(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】バイオセンサを備えたメガネ
(51)【国際特許分類】
G02C 11/00 20060101AFI20221021BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
G02C11/00
G02C5/12
(21)【出願番号】P 2019551762
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2017057537
(87)【国際公開番号】W WO2018109604
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】10201600125471
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベリ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】サンフェリチ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】バーノ,ミケーレ
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194848(WO,A1)
【文献】特表2016-524194(JP,A)
【文献】特表2015-522842(JP,A)
【文献】中国実用新案第204314561(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 ― 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に接触して信号を検出するバイオセンサが設けられたメガネであって、
それぞれのレンズ(4)を支持するフロントフレーム(2)と、横方向に対向する両側において前記フロントフレームに関節状に連結される一対の側面(6)と、鼻支持装置(8)とを備え、
前記鼻支持装置は、前記フロントフレームに着脱自在に連結可能であるフレームワーク(9)を備え、
互いに向かい合う第1および第2鼻支持エレメント(10、11)は、前記フレームワーク(9)上に設けられ、
前記第1および第2鼻支持エレメント内には鼻の対応する横対向ゾーンと表面接触可能である鼻センサとしての第1および第2センサ(10a、11a)が一体化され、
前記鼻の鼻梁のゾーン内で顔の表面と接触するために、第3センサ(12)が、前記フレームワーク(9)の中心にかつ前記第1および第2センサ(10a、11a)から一定距離を置いて装着され、
前記第1、第2、および第3センサ(10a、11a、12)は、弾性的に撓みやすい導電性の材料であるエラストマーまたはゴムからなり、
前記フレームワーク(9)は、相互に向かい合うとともに中央の横材(14)を用いて一端部で相互接続される一対のアーム(13)を備え、
対応する前記
第1および第2鼻支持エレメント(10、11)
の各々が前記アームのそれぞれに設けられ、
前記第3センサ(12)が前記横材(14)から一定距離を置いて前記アーム(13)の間にブリッジの形で延び、
前記第3センサ(12)が前記フレームワークの前記アーム(13)のそれぞれにその対向端部で不動に連結されている、メガネ。
【請求項2】
請求項1に記載のメガネにおいて、
第1および第2アーム部(18、19)が前記横材(14)からの前記アーム(13)のそれぞれに設置され、
前記第1および第2アーム部(18、19)より大きなアーム領域(20)が前記第1および第2アーム部(18、19)の間に設けられ、
前記
アーム領域(20)は、前記第1および第2アーム部(18、19)に対向する外見上の肩部(20a、20b)のそれぞれを規定し、
前記第3センサ(12)の対応する
端部(12a、12b)は、前記第1および第2アーム部(18、19)に対して当接し、
前記第3センサ(12)は、前記第1アーム部(18)に連結され、
対応する前記第1および第2センサ(10a、11a)は、前記第2アーム部(19)に連結されている、メガネ。
【請求項3】
請求項2に記載のメガネにおいて、
前記第3センサ(12)の前記端部(12a、12b)のそれぞれは、より大きな前記
アーム領域
(20)の対応する前記肩部(20a)と中央の前記横材(14)の対向支持面(20c)との間で、前記フレームワークのアーム(13)のそれぞれの前記第1アーム部(18)に載って保持されている、メガネ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のメガネにおいて、
前記フレームワーク(9)の前記アーム(13)のそれぞれの前記第2アーム部(19)は、より大きな前記
アーム領域
