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特許7162609温度感度が低減した改良粘弾性フォーム用ポリオール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】温度感度が低減した改良粘弾性フォーム用ポリオール
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20221021BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221021BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20221021BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20221021BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20221021BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221021BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20221021BHJP
【FI】
C08G18/48 004
C08G18/76 014
C08G18/28 015
C08G18/48 033
C08G18/40 009
C08G18/18
C08G18/00 H
C08G101:00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019550675
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018021933
(87)【国際公開番号】W WO2018169833
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/471,423
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516284183
【氏名又は名称】コベストロ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル、バークスビー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン、エル.ニール
(72)【発明者】
【氏名】スーザン、ビー.マクベイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーン、イー.ヘイズ
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0340464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0079429(US,A1)
【文献】特表2004-530767(JP,A)
【文献】特表2011-528726(JP,A)
【文献】特開2004-231706(JP,A)
【文献】特表2018-517043(JP,A)
【文献】特表2015-502428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法であって、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、前記単官能ポリエーテル(a)(i)の総重量に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
前記ポリオール混合物(a)が前記単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物、
および、任意選択で、
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、前記ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
を含んでなる、イソシアネート反応性成分とを、
(3)発泡剤、
(4)触媒、および
(5)界面活性剤
の存在下で、反応させることを含んでなり、
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が4以下~1であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~110のNCO指数で16.0 kg/m~96.1 kg/mの密度範囲にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、前記NCO指数が105以上の場合、前記イソシアネート反応性成分(2)が少なくとも3重量%の(2)(b)を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記単官能ポリエーテル(2)(a)(i)が、28mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、前記単官能ポリエーテル(2)(a)(i)の総重量に対して少なくとも2%~15%以下の共重合オキシエチレンを含有し、
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、前記ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有し、
前記ポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、3~6の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記イソシアネート反応性成分(2)が、
(c)10mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2~8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)および(a)(iii)とは異なるポリエーテルポリオール、および/または
(d)充填ポリオール
のうち少なくとも1種をさらに含んでなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオール混合物(a)が、25~45重量%の前記単官能ポリエーテル(i)を含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の15~85重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の85%~15重量%が成分(iii)を含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリエーテルポリオール(b)が、30mg KOH/gポリオール~170mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2.5~6の平均官能性を有し、100重量%の成分()に対して50%~99重量%の共重合オキシエチレンを含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオール混合物(a)が、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記in-situ形成ポリオール混合物(a)が、
A)反応容器に、
(1)56mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)、および
(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒、
を含んでなる混合物を入れること、
B)前記反応容器に、
(1)プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシド
を供給すること、
C)前記エポキシド混合物と前記初期スターター(S)とを反応させ、前記単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、1,500と6,000との間の値に達するまで前記エポキシドを供給することによって重合し続けること、
D)引き続き、
(1)2超~6の公称官能性および28~400の当量を有する低分子量スターター(S)を、前記反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること、 E)前記スターター(S)の添加を完了すること、
ならびに
F)前記混合物を前記反応容器中で重合し続け、それによって
(a)in-situ形成ポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の前記単官能ポリエーテル(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
前記ポリオール混合物(a)が前記単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、in-situ形成ポリオール混合物を形成すること、
ならびに、任意選択で、
(II)前記in-situ形成ポリオール混合物(a)を、
(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、前記ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
と混ぜ合わせること
によって調製される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
得られたin-situ形成ポリオール混合物が、
(c)10mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2~8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール、および
(d)1種以上の充填ポリオール
のうち少なくとも1種とさらに混合される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
A)(1)前記初期スターター(S)が、1種以上のC12、C13、C14、および/またはC15長鎖アルコールを含んでなるスターターから調製される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記低分子量スターター(Sc)が、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、スクロース、ソルビトール、またはそれらの混合物を含んでなる、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおけるタンデルタによって測定されるTが18℃未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおけるタンデルタによって測定されるTが17℃未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
粘弾性ポリウレタンフォームであって、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、前記単官能ポリエーテル(a)(i)の総重量に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
前記ポリオール混合物(a)が前記単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物
および、任意選択で、
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、前記ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
を含んでなる、イソシアネート反応性成分との、
(3)発泡剤、
(4)触媒、および
(5)界面活性剤
の存在下における反応の生成物を含んでなり、
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が4以下~1であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~110のNCO指数で16.0 kg/m~96.1 kg/mの密度範囲にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、前記NCO指数が105以上の場合、前記イソシアネート反応性成分(2)が少なくとも3重量%の(2)(b)を含んでなる、粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記ポリオール混合物(a)が、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなる、請求項15に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【請求項17】
(a)前記in-situ形成ポリオール混合物が、
A)反応容器に、
(1)56mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)、および
(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒、
を含んでなる混合物を入れること、
B)前記反応容器に、
(1)プロピレンオキシドとエチレンオキシドを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシド
を供給すること、
C)前記エポキシド混合物と前記初期スターター(S)とを反応させ、前記単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、1,500と6,000との間の値に達するまで前記エポキシドを供給することによって重合し続けること、
D)引き続き、
(1)2超~6の公称官能性および28~400の当量を有する低分子量スターター(S)を、前記反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること、 E)前記スターター(S)の添加を完了すること、
ならびに
F)前記混合物を前記反応容器中で重合し続け、それによって
ポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の前記単官能ポリエーテル(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、前記ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
前記ポリオール混合物(a)が前記単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物
ならびに、任意選択で、
(II)前記in-situ形成ポリオール混合物(a)を、
(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、前記ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール
と混ぜ合わせることによって調製される、請求項16に記載の粘弾性ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の粘弾性ポリウレタンフォームおよびそれらの粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法に関する。得られた発泡体において、15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比は5以下~約1(または4以下~約1)であり、タンデルタによって測定されるTは20℃未満である。
【背景技術】
【0002】
枕、マットレスのトッパーまたはレイヤー、およびベッドインボックスの発泡体として、形状記憶フォーム(memory foam)または低反発フォームとも呼ばれる粘弾性ポリウレタンフォームの人気は、近年、大幅に増加してきている。また、他のホームファーニシングやオフィス家具にも使用されている。この使用の増加は、高空気流で、かつ圧縮永久ひずみの減少が良好な引き裂き強度など物理的特性が向上した高品質の粘弾性フォームに対する需要を生み出している。一般的な消費者の不満は、夜間および/または室温に応じてマットレスの堅さ(hardness)または硬さ(firmness)が変わることである。粘弾性フォームの堅さ(hardness)または硬さ(firmness)は、多くの場合、温度に関連している。人が発泡体マットレスの上に寝ているときや発泡体クッションの上に座っているとき、体から発泡体に熱が伝わることよって発泡体が熱くなり、結果として発泡体の堅さ(hardness)または硬さ(firmness)が大きく変化する可能性がある。そのため、人が最初は発泡体の上に横たわっているか、発泡体の上に座っていても、しばらくすると発泡体の中に横たわったり、発泡体のなかに沈んだりして不快感を引き起こすことになる。同様に、温度の影響を受けやすい発泡体は、寒い夜には不快に硬く感じられ、暖かい夜には柔らかすぎると感じられる。本発明の目的は、高い空気の流れ、低い圧縮永久ひずみ、および良好な引き裂き強度を依然として維持しながら、発泡体の温度感度の問題を解決することである。
【発明の概要】
【0003】
新規の粘弾性ポリウレタンフォームは、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、約56~120未満のヒドロキシル価、約2超の平均官能性を有し、
(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテル(a)(i)の総重量に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
ポリオール混合物(a)が1種以上の単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物
および
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%の1種以上のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50重量%の共重合オキシエチレンを含んでなるポリエーテルポリオール、
を含んでなる、イソシアネート反応性成分との、
(3)1種以上の発泡剤、
(4)1種以上の触媒、および
(5)1種以上の界面活性剤
の存在下における反応の生成物を含んでなり、
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が5以下~約1(または4以下~約1)であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~約110のNCO指数で約1.0 lb/ft~約6.0 lb/ftの密度にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、NCO指数が約105以上の場合、イソシアネート反応性成分(2)は、100重量%の成分(2)に対して少なくとも約3重量%(または少なくとも約5重量%)の(2)(b)を含んでなる。
【0004】
粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法は、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、約56~120未満のヒドロキシル価、約2超の平均官能性を有し、
(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテル(a)(i)の総重量に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
ポリオール混合物(a)が1種以上の単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物
および、任意選択で、
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%の1種以上のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50重量%の共重合オキシエチレンを含んでなるポリエーテルポリオール
を含んでなるイソシアネート反応性成分とを、
(3)1種以上の発泡剤、
(4)1種以上の触媒、および
(5)1種以上の界面活性剤
の存在下で、反応させることを含んでなり、
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比5以下~約1(または4以下~約1)であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~約110のNCO指数で約1.0 lb/ft~約6.0 lb/ftの密度にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、NCO指数が約105以上の場合、イソシアネート反応性成分(2)は100重量%の成分(2)に対して少なくとも約3重量%(または少なくとも約5重量%)の(2)(b)を含んでなる。
【0005】
その他の実施形態では、粘弾性ポリウレタンフォームおよび粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法のためのイソシアネート反応性成分は、(c)1種以上のポリエーテルポリオールであって、(a)(ii)および(a)(iii)とは異なり、約10~約300のOH価、約2~約8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および/または(d)一般にポリマーポリオールとも呼ばれる1種以上の充填ポリオールのうち少なくとも1種を含んでなることができる。
【0006】
本発明の別の特徴は、加工を強化し、コールドフローまたはディッシングに対して発泡体を安定化させる助けとなる発泡体加工助剤または発泡調節剤の使用を含む。
【0007】
本明細書に記載のポリオール混合物は、発泡体の加工を強化し、ディッシングに対する改善された耐性を有する発泡体をもたらし、コールドフローの傾向が少ないこともわかった。
【0008】
別の実施形態では、ポリオール混合物(2)(a)は、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなる。これらのin-situ形成ポリオール混合物(a)は、ポリウレタンフォームおよび/または本明細書に記載の粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法に使用することができる。in-situ形成ポリオール混合物(a)は、
A)反応容器に、
(1)約56未満のヒドロキシル価を有する1種以上の単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)、および
(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒、
を含んでなる混合物を入れること、
B)反応容器に
(1)プロピレンオキシドとエチレンオキシドを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシド、
を供給すること、
C)エポキシド混合物と初期スターター(S)とを反応させ、単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、約1,500と約6,000との間の値に達するまでエポキシドを供給することによって重合し続けること、
D)引き続き、
(1)2超~約6の公称官能性および約28~約400の当量を有する1種以上の低分子量スターター(S)を、反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること、
E)スターター(S)の添加を完了すること、
および
F)混合物を反応容器中で重合し続け、それによって、
(a)in-situ形成ポリオール混合物であって、約56~120未満の全体のヒドロキシル価、約2超の平均官能性を有し、
(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
ポリオール混合物(a)が1種以上の単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、in-situ形成ポリオール混合物
を形成すること、
ならびに、任意選択で、
(II)in-situ形成ポリオール混合物(a)を
(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%の、1種以上のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールと混合すること
によって調製される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本発明の1つの実施形態を示す標準的な発泡体ブロックの断面図である。
図1B図1Bは、コールドフローを示す発泡体ブロックの断面図である。
図1C図1Cは、ディッシングを示す発泡体ブロックの断面図である。
図2図2は、温度(℃)に対する、貯蔵弾性率(MPa)、損失弾性率(MPa)、タンデルタを示す粘弾性フォームの動的機械分析(DMA)グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、開示の発明の構造、機能、特性、および使用の全体的な理解を提供するために、さまざまな実施形態が説明および図示されている。本明細書で記載および図示されるさまざまな実施形態は、限定的でなくかつ網羅的ではないことが理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示のさまざまな非限定的かつ非網羅的な実施形態の記載によって限定されない。さまざまな実施形態に関連して記載される特徴および特性は、他の実施形態の特徴および特性と組み合わせることができる。そのような修正および変更は、本明細書の範囲内に含まれることが意図されている。したがって、本明細書に明示的または本質的に記載されているか、そうでなければ明示的または本質的にサポートされている特徴または特性を列挙するために、請求項を修正することができる。さらに、出願人(ら)は、先行技術に存在する可能性のある特徴または特性を肯定的に放棄するために請求項を修正する権利を留保する。したがって、そのような修正はいずれも、35 U.S.C.§112および35 U.S.C.§132(a)の要件に準拠する。本明細書で開示および記載のさまざまな実施形態は、本明細書でさまざまに記載される特徴および特性を含んでなるか、それらからなるか、またはそれらから本質的になりうる。
【0011】
本明細書で特定された特許、刊行物、または他の開示資料は、別段の指示がない限り、組み込まれた資料が既存の定義、記載、または本明細書で明示的に記載された他の開示資料と矛盾しない限りにおいてのみ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に記載の明示的な開示は、参照により本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載されている既存の定義、記載、または他の開示資料と矛盾するいずれの資料またはその一部は、組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。出願人(ら)は、参照により本明細書に組み込まれる主題またはその一部を明示的に列挙するために、本明細書を修正する権利を留保する。
【0012】
本明細書では、別段の指定のない限り、すべての数値パラメータは、すべての場合に「約」という用語で前置きおよび修飾され、数値パラメータは、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の変動特性をもつものとして理解されるべきである。少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記載の各数値パラメータは少なくとも、報告されている有効数字の数に照らし、かつ通常の丸め手法を適用することによって、解釈されるべきである。
【0013】
また、本明細書で列挙される数値範囲は、列挙される範囲内に含まれる同じ数値精度のすべての部分範囲を含むことを意図する。たとえば、「1.0~10.0」の範囲は、記載された最小値の1.0と最大値の10.0との間(最小値と最大値を含む)のすべての部分範囲、つまり、最小値が1.0以上で最大値が10.0以下などの範囲、例えば2.4~7.6を含むことを意図する。本明細書で列挙されるあらゆる最大数値制限は、そこに包含されるすべてのより低い数値制限を含むことを意図し、本明細書で列挙されるあらゆる最小数値制限は、そこに包含されるすべてのより高い数値制限を含むことを意図する。したがって、出願人(ら)は、請求項を含む本明細書を修正し、本明細書に明示的に列挙された範囲内に含まれる部分範囲を明示的に列挙する権利を留保する。そのような範囲はすべて、任意のそのような部分範囲を明示的に列挙する修正は、35 U.S.C.§112および35 U.S.C.§132(a)の要件に準拠するように、本明細書に本質的に記載されることを意図する。
【0014】
本明細書で使用される文法的な冠詞「one」、「a」、「an」、および「the」は、別段の指示がない限り、「少なくとも1」または「1以上」を含むことを意図している。したがって、本明細書では、冠詞の文法的な対象の1以上(すなわち「少なくとも1」)を指すために冠詞は使用される。例として、「成分(a component)」は1以上の成分(one or more components)を意味し、したがっておそらく、1より多くの成分が企図され、記載の実施形態の実行において採用または使用されうる。さらに、使用の前後関係によって別段の解釈が必要でない限り、単数形名詞の使用には複数形が含まれ、複数形名詞の使用には単数形が含まれる。
【0015】
公称分子量は、公称数平均当量にスターター官能性を乗じたものである。公称ヒドロキシル価は、56,100を公称当量で除したものに等しい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「公称官能性」という用語は、ポリエーテルポリオールの調製に使用されるスターター化合物または開始剤の官能性のみに基づくポリエーテルポリオールの官能性を指す。典型的には、公称官能性は、特定の化合物の官能性を記載するのに使用される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「平均官能性」という用語は、記載されているポリエーテルポリオールまたはポリエーテルポリオール混合物の1分子当たりに存在する反応基(例えば、ヒドロキシル、アミンなど)の平均数を指す。典型的には、この用語はポリエーテルポリオールが異なる官能性を有する2つ以上のスターター化合物もしくは開始剤から調製される場合、および/または個々のポリエーテルポリオールが異なる官能性を有するポリエーテルポリオールの混合物が使用される場合に使用される。
【0018】
本明細書のすべてのヒドロキシル価(すなわちOH価)はASTM D4274-11に従って決定された。mg KOH/gポリオールで報告されている。
【0019】
ポリマーポリオールの総固体レベル(すなわち、ポリアクリロニトリルとポリスチレンの重量パーセント)は、近赤外(NIR)分光法として知られる分析技術によって測定された。総固体の具体的なNIR測定は、ASTM D6342-12「ポリウレタン原料:近赤外(NIR)分光法によるポリオールのヒドロキシル価の決定(Polyurethane Raw Materials: Determining Hydroxyl Number of Polyols by Near Infrared (NIR) Spectroscopy)」のバリエーションである。使用されるバリエーションは、(1)ヒドロキシル価に関連するものの代わりにポリアクリロニトリルとポリスチレンに関連する吸収バンドの置換および(2)透過モードではなく反射モードでのNIRスペクトルの取得が含まれる。反射モードの使用は、ポリマーポリオールが不透明であり、したがって赤外線に対する散乱材料であることに起因する。反射モードでのNIRスペクトルの測定は、PMPOがより多くのNIR放射を透過するよりも反射するので、結果として較正および測定のために高品質のスペクトルをもたらす。標準として使用される較正は、ASTM D6342-12に従って開発された。さらに、ポリアクリロニトリルとポリスチレンに関連する吸収バンドを使用して、全ポリマー中のスチレン(S)のアクリロニトリル(AN)に対する重量比が計算される。当業者なら、これがS/AN比を制御するための主要なメカニズムの分析的確認であり、全反応器供給物中のモノマーの重量%であることを認識するであろう。
【0020】
イソシアネート指数は、発泡体配合物全体に存在するイソシアネート反応性基と反応するために必要なイソシアネート官能基の相対的化学量論量である。本願では百分率割合で表され、したがって、配合物中のイソシアナート官能基とイソシアナート反応性官能基の等しい化学量論量は、100%のイソシアナート指数をもたらす。
【0021】
本明細書で使用される場合、「粘弾性フォーム」または「粘弾性ポリウレタンフォーム」という用語は、低反発ポリウレタンフォームを指し、一般に形状記憶フォーム(memory foam)と呼ばれる。典型的には、これらの発泡体は、圧力ポイントを緩和することを目的とした発泡体に置かれたあらゆる重量を均一に支えることを可能にし、重量が取り除かれると発泡体はゆっくりと元の形状に回復する。これらの発泡体は、主に寝具、枕などに使用される。
【0022】
本明細書で使用される場合、コールドフローの定義は、周囲温度での連続荷重下で材料に発生する歪み、変形、または寸法変化である(出典:CRC Press LLC、1989)。「連続荷重」とは、スラブストックフォームの自重を意味する。コールドフローを示す発泡体ブロックを図1Bに示す。このような発泡体は台形の形状している。
【0023】
本明細書で使用される場合、ディッシングという用語は、コールドフロー(cold flow)と同様に周囲温度で連続荷重下の材料に発生する歪み、変形、または寸法変化を指すのに使用されるが、ディッシングとは具体的に、図1Cに示されるように、発泡体ブロックの側面または上部にしわが寄る(pucker)発泡体または材料を指す。
【0024】
ポリオール混合物(a)は、約56~約250の全体のヒドロキシル価、および約2を超える平均官能性を有する。このポリオール混合物は、少なくとも約56、または少なくとも約70、または少なくとも約80、または少なくとも約90のヒドロキシル価を有しうる。このポリオール混合物はまた、約250以下、または120未満、または約118以下、または約110以下のヒドロキシル価を有しうる。in-situ形成ポリオール混合物(a)は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値のいずれの組み合わせの範囲のヒドロキシル価、例えば、少なくとも約56~約250以下、または少なくとも約70~120未満、または少なくとも約80~118以下、または少なくとも約90~約110を有しうる。
【0025】
典型的には、ポリオール混合物(a)は、約2より大きい平均機能性を有する。このポリオール混合物は、約2より大きいまたは少なくとも約2.1の平均官能性を有しうる。このポリオール混合物の平均官能性はまた、約6以下または約4以下でありうる。ポリオール混合物(a)は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値のいずれの組み合わせの範囲、例えば、約2超~約6以下、または少なくとも約2.1~約4以下の平均官能性を有しうる。
【0026】
粘弾性ポリウレタンフォームおよび粘弾性フォームを調製する方法に適した(2)イソシアネート反応性成分は、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、約56~約250(または少なくとも約70~120未満、または少なくとも約80~118以下、または少なくとも約90~約110)のヒドロキシル価、約2を超える平均官能性を有し、
(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の(a)(i)に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して約5~約45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、および
(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
ポリオール混合物(2)(a)が1種以上の単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなる、ポリオール混合物
ならびに
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%の1種以上のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含んでなるポリエーテルポリオール
を含んでなる。
【0027】
別の実施形態では、(a)および(b)の相対量が、100重量%のイソシアネート反応性成分(2)に対して、20%~100重量%の(a)および最大80重量%の(b)、または85%~99重量%の(a)および1%~15重量%の(b)である。
【0028】
本発明の1つの実施形態では、系全体のNCO指数が約105以上である場合、イソシアネート反応性成分が、100重量%の成分(2)に対して少なくとも約3重量%の成分(b)または少なくとも約5重量%の成分(b)含んでなる。
【0029】
成分(a)(i)に適した単官能ポリエーテルとしては、ヒドロキシル価が56以下、または28以下のモノオールが挙げられる。
【0030】
(a)(i)に適したスターターとして、複数当量のエポキシドを、例えばメタノール、エタノール、フェノール、アリルアルコール、長鎖アルコールなどの低分子量単官能性スターターおよびそれらの混合物に加えることによって形成されるポリオキシアルキルエンモノオールが挙げられる。好適な長鎖アルコールの例としては、C12、C13、C14、および/またはC15モノオールが挙げられ、それらは個別にまたは混合物として使用することができる。好適なエポキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびそれらの混合物などを挙げることができる。エポキシドは、周知の技術ならびにアルカリ金属、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド、複合金属シアン化錯体など多数を含むさまざまな触媒を用いて重合することができる。好適な単官能性スターターは、例えば、最初にジオールまたはトリオールを生成し、次に残りのヒドロキシル基の1種を除くすべてをエーテル、エステル、または他の非反応性基に変換することによっても作ることができる。好適な単官能性スターターとしては、例えば米国特許第6,391,935号および同第6,821,308号に記載のモノオールが挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
