(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】粉末層3次元プリンタ向け改良型微粉末分配システムおよび集塵システムならびに関連する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/205 20170101AFI20221021BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20221021BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20221021BHJP
B29C 64/329 20170101ALI20221021BHJP
B22F 12/50 20210101ALI20221021BHJP
B22F 12/70 20210101ALI20221021BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20221021BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20221021BHJP
【FI】
B29C64/205
B29C64/153
B29C64/255
B29C64/329
B22F12/50
B22F12/70
B28B1/30
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2019568228
(86)(22)【出願日】2018-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018036803
(87)【国際公開番号】W WO2018231664
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516046581
【氏名又は名称】ザ エクスワン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス、ローレンス、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ボルト、ジョゼフ、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】デュガン、アンソニー、エス
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ、マイケル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーナマー、ダニエル、ティ
(72)【発明者】
【氏名】インクス、トラビス、マクスウェル
(72)【発明者】
【氏名】クノル、ポール、ピー
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/196149(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066190(US,A1)
【文献】米国特許第06283302(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266211(US,A1)
【文献】米国特許第09486962(US,B1)
【文献】国際公開第2008/028443(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B22F 10/00-12/90
B28B 1/30
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の片面および第2の片面を有し、さらに複数の貫通孔(126)を有するシートスクリーン(28)と、当該シートスクリーン(28)を振動させるように適合された超音波振動子(30)と、当該シートスクリーン(28)の当該第1の片面に造形粉末を提供するように適合されたホッパー(26)とを具備する
リコータ(20)を含む粉末層3次元プリンタ(2)であって、当該超音波振動子(30)が当該シートスクリーン(28)を振動させる際に、当該ホッパー(26)からの当該造形粉末が当該貫通孔(126)を介して当該シートスクリーンの当該第2の片面から分配され
、前記シートスクリーン(28)の前記貫通孔(126)のサイズ、形状および分布のうちの少なくとも1つを変化させることにより、かかる変化がなかった場合に振動の局所的ばらつきのために造形粉末が不均一に分配される前記リコータ(20)の癖を減らすことを特徴とする粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項2】
前記超音波振動子(30)が前記シートスクリーン(28)を振動させる際に、前記ホッパー(26)からの前記造形粉末は造形粉末ペレット(112)として前記貫通孔(126)を介して前記シートスクリーンの前記第2の片面から分配される、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項3】
前記ホッパー(26)は前記シートスクリーンの前記第1の片面へ前記造形粉末の質量流を与えるように適合されている、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項4】
前記ホッパー(26)は前記シートスクリーン(28)に近接する下部(60)および上部(58)から成り、当該下部(60)と当該上部(58)は相互に連結して連続的な貯蔵器を構成する、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項5】
さらにシートスクリーンホルダー(78、110)を具備し、当該シートスクリーンホルダー(78、110)は第1の片面、第2の片面、および当該第1の片面と当該第2の片面を貫通する開口を有し、前記シートスクリーン(28)の前記貫通孔(126)の少なくとも一部が当該開口と流体連通するように前記シートスクリーン(28)が当該シートスクリーンホルダー(78、110)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1の粉末層3次元プリンタ(
2)。
【請求項6】
前記シートスクリーン(28)は接着剤によって前記シートスクリーンホルダー(78、110)に接合されている、請求項5の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項7】
前記シートスクリーンの前記第2の片面は水平に対して20度乃至70度の範囲の角度を成すように配置されている、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項8】
前記超音波振動子(30)は、水平成分および垂直成分を有する振動を前記シートスクリーン(28)に与えることができるように水平と或る角度を成して配置されている、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項9】
前記超音波振動子(30)はその作動時に或る振動数範囲を掃引するように適合されている、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項10】
前記貫通孔(126)のうちの少なくとも1つの孔が少なくとも1つの歯(154)を含む形状である、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項11】
前記ホッパー(26)に振動を与えるように適合された低周波振動装置(32)をさらに具備する、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項12】