(20)に長手方向に対向する自由端(13a)を有し、前記フロントフレーム(2)内に設けられた台座(22)の対応する位置に収容かつ保持され得る肢(21)を備えている、メガネ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のメガネにおいて、
前記フレームワ-ク(9)と前記第1、第2、および第3センサ(10a、11a、12)は、射出成形技術を用いて作られ、
前記第1、第2、および第3センサは、前記フレームワークにオーバーモールドされている、メガネ。
【請求項6】
請求項2~4のいずれか一項に記載のメガネにおいて、
前記フレームワーク(9)と前記第1、第2、および第3センサ(10a、11a、12)は、射出成形を用いて別々に作られ、
前記第1、第2、および第3センサは、前記フレームワークの前記アーム(13)のそれぞれの前記第1および第2アーム部(18、19)が嵌め合いで通過可能である管状のキャビティを規定する貫通開口(23)をそれぞれ有する、メガネ。
【請求項7】
請求項2~4のいずれか一項に記載のメガネにおいて、
前記アーム(13)のそれぞれの前記第2アーム部(19)には、対応する前記第1および第2センサ(10a、11a)の回転を防止するためのエレメントの形で前記第2アーム部の側面から突出する突起が設けられている、メガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項すなわち請求項1のプリアンブル(前提部)で述べられた特徴を有する、バイオセンサを備えたメガネ(眼鏡)に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、フロントフレームおよび/またはその側方面(側面)に一体化(集積)されたバイオセンサを備えるメガネの特定技術分野に入り、用語「バイオセンサ」は、頭(頭部)の表面の一定(特別)ゾーン(区域)において局所(集中)的なセンサ接点を用いて生活機能、例えば脳機能に関する電気信号を検波(検出)するためのセンサを意味する。
【0003】
メガネのフレームに関してこのタイプ(種)のセンサの使用は普及しており、その普及は、具体的には、一般に生活機能、特に脳機能の診断(分析)に由来(派生)する、将来実現する可能性を秘めた優れたアプリケーションによる。実際に、このタイプのセンサにより、例えば、脳波(脳波記録法)の変化、眼(電気眼球図記録法)の位置、眼の周りの筋肉(筋電図検査法)の収縮、および心機能(心電図記録法)を検出することが可能になる。
【0004】
フレームに適切に一体化されたセンサを用いて、そのセンサとユーザの頭部との間の局所的な接点の結果として容易に検出可能なこれらの機能の状態(様子)を自覚(認識)することにより、必要なら人の健康および安全を危険にさらす状況(境遇)を消(抑制)しまたは知らせるために、人の精神的身体的な状態を管理(制御)および監視(モニタ)するための行動(処置)を取ることが可能になる。そして、ストレス状態、および、もっと一般的には疲労状態、例えば、仕事、スポーツ、およびレクリエーション活動を行うときに生じる恐れがある疲労状態のモニタリング(監視)を実行することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この文脈では、発明の主要な目的は、バイオセンサを設けられたメガネを提供することであり、当該メガネの構造および機能は、メガネの十分な信頼性および効果的な働き(使い易さ)と、メガネを頭部に装着する際の、詳細には、センサが頭部と局所的に接触する場合のほどよい安心感(快適さ)とを確保しつつ、センサの製造および当該センサのメガネへの組付けを容易にするために、先行技術において公知の技術的な解決策、詳細には、フレーム部品へのセンサの一体化に関する課題に結び付けられる解決策を改善(改良)するように意図されている。
【0006】
以下で明確になるであろうこの目的および他の目的は、バイオセンサを備えたメガネを用いて本発明により達成され、当該メガネは添付の請求項に従って生み出(製造)される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の特徴および利点は、多くの好適な実施の形態に関する以下の詳細な説明から、より明確になり、当該実施の形態は、添付の図面を参照して非限定的な例として示されている。
【
図3A】
図3のIII-III線に従った断面図である。
【
図4】前述の図のメガネの一部断面かつ一部除去の斜視図である。
【
図5】前述の図のメガネの詳細な拡大斜視図である。
【
図6】前述の図のメガネの詳細な拡大斜視図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に従った断面拡大図である。
【
図9】
図5の詳細な構成要素(部品)の斜視図である。
【
図10】
図5の詳細な構成要素(部品)の斜視図である。
【
図11】
図5の細部(小部品)を作り出すステップに関する概略的な斜視図である。
【