1つの実施形態では、ポリオキシアルキルエンモノオールスターターは、56以下のヒドロキシル価を有するポリオキシプロピレンモノオールを含んでなる。これらの化合物は、DMC触媒によるエポキシドの添加を促進し、ポリオール混合物(a)の生成に良好なビルド比(build ratio)をもたらす。
【0032】
1つの実施形態では、単官能性ポリエーテルは、単官能ポリエーテルの総重量に対して最大約20重量%の共重合オキシエチレンを含有することも特徴とすることができる。この重量割合には、開始剤またはスターター、および加えられたすべてのエポキシドが含まれる。これらの単官能ポリエーテルは、100重量%の単官能ポリエーテルに対して約20重量%以下、または約15重量%以下、または約10重量%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。これらの単官能ポリエーテルはまた、単官能ポリエーテルの総重量に対して0%超、または少なくとも約2%、または少なくとも約5%の共重合オキシエチレンを含有しうる。単官能性ポリエーテルに存在する共重合オキシエチレンの量は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値のいずれの組み合わせの間、例えば0%超~約20%以下、または少なくとも約2%~約15%以下、または少なくとも約5%~約10重量%以下などさまざまでありうる。
【0033】
単官能ポリエーテルは、単官能ポリエーテルの総重量に対して20%未満の共重合オキシエチレンを含有するという条件で、オキシアルキレン単位の実質的に任意の所望の配置を有することができる。この重量割合には、開始剤またはスターター、および加えられたすべてのエポキシドが含まれる。一般に、モノオールの第一級ヒドロキシル基含有量が23重量%未満になるように、オキシエチレン単位のすべてがポリオキシアルキレンモノオールの末端に濃縮されない。好適な単官能性ポリエーテルのいくつかの例としては、POホモポリマー、ブロックEO-POコポリマー、ランダムEO/POコポリマーが挙げられ、EOまたはEOとPOの混合物が「先端に付けられた(tipped)」POポリマーは可能であるが、好ましくない。これらの「先端(tipped)」POポリマーは、特定のオキシエチレン含有量および/もしくは所望の第一級ヒドロキシル含有量(23%未満)、またはその他の所望の構成を達成するようにEOとPOの混合物を使用すべきである。いわゆるPOホモポリマーは、共重合オキシエチレンの上記の量を満たすという条件で好適である。
【0034】
典型的には、成分(a)(ii)に適したポリエーテルポリオールは、約47~約300のヒドロキシル価、および2の公称官能性を有する。これらのポリエーテルポリオールは、少なくとも約47からの、または少なくとも約70からのヒドロキシル価を有しうる。ポリエーテルポリオールはまた、300以下または240以下のヒドロキシル価を有しうる。好適なポリエーテルポリオールまた、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値のいずれの組み合わせの範囲、少なくとも約47~約300または少なくとも約70~約240のヒドロキシル価を有する。これらポリエーテルポリオール(ii)は、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、水、メチル-1,3-プロパンジオールなどの低分子量スターター、およびそれらの混合物から調製することができる。
【0035】
成分(a)(ii)に適したポリエーテルポリオールは、約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有する。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%の共重合オキシエチレンを含有しうる。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して約45%以下、または約40%以下、または約35%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。ポリエーテルポリオールの総重量には、開始剤またはスターター、および加えられたすべてのエポキシドが含まれる。本明細書の好適なポリエーテルポリオールは、別段の記述がない限り、上記に開示の上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の間、例えば少なくとも約5%~約45重量%以下、または少なくとも約10%~約40重量%以下、または少なくとも約15%~約35重量%以下の任意の量の共重合オキシエチレンを含有しうる。
【0036】
これらのポリエーテルポリオール(a)(ii)は、ブロックEO-POコポリマー、EOでキャッピングされた(EO-capped)ポリオキシプロピレン、ランダムEO/POコポリマー、所望の量のオキシエチレン含有量および/または特定の第一級ヒドロキシル含有量、またはその他の所望の構成を達成するようにEOとPOの混合物が「先端に付けられて(tipped)」POポリマーであることができる。
【0037】
典型的には、成分(a)(iii)に適したポリエーテルポリオールは、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有する。これらのポリエーテルポリオールがまた、少なくとも約47からまたは少なくとも約70からのヒドロキシル価を有しうる。ポリエーテルポリオールはまた、300以下または240以下のヒドロキシル価を有しうる。好適なポリエーテルポリオールはまた、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の間の範囲の、少なくとも約47~約300または少なくとも約70~約240のヒドロキシル価を有しうる。ポリエーテルポリオールはまた、2超または少なくとも約3の公称官能性を有しうる。ポリエーテルポリオールの公称官能性はまた、約8以下または約6以下でありうる。好適なポリエーテルポリオールはまた、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の間の範囲の、例えば2超~約8、少なくとも約3~約6の公称官能性を有しうる。これらのポリエーテルポリオール(iii)は、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトールなどの低分子量スターターおよびそれらの混合物から調製することができる。
【0038】
成分(a)(iii)に適したポリエーテルポリオールは、約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含む。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%の共重合オキシエチレンを含有しうる。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して約45%以下、または約40%以下、または約35%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。ポリエーテルポリオールの総重量には、開始剤またはスターター、および加えられたすべてのエポキシドが含まれる。本明細書の好適なポリエーテルポリオールは、別段の記述がない限り、上記に開示の上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の間、例えば少なくとも約5%~約45重量%以下、または少なくとも約10%~約40重量%以下、または少なくとも約15%~約35重量%以下などの任意の量の共重合オキシエチレンを含有しうる。
【0039】
これらのポリエーテルポリオール(a)(iii)は、ブロックEO-POコポリマー、EOでキャッピングされた(EO-capped)ポリオキシプロピレン、ランダムEO/POコポリマー、特定の所望の量のオキシエチレンおよび/もしくは第一級ヒドロキシル含有量、またはその他の所望の構成を達成するようにEOとPOの混合物が「先端に付けられて(tipped)」POポリマーであることができる。
【0040】
本発明においては、ポリオール混合物(a)は、約20%~約50%または約25~約45重量%の単官能ポリエーテル(i)を含んでなり、ポリオール混合物の残部は成分(ii)および(iii)を含んでなる。そのうち約10~約90%または約15~85重量%の残部は成分(ii)を含んでなり、約90%~約10%または約85~15重量%の残部は成分(iii)を含んでなる。
【0041】
さらにイソシアネート反応性成分は、(b)1種以上のポリエーテルポリオールを含んでなることができる。好適なポリエーテルポリオール(b)は、2~8の平均官能性、少なくとも約20~約300以下のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリオールを含む。前述のように、これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(ii)および(a)(iii)と異なる。成分(b)に適したポリエーテルポリオールは一般に、連続気泡(cell opening)ポリオールと呼ばれうる。
【0042】
成分(b)のこれらのポリエーテルポリオールは、少なくとも約20mg KOH/g、または少なくとも約30mg KOH/g、または少なくとも約35mg KOH/gのヒドロキシル価を有しうる。さらに、ポリエーテルポリオールは一般に、約300mg KOH/g以下、または約170mg KOH/g以下、または約50mg KOH/g以下のヒドロキシル価を有する。本発明の好適なポリエーテルポリオールは、別段の記述がない限り、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間、例えば少なくとも約20~約300mg KOH/g以下、または少なくとも約30~約170mg KOH/g以下、または少なくとも約35mg KOH/g~約50mg KOH/g以下のヒドロキシル価を特徴としうる。
【0043】
これらのポリエーテルポリオール(b)の平均官能性範囲は、少なくとも2または少なくとも約2.5である。典型的には、平均官能性はまた、約8以下または約6以下である。ポリエーテルポリオール(b)の平均官能性は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えば少なくとも約2~約8以下または少なくとも約2.5~約6以下でありうる。
【0044】
成分(b)として使用される好適なポリエーテルポリオールはまた、ポリエーテルポリオールの総重量に対して少なくとも50%~約99重量%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。ポリエーテルポリオールの総重量には、開始剤またはスターター、および加えられたすべてのエポキシドが含まれる。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオールの総重量に対して少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70重量%の共重合オキシエチレンを含有しうる。これらのポリエーテルポリオーはまた、ポリエーテルポリオールの総重量に対して約99%以下、または約90%以下、または約85%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。本明細書の好適なポリエーテルポリオールは、上記開示値を含めて開示値の間の任意の量の共重合オキシエチレン、例えばなくとも約50%~約99%以下、または少なくとも約60%~約90%以下、または少なくとも約70%~約85重量%以下の共重合オキシエチレンを含有しうる。
【0045】
成分(b)に適したポリエーテルポリオールのいくつの例としては、2つ以上の活性水素を有する化合物(例えばグリコール、トリオール、テトロール、ヘキソール、多官能性アミン、および当業者に既知の他の多官能性スターター)を、前述のエポキシドの1種以上の等価物と反応させることによって好都合に調製される化合物が挙げられる。これらのポリエーテルポリオール(b)に適したスターターの例としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、スクロース、ソルビトール、トリプロピレングリコール、水、メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタエリトリトール、およびそれらの混合物などの低分子量スターターが挙げられる。
【0046】
成分(b)に適したエポキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびそれらの混合物を挙げることができる。エポキシドは、周知の技術ならびにアルカリ金属、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド、複合金属シアン化錯体など多数を含むさまざまな触媒を用いて重合することができる。
【0047】
これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオールの総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するという条件で、オキシアルキレン単位の任意の所望の配置を有することができる。したがって、ポリエーテルポリオール(b)は、EOホモポリマー、ブロックEO-POコポリマー、EOでキャッピングされた(EO-capped)ポリオキシプロピレン、POでキャッピングされた(PO capped)ポリオキシエチレン、ランダムEO/POコポリマー、所望の量の共重合オキシエチレンおよび/もしくは特定の第一級ヒドロキシル含有量、またはその他の所望の構成を達成するようにEOとPOの混合物が「先端に付けられた(tipped)」POポリマーであることができる。
【0048】
本明細書のイソシアネート反応性成分は、成分(c)および/または(d)をさらに含んでなることができる。成分(c)および/または(d)は、100重量%の成分(a)、(b)、(c)、および(d)に対して0~約50重量%または約1~約40重量%の量で存在しうる。
【0049】
1つの実施形態では、これらのイソシアネート反応性成分は、(c)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約10~約300のOH価、約2~約8の平均官能性を有し、成分(c)の総重量に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールをさらに含んでなる。
【0050】
ポリエーテルポリオール(c)として使用される好適な化合物としては、少なくとも約2~約8以下の平均官能価、少なくとも約10~約300以下のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(c)の総重量に対して0%~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリオールが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオール(a)(ii)およびポリエーテルポリオール(a)(iii)と異なる。
【0051】
成分(c)のこれらのポリエーテルポリオールは、少なくとも約10mg KOH/g、または少なくとも約20mg KOH/g、または少なくとも約25mg KOH/gのヒドロキシル価を有しうる。さらに、ポリエーテルポリオールは一般に、約300mg KOH/g以下、または約150mg KOH/g以下、または約75mg KOH/g以下のヒドロキシル価を有する。本発明の好適なポリエーテルポリオールは、別段の記述がない限り、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間、例えば少なくとも約10~約300mg KOH/g以下、または少なくとも約20~約150mg KOH/g以下、または少なくとも約25mg KOH/g~約75mg KOH/g以下のヒドロキシル価を特徴としうる。
【0052】
これらのポリエーテルポリオール(c)の平均官能性は、少なくとも約2~約8以下の範囲である。これらのポリエーテルポリオールはまた、少なくとも約2、または少なくとも約2.5、または少なくとも約3の平均官能性を有しうる。これらのポリエーテルポリオールは、8以下、または6以下、または4以下の平均官能性を有しうる。さらに、これらのポリエーテルポリオールは、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間、例えば少なくとも約2~約8以下、または少なくとも約2.5~約6以下、または少なくとも約3~約4以下の平均官能性を有しうる。
【0053】
成分(c)に適したポリエーテルポリオールのいくつの例としては、2つ以上の活性水素を有する化合物(例えばグリコール、トリオール、テトロール、ヘキソール、多官能性アミン、および当業者に既知の他の多官能性スターター)を、前述のエポキシドの1種以上の等価物と反応させることによって好都合に作られる化合物が挙げられる。これらのポリエーテルポリオール(c)に適したスターターの例としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、スクロース、ソルビトール、トリプロピレングリコール、水、メチル-1,3-プロパンジオール、ペンタエリトリトール、およびそれらの混合物などの低分子量スターターが挙げられる。
【0054】
成分(c)に適したエポキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびその混合物を挙げることができる。エポキシドは、周知の技術ならびにアルカリ金属、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド、複合金属シアン化錯体など多数を含むさまざまな触媒を用いて重合することができる。
【0055】
1つの実施形態では、イソシアネート反応性成分は、(d)ポリマーポリオールとしても知られる1種以上の充填ポリオールをさらに含んでなることができる。本発明に適した充填ポリオールの例としては、例えば(i)スチレン/アクリロニトリルポリマーポリオール、(ii)イソシアネートとアルカノールアミンのin-situ反応によって形成されるポリウレタンの分散液であるポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール、(iii)ポリヒドラゾジカーボンアミド分散ポリオール(PHDポリオールとしても知られる)、および(iv)それらの混合物が挙げられる。
【0056】