前記超音波振動子(30)および前記低周波振動装置(32)と作動的に通信し、前記超音波振動子(30)および前記低周波振動装置(32)を同時におよび/または非同時に作動させるように適合された振動制御器(262)をさらに具備する、請求項
11の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項13】
前記リコータ(20)を運ぶように適合されたトロリー(22)をさらに具備する、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項14】
前記リコータ(20)は平滑化装置(34)、乾燥装置(36)および硬化装置のうちの少なくとも1つをさらに具備する、請求項1の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項15】
第1の片面および第2の片面を有し、さらに複数の貫通孔(126)を有するシートスクリーン(28)と、当該シートスクリーン(28)を振動させるように適合された超音波振動子(30)と、当該シートスクリーン(28)の当該第1の片面に造形粉末を提供するように適合されたホッパー(26)とを具備するリコータ(20)を含む粉末層3次元プリンタ(2)であって、当該超音波振動子(30)が当該シートスクリーン(28)を振動させる際に、当該ホッパー(26)からの当該造形粉末が当該貫通孔(126)を介して当該シートスクリーンの当該第2の片面から分配され、
当該粉末層3次元プリンタ(2)は、気体雰囲気の空間を密閉するハウジング(164)と、当該空間を上部セクションと下部セクションとに分ける水平に配置されたデッキ(170)と、当該デッキ(170)の近傍に配置され、当該空間の当該上部セクションの少なくとも一部を占める造形ボックス(172)と、当該造形ボックス(172)を取り囲むように配置され、当該空間の当該上部セクションと当該下部セクションとを流体連通させる、当該デッキ(170)を貫通する複数の流路(176)と、当該空間の当該下部セクションに配置された、当該流路(176)と流体連通関係にあるプレナム(178)と、当該プレナム(178)と流体連通関係にある排気ダクト(180)と、どちらもが当該排気ダクト(180)と流体連通関係にある制御可能な真空源(192)およびフィルタ(188)を含む当該ハウジング(164)の外部に配置された集塵器(186)とをさらに具備
し、当該真空源(192)の作動時に当該空間の当該上部セクションの当該気体雰囲気の少なくとも一部の気体が当該流路(176)および当該フィルタ(188)を介して引き出されることを特徴とする
、粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項16】
前記造形ボックス(172)を取り囲むシュラウド(208)をさらに具備し、前記造形ボックス(172)と当該シュラウド(208)の間に、前記空間の前記上部セクションと前記流路(176)とを流体連通させる環状部(212)が形成されていることを特徴とする、請求項
15の粉末層3次元プリンタ(2)。
【請求項17】
前記ハウジング(164)は、前記空間の前記上部セクションの気体雰囲気と前記ハウジング(164)外部の雰囲気とを流体連通させる少なくとも1つの通気口(206A)を有することを特徴とする、請求項
15の粉末層3次元プリンタ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末層3次元プリンタおよび当該プリンタによって物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、さまざまな種類の3次元プリンタがある。3次元プリンタとは、1つ以上の材料を系統的に積み重ねることにより、3次元の物品の電子的表現を物品それ自体に変換する装置である。本発明の装置は、順次積み重ねられた粉末層の予め選択された領域を選択的に結合させることにより3次元の物品を作り出す種類の3次元プリンタに特に有用である。このような種類の3次元プリンタは、3次元物品を構築するために造形材料として粉末の層を用いるので、本明細書では「粉末層3次元プリンタ」と呼ぶことにする。このような粉末をベースとする3次元プリンタの例として、結合剤噴射3次元プリンタ、選択的焼結3次元プリンタおよび電子ビーム溶融3次元プリンタが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0003】
「粉末」という用語は、当技術分野では「粒子状物質」または「粒子」と呼ばれることもあると理解されたい。「粉末」という用語は、本明細書では、どのような名称であれ、3次元プリンタで層形成材料として使われるあらゆる材料を意味するものと解釈されるべきである。粉末は、粉末の形態にできる物質であれば、例えば金属、プラスチック、セラミックス、炭素、黒鉛、複合材料、鉱物およびこれらの組み合わせなど、いかなる種類のもので構成してもよい。本明細書で使用する「造形粉末」という用語は、粉末層を形成するために用いられる粉末であって、粉末層3次元プリンタで物品を構築するための材料となる粉末を意味する。
【0004】
粉末層3次元プリンタの動作中、造形粉末の第1の層は垂直方向に割り出しできる造形プラットフォームの上に堆積し、次いで、第1の粉末層の上に後続の粉末層が一度に1層ずつ堆積していく。あるいは、造形プラットフォームを定置させ、粉末堆積・像付与機器を上方に割り送る。選択された粉末層の選択部分が互いに結合するように処理されることにより、3次元物品が形成される。堆積した粉末層のうち互いに結合していない部分を、本明細書では「粉末床」と総称する。
【0005】
一部の粉末層3次元プリンタでは、まず、貯蔵部内で粉末を支持するプラットフォームを所定量だけ上方に割り送ることによって貯蔵部壁の上方に所定量の粉末を上昇させ、次に、当該プラットフォームまたは粉末床の上面全体に当該所定量の粉末を押し出し、上部が開いた定置式の粉末貯留部から所定量の造形粉末を移送することにより、各粉末層を形成する。一部の粉末層3次元プリンタは、移動式の粉末ディスペンサによって造形プラットフォームまたは既存の粉末床の上に各粉末層を堆積させるが、当該ディスペンサは、粉末層の最上部を平坦にするように適合された装置を含むことも含まないこともある。
【0006】
粉末層の形成プロセスを当技術分野では「リコーティング」と呼ぶことがあり、本明細書ではその呼称を用いる。リコーティングを行う特定の粉末層3次元プリンタの装置またはそのような複数の装置の組合せを当技術分野では「リコータ」と呼ぶことがあり、本明細書ではその呼称を用いる。
【0007】
当技術分野に今日存在するリコータは所期の目的達成に概して有効であるが、当技術分野では、特に造形微粉末(平均粒径(d50)が20ミクロン未満の造形粉末)に関して、粉末層の均一性が一貫して良好であるリコータを開発する必要性が残っている。先行技術に精通した人であれば、粉末層3次元プリンタにおける微粉末の使用の改良が、本願の出願人が権利を有する以下の特許公報で教示されていることを思い起こすであろう。すなわち、「Powder Recoater for Three-Dimensional Printer」と題するWO2016/176432A1、「Selectively Activated Mesh Discharge PowderRecoater for Three-Dimensional Printing」と題するWO2017/040521A1、およびいずれも「Fine Powder Recoater for Three-Dimensional Printer」と題するWO2017/040521A1およびUS9,486,962B1である。本願の発明は、当技術分野におけるさらなる改良を開示する。