図12】
図5の細部(小部品)を作り出すステップに関する概略的な斜視図である。
【
図13】
図1のメガネの両側方面のうち一方の側面図である。
【
図14】
図1のメガネの両側方面のうち一方の側面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線に従った断面図である。
【
図19】インナーフレーム側の詳細の一部断面の斜視図である。
【
図20】インナーフレーム側の詳細の一部断面の斜視図である。
【
図22】前述の図のメガネ全体の分解斜視図である。
【
図23】前述の図のメガネに一体化された撓みやすい電気回路の実施の形態の概略図である。
【
図24】前述の図のメガネのフレームに収容されるように意図された電子モジュールの拡大図である。
【
図25】電源供給のため、プリント回路基板に関連付けられるバッテリの拡大図であり、当該バッテリおよびプリント回路基板とは、前述の図のメガネフレームに収容されるように意図されている。
【
図26】前述の図のメガネの一部が分離された一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述の図を参照すると、符号1は全体としてメガネを示し、当該メガネはバイオセンサを備え、本発明に従って形成される。
【0009】
メガネは、対応するレンズ4を支持するための一対のそれぞれのリム3を有するフロントフレーム2を備えており、当該リムは、鼻部(鼻部分)に延びるブリッジ(山)5によって中央で互いに連結(接続)されている。符号6は、メガネの両側面(側方面)を示し、当該両側面は、フレーム2の側方対向面に設けられたそれぞれのヨロイ7でヒンジ留め(枢着)されている。
【0010】
メガネには、鼻に寄り掛かり(載り)耳の後部(後方)ゾーン内に載るフレームの中央領域に設置されたバイオセンサが設けられている。この文脈では、「バイオセンサ」という用語は、人の生活機能に関する、例えば、脳波、心臓拍動(心拍)、または他の生命維持に必要なパラメータに関する電気信号を検出するように設計されたあらゆるセンサを意味するように理解される。
【0011】
従って、以下で明確になるように、センサは、電気信号を検出するために皮膚と接触する電極として機能するように設計されるとともに、フレームに設けられた電気信号伝導体(導体)のシステムを用いて、検出された信号を管理するための回路ユニットに設けられた電子モジュールに当該電気信号を転送するように設計されている。
【0012】
メガネには鼻支持装置8が設けられており、当該鼻支持装置は、構造的にフロントフレーム2から独立し前記フレームに着脱自在に連結(接続)できるフレームワーク(骨組)9を備えている。
【0013】
第1および第2鼻支持エレメント10、11は、相互に対向するようにフレームワーク9に設けられており、当該鼻支持エレメントのそれぞれには第1および第2鼻センサ10a、11aが一体化されており、それらの鼻センサは、鼻の対応する側方対向ゾーン(帯域)と表面接触できる。
【0014】
符号12によって表示された第3センサは、フレームワーク9の中央に、センサ10a、11aの上方に、かつ、それらから所定の間隔を置かれて設けられており、メガネを装着する(掛ける)と鼻の鼻梁(はなすじ、眉間から鼻の先までの部分)で、すなわち、頭部の「眉間」の真下で顔との表面的な接触を始める(にはいる)ようになっている。
【0015】
センサ10a、11a、12は、有利には、電気的な伝導性を有し弾性的に撓みやすい材料、例えば、電導性のエラストマーまたはゴムから作られており、一方では支持装置との接触に関して快適さを確保するとともに適応性に適合するようにし、他方ではそれぞれの信号を検出するためにセンサが電極機能を果たす(実行する)ようにしている。
【0016】
更に詳細には、フレームワーク9は、中央の板状の横材(交差材)14から等方向に延びるとともに当該横材によって相互に連結された一対の対向アーム13を備えており、ネジ16を使ってフロントフレーム2の内側に、すなわち、メガネを掛けたときにユーザの顔に対向する側にフレームワーク9を堅固に締結するために横材14には貫通孔15が設けられている。
【0017】
代替の変形では、フレームワーク9をフロントフレーム2に固定するためのネジ16は、異なる位置、例えば、フレームの下部に設けることが可能であり、ネジ16の縦方向(長手方向)の軸が、
図7の中心線Xと平行であるようになっている。この場合、ネジ16が通過するためにフレームワーク9に作られた孔15の縦方向の軸は、軸Xとも平行である。また、ブリッジ5内に作られるとともにネジ16を固定するための対応する孔は、軸Xとも平行である。このような構成では、それぞれの下部においてブリッジ5およびフレームワーク9のそれぞれの幾何図形的配列(形状)および厚さは、好適な実施の形態に関して図示されたそれらのものに対して適宜変更(部分的に変更)されなければならず、ネジの挿入および締め付けを許容するようにフレームワークおよびブリッジにおいて十分に広範囲に渡って大量材料を得るようにしている。