本明細書で好適な(i)SANポリマーポリオールは、ポリオールキャリア(またはベースポリオール)中のモノマー(すなわちスチレンとアクリロニトリル)のフリーラジカル重合によって調製されて、ポリオールキャリア(またはベースポリオール)中に分散されたフリーラジカルポリマーが生成される。従来は、SANポリマーポリオールの固形分は、SANポリマーポリオール組成物の総重量に対して約5%~最大約60重量%の固体である。固形分は、SANポリマーポリオール組成物の総重量に対して少なくとも約5%または少なくとも約10重量%の固体でありうる。固形分はまた、SANポリマーポリオール組成物の総重量に対して約60重量%以下または約50重量%以下でありうる。固形分の量は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えばSANポリマーポリオール組成物の総重量に対して約5%~約60%または約10%~約50重量%の固体でありうる。
【0057】
本明細書の成分(d)として使用される好適なSANポリマーポリオールとしては、例えば、限定はされないが、米国特許第5,321,077号、同第5,324,774号、同第5,364,906号、同第5,358,984号、同第5,453,469号、同第5,488,085号、同第5,496号、同第894号、同第5,554,662号、同第5,594,066号、同第5,814,699号、同第5,824,712号、同第5,916,994号、同第5,995,534号、同第5,990,185号、同第6,117,937号、同第6,455,603号、同第6,472,447号、同第6,624,209号、同第6,713,599号、同第6,756,414号、同第7,179,882号、同第7,759,423号などに開示されているSANポリマーポリオールが挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明に適したSANポリマーポリオールは、ベースポリオール中でのアクリロニトリルとスチレンのin-situ重合によって調製される。好適なベースポリオールは、従来のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(オキシアルキルエン)ポリオールなどでありうる。SANポリマーポリオールを調製する方法は既知であり、例えば米国特許第3,304,273号、同第3,383,351号、同第3,523,093号、同第3,652,639号、同第3,823,201号、同第4,104,236号、同第4,111,865号、同第4,119,586号、同第4,125,505号、同第4,148,840号、同第4,172,825号、同第4,524,157号、同第4,690,956号、Re-28,715、およびRe-29,118に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
本発明の成分(d)として使用される1種の好適なSANポリマーポリオールは、ベースポリオール中のスチレンとアクリロニトリルのフリーラジカル重合生成物を含んでなり、ベースポリオールは約3の公称官能価、約4750の分子量、および約35のOH価を有する。このSANポリマーポリオールの固形分は約43%の固体で、スチレンからアクリロニトリル(styrene to acrylonitrile)含有量は約64%~36%である。
【0060】
本発明の成分(d)に適した別のSANポリマーポリオールは、ベースポリオール中のスチレンとアクリロニトリルのフリーラジカル重合生成物を含んでなり、ベースポリオールは約3の公称官能価、約3000の分子量、および約56のOH価を有する。このSANポリマーポリオールの固形分は約49%の固体で、スチレンからアクリロニトリル(styrene to acrylonitrile)含有量は約67%~33%である。
【0061】
成分(d)に適したポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオールは、ポリオールキャリア(すなわちベースポリオール)に分散されたポリウレタン粒子を含有する。PIPAポリオール中のポリウレタン粒子は、イソシアネートとアルカノールアミン(例えばトリエタノールアミン)の反応によってin-situ形成される。典型的には、PIPAポリオールの固形分は、PIPA組成物の総重量に対して、5重量%~最大約60重量%の範囲でありうる。固形分は、PIPA組成物の総重量に対して少なくとも約5%または少なくとも約10重量%の固体でありうる。固形分はまた、PIPA組成物の総重量に対して約60重量%以下または約50重量%以下でありうる。固形分の量は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えばPIPA組成物の総重量に対して約5%~約60%または約10%~約50重量%の固体でありうる。
【0062】
好適なPIPAポリオールの例は、例えば米国特許第4,374,209号および同第5,292,778号に見出すことができ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明の成分(d)として使用される好適なポリヒドラゾジカボナミドポリオール(一般にPHDポリオールまたはPHD分散ポリオールとも呼ばれる)としては、例えば、典型的にはベースポリオール中でイソシアネート混合物と、ジアミンおよび/またはヒドラジンなどの化合物とのin-situ重合によって調製される化合物が挙げられる。典型的には、好適なベースポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリオキシアルキルエンポリオールを含んでなる。PHDポリマーポリオールを調製する方法は、例えば米国特許第4,089,835号および同第4,260,530号製に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
PHDポリオールは、典型的には、PHDポリオールの総重量に対して約3~約30重量%の範囲内の固形分を有する。PHDポリオールの固形分は、PHDポリオールの総重量に対して少なくとも約3%または少なくとも約5重量%でありうる。PHDポリオールの固形分はまた、PHDポリオールの総重量に対して約30%以下または約25重量%以下でありうる。PHDポリオールは、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えばPHDポリオールの総重量に対して約3%~約30重量%または約5~約25重量%の固形分を有しうる。
【0065】
前述のように、典型的には、PHDポリオールは、ポリオール中のイソシアネート混合物のin-situ重合によって調製される。より具体的に、典型的には、イソシアネート混合物は、イソシアネート混合物の総重量に対して約80重量部の2,4-トルエンジイソシアネートおよびイソシアネート混合物の総重量に対して約20重量部の2,6-トルエンジイソシアネートを含んでなる。
【0066】
イソシアネート化合物と重合する好適なアミン基含有化合物としては、PHDポリオールの調製において、例えば、ポリアミン、ヒドラジン、ヒドラジド、アンモニア、またはアンモニアおよび/もしくは尿素と、ホルムアルデヒドとの混合物などの化合物が挙げられる。
【0067】
好適なポリアミンとしては、二価および/またはそれより多価の第一級および/または第二級脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、脂環式、および芳香族アミン;1,2-および1,3-プロピレンジアミン;テトラメチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;ドデカメチレンジアミン;トリメチルジアミノヘキサン;N、N’-ジメチル-エチレンジアミン;2、2’-ビスアミノプロピル-メチルアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびテトラエチレンペンタミンなどのより高度なエチレンジアミンの同族体;プロピレンジアミンの同族体、ジプロピレントリアミン、ピペラジン、N、N’-ビス-アミノメチル-ピペラジン、トリアジン、4-アミノベンジルアミン、4-アミノフェニルエチルアミン、1-アミノ‐3,3、5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシル-メタンおよび-プロパン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、フェニレンジアミン、ナフチルエンジアミン;アニリンとホルムアルデヒドの縮合物;トリレンジアミン;ビス-アミノメチルベンゼン、ならびに一方または両方の窒素原子でモノアルキル化された上記芳香族アミンの誘導体が挙げられる。一般にポリアミンは48~10,000ダルトンの相対分子量を有する。それらはまた、60~1000ダルトンまたは62~200ダルトンの相対分子量を有しうる。
【0068】
使用されるヒドラジンは、ヒドラジン自体または一置換もしくはN、N’-二置換ヒドラジンでありうる。置換基は、C-Cアルキル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基でありうる。一般にヒドラジンは、32~200ダルトンの相対分子量を有する。ヒドラジン自体が本明細書の発明に適している。
【0069】
好適なヒドラジドとしては、炭酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸などの二価以上のカルボン酸のヒドラジド;ヒドラジンモノカルボン酸と、エタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、-1,3-ジオール、および-1,4-ジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびヒドロキノンなどの二価以上のアルコールおよびフェノールとのエステル;ならびにヒドラジノモノカルボン酸と、例えば上記のジアミンおよびポリアミンとのアミド(セミカルバジド)が挙げられる。一般にヒドラジドは、70~10,000ダルトン、または75~1000ダルトン、または90~500ダルトンの相対分子量を有する。本明細書のヒドラジドには、これらの分子量の上限と下限の任意の組み合わせを使用することができる。
【0070】
特別な場合には、特に対応する単官能性化合物と組み合わせて、2より大きい平均官能性を有するイソシアネートまたはアミン、ヒドラジン、ヒドラジドの一部を使用することもできる。
【0071】
本発明においては、PHDポリオールを調製するための好ましいベースポリオールは、ポリエーテルポリオールおよびポリ(オキシアルキレン)ポリオールを含んでなる。
【0072】
典型的には、PHDポリマー変性ポリオールは、イソシアネート混合物と、ベースポリオール、好ましくはポリエーテルポリオール中のジアミンおよび/またはヒドラジンとのin-situ重合によって調製される。PHDポリマーポリオールを調製する方法は、例えば米国特許第4,089,835号、同第4,260,530号、および同第4,324,715号に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
1つの実施形態では、ポリオール混合物(a)は、発泡体混合ヘッドの前に、連続的に加え、インラインで混合することができる。
【0074】
別の実施形態では、ポリオール混合物(a)は、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなることができる。
【0075】
ポリオール混合物(a)はまた、成分(a)(i)、(a)(ii)、および(a)(iii)を組み合わせることによって調製される混合物を含んでなることができる。
【0076】
(a)として使用するのに適したin-situ形成ポリオール混合物は、
A)反応容器に、
(1)約56未満のヒドロキシル価を有する1種以上の単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)、および
(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒、
を含んでなる混合物を入れること、
B)反応容器に、
(1)プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシド
を供給すること、
C)エポキシド混合物と初期スターター(S)とを反応させ、単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、約1,500と約6,000との間の値に達するまでエポキシドを供給することによって重合し続けること、
D)引き続き、
(1)2超~約6の公称官能性および約28~約400の当量を有する1種以上の低分子量スターター(S)を、反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること、
E)スターター(S)の添加を完了すること、
ならびに
F)混合物を反応容器中で重合し続け、それによって、(a)in-situ形成ポリオール混合物であって、約56~約250の全体のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の単官能ポリエーテル(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル、
(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、100重量%のポリエーテルポリオール(a)(ii)に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール、
および
(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2超~約8の公称官能性を有し、100重量%のポリエーテルポリオール(a)(iii)に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり、
前記ポリオール混合物(a)が前記単官能ポリエーテルモノオール(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)含んでなる、in-situ形成ポリオール混合物を形成すること、
ならびに、任意選択で、
(II)得られたin-situ生成ポリオール混合物(a)を、
(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%の、少なくとも1種のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、100重量%のポリエーテルポリオール(b)に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールと混ぜ合わせること
によって形成されうる。
【0077】
一般的には、DMC触媒を使用して重合可能なエポキシドはいずれも、単官能性ポリエーテルと2つの異なるポリエーテルポリオールを含んでなるポリオール混合物のin-situ生成に使用することができる。好適なエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド(例えば1,2-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド)、スチレンオキシド、およびそれらの混合物が挙げられる。当技術分野でよく理解されているように、DMC触媒とヒドロキシル含有スターターを使用するエポキシドの重合は、結果としてポリエーテルポリオールをもたらす。
【0078】
他のタイプのエポキシドポリマーを作るために、DMC触媒の存在下でエポキシドと共重合することになる他のモノマーを本発明の方法に含めることができる。いくつかの例としては、米国特許第3,404,109号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のオキセタンと共重合してポリエーテルを与えるエポキシド、または米国特許第5,145,883号および同第3,538,043号(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように無水物と共重合してポリエステルもしくはポリエーテルエステルを与えるエポキシド、または二酸化炭素と共重合して、米国特許第4,826,887号、同第4,826,952号、同第4,826,953号、同第6,713,599号、同第7,977,501号、同第8,134,022号、同第8,324,419号、同第8,946,466号、および同第9,249,259号(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)ならびに米国特許出願公開第2015/0232606号に記載のものなどのポリエーテルカーボネートポリオールを形成するエポキシドが挙げられる。
【0079】
この方法において、初期充填スターター(S)が使用され、初期充電スターター(S)は連続的に加えられるスターター(S)とは異なる。初期充填スターターSは、全体または大部分が、エポキシド付加の部位として機能できる1分子あたり1種の活性水素を有する1種以上の化合物で構成される。好ましいスターターは、例えばメタノール、エタノール、フェノール、アリルアルコール、長鎖アルコール、およびそれらの混合物などの低分子量単官能性スターターにエポキシドの複数当量を加えることによって形成されるポリエーテルモノオールである。好適なエポキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびそれらの混合物を挙げることができる。エポキシドは、周知の技術ならびにアルカリ金属、アルカリ金属水酸化物およびアルコキシド、複合金属シアン化錯体など多数を含むさまざまな触媒を用いて重合することができる。好適な単官能性スターターは、例えば、最初にジオールまたはトリオールを生成し、次に残りのヒドロキシル基の1種を除くすべてをエーテル、エステル、または他の非反応性基に変換することによっても作ることができる。
【0080】
ポリエーテルモノオールスターターの好適なクラスの1種であるSとしては、約56以下のヒドロキシル価を有するポリオキシプロピレンモノオールが挙げられる。これらの化合物は、DMCによって触媒されるエポキシドの添加を促進し、本明細書のin-situ形成ポリエーテルポリオール混合物の製造に適したビルド比(build ratios)をもたらす。
【0081】
本発明の方法では、使用されるSの量は、例えば反応装置の寸法、Sの同一性、Sおよび標的生成物の等価重量、Sの等価重量、ならびに他の要因を含む多くの要因に依存する。一般的には、Sの量は、SとSの総モルの約2~約75モル%の範囲内である。スターターの総量(S)は、連続的に加えられたスターターの量(S)と最初に充電されたスターターの量(S)の合計に等しい。したがって、S=S+Sである。
【0082】
好適な触媒は複合金属シアン化物(DMC)触媒を含んでなる。当該技術分野で公知のDMC触媒はいずれも、本発明の方法での使用に適している。これらの周知の触媒は、水溶性金属塩(例えば塩化亜鉛)と水溶性金属シアン化物塩(例えばカリウムヘキサシアノコバルテート)の反応生成物である。好適なDMC触媒の調製は、例えば米国特許第5,158,922号、同第4,477,589号、同第3,427,334号、同第3,941,849号、同第5,470,813号、および同第5,482,908号を含む多くの参考文献に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。DMC触媒の好適なタイプの1種は、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛である。
