のフローチャートは、二つのステップ1756および1758で行われる拡張を示す。これは、各ステップで最大反復に制限がある場合に必要とされることがある。例えば、(10ピクセルの増加に対応して)最大10回の繰り返しがありうるため、20ピクセルの増加が必要である場合には、拡張を後続の二つのステップに分けなければならない。
【0186】
第二のバイオマーカーマスカー224内では、図18のステップ1760に示されるようにAnd演算を用いて、バイオマーカーマスクを上述の非サブセット細胞マスクと組み合わせて、第一のバイオマーカーについて陽性であるすべての非サブセット細胞のマスクを生成することがある。次いで、このマスクは、相互作用マスカー230で、ディレータ226からの拡張されたマスクと組み合わされて(ステップ1762)、相互作用マスクを生成する。相互作用マスクは、第二のバイオマーカーについて陽性でありかつ相互作用範囲内にもあるか、または拡張されたマスクと重複する、非サブセット細胞を特定した。次いで、これらの特定された細胞は、第一のバイオマーカーについて陽性である細胞と相互作用することができる細胞を表し、それゆえ結果として、さらに大きな治療応答を生じる。
【0187】
空間的近接スコア(SPS)を計算するために、相互作用マスクの面積は、範囲エバリュエータ232にてピクセルで決定される。いくつかの実施形態では、第二のバイオマーカーを発現し得るすべての細胞の面積は、範囲エバリュエータ234にてピクセルで決定される。第二のバイオマーカーを発現し得る細胞は、腫瘍細胞であっても非腫瘍細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、すべての細胞の面積は、範囲エバリュエータ234にてピクセルで決定される。相互作用または空間的近接のスコアは、相互作用カルキュレータ236で、範囲エバリュエータ232から得られた面積を範囲エバリュエータ234から得られた面積により除算し、所定の因子を乗算することによって、決定される。上述のように、一実施形態では、相互作用カルキュレータ236によって実行される式は、
【数7】

であって、式中、Aは、総相互作用範囲(第二の特異的バイオマーカーを発現し、かつ第一の特異的バイオマーカーを発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される細胞の総面積)であり、Aは、第二の特異的バイオマーカーを発現する能力を有する細胞の総面積または視野にある全ての細胞の総面積である。
【0188】
このAndプロシージャは、バイナリAND演算の後にモデル化されるが、実に多くの点で異なる。Andは、現在の画像とユーザが選択した結果とを受理する。出力とは、二つの入力画像由来のマッチングピクセルの正規化された強度の乗算を実施することによって作製される画像である。一部の場合では、画像強度データは、既に正規化されている。したがって、Andプロシージャは、単なる二つの画像のピクセル毎の乗算である。Outに必要な二つの入力とは、現在の画像とユーザが選択した結果である。Outは、式A*(1-B/Bmax)に従って第二の画像形態をまず除去し、式中、Aは現在の画像であり、Bは除去されるユーザ選択画像であり、BmaxはBの最大強度である。BmaxによってBを除算することにより、Bを正規化することに留意されたい。
【0189】
腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することは、国際特許出願PCT/US2016/058281に開示されており、この出願は参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0190】
蛍光タグ
【0191】
いくつかの実施形態では、蛍光シグナルは、四つの蛍光タグに由来し、タグのそれぞれは異なるバイオマーカーに特異的である。さらなる実施形態では、第一の蛍光タグは、目的の第一のバイオマーカーと関連付けられ、第二の蛍光タグは、目的の第二のバイオマーカーと関連付けられ、第三の蛍光タグは、目的の第三のバイオマーカーと関連付けられ、第四の蛍光タグは、目的の第四のバイオマーカーと関連付けられる。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、腫瘍および非腫瘍のマーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第二のバイオマーカーは、非腫瘍マーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第一のバイオマーカーは、腫瘍および非腫瘍のマーカーを含み、目的の第二のバイオマーカーは、非腫瘍マーカーを含む。いくつかの実施形態では、目的の第三のバイオマーカーは、すべての細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、目的の第四のバイオマーカーは、腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、目的の第三のバイオマーカーは、すべての細胞によって発現され、目的の第四のバイオマーカーは、腫瘍細胞でのみ発現される。いくつかの実施形態では、目的の第四のバイオマーカーは、サブセットバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、目的の第三のバイオマーカーは、すべての細胞によって発現され、目的の第四のバイオマーカーは、サブセットバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の蛍光タグは、特異的バイオマーカーに対する結合親和性を有する抗体または別の抗体にコンジュゲーションされたフルオロフォアを含む。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の蛍光タグは、特異的バイオマーカーに対する親和性を有するフルオロフォアである。
【0192】
フルオロフォアの例としては、以下に限定されないが、フルオレセイン、6-FAM、ローダミン、Texas Red、California Red、iFluor594、テトラメチルローダミン、カルボキシローダミン、カルボキシローダミン6F、カルボキシロドール、カルボキシローダミン110、Cascade Blue、Cascade Yellow、クマリン、Cy2(登録商標)、Cy3(登録商標)、Cy3.5(登録商標)、Cy5(登録商標)、Cy5.5(登録商標)、Cy7(登録商標)、Cy-Chrome、DyLight(登録商標)350、DyLight(登録商標)405、DyLight(登録商標)488、DyLight(登録商標)549、DyLight(登録商標)594、DyLight(登録商標)633、DyLight(登録商標)649、DyLight(登録商標)680、DyLight(登録商標)750、DyLight(登録商標)800、フィコエリスリン、PerCP(ペリジニンクロロフィル-aタンパク質)、PerCP-Cy5.5、JOE(6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン)、NED、ROX(5-(アンド-6-)-カルボキシ-X-ローダミン)、HEX、Lucifer Yellow、Marina Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、Alexa Fluor(登録商標)350、Alex Fluor(登録商標)430、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)532、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)647、Alexa Fluor(登録商標)660、Alexa Fluor(登録商標)680、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸、BODIPY(登録商標)FL、BODIPY(登録商標)FL-Br2、BODIPY(登録商標)530/550、BODIPY(登録商標)558/568、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)R6G、BODIPY(登録商標)TMR、BODIPY(登録商標)TR、OPAL(商標)520、OPAL(商標)540、OPAL(商標)570、OPAL(商標)620、OPAL(商標)650、OPAL(商標)690、およびそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、DAPI、Cy(登録商標)2、Cy(登録商標)3、Cy(登録商標)3、5、Cy(登録商標)5、Cy(登録商標)7、FITC、TRITC、488染料、555染料、594染料、Texas Red、およびクマリンからなる群から選択される。488染料の例としては、以下に限定されないが、Alexa Fluor(登録商標)488、OPAL(商標)520、DyLight(登録商標)488、およびCF(商標)488Aが挙げられる。555染料の例としては、以下に限定されないが、Alexa Fluor(登録商標)555が挙げられる。594染料の例としては、以下に限定されないが、Alexa Fluor(登録商標)594が挙げられる。
【0193】
本明細書で使用される際に、「視野」とは、組織試料のスライド全体のデジタル画像の区画を指す。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、2~200の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、10~200の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、30~200の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、10~150の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、10~100の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、10~50の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、10~40の所定の視野を有する。いくつかの実施形態では、スライド全体の画像は、増分を中に含む10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100の所定の視野を有する。
【0194】
本明細書に開示される方法では、がん患者は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、この哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、この哺乳動物はヒトではない。さらなる実施形態では、この哺乳動物は、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、またはウマである。
【0195】
本明細書に開示される方法では、腫瘍組織は、がん患者から採取される。がんのタイプとしては、以下に限定されないが、以下のがん:循環器系、例えば、心臓[肉腫(血管肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫]、縦隔および胸膜、ならびに他の胸腔内の器官、血管腫瘍、ならびに腫瘍関連血管組織、気道、例えば、鼻腔および中耳、副鼻腔、喉頭、気管、気管支および肺、例えば小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫、胃腸管系、例えば、食道(扁平細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、胃(gastric)、膵臓(管状腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ(Karposi)肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、繊毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、泌尿生殖器、例えば、腎臓[腺癌、ウィルムス(Wilm’s)腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病]、膀胱および/または尿道(扁平細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫)、肝臓、例えば、肝細胞腫(肝細胞癌)、肝管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫、膵内分泌腫瘍(褐色細胞腫、インスリノーマ、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、膵島細胞腫瘍およびグルカゴン産生腫瘍など)、骨、例えば、骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨腫および巨細胞腫瘍、神経系、例えば、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、頭蓋骨がん(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳がん[星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍]、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫]、生殖器系、例えば、婦人科、子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頚癌、前腫瘍子宮頚部異形成)、卵巣[卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌)、顆粒膜卵胞膜細胞腫瘍、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫]、外陰部(扁平細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣[明細胞癌、扁平細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児型横紋筋肉腫)]、ファロピウス管(癌)、および女性生殖器官に関連する他の部位、胎盤、陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器官に関連する他の部位、血液系、例えば、血液[骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群]、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫)、口腔、例えば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、ならびに他の口の部分、耳下腺、ならびに他の唾液腺の部分、扁桃腺、中咽頭、上咽頭、梨状陥凹、下咽頭、ならびに他の唇の部位、口腔および咽頭、皮膚、例えば、悪性黒色腫、皮膚黒色腫、基底細胞癌、扁平細胞癌、カポジ肉腫、黒子異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、およびケロイド、副腎:神経芽細胞腫、ならびに結合組織および柔組織を含めた他の組織、後腹膜および腹膜、眼、眼球内黒色腫、ならびに付属器、乳房、頭部および/または頸部、肛門領域、甲状腺、副甲状腺、副腎および他の内分泌腺および関連構造、リンパ節の続発性および不特定の悪性新生物、呼吸器系および消化系の続発性悪性新生物、ならびに他の部位の続発性悪性新生物、またはそれらのうち一つまたは複数の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、腫瘍組織は、黒色腫がん患者から採取される。