【0018】
アーム13は、相称(対称)の正中面に対して鏡面対称を有しており、その鏡面対称は
図7の中心線Xによって表示されている。この対称性のために、アーム13のうちの一方のみが記述されるだろう。
【0019】
特定の鼻支持エレメント10(11)は、それぞれのアーム13に装着されており、センサ12(この文脈では「眉間センサ」として適切に言及されることもある)は、鼻の鼻梁のゾーンとの支持装置の接触のままでいることを確保するために、アーム13の間でブリッジの形で延びるとともに(メガネを装着した時に顔に向かって突出する)横材14から所定の間隔を置いて配置された状態のままである。前記センサ12はまた、その2つの対向端部12a、12bでフレームワークのそれぞれのアーム13に一体的に接続(連結)されている。
【0020】
図において明確に示されるように、対応するセンサが一体化された鼻支持エレメント10a、11aのそれぞれは、鼻の両側に心地良く(楽に)寄り掛かるように「小さな鼻パッド(蝶)」として成形されており、眉間センサ12は、今度は、鼻の鼻梁との有効かつ快適な接触を確保するために成形された「鞍状物(サドル)」である。
【0021】
符号18、19によって表示される第1および第2アーム部はそれぞれ、横材14に繋がる端部13aから出発するアーム13のそれぞれに設置されており、両アーム部の間にはアーム接続部分20が介在されており、当該横材は、アーム部18、19よりも大きい(前記アーム部の縦の延長方向に対して横切る方向のサイズ(寸法)が考慮されている)。前記接続部分20は、アーム部18、19の上に、それぞれの外見上の肩部20a、20bを規定(郭成)しており、眉間センサ12の対応端部12a(12b)であってアーム部18に連結されている端部と、部位19に連結されている対応鼻センサ10a(11a)とをそれぞれ肩部に対して停止可能である。
【0022】
センサ12の各端部12a、12bは、肩部20aと、アームの上端部13aにおいて横材によって設けられた対向支持面20cとの間で対応アーム18上に保持されている。
【0023】
フレームの対応リム3内に設けられた台座(座面)22に収容かつ保持可能である特定の肢(脚部)21は、アーム13の自由端の近くで第2部位19内に設けられている。
【0024】
好適な実施の形態では、フレームワーク9と、センサ10a、11aのそれぞれを形成する鼻支持エレメント10、11と、センサ12とは、射出成形プラスチック材を用いて形成されており、更に詳細には、全てのセンサは、フレームワーク上にオーバーモールドされている。
【0025】
製造プロセスは、有利には、その構造による中程度の弾性変形をするフレームワークが硬質プラスチック材の射出成形を用いて形成される第1ステップを提供している。次の第2ステップにおいて、センサ10a、11a、12は、導電性エラストマー材または導電性ゴムの対応位置においてフレームワーク9に直接的にオーバーインジェクトクト(過度注入)されている。
【0026】
1つの変形では、センサ10a、11a、12は、射出成形を用いて再び、お互いかつフレームワーク9から別々(個別)に形成可能である。
【0027】
センサは、貫通開口23の形でキャビティ(空孔)を備える取付部分を有するように形成されており、その貫通開口にはフレームワークにおけるアームの対応する部分18、19が相当に確動的(強制的)な嵌合で係合して(噛み合って)いる。
【0028】
この場合、方法は、上述のような第1ステップを提供しており、その構造による中程度の弾性変形をするフレームワーク9は、その第1ステップにおいて硬質プラスチック材を使用した射出成形を用いて形成されている。
【0029】
前記第1ステップの後に、フレームワークから分離して導電性エラストマーを使ってセンサが射出成形される第2ステップが続く。次のステップでは、センサはその時にフレームワークの対応アームに装着され、相対的なスライド(摺動)移動を用いて嵌合されており、アームの部位が、対応する連結位置に到達するまで、取付開口23に係合している。
図11および
図12は、センサがフレームワークに連結される上記の方法ステップを図式的に示している。
【0030】
この文脈では、プラスチック材料分野において現在利用可能なものから選択された熱可塑性エラストマーを使用することは有利かもしれない。熱可塑性エラストマーには、例えば、フィンランド企業、PREMIXによって製造され、熱可塑性ポリマーに基づかれ、カーボンブラックのような適切な添加剤の使用によって導電性化された「Pre-Elec(登録商標) TPE 1502」として知られる材料を含む。
【0031】