【0008】
造形微粉末の使用に関する2つの一般的な問題は、(a)印刷ベッドの全体にわたり均一な層を形成する難しさと、(b)造形ベッドへの堆積時に微粉末が「プルーム」状になる(すなわち、微弱な通風によって微粉末が浮遊し、3次元プリンタの他の領域へ運ばれる)性質である。当業者であれば、造形物の表面形状の解像度を精細にするために層を極力薄くする場合、造形微粉末によって均一な層を形成することがとりわけ難しくなることを理解するであろう。また当業者であれば、機器の動作や移動、ファン、温度勾配、意図的な気流、さらには造形粉末の造形ベッドへの衝突によってさえも、造形領域にプルームを引き起こす通風が生じうることを理解するであろう。前者の問題はあらゆる種類の粉末層3次元プリンタに存在するが、後者の問題は、造形領域が真空もしくは真空に近い状態に保たれる粉末層3次元プリンタ(例えば電子ビーム溶融3次元プリンタ)においては存在しないか、存在しても軽度である。
【0009】
粉末層3次元プリンタの粉末床形成における別の固有の問題は、粉末床の縦横方向における粉末分配の不均一性を補償するのに必要な多量の過剰粉末(この用語の定義は後述する)である。微粉末を使用する場合、より小さい粉末サイズでより薄い層を用いる傾向があるので、不均一性と過剰粉末の問題が増大する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、粉末層3次元プリンタにおける3次元印刷造形微粉末のための装置および方法であって、前述の問題のうちの1つ以上に対して改良された解決策を提供する装置および方法を含む。
【0011】
本発明の少なくとも一部の実施態様において、粉末層3次元プリンタのリコータは、造形粉末を造形ベッドに分配する際に造形粉末をペレット化する。参照の便宜上、この結果形成されるペレットを本明細書では「造形粉末ペレット」と呼ぶことにする。これらの実施態様では、シートスクリーン(この用語の定義は後述する)に超音波振動を与えることにより、造形粉末がシートスクリーンを通り抜ける際に粉末をペレット化し、造形粉末ペレットを形成する。ペレット化されるによって、造形粉末ペレットの造形微粉末が落下中にまたは造形ベッドに衝突する際に空気(または他の気体)の流れに捕捉されることがおおむねなくなるため、微粉末の分配に通常伴うプルームの発生量が大幅に減る。
【0012】
本発明の少なくとも一部の実施態様において、粉末層3次元プリンタのリコータは造形粉末を粉末床の全体にわたってより均一に分配するので、過剰粉末(この用語の定義は後述する)の使用量を減らすことができる。
【0013】
本発明は、粉末層3次元プリンタの造形ボックス近傍の気体雰囲気中に浮遊する造形粉末粒子を捕集する装置を有する粉末層3次元プリンタを提供する。
【0014】
本発明のリコータは、シートスクリーン(この用語の定義は後述する)の上側に造形粉末を提供するように適合された造形粉末ホッパーを含む。リコータはまた、約20,000Hz以上の振動数(すなわち超音波領域)でシートスクリーンを振動させるように適合された1つ以上の超音波振動子を含む。一部の実施態様において、リコータは、ホッパーからシートスクリーンへの造形粉末の流れを促進するように適合された低振動数(すなわち可聴周波数)振動装置も含む。
【0015】
本発明の一部のリコータは、確実で均一な分配のために必要な最小分配率(この用語の定義は後述する)が、従来のリコータに比べて低い。例えば、一部の従来型リコータは最小分配率の上限が400%以上であるのに対し、本発明の一部のリコータの実施態様の場合は200%である。これにより、造形ボックスの、または造形ボックスに関連する回収シュートをあふれさせることなく、造形ボックスの深さいっぱいに造形することが可能になる。
【0016】
好ましいリコータの実施態様がモジュール式設計であることにより、さまざまな粒径分布、密度および流動特性を有する粉末を受け入れられるようにシートスクリーンを変えることができる。
【0017】
本発明の一部の実施態様は、造形ボックスの外縁付近で局所的に集塵する。発生源またはその近くで集塵することにより、機械作動領域での微粒子の分散が有意に減り、機械の汚染を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の特徴および利点の重要度を、添付の図面を参照して以下により詳しく説明する。ただし、添付の図面は説明目的のためにのみ作成されており、本発明の範囲を規定するものではないことを理解されたい。
【0019】
【
図1】ExOne社がInnovent(登録商標)という商標の下で製造した先行技術の結合剤噴射3次元プリンタの斜視図である。
【0020】
【
図2】
図1に示す先行技術の結合剤噴射3次元プリンタの造形領域部分の概略平面図である。
【0021】
【
図3】支持トロリーに据え付けられたリコータの第1の実施態様の側面斜視図である。
【0022】
【0023】
【
図5】
図3に示すリコータの線5-5に沿って切断した概略側面断面図である。
【0024】
【
図6】
図7に示すリコータのスクリーンホルダーおよびシートスクリーンの上側の斜視図である。
【0025】
【
図7】支持トロリーに据え付けられたリコータの第2の実施態様の側面斜視図である。
【0026】
【
図8】
図7に示すリコータの支持トロリーから切り離された部分の下面斜視図である。
【0027】
【
図9】
図7に示すリコータの支持トロリーから切り離された部分の側面斜視図である。
【0028】
【
図10】
図9に示すリコータの線10-10に沿って切断した側面断面斜視図である。
【0029】
【
図11】リコータの第3の実施態様の側面斜視図である。
【0030】
【
図12】
図11に示すリコータの線12-12に沿って切断した側面断面図である。
【0031】
【
図13】リコータの第4の実施態様の側面斜視図である。
【0032】
【
図14】或る実施態様の作動時に超音波振動子に駆動されて造形粉末がシートスクリーンの孔を通過することによって複数の造形粉末ペレットが形成される様子を示す写真である。
【0033】
図15A~15Cは、機械式システムの癖を相殺してベッドの全幅にわたってより均一な分配を実現するために使用できる孔のサイズ、分布および形状の可能な変形例を示す。
【0034】
【
図15A】シートスクリーンの第1の実施態様の上部平面図である。
【0035】
【
図15B】シートスクリーンの第2の実施態様の上部平面図である。
【0036】
【
図15C】シートスクリーンの第3の実施態様の上部平面図である。
【0037】
【
図16A】ステンレス鋼シートの概略平面図であり、当該シートから打ち抜かれる多数のシートスクリーンの配置を示している。貫通孔パターンは、図に示しているものと示していないものがある。A~Jの文字で示す貫通孔パターンは、
図16B、16Cに示す文字に対応する。
【0038】
【0039】
【0040】
【
図17】集塵システムの第1の実施態様の概略側面断面図である。
【0041】
【
図18】集塵システムの第2の実施態様の概略側面断面図である。
【0042】
図19~23は、Innovent(登録商標)粉末層3次元プリンタに据え付けられた実際の集塵システムの実施態様の各部の写真である。
【0043】
【
図19】造形ボックスやシュラウドが設置されていないデッキの上側の写真である。
【0044】
【
図20】造形ボックスとシュラウドが設置された
図19に示すデッキの上側の写真である。
【0045】
【
図21】粉末層3次元プリンタのハウジング内部のデッキより下の部分の写真である。上向きにデッキの底を見たものである。
【0046】
【
図22】粉末層3次元プリンタのハウジング外側に排気口が取り付けられた部分の写真である。
【0047】
【
図23】外部ダクトが接続された外部集塵器の写真である。