【0083】
DMC触媒には有機錯化剤が含まれる。前述の参考文献に開示されているように、活性触媒には錯化剤が必要である。好適な錯化剤は、DMC化合物と錯体を形成できる水溶性ヘテロ原子含有有機化合物および水溶性脂肪族アルコールである。好適な脂肪族アルコールの例は、tert-ブチルアルコールである。DMC触媒は、有機錯化剤のほかに、米国特許第5,482,908号に記載のポリエーテルを含みうる。該開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
本方法で使用するのに適したDMC触媒は、米国特許第5,482,908号および同第5,470,813号に記載のものなどの高活性触媒である。該開示は参照により本明細書に組み込まれる。高い活性によって、触媒を非常に低い濃度で使用でき、場合によっては、in-situ形成ポリオール混合物の完成混合物から触媒を除去する必要性を克服するのに十分低い濃度で使用できる。
【0085】
本発明の方法は、連続的に加えられる多官能性スターター(S)も必要とする。KOH触媒法およびDMC触媒法を含むポリエーテルポリオールを製造する従来の方法では、重合の開始時に触媒と使用されるすべてのスターターが反応装置に充填され、次いでエポキシドが連続的に加えられる。本発明に適したin-situ形成ポリオール混合物を形成する方法では、DMC触媒および初期の単官能性スターター(S)が反応器に充填され、続いてモノオールが所望の当量に達するまでエポキシドの供給および重合が行われる。この時点で、連続的に加えられる多官能性スターター(S)の供給が開始され、連続的なスターター(S)の添加が完了するまで、連続的なエポキシド供給に対して連続的な制御速度で進行する。エポキシドの供給は、所望の全体OH価に達するまで続けられる。Sは、エポキシドと混合して加えてもよく、別の流れとして加えてもよい。
【0086】
典型的には、Sは低分子量ポリオールまたは低分子量ポリオールの混合物である。本願で定義される低分子量ポリオールは、約2個のヒドロキシル基から約8個のヒドロキシル基を有する。また、異なる官能性を有する複数のSを同時にまたは順次加えることも有益でありうる。Sまたは複数のSの官能性は、得られるポリオールの平均官能性が2.0より大きく約6まで、または約2.5から約3までとなるように選択されるべきである。これらの低分子量ポリオールは、少なくとも約2個のヒドロキシル基、または2個を超えるヒドロキシル基、または少なくとも約2.5個のヒドロキシル基を有しうる。これらの低分子量ポリオールはまた、約8個以下のヒドロキシル基、または約6個以下のヒドロキシル基、または約3個以下のヒドロキシル基を有しうる。Sに使用される低分子量ポリオールは、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲にある任意の数のヒドロキシル基、例えば少なくとも2個のヒドロキシル基~約8個以下のヒドロキシル基、または約2個超~約6個もしくは少なくとも約2.5個~約3個以下のヒドロキシル基を含有しうる。
【0087】
に適した低分子量ポリオールは、2超~約8の公称官能価と約28~約400の当量を有する。
【0088】
好適な低分子量ポリオールの例としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、スクロース、ソルビトール、トリプロピレングリコール、およびそれらの混合物などの化合物が挙げられる。1つの実施形態では、連続的に添加されるスターターは、プロピレングリコールおよびグリセリンを含んでなる。これらのポリオールまたは2つ以上の活性水素をもつ他のスターターに複数のエポキシドを加えることによって調製された低分子量ポリエーテルポリオールも、Sとして使用されうる。
【0089】
は、1分子あたり少なくとも2つの活性水素を持つ他の化合物であることもでき、これは、例えばアルコール、チオール、エノール化可能な水素を含有するアルデヒドおよびケトン、マロン酸エステル、フェノール、カルボン酸および無水物、芳香族アミン、アセチレンなど、ならびにそれらの混合物などの化合物を含む従来のDMC触媒エポキシド重合に適した開始剤として知られている。好適な活性水素含有化合物の例は、米国特許第3,900,518号、同第3,941,849号、および同第4,472,560号に見られ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
使用されるSの量は、使用されるスターターの総量の少なくとも約25モルパーセントである。
【0091】
【数1】
【0092】
前述のように、多種多様なエポキシドを本発明の方法で使用することができる。プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが最も一般的に使用されるエポキシドである。本発明の方法のユニークな特徴は、エポキシドの組成を変化させて、最終生成物中のポリエーテルモノオールおよびポリエーテルポリオール成分の組成を制御できることである。例えば、連続的に添加されるスターターであるSの添加開始前に、プロピレンオキシドはモノオールの重合中に単独で加えることができる。S添加を開始した後、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を供給して、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)コポリマーから構成される高官能性ポリエーテルポリオールを生成することができる。DMC触媒による酸化物の添加は、主に低当量のポリエーテルポリオールで起こるので、ポリエーテルモノオール成分は大部分、ポリ(オキシプロピレン)のままの残る可能性がある。これらの順序を逆にすることによって、ポリ(モノオキシル)含有量がより高いポリエーテルモノオールを製造でき、ポリエーテルポリオールは主にポリ(オキシプロピレン)となりうる。
【0093】
エポキシド組成は、モノオールの初期重合中ならびに/またはSの添加中および/もしくは添加後のある時点で変化しうる。これによって、単官能性ポリエーテルおよびポリエーテルポリオール内のオキシエチレンまたはオキシプロピレンの分布を制御する柔軟性がもたらされ、単官能性ポリエーテルおよびポリエーテルポリオールの一次対二次ヒドロキシル官能性、したがって最終組成物の構成成分の相対反応性をある程度制御できるようになる。このようにして、粘弾性ポリウレタンフォームなどの意図する用途の反応性および性能要件を満たす製品を設計することが可能である。
【0094】
in-situ形成ポリオール混合物(a)は、本質的に本明細書で上記のポリオール混合物(a)に対応し、同一の全体ヒドロキシル価および平均官能性を特徴とする。
【0095】
前述のように、in-situ形成ポリオール混合物(a)は、(i)56以下のヒドロキシル価を有し、20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する1種以上の単官能基のポリオール、(ii)47~300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール、および(iii)約47~約300のヒドロキシル価、2超~約6の公称官能性を有し、約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオールを含んでなる。in-situ形成ポリオール混合物のこれらの個別成分(i)、(ii)、および(iii)は、共重合オキシエチレンのヒドロキシル価、公称官能性、および含有量に関して、前述のポリオール混合物(a)の個別成分(i)、(ii)、および(iii)に本質的に対応する。
【0096】
任意選択でin-situ調製ポリオール混合物と混合されうる成分(II)(b)として使用される好適なポリエーテルポリオールは、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、100重量%のポリエーテルポリオール(II)(b)に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含んでなることができる。
【0097】
in-situ形成混合物に適したこれらのポリエーテルポリオール(b)は、上記のポリオール混合物(a)への添加に適し、共重合オキシエチレンのヒドロキシル価、平均官能価、および含有量に関して前述されているポリエーテルポリオール(b)に本質的に対応する。
【0098】
1つの実施形態では、in-situ形成ポリオール混合物(a)は、(II)(c)約10~約300のOH価および約2~約8の平均官能性を有する1種以上のポリエーテルポリオール、および/または、(d)1種以上の充填ポリオールをさらに含んでなることができる。本明細書で好適な1種以上のポリエーテルポリオール(c)および1種以上の充填ポリオール(d)は、ヒドロキシル価、官能性などの点でポリオール混合物(a)に関して前述されているポリエーテルポリオール(c)および充填ポリオール(d)に本質的に対応する。
【0099】
粘弾性ポリウレタンフォームを製造する方法は、(1)トルエンジイソシアネートを含んでなるイソシアネート官能性成分を、(2)イソシアネート反応性成分と発泡剤、触媒、および界面活性剤を含んでなる成分の存在下で反応させること含んでなり、イソシアネート官能性成分とイソシアネート反応性成分は90~120のイソシアネート指数で反応する。好適なイソシアネート反応性成分(2)は、(a)100重量%の成分(a)および(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、約56~約250のヒドロキシル価、約2を超える平均官能性を有し、(i)1種以上の単官能ポリエーテルであって、56以下のヒドロキシル価を有し、(a)(i)の総重量に対して20重量%未満の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル;(ii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、約47~約300のヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、(a)(ii)の総重量に対して約5~約45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および(iii)1種以上のポリエーテルポリオールであって、47~300のヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(iii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり;ポリオール混合物(a)が1種以上の単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなるポリオール混合物;ならびに任意選択で、(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%の1種以上のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、100重量%の成分(b)に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含んでなるポリエーテルポリオールを含んでなる。
【0100】
本発明においては、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)、および(2)(a)(iii)の量、OH価、および官能性は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が5以下(または4以下)であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける約1.0lb/ft~約6.0lb/ftの密度範囲にわたって95超~約110のイソシアネート指数でタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように選択される、ただし、イソシアネート指数が約105以上の場合、イソシアネート反応性成分は、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して重量で少なくとも約3%(または少なくとも約5%)の成分(2)(b)を含んでなる。
【0101】
典型的には、粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比は、5以下または4以下または3以下である。典型的には、15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比はまた、1以上または1.1以上または1.2以上である。したがって、典型的には、得られた粘弾性フォームは、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲にある、例えば5以下~1以上、または4以下~1.1以上、または3以下~1.2以上の、15℃での貯蔵弾性率に対する30℃での貯蔵弾性率の比を有する。
【0102】
さらに、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおいてはまた、タンデルタによって測定されるTは、20℃未満、または18℃未満、または17℃未満、または16℃未満、または15℃未満である。
【0103】
本明細書の粘弾性ポリウレタンフォームは、密度が約1.0 lb/ft~約6.0 lb/ft、好ましくは2.0 lb/ft~5.0 lb/ftの範囲である。
【0104】
本明細書の粘弾性ポリウレタンフォームの調製に使用されるイソシアネート指数は、95超~約110の範囲である。イソシアネート指数は、95超、または96以上、または97以上でありうる。イソシアネート指数また、110以下、または109以下、または107以下でありうる。イソシアネート指数は、上限範囲と下限範囲の両端を含めて上限範囲と下限範囲の任意の組み合わせの間、例えば95超~110以下、または96~109、または97~107の範囲でありうる。
【0105】
さらに、粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法では、イソシアネート反応性成分は、(c)約10~約300のOH価、約2~約8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール;および/または(d)1種以上の充填ポリオールのうちの少なくとも1種をさらに含んでなることができる。この方法に適したポリエーテルポリオール(c)および充填ポリオール(d)は、イソシアネート反応性組成物に関して前述されたものに本質的に対応する。
【0106】
好適なイソシアネート官能性化合物は、トルエンジイソシアネート(TDI、通常2,4-と2,6-異性体の混合物)、およびさまざまなそれらの混合物を含んでなる。
【0107】
1つの実施形態では、発泡調節剤または発泡体加工助剤が配合物に加えられて、加工を強化し、粘弾性フォームの変形に対する寸法安定性および減少した沈降をもたらすことによって、コールドフローおよび/またはディッシングに対する粘弾性フォームの安定化に役立つ。典型的には、これらの加工助剤または調節剤は、鎖延長剤および/または架橋剤である。一般に、鎖延長剤および/または架橋剤は、2~8つの活性水素基を含有する比較的小さな分子である。鎖延長剤および/または架橋剤は、少なくとも2つの活性水素基または少なくとも3つの活性水素基を含有しうる。鎖延長剤および/または架橋剤はまた、8つ以下の活性水素基または6つ以下の活性水素基を含有しうる。好適な鎖延長剤および/または架橋剤は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の任意の数の活性水素基、例えば少なくとも2つ~8つ以下の活性水素基または少なくとも3つ~6つ以下の活性水素基を含有しうる。好適な鎖延長剤および/または架橋剤は、100部のポリオール当たり0~4部の量で加えられる。本発明の反応混合物に含まれうる好適な鎖延長剤および/または架橋剤のいくつかの例としては、ジエタノールアミン(DEOA)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4-ブタンジオール(BDO)、Arcol DP1022、Ortegol 204、Geolite 206、およびGeolite 210が挙げられる。これらの助剤のいくつかは、例えば米国特許第4,950,694号および同第5,539,011号に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。本発明において、TDIがイソシアネート成分として使用される場合、加工添加剤は特に有用である。これらの鎖延長剤および/または架橋剤は、100部のポリオール当たり0部以上または0.3部以上の量で存在しうる。鎖延長剤および/または架橋剤はまた、100部のポリオール当たり4部以下または2部以下の量で存在しうる。存在する鎖延長剤および/または架橋剤の量は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えば100部のポリオール当たり0~4部または0.3~2部で存在しうる。また、これらの異なる発泡調節剤または加工助剤の組み合わせを使用することが有益なときもある。
【0108】
さらに、発泡調節剤または加工助剤は、少なくとも300または少なくとも600のOH価を有しうる。
【0109】
コールドフローの1つの定義は、周囲温度での連続荷重下で材料に発生する歪み、変形、または寸法変化である(出典:CRC Press LLC、1989)。「連続荷重」とは、スラブストックフォームの自重を意味する。スラブストックフォームの一部の変形した外観は、発泡体全体にわたる密度の不均一な分布につながり、したがって耐圧痕性のいくらかのばらつきにもつながる。コールドフローの例を図1Bに示す。ディッシングはコールドフローに似ているが、図1Cに示すように、発泡体ブロックの側面と上部にしわが寄る可能性がある。発泡調節剤の使用は、好ましくは同じ耐圧痕性のための均一な密度分布と対になった、図1Aに示されるように本発明の目的のために変形に対する良好な寸法安定性および好ましくは発泡体の部分の沈降の減少を意味するコールドフローの傾向が少ない発泡体を得るのに役立つ。また、本明細書に記載のポリオール混合物は、ディッシングに対する改善された耐性を有し、コールドフローの傾向が少ないフォームをもたらすことがわかった。
【0110】
本発明に適した発泡剤としては、例えば化学発泡剤、すなわち例えば水やギ酸などの発泡ガスを生成するイソシアネート反応剤、ならびにアセトン、二酸化炭素、クロロフルオロ炭素、高度フッ素化および/または過フッ素化炭化水素、塩素化炭化水素、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどなどの脂肪族および/もしくは脂環式炭化水素、またはメチラールなどのアセタールなどの物理発泡剤が挙げられる。これらの物理発泡剤は通常、系のポリオール成分に加えられる。しかし、それらは、イソシアネート成分に加えることもでき、またはポリオール成分とイソシアネート成分の両方の組み合わせとして加えることもできる。ポリオール成分のエマルションの形で、高度にフッ素化および/または過フッ素化された炭化水素と一緒に使用することもできる。乳化剤が使用される場合、それらは通常、側基として結合したポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカンラジカルを含有し、約5~30重量%のフッ素含有量を有するオリゴマーアクリレートである。そのような製品はプラスチック化学から十分に周知であり、米国特許第4,972,002号に記載されており、該開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