実際のところ、それと同時に「Pre-Elec(登録商標) TPE 1502」は、本発明を実施するために基本的に必要とされる全ての技術特性に適した重要性(有用性、価値)を有している。これらの特性には、高い導電性、明確な傾向を示す低率の弾性(弾力性)および表層硬度、中程度の柔軟さ(柔らかさ)および弾性コンプライアンスが含まれる。
【0032】
前述の材料が、ここで提案された本発明を実施するために使用可能なエラストマーのうち唯一の例であること、および、本発明が、プラスチック材料分野において利用可能であるとともに「Pre-Elec(登録商標) TPE 1502」と同等な(に相当する)技術的特徴を有する他の代替材料を使うことによって実施可能でもあることが理解される。
【0033】
他の変形においては、センサは、鋳造(一体成形)によって形成可能である。
【0034】
符号24は、対応するアームの各部19において突起を規定し、当該突起は、前記部の側面(外形)から突出するとともに前記部位に装着されたそれぞれの鼻支持センサに対して回転防止エレメントとして機能を果たす。
【0035】
ひとたびセンサがフレームワーク9に形成され組み立てられると、前記フレームワークはフロントフレーム2に接続(連結)される。
【0036】
凹部(凹み)2aは、ブリッジ5におけるフレーム内に設けられるとともに、ブリッジの下に延びるリム部3の一部に沿って設けられている。前記凹部2aは、
図4に示されるように、対応するフレームゾーンの表面に凹み(陥没)として形成されており、そのアームと共にフレームワーク9を受け入れる(収容する)ように成形されている。前記フレームワークは、フレームに係合するとともに孔15を貫通する締結ネジ16を用いて固定されており、フレームワークのアームの端部において肢21はまた、フレームの台座22内に収容および保持されている。
【0037】
固定シーケンスにおいて、肢21は前もってそれぞれの台座22に挿入されている。この点に関しては、フレームワーク9は、アーム19の下部において、装着幅より大きい、すなわち、ひとたびフレームワークがフレームに組み立てられた場合に測定される有効(実効)幅より大きい名目幅(対向する肢の間の距離)を有するように形成されている。このようにして、フレームワークは、(互いに向けて動くアームを圧縮することによって)弾性的に「予負荷(プレロード)」されており、予負荷は、ひとたびフレームワークに適用されると、フレームのリムのそれぞれの部分より下方にある2つの端部を、弾性復帰により互いに向けて移動させる傾向があり、したがって、肢21がそれぞれの台座22において連結かつ保持されることを確実にする。
【0038】
ひとたび肢21が台座22に挿入されると、フレームワークはその時に締結ネジ16の利用によりフレームに連結される。
【0039】
フレームワーク9を製造するために使用可能である材料に関しては、種々なタイプ(種類)のプラスチック材は適切である。非限定的な例として、ポリアミド系プラスチック材が挙げられ(「Grilamid(登録商標) TR 90」として商業的に公知の材料を含む)、または、ポリプロピレン系プラスチック材が挙げられ得る。
【0040】
加えて、正面(最前部)と(この文脈では後述される)両側面との製造に関して、フレームワーク9を製造するために使用される可能性のある列挙材料を含めて、種々のタイプのプラスチック材を使用可能であることは有利である。
【0041】
センサは、生活機能に関する若干の特定のタイプの「生体信号」または電気信号を検波するために信号に対して特に敏感になる必要があるので、起こり得ることは、導電性エラストマーの電気伝導性の程度が、前記エラストマーからなるバイオセンサが適切に機能を果たすと保証するのに十分に高くないことである。その問題が生じるのは、例えば、著しく低い強度で特徴付けられた生体信号を検出する時、特に他の付随する生体信号すなわちそれと同時にユーザの頭部の表面(外面)にある(存在している)生体信号の典型的な強度と比較される時である。頭部またはそれと同時に顔で検波され得る様々な生体信号は、異なる発振周波数によって識別(特徴付け)されるけれども、重複する傾向があり、したがって、詳細に識別(区別)できない一種の背景「雑音(ノイズ)」を時には決定する。
【0042】
電子モジュール内に集積(一体化)された1つのソフトウェアは、需要(人気)のある生体信号を「識別すること」、他の付随する信号に関してそれを認識すること、および、次の処理のためにそれを解釈することで過酷な負荷をかけられている。しかしながら、場合によっては、ソフトウェアは、著しく高い強度および精度をもつ検出電気信号の形で、一組のデータを要求でき、皮膚から電子モジュールに接続された電気回路まで、生体信号の極めて有効な電送(電気的な送信)が結果として必要となる。
【0043】
皮膚との境界面に対して電気が送信される効率は、エラストマーの電気伝導度の程度と、皮膚とエラストマーセンサとの間での接触面の範囲との両方に依存するので、センサと皮膚との間の接触面の増大により、すなわち、前記センサの形状および/または寸法の変形により信号検出の質を高めることが出来なくなると、前記センサの第一表面層の電気伝導性の程度を著しく増加させることを可能にする解決策が用いられる。