【0048】
【
図24】振動制御システムの一実施態様を示す概略図である。
【0049】
図25A~25Fは、いくつかの実施態様の好ましい孔のプロファイルを示す、いくつかのシートスクリーンの概略側面断面図である。
【0050】
【
図25A】側壁が直立した孔を有する第1のシートスクリーンの図である。
【0051】
【
図25B】孔のほぼ中間の高さで会合する上部斜面および下部斜面から成る側壁を有する孔を持つ第2のシートスクリーンの図である。
【0052】
【
図25C】上部斜面、直立する壁区間、および下部斜面から構成される側壁を有する孔を持つ第3のシートスクリーンの図である。
【0053】
【
図25D】孔の中間の高さより下方で会合する上部斜面および下部斜面から成る側壁を有する孔を持つ第4のシートスクリーンの図である。
【0054】
【
図25E】孔の中間の高さより上方で会合する上部斜面および下部斜面から成る側壁を有する孔を持つ第5のシートスクリーンの図である。
【0055】
【
図25F】孔の最上部から最下部に向かって連続的に内側に傾斜する側壁を有する孔を持つ第6のシートスクリーンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本セクションでは、本発明の好ましい実施態様のいくつかを、当業者が過度な実験を行うことなく本発明を実施できるよう十分詳細に示す。ただし、本セクションに記載された限られた数の好ましい実施態様は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を何ら制限するものではないことを理解されたい。
【0057】
本セクションまたは本明細書の他のいずれかの部分に値の範囲が記載される場合、当該範囲は常に、両端点とその間にあるすべての点をあたかもそれらが明示的に記載されているかのように含むことを理解されたい。他に明記しない限り、本明細書で使用する用語「約」および「実質的に」は、その「約」および「実質的に」という語が修飾する値または状態に関連する通常の計測限度および/または製造限度を意味するものとして解釈されたい。特に断りのない限り、本明細書で使用する「実施態様」という用語は、本発明の実施態様を意味する。いずれかの実施態様に関する特定の特徴を説明する場合は常に、実施可能な限り、かかる特徴を、本明細書で教示する他の任意の実施態様に関して説明する任意の特徴と組み合わせることは本発明の範囲内であると理解されたい。
【0058】
背景技術のセクションで前述したように、粉末層3次元プリンタで造形微粉末を使用する技術に関する問題には、均一な層を形成することと、過剰粉末(この用語の定義は後述する)およびプルーム発生量を減らすことの難しさが含まれる。本発明の2つの重要な局面(それぞれ単独でまたは両者を組み合わせて用いることができる)のそれぞれは、これらの問題のうちの1つ以上に対処するものである。この2つの局面とは、改良型リコータおよび改良型プルーム捕集システムである。これらの局面について以下で論じる。
【0059】
記述を簡潔にするため、本発明の改良型リコータおよび改良型プルーム捕集システムは、以下において、結合剤噴射3次元印刷と併せて説明することがある。ただし、本発明のリコータは、あらゆる種類の粉末層3次元プリンタに使用でき、本発明のプルーム捕集システムは、気体雰囲気中で3次元印刷が行われるあらゆる種類の粉末層3次元プリンタに使用できることを理解されたい。
【0060】
結合剤噴射3次元プリンタの一例を
図1、2に示す。
図1に示すのは、先行技術の粉末層3次元プリンタ2の斜視図である。これは、米国ペンシルバニア州ノースハンティンドンのExOne社が、Innovent(登録商標)という商標の下で製造した結合剤噴射3次元プリンタである。プリンタ2は、密閉された印刷ステーション4と、当該印刷ステーション4に接続されたタッチスクリーン入力制御ステーション6とを具備する。
図2は、印刷ステーション4の造形領域8の概略平面図である。造形領域8の中には、リコータ10、造形ボックス12、およびプリントヘッド14という形態の像形成装置が設置される。造形ボックス10は、垂直方向に割り出し可能なプラットフォーム(図示せず)を備え、当該プラットフォームの上に造形粉末層が堆積して形成される印刷ベッドの中で、1つ以上の所望の3次元物品を造形することができる。リコータ10は、造形ボックス12の上を制御可能に移動し、印刷ベッドの上に個々の造形粉末層を制御可能に堆積させるように適合されている。プリントヘッド14は、造形ボックス12の上を制御可能に移動し、粉末層の事前に選んだ部分に結合剤をインクジェット式に印刷することによって、造形対象の3次元物品の2次元薄切り像を、印刷ベッドの上に載る粉末層に対し選択的に付与するように適合されている。粉末層の形成後に像を付与するシーケンスが、物品が形成されるまで繰り返される。選択的焼結3次元プリンタおよび電子ビーム溶融3次元プリンタにおける造形領域および物品造形シーケンスは似ており、像形成装置として、前者の場合はプリントヘッド14の代わりにレーザーシステムを用い、後者の場合はプリントヘッド14の代わりに電子ビームシステムを用いる。
改良型リコータ
【0061】
本発明は、改良された体積制御および均一な堆積を達成するために、超音波振動(20kHz以上、好ましくは20kHz~100kHz、より好ましくは30kHz~80kHz)および多孔シートスクリーンを使用した改良型分配システムを具備する改良型リコータを提供する。参照の便宜上、「シートスクリーン」という用語は、シート材料から作られた多孔スクリーンを意味するものと定義する。孔の貫通は、フォトエッチングまたはレーザーミリングによって行うのが好ましいが、任意の機械加工法を用いることができる。リコータはまた、小径ローラおよびオーバーヘッド型の乾燥または硬化装置を具備することがある。ただし、他の層平滑化装置(例えば大径ローラおよび/またはドクターブレード)や他の乾燥または硬化装置を使用したり、平滑化装置、乾燥装置および硬化装置のうちの1つ以上を除外したりするのは、本発明の範囲内である。リコータの好ましい実施態様はモジュール性があるため、供給ホッパー、分配スロットの寸法形状(幅と角度)、およびシートスクリーンの孔の構成(サイズ、形状、分布および開口率)を変更するのが比較的容易である。
【0062】
図3~5は、造形微粉末を均一に堆積させるのに適したリコータの第1の実施態様であるリコータ20を示す。図に示すリコータ20は、デッキ24を具備する支持トロリー22に据え付けられた状態にある。
図3は、リコータ20の側面斜視図である。
図4は、リコータ20の下面斜視図である。
図5は、
図3に示すリコータ20の線5-5に沿って切断した概略側面断面図である。
図3~5においてリコータ20は、造形粉末供給ホッパー26、シートスクリーン28、超音波振動子30および低周波振動装置32を含む。リコータ20はまた、小径ローラ34の形態をとる平滑化装置および輻射加熱器36の形態をとる乾燥装置を含み、両者ともトロリー22のデッキ25に個別に据え付けられる。
【0063】
図6~10は、第2のリコータの実施態様であるリコータ40を示す。
図6は、リコータ40のシートスクリーン42および支持スクリーンホルダー44の上側(粉末受領側)の斜視図である。スクリーンホルダー44は、造形粉末をシートスクリーン42に差し向けるための随意的な斜面46を有することに留意されたい。この斜面46はまた、かかる斜面が存在しないあまり好ましくない実施態様の場合のように、スクリーンホルダー44とシートスクリーン42の接合部周縁が直角になったり、隅の不感部に造形粉末が集まったりすることを防ぐ。シートスクリーン42の長さ(スパン)Sと幅Wも図示してある。本明細書でシートスクリーンに関して使用する「長さ」という用語は、シートスクリーン42のうち、造形粉末を分配するために開かれた部分のリコータの移動方向の寸法を表し、「幅」という用語は、当該開かれた部分のリコータの移動方向に対して垂直な方向の寸法を表す。