いくつかの実施形態では、腫瘍組織は、肺がん患者から採取される。いくつかの実施形態では、腫瘍組織は、非小細胞肺がん患者から採取される。
【0196】
免疫療法の例としては、以下に限定されないが、モノクローナル抗体(例えば、アレムツズマブまたはトラスツズマブ)、コンジュゲートモノクローナル抗体(例えば、イブリツモマブ・チウキセタン、ブレンツキシマブ・ベルドチン、またはアドトラスツズマブ・エムタンシン)、二重特異性モノクローナル抗体(ブリナツモマブ)、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、またはデュルバルマブ)、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、およびイミキモド、ならびにその組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-1治療を含むか、それらから本質的になるかまたはなる。抗PD-1治療の非限定的な例としては、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫療法は、抗PD-L1治療を含むか、それらから本質的になるかまたははなる。抗PD-L1治療の非限定的な例としては、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫療法は、IDO-1阻害治療を含むか、それから本質的になるかまたははなる。IDO-1阻害治療の非限定的な例としては、インドキシモド、INCB024360、NLG919、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント療法にインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO-1)阻害剤(例えば、(インドキシモド、INCB024360、NLG919)、またはアルギナーゼ-1阻害剤(例えば、cb-1158)を足し合わせて含む。いくつかの実施形態では、免疫療法は、化学療法と併せて投与される。いくつかの実施形態では、化学療法は、アジュバント設定において行われる。化学療法またはアジュバント化学療法の例としては、以下に限定されないが、シスプラチン、エトポシド、アリムタ、カルボプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、タキソテール、ドセタキセル、ゲムシタビン、ナベルビン、タキソール、アバスチン、ベバシズマブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0197】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、抗血管新生剤から選択される薬剤(例えば、腫瘍が新しい血管を発達させるのを止める薬剤)を含む。抗血管新生剤の例としては、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE-2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、PKCベータ阻害剤、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックスメタロプロテアーゼ2)阻害剤、およびMMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ9)阻害剤が挙げられる。好適な抗血管新生剤としては、スニチニブ[スーテント(登録商標)]、ベバシズマブ[アバスチン(登録商標)]、アキシチニブ(AG 13736)、SU 14813(Pfizer)、およびAG 13958(Pfizer)が挙げられる。
【0198】
追加の抗血管新生剤としては、バタラニブ(CGP 79787)、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、ペガプタニブ8ナトリウム(マクジェン(登録商標))、バンデタニブ(ザクティマ(登録商標))、PF-0337210(Pfizer)、SU 14843(Pfizer)、AZD 2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(ルセンティス(登録商標))、ネオバスタット(登録商標)(AE 941)、テトラチオモリブデン酸塩(コプレクサ(登録商標))、AMG 706(Amgen)、VEGF Trap (AVE 0005)、CEP 7055(Sanofi-Aventis)、XL 880(Exelixis)、テラチニブ(BAY 57-9352)、およびCP-868,596(ファイザー)が挙げられる。
【0199】
他の抗血管新生剤としては、エンザスタウリン(LY 317615)、ミドスタウリン(CGP 41251)、ペリホシン(KRX 0401)、テプレノン(セルベックス(登録商標))、およびUCN 01(協和発酵)が挙げられる。
【0200】
本明細書に記載されるように使用できる抗血管新生剤の他の例としては、セレコキシブ(セレブレックス(登録商標))、パレコキシブ(ダイナスタット(登録商標))、デラコキシブ(SC 59046)、ルミラコキシブ(Preige(登録商標))、バルデコキシブ(ベクストラ(登録商標))、ロフェコキシブ(バイオックス(登録商標))、イグラチモド(カレラム(登録商標))、IP 751(Invedus)、SC-58125(Pharmacia)、およびエトリコキシブ(アルコキシア(登録商標))が挙げられる。
【0201】
他の抗血管新生剤としては、エクシスリンド(アプトシン(登録商標))、サルサレート(アミジェシック(登録商標))、ジフルニサル(ドロビッド(登録商標))、イブプロフェン(モートリン(登録商標))、ケトプロフェン(オルディス(登録商標))、ナブメトン(レラフェン(登録商標))、ピロキシカム(フェルデン(登録商標))、ナプロキセン(アリーブ(登録商標)、ナプロシン(登録商標))、ジクロフェナク(ボルタレン(登録商標))、インドメタシン(インドシン(登録商標))、スリンダク(クリノリル(登録商標))、トルメチン(トレクチン(登録商標))、エトドラク(ロジン(登録商標))、ケトロラク(トラドール(登録商標))、およびオキサプロジン(デイプロ(登録商標))が挙げられる。
【0202】
他の抗血管新生剤としては、ABT 510(Abbott)、アプラタスタット(TMI 005)、AZD 8955(AstraZeneca)、インシクリニド(メタスタット(登録商標))、およびPCK 3145(Procyon)が挙げられる。
【0203】
他の抗血管新生剤としては、アシトレチン(ネオチガソン(登録商標))、プリチデプシン(アプリジン(登録商標))、シレンジタイド(EMD 121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4 HPR)、ハロフジノン(テンポスタチン(登録商標))、パンゼム(登録商標)(2-メトキシエストラジオール)、PF-03446962(Pfizer)、レビマスタット(BMS 275291)、カツマキソマブ(レモバブ(登録商標))、レナリドミド(レブリミド(登録商標))、スクアラミン(EVIZON(登録商標))、サリドマイド(サロミド(登録商標))、ウクライン(登録商標)(NSC 631570)、ビタキシン(登録商標)(MEDI 522)、およびゾレドロン酸(ゾメタ(登録商標))が挙げられる。
【0204】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、いわゆるシグナル伝達阻害剤(例えば、、細胞内で伝達された細胞の増殖、分化、および生存の基本的なプロセスを制御する調節分子をそれによって阻害する手段)を含む。シグナル伝達阻害剤としては、低分子、抗体、およびアンチセンス分子が挙げられる。シグナル伝達阻害剤としては、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤)および細胞周期阻害剤が挙げられる。さらに具体的にシグナル伝達阻害剤としては、例えば、ALK阻害剤、ROS1阻害剤、TrKA阻害剤、TrKB阻害剤、TrKC阻害剤、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ 阻害剤、EGF阻害剤、ErbB-1(EGFR)、ErbB-2、pan erb、IGF1R阻害剤、MEK、c-Kit阻害剤、FLT-3阻害剤、K-Ras阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、JAK阻害剤、STAT阻害剤、Rafキナーゼ阻害剤、Akt阻害剤、mTOR阻害剤、P70S6キナーゼ阻害剤、WNT経路の阻害剤、およびいわゆる多標的型キナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0205】
好適なシグナル伝達阻害剤としては、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、セツキシマブ(アービタックス(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、スニチニブ(スーテント(登録商標))イマチニブ(グリベック(登録商標))、およびPD325901(Pfizer)が挙げられる。
【0206】
本明細書に記載される方法に従って使用されうるシグナル伝達阻害剤の追加例としては、BMS 214662(Bristol-Myers Squibb]、ロナファーニブ(Sarasar(登録商標))、ペリトレキソール(AG 2037)、マツズマブ(EMD 7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h-R3(登録商標))、パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標))、バンデタニブ(ザクティマ(登録商標))、パゾパニブ(SB 786034)、ALT 110(Alteris Therapeutics)、BIBW 2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(登録商標)(TP 38)が挙げられる。
【0207】
シグナル伝達阻害剤の他の例としては、PF-2341066(Pfizer)、PF-299804(Pfizer)、カネルチニブ(CI 1033)、ペルツズマブ(オムニターグ(登録商標))、ラパチニブ(タイケルブ(登録商標))、ペリチニブ(EKB 569)、ミルテホシン(ミルテホシン(登録商標))、BMS 599626(Bristol-Myers Squibb)、ラプロイセル-T(Neuvenge(登録商標))、NeuVax(登録商標)(E75がんワクチン)、オシデム(登録商標)(IDM 1)、ムブリチニブ(TAK-165)、CP-724、714(Pfizer)、パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標))、ラパチニブ(タイケルブ(登録商標))、PF-299804(Pfizer)、ペリチニブ(EKB 569)、およびペルツズマブ(オムニターグ(登録商標))が挙げられる。
【0208】
シグナル伝達阻害剤の他の例としては、ARRY 142886(Array Biopharm)、エベロリムス(サーティカン(登録商標))、ゾタロリムス(エンデバー(登録商標))、テムシロリムス(トーリセル(登録商標))、AP 23573(ARIAD)、およびVX 680(Vertex)が挙げられる。
【0209】
さらに、他のシグナル伝達阻害剤としては、XL 647(Exelixis)、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、LE-AON(ジョージタウン大学)、およびGI-4000(GlobeImmune)が挙げられる。
【0210】