【0044】
ひとたび顔または頭部の皮膚上で検波可能である信号がバイオセンサの電気表面伝導性のより大きな程度による明確な方法で拾い上げ(集め)られると、前記信号はその時に(それから)導電性エラストマーからなる部品(構成要素)の容量(体積)内の導電性を用いてフレームの内側の電気回路に伝送(送信)され、前記容量は外側のより高い導電性の層と、フレームの内側の電気回路への信号の通路に代表として派遣される、センサの内側の導体との間に介在されている。
【0045】
導電性エラストマーからなるバイオセンサの電気表面伝導性の程度(度合い)の起こり得る増大に対する好適な解決策には、電導性被覆(コーティング)、例えば、導電性インクまたはニス(光沢塗装膜)の使用が必然的に含まれる。
【0046】
その技術分野で容易に利用可能であるために、この製品は、種々の代替的な定式化または構成で利用可能であり、種々の可能な応用(アプリケーション)の方式(やり方)を有している。要件に応じて、その種(タイプ)の被覆に加えて、バイオセンサの全表面を導電性被覆で覆うか否か、または、皮膚と直接的に接触するとともに電気表面導電性のより高い程度をも必要とする、バイオセンサの表面の部分のみを目標とされる方法で覆うことにより当該被覆をセンサの丁度一部に利用するか否かを選択することも可能である。
【0047】
本発明によれば、上記のタイプのセンサは、側面6の一方または両方にも設けられている。
【0048】
その鏡面対称により、両側面のうち一方のみが詳述されるでしょう。
【0049】
図13~
図16を詳細に参照して、各側面6は、端部側方部6bへ延びる前方端片でヒンジ留め(枢着)のために設けられた側面本体6aを備えており、側面が横で頭部に寄り掛かっている場合に耳の後方ゾーン(区域)内の頭部と接触するセンサ25が端部側方部6b内に一体化されている。
【0050】
端部側方部6bは、側面本体に連結された共有端部27から延びる一対の分岐26a、26bを有するように設計されており、前記分岐は、お互いから一定の間隔を置いて配置されるように側面の伸長(延長部分)の長手方向へ延びている。閉輪郭(閉外形)を有する溝付き貫通開口28が分岐の間に規定された構成では、分岐26a、26bは同様に、端部27に向かい合っている(対向している)端部側方部6bの自由端で互いに連結(接続)されている。
【0051】
分岐のうち一方、好適には(頭部との接触の際に耳からより遠方の鉛直方向へ離れた)上方分岐26aには、有利には、側面のコア30を収容するための内部キャビティ29が設けられており、当該コアは、導電性金属材料からなり、または導電性金属材料で被覆されている。
【0052】
単なる一例として、コア30が鋼からなり、その後に、亜鉛メッキを用いて蒸着(付着)された導電性金属層で覆われ(被覆され)ることは有利である。
(分岐26a、26bを備える)端部側方部6bは、同様に、導電性を有して弾性的に撓みやすい材料、例えば、導電性エラストマーまたはゴムからなる。
【0053】
導電性材料は、皮膚上で検出され得る電位に敏感であり(反応され)、電気信号または電位は、導電性エラストマー材から導電性として機能を果たす金属コアへ伝送(送信)される。
【0054】
端部側方部の端部27において、内方(内側)コア30は、側面本体6aへの挿入のために肢31に延びている。前記肢31を用いて、コア30は、同様に、側面本体6a内に設けられたハウジング33に収容されている(
図24で図式的に示された)モジュールまたは電子回路32に電気的に接続されている。
【0055】
図14に示すように、挿入肢31は、電子モジュール32との電気的な接続のためにハウジング33内に突出するように延びている。
【0056】
側面の寸法以内に規定されたままである前記ハウジング33は、側面(ユーザの頭部に対向する側面)の内側に開口されており、着脱自在に結合され得る閉鎖(閉塞)カバー34を設けられている。
【0057】
一実施の形態において、両側面のうち一方におけるハウジング33は、電子モジュールを収容するために意図されているのに対し、他方の側面に形成されたハウジングは、電子モジュールおよびセンサに電気を供給するバッテリ(電池)45を収容するために意図されている。バッテリ45は、好ましくは、再充電可能かつ取り外し不可能なバッテリである。代替としては、それは着脱自在なバッテリであってもよい。加えて、それは再充電不可能なバッテリであってもよく、その場合には、それは、ひとたび放電されると、それを交換するために取り外さなければならない。
【0058】
両側面のうち一方に形成されたハウジングが電気を供給するバッテリを収容するために意図されているならば、前記側面におけるコア30の形状および寸法は、他方の側面におけるコア30の形状および寸法と同一であり、他方の側面のハウジングは、電子モジュールを収容するように意図されている。このことはまた、特に、コアの肢31に対する実例(場合)であり、2つの側面の両方のコアに対しても同一である。