【0064】
図7は、トロリー48に据え付けられたリコータ40の側面斜視図である。
図8は、リコータ40の一部の下面斜視図である。
図9は、リコータ40の一部の側面斜視図である。
図10は、
図9に示すリコータ40の一部の線10-10に沿って切断した断面斜視図である。
【0065】
図6~10に示すリコータ40は、すでに説明したシートスクリーン42および支持スクリーンホルダー44のほかに、造形粉末供給ホッパー50および超音波振動子52も含む。さらには、反転ローラアセンブリ54の形態をとる平滑化装置および輻射加熱器56の形態をとる乾燥ユニットも含み、両者ともトロリー48に個別に据え付けられている。リコータ40は複数の防振台62を介してトロリー48に据え付けられていることに留意されたい。
【0066】
ホッパー50は、造形粉末貯蔵部58および遷移部60を具備する。スクリーンホルダー44は、遷移部60の底部に取り付けられている。貯蔵部58および遷移部60のうちの少なくとも1つは、シートスクリーン42から出る造形粉末が質量流となるように設計されているのが好ましい。ホッパー50は、印刷動作時にホッパーへの粉末補給を要さずに粉末床を十分に充填できる量の造形粉末を収容できるサイズであるのが好ましい。その際に勘案する事項として(a)粉末分配時にシートスクリーン42から制御可能な均一な分配がなされるように、シートスクリーン42の上方のホッパー50に所定量の粉末を保持すること(「保持粉末」)と、(b)「過剰粉末」の量、すなわち、完全な層を確実に形成するように分配されて造形ボックスを所望のレベルまで充填させるのに必要な量を超える粉末量(当該過剰粉末は、分配された層から平滑化装置によって分離され、再利用のため捕集構造内に分流されるのが好ましい)がある。3次元印刷動作時に造形ボックス内に保持すべき粉末量の百分率で表される過剰粉末の量は、好ましくは約10%~300%の範囲、より好ましくは約10%~200%の範囲、さらにより好ましくは約10%~100%の範囲である。過剰粉末の量は、この文脈で「rate」という語を用いるのは不正確ではあるけれども、当技術分野で「最小分配率」(minimum dispensing rate)と呼ばれることがある。
【0067】
図11~12は、第3のリコータの実施態様であるリコータ70を示す。
図11は、リコータ70の側面斜視図である。
図12は、
図11に示すリコータ70の線12-12に沿って切断した断面図である。リコータ70は、造形粉末貯蔵部74と、シートスクリーンおよびホルダーの複合体78が取り付けられた遷移部76とを含む造形粉末ホッパー72を具備する。リコータ70は、第1の超音波振動子80および第2の超音波振動子82という2つの超音波振動子を含むことに留意されたい。第1および第2の超音波振動子80、82は、互いに同じものであっても異なってもよい。両者は、同時に、交互に、重複的に、または単独で作動させてよい。第1および第2の超音波振動子80、82の振動特性は、互いに同じでも異なってもよい。そのような振動特性には、とりわけ、振動振幅、振動数、振動数範囲、振動数範囲変動サイクル、およびデューティサイクルが含まれる。
【0068】
本発明のホッパーは、先に図示したものとは異なる構成であってもよいことを理解されたい。一部の実施態様では、スクリーンが水平に対して約20~70度の範囲、より好ましくは約30~50度の範囲の角度をなすように遷移部が適合されている。
図13は、そのようなリコータの実施態様であるリコータ100を示す。リコータ100は、造形粉末供給ホッパー102および超音波振動子104を具備する。ホッパー102は、造形粉末貯蔵部106と、シートスクリーンおよびホルダーの複合体110が水平と或る角度を成して取り付けられた遷移部108とを具備する。
【0069】
また、本発明の一部の実施態様では、超音波振動子が先に図示したものとは異なる態様で配置されている。超音波振動子が水平に配置される場合、水平と任意の角度を成して配置される場合、リコータの移動方向と任意の角度を成して配置される場合、またはそれらの組み合わせは、本発明の範囲内である。超音波振動子は、いずれもリコータの移動方向に平行な面内の、水平成分と垂直成分を有する振動をシートスクリーンに与えるように配置されるのが好ましい。また、振動の水平成分と垂直成分の大きさは、好ましくは互いの約50%以内であり、より好ましくは互いの約20%以内である。
【0070】
本発明の造形粉末分配システム、すなわちリコータは、3次元印刷プロセスの際に粉末床に分配する必要のある粉末の量を有意に減らす。このようなシステムを用いて、分配する必要のある粉末の最大量を、粉末床に含まれることになる造形粉末の量の2倍(200%、すなわち過剰粉末量は100%)以下にするのが好ましい。例えば、或る層が2.0グラムの造形粉末を必要とする場合、確実に層が形成されるように分配する必要がある量は4グラム以下である。これに対し、従来のシステムは、粉末床に含まれることになる粉末量の4倍(400%、すなわち過剰粉末量は300%)以上の量を分配する必要があった。本発明のリコータは、粉末層3次元プリンタによって物品を造形する際に造形ボックスの周りの過剰粉末回収シュートがあふれるのを防ぐことができる。
【0071】
粉末供給ホッパーは、3次元印刷動作時にホッパーに造形粉末を補給する必要や、ホッパーに造形粉末を補給するために3次元印刷動作を停止する必要がないように、十分な造形粉末を保持するように設計されているのが好ましい。場合によっては、ホッパーは、200%の最小分配率で完全な造形を行ううえで十分な量の造形粉末(すなわち各層に分配する必要のある造形粉末量の2倍)に加えて、シートスクリーンを介して造形粉末を制御可能に分配するために必要な保持粉末の量を保持する。なお、粉末供給ホッパーは本段落内で前述したよりも少量の粉末を保持し、粉末層3次元印刷による物品製造プロセスの動作時に粉末供給ホッパーに造形粉末を補給するようにしてもよいことを理解されたい。
【0072】
リコータの実施態様は、シートスクリーンの孔を介して造形粉末を移動させるために、超音波振動子(当技術分野では「超音波圧電変換器」または「超音波振動装置」とも呼ばれる)を使用する。超音波振動システムを可聴周波数機械式振動システムによって増強してもよい。
【0073】
本明細書で使用する「超音波振動子」という用語は、超音波振動を発生させる電子装置に加えて、電子回路の支持構造物、接続部(当技術分野では「ホーン」とも呼ばれる)、および電子装置を作動させるための制御システムを含むものと理解されたい。超音波振動子は、実質的に一定の振動数を出力するタイプ、或る振動数範囲を周期的に掃引するタイプ、または或る周波数範囲の周波数を他の態様で利用するタイプのものを選ぶことができる。例えば、d50粒径が9ミクロンの球状のアロイ316ステンレス鋼粉末に対して約34kHz~37kHzの振動数範囲を掃引するタイプの超音波振動子を選ぶと、粉末の流れが予想外に均一になることから特に効果的であることがわかっている。制約を意図するものではないが、或る振動数範囲を掃引することが、超音波に関連する節と腹の位置を移動させることにより、ホッパー内で造形粉末のブリッジが形成されたときにブリッジを解消することに役立ち、或いは一定の振動数を与えた場合に形成されるようなブリッジの発生をそもそも防止すると推測される。
【0074】
超音波振動は、一定のまたは変化する振幅で与えることができる。
【0075】
一部の実施態様において、超音波振動子は、シートスクリーンを介した造形粉末流量の所望レベルまたはその一貫性を達成するために、出力振動の振動数と振幅のうちの少なくとも1つを調整するための一時的または周期的な自動同調を組み入れた電子回路を具備する。