他のシグナル伝達阻害剤としては、ABT 751(Abbott)、アルボシジブ(フラボピリドール)、BMS 387032(Bristol Myers)、EM 1421(Erimos)、インジスラム(indisulam)(E 7070)、セリシクリブ(CYC 200)、BIO 112(One Bio)、BMS 387032(Bristol-Myers Squibb)、PD 0332991(Pfizer)、AG 024322(Pfizer)、LOXO-101(Loxo Oncology)、クリゾチニブ、およびセリチニブが挙げられる。
【0211】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法は、古典的な抗新生物剤を含む。古典的な抗新生物剤としては、以下に限定されないが、例えばホルモン性の、抗ホルモン性の、アンドロゲンアゴニスト、アンドロゲンアンタゴニスト、および抗エストロゲン治療剤などのホルモン調節剤、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、遺伝子サイレンシング剤または遺伝子活性化剤、リボヌクレアーゼ、プロテオソミクス、トポイソメラーゼI阻害剤、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害剤、アルキル化剤、抗代謝剤、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ-1(PARP-1)阻害剤、微小管阻害剤、抗生剤、植物由来紡錘体阻害剤、白金配位化合物、遺伝子治療剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的剤(VTA)、およびスタチンが挙げられる。
【0212】
本明細書に開示される方法に従って使用されうる古典的な抗新生物剤の例としては、以下に限定されないが、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどのグルココルチコイド、およびメドロキシプロゲステロン、メゲストロール酢酸(メゲース)などのプロゲスチン、ミフェプリストン(RU-486)、選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン、オルメロキシフェン、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン、およびCHF 4227(Cheisi)など)、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD、例えばフルベストラントなど)、エキセメスタン(アロマシン)、アナストロゾール(アリミデックス)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(フェマーラ)、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)とも通常よばれる)アゴニスト、例えばブセレリン(スプレファクト)、ゴセレリン(ゾラデックス)、リュープロレリン(リュープロン)、およびトリプトレリン(トレルスター)、アバレリクス(プレナクシス)、ビカルタミド(カソデックス)、シプロテロン、フルタミド(エウレキシン)、メゲストロール、ニルタミド(ニランドロン)、およびオサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ(Serenoa repens)、PHL 00801、アバレリクス、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾール、ファドロゾール、フォルメスタン、レトロゾール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0213】
本明細書に開示される方法に従って使用されうる古典的な抗新生物剤の他の例としては、以下に限定されないが、ヒドロキサミン酸サブエロイルアニリド(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M-777、MS-275、ピバロイルオキシメチル酪酸およびPXD-101、オンコナーゼ(ランピルナーゼ)、PS-341(MLN-341)、ベルケイド(ボルテゾミブ)、9-アミノカンプトテシン、ベロテカン、BN-80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン、エドテカリン、エキサテカン(第一)、ジャイマテカン、10-ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンHCl(カンプトサール)、ラルトテカン、オラテシン(ルビテカン、Supergen)、SN-38、トポテカン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN-38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド、アムルビシン、アンナマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン、ノバントロン(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド、バルルビシン、ジネカルド(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN-オキシド、シクロホスファミド、AMD-473、アルトレタミン、AP-5280、アパジコン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW-2170、ロムスタチン、マホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ミトマイシンC、ミトキサトロン、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、および白金配位アルキル化化合物、例えば、シスプラチン、パラプラチン(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン(satrplatin)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0214】
いくつかの実施形態では、アジュバント化学療法としては、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(例えばメトトレキセートおよびニュートレキシン(グルクロン酸トリメトレセート))、プリンアンタゴニスト(例えば6-メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6-チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(クロラール)、フルダラビン、ネララビン、およびラルチトレキセド)、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル(5-FU)、アリムタ(プレメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、シトシンアラビノシド、ジェムザール(登録商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFTオーゼルまたはUforal、ならびにテガフール、ギメスタットおよびオトスタットのTS-1組合せを含む)、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン(オクホスファート、リン酸ステアリン酸、徐放形態およびリポソーム形態を含む)、エノシタビン、5-アザシチジン(ビダーザ)、デシタビン、およびエチニルシチジン)、ならびに他の抗代謝剤、例えばエフロルニチン、ヒドロキシウレア、ロイコボリン、ノラトレキシド(Thymitaq)、トリアピン、トリメトレキサート、N-(5-[N-(3,4-ジヒドロ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-6-イルメチル)-N-メチルアミノ]-2-テノイル)-L-グルタミン酸、AG-014699(Pfizer Inc.)、ABT-472(Abbott Laboratories)、INO-1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU-0687(KuDOS Pharmaceuticals)、およびGPI 18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0215】
本明細書に開示される方法に従って使用される古典的な抗新生物剤の他の例としては、以下に限定されないが、アブラキサン(Abraxis BioScience、Inc.)、バタブリン(Amgen)、EPO 906(Novartis)、ビンフルニン(Bristol-Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ミトマイシンC、ネオカルジノスタチン(ジノスタチン)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(ナベルビン)、ドセタキセル(タキソテール)、オルタタキセル、パクリタキセル(タキソプレキシン、DHA/パクリタキセル複合体を含む)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(エロキサチン)、サトラプラチン、カンプトサール、カペシタビン(ゼローダ)、オキサリプラチン(エロキサチン)、タキソテレ アリトレチノイン、カンホスファミド(Telcyta(登録商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパラガーゼ(オンカスパール(登録商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(登録商標)--放射線療法))、ベキサロテン(タルグレチン(登録商標))、テスミリフェン(DPPE--細胞毒性の効果を増強))、テラトープ(登録商標)(Biomira)、トレチノイン(ベサノイド(登録商標))、チラパザミン(トリザオン(登録商標))、モテキサフィンガドリニウム(Xcytrin(登録商標))Cotara(登録商標)(mAb)、およびNBI-3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタミン酸-パクリタキセル(Xyotax(登録商標))、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0216】
本明細書に開示される方法に従って使用されうる古典的な抗新生物剤のさらに別の例としては、以下に限定されないが、アドベキシン(ING 201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に応答してTNFアルファを発現させる一種または複数の化合物)、RB94(ベイラー医科大学)、ジェナセンス(オブリメルセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi-4503、AVE-8062、ZD-6126、TZT-1027、アトルバスタチン(リピトール、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(プラバコール、Bristol-Myers Squibb)、ロバスタチン(メバコール、Merck Inc.)、シンバスタチン(ゾコール、Merck Inc.)、フルバスタチン(レスコール、Novartis)、セリバスタチン(ベイコール、Bayer)、ロスバスタチン(クレストール、AstraZeneca)、ロボスタチン、ナイアシン(アドビコール、Kos Pharmaceuticals)、カデュエット、リピトール、トルセトラピブ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0217】
そのような治療を必要とする対象における乳がん治療のためのアジュバント化学療法とは、トラスツズマブ、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビン、エキセメスタン、レトロゾール、およびアナストロゾールからなる群から選択される一種または複数(好ましくは一種から三種)の抗がん剤を含みうる。
【0218】
そのような治療を必要とする対象における大腸がんの治療のためのアジュバント化学療法は、一種または複数(好ましくは一種から三種)の抗がん剤を含みうる。特定の抗がん剤の例としては、5-フルオロウラシル(5-FU)またはカペシタビン(ゼローダ)、ロイコボリンおよびオキサリプラチン(エロキサチン)の組み合わせであるFOLFOXなど、アジュバント化学療法において典型的に用いられるものが挙げられる。具体的な抗がん剤のさらに別の例としては、FOLFOX、またはベバシズマブ(アバスチン)と組み合わされたFOLFOX、および5-FUまたはカペシタビン、ロイコボリンおよびイリノテカン(カンプトサール)の組み合わせであるFOLFIRIなど、転移性疾患に対する化学療法において典型的に用いられるものが挙げられる。さらなる例としては、17-DMAG、ABX-EFR、AMG-706、AMT-2003、ANX-510(CoFactor)、アプリジン(プリチデプシン、Aplidin)、アロプラチン、アキシチニブ(AG-13736)、AZD-0530、AZD-2171、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ベバシズマブ(アバスチン)、BIO-117、BIO-145、BMS-184476、BMS-275183、BMS-528664、ボルテゾミブ(ベルケイド)、C-1311(Symadex)、カンツズマブメルタンシン、カペシタビン(ゼローダ、セツキシマブ(アービタックス)、クロファラビン(クロファレックス)、CMD-193、コンブレタスタチン、コタラ、CT-2106、CV-247、デシタビン(ダコジェン)、E-7070、E-7820、エドテカリン、EMD-273066、エンザスタウリン(LY-317615)エポチロンB(EPO-906)、エルロチニブ(タルセバ)、フラボピリドール、GCAN-101、ゲフィチニブ(イレッサ)、huA33、huC242-DM4、イマチニブ(グリベック)、インジスラム、ING-1、イリノテカン(CPT-11、カンプトサール)ISIS 2503、イキサベピロン、ラパチニブ(タイケルブ)、マパツムマブ(HGS-ETR1)、MBT-0206、MEDI-522(アブレグリン)、ミトマイシン、MK-0457(VX-680)、MLN-8054、NB-1011、NGR-TNF、NV-1020、オブリメルセン(ジェナセンス、G3139)、オンコバックス、ONYX 015(CI-1042)、オキサリプラチン(エロキサチン)、パニツムマブ(ABX-EGF、ベクティビックス)、ペリチニブ(EKB-569)、ペメトレキセド(アリムタ)、PD-325901、PF-0337210、PF-2341066、RAD-001(エベロリムス)、RAV-12、レスベラトロール、レキシン-G、S-1(TS-1)、セリシクリブ、SN-38リポソーム、スチボグルコン酸ナトリウム(SSG)、ソラフェニブ(ネクサバール)、SU-14813、スニチニブ(スーテント)、テムシロリムス(CCI 779)、テトラチオモリブデータ、サロミド、TLK-286(テルサイタ)、トポテカン(ハイカムチン)、トラベクテジン(ヨンデリス)、バタラニブ(PTK-787)、ボリノスタット(SAHA、Zolinza)、WX-UK1、およびZYC300が挙げられ、その場合、抗がん剤の量は、大腸がんの治療に有効である。