使用される発泡剤または発泡剤混合物の量は、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して0.5~20重量%の範囲であり得る。場合によっては、存在する発泡剤の量は、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して少なくとも0.5重量%または少なくとも0.75重量%でありうる。存在する発泡剤の量は、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して約20重量%以下または約10重量%以下でありうる。発泡剤は、これらの上記上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲の任意の量、例えば100重量%のイソシアネート反応性成分に対して少なくとも約0.5%~約20%以下または少なくとも約0.75%~約10重量%以下で存在しうる。
【0112】
水が発泡剤である場合、存在する水の量は典型的には、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して少なくとも約0.5~約10%の範囲でありうる。場合によっては、存在する発泡剤の量は、100重量%のイソシアネート反応性成分に対して少なくとも0.5重量%または少なくとも0.75重量%でありうる。発泡剤として存在する水の量はまた、イ100重量%のイソシアネート反応性成分に対して約10%以下、または約7重量%以下でありうる。発泡剤は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲の任意の量、例えば100重量%のイソシアネート反応性成分に対して少なくとも約0.5%~約10%以下または少なくとも約0.75%~約7重量%以下で存在しうる。水の添加は、記載されている他の発泡剤の使用と組み合わせて行うことができる。本発明においては、水が好ましい発泡剤である。また、好ましいのは、ポリオールまたは樹脂混合物に分散され、例えば当業者に公知であるHenecke Novaflex、CarDio(Cannon Viking Limited)、およびBeamech(CO)の機械で使用されるような圧力低下装置を通過することによって泡立てられる加圧二酸化炭素とともに水を使用することである。
【0113】
粘弾性フォームは界面活性剤の存在下で生成され、界面活性剤は硬化するまで粘弾性フォームの安定化に役立つ。好適な界面活性剤は、ポリウレタン産業で周知のものである。多種多様な有機シリコーン界面活性剤が市販されている。好適な界面活性剤の例は、Momentive Performance Materialsの製品であるNiax L-620界面活性剤、およびEvonik-Goldschmidtの製品であるTegostab B8244である。当業者に既知の他の多くのシリコーン界面活性剤が、これらの好適なシリコーンの代わりになりうる。典型的には、界面活性剤は、100部のイソシアネート反応性混合物当たり少なくとも約0.1から約4部の範囲内の量で使用される。界面活性剤は、100部のイソシアネート反応性混合物当たり少なくとも約0.1、または少なくとも約0.2部の範囲の量で存在しうる。
【0114】
界面活性剤はまた、100部のイソシアネート反応性混合物当たり約4部以下、または約3部以下の範囲の量で存在しうる。界面活性剤の量は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲、例えば100部のイソシアネート反応性混合物当たり少なくとも約0.1~約4部または少なくとも約0.2~約3部でありうる。
【0115】
イソシアネート反応性成分および水と、ポリイソシアネートとの反応を触媒するには、少なくとも1種のポリウレタン触媒が必要である。この目的には、有機アミンと有機スズ化合物の両方を使用するのが一般的である。好適なポリウレタン触媒は、当技術分野において周知であり、広範なリストが米国特許第5,011,908号に記載されており、該開示は参照により本明細書に組み込まれる。好適なオルガノスズ触媒としては、カルボン酸のスズ塩およびジアルキルスズ塩が挙げられる。例としては、オクタン酸第一スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、オレイン酸第一スズなどが挙げられる。オクタン酸第一スズ特に好ましい。好ましいオルガノアミン触媒は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(2,2’-ジメチル-アミノ)エチルエーテル、N-エチルモルホリン、ジエチレントリアミンなどの第三級アミンである。
【0116】
別の実施形態では、好適なアミン触媒には、ポリウレタンフォームマトリックスに化学的に結合し、臭気およびVOC放出への寄与を排除する、またはVOC放出に寄与しないように十分に高い分子量の非放出平衡(non-emissive balanced)アミンが含まれる。これらは、非揮発性(non-fugitive)アミン触媒とも呼ばれる。これらの触媒の例としては、Evonik製のDabcoNE-300およびDabcoNE-500、N,N-ビス(3-ジメチル-アミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン(JeffcatZR 50として市販)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N,N-ジイソプロパノールアミン(Jeffcat DPAとして市販)、東ソー株式会社製の1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール(RZETAとして市販)が挙げられる。
【0117】
典型的には、ポリウレタン触媒は、100部のイソシアネート反応性混合物当たり約0.01~約3部の範囲内の量で使用される。ポリウレタン触媒は、100部のイソシアネート反応性混合物当たり少なくとも約0.01部、または少なくとも約0.1部の量で存在しうる。ポリウレタン触媒は、100部のイソシアネート反応性混合物当たり約3部以下、または約2部の量で存在しうる。ポリウレタン触媒は、これらの上限値と下限値の両端を含めて上限値と下限値の任意の組み合わせの間の範囲の任意の量、例えば100部のイソシアネート反応性混合物当たり少なくとも約0.01~約3部、または少なくとも約0.1~約2部で存在しうる。
【0118】
難燃剤、抗酸化物質、顔料、染料、液体および固体充填剤、および他の多くの市販添加剤も、従来の量で粘弾性フォームに含めることができる。
【0119】
粘弾性フォームは、業界で周知の方法を使用して調製される。これらの方法としては、連続または非連続のフリーライズスラブストック発泡法および成形発泡法が挙げられる。典型的なスラブ材方法では、イソシアネートはミキシングヘッドを通って次にトラフに移ることによって他の配合化学物質と連続的に混合され、移動コンベアにあふれ出る。
【0120】
代替的に、反応混合物は移動するコンベアに直接堆積する。別の実施形態では、高圧液体二酸化炭素は、1種以上の配合成分、典型的にはポリオールに供給され、ミキシングヘッドに入り、樹脂混合物は圧力が下げられる発泡機を通過し、結果として生じる泡がコンベア上に堆積される。粘弾性フォームは、コンベアを下に移動するにつれて膨張し膨れ上がり、硬化および保存用の所望の長さのブロックまたはバンに切断される連続発泡体スラブが形成される。1日以上硬化させた後、これらの発泡体バンは最終用途のための所望の形状に切断することができる。不連続法では、反応物はヘッドまたは大きな混合チャンバーですばやく混合される。次いで、反応混合物は大きな箱または他の好適な容器に堆積され、そこで発泡膨張が起こって容器の横方向の大きさのバンが形成される。
【0121】
典型的な成形粘弾性フォーム方法では、通常、特定量のイソシアネートの流れ(「A」側)を特定量の残りの配合成分(「B」側)とすばやく合わせて混合するワンショットアプローチを採用している。追加の流れを使用して、「B」側の流れに含まれていない1種以上の特定の成分を取り入れることができる。混合物は金型に速やかに入れられ、その後閉じられる。粘弾性フォームが膨張して金型を満たし、金型の形状と寸法をもつ部品が生成される。
【0122】
あまり好ましくないが、粘弾性フォームを作るためのプレポリマー法も使用することができる。この方法では、イソシアネート反応性混合物のかなりの部分がポリイソシアネートと反応し、次いで得られたプレポリマーが残りの成分と反応する。
【0123】
明細書全体を通して使用および参照されているように、空気の流れはR.E.JonesとG.Fesman、「Journal of Cellular Plastics」1965年1月、第1巻、200~216頁によって記述されたNOPCO試験手順に従って、Amscorモデル1377自動発泡体多孔性試験機を使用して測定された。該開示は参照により本明細書に組み込まれる。それ自体が製造後に発泡体ブロックから切り取られた試験片の中心付近から2インチ×2インチ×1インチの発泡体片を切り取った。空気の流れは、毎分標準立方フィート(すなわちscfpm)で表され、大気圧より低い水0.5インチの圧力差で1インチの厚さを通して測定された。空気の流れは発泡体の上昇方向であった。
【0124】
実施例で報告されている他の粘弾性フォームの物理的特性は、ASTM D3574-11に記載の標準的な手順に従って測定された。
【0125】
粘弾性フォームの商業生産では、界面活性剤、1種以上の触媒、および粘弾性フォームの調製に適していることがポリウレタン化学の分野で既知のさまざまな他の化合物の存在下で、好適なポリイソシアネート、発泡剤、およびイソシアネート反応性成分または混合物を一緒に混合する必要がある。(a)ポリオール混合物および(b)2~8の平均官能性、20~300のヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオールの総重量に対して少なくとも50重量%の共重合オキシエチレンを含んでなるポリエーテルポリオールを含んでなる上記ポリオール混合物にくわえて使用される他のイソシアネート反応性化合物としては、ポリウレタン化学の分野で周知の他の従来のポリオールが挙げられる。これらには、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、アミン末端ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、およびポリカーボネートなどの比較的高分子量の化合物、ならびにともにイソシアネート成分のイソシアネート基と反応できるヒドロキシル基および/またはアミン基を含有しうるさまざまな低分子量鎖延長剤および/または架橋剤が含まれる。
【0126】
さらに、本明細書の粘弾性ポリウレタンフォームに使用されるイソシアネート反応性成分は、(c)約10~約300のOH価、約2~約8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール;および/または(d)一般にポリマーポリオールとも呼ばれる1種以上の充填ポリオールのうちの少なくとも1種をさらに含んでなりうる。
【0127】
図1Aは、加工助剤または発泡調節剤を含む発泡体配合物から調製された標準発泡体ブロックの断面図である。この発泡体は、コールドフローの傾向が少なかった。コールドフローの少ない傾向とは、同じ耐圧痕性のための均一な密度分布と対になった、変形に対する良好な寸法安定性と沈降の減少を有する発泡体を指す。
【0128】
図1Bは、発泡調節剤なしで調製された標準的な発泡体ブロックの断面図であり、発泡体ブロックはコールドフローを示した。本明細書で論じられたように、コールドフローは、周囲温度での連続荷重下で発泡体に生じる歪み、変形、または寸法変化である(出典:CRC Press LLC,1989)。「連続荷重」とは、スラブストックフォームの自重を意味する。スラブストックフォームの一部の変形した外観は、発泡体全体にわたる密度の不均一な分布につながり、したがって耐圧痕性のいくらかのばらつきにもつながる。コールドフローを示す発泡体ブロックは、通常、台形である。図1Bの発泡体は本発明の例示ではない。
【0129】
図1Cは、発泡体がディッシングを示した発泡調節剤なしで調製された発泡体ブロックの断面図である。ディッシングはコールドフローに似ているが、図1Cに示すように、発泡体ブロックの上部と側面がしわになる(pucker)場合がある。ディッシングの結果、発泡体ブロックの上面と側面は凹面になり、台形ではなくなる。図1Cの発泡体は本発明の例示ではない。
【0130】
さまざまな粘弾性ポリウレタンフォームのタンデルタによって測定されるガラス転移温度(T)は、動的機械分析によって本明細書に記載のように決定された。タンデルタは、損失弾性率の貯蔵弾性率(材料のエネルギー散逸の測定値)に対する比であり、温度の範囲にわたって測定した場合、タンデルタは一般にそれら温度でのポリウレタンフォームの粘弾性の指数である。本明細書に記載のDMA方法は、特許請求された発明による粘弾性フォームのタンデルタ応答およびT(ピークタンデルタ値)を決定するために使用されるべきである。粘弾性ポリウレタンフォームは、さまざまな内部の硬い領域と柔らかい領域(hard and soft domains)で構成されているため、Tは他のいくつかの材料ほど明確な数ではない。その結果、DMA(動的機械分析)の結果を評価するにあたり、さまざまなTの測定法および決定法が存在する。結果は、DMA試験を実行するのに使用されるプロトコールの影響を受ける可能性がある。本明細書でのDMA試験は、次のプロトコールを使用して行われた。
【0131】
発泡体試料の動的機械分析(DMA)は、8mmデュアルカンチレバー付属のTA Instruments Q800 DMAを使用して行った。典型的には、試料の寸法は12.7mm×40mm×3mmであった。-100℃の平衡期間があり、温度を上げる前に発泡体試料と機器を安定させることができた。フォーム試料は、-100℃から100℃まで1℃/分の上昇速度で評価された。試料は1Hzの周波数で20μmの振動偏向を受けた。
【0132】
図2では粘弾性フォームの動的機械分析(DMA)が示されている。DMAプロットは、発泡体の貯蔵弾性率(MPa)、損失弾性率(MPa)、タンデルタ曲線およびTを示す。Tは、-100℃~100℃の温度範囲で発泡体のタンデルタ曲線のピーク値が発生する温度である。15℃~30℃の範囲での貯蔵弾性率の評価、特に15℃での貯蔵弾性率と30℃での貯蔵弾性率の比は、発泡体の温度感度の良い指標を提供し、より高い比は特性変化の速度がより大きいことを示す。発泡体のT(タンデルタ曲線のピークまたはその他の単一点測定として測定)のみを考慮することは、その典型的な使用温度での発泡体の温度感度に正確に扱うことができない。したがって、発泡体の全体的な性能を正確に評価するには、Tと、15℃での貯蔵弾性率と30℃での貯蔵弾性率の比との両方を考慮することを推奨される。
【0133】
図2では、発泡体はTが2℃であり、15℃での貯蔵弾性率と30℃での貯蔵弾性率の比が1.67である。貯蔵弾性率の比は、15℃での貯蔵弾性率の値を30℃での貯蔵弾性率の値で割ることにより計算され、つまり24.4kPa/14.6kPa=1.67である。
【0134】
第1の実施形態では、本発明は、粘弾性ポリウレタンフォームを調製する方法であって、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテルの総重量に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル;
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり;
ポリオール混合物(a)が単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなるポリオール混合物;および、任意選択で、
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなる、イソシアネート反応性成分とを、
(3)発泡剤;
(4)触媒;および
(5)界面活性剤
の存在下で反応させることを含んでなり;
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が4以下~約1であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~110のNCO指数で1.0 lb/ft~6.0 lb/ftの密度範囲にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、NCO指数が約105以上の場合、イソシアネート反応性成分が、100重量%の成分(2)に対して少なくとも約3重量%の成分(2)(b)を含んでなる、方法を対象とする。
【0135】
第2の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、70mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価および少なくとも2.1の平均官能性を有する第1の実施形態による方法を対象とする。
【0136】
第3の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、80mg KOH/gポリオール~約118mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する第1または第2の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0137】
第4の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、約90mg KOH/gポリオール~約110mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有する第1~第3の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0138】
第5の実施形態では、本発明は、単官能ポリエーテル(2)(a)(i)が、28mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテル(2)(a)(i)の総重量に対して少なくとも2%~15%以下の共重合オキシエチレンを含有し;ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有し;かつポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、3~6の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有する第1~第4の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0139】