【0076】
シートスクリーンを介した造形粉末の流れを開始および継続するために超音波振動を用いることの予想外の利点として、振動によってスクリーンの孔の中で粉末同士が緩く密集するため、造形粉末は丸太のような形状で孔から押し出され、その底部が重力および/または振動によって多数の造形粉末粒子を含むペレット状に裂けて粉末床の上に落下するが、その際の衝突でペレットは割れたり割れなかったりする。これが、先に定義した造形粉末ペレットである。この予想外の密集によって、造形粉末ペレットの微粉末が粉末床に落下する際に空気(または他の気体)の流れに捕捉されることがおおむねなくなるため、微粉末の分配に通常伴うプルームの発生量が大幅に減る。
図14は、超音波振動子に駆動されて造形粉末がシートスクリーン116の孔(例えば孔114)を通過することによって複数の造形粉末ペレット112が形成される様子を示す写真である。この図に見えるボルトヘッド118は、シートスクリーン116をフレームおよびリコータの残りの部分に取り付けるためのボルト118のヘッドである。シートスクリーン116の縁付近の一部の孔(例えば孔114)は金属造形粉末に曝されないようにマスクされているため、その孔からは造形粉末ペレットが流出しないことに留意されたい。また、この写真で一部の造形粉末ペレット112がぼやけているのは、撮影時に、孔から出たペレットがカメラの焦点領域から外れていったためである。
【0077】
改良型造形微粉末リコータの実施態様は、シートスクリーンの貫通孔を介して造形粉末を移動させるための超音波振動子を少なくとも1つ含む。以下で説明するように、一部の実施態様において、超音波振動システムは低周波振動システムによって補強される。
【0078】
シートスクリーンは、用途に応じて、振動応答性と耐久性を有し、腐食、レーザービームまたは他の方法で孔が開けられる任意の材料で作ることができる。シートスクリーンは、好ましくはステンレス鋼製であり、より好ましくは非磁性オーステナイト系ステンレス鋼製である。シートスクリーンの厚さは、約0.1127mm(0.0005インチ)から約0.762mm(0.030インチ)の間とすることができ、より好ましくは、約0.0254mm(0.001インチ)から0.2032mm(0.008インチ)の間である。シートスクリーンを使用することにより、造形粉末の分配量をより厳密に制御でき、造形ベッド全体にわたり均一に分配できる。シートスクリーンの重要な特徴には、孔のサイズ、形状および分布のほかに、スクリーン全体の開口率、ならびに孔の間(すなわち「ランド領域」)のシートの形状およびサイズが含まれる。ランド領域の例を
図15Aに示し、以下で説明する。
【0079】
スクリーンの表面全体にわたってサイズおよび形状が同じである孔が均一に分布するシートスクリーンを使用してもよいが、孔のサイズ、孔の形状、孔の分布、スクリーンの開口領域およびランド領域のうちの1つ以上を、スクリーンの幅方向で一部の領域に他の領域より多くの粉末を分配するリコータの機械システムの癖を相殺するように構成するのが好ましい。そのような癖は、シートスクリーンの代わりに均一なふるいを用いて突き止められるが、とりわけ局所的な共鳴および剛性の差異に起因するものである。参照の便宜上、そのような機械的な癖を「振動の局所的ばらつき」と呼ぶことにする。
図15A~15Cに例示するシートスクリーンの孔のパターンは、振動の局所的ばらつきを相殺してベッドの幅方向により均一に粉末を分配するために使用できる孔のサイズ、分布および形状の可能な変形例である。
【0080】
好ましくは、狭い分配スロットで粉末をシートスクリーンに供給することにより、ディスペンサからの粉末の流量を制限し、粉末の分配量を制御する。シートスクリーンの幅(
図6の寸法Wを参照)は、1回の行程のみで済むように、造形ボックスの充填領域の全幅にわたるのが好ましい。しかし、一部の実施態様では、シートスクリーンの幅はそれより小さいため、造形ボックスの充填領域を完全にカバーするには複数回の行程が必要である。シートスクリーンの長さ(
図6の寸法Sを参照)は、リコータホッパー内での造形粉末のブリッジ形成を防ぐために、必要最小限にするのが好ましい。長さを大きめにすることも可能であるが、長さを最小限にすることによって、リコータからシートスクリーンを介して分配される造形粉末の量を制御しやすくなる。
【0081】
図15Aおよび15Bは、シートスクリーンの実施態様の概略上部平面図であり、それぞれ、リコータの実施態様で使用される第1のシートスクリーン120および第2のシートスクリーン122を示す。ここで、振動の局所的ばらつきのために、従来型スクリーンを通したならば粉末の分配量はベッドの幅方向で変化し、分配量は中心部で多く、縁辺部で少なくなる。第1および第2のシートスクリーン120、122はともに円形の孔を有する。第1のシートスクリーン120の孔の直径は変化し、中心部で小さく(例えば第1の中心部の孔124)、外縁部で大きい(例えば第1の縁辺部の孔126)。また、これらの孔に隣接するランド領域(例えば第1のランド領域128)は、隣接する孔のサイズに応じて変わる。第2のシートスクリーン122の孔(例えば第2の中心部の孔130および第2の縁辺部の孔132)はいずれも同じサイズであるが、隣接するランド領域(例えば第2のランド領域134)は、シートスクリーンの中心部で大きく、縁辺部で小さい。
【0082】
図15Cに示すのは、正方形および長方形の孔(例えばそれぞれ第3の中心部の孔138および中間部の孔140)を有する第3のシートスクリーン136の概略上部平面図である。第3のシートスクリーン136は、振動の局所的ばらつきのために、従来型スクリーンを通したならば粉末の分配量がベッド幅方向で変化し、分配量が中心部および外縁部で多く、中間部で少なくなるようなリコータで使用するために設計されている。図に示すように、振動の局所的ばらつきによって従来型スクリーンでは分配される粉末量が減る領域で、相対的に開口が大きくなるように孔の形状が変えられている。例えば、第3の中心部の孔138と第3の中間部の孔140を比較するとよい。
【0083】
図16Aは、複数のシートスクリーン(例えばパターンAのシートスクリーン152)の配置を示すステンレス鋼シート150の概略平面図である。これらのシートスクリーンは、シート150から打ち抜かれる。貫通孔パターンは、図示してあるもの(パターンA~J)と図示してないものがある。貫通孔パターンA~Jの図解を
図16B、16Cに示す。これらの図中で、ブラケットのない寸法はミリメートル単位、ブラケットで囲われた寸法はインチ単位である。パターンA~Jは、さまざまな孔の形状、組み合わせおよび配列を含んでいる。説明を容易にするために、パターンA~Jのそれぞれには単一形状の孔のみが含まれているが、単一のシートスクリーンに複数の異なる形状の孔が含まれることは本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0084】
図16Cにおいて、これらの実施態様のそれぞれの貫通孔は1つ以上の歯(例えば歯154)を含んでいる。制約を意図するものではないが、シートスクリーンに超音波振動を与えたときに、歯は造形粉末に対する刺激を強めることによって粉末の流れを促進すると考えられる。
【0085】
本発明のシートスクリーンの別の特徴は、造形粉末が通過する各々の貫通孔のプロファイルである。
図25A~25Fは、いくつかの好ましい孔のプロファイルを示すシートスクリーンの概略側面断面図である。図示する各々のシートスクリーン(例えば
図25Aの第1のシートスクリーン280)は、その上側(例えば第1のシートスクリーン280の上側282)が図面の上を向き、その下側(例えば第1のシートスクリーン280の下側284)が図面の下を向くように描かれている。