【0219】
そのような治療を必要とする対象における腎細胞癌の治療のためのアジュバント化学療法は、カペシタビン(ゼローダ)、インターフェロンアルファ、インターロイキン-2、ベバシズマブ(アバスチン)、ゲムシタビン(ジェムザール)、サリドマイド、セツキシマブ(アービタックス)、バタラニブ(PTK-787)、スーテント、AG-13736、SU-11248、タルセバ、イレッサ、ラパチニブ、およびグリベックからなる群から選択される一種または複数(好ましくは一種から三種)の抗がん剤を含みうるが、その場合、抗がん剤の量は、腎細胞癌の治療に有効である。
【0220】
そのような治療を必要とする対象における黒色腫の治療のためのアジュバント化学療法は、インターフェロンアルファ、インターロイキン-2、テモゾロミド(テモダール)、ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル、ダカルバジン(DTIC)、カルムスチン(BCNUとしても知られる)、シスプラチン、ビンブラスチン、タモキシフェン、PD-325、901、アキシチニブ、ベバシズマブ(アバスチン)、サリドマイド、ソラファニブ、バタラニブ(PTK-787)、スーテント、CpG-7909、AG-13736、イレッサ、ラパチニブ、およびグリベックからなる群から選択される一種または複数(好ましくは一種から三種)の抗がん剤を含みうるが、その場合、抗がん剤の量は、黒色腫の治療に有効である。
【0221】
そのような治療を必要とする対象における肺がんの治療のためのアジュバント化学療法は、カペシタビン(ゼローダ)、ベバシズマブ(アバスチン)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル、プレメトレキセド二ナトリウム(アリムタ)、タルセバ、イレッサ、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、およびパラプラチン(カルボプラチン)からなる群から選択される一種または複数(好ましくは一種から三種)の抗がん剤を含みうるが、その場合、剤の量は、肺がんの治療に有効である。
【0222】
そのような治療を必要とする対象における腎細胞癌の治療のためのアジュバント化学療法は、5-フルオロウラシル、ビスモデギブ、ソニデギブ、およびイミキモドから選択される一種または複数の追加的な医薬品または医薬剤を含みうる。いくつかの実施形態では、追加的な医薬または医薬剤は、5-フルオロウラシルである。いくつかの実施形態では、追加的な医薬または医薬剤の一つは、ビスモデギブである。いくつかの実施形態では、追加的な医薬または医薬剤の一つは、ソニデギブである。いくつかの実施形態では、追加的な医薬または医薬剤の一つは、イミキモドである。
【実施例
【0223】
実施例1.ヒト患者由来の黒色腫組織試料についての試料の調製、撮像、および撮像の解析
試料の調製。 ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料を脱脂した。次いで、スライドを、キシレンからアルコールまでの一連の洗浄により再水和した後、蒸留水中でインキュベーションした。次いで、昇圧及び昇温条件を用いて熱誘導による抗原回復を行い、放冷し、トリス緩衝生理食塩水に移した。次いで、染色を行い、その際に以下のステップを実施した。まず、非特異的抗体染色を減少させるために、内因性ペルオキシダーゼを遮断した後、タンパク質ブロッキング溶液とのインキュベーションを行った。次に、スライドをマウス抗PD-1一次抗体で染色した。次いで、スライドを洗浄した後、抗マウスHRP二次抗体と共にインキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA+Cy(登録商標)3.5(パーキンエルマー)を用いてPD-1染色を検出した。次いで、50mMの過酸化水素を含む新鮮な100mMのベンズヒドラジドで二回洗浄することによって、任意の残留HRPをクエンチした。スライドを再び洗浄した後、ウサギ抗PD-L1一次抗体で染色した。スライドを洗浄し、次いで、抗ウサギHRP二次抗体のカクテルに加えて、488染料により直接的に標識されたマウス抗S100および4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)と共に、インキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA-Cy(登録商標)5(パーキンエルマー)を用いてPD-L1染色を検出した。スライドを最後にもう一度洗浄した後、封入剤と共にカバースリップで覆い、室温で一晩乾燥させた。図1に抗体および検出試薬の概要を示す。
【0224】
試料の撮像および分析。 次いで、Vectra 2インテリジェントスライド解析システムを使用し、Vectra ソフトウェアバージョン2.0.8(パーキンエルマー)を使用して、蛍光画像を取得した。まず、DAPIを使用した倍率4xでのスライドのモノクロ撮像を実施した。組織を含有するスライドの範囲を特定するために、自動アルゴリズム(inFormを用いて開発)を使用した。
【0225】
組織を含むスライドの範囲を、DAPI(青)、FITC(緑)、およびCy(登録商標)5(赤色)と関連付けられたチャネルについて倍率4xで撮像して、RGB画像を作成した。視野セレクタ104の自動濃縮アルゴリズム(inFormを用いて開発)を用いて、これらの4x画像を処理し、最も高いCy(登録商標)5の発現に応じて、可能性のある倍率20×の視野を特定してランク付けした。
【0226】
最上位の40個の視野を、DAPI、FITC、Texas Red、およびCy(登録商標)5の波長で、倍率20xで撮像した。生の画像を許容性について再検討して、焦点が合っていなかったか、腫瘍細胞を含まなかったか、壊死性が高かったか、または予想される抗体の局在化に関連のない高レベルの蛍光シグナルを含んでいた(すなわち、バックグラウンド染色)画像を、分析の前に排除した。許容された画像を、AQUAdaptert(パーキンエルマー)を使用して処理し、その際、各フルオロフォアを、スペクトルアンミキサー210により、スペクトル的に非混合として個別のチャネルに分け、別々のファイルとして保存した。
【0227】
処理されたファイルを、AQUAnalysis(商標)を用いるか、またはAQUAserve(商標)を用いた完全自動化プロセスによって、さらに分析した。詳細を以下の通りとした。
【0228】
各DAPI画像を、核マスカー212によって処理してその画像内のすべての細胞核を特定し(図2a)、次いで、3ピクセルで拡張して細胞全体の概算サイズを表した。この結果として得られたマスクは、その画像内のすべての細胞を表していた(図2b)。
【0229】
488染料で検出されたS100(黒色腫の腫瘍細胞マーカー)(図3a)を、腫瘍マーカー216によって処理し、その画像内のすべての腫瘍範囲のバイナリーマスク(図3b)を作製した。腫瘍細胞マスカー218を用いて、このマスクとすべての細胞のマスクとを重ね合わせることにより、腫瘍細胞の新しいマスクを作製した(図3c)。
【0230】
同様に、非腫瘍細胞マスカー220を使用して、腫瘍細胞マーカーの不在をすべての核のマスクと組み合わせることにより、すべての非腫瘍細胞についての新しいマスク(図3d)の作製を実施した。
【0231】
各Cy(登録商標)5画像(図4a)を、第一のバイオマーカーマスカー222によって処理し、すべての細胞のマスクと重ね合わせて、PD-L1陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した(図4b)。バイオマーカーマスクをすべての細胞のマスクと重ね合わせることにより、バイオマーカー陽性細胞としてマスク内で偽性に特定されうるノイズピクセルを除去した。
【0232】
各Cy(登録商標)3.5画像(図5a)を、第二のバイオマーカーマスカー224によって処理して、PD-1陽性細胞のバイナリーマスクを作製し、すべての非腫瘍細胞のマスクと重ね合わせて、PD-1陽性であるすべての非腫瘍細胞のバイナリーマスクを作製した(図5b)。バイオマーカーマスクをすべての非腫瘍細胞のマスクと重ね合わせることにより、バイオマーカー陽性細胞としてマスク内で偽性に特定されうるノイズピクセルを除去した。
【0233】
すべてのPD-L1陽性細胞のバイナリーマスクを、第二のディレータ226を用いて拡張して、最も近い隣接細胞(例えば、PD-1を有する細胞)を包囲する相互作用マスクを作製した(図6a)。相互作用マスカー230を使用して、この相互作用マスクをすべてのPD-1陽性非腫瘍細胞のバイナリーマスクと組み合わせて、PD-1がPD-L1と相互作用する可能性が高いほどにPD-L1陽性細胞に十分に近接している、PD-1陽性細胞の相互作用区画を作製した(図6b)。
【0234】
相互作用区画についての許容されたすべての視野(最大40個の視野)の総面積と、非腫瘍細胞の総面積とを、それぞれ範囲エバリュエータ232、234で計算した。相互作用カルキュレータ236を使用して、相互作用区画についての許容されたすべての視野から得られた総面積を、非腫瘍細胞の総面積で除算し、係数10,000を乗算して、各被験物の相互作用スコアを表す整数を作製した。PD-L1およびPD-1の測定は、再現性が高かった(それぞれR=0.98および0.97)。ニボルマブ(n=5)またはペンブロリズマブ(n=19)で治療された進行性黒色腫患者24名のコホートでは、PD-1/PD-L1相互作用スコアが、高い信頼性で応答者を非応答者と区別することが見出された(p=0.04)のに対し、PD-L1単独(p=0.22)、PD-1単独(p=0.3)またはCD8単独(p=0.23)では見出されなかった。患者24名由来の代表的なスコアを図7aに示す。データに基づき、閾値900を選択して、治療に応答する可能性を標示した。
【0235】
このデータセットを、次いで、PD-1/PD-L1相互作用スコアが得られた計142名の転移性黒色腫患者に拡大すると(図7bを参照)、応答者が、非応答者よりも統計的に有意に高いPD-1/PD-L1相互作用スコアを有していたことが示された(p=0.02)。
【0236】
抗PD-1系療法に応答する患者を正確に特定するためのPD-1/PD-L1相互作用スコア試験の能力を高めるために、骨髄細胞に特徴的な表現型マーカー(CD11bおよびHLA-DR)とこれらの細胞へ抑制機能を及ぼす生化学酵素IDO-1とを特定するための抗体を用いて、同じ黒色腫患者の被験物を染色した。試料の調製は、スライドをウサギ抗IDO-1一次抗体で染色したPD-1/PD-L1相互作用スコア試験について実施されたことと類似したものとした。次いで、スライドを洗浄した後、ウサギHRP二次抗体と共にインキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA+Cy(登録商標)5(パーキンエルマー)を用いて抗IDO-1を検出した。次いで、50mMの過酸化水素を含む新鮮な100mMのベンズヒドラジドで二回洗浄することによって、任意の残留HRPをクエンチした。スライドを再び洗浄した後、マウス抗HLA-DR一次抗体で染色した。スライドを洗浄し、次いで、抗マウスHRP二次抗体と共にインキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA-Cy(登録商標)3(パーキンエルマー)を用いて抗HLA-DR染色を検出した。次いで、一次抗体試薬および二次抗体試薬を、マイクロ波によって除去した。スライドを再び洗浄した後、ウサギ抗CD11b抗体で染色した。スライドを洗浄し、次いで、抗ウサギHRP二次抗体のカクテルに加えて4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)と共に、インキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA-AlexAfluor488(Life Technologies)を用いて抗CD11b染色を検出した。スライドを最後にもう一度洗浄した後、封入剤と共にカバースリップで覆い、室温で一晩乾燥させた。
【0237】
PD-1/PD-L1相互作用試験に類似する手順を、DAPI、FITC、Cy(登録商標)3、およびCy(登録商標)5の波長にわたって試料の撮像および分析に使用した。視野セレクタ104の自動濃縮アルゴリズム(inFormを用いて開発)を用いて、倍率4xの画像を処理し、最も高いCy(登録商標)3およびCy(登録商標)5の発現に応じて、可能性のある倍率20×の視野を特定してランク付けした。
【0238】
各DAPI画像を、細胞マスカー212によって処理し、その画像内のすべての細胞核を特定し、次いで拡張して、細胞全体の概算サイズを表した。この結果として得られたマスクは、その画像内のすべての細胞を表していた。
【0239】