【0059】
実際に、バッテリを収納するように意図された側面の場合、コア30の挿入肢31はまた、第2電子回路46に電気的に接続されるためにハウジング33内に突出するように延びており、その第2電子回路は、対応する側面に収容された主回路または電子モジュール32よりも小さな寸法および少ない機能によって特徴付けられている。要するに、第2電子回路46の唯一の機能は、前記側面で用いられたセンサから生じる電子信号を検出すること、この信号を(以下で詳述される)フレーム(Plex PCB)内の電気回路に送信すること、および、前記電気回路がバッテリに接続されるのを許容することである。
【0060】
図24において、側面のヒンジ留めされた側に対向する一端部32aと、端部側方部の側に対向するとともに挿入肢31に重なって電気的に接触可能である対向端部32bとは、モジュールまたは電子回路32内に設置(位置決め)されている。
【0061】
図25において、電気を供給するバッテリ45は、(電気的な接続によって)電子回路46に連結されるように示されている。符号46aは、挿入肢31に重なって電気的に接続可能である、端部側方部の側に対向する回路の自由端部を示す。その代わりに、符号45aは、側面のヒンジ留めされた側に対向する(自由端部46aの長手方向の反対側にある)バッテリ46の端部を示す。
【0062】
しかしながら、他の構成は可能である。対応する両側面における一方のハウジングまたは他方のハウジングが、電子モジュールまたはバッテリに加えてまたは代えて、センサによって検出される信号を管理または伝送(送信)するための他のデバイス(装置)または構成(部品)を収容するように規定されてもよい。
【0063】
予め選択された金属材料の特徴とコア30の全体幾何的形状寸法との両方によれば、前記コアは可塑的に変形可能であり、その結果、メガネの快適で安定した適合性(フィット感)のため当該形状をユーザの頭部に適応させるために、端部側方部6bを「調節可能」にすなわち格好よくしている。
【0064】
実際には、端部側方部6bが適応手順にさらされると、コア30は可塑的に変形しその新規な形状を維持する傾向がある一方、コアを含むエラストマー(またはゴム)は、その代わりに弾性的に撓むことにより弾性的に変形する傾向があり、その結果、コアの新規な折り畳まれた形状に追従し、コアの剛性(不撓性)によって想定される新規な形状に拘束される。
【0065】
端部側方部6bの溝付き形状により、他方の分岐から一定距離を置いて配置されるとともに金属コアの存在によって影響を及ぼされない下方分岐26bは、上方分岐26aよりも大きな範囲まで弾性的に変形可能である。この変形可能性の程度は、耳への支持装置のできるだけ最高(ベスト)な適合性を考慮し、こうして、メガネの安全かつ信頼できる電気的接触と、メガネの適切な全体的嵌め合い(装着)の心地良さとを保証している。
【0066】
端部側方部6bは、射出成形の技術を使って形成されており、上方分岐26aは、成形ステップにおいて金属コア30にオーバーモールドされている。
【0067】
各側面6を作るための好適な方法は、第1ステップでは、挿入肢31に係合するコア30の端部へのオーバーインジェクション(過度射出)と一緒に、硬質プラスチック材料の射出成形により作り出されることを規定している。次の第2方法ステップでは、導電性エラストマー材からなる端部側方部6bは、コア30の残りの部分にオーバーモールドされ、その結果、端部側方部の分岐26a、26bが、このステップで形成される。
【0068】
電子モジュール(またはバッテリ)をセンサに電気的に接続するために、および、センサ、特に、鼻支持装置8に設置されたセンサによって検知される信号を電気的に送信するために、プリント回路基板として形成され「Flex PCB」(可撓性のプリント回路基板)として技術分野では公知である電気回路が使用されている。この回路の各部分は、図に示される場合には、符号35によって示される。
【0069】
回路35の一部は、フレーム2の最前部(フロント)であってブリッジ領域に沿って延びるレンズ保持リム3の上部に係合する部分の内側に収容されており、前記回路の一部は、側面の対応ハウジング32の内側に達するまで、側面と前方端片との間のヒンジ留めされたゾーンの内側に収容されている。
【0070】
フレーム上の回路35を収容するために、前記フレームの内方側には、リム3内および前方端片7内に作られたそれぞれの台座36が設けられており、前記台座は、フレーム部分に沿って延びる回路35を隠すようにそれぞれの閉鎖挿入物37に連結されている。
【0071】