【0086】
図25A~25Fでは便宜的に、すべての表面会合部を尖った角で表し、すべの孔側壁面を平面で表しているが、そのような接合部および表面は丸みがあってもよいことに留意されたい。同様に、すべての孔のプロファイルは孔の中心線周りに対称であるように表しているが、中心線の両側のプロファイルが異なる孔も本発明の範囲内である。またシートスクリーンは、すべて同じプロファイルの孔を有しても、任意の数の異なるプロファイルの孔を有してもよい。
【0087】
図25A~25Fを再度参照する。
図25Aに示す第1のシートスクリーン280の孔286は、直立した側壁(例えば第1の側壁288)を有する。
図25Bに示す第2のシートスクリーン290の孔292は、当該孔292のほぼ中間の高さで会合する上部斜面296および下部斜面298から成る第1の側壁294を有する。
図25Cに示す第3のシートスクリーン300の孔302は、上部斜面306、直立する壁区間307、および下部斜面308の3区間から構成される第1の側壁304を有する。
図25Dに示す第4のシートスクリーン310の孔312は、当該孔312の中間の高さより下方で会合する上部斜面316および下部斜面318から成る第1の側壁314を有する。
図25Eに示す第5のシートスクリーン320の孔322は、当該孔322の中間の高さより上方で会合する上部斜面326および下部斜面328から成る第1の側壁324を有する。最後に、
図25Fに示す第6のシートスクリーン330の孔332は、当該孔332の最上部から最下部に向かって連続的に内側に傾斜する第1の側壁334を有する。
【0088】
一部の実施態様は、超音波振動子に加えて低周波振動装置を含む。そのような一実施態様は、
図3~5に示す前述のリコータ20である。これらの図において、リコータ20は超音波振動子30と低周波振動装置32を具備する。粉末ホッパーへの低周波振動の付与とシートスクリーンへの超音波振動の付与を組み合わせることは、このような実施態様において造形粉末の分配を首尾よく制御するうえで重要である。
【0089】
また、前述の2種類の振動の付与順序の制御も重要である。この2種類の振動は、造形粉末の分配時に同時に継続的に付与することができる。また、最初に低周波振動を短期的に(例えば.0.5~2秒)付与してから、超音波振動を継続的に付与することが有利であることがわかっている。2種類の振動の組み合わせを用いることの利点として、ブリッジの形成を伴わずにホッパーから造形粉末を流すことができ、個々の粉末粒子としてではなく造形粉末ペレットとしてシートスクリーンの開口を通すことができる。それにより、微粉末が気流に同伴してダストプルームとして運び出されることを防止または低減する。
【0090】
図24は、リコータの一実施態様の振動制御システム260の概略図である。振動制御システム260は、少なくとも1つの超音波振動子(例えば超音波振動子264)および少なくとも1つの低周波振動装置(例えば低周波振動装置266)と作動的に通信する振動制御ユニット262を含む(この相互関係を破線で示す)。超音波振動子264および低周波振動装置266は、それぞれ、粉末層3次元プリンタのシートスクリーン268および造形粉末ホッパー270と作動的に接続された(この相互関係を実線で示す)。振動制御ユニット262は、粉末層3次元プリンタの総合制御システムの一部であっても、当該システムから独立していてもよい。振動制御ユニット262は、上述の任意の態様で超音波振動子および低周波振動装置を作動させるように適合されている。
【0091】
本システムではモータ駆動式偏心軸受システム(例えば
図3の低周波振動装置32)を使用することによって低周波振動を与えることができるが、その他の低周波振動装置を使用することもできる。そのような低周波装置の振動は、電子的、空気圧的および/または機械的に引き起こすことができる。低周波振動によって、ホッパー内でブリッジまたはアーチを形成し得る状態を解消または克服することにより、ホッパー内の造形粉末の流れを誘起および/または促進する。
【0092】
シートスクリーンはホルダーに据え付け、当該ホルダーは造形材ホッパーの選択された位置に取り付けるのが好ましい。
図6に示すそのような構成例では、上述のようにシートスクリーン42がホルダー44に据え付けられている。一部の実施態様では、シートスクリーンはホルダーの上部セクションと下部セクションの間に挟み込まれる。ボルトを使用してクランプ力をかけることができる。例えば、トルクが同じ水準になるように各締付ボルトを調節し、ボルトを交互に締め付けることによって、スクリーンに均等にクランプ張力をかけるのが好ましい。このボルトは、ホルダーをホッパーに取り付けるために使用したボルトと同じものでも異なるものでもよい。代替策として、接着剤を使用してスクリーンをホルダーに接合させてもよい。好ましい接着剤の一例は、ロックタイトのAblestick 215と称される二液性エポキシ樹脂である。溶接またはろう付けによってシートスクリーンをホルダーに接合させてもよいが、そのような接合作業時に構成部品にそりが生じないよう注意しなければならない。シートスクリーンは、シートスクリーンの厚さと同じかまたは若干大きい深さを有するホルダー内の凹部に据え付けるのが好ましい。
【0093】
シートスクリーンホルダーは、例えばボルト、クランプ、接着剤など任意の固定手段によってホッパーに取り付けることができる。また、シートスクリーンを1枚ごとに交換可能な態様でスクリーンホルダーに取り付けることができるのであれば、スクリーンホルダーのすべてまたは一部を、溶接やろう付けなどによってホッパーに恒久的に固定することも本発明の範囲内である。例えば、スクリーンホルダーの上部をホッパーに恒久的に固定し、スクリーンホルダーの下部を取外し可能にして、当該上部と当該下部の間に保持されるシートスクリーンの取外しおよび交換を可能にしてもよい。
【0094】
一部のリコータの実施態様は、ステンレス鋼および炭化ケイ素の微粉末を用いた評価で良好な結果が得られている。これらの粉末には、d50が9.5ミクロンの316L鋼と、d50が11ミクロンおよび5ミクロンの炭化ケイ素粉末が含まれる。本発明のシステムの局面によっては、d50が30ミクロンのステンレス鋼粉末のような大きめのサイズの粉末でも機能することがわかっている。
【0095】
シートスクリーンの底面から粉末床表面までの距離は、所望の任意の大きさにしてよい。一部の実施態様では、粉末床との衝突によるペレットの分解に伴うプルームの発生量を減らすために、この距離を最小化することが好ましい。
集塵システム
【0096】
本発明の第2の局面は、粉末層3次元印刷プロセスの際に、造形ボックスのすぐ周囲の領域で気体雰囲気(例えば空気)中に浮遊する微粒子を局所的に捕集する改良型集塵システムである。本発明の集塵システムは、気体雰囲気中で3次元印刷を行うあらゆる種類の粉末層3次元プリンタとともに使用可能であるが、以下の議論では気体雰囲気として空気のみを取り上げる。
【0097】
集塵システムの実施態様は、造形ボックスの外縁から、粉末層3次元プリンタのデッキプレートを貫いて下方に空気を引き込むように設計されている。空気は、粉末層3次元プリンタのエンクロージャー部(すなわちハウジング)を介して、外部の集塵器へ排出される。いずれの実施態様でも、使用に先立って、造形粉末のろ過要件を見直し、造形粉末に関連し得る環境衛生および安全上の懸念を特定すべきであることを理解されたい。一部の標準的な集塵器は、0.3ミクロン(1.181×10-5インチ)以上の粒子に対するHEPAろ過効率が最大99.97%である。HEPAろ過では捕集できないより粒径が小さい粉末については、より強力なろ過が必要である。
【0098】