各Alexa Afluor488(登録商標)画像を、バイオマーカーマスカー222によって処理して、CD11b陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0240】
各Cy(登録商標)3画像をバイオマーカーマスカー222によって処理して、HLA-DR陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0241】
各Cy(登録商標)5画像をバイオマーカーマスカー222によって処理し、IDO-1陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0242】
CD11b陽性およびHLA-DR陽性のすべての細胞のバイナリーマスクを組み合わせて、CD11bおよびHLA-DRについて二重陽性であるかまたはCD11b陽性かつHLA-DR陰性であるかのどちらかであった、すべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0243】
HLA-DRの発現のないすべてのCD11b細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)は、陽性カルキュレータ236を用いて、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたCD11b陽性かつHLA-DR陰性の細胞のマスクの総面積を、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたすべてのCD11b陽性細胞のマスクの総面積により、除算することによって導出した。
【0244】
CD11b陽性、IDO-1陽性、およびHLA-DR陰性のすべての細胞のバイナリーマスクを組み合わせて、CD11b陽性、HLA-DR陰性、およびIDO-1陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0245】
IDO-1を発現するがHLA-DRの発現のないすべてのCD11b細胞についてのPBPは、ピクセルで測定されるCD11b陽性かつHLA-DR陰性かつIDO-1陽性である細胞のマスクの総面積を、ピクセルで測定されるすべてのCD11b陽性細胞のマスクの総面積により、除算することによって導出した。
【0246】
HLA-DR陽性およびIDO-1陽性のすべての細胞のバイナリーマスクを組み合わせて、HLA-DRおよびIDO-1について二重陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0247】
IDO-1を発現するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)は、陽性カルキュレータ236を用いて、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたIDO-1陽性かつHLA-DR陽性の細胞のマスクの総面積を、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたすべてのHLA-DR陽性細胞のマスクの総面積により、除算することによって導出した。
【0248】
CD11b陽性、IDO-1陽性、およびHLA-DR陽性のすべての細胞のバイナリーマスクを組み合わせて、CD11b陽性、HLA-DR陽性、およびIDO-1陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0249】
IDO-1およびHLA-DRを発現するすべてのCD11b細胞についてのPBPは、ピクセルで測定されるCD11b陽性かつHLA-DR陽性かつIDO-1陽性の細胞のマスクの総面積を、ピクセルで測定されるすべてのCD11b陽性細胞のマスクの総面積により、除算することによって導出した。
【0250】
上記に挙げられた表現型についてのPBPの差次的発現変動を、ニボルマブまたはペンブロリズマブのいずれかで治療された転移性黒色腫患者の応答ステータスと比較して(n=24)、抗PD-1系療法に対する予測される応答を決定した(図8a)。予想外にも、IDO-1を発現するすべてのHLA-DR陽性細胞のPBPは、応答者を非応答者と区別することができ(図7c)、IDO-1を発現するHLA-DR陽性細胞は、大部分がCD11b陰性であった(図7d)。
【0251】
さらに、PD-1/PD-L1相互作用スコア(≧900)またはIDO-1HLA-DRPBP(≧5%)が高い患者を組み合わせることにより、どちらかの試験のみに比べて(それぞれ9/13または10/13)、抗PD-1系療法に応答した最大数の患者(12/13)を正確に特定する能力を高めることができた(図8b)。
【0252】
この観察は、ニボルマブまたはペンブロリズマブ(n=142)のいずれかで治療された転移性黒色腫患者由来の追加の試料のセットで検証され、ここでもまた、IDO-1HLA-DRのPBPの値は、療法に応答した患者を区別することができ(p=0.0002)、二つのシグネチャーを組み合わせることにより、どちらかのシグネチャーのみよりも(PD-1/PD-L1の相互作用スコア40/78またはIDO-1+HLA-DR+38/78、p=0.0096)、抗PD-1療法に応答した最大数の患者(55/78)が特定された(図8c)。さらに、コホートを組み合わせると、両方のバイオマーカーのシグネチャーがカットポイントを超えて発現していた患者では、最も高い応答の予測(80%)が観察された(PD-1/PD-L1相互作用スコア≧900およびIDO-1+HLA-DR+PBP(≧5%)を、シグネチャー一つのみが陽性であった患者について54%、または両方のシグネチャーが陰性であった患者について36%であったことに比較した)(FIG.8d)。
【0253】
PD-1/PD-L1相互作用試験またはIDO-1HLA-DRPBP試験のどちらかが陽性であった患者はまた、無増悪生存期間(PFS、図9a.)、危険比=0.36、p=0.0037、および全生存期間(OS、図9b)、危険比=0.39、p=0.0011が改善された。これに対して、PD-L1腫瘍発現は、PFSまたはOSを5%高めて、患者を特定できなかった(図20a~図20b)。さらに、組み合わされたコホートでは、両方のバイオマーカーのシグネチャーのカットポイントを超える患者は、最も高い全生存期間p=0.0018を示した(図10)。
実施例2.HLA-DRおよびIDO-1についてのヒト患者由来の黒色腫組織試料についての代替的な試料の調製、撮像および撮像の解析
【0254】
マウス抗HLA-DR一次抗体で染色することによって黒色腫試料を調製した、実施例1由来の類似の手順を実施した。スライドを洗浄し、次いで、抗マウスHRP二次抗体と共にインキュベーションした。スライドを洗浄し、HLA-DRの発現をCy(登録商標)3で検出した。次いで、50mMの過酸化水素を含む新鮮な100mMのベンズヒドラジドで二回洗浄することによって、任意の残留HRPをクエンチした。次いで、スライドを、ウサギ抗IDO-1一次抗体で染色した。スライドを洗浄し、次いで、抗ウサギHRP二次抗体のカクテルに加えて、488染料により直接的に標識されたマウス抗S100および4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)と共に、インキュベーションした。スライドを洗浄し、次いで、TSA+Cy(登録商標)5を用いて抗IDO-1を検出した。
【0255】
PD-1/PD-L1相互作用試験に類似する手順を、DAPI、FITC、Cy(登録商標)3、およびCy(登録商標)5の波長にわたって試料の撮像および分析に使用した。視野セレクタ104の自動濃縮アルゴリズム(inFormを用いて開発)を用いて、倍率4xの画像を処理し、最も高いCy(登録商標)3およびCy(登録商標)5の発現に応じて、可能性のある倍率20×の視野を特定してランク付けした。
【0256】
各DAPI画像を、細胞マスカー212によって処理し、その画像内のすべての細胞核を特定し、次いで拡張して、細胞全体の概算サイズを表した。この結果として得られたマスクは、その画像内のすべての細胞を表していた。
【0257】
各Alexa Afluor488(登録商標)画像を、バイオマーカーマスカー222によって処理して、S100陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0258】
各Cy(登録商標)3画像をバイオマーカーマスカー222によって処理して、HLA-DR陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0259】
各Cy(登録商標)5画像をバイオマーカーマスカー222によって処理し、IDO-1陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0260】
HLA-DR陽性およびIDO-1陽性のすべての細胞のバイナリーマスクを組み合わせて、HLA-DRおよびIDO-1について二重陽性であるすべての細胞のバイナリーマスクを作製した。
【0261】
IDO-1を発現するすべてのHLA-DR細胞についてのバイオマーカー陽性%(PBP)は、陽性カルキュレータ236を用いて、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたIDO-1陽性かつHLA-DR陽性の細胞のマスクの総面積を、ピクセルで測定され範囲エバリュエータ232によって決定されたすべてのHLA-DR陽性細胞のマスクの総面積により、除算することによって導出した。
【0262】
実施例1由来のHLA-DRIDO-1のPBPを特定する方法を、実施例2由来のものと比較すると、高い相関関係(R=0.8)を有することが見出され、そこでは、CD11b/HLA-DR/IDO-1アッセイ構成で5%以上の閾値を有するすべての試料が、S100/HLA-DR/IDO-1アッセイ構成では5%以上の閾値のままであった(図19)。
実施例3.ヒト患者由来の非小細胞肺がん(NSCLC)組織試料についての試料の調製、撮像、および撮像の解析
【0263】
アジュバント化学療法の治療を受けたかまたは受けなかった患者由来の463個の初期ステージのNSCLCの試料に関して、実施例1に類似した方法を、PD-1/PD-L1相互作用アッセイについて実施した。但しその際に、マウス抗S100試薬を、488染料で直接的に標識されたマウス抗Panサイトケラチンに置き換えた。高いPD-1/PD-L1相互作用スコア(相互作用スコア734以上)は、アジュバント化学療法に応答した患者を予測することが見出された(図21a)。高いPD-1/PD-L1相互作用スコアは、アジュバント化学療法を受けていない患者の生存に差を示さなかった(図21b)。患者がアジュバント化学療法を受けたか否かによって、有意な生存上の利益もなかった図22)。
【0264】
さらに、実施例1に類似した方法を実施し、そこでは、DAPIに加えて、Opal520で検出されるマウス抗CD4抗体、Opal620で検出されるマウス抗CD8抗体、Opal540で検出されるウサギ抗FoxP3抗体、Opal570で検出されるウサギ抗CD25抗体、およびOpal650で検出されるマウス抗Ki67抗体を用いて、同じNSCLC試料を染色した。PBPを、すべての細胞のうちの%CD4、すべての細胞のうちの%CD8、すべての細胞のうちの%CD4またはCD8、CD4のうちの%CD25FoxP3、CD8細胞のうちの%CD25FoxP3、すべてのCD4またはCD8のうちの%CD25FoxP3、CD4のうちの%Ki67、CD8のうちの%Ki67、CD4またはCD8のうちの%Ki67について計算した。すべてのT細胞(CD4またはCD8)のうち発現中央値1%以上のCD25FoxP3の発現を腫瘍試料が呈したアジュバント化学療法を受けた患者は、統計的に有意に高いPFS、p=0.0027(図23a)およびOS、p=0.0056(図23b)を有することが見出された。さらに、両方のシグネチャーのカットポイントを最適化した後、PD-1/PD-L1相互作用スコア≧643およびCD25FoxP3≧1%を伴う二重陽性の患者は、PFS、p=0.003(図24a)およびOS、p=0.004(図24b)が改善された。これに対して、化学療法を投与されていなかったNSCLC患者(n=328)は、すべてのT細胞のうち≧1%のCD25FoxP3であって同じシグネチャー(P>0.5)のPFS(図25a)もしくはOS(図25b)により分類された際に、またはPD-1/PD-L1相互作用スコア≧643およびCD25FoxP3≧1%を伴う二重陽性のシグネチャーの組合せについてのPFS(図26a)もしくはOS(図26b)において、生存上の利益を受けなかった。すべてのT細胞のうち発現中央値6%以上のKi67の発現を腫瘍試料が呈したアジュバント化学療法を受けた患者は、統計的に有意に低いPFS、p=0.004(図27a)およびOS、p=0.0006(図27b)を有することが見出された。さらに、PD-1/PD-L1相互作用スコア≧643およびKi67<6%を伴う二重陽性の患者は、PFS、p=0.022(図28a)およびOS、p=0.029(図28b)が改善された。対照的に、化学療法を投与されていなかったNSCLC患者(n=328)は、すべてのT細胞のうち≧6%のKi67であって同じサイン(P>0.5)のPFS図29a)またはOS(図29b)によって分類された際に、またはPD-1/PD-L1相互作用スコア≧643およびKi67<1%を伴う二重陽性のシグネチャーの組合せについてのPFS(図30a)またはOS(図30b)において、生存上の利益を受けなかった。
【0265】
段落A. がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0266】
段落B. がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が前述の第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法に陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0267】