ひとたび各挿入物37がその側面をフレームの最前部に対向した状態でその最前部自体に適用されると、その挿入物は、前記挿入物の全長に亘って、鼻支持装置に隣接する端縁(エッジ)からヒンジに隣接する端縁まで広がるレンズを保持するための内方溝37aすなわち「小さい経路[チャンネル]」の形成にどのように寄与するかが注意される。
【0072】
「U字状」の輪郭によって典型的に特徴付けられ最前部の内側でレンズの外方端縁(エッジ)を収容および保持できる、レンズ用の「小さな経路」の断面は、
図3Aで目に見える。
【0073】
図19および
図20は、ブリッジ5と側面におけるハウジングとの間のフレーム内に収容された(点線で示された)回路35を図式的に示し、当該回路は、フロントフレームから側方面へ中断せずに延びて(広がって)いる。
図22および
図26はその全体(全般)的に好適な実施形態におけるフレキシブル回路35の詳細図であるのに対し、
図23は前記回路の部分的かつ概略的な図を示している。
【0074】
回路35の通路(出入口)を許容するための凹部または溝38は、側面のハウジング33に挿入されるまで、側面のヒンジ留めされたゾーン内にも設けられている。
【0075】
符号39、40は、挿入物37およびカバー34の端部からそれぞれ突出するタブ(ツメ)も示しており、そのタブは、互いに対向するとともに、回路35との重なりによって、ヒンジ留めされたゾーン(
図21、22)内の前記回路を更に隠すためにも使用されている。
図21で詳細に示されるように、このゾーン内では、回路35は、前方端片と側面との間の通路内にヒンジネジに対して内部位置にあり、こうして、メガネを装着した時にヒンジネジとユーザの顔との間に置かれ(介在され)ている。
【0076】
鼻支持装置8内に一体化された回路35とセンサ10a、11a、12との間で電気的接触を確立するために、導電性材料からなるそれぞれのカバーは、センサと回路のそれぞれの導電性トラック(通路、軌道)との間で電気的接触を確立するのに適している対応位置に設けられているのに対し、構造形(形状)は、センサと、互いに接続されている対応導電性トラックとが相互に電気的に絶縁されることをも保証している。
【0077】
図23は、Flex PCB回路35における実施の形態の概略的な図であり、当該回路は、鼻支持装置のセンサ10a、11a、12を電気的に接続する中央ゾーン41を備えており、前記センサは、中央ゾーンから対向面に2本のそれぞれの導電性ライン42、43を展開しており、ライン42は、両側方面のうち1つに収容されるとともに電気を供給するバッテリに向けて方向付けられており、ライン43は、その代わりに、他の側方面に収容された電子モジュール32に向けて方向付けられている。
【0078】
回路の中央ゾーン41は、フレーム内の凹部2aであってフレームワーク9を収容する凹部とフレームワーク9自身との間に置かれるために設けられている。電気的接触を確実にするために、導電性材料(例えば金)で覆われるとともに符号10a′、11a′、12′で示され、かつ、ハッチングによって図式的に示されたゾーンはそれぞれ、センサ10a、11a、12との直接接触のために設けられている。
図23において一部分だけ示された導電性部分は、電気信号を伝導する(行う)ために回路内に一体化され、互いから適宜に絶縁されている。
【0079】
従って、フレームワーク9をフレーム2に固定することによって、電気的接触は、信号を正しく伝導するために鼻センサと電気回路35との間で確立されている。
【0080】
符号44は、電子モジュール32に電気的に接続され得る回路の導電性ライン43の端部に形成された電気的接触を表すとともに図式的にのみ示している。
【0081】
取付(装着)および製造をより容易にするために、
図23で示された回路35は、好ましくは、2つの分離片で形成されてもよく、その分離片は、ひとたびフロントフレームに適用されると、(
図23で示された中心軸によって示される最前部の正中で)お互いに電気的に接続される。
【0082】
符号50は、電子モジュール32に設けられるとともに、カバー34内に作られた対応貫通孔51を用いて電気接続のために利用可能である電気接点(接触)を示しており、前記接点は、外部電子デバイス(例えば外部電源または他の追加電子装置)を使って電気接続を形成している。
【0083】
符号52は、ハウジング内への電子モジュールの装着を容易にするために、ハウジング33内で直立姿勢であるとともに、電子モジュール32内に作られた対応開口に係合するために設けられた接続(連結、結合)ピンまたはセンタリングピンを示している。
【0084】
本発明は、設定された目的を満たし(満足させ)、それにより、周知の解決策に関して前述の利点を達成する。
【0085】
1つの主要な利点は、本発明のメガネにより、フレーム内に一体化されたバイオセンサを、顔との局所的な電気的接触に関してより効率的かつ信頼できるようにすることを可能にし、それによって、メガネと頭部との間の物理的な接触に関して理にかなった快適さ(心地良さ)と嵌め合い適合性とを確保することである。