第6の実施形態では、本発明は、イソシアネート反応性成分(2)が、(c)10mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2~8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)および(a)(iii)とは異なるポリエーテルポリオール;および/または(d)充填ポリオールのうちの少なくとも1種をさらに含んでなる第1~第5の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0140】
第7の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(a)が、25~45重量%の単官能ポリエーテル(i)を含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の15~85重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の85%~15重量%が成分(iii)を含んでなる第1~第6の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0141】
第8の実施形態では、本発明は、(a)および(b)の相対量が、100重量%のイソシアネート反応性成分(2)に対して85%~99重量%の(a)および15%~1重量%の(b)である第1~第7の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0142】
第9の実施形態では、本発明は、ポリエーテルポリオール(b)が、30mg KOH/gポリオール~170mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2.5~6の平均官能性を有し、100重量%の成分(b)に対して50%~99重量%の共重合オキシエチレンを含有する第1~第8の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0143】
第10の実施形態では、本発明は、ポリエーテルポリオール(c)が、少なくとも20mg KOH/gポリオール~150mg KOH/gのヒドロキシル価および少なくとも2.5~6の官能性を有し;充填ポリオール(d)が、(i)スチレンアクリロニトリル固体を含有するポリマーポリオール、(ii)ポリイソシアネート重付加ポリオール、(iii)ポリヒドラゾジカーボンアミドポリオール、および(iv)それらの混合物からなる群より選択されるポリマーポリオールを含んでなる第1~第9の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0144】
第11の実施形態例では、本発明は、ポリオール混合物(a)が、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなる第1~第10の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0145】
第12の実施形態では、本発明は、in-situ形成ポリオール混合物(a)が、
A)反応容器に、(1)56mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)および(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒を含んでなる混合物を入れること;
B)反応容器に(1)プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシドを供給すること;
C)エポキシド混合物と初期スターター(S)とを反応させ、単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、約1,500と約6,000との間の値に達するまでエポキシドを供給することによって重合し続けること;
D)引き続き、(1)2超~6の公称官能性および28~400の当量を有する低分子量スターター(S)を、反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること;
E)スターター(S)の添加を完了すること;ならびに
F)混合物を反応容器中で重合し続け、それによって、
(a)in-situ形成ポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の単官能ポリエーテル(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル;
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり;
ポリオール混合物(a)が単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなるin-situ形成ポリオール混合物を形成すること;ならびに、任意選択で、
(II)in-situ形成ポリオール混合物(a)を、(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールと混ぜ合わせることによって調製される第1~第11の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0146】
第13の実施形態では、本発明は、得られたin-situ形成ポリオール混合物が、(c)約10mg KOH/gポリオール~約300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、約2~約8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール;および(d)1種以上の充填ポリオールのうちの少なくとも1種とさらに混合される第1~第12の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0147】
第14の実施形態では、本発明は、A)(1)初期スターター(S)が、1種以上のC12、C13、C14、および/またはC15長鎖アルコールを含んでなるスターターから調製される第1~第13の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0148】
第15の実施形態では、本発明は、低分子量スターター(S)が、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、スクロース、ソルビトール、またはそれらの混合物を含んでなる第1~第14の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0149】
第16の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール組成物が、70mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価および少なくとも2.1の平均官能性を有する第1~第15の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0150】
第17の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール成分が、約80mg KOH/gポリオール~約118mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価を有する第1~第16の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0151】
第18の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール成分が、約90mg KOH/gポリオール~約110mg KOH/gポリオールの全体のヒドロキシル価を有する第1~第17の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0152】
第19の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおけるタンデルタによって測定されるTが18℃未満である第1~第18の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0153】
第20の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.1である第1~第19の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0154】
第21の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおけるタンデルタによって測定されるTが17℃未満である第1~第20の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0155】
第22の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.2である第1~第21の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0156】
第23の実施形態では、本発明は、触媒(4)が非揮発性(non-fugitive)アミン触媒を含んでなる第1~第22の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0157】
第24の実施形態では、本発明は、発泡剤(3)が水を含んでなる第1~第23の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0158】
第25の実施形態では、本発明は、系全体のNCO指数が約105以上である場合、イソシアネート反応性成分が、100重量%の成分(2)に対して少なくとも約5重量%の成分(b)を含んでなる第1~第24の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0159】
第26の実施形態では、本発明は、イソシアネート指数が約96~約109の範囲である第1~第25の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0160】
第27の実施形態では、本発明は、イソシアネート指数が約97~約107の範囲である第1~第26の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0161】
第28の実施形態では、本発明は、発泡調節剤または発泡体加工助剤をさらに含んでなる第1~第27の実施形態の1つによる方法を対象とする。
【0162】
第29の実施形態では、本発明は、粘弾性ポリウレタンフォームであって、
(1)トルエンジイソシアネートと、
(2)イソシアネート反応性成分であって、
(a)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して20~100重量%のポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテルの総重量に対して20%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル;
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり;
ポリオール混合物(a)が単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなるポリオール混合物;および、任意選択で、
(b)100重量%の成分(2)(a)および(2)(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなるイソシアネート反応性成分とを、
(3)発泡剤;
(4)触媒;および
(5)界面活性剤
の存在下で反応させることを含んでなり、
得られた粘弾性フォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が4以下~約1であり、かつ、得られた粘弾性フォームにおける95超~110のNCO指数で1.0 lb/ft~6.0 lb/ftの密度範囲にわたってタンデルタによって測定されるTが20℃未満であるように、成分(2)(a)(i)、(2)(a)(ii)および(2)(a)(iii)の量、OH価および官能性が選択される、ただし、NCO指数が約105以上の場合、イソシアネート反応性成分が少なくとも約3重量%の成分(2)(b)を含んでなる、粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0163】
第30の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、70mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価および少なくとも2.1の平均官能性を有する第29の実施形態による粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0164】
第31の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、80mg KOH/gポリオール~約118mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する第29~第30の実施形態の1つによる粘弾性フォームを対象とする。
【0165】
第32の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(2)(a)が、90mg KOH/gポリオール~約110mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有する第29~第31の実施形態の1つによる粘弾性フォームを対象とする。
【0166】
第33の実施形態では、本発明は、単官能ポリエーテル(2)(a)(i)が、28mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、単官能ポリエーテル(2)(a)(i)の総重量に対して少なくとも2%~15%以下の共重合オキシエチレンを含有し;ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(2)(a)(ii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有し;かつポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)が、70mg KOH/gポリオール~240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、3~6の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(2)(a)(iii)の総重量に対して10%~40重量%の共重合オキシエチレンを含有する第29~第32の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0167】
第34の実施形態では、本発明は、イソシアネート反応性成分(2)が、(c)10mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2~8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)および(a)(iii)とは異なるポリエーテルポリオール;および/または(d)充填ポリオールのうちの少なくとも1種をさらに含んでなる第29~第33の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0168】
第35の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(a)が、25~45重量%の単官能ポリエーテル(i)を含んでなり、残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の15~85重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の85%~15重量%が成分(iii)を含んでなる第29~第34の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0169】
第36の実施形態では、本発明は、(a)および(b)の相対量が、100重量%のイソシアネート反応性成分(2)に対して85%~99重量%の(a)および15%~1重量%の(b)である第29~第35の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0170】
第37の実施形態では、本発明は、ポリエーテルポリオール(b)が、30mg KOH/gポリオール~170mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2.5~6の平均官能性を有し、100重量%の成分(b)に対して50%~99重量%の共重合オキシエチレンを含有する第29~第36の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0171】
第38の実施形態では、本発明は、ポリエーテルポリオール(c)が、少なくとも20mg KOH/gポリオール~150mg KOH/gのヒドロキシル価および少なくとも2.5~6の官能性を有し;充填ポリオール(d)が、(i)スチレンアクリロニトリル固体を含有するポリマーポリオール、(ii)ポリイソシアネート重付加ポリオール、(iii)ポリヒドラゾジカーボンアミドポリオール、および(iv)それらの混合物からなる群より選択されるポリマーポリオールを含んでなる第29~第37の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0172】
第39の実施形態では、本発明は、ポリオール混合物(a)が、in-situ形成ポリオール混合物を含んでなる第29~第38の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0173】
第40の実施形態では、本発明は、in-situ形成ポリオール混合物(a)が、
A)反応容器に(1)56mg KOH/gポリオール未満のヒドロキシル価を有する単官能化合物を含んでなる初期スターター(S)および(2)DMC(複合金属シアン化物)触媒を含んでなる混合物を入れること;
B)反応容器に、(1)プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを100:0~20:80の重量比で含んでなるエポキシドを供給すること;
C)エポキシド混合物と初期スターター(S)とを反応させ、単官能化合物の当量が、少なくとも10重量%増加し、約1,500と約6,000との間の値に達するまでエポキシドを供給することによって重合し続けること;
D)引き続き、(1)2超~6の公称官能性および28~400の当量を有する低分子量スターター(S)を、反応容器に、エポキシドを供給し続けながら加えること;
E)スターター(S)の添加を完了すること;および
F)混合物を反応容器中で重合し続け、それによって、
(a)in-situ形成ポリオール混合物であって、56mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価、2超の平均官能性を有し、
(i)単官能ポリエーテルであって、56mg KOH/gポリオール以下のヒドロキシル価を有し、100重量%の単官能ポリエーテル(a)(i)に対して20重量%以下の共重合オキシエチレンを含有する単官能ポリエーテル;