段落C. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落Aまたは段落Bに記載の方法。
【0268】
段落D. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落Aまたは段落Bに記載の方法。
【0269】
段落E. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落A~Dのいずれか一項に記載の方法。
【0270】
段落F. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、段落A~Eのいずれか一項に記載の方法。
【0271】
段落G.少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、段落A~Fのいずれか一項に記載の方法。
【0272】
段落H. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落A~Gのいずれか一項に記載の方法。
【0273】
段落I. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落A~Hのいずれか一項に記載の方法。
【0274】
段落J. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落A~Iのいずれか一項に記載の方法。
【0275】
段落K. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落A~Jのいずれか一項に記載の方法。
【0276】
段落L. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落A~Kのいずれか一項に記載の方法。
【0277】
段落M. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落A~Lのいずれか一項に記載の方法。
【0278】
段落N. がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落A~Lのいずれか一項に記載の方法。
【0279】
段落O. がん患者が免疫療法に対し陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0280】
段落P.がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または、(2)空間的近接スコアが第二の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0281】
段落Q. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落Oまたは段落Pに記載の方法。
【0282】
段落R. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落Oまたは段落Pに記載の方法。
【0283】
段落S. ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積が、ピクセルで測定される、段落O~Rのいずれか一項に記載の方法。
【0284】
段落T. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落O~Sのいずれか一項に記載の方法。
【0285】
段落U. 各蛍光タグが、特定のバイオマーカーに対するものである、段落O~Tのいずれか一項に記載の方法。
【0286】
段落V. 複数の蛍光タグが、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1のための第二の蛍光タグを含む、段落O~Uのいずれか一項に記載の方法。
【0287】
段落W. マージンが、約1から約100ピクセルまでに及ぶ、段落O~Vのいずれか一項に記載の方法。
【0288】
段落X. PD-L1を発現する近位に位置する細胞は、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある、段落O~Wのいずれか一項に記載の方法。
【0289】
段落Y. ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積が、ピクセルで測定される、段落O~Xのいずれか一項に記載の方法。
【0290】
段落Z. 正規化因子が、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である、段落O~Yのいずれか一項に記載の方法。
【0291】
段落AA. 所定の因子が10である、段落O~Zのいずれか一項に記載の方法。
【0292】
段落AB. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落O~AAのいずれか一項に記載の方法。
【0293】
段落AC. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落O~ABのいずれか一項に記載の方法。
【0294】
段落AD. 空間的近接スコア(SPS)が、以下の式によって決定され、
【数8】

式中、Aは、総相互作用面積(PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、Aは、PD-1を発現する能力を有する細胞の総面積である、段落O~ACのいずれか一項に記載の方法。
【0295】
段落AE. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落O~ADのいずれか一項に記載の方法。
【0296】
段落AF. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落O~AEのいずれか一項に記載の方法。
【0297】
段落AG. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落O~AFのいずれか一項に記載の方法。
【0298】
段落AH. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落O~AGのいずれか一項に記載の方法。
【0299】
段落AI.がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落O~AGのいずれか一項に記載の方法。
【0300】
段落AJ. がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間近接スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0301】
段落AK. がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料は、複数の蛍光タグにより染色され、選択は、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包含するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞に対する第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または、(2)空間的近接スコアが第二の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0302】
段落AL. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落AJまたは段落AKに記載の方法。
【0303】
段落AM. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落AJまたは段落AKに記載の方法。
【0304】
段落AN. ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積が、ピクセルで測定される、段落AJ~AMのいずれか一項に記載の方法。
【0305】
段落AO. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落AJ~ANのいずれか一項に記載の方法。
【0306】
段落AP. 各蛍光タグが、特定のバイオマーカーに対するものである、段落AJ~AOのいずれか一項に記載の方法。
【0307】
段落AQ. 複数の蛍光タグが、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1のための第二の蛍光タグを含む、段落AJ~APのいずれか一項に記載の方法。
【0308】
段落AR. マージンが約1から約100ピクセルまでに及ぶ、段落AJ~AQのいずれか一項に記載の方法。
【0309】
段落AS. PD-L1を発現する近位に位置する細胞が、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある、段落AJ~ARのいずれか一項に記載の方法。
【0310】
段落AT. ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積が、ピクセルで測定される、パラメータAJ~ASのいずれか一項に記載の方法。
【0311】
段落AU. 正規化因子が、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である、段落AJ~ATのいずれか一項に記載の方法。
【0312】
段落AV. 所定の因子が10である、段落AJ~AUのいずれか一項に記載の方法。
【0313】
段落AW. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落AJ~AVのいずれか一項に記載の方法。
【0314】
段落AX. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落AJ~AWのいずれか一項に記載の方法。
【0315】
段落AY.空間的近接スコア(SPS)が、以下の式によって決定され、
【数9】

式中、Aは、総相互作用領域(PD-L1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、Aは、PD-L1を発現する能力を有する細胞の総面積である、段落AJ~AXのいずれか一項に記載の方法。
【0316】
段落AZ. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落AJ~AYのいずれか一項に記載の方法。
【0317】
段落BA. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落AJ~AZのいずれか一項に記載の方法。
【0318】
段落BB. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落AJ~BAのいずれか一項に記載の方法。
【0319】
段落BC. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落AJ~BBのいずれか一項に記載の方法。
【0320】
段落BD. がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落AJ~BBのいずれか一項に記載の方法。
【0321】
段落BE. がん患者が免疫療法に対し陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0322】
段落BF. がん患者が免疫療法に対し陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0323】
段落BG. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落BEまたは段落BFに記載の方法。
【0324】
段落BH. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落BEまたは段落BFに記載の方法。
【0325】
段落BI. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落BE~BHのいずれか一項に記載の方法。
【0326】
段落BJ. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、段落BE~BIのいずれか一項に記載の方法。
【0327】
段落BK. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、段落BE~BJのいずれか一項に記載の方法。
【0328】
段落BL. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落BE~BKのいずれか一項に記載の方法。
【0329】
段落BM. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落BE~BLのいずれか一項に記載の方法。
【0330】
段落BN. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落BE~BMのいずれか一項に記載の方法。
【0331】
段落BO. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落BE~BNのいずれか一項に記載の方法。
【0332】
段落BP. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落BE~BOのいずれか一項に記載の方法。
【0333】
段落BQ. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落BE~BPのいずれか一項に記載の方法。
【0334】
段落BR. がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落BE~BPのいずれか一項に記載の方法。
【0335】
段落BS. ステップ(B)のバイオマーカーが、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される、段落BE~BRのいずれか一項に記載の方法。