図17、18は、集塵システムの実施態様を示す概略側面断面図である。
図17は、第1の集塵システム160を示す。第1の集塵システム160は、ハウジング164内に密閉された第1の粉末層3次元プリンタ印刷ステーション162を含む。ハウジング164は1つ以上の漏気口(例えば蓋168の周りの密封されていない隙間166)を有し、当該漏気口を介してハウジング164の密閉空間内に空気を引き入れることができる。
【0099】
ハウジング164内には、造形ボックス172を支持するデッキ170と、造形ボックス172内に周期的に造形粉末を分配するリコータ174がある。デッキ170は、デッキ170の上側と下側の雰囲気を流体連通させる複数の貫通流路(例えば流路176)を有する。流路の下側と流体連通関係にあるプレナム178がデッキ170の底部に近接して配置されているか、または好ましくはそこに取り付けられている。プレナム178はまた、ハウジング164内の排気口182まで延びる第1の排気ダクト180と流体連通関係にある。外部ダクト184が、排気口182の外側から第1の外部集塵器186まで延びている。第1の外部集塵器186は、粒子フィルタ188と、ろ過された空気を第1の集塵器186から排出して外側の雰囲気に還流させる第2の排気ダクト190と、真空源192とを具備する。
【0100】
リコータ174から造形粉末を分配すると、一部の造形粉末は、造形ボックス170の周りのハウジングの内部雰囲気194の中に入り、プルームを形成する。別のプルーム発生源として、造形ボックス172内に収容された造形粉末床の最上部に適用される平滑化装置(図示せず)がある。さらに別のプルーム発生源として、リコータ174を充填する際の造形粉末のリコータ174への移送がある。
【0101】
第1の集塵システム160の作動時の空気の流れを、
図17に矢印(例えば矢印196)で示す。第1の外部集塵器186の作動時に、粉末層3次元プリンタ162の外部から、ハウジング164の漏気口(例えば隙間166)を介してハウジング164内に空気が引き入れられる。その空気は、雰囲気192中の粉末を含む空気と混合するかまたは同伴し、流路(例えば流路176)を介してプレナム178内に引き入れられる。この空気は排気ダクト180を介してプレナム178から流出し、排気口182を通って外部ダクト184に入り、そこからさらに第1の外部集塵器186に入る。次に空気は粒子フィルタ188を通り、その際に粒子フィルタ188は、空気が運ぶ粉末粒子をフィルタ能力に応じて空気から取り除く。浄化された空気は、排気ダクト190を介して第1の集塵器188の外の雰囲気に排出するか、あるいはさらなる処理、捕集および/または排出の対象とすることができる。
【0102】
図18に示す第2の集塵システム200は、以下に記す機能を除けば前述の第1の集塵システム160と同じである。第2の粉末層3次元プリンタ印刷ステーション204のハウジング202の蓋(図示しない)の周りに、ハウジング202内の雰囲気に空気が入ることができる非密封の隙間は設けられていない。ハウジング202はむしろ、ハウジング202内の空間に空気を入れるように設計された複数の通気口(例えば第1の通気口206Aおよび第2の通気口206B)を有する。そのような通気口は、粉末層3次元プリンタへの粒子状物質の出入りを防ぐためのフィルタを具備することができ、また、空気をハウジング202内に入れることができるがハウジング202から出すことができない一方向弁を具備してもよい。第2の集塵システム200は、造形ボックス210の周りに環状部212が形成されるように造形ボックスを取り囲むシュラウド208を含み、当該環状部はデッキ214を貫通する流路(例えば流路216)と流体連通関係にあり、当該流路はデッキ214の上側および下側の雰囲気ならびにプレナム218と流体連通関係にある。粒子を含む空気が造形ボックス210の近辺から離れていく前に当該造形ボックス210から当該空気をより効率的に引き込めるように、環状部212は、造形ボックス210の最上部の近くまたは最上部に沿う位置にあるのが好ましい。
【0103】
第2の集塵システム200の第2の外部集塵器220が作動しているとき、粉末層3次元プリンタ200の外部から通気口206A、206Bを介してハウジング202内に空気が引き込まれる。デッキ214の上側からも、環状部212を介して流路(例えば流路214)内へ、さらにはプレナム218内へ空気が引き込まれる。次に空気は、ハウジング202から出て、第1の集塵システム160の対応する要素に関して説明したのと同じ態様で、外部集塵器220を通り抜ける。
【0104】
図19~23は、Innovent(登録商標)粉末層3次元プリンタ228に設置された実際の集塵システムの実施態様の各部の写真である。
図19および20は、それぞれ、造形ボックス232とシュラウド234が置かれていない状態と、それらが定置された状態のデッキ230の最上部を示す。デッキ230は、デッキ230の上側および下側の雰囲気と流体連通関係にある複数の流路(例えば流路236)を有する。造形ボックス232の底部によって破線の長方形238で囲ったデッキ232の一部が密封されることに留意されたい。シュラウド234と造形ボックス232の間に、造形ボックス232の最上部に隣接して環状部240が形成されており、この環状部を介して、造形ボックス232の周りから空気を引き込み、流路(例えば流路236)の中を通すことができる。
図21に示すのは、粉末層3次元プリンタ228のハウジング242内部のデッキ230より下の部分である。これは、上向きにデッキ230の底を見たものである。この写真には、デッキ230を貫く流路と流体連通関係にあるプレナム244の一部が写っている。プレナム244には、プレナム244の内部と流体連通関係にある排気ダクト246が取り付けられている。
図22に示すのは、粉末層3次元プリンタ228のハウジング242外部の排気口248が取り付けられた部分である。図に示していないが、排気口248はハウジング242を貫通して排気ダクト246に接続されている。作動時には、排気口248の外側に外部ダクト(
図22では存在していない)が取り付けられて、排気口248から出た空気を外部集塵器に導く。
図23に示すのは、外部ダクト252が接続された外部集塵器250である。図では見えないが、外部ダクト252は粉末層3次元プリンタ228の排気口248に接続されている。
【0105】
本発明はまた、粉末層3次元印刷によって3次元物品を製造する方法を含む。一部の実施態様の方法は、超音波振動を与えられたシートスクリーンから造形粉末を分配するステップを含む。一部の実施態様の方法は、造形粉末を分配する際に造形粉末をペレット化するステップを含む。一部の実施態様の方法は、前述のように、3次元造形プロセスの際にリコータのホッパーに低周波振動を与えるステップを含む。
【0106】
一部の実施態様の方法は、3次元印刷プロセスの際に前述の集塵システムの一実施態様を作動させることを含む。一部の実施態様は、3次元印刷プロセスの際に、超音波振動を付与されたシートスクリーンから造形粉末を分配し、集塵システムの一実施態様を作動させるステップを含む。
【0107】
本明細書で説明する発明の装置および方法は、造形微粉末とともに使用するのが特に有利であるが、本発明の範囲にはそのような装置および方法を任意のサイズの造形粉末とともに使用することが含まれることを理解されたい。
【0108】
本発明のごく少数の実施態様のみを示し、説明してきたが、当業者にとっては、請求項に記載される発明の精神と範囲から逸脱することなく本発明に多くの変更と修正を施せることは明らかである。本明細書で特定される米国のすべての特許および特許出願、ならびに米国外のすべての特許および特許出願等の文書は、法の下で認められる最大限の範囲で、本明細書に省略せずに記載されているかの如く参照により本明細書に組み込まれる。