(ii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(ii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオール;および
(iii)ポリエーテルポリオールであって、47mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、2超~8の公称官能性を有し、ポリエーテルポリオール(a)(iii)の総重量に対して5~45重量%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを含んでなり;
ポリオール混合物(a)が単官能ポリエーテル(i)を20~50重量%含んでなり、(a)の残部が成分(ii)および(iii)を含んでなり、残部の10~90重量%が成分(ii)を含んでなり、残部の90~10重量%が成分(iii)を含んでなるin-situ形成ポリオール混合物を形成すること;ならびに、任意選択で、
(II)in-situ形成ポリオール混合物(a)と、(b)100重量%の成分(a)および(b)に対して最大80重量%のポリエーテルポリオールであって、2~8の平均官能性、20mg KOH/gポリオール~300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、ポリエーテルポリオール(b)の総重量に対して少なくとも50%の共重合オキシエチレンを含有するポリエーテルポリオールを混ぜ合わせることによって調製される第29~第39の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0174】
第41の実施形態では、本発明は、得られたin-situ形成ポリオール混合物が、(c)約10mg KOH/gポリオール~約300mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価、約2~約8の平均官能性を有し、100重量%の成分(c)に対して0~45重量%の共重合オキシエチレンを含有する1種以上のポリエーテルポリオール;および(d)1種以上の充填ポリオールのうちの少なくとも1種とさらに混合される第29~第40の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0175】
第42の実施形態では、本発明は、A)(1)初期スターター(S)が、1種以上のC12、C13、C14、および/またはC15長鎖アルコールを含んでなるスターターから調製される第29~第41の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0176】
第43の実施形態では、本発明は、低分子量スターター(Sc)が、グリセリン、プロピレングリコール、 エチレングリコール、スクロース、ソルビトール、またはそれらの混合物を含んでなる第29~第42の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0177】
第44の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール組成物が、70mg KOH/gポリオール~120mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価および少なくとも2.1の平均官能性を有する第29~第43の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0178】
第45の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール組成物が、80mg KOH/gポリオール~118mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価を有する第29~第44の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0179】
第46の実施形態では、本発明は、F)で得られたポリオール組成物が90mg KOH/gポリオール~110mg KOH/gポリオール未満の全体のヒドロキシル価を有する第29~第45の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0180】
第47の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおけるタンデルタによって測定されるTが18℃未満である第29~第46の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0181】
第48の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.1である第29~第47の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0182】
第49の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにけるタンデルタによって測定されるTが17℃未満である第29~第48の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0183】
第50の実施形態では、本発明は、得られた粘弾性ポリウレタンフォームにおける15℃での貯蔵弾性率の30℃での貯蔵弾性率に対する比が3以下~1.2である第29~第49の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0184】
第51の実施形態では、本発明は、触媒(4)が非揮発性(non-fugitive)アミン触媒を含んでなる第29~第50の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0185】
第52の実施形態では、本発明は、発泡剤(3)が水を含んでなる第29~第51の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0186】
第53の実施形態では、本発明は、系全体のNCO指数が約105以上である場合、イソシアネート反応性成分が、100重量%の成分(2)に対して少なくとも約5重量%の成分(b)を含んでなる第29~第52の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0187】
第54の実施形態では、本発明は、イソシアネート指数が96~109の範囲である第29~第53の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0188】
第55の実施形態では、本発明は、イソシアネート指数が97~107の範囲である第29~第54の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0189】
第56の実施形態では、本発明は、発泡調節剤または発泡体加工助剤をさらに含んでなる第29~第55の実施形態の1つによる粘弾性ポリウレタンフォームを対象とする。
【0190】
以下の例は、本発明の方法の詳細をさらに説明するものである。前述の開示に記載されている本発明は、これらの実施例によって趣旨または範囲のいずれにおいても限定されるものではない。当業者は、以下の手順の条件の既知の変形を使用できることを容易に理解するであろう。別段の記述がない限り、温度はすべて摂氏であり、すべての部とパーセントはそれぞれ重量部と重量パーセントである。
【実施例
【0191】
試験方法
ヒドロキシル価:ヒドロキシル価はASTM D-4274-11に従って決定した。mg KOH/gポリオールで報告されている。
【0192】
PMPO固形分:ポリマーポリオールの総固体レベル(すなわち、ポリアクリロニトリルとポリスチレンの重量パーセント)は、近赤外(NIR)分光法として知られる分析技術によって測定した。総固体の具体的なNIR測定は、ASTM D6342-12「ポリウレタン原料:近赤外(NIR)分光法によるポリオールのヒドロキシル数の決定(Polyurethane Raw Materials: Determining Hydroxyl Number of Polyols by Near Infrared (NIR) Spectroscopy)」のバリエーションである。使用したバリエーションには、(1)ヒドロキシル価に関連するものの代わりにポリアクリロニトリルとポリスチレンに関連する吸収バンドの置換および(2)透過モードではなく反射モードでのNIRスペクトルの取得が含まれる。反射モードの使用は、ポリマーポリオールが不透明であり、したがって赤外線に対する散乱材料であることに起因する。反射モードでのNIRスペクトルの測定は、PMPOがより多くのNIR放射を透過するよりも反射するので、結果として較正および測定のために高品質のスペクトルをもたらす。標準として使用される較正は、ASTM D6342-12に従って開発された。さらに、ポリアクリロニトリルとポリスチレンに関連する吸収バンドを使用して、全ポリマー中のスチレン(S)のアクリロニトリル(AN)に対する重量比を計算する。当業者なら、これがS/AN比を制御するための主要なメカニズムの分析的確認であり、全反応器供給物中のモノマーの重量%であることを認識するであろう。
【0193】
本明細書で報告されている発泡体の他の物理的特性は、ASTM D3574-11に記載されている標準的な手順に従って測定した。
【0194】
本明細書で使用される場合、「pphp」は100部当たりの部数を表す。
【0195】
次の材料を実施例で使用した。
ポリオールA:米国特許第6,491,846号に記載の手順に従って、DMC触媒を用いてモノオール、ジオール、およびトリオールをアルコキシル化することによって調製されたin-situ調製多官能性ポリオール。スターターは、Neodol25のプロポキシル化から作られた1600MW(OH価 35)モノオールを含んでなり、重量比が82/18のプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物で約17.8mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価にアルコキシ化されている。この時点で、約125mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価に達するまで、重量比が82/18のプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物とともに、62.3~37.7重量%比のグリセリンとプロピレングリコールの混合物を連続的に加える。この時点で、プロピレングリコールとグリセリンの供給を停止し、100mg KOH/gポリオールの公称ヒドロキシル価に達するまで、プロピレンオキシドとエチレンオキシドを55/45の重量比で連続的に加える。生成物は、約2.4の全体的な官能性および約100mg KOH/gポリオールの公称ヒドロキシル価を有した。
ポリオールB:約37mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、約73%の共重合オキシエチレンを含有するグリセリン開始ポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオール
ポリオールC:約56mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、約7%の共重合オキシエチレンを含有するグリセリン開始ポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオール
ポリオールD:約49%の固体を含有し、約52mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、約13%のオキシエチレンを含有するグリセリン開始ポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)ポリオール中でのスチレンとアクリロニトリルのin-situ重合によって調製されるポリマーポリオール
ポリオールE:米国特許第6,491,846号に記載の手順に従って、DMC触媒を用いてモノオール、ジオール、およびトリオールをアルコキシル化することによって調製されたin-situ調製多官能性ポリオール。スターターは、Neodol25のプロポキシル化から作られた1600MW(OH価 35)モノオールを含んでなり、重量比が82/18のプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物で約17.8mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価にアルコキシ化されている。この時点で、約150mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価に達するまで、重量比が82/18のプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物とともに、62.3~37.7重量%比のグリセリンとプロピレングリコールの混合物を連続的に加える。この時点で、プロピレングリコールとグリセリンの供給を停止し、120mg KOH/gポリオールの公称ヒドロキシル価に達するまで、プロピレンオキシドとエチレンオキシドを55/45の重量比で連続的に加える。生成物は、約2.4の全体の官能性および約120mg KOH/gポリオールの全体のヒドロキシル価を有した。
発泡調節剤(foam modifier)A:約1240mg KOH/gポリオールのヒドロキシル価を有し、Momentive Performance MaterialsからArcol DP-1022として市販の発泡調節剤
発泡調節剤B:エボニックインダストリーズからOrtegol 204として入手可能な遅延作用架橋剤
界面活性剤A:Momentive Performance MaterialsからNiax L-618として市販のシリコーン界面活性剤
触媒A:Momentive Performance MaterialsからNiax A-33として市販のアミン触媒
触媒B:Momentive Performance MaterialsからNiax A-1として市販のアミン触媒
触媒C:EvonikからDabco T-9として市販のオクタン酸スズ
触媒D:EvonikからDabco NE300として市販のN-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]-N-メチル-1,3-プロパンジアミン
触媒E::EvonikからDabco 33LVとして市販のジプロピレングリコール(67重量%)中のトリエチレンジアミン(33重量%)
触媒F:HuntsmanからJeffcat LE-225として市販の反応性アミン触媒ポリオール混合物
触媒G:HuntsmanからJeffcat LE-220として市販の反応性アミン触媒
MeCl:塩化メチレン
イソシアネートA:80%の2,4-異性体と20%の2.6-異性体を有するトルエンジイソシアネート
【0196】
表2A、2B、および2Cのフリーライズベンチスケール(free-rise bench scale)発泡体を次の手順で調製した。ポリオール、水、シリコーン界面活性剤、アミン触媒、および他の非イソシアネート添加剤を、バッフルを取り付けた円筒形容器に加えた。内容物を2400rpmで60秒間、2つのタービンインペラを備えた攪拌機で混合した。スズ触媒Cを用いる場合、この時点で加えた。次いで、混合物を15秒間脱気した。脱気後、内容物を2400rpmで15秒間混合し、その間に混合時間が残り約10秒のときにイソシアネートを加えた。次いで、混合物を14×14×6インチの段ボール箱に注ぎ、反応が完了するまで自由に上昇させた。パンの高さを少なくとも約6インチにするのに十分なバッチサイズを用いた。新鮮に調製したパンを120℃のオーブンで20分間硬化させ、周囲条件で最低1日間硬化させた。発泡および硬化の間に行われた観察の結果を表に示す。次いで、バンを12×12×4インチにトリミングし、3回ローラー粉砕して最小厚さを約0.5インチにした。次いで、これらの試料を、試験を行う前に標準温度(~23℃)および湿度(~50%)で少なくとも16時間調整した。
【0197】
不連続フリーライズボックスマシン(discontinuous free-rise box machine)発泡体を次の手順で調製した。この手順を用いて、実施例17の発泡体を調製した。ポリオール、水、シリコーン界面活性剤、アミン触媒、およびその他の非イソシアネート添加物を円筒容器に加えた。内容物は2400rpmで60秒間、1つのタービンインペラを備えた攪拌機で混合された。次いで、混合物を15秒間脱気した。この時点でスズ触媒Cを加えた。脱気後、内容物を2400rpmで15秒間混合し、その間に混合時間が残り約7秒のときにイソシアネートを加えた。これらの発泡体には、キャノンバイキングボックス発泡マシン(Cannon-Viking box foam machine)を使用した。すべての原料を、計量装置を介して混合チャンバー(最大容量120kg)に加えた後、大きな開放金型(約200cm×200cm×高さ150cm)に注ぎ、周囲温度で最低1日硬化させた。発泡および硬化の間に行われた観察の結果を表に示す。次いで、バンを上部、中間部および底部(15インチ×15インチ×4インチ)の発泡体断片にトリミングし、3回ローラー破砕して約0.5インチの最小厚さにした。次いで、これらの試料を、試験を行う前に標準温度(すなわち約23℃)および湿度(すなわち約50%)で少なくとも16時間調整した。
【0198】
フリーライズ連続MiniMaxマシン(free-rise continuous MiniMax machine)発泡体は、Novaflex CO機能を備えた3分の1スケールのMaxfoamマシンを使用して製造した。この手順を使用して、実施例18および19の発泡体を調製した。Maxfoamマシンは、4つの個々のポリオールの流れ、2つの個々のイソシアネートの流れ、および14の個々の添加剤の流れを追加し、個々のポリオールとイソシアネートの流れそれぞれの温度を制御する機能を提供する。さらに、Maxfoamマシンをコンピューター制御することによって、システムと発泡体グレード(grade)を発泡体注入の間中変えることができる。最大で約122cm×122cm×長さ3048cmの大きさの発泡体ブロックを調製することができる。典型的には、各発泡体グレード(grade)は約10フィートのバン断片に切った。次いで、バンを上部、中間、下部の15×15×4インチの発泡体断片にトリミングし、3回ローラー粉砕して約0.5インチの最小厚さにした。次いで、これらの試料をASTM D3574-11規格に従って調整した。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
【表6】
【0205】
【表7】
【0206】
【表8】
【0207】
本発明を例示の目的で上記に詳細に記載してきたが、そのような詳細はその目的のためだけのものであること、ならびに、請求項によって限定されうる場合を除いて、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって変形が可能であることが理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2