【0336】
段落BT. がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0337】
段落BU. がん患者がアジュバント化学療法に陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0338】
段落BV. アジュバント化学療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落BTまたは段落BUに記載の方法。
【0339】
段落BW. アジュバント化学療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落BTまたは段落BUに記載の方法。
【0340】
段落BX. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落BT~BWのいずれか一項に記載の方法。
【0341】
段落BY. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、段落BT~BXのいずれか一項に記載の方法。
【0342】
段落BZ. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、段落BT~BYのいずれか一項に記載の方法。
【0343】
段落CA. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落BT~BZのいずれか一項に記載の方法。
【0344】
段落CB. 第一の閾値が、約700プラスまたはマイナス100である、段落BT~CAのいずれか一項に記載の方法。
【0345】
段落CC. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落BT~CBのいずれか一項に記載の方法。
【0346】
段落CD. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落BT~CCのいずれか一項に記載の方法。
【0347】
段落CE. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落BT~CDのいずれか一項に記載の方法。
【0348】
段落CF. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落BT~CEのいずれか一項に記載の方法。
【0349】
段落CG. がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落BT~CEのいずれか一項に記載の方法。
【0350】
段落CH. ステップ(B)のバイオマーカーが、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される、段落BT~CGのいずれか一項に記載の方法。
【0351】
段落CI. それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、
(A)段落A~BSのいずれか一項に記載の方法を使用して、患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、免疫療法を患者に投与すること、を含む方法。
【0352】
段落CJ. それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、
(A)段落BT~CHのいずれか一項に記載の方法を使用して、患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、アジュバント化学療法を患者に投与すること、を含む方法。
【0353】
段落CK. 免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者は、免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0354】
段落CL. 免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野にあるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、ならびに
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0355】
段落CM. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落CKまたは段落CLに記載の方法。
【0356】
段落CN. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落CKまたは段落CLに記載の方法。
【0357】
段落CO. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落CK~CNのいずれか一項に記載の方法。
【0358】
段落CP. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、段落CK~COのいずれか一項に記載の方法。
【0359】
段落CQ. 少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、段落CK~CPのいずれか一項に記載の方法。
【0360】
段落CR. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落CK~CQのいずれか一項に記載の方法。
【0361】
段落CS. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落CK~CRのいずれか一項に記載の方法。
【0362】
段落CT. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落CK~CSのいずれか一項に記載の方法。
【0363】
段落CU. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落CK~CTのいずれか一項に記載の方法。
【0364】
段落CV. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落CK~CUのいずれか一項に記載の方法。
【0365】
段落CW. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落CK~CVのいずれか一項に記載の方法。
【0366】
段落CX. 免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
空間的近接スコアが第一の値の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者が免疫療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0367】
段落CY. 免疫療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野に存在する複数の細胞の中から選択される、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表すスコアを決定することであって、試料ががん患者から採取され、本方法は、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料から利用できる所定の数の視野を選択することであって、試料が、複数の蛍光タグにより染色され、選択が、他の視野に比べてPD-L1を発現する細胞をさらに数多く含有する視野を選択するように付勢されること、
選択された各視野について、PD-1を発現する近位に位置する細胞を包囲するのに十分なマージンをとって、PD-L1に起因する蛍光シグナルを拡張すること、
選択された各視野に由来するすべての細胞についての第一の総面積を、正規化因子で除算すること、および結果として得られた商を所定の因子によって乗算して、空間的近接スコアを得ることであって、すべての細胞が、PD-1を発現し、かつPD-1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルの中に包囲されること、ならびに
空間的近接スコアを記録すること、を含むこと、
(B)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(C)空間的近接スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)空間的近接スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)空間的近接スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が前述の第二の閾値以上である場合に、がん患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0368】
段落CZ. 免疫療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落CXまたは段落CYに記載の方法。
【0369】
段落DA. 免疫療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、抗IDO-1治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落CXまたは段落CYに記載の方法。
【0370】
段落DB. ステップ(B)由来の第四のマスクの総面積および第六のマスクの総面積が、ピクセルで測定される、段落CX~DAのいずれか一項に記載の方法。
【0371】
段落DC. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落CX~DBのいずれか一項に記載の方法。
【0372】
段落DD. 各蛍光タグが、特定のバイオマーカーに対するものである、段落CX~DCのいずれか一項に記載の方法。
【0373】
段落DE. 複数の蛍光タグが、PD-1のための第一の蛍光タグおよびPD-L1のための第二の蛍光タグを含む、段落CX~DDのいずれか一項に記載の方法。
【0374】
段落DF. マージンが、約1から約100ピクセルまでに及ぶ、段落CX~DEのいずれか一項に記載の方法。
【0375】
段落DG. PD-L1を発現する近位に位置する細胞は、PD-1を発現する細胞の形質膜の約0.5から約50μm以内にある、段落CX~DFのいずれか一項に記載の方法。
【0376】
段落DH. ステップ(A)由来の選択された各視野由来のすべての細胞についての第一の総面積が、ピクセルで測定される、パラメータCX~DGのいずれか一項に記載の方法。
【0377】
段落DI. 正規化因子が、選択された各視野由来のすべての非腫瘍細胞についての第二の総面積である、段落CX~DHのいずれか一項に記載の方法。
【0378】
段落DJ. 所定の因子が10である、段落CX~DIのいずれか一項に記載の方法。
【0379】
段落DK. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落CX~DJのいずれか一項に記載の方法。
【0380】
段落DL. 第一の閾値が、約900プラスまたはマイナス100である、段落CX~DKのいずれか一項に記載の方法。
【0381】
段落DM. 空間的近接スコア(SPS)が、以下の式によって決定され、
【数10】

式中、Aは、総相互作用面積(PD-1を発現し、かつPD-L1を発現する細胞に起因する拡張された蛍光シグナルによって包囲される、細胞の総面積)であり、Aは、PD-1を発現する能力を有する細胞の総面積である、段落CX~DLのいずれか一項に記載の方法。
【0382】
段落DN. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落CX~DMのいずれか一項に記載の方法。
【0383】
段落DO. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落CX~DNのいずれか一項に記載の方法。
【0384】
段落DP. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落CX~DOのいずれか一項に記載の方法。
【0385】
段落DQ. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落CX~DPのいずれか一項に記載の方法。
【0386】
段落DR. アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、またはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかである場合に、がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0387】
段落DS. アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)試料の視野にあるすべてのバイオマーカー陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0388】
段落DT. アジュバント化学療法が、PD-1および/またはPD-L1系を標的とする、段落DRまたは段落DSに記載の方法。
【0389】
段落DU. アジュバント化学療法が、抗PD-1治療、抗PD-L1治療、IDO-1阻害治療、またはそれらの組み合わせを含む、段落DRまたは段落DSに記載の方法。
【0390】
段落DV. 空間的近接が、ピクセルスケールで評価される、段落DR~DUのいずれか一項に記載の方法。
【0391】
段落DW.少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約1ピクセルから約100ピクセルまでに及ぶ、段落DR~DVのいずれか一項に記載の方法。
【0392】
段落DX .少なくとも一対の細胞の間の空間的近接が、約0.5μmから約50μmまでに及ぶ、段落DR~DWのいずれか一項に記載の方法。
【0393】
段落DY. 第一の閾値が、約500から約5000までに及ぶ、段落DR~DXのいずれか一項に記載の方法。
【0394】
段落DZ. 第一の閾値が、約700プラスまたはマイナス100である、段落DR~DYのいずれか一項に記載の方法。
【0395】
段落EA. 第二の閾値が、約2%から約10%までに及ぶ、段落DR~DZのいずれか一項に記載の方法。
【0396】
段落EB. 第二の閾値が、約5%プラスまたはマイナス1%である、段落DR~EAのいずれか一項に記載の方法。
【0397】
段落EC. がん患者が、黒色腫がん患者または肺がん患者である、段落DR~EBのいずれか一項に記載の方法。
【0398】
段落ED. がん患者が、黒色腫がん患者である、段落DR~ECのいずれか一項に記載の方法。
【0399】
段落EE. がん患者が、非小細胞肺がん患者である、段落DR~ECのいずれか一項に記載の方法。
【0400】
段落EF. ステップ(B)のバイオマーカーが、CD11b、HLA-DR、アルギナーゼ1、IDO-1、CD25、FoxP3、グランザイムB、CD56、CD68、CD163、Ki67、Tim3、Lag3、CD4、CD8、およびそれらのうちの二つ以上の組み合わせから選択される、段落DR~EEのいずれか一項に記載の方法。
【0401】
段落EG. がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞(CD4またはCD8)に対するバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0402】
段落EH.アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)CD25FoxP3を発現する試料の視野にあるすべてのT細胞(CD4またはCD8)に対するバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値以上であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値以上である場合に、がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0403】
段落EI. それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、
(A)段落のいずれか一項に記載の方法を使用して、患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、免疫療法を患者に投与すること、または
(C)患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が低い場合、(1)BRAF変異が存在する場合には標的療法を、または(2)BRAF変異が存在しない場合には姑息手術および/または放射線療法ならびに最も良い支持ケアを、患者に投与すること、を含む方法。
【0404】
段落EJ.それを必要とする患者においてがんを治療する方法であって、
(A)段落BT~CHのいずれか一項に記載の方法を使用して、患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測すること、および
(B)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い場合に、患者にアジュバント化学療法を投与すること、または
(C)患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が低い場合に、変異試験を進めて、(1)変異試験が陽性であれば標的療法を患者に投与すること、または(2)変異試験が陰性であれば最も良い支持ケアを患者に投与すること、を含む方法。
【0405】
段落EK.がん患者が免疫療法に対し陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)HLA-DRIDO-1を発現する試料の視野におけるすべてのHLA-DR陽性細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出し、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、黒色腫患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0406】
段落EL.黒色腫患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべてのHLA-DR細胞についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出することであって、
視野に存在するすべての細胞の核を表す第一の蛍光シグナルの画像を生成すること、および第一の蛍光シグナルを細胞全体のシグナルの直径に拡張して、視野に存在するすべての細胞の第一のマスクを構築すること、
HLA-DRを発現する視野に存在するすべての範囲を表す第二の蛍光シグナルの第二のマスクを構築すること、
IDO-1を発現する視野に存在するすべての範囲を表す第三の蛍光シグナルの第三のマスクを構築すること、
HLA-DRも発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第四のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第二のマスクとを組み合わせること、
IDO-1も発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第五のマスクを提供する方法で、前述の第一のマスクと第三のマスクとを組み合わせること、
HLA-DRおよびIDO-1を発現する視野内のすべての細胞を表す蛍光シグナルを含む第六のマスクを提供する方法で、前述の第四のマスクと第五のマスクとを組み合わせること、
第六のマスクの総面積を第四のマスクの総面積で除算することによって、HLA-DRIDO-1を発現する視野に存在するすべての細胞についてPBPの値を導出すること、ならびに
PBPの値を記録すること、を含むこと、ならびに、
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、黒色腫患者が免疫療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0407】
段落EM. 非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0408】
段落EN. アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い非小細胞肺がん患者を選択する方法であって、
(A)CD25FoxP3を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値以上である場合に、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0409】
段落EO. 非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値未満である場合、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0410】
段落EP.アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い非小細胞肺がん患者を選択する方法であって、
(A)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(B)PBPの値を閾値と比較すること、を含み、
PBPの値が閾値未満である場合に、非小細胞肺がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0411】
段落EQ. がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性を予測する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者がアジュバント化学療法に対して陽性に応答する可能性が高い、方法。
【0412】
段落ER.アジュバント化学療法から利益を得る可能性が高いがん患者を選択する方法であって、
(A)がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料をスコアリングすることであって、
がん患者から採取された腫瘍組織を含む試料を使用して、少なくとも一対の細胞の間の空間的近接を表す相互作用スコアを決定し、相互作用スコアを記録することであって、少なくとも一対の細胞の第一のメンバーがPD-1を発現し、少なくとも一対の細胞の第二のメンバーがPD-L1を発現することを含むこと、
(B)Ki67を発現する試料の視野内のすべてのT細胞(CD4またはCD8)についてバイオマーカー陽性%(PBP)の値を導出して、PBPの値を記録すること、および
(C)相互作用スコアを第一の閾値と比較し、PBPの値を第二の閾値と比較すること、を含み、
(1)相互作用スコアが第一の閾値以上であるか、もしくはPBPの値が第二の閾値未満であるかのどちらかであるか、または(2)相互作用スコアが第一の閾値以上であり、かつPBPの値が第二の閾値未満である場合に、がん患者がアジュバント化学療法から利益を得る可能性が高い、方法。
【0413】
ある特定の実施形態が説明および記載されているが、以下の特許請求の範囲に定義されるようなそのさらに広範な態様にある技術から逸脱することなく、当業者によって変更および改変がその中でなされうることが、理解されるべきである。
【0414】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の一つまたは複数の要素、一つまたは複数の限定の不在下で、適切に実践されうる。ゆえに、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的に限定なく読み取られるものとする。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、限定ではなく記載の条件として使用されており、そのような用語および表現の使用に際して、示され記載された特長またはその一部のいかなる均等物も除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された技術の範囲内で様々な改変が可能であることを認識されたい。さらに、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙された要素と、特許請求の範囲に記載された技術の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えない追加的な要素とを含むことが理解されよう。「からなる」という語句は、指定されていない任意の要素を除外する。
【0415】
本開示は、この出願に記載される特定の実施形態の観点から限定されないものとなる。当業者にとって明らかであるように、数多くの改変および変形は、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および組成物は、前述の記載から当業者には明らかとなろう。そのような改変および変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ限定され、そのような特許請求の範囲が適用される均等物の全範囲と併せて限定されるものとなる。この開示は、特定の方法、試薬、化合物組成物、または生物学的システムに限定されないが、当然のことながら変化する可能性があることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のために過ぎず、限定を意図しないことも理解されたい。
【0416】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュ群にて記載されている場合には、それによって本開示がまた、マーカッシュ群の任意の個別のメンバーまたはメンバーのサブグループに関して記載されていることを、当業者は認識するものとなる。
【0417】
当業者によって理解されることになるように、任意のおよびすべての目的のために、特に、記載された説明を提供するという観点から、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、可能性のある任意のおよびすべての部分範囲とその部分範囲の組み合わせとを包含する。列挙されたいかなる範囲も、十分に記載されて同じ範囲を少なくとも均等な半分、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一などに分割できるものとして、容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で議論された各範囲は、下位三分の一、中位三分の一、および上位三分の一などに容易に分けることができる。また当業者によって理解されることになるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言葉は、上記で議論されたような部分範囲にその後分割できる範囲を記載し指示する数を含む。最後に、当業者によって理解されることになるように、範囲は、それぞれの個別のメンバーを含む。
【0418】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、あたかもそれぞれの個別の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が参照によりその全体を組み込まれることを示すかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文章に含まれる定義は、本開示の定義に矛盾する範囲で除外される。
【0419】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30